説明

カテーテルチューブ

【課題】湿潤時に潤滑性を呈する親水性高分子、または血液や生体組織と接触してもカテーテルチューブとしての機能を損なうことのない効果を持つ血液適合性(生体適合性)に優れる機能性高分子が強固にコーティング(被覆)され、体腔内における潤滑性または血液適合性(生体適合性)に優れたカテーテルチューブの提供。
【解決手段】外層3および内層2からなるカテーテルチューブ1であって、前記外層の外面には、親水性高分子または血液適合性(生体適合性)に優れる機能性高分子がコーティング(被覆)され、さらに、前記外層の形成材料は、前記内層の形成材料よりも前記高分子に対する付着性が高く、かつ、前記外層および内層の形成材料の一方が熱可塑性エラストマーを主成分とする材料、他方が前記熱可塑性エラストマーと相溶性を有する非弾性材料を主成分とする材料からなることを特徴とするカテーテルチューブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外面に、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子がコーティングされたカテーテルチューブに関するものである。
さらに、本発明は、カテーテルチューブ本体と、前記カテーテルチューブ本体の外面にコーティング(被覆)された湿潤時に潤滑性を呈する親水性高分子を備えた表面潤滑層または血液や生体組織と接触してもカテーテルチューブとしての機能を損なうことのない効果を持つ血液適合性または生体適合性に優れる機能高分子を備えた表面血液(生体)適合層を有するカテーテルチューブに関する。
また、本発明は、例えばラピッドエクスチェンジ型のカテーテルチューブなどの、内管の外面が外管の内面および/または外面に固着(融着)された構造を有するカテーテルチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、カテーテルチューブは、血管などの組織損傷を低減させたり、目的部位にアクセスするための操作性を向上させることを目的として、カテーテルチューブの各部分に適した剛性となるようにカテーテルチューブの物性を微妙に調製したりする。
前記物性の調製の方法としては、エラストマー等の比較的柔軟な材料と比較的剛性の高い材料をブレンドした材料を用いることが多く、また、各部分に必要とされる物性(例えば、曲げ剛性、ねじり剛性等)に応じて、前記ブレンドのブレンド比率をカテーテルチューブの各部分で変化させることも行われている。
【0003】
一方、血管等の体腔内への通過性を上げるため、カテーテルチューブのチューブ本体の外面には、湿潤時に潤滑性を呈する親水性高分子をコーティングする方法が使用されている。
また、カテーテルチューブ表面での血小板の粘着・活性化は、カテーテルチューブの機能低下や生体内での血栓の発生等につながるため、血液や生体組織と接触してもカテーテルチューブとしての機能を損なうことがなく、生体に悪影響がないような血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子をコーティングすることが行われている。
【0004】
親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子がコーティングされているカテーテルチューブでは、細く曲がりくねった血管内やガイディングカテーテル内などを進められる際に高い摩擦を受けても前記コーティングが簡単に剥離することがないようにしなければならない。カテーテルチューブ表面からの前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が脱離、剥離、溶出するということは、安全面や効果の持続性において問題があるからである。従って、基材表面で前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が安定的に、容易に剥離することなくチューブ本体外面に固定化されていることが要求される。
【0005】
前記要求に関して、特許文献1では、反応性官能基を分子内に有する親水性高分子と該反応性官能基と反応可能な官能基を有する高分子との混合物を含む高分子溶液を基材表面に含浸させた後、高分子同士を反応させて架橋構造を形成させて不溶化させることによって、基材表面に表面潤滑層を形成した医療用具が開示されている。
特許文献1のような医療用具でもある程度強固に機材に表面潤滑層を固定化することができるが、さらにより強固に固定化できる被覆材料および被覆方法が望まれる。
【0006】
【特許文献1】特開平8−24327
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、適度な物性(例えば、曲げ剛性、ねじり剛性等)に調製されたカテーテルチューブであって、かつ前記のカテーテルチューブ基材表面に、湿潤時に潤滑性を呈する親水性高分子、または血液や生体組織と接触してもカテーテルチューブとしての機能を損なうことのない効果をもつ血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能高分子が多量かつ強固にコーティング(被覆)され、体腔内における潤滑性、または血液適合性若しくは生体適合性に優れたカテーテルチューブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、下記(1)〜(29)の本発明により解決される。
(1)外層および内層の二層からなるカテーテルチューブであって、
前記外層の外面には、親水性高分子がコーティングされており、
前記外層の形成材料は、前記内層の形成材料よりも前記親水性高分子に対する付着性が高く、かつ、
前記外層および内層の形成材料の一方が熱可塑性エラストマーを主成分とする材料、他方が前記熱可塑性エラストマーと相溶性を有する非弾性材料を主成分とする材料であることを特徴とするカテーテルチューブ。
(2)外層および内層の二層からなるカテーテルチューブであって、
前記外層の外面には、血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子がコーティングされており、
前記外層の形成材料は、前記内層の形成材料よりも前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子に対する付着性が高く、かつ、
前記外層および内層の形成材料の一方が熱可塑性エラストマーを主成分とする材料、他方が前記熱可塑性エラストマーと相溶性を有する非弾性材料を主成分とする材料であることを特徴とするカテーテルチューブ。
(3)前記外層の形成材料は、前記内層の形成材料よりも、
前記親水性高分子の溶媒に対する膨潤性が高いものであることを特徴とする上記(1)のカテーテルチューブ。
(4)前記外層の形成材料は、前記内層の形成材料よりも、
前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子の溶媒に対する膨潤性が高いものであることを特徴とする上記(2)のカテーテルチューブ。
(5)前記親水性高分子が前記外層を形成する材料と水素結合可能な官能基を有することを特徴とする上記(1)または(3)のカテーテルチューブ。
(6)前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子が前記外層を形成する材料と水素結合可能な官能基を有することを特徴とする上記(2)または(4)のカテーテルチューブ。
(7)前記外層および内層を形成する材料の一方がナイロン、他方がナイロンエラストマーであり、
前記親水性高分子が、分子内に、前記外層の形成材料が分子内に有する高次構造と同じ高次構造を有することを特徴とする上記(1)、(3)または(5)のいずれかのカテーテルチューブ。
(8)前記外層および内層を形成する材料の一方がポリエステル、他方がポリエステルエラストマーであり、
前記親水性高分子が、分子内に、前記外層の形成材料が分子内に有する高次構造と同じ高次構造を有することを特徴とする上記(1)、(3)または(5)のいずれかのカテーテルチューブ。
(9)前記外層および内層を形成する材料の一方がナイロン、他方がナイロンエラストマーであり、
前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子が、分子内に、前記外層の形成材料が分子内に有する高次構造と同じ高次構造を有することを特徴とする上記(2)、(4)または(6)のいずれかのカテーテルチューブ。
(10)前記外層および内層を形成する材料の一方がポリエステル、他方がポリエステルエラストマーであり、
前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子が、分子内に、前記外層の形成材料が分子内に有する高次構造と同じ高次構造を有することを特徴とする上記(2)、(4)または(6)のいずれかのカテーテルチューブ。
(11)前記水素結合可能な官能基がエステル結合またはアミド結合であることを特徴とする上記(5)または(6)のカテーテルチューブ。
(12)前記高次構造が直鎖アルキル基であることを特徴とする上記(7)〜(10)のいずれかのカテーテルチューブ。
(13)前記直鎖アルキル基の炭素数が4以上であることを特徴とする上記(12)のカテーテルチューブ。
(14)前記直鎖アルキル基の炭素数が8以上であることを特徴とする上記(12)のカテーテルチューブ。
(15)外管と前記外管の少なくとも先端部を挿通する内管とを備えた前記カテーテルチューブであって、前記外管が上記(1)〜(14)のいずれかのカテーテルチューブであることを特徴とするカテーテルチューブ。
(16)前記外管の前記内層内面の少なくとも一部と前記内管の外面の少なくとも一部のうち少なくとも一方が接着性ポリマーを含有していることを特徴とする上記(15)のカテーテルチューブ。
(17)さらに、前記外管の前記外層外面の少なくとも一部が接着性ポリマーを含有していることを特徴とする上記(16)のカテーテルチューブ。
(18)前記外管の前記内層内面の少なくとも一部と前記内管の外面の少なくとも一部とが融着していることを特徴とする上記(15)または(16)のカテーテルチューブ。
(19)さらに、前記外管の前記外層外面の少なくとも一部と前記内管の外面の少なくとも一部とが融着していることを特徴とする上記(18)のカテーテルチューブ。
