説明

カメラ、カメラ付きロボット

【課題】広角レンズ部と望遠レンズ部とを具備したカメラ、および、それを用いたカメラ付きロボットを提供する。
【解決手段】カメラ50は、広角レンズ(低倍率広角レンズ群1および高倍率広角レンズ群6)を有する第1レンズ部としての広角レンズ部と、前記広角レンズよりも高倍率の望遠レンズ(高倍率望遠レンズ群5)を有し撮影状態を制御可能な第2レンズ部としての望遠レンズ部20と、撮影対象物21からの入射光の光束の光軸11を、広角レンズ部10の光軸13の方向と望遠レンズ部20の光軸12の方向とに分割するハーフミラー2と、広角レンズ部10および望遠レンズ部20を経た入射光を撮像する撮像素子15,16とを含み、望遠レンズ部20の撮像素子16の手前には、光軸12が通過するレンズ41を概光軸12と直交するX−Y方向に動かす駆動部としてのX−Y駆動部40を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ、および、それを用いたカメラ付きロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
作業対象物のカメラ画像から距離や形状を計測する技術が、組み立てロボット、検査ロボット、移動ロボットなどの産業用ロボットのための視覚や、CAD形状データの入力などの工業計測に利用されている。例えば、カメラ付きロボットに用いる画像認識用のカメラには、作業対象物を広角な視野で撮影するカメラ機能と、その広角カメラ機能により撮影された画像から、所望の部分を迅速かつ正確に探索して高倍率に拡大して撮影する望遠カメラ機能とを具備していることが要求される。
このようなカメラ付きロボットに適用可能な広角レンズ部と望遠レンズ部とを備えたカメラが、例えば特許文献1に紹介されている。
【0003】
特許文献1に記載のカメラ(カメラ装置システム)は、広角な視野で撮影対象物を撮影する広角レンズ部(広角カメラ部)と、撮影対象物の一部視野を高倍率に拡大して撮影可能な望遠レンズ部(望遠カメラ部)とを有しており、これら2つのレンズ部により撮影対象物の広角撮影と望遠撮影とを同時に行い、望遠レンズ部に備わる焦点調整レンズ部(ズーム)やX−Y駆動系(パン・チルト)などの撮影操作によって撮影方向と撮影倍率を制御し、広角レンズ部が撮像する全景内の所望の方向の一部を望遠撮影することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−238326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のカメラでは、広角レンズ部と望遠レンズ部との2つの光軸を有しているので、広角レンズ部により撮影される撮影対象物の全景映像の所望の一部分を探索して望遠レンズ部により望遠撮影するためには、2つの光軸の位置関係を予めキャリブレーションしておく必要があったり、また、光軸の異なる広角映像から所望の一部分を探索するための複雑な制御が必要になったりするなどの課題があった。
また、例えば、特許文献1のカメラをロボットに搭載してカメラ付きロボットを構成した場合に、広角レンズ部の映像と望遠レンズ部の映像との画角が不一致となることにより、2つのレンズ部の画像の位置関係が錯綜して画像認識に誤差が生じることによってカメラ付きロボットが所望の作業を実行できない虞があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例にかかるカメラは、所定の倍率のレンズを有する第1レンズ部と、前記第1レンズ部よりも高倍率のレンズを有し撮影状態を制御可能な第2レンズ部と、撮影対象物からの入射光の光束の光軸を、前記第1レンズ部の光軸の方向と前記第2レンズ部の光軸の方向とに分割するビームスプリッターと、前記第1レンズ部および前記第2レンズ部を経た前記入射光を撮像する撮像素子と、を含むことを特徴とする。
【0008】
上記構成のカメラによれば、撮影対象物からの入射光の光束の光軸をビームスプリッターにより第1レンズ部の光軸の方向と第2レンズ部の光軸の方向とに二分割しているので、第1レンズ部の光軸と第2レンズ部の光軸とは実質的に一致している。これにより、第1レンズ部と第2レンズ部との視差が生じないので、視野の広い第1レンズ部(広角レンズ部)が撮影する撮影対象物の全景内の所望の一部分を、迅速、且つ、正確に探索して第2レンズ部(望遠レンズ部)により望遠撮影することができる。
【0009】
[適用例2]上記適用例にかかるカメラにおいて、前記第2レンズ部は、前記第2レンズ部の光軸が通過するレンズを有し該レンズを前記第2レンズ部の光軸と直交する方向に動かすことが可能な駆動部を備えたことを特徴とする。
【0010】
これによれば、第1レンズ部が撮影する撮影対象物の全景内の所望の一部分を、カメラの姿勢を変えることなく高倍率の第2レンズ部の視野に収めて望遠撮影することができる。
