説明

カメラモジュール及び電子情報機器

【課題】エアーブローの実施により、カメラモジュールの製造時に侵入した異物をより確実に粘着剤と接触させて捕捉することができ、異物が粘着剤と接触する確率を上げるための加振工程による工数増大を招くことなく、画質劣化につながる異物の撮像領域への到達を防止することができるカメラモジュールを得る。
【解決手段】カメラモジュールにおいて、基板101と、基板上に設けられた撮像チップ101aと、撮像チップ上に入射光を集光させる集光レンズ107と、基板に撮像チップを覆うよう取り付けられ、集光レンズを収容するホルダ部材102とを備え、ホルダ部材102を、ホルダ部材102の採光用開口部122からホルダ部材の内部に流入した気流を排出する少なくとも1つの通気孔125を有する構造とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュール及び電子情報機器に関し、特に、電子情報機器に搭載されるカメラモジュールに侵入した画質劣化の原因となる異物を捕捉する機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、撮像素子と撮像用レンズとが一体化して組み込まれたカメラモジュールは、小型情報端末やデジタルカメラなどさまざまな電子情報機器に搭載されている。
【0003】
カメラモジュール内の異物がIRカットフィルタ上の撮像領域に入ると、これがシミとして表示される画質劣化を引き起こすこととなる。このことから、撮像領域に異物が入らないようにすることが重要となっている。
【0004】
このため、材料の洗浄や工程のクリーン化により、カメラモジュールの製造時に異物がカメラモジュール内に入り込まないようしている。
【0005】
また、従来のカメラモジュールには、AF(オートフォーカス)モーターの可動部からの発塵を防止するため、保護部材を設けて部材同士の接触による異物発生を抑制したり、粘着面を設けることにより発生した異物を捕獲したりすることで、撮像領域に異物が入り込むのを抑制しているものもある。
【0006】
図9は、このような従来のカメラモジュールを説明する図であり、一例として、特許文献1に開示のものを示している。
【0007】
このカメラモジュール200は、可動部と、固定部と、弾性部材10とを有している。
【0008】
可動部は、レンズ4と、レンズホルダ5と、コイル6とを有している。レンズホルダ5は、たとえば円筒状の筒部5aと、筒部5aの一方端部において外周側に広がるフランジ部5bとを有している。レンズ4は筒部5aの内部に保持されている。コイル6は円筒形状を有しており、筒部5aの外周を取り囲むようにフランジ部5bに保持されている。
【0009】
固定部は、ヨーク8と、樹脂フレーム9と、磁石7と、IRカットフィルタ2と、保護部材11とを有している。樹脂フレーム9は、平面視において矩形の外形を有し、かつ中央に円形の貫通孔9aを有している。この樹脂フレーム9の一方の表面側にはヨーク8が取り付けられている。
【0010】
ヨーク8は、略平坦状の上壁部8aと側壁部8bとを有している。上壁部8aの中央部には貫通孔8cが設けられ、このヨーク8の側壁部8bの内周側に、磁石7が取り付けられている。また、この貫通孔8cに、可動部であるレンズホルダの筒部5aが光軸1の方向にスライド可能に保持されている。
【0011】
また、樹脂フレーム9の他方の表面側には貫通孔9aを覆うようにIRカットフィルタ2が貼り付けられている。IRカットフィルタ2の下には撮像素子3が配置されている。
【0012】
可動部と固定部とが組まれた状態において、レンズホルダ5の筒部5aがヨーク8の上壁部8a中央の貫通孔8c内に配置されている。またヨーク8の内部において、磁石7とコイル6とが互いに所定のクリアランスを介して対向するように、磁石7の内周側にコイル6が配置されている。
【0013】
弾性部材10は、可動部と固定部とを連結している。この弾性部材10には、たとえば板バネやコイルバネが用いられる。弾性部材10は、たとえば、内周側の輪形状をした可動部側接着部10aと、外周側の輪形状をした固定部側接着部10cと、それら可動部側接着部10aおよび固定部側接着部10cを繋ぐ複数本の腕部10bとを有している。
【0014】
可動部側接着部10aは筒部5aの下端に接着されており、固定部側接着部10cはヨーク8および樹脂フレーム9の双方に挟まれて双方に接着されている。腕部10bは可動部および固定部のいずれにも接着されておらずフリーな状態にあり、かつ弾性を有している。これにより、可動部がレンズ4の光軸1の方向に沿って固定部に対して相対的に移動可能となっている。
【0015】
保護部材11は、固定部に対して可動部が相対的に移動したときに固定部および可動部の少なくとも一方が弾性部材10と衝突(接触)する箇所に設けられている。ここでは、保護部材11は樹脂フレーム9の一方表面(図中上側の表面)上であって、弾性部材10の可動部側接着部10aと接触する部分に設けられている。
【0016】
