説明

カムシャフトのカムロブ外周面の検査方法及びその装置

【課題】カムシャフト1回転あたりのカムロブの外周面の各部位の検査回数を増やし、検査精度が向上したカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法及びその検査装置。
【解決手段】軸線Xからの距離が変化するカムロブを備えるカムシャフトを回転させ、カムロブ外周面2aに光を照射しながら撮影手段13により撮影し、撮影した画像により該カムロブ外周面2aの凹部を検出するカムロブ外周面の検査方法において、カムロブ外周面2aへ向う第一方向に光を照射すると同時に、第一方向に対して軸線Xを中心に10〜80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第二方向、及び、第一方向に対して軸線Xを中心に−10〜−80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第三方向に光を照射しカムロブ外周面2aで光を重ね合わせ、撮影手段13で撮影された画像のカムロブ外周面2aの明るさを所定値以上とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの吸気弁及び排気弁を開閉駆動するための動弁機構に使用されるカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軸線からカムロブ外周面までの距離が変化するカムロブを有するカムシャフトを回転させ、カメラによりカムロブ外周面を撮影し、撮影した画像によりカムロブ外周面の巣穴や傷等の凹部を検査するカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、図7及び図8に示す如く、カムロブ外周面102aの検査の際にカムロブ外周面102aに発光体114から光を照射し、カメラ113によりカムロブ外周面102aを撮影し、図9及び図10に示す如く、撮影した画像126a、126bによりカムロブ外周面102aに凹部がないか検査するカムシャフト101のカムロブ外周面102aの検査方法及びその検査装置110が知られている。このカムロブ外周面102aに光を照射し、カムロブ外周面102aに凹部121がないか検査する検査装置110では、カメラ113からカムロブ外周面102aへ向う方向に対してカムシャフト101の軸線Xを中心に約45度傾斜した延長線上に配置された発光体114bからカムロブ外周面102aへ向う方向、及び、カメラ113からカムロブ外周面102aへ向う方向に対してカムシャフト101の軸線Xを中心に約−45度傾斜した延長線上に配置された発光体114cからカムロブ外周面102aへ向う方向に光を照射している。
【0004】
このカムシャフト101の軸線Xを中心に約45度及び約−45度傾斜した延長線上の発光体114b、114cからカムロブ外周面102aへ向う方向に光を照射するカムロブ外周面102aの検査方法では、カメラ113で撮影した画像126aは、図9に示す如く、カメラ113に一番近いカムロブ外周面102aの中央部付近が暗く、カムロブ外周面102aの中央部を挟んだカムロブ外周面の両端が明るくなる。そして、カムロブ外周面102aの中央部の暗い部分122とカムロブ外周面の両端の明るい部分120の間は暗い部分から明るい部分へ変化するグラディエーション部分123を含んでいる。また、カムシャフト101のカムロブ外周面102aはカムシャフト101の軸線Xからの距離が変化するため、図8に示す如くカムシャフト101を回転させると図10の画像126bに示す如く、明るい部分120、暗い部分及びグラディエーション部分123は、カムシャフト101の軸線Xと垂直方向に長くなったり、短くなったりしながら移動してしまう(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公平8−20369号公報
【0006】
【特許文献2】特許第2531750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記特許文献2のカムロブ外周面を検査する検査装置はカメラにより撮影された画像の内、明るさが所定値以上である部分を検査範囲として設定し、検査範囲内に明るさが所定値以下の暗い部分があれば巣穴や傷等の凹部と判定する。
【0008】
しかし、カメラにより撮影された画像の内、明るさが所定値以上である部分を検査範囲として設定するため、カムロブ外周面の各部位に関し、撮影はされているが明るさが所定値以下である暗い部分及びグラディエーション部分については検査が行われず、回転して光があたり明るさが所定値以上になった時しか検査が行われていない。このため、カムシャフトの回転速度を所定の回転速度、カメラの撮影間隔を所定の間隔に設定した場合、カムロブ外周面の明るさが所定値以下である部分は検査が行われないため、このカムシャフトの検査装置ではカムシャフトを1回転する間のカムロブ外周面の各部位の検査回数が少なくなるという問題があった。また、グラディエーション部分の値を所定値としてしまうと、凹部でないが明るさが所定値以下の部分を凹部として誤判定してしまう問題があった。
【0009】
