説明

カニューレ及び小さな深い孔の成形

本発明は、ポリマー製物品を射出成形するための装置及び方法を提供する。本方法は、加圧された液体ポリマーを成形型キャビティ内に射出することを含み、キャビティは、コアピンと圧力分配手段とを組み込んでいる。好ましくは、物品はカニューレである。本発明は、ポリマー材料から物品を射出成形するための成形型を提供し、成形型は、針部を組み込んだ導管部を有する、キャビティを画定する少なくとも2つの部品と、液体ポリマー進入のための流路と、加圧された流体の進入のための流路と、カニューレの導管を画定するためのコアピンと、加圧された液体ポリマーの分配を制御するための圧力分配手段とを備える。圧力分配手段の端面は、カニューレの先端形状を画定する。成形型は、複数のキャビティを組み込むことが可能である。本方法は、カニューレの導管を画定するために制御して圧力分配手段を移動させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カニューレ、特にポリマー製カニューレの製造分野に関し、より詳しくは、ポリマー製再構成針を成形するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬上活性な材料のような物質が水性環境で分解して生物学的活性を失わないように、物質を乾燥した状態で貯蔵することがしばしば必要であるが、物質の送達方法は、水溶液によることがあり得る。特に製薬上活性な材料の場合、物質は、常に無菌に維持しなければならない。例えば、活性溶液が再構成される場合のように、無菌状態を維持しつつ、容器間で無菌材料を移すことは困難に満ちている。活性溶液の有効な再構成を提供するための複数の製品が、米国特許第5,226,900号明細書又は欧州特許第1,626,758号明細書に記載されているように、当技術分野において公知である。妥当な針強度を有する任意の注射器、例えば、18ゲージ針を有する注射器を使用することが可能である。理想的には、瓶に栓をして無菌状態を維持するために従来使用される、厚い隔膜を貫通する程度に十分に強力な再構成針が解決方法となるであろう。この理由で、多くの再構成注射器は、隔膜を穿刺し、かつ貫通する程度に妥当な強度を提供する金属製針から構成される。
【0003】
再構成針は廉価であり、かつ製造することが容易であり、また一回のみの使用後に使い捨て可能であるべきである。廉価で使い捨て可能な注射器の製造に、ポリマー材料が有効であることが示されている。例えば、Stevens, Smith及びBartlettは、ガス補助射出成形を使用してポリマー製の皮下針を製造するための方法を、参照により本出願に組み込まれ、以下に’639号特許と称される、米国特許第5,620,639号明細書に記載している。’639号特許に開示された方法は、有利に、液体ポリマーの特性、及び液体ポリマーを含む成形型の流路内部から液体ポリマーを移動させるための作動流体の特性を使用する。’639号特許の作動流体は、有利にはカニューレ部と、注射器に接続するための取り付けハブ部とを備える一体型の「針」を確実に形成するガスであり、カニューレは、リザーバーと対象物との間の流体通過用の導管を画定する。’639号特許の方法は、一回のみ使用し、そして捨てるための小さなゲージのカニューレを射出成形するために特に有用である。しかし、再構成針は、針の破壊を回避するためにより厚いゲージを必要とする。
【0004】
17ゲージよりも小さなカニューレは、内径が約1mmよりも小さい導管を画定し、これらの製造に使用するにはポリマー材料はそれほど適切でない。一般に、17ゲージよりも小さな医療用カニューレ及び皮下針は、約1mmよりも小さい一貫した内径の導管を画定するポリマー製カニューレを製造する際の困難、及びステンレス鋼の優れた材料特性のため、鋼から製造される。
【0005】
しかし、従来のポリマー成形技術は、いくつかの場合には、特に、射出されたポリマーがコアピンの周りに導管を形成するようにコアピンを使用することにより、医療用カニューレを製造するために使用することができる。一般に、約1.0mmの直径のコアピンが使用され、この結果、外径約3mm、すなわち11ゲージのポリマー製カニューレが得られる。外径がより大きくなることにより、カニューレの壁厚が増大され、また成形工程中の射出圧力が最小にされて、小さなコアピンの曲げを回避できることが保証される。従来のポリマー成形技術を使用するとき、カニューレの長さは、曲げの可能性を回避するために、短くなければならない。コアピンの曲げは、成形されたカニューレの壁厚の不均一さを最小にし、かつ形成されたカニューレを成形型から取り除くときの、離型ステップ中の脆弱なコアピンの破壊の可能性を低減するために、回避しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