なお、固定部および可動部は、弾性部材10と対向する箇所に凹部12を有しており、この凹部12の壁面が粘着面13となっている。この粘着面13は、粘着テープを貼り付けることにより形成されている。
【0017】
このようなカメラモジュール200aでは、固定部の、可動部側の弾性部材10と衝突する箇所に、保護部材11が設けられているため、固定部に対して可動部が相対的に移動しても、弾性部材10が固定部に直接接することはない。つまり、弾性部材10が固定部に直接接することで、固定部が削れて異物が生じることはない。
【0018】
また、可動部は固定部に対して弾性部材10で保持されているが、オートフォーカス機構が働く際のレンズ4を含む可動部の移動や、カメラモジュールに加わる外部からの加振力により、可動部が固定部との接触点で摩擦しながら運動することがある。この場合、異物が発生するが、この異物は、固定部および可動部に形成された凹部12の粘着面13で捕捉されることとなる。
【0019】
また、従来のカメラモジュールとしては、上記特許文献1に開示のカメラモジュールとは異なり、可動部を固定部に対して接触しないよう、弾性部材によってのみ支持した構造のカメラモジュールもある。
【0020】
図10は、このような構造の従来のカメラモジュールを説明する図である。
【0021】
この従来のカメラモジュール200aは、基板201と、この基板201の中央部上に配置された撮像センサ201aと、基板201上に撮像センサ201aを覆うよう接着剤210aにより取り付けられた底面側ホルダ210とを有している。この底面側ホルダ210の該撮像センサ201aに対向する部分には開口部210cが形成され、この開口部210cには赤外線(IR)カットフィルタ202bが取り付けられている。
【0022】
また、カメラモジュール200aは、底面側ホルダ210上に接着剤210bにより取り付けられた天面側ホルダ220を有しており、この天面側ホルダ220内には、キャリア(可動部)205が収容されており、このキャリア205はカメラモジュールの光軸Xの方向に移動可能に支持されている。ここで、このキャリア205と天面側ホルダ220との間には弾性部材221が取り付けられ、このキャリア205と底面側ホルダ210との間には弾性部材211が取り付けられている。また、キャリア205にはバレル206を介してレンズ207が取り付けられている。
【0023】
さらに、キャリア205の周囲にはコイル204が取り付けられている。天面側ホルダ220の、コイル204に対向する内壁面には磁石203が、コイル205との間に一定の間隔を空けて取り付けられている。つまり、磁石203はコイル205と接触しないよう配置されている。これにより、このカメラモジュール200は、コイル204に流す電流により、キャリア205が光軸Xの方向に移動する構成となっている。
【0024】
また、底面側ホルダ210の上面の、磁石203とコイル205との間隙に対向する領域には、粘着剤220aが塗布されており、カメラモジュール200内に侵入した異物が、底面側ホルダ210上面の粘着剤220aを塗布した部分で捕捉されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】特開2009−175343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
上述のとおり、従来のカメラモジュールでは、固定部と可動部とが接触する部分に保護部材を設けたり、固定部と可動部とが接触しないように配置したりすることで、部材同士の接触により異物が発生することを防止し、また、カメラモジュール内に侵入した異物は、カメラモジュールの構成部材の粘着剤を塗布した部分で捕捉するようにしている。
【0027】
ところが、異物の発生は、部材同士の接触以外の原因によるものもあり、異物の発生原因は、例えば、内部部品の劣化、駆動部からの発塵、製造時の異物侵入、製造後の外部からの異物侵入など多岐に渡っている。また、異物捕捉のための粘着剤も、粘着剤に異物が接触しない限り有効に機能せず、粘着剤により捕捉されなかった異物がIRカットフィルター上に到達するリスクもある。
【0028】
このように、外部からカメラモジュール内部へ侵入した異物、もしくは、カメラモジュールに内在していた異物がIRカットガラス上の撮像領域内に侵入するとシミとなり、画質の低下を招く。
【0029】
このため、カメラモジュールに複数回の加振を実施することで内在異物を除去して出荷しているが、異物が粘着剤と接触する確率を上げるために、複数回の加振などを実施するようにすると、カメラモジュールの製造工数の増加を招くといった問題がある。
【0030】
また、電子機器の筐体へカメラモジュールを組み込む際に、カメラモジュールの外面に付着した異物を除去するためにエアブローが実施されるが、このエアーブロー時の気流に乗って勢いよく外部からカメラモジュール内に異物が侵入した場合には、異物は粘着面で捕捉されずに散乱して、IRカットフィルタ上に侵入するといったことも生ずる。
