説明

カバー装置、記録装置

【課題】カバー部材に大きな力が加わると、該カバー部材が、破損せずに支持部から外れ、且つカバー部材に特定の方向の力が加わった際には、カバー部材が支持部から外れないように構成されたカバー装置、該カバー装置を備えた記録装置を提供すること。
【解決手段】円錐面24を有する係合部2が設けられたカバー係合部材20と、該カバー係合部材20が進退可能であるように支持する支持部32と、該支持部32から突出した係合部22が挿通可能な挿通穴42を有するカバー部材40と、を備えて、挿通穴42に係合部22が挿通した係合状態では、カバー部材42が円錐面24の中心軸線回りに回転自在に構成されたカバー装置において、カバー係合部材20が支持部31に向かって退避すると、係合部22と挿通穴42が非係合状態となるように構成して、係合部22に、カバー係合部材20が支持部32に向かって退避することを阻止する平坦部26を設ける。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持部に対して回転可能であるように構成されたカバー部材を備え、該カバー部材が取り外し可能なカバー装置に関する。また該カバー装置を備えた、記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハウジングに設けられた支持部に対して回転可能であるように構成されたカバー部材が設けられ、該カバー部材が取り外し可能なカバー装置を備えた記録装置として、例えば特許文献1に記載のインク・ジェット・プリンタがある。
【0003】
該インク・ジェット・プリンタは、被記録媒体である記録用紙にインクを吐出して記録を実行する記録ヘッドと、該記録ヘッドにインクを供給するインクカートリッジの交換作業を行うための開口部を有するハウジングとしてのハウジング部材と、前記開口部を覆うことが可能なカバー部材としての記録部カバーとを備えている。また、該記録部カバーには、前記記録用紙の幅方向に突出する突起状の第2の回動軸が、当該記録部カバーの回転軸として設けられており、該第2の回動軸がハウジング部材の支持部に設けられた軸受部と嵌合するように構成されている。
【0004】
そして、記録部カバーは、第2の回動軸回りに回転して、前記開口部の開閉が可能であるように構成されており、カバー部材を開いて開口部を露呈した状態にすることで、ハウジング部材を取り外すことなく、インクカートリッジの交換作業が可能である。
【0005】
また、前記記録部カバーにおける前記両第2の回動軸の内側部分には、第2の回動軸付近が弾性変形し易いように、それぞれ切り欠き(特許文献1、図4参照)が設けられており、記録カバーは第2の回動軸付近を弾性変形させることによって、ハウジング部材に対して着脱可能であるように構成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−273981
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
記録部カバーは、当該記録部カバーを弾性変形させて、前記第2の回動軸を前記軸受部から抜き取ることで、記録装置本体から取り外し可能であるが、例えばインクカートリッジの交換作業が可能であるように記録部カバーを開放した状態で、誤って利用者の手が当たってしまうなど、記録部カバーに大きな外力が加わると、記録カバーにおいては前記切り欠き部分や第2の回動軸が破損してしまうことがあり、また、ハウジング部材が破損してしまうことがあった。記録カバーやハウジング部材が破損してしまうと、利用者自身によるメンテナンスは困難である。
【0008】
また、一般的にカバー部材の形状が、記録装置を持ち上げる際に、利用者にとって持ち易い形状、若しくは当該カバー部材を持って持ち上げることが可能な形状であると、利用者は当該カバー部材とハウジングとの接続部分(例えば前記第2の回動軸)の強度等を気にすることなく、カバー部材を持って記録装置を持ち上げてしまうことがある。すなわち、利用者は本来カバー部材が取っ手としての機能を有しないにも関わらず、カバー部材を持って記録装置を持ち上げてしまう場合がある。
【0009】
係る場合に、記録部カバーなどのカバー部材が、取り外し可能であるように構成されていると、利用者がカバー部材を持って記録装置を持ち上げた際に、記録装置本体の自重などによって、カバー部材が記録装置本体から外れてしまい、記録装置本体が落下するなどの虞がある。
カバー部材は、大きな力が加わった際に破損しないように外れ易く構成されているのが好ましい一方で、当該カバー部材を持って持ち上げた際には、外れないように構成されているのが理想的である。
【0010】
そこで、本発明の課題は、カバー部材に大きな力が加わると、カバー部材が破損せずに支持部から外れ、且つカバー部材に特定の方向の力が加わった際には、カバー部材が支持部から外れないように構成されたカバー装置、該カバー装置を備えた記録装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本願発明の第1の態様に係るカバー装置は、先端側に向けて半径の小さくなる円錐面を有する係合部が一方の端部に設けられたカバー係合部材と、該カバー係合部材が前記円錐面の中心軸線方向に進退可能であるように当該カバー係合部材を支持する支持部と、該支持部から突出するように進出した前記カバー係合部材の係合部が挿通可能な挿通穴を有するカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記挿通穴に前記係合部が挿通した係合状態では、前記円錐面の中心軸線回りに回転自在であるように構成されたカバー装置であって、前記係合部と前記挿通穴は、前記カバー係合部材が前記支持部に向かって退避すると、非係合状態となるように構成されており、前記係合部は、前記円錐面の中心軸線と平行な平坦部を有する略円錐形状であり、該平坦部は、前記挿通穴が当該平坦部に当接した際には、前記カバー係合部材が前記支持部に向かって退避することを阻止するように設けられていることを特徴とするものである。