(20)前記外管の前記内層内面と前記内管の外面の間の少なくとも一部に中間接着層を有していることを特徴とする上記(15)のカテーテルチューブ。
(21)さらに、前記外管の前記外層外面と前記内管の外面の間の少なくとも一部に中間接着層を有していることを特徴とする上記(20)のカテーテルチューブ。
(22)前記内管の内面が低摩擦性材料で形成されていることを特徴とする上記(15)〜(21)のいずれかのカテーテルチューブ。
(23)前記低摩擦性材料がポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする上記(22)のカテーテルチューブ。
(24)前記内管の外面が、前記低摩擦性材料および前記外管の前記内層のうち少なくとも一方と相溶性のある材料で形成されている上記(22)または(23)に記載のカテーテルチューブ。
(25)さらに、前記内管の外面が前記外管の前記外層と相溶性のある材料で形成されている上記(24)に記載のカテーテルチューブ。
(26)前記カテーテルチューブは、先端部が前記内管の先端部に固着され、基端部が前記外管の先端部に固着されている拡張体を備える上記(15)〜(25)のいずれかのカテーテルチューブ。
(27)前記拡張体は、ナイロンまたはナイロンエラストマーを主成分とする材料で形成されていることを特徴とする上記(26)のカテーテルチューブ。
(28)前記拡張体の先端部および基端部の少なくとも一方は、前記内管または前記外管に対し融着されている上記(26)または(27)のカテーテルチューブ。
(29)前記拡張体の外表面に装着されたステントをさらに含むことを特徴とする上記(26)〜(28)のいずれかのカテーテルチューブ。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、カテーテルチューブ表面へ親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子を多量かつ強固に固定することができ、付着性(耐剥離性)を高めることができ、体腔内における潤滑性、または血液適合性または生体適合性に優れ、耐久性にも優れたカテーテルチューブを提供できる。
さらに、前記潤滑性等の向上と相俟って、体腔内への挿入性、押し込み性、トルク伝達性等に優れたカテーテルチューブを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明のカテーテルチューブは、外層および内層の二層からなるカテーテルチューブであって、前記外層の外面には、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子がコーティングされており、前記外層の形成材料は、前記内層の形成材料よりも前記親水性高分子または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子に対する付着性が高く、かつ、前記外層および内層の形成材料の一方が熱可塑性エラストマーを主成分とする材料、他方が前記熱可塑性エラストマーと相溶性を有する非弾性材料を主成分とする材料であることを特徴とするカテーテルチューブである。
【0011】
本発明のカテーテルチューブを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて説明するが、本発明のカテーテルチューブは、これに限定されない。
図1は、本発明のカテーテルチューブをバルーンカテーテルに適用した一例を示す断面図である。図1に示すバルーンカテーテル1において、本発明のカテーテルチューブは、外管3に使用されているチューブであり、外層3aおよび内層3bの二層構造からなり、外層3aの外面に、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子がコーティング(被覆)された被覆層4を有する。
図2は、図1に示したバルーンカテーテルをA−Aの部分で切断した断面図である。
図1に示すとおり、バルーンカテーテル1は、内管2、外管3および被覆層4からなるカテーテルチューブと拡張体(バルーン)5により構成されている。
なお、図の上側を先端部、下側を基端部とする。
内管2は、先端が開口した第一のルーメン21を有している。第一のルーメン21は、ガイドワイヤー(図示せず)を挿通するためのルーメンである。外管3は、内部に内管2を挿通し、先端が内管2の先端よりやや後退した位置に設けられている。
この外管3の内面と内管2の外面により第2のルーメン31が形成されている。第2のルーメン31は、その先端が後述する拡張体(バルーン)5の基端部5bと連通し、拡張体(バルーン)5を膨張させるための液体(例えば血管造影剤など含有する)が流入される。そして、外管3の先端部は、第2のルーメン31を閉塞しない状態で、内管2に固定されている。
具体的には、図2に示すように外管3の先端の一部と内管2の外面の一部で固着され(固着部位6)、固着されていない部位6aにより第2のルーメン31と拡張体(バルーン)5の内部とが連通している。
【0012】
外管3の内面と内管2の外面を固着させる方法としては、接着により固着する方法と、熱融着により固着する方法とがあるが、熱融着後に熱的加工により細径化が容易なことと、柔軟性が得られやすい点で熱融着が好ましい。
【0013】
拡張体(バルーン)5は、その基端部5bが外管3の先端部に固着され、先端部5aは内管2の先端部に固着され、拡張体(バルーン)5の内面と内管2の外面との間に拡張空間51を形成し、拡張空間51の基端部5bでは固定されていない部分6aを介して第2のルーメン31と連通している。
【0014】
本発明で用いられる外管3の外層3aおよび内層3bの形成材料について、以下に説明する。
前記外管3の外層3aの形成材料は、前記内層3bの形成材料よりも前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子に対する付着性が高く、かつ、一方が熱可塑性エラストマーを主成分とする材料、他方が前記熱可塑性エラストマーと相溶性を有する非弾性材料を主成分とする材料の組み合わせからなる。
前記形成材料にすれば、外管3の外層3aと前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子の付着性を高くすることができ、互いを強固に固定することができる。
なお、前記主成分とは、外管3の外層3a、内層3bの各々を形成する材料全体の少なくとも55wt%以上、好ましくは材料全体の80wt%以上、より好ましくは90wt%以上を前記非弾性材料および熱可塑性エラストマーが占めることを意味する。
【0015】
また、前記外管3の外層3aと内層3bの形成材料の組合せは、一方の材料として非弾性材料を主成分とする材料で形成し、他方を熱可塑性エラストマーを主成分とする材料で形成するため、カテーテルチューブ全体の物性(剛性)を適度なものとすることもできる。
また、少なくとも2つの異なる材料を用いて外管3の外層3aおよび内層3bを形成するため、各材料の硬度、曲げ弾性率等の物理的特性を考慮しながら、これら2つの材料を選定し、外管3の外層3aおよび内層3bの肉厚および肉厚比を適宜調節すれば、所望の物性をもつカテーテルチューブを作製できる。従って、体腔内への挿入性、押し込み性、トルク伝達性等に優れたカテーテルチューブを提供することができる。
【0016】
前記非弾性材料と熱可塑性エラストマーの組合せとしては、具体的に、ナイロンとナイロンエラストマー、ポリエステルとポリエステルエラストマー等が挙げられる。
【0017】
また、前記外管3の外層3aの形成材料は、内層3bの形成材料よりも、前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子の溶媒に対する膨潤性が高い材料ほど好ましい。溶媒膨潤性が高い材料ほど、前記付着性が高くなり、前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が外層3bにより強固に含浸・固定されやすいからである。
なお、前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子溶媒の具体例については、後述してある。
前記形成材料の中でも、外管3の外層3aと内層3bの形成材料の組合せが、ポリエステルおよびポリエステルエラストマーである場合、一般にポリエステルエラストマーは、ポリエステルよりも前記溶媒膨潤性が高いため、これらの組合せとする場合は、ポリエステルエラストマーを外層とする方が好ましい。
【0018】
前記ナイロンとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46のような脂肪族ナイロンや、これらの脂肪族ナイロン同士の共重合体が挙げられる。
前記ナイロンエラストマーとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12のようなナイロンをハードセグメントとし、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリエーテル、ポリエステル等のポリマーをソフトセグメントとするブロック共重合体が代表的であるが、その他、前記ナイロンと柔軟性に富む樹脂とのポリマーアロイ(ポリマーブレンド、グラフト重合、ランダム重合等)や、前記したナイロンを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。
【0019】
前記ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)等が挙げられる。
前記ポリエステルエラストマーとしては、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラートのような飽和ポリエステルをハードセグメントとし、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)などのポリエーテルまたはポリエステル等のポリマーをソフトセグメントとするブロック共重合体が代表的であるが、その他、これらのポリマーアロイや前記飽和ポリエステルを可塑剤等で軟質化したもの、さらには、これらの混合物をも含む概念である。
【0020】
また、被覆層4を形成する前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子は、その分子内に、前記外管3の外層3aを形成する材料が分子内に有する高次構造と同じ高次構造を含むものが好ましい。
