説明

カメラシステム、カメラ本体およびレンズユニット

【課題】カメラ本体の機能を損なうことなく、電動ズームまたは電動フォーカスをカメラ本体側から操作可能なカメラシステムを、提供する。
【解決手段】本カメラシステムは、レンズユニットと、マウントと、カメラ本体と、制御部とを、備えている。レンズユニットは、少なくとも1つのレンズユニット操作部を有し、電動により光学像の倍率を変更可能である。カメラ本体は、少なくとも1つのカメラ本体操作部を、有する。制御部は、レンズユニットがマウントに装着された状態において、レンズユニットを制御する。ここでは、制御部が、カメラ本体操作部の操作及びレンズユニット操作部の操作のいずれか一方の操作に応じて、電動により光学像の倍率を変更する。また、制御部は、カメラ本体操作部の操作及びレンズユニット操作部の操作のいずれか他方の操作に応じて、光学像の倍率変更とは異なる動作を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ交換可能なレンズ交換式カメラシステム、カメラ本体およびレンズユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサーやCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)イメージセンサーなどの撮像素子を用いて、被写体像を電気信号に変換し、この電気信号をデジタル化して記録するデジタルカメラが普及している。
レンズ交換可能なカメラ、例えばデジタル一眼レフカメラやデジタルレンジファインダカメラなどにおいては、撮像素子の高画素化による画素サイズの微小化や、パソコン画面上で強拡大する鑑賞形態などに対応するため、高精度な合焦精度を高速に達成すること、レンズの収差をカメラ側で補正し出力することが求められている。また、高解像な動画撮影も可能となり、高精度なレンズ制御も必須となってきている。
【0003】
しかしながら、これまでの静止画撮影を目的としたズーム式交換レンズは、手動による回転式の光学ズーム変倍操作、もしくは手動による直進式の光学ズーム変倍操作となっているため、動画撮影中の滑らかな変倍操作や一定速度の変倍操作が、難しいという問題があった。従って、ズーム式交換レンズにおいて、電動による光学ズーム変倍操作の実現が、望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2009/041063号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1のカメラでは、交換レンズユニットが電動マニュアルフォーカスに対応している場合、カメラ本体の十字キーを操作することによって、電動マニュアルフォーカスを実行しようとすると、カメラ本体の十字キーに割り当てられた、電動マニュアルフォーカス以外の既存の撮影機能を、使用することができないという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電動ズームまたは電動フォーカスを実行可能な交換レンズが、カメラ本体に装着された場合に、カメラ本体の機能を損なうことなく、電動ズームまたは電動フォーカスをカメラ本体側から操作することが可能なレンズ交換式撮像装置を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本カメラシステムは、レンズユニットと、マウントと、カメラ本体と、制御部とを、備えている。レンズユニットは、少なくとも1つのレンズユニット操作部を有し、電動により光学像の倍率を変更可能である。マウントは、レンズユニットを着脱可能に保持する部分である。カメラ本体は、少なくとも1つのカメラ本体操作部を、有する。制御部は、レンズユニットがマウントに装着された状態において、レンズユニットを制御する。ここでは、制御部が、カメラ本体操作部の操作及びレンズユニット操作部の操作のいずれか一方の操作に応じて、電動により光学像の倍率を変更するようにレンズユニットを制御する。また、制御部は、カメラ本体操作部の操作及びレンズユニット操作部の操作のいずれか他方の操作に応じて、光学像の倍率変更とは異なる動作をするようにレンズユニットを制御する。
【0007】
本カメラ本体は、被写体を撮影するカメラシステムに用いられる。本カメラ本体は、撮像部と、マウントと、制御部と、ズーム操作部とを、備えている。撮像部は、被写体を撮像する部分である。マウントは、レンズユニットを着脱可能に保持する部分である。制御部は、レンズユニットがマウントに装着された状態において、レンズユニットを制御する。ズーム操作部は、電動により、レンズユニットの光学像の倍率を変更可能である。
【0008】
本レンズユニットは、被写体を撮影するカメラシステムに用いられる。本レンズユニットは、カメラ本体に着脱自在に装着される。カメラ本体は、被写体を撮像する撮像部と、撮像部の撮像動作を制御する本体制御部とを、有している。本レンズユニットは、複数のレンズユニット操作部を有している。本レンズユニットでは、複数のレンズユニット操作部によって、光学像の倍率が電動により変更可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電動ズームにより変倍可能な交換レンズが、カメラ本体に装着された場合に、カメラ本体側の操作部材で電動ズームをすることができる。また、交換レンズ側の操作部材によって、マニュアルフォーカスを実行可能であるので、快適な撮影を行わせることができる。さらに、カメラ本体が操作部材を持たず、且つこのカメラ本体に交換レンズが装着された場合には、交換レンズ側の操作部材によって電動ズームを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】カメラシステム1の斜視図
【図2】カメラ本体100の斜視図
【図3】カメラシステム1のブロック図
【図4】カメラ本体100の背面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態に係るカメラシステムおよびカメラ本体について説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一実施形態であり、本発明はこれらの実施形態に限定されない。
<第1実施形態>
(1:構成)
(1−1:カメラシステムの概要)
図1は、本発明の第1実施形態に係るカメラシステム1の斜視図である。カメラシステム1は、カメラ本体100と、カメラ本体100に着脱可能なレンズユニット200とから、構成される。図2は、カメラ本体100の斜視図である。図3は、カメラシステム1の機能ブロック図である。また、図4は、カメラ本体の背面図である。
【0012】
以下、各部の詳細について説明する。説明の便宜のため、カメラシステム1の被写体側を前、撮像面側を後ろ又は背、カメラシステム1の通常姿勢における鉛直上側を上、鉛直下側を下と記述する場合がある。
(1−2:カメラ本体の構成)
カメラ本体100は、主に、CMOSイメージセンサー110と、CMOS回路基板113と、カメラモニタ120と、第1操作部130と、カメラコントローラー140を含むメイン回路基板142と、ボディマウント41と、電源160と、カードスロット170と、電子ビューファインダー180と、シャッターユニット190と、光学フィルタ114と、振動板115とを備える。なお、カメラ本体100は、ミラーボックス装置を有していない。
【0013】