第1の態様によれば、カバー部材の外れる方向及び外れない方向を規定することができるため、カバー部材を取り扱う際の安全性の向上を図ることが可能である。
【0012】
カバー部材に外力が加わって挿通穴が係合部に設けられた円錐面の母線部分に当接すると、挿通穴と係合部との間には当接力が生じる。係合部側の当接部分に生じる前記当接力は、係合部が退避する方向の成分を有しており、さらに係合部は円錐面の中心軸線方向に進退可能である。したがって、当該係合部は、支持部に向かって退避して、挿通穴から抜け出ることで、互いに係合していた当該係合部と当該挿通穴とが、どちらも破損することなく非係合状態となる。
【0013】
また一方で、カバー係合部材の係合部には、平坦部が設けられており、カバー部材に外力が加わって当該カバー部材の挿通穴が平坦部に当接した際に、当該当接部分に生じる当接力の主な成分は円錐面の中心軸線に対して垂直な方向の成分である。したがって、カバー係合部材は支持部に向かって退避せずに、係合部と挿通部との係合状態は保たれる。
【0014】
すなわち、平坦部はカバー係合部材が支持部に向かって退避することを阻止可能であるため、係合部における平坦部の位置によって、カバー部材が外れない方向を規定することができ、当該カバー部材が外れると危険な方向に当該カバー部材が外れてしまうのを阻止することが可能である。
したがって、カバー部材の用途に合わせて当該カバー部材の外れる方向及び外れない方向を規定することで、カバー部材の破損を防止すること、及びカバー部材を取り扱う際の安全性の向上を図ることが可能である。
【0015】
本願発明の第2の態様に係るカバー装置は、第1の態様において、前記係合部を付勢する付勢手段が備えられ、該付勢手段は前記係合部を前記支持部から進出させる方向に付勢するように設けられていることを特徴とするものである。
第2の態様によれば、付勢手段によって係合部が支持部から進出するように付勢されているため、係合部と挿通穴との係合状態をより確実に保つことができ、挿通穴が平坦部に当接した際に誤ってカバー係合部材が支持部に向かって退避してしまうことを防止できる。
【0016】
本願発明の第3の態様に係る記録装置は、第1又は第2の態様のカバー装置と、開口部を有するハウジングと、を備えた記録装置であって、前記支持部は、前記ハウジングに設けられ、前記カバー部材は、前記円錐面の中心軸線回りに回転して、前記開口部の開閉が可能であり、前記平坦部が前記係合部の下面部分に設けられていることを特徴とするものである。
【0017】
第3の態様によれば、平坦部が係合部の下面部分に設けられているため、利用者がカバー部材を持って記録装置を持ち上げても、カバー部材の外れない記録装置を得ることが可能であり、利用者が当該記録装置を持ち運ぶ際の安全性の向上を図ることができる。
【0018】
本来カバー部材は取っ手としての機能を有しておらず、カバー部材を持って記録装置を持ち上げると、記録装置の自重が記録装置本体とカバー部材との接続部に加わって記録装置本体からカバー部材が外れ、記録装置本体が落下してしまう虞がある。
【0019】
そこで、平坦部を係合部の下面部分に設けることで、カバー部材に対して上方に向かう力が加わっても、挿通穴は平坦部と当接して係合部がハウジング側に退避しないように構成する。そうすることで、利用者がカバー部材を持って記録装置を持ち上げても、当該カバー部材が記録装置本体から外れず、記録装置本体の落下を防止可能であり、利用者が当該記録装置を持ち運ぶ際の安全性の向上を図ることができる。
【0020】
本願発明の第4の態様に係る記録装置は、第3の態様において、インクカートリッジから供給されたインクを被記録媒体に向けて吐出する記録ヘッドと、前記インクカートリッジを収容可能なインクカートリッジ収容部と、を備え、前記開口部は、前記インクカートリッジ収容部に対して前記インクカートリッジを着脱する際に、当該開口部内をインクカートリッジが通過可能であるように構成されており、前記カバー部材は、前記インクカートリッジを前記インクカートリッジ収容部から取り出す方向に開くように構成された記録装置であって、前記係合部は、前記インクカートリッジを前記インクカートリッジ収容部から取り出す方向の力が前記カバー部材に加わると、前記挿通穴が前記円錐面に当接するように構成されていることを特徴とするものである。
【0021】
第4の態様によれば、インクカートリッジをインクカートリッジ収容部から取り出す方向の力がカバー部材に対して加わると、当該カバー部材の挿通穴は円錐面と当接することで、係合部がハウジングに向かって退避して、カバー部材が記録装置本体から外れるため、インクカートリッジ収容部からインクカートリッジを取り出す際に、インクカートリッジを持つ利用者の手がカバー部材とインクカートリッジとの間に強い力で挟まれてしまうことを防止できるようになっている。