本発明は、上記事情により鑑みなされたもので、カムシャフト1回転あたりのカムロブの外周面の各部位の検査回数を増やし、検査精度を向上させ、誤判定の少ないカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法及びその検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法は、軸線からカムロブ外周面までの距離が変化するカムロブを備えるカムシャフトを回転させ、カムロブ外周面に光を照射しながら撮影手段によりカムロブ外周面を撮影し、撮影した画像により外周面の凹部を検出するカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法において、検査時に撮影手段からカムロブ外周面へ向う第一方向に光を照射すると同時に、第一方向に対してカムシャフトの軸線を中心に10〜80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面へ向う第二方向、及び、第一方向に対してカムシャフトの軸線を中心に−10〜−80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面へ向う第三方向に光を照射しカムロブ外周面で光を重ね合わせ、撮影手段で撮影された画像のカムロブ外周面の明るさを所定値以上とすることを特徴とすることを第一の特徴とする。
【0011】
本発明のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法は、撮影した画像に対する検査範囲を固定することを第二の特徴とする。
【0012】
本発明のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法は、光を反射させることにより第一方向、第二方向、又は、第三方向の光を作成することを第三の特徴とする。
【0013】
本発明のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法は、光の反射にカムシャフトの軸線に対する垂直断面が略半円形状の反射部材を用いることを第四の特徴とする。
【0014】
また、本発明のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置は、軸線を中心にカムシャフトを回転させる駆動部と、カムシャフトのカムロブ外周面に照射する光を発生する発光体と、カムロブ外周面を撮影する撮影手段と、撮影手段により撮影された画像からカムロブ外周面の凹部を検査する検査制御部とを有するカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置において、発光体は、撮影手段からカムロブ外周面へ向う第一方向の光を発生する第一発光体と、第一方向に対してカムシャフトの軸線を中心に10〜80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面へ向う第二方向の光を発生する第二発光体と、第一方向に対してカムシャフトを中心に−10〜−80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面へ向う第三方向の光を発生する第三発光体とを備えることを第一の特徴とする。
【0015】
本発明のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置は、検査制御部は撮影した画像に対する検査範囲を固定する制御プログラムを有することを第二の特徴とする。
【0016】
本発明のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置は、発光体の光を反射する反射部材を有し、反射部材からの光がカムシャフトのカムロブ外周面に照射されることを第三の特徴とする。
【0017】
本発明のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置は、反射部材はカムシャフトを検査装置に配置した場合のカムシャフトの軸線に対する垂直断面が略半円形状であることを第四の特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第一の特徴のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法によれば、少なくとも軸線からカムロブ外周面までの距離が変化するカムロブを備えるカムシャフトを回転させ、カムロブ外周面に光を照射しながら撮影手段によりカムロブ外周面を撮影し、撮影した画像により外周面の凹部を検出するカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法において、検査時に撮影手段からカムロブ外周面へ向う第一方向に光を照射すると同時に、第一方向に対してカムシャフトの軸線を中心に10〜80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面へ向う第二方向、及び、第一方向に対してカムシャフトの軸線を中心に−10〜−80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面へ向う第三方向に光を照射しカムロブ外周面で光を重ね合わせ、撮影手段で撮影された画像のカムロブ外周面の明るさを所定値以上とするため、撮影手段に写るカムロブ外周面の中央部を含め、広範囲にわたり絶えず所定の明るさを有し、1回転あたりのカムロブの外周面の各部位の検査回数を増やすことができ、しかも、グラディエーションが発生することがないので、グラディエーションによる誤判定を防止できる。また、カムロブ外周面の中央部を含め絶えず所定の明るさを有する範囲ができるので、この部分に検査範囲を固定することが可能となる。
