カテーテルおよびカテーテル挿入器具
【課題】血管、膵管、リンパ管などの重要な組織を避けながらカテーテル先端を投薬目的部まで到達させることができるカテーテルおよびカテーテル挿入器具を提供すること。
【解決手段】本発明にかかるカテーテル1は、内部にルーメンを有する細長い管状の躯体3と、躯体3の軸方向にスライド可能に躯体3に直接または間接に取り付けられ、先端が躯体3の先端から突出した位置から躯体3の基端に向けてスライドして躯体3から分離可能である第1の穿刺針2と、躯体3の軸方向にスライド可能に躯体3に直接または間接に取り付けられ、第1の穿刺針3とは鋭さ及び剛性の少なくとも一方が異なり、先端が躯体3の先端から突出した位置から躯体3の基端に向けてスライドして躯体3から分離可能な第2の穿刺針4とを備える。
【解決手段】本発明にかかるカテーテル1は、内部にルーメンを有する細長い管状の躯体3と、躯体3の軸方向にスライド可能に躯体3に直接または間接に取り付けられ、先端が躯体3の先端から突出した位置から躯体3の基端に向けてスライドして躯体3から分離可能である第1の穿刺針2と、躯体3の軸方向にスライド可能に躯体3に直接または間接に取り付けられ、第1の穿刺針3とは鋭さ及び剛性の少なくとも一方が異なり、先端が躯体3の先端から突出した位置から躯体3の基端に向けてスライドして躯体3から分離可能な第2の穿刺針4とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人間を含む哺乳動物の生体組織内に穿刺されるカテーテルに収容されるカテーテルおよびカテーテル挿入器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、投薬などを目的として、人間を含む哺乳動物の生体組織内に管状のカテーテルを挿入し、カテーテル先端部の貫通穴から薬剤などの流体を吐出していた。このようなカテーテルとして、チューブ状のカテーテル本体と、その一端がカテーテル内部に挿入された屈曲された弾性を有する線材とを備え、主に制癌剤等の薬液を腫瘍近傍で血管内に投与する留置カテーテルが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。このカテーテルを用いて腫瘍近傍の血管に制癌剤を投与することによって、正常細胞へのダメージを低減するとともに、少ない薬剤で制癌効果を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3274384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、血管内に薬剤を投入しており、血中の薬剤が血管外に漏出してからでなければ薬剤が腫瘍細胞に接することができないため、薬剤の多くが腫瘍に取り込まれることなく、血流に乗って体内を循環し、排泄されてしまうという問題があった。
【0005】
このため、近年では、腫瘍細胞に接する薬剤の量を増やし、さらに薬効を向上するために、腫瘍近傍の組織へ直接薬剤を注入することが求められている。この薬剤を組織に直接注入する方法によれば、血管内に薬剤を投入する方法よりも薬剤投与量を減らすことができるため、副作用の低減も期待できる。
【0006】
ここで、この薬剤を組織に直接注入する方法では、カテーテルを生体組織に穿刺する場合において、組織内および体表面の血管、膵管、リンパ管などの重要な組織をできるだけ避けて、カテーテル先端を患部である投薬目的部まで到達させることが強く要求されている。
【0007】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、血管、膵管、リンパ管などの重要な組織を避けながらカテーテル先端を投薬目的部まで到達させることができるカテーテルおよびカテーテル挿入器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルは、人間を含む哺乳動物の生体組織内に穿刺されるカテーテルであって、内部にルーメンを有する細長い管状の躯体と、前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能である第1の穿刺針と、前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、前記第1の穿刺針とは鋭さおよび剛性の少なくとも一方が異なり、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能な第2の穿刺針と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第1の穿刺針および前記第2の穿刺針は、先端が尖った管状をしており、前記躯体と前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針との各々の中心軸は、略同軸に配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前前記第1の穿刺針が前記躯体に対し最も先端方向にスライドした場合の前記第1の穿刺針先端の前記躯体先端からの突出長さと、前記第2の穿刺針が前記躯体に対して最も先端方向にスライドした場合の前記第2の穿刺針先端の前記躯体先端からの突出長さとは、それぞれ異なることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記躯体は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容され、前記第2の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第1の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容され、前記第2の穿刺針は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第2の穿刺針は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容され、前記躯体は、前記第2の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第1の穿刺針および第2の穿刺針の少なくとも一方は、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する屈曲部を有することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第1の穿刺針および第2の穿刺針の軸方向の相対的な動きを係止する係止部を有し、前記係止部は、第1の穿刺針の先端と第2の穿刺針の先端とを軸方向に離間させる所定量以上の力が印加されると係止を解除することを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを互いに連結する連結機構を有し、前記連結機構は、前記第1の穿刺針の先端位置が前記第2の穿刺針の先端位置よりも先端側となるように前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを連結する第1の状態と、前記第2の穿刺針の先端位置が前記第1の穿刺針の先端位置よりも先端側となるように前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを連結する第2の状態との間を遷移することを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第2の穿刺針は、先端が尖っているとともに先端開口が閉塞した管状をしており、閉塞した先端部分に当該第2の穿刺針内部と外部とを連通するスリットを有し、前記第1の穿刺針は、前記第2の穿刺針とは先端の尖り度合いが異なり、前記スリットに嵌合する先端部材と、基端側に延伸し、前記先端部材と接続する線状部材と、を有し、前記第2の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容され、前記第1の穿刺針は、前記第2の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容された状態で前記先端部材が前記スリットから突出することを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第2の穿刺針における閉塞した先端部分は、外表部材と弾性部材によって形成されており、前記スリットは、前記スリットに何も挿入されていない状態では前記弾性部材によって塞がれることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテル挿入器具は、上記の発明において、内部にルーメンを有する細長い管状の躯体を有するカテーテルを、人間を含む哺乳動物の生体組織に挿入するときに用いられるカテーテル挿入器具であって、前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能である第1の穿刺針と、前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、前記第1の穿刺針とは鋭さおよび剛性の少なくとも一方が異なり、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能な第2の穿刺針と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、内部にルーメンを有する細長い管状の躯体の軸方向にスライド可能に躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が躯体の先端から突出した位置から躯体の基端に向けてスライドして躯体から分離可能である第1の穿刺針と、躯体の軸方向にスライド可能に躯体に直接または間接に取り付けられ、第1の穿刺針とは鋭さ及び剛性の少なくとも一方が異なり、先端が躯体の先端から突出した位置から躯体の基端に向けてスライドして躯体から分離可能な第の穿刺針とを備え、穿刺対象に応じて穿刺針を切り替えることによって、血管、膵管、リンパ管などの重要な組織を避けながらカテーテル先端を円滑に投薬目的部まで到達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるカテーテルの分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す各部材を組み付けたカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図3】図3は、図1に示すカテーテルの使用方法を説明する図である。
【図4】図4は、実施の形態1にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図6】図6は、実施の形態1にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図7】図7は、実施の形態1にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図9】図9は、実施の形態2にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。
【図10】図10は、実施の形態2にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図11】図11は、実施の形態3にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。
【図12】図12は、実施の形態3にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図13】図13は、図12(1)に示す第1の穿刺針と第2の穿刺針との分解斜視図である。
【図14】図14は、図12(1),(2)に示された各状態におけるカテーテル301aの斜視図である。
【図15】図15は、図14(2)のAA線断面図である。
【図16】図16は、実施の形態1〜3にかかる他のカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。
【図17】図17は、実施の形態4にかかるカテーテルの分解斜視図である。
【図18】図18は、図17に示す第2の穿刺針の左側面図である。
【図19】図19は、実施の形態4にかかるカテーテルの斜視図である。
【図20】図20は、図19に示す第2の穿刺針504先端の軸方向の断面図である。
【図21】図21は、実施の形態4にかかる他のカテーテル先端の斜視図である。
【図22】図22は、図17に示す第2の穿刺針の他の例の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態として、人間を含む哺乳動物の生体組織内に穿刺されて薬剤を投与するカテーテルおよびカテーテル挿入器具について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかるカテーテルの分解斜視図である。図2は、図1に示す各部材を組み付けたカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。図1および図2に示すように、本実施の形態1にかかるカテーテル1は、内部にルーメンを有する細長い管状の躯体3と、第1の穿刺針2と、第2の穿刺針4とを備える。
【0024】
躯体3は、先端部に内部のルーメンと連通する開口部が設けられるとともに、基端部にも開口部が設けられており、開口部から薬剤等の投入が可能である。躯体3は、生体適合性のある柔軟な素材(例えば、ポリウレタン、弾性シリコン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、天然ゴム)で形成されている。
【0025】
第1の穿刺針2および第2の穿刺針4は、先端が尖った管状をしている。そして、第1の穿刺針2と第2の穿刺針4は、鋭さが異なるように形成されている。図1および図2に示す例では、第1の穿刺針2が第2の穿刺針4よりも先端が鋭い。この穿刺針2,4の材質としては、例えば、金属(ステンレス、チタン、アルミなど)や樹脂(フッ素樹脂や様々なエンジニアリングプラスチック)などを用いることができる。
