カメラの自動焦点合わせ
カメラは、像信号を生成するように構成された像センサと、レンズ構造とを含む。レンズ構造は像センサに像の焦点を合わせ、焦点は付与された制御信号に応じて可変である。ヒステリシスを起こす圧電アクチュエータを用いてレンズ構造の移動を駆動して像の焦点を変化させる場合、圧電アクチュエータに所定範囲の最大値または最小値の制御信号を付与し、その後所定範囲内で制御信号を単調変化させて焦点の質が受容可能レベルである位置を決定することにより、自動焦点合わせが達成される。したがってヒステリシスが起こってもこの位置に戻ることができる。像センサからの像信号を符号化して符号化信号圧縮形態にするようにエンコーダが構成されている場合、エンコーダは、異なる空間周波数成分が優先的に符号化される2つのモードで動作する。一方のモードでは、自動焦点合わせの基礎としてデータ量が用いられる。自動焦点合わせを補助するために、光源と、レンズ構造に固定されレンズ構造と共に移動可能な光学素子とを用いてレンズ構造の位置を決定してもよい。光学素子は、レンズ構造の移動によって像センサに入射する光が変化するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラに関し、特にカメラの自動焦点合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラは受像素子に光の焦点を合わせるレンズ構造を用いており、受像素子はフィルムまたはデジタルカメラの場合は像センサ(例えば電荷結合素子(CCD))である。可変焦点が望ましい。可変焦点でない場合、十分な焦点範囲を得るためにはカメラのレンズ構造は小口径のものに限られるからである。カメラの可変焦点は、移動可能レンズ構造を用いて焦点位置を変化させることにより実現可能である。あるいは電気的に可変である焦点を有する液体レンズなどのレンズ構造を用いても可変焦点を実現することができる。
【0003】
自動焦点カメラの多くの素子は非常によく知られている。自動焦点(AF)カメラシステムは広くあちこちに記載されている。図1は、アクチュエータ1を用いてレンズ構造2を移動させる公知のタイプのAFカメラを示す概略図である。レンズ構造2は像センサ3に光の焦点を合わせる。像センサ3は像信号を像プロセッサ4に出力する。像プロセッサ4は記録媒体を含んでいてもよい。焦点コントローラ5は、駆動回路6に制御信号を出力することによりレンズ構造2の移動を制御する。駆動回路6は、駆動信号をアクチュエータ1に供給する。焦点コントローラ5は、図1に破線矢印で示すように任意の数の源からの情報に基づいて焦点を制御し、最良の焦点位置を見つける。
【0004】
焦点コントローラ5は物理範囲ファインダ7(例えば、超音波範囲ファインダ(飛行時間演算を用いて)または赤外線範囲ファインダ(距離の二乗に比例する反射輝度を用いて))からの情報を用いることができる。
【0005】
焦点コントローラ5は光路においてセンサの手前に設けられた光学素子(例えば浅いプリズムまたはSLRカメラに見られる「マイクロスクリーン」)からの情報を用いてもよい。これらの情報は、別個の像センサによって分析可能である。
【0006】
焦点コントローラ5は、像センサ3が出力した像信号を分析してもよい。これは通常2つのプロセスを含む。第1のプロセスでは、像の焦点の質測定値を決定する。第2のプロセスでは、決定した焦点の質測定値に基づいて、何らかのアルゴリズム(例えば測定値を最大にするアルゴリズム)に従ってレンズ構造2の焦点合わせを制御する。
【0007】
像信号から決定される像の焦点の質測定値としては様々なものが公知である。1つのタイプの測定値は、像の高域空間周波数内容に基づく。このタイプの測定値は、焦点が良好になるにつれて高域空間周波数成分が増加することに基づいて用いられる。第1の可能性は、高域(high-pass)フィルタリングされた像データの係数を積分することである。第2の可能性は、高域フィルタで像信号をたたみ込み、得られたものの累乗を求めることである。第3の可能性は、周波数ドメイン変換(例えばFFTまたはDCT)を行い、周波数ドメインフィルタを付与して累乗を合計することである。これらの技術はすべての上記の結果を達成するが、挙動は非常に異なる。
【0008】
別のタイプの測定値は、像信号から得られる統計(例えばエントロピー測定値)に基づいており、逆に言うと像信号の圧縮率、すなわちヒストグラムピクセル値または飽和ピクセル値に基づいている。
【0009】
可動レンズ構造を用いることによって可変の焦点が達成されるが、圧電アクチュエータを用いてレンズの移動を駆動してもよい。圧電アクチュエータを用いる場合、電気モータを用いる場合に比べて様々な利点がある。圧電アクチュエータの1つの使用可能な形態がWO-01/47041号に記載されており、WO-02/103451号に開示のカメラで用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、圧電アクチュエータは通常、駆動信号入力−置換出力特性においてヒステリシスの問題を有する。このため、アクチュエータ制御のために用いた制御信号に応じて駆動されたレンズ構造が到達する位置でヒステリシスが起こる。ヒステリシスは、持続性を有しているためにそれ以前の作用に応じて挙動が逐次変化するというプロセスであると考えることができる。ヒステリシスは自動焦点を実際に行う場合に問題となる。なぜなら最良の焦点または少なくとも受容可能な焦点が得られる位置までレンズ構造を移動させる制御信号にバラツキが生じるからである。ヒステリシスが起こると、所与の位置(例えば最良の焦点が得られる位置)に対応する制御信号値が単一ではないという結果が概して起こる。実際にはこれにより、レンズ構造の焦点を合わせるために必要な制御信号を選択することが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の局面によると、カメラ内のレンズ構造の焦点合わせを行う方法であって、カメラはさらに前記レンズ構造によって像の焦点が合わせられる像センサと、付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータとを含み、前記圧電アクチュエータは前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こす方法が提供される。前記方法は、所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、前記制御信号を、前記所定範囲の前記最大値または最小値に戻るように変化させる工程と、前記制御信号を前記焦点値に戻るように単調変化させる工程とを含む。
【0012】
さらに本発明の第1の局面によると、上記方法を実施するカメラが提供される。
【0013】
本発明の第2の局面によると、カメラ内のレンズ構造の焦点合わせを行う方法であって、カメラはさらに前記レンズ構造によって像が焦点合わせられる像センサと、付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータとを含み、前記圧電アクチュエータは前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こす方法が提供される。前記方法は、所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、前記制御信号の修正値を決定する工程であって、前記制御信号は前記修正値まで単調変化させることにより、前記圧電アクチュエータのヒステリシスを考慮して、前記制御信号が前記焦点値にあったときに配置されていた位置まで前記レンズ構造を移動させることが可能である工程と、前記制御信号を前記修正値に戻るように単調変化させる工程とを含む。
【0014】
さらに本発明の第2の局面によると、上記方法を実施するカメラが提供される。
【0015】
第1および第2の局面は共に、まず所定範囲の最大値または最小値の制御信号を付与し、その後所定範囲内で制御信号を単調変化させることにより、制御信号の複数のテスト値の各々において焦点の質測定値を決定することを含む。
【0016】
焦点制御は常に同一の所定範囲内で行われるため、制御信号が最初に用いられた範囲の最大値または最小値を超えることはない。所定範囲内のみの制御信号で圧電アクチュエータを動作させる場合、範囲端部に対応するアクチュエータの位置はその範囲で一定期間動作した後は同じ位置になる傾向があるという物理現象が観察され、これによる利点が得られる。従って少なくとも自動焦点合わせ制御を数回繰り返した後は、制御信号の最大値または最小値に対応する位置に繰り返し戻る。これは、制御信号が範囲内で変化している際のレンズの位置も、変化が単調変化である結果、焦点制御が行われるごとに同じとなることを意味する。このため、像の焦点の質測定値が受容可能なレベルにあった初期走査の間に行われた制御信号の焦点値の決定に基づき、最良の焦点の質または少なくとも受容可能な焦点の質を提供すると判定された位置の1つに、レンズ構造を戻すことが可能となる。
【0017】
しかし本発明の第1および第2の局面は、所望の位置に戻すために僅かに異なる技術を用いている。これを以下に述べる。
【0018】
本発明の第1の局面によると、制御信号は上記所定範囲の最大値または最小値の値まで変化し、その後上記焦点値まで単調変化する。これによりレンズ構造が、制御信号が焦点値にあったときに配置されていた位置と同じ位置まで戻る。なぜなら制御信号の最大値または最小値に対応する位置は同一であり、アクチュエータの進路も同一だからである。
【0019】
これに対し本発明の第2の局面は、制御信号の最大値または最小値へのフライバックを必要とせず、代わりに圧電アクチュエータのヒステリシス特性に関する知見を用いる。特に、制御信号の修正値を決定する。制御信号は修正値まで単調変化させることにより、圧電アクチュエータのヒステリシスを考慮して、制御信号が焦点値にあったときに配置されていた位置までレンズ構造を移動させることが可能である。これにより単に制御信号を上記修正値まで単調変化させることにより同一位置への復帰が可能となる。
【0020】
US2003/117514号は、像圧縮システムを用いて像の焦点の質測定値を決定する方法を開示している。十分焦点が合った像は焦点の合っていない像よりも多くの情報量を含むという原則に基づいて、圧縮された像のデータ量が像の焦点の質測定値として決定される。典型的にはカメラのメモリに像が保存されるのであるから像圧縮システムはいずれにせよ必要であり、その場合にこのようなカメラはカメラ内のハードウェアのコストが最小限に抑えられるという利点を有する。このような技術は一般的にはうまくいくが、必ずしも常に最良の焦点が得られるわけではない。そのためより良い自動焦点合わせを提供する自動焦点合わせ技術を開発することが望ましい。
【0021】
本発明の第3の局面によると、カメラであって、像信号を生成するように構成された像センサと、前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造であって、付与される制御信号に応じて焦点が可変である、レンズ構造と、前記像センサからの前記像信号を符号化して符号化信号圧縮形態にするように構成されたエンコーダと、前記制御信号を前記レンズ構造に付与することにより前記レンズ構造の焦点を制御するように構成された制御回路とを備えたカメラが提供される。ここで、前記制御回路は、2つのモードで動作するようにエンコーダを制御することが可能であり、第1のモードでは前記符号化信号が前記像信号の低域空間周波数成分を優先的に保存し、第2のモードでは前記符号化信号が前記像信号の高域空間周波数成分を優先的に保存し、前記制御回路は、前記第2のモードで動作するように前記エンコーダを制御する工程と、前記符号化信号内のデータ量を前記像センサ上の前記像の焦点の質測定値として決定する工程と、前記決定されたデータ量に基づいて前記レンズ構造の焦点を制御する工程と、その後前記第1のモードで動作するように前記エンコーダを制御する工程とによって前記像の焦点を制御するように動作可能である。
【0022】
通常の動作モードでエンコーダによって出力された符号化信号内のデータ量測定値を用いるカメラ(例えばUS-2003/117514号)と比べると、本発明の第3の局面によるカメラは、より良好な焦点の質測定値を提供し、従ってレンズ構造の焦点をより良好に制御することができる。これは以下の理由による。
【0023】
US-2003/117514号に記載された、入力される情報内容が増加すると出力ファイルのサイズも増加するという理由付けは、最大エントロピー無損失符号化を用いた場合には全く正しい。しかしカメラで用いられる典型的な像符号化スキームでは、損失を生じさらに量子化素子を含む像圧縮システムが用いられ、このようなシステムは特に高域空間周波数成分に関連する情報を廃棄する。これは例えば、符号化に利用可能なバイト数を低減させたり、高域空間周波数成分を全体的に省略したりすることによって行われる。その結果、焦点の質に関して有用な情報を提供する高域空間周波数成分に関連する情報が失われる。他方、焦点の質に関してあまり有用でない情報を提供する低域空間周波数成分は保持される。
【0024】
例えば通常のJPEG符号化スキームを考えると、周波数ドメインでの輝度量子化用の標準の奨励値は以下の通りである。ここで、NCは符号化されていないことを意味する。
【0025】
【表1】
【0026】
これからわかるようにDCに近い空間周波数値は最小の量子化を有し、そのため得られたファイルサイズに対する貢献度は最も高い。他方、より高い周波数の符号化はより粗い。
【0027】
しかし本発明の第3の局面によると、焦点制御を行うために、エンコーダを異なる動作モードにしている。このモードでは通常の動作モードとは異なり、高域空間周波数成分を優先的に保存する。従ってこの動作モードでは、符号化信号内のデータ量が示す焦点の質測定値はより良好である。このように、通常の動作モードでの符号化は、見た目の美しさにとって望ましいという理由で焦点制御中に低域空間周波数成分を優先的に保存する。これに対し、上記異なる動作モードでの符号化は焦点の質測定値としてより有用だという理由で高域空間周波数成分を保存する。要するに、見た目に有用な情報よりも焦点情報を保存するのである。
【0028】
例えば、この技術は以下を含むJPEG符号化器に適用することができる。像信号を空間周波数成分に変換するように構成された離散コサイン変換ブロックと、離散コサイン変換ブロックから出力された空間周波数成分を、それぞれの空間周波数成分に関する量子化レベルマトリクスに従って量子化するように構成された量子化ブロックと、量子化された像信号を量子化ブロックから出力された周波数ドメイン内で符号化するように構成されたエンコーダブロック。
【0029】
この場合制御回路は、量子化ブロックが異なる量子化レベルマトリクスを用いるようにすることによって、エンコーダを2つのモードで動作するように制御する。好ましくは、制御回路は第2のモードにおいて、量子化ブロックが高域フィルタの空間周波数係数マトリクスの逆数である量子化レベルマトリクス(好ましくはガウスフィルタのラプラシアン)を用いるようにしてもよい。
【0030】
自動焦点合わせの間に移動可能レンズ構造を用いることにより可変焦点が得られると、所与の時点のレンズ構造の位置を正確に知ることが有用である。これにより焦点が合っていると判定された位置にレンズ構造を戻す制御が容易になる。レンズの移動を制御するために用いられる制御信号は精密な制御には不十分である可能性がある。これはレンズ構造の移動を駆動するために用いられるアクチュエータのヒステリシス、摺動または遊びのせいである。
【0031】
レンズ構造の位置を検出する検出器としては様々なものが公知である。これらは十分な正確性を達成はするが、実施が困難であったり高価であることが多い。
【0032】
本発明の第4の局面によると、カメラであって、像信号を生成するように構成された像センサと、前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造であって、前記像の焦点が変化するように焦点が移動可能である、レンズ構造と、光源と、前記レンズ構造に固定され前記レンズ構造と共に移動可能であり、前記光源からの光を受け取って前記像センサに向けるように構成された光学素子であって、前記像センサに入射する光が前記レンズ構造の移動によって変化するように構成された、光学素子と、前記像センサからの前記像信号を供給され、前記像センサに入射する光の前記変化を検出して且つ前記検出された変化に基づいて前記レンズ構造の位置測定値を生成するように構成された信号プロセッサとを備えたカメラが提供される。
【0033】
さらに本発明の第4の局面によると、対応する方法が提供される。
【0034】
このようなレンズ位置検出は安価で実施も容易である。レンズ構造に連動する物理的コンポーネントは、光源と、レンズに固定された光学素子のみである。これらのコンポーネントは実施が簡単で安価である。レンズ装置の移動により、像センサが出力する像信号が変化する。これは他の目的のためにカメラに含まれる処理回路の一部として簡単に実施できる信号プロセッサを用いて単純に検出することができる。例えば1つの可能性は、信号プロセッサがプログラムを実行するマイクロプロセッサによって実施されることである。カメラにはいずれにせよマイクロプロセッサが含まれることを考えると、この例はソフトウェアの変更を必要とするのみであり、追加のハードウェアに費用がかかることはない。
【0035】
カメラは、レンズ構造の移動を制御することにより、レンズ構造の少なくとも生成された位置測定値に基づいて焦点を変化させるように構成された制御器を備える。
【0036】
好ましくは光学素子は反射器(例えばミラー)であり、レンズ構造が移動する際に沿う光軸に対して0度より大きい角度で設けられている。この場合レンズ構造の移動により、反射器上の、反射が起こる位置が変わり、そのため像センサに入射する光は像センサ上で移動する。これにより簡単に像信号を検出することができる。しかしレンズ構造の移動に伴って像センサに入射する光を変化させるものであれば概して任意の光学素子が使用可能である。
【0037】
好ましくは光源は光ビームを発する。これにより像信号内の、光源からの光を検出することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明がよりよく理解できるように、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は本発明を限定するものではない。
【0039】
まず図2に示すカメラ20を説明する。
【0040】
カメラ20は、像センサ22に光の焦点を合わせる可変焦点レンズ構造21を有する。像センサ22は、入力光に応答してビデオ像信号を生成する。可変焦点レンズ構造21は可動であり焦点を移動させる。このような移動はアクチュエータ23によって駆動される。アクチュエータ23は圧電素子であってもよく、例えばWO-01/47041号に開示されているようなタイプであってもよい。このタイプの圧電素子はWO-02/103451号に開示の様式でレンズ構造21の移動を駆動することができる。この場合、レンズ構造21はWO-2005/003834号に開示されているように、アクチュエータ23を組み込んだ懸架システムを用いて懸架されてもよい。
【0041】
アクチュエータ23は駆動回路24が供給する制御信号によって駆動される。
【0042】
像センサ22からの像信号はJPEGエンコーダ25に供給される。JPEGエンコーダ25は、JPEG規格にしたがって像信号を符号化するように動作可能である。この符号化には損失を生じる圧縮が含まれる。特にJPEGエンコーダ25は以下の成分を含む。
【0043】
像信号はまず色処理ブロック26に供給される。色処理ブロック26は、像センサ22からの像信号の後処理を行う。
【0044】
像信号はその後、離散コサイン変換ブロック27に供給される。離散コサイン変換ブロック27は像信号に離散コサイン変換を施して空間周波数成分にする。
【0045】
空間周波数成分は量子化ブロック28に供給される。量子化ブロック28は、それぞれの空間周波数成分に関する量子化レベルのマトリクスに従って空間周波数成分を量子化する。量子化ブロック28の動作はより詳細に後述する。
【0046】