【0019】
また、本発明の第二の特徴のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法によれば、撮影した画像に対する検査範囲を固定するため、検査装置の検査制御部のプログラムの設計を容易とすることができる。
【0020】
更に、本発明の第三の特徴のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法によれば、光を反射させることにより第一方向、第二方向、又は、第三方向の光を作成するため、光を作成する発光体の配置の自由度が増す。このため、容易にカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法を実現することができる。
【0021】
その上、本発明の第四の特徴のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法によれば、光の反射にカムシャフトの軸線に対する垂直断面が略半円形状の反射部材を用いるため、光が反射部材外に逃げることがない。このため、効率よくカムシャフトのカムロブ外周面に光を照射することができる。
【0022】
本発明の第一の特徴のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置によれば、軸線を中心にカムシャフトを回転させる駆動部と、カムシャフトのカムロブ外周面に照射する光を発生する発光体と、カムロブ外周面を撮影する撮影手段と、撮影手段により撮影された画像からカムロブ外周面の凹部を検査する検査制御部とを有するカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置において、発光体は、撮影手段からカムロブ外周面へ向う第一方向の光を発生する第一発光体と、第一方向に対してカムシャフトの軸線を中心に10〜80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面へ向う第二方向の光を発生する第二発光体と、第一方向に対してカムシャフトを中心に−10〜−80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面へ向う第三方向の光を発生する第三発光体とを備えるため、上記のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法を容易に実現することができる。
【0023】
また、本発明の第二の特徴のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置によれば、検査制御部は撮影した画像に対する検査範囲を固定する制御プログラムを有するため、検査装置の検査制御部のプログラムの設計が容易な上記のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法を容易に実現することができる。
【0024】
更に、本発明の第三の特徴のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置によれば、発光体の光を反射する反射部材を有するため、発光体の配置の自由度が増した上記のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法を容易に実現することができる。
【0025】
その上、本発明の第四の特徴のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置によれば、反射部材はカムシャフトを検査装置に配置した場合のカムシャフトの軸線に対する垂直断面が略半円形状であるため、効率よくカム面に光を照射する上記カムシャフトのカムロブ外周面の検査方法を容易に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1乃至図5は、本発明の第一実施例を示すもので、図1は、カムシャフトの正面図、図2は、カムシャフトのカムロブ外周面の検査装置とカムシャフトの部分断面側面図、図3は、カムシャフトのカムロブ外周面の検査装置とカムシャフトを表し、カムシャフトが図2に対し30度回転した時の部分断面側面図、図4は、図2時点における撮影手段による画像を表す図、図5は、図3時点における撮影手段による画像を表す図、図6は、本発明の第二実施例を示すもので、カムシャフトのカムロブ外周面の検査装置及びカムシャフトの部分断面正面図である。
【実施例1】
【0027】
まず、図1に基づいてカムシャフト1を説明する。カムシャフト1は、軸線方向に延びるシャフト4と、シャフト4上に軸線方向に所定の間隔をおいて組み付けられた複数のカムロブ2及び複数のジャーナル3を有する。図2に示す如く、カムロブ2は、軸線Xからカムロブ外周面2aまでの距離が変化する。すなわち、軸線Xからカムロブ外周面2aまでの距離が同一のベース部2bとベース部2bより軸線Xからカムロブ外周面2aまでの距離が長いカムトップ部2cを有する。
【0028】