【0021】
前記高次構造は、外管3の外層3aと前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が互いに相互作用するものである限り特に限定されないが、直鎖アルキル基が好ましく例示される。
なお、前記高次構造に対応する部分の前記直鎖アルキル基は、当該直鎖部分に隣接して、分岐アルキル基等他の化学構造が結合していてもよい。
外管3の外層3aと前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子の高次構造が直鎖のアルキル基である場合、直鎖のアルキル基がなすジグザグ構造が互いにはまり込むといった高次構造間の相互作用により、外層3aの形成材料の高分子と前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が互いに引き付けられ、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子を外層3aの外面に強固に固定することができる。
従って、前記外管3の外層3a外面に親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子を強固に固定することができる。
なお、外管3の外層3aの形成材料が膨潤性に多少劣る材料であっても前記相互作用により、前記外管3の外層3aと親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子を強固に固定することが可能である。
【0022】
前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子の高次構造をなす直鎖アルキル基の炭素数が4個以上、より好ましくは、8個以上であれば、外管3の外層3aとの相互作用(アンカリング効果)が十分見込めると考えられる。
【0023】
例えば、外管3の外層3aを形成する材料がナイロン12であれば、その分子中に炭素数11個の直鎖アルキル基を持っているので、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子は、その分子中に、外層3aと同数の炭素数11個の直鎖アルキル基を含む高次構造を持っていれば良いことになるが、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子の高次構造をなす直鎖アルキル基は必ずしも外層3aの高次構造をなす直鎖アルキル基の炭素数が同数でなくてもよい。具体的には、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子の高次構造をなす直鎖アルキル基に含まれる炭素数が、外管3の外層3aの高次構造に含まれる炭素数と同じか、または、より少なければよい。
従って、外管3の外層3aがナイロン12の場合は、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子の高次構造が炭素数11個以下の直鎖アルキル基であればよい。
同様に、外管3の外層3aがナイロン11である場合は、分子中に炭素数10個の直鎖のアルキル基を含む高次構造を持っているため、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子の高次構造に含まれる直鎖のアルキル基の炭素数が10個以下であればよい。
同様に、外管3の外層3aがナイロン610である場合は、分子中に炭素数9個の直鎖アルキル基を含む高次構造を持っているため、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子の高次構造に含まれる直鎖のアルキル基の炭素数が9個以下であればよい。
また、外管3の外層がナイロン6の場合は、分子中に炭素数5個の直鎖のアルキル基が高次構造に存在するため、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が炭素数5個または4個の直鎖のアルキル基を有するアクリル酸エステル、アクリルアミド系高分子等であれば、これらの5個または4個の直鎖アルキル基が相互作用し、付着性が良好となる。
また、外管3の外層3aがポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラートをハードセグメントとし、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)をソフトセグメントとするポリエステルエラストマーである場合は、分子中に炭素数が4個の直鎖アルキル基が存在するため、炭素数4個の直鎖アルキル基を含む親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子であれば、付着性が良好となる。
【0024】
前記親水性高分子とは、生理食塩水に浸漬した際の吸水率が1wt%以上の高分子化合物を意味する。
湿潤時にカテーテルチューブ表面に発現する潤滑性は、前記親水性高分子が生理食塩水、緩衝液、血液などの水系溶媒を吸水することによって起こる。すなわち、カテーテルチューブ表面に存在する水が、血管壁と接触した界面で流体潤滑による潤滑機能を発現することによって起こると考えられる。従って、本発明における前記親水性高分子は、カテーテルチューブを使用する温度(通常30〜40℃)領域における吸水率が100wt%以上であることが、表面潤滑性を発現する上で好ましい。
【0025】
前記親水性高分子は、具体的には、例えば、アクリルアミドやその誘導体、ビニルピロリドン、アクリル酸やメタクリル酸及びそれらの誘導体といった水溶性の単量体(前記水系溶媒を吸水する単量体)を構成成分として含む重合体を有する高分子化合物である。
前記水溶性の単量体の具体例としては、例えば、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、ビニルピロリドン、2−クロいるオキシエチルフォスフォリルコリン、2−メタクリロイルオキシエチル−D−グリコシド、2−メタクリロイルオキシエチル−D−マンノシド、ビニルメチルエーテルなどが挙げられる。
上記した水溶性の単量体を構成成分として含む重合体において、前記水溶性の単量体に由来する部位が、湿潤時に表面潤滑性を発現する。
【0026】
前記親水性高分子は、その分子内における高次構造の個数と、湿潤時に潤滑性を発現する部位の個数と、の割合が、1:1〜1:50であればよい。前記比率であれば、前記親水性高分子と外管3の外層3aを強固に固定することができ、また湿潤時にカテーテルチューブ表面の潤滑性を良好に呈することができるからである。なお、前記比率の中でも、1:10〜1:40であればより好ましく、1:20〜1:30であればさらに好ましい。
【0027】
高次構造を有する親水性高分子の製造方法としては、高次構造を含む単量体と水溶性の単量体とを共重合させればよい。
具体的には例えば、分子内に、直鎖アルキル基と、前記直鎖アルキル基の両末端に結合するパーオキサイド基と、を有するポリ酸化物と、前記水溶性の単量体と、を共重合させる方法が挙げられる。
【0028】
前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子とは、血液や生体組織と接触してもカテーテルチューブとしての機能を損なうことのない高分子化合物を意味する。
【0029】
前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子は、具体的には、例えば、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリルアミド、およびこれらの第四級アンモニウム塩のような誘導体といった単量体を構成成分として含む重合体を有する高分子化合物である。
上記したアルコキシアルキル(メタ)アクリレート等の単量体を構成成分として含む重合体において、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート等に由来する部位が血液適合性または生体適合性を発現する。
【0030】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、プロポキシメチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシプロピル(メタ)アクリレート、プロポキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。中でも、経済性および操作性の点から、メトキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、特に、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0031】
アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノイソプロピル(メタ)アクリレート、アミノノルマルブチル(メタ)アクリレート、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノイソブチル(メタ)アクリレート、N−イソプロピルアミノメチル (メタ) アクリレート、N−イソプロピルアミノエチル (メタ) アクリレート、N−ノルマルブチルアミノエチル (メタ) アクリレート、N−ターシャリブチルアミノエチル (メタ) アクリレート、N, N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N, N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N, N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N, N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N, N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N, N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N, N−ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N, N−ジアミノブチルプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0032】
アミノアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、具体的には、例えば、アミノメチル(メタ)アクリルアミド、アミノエチル(メタ)アクリルアミド、アミノイソプロピル(メタ)アクリルアミド、アミノノルマルブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチルアミノイソブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ノルマルブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−ターシャリブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−ブチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N, N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N, N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアミノブチルプロピル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0033】
前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子は、その分子内における高次構造の個数と、血液適合性または生体適合性を発現する部位の個数と、の割合が、1:1〜1:50であればよい。前記比率であれば、前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子と外管3の外層を強固に固定することができ、また血液適合性または生体適合性を良好にすることができるからである。なお、前記比率の中でも、1:10〜1:40であれば、より好ましく、1:20〜1:30であれば、さらに好ましい。
【0034】
高次構造を有する血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子の製造方法としては、高次構造を含む単量体と血液適合性または生体適合性に優れる単量体とを共重合させればよい。
具体的には例えば、分子内に、直鎖アルキル基と、前記直鎖アルキル基の両末端に結合するパーオキサイド基を有するポリ酸化物と、血液適合性または生体適合性に優れる単量体と、を共重合させる方法が挙げられる。
【0035】
前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が分子内に外管3の外層3aの形成材料と水素結合可能な官能基および構造を有する場合、前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子と前記外管3の外層3aの間に水素結合を形成することにより、親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子と外管3の外層3aをより強固に固定することができる。
なお、前記水素結合可能な官能基および構造は、特に限定されないが、アミド結合、エステル結合であることが好ましい。
前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が分子内に外管3の外層3aの形成材料と水素結合可能な官能基および構造を高次構造の末端に有する場合であれば、さらに好ましい。
具体的には、外管3の外層3aが、アミド基を有するナイロンまたはナイロンエラストマーである場合は、エステル結合を有する親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が好ましく、エステル基を有するポリエステルまたはポリエステルエラストマーである場合は、アミド結合を有する親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が好ましい。
【0036】
前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子は、高次構造、および特定の機能(表面潤滑性、血液適合性若しくは生体適合性)を発現する部位以外の構造を含んでいてもよい。
前記構造の具体例としては、前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子と抗血栓剤、抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質、インシュリン等の生理活性物質を一緒にコーティング(被覆)をする際、前記生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基が挙げられる(前記生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基を有する親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子)。前記生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基の具体例としては、エポキシ基、酸クロリド基、アルデヒド基等が挙げられる。
【0037】
なお、前記生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基を有する親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子とは、前記生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基を含む単量体を構成成分として含む重合体を有する高分子化合物のことである。
前記生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基を含む単量体としては、グリシジルアクリレートやグリシジルメタクリレートなどの反応性複素環を分子内に有する単量体、アクリル酸クロリドやメタクリル酸クロリドなどの酸クロリドを分子内に有する単量体、アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基を分子内に有する単量体などを例示できる。
好ましい前記生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基を含む単量体としては、前記官能基がエポキシ基であり、反応が熱より促進され、取り扱いも比較的容易であるグリシジルアクリレート若しくはグリシジルメタクリレートが挙げられる。
【0038】
前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子が、前記高次構造および前記生理活性物質のアクセプターとして機能する官能基を有している場合、前記生理活性物質のアクセプターとして機能する官能基の個数が、高次構造と、親水性官能基または血液適合性官能基の個数と、の合計に対して、50%以下であることが好ましく、30%以下であればより好ましく、10%以下であれば更に好ましい。
【0039】
前記高次構造および前記生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基を有する親水性高分子の製造方法としては、高次構造を含む単量体と、生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基を有する単量体と、水溶性の単量体と、を共重合させればよい。
具体的には例えば、分子内に、直鎖アルキル基と、前記直鎖アルキル基の両末端に結合するパーオキサイド基と、グリシジル(メタ)アクリレートと、を有するポリ酸化物と、前記水溶性の単量体と、を共重合させる方法が挙げられる。
【0040】
前記親水性高分子、または血液適合性若しくは生体適合性に優れる機能性高分子を外管3の外層3aにコーティング(被覆)する際に使用する溶媒としては、コーティング(被覆)を支障なく行うことができ、各官能基の機能を損なうことが無ければ、特に限定されるものではないが、例えば、メチル・エチル・ケトン、アセトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、アルコール類、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
【0041】
本発明で用いられる内管2の形成材料において、その内面の材料としては、その内面が、ガイドワイヤーの潤滑性を高めるために、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンあるいは直鎖低密度ポリエチレン等のポリエチレンやポリプロピレン、フッ素系樹脂などの低摩擦性材料を用いることが好ましい。その中でも、より好ましくはポリエチレンであり、さらに好ましくは高密度ポリエチレンである。
【0042】
しかしながら、外管3の内層3bの材料として、ナイロン、ナイロンエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマーを用いる場合、これら材料と内管2の形成材料が相溶性がないため融着させることができない。
従って、内管2の外面と外管3の内層3b内面は、互いに相溶性を有する材料で形成する必要がある。具体的には、いわゆる接着性ポリマーを内管2の外面の少なくとも一部と外管3の内層3b内面の少なくとも一部のうち少なくとも一方の形成材料に含有させる。または、前記接着ポリマーを外管3および内管2に含有させる代りに、前記接着性ポリマーを有する中間接着層(図示せず)を内管2と外管3の間に設けてもよい。さらには、内管2を、低摩擦性材料からなる内層−中間接着層−外管内層と相溶性のある材料からなる外層の3層構造としてもよい。
【0043】
前記接着性ポリマーとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィンに、マレイン酸、フマル酸、ケイヒ酸、クロトン酸、リノール酸等の不飽和カルボン酸などの官能基を有する単量体を共重合させた変性ポリオレフィンが好適である。その他接着性ポリマーの例としては、酸機能化エチルビニルアセテート樹脂、酸機能化エチレンアクリレートポリマー、無水機能化エチルビニルアセテートコポリマー、酸及びアクリレート機能化エチルビニルアセテート樹脂、無水機能化エチルビニルアセテートコポリマー、および無水機能化エチルビニルアセテート樹脂が挙げられる。