また、カバー部材は破損せずに外れるため、利用者が当該外れたカバー部材を再び記録装置に取り付けることができる程度にまで、メンテナンス性の向上を図ることが可能である。
【0022】
本願発明の第5の態様に係る記録装置は、第4の態様において、前記インクカートリッジ収容部はインクカートリッジを水平方向に着脱可能であるように構成され、前記記録装置内から排出された被記録媒体を積畳可能な排出スタッカが前記開口部の上方に設けられ、前記円錐面が前記係合部の上面部分に設けられていることを特徴とするものである。
【0023】
第5の態様によれば、インクカートリッジ収容部からインクカートリッジを着脱可能であるようにカバー部材を開いた状態で、利用者が記録装置内から排出スタッカに排出された被記録媒体を取ろうとした際に、誤ってその利用者の手が上方からカバー部材に当たっても、円錐面が上面部分に設けられているため、当該カバー部材は破損せずに記録装置から外れ、利用者が自ら当該カバー部材を再び記録装置に取り付けることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明に係る記録装置及びカバー装置の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、記録装置の外観斜視図であり、カバー部材の一例であるインクカートリッジ・カバーがインクカートリッジ収容部を覆っている状態、すなわちインクカートリッジ・カバーを閉じた状態を示している。図2は、記録装置の外観斜視図であり、インクカートリッジ・カバーを開いてインクカートリッジ収容部が露呈された状態を示している。図3は、記録装置の内部についての側面からの要部拡大側面図である。図4は、記録装置に備えられたカバー装置を示す斜視図であり、インクカートリッジ・カバーが閉じている状態をハウジングの表面側から示している。図5は、記録装置に備えられたカバー装置を示す斜視図であり、インクカートリッジ・カバーが開いている状態を示している。図6は、カバー装置から取り外されたカバー係合部材を示す斜視図である。図7は、カバー装置に設けられたカバー係合部材付近の拡大斜視図であり、当該カバー装置からインクカートリッジ・カバーを外した状態を示している。図8は、カバー装置から取り外されたインクカートリッジ・カバーの挿通穴付近についての拡大斜視図である。図9は、カバー装置に設けられたカバー係合部材付近を図5と同じ方向から示した拡大斜視図であり、該カバー係合部に設けられた係合部がインクカートリッジ・カバーに設けられた挿通穴に挿通している状態を示している。図10は、カバー装置に設けられたカバー係合部材付近をハウジングの裏面側から示した拡大斜視図であり、該カバー係合部に設けられた係合部がインクカートリッジ・カバーに設けられた挿通穴に挿通している状態を示している。図11は、ハウジングの裏面側からカバー係合部材付近を拡大して示す拡大背面図であり、カバー係合部材の係合部がインクカートリッジ・カバーの挿通穴に挿通した状態を説明する図である。
【0025】
まず、本発明に係る記録装置の一例であるインクジェット式記録装置(以下、記録装置という)50の概略構成について説明し、続いて該記録装置50に備えられたカバー装置10の構成について説明する。
図1に示すように、記録装置50は、略箱形状に構成されたハウジング30に覆われており、該ハウジング30は、ハウジング前方部材30aとハウジング側面部材30b、30cとを備え、該ハウジング側面部材30b、30cの下方には取っ手36が設けられており、記録装置50を持ち上げる際に持ち易く成っている。
【0026】
記録装置50の前面には被記録媒体の一例である記録用紙を多数積畳可能な被記録媒体積畳部15として給紙カセット7が突出するように設けられており、該給紙カセット7の直上には、任意のサイズの記録用紙を給紙可能な手差し給紙部5が設けられている。
該手差し給紙部5の直上には、カバー装置10が設けられており、該カバー装置10は、カバー部材40の一例であるインクカートリッジ・カバー40aを備えている。カバー装置10の詳細については後述する。
【0027】
図2に示すように、インクカートリッジ・カバー40aは、開閉可能に構成されており、当該インクカートリッジ・カバー40aを開くと、ハウジング30に形成されたインクカートリッジ72交換用の開口部34と、インクカートリッジ72を収容可能なインクカートリッジ収容部70と、が露呈するように構成されている。
【0028】
すなわち、ハウジング30は開口部34を有し、当該開口部34は、インクカートリッジ収容部70に対してインクカートリッジ72を着脱する際、すなわちインクカートリッジ72を交換する際に、当該開口部34内をインクカートリッジ72が通過可能であるように構成されている。
また、記録装置50の上部には、排出スタッカ52の一例であるフェイスダウン(以下、Fdと略称する)排紙スタッカ52aを覆う排紙スタッカ・カバー52bが設けられている。
【0029】
図2に示すように、該排紙スタッカ・カバー52bは、記録装置50前方部分に設けられた回転軸を中心に回転して前方(前記開口部34の上方)に迫り出すように開き、当該排紙スタッカ・カバー52bは開いた状態にあると、当該記録実行後に記録面を下方に向けて記録装置50内から排出された記録用紙を積畳可能なFd排紙スタッカ52aの一部として機能するように構成されている。