次に図2に基づいてカムシャフト1のカムロブ外周面2aの検査装置10を説明する。カムシャフト1のカムロブ外周面2aの検査装置10は、ベース板11と、ベース板11に固定され、ベース板11に対し垂直方向へ伸びる支柱12を有する。支柱12の上部には、カムシャフト1のカムロブ外周面2aを撮影する撮影手段13としてカメラが固定されている。このカメラは例えば200万画素程度の性能のものを用いるとよい。ベース板11とカメラの間には、カムシャフト1が軸線Xを中心に回転可能に固定されている。ベース板11とカメラの間のカムシャフト1の上部には、カムシャフト1のカムロブ外周面2aに向けて光を照射する第一発光体14a、第二発光体14b及び第三発光体14cからなる発光体14が発光体ガイド15によって支柱12に固定されている。ここで、第一発光体14aは、カメラとカムロブ2の間でカメラとカムロブ2を結ぶ直線上に配置され、第二発光体14bは、第一発光体14aに対しカムシャフト1の軸線Xを中心に約−45度傾斜した直線上の第一発光体14aとカムシャフト1の間に配置され、第三発光体14cは、カメラとカムロブ2の間で第一発光体14aに対しカムシャフト1の軸線Xを中心に約45度傾斜した直線上の第一発光体14aとカムシャフト1の間に配置されている。すなわち、第一発光体14aは撮影手段13からカムロブ外周面2aへ向う第一方向の光を発生し、第二発光体14bは第一方向に対してカムシャフト1の軸線Xを中心に約45度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第二方向の光を発生し、第三発光体14cは第一方向に対してカムシャフト1を中心に約−45度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第三方向の光を発生する。
【0029】
第一発光体14aの中央部には、撮影手段13がカムシャフト1のカムロブ外周面2aを撮影できるように撮影窓15が設けられている。ここで、カメラとカムシャフト1の距離は800〜1200mmが好適である。カメラとカムシャフト1の距離を800mm以上とすることで軸線Xからカムロブ外周面2aまでの距離が変化してもカメラがカムロブ外周面2aを撮影した時にピントが合いやすく視野角が大きくなり、複数のカムを一度に撮影し検査することができる。また、図示はしないがカムシャフト検査装置10はカムシャフト外周面2aの巣穴21aや傷21b等の凹部21が無いか判定する検査プログラムを実行する検査制御部を有している。
【0030】
次にカメラで撮影された画像26について説明する。図4及び図5は、カメラにより撮影された画像26a、26bを表す。第一発光体14aからの光と第二発光体14bからの光と第三発光体14cからの光をカムロブ外周面2aで重ね合わせることにより、カムロブ外周面2aの発光体に向かい合う上半部は全て所定の明るさ(10,000以上)を有する。所定の明るさを有する部分は図4及び図5の白色部分である。カムシャフト1の検査装置10の検査制御部は、回転してもカムロブ外周面2aが絶えず存在する部分を検査範囲25として設定する。尚、カムロブ外周面2aの明るさが20,000ルクス以上あると、凹部21内に光が入り、凹部21が暗く写らない可能性があるため、20,000ルクス以下であることが好ましい。
【0031】
続いて、図2乃至図4に基づいてカムロブ外周面2aの巣穴や傷等の凹部21を検出するカムシャフト1のカムロブ外周面2aの検査方法について説明する。まず、カムシャフト検査装置10にカムシャフト1を軸支し所定の速さ(例えば1回転10秒)で回転させる。次に第一発光体14aと、第二発光体14bと、第三発光体14cとを点灯し、第一発光体14aにより撮影手段13からカムロブ外周面2aへ向う第一方向に光を照射すると同時に、第二発光体14bにより第一方向に対してカムシャフトの軸線Xを中心に約45度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第二方向に光を照射し、第三発光体14cにより第一方向に対してカムシャフトの軸線を中心に約−45度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第三方向に光を照射して、カムロブ外周面2aの上半部において光を重ね合わる。これにより、カメラに写るカムロブ外周面2aの画像は、カムシャフト1が回転しても絶えず所定の明るさを有する。
【0032】
カメラは所定の周期毎(例えば100ms毎)にカムロブ外周面2aを撮影し、画像26a、26bを得る。カムロブ外周面2aの360度を10秒で回転し100ms毎に画像26a、26bを撮影すると、カムシャフト外周面2aが1回転する間に100枚の画像26a、26bを得る。
【0033】
カムシャフト1の検査装置10の検査制御部は、画像26a、26bの検査範囲25の中に規格以上の大きさの巣穴や傷等の凹部21がないか判別し、規格以上の大きさの凹部21がある場合は、そのカムシャフト1を不合格品とする。逆に規格以上の大きさの巣穴21aや傷21b等の凹部21がない場合は、そのカムシャフト1を合格品とする。カムシャフト外周面2aが1回転する間に100枚の画像26を得ると、カムロブ外周面2aの1度に対し約3.6回で検査することができる。
【0034】
以上のように、少なくとも軸線からカムロブ外周面2aまでの距離が変化するカムロブ2を備えるカムシャフト1を回転させ、カムロブ外周面2aに光を照射しながら撮影手段13によりカムロブ外周面2aを撮影し、撮影した画像26a、26bによりカムロブ外周面2aの凹部21を検出するカムシャフト1のカムロブ外周面2aの検査方法において、検査時に撮影手段13からカムロブ外周面2aへ向う第一方向に光を照射すると同時に、第一方向に対してカムシャフトの軸線を中心に約45度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第二方向、及び、第一方向に対してカムシャフト1の軸線Xを中心に約−45度傾斜した延長線上からカムロブ外周面へ向う第三方向に光を照射しカムロブ外周面2aで光を重ね合わせ、撮影手段13で撮影された画像26a、26bのカムロブ外周面2aの明るさを所定値以上とするため、撮影手段13に写るカムロブ外周面2aの中央部を含め、広範囲にわたり絶えず所定の明るさ部分20を有する。このため、1回転あたりのカムロブ外周面2aの各部位の検査回数を増やすことができる。また、カムロブ外周面2aの中央部を含め絶えず所定の明るさを有する範囲ができるので、その部分に検査範囲25を固定することが可能となる。