【0031】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、エアーブローの実施により、カメラモジュールの製造時に侵入した異物をより確実に粘着剤と接触させて捕捉することができ、異物が粘着剤と接触する確率を上げるための加振工程による工数増大を招くことなく、画質劣化につながる撮像領域への異物の到達を防止することができるカメラモジュール及びこのようなカメラモジュールを搭載した電子情報機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明に係るカメラモジュールは、基板と、該基板上に設けられた撮像チップと、該撮像チップ上に入射光を集光させる集光レンズとを有するカメラモジュールであって、該基板に該撮像チップを覆うよう取り付けられ、該集光レンズを収容するホルダ部材を備え、該ホルダ部材は、該ホルダ部材の開口部から該ホルダ部材の内部に流入した気流を排出する少なくとも1つの通気孔を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0033】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記ホルダ部材は、前記気流の流れる経路の一部に、該気流に含まれる異物を捕捉する異物捕捉部を配置したものであることが好ましい。
【0034】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記通気孔は、該カメラモジュールをエアブローした際に、前記ホルダ部材の開口部から流入した空気流の排出経路を、該空気流に含まれる前記異物が前記異物捕捉部に導かれるよう形成することが好ましい。
【0035】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記ホルダ部材は、該ホルダ部材の外部から該ホルダ部材内への一定サイズ以上の異物の侵入が阻止されるよう前記通気孔の開口に取り付けたメッシュ部材を有することが好ましい。
【0036】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記ホルダ部材は、その外形形状を直方体形状とし、前記集光レンズの光軸と平行な壁面に前記通気孔の開口を形成したものであることが好ましい。
【0037】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記ホルダ部材は、前記通気孔の開口を、該直方体形状のホルダ部材の角部に配置したものであることが好ましい。
【0038】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記ホルダ部材は、前記基板上に設けられた前記撮像チップを覆うよう、該基板上に取り付けられた下部ホルダと、該下部ホルダ上に前記集光レンズを収容するよう取り付けられた上部ホルダとを有し、該下部ホルダは、その上面壁の、該撮像チップに対向する部分に形成された下部開口部を有し、該下部開口部には、これを覆うよう赤外線カットフィルタが取り付けられていることが好ましい。
【0039】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記下部ホルダは、前記ホルダ部材の外部から侵入した異物、あるいは該ホルダ部材の内部で発生した異物が、前記基板上の前記撮像チップに到達しないよう、前記赤外線カットフィルタにより、前記下部開口部を封止したものであることが好ましい。
【0040】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記下部ホルダは、その上面壁の前記下部開口部の周囲に粘着剤を塗布して前記異物捕捉部を形成したものであることが好ましい。
【0041】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記通気孔の、前記ホルダ部材の内側に位置する内側開口は、前記異物捕捉部に隣接して配置されていることが好ましい。
【0042】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記下部ホルダは、前記通気孔の内側開口を、該下部ホルダの上面壁に形成された下部開口部の周囲に配置し、該通気孔の前記ホルダ部材の外側に位置する外部開口を、該下部ホルダの側壁面に配置したものであることが好ましい。
【0043】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記下部ホルダは、前記ホルダ部材の外部から該ホルダ部材内への一定サイズ以上の異物の侵入が阻止されるよう、前記通気孔の内側開口に取り付けたメッシュ部材を有することが好ましい。
【0044】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記通気孔は、これが形成する気流の経路の一部で気流の流速が低下するよう、該通気孔の一部の断面積を他の部分に比べて増大させたものであり、前記異物捕捉部は、該通気孔の断面積を増大させた部分に隣接させて配置されていることが好ましい。