量子化された空間周波数成分はエンコーダブロック29に供給される。エンコーダブロック29はランレングス(run-length)符号化スキームなどを用いて、量子化された空間周波数成分を符号化する。
【0047】
エンコーダブロック29の出力は、JPEGエンコーダ25が出力した符号化信号として供給される。符号化信号はカメラの他の任意のコンポーネントに供給されてもよい。例えば保存用メモリ30に供給されてもよいし、符号化信号を処理してディスプレイ32に像を表示するように構成されたドライバ31に供給されてもよい。
【0048】
カメラ20は制御回路33の制御下で動作する。制御回路33は通常、適切なプログラムを実行するマイクロプロセッサによって実施される。JPEGエンコーダはハードウェアとして実施されてもよいし、適切なプログラムを実行するマイクロプロセッサによってソフトウェアとして実施されてもよい。適切なプログラムを実行するマイクロプロセッサはJPEGエンコーダを実施するために用いられるマイクロプロセッサと同じでもよい。
【0049】
以下に量子化ブロック28の動作をより詳細に述べる。量子化ブロックは、異なる量子化マトリクスが適用される2つのモードで動作可能である。モードの選択は制御回路33によって行われる。このことは図2において、量子化ブロック28が2つの量子化素子ブロック34および35とスイッチ36とを含むことにより表されている。2つの量子化素子ブロック34および35は各々異なる量子化マトリクスに従って量子化を行い、スイッチ36は量子化素子ブロック34および35の一方からの出力を量子化ブロック28からの出力として選択するように切り換え可能である。スイッチ26は制御回路33によって制御されている。あるいは量子化ブロック28が制御回路33によって制御され、制御回路33が量子化ブロック28が用いる量子化マトリクスを選択してもよい。
【0050】
量子化ブロック28の2つの動作モードで用いられる2つの量子化マトリクスは以下の通りである。第1のモードでは、量子化ブロック28はJPEG規格に従ってJPEGエンコーダで通常選択されるタイプの量子化マトリクスを用いる。量子化マトリクスとして実現可能な1つの形態は、例えば本発明に関して上述したものである。このような量子化マトリクスでは、高域空間周波数成分よりも低域空間周波数成分が優先的に保存される。この目的は、像信号内の情報のうち、像を目で見て受容可能なものとするために最も重要な情報である低域空間周波数成分を保存している間に圧縮を行うことである。このことは実際には、高域空間周波数成分に含まれる情報を廃棄することを含む。その結果、この動作モードでJPEGエンコーダ25から出力された符号化信号は、焦点の質に関する情報を提供するという点では信頼できないものとなる。焦点の質に関する情報は高域空間周波数成分に最も有意な影響を与えるからである。
【0051】
第2のモードでは、第1のモードとは異なり、量子化ブロック28は高域空間周波数成分を優先的に保存する量子化マトリクスを用いる。そのため、像信号の焦点の質を決定するために有用な情報を保存する量子化マトリクスが選択される。原則として第2のモードの量子化マトリクスは、焦点の質に関する情報を提供するために有用な高域空間周波数成分を保存する限り任意の形態を取り得るが、高域フィルタの逆数である量子化マトリクスを用いることにより設計を簡潔化することができる。これにより、焦点の質を決定するために有用な高域周波数成分を抽出する限り任意の高域フィルタを用いることが可能となる。
【0052】
1つの使用可能な高域フィルタはガウスフィルタのラプラシアンである。この関数の連続的なものは以下の通りである。
【0053】
【数1】
【0054】
上記式においてxおよびyは空間共縦座標であり、f(x,y)は空間ドメインフィルタであり、rはガウスぼかしの半径である。ラプラシアンは周波数に伴って増加する利得を与える微分演算子である。ガウスは高周波数で利得を減衰させるぼかし演算である。このフィルタ設計の1つの利点は、空間性能について動作が理解し易いことである。ガウスぼかし半径rはピクセルで特定され、像の中の「実体」(ノイズでなく)であると考えられる最小の細部の寸法と関係がある。この関数の別の利点は、円対称であることである。離散コサイン変換による変換後、非対称コサインに対応する像成分はゼロ、すなわち得られる係数の75%でなければならない。さらに得られる係数マトリクスは対称でなければならず、これにより倍数の数が半分になる可能性がある。例えば8(8の値を有するマトリクスの場合、変換後にはゼロでない値が18個あるが、対称でなければならないために倍数の数が9に減少する。加えて係数は、二値デジタルプロセッサのシフト演算である2nの形態、またはいくつかの「シフト+加算」演算を単純に組み合わせたもので合理的に表すことができるように較正可能である。
【0055】
ガウスフィルタのラプラシアンの逆数である量子化マトリクスの一例は以下の通りである。
【0056】
【表2】
【0057】
ここで、Mは可能な最大量子化を示す。この量子化マトリクスはガウス半径値がrの場合の1回の較正に対してのみ与えられるが、これらのパラメータの他の値も使用可能であることは言うまでもない。得られる結果の質は量子化素子マトリクスの較正にあまり依存しないと考えられる。そのためこのマトリクスの変数は有効なものが多い。
【0058】
第2のモードの結果、焦点の質に関する有用な情報を提供する高域空間周波数成分の符号化信号が保存される。従って制御回路33は焦点の質測定値として、JPEGエンコーダ25が第2のモードにある場合の符号化信号のデータ量を用いる。データ量は焦点の質の上昇に伴って増加する。なぜなら自身の特性のために焦点が合うことにより、高域周波数成分の大きさが増加するからである。そのため、焦点が良好になるにつれて、低度の圧縮が起こり、従ってデータ量が増加する。第2のモードにおいて別の量子化マトリクスを用いることにより、第1のモードのように通常の量子化マトリクスを用いた場合よりも良好な測定値が得られる。なぜなら通常の量子化マトリクスは焦点合わせに関連する情報を廃棄するからである。
【0059】
これを説明するために、制御回路33が行うカメラ20の自動焦点合わせ動作を図3に示す。
【0060】
まずステップS1において、制御回路33がJPEGエンコーダ26を第2のモードに切り換える。その結果、焦点合わせに有用な情報を含む高域空間周波数成分を保存する量子化マトリクスを用いて符号化信号が得られる。
【0061】
次いでステップS2において、JPEGエンコーダ25から出力された符号化信号内のデータ量を焦点の質測定値として用いて自動焦点合わせを行う。自動焦点合わせステップS2は詳細に後述するが、アクチュエータ23での結果が制御されて、最良の焦点または少なくとも受容可能な焦点が得られる位置までレンズ構造21が移動する。
【0062】
ステップS2での自動焦点合わせが完了すると、ステップS3で制御回路33がJPEGエンコーダ25を第1のモードに切り換える。その結果、できるだけ見た目の良い像を提供する情報を含む低域空間周波数成分を保存する量子化マトリクスを用いて符号化信号が得られる。その後ステップS4においてカメラが正常に動作し、JPEGエンコーダ25が、像センサ22が捕捉した像を表す符号化信号を出力する。
【0063】
カメラ20はJPEG規格に従ったJPEGエンコーダを含むと記載したが、像センサ22が出力する像信号を、損失を伴って圧縮する他のタイプのエンコーダも同様に使用可能である。
【0064】
言うまでもなく、様々な損失メカニズムが多くの通常の像圧縮規格において特定されている。これらの一部は、像情報よりも焦点情報を優先的に保存する目的で適用することはできない。例えば通常圧縮規格の一部として固定されている色深さ減少または彩度サブサンプリングに関連する場合には上記目的で適用することはできない。しかし損失メカニズムの多くは、JPEG規格で行われる量子化におけるように制御可能な損失メカニズムである。ほとんどの場合、主要な制御可能損失メカニズムは量子化または閾値演算である。閾値演算は、特別な量子化であると考えることができる。言うまでもなく、他の制御可能損失メカニズムも考えられ、使用可能である。例えばストリームのエントロピー符号化において確率の低い符号を落とすことが可能であり、本発明の技術はこれに適用可能である。
【0065】
本発明の技術は、可変損失メカニズムを制御して2つの動作モードにおいて異なる動作をすること、すなわち第1のモードでは見た目が楽しい像を提供する情報を含む低域空間周波数成分を保存し、第2のモードでは焦点合わせに有用な情報を含む高域空間周波数成分を保存するように動作させることにより他の符号化スキームにも適用することができる。
【0066】
第2のモードでは概して1を超える設定が必要である。なぜなら高域フィルタリングされた像がノイズに対する感度を有するため、光学設定はパラメータ(例えばシーン全体の光レベル)と共に変化し得、光レベルが低下するほど像のノイズが増加する傾向にあるからである。このことは画像センサ22の露出時間を介して検出することができる。有効な高域フィルタは露出時間に応じて切り換えることができ、例えば露出時間が長くなるにつれて、より攻撃性の低い高域周波数利得に切り換えることができる。
【0067】
2つのモードでの設定(例えばカメラ20内の量子化マトリクス)は所望の空間応答または周波数応答の知見により設計されてもよいし、帰納的基準の方向最適化により導き出すこともできる。帰納的基準の方向最適化は例えば、焦点の質の概念的スコアを有しており且つ美的価値も付与されている試用データを実行し、その後制御可能損失メカニズムのパラメータを、相関関係ができるまで変化させることにより行われる。後者の方法は制御可能損失メカニズムにより適している。制御可能損失メカニズムでは、当該損失メカニズムの作用が自明に反転して元の像を操作するということにはなり得ない。
【0068】
この技術は、別の符号化スキームの例としてウェーブレット圧縮スキームに適用可能である。これは例えば、レベル3循環的離散ウェーブレット変換であり、ダウベキエス(Daubechies)の第6次多項式を用いている。この場合、ウェーブレット係数の一部を除去する(強制的にゼロにする)ために変換後の像信号が曝される閾値を変化させることにより、損失メカニズムを制御してもよい。ウェーブレット変換は興味深い二次的特性を有しており、すべての周波数スケールで何らかの空間位置が保存される。そのため興味の対象である範囲外の空間位置に対応するウェーブレット係数をゼロにすることにより、像内の興味のある領域を選択することは容易である。
【0069】
以下に、自動焦点合わせステップS2を詳細に説明する。
【0070】
カメラ20では、駆動回路24がアクチュエータ23に付与する制御信号は電圧信号である。アクチュエータ23は好ましくは上述した圧電アクチュエータである。このようなアクチュエータ23の圧電材料は典型的にはヒステリシスを呈し、これにより自動焦点合わせ時に問題が生じる。
【0071】
ヒステリシスの性質を図4に示す。図4は、レンズ構造21が制御信号に応じて移動する際の移動先位置を示すグラフである。特に、この位置は制御信号の値に線形に(例えば破線に沿って)依存するわけではなく、制御信号の変化の履歴に依存する。図4は、制御信号の正の値および負の値への一連の変化を示す。制御信号の開始値と終了値は同一であるが、位置の開始値と終了値は異なる。ヒステリシスとは、所与の時点におけるレンズ構造21の位置が、制御されている唯一のパラメータである制御信号からは概してわからないことを意味する。これにより自動焦点合わせが困難になる。なぜなら最良の焦点、または少なくとも受容可能な焦点が得られると判定されるレンズ構造21の位置に戻ることが容易でなくなるからである。
【0072】
しかしカメラ20は、以下に図5のフローチャートを参照して以下に述べる方法を用いて自動焦点合わせステップを行うことにより、ヒステリシスの上記問題を処理する。
【0073】
この方法は、常に所定範囲の制御信号を付与することに依存し、図6に示す物理現象を利用する。図6は、レンズ構造21が制御信号に応じて移動する際の移動先位置を示すグラフである。図6において、制御信号の所定範囲の最小値および最大値をSMINおよびSMAXで示す。制御信号が所定範囲内にある場合、初期安定化期間の後、圧電アクチュエータ23が所定範囲の両端部に対応する位置がそれぞれPMINおよびPMAXで示す一定値となる状態に入る。従って制御信号が最小値SMINまたは最大値SMAXのいずれかに変化するたびに、位置はそれぞれ同一値PMINまたはPMAXに変化する。同様に、制御信号が単調変化して最小値SMINまたは最大値SMAXから変化すると、位置はそれぞれ同一曲線90または91に沿って変化する。従って、まず最小値SMINまたは最大値SMAXの制御信号を付与し、その後制御信号を単調変化させることにより、レンズ構造21を反復可能かつ予測可能に同一位置に駆動することが可能である。これにより上記自動焦点合わせ方法が用いるレンズ構造21の相対位置に関する以下の知見が実効的に得られる。反復可能な変化は、所定範囲の制御信号の初期動作後に初めて起こる。しかし実際はこの安定化は、自動焦点合わせ方法を比較的少ない回数反復した後に起こる。
【0074】
上記自動焦点合わせ方法において、まずステップS100で、最小値SMINまたは最大値SMAXの制御信号を付与する。これにより制御信号を変化させることが必要となり得る。あるいは実施形態によっては、制御信号はすでに適切値にある可能性もある。理由は例えば、これは圧電アクチュエータ23の休止状態だからである。説明を簡潔にするために、まず最小値SMINを用い、その後制御信号を上昇させる場合を述べる。これに代えて、まず最大値SMAXを用いてもよい。この場合も以下の方法が適用されるが、以下で「低下」と記載されている箇所は「増加」となり、「増加」と記載されている箇所は「低下」となる。
【0075】
次いでステップS101で、制御信号を所定範囲内で単調変化させる。これによりレンズ構造21が、対応する位置範囲を走査する。所定範囲内の制御信号の複数のテスト値の各々において、焦点の質測定値が決定され保存される。テスト値は所定範囲内で線形に設けられてもよいが、これは必須ではない。あるいはテスト値は不均等に散らばっていてもよく、例えば範囲内の特定の部分に集中していてもよい。ステップS101の終了時に、制御信号はSMAXであり、従ってレンズ構造21の位置はPMAXである。
【0076】
ステップS102では、決定された焦点の質測定値を用いて、焦点の質が受容可能レベルにある制御信号の焦点値を導き出す。これを最も簡単に行うには、最良の焦点の質測定値を有する複数のテスト値から1つを選択する。あるいは曲線適合技術を用いて最良の焦点を提供する制御信号値をテスト値から予測することも可能である。従って焦点値はテスト値の1つである必要はない。曲線適合は単純な計算式、例えばM次多項式(M>1)によって得ることができる。あるいは曲線適合は、代表的シーンから予備測定された曲線のライブラリから得た曲線に最もよく適合するものとして選択することも可能である。このようなスキームには数多くの改良を行うことができる。例を以下に示す。
【0077】
・代表的シーンの集合から推定値を得て、その後アルゴリズムを経時的に得る場合には、適切なスケールとオフセット値が改良される。すなわち物理ユニットは、データ集合が記録された基準ユニットとは異なる(機械的および材料的許容度のため)。アルゴリズムは、特定のシステムに必要とされる実際の値にどのようにしてライブラリ値をマッピングするかというモデルを展開することができる。
【0078】
・ベイズの定理はこの場合強力なツールである。あるシーンにおける焦点の質の「正確な」値と焦点の質測定値(ノイズなどの瞬間的要因によって乱される)との差異の分布は合理的に十分推定可能である。単純な「山登り」の場合でもベイズの定理は信号をノイズと判別する方法を提供する。
【0079】
図5ではステップS101およびS102を別々に示すが、ステップS102はステップS101の走査の少なくとも一部分で行うこともできる。
【0080】
上記理由により、ステップS101での走査中に制御信号が焦点値にある場合にレンズ構造が配置される位置は知られており、少なくとも所定範囲端部の最小値および最大値に対応する位置PMINおよびPMAXに対するレンズ構造の位置は知られている。例えば、制御信号の焦点値が図6に示すSdである場合、位置はPdである。このようにその位置に戻るのは単純である。これを行う2つの異なる方法を図5に示しており、ステップS103およびS104を行うこと、またはステップS105およびS106を行うことである。
【0081】
第1の方法ではステップS103で、最初に付与された最小値SMINまたは最大値SMAXまで制御信号を戻す。従ってレンズ構造もステップS100での移動先と同じ位置に戻る。そのためこの方法はフライバック技術と呼ばれる。制御信号の変化速度は、走査ステップS101におけるよりもこのフライバックステップS103における方が速くてもよい。なぜなら焦点の質測定値を決定する演算を行う必要がないからである。
【0082】
次にステップS104で、ステップS102で決定した焦点値まで制御信号を単調変化させる。これによりレンズ構造の位置が走査ステップS101の曲線と同じ曲線(例えば曲線90)に沿って変化し、制御信号が焦点値にあったときの位置(例えば焦点値がSdであれば位置Pd)に到着する。従ってフライバック技術は、圧電アクチュエータのヒステリシスがあっても、レンズ構造を信頼できる様式でステップS102で決定した位置に戻す。
【0083】
フライバック技術を用いた自動焦点合わせ方法は非常に迅速に、とくに有用に短い時間で動作することができる。これは、例えばF値2.8のカメラ20と焦点距離4.25 mmの焦点合わせレンズ構造21とを考えることにより示すことができる。ピクセルピッチ3.6umのセンサの場合、10.2 umまでの錯乱円を設定することができる。10.2 umはカラーセンサで最小の全色撮像素子である2 ( 2ピクセルブロックの対角線である。これらの制限の下で、4つの被写界深度範囲(117 mm、169 mm、292 mmおよび633 mmを中心とする)内に10 cm〜無限の焦点範囲を含むことができる。光学系全体の非理想的特性(例えば重力、ヒステリシス、レンズとセンサとの角度許容度など)を斟酌するためには、6つの被写界深度範囲を斟酌することが賢明である。フレーム時間に比べて露出時間が短い良好な光状態では、隣接する被写界深度範囲間の装置の移動は、このようなカメラに共通のフレームレートである30 fps以下で走行している場合、1フレームのうちの非露出部分で完了することができる。15 msという短いフライバック時間ではうまくいくことが実験により判明している。従ってこの方法は以下の時間で完了することができる。
【0084】
1 × 15 ms(必要に応じて行われるステップS100での初期フライバック)
+ 6 × 33 ms(ステップS101での走査およびテスト)
+ 1 × 15 ms(ステップS103でのフライバック)
+ 1 × 33 ms(ステップS104での焦点位置への復帰)
= 261 ms
【0085】
この自動焦点合わせサイクル時間は1/4秒を僅かに超えるだけであり、他の多くの方法に比べて利点が大きい。
【0086】
しかし第2の方法は、ステップS103でフライバック技術を用いず、代わりに制御信号を適切な値に直接変化させることにより、サイクル時間を短縮化する。適切な値は、圧電アクチュエータ23の特性に関する知見に基づいて決定してもよい。特にステップS105では、制御信号の修正値を決定する。制御信号は修正値まで単調変化する際に、レンズ構造21をステップS101終了時の現在位置から走査ステップS101中に移動した位置まで移動させることができる。この位置とは、制御信号がステップS102で決定した焦点値を有していたときの位置である。図6の例では概して、制御信号の修正値が曲線90および91から導き出されてもよい。例えば制御信号の焦点値がSdである場合、制御信号が走査ステップS101中にSdであったときのレンズ構造21の位置はPdであり、制御信号の修正値はSmである。
【0087】
従って修正値は圧電アクチュエータ21の特性から決定してもよい。なぜなら上記のように動作は所定範囲内で行われるからである。修正値の決定は単純である。なぜなら材料の特性が製造状態で十分に制御可能だからである。概して決定は、カメラ20に保存されたルックアップテーブルまたはヒステリシス推定値のブルート(brute)演算を用いて行うことができる。ルックアップテーブルの場合、ヒステリシス特性に関する知見を用いて、前もってテーブルに保存された値を導き出す。カメラ20内で演算を行う場合、ヒステリシス特性に関する知見はカメラ20内に保存された演算で具現化される。