【0011】
[適用例3]上記適用例にかかるカメラにおいて、前記駆動部が前記第2レンズ部のレンズと前記撮像素子との間の前記第2レンズ部から出射された光の光軸に配置されたことを特徴とする。
【0012】
これによれば、少ない動力で駆動部を駆動させて撮影対象物の所望の部分を望遠撮影することができる。
【0013】
[適用例4]上記適用例にかかるカメラにおいて、前記駆動部のレンズが単レンズであることを特徴とする。
【0014】
これによれば、駆動部の小型・軽量化が図られるので、より少ない動力で駆動部を駆動させることができる。
【0015】
[適用例5]上記適用例にかかるカメラにおいて、前記撮像素子が、前記第1レンズ部および前記第2レンズ部の各々に配置されたことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、第1レンズ部および第2レンズ部による撮影対象物の撮像を同時に行うことができるので、より高速で高精度に第1レンズ部の全景内の所望の一部分の望遠撮影を第2レンズ部によって行うことができる。
【0017】
[適用例6]本適用例にかかるカメラ付きロボットは、上記適用例のいずれかに記載されたカメラと、前記カメラにより取得した撮影対象物としての作業対象物の画像による距離および形状のうち少なくとも一方の情報に基づいて前記作業対象物に対して作業を実施するロボット部と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
これによれば、上記適用例のカメラを備えていることにより、作業対象物の形状や位置を高速、且つ、高精度に認識してロボット部の制御を行えるので、高性能なカメラ付きロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のカメラの光学系の一実施形態の概略構成を示すブロック図。
【図2】カメラの光学系の変形例の概略構成を示すブロック図。
【図3】本発明のカメラを用いたカメラ付きロボットの構成例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
〔カメラ〕
図1は、本発明におけるカメラの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
図1において、本実施形態のカメラ30は、撮影対象物21を広角な視野で撮影する第1レンズ部としての広角レンズ部10と、広角レンズ部10が有するレンズよりも高倍率なレンズを有し撮影対象物21の一部視野を高倍率に拡大して撮影する制御が可能な第2レンズ部としての望遠レンズ部20と、撮影対象物21からの入射光の光束の光軸11を広角レンズ部10の光軸13の方向と望遠レンズ部20の光軸12の方向とに分割するビームスプリッターとしてのハーフミラー2と、広角レンズ部10および望遠レンズ部20を経た撮影対象物21からの入射光をそれぞれ撮像する撮像素子15,16とを備えている。
【0022】
広角レンズ部10は、撮影対象物21から撮像素子15への間の一光軸上に配置され、最低一つのレンズを含み、一般的には複数のレンズを含んでいる(図中、撮影対象物21から撮像素子15に延びる光軸には光軸11および光軸13の2つの符号が付されているが、これらは一つの光軸である)。
また、広角レンズ部10は、撮影対象物21側に配置された所定の倍率のレンズを有する低倍率広角レンズ群1と、その低倍率広角レンズ群1のレンズよりも高倍率のレンズを有し低倍率広角レンズ群1と撮像素子15との間に配置された高倍率広角レンズ群6とを含む。
【0023】
撮影対象物21からの入射光の光軸11は、ハーフミラー2により広角レンズ部10の光軸13の方向と望遠レンズ部20の光軸12の方向とに分割されている。本実施形態では、撮影対象物21からの入射光(光軸11)が入射される広角レンズ部10の前段部位としての低倍率広角レンズ群1と後段部位としての高倍率広角レンズ群6との間にハーフミラーが配置され、光軸11が、広角レンズ部10の光軸13の方向と望遠レンズ部20の光軸12の方向とに分割されている。
【0024】
撮影対象物21から広角レンズ部10の低倍率広角レンズ群1に入射した入射光(光軸11)は、一部がハーフミラー2を透過して直進し(光軸13)、入射光の他の一部がハーフミラー2により反射されて望遠レンズ部20の前段部位である焦点調整レンズ群3に入射する。
ハーフミラー2を透過して直進した入射光の一部(光軸13)は、高倍率広角レンズ群6を経て広角レンズ部10用の撮像素子15に至る。
また、ハーフミラー2により反射された入射光の他の一部(光軸12)は、焦点調整レンズ群3を経てミラー4により所定の方向に屈曲し、高倍率望遠レンズ群5を経て望遠レンズ部20用の撮像素子16に至る。
【0025】