また、カメラ本体100には、前から順に、ボディマウント41、シャッターユニット190、振動板115、光学フィルタ114、CMOSイメージセンサー110、CMOS回路基板113、メイン回路基板142、カメラモニタ120が配置されている。例えば、光学フィルタ114、CMOSイメージセンサー110、及びCMOS回路基板113によって、撮像部が構成されている。
【0014】
CMOSイメージセンサー110は、レンズユニット200を介して入射される被写体の光学像を撮像して、画像データを生成する。CMOSイメージセンサー110は、光電変換層と、カラーフィルター層とを有する。光電変換層には、光電変換により電荷を蓄積可能な複数の画素が、配列されている。カラーフィルター層には、青色光のみを透過する青のカラーフィルターと、緑色光のみを透過する緑のカラーフィルターと、赤色光のみを透過する赤のカラーフィルターとが、前記画素の前面に前記画素に1対1に対応して配列されている。CMOSイメージセンサー110は、青色のカラーフィルターが配置された画素からの信号、緑色のカラーフィルターが配置された画素からの信号、赤色のカラーフィルターが配置された画素からの信号を、それぞれ増幅する。CMOSイメージセンサー110は、これらの信号に基づいて画像データを生成する。
【0015】
生成された画像データは、ADコンバーター111でデジタル化される。ADコンバーター111でデジタル化された画像データは、カメラコントローラー140で様々な画像処理が施される。ここで言う様々な画像処理とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、JPEG圧縮処理等である。
【0016】
CMOSイメージセンサー110は、タイミング発生器112で制御されるタイミングで動作する。CMOSイメージセンサー110では、静止画像の撮像動作、及び、動画像の撮像動作等が行われる。動画像の撮影動作には、スルー画像の撮影動作が含まれる。ここで、スルー画像とは、動画像の撮像後、メモリーカード171にデータを記録しない画像である。スルー画像は、主に動画像である。スルー画像は、動画像または静止画像の撮影のための構図を決めるために、カメラモニタ120および/または電子ビューファインダー180(以下、EVFとも言う)に表示される。また、動画像の撮影動作には、動画像の記録動作も含まれる。動画像の記録動作とは、動画像の撮影動作、およびメモリーカード171に動画データを記録する動作を含む動作である。
【0017】
なお、CMOSイメージセンサー110は被写体の光学像を撮像して電気的な画像信号に変換する撮像素子の一例である。撮像素子は、CCDイメージセンサー等を含む概念である。
CMOS回路基板113は、CMOSイメージセンサー110を駆動制御する回路基板である。また、CMOS回路基板113は、CMOSイメージセンサー110からの画像データに所定の処理を施す回路基板である。CMOS回路基板113は、タイミング発生器112を含む。また、CMOS回路基板113は、ADコンバーター111を含む。CMOS回路基板113は、撮像素子を駆動制御する撮像素子回路基板、および/または撮像素子からの画像データにAD変換等の所定の処理を施す撮像素子回路基板の一例である。
【0018】
カメラモニタ120は、表示用画像データが示す画像等を、表示する。表示用画像データは、カメラコントローラー140で作成される。表示用画像データは、画像処理された画像データや、カメラシステム1の撮影条件及び操作メニュー等を画像として表示するためのデータ等である。カメラモニタ120は、動画像も静止画像も選択的に表示可能である。カメラモニタ120は、液晶ディスプレイを有する。
【0019】
カメラモニタ120は、カメラ本体100に設けられている。本実施形態では、カメラモニタ120が、カメラ本体100の背面に配置されているが、カメラ本体のどこに配置されていてもよい。カメラモニタ120は、カメラ本体100に対する表示面の角度を、変更可能である。具体的には、カメラ本体100は、カメラ本体100とカメラモニタ120との間にヒンジ121を、有している。ヒンジ121は、カメラ本体100の左端に配置されている。ヒンジ121は、具体的には第1のヒンジと第2のヒンジを有する。具体的には第1のヒンジを中心に、カメラモニタ120は左右方向に回転可能である。また、第2のヒンジを中心に、上下方向にも回転可能である。
【0020】
なお、カメラモニタ120は、カメラ本体100に設けられた表示部の一例である。表示部としては、他にも、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル等、画像を表示できるものを用いることができる。また、表示部は、カメラ本体100の背面でなく、側面や上面等、他の場所に設けてもよい。
電子ビューファインダー(以下「EVF」ともいう)180は、カメラコントローラー140で作成された表示用画像データに対応する画像等を、表示する。EVF180は、動画像及び静止画像を選択的に表示可能である。また、EVF180とカメラモニタ120とは、同じ内容を表示する場合と、異なる内容を表示する場合とがある。これらは、カメラコントローラー140によって制御される。EVF180は、画像等を表示するEVF用液晶モニタ181と、EVF用液晶モニタの表示を拡大するEVF用光学系182と、使用者が目を近づける接眼窓183とを、有する。
【0021】
なお、EVF180もまた、表示部の一例である。EVF180が、カメラモニタ120と異なる点は、使用者が目を近づけて見るためのものであることである。構造上の相違点は、EVF180が接眼窓183を有するのに対して、カメラモニタ120は接眼窓183を有しない点である。
また、EVF用液晶モニタ181では、透過型液晶の場合にはバックライト(不図示)が設けられ、反射型液晶の場合にはフロントライト(不図示)が設けられる。これにより、EVF用液晶モニタ181の表示輝度が、確保される。EVF用液晶モニタ181は、EVF用モニタの一例である。EVF用モニタには、有機EL、無機EL、プラズマディスプレイパネル等が用いられる。ここで、有機ELのような自発光デバイスが用いられた場合は、照明光源は不用である。
【0022】
第1操作部130は、使用者による操作を受け付ける。第1操作部130は、使用者により操作される。第1操作部130は、レリーズ釦131を含む。レリーズ釦131は使用者によるシャッター操作を受け付ける。第1操作部130は、電源スイッチ132を含む。電源スイッチ132は、カメラ本体100の上面に設けられた回転式のダイアルスイッチである。第1の回転位置で電源がOFFとなり、第2の回転位置で電源がONとなる。
【0023】
第1操作部130は、操作部材133(カメラ本体操作部の一例)を含む。例えば、図1及び図2に示すように、カメラ本体100をカメラモニタ120側から見た場合に、操作部材133は、カメラ本体100の上面右側に配置されている。言い換えると、カメラ本体100を被写体側から見た場合に、操作部材133は、カメラ本体100の上面左側に配置されている。なお、図4に示すように、カメラ本体100をカメラモニタ120側から見た場合に、操作部材133を、カメラ本体100の背面右側に配置されているようにしてもよい。
【0024】
また、操作部材133は、カメラ本体100の上面でレリーズ釦131の周りに設けられた回転式のレバースイッチである。第1操作部130は、非操作時は中立位置に保持するよう付勢されている。第1操作部130は、使用者の回転操作により、レリーズ釦を略中心として、左右に回転操作される。第1操作部130は、使用者による操作を受け付けることができればよく、ボタン、レバー、ダイアル、タッチパネル等であってもよい。