【0026】
第1の穿刺針2および第2の穿刺針4は、躯体3に組み付けた状態で、躯体3、第1の穿刺針2、および第2の穿刺針4の各々の中心軸がほぼ同軸となるように配設されている。そして、躯体3は第1の穿刺針2のルーメン内に少なくとも一部が収容され、第2の穿刺針4は躯体3のルーメン内に少なくとも一部が収容されている。したがって、ルーメン内に躯体3を収容した第1の穿刺針2が最も外側に位置する外針となり、躯体3のルーメン内に収容された第2の穿刺針4が最も内側に位置する内針となる。
【0027】
図2に示すように、第1の穿刺針2は、尖った先端部21と、円筒形の中間部22と、外径が中間部よりも大きい円筒型の基端部23と、第1ストッパ24とを有する。第1の穿刺針2は、躯体3外表に、第1の穿刺針2内壁の少なくとも一部が接触するように躯体3に取り付けられる。具体的には、第1の穿刺針2のルーメン内にカテーテルの躯体3が収容され、第1の穿刺針2の中間部22に対応するルーメン内で、躯体3と、第1の穿刺針2のルーメン内壁とがスライド可能に接触している。第1の穿刺針2は、躯体3の軸方向にスライド可能に躯体3に取り付けられ、先端が躯体3の先端より突出した位置から躯体3の基端に向けてスライドすることによって、躯体3から分離可能である。さらに、第1の穿刺針2のルーメン内において、第1の穿刺針2のルーメン内壁と躯体3外表とが接触しない空隙26が形成されている。この空隙26を設けて第2穿刺針4のルーメン内壁と躯体3との接触面を小さくすることによって、躯体3外表から第2の穿刺針4を円滑にスライドさせることができる。
【0028】
第2の穿刺針4は、尖った先端部41と、円筒形の中間部42と、外径が中間部42より大きい基端部43とを有する。そして、第2の穿刺針4には、先端部41と中間部42との間に、基端部43と同径の突出部44が形成されている。そして、第2の穿刺針4は、基端部43に、第2ストッパ45をさらに備える。第2の穿刺針4は、躯体3の内壁に、第2の穿刺針4の少なくとも一部が接触するように躯体3内に取り付けられる。具体的には、躯体3のルーメン内に第2の穿刺針4の少なくとも一部が収容され、第2の穿刺針4は、躯体3のルーメン内で、突出部44と基端部43の前部とが、躯体3のルーメンの内壁にスライド可能に接触している。第2の穿刺針4も第1の穿刺針2と同様に、躯体3の軸方向にスライド可能に躯体3に取り付けられ、先端が躯体3の先端より突出した位置から躯体3の基端に向けてスライドすることによって、躯体3から分離可能である。さらに、躯体3のルーメン内において、第2の穿刺針4と躯体3のルーメン内壁とが接触しない空隙46が形成されている。この空隙46を設けて第2穿刺針4のルーメン内壁と躯体3との接触面を小さくすることによって、躯体3のルーメン内で第2穿刺針4を円滑にスライドさせることができる。
【0029】
図2に示すように、第1の穿刺針2と第2の穿刺針4とは、躯体3に対して、それぞれが最も先端方向にスライドした状態で位置決めされ組み付けられる。このように組み付けた状態で、第1の穿刺針2と第2の穿刺針4との相対位置は、第1の穿刺針2の第1ストッパ24と第2の穿刺針4の第2ストッパ45とが当接することで決められる。また、第2の穿刺針4とカテーテルの躯体3との相対位置は、躯体3の基端面に第2の穿刺針4の第2ストッパ45が当接することで決められる。
【0030】
このように位置決めされて組み付けられることによって、第1の穿刺針2の先端と第2の穿刺針4の先端とは、それぞれ異なる位置となり、第1の穿刺針2の先端の方が、第2の穿刺針4の先端よりも、カテーテル1の先端側に位置する。言い換えると、第1の穿刺針2が躯体3に対し最も先端方向にスライドした場合の先端21の躯体3先端からの突出長さと、第2の穿刺針4が躯体3に対して最も先端方向にスライドした場合の先端41の躯体3先端からの突出長さとは、それぞれ異なることとなる。このように、第1の穿刺針2の先端の方が、第2の穿刺針4の先端よりも、カテーテル1の先端側に位置するように、第1の穿刺針2および第2の穿刺針4が躯体3に組み付けられた構成が基本構成となる。
【0031】
このカテーテル1では、カテーテル1先端から突出する穿刺針を、穿刺対象に応じて適切な尖り度合いを有するものに切り替えることによって、カテーテル1先端の穿刺を円滑に行っている。図1に示すカテーテル1の使用方法について説明する。図3は、図1に示すカテーテル1の使用方法を説明する図であり、図1に示すカテーテル1を軸方向に沿って切断した断面図である。
【0032】
まず、臓器表面の皮膜を穿刺する場合には、穿刺針2,4のうち、相対的に先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針2を用いることが望ましい。臓器表面は皮膜があり、この皮膜の穿刺にはある程度の力が必要であるためである。このため、先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針4よりも、先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針2の方が、臓器表面の皮膜を破って穿刺する場合に適している。
【0033】
したがって、まず臓器表面の皮膜を穿刺する場合には、図3(1)に示すように、第1の穿刺針2の先端の方が第2の穿刺針4の先端よりもカテーテル1の先端側に位置する基本構成のままでカテーテル1先端を臓器5表面まで穿刺する。言い換えると、尖り度合いの高い第1の穿刺針2先端がカテーテル1先端において露出している状態で、矢印Y1のように、カテーテル1先端を臓器5表面まで穿刺する。この場合、躯体3先端が臓器5の皮膜下に位置するように、第1の穿刺針2先端の斜面部分が全て臓器5の皮膜の下に位置するまでカテーテル1先端を挿入する。
【0034】
そして、臓器5内部の薬剤投与目標部である患部6たとえば腫瘍までカテーテル1先端を穿刺する場合には、穿刺針2,4のうち、相対的に先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針4を選択する。臓器5内部や腫瘍は、臓器表面の皮膜よりも柔らかいので、臓器表面の皮膜を穿刺する場合と比較して、針先端の鋭さは必要ではない。また、臓器には重要な機能を果たす血管等の脈管が多く存在しているので、臓器表面の皮膜を穿刺した以降はこれらの脈管を保護する観点からも先端があまり鋭くない穿刺針が望ましい。血管等の脈管は主に平滑筋や弾性繊維や膠原繊維を含む組織で伸縮性のある比較的強い組織を有する。一方、臓器の脈管以外は柔らかな実質組織である。このため、実際に脈管に穿刺針が接触した場合であっても、先端があまり鋭くない穿刺針の場合には脈管に針先端が穿刺することはなく、脈管が穿刺針を避けたり、穿刺針が変形して脈管を避けたりできる。したがって、一旦臓器5の皮膜を穿刺した以降の穿刺に対しては、臓器5の皮膜穿刺で用いた第1の穿刺針2よりも尖り度合いの低い第2の穿刺針4が望ましい。
【0035】
カテーテル1先端において露出している第1の穿刺針2を、この第2の穿刺針4に切り替えるには、図3(2)の矢印Y2に示すように、第1の穿刺針2を躯体3の先端から基端に向けてスライドさせることによって、カテーテル1の基端側から第1の穿刺針2を引き抜く。この結果、図3(3)に示すように、尖り度合いの低い第2の穿刺針4先端がカテーテル1先端において露出している状態となる。この状態で、矢印Y3のように、カテーテル1をさらに臓器5内に挿入してゆく。この場合、カテーテル1先端は尖り度合いの低い第2の穿刺針4であるため、実際に血管Bに第2の穿刺針4先端が接触しても、血管Bに針先端が穿刺することはなく、血管Bが図3(4)の矢印Y4のように穿刺針を避けるように移動する。そして、図3(4)のように、腫瘍6の表面を第2の穿刺針4で穿刺して、躯体3の先端が腫瘍6の内部に位置するまで挿入する。
【0036】
その後、図3(5)の矢印Y5に示すように、第2の穿刺針4を躯体3の先端から基端に向けてスライドさせることによって、カテーテル1の基端側から第2の穿刺針4を引き抜き、図3(6)に示すように、躯体3の先端部分が腫瘍6内にある位置で躯体3を留置する。なお、躯体3の長さが不足する場合には、躯体3の基端側に別のチューブを連結して使えばよい。また、カテーテル1の位置は、術中に超音波やCT等で確認できる。そして、カテーテル1基端の開口部から矢印Y6のように薬剤等を投入することによって、矢印Y7のようにカテーテル1先端の開口部から腫瘍6内部に薬剤を投与する。
【0037】
このように、臓器5表面の皮膜を穿刺する場合には相対的に先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針2先端がカテーテル1先端において露出している基本構成のままでカテーテル1を臓器5表面まで穿刺し、臓器5内部や腫瘍6を穿刺する場合には第1の穿刺針2を引き抜いて、相対的に先端の尖り具合の低い第2の穿刺針4がカテーテル1先端において露出している状態で穿刺を行なうことによって、臓器表面にカテーテル1先端を確実に穿刺できるとともに、血管、膵管、リンパ管などの重要な組織を避けながらカテーテル先端を円滑に投薬目的部まで到達させることができる。
【0038】
なお、最も内側に位置する第2の穿刺針は内部に部材を収容する必要がないため、図4のカテーテル101に示すように、閉塞した先端141を有する第2の穿刺針104を内針として用いることもできる。また、図示していないが、第2の穿刺針として中実構造の穿刺針を用いてもよい。
【0039】
(実施の形態1の第1の変形例)
次に、実施の形態1の第1の変形例について説明する。図5は、実施の形態1の第1の変形例にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図5(1)および図5(2)に示すように、本変形例1にかかるカテーテル1aにおいて、第1の穿刺針2aの基端部23aは、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する。図5(1)の矢印Y1aのようにカテーテル1先端を体内組織内に穿刺し、図5(2)のように第1の穿刺針2a先端が臓器5表面の皮膜に到達した場合に加わるカテーテル1基端方向の反発力によって、基端部23aが矢印Y8のように躯体3外側に屈曲するように基端部23aの屈曲性は設定されている。そして、基端部23aが一度屈曲した場合には、第1の穿刺針2aを体内組織内にさらに押し入れても基端部23aが曲がるだけで、第1の穿刺針2aの先端自体は奥に入ってゆくことがない。このため、第1の穿刺針2aによる臓器5内部までの穿刺を避けることができる。また、基端部23aは臓器5表面に第1の穿刺針2a先端が到達した場合に屈曲することから、カテーテル1の術者は、この基端部23aの屈曲によって第1の穿刺針2a先端が臓器5表面の皮膜を穿刺したことを把握できるため、カテーテル1から第1の穿刺針2aを引き抜くタイミングを認識することができる。
【0040】
なお、図5においては、第1の穿刺針2aに屈曲する基端部23aを設けた場合を例に説明したが、第2の穿刺針4に対しても同様に、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する屈曲部を設けてもよい。この場合、第2の穿刺針4先端が臓器5内部の腫瘍6内部に到達した場合に加わるカテーテル1基端方向の反発力によって、第2の穿刺針4の屈曲部が屈曲するようにすればよい。これによって、カテーテル1の術者は、第2の穿刺針4先端の屈曲部の屈曲によって第2の穿刺針4先端が腫瘍6内部に到達したことを把握できるため、カテーテル1から第2の穿刺針4を引き抜くタイミングを認識することができる。もちろん、第1の穿刺針および第2の穿刺針の少なくとも一方に、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する屈曲部を設けるほか、第1の穿刺針および第2の穿刺針の双方に、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する屈曲部を設けてもよい。
【0041】
(実施の形態1の第2の変形例)
次に、実施の形態1の第2の変形例について説明する。実施の形態1の第2の変形例にかかるカテーテルは、第1の穿刺針および第2の穿刺針の軸方向の相対的な動きを係止する係止部を備える。この係止部は、第1の穿刺針2と第2の穿刺針4を軸方向に離間させる所定量以上の力が印加されると係合を解除するものである。実施の形態1の第2の変形例では、このような係止部を設けることによって、臓器表面までの穿刺時における第1の穿刺針と第2の穿刺針との軸方向の位置ずれを防止するとともに、第1の穿刺針の抜き取り処理を円滑化させている。
【0042】
図6は、実施の形態1の第2の変形例にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図6(1)に示すように、本変形例2にかかるカテーテル1bにおいて、係止部は、第1の穿刺針2bにおける第1ストッパ24bと、第2の穿刺針4bにおける第2ストッパ45bによって構成される。
【0043】
第1ストッパ24bおよび第2ストッパ45bには、互いが接触する接触面に凹部がそれぞれ設けられている。さらに、第2の穿刺針4bには、第2ストッパ45bの凹部先端側の壁面に一端が固定されたバネ47が設けられている。このバネ47は、第1ストッパ24b方向(図中上方向)に突出する基本形状を有しており、第1の穿刺針2および第2の穿刺針4の軸方向の相対的な動きを係止する係止部として機能する。
【0044】