【0030】
尚、Fd排紙スタッカ52aが、前記開口部34の上方に設けられているため、開口部34の開閉用に設けられたインクカートリッジ・カバー40aは、Fd排紙スタッカ52aの一部として機能する排紙スタッカ・カバー52bとの干渉を避けるために、前方に迫り出しながら下方に向かって回転して開くように構成されている。
【0031】
また、記録装置50の背面には、排出スタッカ52の一例であるフェイスアップ(以下、Fuと略称する)排紙スタッカ53が備えられており、記録実行後に記録面を斜め上方に向けて記録装置50から排出される記録用紙を積畳可能であるように構成されている。
【0032】
そして、記録装置50は、図3に示すように、ホッパ揺動中心203a回りに揺動可能で給紙カセット7及び手差し給紙部5に積畳された記録用紙を積畳方向押し上げるホッパ203と、該ホッパ203が図示しないホッパ駆動手段に駆動されて押し上げられた記録用紙を単位数ずつ分離して給紙可能な分離・給紙手段80と、前記インクカートリッジ72から供給されたインクを、分離・給紙手段80から給紙された記録用紙に向けてインクを吐出して記録を実行する記録実行手段としての記録ヘッド62が設けられたキャリッジ63を有する記録実行部60と、を備えており、分離・給紙手段80によって、記録用紙を給紙カセット7又は手差し給紙部5から記録実行部60に向けて給紙して、当該記録実行部60において記録の行われた記録用紙を、Fd排紙スタッカ52a又はFu排紙スタッカ53へと排出するように構成されている。
尚、分離・給紙手段80及び記録実行部60については後述する。
【0033】
以上が、本発明に係る記録装置50の概略構成についての説明であり、以下、該記録装置50に備えられたカバー装置10の構成について説明する。
図4は、記録装置50に備えられたカバー装置10を示している。カバー装置は、ハウジング前方部材30aに備えられた支持部31と、該支持部31に取り付けられたインクカートリッジ・カバー40aと、を備えている。ハウジング部材は支持部31として、記録装置右側部分に設けられた右側支持部32と、記録装置左側部分に設けられた左側支持部33と、を有し、インクカートリッジ・カバー40aは、下部を両側から支持されている。
【0034】
また、図5に示すように、カバー装置10には、前記右側支持部32から突出可能であるように当該右側支持部32に支持されたカバー係合部材20が備えられ、該カバー係合部材20はインクカートリッジ・カバー40aの右側カバー取付面40b(図8参照)に設けられた挿通穴42に挿通している。
一方、左側支持部33は固定された突起(図示せず)を有し、該突起がインクカートリッジ・カバー40aの左側カバー取付面40cに設けられた穴(図示せず)を支持している。まず、右側支持部32付近の構成について詳細について説明する。
【0035】
図6に示すように、右側支持部32に備えられたカバー係合材20は、一方の端部に先端側に向けて半径の小さくなる円錐面24を有する係合部22が設けられており、他端側には、円錐面24の中心軸線方向に伸びる支持軸28aが設けられており、また支持軸28aと平行に伸びて先端に鈎状部28cを有するストッパ28bが2本設けられている。
【0036】
カバー係合部材20の係合部22は、前記円錐面24の中心軸線と平行な平坦部26を有する略円錐形状に形成されている。さらに本実施例において、係合部22は、インクカートリッジ・カバー40aを取り付け易くするために、円錐面24の中心軸線に対して円錐面24の母線部分よりも急な傾斜を有する傾斜面27を備えると共に、内部の中空部29が露呈するように形成されている。
【0037】
図7に示すように、カバー係合材20は、ハウジング前方部材30aに設けられた右側支持部32に対して、前記円錐面24の中心軸線方向に進退可能であるように支持されていて、係合部22が右側支持部32の右側支持部端面32aから突出可能であるように構成されている。
すなわち、右側支持部32には、円錐面24の中心軸線方向に長い溝状のガイド部32bが設けられ、カバー係合部材20は、前記ストッパ28bがガイド部32bに嵌合して、当該ガイド部32bに沿って(円錐面24の中心軸線方向に)スライド可能(進退可能)であるように備えられている。
【0038】
さらに、カバー係合部材20は、ストッパ28bがガイド部32bに嵌合しているため、円錐面24の中心軸線回りには回転せず、本実施例では、カバー係合部材20は、前記円錐面24が上方に位置して、前記平坦部26が下方に位置して、前記傾斜面27が前方に位置するように、右側支持部32に対して備えられている。
インクカートリッジ・カバー40aは、図8に示すように、右側カバー取付面40bに挿通穴42を有している。本実施例において、該挿通穴42は、カバー係合部材20の係合部22の先端が挿通可能な程度の内径の円形状に形成されている。
【0039】
図9及び図10は、インクカートリッジ・カバー40aが取り付けられたカバー装置10のカバー係合部材20付近を拡大した図であり、図9は、図5と同じ方向、すなわちハウジング前方部材30aの表面側からの斜視図であり、図10は、ハウジング前方部材30aの裏面側からの斜視図である。また、図9は、インクカートリッジ・カバー40aを開けた状態であり、図10は、インクカートリッジ・カバー40aを閉じた状態である。また図11は、ハウジング前方部材30aの裏面側からカバー係合部20材付近を拡大して示す拡大背面図であり、カバー係合部材20の係合部22がインクカートリッジ・カバー40aの挿通穴42に挿通した状態を説明する図である。