なお、望遠レンズ部20の高倍率望遠レンズ群5は、ズームレンズ系とすることができる。
また、撮像素子15,16には、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーなどを用いることができる。
【0026】
上記構成のカメラ30によれば、撮影対象物21からの一つの入射光の光束の光軸11をハーフミラー2により広角レンズ部10の光軸13の方向と望遠レンズ部20の光軸12の方向とに二分割しているので、広角レンズ部10の光軸13と望遠レンズ部20の光軸12とは実質的に一致している。これにより、注視点(代表的には例えば画面中央)に対して広角レンズ部10と望遠レンズ部20との視差が生じず、複雑な制御を必要とすることなく、視野の広い広角レンズ部10が撮影する撮影対象物21の全景内の所望の一部分を、迅速、且つ、正確に探索して望遠レンズ部20により望遠撮影することができる。
【0027】
また、上記構成のカメラ30では、広角レンズ部10および望遠レンズ部20の各々に撮像素子15,16が配置されている。
これにより、広角レンズ部10および望遠レンズ部20による撮影対象物21の撮像を同時に行うことができるので、より高速、且つ、高精度に、広角レンズ部10による撮影対象物21の全景内の所望の一部分の望遠撮影を望遠レンズ部20により行うことができる。
【0028】
上記第1の実施形態で説明したカメラ30は、以下の変形例として実施することも可能である。
【0029】
以下、カメラの変形例について図面を参照して説明する。
(変形例)
図2は、カメラの光学系の変形例の概略構成を示すブロック図である。なお、上記実施形態との共通部分については同一符号を付して説明を省略し、上記実施形態と異なる構成を中心に説明する。
図2において、本変形例のカメラ50の概略構成は、上記第1の実施形態のカメラ30(図1を参照)とほとんど同じ構成となっている。即ち、カメラ50は、広角レンズ部10と、望遠レンズ部20と、撮影対象物21からの入射光の光軸11を広角レンズ部10の光軸13の方向と望遠レンズ部20の光軸12の方向とに分割するハーフミラー2と、広角レンズ部10および望遠レンズ部20を経た撮影対象物21からの入射光をそれぞれ撮像する撮像素子15,16とを備えている。
【0030】
本変形例のカメラ50の望遠レンズ部20には、望遠レンズ部20の光軸12が通過するレンズ41を光軸12と直交するX−Y方向に動かす駆動部としてのX−Y駆動部40が備えられている。さらに詳細には、レンズ41を含むX−Y駆動部40は、第2レンズ部としての望遠レンズ部20と撮像素子16との間の望遠レンズ部20から出射された光の光軸12が通過するように配置されている。
【0031】
本変形例のカメラ50の構成によれば、望遠レンズ部20に備えられたX−Y駆動部40により、広角レンズ部10が撮影する撮影対象物21の全景内の所望の一部分を、カメラ50の姿勢を変えることなく高倍率の望遠レンズ部20の視野に収めて望遠撮影することができる。
また、上記構成のように、カメラ50の望遠レンズ部20において、X−Y駆動部40が望遠レンズ部20用の撮像素子16の手前に配置されていることにより、少ない動力でX−Y駆動部40を駆動させて撮影対象物21の所望の部分を望遠撮影することができる。
【0032】
なお、本変形例のカメラ50において、X−Y駆動部40のレンズ41には、例えば凸レンズなどの単レンズが用いられている。これにより、X−Y駆動部40の小型・軽量化が図られるので、より少ない動力でX−Y駆動部40を駆動させることができる。
【0033】
上記第1の実施形態および変形例のカメラ30,50は、作業対象物(撮影対象物)の形状や位置を認識するカメラと、そのカメラにより取得される作業対象物の撮像データに基づいて作業対象物に対して作業を実施するロボットとを含むカメラ付きロボットのカメラとして好適である。以下、上記第1の実施形態および変形例のカメラ30,50を用いたカメラ付きロボットの一実施形態について図面に沿って説明する。
【0034】
(第2の実施形態)
〔カメラ付きロボット〕
図3は、カメラ付きロボット(カメラ付きロボットシステム)の構成例を示す説明図である。なお、本実施形態では、上記実施形態および変形例で説明したカメラ30およびカメラ50のうち、変形例のカメラ50を搭載したカメラ付きロボットについて説明する。
図3において、カメラ付きロボット100は、作業対象物としてのワークWに対して作業を実施するロボット部110と、ワークWの形状や位置を認識するカメラ50と、ワークWを載置する載置部70と、制御部150とを備えている。
【0035】
本実施形態では、ロボット部110に所謂多関節型ロボットを用いたカメラ付きロボット100について説明する。ロボット部110は、ベース25と、アーム17A,17Bと、ロボットハンド119を含む手首部118と、それぞれを回動自在に支持する関節部である第1軸112、第2軸114、第3軸116とを有している。