カテーテル1と同様に、図6(2)に示すように、第1の穿刺針2b先端が臓器5表面を穿刺した後に、第1の穿刺針2b抜き取りのために、第1の穿刺針2bを矢印Y2のようにカテーテル1の基端方向にスライド移動させる。この場合、第1ストッパ24bの底面24cも矢印Y2のように基端方向側にスライド移動する。これにともない、矢印Y2のようにスライド移動した底面24cによって、バネ47には、図中下方向に押す力が印加される。この下方向に押す力がバネ47の突出する力よりも大きくなるように第1の穿刺針2bがスライド移動した場合には、矢印Y9のようにバネ47が第2ストッパ45bの凹部底部側(図中下方向)に押し込まれるように変形する。この結果、バネ47は第1の穿刺針2および第2の穿刺針4の軸方向の相対的な動きに対する係止を解除することとなり、図6(3)の矢印Y2bのように、第1の穿刺針2bの引き抜きが可能となる。次いで、矢印Y3bのように、第2の穿刺針4b先端が露出している状態、カテーテル1bをさらに臓器5内に挿入すればよい。
【0045】
(実施の形態1の第3の変形例)
次に、実施の形態1の第3の変形例について説明する。図7は、実施の形態1の第3の変形例にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図7に示すように、本変形例3にかかるカテーテル1dは、躯体3dの外側に尖り度合いの低い第2の穿刺針4dを外針として有し、躯体3dのルーメン内に尖り度合いの高い第1の穿刺針2dを内針として有する。
【0046】
カテーテル1dにおいては、第2の穿刺針4先端の傾斜面と傾斜が連続するように、躯体3dの先端開口面31dを斜めにカットしている。この結果、第1の穿刺針2d先端と第2の穿刺針4d先端との間に隙間がなくなるため、カテーテル1の体内への穿刺時において、第1の穿刺針2d先端と第2の穿刺針4d先端との間に組織片等が侵入することを防止することができる。
【0047】
そして、躯体3d内壁と第1の穿刺針2d外表との間に空隙26dが形成されるように、第1の穿刺針2d外表に凹部を設けている。これによって、内針である第1の穿刺針2dを引き抜くときに摩擦で躯体3dが引き抜き方向に引かれて躯体3の径が縮み、第1の穿刺針2dが躯体3dに圧迫されて抜きにくくなるのを軽減することができる。なお、外針である第2の穿刺針4dを抜く場合に摩擦で躯体3dが引き抜き方向に引かれて躯体3dの径が縮んだ場合には、第2の穿刺針4dの内壁から躯体3dの外表が離間することとなるため、第2の穿刺針4dが引き抜きにくくなることはない。
【0048】
なお、最も内側に位置する第1の穿刺針は内部に部材を収容する必要がないため、図8のカテーテル1eに示すように、閉塞した先端21eを有する第1の穿刺針2eを内針として用いることもできる。また、図示していないが、第1の穿刺針として中実構造の穿刺針を用いてもよい。
【0049】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図9は、実施の形態2にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図9は、実施の形態2にかかるカテーテル201の基本構成を示す図であって、第1の穿刺針202および第2の穿刺針204が躯体3に組み付けられた状態を示している。
【0050】
図9に示すように、カテーテル201は、躯体3のルーメン内部に、先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針202の一部、および、先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針204の一部のいずれもが収容された構造を有する。すなわち、カテーテル201においては、躯体3のルーメン内に第2の穿刺針204の一部が収容され、第2の穿刺針204のルーメン内に第1の穿刺針202の一部が収容されている。カテーテル201は、第1の穿刺針202の先端の方が、第2の穿刺針204の先端よりも、カテーテル201の先端側に位置するように、第1の穿刺針202および第2の穿刺針204が躯体3に組み付けられた構成が基本構成となり、さらに、第1の穿刺針202および第2の穿刺針204は、それぞれ引き抜き可能であるため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0051】
また、カテーテル201においては、躯体3のルーメン内壁と、第2の穿刺針204外表とが接触しない空隙246が形成されており、第2の穿刺針204引き抜き時のスライド摩擦を低減している。同様に、カテーテル201においては、第2の穿刺針204のルーメン内壁と、第1の穿刺針202外表とが接触しない空隙226が形成されており、第1の穿刺針202引き抜き時のスライド摩擦を低減している。
【0052】
さらに、カテーテル201においては、躯体3の径よりも第1の穿刺針202の径および第2の穿刺針204の径の方を小さくして、生体組織内に留置される躯体3の内部に、穿刺後に引き抜かれる第1の穿刺針202および第2の穿刺針204を収容している。このため、カテーテル201を穿刺してから各穿刺針が引き抜かれるまでの間、躯体3外表と生体組織とが直接接触した状態を保持するため、実施の形態1と比較して、躯体3と生体組織との密着性を高めることができ、組織の分泌物や腫瘍細胞の漏出等を低減することができる。
【0053】
なお、実施の形態2においては、図10に示すカテーテル201aのように、第1の穿刺針と第2の穿刺針との位置を入れ替えて、躯体3のルーメン内に一部が収容された第1の穿刺針202aのルーメン内に、第2の穿刺針204aの一部が収容される構成とすることもできる。
【0054】
また、カテーテル201においては、第1の穿刺針202a引き抜き時のスライド摩擦を低減するため、第1の穿刺針202aの外側に凹部を設け、第1の穿刺針202aを躯体3に組み付けたときに第1の穿刺針202aの外表と躯体3のルーメン内壁とが接触しない空隙226aが形成されるようにしている。
【0055】
そして、カテーテル201aにおいては、躯体3の内径よりも外径の大きな第1の穿刺針202aの外側に、躯体3を拡張させながら被覆することによって基本構成が形成される。したがって、躯体3は引き伸ばされて肉厚が薄くなっているので、躯体3の内径を外第1の穿刺針202aの外径とを同径とした場合と比べてカテーテル201全体の径を小さくすることができ、生体組織内への穿刺を容易化することができる。さらに、第1の穿刺針202aを引き抜いた場合には、躯体3の引き伸ばしが解消して、躯体3内壁が内側の第2の穿刺針204a外表に接触する。この結果、躯体3内壁と第2の穿刺針204a外表との隙間が解消されるため、躯体3と第2の穿刺針202a先端との間に組織片等が侵入することもない。
【0056】
なお、カテーテル201,201aにおいても、実施の形態1における変形例1,2において説明した屈曲部または係止部をさらに加え、カテーテルの体内への穿刺および各穿刺針の引き抜きを円滑化させてもよい。
【0057】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。図11は、実施の形態3にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図11は、実施の形態3にかかるカテーテル301の基本構成を示す図であって、第1の穿刺針302および第2の穿刺針304が躯体3に組み付けられた状態を示している。
【0058】
図11に示すように、カテーテル301は、躯体3が最も内側に収容された構造を有する。すなわち、カテーテル301においては、先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針302のルーメン内に、先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針304の一部が収容され、第2の穿刺針304のルーメン内に躯体3の一部が収容されている。カテーテル301は、第1の穿刺針302の先端の方が、第2の穿刺針304の先端よりも、カテーテル201の先端側に位置するように、第1の穿刺針302および第2の穿刺針304が躯体3に組み付けられた構成が基本構成となり、さらに、第1の穿刺針302および第2の穿刺針304は、それぞれ引き抜き可能であるため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0059】
このように、本発明にかかるカテーテルは、第1の穿刺針が躯体の軸方向にスライド可能に躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が躯体の先端から突出した位置から躯体の基端に向けてスライドして躯体から分離可能であり、第2の穿刺針が躯体の軸方向にスライド可能に躯体に直接または間接に取り付けられ、第1の穿刺針とは鋭さ及び剛性の少なくとも一方が異なり、先端が躯体の先端から突出した位置から躯体の基端に向けてスライドして躯体から分離可能であればよい。
【0060】
また、躯体3先端は、各穿刺針先端から突出して穿刺を阻害しないように各穿刺針先端よりも基端側に位置させる必要がある。このカテーテル301においては、躯体3を一番内側に配設しているため、躯体3の先端32aを、躯体3外表が直接接触する第2の穿刺針304先端の傾斜が始まる内壁端部まで、先端側にずらすことができる。したがって、カテーテル301においては、実施の形態1,2と比して、躯体3先端を先端側に位置させることができるため、躯体3を長くすることが可能になり、柔軟な設計を実現することができる。
【0061】
また、カテーテル301においては、躯体3の先端32aを、実施の形態1,2の場合よりも先端側に位置させることができるため、実施の形態1,2と比して、最も外側に位置する第1の穿刺針302の先端321aと躯体3の先端32aとの距離Lを短くすることができる。ここで、第1の穿刺針で臓器表面を穿刺する場合には、躯体先端が臓器の皮膜下に位置するまでカテーテル先端を挿入する必要がある。カテーテル301においては、第1の穿刺針302の先端321aと躯体3の先端32aとの距離Lを実施の形態1,2よりも短くできるため、実施の形態1,2よりも、尖り度合いの高い第1の穿刺針302の臓器5内部への挿入度合いを少なくすることができる。
【0062】
(実施の形態3の第1の変形例)
次に、実施の形態3の第1の変形例について説明する。図12は、実施の形態3の変形例1にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図12(1)は、実施の形態3の変形例1にかかるカテーテル301aの基本構成を示している。図12(1)に示すように、カテーテル301aは、カテーテル301と比して、第1の穿刺針と第2の穿刺針との位置を入れ替えた構成を有する。すなわち、カテーテル301aにおいては、先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針304aのルーメン内に、先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針302aの一部が収容され、第1の穿刺針302aのルーメン内に躯体3の一部が収容されている。
【0063】
そして、カテーテル301aにおいては、第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとを互いに連結する連結機構を有している。図13は、図12(1)に示す第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとの分解斜視図である。
【0064】
図12(1)および図13に示すように、最も外側に位置する第2の穿刺針304aには、軸方向に貫通溝348が形成される。この貫通溝348は、第2の穿刺針304aから突出する第1の穿刺針302aの突出部分に応じた距離で軸方向に延伸した後に、周方向に曲げられてから、溝幅が狭い狭隘部348aに接続される。そして、狭隘部348aの周方向側には、略円形の幅大部348bが形成されている。一方、第1の穿刺針302a外表には、外側に向けて突起328が形成されている。この突起328は、貫通溝348を移動可能な幅を持っている。
【0065】
図14(1),(2)は、図12(1),(2)に示された各状態におけるカテーテル301aの斜視図であり、図15は、図14(2)のAA線断面図である。図12(1)および図14(1)に示すように、カテーテル301aの基本構成では、第2の穿刺針304aの貫通溝348の先端側の位置P1に第1の穿刺針302aの突起328が位置する。この結果、第1の穿刺針302aの先端位置が第2の穿刺針304aの先端位置よりも先端側となるように、第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとが位置決めされて連結されることとなる。
【0066】
そして、図12(1)および図14(1)に示すように、第1の穿刺針302aを基端側である矢印Y31の方向に移動させることによって、第2の穿刺針304a先端から突出していた第1の穿刺針302a先端を、第2の穿刺針304aのルーメン内部に収納する。この第1の穿刺針302aの基端側の移動にともない、突起328も、貫通溝348内を矢印Y31aのように基端側に移動する。
【0067】
そして、突起328が貫通溝348の曲げ部に当て付くまで第1の穿刺針302aを基端側に移動させた後、図12(2)および図14(2)に示すように、第1の穿刺針302aを矢印Y32のように周方向に回転させる。この第1の穿刺針302aの回転によって、突起328は、貫通溝348内を図14(2)および図15の矢印Y32aのように周方向に移動し、突起328は狭隘部348aを弾性変形させて越え、幅大部348bに収まる。この突起328が幅大部348bに収まった状態が、図12(2)に示すように、第2の穿刺針304aの先端位置が第1の穿刺針302aの先端位置よりも先端側となるように第1の穿刺針302aの先端21の傾斜部分の全てが第2の穿刺針304aのルーメン内に収容された状態で、第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとを連結する状態となる。なお、突起328の弾性変形によって突起328が狭隘部348aを越えるようにしてもよい。
【0068】