【0035】
また、撮影した画像26a、26bに対する検査範囲25を固定するため、カムシャフト検査装置10の検査制御部のプログラムの設計を容易とすることができる。
【0036】
軸線Xを中心にカムシャフト1を回転させる駆動部と、カムシャフト1のカムロブ外周面2aに照射する光を発生する発光体14と、カムロブ外周面2aを撮影する撮影手段13と、撮影手段13により撮影された画像からカムロブ外周面2aの凹部21を検査する検査制御部とを有するカムシャフト1のカムロブ外周面2aの検査装置10において、発光体14は、撮影手段13からカムロブ外周面2aへ向う第一方向の光を発生する第一発光体14aと、第一方向に対してカムシャフト1の軸線Xを中心に約45度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第二方向の光を発生する第二発光体14bと、第一方向に対してカムシャフト1を中心に約−45度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第三方向の光を発生する第三発光体14cとを備えるため、上記のカムシャフト1のカムロブ外周面2aの検査方法を容易に実現することができる。
【0037】
また、検査制御部は撮影した画像26に対する検査範囲25を固定する制御プログラムを有するため、検査装置の検査制御部のプログラムの設計が容易な上記のカムシャフト1のカムロブ外周面2aの検査方法を容易に実現することができる。
【0038】
尚、第二発光体14bを第一方向に対してカムシャフト1の軸線Xを中心に約45度傾斜した延長線上に配置し、第三発光体14cを第一方向に対してカムシャフト1を中心に約−45度傾斜した延長線上に配置したが、カムロブ外周面2aで光を重ね合わせ、撮影手段13で撮影された画像26a、26bのカムロブ外周面2aの明るさを所定値以上とする配置であればよく、第二発光体14bを第一方向に対してカムシャフト1の軸線Xを中心に10〜80度傾斜した延長線上に配置し、第三発光体14cを第一方向に対してカムシャフト1を中心に−10〜80度傾斜した延長線上に配置してもよい。
【実施例2】
【0039】
次に第二実施例としてのカムシャフト1のカムロブ外周面2aの検査装置50を図6に基づき説明する。検査装置50は、発光体14の光を反射する反射部材51を有している。反射部材51の1つである反射ミラー51aは発光体ガイド15に取り付けられた発光体14dの水平方向へ向う光を反射し、撮影手段13からカムロブ外周面2aへ向う第一方向の光を発生する。また、反射部材51の1つであるカムシャフトの軸線に対する垂直断面が略半円形状の反射材51bは、ベース板11近くの発光体14e、14fの上方向へ向う光を反射し、第一方向に対してカムシャフト1の軸線Xを中心に約45度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第二方向の光と、第一方向に対してカムシャフト1を中心に約−45度傾斜した延長線上からカムロブ外周面2aへ向う第三方向の光を発生する。
【0040】
尚、第二実施例のカムロブ外周面2aの検査方法は、撮影手段13が反射ミラー51aを通して画像26を撮影する以外は、第一実施例と同様である。
【0041】
以上のように、第二実施例のカムロブ外周面2aの検査方法によれば、発光体14dの光を反射させることにより第一方向の光を作成するため、光を作成する発光体14dの配置の自由度が増す。このため、容易にカムシャフトのカムロブ外周面2aの検査方法を実現することができる。
【0042】
その上、光の反射にカムシャフトの軸線Xに対する垂直断面が略半円形状の反射材51bを用いるため、光が反射部材外に逃げることがない。このため、効率よくカムシャフト1のカムロブ外周面2aに光を照射することができる。発光体14e、14fの光を反射させることにより第一方向、第二方向、又は、第三方向の光を作成する。このため、光を作成する発光体14e、14fの配置の自由度が増す。
【0043】
尚、第二実施例において反射部材51として反射ミラー51aや反射材51bを用いたが、第一実施例においても適宜選択して用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のカムシャフトの正面図である。
【図2】本発明の第一実施例のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置とカムシャフトの部分断面側面図である。
【図3】本発明の第一実施例のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置とカムシャフトで、カムシャフトが図2に対し30度回転した時の部分断面側面図である。
【図4】本発明の第一実施例の図2時点における撮影手段による画像を表す図である。
【図5】本発明の第一実施例の図3時点における撮影手段による画像を表す図である。