【0088】
原則的には、制御信号の修正値の決定は他の要因(例えばユニットの環境条件(特に温度の変化)、向き、端部の位置、ならびに物理的および機械的パラメータ)を考慮して行ってもよい。
【0089】
ステップS2で自動焦点合わせを行う方法を図12〜図16に詳細に示す。図12〜図16は制御回路33が行う動作のフローチャートである。これらの方法(さらに実際には図3および図5の方法)はカメラ20全体の動作の一部にすぎず、自動焦点合わせ自体もカメラ20が有用な機能を発揮するために必要な多くの動作の1つにすぎない。他の動作としては、光に対する感度の較正と口径の適切な閉塞および/または露出時間の変化、撮像(すなわち捕捉し保存すべき最終的露出)、および捕捉した像をカメラ20の像センサ22からメモリ30に転送することなどが含まれると考えられる。このような理由により、図12〜図16のフローチャートは開始およびリターン制御点S10、S11、S20およびS28を有する。開始点S10では、カメラの全体的かつ一般的制御系が自動焦点合わせプロセスを開始する。リターン点S11、S20およびS28では、自動焦点合わせプロセスの反復が完了し、続いて一般的カメラ制御方法(以下、一般的カメラ制御方法またはGCCMと呼ぶ)が行われ、その後自動焦点合わせ制御方法(以下、自動焦点合わせ制御方法またはACMと呼ぶ)が再び行われる。
【0090】
図12はより詳細に後述する方法のすべてを模式的に示す簡略フローチャートである。
【0091】
開始ボックスS10でACMが開始されると、第1の動作S12で、方法の残りの部分の詳細を制御するために用いられるループ変数を適切な値に初期化する。ACMはさらに状態変数を有している。状態変数は方法の開始から次の段階まで一定であるが、ACM自体は状態変数の値を変更してもよい。本質的な点は、方法が処理をGCCMに戻したときに状態が失われず、GCCMなどの外部システムによって故意に変更されない限り、ACMが次に開始されるときに状態変化が同一の値を有しているということである。
【0092】
次いでステップS13で状態変数を調べる。ACMがアイドリング状態(すなわち「何もしない」)であれば、ACMは処理を直接GCCMに戻す。
【0093】
ステップS14で状態が初期化状態(すなわち「新しい焦点測定プロセス動作サイクルの準備中」)であるかどうかを調べる。そうであれば、ステップS15で焦点制御変数を適切な値(フレーム変数を含む)に初期化する。これは図5のフローチャートのステップS100に対応する。この後ステップS16で、フレーム変数をインクリメントする。
【0094】
その後ステップS17でテストを行い、必要なフレームがすべて処理されたかどうかを調べる。そうであればステップS18で次の状態に移行させる(すなわち状態変数の値を変更する)。ステップS17の結果がいずれであっても、ステップS20でACMが処理をGCCMに戻し、現在の焦点レンズ位置を示すcurrpos値を戻す。
【0095】
ステップS14で状態が初期化状態でないと決定された場合、ステップS19で状態が走行状態かどうかを調べる。そうであればステップS20で、レンズ構造21が現在位置(currpos)にある状態で像がカメラ22に受け取られるための焦点の質測定値(フローチャートには性能指数(FOM)と記載する)を決定する。その後ステップS21で、新しく求めたFOMと最新の初期化状態の後に決定されたFOM値とを比較する。新しいFOMがこれまでの最良値であれば、ステップS22で最良FOMの新しい値として保存し、後のFOM比較に用いる。S21の結果がいずれであっても、その後ACMが、このFOM測定値に基づいてレンズ構造21の位置を変更する方法を算出する。その後方法はステップS16に戻り、上記を繰り返す。これは図5のフローチャートのステップS101およびS102に対応する。
【0096】
ステップS19において状態が走行状態でないと決定された場合、ステップS24で状態がフライバックかどうかを調べる。そうであればステップS25で、ACMがレンズ構造21を公知の位置に移動させる。その後方法はステップS16に戻り、上記を繰り返す。これは図5のフローチャートのステップS103およびステップS104またはステップS105およびS106に対応する。
【0097】
ステップS19で状態がフライバックでないと決定された場合、ステップS26で状態がトラックフォーカスかどうかを調べる。そうであればステップS27で、フレーム変数をより大きな値に設定する。その結果残りのアルゴリズムが、必要なフレームをすべて登録する前により多くのフレームを処理することになる。その後方法はステップS16に戻り、上記を繰り返す。状態が上記状態のいずれでもなければ、ステップS28で状態をアイドリングに設定し、処理はGCCMに戻る。
【0098】
図13〜図16は図12のACMを修正したものを示す。図13〜図15のフローチャートは図5のステップS103およびS104の実施例であり、図16のフローチャートは図5のステップS105およびS106の実施例である。
【0099】
図13は、ループ変数とその初期化値の記載を見ることができる第1の特定の実施を示す。これらは、初期ステップ数(initSteps = 5)、フライバックステップ数(flybackSteps = 5)、走査ステップ数(scansteps = 25)、処理した可変フレームに対するゼロ値、および駆動値の上限値(DrivMax = 255)を含む。駆動値の上限値は各実施例に特定であり、単にレンズ位置駆動信号に許容される最大値を表す。
【0100】
ルーチンに入る状態が初期化(状態 = init)である場合、ステップS15で焦点変数の特定の値が以下のように定義される。最良位置bestPos = 0、現在位置currpos = 0、最良の性能指数bestFOM = 0、フレームの数frames = initSteps。
【0101】
走行状態(状態 = running)である場合、ステップS20で、サブプロセス(getFOM、以下に2つの好適な形態を説明するが、FOMを決定する任意の適切な方法が使用可能である)を呼び出すことにより現在FOM値(thisFOM)を演算する。その後ステップS21でこのFOMを現在の最良FOM(bestFOM)に照らして調べる。新しい値の方が良好であれば、ステップS22でbestFOMをthisFOMの値に更新し、最良FOM用の焦点レンズ位置bestPosを現在位置currPosから更新する。その後ステップS23で、試すべき新しいレンズ位置currPosを演算し、フレーム変数を更新する。
【0102】
システムがフライバック状態(状態 = Flyback)である場合、ステップS25で次のレンズ位置を0(currpos = 0)に設定し、フレーム変数をフライバックプロセスに適した値(この場合はflybacksteps)に設定する。その後ステップS16でStateFrame変数をインクリメントする(但しフローチャートでは「++x」を用いて変数xをインクリメント(1だけ)することを示す)。
【0103】
システムがトラッキング状態(状態 = track)である場合、ステップS27でフレーム変数をこの場合は100に設定する。その後ステップS16でStateframe変数をインクリメントする。
【0104】
その後これら後者の状態をテストし、StateframeとステップS17のフレームとを比較することによって必要なフレームすべてが処理されたかどうかを調べる。そうであれば、ステップS18で現在の状態に応じてシステム状態を修正する(初期化を走行に変更し、走行をフライバックに変更し、フライバックをアイドリングに変更し、トラックをトラックに変更し(すなわち変更しない)、アイドリングをアイドリングに変更する(この場合も状態変更はない))。最後の動作は、焦点レンズ移動制御ルーチンFocus()を呼び出すことにより、新しく演算された位置currposにレンズを移動させることである。エントリ状態が何か他の状態である場合、状態をアイドリングに設定してリターンする。
【0105】
上記の記載においてプロセス中に様々な変数が設定される定数はすべて例示的なものであり、うまくいくことが判明しているものである。実際には他の値も使用可能かつ有用であり、ここで述べた値は1つの特定の実施例に対するガイドにすぎず本発明を限定するものではない。
【0106】
図14は基本的自動焦点合わせアルゴリズムの第2の例を示すが図13に酷似している。図13との主な相違点は以下の通りである。
【0107】
(1)初期化ステップ12において、initStep = flybacksteps= 3(5ではなく)であり、ScanSteps = 15(25ではなく)である。
【0108】
(2)ステップS23の走行状態において新しい位置の演算方法が異なり、currpos = (StateFrame + 1)* Drivemax/scanstepsとなっている。
【0109】
図15は図13に示す方法を少し変形した例を示す。図13との主な相違点は以下の通りである。
【0110】
(1)ステップS23の走行状態において新しい位置の演算方法が異なり、currpos = StateFrame*Drivemax/scanstepsとなっている。
【0111】
(2)ステップS17ですべてのフレームをテストした後、状態が走行状態である場合にステップS18で別のテストを挿入し、最良の位置がある大きな値よりも大きいかどうか(この例ではbestPos > 230?)を調べる。テストが成功すればシステムは、次の位置を最新の最良位置(currpos = bestPos)にリセットした後であってその新しい位置に移動せよという命令が出される前に、状態をフライバック状態ではなくアイドリング状態に変更する。あるいは状態がフライバック状態であれば、状態をアイドリングにリセットしcurrposを再びbestPosに設定する。
【0112】
図16は自動焦点合わせ制御方法のさらに別の例を示す。電気駆動信号を焦点レンズの機械的位置に変換するアクチュエータにおいてヒステリシスの影響を低減するように設計された推測素子が組み込まれている。このようなコンポーネント内のヒステリシスが、機械的状態および駆動状態のこれまでの履歴のせいで、同じ駆動信号に対して異なる位置までレンズを移動させることは明らかである。従ってこれらの履歴にもよるが、ヒステリシスを無視した方法は場合によって異なる挙動を行い、その挙動は概してヒステリシスがない場合に比べると劣る。図16において、上記方法との主な相違点は以下の通りである。
【0113】
(1)トラッキング状態において、フライバック状態と同じ制御状態シーケンスを用いる。
【0114】
(2)すべてのフレームのテストが成功した後、ステップS18を修正してサブステップS18aを含むようにする。その結果システムが走行状態である場合、ルックアップテーブル(LUT)により、テーブルに保存されたbestPos値を指数として用いて、レンズの次の新しい位置currposを演算する。このルックアップテーブルは予備演算されたもの(設計、組立またはテスト時には静的であるが、動的に制御された位置データ値である可能性があり、位置データはアクチュエータ素子の実際のヒステリシスに対して正しいと推定される)を含む。
【0115】
図3、図5および図12〜図16の様々な制御方法を、制御回路33の動作を表すフローチャートを用いて説明した。しかしカメラ20の実際の実施形態および実際のカメラ20における上記方法は工学的に選択すべきものであり、様々であり得る。例えば、物理的に接続された制御ロジック、フィールドプログラマブルロジックアレイ内の1組のゲート、レジスタおよびメモリセル、あるいは汎用DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、または入力回路および出力回路に接続されたマイクロプロセッサであり得、これらは上記集合体に制御方法を実行させるプログラムを実行する。同様に他の可能性も存在し、用いることができる。
【0116】
上記ではドライバ24が出力する制御信号は電圧信号であると述べた。別の例として、制御信号は電荷信号であってもよい。これは例えばアクチュエータ23に付与されている電流を積分することにより導き出すことができる。適切な電荷制御の例はWO-02/080353号に開示されている。これは、圧電アクチュエータ23に起こるヒステリシスを大幅に低減させるという利点、すなわちアクチュエータ23に付与される電荷信号とレンズ構造21の位置との関係のヒステリシスを低下させるという利点を有する。必要なのは、圧電アクチュエータに付与される駆動電圧を監視するのではなく圧電アクチュエータに出入りする電荷を監視することだけである。なるべく正確を期するために、ヒステリシスがないと仮定する。この場合図5に示す自動焦点合わせ方法を用いてもよい。但しフライバックステップS103は用いず、ステップS102の後で速やかに制御信号をステップS102で決定された焦点値に変更する。しかし多少のヒステリシスが残ることがあるため、図5の自動焦点合わせ方法をそのまま適用してもよい。
【0117】
電荷制御信号を用いることによる不都合は、ドライバ24の実施形態がより複雑になることである。
【0118】
上記の自動焦点合わせ動作では、位置に関する知見は制御信号値のみから導き出している。そのため、ヒステリシスを考慮して図4に示すタイプの自動焦点合わせ動作を行うことが必要である。あるいはレンズ構造3の位置を直接検出することも可能である。その後検出した位置を用いて位置フィードバックを行えばよく、これによりヒステリシスの問題は容易に解決できる。単純なコントローラ(例えばPID)は、上記したように初期焦点測定走査中に得られる最良の焦点位置にレンズを戻すために容易に用いることができる。この場合、移動範囲内のレンズ構造の位置に直接関係する量を測定する位置フィードバックシステムを用いて、レンズ構造を最適な焦点位置に戻す信号を提供する。上記最適な焦点位置は、上記ステップS100およびS102に記載したものと同様の焦点走査プロセスによって決定される。
【0119】
カメラでは位置の検出はいくつかの方法で行うことができる。
【0120】
1つの方法は、応力ゲージを用いることである。応力ゲージはレンズ構造のコンポーネント(例えば支持ヒンジまたは撓み部)に取り付けるか印刷することができる。アクチュエータがWO-01/47041号に開示されたタイプの圧電アクチュエータまたはベンダ構造を有する別のタイプの圧電アクチュエータである場合、応力ゲージはアクチュエータ自体の構造に組み込むことができる。これは例えばGB-A-2,365,206号に開示されている。
【0121】
別の方法は、光源と、レンズ構造21に固定されて光を像センサ22に向け、レンズ構造の位置に応じて光を変化させる光学素子とを用いることである。このようなシステムの一例を図7に示し、以下に説明する。
【0122】
レンズ構造21はレンズバレル101に取り付けられたレンズ100を含む。これによりレンズ構造21はレンズ100の光軸Oに沿って移動可能である。レンズバレル101は、レンズ100の出力側に、孔103を有する端部壁102を有しており、孔103を介してレンズ100で焦点を合わされた光が像センサ22に向けられる。レンズバレル101の端部壁102は出力側に、反射面105を有するブロック104を有しており、反射面105はレンズ100が移動する際に沿う光軸Oに対して0度より大きい角度で延びている。
【0123】
システムはさらにカメラのハウジング107に取り付けられた光源106を含む。光源106は単に発光ダイオードであってもよく、光源からの出力を平行化して図7に点線で示すような光ビームを生成するように設けられたスリット108を有する。光源106は光軸Oの片側に設けられており、光ビームを光軸に直交する方向に進行させてブロック104の反射面105に向かわせる。反射面105は光ビームを反射して像センサ22に向けるように設けられている。反射面105がレンズ100が移動する際に沿う光軸Oに対して0度より大きい角度で延びている結果、光ビームが像センサ22に当たる位置がレンズ構造21の移動に伴って矢印Aで示すように変化する。
【0124】
像センサ22上の光ビームの位置は、像センサ22が出力する像信号を分析することにより検出される。この分析は、信号プロセッサ109によって行われる。光ビームは像信号内で特有の形状を有しているため、信号プロセッサ109は直進する光ビームの位置を検出する。信号プロセッサ109は、レンズ構造21の位置を表す位置信号を出力する。
【0125】
反射面105の角度を変更して、レンズ構造21の移動に対する、像センサ22上の光ビームの移動速度が変化するようにしてもよい。
【0126】
この位置検出システムは、実施が簡単で容易であるという特定の利点を有する。光学コンポーネント、すなわち光源106およびブロック104は安価であり、カメラの構造に容易に組み込まれる。同様に、信号プロセッサ109はハードウェアで実施するにしろソフトウェアで(例えばカメラを制御するマイクロプロセッサの一部として)実施するにしろ単純である。
【0127】
図8〜図11に、図7の位置検出システムとは異なる、位置検出システムの2つの変形例を示す。図8〜図11ではブロック104と光源106の構成が図7とは異なるが、他は同じである。説明を簡潔にするために、同一の構成要件には同一の参照符号を付し、説明は省略する。
【0128】
図8および図9に示す位置検出システムの第1の変形例では、ブロック104がレンズバレル101の外壁上に設けられている。光源106は光軸Oの片側に設けられており、光ビームを光軸Oに直交する方向に進行させてブロック104の反射面105に向かわせる。反射面105の角度は、光ビームを光軸に対して鋭角で進行させて像センサ22に向かわせるようになっている。
【0129】
図10および図11に示す位置検出システムの第2の変形例では、ブロック104がレンズバレル101の外壁上に設けられている。光源106は像センサ22に隣接して設けられており、光ビームを光軸Oに平行に進行させてブロック104の反射面105に向かわせる。反射面105の角度は、光ビームを光軸に対して鋭角で進行させて像センサ22に向かわせるようになっている。
【0130】
光ビームが像センサ22によって出力される像信号の質に影響を与えることを阻止するために、いくつかの異なる技術が使用可能である。第1の技術は、光源106と反射面105とを、像センサ22周辺の通常は「暗い」領域、すなわち像の捕捉には直接用いられないがこの場合はレンズ構造21の位置の検出専用である領域に当たるように設けることである。第2の技術は、光源106が出力した光の振幅をカメラセンサのフレームレートと同期させ、(1)光源が像捕捉器の間でのみオンとなるようにするか、(2)光源が連続するフレームの一部の間のみ(例えばNフレームごとに)オンになるようにすることである(Nは複数の値)。第3の技術は、光源106に特定の特性(例えば所与の色および/または形状)を与えて、後処理中に像信号から容易に除去できるようにすることである。第4の技術は、可視範囲外であるが像センサ22によって検出可能な光を光源から出力することである。
【0131】
ブロック104および反射面105は、像センサ22に入射する光がレンズ構造21の移動に伴って変化するという効果を提供する他の光学素子に置き換えてもよい。例えば反射面はプリズムで形成してもよい。あるいはブロック104を、像センサ22に入射する光ビームの位置を変化させるのではなくサイズを変化させる光学素子(例えばレンズ)に置き換えてもよい。
【0132】
上記のカメラ20では、焦点の質測定値は、JPEGエンコーダ26が第2の動作モードで出力する符号化信号のデータ量である。これに代えてカメラは、像の高域空間周波数内容に直接基づく焦点の質測定値を用いてもよい。これは例えば、像信号を高域フィルタリングし、その後、成分の係数を積分するか又は累乗を演算するなどの方法で高域空間周波数成分の測定量を得ることにより行われる。
【0133】
高域フィルタは周波数ドメインで実施してもよい。1つの可能性は、例えば8(8のピクセルブロックに対して離散コサイン変換を行うことである。その後、空間周波数成分を周波数ドメインフィルタ係数で乗算し、得られた値の絶対値を合計することにより焦点の質測定値を導き出すことができる。このアプローチは演算の面で累乗演算よりも安価であり、同等に有用である。