この連結機構として機能する突起328と貫通溝348とは、第1の穿刺針304aの先端位置が第2の穿刺針304aの先端位置よりも先端側となるように第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとを連結する第1の状態と、第2の穿刺針304aの先端位置が第1の穿刺針302aの先端位置よりも先端側となるように第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとを連結する第2の状態の間を遷移することとなる。
【0069】
そして、躯体3の腫瘍内への留置が完了した時点で、第2の穿刺針302aと、第2の穿刺針302aのルーメン内に収容された第1の穿刺針302aとを、図12(2)の矢印Y33のように、2本まとめて同時に引き抜く。
【0070】
このように、カテーテル301aにおいては、第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとを同時に躯体3から引き抜くことができるため、穿刺針の引き抜き操作を一度で済ませることができることから、カテーテル301aの術者の操作負担を軽減することが可能になる。
【0071】
なお、実施の形態1〜3においては、臓器表面の皮膜穿刺用として、先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針2,2a,2b,2e,202,202a,302,302aを採用し、臓器内部や腫瘍への穿刺用として、先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針4,4b、4c、4d,204,204a,304,304aを採用した場合を例に説明したが、さらに、第1の穿刺針2,2a,2b,2e,202,202a,302,302aの剛性を、第2の穿刺針4,4b、4c、4d,204,204a,304,304aの剛性よりも高くすることによって、臓器表面の皮膜への穿刺をさらに円滑化させてもよい。
【0072】
もちろん、第1の穿刺針と第2の穿刺針とで、先端の尖り度合いと剛性との双方を変える必要はない。たとえば、図16のカテーテル401に示すように、第1の穿刺針402の先端421と、第2の穿刺針404の先端441の尖り度合いがほぼ同程度となるように設定し、第1の穿刺針402の剛性を第2の穿刺針の剛性よりも高くなるように設定した場合も、臓器表面の皮膜への穿刺および臓器内部や腫瘍への穿刺を円滑化することができる。
【0073】
また、実施の形態1〜3においては、最も内側に位置する穿刺針先端は、円筒形先端を一方向から切り欠いた形状として図示しているが、多方向からそれぞれ切り欠いた形状であってもよい。
【0074】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4においては、先端開口が閉塞した管状の第2の穿刺針先端から、第2の穿刺針先端よりも尖り度合いの高い第1の穿刺針先端を突出させる場合について説明する。
【0075】
図17は、実施の形態4にかかるカテーテルの分解斜視図である。図17に示すように、実施の形態4にかかるカテーテルは、躯体3のルーメン内に、第1の穿刺針502の一部が収容される。第2の穿刺針504は、先端が尖っているとともに、先端開口部が閉塞部材541によって閉塞された管543によって形成されている。この管543の長さは、躯体3の長さよりも長い。図18は、図17に示す第2の穿刺針504の左側面図である。図18に示すように、第2の穿刺針504先端の閉塞部材541には、十字に交差する2本のスリット549が形成されている。このスリット549は、第2の穿刺針504内部と外部とを連通している。
【0076】
そして、第2の穿刺針504の管543内には、第1の穿刺針502の一部が収容される。第1の穿刺針502は、先端に複数のブレード部材522がスリット549に嵌合するように十字型で組みつけられており、組み付けられたブレード部材522の先端521の尖り度合いは第2の穿刺針504先端の尖り度合いよりも高いものとなっている。そして、ブレード部材522基端には、基端側に延伸するワイヤなどの線状部材523が接続されている。この線状部材523は、管543のルーメンの径よりも小さい径である。そして、第1の穿刺針502の先端から基端までの長さは、カテーテル3の先端から基端までの長さよりも長くなるように設定されている。
【0077】
図19は、実施の形態4にかかるカテーテルの斜視図である。まず、実施の形態4にかかるカテーテル501は、図19(1)に示すように、第2の穿刺針504の先端が躯体3先端の開口部から突出するように、躯体3のルーメン内に収容される。第1の穿刺針502は、第2の穿刺針504の基端側から管543内部に挿入される。そして、第1の穿刺針502は、第1の穿刺針502先端のブレード部材522の一部が、第2の穿刺針504先端のスリット549を押し開いて突出するまで、管543内部に挿入される。すなわち、第1の穿刺針502は、第2の穿刺針504のルーメン内に一部が収容された状態で、先端521がスリット549から突出することによって、この先端521が、躯体3先端から突出した位置となる。このように、第1の穿刺針502の先端が、第2の穿刺針504の先端から突出するように、第1の穿刺針502および第2の穿刺針504が躯体3に組み付けられた構成が基本構成となる。
【0078】
第1の穿刺針502の先端521から基端までの長さは、カテーテル3の先端から基端までの長さよりも長くなるように設定されているため、基本構成の状態であっても、第1の穿刺針502の線状部材523基端は、管543から出た状態を保持する。したがって、臓器表面の皮膜穿刺後には、この線状部材523を矢印Y51のように基端側に移動させることによって、図19(2)のように、第1の穿刺針502を第2の穿刺針504内から引き抜く。
【0079】
図20は、図19に示す第2の穿刺針504先端の軸方向の断面図である。この図20に示すように、第2の穿刺針504においては、閉塞部材541は半球状を有し、この半球に十字型の切り込みを入れることでスリット549を形成している。このスリット549は、何も挿入されていない状態では、閉塞部材541の弾性によって閉じた状態を保持する。さらに、この閉塞部材541下面には、管543内を埋め込むように設けられた弾性部材550が形成されている。この弾性部材550にも、スリット549と同位置にスリットが設けられている。このため、図20(1)に示すように、第1の穿刺針502の先端521が突出する場合には、外表側の閉塞部材541のスリット549に加え弾性部材550のスリットにおいてもブレード部材522が挟み込まれて固定されるため、カテーテル501の穿刺時においてもブレード部材522が第2の穿刺針504内部に押し戻されることはない。そして、図20(2)のように、スリット549に何も挿入されていない場合には、弾性部材550のスリットも弾性によって矢印のように閉じるため、スリット549を弾性部材550で確実に塞ぐことができ、第2の穿刺針502の中に組織片等が侵入することを防止することができる。
【0080】
そして、腫瘍までカテーテル501先端を挿入した場合には、管543を矢印Y52のように基端側に移動させることによって、図19(3)のように、第2の穿刺針504を躯体3内から引き抜く。
【0081】
このように、端開口が閉塞した管状の第2の穿刺針先端から、第2の穿刺針先端よりも尖り度合いの高い第1の穿刺針先端を突出させたカテーテル501においても、第1の穿刺針502の先端の方が、第2の穿刺針504の先端よりも、カテーテル501の先端側に位置するように、第1の穿刺針502および第2の穿刺針504が躯体3に組み付けられた構成が基本構成となり、さらに、第1の穿刺針502および第2の穿刺針504は、それぞれ引き抜き可能であるため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0082】
なお、実施の形態4にかかるカテーテルにおいては、第2の穿刺針先端のスリット形状は、第1の穿刺針先端形状と対応させて設定すればよい。たとえば、図21に示すように、第1の穿刺針の先端が尖形状を有する1枚のブレード部材522aによって形成されている場合には、第2の穿刺針の閉塞部材541aには、このブレード部材522aに対応させて図22のように1本のスリット549aを形成して、このスリット549aから第1の穿刺針先端のブレード部材522aが突出できるようにすればよい。
【0083】
なお、第1の穿刺針502は、1本に限らず、先端の尖り度合いをそれぞれ変えた複数のものから、穿刺対象によって適宜選択可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,1a,1b,1d,1e,101,201,201a,301,301a,401,501 カテーテル
2,2a,2b,2d,2e,202,202a,302,302a,402,502 第1の穿刺針
3,3d 躯体
4,4b,4d,204,104,204a,304,304a,404,504 第2の穿刺針
5 臓器
6 腫瘍
22,42 中間部
23,43 基端部
44 突出部
24,24b,45,45b ストッパ
47 バネ
328 突起
348 貫通溝
348a 狭隘部
348b 幅大部
522,522a ブレード部材
523 線状部材
541,541a 閉塞部材
543 管
549,549a スリット
550 弾性部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、人間を含む哺乳動物の生体組織内に穿刺されるカテーテルに収容されるカテーテルおよびカテーテル挿入器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、投薬などを目的として、人間を含む哺乳動物の生体組織内に管状のカテーテルを挿入し、カテーテル先端部の貫通穴から薬剤などの流体を吐出していた。このようなカテーテルとして、チューブ状のカテーテル本体と、その一端がカテーテル内部に挿入された屈曲された弾性を有する線材とを備え、主に制癌剤等の薬液を腫瘍近傍で血管内に投与する留置カテーテルが提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。このカテーテルを用いて腫瘍近傍の血管に制癌剤を投与することによって、正常細胞へのダメージを低減するとともに、少ない薬剤で制癌効果を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3274384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、血管内に薬剤を投入しており、血中の薬剤が血管外に漏出してからでなければ薬剤が腫瘍細胞に接することができないため、薬剤の多くが腫瘍に取り込まれることなく、血流に乗って体内を循環し、排泄されてしまうという問題があった。
【0005】
このため、近年では、腫瘍細胞に接する薬剤の量を増やし、さらに薬効を向上するために、腫瘍近傍の組織へ直接薬剤を注入することが求められている。この薬剤を組織に直接注入する方法によれば、血管内に薬剤を投入する方法よりも薬剤投与量を減らすことができるため、副作用の低減も期待できる。
【0006】
ここで、この薬剤を組織に直接注入する方法では、カテーテルを生体組織に穿刺する場合において、組織内および体表面の血管、膵管、リンパ管などの重要な組織をできるだけ避けて、カテーテル先端を患部である投薬目的部まで到達させることが強く要求されている。
【0007】
この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、血管、膵管、リンパ管などの重要な組織を避けながらカテーテル先端を投薬目的部まで到達させることができるカテーテルおよびカテーテル挿入器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかるカテーテルは、人間を含む哺乳動物の生体組織内に穿刺されるカテーテルであって、内部にルーメンを有する細長い管状の躯体と、前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能である第1の穿刺針と、前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、前記第1の穿刺針とは鋭さおよび剛性の少なくとも一方が異なり、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能な第2の穿刺針と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第1の穿刺針および前記第2の穿刺針は、先端が尖った管状をしており、前記躯体と前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針との各々の中心軸は、略同軸に配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前前記第1の穿刺針が前記躯体に対し最も先端方向にスライドした場合の前記第1の穿刺針先端の前記躯体先端からの突出長さと、前記第2の穿刺針が前記躯体に対して最も先端方向にスライドした場合の前記第2の穿刺針先端の前記躯体先端からの突出長さとは、それぞれ異なることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記躯体は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容され、前記第2の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第1の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容され、前記第2の穿刺針は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第2の穿刺針は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容され、前記躯体は、前記第2の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第1の穿刺針および第2の穿刺針の少なくとも一方