17ゲージよりも小さいが、現在公知の隔膜を貫通する程度に妥当な強度を有するポリマー製カニューレの製造を可能にする再構成針を製造するための方法及び装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ポリマー材料から物品を射出成形するための装置及び方法を提供する。本発明の一つの目的は、壁厚の変動を小さくしたポリマー製物品を製造する装置及び方法を提供することである。好ましくは、物品はカニューレであり、より好ましくは再構成カニューレである。カニューレは、非常に小さな導管又は穴を有することが可能である。本発明の一つの目的は、ポリマー材料から物品を形成するために必要な材料の量を低減するための装置及び方法を提供することである。本発明の別の目的は、射出サイクル期間を短縮して物品を製造する方法を提供することである。本発明の別の目的は、可変長のカニューレを製造するための装置を提供することである。本発明のさらに別の目的は、1:20以下の直径/深さ比を有する小さな孔を成形するための装置を提供することである。
【0008】
一形態において、本発明は、ポリマー材料を射出成形するための成形型を提供し、成形型は、キャビティを画定する少なくとも2つの部品を備え、成形型は、導管部と、液体ポリマー進入のための流路と、コアピンと、圧力分配手段とを備える。導管部は、カニューレ又は穴又は小さな深い孔であり得る。成形型は、針、注射器、特に再構成注射器等を形成するために使用し得る。しかし、成形型は、実質的に一定の断面積を有する任意の物品を射出成形するために適切である。成形型は、円筒形状を含むことが好ましいが、断面に角度を有する形状を含んでもよい。圧力分配手段は、スリーブ又はリングの形状のような代わりの形状をとってもよい。好ましくは、圧力分配手段は、金属のような効率的な熱伝達体である材料から構成される。このような材料は、適切な物品の成形サイクルが可能な限り短いように、冷却及び物品形成に役立つかもしれない。圧力分配手段の端部は、針先端が成形型に成形されるように、長軸線からある角度で表面を含むことが可能である。代わりに、圧力分配手段の端部は実質的に平坦でもよい。このような場合、射出用の材料を再構成するために使用される再構成針のように、厚い材料を貫通する際に特定の用途を有する針を成形型に形成してもよい。成形型のキャビティは、円筒状の射出成形物品が得られる円筒形状であることが好ましい。最も好ましくは、成形型の導管部は、成形型で射出成形された物品が針を組み込むように針部を組み込む。成形型は、1つの成形サイクルで複数の物品を形成するために複数の導管を組み込んでもよい。好ましくは、成形型は、コアピンを安定化させるための少なくとも1つの安定化装置を組み込む。
【0009】
本発明は、いくつかの実施形態では、導管部の長さが、コアピンの直径の少なくとも20倍である導管部を提供し得る。
【0010】
他の形態では、本発明は、液体ポリマー材料から物品を形成するための方法であって、射出圧力に対して抵抗圧力を提供しつつ、加圧された液体ポリマーを成形型のキャビティ内に射出するステップを含む方法を提供する。本方法は、加圧された液体ポリマーを抵抗圧力によってキャビティの全体にわたって分配することを含み得る。本方法は、プログラミングされたマイクロプロセッサにより抵抗圧力を制御するステップを含み得る。本方法は、抵抗圧力により導管の長さを画定するステップを含み得る。本方法は、少なくとも第2の加圧された液体ポリマーを射出することを含み得る。少なくとも第2の加圧された液体ポリマーは、第1又は引き続く液体ポリマーと異なってもよい。本方法は、抵抗圧力を提供して液体ポリマーを分配しつつ、加圧された液体ポリマーの潜熱を分散させるステップを含み得る。本方法は、導管、穴又は小さな深い孔を画定するために使用し得る。導管の長さは、導管の直径の少なくとも20倍であり得る。本方法は、導管を組み込む円筒状物品を形成するために使用し得る。好ましくは、物品は、針、注射器等である。最も好ましくは、物品は再構成針である。しかし、本方法は、断面に角度部を有する物品のように、導管を形成する任意の形状の物品を形成するために使用し得る。本方法は、液体ポリマーの単一の射出により複数の物品を形成するために使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】コアピン及び圧力分配手段を組み込んだ成形型である本発明の実施形態の長手方向断面図である。