【0040】
図9又は図10に示すように、支持部31とインクカートリッジ・カバー40aは、右側カバー取付面40b(図8参照)と右側支持部端面32aとが対向(図11も参照)しており、当該右側カバー取付面40bに設けられた挿通穴42には、右側支持部32から突出するように進出したカバー係合部材20の係合部22が挿通している。
【0041】
また、図10又は図11に示すように、カバー装置10には、カバー係合部材20の係合部22を付勢する付勢手段12としてコイルばね12aが備えられ、該コイルばね12aは係合部22を右側支持部32から進出させる方向に付勢するように設けられている。
【0042】
カバー係合部材20は、コイルばね12aによって係合部22が右側支持部32から突出するように付勢されているが、その一方で図11に示すように、右側支持部端面32aから係合部22が一定量突出すると、前記ストッパ28bの鈎状部28cが、右側支持部32に引っ掛かるように構成されており、それ以上当該係合部22が支持部32から突出しないように構成されている。
【0043】
また、カバー係合部材20は、前記円錐面24の中心軸線方向に進退可能であるため、係合部22に対して図11の右に向かう力が加わると、当該係合部22が右側支持部材32に向かって退避するように移動可能であり、本実施例では、係合部22の先端が、右側支持部端面32aよりも、さらに右側支持部32の内部まで退避可能であり、係合部22と挿通穴42は、カバー係合部材20が右側支持部32に向かって退避すると、非係合状態となるように構成されている。
【0044】
記録装置左側に設けられた左側支持部33(図4、図5参照)には、既述したように突起(図示せず)が設けられ、左側支持部33と対向するように取り付けられる左側カバー取付面40c(図5参照)には前記突起が挿通可能な穴(図示せず)が設けられている。そして、当該穴に前記突起が挿通するように左側カバー取付面40cと左側支持部33とを組合せると、インクカートリッジ・カバー40aが左側支持部33に対して回転可能であり、且つ当該回転の回転中心軸線と、右側支持部32に備えられたカバー係合部材20の円錐面24の中心軸線と、が一致するように成っている。
【0045】
尚、インクカートリッジ・カバー40aをカバー装置10に取り付ける際には、まず左側カバー取付面40cと左側支持部33とを組合せた後、右側支持部32に備えられたカバー係合部材20の係合部22を右側支持部32内に退避させた状態で、右側支持部端面32aと右側カバー取付面40bを対向させて、挿通穴42に係合部22を挿通させることによって取り付ける。
【0046】
カバー装置10に取り付けられたインクカートリッジ・カバー40aは、挿通穴42に係合部22が挿通した係合状態では、前記円錐面24の中心軸線回りに回転自在であるように構成されており、当該インクカートリッジ・カバー40aを回転して開くと、図2のように、前方に迫り出すように構成されている。
【0047】
以上が、記録装置50に備えられたカバー装置10の構成について説明であり、以下、インクカートリッジ・カバー40aに外力が加わった際のカバー装置10の動作について、主に図11を参照しつつ説明する。
図11に示すように、カバー係合部材20に設けられた係合部22の上面部分には、円錐面24が備えられており、当該係合部22の下面部分には、平坦部26が備えられている。既述したように、ストッパ28bがガイド部32bに嵌合しており、カバー係合部材20は、円錐面24の中心軸線周りに回転すること無く(係合部22の円錐面24と平坦面26とがそれぞれの位置を保ったまま)、当該円錐面24の中心軸線方向に進退可能であるように支持されている。
【0048】
そして、係合部22はハウジング前方部材30aに設けられた右側支持部32から突出して、インクカートリッジ・カバー40aに設けられた挿通穴42に挿通し、インクカートリッジ・カバー40aが、円錐面24の中心軸線回りに回転して、開口部34の開閉が可能であるように設けられている。
【0049】
まず、インクカートリッジ・カバー40aに対して、上方からの外力が加わった場合のカバー係合部材20の動きについて説明する。インクカートリッジ・カバー40aに上方からの外力が加わると、挿通穴42が係合部22に設けられた円錐面24の母線部分に当接し、挿通穴42と円錐面24との間には当接力が生じる。円錐面24側の当接部分は、円錐面24の中心軸線に対して傾いており、当該円錐面24側の当接部分に生じる前記当接力は、円錐面24の中心軸線方向の成分を有する。
【0050】
既述したように、係合部22は、円錐面24の中心軸線方向に進退可能であるため、当該係合部22は円錐面24側の当接部分に生じる前記当接力の円錐面24の中心軸線方向成分によって、右側支持部32に向かって退避する。
そして、係合部22の先端が右側支持部32まで達して、係合部22が挿通穴42から抜け出ると、互いに係合していた当該係合部22と当該挿通穴42とが、どちらも破損することなく非係合状態となり、インクカートリッジ・カバー40aは、カバー装置10から外れることとなる。
【0051】