は、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する屈曲部を有することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第1の穿刺針および第2の穿刺針の軸方向の相対的な動きを係止する係止部を有し、前記係止部は、第1の穿刺針の先端と第2の穿刺針の先端とを軸方向に離間させる所定量以上の力が印加されると係止を解除することを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを互いに連結する連結機構を有し、前記連結機構は、前記第1の穿刺針の先端位置が前記第2の穿刺針の先端位置よりも先端側となるように前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを連結する第1の状態と、前記第2の穿刺針の先端位置が前記第1の穿刺針の先端位置よりも先端側となるように前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを連結する第2の状態との間を遷移することを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第2の穿刺針は、先端が尖っているとともに先端開口が閉塞した管状をしており、閉塞した先端部分に当該第2の穿刺針内部と外部とを連通するスリットを有し、前記第1の穿刺針は、前記第2の穿刺針とは先端の尖り度合いが異なり、前記スリットに嵌合する先端部材と、基端側に延伸し、前記先端部材と接続する線状部材と、を有し、前記第2の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容され、前記第1の穿刺針は、前記第2の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容された状態で前記先端部材が前記スリットから突出することを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかるカテーテルは、上記の発明において、前記第2の穿刺針における閉塞した先端部分は、外表部材と弾性部材によって形成されており、前記スリットは、前記スリットに何も挿入されていない状態では前記弾性部材によって塞がれることを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかるカテーテル挿入器具は、上記の発明において、内部にルーメンを有する細長い管状の躯体を有するカテーテルを、人間を含む哺乳動物の生体組織に挿入するときに用いられるカテーテル挿入器具であって、前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能である第1の穿刺針と、前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、前記第1の穿刺針とは鋭さおよび剛性の少なくとも一方が異なり、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能な第2の穿刺針と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、内部にルーメンを有する細長い管状の躯体の軸方向にスライド可能に躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が躯体の先端から突出した位置から躯体の基端に向けてスライドして躯体から分離可能である第1の穿刺針と、躯体の軸方向にスライド可能に躯体に直接または間接に取り付けられ、第1の穿刺針とは鋭さ及び剛性の少なくとも一方が異なり、先端が躯体の先端から突出した位置から躯体の基端に向けてスライドして躯体から分離可能な第の穿刺針とを備え、穿刺対象に応じて穿刺針を切り替えることによって、血管、膵管、リンパ管などの重要な組織を避けながらカテーテル先端を円滑に投薬目的部まで到達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるカテーテルの分解斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す各部材を組み付けたカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図3】図3は、図1に示すカテーテルの使用方法を説明する図である。
【図4】図4は、実施の形態1にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図6】図6は、実施の形態1にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図7】図7は、実施の形態1にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図8】図8は、実施の形態1にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図9】図9は、実施の形態2にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。
【図10】図10は、実施の形態2にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図11】図11は、実施の形態3にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。
【図12】図12は、実施の形態3にかかる他のカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。
【図13】図13は、図12(1)に示す第1の穿刺針と第2の穿刺針との分解斜視図である。
【図14】図14は、図12(1),(2)に示された各状態におけるカテーテル301aの斜視図である。
【図15】図15は、図14(2)のAA線断面図である。
【図16】図16は、実施の形態1〜3にかかる他のカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。
【図17】図17は、実施の形態4にかかるカテーテルの分解斜視図である。
【図18】図18は、図17に示す第2の穿刺針の左側面図である。
【図19】図19は、実施の形態4にかかるカテーテルの斜視図である。
【図20】図20は、図19に示す第2の穿刺針504先端の軸方向の断面図である。
【図21】図21は、実施の形態4にかかる他のカテーテル先端の斜視図である。
【図22】図22は、図17に示す第2の穿刺針の他の例の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態として、人間を含む哺乳動物の生体組織内に穿刺されて薬剤を投与するカテーテルおよびカテーテル挿入器具について説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態1にかかるカテーテルの分解斜視図である。図2は、図1に示す各部材を組み付けたカテーテルを中心軸に沿って切断した断面図である。図1および図2に示すように、本実施の形態1にかかるカテーテル1は、内部にルーメンを有する細長い管状の躯体3と、第1の穿刺針2と、第2の穿刺針4とを備える。
【0024】
躯体3は、先端部に内部のルーメンと連通する開口部が設けられるとともに、基端部にも開口部が設けられており、開口部から薬剤等の投入が可能である。躯体3は、生体適合性のある柔軟な素材(例えば、ポリウレタン、弾性シリコン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、天然ゴム)で形成されている。
【0025】
第1の穿刺針2および第2の穿刺針4は、先端が尖った管状をしている。そして、第1の穿刺針2と第2の穿刺針4は、鋭さが異なるように形成されている。図1および図2に示す例では、第1の穿刺針2が第2の穿刺針4よりも先端が鋭い。この穿刺針2,4の材質としては、例えば、金属(ステンレス、チタン、アルミなど)や樹脂(フッ素樹脂や様々なエンジニアリングプラスチック)などを用いることができる。
【0026】
第1の穿刺針2および第2の穿刺針4は、躯体3に組み付けた状態で、躯体3、第1の穿刺針2、および第2の穿刺針4の各々の中心軸がほぼ同軸となるように配設されている。そして、躯体3は第1の穿刺針2のルーメン内に少なくとも一部が収容され、第2の穿刺針4は躯体3のルーメン内に少なくとも一部が収容されている。したがって、ルーメン内に躯体3を収容した第1の穿刺針2が最も外側に位置する外針となり、躯体3のルーメン内に収容された第2の穿刺針4が最も内側に位置する内針となる。
【0027】
図2に示すように、第1の穿刺針2は、尖った先端部21と、円筒形の中間部22と、外径が中間部よりも大きい円筒型の基端部23と、第1ストッパ24とを有する。第1の穿刺針2は、躯体3外表に、第1の穿刺針2内壁の少なくとも一部が接触するように躯体3に取り付けられる。具体的には、第1の穿刺針2のルーメン内にカテーテルの躯体3が収容され、第1の穿刺針2の中間部22に対応するルーメン内で、躯体3と、第1の穿刺針2のルーメン内壁とがスライド可能に接触している。第1の穿刺針2は、躯体3の軸方向にスライド可能に躯体3に取り付けられ、先端が躯体3の先端より突出した位置から躯体3の基端に向けてスライドすることによって、躯体3から分離可能である。さらに、第1の穿刺針2のルーメン内において、第1の穿刺針2のルーメン内壁と躯体3外表とが接触しない空隙26が形成されている。この空隙26を設けて第2穿刺針4のルーメン内壁と躯体3との接触面を小さくすることによって、躯体3外表から第2の穿刺針4を円滑にスライドさせることができる。
【0028】
第2の穿刺針4は、尖った先端部41と、円筒形の中間部42と、外径が中間部42より大きい基端部43とを有する。そして、第2の穿刺針4には、先端部41と中間部42との間に、基端部43と同径の突出部44が形成されている。そして、第2の穿刺針4は、基端部43に、第2ストッパ45をさらに備える。第2の穿刺針4は、躯体3の内壁に、第2の穿刺針4の少なくとも一部が接触するように躯体3内に取り付けられる。具体的には、躯体3のルーメン内に第2の穿刺針4の少なくとも一部が収容され、第2の穿刺針4は、躯体3のルーメン内で、突出部44と基端部43の前部とが、躯体3のルーメンの内壁にスライド可能に接触している。第2の穿刺針4も第1の穿刺針2と同様に、躯体3の軸方向にスライド可能に躯体3に取り付けられ、先端が躯体3の先端より突出した位置から躯体3の基端に向けてスライドすることによって、躯体3から分離可能である。さらに、躯体3のルーメン内において、第2の穿刺針4と躯体3のルーメン内壁とが接触しない空隙46が形成されている。この空隙46を設けて第2穿刺針4のルーメン内壁と躯体3との接触面を小さくすることによって、躯体3のルーメン内で第2穿刺針4を円滑にスライドさせることができる。
【0029】
図2に示すように、第1の穿刺針2と第2の穿刺針4とは、躯体3に対して、それぞれが最も先端方向にスライドした状態で位置決めされ組み付けられる。このように組み付けた状態で、第1の穿刺針2と第2の穿刺針4との相対位置は、第1の穿刺針2の第1ストッパ24と第2の穿刺針4の第2ストッパ45とが当接することで決められる。また、第2の穿刺針4とカテーテルの躯体3との相対位置は、躯体3の基端面に第2の穿刺針4の第2ストッパ45が当接することで決められる。
【0030】
このように位置決めされて組み付けられることによって、第1の穿刺針2の先端と第2の穿刺針4の先端とは、それぞれ異なる位置となり、第1の穿刺針2の先端の方が、第2の穿刺針4の先端よりも、カテーテル1の先端側に位置する。言い換えると、第1の穿刺針2が躯体3に対し最も先端方向にスライドした場合の先端21の躯体3先端からの突出長さと、第2の穿刺針4が躯体3に対して最も先端方向にスライドした場合の先端41の躯体3先端からの突出長さとは、それぞれ異なることとなる。このように、第1の穿刺針2の先端の方が、第2の穿刺針4の先端よりも、カテーテル1の先端側に位置するように、第1の穿刺針2および第2の穿刺針4が躯体3に組み付けられた構成が基本構成となる。
【0031】
このカテーテル1では、カテーテル1先端から突出する穿刺針を、穿刺対象に応じて適切な尖り度合いを有するものに切り替えることによって、カテーテル1先端の穿刺を円滑に行っている。図1に示すカテーテル1の使用方法について説明する。図3は、図1に示すカテーテル1の使用方法を説明する図であり、図1に示すカテーテル1を軸方向に沿って切断した断面図である。
【0032】
まず、臓器表面の皮膜を穿刺する場合には、穿刺針2,4のうち、相対的に先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針2を用いることが望ましい。臓器表面は皮膜があり、この皮膜の穿刺にはある程度の力が必要であるためである。このため、先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針4よりも、先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針2の方が、臓器表面の皮膜を破って穿刺する場合に適している。
【0033】
したがって、まず臓器表面の皮膜を穿刺する場合には、図3(1)に示すように、第1の穿刺針2の先端の方が第2の穿刺針4の先端よりもカテーテル1の先端側に位置する基本構成のままでカテーテル1先端を臓器5表面まで穿刺する。言い換えると、尖り度合いの高い第1の穿刺針2先端がカテーテル1先端において露出している状態で、矢印Y1のように、カテーテル1先端を臓器5表面まで穿刺する。この場合、躯体3先端が臓器5の皮膜下に位置するように、第1の穿刺針2先端の斜面部分が全て臓器5の皮膜の下に位置するまでカテーテル1先端を挿入する。
【0034】
