説明

カメラモジュールの組立てに適した光硬化性接着組成物

【課題】狭ノズルを用いるディスペンサーを使用しても容易に塗布でき、かつ接着力の高いカメラモジュール組み立て用接着剤及びカメラモジュールの提供
【解決手段】(メタ)アクリレートオリゴマー(a)及び(メタ)アクリレートモノマー(b)からなる(メタ)アクリレート混合物(A)と球状ナノシリカ(B)とを含む、接着力と塗布性に優れた、カメラモジュール組立用に適した光硬化性接着組成物、及び該光硬化性接着組成物を使用して組立てたカメラモジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光硬化性接着組成物、特にカメラモジュール組立用の光硬化性接着組成物、及び該光硬化性接着組成物を用いて組立てたカメラモジュール、並びに該光硬化性接着組成物を用いるカメラモジュールの組立て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等に使用されるカメラモジュールは、携帯電話の薄型化に伴い小型化になってきている。その為、カメラモジュールの接着固定する部位も微細になってきている。たとえば、レンズバレルと呼ばれるレンズユニットと台座(筐体)との接着部位、フィルター(IRカットフィルター)と台座(筺体)の接着部位などがあげられる(特許文献1)。
【0003】
微細な部位に接着剤を微量塗布する方法として、針の先に接着剤を付け塗布するピン転写法があるが、塗付量を安定的にコントロールするのが難しい。このため、微細な部位に接着剤を微量塗布するには、ノズルを用いるディスペンサー、特に狭ノズルを用いるディスペンサーの使用が望ましい。
【0004】
従来、カメラモジュール組立用の光硬化性接着組成物として、主成分がアクリル系樹脂又はエポキシ系樹脂の紫外線硬化性や熱硬化性の接着剤が好ましいこと(特許文献2)や、紫外線硬化性や熱硬化性の接着剤が使用されること(特許文献3)が報告されている。しかし、これらの特許文献には、接着剤の組成に関する具体的な記載はない。
【0005】
携帯電話等に用いるカメラモジュールにとって、落下に対する耐衝撃性は非常に重要であり、これを満足するには接着剤の接着力が大きいことが必要となる。接着力が小さいと落下衝撃で接着面に剥がれが生じ易い。カメラモジュールが小型になり、接着面積が小さくなると、接着面が剥がれやすくなるので、接着剤の接着力つまり落下衝撃性の向上がより必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−186756号公報
【特許文献2】特開2009−3073号公報
【特許文献3】特開2008−141364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
接着性を向上するには、光硬化時の接着剤の収縮応力を低減する必要があり、そして、光硬化時の収縮応力を低減するには、接着剤にフィラーを添加することが有効である。しかし、フィラーを加えた光硬化性接着剤は、ノズル、特に狭ノズルを用いるディスペンサーを使用した塗布が困難となるという問題がある。狭ノズルで塗布する場合は、フィラーを添加しない光硬化性接着剤が使用されていた。フィラーを添加しない光硬化性樹脂は、上述の通り、狭ノズルによる塗布はできるが、接着性が低く、落下衝撃性が劣るという問題がある(後述の比較例1参照)。
【0008】
したがって、本発明の目的は、ノズルを用いるディスペンサーを使用しても問題なく塗布でき、かつ接着性を高めた、カメラモジュール組立用に適した光硬化性接着組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の本発明は、(メタ)アクリレートオリゴマー(a)及び(メタ)アクリレートモノマー(b)からなる(メタ)アクリレート混合物(A)と球状ナノシリカ(B)とを含む光硬化性接着組成物である。
【0010】
第2の本発明は、球状ナノシリカ(B)の粒径が30〜500nmである、第1の発明の光硬化性接着組成物である。
【0011】
第3の本発明は、(メタ)アクリレートオリゴマー(a)が、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格又はポリエステル骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーである、第1又は第2の発明の光硬化性接着組成物である。
【0012】
第4の発明は、(メタ)アクリレート混合物(A)80重量部に対して、5〜40重量部の球状ナノシリカ(B)を含む、第1〜第3のいずれかの発明の光硬化性接着組成物。