【0134】
高域フィルタの設計は重要である。像センサ22の出力側で得られるブロックのみでしか作業できない(すなわち元の像を再構築することは不可能で、元の像に空間処理を施すことは可能である)と仮定すると、このフィルタの要件は以下のようになる。
【0135】
・DC係数はゼロでなければならない。なぜならDC信号は有用な焦点情報を伝達しないからである。
【0136】
・非常に高い周波数がピクセルノイズに大きく影響される(特定のシステムの錯乱円を分析することによりこれを証明することができれば、非常に有用な情報となる)。これらの周波数も減衰すべきである。
【0137】
・中間周波数は有用な焦点情報を含む。
【0138】
これらのゾーン間の遷移帯域はあまり急であってはならない。あまり急であると、閾値として作用し、いくつかの環境下でアルゴリズムが動作することを阻止するからである。
【0139】
空間プロトタイプから周波数ドメインフィルタを設計することは、満足のいく結果を得る1つの方法である。空間ドメインでのたたみ込み動作に何が必要であるかがわかると、これを周波数ドメイン乗算に変換することができる。
【0140】
1つの使用可能な高域フィルタは、上記のガウスフィルタのラプラシアンである。この方法全体がかなり満足のいく結果を生み出し、シミュレーションでは他の方法(いくつかは周波数ベースであり、いくつかは空間ベースである)と比べても良好である。
【0141】
言うまでもなく、上記の実施形態に対しては本発明の範囲内で多くの改変が可能である。改変の例をいくつか述べるが、これらは本発明を限定するものではない。
【0142】
焦点の質測定値は、像領域全体から生成してもよいし、像領域の1以上の所定の部分から生成してもよい。像領域の複数の部分を用いる場合、焦点が最もよく判別できる領域を選択するとよい。あるいは測定値全体を各部分の測定値から(例えば重み付けをした合計によって)導き出してもよい。
【0143】
上記の構成のいくつかは、焦点制御の一部として、特に可変焦点レンズ構造の移動を駆動するために、圧電アクチュエータを用いている。このような圧電アクチュエータを用いた場合、圧電材料を作動するためには典型的には相対的に高い駆動電圧が必要である。なぜならこのような材料は典型的には、500 V/mm〜1ミリ当たり数千ボルトの駆動電界を必要とするからであり、さらに非常に薄い圧電層(例えば20 μm〜60 μmまたはそれ以下)を生成することは技術的に困難だからである。そのため例えば材料が1000 V/mmの駆動電界を必要とし、層の厚みが100μmであれば、100 Vの駆動電圧が必要となる。携帯型または他の電池式装置では、このように高い電圧は概して使用不可能であり、通常入手可能な低い電池電圧(例えば2 V〜6 V)から高電圧を生成することが必要となる。さらに何らかの高電圧増幅器を用いて、アクチュエータに対する高電圧を駆動制御することも必要となる。
【0144】
携帯型装置(例えば携帯型電話端末または携帯電話、携帯型デジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータまたは携帯型ハードドライブストレージ装置)では、コンポーネントの価格、コンポーネントが占める面積およびコンポーネントの重量が、これらの適用分野の装置を受容可能とするかどうかに際して重大な要素となる。多くの標準的な半導体ASICプロセスは低電圧回路に最適化されている。そのため高電圧生成回路および/または高電圧駆動増幅器回路を、携帯型装置の他のシリコン製集積回路内に集積することは実際には困難である。
【0145】
この問題を解決するために、以下を集積した単一の小型シリコン集積回路を提供することができる。(1)低電圧電池サプライ(典型的には12 V未満または6 V未満、あるいは3 Vまたは2 V未満)を圧電アクチュエータ装置を駆動する高電圧増幅器を供給するに適した高電圧(典型的には12 Vを超える、好ましくは20 Vを超える、より好ましくは40 Vさらには75 Vを超える)に変換するために必要なすべての半導体素子、および(2)圧電素子を直接駆動するために必要な高電圧増幅器を提供するために必要とされるすべての半導体素子。このような複合電圧ステップアップおよび増幅器/制御器は、非常に低い消費電力(典型的には250 mW未満、好ましくは100 mW未満、より好ましくは50 mWさらには20 mW未満)に最適化してもよい。さらにパッケージ寸法が非常に小型(典型的には10 mm平方未満、好ましくは5 mm平方未満、より好ましくは3 mmさらには2 mmまたは1 mm平方未満)でもよい。このようなシリコンチップは、圧電アクチュエータを採用した上記のいずれの実施形態にも適用することができる。概して任意の目的で圧電アクチュエータを採用した任意の携帯型電子装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】図1は、公知の自動焦点カメラの模式図である。
【図2】図2は、カメラのブロック図である。
【図3】図3は、図2のカメラの動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、ヒステリシスが起こっている圧電アクチュエータの位置−制御信号特性を示すグラフである。
【図5】図5は、自動焦点合わせ方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図5の自動焦点合わせ方法によって動作する圧電アクチュエータの位置−制御信号特性を示すグラフである。
【図7】図7は、位置検出システムの断面図である。
【図8】図8は、位置検出システムの第1の変形例の、光軸に直交する方向の断面図である。
【図9】図9は、位置検出システムの第1の変形例の、光軸に平行な方向の断面図である。
【図10】図10は、位置検出システムの第2の変形例の、光軸に直交する方向の断面図である。
【図11】図11は、位置検出システムの第2の変形例の、光軸に平行な方向の断面図である。
【図12】図12は、特定の自動焦点合わせ動作を示すフローチャートである。
【図13】図13は、特定の自動焦点合わせ動作を示すフローチャートである。
【図14】図14は、特定の自動焦点合わせ動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は、特定の自動焦点合わせ動作を示すフローチャートである。
【図16】図16は、特定の自動焦点合わせ動作を示すフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラに関し、特にカメラの自動焦点合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラは受像素子に光の焦点を合わせるレンズ構造を用いており、受像素子はフィルムまたはデジタルカメラの場合は像センサ(例えば電荷結合素子(CCD))である。可変焦点が望ましい。可変焦点でない場合、十分な焦点範囲を得るためにはカメラのレンズ構造は小口径のものに限られるからである。カメラの可変焦点は、移動可能レンズ構造を用いて焦点位置を変化させることにより実現可能である。あるいは電気的に可変である焦点を有する液体レンズなどのレンズ構造を用いても可変焦点を実現することができる。
【0003】
自動焦点カメラの多くの素子は非常によく知られている。自動焦点(AF)カメラシステムは広くあちこちに記載されている。図1は、アクチュエータ1を用いてレンズ構造2を移動させる公知のタイプのAFカメラを示す概略図である。レンズ構造2は像センサ3に光の焦点を合わせる。像センサ3は像信号を像プロセッサ4に出力する。像プロセッサ4は記録媒体を含んでいてもよい。焦点コントローラ5は、駆動回路6に制御信号を出力することによりレンズ構造2の移動を制御する。駆動回路6は、駆動信号をアクチュエータ1に供給する。焦点コントローラ5は、図1に破線矢印で示すように任意の数の源からの情報に基づいて焦点を制御し、最良の焦点位置を見つける。
【0004】
焦点コントローラ5は物理範囲ファインダ7(例えば、超音波範囲ファインダ(飛行時間演算を用いて)または赤外線範囲ファインダ(距離の二乗に比例する反射輝度を用いて))からの情報を用いることができる。
【0005】
焦点コントローラ5は光路においてセンサの手前に設けられた光学素子(例えば浅いプリズムまたはSLRカメラに見られる「マイクロスクリーン」)からの情報を用いてもよい。これらの情報は、別個の像センサによって分析可能である。
【0006】
焦点コントローラ5は、像センサ3が出力した像信号を分析してもよい。これは通常2つのプロセスを含む。第1のプロセスでは、像の焦点の質測定値を決定する。第2のプロセスでは、決定した焦点の質測定値に基づいて、何らかのアルゴリズム(例えば測定値を最大にするアルゴリズム)に従ってレンズ構造2の焦点合わせを制御する。
【0007】
像信号から決定される像の焦点の質測定値としては様々なものが公知である。1つのタイプの測定値は、像の高域空間周波数内容に基づく。このタイプの測定値は、焦点が良好になるにつれて高域空間周波数成分が増加することに基づいて用いられる。第1の可能性は、高域(high-pass)フィルタリングされた像データの係数を積分することである。第2の可能性は、高域フィルタで像信号をたたみ込み、得られたものの累乗を求めることである。第3の可能性は、周波数ドメイン変換(例えばFFTまたはDCT)を行い、周波数ドメインフィルタを付与して累乗を合計することである。これらの技術はすべての上記の結果を達成するが、挙動は非常に異なる。
【0008】
別のタイプの測定値は、像信号から得られる統計(例えばエントロピー測定値)に基づいており、逆に言うと像信号の圧縮率、すなわちヒストグラムピクセル値または飽和ピクセル値に基づいている。
【0009】
可動レンズ構造を用いることによって可変の焦点が達成されるが、圧電アクチュエータを用いてレンズの移動を駆動してもよい。圧電アクチュエータを用いる場合、電気モータを用いる場合に比べて様々な利点がある。圧電アクチュエータの1つの使用可能な形態がWO-01/47041号に記載されており、WO-02/103451号に開示のカメラで用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、圧電アクチュエータは通常、駆動信号入力−置換出力特性においてヒステリシスの問題を有する。このため、アクチュエータ制御のために用いた制御信号に応じて駆動されたレンズ構造が到達する位置でヒステリシスが起こる。ヒステリシスは、持続性を有しているためにそれ以前の作用に応じて挙動が逐次変化するというプロセスであると考えることができる。ヒステリシスは自動焦点を実際に行う場合に問題となる。なぜなら最良の焦点または少なくとも受容可能な焦点が得られる位置までレンズ構造を移動させる制御信号にバラツキが生じるからである。ヒステリシスが起こると、所与の位置(例えば最良の焦点が得られる位置)に対応する制御信号値が単一ではないという結果が概して起こる。実際にはこれにより、レンズ構造の焦点を合わせるために必要な制御信号を選択することが困難になる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の局面によると、カメラ内のレンズ構造の焦点合わせを行う方法であって、カメラはさらに前記レンズ構造によって像の焦点が合わせられる像センサと、付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータとを含み、前記圧電アクチュエータは前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こす方法が提供される。前記方法は、所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、前記制御信号を、前記所定範囲の前記最大値または最小値に戻るように変化させる工程と、前記制御信号を前記焦点値に戻るように単調変化させる工程とを含む。
【0012】
さらに本発明の第1の局面によると、上記方法を実施するカメラが提供される。
【0013】
本発明の第2の局面によると、カメラ内のレンズ構造の焦点合わせを行う方法であって、カメラはさらに前記レンズ構造によって像が焦点合わせられる像センサと、付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータとを含み、前記圧電アクチュエータは前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こす方法が提供される。前記方法は、所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、前記制御信号の修正値を決定する工程であって、前記制御信号は前記修正値まで単調変化させることにより、前記圧電アクチュエータのヒステリシスを考慮して、前記制御信号が前記焦点値にあったときに配置されていた位置まで前記レンズ構造を移動させることが可能である工程と、前記制御信号を前記修正値に戻るように単調変化させる工程とを含む。
【0014】
さらに本発明の第2の局面によると、上記方法を実施するカメラが提供される。
【0015】
第1および第2の局面は共に、まず所定範囲の最大値または最小値の制御信号を付与し、その後所定範囲内で制御信号を単調変化させることにより、制御信号の複数のテスト値の各々において焦点の質測定値を決定することを含む。
【0016】
焦点制御は常に同一の所定範囲内で行われるため、制御信号が最初に用いられた範囲の最大値または最小値を超えることはない。所定範囲内のみの制御信号で圧電アクチュエータを動作させる場合、範囲端部に対応するアクチュエータの位置はその範囲で一定期間動作した後は同じ位置になる傾向があるという物理現象が観察され、これによる利点が得られる。従って少なくとも自動焦点合わせ制御を数回繰り返した後は、制御信号の最大値または最小値に対応する位置に繰り返し戻る。これは、制御信号が範囲内で変化している際のレンズの位置も、変化が単調変化である結果、焦点制御が行われるごとに同じとなることを意味する。このため、像の焦点の質測定値が受容可能なレベルにあった初期走査の間に行われた制御信号の焦点値の決定に基づき、最良の焦点の質または少なくとも受容可能な焦点の質を提供すると判定された位置の1つに、レンズ構造を戻すことが可能となる。
【0017】
しかし本発明の第1および第2の局面は、所望の位置に戻すために僅かに異なる技術を用いている。これを以下に述べる。
【0018】
本発明の第1の局面によると、制御信号は上記所定範囲の最大値または最小値の値まで変化し、その後上記焦点値まで単調変化する。これによりレンズ構造が、制御信号が焦点値にあったときに配置されていた位置と同じ位置まで戻る。なぜなら制御信号の最大値または最小値に対応する位置は同一であり、アクチュエータの進路も同一だからである。
【0019】
これに対し本発明の第2の局面は、制御信号の最大値または最小値へのフライバックを必要とせず、代わりに圧電アクチュエータのヒステリシス特性に関する知見を用いる。特に、制御信号の修正値を決定する。制御信号は修正値まで単調変化させることにより、圧電アクチュエータのヒステリシスを考慮して、制御信号が焦点値にあったときに配置されていた位置までレンズ構造を移動させることが可能である。これにより単に制御信号を上記修正値まで単調変化させることにより同一位置への復帰が可能となる。
【0020】
US2003/117514号は、像圧縮システムを用いて像の焦点の質測定値を決定する方法を開示している。十分焦点が合った像は焦点の合っていない像よりも多くの情報量を含むという原則に基づいて、圧縮された像のデータ量が像の焦点の質測定値として決定される。典型的にはカメラのメモリに像が保存されるのであるから像圧縮システムはいずれにせよ必要であり、その場合にこのようなカメラはカメラ内のハードウェアのコストが最小限に抑えられるという利点を有する。このような技術は一般的にはうまくいくが、必ずしも常に最良の焦点が得られるわけではない。そのためより良い自動焦点合わせを提供する自動焦点合わせ技術を開発することが望ましい。
【0021】
本発明の第3の局面によると、カメラであって、像信号を生成するように構成された像センサと、前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造であって、付与される制御信号に応じて焦点が可変である、レンズ構造と、前記像センサからの前記像信号を符号化して符号化信号圧縮形態にするように構成されたエンコーダと、前記制御信号を前記レンズ構造に付与することにより前記レンズ構造の焦点を制御するように構成された制御回路とを備えたカメラが提供される。ここで、前記制御回路は、2つのモードで動作するようにエンコーダを制御することが可能であり、第1のモードでは前記符号化信号が前記像信号の低域空間周波数成分を優先的に保存し、第2のモードでは前記符号化信号が前記像信号の高域空間周波数成分を優先的に保存し、前記制御回路は、前記第2のモードで動作するように前記エンコーダを制御する工程と、前記符号化信号内のデータ量を前記像センサ上の前記像の焦点の質測定値として決定する工程と、前記決定されたデータ量に基づいて前記レンズ構造の焦点を制御する工程と、その後前記第1のモードで動作するように前記エンコーダを制御する工程とによって前記像の焦点を制御するように動作可能である。
【0022】
通常の動作モードでエンコーダによって出力された符号化信号内のデータ量測定値を用いるカメラ(例えばUS-2003/117514号)と比べると、本発明の第3の局面によるカメラは、より良好な焦点の質測定値を提供し、従ってレンズ構造の焦点をより良好に制御することができる。これは以下の理由による。
【0023】
US-2003/117514号に記載された、入力される情報内容が増加すると出力ファイルのサイズも増加するという理由付けは、最大エントロピー無損失符号化を用いた場合には全く正しい。しかしカメラで用いられる典型的な像符号化スキームでは、損失を生じさらに量子化素子を含む像圧縮システムが用いられ、このようなシステムは特に高域空間周波数成分に関連する情報を廃棄する。これは例えば、符号化に利用可能なバイト数を低減させたり、高域空間周波数成分を全体的に省略したりすることによって行われる。その結果、焦点の質に関して有用な情報を提供する高域空間周波数成分に関連する情報が失われる。他方、焦点の質に関してあまり有用でない情報を提供する低域空間周波数成分は保持される。
【0024】
例えば通常のJPEG符号化スキームを考えると、周波数ドメインでの輝度量子化用の標準の奨励値は以下の通りである。ここで、NCは符号化されていないことを意味する。
【0025】
【表1】
【0026】
これからわかるようにDCに近い空間周波数値は最小の量子化を有し、そのため得られたファイルサイズに対する貢献度は最も高い。他方、より高い周波数の符号化はより粗い。
【0027】
しかし本発明の第3の局面によると、焦点制御を行うために、エンコーダを異なる動作モードにしている。このモードでは通常の動作モードとは異なり、高域空間周波数成分を優先的に保存する。従ってこの動作モードでは、符号化信号内のデータ量が示す焦点の質測定値はより良好である。このように、通常の動作モードでの符号化は、見た目の美しさにとって望ましいという理由で焦点制御中に低域空間周波数成分を優先的に保存する。これに対し、上記異なる動作モードでの符号化は焦点の質測定値としてより有用だという理由で高域空間周波数成分を保存する。要するに、見た目に有用な情報よりも焦点情報を保存するのである。
【0028】
例えば、この技術は以下を含むJPEG符号化器に適用することができる。像信号を空間周波数成分に変換するように構成された離散コサイン変換ブロックと、離散コサイン変換ブロックから出力された空間周波数成分を、それぞれの空間周波数成分に関する量子化レベルマトリクスに従って量子化するように構成された量子化ブロックと、量子化された像信号を量子化ブロックから出力された周波数ドメイン内で符号化するように構成されたエンコーダブロック。
【0029】