【0045】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記ホルダ部材は、該カメラモジュールをエアブローした際に、該ホルダ部材の内部で、該集光レンズの光軸の周りに回転する方向の気流が発生して、該気流の回転する遠心力により、該気流に含まれる異物が、該ホルダ部材の側壁内面に配置した異物捕捉部に捕捉されるようにしたものであることが好ましい。
【0046】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記ホルダ部材は、前記集光レンズを保持するレンズ保持部を、該ホルダ部材に対して接触しないよう、該集光レンズの光軸方向に移動可能に支持する弾性支持部材を有することが好ましい。
【0047】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記ホルダ部材は、前記基板上に設けれらた前記撮像チップを覆うよう、該基板上に取り付けられた下部ホルダと、該下部ホルダ上に前記集光レンズを収容するよう取り付けられた上部ホルダとを有し、前記レンズ保持部は、その上端部が上側の弾性支持部材を介して該上部ホルダの上面壁に支持され、その下端部が下側の弾性支持部材を介して該下部ホルダの上面壁に支持されていることが好ましい。
【0048】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記下部ホルダは、その上面壁の、該撮像チップに対向する部分に形成された下部開口部を有し、該下部開口部には、これを覆うよう赤外線カットフィルタが取り付けられており、前記弾性支持部材により支持されているレンズ保持部は、該カメラモジュールのエアーブロー時の風圧より、該赤外線カットフィルタを覆うよう該下部ホルダ側に移動することが好ましい。
【0049】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記通気孔は、前記集光レンズの光軸と平行な方向の寸法が0.2mm〜1mmの範囲に設定されていることが好ましい。
【0050】
本発明は、上記カメラモジュールにおいて、前記メッシュ部材の網目のサイズは、5μm〜20μmの粒子が通過する程度の大きさに設定されていることが好ましい。
【0051】
本発明に係る電子情報機器は、被写体の撮像を行う撮像部を備えた電子情報機器であって、該撮像部は、上述した本発明のカメラモジュールであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0052】
次に本発明の作用について説明する。
【0053】
本発明においては、カメラモジュールにおいて、基板上の撮像チップを覆うよう基板に取り付けられ、集光レンズを収容するホルダ部材を備え、このホルダ部材を、該ホルダ部材の開口部から該ホルダ部材の内部に流入した気流を排出する少なくとも1つの通気孔を有する構造としたので、エアブローを実施した場合にも、ホルダ部材内に流入した気流が通気孔から排出されることとなり、ホルダ部材内には一定の気流の通路が形成される。このため、エアブローを実施した場合にホルダ部材内での気流の散乱により異物が撮像領域内に侵入するのを抑制することができる。
【0054】
また、本発明においては、ホルダ部材の気流の流れる経路の一部に、該気流に含まれる異物を捕捉する異物捕捉部を配置しているので、より確実に異物を捕獲することが可能となる。
【0055】
また、本発明においては、ホルダ部材の外部から該ホルダ部材内への一定サイズ以上の異物の侵入が阻止されるよう通気孔の開口にメッシュ部材を取り付けているので、該通気孔からホルダ部材内に、画質劣化を引き起こすようなサイズの異物が侵入するのを回避できる。
【0056】
また、本発明においては、通気孔の、ホルダ部材の内側に位置する内側開口を、異物を捕捉する異物捕捉部に隣接して配置されているので、効率よく異物を捕捉できる。
【0057】
また、本発明においては、通気孔は、これが形成する気流の経路の一部で気流の流速が低下するよう、該通気孔の一部の断面積を他の部分に比べて増大させたものとし、異物を捕捉する異物捕捉部を、該通気孔の断面積を増大させた部分に隣接させて配置しているので、より効果的に異物の捕捉を行うことができる。
【0058】
また、本発明においては、ホルダ部材は、該カメラモジュールをエアブローした際に、該ホルダ部材の内部で、該集光レンズの光軸の周りに回転する方向の気流が発生して、該気流の回転する遠心力により、該気流に含まれる異物が、該ホルダ部材の側壁内面に配置した異物捕捉部に捕捉されるよう構成されているので、より効果的に異物の捕捉を行うことができる。
【0059】
また、本発明においては、弾性支持部材により支持されているレンズ保持部は、カメラモジュールのエアーブロー時の風圧より、下部ホルダの開口部に取り付けられている赤外線カットフィルタを覆うよう下部ホルダ側に移動するので、エアーブロー時に異物が積が線カットフィルタ上に侵入するのを回避できる。