【0013】
第5の発明は、(メタ)アクリレート混合物(A)が、10〜90重量%の(メタ)アクリレートオリゴマー(a)と90〜10重量%の(メタ)アクリレートモノマー(b)とからなる、第1〜第4のいずれかの発明の光硬化性接着組成物である。
【0014】
第6の発明は、カメラモジュールの組立用である、第1〜第5のいずれかの発明の光硬化性接着組成物である。
【0015】
第7の発明は、第6の発明の光硬化性接着組成物を用いて組立てたカメラモジュールである。
【0016】
第8の発明は、第6の発明の光硬化性接着組成物を接着部位に塗布し、接着部位を接着する工程を含むカメラモジュールの組立て方法である。
【0017】
第9の発明は、光硬化性接着組成物の塗布を狭ノズルのディスペンサーにより行う、第8の発明のカメラモジュールの組立て方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ノズルディスペンサーを使用しても問題なく塗布でき、かつ接着性を高めた光硬化性接着組成物、特にカメラモジュール組立用に適した光硬化性接着組成物が得られる。
また、本発明によれば、接着性が高く、落下衝撃性が向上したカメラモジュールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、接着強度測定用の試験片の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明における「(メタ)アクリレート混合物(A)」は、(メタ)アクリレートオリゴマー(a)と(メタ)アクリレートモノマー(b)とからなる。(メタ)アクリレートオリゴマー(a)としては、任意の(メタ)アクリレートオリゴマーが使用できる。(メタ)アクリレートモノマー(b)としては、任意の(メタ)アクリレートモノマー(b)が使用できる。
【0021】
(メタ)アクリレート混合物(A)における(メタ)アクリレートオリゴマー(a):(メタ)アクリレートモノマー(b)の比率は、(メタ)アクリレート混合物(A)の粘度のよって変化し得るが、好ましくは10〜90重量%:90〜10重量%、より好ましくは20〜80重量%:80〜20重量%、特に好ましくは30〜70重量%:70〜30重量%である。粘度が高い(メタ)アクリレートオリゴマー(a)と粘度の低い(メタ)アクリレートモノマー(b)の配合比率を変えることにより(メタ)アクリレート混合物(A)の粘度を調整できる。
【0022】
(メタ)アクリレートオリゴマー(a)は、公知のものが使用でき、(メタ)アクリレートオリゴマー(a)としては、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格又はポリエステル骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーが挙げられる。市販されている製品としては、根上工業株式会社製のポリカーボネート系アクリレートオリゴマー(製品名:UN5500)、ポリエステル系アクリレートオリゴマー(製品名:UN7700)、日本合成化学工業株式会社製のポリエーテル系アクリレートオリゴマー(製品名:UV3700B)等が挙げられる。(メタ)アクリレートオリゴマー(a)として好ましいのは、上記のうち、ポリエステル骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーである。
【0023】
(メタ)アクリレートモノマー(b)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレ−ト、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレ−ト、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステル、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)−5、5−ジメチルヒダントイン、3−メチルペンタンジオール(メタ)アクリレート、α,ω−ジアクリルビスジエチレングリコールフタレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリット(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリットモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリヒドロキシエチルイソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びこれらのEO及び/又はPO付加物、α,ω−テトラアリルビストリメチロールプロパンテトラヒドロフタレート、2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジアクリロキシエチルフォスフェート、N−ビニルピロリドン及びこれらの光反応性官能基を有するものが例示できる。(メタ)アクリレートモノマー(b)として好ましいのは、上記のうち、イソボルニルアクリレート(製品名 日本化薬株式会社製KAYARAD RM−1002)である。