そして、臓器5内部の薬剤投与目標部である患部6たとえば腫瘍までカテーテル1先端を穿刺する場合には、穿刺針2,4のうち、相対的に先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針4を選択する。臓器5内部や腫瘍は、臓器表面の皮膜よりも柔らかいので、臓器表面の皮膜を穿刺する場合と比較して、針先端の鋭さは必要ではない。また、臓器には重要な機能を果たす血管等の脈管が多く存在しているので、臓器表面の皮膜を穿刺した以降はこれらの脈管を保護する観点からも先端があまり鋭くない穿刺針が望ましい。血管等の脈管は主に平滑筋や弾性繊維や膠原繊維を含む組織で伸縮性のある比較的強い組織を有する。一方、臓器の脈管以外は柔らかな実質組織である。このため、実際に脈管に穿刺針が接触した場合であっても、先端があまり鋭くない穿刺針の場合には脈管に針先端が穿刺することはなく、脈管が穿刺針を避けたり、穿刺針が変形して脈管を避けたりできる。したがって、一旦臓器5の皮膜を穿刺した以降の穿刺に対しては、臓器5の皮膜穿刺で用いた第1の穿刺針2よりも尖り度合いの低い第2の穿刺針4が望ましい。
【0035】
カテーテル1先端において露出している第1の穿刺針2を、この第2の穿刺針4に切り替えるには、図3(2)の矢印Y2に示すように、第1の穿刺針2を躯体3の先端から基端に向けてスライドさせることによって、カテーテル1の基端側から第1の穿刺針2を引き抜く。この結果、図3(3)に示すように、尖り度合いの低い第2の穿刺針4先端がカテーテル1先端において露出している状態となる。この状態で、矢印Y3のように、カテーテル1をさらに臓器5内に挿入してゆく。この場合、カテーテル1先端は尖り度合いの低い第2の穿刺針4であるため、実際に血管Bに第2の穿刺針4先端が接触しても、血管Bに針先端が穿刺することはなく、血管Bが図3(4)の矢印Y4のように穿刺針を避けるように移動する。そして、図3(4)のように、腫瘍6の表面を第2の穿刺針4で穿刺して、躯体3の先端が腫瘍6の内部に位置するまで挿入する。
【0036】
その後、図3(5)の矢印Y5に示すように、第2の穿刺針4を躯体3の先端から基端に向けてスライドさせることによって、カテーテル1の基端側から第2の穿刺針4を引き抜き、図3(6)に示すように、躯体3の先端部分が腫瘍6内にある位置で躯体3を留置する。なお、躯体3の長さが不足する場合には、躯体3の基端側に別のチューブを連結して使えばよい。また、カテーテル1の位置は、術中に超音波やCT等で確認できる。そして、カテーテル1基端の開口部から矢印Y6のように薬剤等を投入することによって、矢印Y7のようにカテーテル1先端の開口部から腫瘍6内部に薬剤を投与する。
【0037】
このように、臓器5表面の皮膜を穿刺する場合には相対的に先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針2先端がカテーテル1先端において露出している基本構成のままでカテーテル1を臓器5表面まで穿刺し、臓器5内部や腫瘍6を穿刺する場合には第1の穿刺針2を引き抜いて、相対的に先端の尖り具合の低い第2の穿刺針4がカテーテル1先端において露出している状態で穿刺を行なうことによって、臓器表面にカテーテル1先端を確実に穿刺できるとともに、血管、膵管、リンパ管などの重要な組織を避けながらカテーテル先端を円滑に投薬目的部まで到達させることができる。
【0038】
なお、最も内側に位置する第2の穿刺針は内部に部材を収容する必要がないため、図4のカテーテル101に示すように、閉塞した先端141を有する第2の穿刺針104を内針として用いることもできる。また、図示していないが、第2の穿刺針として中実構造の穿刺針を用いてもよい。
【0039】
(実施の形態1の第1の変形例)
次に、実施の形態1の第1の変形例について説明する。図5は、実施の形態1の第1の変形例にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図5(1)および図5(2)に示すように、本変形例1にかかるカテーテル1aにおいて、第1の穿刺針2aの基端部23aは、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する。図5(1)の矢印Y1aのようにカテーテル1先端を体内組織内に穿刺し、図5(2)のように第1の穿刺針2a先端が臓器5表面の皮膜に到達した場合に加わるカテーテル1基端方向の反発力によって、基端部23aが矢印Y8のように躯体3外側に屈曲するように基端部23aの屈曲性は設定されている。そして、基端部23aが一度屈曲した場合には、第1の穿刺針2aを体内組織内にさらに押し入れても基端部23aが曲がるだけで、第1の穿刺針2aの先端自体は奥に入ってゆくことがない。このため、第1の穿刺針2aによる臓器5内部までの穿刺を避けることができる。また、基端部23aは臓器5表面に第1の穿刺針2a先端が到達した場合に屈曲することから、カテーテル1の術者は、この基端部23aの屈曲によって第1の穿刺針2a先端が臓器5表面の皮膜を穿刺したことを把握できるため、カテーテル1から第1の穿刺針2aを引き抜くタイミングを認識することができる。
【0040】
なお、図5においては、第1の穿刺針2aに屈曲する基端部23aを設けた場合を例に説明したが、第2の穿刺針4に対しても同様に、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する屈曲部を設けてもよい。この場合、第2の穿刺針4先端が臓器5内部の腫瘍6内部に到達した場合に加わるカテーテル1基端方向の反発力によって、第2の穿刺針4の屈曲部が屈曲するようにすればよい。これによって、カテーテル1の術者は、第2の穿刺針4先端の屈曲部の屈曲によって第2の穿刺針4先端が腫瘍6内部に到達したことを把握できるため、カテーテル1から第2の穿刺針4を引き抜くタイミングを認識することができる。もちろん、第1の穿刺針および第2の穿刺針の少なくとも一方に、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する屈曲部を設けるほか、第1の穿刺針および第2の穿刺針の双方に、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する屈曲部を設けてもよい。
【0041】
(実施の形態1の第2の変形例)
次に、実施の形態1の第2の変形例について説明する。実施の形態1の第2の変形例にかかるカテーテルは、第1の穿刺針および第2の穿刺針の軸方向の相対的な動きを係止する係止部を備える。この係止部は、第1の穿刺針2と第2の穿刺針4を軸方向に離間させる所定量以上の力が印加されると係合を解除するものである。実施の形態1の第2の変形例では、このような係止部を設けることによって、臓器表面までの穿刺時における第1の穿刺針と第2の穿刺針との軸方向の位置ずれを防止するとともに、第1の穿刺針の抜き取り処理を円滑化させている。
【0042】
図6は、実施の形態1の第2の変形例にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図6(1)に示すように、本変形例2にかかるカテーテル1bにおいて、係止部は、第1の穿刺針2bにおける第1ストッパ24bと、第2の穿刺針4bにおける第2ストッパ45bによって構成される。
【0043】
第1ストッパ24bおよび第2ストッパ45bには、互いが接触する接触面に凹部がそれぞれ設けられている。さらに、第2の穿刺針4bには、第2ストッパ45bの凹部先端側の壁面に一端が固定されたバネ47が設けられている。このバネ47は、第1ストッパ24b方向(図中上方向)に突出する基本形状を有しており、第1の穿刺針2および第2の穿刺針4の軸方向の相対的な動きを係止する係止部として機能する。
【0044】
カテーテル1と同様に、図6(2)に示すように、第1の穿刺針2b先端が臓器5表面を穿刺した後に、第1の穿刺針2b抜き取りのために、第1の穿刺針2bを矢印Y2のようにカテーテル1の基端方向にスライド移動させる。この場合、第1ストッパ24bの底面24cも矢印Y2のように基端方向側にスライド移動する。これにともない、矢印Y2のようにスライド移動した底面24cによって、バネ47には、図中下方向に押す力が印加される。この下方向に押す力がバネ47の突出する力よりも大きくなるように第1の穿刺針2bがスライド移動した場合には、矢印Y9のようにバネ47が第2ストッパ45bの凹部底部側(図中下方向)に押し込まれるように変形する。この結果、バネ47は第1の穿刺針2および第2の穿刺針4の軸方向の相対的な動きに対する係止を解除することとなり、図6(3)の矢印Y2bのように、第1の穿刺針2bの引き抜きが可能となる。次いで、矢印Y3bのように、第2の穿刺針4b先端が露出している状態、カテーテル1bをさらに臓器5内に挿入すればよい。
【0045】
(実施の形態1の第3の変形例)
次に、実施の形態1の第3の変形例について説明する。図7は、実施の形態1の第3の変形例にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図7に示すように、本変形例3にかかるカテーテル1dは、躯体3dの外側に尖り度合いの低い第2の穿刺針4dを外針として有し、躯体3dのルーメン内に尖り度合いの高い第1の穿刺針2dを内針として有する。
【0046】
カテーテル1dにおいては、第2の穿刺針4先端の傾斜面と傾斜が連続するように、躯体3dの先端開口面31dを斜めにカットしている。この結果、第1の穿刺針2d先端と第2の穿刺針4d先端との間に隙間がなくなるため、カテーテル1の体内への穿刺時において、第1の穿刺針2d先端と第2の穿刺針4d先端との間に組織片等が侵入することを防止することができる。
【0047】
そして、躯体3d内壁と第1の穿刺針2d外表との間に空隙26dが形成されるように、第1の穿刺針2d外表に凹部を設けている。これによって、内針である第1の穿刺針2dを引き抜くときに摩擦で躯体3dが引き抜き方向に引かれて躯体3の径が縮み、第1の穿刺針2dが躯体3dに圧迫されて抜きにくくなるのを軽減することができる。なお、外針である第2の穿刺針4dを抜く場合に摩擦で躯体3dが引き抜き方向に引かれて躯体3dの径が縮んだ場合には、第2の穿刺針4dの内壁から躯体3dの外表が離間することとなるため、第2の穿刺針4dが引き抜きにくくなることはない。
【0048】
なお、最も内側に位置する第1の穿刺針は内部に部材を収容する必要がないため、図8のカテーテル1eに示すように、閉塞した先端21eを有する第1の穿刺針2eを内針として用いることもできる。また、図示していないが、第1の穿刺針として中実構造の穿刺針を用いてもよい。
【0049】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図9は、実施の形態2にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図9は、実施の形態2にかかるカテーテル201の基本構成を示す図であって、第1の穿刺針202および第2の穿刺針204が躯体3に組み付けられた状態を示している。
【0050】
図9に示すように、カテーテル201は、躯体3のルーメン内部に、先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針202の一部、および、先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針204の一部のいずれもが収容された構造を有する。すなわち、カテーテル201においては、躯体3のルーメン内に第2の穿刺針204の一部が収容され、第2の穿刺針204のルーメン内に第1の穿刺針202の一部が収容されている。カテーテル201は、第1の穿刺針202の先端の方が、第2の穿刺針204の先端よりも、カテーテル201の先端側に位置するように、第1の穿刺針202および第2の穿刺針204が躯体3に組み付けられた構成が基本構成となり、さらに、第1の穿刺針202および第2の穿刺針204は、それぞれ引き抜き可能であるため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0051】
また、カテーテル201においては、躯体3のルーメン内壁と、第2の穿刺針204外表とが接触しない空隙246が形成されており、第2の穿刺針204引き抜き時のスライド摩擦を低減している。同様に、カテーテル201においては、第2の穿刺針204のルーメン内壁と、第1の穿刺針202外表とが接触しない空隙226が形成されており、第1の穿刺針202引き抜き時のスライド摩擦を低減している。
【0052】
さらに、カテーテル201においては、躯体3の径よりも第1の穿刺針202の径および第2の穿刺針204の径の方を小さくして、生体組織内に留置される躯体3の内部に、穿刺後に引き抜かれる第1の穿刺針202および第2の穿刺針204を収容している。このため、カテーテル201を穿刺してから各穿刺針が引き抜かれるまでの間、躯体3外表と生体組織とが直接接触した状態を保持するため、実施の形態1と比較して、躯体3と生体組織との密着性を高めることができ、組織の分泌物や腫瘍細胞の漏出等を低減することができる。
【0053】
なお、実施の形態2においては、図10に示すカテーテル201aのように、第1の穿刺針と第2の穿刺針との位置を入れ替えて、躯体3のルーメン内に一部が収容された第1の穿刺針202aのルーメン内に、第2の穿刺針204aの一部が収容される構成とすることもできる。
【0054】
また、カテーテル201においては、第1の穿刺針202a引き抜き時のスライド摩擦を低減するため、第1の穿刺針202aの外側に凹部を設け、第1の穿刺針202aを躯体3に組み付けたときに第1の穿刺針202aの外表と躯体3のルーメン内壁とが接触しない空隙226aが形成されるようにしている。
【0055】
そして、カテーテル201aにおいては、躯体3の内径よりも外径の大きな第1の穿刺針202aの外側に、躯体3を拡張させながら被覆することによって基本構成が形成される。したがって、躯体3は引き伸ばされて肉厚が薄くなっているので、躯体3の内径を外第1の穿刺針202aの外径とを同径とした場合と比べてカテーテル201全体の径を小さくすることができ、生体組織内への穿刺を容易化することができる。さらに、第1の穿刺針202aを引き抜いた場合には、躯体3の引き伸ばしが解消して、躯体3内壁が内側の第2の穿刺針204a外表に接触する。この結果、躯体3内壁と第2の穿刺針204a外表との隙間が解消されるため、躯体3と第2の穿刺針202a先端との間に組織片等が侵入することもない。