【0025】
カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110等の各部を含むカメラ本体100全体を、制御する。カメラコントローラー140は、電源160からの電力の供給が停止した状態で、シャッターユニット190が開口状態を保持するように、シャッターユニット190を制御する。また、カメラコントローラー140は、第1操作部130からの指示を受け付ける。カメラコントローラー140は、レンズユニット200を制御するための信号を、ボディマウント41及びレンズマウント71を介して、レンズコントローラー240に送信する。また、カメラコントローラー140は、レンズユニット200の各部を、間接的に制御する。すなわち、カメラコントローラー140は、カメラシステム1全体を制御する。
【0026】
また、カメラコントローラー140は、ボディマウント41及びレンズマウント71を介して、レンズコントローラー240から各種信号を受信する。カメラコントローラー140は、制御動作や画像処理動作を実行する場合に、DRAM141をワークメモリとして使用する。なお、カメラコントローラー140は、ボディ制御部の一例である。カメラコントローラー140は、メイン回路基板142上に配置されている。
【0027】
カードスロット170は、メモリーカード171を装着可能である。カードスロット170は、カメラコントローラー140からの制御に基づいて、メモリーカード171を制御する。具体的には、カードスロット170は、メモリーカード171に画像データを格納する。カードスロット170は、メモリーカード171から画像データを出力する。また、メモリーカード171に動画データを格納する。カードスロット170は、メモリーカード171から動画データを出力する。
【0028】
メモリーカード171は、カメラコントローラー140が画像処理により生成した画像データを格納可能である。例えば、メモリーカード171は、非圧縮のRAW画像ファイルや圧縮されたJPEG画像ファイル等を格納できる。また、メモリーカード171は、内部に格納する画像データ又は画像ファイルを出力できる。メモリーカード171から出力された画像データ又は画像ファイルは、カメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリーカード171から取得した画像データ又は画像ファイルを伸張などして表示用画像データを生成する。
【0029】
さらに、メモリーカード171は、カメラコントローラー140が画像処理により生成した動画データを、格納可能である。例えば、メモリーカード171は、動画圧縮規格であるH.264/AVCに従って圧縮された動画ファイルを、格納できる。また、メモリーカード171は、内部に格納する動画データ又は動画ファイルを出力できる。メモリーカード171から出力された動画データ又は動画ファイルは、カメラコントローラー140で画像処理される。例えば、カメラコントローラー140は、メモリーカード171から取得した動画データ又は動画ファイルを伸張して表示用動画データを、生成する。
【0030】
なお、メモリーカード171は、記憶部の一例である。記憶部は、メモリーカード171のようにカメラ本体100に着脱可能なものでもよく、カメラ本体100に固定されているものでもよい。
電源160は、カメラシステム1で使用するための電力の供給元である。電源160は、例えば、乾電池であってもよいし、充電池であってもよい。また、電源160は、電源コード等により外部から供給される電力を、カメラシステム1に供給するものであってもよい。
【0031】
ボディマウント41は、着脱可能なレンズユニット200を保持する。ボディマウント41は、レンズユニット200のレンズマウント71と機械的及び電気的に接続可能である。ボディマウント41とレンズマウント71とを介して、カメラ本体100とレンズユニット200との間では、データおよび/または制御信号が、送受信可能である。具体的には、ボディマウント41とレンズマウント71とは、カメラコントローラー140とレンズコントローラー240との間で、データおよび/または制御信号が送受信される。ボディマウント41は、電源160から受けた電力を、レンズマウント71を介して、レンズユニット200全体に供給する。
【0032】
具体的には、ボディマウント41は、ボディマウント接点保持部152を含む。ボディマウント41は、レンズユニット200のレンズマウント71との光軸まわりの回転位置関係に応じて、レンズマウント71と嵌合している状態、またはレンズマウント71と嵌合していない状態となる。すなわち、ボディマウント41とレンズマウント71との回転位置関係が第1の状態である場合には、レンズマウント71はボディマウント41に嵌合しておらず、レンズマウント71はボディマウント41に対して光軸方向に移動可能である。
【0033】
また、第1の状態でレンズマウント71をボディマウント41に挿入し、レンズマウント71をボディマウント41に対して回転させると、レンズマウント71はボディマウント41に嵌合される。このときのボディマウント41とレンズマウント71との回転位置関係が、第2の状態である。回転位置関係が第2の状態である場合には、ボディマウント41は、レンズユニット200を機械的に保持する。そのため、ボディマウント41には、強度が要求される。ボディマウント41は、金属で形成されているのが好ましい。
【0034】
ボディマウント接点保持部152は、複数の電気接点153を有する。電気接点153は、レンズマウント71が有する電気接点253それぞれと、電気的に接続している。そして、ボディマウント41の電気接点153とレンズマウント71の電気接点253とにより、ボディマウント41とレンズマウント71とは、電気的に接続可能である。また、ボディマウント41の電気接点153とレンズマウント71の電気接点253とにより、電力、データおよび/または制御信号が送受信される。ボディマウント接点保持部152は、ボディマウント41とシャッターユニット190との間に配置されている。ボディマウント接点保持部152は、開口部を有する。
【0035】
シャッターユニット190は、例えばフォーカルプレーンシャッターである。シャッターユニット190は、ボディマウント41とCMOSイメージセンサー110との間に配置される。シャッターユニット190は、開口状態を機械的に保持することができる。そして、シャッターユニット190は、カメラ本体100の電源が停止した状態で、機械的に開口状態が保持されるように、カメラコントローラー140により制御される。ここで、機械的に保持するとは、電気の力を使わずに開口状態を保持するという概念である。例えば、物と物とを係合するものや、永久磁石によって保持するものである。
【0036】
光学フィルタ114は、被写体光の高周波成分を取り除く光学的ローパスフィルタの機能を、有する。具体的には、光学フィルタ114は、レンズユニット200により結像する被写体像を、CMOSイメージセンサー110の画素のピッチよりも荒い解像となるように、分離する。一般的に、CMOSイメージセンサー等の撮像素子には、各画素にベイヤー配列と呼ばれるRGB色のカラーフィルターや、YCM色の補色カラーフィルターが、配されている。従って、1画素に解像してしまうと、偽色が発生するばかりでなく、繰り返しパターンの被写体では醜いモアレ現象が発生する。さらに、光学フィルタ114は、波長が約650nm以上の近赤外光をカットするためのIrカットフィルタの機能も、併せ持つ。