【発明の効果】
【0060】
以上のように、本発明によれば、基板と、該基板上に設けられた撮像チップと、該撮像チップ上に入射光を集光させる集光レンズとを有するカメラモジュールにおいて、該基板に該撮像チップを覆うよう取り付けられ、該集光レンズを収容するホルダ部材を備え、該ホルダ部材を、その開口部から該ホルダ部材の内部に流入した気流を排出する少なくとも1つの通気孔を有し、該気流の流れる経路の一部には、該気流に含まれる異物を捕捉する異物捕捉部を配置した構成としたので、エアーブローの実施により、カメラモジュールの製造時に侵入した異物をより確実に粘着剤と接触させて捕捉することができ、異物が粘着剤と接触する確率を上げるための加振工程による工数増大を招くことなく、画質劣化につながる撮像領域への異物の到達を防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1は本発明の実施形態1によるカメラモジュールを説明する図であり、このカメラモジュールの断面構造を示している。
【図2】図2は、図1に示すカメラモジュールを構成する弾性部材111を説明する図であり、図2(a)及び図2(b)はそれぞれか弾性部材111を示す斜視図及び平面図である。
【図3】図3は、図2に示す弾性部材111とは構造が異なる他の弾性部材を示す図であり、図3(a)及び図3(b)はそれぞれ他の弾性部材を示す側面図及び平面図である。
【図4】図4は、本実施形態1のカメラモジュールの形状及び通気孔の配置を説明する図であり、図4(a)は、カメラモジュールの外観を示す平面図であり、図4(b)は、この実施形態1のカメラモジュールにおける通気孔の配置を模式的に示し、図4(c)は、通気孔の配置を粘着剤の塗布領域とともに示し、図4(d)及び図4(e)はそれぞれ、通気孔の配置の他の例を模式的に示している。
【図5】本発明の実施形態1によるカメラモジュールの変形例を説明する図であり、エアーブロー時には、エアーブローにより生じた風圧により、キャリア105が底面側ホルダ110の上壁に当接する位置に移動した状態を示している。
【図6】図6は本発明の実施形態2によるカメラモジュールを説明する図であり、このカメラモジュールの断面構造を示している。
【図7】図7は本発明の実施形態3によるカメラモジュールを説明する図であり、このカメラモジュールの断面構造を示している。
【図8】図8は、本発明の実施形態4として、実施形態1ないし3のいずれかの固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【図9】図9は、従来のカメラモジュールを説明する図であり、特許文献1に開示のカメラモジュールを示している。
【図10】図10は、従来のカメラモジュールの他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0063】
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1によるカメラモジュールを説明する図であり、このカメラモジュールの断面構造を示している。なお、ここで説明するカメラモジュールは、オートフォーカス機能を有するものである。
【0064】
この実施形態1のカメラモジュール100は、基板101と、基板101上に設けられた撮像チップ101aと、撮像チップ101a上に入射光を集光させる集光レンズ107と、基板101に撮像チップ101aを覆うよう取り付けられ、集光レンズ107を収容するホルダ部材102を有している。
【0065】
そして、このカメラモジュール100では、ホルダ部材102は、その側壁面に形成され、ホルダ部材の内部に流入した空気流などの気流を排出する少なくとも1つの通気孔125を有し、該気流の流れる経路の一部には、該気流に含まれる異物を捕捉する異物捕捉部120aを配置した構造となっている。
【0066】
ここで、ホルダ部材102は、底面側ホルダ(下部ホルダ)110と天面側ホルダ(上部ホルダ)120とを有している。底面側ホルダ110は、基板101上に撮像チップ101aを覆うよう接着剤110aにより取り付けられ、この底面側ホルダ110の撮像チップ101aに対向する部分には開口部110cが形成され、この開口部110cには赤外線(IR)カットフィルタ101bが取り付けられている。天面側ホルダ120は、底面側ホルダ110上に接着剤110bにより取り付けられている。この天面側ホルダ120内には、キャリア(可動部)105が収容されており、キャリア105はカメラモジュールの光軸Xの方向に移動可能に支持されている。このキャリア105と天面側ホルダ120との間には弾性部材121が取り付けられ、このキャリア105と底面側ホルダ110との間には弾性部材111が取り付けられている。また、キャリア105にはバレル106を介して集光レンズ(以下、単にレンズともいう。)107が取り付けられている。また、天面側ホルダ120の上壁面には、レンズ107に光を取り込むための採光用開口122が形成されている。
【0067】