【図2】液体ポリマーの射出が完了している図1の実施形態の図面である。
【図3】液体ポリマーの射出が完了しており、形成された物品からコアピン及び圧力分配手段が分離されている図2の実施形態の図面である。
【図4】内部にカニューレが形成された成形型から排出される射出成形されたカニューレの図面である。
【図5】中を通り抜ける内腔を有するカニューレを形成するための、液体ポリマーの流体補助射出成形のステップを示した図面である。
【図6】現在当技術分野において公知の方法に従って形成されたカニューレと比較した、本発明に従って形成されたカニューレの実施形態の長手方向断面図である。
【図7】本発明に従って作製されたカニューレの3つの実施形態の斜視図である。
【図8】本発明に従って作製された、針尖端を有するカニューレの実施形態の斜視図である。
【図9】本発明に従って作製された、代わりの尖端を有するカニューレの代替実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の目的は、本明細書に記載した実施形態を参照してかつ図を参照して最も良く理解される。図1〜図9は、本発明の装置及び方法の実施形態を示している。当業者によって、本発明は、図に示した実施形態に限定されず、図示していないが、本発明に添付された特許請求の範囲内の実施形態を含むことが理解されるであろう。
【0013】
本発明は、少なくとも1つのカニューレ、穴又は小さな深い孔を成形するための射出成形装置を含み、装置は、少なくとも1つのコアピンと、成形型のキャビティ内のポリマー融液の分配を制御するための圧力分配手段とを組み込む。単一のコアピンを有する実施形態が示されているが、本発明の範囲は、単一のカニューレ内の複数のコアピンを含み、各々のコアピンは、材料の移送のための導管を画定することが理解されるであろう。さらに、本発明は、複数のカニューレを成形するためにキャビティを組み込む成形型を含む。
【0014】
本発明は、図5のボックス101〜109に示したポリマー製物品を成形するための方法を含み、本方法は、キャビティ内への射出中に射出成形されたポリマー融液材料の圧力に対して付勢圧力を提供するステップから構成される。成形サイクルは、成形型内に配置されたカニューレを通して導管を画定するための手段と、カニューレのような所望の形状のキャビティを画定する閉鎖した成形型103に配置された液体ポリマー融液材料の圧力に対抗する圧力を提供するための圧力分配手段102とにより、101で始まる。液体ポリマー融液材料は、当該技術分野において公知の圧力及び時間を使用して成形型キャビティ104に射出される。好ましくは、ポリマー進入の射出時間は、約20〜200mmsec-1の速度及び約800〜2000barの圧力で約0.2〜0.8秒であり、キャビティを液体ポリマー融液材料で満たす。液体ポリマー融液材料がキャビティを満たすとき、液体ポリマーの末端面の圧力分配手段が、同時に、液体溶融ポリマーがキャビティ105に入るときに約20〜200mmsec-1の同一の速度で遠位に移動される。
【0015】
圧力分配手段の調和した移動は、加圧された液体ポリマーを分配し、かつコアピンの曲げを最小にさせて、直線導管を均一な壁部と共に再現可能に提供することを補助する。液体ポリマーが成形型キャビティを満たすとき、圧力分配手段は、ポリマー射出点106から最も遠位の位置に移動し、この時間に、成形型は、固化された物品109の除去又は排出及び成形サイクル110の完了のために108で開放可能である。本方法は、2つ以上のポリマー融液材料で物品を成形するために使用し得る。例えば、本方法は、異なるパラメータを有する2つ以上のポリマー材料が必要とされる多成分の成形技術に使用し得る。このような場合、図5の108に示したように本方法を繰り返してもよく、この場合、ステップには、104〜107に示したステップを繰り返すステップが含まれる。