【0037】
振動板115は、CMOSイメージセンサー110よりも前に配置され、CMOSイメージセンサー110への埃の付着を防ぐ。また、振動板115は、振動板115自身に付着した埃を、振動により振り落とす。具体的には、振動板115では、透明の薄い板状部材が圧電素子を介して他の部材に固定されている。そして、圧電素子に交流電圧を印加して圧電素子を振動させ、板状部材を振動させる。
【0038】
(1−3:レンズユニットの構成)
レンズユニット200は、光学系と、レンズコントローラー240と、レンズマウント71と、絞りユニット260と、レンズ筒290と、第2操作部213(レンズユニット操作部の一例)とを、備える。レンズユニット200の光学系は、ズームレンズ210、OISレンズ220、およびフォーカスレンズ230を、含む。光学系は、レンズ筒290の内部に収容されている。
【0039】
ズームレンズ210は、レンズユニット200の光学系で形成される被写体の光学像(以下、被写体像ともいう)の倍率、すなわち、光学系の焦点距離を変化させるためのレンズである。ズームレンズ210は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。ズームレンズ210は、光学系の第1レンズ群L1と、第2レンズ群L2とを、含む。ズームレンズ210は、光学系の光軸AXと平行な方向に移動することにより、焦点距離を変化させる。ズームレンズ210の外周には、ズーム駆動環214が設けられている。ズーム駆動環214の内面には、カム溝が形成されている。カム溝は、第1ズームレンズL1及び第2ズームレンズL2それぞれに設けた不図示のカムフォロアと係合する。これにより、ズーム駆動環214が回転駆動すると、前述の焦点距離が変する。ズーム駆動環214は、焦点距離を駆動するズーム駆動部の一例であり、駆動後の位置に応じて焦点距離を決定する。
【0040】
ズームモータ211は、ズーム駆動環214に連結されている。ズームモータ211の回転力をズームレンズ210に伝えることによって、ズームレンズ210が、光学系の光軸AX方向に沿って移動する。一例として、ズーム駆動環214は、カム機構を有している。このカム機構を介して、ズーム駆動環214の回転動作が、ズームレンズ210の直進動作に変換される。ズームモータ211とズーム駆動環214による構成は、ズームレンズ駆動手段の一例である。ズームモータ211は、DCモータ、ステッピングモータ、超音波モータなど回転駆動力を発生するものを全て含むものである。
【0041】
相対位置検出器212及び原点位置検出器215は、ズームレンズ210の駆動状態を示す信号を生成するエンコーダである。相対位置検出器212は、ズームモータ211の回転量を検出するため回転スリット板及びフォトインタラプタである。
原点位置検出器215は、ズーム駆動環214の原点位置を検出する原点検出器である。原点位置検出器215は、例えばフォトセンサである。レンズコントローラー240は、原点位置検出器215からの信号により、ズーム駆動環214が原点にあることを、認識する。このとき、レンズコントローラー240は、内部に設けたカウンタ243の値をセットする。このカウンタ243は、相対位置検出器212から出力されるフォトインタラプタ信号の極値を、カウントする。そして、ズームレンズ210が光軸AXと平行な第1の方向に移動したときに、フォトインタラプタ信号の極値が検出されると、カウントを「+1」する。また、ズームレンズ210を光軸AXと平行な第1の方向と反対の第2の方向に移動するときに、フォトインタラプタ信号の極値が検出されると、カウントを「−1」する。
【0042】
このようにして、レンズコントローラー240は、絶対位置である原点位置からの相対位置を、検出する。これにより、レンズコントローラー240は、ズーム駆動環214の原点位置からの回転量を介して、ズームレンズ210の光軸AX方向の位置を、把握可能である。
相対位置検出器212及び絶対位置検出器215は、ズームレンズ位置検出手段の一例である。ズームレンズ位置検出手段は、ズームレンズの位置を直接検出するものでもよく、ズームレンズに連動する機構部材の位置を検出するものでもよい。
【0043】
例えば、ズームモータ211は、スクリューおよびナット機構などで、回転力をズームレンズ210に伝え、第1ズームレンズL1を光軸AX方向の位置に移動する。さらに、第2ズームレンズL2用のズームモータを配置して、同様にスクリューおよびナット機構などで、第2ズームレンズL2を光軸AX方向の位置に移動するようにしてもよい。
OISレンズ220は、レンズユニット200の光学系で形成される被写体像のぶれを補正するためのレンズである。具体的には、OISレンズ220は、カメラシステム1のぶれによって生じる被写体像のぶれを、補正する。OISレンズ220は、カメラシステム1のぶれを相殺する方向に移動する。これにより、OISレンズ220は、CMOSイメージセンサー110と被写体像との相対的なぶれを、小さくする。具体的には、OISレンズ220は、カメラシステム1のぶれを相殺する方向に移動することにより、CMOSイメージセンサー110上の被写体像のぶれを小さくする。OISレンズ220は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。アクチュエータ221は、OIS用IC223からの制御を受けて、光学系の光軸AXに垂直な面内でOISレンズ220を駆動する。
【0044】
アクチュエータ221は、例えば、マグネットと平板コイルとで実現可能である。位置検出センサー222は、光学系の光軸AXに垂直な面内におけるOISレンズ220の位置を検出するセンサーである。位置検出センサー222は、例えば、マグネットとホール素子で実現可能である。OIS用IC223は、位置検出センサー222の検出結果及びジャイロセンサーなどのぶれ検出器の検出結果に基づいて、アクチュエータ221を制御する。OIS用IC223は、レンズコントローラー240から、ぶれ検出器の検出結果を得る。また、OIS用IC223は、レンズコントローラー240に対して、光学的像ぶれ補正処理の状態を示す信号を、送信する。
【0045】
なお、OISレンズ220は、ぶれ補正部の一例である。カメラシステム1のぶれによって生じる被写体像のぶれを、補正する手段として、CCDからの画像データに基づいて画像データを補正する電子式ぶれ補正を、適用してもよい。また、カメラシステム1のぶれによって生じるCMOSイメージセンサー110と、被写体像との相対的なぶれを小さくする手段として、CMOSイメージセンサー110を、光学系の光軸AXと平行な垂直な面内で駆動する構成としてもよい。
【0046】
フォーカスレンズ230は、光学系がCMOSイメージセンサー110上に形成する被写体像のフォーカス状態を、変化させるためのレンズである。フォーカスレンズ230は、1枚又は複数枚のレンズで構成される。ズームレンズ210は、光学系の光軸AXと平行な方向に移動することにより、被写体像のフォーカス状態を変化させる。