【0056】
なお、カテーテル201,201aにおいても、実施の形態1における変形例1,2において説明した屈曲部または係止部をさらに加え、カテーテルの体内への穿刺および各穿刺針の引き抜きを円滑化させてもよい。
【0057】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。図11は、実施の形態3にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図11は、実施の形態3にかかるカテーテル301の基本構成を示す図であって、第1の穿刺針302および第2の穿刺針304が躯体3に組み付けられた状態を示している。
【0058】
図11に示すように、カテーテル301は、躯体3が最も内側に収容された構造を有する。すなわち、カテーテル301においては、先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針302のルーメン内に、先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針304の一部が収容され、第2の穿刺針304のルーメン内に躯体3の一部が収容されている。カテーテル301は、第1の穿刺針302の先端の方が、第2の穿刺針304の先端よりも、カテーテル201の先端側に位置するように、第1の穿刺針302および第2の穿刺針304が躯体3に組み付けられた構成が基本構成となり、さらに、第1の穿刺針302および第2の穿刺針304は、それぞれ引き抜き可能であるため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0059】
このように、本発明にかかるカテーテルは、第1の穿刺針が躯体の軸方向にスライド可能に躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が躯体の先端から突出した位置から躯体の基端に向けてスライドして躯体から分離可能であり、第2の穿刺針が躯体の軸方向にスライド可能に躯体に直接または間接に取り付けられ、第1の穿刺針とは鋭さ及び剛性の少なくとも一方が異なり、先端が躯体の先端から突出した位置から躯体の基端に向けてスライドして躯体から分離可能であればよい。
【0060】
また、躯体3先端は、各穿刺針先端から突出して穿刺を阻害しないように各穿刺針先端よりも基端側に位置させる必要がある。このカテーテル301においては、躯体3を一番内側に配設しているため、躯体3の先端32aを、躯体3外表が直接接触する第2の穿刺針304先端の傾斜が始まる内壁端部まで、先端側にずらすことができる。したがって、カテーテル301においては、実施の形態1,2と比して、躯体3先端を先端側に位置させることができるため、躯体3を長くすることが可能になり、柔軟な設計を実現することができる。
【0061】
また、カテーテル301においては、躯体3の先端32aを、実施の形態1,2の場合よりも先端側に位置させることができるため、実施の形態1,2と比して、最も外側に位置する第1の穿刺針302の先端321aと躯体3の先端32aとの距離Lを短くすることができる。ここで、第1の穿刺針で臓器表面を穿刺する場合には、躯体先端が臓器の皮膜下に位置するまでカテーテル先端を挿入する必要がある。カテーテル301においては、第1の穿刺針302の先端321aと躯体3の先端32aとの距離Lを実施の形態1,2よりも短くできるため、実施の形態1,2よりも、尖り度合いの高い第1の穿刺針302の臓器5内部への挿入度合いを少なくすることができる。
【0062】
(実施の形態3の第1の変形例)
次に、実施の形態3の第1の変形例について説明する。図12は、実施の形態3の変形例1にかかるカテーテルを軸方向に沿って切断した断面図である。図12(1)は、実施の形態3の変形例1にかかるカテーテル301aの基本構成を示している。図12(1)に示すように、カテーテル301aは、カテーテル301と比して、第1の穿刺針と第2の穿刺針との位置を入れ替えた構成を有する。すなわち、カテーテル301aにおいては、先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針304aのルーメン内に、先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針302aの一部が収容され、第1の穿刺針302aのルーメン内に躯体3の一部が収容されている。
【0063】
そして、カテーテル301aにおいては、第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとを互いに連結する連結機構を有している。図13は、図12(1)に示す第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとの分解斜視図である。
【0064】
図12(1)および図13に示すように、最も外側に位置する第2の穿刺針304aには、軸方向に貫通溝348が形成される。この貫通溝348は、第2の穿刺針304aから突出する第1の穿刺針302aの突出部分に応じた距離で軸方向に延伸した後に、周方向に曲げられてから、溝幅が狭い狭隘部348aに接続される。そして、狭隘部348aの周方向側には、略円形の幅大部348bが形成されている。一方、第1の穿刺針302a外表には、外側に向けて突起328が形成されている。この突起328は、貫通溝348を移動可能な幅を持っている。
【0065】
図14(1),(2)は、図12(1),(2)に示された各状態におけるカテーテル301aの斜視図であり、図15は、図14(2)のAA線断面図である。図12(1)および図14(1)に示すように、カテーテル301aの基本構成では、第2の穿刺針304aの貫通溝348の先端側の位置P1に第1の穿刺針302aの突起328が位置する。この結果、第1の穿刺針302aの先端位置が第2の穿刺針304aの先端位置よりも先端側となるように、第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとが位置決めされて連結されることとなる。
【0066】
そして、図12(1)および図14(1)に示すように、第1の穿刺針302aを基端側である矢印Y31の方向に移動させることによって、第2の穿刺針304a先端から突出していた第1の穿刺針302a先端を、第2の穿刺針304aのルーメン内部に収納する。この第1の穿刺針302aの基端側の移動にともない、突起328も、貫通溝348内を矢印Y31aのように基端側に移動する。
【0067】
そして、突起328が貫通溝348の曲げ部に当て付くまで第1の穿刺針302aを基端側に移動させた後、図12(2)および図14(2)に示すように、第1の穿刺針302aを矢印Y32のように周方向に回転させる。この第1の穿刺針302aの回転によって、突起328は、貫通溝348内を図14(2)および図15の矢印Y32aのように周方向に移動し、突起328は狭隘部348aを弾性変形させて越え、幅大部348bに収まる。この突起328が幅大部348bに収まった状態が、図12(2)に示すように、第2の穿刺針304aの先端位置が第1の穿刺針302aの先端位置よりも先端側となるように第1の穿刺針302aの先端21の傾斜部分の全てが第2の穿刺針304aのルーメン内に収容された状態で、第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとを連結する状態となる。なお、突起328の弾性変形によって突起328が狭隘部348aを越えるようにしてもよい。
【0068】
この連結機構として機能する突起328と貫通溝348とは、第1の穿刺針304aの先端位置が第2の穿刺針304aの先端位置よりも先端側となるように第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとを連結する第1の状態と、第2の穿刺針304aの先端位置が第1の穿刺針302aの先端位置よりも先端側となるように第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとを連結する第2の状態の間を遷移することとなる。
【0069】
そして、躯体3の腫瘍内への留置が完了した時点で、第2の穿刺針302aと、第2の穿刺針302aのルーメン内に収容された第1の穿刺針302aとを、図12(2)の矢印Y33のように、2本まとめて同時に引き抜く。
【0070】
このように、カテーテル301aにおいては、第1の穿刺針302aと第2の穿刺針304aとを同時に躯体3から引き抜くことができるため、穿刺針の引き抜き操作を一度で済ませることができることから、カテーテル301aの術者の操作負担を軽減することが可能になる。
【0071】
なお、実施の形態1〜3においては、臓器表面の皮膜穿刺用として、先端の尖り度合いの高い第1の穿刺針2,2a,2b,2e,202,202a,302,302aを採用し、臓器内部や腫瘍への穿刺用として、先端の尖り度合いの低い第2の穿刺針4,4b、4c、4d,204,204a,304,304aを採用した場合を例に説明したが、さらに、第1の穿刺針2,2a,2b,2e,202,202a,302,302aの剛性を、第2の穿刺針4,4b、4c、4d,204,204a,304,304aの剛性よりも高くすることによって、臓器表面の皮膜への穿刺をさらに円滑化させてもよい。
【0072】
もちろん、第1の穿刺針と第2の穿刺針とで、先端の尖り度合いと剛性との双方を変える必要はない。たとえば、図16のカテーテル401に示すように、第1の穿刺針402の先端421と、第2の穿刺針404の先端441の尖り度合いがほぼ同程度となるように設定し、第1の穿刺針402の剛性を第2の穿刺針の剛性よりも高くなるように設定した場合も、臓器表面の皮膜への穿刺および臓器内部や腫瘍への穿刺を円滑化することができる。
【0073】
また、実施の形態1〜3においては、最も内側に位置する穿刺針先端は、円筒形先端を一方向から切り欠いた形状として図示しているが、多方向からそれぞれ切り欠いた形状であってもよい。
【0074】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4においては、先端開口が閉塞した管状の第2の穿刺針先端から、第2の穿刺針先端よりも尖り度合いの高い第1の穿刺針先端を突出させる場合について説明する。
【0075】
図17は、実施の形態4にかかるカテーテルの分解斜視図である。図17に示すように、実施の形態4にかかるカテーテルは、躯体3のルーメン内に、第1の穿刺針502の一部が収容される。第2の穿刺針504は、先端が尖っているとともに、先端開口部が閉塞部材541によって閉塞された管543によって形成されている。この管543の長さは、躯体3の長さよりも長い。図18は、図17に示す第2の穿刺針504の左側面図である。図18に示すように、第2の穿刺針504先端の閉塞部材541には、十字に交差する2本のスリット549が形成されている。このスリット549は、第2の穿刺針504内部と外部とを連通している。
【0076】
そして、第2の穿刺針504の管543内には、第1の穿刺針502の一部が収容される。第1の穿刺針502は、先端に複数のブレード部材522がスリット549に嵌合するように十字型で組みつけられており、組み付けられたブレード部材522の先端521の尖り度合いは第2の穿刺針504先端の尖り度合いよりも高いものとなっている。そして、ブレード部材522基端には、基端側に延伸するワイヤなどの線状部材523が接続されている。この線状部材523は、管543のルーメンの径よりも小さい径である。そして、第1の穿刺針502の先端から基端までの長さは、カテーテル3の先端から基端までの長さよりも長くなるように設定されている。
【0077】
図19は、実施の形態4にかかるカテーテルの斜視図である。まず、実施の形態4にかかるカテーテル501は、図19(1)に示すように、第2の穿刺針504の先端が躯体3先端の開口部から突出するように、躯体3のルーメン内に収容される。第1の穿刺針502は、第2の穿刺針504の基端側から管543内部に挿入される。そして、第1の穿刺針502は、第1の穿刺針502先端のブレード部材522の一部が、第2の穿刺針504先端のスリット549を押し開いて突出するまで、管543内部に挿入される。すなわち、第1の穿刺針502は、第2の穿刺針504のルーメン内に一部が収容された状態で、先端521がスリット549から突出することによって、この先端521が、躯体3先端から突出した位置となる。このように、第1の穿刺針502の先端が、第2の穿刺針504の先端から突出するように、第1の穿刺針502および第2の穿刺針504が躯体3に組み付けられた構成が基本構成となる。
【0078】
第1の穿刺針502の先端521から基端までの長さは、カテーテル3の先端から基端までの長さよりも長くなるように設定されているため、基本構成の状態であっても、第1の穿刺針502の線状部材523基端は、管543から出た状態を保持する。したがって、臓器表面の皮膜穿刺後には、この線状部材523を矢印Y51のように基端側に移動させることによって、図19(2)のように、第1の穿刺針502を第2の穿刺針504内から引き抜く。
【0079】
図20は、図19に示す第2の穿刺針504先端の軸方向の断面図である。この図20に示すように、第2の穿刺針504においては、閉塞部材541は半球状を有し、この半球に十字型の切り込みを入れることでスリット549を形成している。このスリット549は、何も挿入されていない状態では、閉塞部材541の弾性によって閉じた状態を保持する。さらに、この閉塞部材541下面には、管543内を埋め込むように設けられた弾性部材550が形成されている。この弾性部材550にも、スリット549と同位置にスリットが設けられている。このため、図20(1)に示すように、第1の穿刺針502の先端521が突出する場合には、外表側の閉塞部材541のスリット549に加え弾性部材550のスリットにおいてもブレード部材522が挟み込まれて固定されるため、カテーテル501の穿刺時においてもブレード部材522が第2の穿刺針504内部に押し戻されることはない。そして、図20(2)のように、スリット549に何も挿入されていない場合には、弾性部材550のスリットも弾性によって矢印のように閉じるため、スリット549を弾性部材550で確実に塞ぐことができ、第2の穿刺針502の中に組織片等が侵入することを防止することができる。