【図6】本発明の第二実施例のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置及びカムシャフトの部分断面側面図である。
【図7】従来のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置とカムシャフトの部分断面側面図である。
【図8】従来のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置とカムシャフトで、カムシャフトが図7に対し30度回転した時の部分断面側面図である。
【図9】従来の図7時点における撮影手段による画像を表す図である。
【図10】従来の図8時点における撮影手段による画像を表す図である。
【符号の説明】
【0045】
1 カムシャフト
2 カムロブ
2a カムロブ外周面
13 撮影手段(カメラ)
14 発光体
14a、14d 第一発光体
14b、14e 第二発光体
14c、14f 第三発光体
21 凹部
25 検査範囲
26、26a、26b 画像
51 反射部材
X カムシャフトの軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも軸線(X)からカムロブ外周面(2a)までの距離が変化するカムロブ2を備えるカムシャフト1を回転させ、カムロブ外周面(2a)に光を照射しながら撮影手段(13)により該カムロブ外周面(2a)を撮影し、撮影した画像(26)により該カムロブ外周面(2a)の凹部(21)を検出するカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法において、
検査時に前記撮影手段(13)からカムロブ外周面(2a)へ向う第一方向に光を照射すると同時に、該第一方向に対してカムシャフト(1)の軸線(X)を中心に10〜80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面(2a)へ向う第二方向、及び、第一方向に対してカムシャフト(1)の軸線(X)を中心に−10〜−80度傾斜した延長線上からカムロブ外周面(2a)へ向う第三方向に光を照射しカムロブ外周面(2a)で光を重ね合わせ、撮影手段(13)で撮影された画像(26)のカムロブ外周面(2a)の明るさを所定値以上とすることを特徴とするカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法。
【請求項2】
前記撮影した画像(26)に対する検査範囲(25)を固定することを特徴とする請求項1に記載のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法。
【請求項3】
光を反射させることにより前記第一方向、前記第二方向、又は、前記第三方向の光を作成することを特徴とする請求項1又は2に記載のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法。
【請求項4】
前記光の反射にカムシャフトの軸線に対する垂直断面が略半円形状の反射鏡(51b)を用いることを特徴とする請求項3に記載のカムシャフトのカムロブ外周面の検査方法。
【請求項5】
軸線(X)を中心にカムシャフト(1)を回転させる駆動部と、カムシャフト(1)のカムロブ外周面(2a)に照射する光を発生する発光体(14)と、カムロブ外周面を撮影する撮影手段(13)と、撮影手段(13)により撮影された画像(26)からカムロブ外周面(2a)の凹部(21)を検査する検査制御部とを有するカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置において、
前記発光体(14)は、前記撮影手段(13)から前記カムロブ外周面(2a)へ向う第一方向の光を発生する第一発光体(14a、14d)と、該第一方向に対して前記カムシャフト(1)の軸線(X)を中心に10〜80度傾斜した延長線上から前記カムロブ外周面へ向う第二方向の光を発生する第二発光体(14b、14e)と、前記第一方向に対して前記カムシャフト(1)を中心に−10〜−80度傾斜した延長線上から前記カムロブ外周面(2a)へ向う第三方向の光を発生する第三発光体(14c、14f)とを備えることを特徴とするカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置。
【請求項6】
前記検査制御部は前記撮影した画像(26)に対する検査範囲(25)を固定する制御プログラムを有することを特徴とする請求項5に記載のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置。
【請求項7】
前記発光体(14)の光を反射する反射鏡(51)を有し、前記反射鏡(51)からの光が前記カムシャフト(1)のカムロブ外周面(2a)に照射されることを特徴とする請求項5又は6に記載のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置。
【請求項8】
前記反射鏡(51)はカムシャフトを検査装置に配置した場合のカムシャフトの軸線に対する垂直断面が略半円形状であることを特徴とする請求項7に記載のカムシャフトのカムロブ外周面の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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