フォーカスモータ233は、レンズコントローラー240の制御に基づいて、フォーカスレンズ230を光学系の光軸AXに沿って進退駆動する。これにより、フォーカスモータ233は、光学系によりCMOSイメージセンサー110上に形成される被写体像のフォーカス状態を、変化させる。フォーカスモータ233は、ズームレンズ210の駆動から独立して、フォーカスレンズ230を駆動することができる。具体的には、フォーカスモータ233は、第2レンズ群L2を基準に、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に駆動する。言い換えると、フォーカスモータ233は、第2レンズ群L2とフォーカスレンズ230との間の光軸AX方向の相対距離を、変更可能である。フォーカスレンズ230とフォーカスモータ233とは、第2レンズ群L2とともに、光軸AX方向に移動する。従って、ズーム動作により第2レンズ群L2が光軸AX方向に移動すると、フォーカスレンズ230およびフォーカスモータ233も、光軸AX方向に移動する。また、第2レンズ群L2が光軸AX方向に静止している状態でも、フォーカスモータ233は、第2レンズ群L2を基準に、フォーカスレンズ230を光軸AX方向に駆動することができる。フォーカスモータ233は、DCモータやステッピングモータ、サーボモータ、超音波モータなどによって実現できる。フォーカスモータ233は、フォーカスレンズ駆動手段の一例である。
【0047】
相対位置検出器231及び原点位置検出器232は、フォーカスレンズ230の駆動状態を示す信号を生成するエンコーダである。相対位置検出器231は、磁気スケールと磁気センサーとを有し、磁気の変化を検出し、磁気の変化に応じた信号を出力する。磁気センサーは、例えばMRセンサーである。
原点位置検出器232は、第2レンズ群L2に対するフォーカスレンズ230の原点位置を検出する原点検出器である。原点位置検出器232は、例えばフォトセンサである。レンズコントローラー240は、原点位置検出器232からの信号により、フォーカスレンズ230が原点にあることを認識する。このとき、レンズコントローラー240は、内部に設けたカウンタ243の値をセットする。このカウンタ243は、相対位置検出器231から出力される信号により磁気変化の極値を、カウントする。そして、フォーカスレンズ230が光軸AXと平行な第1の方向に移動するときに、磁気変化の極値が検出されると、カウントを「+1」する。また、フォーカスレンズ230が光軸AXと平行な第1の方向と反対の第2の方向に移動するときに、磁気変化の極値が検出されると、カウントを「−1」する。このようにして、レンズコントローラー240は、絶対位置である原点位置からの相対位置を検出することにより、第2レンズ群L2に対するフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置を、把握する。
【0048】
また、上述のとおり、レンズコントローラー240は、レンズユニット200内における第2レンズ群L2の光軸AX方向の位置を、把握可能である。従って、レンズコントローラー240は、レンズユニット200内におけるフォーカスレンズ230の光軸AX方向の位置を、把握可能である。
相対位置検出器231及び絶対位置検出器232は、フォーカスレンズ位置検出手段の一例である。フォーカスレンズ位置検出手段は、フォーカスレンズの位置を直接検出するものでもよく、フォーカスレンズに連動する機構部材の位置を検出するものでもよい。
【0049】
絞りユニット260は、光学系を透過する光の量を調整する光量調整部材である。絞りユニット260は、光学系を透過する光の光線の一部を遮蔽可能な絞り羽根と、絞り羽根を駆動しその遮蔽量を変更して光量を調整する絞り駆動部とを、有する。カメラコントローラー140は、CMOSイメージセンサー110が受けた光の量、撮影状態(静止画撮影又は動画撮影)、絞り値の設定状態(ex. 絞り値の優先設定)等に基づいて、絞りユニット260に動作を指示する。
【0050】
レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140からの制御信号に基づいて、OIS用IC223やフォーカスモータ233などのレンズユニット200全体を、制御する。また、レンズコントローラー240は、検出器212、OIS用IC223、相対位置検出器231、原点位置検出器232などから信号を受信して、カメラコントローラー140に送信する。レンズコントローラー240は、カメラコントローラー140との送受信を、レンズマウント71及びボディマウント41を介して行う。レンズコントローラー240は、制御の際、DRAM241をワークメモリとして使用する。また、フラッシュメモリ242は、レンズコントローラー240の制御の際に使用するプログラムやパラメータを保存する。
【0051】
具体的には、フラッシュメモリ242には、レンズユニット200に関する各種情報(レンズ情報)が格納されている。このレンズ情報には、例えば、レンズユニット200を特定するための型式に関する情報(レンズ特定情報)が、含まれている。レンズ特定情報には、レンズユニット200のメーカー名、製造年月日、型番、ID、レンズコントローラー240にインストールされているソフトのバージョン、およびファームアップに関する情報などが、含まれている。
【0052】
また、レンズ情報には、レンズユニット200がOISレンズ220等の像ぶれを補正するための手段を搭載しているか否かに関する情報、像ぶれを補正するための手段を搭載している場合は、その型番および感度などの検出性能に関する情報、最大補正可能角度などの補正性能に関する情報(レンズ側補正性能情報)、像ぶれ補正を行うためのソフトのバージョンなどが、含まれている。
【0053】
さらに、レンズ情報には、ぶれ補正部の駆動に必要な消費電力に関する情報(レンズ側消費電力情報)、およびぶれ補正部の駆動方式に関する情報(レンズ側駆動方式情報)が、含まれている。
尚、フラッシュメモリ242は、カメラコントローラー140から送信された情報を格納可能である。
【0054】
レンズマウント71は、電気接点253を有する。ボディマウント41の電気接点153と、レンズマウント71の電気接点253とにより、ボディマウント41とレンズマウント71とは、電気的に接続可能である。また、ボディマウント41の電気接点153と、レンズマウント71の電気接点253とにより、電力、データおよび/または制御信号が送受信される。
【0055】
第2操作部すなわち操作部材213は、図1に示すように、レンズユニット200に設けられている。具体的には、レンズユニット200を被写体側から見た場合に、操作部材213の少なくとも一部が、レンズユニット200の外周部において、右側側面に設けられている。より具体的には、レンズユニット200を被写体側から見た場合に、操作部材213が、レンズユニット200の外周部において、右側側面に設けられている。また、操作部材213は、レンズユニット200の外周部においてスライド可能な、スライドタイプの操作部材である。
【0056】
(2:ズーム操作)
(2.1:カメラ本体への交換レンズの着脱)
カメラ本体100のボディマウント41には、レンズロックピン41bが突出/押込可能に設けられている。レンズユニット200がボディマウント41に装着されている状態のときには、レンズロックピン41bは、レンズマウント71のロックピン嵌合穴71bに嵌合される。更に、レンズロックピン41bは、突出状態を保持するために、レンズロックピン付勢バネ(不図示)によって、突出方向に付勢されている。
【0057】