さらに、キャリア105の外周囲面にはコイル104が取り付けられている。天面側ホルダ120の、コイル104に対向する内壁面には磁石103が、コイル104との間に一定の間隔を空けて取り付けられている。つまり、磁石103はコイル104と接触しないよう配置されている。これにより、このカメラモジュール100は、コイル104に流す電流により、キャリア105が光軸Xの方向に移動する構成となっている。
【0068】
また、底面側ホルダ110の上面の、磁石103とコイル104との間隙に対向する領域は、グリスなどの粘着剤125が塗布されて異物を捕捉する異物捕捉部125aとなっている。なお、粘着剤125に代えて粘着テープを用いてもよい。
【0069】
また、この実施形態1のカメラモジュール100では、底面側ホルダ110の上壁面上に形成されたフランジ部112aと、このフランジ部112aに嵌合する、天面側ホルダ120の下端部121aとに跨って通気孔125が形成されており、この通気孔125の、フランジ112aの内面側開口には、メッシュ部材130が、粘着剤125を塗布した異物捕捉部125aと隣接するよう取り付けられている。このメッシュ部材130は、ホルダ部材の外部からホルダ部材内への一定サイズ以上の異物の侵入を阻止するものである。また、この通気孔125は、天面側ホルダ120の採光用開口部122から流入した気流がこの通気孔を介してホルダ部材の外部に排出されるよう気流の通路を形成するものであり、また、カメラモジュールをエアブローした際に上記のように気流の通路(エアパス)を形成することにより、異物を異物捕捉部125aに導くものである。
【0070】
図4は、本実施形態1のカメラモジュールの形状及び通気孔の配置を説明する図であり、図4(a)は、カメラモジュールの外観を示す平面図であり、図4(b)は、この実施形態1の通気孔の配置を模式的に示している。
【0071】
図4(a)及び(b)に示すように、この実施形態1では、底面側ホルダ110及び天面側ホルダ120はともに外形略直方体形状となっており、従って、底面側ホルダ及び天面側ホルダにより形成されるホルダ部材102も、外形形状が直方体形状となっている。
【0072】
また、この実施形態1では、図4(b)及び(c)に示すように、通気孔125は、ホルダ部材102の4つの側壁110aの中央部にそれぞれ1つ設けら、各通気孔125のホルダ内面側開口はメッシュ部材130により覆われている。
【0073】
なお、図4(c)には、底面側ホルダ110の上壁部外面に粘着剤120aを塗布した領域である異物捕捉部(斜線部)120bを示している。
【0074】
なお、通気孔125の位置は、図4(b)に示す位置に限らず、例えば、図4(d)に示すように、1組の通気孔125を、ホルダ部材102の側壁コーナ部110bを挟むように形成してもよく、また、図4(e)に示すように、ホルダ部材102のコーナ部110bを切り落として通気孔125を形成してもよい。
【0075】
ここで、通気孔125のサイズは、エアーブロー時に、天面側ホルダ120の採光用開口122から通気孔125に向けて気流の通路が形成されるものであればよく、例えば、通気孔125は、その集光レンズの光軸と平行な方向の寸法が0.2mm以上であれば十分であるが、実用的には、0.2mm〜1mmの範囲に設定される。
【0076】
また、前記メッシュ部材130の網目のサイズは、画像劣化を引き起こす恐れのある大きな異物の通過を阻止できる程度に設定する。具体的には、メッシュ部材の網目のサイズは、20μm以下であればよいが、空気流の流れが阻害されない程度の大きさを確保する必要があるので、5μm〜20μmの程度の大きさとするのが望ましい。
【0077】
図2は、弾性部材111を説明する図であり、図2(a)及び図2(b)はそれぞれこの弾性部材111を示す斜視図及び平面図である。
【0078】
この弾性部材111は、直径の異なる2つのリング状薄板部材111a及び111bと、これらをその中心軸が一致するよう所定の間隔を隔てて支持する弾性支持片111cとを有している。なお、弾性部材121も、図2に示す弾性部材111と同一の構造となっている。また、弾性部材111及び121は、図2に示す構造のものに限らず、例えば図3(a)及び(b)に示すスプリングコイル112であってもよい。
【0079】
次に、本実施形態1のカメラモジュールの組立て方法について簡単に説明する。
【0080】
まず、撮像チップ101aが取り付けられた基板101に、IRカットフィルタ101bが取り付けられた底面側ホルダ110を接着剤115aにより取り付ける。
【0081】
次に、底面側ホルダ110の上壁の表面に粘着剤120aを塗布して異物捕捉部120bを形成し、通気孔125のホルダ内面側に位置する開口部にメッシュ部材130を取り付ける。なお、粘着剤120aの塗布及びメッシュ部材130の取り付けは、底面側ホルダ110を基板に取り付ける前に行ってもよい。
【0082】
次に、弾性部材111を底面側ホルダ110の開口部116の周囲のフランジ112bに取り付け、該弾性部材111に、集光レンズ107を含むバレル106及びコイル103を取り付けたキャリア104を接着剤により取り付ける。