【0016】
図6は、当該技術分野において公知の現在の方法を使用して作製された商業的に入手可能なカニューレ50と比較した、本発明の方法を使用して作製されたカニューレ11を示している。比較は、本発明の方法により、当該技術分野の方法よりも小さな直径を有するはるかに長いカニューレの製造が可能であることを示している。最も有利に、本発明の方法に従って製造されたカニューレは、1:50以下の内径対長さの比率を有し得る。
【0017】
付勢又は抵抗圧力は、最も有利に、融液が導管を形成するキャビティ内のコアピンの移動を最小にしつつ、融液を成形型キャビティ内に均一に分配するように機能する。本方法は、再現可能に一貫した壁部直径を有する導管であって、カニューレを形成する直線導管を提供する。本方法は、有利に、再構成針又は同様の円筒状物品の、射出成形による形成に使用される。本方法は、他の瓶からの液体による再構成用の材料を含む瓶に特有のプラグのような障壁を、貫通かつ横断する程度に妥当な強度を有する再構成針の提供を可能にする。本方法はまた、一定の断面を有する正方形の物品又は長方形の物品のように、再現可能な壁厚を必要とする任意のポリマー製物品を形成するために使用し得る。最も有利に、ポリマー融液の量及び成形型内のその移動が制御されるので、本方法は、公知の射出成形技術で同様の物品を製造するために必要とされるポリマー材料のわずか25%を必要とするに過ぎないことが可能である。
【0018】
圧力分配手段は、一定の熱伝達特性係数を有する金属材料から構成されることが好ましく、この金属材料は、融液から周囲の材料に熱を効率的かつより迅速に伝達することを補助する。この熱伝達は、最も有利に、成形型内の融液の温度低下の速度及び融液の固化速度を高める。次に、本発明の装置及び方法を使用する物品の形成のサイクル時間が、当該技術分野において公知の他の装置及び方法と比較して短縮される。サイクル時間の短縮はまた、当該技術分野において公知の装置及び方法と較べ、本明細書に開示された装置及び方法の生産性を高めることが可能である。
【0019】
図では、射出成形されるカニューレに適切なポリマー融液材料は、黒く塗られた材料1として示されている。ポリマー材料は、’639号特許に記載された材料及び当該技術分野において公知の材料のような、射出成形に適切な任意の材料であり得る。
【0020】
図1は、複数の構成要素を有する成形型2のキャビティ3に入る液体ポリマー材料1を示している。液体ポリマー材料の進入は、この図面の左側の側面から圧力下で行われる。図1に示したように、成形型は閉鎖され、ポリマー融液の射出の態勢にある。加圧された液体ポリマー融液1は、キャビティ3及びコアピン5の周りを満たして、圧力分配手段9の表面に当接する。コアピン5の周りの加圧されたポリマー材料1の分配は、ポリマー材料1の圧力よりも僅かに大きな圧力下にある圧力分配手段9によって制御される。コアピン5は、射出端部においてまた遠位端8においてコアピン6の端部を安定化装置7に確実に係合させることによって、安定化される。遠位端の安定化装置は、図示したようなプレート12のような第2の要素から構成してもよい。遠位安定化装置8、12は、空気圧式に、油圧式に、あるいは成形型の開型行程の操作中にも配置し得る。射出端部の安定化装置7は、ルアーハブの形状を組み込むカニューレ又は針の内径を形成する機械的に駆動されるコアである。射出成形の当該技術分野では、ポリマー融液材料1がキャビティ3に入ってそれを満たすときの、ポリマー融液材料の高圧及び速度のため、コアピン5の端部の安定化が、均一な直径及び壁部を有するカニューレの形成を確実にするには妥当でない可能性があることが公知である。
【0021】
約1:20以下の直径/長さ比を有する小さな直径のコアピンを成形するために、追加の圧力分配手段を使用し得る。追加の圧力分配手段は、より長いコアピンの使用を可能にし、このことは、次に、1:50の小さい直径:長さ比を有するカニューレ11の成形を可能にする。
【0022】