レンズ着脱操作部材41cは、突出/押込可能に設けられている。レンズ着脱操作部材41cは、レンズロックピン41bに機械的に連結されている。レンズユニット200を外す場合、ユーザーは、レンズ着脱操作部材41cを、カメラ本体100の内部に押し込む。すると、レンズ着脱操作部材41cが、不図示のレンズ着脱操作部材付勢バネの付勢力に抗して押し込まれるとともに、レンズロックピン41bも押し込まれる。その結果、レンズロックピン41bとレンズマウント71のロックピン嵌合穴71bの係合が解除され、レンズユニット200がカメラ本体100に対して回転可能となる。そして、ユーザーは、ボディマウント41とレンズマウント71との回転位置関係が第1の状態となった位置で、レンズユニット200をカメラ本体100から外すことができる。また、ボディマウント41とレンズマウント71との回転位置関係が、第1の状態となった位置では、レンズロックピン41bは突出状態に復帰する。
【0058】
レンズ着脱操作検知スイッチ41eは、レンズ着脱操作部材41cが操作されたこと、および、レンズロックピン41bが押し込まれたことを、検知可能である。具体的には、レンズ着脱操作部材41cが押し込まれた場合、または、レンズロックピン41bが押し込まれた場合、レンズ着脱操作検知スイッチ41eが操作される。レンズユニット200がカメラ本体100から外されると、レンズロックピン41bは突出状態に復帰し、レンズ着脱操作検知スイッチ41eの操作が解かれる。
【0059】
レンズユニット200を装着する場合、ユーザーは、ボディマウント41とレンズマウント71との回転位置関係が、第1の状態となった位置から第2の状態となった位置まで、レンズユニット200を回転する。レンズロックピン41bは、第1の状態で突出状態であるが、第1の状態から第2の状態へとレンズユニット200が回転する動作によって、レンズマウント71に当接して押し込まれた状態となる。そして、レンズロックピン41bは、第2の状態になると、レンズマウント71のロックピン嵌合穴71bに嵌合し、突出状態となる。レンズユニット200を装着する場合、このレンズロックピン41bの動作に連動して、レンズ着脱操作検知スイッチ41eが操作される。
【0060】
以上のようにして、レンズ着脱操作検知スイッチ41eは、レンズユニット200の着脱操作を行ったことを検知できる。
(2.2:カメラ本体のレンズユニットの認識とズーム操作)
レンズ着脱操作検知スイッチ41eが操作され、レンズの着脱を検知すると、カメラコントローラー140はレンズコントローラー240との間で、データおよび/または制御信号の送受信を開始する。このとき、装着されたレンズユニット200を特定するための型式に関する情報(レンズ特定情報)に基づいて、電動ズームに対応しているか否かを、カメラコントローラー140が識別する。
【0061】
レンズユニット200が電動ズームに対応している場合、カメラコントローラー140は、カメラ本体100の操作部材133による、ズーム操作を許可する。さらに、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に対して、レンズユニット200の操作部材213によるマニュアルフォーカス操作を許可するように、指示を出す。
ここでは、レンズユニット200が電動ズーム対応の場合、カメラ本体100でズーム操作を行い、レンズユニット200でマニュアルフォーカス操作をする場合の例を示したが、使用者の意思で、その選択を変更できるようにしても良い。例えば、カメラ本体100でマニュアルフォーカス操作を行い、レンズユニット200でズーム操作を行うなど、全ての組合せを選択可能である。
【0062】
この状態において、カメラ本体100の操作部材133が操作されると、この操作に対応する操作信号が、カメラコントローラー140に認識される。すると、この操作信号に基づいて、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に対して、ズーム動作の実行命令を、発行する。そして、このズーム動作の実行命令をレンズコントローラー240が受け取ると、レンズコントローラー240は、レンズユニット200のズーム動作を、制御する。これにより、上述したように、ズームレンズ210が駆動され、被写体像の倍率(光学系の焦点距離)が変化する。
【0063】
一方で、レンズユニット200の操作部材213が操作されると、この操作に対応する操作信号が、レンズコントローラー240に認識される。すると、この操作信号に基づいて、レンズコントローラー240は、レンズユニット200のフォーカス動作を、制御する。これにより、上述したように、フォーカスレンズ230が駆動され、被写体像のフォーカス状態が変化する。
【0064】
このように、カメラ本体100の操作部材133が操作された場合には、レンズユニット200においてズーム動作が実行され、レンズユニット200の操作部材213が操作された場合には、レンズユニット200においてフォーカス動作が実行される。
なお、ここでは、カメラ本体100の操作部材133が操作された場合は、カメラコントローラー140及びレンズコントローラー240が、レンズユニット200の制御に関与する。また、レンズユニット200の操作部材213が操作された場合は、レンズコントローラー240だけが、レンズユニット200の制御に関与する。
【0065】
一方で、レンズユニット200が電動ズームに対応していない場合、例えばレンズユニット200がマニュアルズームレンズから構成されている場合、カメラコントローラー140は、カメラ本体100の操作部材133によるズーム操作を禁止する。すなわち、カメラ本体100の操作部材133が操作されたとしても、カメラコントローラー140からレンズコントローラー240に、ズーム動作を指示する命令が発行されない。そして、この場合、カメラコントローラー140は、ズーム操作以外の機能を、カメラ本体100の操作部材133に割り当てる。すなわち、カメラコントローラー140は、カメラ本体100の制御及びレンズユニット200の制御の少なくともいずれか一方の制御を、実行可能な機能を、カメラ本体100の操作部材133に割り当てる。
【0066】
ここで、操作部材133に割り当てられた機能が、カメラ本体100に対するものである場合、カメラ本体100の操作部材133が操作されると、上述したように、カメラコントローラー140が制御に関与し、カメラ本体100の機能が実行される。一方で、操作部材133に割り当てられた機能が、レンズユニット200に対するものである場合、上述したように、カメラコントローラー140及びレンズコントローラー240が制御に関与し、レンズユニット200の機能が実行される。
【0067】
(2.3:カメラ本体に操作部材133が無い場合)
ボディマウント41がレンズマウント71と互換性があり、カメラ本体100に操作部材133が搭載されていない場合に、カメラ本体100に装着された電動ズーム対応のレンズユニット200におけるズーム操作について説明する。
上記のようなカメラ本体100は、例えば、電動ズーム対応のレンズユニットが発売される前のカメラ本体100であることが考えられる。この場合、カメラ本体100には、ズーム操作を行うためのコマンドが、搭載されていない。すなわち、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に対して、ズーム動作を実行させる指令を、出すことができない。従って、ズーム動作は、レンズユニット200の操作部材213によって実行される。この場合、マニュアルフォーカス操作は実行できない。
【0068】