【0083】
その後、キャリア104の上面に弾性部材121を取り付けた後、天面側ホルダ122を底面側ホルダ110に嵌め込んで接着剤115bにより固定する。このとき、弾性部材121のリング状薄板部材111bを天面側ホルダ120の上壁内面に接着剤により固定する。
【0084】
このようにしてカメラモジュールの組立てを行った後、カメラモジュールはエアーブローなどの処理が行われて、カメラモジュールに付着している異物が除去され、出荷される。
【0085】
このようにエアーブローが行われると、カメラモジュール100の採光用開口部122からホルダ部材の側壁面に形成した通気孔125に至る経路が、エアパスPaとなり、空気が勢いよく流れる。これにより、カメラモジュールの組立て工程で混入している異物は、空気流に乗って、通気孔の近傍に配置されている、粘着剤120aが塗布された異物捕捉部120bに運ばれ、ここで、捕捉されることとなる。また、この通気孔125の内側開口は、所定の粗さより小さい網目を有するメッシュ部材130で覆われているので、一定の大きさ以上の異物がこの通気孔からホルダ部材102に侵入するのを回避できる。
【0086】
次に本実施形態1の作用効果について説明する。
【0087】
本実施形態1のカメラモジュールでは、IRカットフィルタが配置される底面側ホルダ110の側壁内面に通気孔125の開口部を設けているので、天面側ホルダ120に向けてエアブローを実施した場合に、この底面側ホルダに設けた通気孔の開口部が空気の排出口となる。このため、上記エアパスの、該通気孔の開口部付近に粘着剤を配置することで確実に異物を捕獲することが可能となる。
【0088】
また、上記底面側ホルダの通気孔の開口部を、IRカットガラス上に異物が付着しても画質低下を引き起こさない異物サイズ(20μm以下)の目開きのメッシュ部材130で覆うことで、外部から通気孔を介して異物が侵入するのを防止することができる。
【0089】
この結果、カメラモジュールの製造工程での異物除去のための複数回の加振が、1度のエアブローで代替できるため、製造工数の削減が可能となるだけでなく、筐体へのカメラモジュールを組み込む際のエアブローにおいて外部から侵入した異物の捕獲も可能となり、画質低下を抑制できる。このようにカメラモジュール出荷時点でのエアブローを実施することで、カメラモジュールに内在している異物の除去を確実に実施できるため、工数削減が可能となる。
【0090】
また、最終的にユーザーでのカメラモジュールの筐体への組み込みの際に実施されるエアブローにより外部からカメラモジュール内に侵入した異物も捕捉し、画質劣化を防止することができる。
【0091】
このように本実施形態1では、基板101と、基板上に設けられた撮像チップ101aと、撮像チップ上に入射光を集光させる集光レンズ107と、基板に撮像チップを覆うよう取り付けられ、集光レンズを収容するホルダ部材102を有するカメラモジュールにおいて、ホルダ部材102の採光用開口部122からホルダ部材の内部に流入した気流を排出する通気孔125をホルダ部材102の側壁に形成し、気流の流れる経路(エアパス)Paの一部には、気流に含まれる異物を捕捉する、グリスなどの粘着剤120aを塗布した異物捕捉部120bをホルダ部材102内に配置したので、エアーブロー時には、より確実に粘着部で異物を捕捉することが可能となる。
【0092】
また、ホルダ部材102に形成した通気孔の、ホルダ部材102内側の開口部をメッシュ部材130で覆い、このメッシュ部材130の目開きはIRカットフィルタ上での画質に影響を与える異物サイズ以下のサイズとしているので、この通気孔から画質劣化を招くような異物が侵入するのを防止することができる。
【0093】
また、通気孔125の、ホルダ部材102の内側に位置する内側開口を、異物を捕捉する異物捕捉部120bに隣接して配置しているので、効率よく異物を捕捉できる。
【0094】
なお、上記実施形態1では、特に言及していないが、底面側ホルダ110及び天面側ホルダ120に対して集光レンズ107(バレル106)のキャリア105を支持する弾性部材111及び121の弾性力は、エアーブロー時に集光レンズ107(バレル106)に吹き付けられる空気流の風圧により、キャリア105が底面側ホルダ110の上壁に当接する位置に移動する程度に設定してもよい。この場合、エアーブロー時には、図5に示すように、エアーブローにより生じた風圧により、キャリア105が底面側ホルダ110の上部壁に当接する位置に移動するため、IRカットフィルタ上の空間がキャリア105により塞がれることとなり、エアーブロー時にIRカットフィルタ上に異物が入り込むのをより確実に回避することができる。
【0095】
(実施形態2)
図6は本発明の実施形態2によるカメラモジュールを説明する図であり、このカメラモジュールの断面構造を示している。
【0096】