【0024】
本発明における「球状ナノシリカ」は、ナノレベルの粒径を有する実質的に球状の形状を有するシリカをいう。球状ナノシリカの粒径は30nm〜500nmが好ましく、より好ましくは30nm〜150nm、特に好ましくは50nm〜100nmである。フィラーとして球状ナノシリカを用いると、粘度上昇が抑えられ、かつ、ディスペンサーのノズルの詰まりもなく安定した塗布ができ、接着力も向上させることができる。配合する球状ナノシリカの粒径により光硬化性接着組成物の粘度が調整できる。ナノレベルよりも大きい粒径のシリカを使うと粘度上昇は抑えられるが、ノズルが詰まる場合があり、好ましくない。
【0025】
球状ナノシリカの添加量は、(メタ)アクリレート混合物(A)80重量部に対して、5〜40重量部が好ましく、より好ましくは10〜30重量部、特に好ましくは10〜20重量部である。球状ナノシリカの添加量が少なすぎると、接着性の向上効果が劣る。球状ナノシリカの添加量は多すぎると、粘度が高くなりすぎる上に、接着性の向上効果が得られない。球状ナノシリカの添加量により光硬化性接着組成物の粘度が調整できる。
【0026】
球状ナノシリカとして、信越化学工業株式会社製X−24−9163A、X−24−9404、エルケンジャパン製R300、T100、扶桑化学工業製SP−03F、KCM corporation製SG−SO100、日本触媒製KE−P10、KE−P30、KE−P50、KE−P100、KE−P150が市場から入手できる。
【0027】
本発明の光硬化性接着組成物は、特にノズルを用いるディスペンサーを使用する、各種の装置やモジュールの組立用に使用できる。装置又はモジュールとしては、カメラモジュール、スピーカーユニット等が挙げられる。本発明における「カメラモジュール」としては、携帯電話、監視用カメラ等に搭載されるカメラモジュールがある。カメラモジュールの大きさは特に問わないが、小型のカメラモジュールが好ましい。スピーカーユニットにおいては、例えば、スピーカーの振動板とコイルの固定用に使用できる。
【0028】
本発明における「カメラモのジュール組立用」とは、カメラモジュールにおいて、部位間を接着することを意味する。すなわち、接着部位に光硬化性樹脂を塗布し、塗布層を光硬化して部位間を接着することを意味する。接着する部位としては、レンズバレルと呼ばれるレンズユニットと台座(筐体)との接着、フィルター(IRカットフィルター)と台座(筺体)との接着、オートフォーカスにおけるフラットスプリングとレンズバレルとの接着などが挙げられる。
【0029】
本発明の光硬化性接着組成物は、光開始剤を含有することができる。光開始剤の添加量は、(メタ)アクリレート混合物(A)80重量部に対して、0.1から10重量部、好ましくは0.5〜5重量部、特に好ましくは1〜3重量部である。
【0030】
光開始剤としては、以下の化合物が例示できる。
アセトフェノン系化合物:アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン又は4−t−ブチルトリクロロアセトフェノン;
ベンゾフェノン系化合物:ベンゾフェノン、ベンゾフェノンオキシム又は4,4‘−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン;
ベンゾインエーテル系化合物:ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル又はベンゾインイソブチルエーテル;
チオキサントン系化合物:チオキサントン又はジエチルチオキサントン;
ケトン系化合物:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−アクリロイルオキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン又はα−ヒドロキシイソブチルフェニルケトン;及び