一方、上記のカメラ本体であっても、カメラコントローラー140の制御ファームウエアをアップデートすることで、図1及び図2に示すようなカメラ本体100に装備されている操作部材134に、ズーム機能を割り付けることが可能である。この場合、2.2同様に、カメラコントローラー140は、レンズコントローラー240に対して、レンズユニット200の操作部材213によるマニュアルフォーカス操作を許可する指示を、出すことができる。すなわち、レンズユニット200の操作部材213に、マニュアルフォーカス操作を割り当てることができる。この場合、カメラ本体100の操作部材134が操作された場合には、レンズユニット200においてズーム動作が実行され、レンズユニット200の操作部材213が操作された場合には、レンズユニット200においてフォーカス動作が実行される。
【0069】
なお、使用者の意思でその選択を変更できるようにしても良い。例えば、カメラ本体100で操作部材134に対してマニュアルフォーカス操作を割り付けて、レンズユニット200でズーム操作を行うなど、全ての組合せを選択可能である。
<実施形態の特徴>
上記実施形態において特徴的な部分を以下に列記する。なお、上記実施形態に含まれる発明は以下に限定されるものではない。
(1)カメラ本体100を備えたカメラシステムであって、カメラ本体100は、レ ンズユニット200を着脱可能なマウントを、有している。レンズユニット20 0は、少なくとも1つの操作部によって電動で光学ズームが可能である。カメラ 本体の各種操作部材のうち、ズーム動作が割り付けられた操作部材133によっ て光学ズームを操作することが可能である。したがって、撮影者は、レンズユニ ット200側の操作部材を操作することなく、コンパクトカメラのようにカメラ 本体100側で光学ズーム操作を行うことができる。これにより、レンズ交換タ イプのカメラを扱う初心者にも、非常に使い勝手の良いカメラシステムを、提供 することが可能となる。
(2)(1)に記載のカメラシステムでは、レンズユニット200の操作部例えば操 作部材213によっても、光学ズーム操作が可能である。
(3)(1)に記載のカメラシステムでは、カメラ本体100のズーム操作部例えば 操作部材133によって光学ズームが可能である場合、レンズユニット200の 操作部例えば操作部材213によってマニュアルフォーカス駆動を可能にするこ とで、一つしか操作部を持たないレンズユニット200であっても、マニュアル によるピント調節が可能となる。
(4)(1)から(3)に記載のカメラシステムでは、カメラ本体100の操作部材 133にマニュアルフォーカス操作が割り付けられた場合、レンズユニット20 0の操作部材213で光学ズームを操作可能できるようにしている。これによっ て、撮影者は、自分の使い勝手が良くなるように、自由に操作対象を変更するこ とが可能である。
(5)カメラ本体を備えたカメラシステムであって、カメラ本体100は、少なくと も1つの操作部を有する電動光学ズームレンズユニットを着脱可能なマウントを 、有している。カメラ本体100では、カメラ本体100の各種操作部材のうち の一つによって、レンズユニット200のマニュアルフォーカス駆動が操作され た場合に、レンズユニット200の操作部材213によって、電動による光学ズ ームを操作することが可能である。このように、カメラ本体100の操作部材1 33での操作対象を任意に決定することによって、レンズユニット200の操作 部材213による操作対象を、一義的に決定することができる。
(6)(1)から(5)に記載のカメラシステムであって、電動によるズーム操作が できないレンズユニット200を装着されたとき、カメラ本体100のズーム操 作として割り付けられていた操作部に、カメラ機能を制御する機能を、割り付け ることが可能となる。したがって、カメラ本体100にある操作部は、電動ズー ム以外のレンズユニットが装着された場合においても、有意義に利用することが 可能である。
(7)(1)から(6)に記載の、カメラ本体100に設けたズーム操作部材133 は、レリーズボタン周りの回転操作可能に配置し、撮影者の人差し指での操作を 可能としている。したがって、レンズ交換タイプのカメラを扱う初心者であって も、コンパクトカメラのようにカメラ本体100側で光学ズーム操作を行うこと ができる。このため、非常に使い勝手の良いカメラシステムを、提供することが 可能となる。
(8)(1)から(6)に記載の、カメラ本体100に設けたズーム操作部材133 は、カメラ本体100の背面であって、撮影者の親指が可能な位置に配置されて いる。
(9)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズー ム操作として割り付けられていた操作部は、撮影画像の再生時に、再生画像の拡 大縮小操作を可能としても良い。
(10)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、露出補正操作を可能としても良い 。
(11)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、絞り操作を可能としても良い。
(12)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、ISO感度変更操作を可能として も良い。
(13)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、ホワイトバランス変更操作を可能 としても良い。
(14)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、シャッタースピード操作を可能と しても良い。
(15)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、画像解像度変更操作を可能として も良い。
(16)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、画素数変更操作を可能としても良 い。
(17)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、暗部補正レベル変更操作を可能と しても良い。
(18)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、ドライブモード(単写、連写、セ ルフタイマーなど)変更操作を可能としても良い。
(19)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、AFターゲット変更操作を可能と しても良い。
(20)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、AFモード変更操作を可能として も良い。
(21)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、AEモード変更操作を可能として も良い。
(22)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、AFドライブモード(AFS,A FCなど)変更操作を可能としても良い。
(23)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、再生画像の送り戻し操作を可能と しても良い。
(24)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、シーンセレクトモードのシーン選 択操作を可能としても良い。
(25)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、光学ズーム端から電子ズームを連 続的に操作可能としても良い。
(26)(1)から(8)に記載のカメラシステムであって、カメラ本体100のズ ーム操作として割り付けられていた操作部は、フィルムモードなど絵作り各種フ ィルタ変更操作を可能としても良い。