本発明は、圧力分配手段9をコアピン5の周りに同心に配置して設けることが最も有利である。圧力分配手段9は、ポリマー融液材料1がキャビティ3を満たすときに対抗又は付勢圧力を当該材料に提供する。加圧されたポリマー材料1は、キャビティ内の利用可能な空間を迅速に満たし、圧力分配手段9の端面4に当接する。圧力分配手段9は、リング又はスリーブのような、コアピンを取り囲む任意の適切な形状をとることが可能である。圧力分配手段の長軸は変更し得る。好ましくは、圧力分配手段9は、適切な長さのスリーブである。図の実施形態は、スリーブである圧力分配手段を示している。圧力分配手段は、他の形態をとり得ることが理解されるであろう。圧力分配手段9の表面4は、再構成針として有効な貫通のために、形成カニューレ11の対応する先端10に適切に角度が付けられるように、最も都合よく成形することができる。カニューレ又は成形型で形成されるあらゆる物品の長さは、圧力分配手段9の軸長により変更し得る。代わりに、物品の長さは、電気アクチュエータ16によって移動される距離だけ制御してもよい。変化する物品、すなわち、これらの実施形態のカニューレの長さの3つの実施例が、図7に示されている。端面4は、任意の適切な先端形状を形成し得る。尖った針先端25と平坦な先端26とを有する実施形態が、図8と図9に示されている。他の実施形態が可能である。形成されるカニューレ11の先端10は、圧力分配手段の端面4用に選択される表面寸法が何であろうと、それを反映する。図8Aは、尖った針形状を有する先端10の実施形態を示しており、分かりやすくするため図8Bでは拡大されている。図9Aは、分かりやすくするため図9Bでは拡大されている、平坦な形状を有する先端10の代替実施形態を示している。導管の先端部の多くの実施形態が本発明の範囲内で可能であることが理解されるであろう。
【0023】
図1−図4では、成形型の左から右にキャビティ3内に進入するポリマー材料1を示している。射出されたポリマー材料1と圧力分配手段との間の圧力バランスによって、カニューレ又は物品が形成されるときに均一な壁厚がもたらされる。圧力分配手段9は、導管直径が再現可能に均一であるように、コアピンの有効な支持を提供する。この理由は、圧力分配手段内へのコアピンの密接した同心嵌合が、射出中にポリマー材料1の高圧下でのコアピンの曲げを防止するように機能するからである。
【0024】
圧力分配手段9の移動は、任意の適切な方法によって制御し得る。好ましくは、移動は、当該技術分野において公知のサーボモータを有する電気アクチュエータ16によって制御される。代替として、移動は、油圧制御し得るか、又は適切な張力を有するばねのような他の方法で制御し得る。移動の制御は、マイクロプロセッサにロードされたコンピュータソフトウェアに実装したアルゴリズムによって行い得る。コンピュータアルゴリズムは、圧力分配手段の速度、位置及び加速度に関するパラメータを含み得る。図1と図2は、より多くの液体ポリマーが成形型のキャビティ3を満たすにつれ、電気アクチュエータ16の位置がコアピン5の長手方向軸に沿って移動し、かつ電気アクチュエータが遠位の安定化装置プレート8、12のより近くに(図2)移動することを示している。案内ブロック14は、圧力分配スリーブ9を配置し得る。圧力分配手段は、それがコアピンに沿ってかつ案内ブロック14を通して軸方向に移動するとき、第2の安定化装置プレート13により半径方向に安定化させることが可能である。成形型は、他の要素を配置するためのプレート配置スリーブ15を含み得る。電気アクチュエータ16は、便宜上、安定化装置プレートに隣接して示されている。安定化装置プレート及びスリーブの配置は、異なる実施形態では異なってもよいことが理解されるであろう。
【0025】
図2と図3との比較により、成形サイクルの最も遠位の点における遠位の安定化装置8、12が示される。圧力分布スリーブ9、案内ブロック14、及びプレート配置スリーブ15は、カニューレ11の形成された先端10から電気アクチュエータを離間させることによって、静止コアピン5に沿って遠位に移動されており、圧力分布スリーブ9の先端形成端面4を先端10から係合解除している。コアピンは、射出端部の安定化装置7から遠位に引っ込められ、カニューレの形態の形成物品を残す。図4は、固化されたカニューレ11を示しており、形成された先端11は成形型のキャビティから取り除かれている。
【0026】