その他の化合物:2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1、ベンジルジメチルケタール、ベンジル、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メチルイソブチロイル−メチルホスフィネート、メチルイソブチロイル−フェニルホスフィネート、ジフェニル−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]、ホスフィンオキサイドとしては、ビスフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキサイド又はビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルベンチルホスフィンオキサイド等。
【0031】
本発明の光硬化性接着組成物は、さらに、シランカップリング剤、酸化防止剤、重合禁止剤、有機過酸化物、可塑剤、タッキファイヤーなどを含有してもよい。
【0032】
本発明の光硬化性接着組成物の粘度は、好ましくは80000mPa・s以下、より好ましくは40000mPa・s以下、さらに好ましくは30000mPa・s以下、特に好ましくは20000mPa・s以下であり、下限値は1000mPa・sであることが好ましい。本発明の光硬化性接着組成物の粘度は、最適には、1000mPa・s〜20000mPa・sである。粘度が低すぎる場合は、塗布後で硬化前の接着組成物の形状保持性が劣るので、好ましくない。また、粘度が高すぎると、ノズル、特に狭ノズルを用いた場合の塗布性が劣り、好ましくない。
【0033】
本発明の光硬化樹脂組成物は、下記実施例記載の方法で測定した接着強度が好ましくは15N以上、より好ましくは18N以上、特に好ましくは20N以上である。このような接着強度を有すれば、落下衝撃性において優れる。
【0034】
本発明のカメラモジュールは、上記の光硬化性接着組成物を用いて接着部位を接着して組立てたカメラモジュールである。
【0035】
本発明は、上記の光硬化性接着組成物をカメラモジュールの接着部位に塗布し、次いで、塗布層を光硬化して接着部位を接着する工程を含むカメラモジュールの組立て方法である。カメラモジュールの接着部位は前記した通りである。
【0036】
本発明の組立て方法において、光硬化性接着組成物の接着部位への塗布方法は従来から公知の方法が使用できる。ディスペンサーを用いて塗布する方法が、塗布量を安定的に調整できる点で好ましい。ディスペンサーのノズルは、広い(太い)もの(例えば、内径0.7mmのもの)から狭い(細い)もの(内径が100〜300μmのノズル、例えば、内径150又は190μmのもの)までの任意のノズルが使える。小型のカメラモジュールの組立ての場合には、狭ノズルのディスペンサーにより塗布を行うことが特に好ましい。狭ノズルのディスペンサーの例として、武蔵エンジニアリング社製SN−27G:内径190μmやSN−28G:内径150μmが挙げられる。塗布された光硬化性接着組成物は、光硬化されることによりカメラモジュールの部位を接着する。光硬化は、エネルギー線、特に紫外線を用いる通常の方法で行うことができる。
【実施例】
【0037】
以下に、本発明を実施例により詳しく説明する。
(実施例1〜4及び比較例1)
表1に記載された配合量比に基づいて、(メタ)アクリレートオリゴマーUN7700、(メタ)アクリレートモノマーRM1002と光開始剤イルガキュアー127を均一な液体になるまで30分攪拌し、そこにX−24−9163Aを加え60分攪拌し光硬化性接着組成物を調製した。攪拌機は、攪拌中の温度上昇を抑えることが出来るジャケット式の攪拌容器を用いてプラネタリーミキサー(機種名PRIMIX社製 T.K.HIVISMIX 2P−1)で回転数30r/minで攪拌した。攪拌中は、ジャケット内に25℃の冷却水を流しておこなった。表2に各成分の原材料名及びメーカーを示す。
得られた光硬化性接着組成物の粘度、接着強度及び吐出試験を以下の方法で測定した。測定結果を表1に示す。
[粘度]:
東機産業社製RE−115Uを用いて、R14,10r/minにて測定を行った(但し、実施例4のみ、R14,5r/minにて測定した。)。
[接着強度]:
・接着強度の測定方法(被着体の種類、形状、硬化条件)
LCP :新日本石油製 CM301B、abt.100 mm × 100 mm × 2.8 mmt
青ガラス :10 mm × 10 mm × 1.8 mmt
ディスペンサー調整器:武蔵エンジニアリング製 ML-606 ノズル:0.19mm
使用ニードル :26 G
塗布量 :(0.1 mg/ 点) × 4 点
UV 照射器 :浜松ホトニクス製 LC5
UV 照度計 :浜松ホトニクス製 C6080-13
UV 照度 :200 mW/cm2