この場合制御回路は、量子化ブロックが異なる量子化レベルマトリクスを用いるようにすることによって、エンコーダを2つのモードで動作するように制御する。好ましくは、制御回路は第2のモードにおいて、量子化ブロックが高域フィルタの空間周波数係数マトリクスの逆数である量子化レベルマトリクス(好ましくはガウスフィルタのラプラシアン)を用いるようにしてもよい。
【0030】
自動焦点合わせの間に移動可能レンズ構造を用いることにより可変焦点が得られると、所与の時点のレンズ構造の位置を正確に知ることが有用である。これにより焦点が合っていると判定された位置にレンズ構造を戻す制御が容易になる。レンズの移動を制御するために用いられる制御信号は精密な制御には不十分である可能性がある。これはレンズ構造の移動を駆動するために用いられるアクチュエータのヒステリシス、摺動または遊びのせいである。
【0031】
レンズ構造の位置を検出する検出器としては様々なものが公知である。これらは十分な正確性を達成はするが、実施が困難であったり高価であることが多い。
【0032】
本発明の第4の局面によると、カメラであって、像信号を生成するように構成された像センサと、前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造であって、前記像の焦点が変化するように焦点が移動可能である、レンズ構造と、光源と、前記レンズ構造に固定され前記レンズ構造と共に移動可能であり、前記光源からの光を受け取って前記像センサに向けるように構成された光学素子であって、前記像センサに入射する光が前記レンズ構造の移動によって変化するように構成された、光学素子と、前記像センサからの前記像信号を供給され、前記像センサに入射する光の前記変化を検出して且つ前記検出された変化に基づいて前記レンズ構造の位置測定値を生成するように構成された信号プロセッサとを備えたカメラが提供される。
【0033】
さらに本発明の第4の局面によると、対応する方法が提供される。
【0034】
このようなレンズ位置検出は安価で実施も容易である。レンズ構造に連動する物理的コンポーネントは、光源と、レンズに固定された光学素子のみである。これらのコンポーネントは実施が簡単で安価である。レンズ装置の移動により、像センサが出力する像信号が変化する。これは他の目的のためにカメラに含まれる処理回路の一部として簡単に実施できる信号プロセッサを用いて単純に検出することができる。例えば1つの可能性は、信号プロセッサがプログラムを実行するマイクロプロセッサによって実施されることである。カメラにはいずれにせよマイクロプロセッサが含まれることを考えると、この例はソフトウェアの変更を必要とするのみであり、追加のハードウェアに費用がかかることはない。
【0035】
カメラは、レンズ構造の移動を制御することにより、レンズ構造の少なくとも生成された位置測定値に基づいて焦点を変化させるように構成された制御器を備える。
【0036】
好ましくは光学素子は反射器(例えばミラー)であり、レンズ構造が移動する際に沿う光軸に対して0度より大きい角度で設けられている。この場合レンズ構造の移動により、反射器上の、反射が起こる位置が変わり、そのため像センサに入射する光は像センサ上で移動する。これにより簡単に像信号を検出することができる。しかしレンズ構造の移動に伴って像センサに入射する光を変化させるものであれば概して任意の光学素子が使用可能である。
【0037】
好ましくは光源は光ビームを発する。これにより像信号内の、光源からの光を検出することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明がよりよく理解できるように、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は本発明を限定するものではない。
【0039】
まず図2に示すカメラ20を説明する。
【0040】
カメラ20は、像センサ22に光の焦点を合わせる可変焦点レンズ構造21を有する。像センサ22は、入力光に応答してビデオ像信号を生成する。可変焦点レンズ構造21は可動であり焦点を移動させる。このような移動はアクチュエータ23によって駆動される。アクチュエータ23は圧電素子であってもよく、例えばWO-01/47041号に開示されているようなタイプであってもよい。このタイプの圧電素子はWO-02/103451号に開示の様式でレンズ構造21の移動を駆動することができる。この場合、レンズ構造21はWO-2005/003834号に開示されているように、アクチュエータ23を組み込んだ懸架システムを用いて懸架されてもよい。
【0041】
アクチュエータ23は駆動回路24が供給する制御信号によって駆動される。
【0042】
像センサ22からの像信号はJPEGエンコーダ25に供給される。JPEGエンコーダ25は、JPEG規格にしたがって像信号を符号化するように動作可能である。この符号化には損失を生じる圧縮が含まれる。特にJPEGエンコーダ25は以下の成分を含む。
【0043】
像信号はまず色処理ブロック26に供給される。色処理ブロック26は、像センサ22からの像信号の後処理を行う。
【0044】
像信号はその後、離散コサイン変換ブロック27に供給される。離散コサイン変換ブロック27は像信号に離散コサイン変換を施して空間周波数成分にする。
【0045】
空間周波数成分は量子化ブロック28に供給される。量子化ブロック28は、それぞれの空間周波数成分に関する量子化レベルのマトリクスに従って空間周波数成分を量子化する。量子化ブロック28の動作はより詳細に後述する。
【0046】
量子化された空間周波数成分はエンコーダブロック29に供給される。エンコーダブロック29はランレングス(run-length)符号化スキームなどを用いて、量子化された空間周波数成分を符号化する。
【0047】
エンコーダブロック29の出力は、JPEGエンコーダ25が出力した符号化信号として供給される。符号化信号はカメラの他の任意のコンポーネントに供給されてもよい。例えば保存用メモリ30に供給されてもよいし、符号化信号を処理してディスプレイ32に像を表示するように構成されたドライバ31に供給されてもよい。
【0048】
カメラ20は制御回路33の制御下で動作する。制御回路33は通常、適切なプログラムを実行するマイクロプロセッサによって実施される。JPEGエンコーダはハードウェアとして実施されてもよいし、適切なプログラムを実行するマイクロプロセッサによってソフトウェアとして実施されてもよい。適切なプログラムを実行するマイクロプロセッサはJPEGエンコーダを実施するために用いられるマイクロプロセッサと同じでもよい。
【0049】
以下に量子化ブロック28の動作をより詳細に述べる。量子化ブロックは、異なる量子化マトリクスが適用される2つのモードで動作可能である。モードの選択は制御回路33によって行われる。このことは図2において、量子化ブロック28が2つの量子化素子ブロック34および35とスイッチ36とを含むことにより表されている。2つの量子化素子ブロック34および35は各々異なる量子化マトリクスに従って量子化を行い、スイッチ36は量子化素子ブロック34および35の一方からの出力を量子化ブロック28からの出力として選択するように切り換え可能である。スイッチ26は制御回路33によって制御されている。あるいは量子化ブロック28が制御回路33によって制御され、制御回路33が量子化ブロック28が用いる量子化マトリクスを選択してもよい。
【0050】
量子化ブロック28の2つの動作モードで用いられる2つの量子化マトリクスは以下の通りである。第1のモードでは、量子化ブロック28はJPEG規格に従ってJPEGエンコーダで通常選択されるタイプの量子化マトリクスを用いる。量子化マトリクスとして実現可能な1つの形態は、例えば本発明に関して上述したものである。このような量子化マトリクスでは、高域空間周波数成分よりも低域空間周波数成分が優先的に保存される。この目的は、像信号内の情報のうち、像を目で見て受容可能なものとするために最も重要な情報である低域空間周波数成分を保存している間に圧縮を行うことである。このことは実際には、高域空間周波数成分に含まれる情報を廃棄することを含む。その結果、この動作モードでJPEGエンコーダ25から出力された符号化信号は、焦点の質に関する情報を提供するという点では信頼できないものとなる。焦点の質に関する情報は高域空間周波数成分に最も有意な影響を与えるからである。
【0051】
第2のモードでは、第1のモードとは異なり、量子化ブロック28は高域空間周波数成分を優先的に保存する量子化マトリクスを用いる。そのため、像信号の焦点の質を決定するために有用な情報を保存する量子化マトリクスが選択される。原則として第2のモードの量子化マトリクスは、焦点の質に関する情報を提供するために有用な高域空間周波数成分を保存する限り任意の形態を取り得るが、高域フィルタの逆数である量子化マトリクスを用いることにより設計を簡潔化することができる。これにより、焦点の質を決定するために有用な高域周波数成分を抽出する限り任意の高域フィルタを用いることが可能となる。
【0052】
1つの使用可能な高域フィルタはガウスフィルタのラプラシアンである。この関数の連続的なものは以下の通りである。
【0053】
【数1】
【0054】
上記式においてxおよびyは空間共縦座標であり、f(x,y)は空間ドメインフィルタであり、rはガウスぼかしの半径である。ラプラシアンは周波数に伴って増加する利得を与える微分演算子である。ガウスは高周波数で利得を減衰させるぼかし演算である。このフィルタ設計の1つの利点は、空間性能について動作が理解し易いことである。ガウスぼかし半径rはピクセルで特定され、像の中の「実体」(ノイズでなく)であると考えられる最小の細部の寸法と関係がある。この関数の別の利点は、円対称であることである。離散コサイン変換による変換後、非対称コサインに対応する像成分はゼロ、すなわち得られる係数の75%でなければならない。さらに得られる係数マトリクスは対称でなければならず、これにより倍数の数が半分になる可能性がある。例えば8(8の値を有するマトリクスの場合、変換後にはゼロでない値が18個あるが、対称でなければならないために倍数の数が9に減少する。加えて係数は、二値デジタルプロセッサのシフト演算である2nの形態、またはいくつかの「シフト+加算」演算を単純に組み合わせたもので合理的に表すことができるように較正可能である。
【0055】
ガウスフィルタのラプラシアンの逆数である量子化マトリクスの一例は以下の通りである。
【0056】
【表2】
【0057】
ここで、Mは可能な最大量子化を示す。この量子化マトリクスはガウス半径値がrの場合の1回の較正に対してのみ与えられるが、これらのパラメータの他の値も使用可能であることは言うまでもない。得られる結果の質は量子化素子マトリクスの較正にあまり依存しないと考えられる。そのためこのマトリクスの変数は有効なものが多い。
【0058】
第2のモードの結果、焦点の質に関する有用な情報を提供する高域空間周波数成分の符号化信号が保存される。従って制御回路33は焦点の質測定値として、JPEGエンコーダ25が第2のモードにある場合の符号化信号のデータ量を用いる。データ量は焦点の質の上昇に伴って増加する。なぜなら自身の特性のために焦点が合うことにより、高域周波数成分の大きさが増加するからである。そのため、焦点が良好になるにつれて、低度の圧縮が起こり、従ってデータ量が増加する。第2のモードにおいて別の量子化マトリクスを用いることにより、第1のモードのように通常の量子化マトリクスを用いた場合よりも良好な測定値が得られる。なぜなら通常の量子化マトリクスは焦点合わせに関連する情報を廃棄するからである。
【0059】
これを説明するために、制御回路33が行うカメラ20の自動焦点合わせ動作を図3に示す。
【0060】
まずステップS1において、制御回路33がJPEGエンコーダ26を第2のモードに切り換える。その結果、焦点合わせに有用な情報を含む高域空間周波数成分を保存する量子化マトリクスを用いて符号化信号が得られる。
【0061】
次いでステップS2において、JPEGエンコーダ25から出力された符号化信号内のデータ量を焦点の質測定値として用いて自動焦点合わせを行う。自動焦点合わせステップS2は詳細に後述するが、アクチュエータ23での結果が制御されて、最良の焦点または少なくとも受容可能な焦点が得られる位置までレンズ構造21が移動する。
【0062】
ステップS2での自動焦点合わせが完了すると、ステップS3で制御回路33がJPEGエンコーダ25を第1のモードに切り換える。その結果、できるだけ見た目の良い像を提供する情報を含む低域空間周波数成分を保存する量子化マトリクスを用いて符号化信号が得られる。その後ステップS4においてカメラが正常に動作し、JPEGエンコーダ25が、像センサ22が捕捉した像を表す符号化信号を出力する。
【0063】
カメラ20はJPEG規格に従ったJPEGエンコーダを含むと記載したが、像センサ22が出力する像信号を、損失を伴って圧縮する他のタイプのエンコーダも同様に使用可能である。
【0064】
言うまでもなく、様々な損失メカニズムが多くの通常の像圧縮規格において特定されている。これらの一部は、像情報よりも焦点情報を優先的に保存する目的で適用することはできない。例えば通常圧縮規格の一部として固定されている色深さ減少または彩度サブサンプリングに関連する場合には上記目的で適用することはできない。しかし損失メカニズムの多くは、JPEG規格で行われる量子化におけるように制御可能な損失メカニズムである。ほとんどの場合、主要な制御可能損失メカニズムは量子化または閾値演算である。閾値演算は、特別な量子化であると考えることができる。言うまでもなく、他の制御可能損失メカニズムも考えられ、使用可能である。例えばストリームのエントロピー符号化において確率の低い符号を落とすことが可能であり、本発明の技術はこれに適用可能である。
【0065】
本発明の技術は、可変損失メカニズムを制御して2つの動作モードにおいて異なる動作をすること、すなわち第1のモードでは見た目が楽しい像を提供する情報を含む低域空間周波数成分を保存し、第2のモードでは焦点合わせに有用な情報を含む高域空間周波数成分を保存するように動作させることにより他の符号化スキームにも適用することができる。
【0066】
第2のモードでは概して1を超える設定が必要である。なぜなら高域フィルタリングされた像がノイズに対する感度を有するため、光学設定はパラメータ(例えばシーン全体の光レベル)と共に変化し得、光レベルが低下するほど像のノイズが増加する傾向にあるからである。このことは画像センサ22の露出時間を介して検出することができる。有効な高域フィルタは露出時間に応じて切り換えることができ、例えば露出時間が長くなるにつれて、より攻撃性の低い高域周波数利得に切り換えることができる。
【0067】
2つのモードでの設定(例えばカメラ20内の量子化マトリクス)は所望の空間応答または周波数応答の知見により設計されてもよいし、帰納的基準の方向最適化により導き出すこともできる。帰納的基準の方向最適化は例えば、焦点の質の概念的スコアを有しており且つ美的価値も付与されている試用データを実行し、その後制御可能損失メカニズムのパラメータを、相関関係ができるまで変化させることにより行われる。後者の方法は制御可能損失メカニズムにより適している。制御可能損失メカニズムでは、当該損失メカニズムの作用が自明に反転して元の像を操作するということにはなり得ない。
【0068】
この技術は、別の符号化スキームの例としてウェーブレット圧縮スキームに適用可能である。これは例えば、レベル3循環的離散ウェーブレット変換であり、ダウベキエス(Daubechies)の第6次多項式を用いている。この場合、ウェーブレット係数の一部を除去する(強制的にゼロにする)ために変換後の像信号が曝される閾値を変化させることにより、損失メカニズムを制御してもよい。ウェーブレット変換は興味深い二次的特性を有しており、すべての周波数スケールで何らかの空間位置が保存される。そのため興味の対象である範囲外の空間位置に対応するウェーブレット係数をゼロにすることにより、像内の興味のある領域を選択することは容易である。
【0069】
以下に、自動焦点合わせステップS2を詳細に説明する。
【0070】
カメラ20では、駆動回路24がアクチュエータ23に付与する制御信号は電圧信号である。アクチュエータ23は好ましくは上述した圧電アクチュエータである。このようなアクチュエータ23の圧電材料は典型的にはヒステリシスを呈し、これにより自動焦点合わせ時に問題が生じる。
【0071】
ヒステリシスの性質を図4に示す。図4は、レンズ構造21が制御信号に応じて移動する際の移動先位置を示すグラフである。特に、この位置は制御信号の値に線形に(例えば破線に沿って)依存するわけではなく、制御信号の変化の履歴に依存する。図4は、制御信号の正の値および負の値への一連の変化を示す。制御信号の開始値と終了値は同一であるが、位置の開始値と終了値は異なる。ヒステリシスとは、所与の時点におけるレンズ構造21の位置が、制御されている唯一のパラメータである制御信号からは概してわからないことを意味する。これにより自動焦点合わせが困難になる。なぜなら最良の焦点、または少なくとも受容可能な焦点が得られると判定されるレンズ構造21の位置に戻ることが容易でなくなるからである。
【0072】
しかしカメラ20は、以下に図5のフローチャートを参照して以下に述べる方法を用いて自動焦点合わせステップを行うことにより、ヒステリシスの上記問題を処理する。
【0073】
この方法は、常に所定範囲の制御信号を付与することに依存し、図6に示す物理現象を利用する。図6は、レンズ構造21が制御信号に応じて移動する際の移動先位置を示すグラフである。図6において、制御信号の所定範囲の最小値および最大値をSMINおよびSMAXで示す。制御信号が所定範囲内にある場合、初期安定化期間の後、圧電アクチュエータ23が所定範囲の両端部に対応する位置がそれぞれPMINおよびPMAXで示す一定値となる状態に入る。従って制御信号が最小値SMINまたは最大値SMAXのいずれかに変化するたびに、位置はそれぞれ同一値PMINまたはPMAXに変化する。同様に、制御信号が単調変化して最小値SMINまたは最大値SMAXから変化すると、位置はそれぞれ同一曲線90または91に沿って変化する。従って、まず最小値SMINまたは最大値SMAXの制御信号を付与し、その後制御信号を単調変化させることにより、レンズ構造21を反復可能かつ予測可能に同一位置に駆動することが可能である。これにより上記自動焦点合わせ方法が用いるレンズ構造21の相対位置に関する以下の知見が実効的に得られる。反復可能な変化は、所定範囲の制御信号の初期動作後に初めて起こる。しかし実際はこの安定化は、自動焦点合わせ方法を比較的少ない回数反復した後に起こる。
【0074】
上記自動焦点合わせ方法において、まずステップS100で、最小値SMINまたは最大値SMAXの制御信号を付与する。これにより制御信号を変化させることが必要となり得る。あるいは実施形態によっては、制御信号はすでに適切値にある可能性もある。理由は例えば、これは圧電アクチュエータ23の休止状態だからである。説明を簡潔にするために、まず最小値SMINを用い、その後制御信号を上昇させる場合を述べる。これに代えて、まず最大値SMAXを用いてもよい。この場合も以下の方法が適用されるが、以下で「低下」と記載されている箇所は「増加」となり、「増加」と記載されている箇所は「低下」となる。
【0075】
次いでステップS101で、制御信号を所定範囲内で単調変化させる。これによりレンズ構造21が、対応する位置範囲を走査する。所定範囲内の制御信号の複数のテスト値の各々において、焦点の質測定値が決定され保存される。テスト値は所定範囲内で線形に設けられてもよいが、これは必須ではない。あるいはテスト値は不均等に散らばっていてもよく、例えば範囲内の特定の部分に集中していてもよい。ステップS101の終了時に、制御信号はSMAXであり、従ってレンズ構造21の位置はPMAXである。
【0076】
ステップS102では、決定された焦点の質測定値を用いて、焦点の質が受容可能レベルにある制御信号の焦点値を導き出す。これを最も簡単に行うには、最良の焦点の質測定値を有する複数のテスト値から1つを選択する。あるいは曲線適合技術を用いて最良の焦点を提供する制御信号値をテスト値から予測することも可能である。従って焦点値はテスト値の1つである必要はない。曲線適合は単純な計算式、例えばM次多項式(M>1)によって得ることができる。あるいは曲線適合は、代表的シーンから予備測定された曲線のライブラリから得た曲線に最もよく適合するものとして選択することも可能である。このようなスキームには数多くの改良を行うことができる。例を以下に示す。