そのため、例えば図2のようにインクカートリッジ・カバー40aを開いた状態で、利用者がFd排紙スタッカ52aに排出された記録用紙を取ろうとした際に、誤ってその利用者の手が上方からインクカートリッジ・カバー40aに当たった場合等に、インクカートリッジ・カバー40aは、破損することなくカバー装置10から外れる。
また、インクカートリッジ・カバー40aは、記録装置50前方に向かう力が加わった場合にも、カバー装置10から外れるように成っている。
【0052】
本実施例において、インクカートリッジ収容部70はインクカートリッジ72を水平方向に着脱可能であるように構成されており、インクカートリッジ72の交換は、インクカートリッジ収容部70が露呈するようにインクカートリッジ・カバー40aを開放した状態で行う。
【0053】
インクカートリッジ72の取り外しについては、インクカートリッジ収容部70に装着されたインクカートリッジ72を、記録装置50の背面から前面に向けて引き出すことで取り外し、逆にインクカートリッジ72の装着については、インクカートリッジ収容部70のインクカートリッジ72が装着されていない箇所に対して、記録装置50の前面から背面に向けて装着すべきインクカートリッジ72を差し込むことで装着する。
【0054】
また、図2に示すように、インクカートリッジ・カバー40aは、インクカートリッジ72をインクカートリッジ収容部70から取り出す方向に開くように構成されている。
そのため、インクカートリッジ収容部70からインクカートリッジ72を取り出す際に、インクカートリッジ72を持つ利用者の手がインクカートリッジ・カバー40aとインクカートリッジ72との間に強い力で挟まれてしまう虞がある。
【0055】
そこで、インクカートリッジ72を持つ利用者の手がインクカートリッジ・カバー40aとインクカートリッジ72との間に強い力で挟まれてしまうことを防止するために、係合部22は、インクカートリッジ72をインクカートリッジ収容部70から取り出す方向の力がインクカートリッジ・カバー40aに加わると、挿通穴42が円錐面24に当接するように構成されている。
【0056】
すなわち、本実施例において、係合部22は上面部分だけでなく背面部分にも円錐面24が設けられており、インクカートリッジ・カバー40aに対して記録装置50前方に向かう力(インクカートリッジ72をインクカートリッジ収容部70から取り出す方向の力)が加わると、挿通穴42が係合部22の背面部分に設けられた円錐面24と当接するため、上方からの力が加わった場合と同様に係合部22が支持部32に向かって退避して、インクカートリッジ・カバー40aが外れるように構成されている。
【0057】
尚、カバー装置10に対するインクカートリッジ・カバー40aの取り付け作業は、既述したように比較的容易であり、インクカートリッジ・カバー40aが破損せずに外れれば、利用者が自ら当該カバー部材を再び記録装置に取り付けることができるため、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0058】
また、既述したように係合部22には、傾斜面27が設けられており、インクカートリッジ・カバー40aをカバー装置10に取り付ける際に、インクカートリッジ・カバー40aと左側支持部33とを組合せた後、当該傾斜面27に右側カバー取付面40bを押し付けると、挿通穴42が円錐面24と当接した場合と同様に、係合部22が右側支持部32a内に退避するため、利用者が該係合部22を手で押さえて退避させる必要がなく、インクカートリッジ・カバー40aの取り付け作業が、より簡素化されている。
【0059】
続いて、インクカートリッジ・カバー40aに対して、下方からの外力が加わった場合について説明する。インクカートリッジ・カバー40aに下方からの外力が加わると、挿通穴42は平坦部26と当接する。既述したように、平坦部26は円錐面の中心軸線と平行であるため、挿通穴42と平坦部26との当接部分に生じる当接力の主な成分は円錐面24の中心軸線に対して垂直な方向の成分となる。
【0060】
したがって、カバー係合部材20は、右側支持部32に向かって退避せずに、係合部22と挿通部42との係合状態は保たれ、インクカートリッジ・カバー40aはカバー装置50から外れないように成っている。すなわち、平坦部26は、挿通穴42が当該平坦部26に当接した際には、カバー係合部材20が右側支持部32に向かって退避することを阻止する。
【0061】
尚、本実施例においては、平坦部26のストッパ28b側には円錐面24が設けられているため、挿通穴42が平坦部26のストッパ28b側に設けられた円錐面24に当接することもあり、挿通穴42と円錐面24とが当接した場合には、一旦は上方からの外力が加わった場合と同様に、係合部26には円錐面24の中心軸線方向の力が生じる。
【0062】
そして、係合部26に生じた円錐面24の中心軸線方向の力によって、カバー係合部材20が、右側支持部32に向かって若干退避した後、挿通穴42は平坦部26と当接して、カバー係合部材20の右側支持部32への退避は阻止される。
【0063】
つまり、インクカートリッジ・カバー40aは、下方から外力が加わってもカバー装置10から外れないため、記録装置50の利用者が、インクカートリッジ・カバー40aを持って当該記録装置50を持ち上げても、インクカートリッジ・カバー40aは記録装置50から外れないように構成されている。
【0064】