ロボット部110を設置するベース25は、第1回転軸111を備え、ベース25より上方のロボット部110本体を設置面との鉛直軸を中心に回転させることができる。ベース25には、第1軸112を介してアーム17Aが回動自在に取り付けられている。アーム17Aは、第2回転軸113を備え、アーム17A自身が軸方向に回転することができる。アーム17Aには、第2軸114を介してアーム17Bが回動自在に取り付けられている。
【0036】
アーム17Bは、第3回転軸115を備え、アーム17B自身が軸方向に回転することができる。アーム17Bには、第3軸116を介して手首部118が回動自在に取り付けられている。
手首部118の先端にはロボットハンド119が設けられ、ワークWに対して作業を実施できるようになっている。これらの第1〜第3軸112,114,116、第1〜第3回転軸111,113,115、およびロボットハンド119は、図示しないモーターや空圧機器等により操作される複数のアクチュエーター(不図示)の駆動により回動するように構成されている。複数のアクチュエーターは、制御部150からのケーブル85を介して送られる制御信号に基づいて駆動される。
【0037】
カメラ50(図2を併せて参照のこと)は、ロボット部110の手首部118に設置されている。このカメラ50により撮像されたワークWを含む画像は、画像信号としてケーブル86を介して制御部150に送られる。
【0038】
制御部150は、画像処理装置130と、ロボット動作制御部44と、光照射制御部45と、コンピューター60とを少なくとも有している。
光照射制御部45は、ワークWが載置される載置部70に対して所定の周期で光を照射する光照射部48を有している。光照射部48は、ケーブル87により光照射制御部45に接続され、ワークWに対して光を照射する周期等が制御される。
画像処理装置130は、画像入力部32と、位置情報取得部34とを少なくとも有し、ロボット部110のカメラ50で撮像され画像入力部32を介して入力されたワークWを含む画像を処理してワークWの形状や位置の情報を取得する。
位置情報取得部34は、例えば、画像比較部35と、点拡散関数算出部36と、画像生成部37と、位置算出部39とを有し、種々の演算処理を行ってワークWの形状や位置の情報を取得する。
コンピューター60は、中央処理装置として機能し、図示しないCPU、RAM、ROM、HDD、シーケンサー、およびロボットコントローラー等からなるハードウェア資源と、ROMやHDD等に記憶された種々のソフトウェアとを有機的に協働させることにより、ロボット部110、画像処理装置130、および光照射制御部45等を総括的に制御する。
ロボット動作制御部44は、コンピューター60の指令に基づいて上述のロボット部110の動作を制御しワークWに対して所定の作業を実施する。
【0039】
カメラ付きロボット100は、載置部70に載置されたワークWに対して所定の作業を実施する。本実施形態では、生産効率向上、および設備の汎用化や簡素化のためにワークWの整列装置や位置決め装置を設けていないため、ワークWは載置部70上にランダムな姿勢で載置されるものと仮定する。このため、ロボット部110は、作業を実施するワークWの位置や姿勢をワークW毎に検出する必要がある。したがって、カメラ付きロボット100は、カメラ50を用いて載置部70に載置されるワークWを撮像して位置検出を行う。
【0040】
カメラ50は、上記変形例で説明した構成を有している。即ち、図2に示すように、上記第1の実施形態のカメラ30(図1を参照)とほとんど同じ構成となっている。即ち、カメラ50は、広角レンズ部10と、望遠レンズ部20と、撮影対象物21(図3においてワークWを含む載置部70)からの入射光の光軸11を広角レンズ部10の光軸13の方向と望遠レンズ部20の光軸12の方向とに分割するハーフミラー2と、広角レンズ部10および望遠レンズ部20を経た撮影対象物21(載置部70)からの入射光をそれぞれ撮像する撮像素子15,16とを備え、さらに、望遠レンズ部20の撮像素子16の手前に、望遠レンズ部20の光軸12が通過するレンズ41を光軸12と直交するX−Y方向に動かすX−Y駆動部40が備えられている。
これにより、広角レンズ部10が撮影する撮影対象物21の全景(ワークWを含む載置部70)内の所望の一部分(ワークW)を、カメラ50の姿勢を変えることなく高倍率の望遠レンズ部20の視野に収めて望遠撮影することができる。したがって、図3に示すカメラ付きロボット100の載置部70において、作業対象物であるワークWの形状や位置を高速、且つ、高精度に認識してロボット部110の制御を行えることにより、高性能なカメラ付きロボット100を提供することができる。このように、本発明のカメラ(上記第1の実施形態および変形例においてカメラ30,50)は、カメラ付きロボットなどに用いるマシンビジョンとして好適である。