【0077】
・代表的シーンの集合から推定値を得て、その後アルゴリズムを経時的に得る場合には、適切なスケールとオフセット値が改良される。すなわち物理ユニットは、データ集合が記録された基準ユニットとは異なる(機械的および材料的許容度のため)。アルゴリズムは、特定のシステムに必要とされる実際の値にどのようにしてライブラリ値をマッピングするかというモデルを展開することができる。
【0078】
・ベイズの定理はこの場合強力なツールである。あるシーンにおける焦点の質の「正確な」値と焦点の質測定値(ノイズなどの瞬間的要因によって乱される)との差異の分布は合理的に十分推定可能である。単純な「山登り」の場合でもベイズの定理は信号をノイズと判別する方法を提供する。
【0079】
図5ではステップS101およびS102を別々に示すが、ステップS102はステップS101の走査の少なくとも一部分で行うこともできる。
【0080】
上記理由により、ステップS101での走査中に制御信号が焦点値にある場合にレンズ構造が配置される位置は知られており、少なくとも所定範囲端部の最小値および最大値に対応する位置PMINおよびPMAXに対するレンズ構造の位置は知られている。例えば、制御信号の焦点値が図6に示すSdである場合、位置はPdである。このようにその位置に戻るのは単純である。これを行う2つの異なる方法を図5に示しており、ステップS103およびS104を行うこと、またはステップS105およびS106を行うことである。
【0081】
第1の方法ではステップS103で、最初に付与された最小値SMINまたは最大値SMAXまで制御信号を戻す。従ってレンズ構造もステップS100での移動先と同じ位置に戻る。そのためこの方法はフライバック技術と呼ばれる。制御信号の変化速度は、走査ステップS101におけるよりもこのフライバックステップS103における方が速くてもよい。なぜなら焦点の質測定値を決定する演算を行う必要がないからである。
【0082】
次にステップS104で、ステップS102で決定した焦点値まで制御信号を単調変化させる。これによりレンズ構造の位置が走査ステップS101の曲線と同じ曲線(例えば曲線90)に沿って変化し、制御信号が焦点値にあったときの位置(例えば焦点値がSdであれば位置Pd)に到着する。従ってフライバック技術は、圧電アクチュエータのヒステリシスがあっても、レンズ構造を信頼できる様式でステップS102で決定した位置に戻す。
【0083】
フライバック技術を用いた自動焦点合わせ方法は非常に迅速に、とくに有用に短い時間で動作することができる。これは、例えばF値2.8のカメラ20と焦点距離4.25 mmの焦点合わせレンズ構造21とを考えることにより示すことができる。ピクセルピッチ3.6umのセンサの場合、10.2 umまでの錯乱円を設定することができる。10.2 umはカラーセンサで最小の全色撮像素子である2 ( 2ピクセルブロックの対角線である。これらの制限の下で、4つの被写界深度範囲(117 mm、169 mm、292 mmおよび633 mmを中心とする)内に10 cm〜無限の焦点範囲を含むことができる。光学系全体の非理想的特性(例えば重力、ヒステリシス、レンズとセンサとの角度許容度など)を斟酌するためには、6つの被写界深度範囲を斟酌することが賢明である。フレーム時間に比べて露出時間が短い良好な光状態では、隣接する被写界深度範囲間の装置の移動は、このようなカメラに共通のフレームレートである30 fps以下で走行している場合、1フレームのうちの非露出部分で完了することができる。15 msという短いフライバック時間ではうまくいくことが実験により判明している。従ってこの方法は以下の時間で完了することができる。
【0084】
1 × 15 ms(必要に応じて行われるステップS100での初期フライバック)
+ 6 × 33 ms(ステップS101での走査およびテスト)
+ 1 × 15 ms(ステップS103でのフライバック)
+ 1 × 33 ms(ステップS104での焦点位置への復帰)
= 261 ms
【0085】
この自動焦点合わせサイクル時間は1/4秒を僅かに超えるだけであり、他の多くの方法に比べて利点が大きい。
【0086】
しかし第2の方法は、ステップS103でフライバック技術を用いず、代わりに制御信号を適切な値に直接変化させることにより、サイクル時間を短縮化する。適切な値は、圧電アクチュエータ23の特性に関する知見に基づいて決定してもよい。特にステップS105では、制御信号の修正値を決定する。制御信号は修正値まで単調変化する際に、レンズ構造21をステップS101終了時の現在位置から走査ステップS101中に移動した位置まで移動させることができる。この位置とは、制御信号がステップS102で決定した焦点値を有していたときの位置である。図6の例では概して、制御信号の修正値が曲線90および91から導き出されてもよい。例えば制御信号の焦点値がSdである場合、制御信号が走査ステップS101中にSdであったときのレンズ構造21の位置はPdであり、制御信号の修正値はSmである。
【0087】
従って修正値は圧電アクチュエータ21の特性から決定してもよい。なぜなら上記のように動作は所定範囲内で行われるからである。修正値の決定は単純である。なぜなら材料の特性が製造状態で十分に制御可能だからである。概して決定は、カメラ20に保存されたルックアップテーブルまたはヒステリシス推定値のブルート(brute)演算を用いて行うことができる。ルックアップテーブルの場合、ヒステリシス特性に関する知見を用いて、前もってテーブルに保存された値を導き出す。カメラ20内で演算を行う場合、ヒステリシス特性に関する知見はカメラ20内に保存された演算で具現化される。
【0088】
原則的には、制御信号の修正値の決定は他の要因(例えばユニットの環境条件(特に温度の変化)、向き、端部の位置、ならびに物理的および機械的パラメータ)を考慮して行ってもよい。
【0089】
ステップS2で自動焦点合わせを行う方法を図12〜図16に詳細に示す。図12〜図16は制御回路33が行う動作のフローチャートである。これらの方法(さらに実際には図3および図5の方法)はカメラ20全体の動作の一部にすぎず、自動焦点合わせ自体もカメラ20が有用な機能を発揮するために必要な多くの動作の1つにすぎない。他の動作としては、光に対する感度の較正と口径の適切な閉塞および/または露出時間の変化、撮像(すなわち捕捉し保存すべき最終的露出)、および捕捉した像をカメラ20の像センサ22からメモリ30に転送することなどが含まれると考えられる。このような理由により、図12〜図16のフローチャートは開始およびリターン制御点S10、S11、S20およびS28を有する。開始点S10では、カメラの全体的かつ一般的制御系が自動焦点合わせプロセスを開始する。リターン点S11、S20およびS28では、自動焦点合わせプロセスの反復が完了し、続いて一般的カメラ制御方法(以下、一般的カメラ制御方法またはGCCMと呼ぶ)が行われ、その後自動焦点合わせ制御方法(以下、自動焦点合わせ制御方法またはACMと呼ぶ)が再び行われる。
【0090】
図12はより詳細に後述する方法のすべてを模式的に示す簡略フローチャートである。
【0091】
開始ボックスS10でACMが開始されると、第1の動作S12で、方法の残りの部分の詳細を制御するために用いられるループ変数を適切な値に初期化する。ACMはさらに状態変数を有している。状態変数は方法の開始から次の段階まで一定であるが、ACM自体は状態変数の値を変更してもよい。本質的な点は、方法が処理をGCCMに戻したときに状態が失われず、GCCMなどの外部システムによって故意に変更されない限り、ACMが次に開始されるときに状態変化が同一の値を有しているということである。
【0092】
次いでステップS13で状態変数を調べる。ACMがアイドリング状態(すなわち「何もしない」)であれば、ACMは処理を直接GCCMに戻す。
【0093】
ステップS14で状態が初期化状態(すなわち「新しい焦点測定プロセス動作サイクルの準備中」)であるかどうかを調べる。そうであれば、ステップS15で焦点制御変数を適切な値(フレーム変数を含む)に初期化する。これは図5のフローチャートのステップS100に対応する。この後ステップS16で、フレーム変数をインクリメントする。
【0094】
その後ステップS17でテストを行い、必要なフレームがすべて処理されたかどうかを調べる。そうであればステップS18で次の状態に移行させる(すなわち状態変数の値を変更する)。ステップS17の結果がいずれであっても、ステップS20でACMが処理をGCCMに戻し、現在の焦点レンズ位置を示すcurrpos値を戻す。
【0095】
ステップS14で状態が初期化状態でないと決定された場合、ステップS19で状態が走行状態かどうかを調べる。そうであればステップS20で、レンズ構造21が現在位置(currpos)にある状態で像がカメラ22に受け取られるための焦点の質測定値(フローチャートには性能指数(FOM)と記載する)を決定する。その後ステップS21で、新しく求めたFOMと最新の初期化状態の後に決定されたFOM値とを比較する。新しいFOMがこれまでの最良値であれば、ステップS22で最良FOMの新しい値として保存し、後のFOM比較に用いる。S21の結果がいずれであっても、その後ACMが、このFOM測定値に基づいてレンズ構造21の位置を変更する方法を算出する。その後方法はステップS16に戻り、上記を繰り返す。これは図5のフローチャートのステップS101およびS102に対応する。
【0096】
ステップS19において状態が走行状態でないと決定された場合、ステップS24で状態がフライバックかどうかを調べる。そうであればステップS25で、ACMがレンズ構造21を公知の位置に移動させる。その後方法はステップS16に戻り、上記を繰り返す。これは図5のフローチャートのステップS103およびステップS104またはステップS105およびS106に対応する。
【0097】
ステップS19で状態がフライバックでないと決定された場合、ステップS26で状態がトラックフォーカスかどうかを調べる。そうであればステップS27で、フレーム変数をより大きな値に設定する。その結果残りのアルゴリズムが、必要なフレームをすべて登録する前により多くのフレームを処理することになる。その後方法はステップS16に戻り、上記を繰り返す。状態が上記状態のいずれでもなければ、ステップS28で状態をアイドリングに設定し、処理はGCCMに戻る。
【0098】
図13〜図16は図12のACMを修正したものを示す。図13〜図15のフローチャートは図5のステップS103およびS104の実施例であり、図16のフローチャートは図5のステップS105およびS106の実施例である。
【0099】
図13は、ループ変数とその初期化値の記載を見ることができる第1の特定の実施を示す。これらは、初期ステップ数(initSteps = 5)、フライバックステップ数(flybackSteps = 5)、走査ステップ数(scansteps = 25)、処理した可変フレームに対するゼロ値、および駆動値の上限値(DrivMax = 255)を含む。駆動値の上限値は各実施例に特定であり、単にレンズ位置駆動信号に許容される最大値を表す。
【0100】
ルーチンに入る状態が初期化(状態 = init)である場合、ステップS15で焦点変数の特定の値が以下のように定義される。最良位置bestPos = 0、現在位置currpos = 0、最良の性能指数bestFOM = 0、フレームの数frames = initSteps。
【0101】
走行状態(状態 = running)である場合、ステップS20で、サブプロセス(getFOM、以下に2つの好適な形態を説明するが、FOMを決定する任意の適切な方法が使用可能である)を呼び出すことにより現在FOM値(thisFOM)を演算する。その後ステップS21でこのFOMを現在の最良FOM(bestFOM)に照らして調べる。新しい値の方が良好であれば、ステップS22でbestFOMをthisFOMの値に更新し、最良FOM用の焦点レンズ位置bestPosを現在位置currPosから更新する。その後ステップS23で、試すべき新しいレンズ位置currPosを演算し、フレーム変数を更新する。
【0102】
システムがフライバック状態(状態 = Flyback)である場合、ステップS25で次のレンズ位置を0(currpos = 0)に設定し、フレーム変数をフライバックプロセスに適した値(この場合はflybacksteps)に設定する。その後ステップS16でStateFrame変数をインクリメントする(但しフローチャートでは「++x」を用いて変数xをインクリメント(1だけ)することを示す)。
【0103】
システムがトラッキング状態(状態 = track)である場合、ステップS27でフレーム変数をこの場合は100に設定する。その後ステップS16でStateframe変数をインクリメントする。
【0104】
その後これら後者の状態をテストし、StateframeとステップS17のフレームとを比較することによって必要なフレームすべてが処理されたかどうかを調べる。そうであれば、ステップS18で現在の状態に応じてシステム状態を修正する(初期化を走行に変更し、走行をフライバックに変更し、フライバックをアイドリングに変更し、トラックをトラックに変更し(すなわち変更しない)、アイドリングをアイドリングに変更する(この場合も状態変更はない))。最後の動作は、焦点レンズ移動制御ルーチンFocus()を呼び出すことにより、新しく演算された位置currposにレンズを移動させることである。エントリ状態が何か他の状態である場合、状態をアイドリングに設定してリターンする。
【0105】
上記の記載においてプロセス中に様々な変数が設定される定数はすべて例示的なものであり、うまくいくことが判明しているものである。実際には他の値も使用可能かつ有用であり、ここで述べた値は1つの特定の実施例に対するガイドにすぎず本発明を限定するものではない。
【0106】
図14は基本的自動焦点合わせアルゴリズムの第2の例を示すが図13に酷似している。図13との主な相違点は以下の通りである。
【0107】
(1)初期化ステップ12において、initStep = flybacksteps= 3(5ではなく)であり、ScanSteps = 15(25ではなく)である。
【0108】
(2)ステップS23の走行状態において新しい位置の演算方法が異なり、currpos = (StateFrame + 1)* Drivemax/scanstepsとなっている。
【0109】
図15は図13に示す方法を少し変形した例を示す。図13との主な相違点は以下の通りである。
【0110】
(1)ステップS23の走行状態において新しい位置の演算方法が異なり、currpos = StateFrame*Drivemax/scanstepsとなっている。
【0111】
(2)ステップS17ですべてのフレームをテストした後、状態が走行状態である場合にステップS18で別のテストを挿入し、最良の位置がある大きな値よりも大きいかどうか(この例ではbestPos > 230?)を調べる。テストが成功すればシステムは、次の位置を最新の最良位置(currpos = bestPos)にリセットした後であってその新しい位置に移動せよという命令が出される前に、状態をフライバック状態ではなくアイドリング状態に変更する。あるいは状態がフライバック状態であれば、状態をアイドリングにリセットしcurrposを再びbestPosに設定する。
【0112】
図16は自動焦点合わせ制御方法のさらに別の例を示す。電気駆動信号を焦点レンズの機械的位置に変換するアクチュエータにおいてヒステリシスの影響を低減するように設計された推測素子が組み込まれている。このようなコンポーネント内のヒステリシスが、機械的状態および駆動状態のこれまでの履歴のせいで、同じ駆動信号に対して異なる位置までレンズを移動させることは明らかである。従ってこれらの履歴にもよるが、ヒステリシスを無視した方法は場合によって異なる挙動を行い、その挙動は概してヒステリシスがない場合に比べると劣る。図16において、上記方法との主な相違点は以下の通りである。
【0113】
(1)トラッキング状態において、フライバック状態と同じ制御状態シーケンスを用いる。
【0114】
(2)すべてのフレームのテストが成功した後、ステップS18を修正してサブステップS18aを含むようにする。その結果システムが走行状態である場合、ルックアップテーブル(LUT)により、テーブルに保存されたbestPos値を指数として用いて、レンズの次の新しい位置currposを演算する。このルックアップテーブルは予備演算されたもの(設計、組立またはテスト時には静的であるが、動的に制御された位置データ値である可能性があり、位置データはアクチュエータ素子の実際のヒステリシスに対して正しいと推定される)を含む。
【0115】
図3、図5および図12〜図16の様々な制御方法を、制御回路33の動作を表すフローチャートを用いて説明した。しかしカメラ20の実際の実施形態および実際のカメラ20における上記方法は工学的に選択すべきものであり、様々であり得る。例えば、物理的に接続された制御ロジック、フィールドプログラマブルロジックアレイ内の1組のゲート、レジスタおよびメモリセル、あるいは汎用DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、または入力回路および出力回路に接続されたマイクロプロセッサであり得、これらは上記集合体に制御方法を実行させるプログラムを実行する。同様に他の可能性も存在し、用いることができる。
【0116】
上記ではドライバ24が出力する制御信号は電圧信号であると述べた。別の例として、制御信号は電荷信号であってもよい。これは例えばアクチュエータ23に付与されている電流を積分することにより導き出すことができる。適切な電荷制御の例はWO-02/080353号に開示されている。これは、圧電アクチュエータ23に起こるヒステリシスを大幅に低減させるという利点、すなわちアクチュエータ23に付与される電荷信号とレンズ構造21の位置との関係のヒステリシスを低下させるという利点を有する。必要なのは、圧電アクチュエータに付与される駆動電圧を監視するのではなく圧電アクチュエータに出入りする電荷を監視することだけである。なるべく正確を期するために、ヒステリシスがないと仮定する。この場合図5に示す自動焦点合わせ方法を用いてもよい。但しフライバックステップS103は用いず、ステップS102の後で速やかに制御信号をステップS102で決定された焦点値に変更する。しかし多少のヒステリシスが残ることがあるため、図5の自動焦点合わせ方法をそのまま適用してもよい。
【0117】
電荷制御信号を用いることによる不都合は、ドライバ24の実施形態がより複雑になることである。
【0118】
上記の自動焦点合わせ動作では、位置に関する知見は制御信号値のみから導き出している。そのため、ヒステリシスを考慮して図4に示すタイプの自動焦点合わせ動作を行うことが必要である。あるいはレンズ構造3の位置を直接検出することも可能である。その後検出した位置を用いて位置フィードバックを行えばよく、これによりヒステリシスの問題は容易に解決できる。単純なコントローラ(例えばPID)は、上記したように初期焦点測定走査中に得られる最良の焦点位置にレンズを戻すために容易に用いることができる。この場合、移動範囲内のレンズ構造の位置に直接関係する量を測定する位置フィードバックシステムを用いて、レンズ構造を最適な焦点位置に戻す信号を提供する。上記最適な焦点位置は、上記ステップS100およびS102に記載したものと同様の焦点走査プロセスによって決定される。
【0119】
カメラでは位置の検出はいくつかの方法で行うことができる。
【0120】
1つの方法は、応力ゲージを用いることである。応力ゲージはレンズ構造のコンポーネント(例えば支持ヒンジまたは撓み部)に取り付けるか印刷することができる。アクチュエータがWO-01/47041号に開示されたタイプの圧電アクチュエータまたはベンダ構造を有する別のタイプの圧電アクチュエータである場合、応力ゲージはアクチュエータ自体の構造に組み込むことができる。これは例えばGB-A-2,365,206号に開示されている。
【0121】
別の方法は、光源と、レンズ構造21に固定されて光を像センサ22に向け、レンズ構造の位置に応じて光を変化させる光学素子とを用いることである。このようなシステムの一例を図7に示し、以下に説明する。