本実施例において、インクカートリッジ・カバー40aは、本来取っ手としての機能を有していないが、図1に示すように、インクカートリッジ・カバー40aの直下には、手差し給紙部5からの給紙用の給紙口5aが設けられているため、利用者が該給紙口5aに手を入れて、インクカートリッジ・カバー40aの下部に手を掛けることができる。
【0065】
インクカートリッジ・カバー40aの下部に手を掛けて記録装置50を持ち上げた際に、記録装置50本体からインクカートリッジ・カバー40aが外れて、記録装置本体が落下してしまうと危険である。
そこで、平坦部26を係合部22の下面部分に設けることで、インクカートリッジ・カバー40aに対して上方に向かう力が加わっても、挿通穴42が平坦部26と当接して、係合部22が右側支持部32内に退避しないように構成し、利用者がインクカートリッジ・カバー40aを持って記録装置50を持ち上げても、当該インクカートリッジ・カバー40aが記録装置50本体から外れず、記録装置50本体の落下を防止して、利用者が当該記録装置50を持ち運ぶ際の安全性の向上を図っている。
【0066】
以上が、インクカートリッジ・カバー40aに外力が加わった際のカバー装置10の動作についての説明であり、以下、主に図3を参照しつつ、分離・給紙手段20及び記録実行部60について説明する。
図3に示すように、分離・給送手段20は、ピックアップローラ85と、給紙ローラ81とリバースローラ83と、を備えており、ピックアップローラ85は、前記ホッパ203が被記録媒体積畳部15である給紙カセット7又は手差し給紙部5に積畳された記録用紙を押し上げることによって、当該積畳された記録用紙を押圧可能であるように構成されている。尚、図3については、説明を容易にするため、給紙カセット7又は手差し給紙部5を図示していない。
【0067】
ピックアップローラ85は、符号SFの方向に回転することで、下方から押圧された記録用紙を給紙ローラ81及びリバースローラ83に向けて送出すように構成されている。
給紙ローラ81は、ピックアップローラ85から送られた記録用紙をさらに下流側に位置する記録実行部60に向けて給紙するように、符号AFの方向に回転し、リバースローラ83は、記録用紙を上流側に戻すように、符号RRの方向に回転するように構成されている。
【0068】
さらにリバースローラ83は、給紙ローラ81に対して接離可能で、記録用紙の給紙時には、記録用紙は給紙ローラ81とリバースローラ83との間に挟持された状態で給紙ローラ81の回転によって下流へと給紙される。
また、リバースローラ83は、リバースローラ軸83aに対してトルクリミッタ83bを介して設けられており、当該リバースローラ83に対して記録用紙を給紙する方向の負荷トルクが加わり、当該負荷トルクが所定の負荷トルクを上回ると、当該リバースローラ83は記録用紙を下流に位置する記録実行部60向けて給紙する方向に回転するように構成されている。そして、給紙ローラ81とリバースローラ83との間に挟持された記録用紙が1単位の場合には、給紙ローラ81が当該記録用紙を介してリバースローラ83を駆動し、リバースローラ83は記録用紙を下流に位置する記録実行部60向けて給紙する方向に回転する。
【0069】
したがって、記録用紙を給紙する際には、図3に示すように、ホッパ203が押し上げられて、積畳された記録用紙がピックアップローラ85に押圧されて、ピックアップローラ85が回転することによって、記録用紙は給紙ローラ81及びリバースローラ83に向けて送出される。送出された記録用紙は、記録用紙は給紙ローラ81とリバースローラ83に挟持されて、両ローラ81、83の回転によって、記録実行部60に向けて単位数ずつ給紙される。
【0070】
記録実行部60には、前記キャリッジ63を支持するキャリッジガイド軸64と、前記記録ヘッド62と対向するように設けられたプラテン65と、記録ヘッド62の上流側に位置して、記録用紙をプラテン65に沿って記録ヘッド62と対向する状態で搬送する搬送手段としての搬送用ローラ対66と、記録ヘッド62の下流側に位置して、記録用紙を記録装置の外部に向けて送る排出手段としての排出用ローラ対67と、が備えられている。
【0071】
分離・給紙手段80から記録実行部60に向けて給紙された記録用紙は、前記搬送用ローラ対67に達して、当該搬送用ローラ対67に挟持される。搬送用ローラ対67は、挟持した記録用紙をプラテン65に沿って間欠的に所定の搬送量ずつ搬送する。前記キャリッジ63は、記録用紙が所定量ずつ量送られる毎に、紙面表裏方向(主走査方向)に伸びるキャリッジガイド軸64に沿って往復移動する。
【0072】
前記記録ヘッド62は当該往復移動中に記録用紙に向けてインクを吐出することで記録を実行し、記録用紙は、そのまま下流側へと送られて、排出用ローラ対67に達して、当該排出用ローラ対67に挟持される。排出用ローラ対67は、挟持した記録用紙をさらに下流へと送ることで、記録実行領域から記録用紙を排出し、当該記録用紙は、補助ローラ68にガイドされて、記録装置50の外部へと排出される。
【0073】
尚、本実施例において、キャリッジ63はインクカートリッジを搭載せず、インクカートリッジ収容部70に装着されたインクカートリッジ72から、図示しないインクチューブを介して記録ヘッド62へとインクが供給されるように構成されている。また、各色のインクカートリッジ72には、各インクカートリッジ72に関する情報を担持したICチップ74がそれぞれ装着されている。このICチップ74には、インクの色などの固定情報の他、インク残量などの変動情報を記憶する記憶装置が内蔵されている。各ICチップ74には、受信アンテナ(図示せず)がそれぞれ接続されており、一方で主走査方向に往復動するキャリッジ63には、前記受信アンテナへ無線信号を送信する送信アンテナ(図示せず)を備えたアンテナ基板76が略垂直に立設されている。