【0080】
そして、腫瘍までカテーテル501先端を挿入した場合には、管543を矢印Y52のように基端側に移動させることによって、図19(3)のように、第2の穿刺針504を躯体3内から引き抜く。
【0081】
このように、端開口が閉塞した管状の第2の穿刺針先端から、第2の穿刺針先端よりも尖り度合いの高い第1の穿刺針先端を突出させたカテーテル501においても、第1の穿刺針502の先端の方が、第2の穿刺針504の先端よりも、カテーテル501の先端側に位置するように、第1の穿刺針502および第2の穿刺針504が躯体3に組み付けられた構成が基本構成となり、さらに、第1の穿刺針502および第2の穿刺針504は、それぞれ引き抜き可能であるため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0082】
なお、実施の形態4にかかるカテーテルにおいては、第2の穿刺針先端のスリット形状は、第1の穿刺針先端形状と対応させて設定すればよい。たとえば、図21に示すように、第1の穿刺針の先端が尖形状を有する1枚のブレード部材522aによって形成されている場合には、第2の穿刺針の閉塞部材541aには、このブレード部材522aに対応させて図22のように1本のスリット549aを形成して、このスリット549aから第1の穿刺針先端のブレード部材522aが突出できるようにすればよい。
【0083】
なお、第1の穿刺針502は、1本に限らず、先端の尖り度合いをそれぞれ変えた複数のものから、穿刺対象によって適宜選択可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,1a,1b,1d,1e,101,201,201a,301,301a,401,501 カテーテル
2,2a,2b,2d,2e,202,202a,302,302a,402,502 第1の穿刺針
3,3d 躯体
4,4b,4d,204,104,204a,304,304a,404,504 第2の穿刺針
5 臓器
6 腫瘍
22,42 中間部
23,43 基端部
44 突出部
24,24b,45,45b ストッパ
47 バネ
328 突起
348 貫通溝
348a 狭隘部
348b 幅大部
522,522a ブレード部材
523 線状部材
541,541a 閉塞部材
543 管
549,549a スリット
550 弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間を含む哺乳動物の生体組織内に穿刺されるカテーテルであって、
内部にルーメンを有する細長い管状の躯体と、
前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能である第1の穿刺針と、
前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、前記第1の穿刺針とは鋭さおよび剛性の少なくとも一方が異なり、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能な第2の穿刺針と、
を備えたことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記第1の穿刺針および前記第2の穿刺針は、先端が尖った管状をしており、
前記躯体と前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針との各々の中心軸は、略同軸に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1の穿刺針が前記躯体に対し最も先端方向にスライドした場合の前記第1の穿刺針先端の前記躯体先端からの突出長さと、前記第2の穿刺針が前記躯体に対して最も先端方向にスライドした場合の前記第2の穿刺針先端の前記躯体先端からの突出長さとは、それぞれ異なることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記躯体は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容され、
前記第2の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容され、
前記第2の穿刺針は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第2の穿刺針は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容され、
前記躯体は、前記第2の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第1の穿刺針および第2の穿刺針の少なくとも一方は、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第1の穿刺針および第2の穿刺針の軸方向の相対的な動きを係止する係止部を有し、
前記係止部は、第1の穿刺針の先端と第2の穿刺針の先端とを軸方向に離間させる所定量以上の力が印加されると係止を解除することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを互いに連結する連結機構を有し、
前記連結機構は、前記第1の穿刺針の先端位置が前記第2の穿刺針の先端位置よりも先端側となるように前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを連結する第1の状態と、前記第2の穿刺針の先端位置が前記第1の穿刺針の先端位置よりも先端側となるように前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを連結する第2の状態との間を遷移することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記第2の穿刺針は、先端が尖っているとともに先端開口が閉塞した管状をしており、閉塞した先端部分に当該第2の穿刺針内部と外部とを連通するスリットを有し、
前記第1の穿刺針は、
前記第2の穿刺針とは先端の尖り度合いが異なり、前記スリットに嵌合する先端部材と、
基端側に延伸し、前記先端部材と接続する線状部材と、
を有し、
前記第2の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容され、
前記第1の穿刺針は、前記第2の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容された状態で前記先端部材が前記スリットから突出することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記第2の穿刺針における閉塞した先端部分は、外表部材と弾性部材によって形成されており、
前記スリットは、前記スリットに何も挿入されていない状態では前記弾性部材によって塞がれることを特徴とする請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
内部にルーメンを有する細長い管状の躯体を有するカテーテルを、人間を含む哺乳動物の生体組織に挿入するときに用いられるカテーテル挿入器具であって、
前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能である第1の穿刺針と、
前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、前記第1の穿刺針とは鋭さおよび剛性の少なくとも一方が異なり、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能な第2の穿刺針と、
を備えたことを特徴とするカテーテル挿入器具。
【請求項1】
人間を含む哺乳動物の生体組織内に穿刺されるカテーテルであって、
内部にルーメンを有する細長い管状の躯体と、
前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能である第1の穿刺針と、
前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、前記第1の穿刺針とは鋭さおよび剛性の少なくとも一方が異なり、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能な第2の穿刺針と、
を備えたことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記第1の穿刺針および前記第2の穿刺針は、先端が尖った管状をしており、
前記躯体と前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針との各々の中心軸は、略同軸に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記第1の穿刺針が前記躯体に対し最も先端方向にスライドした場合の前記第1の穿刺針先端の前記躯体先端からの突出長さと、前記第2の穿刺針が前記躯体に対して最も先端方向にスライドした場合の前記第2の穿刺針先端の前記躯体先端からの突出長さとは、それぞれ異なることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記躯体は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容され、
前記第2の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記第1の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容され、
前記第2の穿刺針は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記第2の穿刺針は、前記第1の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容され、
前記躯体は、前記第2の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容されていることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記第1の穿刺針および第2の穿刺針の少なくとも一方は、軸方向に所定量以上の力が加わると屈曲する屈曲部を有することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
前記第1の穿刺針および第2の穿刺針の軸方向の相対的な動きを係止する係止部を有し、
前記係止部は、第1の穿刺針の先端と第2の穿刺針の先端とを軸方向に離間させる所定量以上の力が印加されると係止を解除することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを互いに連結する連結機構を有し、
前記連結機構は、前記第1の穿刺針の先端位置が前記第2の穿刺針の先端位置よりも先端側となるように前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを連結する第1の状態と、前記第2の穿刺針の先端位置が前記第1の穿刺針の先端位置よりも先端側となるように前記第1の穿刺針と前記第2の穿刺針とを連結する第2の状態との間を遷移することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記第2の穿刺針は、先端が尖っているとともに先端開口が閉塞した管状をしており、閉塞した先端部分に当該第2の穿刺針内部と外部とを連通するスリットを有し、
前記第1の穿刺針は、
前記第2の穿刺針とは先端の尖り度合いが異なり、前記スリットに嵌合する先端部材と、
基端側に延伸し、前記先端部材と接続する線状部材と、
を有し、
前記第2の穿刺針は、前記躯体のルーメン内に少なくとも一部が収容され、
前記第1の穿刺針は、前記第2の穿刺針のルーメン内に少なくとも一部が収容された状態で前記先端部材が前記スリットから突出することを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
前記第2の穿刺針における閉塞した先端部分は、外表部材と弾性部材によって形成されており、
前記スリットは、前記スリットに何も挿入されていない状態では前記弾性部材によって塞がれることを特徴とする請求項10に記載のカテーテル。
【請求項12】
内部にルーメンを有する細長い管状の躯体を有するカテーテルを、人間を含む哺乳動物の生体組織に挿入するときに用いられるカテーテル挿入器具であって、
前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能である第1の穿刺針と、
前記躯体の軸方向にスライド可能に前記躯体に直接または間接に取り付けられ、前記第1の穿刺針とは鋭さおよび剛性の少なくとも一方が異なり、先端が前記躯体の先端から突出した位置から前記躯体の基端に向けてスライドして前記躯体から分離可能な第2の穿刺針と、
を備えたことを特徴とするカテーテル挿入器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【公開番号】特開2011−147551(P2011−147551A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10355(P2010−10355)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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