また、内管2の外面として、外管3の内層3bの少なくとも一部の形成材料と同じ材料、若しくは前記形成材料を一成分とするコポリマー[例えば外管3の内層3bがナイロンで形成される場合、内管2の外層の形成材料として、ナイロン若しくはナイロンを一成分(例えばハードセグメント)とするコポリマー(ブロックコポリマー)]を前記接着性ポリマーとブレンドしたものを用いてもよい。このようなブレンドをすることにより、互いに融着される層を形成する材料の相溶性が向上する。
【0044】
本発明で用いられる拡張体(バルーン)5の形成材料は、特に限定されないが、外管3の形成材料と相溶性のあるものを主成分とする材料で形成されていることが好ましい。相溶性のある材料であれば、熱融着させることが容易であるからである。前記拡張体(バルーン)5の材料が相溶性のないものであれば、材料に前記接着性ポリマーを含有させることが好ましい。
【0045】
拡張体(バルーン)5には、ステント(図示せず)を装着させることができる。ステント(図示せず)が装着される場合には、拡張体(バルーン)5が折り畳まれた状態でほぼ同一径の胴部に装着され、拡張体(バルーン)5の拡張力によりステントが拡張される。なお、このようなステントを装着したカテーテルチューブも本発明により保護される。
前記ステントとしては、コイル状のステント、網状のステント、管状体のステント(例えば、中空管状体の側面に多数細孔を設けたもの)等が含まれる。
また、前記ステントの材料は、自己拡張型ステントの場合、例えば、ステンレス鋼、Ni−Ti系合金、Cu−Zn系合金、Ni−Al系合金等の擬弾性金属、タングステン、タングステン合金、チタン、チタン合金、タンタル等の各種金属が挙げられ、形状が復元できることが必要である。これを満たすことを条件に、ポリアミド、ポリイミド、超高分子量または高分子量のポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、フッ素系樹脂等の比較的高剛性の高分子材料を適宜組み合わせてもよい。
【0046】
また、本発明のカテーテルチューブの形成材料は、本発明の機能を損なわない範囲であれば、その他添加剤を含有してもよい。
前記添加剤としては、例えば、生体に害を及ぼさない顔料、染料、X線造影剤(硫酸バリウム、タングステン、酸化ビスマス等)、耐熱安定剤、前記生理活性物質、補強剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、粘度好物、チタン酸カリウム繊維等)、充填材(カーボンブラック、シリカ、アルミナ、酸化チタン、金属粉、木粉、籾殻等)、耐熱安定剤、酸化劣化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤等を挙げることができる。
【0047】
以上、本発明によるカテーテルチューブを適用したバルーンカテーテル1を添付図面に基づいて説明したが、これらは本発明のカテーテルチューブを適用した一例を示したに過ぎず、従って、本発明のカテーテルチューブは、その長さ、管壁の厚さ、形状等は特に限定されず、使用目的によって、適宜選択することができる。
【0048】
例えば、特開2005−278684号に記載されているようなラピッドエクスチェンジ型のカテーテルでもよい。この場合、内管2の外面の少なくとも一部と外管3の外層3a内面の少なくとも一部が固着(融着)しているのに加えて、外管3の外面の少なくとも一部が固着(融着)してもよい。
また、前記外管3の外層3aと前記内管2の形成材料に相溶性があれば、外管3の内層3b内面の少なくとも一部と内管の外面の少なくとも一部を熱融着できるのに加えて、外管3の外層3a外面の少なくとも一部と内管2の外面の少なくとも一部とを熱融着することができる。しかしながら、相溶性がない場合は、前記接着ポリマーを外管3の内層3b内面の少なくとも一部と内管2の外面の少なくとも一部のうち少なくとも一方の形成材料に含有させ、さらに、前記外管3の前記外層3a外面の少なくとも一部に前記接着性ポリマーを含有させる。または、前記接着ポリマーを外管3および内管2に含有させる代りに、前記接着性ポリマーを有する中間接着層(図示せず)を内管2と外管3の間に設けてもよい。
【0049】
また、本発明のカテーテルチューブ(図1の外管3)は、単管カテーテルでもよい。
前記単管のカテーテルとしては、特に限定されず、例えば、ガイディングカテーテル、造影用カテーテル、PTCA用、PTA用、IABP用等の各種バルーンカテーテル、超音波カテーテル、アテレクトミーカテーテル、内視鏡用カテーテル、留置カテーテル、薬液投与用カテーテル、マイクロカテーテル等の種々のカテーテルやイントロデューサーシース等に適用することができる。
前記ガイディングカテーテルは、外径が1.0〜3.5mm、好ましくは1.5〜3.0mmであり、長さが50〜130cm、好ましくは80〜100cmである。
前記マイクロカテーテルは、外径が0.3〜1.5mm、好ましくは0.7〜1.0mmであり、長さが50〜200cm、好ましくは80〜150cmである。
前記イントロデューサーシースは、外径が1.0〜4.0mm、好ましくは2.0〜3.0mmであり、長さが50〜300mm、好ましくは100〜150mmである。
【実施例】
【0050】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
<炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子の調製>
セバシン酸2塩化物72.3gに50℃でトリエチレングリコール29.7gを滴下した後、50℃で3時間塩酸を減圧除去して得られたオリゴエステル22.5gにメチル・エチル・ケトン4.5gを加え水酸化ナトリウム5g、31%過酸化水素6.93g、界面活性剤ジオクチルフォスフェート0.44g、水120gよりなる溶液に滴下し、−5℃で20分間反応させた。
反応生成物を水洗、メタノール洗浄を繰り返した後、乾燥させて分子内に炭素数8の直鎖アルキル基と、前記アルキル基の両末端に結合するパーオキサイド基と、を有するポリ過酸化物を得た。このポリ過酸化物を開始剤として0.5g、グリシジルメタクリレート(GMA)9.5gを、ベンゼン30gを溶媒として、80℃、2時間減圧下で撹拌しながら重合した。
反応生成物は貧溶媒をジエチルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製し、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリグリシジルメタアクリレート(PPO−GMA)を得た。続いてPPO−GMA1.0gをジメチルアクリルアミド9.0g、溶媒としてジメチルスルホキシド90gを仕込み、減圧で密閉にした後、80℃に加熱して18時間重合反応を行った。
反応後、貧溶媒をジエチルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製し、炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[ジメチルアクリルアミド(DMAA)−グリシジルメタクリレート(GMA)のブロック共重合体 P(DMAA−b−GMA)]を得た。本ポリマーはNMRおよびIR測定により、化1に示す構造が特定された。
【0052】
【化1】

化1に示す構造において、DMAAが湿潤時に潤滑性を発現する部位であり、炭素数8の直鎖のアルキル基が高次構造であり、前記アルキル基の両末端に形成されたエステル結合がチューブ基材(外層)の形成材料(例えば、アミド結合)と水素結合可能な官能基である。GMAのエポキシ基は、生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基である。
【0053】
<炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子がコーティング(被覆)された単層チューブの摺動性および耐剥離性の評価>
[実施例1]
ナイロン12(エムス・ジャパン株式会社製、グリルアミドL16グレード)を定法により押出成形し、外径1.0mm、内径0.7mmの単層チューブを作製した。
前記単層チューブを、前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]2.5重量部とテトラヒドロフラン97.5重量部に溶解したコーティング溶液中に5秒浸漬し、単層チューブの一端側から3000mm/分の速度で前記溶液中から引き上げたあと、80℃で60分間乾燥し、外面に前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]がコーティング(被覆)された単層チューブを得た。
前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]がコーティング(被覆)された単層チューブ並びに、その比較である前記炭素数8のアルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子がコーティング(被覆)されていない単層チューブ10を用いて、摺動性試験、耐剥離性の評価および膨潤率の測定を行った。
【0054】
(摺動性の試験方法)
図3に示すように、摺動抵抗測定治具7の弁体8の上側に水9を入れ、この弁体8内に単層チューブ10を挿入し、オートグラフを用いて、以下の条件で繰り返し50回摺動させたときの摺動抵抗値を測定した。
・ストローク:20mm
・スピード:500mm/min
・保持芯金:スタイレットφ0.38
・弁体:シリコン板(ダウコーニングQ7−4735 厚さ1.3mm)に24Gの針で穴を開けたもの
摺動性(表面潤滑性)の指標としては、50回試験後の摺動抵抗値、また潤滑性の持続的指標として下記式を用いて摺動抵抗値の変化(Δ摺動抵抗値)を計算した。
Δ摺動抵抗値 = (最終摺動抵抗値) − (初期摺動抵抗値)
【0055】
(耐剥離性の評価方法)
前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]でコーティング(被覆)された層を触感による剥がれ状態で評価した。