【0074】
そして、アンテナ基板76は、キャリッジ63が主走査方向に移動することにより、主走査方向に並んで複数配設されたインクカートリッジ72のうちの、1つのインクカートリッジ72のICチップ74と対向する。そして、ICチップ74と通信することにより、ICチップ74に記憶された各種情報を、図示しない記録装置50の制御部へと送信することができるようになっている。
【0075】
【図面の簡単な説明】
【図1】インクカートリッジ・カバーを閉じた記録装置の外観斜視図。
【図2】インクカートリッジ・カバーを開いた記録装置の外観斜視図。
【図3】記録装置の内部についての側面からの要部拡大側面図。
【図4】インクカートリッジ・カバーが閉じたカバー装置の斜視図。
【図5】インクカートリッジ・カバーが開いたカバー装置の斜視図。
【図6】カバー装置から取り外されたカバー係合部材の斜視図。
【図7】カバー係合部材付近の拡大斜視図。
【図8】インクカートリッジ・カバーの挿通穴付近の拡大斜視図。
【図9】図5のカバー係合部材付近の拡大斜視図。
【図10】カバー係合部材付近のハウジング裏面側からの拡大斜視図。
【図11】カバー係合部材付近のハウジング裏面側からの拡大背面図。
【符号の説明】
12 付勢手段、 12a コイルばね、 20 カバー係合部材、
22 係合部、 24 円錐面、 26 平坦部、 28a 支持軸、
28b ストッパ、 28c 鈎状部、 30a ハウジング前方部材、
31 支持部、 32 右側支持部、 32a 右側支持端面、
40 カバー部材、 40a インクカートリッジ・カバー、
40b 右側カバー取付面、 42 挿通穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側に向けて半径の小さくなる円錐面を有する係合部が一方の端部に設けられたカバー係合部材と、該カバー係合部材が前記円錐面の中心軸線方向に進退可能であるように当該カバー係合部材を支持する支持部と、該支持部から突出するように進出した前記カバー係合部材の係合部が挿通可能な挿通穴を有するカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記挿通穴に前記係合部が挿通した係合状態では、前記円錐面の中心軸線回りに回転自在であるように構成されたカバー装置であって、
前記係合部と前記挿通穴は、前記カバー係合部材が前記支持部に向かって退避すると、非係合状態となるように構成されており、
前記係合部は、前記円錐面の中心軸線と平行な平坦部を有する略円錐形状であり、
該平坦部は、前記挿通穴が当該平坦部に当接した際には、前記カバー係合部材が前記支持部に向かって退避することを阻止するように設けられていることを特徴とするカバー装置。
【請求項2】
請求項1において、前記係合部を付勢する付勢手段が備えられ、該付勢手段は前記係合部を前記支持部から進出させる方向に付勢するように設けられていることを特徴とするカバー装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカバー装置と、開口部を有するハウジングと、を備えた記録装置であって、
前記支持部は、前記ハウジングに設けられ、前記カバー部材は、前記円錐面の中心軸線回りに回転して、前記開口部の開閉が可能であり、前記平坦部が前記係合部の下面部分に設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3において、インクカートリッジから供給されたインクを被記録媒体に向けて吐出する記録ヘッドと、前記インクカートリッジを収容可能なインクカートリッジ収容部と、を備え、
前記開口部は、前記インクカートリッジ収容部に対して前記インクカートリッジを着脱する際に、当該開口部内をインクカートリッジが通過可能であるように構成されており、
前記カバー部材は、前記インクカートリッジを前記インクカートリッジ収容部から取り出す方向に開くように構成された記録装置であって、
前記係合部は、前記インクカートリッジを前記インクカートリッジ収容部から取り出す方向の力が前記カバー部材に加わると、前記挿通穴が前記円錐面に当接するように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項4において、前記インクカートリッジ収容部はインクカートリッジを水平方向に着脱可能であるように構成され、前記記録装置内から排出された被記録媒体を積畳可能な排出スタッカが前記開口部の上方に設けられ、前記円錐面が前記係合部の上面部分に設けられていることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2004−306521(P2004−306521A)
【公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−105603(P2003−105603)
【出願日】平成15年4月9日(2003.4.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】