照射距離 :40 mm
押し抜き試験機 :島津製作所製 AGS-500D
押し抜き速度 :10 mm/min
・接着強度の試験片の調製法
試験片を図1に示す。青ガラス(3)の中央部に、スペーサー(2)としてセロハンテープ(50μmのギャップ)を貼る。次に、青ガラス(3)の4つの角のそれぞれに、0.1mgの光硬化性接着組成物(5)を塗布し、その後、これをLCP(1)上に載せた後、青ガラス(3)越しにUV光を照射してLCP(1)と青ガラス(3)を接着する。LCP(1)の直径4mmの穴(7)を通じて、押し抜き試験機を用いる押し抜き(6)により接着強度を測定する。
[吐出試験]:
武蔵エンジニアリング社製SN−27G(内径190μm)を用い、吐出圧0.5MPaで光硬化性接着組成物10mlの吐出試験をおこなった。
評価は、○:塗布性が良好
△:塗布性がやや良好
×:塗布性不良(塗布量が少ないか、ノズル詰まりが起こる)
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】


(RM−1002:日本化薬株式会社製 イソボルニルアクリレートKAYARAD RM−1002)
【0040】
(実施例5及び比較例2〜3)
表3に記載された配合に基づいて、(メタ)アクリレートオリゴマーUN7700、(メタ)アクリレートモノマーRM1002と光開始剤イルガキュアー127を均一な液体になるまで30分攪拌し、そこにX−24−9404、SG95SKまたはTG308Fを加え60分攪拌し光硬化性接着組成物を調製した。攪拌機は、攪拌中の温度上昇を抑えることが出来るジャケット式の攪拌容器を用いてプラネタリーミキサー(機種名PRIMIX社製 T.K.HIVISMIX 2P−1)で回転数30r/minで攪拌した。攪拌中は、ジャケット内に25℃の冷却水を流しておこなった。表2に各成分の原材料名及びメーカーを示す。得られた光硬化性接着組成物の粘度、接着強度及び吐出試験を測定した。測定結果を表3に示す。
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、接着強度が大きい光硬化性接着組成物が得られ、これを使用すれば、落下衝撃性が向上したカメラモジュール等を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 LCP
2 スペーサー(セロハンテープ、50μm)
3 青ガラス
4 穴(直径4mm)
5 光硬化性接着組成物(0.1mg)
6 押し抜き(10mm/min)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリレートオリゴマー(a)及び(メタ)アクリレートモノマー(b)からなる(メタ)アクリレート混合物(A)と球状ナノシリカ(B)とを含む光硬化性接着組成物。
【請求項2】
球状ナノシリカ(B)の粒径が30〜500nmである、請求項1記載の光硬化性接着組成物。
【請求項3】
(メタ)アクリレートオリゴマー(a)が、ポリエーテル骨格、ポリカーボネート骨格又はポリエステル骨格を有する(メタ)アクリレートオリゴマーである、請求項1又は2記載の光硬化性接着組成物。
【請求項4】
(メタ)アクリレート混合物(A)80重量部に対して、5〜40重量部の球状ナノシリカ(B)を含む、請求項1〜3のいずれか1項記載の光硬化性接着組成物。
【請求項5】
(メタ)アクリレート混合物(A)が、10〜90重量%の(メタ)アクリレートオリゴマー(a)と90〜10重量%の(メタ)アクリレートモノマー(b)とからなる、請求項1〜4のいずれか1項記載の光硬化性接着組成物。
【請求項6】
カメラモジュールの組立用である、請求項1〜5のいずれか1項記載の光硬化性接着組成物。
【請求項7】
請求項6記載の光硬化性接着組成物を用いて組立てたカメラモジュール。
【請求項8】
請求項6記載の光硬化性接着組成物を接着部位に塗布し、接着部位を接着する工程を含むカメラモジュールの組立て方法。
【請求項9】
光硬化性接着組成物の塗布を狭ノズルのディスペンサーにより行う、請求項8記載のカメラモジュールの組立て方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2011−148948(P2011−148948A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13259(P2010−13259)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000162434)協立化学産業株式会社 (73)
【Fターム(参考)】