【0056】
(膨潤率の測定方法)
前記単層チューブ10を20mm×30mm×0.2mmのシートに切断して(この時の重量をWoとする)基材とし、溶媒(テトラヒドロフラン)25mlに浸漬させた。浸漬後、即座に表面に存在する溶媒を拭き取り、重量変化(ΔW)を算出し、数1に基づいて膨潤率を算出した。
【0057】
【数1】

【0058】
[実施例2]
ナイロン11(アトケム株式会社製、BESV O A FDAグレード)を実施例1と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。
【0059】
[実施例3]
ナイロンエラストマー(エムス・ジャパン株式会社製、グリルアミドELY2694グレード)を実施例1と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。なお、上記ナイロンエラストマーの構造は、ソフトセグメントが炭素数4の直鎖アルキル基を有するPTMG、ハードセグメントがナイロン12となっている。
【0060】
[比較例1]
ポリプロピレン(三井石油工業株式会社製、ハイポールF401グレード)を実施例1と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。
【0061】
[比較例2]
ポリエチレン(日本ポリケム株式会社製、三菱ポリエチ−HD HY540グレード)を実施例1と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。
【0062】
[比較例3]
変性ポリエチレン(三菱化学株式会社製、モディックM512VFグレード)を実施例1と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。
【0063】
単層チューブ10の各種材料の特徴を表1に示す。なお、表1に示す高次構造の「有」とは、炭素数8(親水性高分子の高次構造に含まれる直鎖アルキル基の炭素数)以上のアルキル基を有するものとし、「なし」とは、炭素数8以上のアルキル基をもたないものとする。
【表1】

【0064】
前記実施例1〜3及び比較例1〜3で作製した単層チューブ10の摺動性、触感による前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]の剥がれ状態およびテトラヒドロフラン(THF)溶液浸漬時における膨潤率の結果を下記表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
表2の結果から明らかなように、単層チューブの形成材料が、親水性高分子中のエステル結合と水素結合が可能なアミド結合と、親水性高分子中の分子内に有する高次構造と同じ高次構造と、が形成材料中にあるナイロン12およびナイロン11の場合、摺動性、耐剥離性が良好であった。
一方、単層チューブの形成材料が、親水性高分子中のエステル結合と水素結合が可能なアミド結合と、親水性高分子中の分子内に有する高次構造と同じ高次構造と、を形成材料中に含まないポリプロピレン、ポリエチレン、変性PEの場合は、摺動性、耐剥離性が劣っている。
【0067】
なお、ナイロンエラストマーは、ナイロン12と同じ高次構造を有しているが、ソフトセグメントが存在する分、分子内にしめる高次構造の割合がナイロン単体(ナイロン12ホモポリマー)に比べて少ない。このため、基材層をなす高分子材料にしめる高次構造の割合がナイロン12およびナイロン11に比べて少ないので、ナイロン12およびナイロン11に比べると表面潤滑性および耐剥離性に劣る。しかしながら、高次構造を持たないポリプロピレン等に比べると表面潤滑性および耐剥離性は優れているといえる。
【0068】
上記ナイロン12の強固な耐剥離性は、前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]の分子内に存在する炭素数8個のアルキル基が、ナイロン12中の炭素数11のアルキル基によって構築される高次構造に、特異的に親和性を持ち、ナイロン12で形成される単層チューブ10に前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子が強く引き付けられ、その結果としてより多量の前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子が単位面積当たりの単層チューブ10の表面に付着、固定化され、被覆性(付着性、耐剥離性)が高くなっていると考えられる。
また、前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]の分子内に含まれるエステル基が、ポリエチレン、ポリプロピレンといったポリオレフィンよりナイロン12およびナイロン11といったポリアミド系樹脂のアミド基と水素結合し、強く引き付けられていると考えられる。
【0069】
<炭素数4の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子の調製>
アジピン酸72.3gに50℃でトリエチレングリコール29.7gを滴下した後、50℃で3時間塩酸を減圧除去して得られたオリゴエステル22.5gにメチル・エチル・ケトン4.5gを加え水酸化ナトリウム5g、31%過酸化水素6.93g、界面活性剤ジオクチルフォスフェート0.44g、水120gよりなる溶液に滴下し、−5℃で20分間反応させた。
反応生成物を水洗、メタノール洗浄を繰り返した後、乾燥させて分子内に炭素数4の直鎖アルキル基と、前記アルキル基の両末端に結合するパーオキサイド基と、を有するポリ過酸化物を得た。このポリ過酸化物を開始剤として0.5g、グリシジルメタクリレート(GMA)9.5gを、ベンゼン30gを溶媒として、80℃、2時間減圧下で撹拌しながら重合した。
反応生成物は貧溶媒をジエチルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製し、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリグリシジルメタアクリレート(PPO−GMA)を得た。続いてPPO−GMA1.0gをジメチルアクリルアミド9.0g、溶媒としてジメチルスルホキシド90gを仕込み、減圧で密閉にした後、80℃に加熱して18時間重合反応を行った。
反応後、貧溶媒をジエチルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製し、炭素数4の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[ジメチルアクリルアミド(DMAA)−グリシジルメタクリレート(GMA)のブロック共重合体 P(DMAA−b−GMA)]を得た。本ポリマーはNMRおよびIR測定により、化2に示す構造が特定された。
【0070】
【化2】

化2に示す構造において、DMAAが湿潤時に潤滑性を発現する部位であり、炭素数4の直鎖のアルキル基が高次構造であり、前記アルキル基の両末端に形成されたエステル結合がチューブ基材(外層)の形成材料(例えば、アミド結合)と水素結合可能な官能基である。GMAのエポキシ基は、生理活性物質のアクセプターとして機能する官能基である。
【0071】
<炭素数4の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子がコーティング(被覆)された単層チューブの摺動性および耐剥離性の評価>
【0072】
[実施例4]
ナイロン12(エムス・ジャパン株式会社製、グリルアミドL16グレード)を定法により押出成形し、外径1.0mm、内径0.7mmの単層チューブを作製した。
この単層チューブを、前記炭素数4の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]2.5重量部とテトラヒドロフラン97.5重量部に溶解したコーティング溶液中に5秒浸漬し、単層チューブの一端側から3000mm/分の速度で前記溶液中から引き上げたあと、80℃で60分間乾燥し、外面に前記炭素数4の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]がコーティング(被覆)された単層チューブを得た。
前記炭素数4の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]がコーティング(被覆)された単層チューブ10並びに、その比較である前記炭素数4の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子がコーティング(被覆)されていない単層チューブ10を用いて、先述した摺動性試験、耐剥離性の評価および膨潤率の測定を同様に行った。
【0073】
[実施例5]
ナイロンエラストマー(エムス・ジャパン株式会社製、グリルアミドELY2694グレード)を実施例4と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。なお、上記ナイロンエラストマーの構造は、ソフトセグメントが炭素数4のアルキル基を有するPTMG、ハードセグメントがナイロン12となっている。
[実施例6]
ポリエステル(PET)(日本ユニペット株式会社製、ユニペットRT553CNグレード)を実施例4と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。
【0074】
[実施例7]
ポリエステルエラストマー(東洋紡績株式会社製、ペルプレンP80Bグレード)を実施例4と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。なお、上記ポリエステルエラストマーの構造は、化3が示すようなソフトセグメントが炭素数4のアルキル基を有するPTMG、ハードセグメントがポリエチレンテレフタラートとなっている。
【0075】
【化3】

【0076】
[比較例4]
ポリプロピレン(三井石油工業株式会社製、ハイポールF401グレード)を実施例4と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。
【0077】
[比較例5]
ポリエチレン(日本ポリケム株式会社製、三菱ポリエチ−HD HY540グレード)を実施例4と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。