【0122】
レンズ構造21はレンズバレル101に取り付けられたレンズ100を含む。これによりレンズ構造21はレンズ100の光軸Oに沿って移動可能である。レンズバレル101は、レンズ100の出力側に、孔103を有する端部壁102を有しており、孔103を介してレンズ100で焦点を合わされた光が像センサ22に向けられる。レンズバレル101の端部壁102は出力側に、反射面105を有するブロック104を有しており、反射面105はレンズ100が移動する際に沿う光軸Oに対して0度より大きい角度で延びている。
【0123】
システムはさらにカメラのハウジング107に取り付けられた光源106を含む。光源106は単に発光ダイオードであってもよく、光源からの出力を平行化して図7に点線で示すような光ビームを生成するように設けられたスリット108を有する。光源106は光軸Oの片側に設けられており、光ビームを光軸に直交する方向に進行させてブロック104の反射面105に向かわせる。反射面105は光ビームを反射して像センサ22に向けるように設けられている。反射面105がレンズ100が移動する際に沿う光軸Oに対して0度より大きい角度で延びている結果、光ビームが像センサ22に当たる位置がレンズ構造21の移動に伴って矢印Aで示すように変化する。
【0124】
像センサ22上の光ビームの位置は、像センサ22が出力する像信号を分析することにより検出される。この分析は、信号プロセッサ109によって行われる。光ビームは像信号内で特有の形状を有しているため、信号プロセッサ109は直進する光ビームの位置を検出する。信号プロセッサ109は、レンズ構造21の位置を表す位置信号を出力する。
【0125】
反射面105の角度を変更して、レンズ構造21の移動に対する、像センサ22上の光ビームの移動速度が変化するようにしてもよい。
【0126】
この位置検出システムは、実施が簡単で容易であるという特定の利点を有する。光学コンポーネント、すなわち光源106およびブロック104は安価であり、カメラの構造に容易に組み込まれる。同様に、信号プロセッサ109はハードウェアで実施するにしろソフトウェアで(例えばカメラを制御するマイクロプロセッサの一部として)実施するにしろ単純である。
【0127】
図8〜図11に、図7の位置検出システムとは異なる、位置検出システムの2つの変形例を示す。図8〜図11ではブロック104と光源106の構成が図7とは異なるが、他は同じである。説明を簡潔にするために、同一の構成要件には同一の参照符号を付し、説明は省略する。
【0128】
図8および図9に示す位置検出システムの第1の変形例では、ブロック104がレンズバレル101の外壁上に設けられている。光源106は光軸Oの片側に設けられており、光ビームを光軸Oに直交する方向に進行させてブロック104の反射面105に向かわせる。反射面105の角度は、光ビームを光軸に対して鋭角で進行させて像センサ22に向かわせるようになっている。
【0129】
図10および図11に示す位置検出システムの第2の変形例では、ブロック104がレンズバレル101の外壁上に設けられている。光源106は像センサ22に隣接して設けられており、光ビームを光軸Oに平行に進行させてブロック104の反射面105に向かわせる。反射面105の角度は、光ビームを光軸に対して鋭角で進行させて像センサ22に向かわせるようになっている。
【0130】
光ビームが像センサ22によって出力される像信号の質に影響を与えることを阻止するために、いくつかの異なる技術が使用可能である。第1の技術は、光源106と反射面105とを、像センサ22周辺の通常は「暗い」領域、すなわち像の捕捉には直接用いられないがこの場合はレンズ構造21の位置の検出専用である領域に当たるように設けることである。第2の技術は、光源106が出力した光の振幅をカメラセンサのフレームレートと同期させ、(1)光源が像捕捉器の間でのみオンとなるようにするか、(2)光源が連続するフレームの一部の間のみ(例えばNフレームごとに)オンになるようにすることである(Nは複数の値)。第3の技術は、光源106に特定の特性(例えば所与の色および/または形状)を与えて、後処理中に像信号から容易に除去できるようにすることである。第4の技術は、可視範囲外であるが像センサ22によって検出可能な光を光源から出力することである。
【0131】
ブロック104および反射面105は、像センサ22に入射する光がレンズ構造21の移動に伴って変化するという効果を提供する他の光学素子に置き換えてもよい。例えば反射面はプリズムで形成してもよい。あるいはブロック104を、像センサ22に入射する光ビームの位置を変化させるのではなくサイズを変化させる光学素子(例えばレンズ)に置き換えてもよい。
【0132】
上記のカメラ20では、焦点の質測定値は、JPEGエンコーダ26が第2の動作モードで出力する符号化信号のデータ量である。これに代えてカメラは、像の高域空間周波数内容に直接基づく焦点の質測定値を用いてもよい。これは例えば、像信号を高域フィルタリングし、その後、成分の係数を積分するか又は累乗を演算するなどの方法で高域空間周波数成分の測定量を得ることにより行われる。
【0133】
高域フィルタは周波数ドメインで実施してもよい。1つの可能性は、例えば8(8のピクセルブロックに対して離散コサイン変換を行うことである。その後、空間周波数成分を周波数ドメインフィルタ係数で乗算し、得られた値の絶対値を合計することにより焦点の質測定値を導き出すことができる。このアプローチは演算の面で累乗演算よりも安価であり、同等に有用である。
【0134】
高域フィルタの設計は重要である。像センサ22の出力側で得られるブロックのみでしか作業できない(すなわち元の像を再構築することは不可能で、元の像に空間処理を施すことは可能である)と仮定すると、このフィルタの要件は以下のようになる。
【0135】
・DC係数はゼロでなければならない。なぜならDC信号は有用な焦点情報を伝達しないからである。
【0136】
・非常に高い周波数がピクセルノイズに大きく影響される(特定のシステムの錯乱円を分析することによりこれを証明することができれば、非常に有用な情報となる)。これらの周波数も減衰すべきである。
【0137】
・中間周波数は有用な焦点情報を含む。
【0138】
これらのゾーン間の遷移帯域はあまり急であってはならない。あまり急であると、閾値として作用し、いくつかの環境下でアルゴリズムが動作することを阻止するからである。
【0139】
空間プロトタイプから周波数ドメインフィルタを設計することは、満足のいく結果を得る1つの方法である。空間ドメインでのたたみ込み動作に何が必要であるかがわかると、これを周波数ドメイン乗算に変換することができる。
【0140】
1つの使用可能な高域フィルタは、上記のガウスフィルタのラプラシアンである。この方法全体がかなり満足のいく結果を生み出し、シミュレーションでは他の方法(いくつかは周波数ベースであり、いくつかは空間ベースである)と比べても良好である。
【0141】
言うまでもなく、上記の実施形態に対しては本発明の範囲内で多くの改変が可能である。改変の例をいくつか述べるが、これらは本発明を限定するものではない。
【0142】
焦点の質測定値は、像領域全体から生成してもよいし、像領域の1以上の所定の部分から生成してもよい。像領域の複数の部分を用いる場合、焦点が最もよく判別できる領域を選択するとよい。あるいは測定値全体を各部分の測定値から(例えば重み付けをした合計によって)導き出してもよい。
【0143】
上記の構成のいくつかは、焦点制御の一部として、特に可変焦点レンズ構造の移動を駆動するために、圧電アクチュエータを用いている。このような圧電アクチュエータを用いた場合、圧電材料を作動するためには典型的には相対的に高い駆動電圧が必要である。なぜならこのような材料は典型的には、500 V/mm〜1ミリ当たり数千ボルトの駆動電界を必要とするからであり、さらに非常に薄い圧電層(例えば20 μm〜60 μmまたはそれ以下)を生成することは技術的に困難だからである。そのため例えば材料が1000 V/mmの駆動電界を必要とし、層の厚みが100μmであれば、100 Vの駆動電圧が必要となる。携帯型または他の電池式装置では、このように高い電圧は概して使用不可能であり、通常入手可能な低い電池電圧(例えば2 V〜6 V)から高電圧を生成することが必要となる。さらに何らかの高電圧増幅器を用いて、アクチュエータに対する高電圧を駆動制御することも必要となる。
【0144】
携帯型装置(例えば携帯型電話端末または携帯電話、携帯型デジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータまたは携帯型ハードドライブストレージ装置)では、コンポーネントの価格、コンポーネントが占める面積およびコンポーネントの重量が、これらの適用分野の装置を受容可能とするかどうかに際して重大な要素となる。多くの標準的な半導体ASICプロセスは低電圧回路に最適化されている。そのため高電圧生成回路および/または高電圧駆動増幅器回路を、携帯型装置の他のシリコン製集積回路内に集積することは実際には困難である。
【0145】
この問題を解決するために、以下を集積した単一の小型シリコン集積回路を提供することができる。(1)低電圧電池サプライ(典型的には12 V未満または6 V未満、あるいは3 Vまたは2 V未満)を圧電アクチュエータ装置を駆動する高電圧増幅器を供給するに適した高電圧(典型的には12 Vを超える、好ましくは20 Vを超える、より好ましくは40 Vさらには75 Vを超える)に変換するために必要なすべての半導体素子、および(2)圧電素子を直接駆動するために必要な高電圧増幅器を提供するために必要とされるすべての半導体素子。このような複合電圧ステップアップおよび増幅器/制御器は、非常に低い消費電力(典型的には250 mW未満、好ましくは100 mW未満、より好ましくは50 mWさらには20 mW未満)に最適化してもよい。さらにパッケージ寸法が非常に小型(典型的には10 mm平方未満、好ましくは5 mm平方未満、より好ましくは3 mmさらには2 mmまたは1 mm平方未満)でもよい。このようなシリコンチップは、圧電アクチュエータを採用した上記のいずれの実施形態にも適用することができる。概して任意の目的で圧電アクチュエータを採用した任意の携帯型電子装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】図1は、公知の自動焦点カメラの模式図である。
【図2】図2は、カメラのブロック図である。
【図3】図3は、図2のカメラの動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、ヒステリシスが起こっている圧電アクチュエータの位置−制御信号特性を示すグラフである。
【図5】図5は、自動焦点合わせ方法を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図5の自動焦点合わせ方法によって動作する圧電アクチュエータの位置−制御信号特性を示すグラフである。
【図7】図7は、位置検出システムの断面図である。
【図8】図8は、位置検出システムの第1の変形例の、光軸に直交する方向の断面図である。
【図9】図9は、位置検出システムの第1の変形例の、光軸に平行な方向の断面図である。
【図10】図10は、位置検出システムの第2の変形例の、光軸に直交する方向の断面図である。
【図11】図11は、位置検出システムの第2の変形例の、光軸に平行な方向の断面図である。
【図12】図12は、特定の自動焦点合わせ動作を示すフローチャートである。
【図13】図13は、特定の自動焦点合わせ動作を示すフローチャートである。
【図14】図14は、特定の自動焦点合わせ動作を示すフローチャートである。
【図15】図15は、特定の自動焦点合わせ動作を示すフローチャートである。
【図16】図16は、特定の自動焦点合わせ動作を示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ内のレンズ構造の焦点合わせを行う方法であって、カメラはさらに前記レンズ構造によって像の焦点が合わせられる像センサと、付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータとを含み、前記圧電アクチュエータは前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こす、方法であって、
所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、
前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、
前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、
前記制御信号を、前記所定範囲の前記最大値または最小値に戻るように変化させる工程と、
前記制御信号を前記焦点値に戻るように単調変化させる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記制御信号の前記焦点値を決定する工程が、前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程が、前記値のうち前記像の前記焦点の質測定値が最良である1つを選択する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御信号が電圧信号である、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記制御信号が電荷信号である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記方法が同一の前記所定範囲を用いて反復される、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
像センサと、
前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造と、
付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータであって、前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こす、圧電アクチュエータと、
前記制御信号を前記圧電アクチュエータに付与するように構成され、前記像の自動焦点合わせを行うように動作可能な制御回路と、
を備えたカメラであって、前記制御回路は、
所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、
前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、
前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、
前記制御信号を、前記所定範囲の前記最大値または最小値に戻るように変化させる工程と、
前記制御信号を前記焦点値に戻るように単調変化させる工程と、
によって自動焦点合わせを行うものである、前記カメラ。
【請求項8】
前記制御信号の前記焦点値を決定する工程が、前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程を含む、請求項7に記載のカメラ。
【請求項9】
前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程が、前記値のうち前記像の前記焦点の質測定値が最良である1つを選択する工程を含む、請求項8に記載のカメラ。
【請求項10】
前記制御信号が電圧信号である、請求項7から9のいずれかに記載のカメラ。
【請求項11】
前記制御信号が電荷信号である、請求項7から9のいずれかに記載のカメラ。
【請求項12】
前記制御回路が同一の前記所定範囲を用いて上記工程を行うことにより前記像の自動焦点合わせを繰り返し行うように動作可能である、請求項7から11のいずれかに記載のカメラ。
【請求項13】
カメラ内のレンズ構造の焦点合わせを行う方法であって、カメラはさらに前記レンズ構造によって像が焦点合わせられる像センサと、付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータとを含み、前記圧電アクチュエータは前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こすものであり、前記方法は、
所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、
前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、
前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、
前記制御信号の修正値を決定する工程であって、前記制御信号は前記修正値まで単調変化させることにより、前記圧電アクチュエータのヒステリシスを考慮して、前記制御信号が前記焦点値にあったときに配置されていた位置まで前記レンズ構造を移動させることが可能である工程と、
前記制御信号を前記修正値に戻るように単調変化させる工程と、
を含む方法。
【請求項14】
前記制御信号の前記焦点値を決定する工程が、前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程が、前記値のうち前記像の前記焦点の質測定値が最良である1つを選択する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記制御信号が電圧信号である、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記制御信号が電荷信号である、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記方法が同一の前記所定範囲を用いて反復される、請求項13から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
像センサと、
前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造と、
付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータであって、前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こす、圧電アクチュエータと、
前記制御信号を前記圧電アクチュエータに付与するように構成され、前記像の自動焦点合わせを行うように動作可能な制御回路と、
を備えたカメラであって、前記制御回路は、
所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、
前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、
前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、
前記制御信号の修正値を決定する工程であって、前記制御信号は前記修正値まで単調変化させることにより、前記圧電アクチュエータのヒステリシスを考慮して、前記制御信号が前記焦点値にあったときに配置されていた位置まで前記レンズ構造を移動させることが可能である工程と、
前記制御信号を前記修正値に戻るように単調変化させる工程と、
によって自動焦点合わせを行うものである、前記カメラ。
【請求項20】
前記制御信号の前記焦点値を決定する工程が、前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程を含む、請求項19に記載のカメラ。
【請求項21】
前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程が、前記値のうち前記像の前記焦点の質測定値が最良である1つを選択する工程を含む、請求項20に記載のカメラ。
【請求項22】
前記制御信号が電圧信号である、請求項19から21のいずれかに記載のカメラ。
【請求項23】
前記制御信号が電荷信号である、請求項19から22のいずれかに記載のカメラ。
【請求項24】