この場合の図は、カニューレ内に単一の導管を有する本発明の実施形態を示している。本発明の範囲は、カニューレ内に多数の導管を有するカニューレを含む。本発明の範囲は、他の物品を含み、それらの製造は本発明を使用して行うことが可能である。さらに、本明細書に開示した実施形態は、カニューレである物品から構成される。しかし、比較的均一な壁厚を必要とする任意の物品が、本発明に従って、例えば対象物の長方形、台形等の断面形状で製造し得る。
【0027】
本発明の範囲は、射出成形に適切な射出可能な複数の材料の複数ショットの使用を含む。
【0028】
本発明の範囲は、当該技術分野において公知の、多成分の成形技術及びスタック成形技術と関連して使用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー材料を射出成形するための成形型であって、前記成形型が、キャビティを画定する少なくとも2つの部品を備え、
前記成形型が、
導管部と、
液体ポリマー進入のための流路と、
コアピンと、
圧力分配手段と、
を備える、成形型。
【請求項2】
前記圧力分配手段がスリーブである、請求項1に記載の成形型。
【請求項3】
前記圧力分配手段がリングである、請求項1に記載の成形型。
【請求項4】
前記キャビティが円筒を画定する、請求項1に記載の成形型。
【請求項5】
前記導管部が針部を組み込む、請求項1に記載の成形型。
【請求項6】
前記圧力分配手段が、針先端を成形するための傾斜面を組み込む、請求項1に記載の成形型。
【請求項7】
前記導管部の複数の導管から構成される、請求項1に記載の成形型。
【請求項8】
前記圧力分配手段が、効率的な熱伝達特性を有する材料から構成される、請求項1に記載の成形型。
【請求項9】
前記圧力分配手段が金属材料から構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記コアピン用の安定装置からさらに構成される、請求項1に記載の成形型。
【請求項11】
前記導管部の長さが、前記コアピンの直径の少なくとも20倍である、請求項1に記載の成形型。
【請求項12】
液体ポリマー材料から物品を製造するための方法であって、
射出圧力に対して抵抗圧力を提供しつつ、加圧された液体ポリマーを成形型の前記キャビティ内に射出するステップを含む、方法。
【請求項13】
抵抗圧力の前記提供により、前記加圧された液体ポリマーが前記キャビティの全体にわたって分配される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
プログラミングされたマイクロプロセッサにより前記抵抗圧力を制御するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記抵抗圧力により導管の長さを画定するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
第2の加圧された液体ポリマーを射出するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の加圧された液体ポリマーが、第1の液体ポリマーとは異なる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記抵抗圧力を提供しつつ、前記加圧された液体ポリマーの潜熱を分散させるステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記抵抗圧力により画定された前記導管の長さが、前記導管の直径の少なくとも20倍である、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−513320(P2012−513320A)
【公表日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542628(P2011−542628)
【出願日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【国際出願番号】PCT/AU2009/001695
【国際公開番号】WO2010/071939
【国際公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(509174288)エスエスビー テクノロジー プロプライエタリー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】