【0041】
以上、発明者によってなされた本発明の実施の形態について具体的に説明したが、本発明は上記した実施の形態およびその変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0042】
例えば、上記第1の実施形態および変形例では、広角レンズ部10および望遠レンズ部20の各々に撮像素子15,16が配置した。これに限らず、本発明のカメラにおいて撮像素子は一つであってもよい。
撮像素子を一つにする場合には、図1および図2において、例えば、広角レンズ部10側の撮像素子15をそのまま配置することとして、望遠レンズ部20の光軸12を、高倍率望遠レンズ群5を通過した後でビームスプリッターを用いて広角レンズ部の光軸13と一致させればよい。
【0043】
また、上記変形例のカメラ50において、X−Y駆動部40のレンズ41に例えば凸レンズなどの単レンズを用いた。これに限らず、レンズ41は、例えば凸レンズと凹レンズとを貼り合わせた所謂複合レンズ等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0044】
1…低倍率広角レンズ群、2…ビームスプリッターとしてのハーフミラー、3…焦点調整レンズ群、4…ミラー、5…第2レンズ部としての望遠レンズ部の高倍率望遠レンズ群、6…第1レンズ部としての広角レンズ部の高倍率広角レンズ群、10…第1レンズ部としての広角レンズ部、11…入射光の光軸、12…第2レンズ部としての望遠レンズ部を通過する光軸、13…第1レンズ部としての広角レンズ部を通過する光軸、15,16…撮像素子、17A,17B…アーム、20…第2レンズ部としての望遠レンズ部、21…撮影対象物、25…ベース、30,50…カメラ、32…画像入力部、34…位置情報取得部、35…画像比較部、36…点拡散関数算出部、37…画像生成部、39…位置算出部、40…駆動部としてのX−Y駆動部、41…レンズ、44…ロボット動作制御部、45…光照射制御部、48…光照射部、60…コンピューター、70…載置部、85,86,87…ケーブル、100…カメラ付きロボット、110…ロボット部、111…第1回転軸、112…第1軸、113…第2回転軸、114…第2軸、115…第3回転軸、116…第3軸、118…手首部、119…ロボットハンド、130…画像処理装置、150…制御部、W…作業対象物としてのワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の倍率のレンズを有する第1レンズ部と、
前記第1レンズ部よりも高倍率のレンズを有し撮影状態を制御可能な第2レンズ部と、
撮影対象物からの入射光の光束の光軸を、前記第1レンズ部の光軸の方向と前記第2レンズ部の光軸の方向とに分割するビームスプリッターと、
前記第1レンズ部および前記第2レンズ部を経た前記入射光を撮像する撮像素子と、を含むことを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラにおいて、
前記第2レンズ部は、前記第2レンズ部の光軸が通過するレンズを有し該レンズを前記第2レンズ部の光軸と直交する方向に動かすことが可能な駆動部を備えたことを特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラにおいて、
前記駆動部が前記第2レンズ部のレンズと前記撮像素子との間の前記第2レンズ部から出射された光の光軸に配置されたことを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のカメラにおいて、
前記駆動部のレンズが単レンズであることを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のカメラにおいて、
前記撮像素子が、前記第1レンズ部および前記第2レンズ部の各々に配置されたことを特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載されたカメラと、
前記カメラにより取得した撮影対象物としての作業対象物の画像による距離および形状のうち少なくとも一方の情報に基づいて前記作業対象物に対して作業を実施するロボット部と、を備えたことを特徴とするカメラ付きロボット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−5425(P2013−5425A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138232(P2011−138232)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】