前記制御回路が同一の前記所定範囲を用いて上記工程を行うことにより前記像の自動焦点合わせを繰り返し行うように動作可能である、請求項19から23のいずれかに記載のカメラ。
【請求項25】
像信号を生成するように構成された像センサと、
前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造であって、付与される制御信号に応じて焦点が可変である、レンズ構造と、
前記像センサからの前記像信号を符号化して符号化信号圧縮形態にするように構成されたエンコーダと、
前記制御信号を前記レンズ構造に付与することにより前記レンズ構造の焦点を制御するように構成された制御回路と、
を備えたカメラであって、
前記制御回路は、2つのモードで動作するようにエンコーダを制御することが可能であり、第1のモードでは前記符号化信号が前記像信号の低域空間周波数成分を優先的に保存し、第2のモードでは前記符号化信号が前記像信号の高域空間周波数成分を優先的に保存し、
前記制御回路は、
前記第2のモードで動作するように前記エンコーダを制御する工程と、
前記符号化信号内のデータ量を前記像センサ上の前記像の焦点の質測定値に決定する工程と、
前記決定されたデータ量に基づいて前記レンズ構造の焦点を制御する工程と、
その後前記第1のモードで動作するように前記エンコーダを制御する工程と、
によって前記像の焦点を制御するように動作可能である、前記カメラ。
【請求項26】
前記エンコーダがJPEGエンコーダを備え、
前記JPEGエンコーダは、
前記像信号を空間周波数成分に変換するように構成された離散コサイン変換ブロックと、
前記離散コサイン変換ブロックから出力された前記空間周波数成分を、それぞれの前記空間周波数成分に関する量子化レベルマトリクスに従って量子化するように構成された量子化ブロックと、
前記量子化された前記像信号を前記量子化ブロックから出力された周波数ドメイン内で符号化するように構成されたエンコーダブロックと、
を備え、
前記制御回路は、前記量子化ブロックを制御して異なる量子化レベルマトリクスを用いるようにすることによって、前記2つのモードで動作するように前記エンコーダを制御することが可能である、請求項25に記載のカメラ。
【請求項27】
前記第2のモードにおいて、前記制御回路は、前記量子化ブロックを制御して、高域(high-pass)フィルタの空間周波数係数マトリクスの逆数である量子化レベルマトリクスを用いるようにする、請求項25または26に記載のカメラ。
【請求項28】
前記高域フィルタがガウスフィルタのラプラシアンである、請求項27に記載のカメラ。
【請求項29】
可変の前記焦点レンズ構造は、付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータアクチュエータを含む、請求項25から28のいずれかに記載のカメラ。
【請求項30】
前記アクチュエータが圧電アクチュエータである、請求項29に記載のカメラ。
【請求項31】
前記決定されたデータ量に基づいて前記レンズ構造の焦点を制御する工程は、前記決定されたデータ量を最小にするように前記レンズ構造の焦点を制御する工程を含む、請求項25から30のいずれかに記載のカメラ。
【請求項32】
像信号を生成するように構成された像センサと、
前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造であって、前記像の焦点が変化するように焦点が移動可能である、レンズ構造と、
光源と、
前記レンズ構造に固定され前記レンズ構造と共に移動可能であり、前記光源からの光を受け取って前記像センサに向けるように構成された光学素子であって、前記像センサに入射する光が前記レンズ構造の移動によって変化するように構成された、光学素子と、
前記像センサからの前記像信号を供給され、前記像センサに入射する光の前記変化を検出して且つ前記検出された変化に基づいて前記レンズ構造の位置測定値を生成するように構成された信号プロセッサと、
を備えたカメラ。
【請求項33】
前記光学素子は、前記レンズ構造が移動する際に沿う軸に対して0度より大きい角度で設けられた反射器である、請求項32に記載のカメラ。
【請求項34】
前記光源が光ビームを生成する、請求項32または33に記載のカメラ。
【請求項35】
前記信号プロセッサがさらに、前記像信号内の、前記像センサからの光を推定データに置換するように構成された、請求項32から34のいずれかに記載のカメラ。
【請求項36】
前記レンズ構造の移動を制御することにより、前記レンズ構造の少なくとも前記生成された位置測定値に基づいて焦点を変化させるように構成された制御器を備えた、請求項32から35に記載のカメラ。
【請求項37】
前記信号プロセッサおよび前記制御器が共に、プログラムを実行するマイクロプロセッサによって実施される、請求項32から35に記載のカメラ。
【請求項38】
カメラの像センサに像の焦点を合わせ、前記像の焦点を変化させるように移動可能なレンズ構造の位置を検出する方法であって、前記方法は、光源と、前記レンズ構造に固定されて前記レンズ構造と共に移動可能であって前記光源からの光を受け取って前記像センサに向けるように構成された光学素子とを用い、前記光学素子は、前記像センサに入射する光が前記レンズ構造の移動によって変化するように構成されており、
前記像センサに入射する光の前記変化を検出して且つ前記検出された変化に基づいて前記レンズ構造の位置測定値を生成する工程を含む、方法。
【請求項1】
カメラ内のレンズ構造の焦点合わせを行う方法であって、カメラはさらに前記レンズ構造によって像の焦点が合わせられる像センサと、付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータとを含み、前記圧電アクチュエータは前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こす、方法であって、
所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、
前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、
前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、
前記制御信号を、前記所定範囲の前記最大値または最小値に戻るように変化させる工程と、
前記制御信号を前記焦点値に戻るように単調変化させる工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記制御信号の前記焦点値を決定する工程が、前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程が、前記値のうち前記像の前記焦点の質測定値が最良である1つを選択する工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記制御信号が電圧信号である、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記制御信号が電荷信号である、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記方法が同一の前記所定範囲を用いて反復される、上記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
像センサと、
前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造と、
付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータであって、前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こす、圧電アクチュエータと、
前記制御信号を前記圧電アクチュエータに付与するように構成され、前記像の自動焦点合わせを行うように動作可能な制御回路と、
を備えたカメラであって、前記制御回路は、
所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、
前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、
前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、
前記制御信号を、前記所定範囲の前記最大値または最小値に戻るように変化させる工程と、
前記制御信号を前記焦点値に戻るように単調変化させる工程と、
によって自動焦点合わせを行うものである、前記カメラ。
【請求項8】
前記制御信号の前記焦点値を決定する工程が、前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程を含む、請求項7に記載のカメラ。
【請求項9】
前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程が、前記値のうち前記像の前記焦点の質測定値が最良である1つを選択する工程を含む、請求項8に記載のカメラ。
【請求項10】
前記制御信号が電圧信号である、請求項7から9のいずれかに記載のカメラ。
【請求項11】
前記制御信号が電荷信号である、請求項7から9のいずれかに記載のカメラ。
【請求項12】
前記制御回路が同一の前記所定範囲を用いて上記工程を行うことにより前記像の自動焦点合わせを繰り返し行うように動作可能である、請求項7から11のいずれかに記載のカメラ。
【請求項13】
カメラ内のレンズ構造の焦点合わせを行う方法であって、カメラはさらに前記レンズ構造によって像が焦点合わせられる像センサと、付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータとを含み、前記圧電アクチュエータは前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こすものであり、前記方法は、
所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、
前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、
前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、
前記制御信号の修正値を決定する工程であって、前記制御信号は前記修正値まで単調変化させることにより、前記圧電アクチュエータのヒステリシスを考慮して、前記制御信号が前記焦点値にあったときに配置されていた位置まで前記レンズ構造を移動させることが可能である工程と、
前記制御信号を前記修正値に戻るように単調変化させる工程と、
を含む方法。
【請求項14】
前記制御信号の前記焦点値を決定する工程が、前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程が、前記値のうち前記像の前記焦点の質測定値が最良である1つを選択する工程を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記制御信号が電圧信号である、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記制御信号が電荷信号である、請求項13から15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記方法が同一の前記所定範囲を用いて反復される、請求項13から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
像センサと、
前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造と、
付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータであって、前記レンズ構造が前記制御信号に応じて駆動される際の移動先位置でヒステリシスを起こす、圧電アクチュエータと、
前記制御信号を前記圧電アクチュエータに付与するように構成され、前記像の自動焦点合わせを行うように動作可能な制御回路と、
を備えたカメラであって、前記制御回路は、
所定範囲の最大値または最小値の制御信号を前記圧電アクチュエータに付与する工程と、
前記所定範囲内で前記制御信号を単調変化させ、前記制御信号の変化中に前記制御信号の複数のテスト値の各々において、前記像センサが出力した像信号から前記像の焦点の質測定値を決定する工程と、
前記像の焦点の質測定値から、前記像の焦点の質が受容可能なレベルにあるときの前記制御信号の焦点値を決定する工程と、
前記制御信号の修正値を決定する工程であって、前記制御信号は前記修正値まで単調変化させることにより、前記圧電アクチュエータのヒステリシスを考慮して、前記制御信号が前記焦点値にあったときに配置されていた位置まで前記レンズ構造を移動させることが可能である工程と、
前記制御信号を前記修正値に戻るように単調変化させる工程と、
によって自動焦点合わせを行うものである、前記カメラ。
【請求項20】
前記制御信号の前記焦点値を決定する工程が、前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程を含む、請求項19に記載のカメラ。
【請求項21】
前記制御信号の前記テスト値の1つを選択する工程が、前記値のうち前記像の前記焦点の質測定値が最良である1つを選択する工程を含む、請求項20に記載のカメラ。
【請求項22】
前記制御信号が電圧信号である、請求項19から21のいずれかに記載のカメラ。
【請求項23】
前記制御信号が電荷信号である、請求項19から22のいずれかに記載のカメラ。
【請求項24】
前記制御回路が同一の前記所定範囲を用いて上記工程を行うことにより前記像の自動焦点合わせを繰り返し行うように動作可能である、請求項19から23のいずれかに記載のカメラ。
【請求項25】
像信号を生成するように構成された像センサと、
前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造であって、付与される制御信号に応じて焦点が可変である、レンズ構造と、
前記像センサからの前記像信号を符号化して符号化信号圧縮形態にするように構成されたエンコーダと、
前記制御信号を前記レンズ構造に付与することにより前記レンズ構造の焦点を制御するように構成された制御回路と、
を備えたカメラであって、
前記制御回路は、2つのモードで動作するようにエンコーダを制御することが可能であり、第1のモードでは前記符号化信号が前記像信号の低域空間周波数成分を優先的に保存し、第2のモードでは前記符号化信号が前記像信号の高域空間周波数成分を優先的に保存し、
前記制御回路は、
前記第2のモードで動作するように前記エンコーダを制御する工程と、
前記符号化信号内のデータ量を前記像センサ上の前記像の焦点の質測定値に決定する工程と、
前記決定されたデータ量に基づいて前記レンズ構造の焦点を制御する工程と、
その後前記第1のモードで動作するように前記エンコーダを制御する工程と、
によって前記像の焦点を制御するように動作可能である、前記カメラ。
【請求項26】
前記エンコーダがJPEGエンコーダを備え、
前記JPEGエンコーダは、
前記像信号を空間周波数成分に変換するように構成された離散コサイン変換ブロックと、
前記離散コサイン変換ブロックから出力された前記空間周波数成分を、それぞれの前記空間周波数成分に関する量子化レベルマトリクスに従って量子化するように構成された量子化ブロックと、
前記量子化された前記像信号を前記量子化ブロックから出力された周波数ドメイン内で符号化するように構成されたエンコーダブロックと、
を備え、
前記制御回路は、前記量子化ブロックを制御して異なる量子化レベルマトリクスを用いるようにすることによって、前記2つのモードで動作するように前記エンコーダを制御することが可能である、請求項25に記載のカメラ。
【請求項27】
前記第2のモードにおいて、前記制御回路は、前記量子化ブロックを制御して、高域(high-pass)フィルタの空間周波数係数マトリクスの逆数である量子化レベルマトリクスを用いるようにする、請求項25または26に記載のカメラ。
【請求項28】
前記高域フィルタがガウスフィルタのラプラシアンである、請求項27に記載のカメラ。
【請求項29】
可変の前記焦点レンズ構造は、付与された制御信号に応じて前記レンズ構造の移動を駆動することにより前記像センサ上の前記像の焦点を変化させるように構成された圧電アクチュエータアクチュエータを含む、請求項25から28のいずれかに記載のカメラ。
【請求項30】
前記アクチュエータが圧電アクチュエータである、請求項29に記載のカメラ。
【請求項31】
前記決定されたデータ量に基づいて前記レンズ構造の焦点を制御する工程は、前記決定されたデータ量を最小にするように前記レンズ構造の焦点を制御する工程を含む、請求項25から30のいずれかに記載のカメラ。
【請求項32】
像信号を生成するように構成された像センサと、
前記像センサに像の焦点を合わせるレンズ構造であって、前記像の焦点が変化するように焦点が移動可能である、レンズ構造と、
光源と、
前記レンズ構造に固定され前記レンズ構造と共に移動可能であり、前記光源からの光を受け取って前記像センサに向けるように構成された光学素子であって、前記像センサに入射する光が前記レンズ構造の移動によって変化するように構成された、光学素子と、
前記像センサからの前記像信号を供給され、前記像センサに入射する光の前記変化を検出して且つ前記検出された変化に基づいて前記レンズ構造の位置測定値を生成するように構成された信号プロセッサと、
を備えたカメラ。
【請求項33】
前記光学素子は、前記レンズ構造が移動する際に沿う軸に対して0度より大きい角度で設けられた反射器である、請求項32に記載のカメラ。
【請求項34】
前記光源が光ビームを生成する、請求項32または33に記載のカメラ。
【請求項35】
前記信号プロセッサがさらに、前記像信号内の、前記像センサからの光を推定データに置換するように構成された、請求項32から34のいずれかに記載のカメラ。
【請求項36】
前記レンズ構造の移動を制御することにより、前記レンズ構造の少なくとも前記生成された位置測定値に基づいて焦点を変化させるように構成された制御器を備えた、請求項32から35に記載のカメラ。
【請求項37】
前記信号プロセッサおよび前記制御器が共に、プログラムを実行するマイクロプロセッサによって実施される、請求項32から35に記載のカメラ。
【請求項38】
カメラの像センサに像の焦点を合わせ、前記像の焦点を変化させるように移動可能なレンズ構造の位置を検出する方法であって、前記方法は、光源と、前記レンズ構造に固定されて前記レンズ構造と共に移動可能であって前記光源からの光を受け取って前記像センサに向けるように構成された光学素子とを用い、前記光学素子は、前記像センサに入射する光が前記レンズ構造の移動によって変化するように構成されており、
前記像センサに入射する光の前記変化を検出して且つ前記検出された変化に基づいて前記レンズ構造の位置測定値を生成する工程を含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2007−529773(P2007−529773A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503399(P2007−503399)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000964
【国際公開番号】WO2005/091067
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(502113699)1...リミテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【国際出願番号】PCT/GB2005/000964
【国際公開番号】WO2005/091067
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(502113699)1...リミテッド (12)
【Fターム(参考)】
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