【0070】
<他の実施形態>
(A)前記実施形態では、レンズユニット200が複数の操作部材213を有していても、各操作部材213に割り当てられる機能については、特に言及はしてはいなかった。ここでは、この事項について説明しておく。例えば、レンズユニット200が2つ操作部材213を有する場合、2つの操作部材213のいずれか一方は、ズーム操作部として機能させ、2つの操作部材213のいずれか他方は、フォーカス操作部として機能させるようにしてもよい。また、レンズユニット200が3つ以上の操作部材213を有する場合、操作部材213それぞれを、ズーム操作部、フォーカス操作部、手ぶれ補正操作部、絞り操作部等に対応させてもよい。
(B)前記実施形態では、レンズユニット200の外周部において、2つの操作部材213が円周方向に並べて配置される場合の例が、示された。これに代えて、レンズユニット200の外周部において、2つの操作部材213が光軸方向に並べて配置されるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、カメラシステム、カメラ本体、およびレンズユニットに広く適用できる。具体的には、デジタルスチルカメラやムービーなどに適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 カメラシステム
100 カメラ本体
41 ボディマウント
41b レンズロックピン
41c レンズ着脱操作部材
41e レンズ着脱操作検知スイッチ
71 レンズマウント
71b ロックピン嵌合穴
110 CMOSイメージセンサー
111 ADコンバーター
112 タイミング発生器
113 CMOS回路基板
114 光学フィルタ
115 振動板
120 カメラモニタ
121 ヒンジ
130 操作部
131 レリーズ釦
132 電源スイッチ
133 操作部材
134 操作部材
140 カメラコントローラー
141、241 DRAM
142 メイン回路基板
152 ボディマウント接点保持部
153、253 電気接点
160 電源
170 カードスロット
171 メモリーカード
180 電子ビューファインダー(EVF)
181 EVF用液晶モニタ
182 EVF用光学系
183 接眼窓
190 シャッターユニット
200 レンズユニット
210 ズームレンズ
211 ズームモータ
212 相対位置検出器
213 操作部材
214 ズーム駆動環
215 原点位置検出器
220 OISレンズ
221 アクチュエータ
222 位置検出センサー
223 OIS用IC
230 フォーカスレンズ
231 相対位置検出器
232 原点位置検出器
233 フォーカスモータ
240 レンズコントローラー
242 フラッシュメモリ
290 レンズ筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのレンズユニット操作部を有し、電動により光学像の倍率を変更可能なレンズユニットと、
前記レンズユニットを着脱可能に保持するマウントと、
少なくとも1つのカメラ本体操作部を有するカメラ本体と、
前記レンズユニットが前記マウントに装着された状態において、前記レンズユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記カメラ本体操作部の操作及び前記レンズユニット操作部の操作のいずれか一方の操作に応じて、電動により光学像の倍率を変更するように前記レンズユニットを制御し、
前記カメラ本体操作部の操作及び前記レンズユニット操作部の操作のいずれか他方の操作に応じて、光学像の倍率変更とは異なる動作を実行するように前記前記レンズユニットを制御する、
カメラシステム。
【請求項2】
前記カメラ本体操作部は、
光学像の倍率を変更するズーム操作部である、
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項3】
前記レンズユニットは、電動により光学像のフォーカスをさらに調整可能であり、
前記レンズユニット操作部は、
光学像のフォーカスを調整するフォーカス操作部である、
請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項4】
前記レンズユニット操作部は、
光学像の倍率を変更するズーム操作部である、
請求項1に記載のカメラシステム。
【請求項5】
前記レンズユニットは、電動により光学像のフォーカスをさらに調整可能であり、
前記カメラ本体操作部は、
光学像のフォーカスを調整するフォーカス操作部である、
請求項2に記載のカメラシステム。
【請求項6】
少なくとも1つのレンズユニット操作部を有し、電動により光学像の倍率を変更可能なレンズユニットと、
前記レンズユニットを着脱可能に保持するマウントと、
光学像の倍率を変更するズーム操作部と有するカメラ本体と、
を備え、
電動でないズームレンズユニットが前記カメラ本体に装着された場合には、前記カメラ本体のズーム操作部にズーム操作以外の機能が割り付けられ、前記電動でないズームレンズユニット及び前記カメラ本体のいずれか一方が制御される、
カメラシステム。
【請求項7】
被写体を撮影するカメラシステムに用いられるカメラ本体であって、
前記被写体を撮像する撮像部と、
レンズユニットを着脱可能に保持するマウントと、
前記レンズユニットが前記マウントに装着された状態において、前記レンズユニットを制御する制御部と、
電動により、前記レンズユニットの光学像の倍率を変更可能であるズーム操作部と、
を備えるカメラ本体。
【請求項8】
表示部、
をさらに備え、
前記カメラ本体を前記表示部側から見た場合に、前記ズーム操作部が、前記カメラ本体の上面右側に配置されている、
請求項7に記載のカメラ本体。
【請求項9】
表示部、
をさらに備え、
前記カメラ本体を前記表示部側から見た場合に、前記ズーム操作部が、前記カメラ本体の背面右側に配置されている、
請求項7に記載のカメラ本体。
【請求項10】
被写体を撮影するカメラシステムに用いられ、前記被写体を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮像動作を制御する本体制御部とを有するカメラ本体に、着脱自在に装着されるレンズユニットであって、
複数のレンズユニット操作部を有し、複数の前記レンズユニット操作部によって、光学像の倍率が電動により変更可能である、
レンズユニット。
【請求項11】
前記レンズユニット操作部は、レンズユニットの外周部でスライド可能な、スライドタイプの操作部である、
請求項10に記載のレンズユニット。
【請求項12】
複数のレンズユニット操作部の中のいずれか1つは、ズーム操作部であり、
前記ズーム操作部を除く複数のレンズユニット操作部の中のいずれか1つは、フォーカス操作部である、
請求項10又は11に記載のレンズユニット。
【請求項13】
前記レンズユニットを前記被写体側から見た場合、前記レンズユニット操作部の少なくとも一部が、右側側面に配置されている、
請求項10から12のいずれかに記載のレンズユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−208475(P2012−208475A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29575(P2012−29575)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】