【0078】
[比較例6]
変性ポリエチレン(三菱化学株式会社製、モディックM512VFグレード)を実施例4と同様の方法で単層チューブ10を作製し、同様の試験および評価を行った。
【0079】
前記実施例4〜7および比較例4〜6の構造の特徴を表3に示す。なお、表3に示す高次構造の「有」とは、炭素数4(親水性高分子の高次構造に含まれる直鎖アルキル基の炭素数)以上のアルキル基を有するものとし、「なし」とは、炭素数4以上のアルキル基をもたないものとする。
【表3】

【0080】
前記実施例4〜7及び比較例4〜6で作製した単層チューブ10の摺動性、触感による前記炭素数4の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子[P(DMAA−b−GMA)]の剥がれ状態およびテトラヒドロフラン(THF)溶液浸漬時における膨潤率の結果を下記表4に示す。
【0081】
【表4】

【0082】
表4の結果、ナイロン12およびポリエステルエラストマーで作成された単層チューブが、炭素数4の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する親水性高分子との被覆性(付着性、耐剥離性)が良いことが分かる。
一方、単層チューブの形成材料が、親水性高分子中のエステル結合と水素結合が可能なアミド結合と、親水性高分子中の分子内に有する高次構造と同じ高次構造と、を形成材料中に含まないポリプロピレン、ポリエチレン、変性PEの場合は、摺動性、耐剥離性が劣っている。
ナイロンエラストマーは、ナイロン12と同じ高次構造を有しているが、ソフトセグメントが存在する分、分子内にしめる高次構造の割合がナイロン単体(ナイロン12ホモポリマー)に比べて少ない。このため、基材層をなす高分子材料にしめる高次構造の割合がナイロン12に比べて少ないので、ナイロン12と比較すると表面潤滑性および耐剥離性に劣る。しかしながら、高次構造を持たないポリプロピレン等に比べると表面潤滑性および耐剥離性は優れているといえる。
【0083】
なお、前記ポリエステルエラストマーの良好な被覆性は、ポリエステルエラストマーは他の材料に比べて溶媒(テトラヒドラフラン)に対する膨潤性が高いため、親水性高分子が基材内に入り込み易い。従って、チューブ基材上に親水性高分子が強固に固定化され、被覆性(付着性、耐剥離性)が高くなっていると考えられる。
また、前記親水性高分子と同じ高次構造を前記ポリエステルエラストマーは有するので、これらの高次構造の相互作用と上記溶媒膨潤性が相なって、ポリエステルよりも耐剥離性が高くなっていると考えられる。
以上より、カテーテルチューブの外層、内層の材料の組合せとして、ナイロンとナイロンエラストマーとする場合は、前者を外層とすることが好ましく、ポリエステルをポリエステルエラストマーとする場合は、後者を外層とすることが好ましい。
【0084】
<炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子の調製>
セバシン酸2塩化物72.3gに50℃でトリエチレングリコール29.7gを滴下した後、50℃で3時間塩酸を減圧除去して得られたオリゴエステル22.5gにメチル・エチル・ケトン4.5gを加え水酸化ナトリウム5g、31%過酸化水素6.93g、界面活性剤ジオクチルフォスフェート0.44g、水120gよりなる溶液に滴下し、−5℃で20分間反応させた。
反応生成物を水洗、メタノール洗浄を繰り返した後、乾燥させて分子内に炭素数8の直鎖アルキル基と、前記アルキル基の両末端に結合するパーオキサイド基と、を有するポリ過酸化物を得た。このポリ過酸化物を開始剤として0.5g、グリシジルメタクリレート(GMA)9.5gを、ベンゼン30gを溶媒として、80℃、2時間減圧下で撹拌しながら重合した。
反応生成物は貧溶媒をジエチルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製し、分子内に複数のパーオキサイド基を有するポリグリシジルメタアクリレート(PPO−GMA)を得た。続いてPPO−GMA1.0gを2−メトキシエチルアクリレート9.0g、溶媒としてジメチルスルホキシド90gを仕込み、減圧で密閉にした後、80℃に加熱して18時間重合反応を行った。
反応後、貧溶媒をジエチルエーテル、良溶媒をテトラヒドロフランとして精製し、炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子(2−メトキシエチルアクリレート(MEA)−グリシジルメタクリレート(GMA)のブロック共重合体 [P(MEA−b−GMA)])を得た。本ポリマーはNMRおよびIR測定により、化4に示すブロック構造を有するポリマーであることが確認された。
【0085】
【化4】

化4に示す構造において、MEAが血液適合性または生体適合性を発現する部位であり、炭素数8の直鎖のアルキル基が高次構造であり、前記アルキル基の両末端に形成されたエステル結合がチューブ基材(外層)の形成材料と水素結合可能な官能基である。GMAのエポキシ基は、生理活性物質のアクセプターとして機能する反応性官能基である。
【0086】
<炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子がコーティング(被覆)された各種材料で作製された単層チューブの耐剥離性と血小板粘着抑制能の評価>
[実施例8]
ナイロン12(エムス・ジャパン株式会社製、グリルアミドL16グレード)を定法により押出成形し、外径1.0mm、内径0.7mmの単層チューブを作製した。
前記単層チューブ10を、炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子[P(MEA−b−GMA)]2.5重量部とテトラヒドロフラン97.5重量部に溶解したコーティング溶液中に5秒浸漬し、単層チューブ10の一端側から3000mm/分の速度で前記溶液中から引き上げたあと、80℃で60分間乾燥し、外面に炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子[P(MEA−b−GMA)]がコーティング(被覆)された単層チューブ10を得た。
【0087】
前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子[P(DMAA−b−GMA)]がコーティング(被覆)された単層チューブ10並びに、その比較として、前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造およびチューブ基材の形成材料と水素結合可能な官能基を持たないホモの2−メトキシエチルアクリレートポリマー(Homo−PMEA)が被覆された前記単層チューブおよび何も被覆されていない単層チューブ(ポジティブコントロール)を用いて、先述した摺動性試験を同様の方法で行い、その後血小板粘着試験を行った。
【0088】
(血小板粘着試験方法)
摺動性試験後(図1と同じ治具を用い、同じ条件で50回摺動させた後)、ポジティブコントロール(P.C.)、[P(MEA−b−GMA)]および(Homo−PMEA)が被覆された各単層チューブ10の表面にクエン酸ナトリウムで抗凝固したヒト新鮮多血小板血漿を30分間接触させ、生理食塩水でリンスし、グルタルアルデヒドで固定した後、0.5mm2に粘着した血小板数を電子顕微鏡で観察した。
【0089】
[実施例9]
ナイロン11(アトクム株式会社製、BESV O A FDAグレード)を実施例8と同様の方法で単層チューブ10を作製し、摺動性試験および血小板粘着試験を同様に行った。
【0090】
[実施例10]
ナイロン610(東レ株式会社製、アミラン CM2001グレード)を実施例8と同様の方法で単層チューブ10を作製し、摺動性試験および血小板粘着試験を同様に行った。
【0091】
[実施例11]
ナイロン6(東レ株式会社製、アミラン CM1021FS)を実施例8と同様の方法で単層チューブ10を作製し、摺動性試験および血小板粘着試験を同様に行った。
【0092】
[実施例12]
ナイロンエラストマー(エムス・ジャパン株式会社製、グリルアミドELY2694グレード)を実施例8と同様の方法で単層チューブ10を作製し、摺動性試験および血小板粘着試験を同様に行った。なお、上記ナイロンエラストマーの構造は、ソフトセグメントが炭素数4の直鎖アルキル基を有するPTMG、ハードセグメントがナイロン12となっている。
【0093】
[比較例7]
ポリプロピレン(三井石油工業株式会社製、ハイポールF401グレード)を実施例8と同様の方法で単層チューブ10を作製し、摺動性試験および血小板粘着試験を同様に行った。
【0094】
[比較例8]
ポリエチレン(日本ポリケム株式会社製、三菱ポリエチ−HD HY540グレード)を実施例8と同様の方法で単層チューブ10を作製し、摺動性試験および血小板粘着試験を同様に行った。
【0095】
[比較例9]
変性ポリエチレン(三菱化学株式会社製、モディックM512VFグレード)を実施例8と同様の方法で単層チューブ10を作製し、摺動性試験および血小板粘着試験を同様に行った。
【0096】
上記実施例8〜12および比較例7〜9の高次構造の特徴を表5に示す。なお、表1に示す高次構造の「有」とは、炭素数8(血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子の高次構造に含まれる直鎖アルキル基の炭素数)以上のアルキル基を有するものとし、「なし」とは、炭素数8以上のアルキル基をもたないものとする。
【0097】
【表5】

【0098】
前記実施例8〜12及び比較例7〜9で作製した単層チューブ10の血小板粘着抑制能の評価を表6に示す。
【0099】
【表6】

【0100】
エステル結合と、直鎖のアルキル基と、を形成材料中に含まない高次構造と、を持たないHomo−PMEAが被覆された単層チューブ10については、単層チューブ10の形成材料にエステル結合と、直鎖のアルキル基と、を持っているナイロン12、ナイロン11、ナイロン610、ナイロン6、ナイロンエラストマーを使用した場合であっても、摺動性試験によりチューブ基材から被覆層が剥がれてしまうため、血小板粘着数があまりポジティブコントロールと変わらない値となった。
炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子[P(MEA−b−GMA)]が被覆された単層チューブ10については、いずれも血小板粘着抑制性能(血液適合性)を示したが、その中でも、ナイロン12、ナイロン11、ナイロン610、ナイロンエラストマーが基材の場合において顕著な血小板粘着抑制性能を示した。
ナイロン12、ナイロン11、ナイロン610の結果に関しては、チューブ基材(単層材料)の高次構造の中の直鎖アルキル基の炭素数が、被覆層の血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子内に含まれる高次構造の直鎖アルキル基の炭素数8よりも多いため、被覆層が剥がれることがなく、血小板粘着数が低く、良好な血液適合性を示すことができたと推測される。
また、前記炭素数8の直鎖アルキル基を持つ高次構造を有する血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子[P(DMAA−b−GMA)]の分子内に含まれるエステル基が、ポリエチレン、ポリプロピレンといったポリオレフィンよりナイロン12およびナイロン11といったポリアミド系樹脂のアミド基と水素結合し強く引き付けられていると考えられる。
【0101】
なお、ナイロンエラストマーは、ナイロン12と同じ高次構造を有しているが、ソフトセグメントが存在する分、分子内に占める高次構造の割合がナイロン単体(ナイロン12ホモポリマー)に比べて少ない。このため、基材層をなす高分子材料に占める高次構造の割合がナイロン12に比べて少ないので、ナイロン12と比較すると表面潤滑性および耐剥離性に劣る。しかしながら、高次構造を持たないポリプロピレン等に比べると表面潤滑性および耐剥離性は優れているといえる。
【0102】
これらの結果から、カテーテルチューブの外層、内層の材料の組合せとして、ナイロンとナイロンエラストマーとする場合は、ナイロンを外層とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】図1は、本発明のカテーテルチューブをバルーンカテーテルに適用した一例を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示したバルーンカテーテルをA−Aの部分で切断した断面図である。
【図3】図3は、摺動抵抗測定治具の断面図である。
【符号の説明】
【0104】
1 バルーンカテーテル
2 内管
21 第一のルーメン
3 外管
31 第二のルーメン
3a 外管外層
3b 外管内層
4 被覆層
5 拡張体(バルーン)
51 拡張空間
5a 拡張体(バルーン)先端部
5b 拡張体(バルーン)基端部
6 固着部位
6a 固着されていない部位
7 摺動抵抗測定治具
8 弁体
9 水
10 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外層および内層の二層からなるカテーテルチューブであって、
前記外層の外面には、親水性高分子がコーティングされており、
前記外層の形成材料は、前記内層の形成材料よりも前記親水性高分子に対する付着性が高く、かつ、
前記外層および内層の形成材料の一方が熱可塑性エラストマーを主成分とする材料、他方が前記熱可塑性エラストマーと相溶性を有する非弾性材料を主成分とする材料であることを特徴とするカテーテルチューブ。
【請求項2】
外層および内層の二層からなるカテーテルチューブであって、
前記外層の外面には、血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子がコーティングされており、
前記外層の形成材料は、前記内層の形成材料よりも前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子に対する付着性が高く、かつ、
前記外層および内層の形成材料の一方が熱可塑性エラストマーを主成分とする材料、他方が前記熱可塑性エラストマーと相溶性を有する非弾性材料を主成分とする材料であることを特徴とするカテーテルチューブ。
【請求項3】
前記外層の形成材料は、前記内層の形成材料よりも、
前記親水性高分子の溶媒に対する膨潤性が高いものであることを特徴とする請求項1に記載のカテーテルチューブ。
【請求項4】
前記外層の形成材料は、前記内層の形成材料よりも、
前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子の溶媒に対する膨潤性が高いものであることを特徴とする請求項2に記載のカテーテルチューブ。
【請求項5】
前記親水性高分子が前記外層を形成する材料と水素結合可能な官能基を有することを特徴とする請求項1または3に記載のカテーテルチューブ。
【請求項6】
前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子が前記外層を形成する材料と水素結合可能な官能基を有することを特徴とする請求項2または4に記載のカテーテルチューブ。
【請求項7】
前記外層および内層を形成する材料の一方がナイロン、他方がナイロンエラストマーであり、
前記親水性高分子が、分子内に、前記外層の形成材料が分子内に有する高次構造と同じ高次構造を有することを特徴とする請求項1、3または5のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【請求項8】
前記外層および内層を形成する材料の一方がポリエステル、他方がポリエステルエラストマーであり、
前記親水性高分子が、分子内に、前記外層の形成材料が分子内に有する高次構造と同じ高次構造を有することを特徴とする請求項1、3または5のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【請求項9】
前記外層および内層を形成する材料の一方がナイロン、他方がナイロンエラストマーであり、
前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子が、分子内に、前記外層の形成材料が分子内に有する高次構造と同じ高次構造を有することを特徴とする請求項2、4または6のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【請求項10】
前記外層および内層を形成する材料の一方がポリエステル、他方がポリエステルエラストマーであり、
前記血液適合性または生体適合性に優れる機能性高分子が、分子内に、前記外層の形成材料が分子内に有する高次構造と同じ高次構造を有することを特徴とする請求項2、4または6のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【請求項11】
前記水素結合可能な官能基がエステル結合またはアミド結合であることを特徴とする請求項5または6に記載のカテーテルチューブ。
【請求項12】
前記高次構造が直鎖アルキル基であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【請求項13】
前記直鎖アルキル基の炭素数が4以上であることを特徴とする請求項12に記載のカテーテルチューブ。
【請求項14】
前記直鎖アルキル基の炭素数が8以上であることを特徴とする請求項12に記載のカテーテルチューブ。
【請求項15】
外管と前記外管の少なくとも先端部を挿通する内管とを備えた前記カテーテルチューブであって、前記外管が請求項1〜14のいずれかに記載のカテーテルチューブであることを特徴とするカテーテルチューブ。
【請求項16】
前記外管の前記内層内面の少なくとも一部と前記内管の外面の少なくとも一部のうち少なくとも一方が接着性ポリマーを含有していることを特徴とする請求項15に記載のカテーテルチューブ。
【請求項17】
さらに、前記外管の前記外層外面の少なくとも一部が接着性ポリマーを含有していることを特徴とする請求項16に記載のカテーテルチューブ。
【請求項18】
前記外管の前記内層内面の少なくとも一部と前記内管の外面の少なくとも一部とが融着していることを特徴とする請求項15または16に記載のカテーテルチューブ。
【請求項19】
さらに、前記外管の前記外層外面の少なくとも一部と前記内管の外面の少なくとも一部とが融着していることを特徴とする請求項18に記載のカテーテルチューブ。
【請求項20】
前記外管の前記内層内面と前記内管の外面の間の少なくとも一部に中間接着層を有していることを特徴とする請求項15に記載のカテーテルチューブ。
【請求項21】
さらに、前記外管の前記外層外面と前記内管の外面の間の少なくとも一部に中間接着層を有していることを特徴とする請求項20に記載のカテーテルチューブ。
【請求項22】
前記内管の内面が低摩擦性材料で形成されていることを特徴とする請求項15〜21のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【請求項23】
前記低摩擦性材料がポリエチレンまたはポリプロピレンであることを特徴とする請求項22に記載のカテーテルチューブ。
【請求項24】
前記内管の外面が、前記低摩擦性材料および前記外管の前記内層のうち少なくとも一方と相溶性のある材料で形成されている請求項22または23に記載のカテーテルチューブ。
【請求項25】
さらに、前記内管の外面が前記外管の前記外層と相溶性のある材料で形成されている請求項24に記載のカテーテルチューブ。
【請求項26】
前記カテーテルチューブは、先端部が前記内管の先端部に固着され、基端部が前記外管の先端部に固着されている拡張体を備える請求項15〜25のいずれかに記載のカテーテルチューブ。
【請求項27】
前記拡張体は、ナイロンまたはナイロンエラストマーを主成分とする材料で形成されていることを特徴とする請求項26に記載のカテーテルチューブ。
【請求項28】
前記拡張体の先端部および基端部の少なくとも一方は、前記内管または前記外管に対し融着されている請求項26または27に記載のカテーテルチューブ。
【請求項29】
前記拡張体の外表面に装着されたステントをさらに含むことを特徴とする請求項26〜28のいずれかに記載のカテーテルチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−325639(P2007−325639A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157170(P2006−157170)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】