この実施形態2のカメラモジュール100aは、上記実施形態1のカメラモジュール100における通気孔125の配置を変更したものであり、その他の構成は、実施形態1におけるものと同一である。
【0097】
すなわち、上記実施形態1のカメラモジュール100では、底面側ホルダ110のフランジ部112aと、天面側ホルダ120の、このフランジ部112aと嵌合する下端部とを貫通するよう、通気孔125を形成しているが、この実施形態2のカメラモジュール110aでは、実施形態1の通気孔125に相当する通気孔125aは、底面側ホルダ110aの上壁面からその側面にかけて形成している。つまり、通気孔125aのホルダ内側開口は、底面側ホルダ110aの上壁面の、上記フランジ部112aの内側部分に位置しており、また、通気孔125aのホルダ外側開口は、底面側ホルダ110aの側壁外面に位置している。また、メッシュ部材130aは、通気孔125aのホルダ内側開口を覆うよう、底面側ホルダの上部壁の上に配置されており、粘着剤120bは、このメッシュ部材130a上に、エアーブロー時に天面側ホルダの採光用開口から通気孔に向かうエアーパスPbを塞がないように塗布されている。
【0098】
なお、この実施形態2においても、通気孔のサイズ、及びメッシュ部材の網目のサイズは、実施形態1のものと同一に設定している。
【0099】
このような実施形態2のカメラモジュールも、実施形態1のカメラモジュールと同様に組立てられ、その後、エアーブローなどの処理が行われて、カメラモジュールに付着している異物が除去される。
【0100】
このようにエアーブローが行われると、カメラモジュール100aの採光用開口部122からホルダ部材の底面側ホルダ110aに形成した通気孔125aに至る経路が、エアーパスPbとなり、空気が勢いよく流れる。これにより、カメラモジュールの組立て工程で混入している異物は、上記の空気流に乗って、通気孔の近傍に配置されている、粘着剤120cが塗布された異物捕捉部120dに運ばれ、ここで、捕捉されることとなる。また、この通気孔125aの内側開口は、所定の粗さより小さい網目を有するメッシュ部材130で覆われているので、一定の大きさ以上の異物がこの通気孔からホルダ部材102aに侵入するのを回避できる。
【0101】
このように本実施形態2では、基板101上の撮像チップ101aを覆うよう基板101に取り付けられ、集光レンズ107を収容するホルダ部材102aを有するカメラモジュールにおいて、ホルダ部材102aの採光用開口部122からホルダ部材の内部に流入した気流を排出する通気孔125aをホルダ部材102aの底面側ホルダ110aに形成し、気流の流れる経路Pbの一部には、気流に含まれる異物を捕捉する、グリスなどの粘着剤120cを塗布した異物捕捉部120dを底面側ホルダ110aの上面に配置したので、エアーブロー時には、より確実に異物捕捉部120dで異物を捕獲することが可能となる。
【0102】
また、底面側ホルダ110aに形成した通気孔125aの内側開口をメッシュ部材130aで覆い、このメッシュ部材130aの目開きはIRカットフィルタ上での画質に影響を与える異物サイズ以下のサイズとしているので、この通気孔からの画質の劣化を招くような異物が侵入するのを防止することができる。
【0103】
さらに、この実施形態2では、通気孔は、ホルダ部材を構成する底面側ホルダにのみ形成しているので、天面側ホルダに対する通気孔の形成加工は不要とできる。
【0104】
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3によるカメラモジュールを説明する図であり、このカメラモジュールの断面構造を示している。
【0105】
この実施形態3のカメラモジュール100bは、上記実施形態1のカメラモジュール100における異物捕捉部の構造を変更したものであり、その他の構成は、実施形態1におけるものと同一である。
【0106】
すなわち、上記実施形態1のカメラモジュール100では、異物捕捉部120bは、底面側ホルダ110の上面の、磁石103とコイル105との間隙に対向する領域に粘着剤125を塗布した構造としているが、この実施形態3のカメラモジュール100bでは、底面側ホルダ110bの上面の、磁石103とコイル105との間隙に対向する領域を、底面側ホルダ110bの上面より下側に掘り下げた溝部120fを形成した構造とし、この溝部120fの底部に粘着剤120eを塗布して異物捕捉部120gを形成したものである。
【0107】
つまり、この実施形態3のカメラモジュール100bでは、エアーブロー時に天面側ホルダ120の採光用開口122から空気流が通気孔に流れるエアーパスの一部、つまり、通気孔直前の、底面側ホルダの上面に溝部を形成した部分で、エアーパスの断面積が増大したものとなっており、このため、この溝部111bを形成した部分で気流の流速が低減し、この気流に乗って運ばれてきた異物が該溝部内に落下して粘着剤に捕捉されやすくなる。
【0108】
なお、この実施形態3においても、通気孔のサイズ、及びメッシュ部材の網目のサイズは、実施形態1のものと同一であることはいうまでもない。
【0109】
このような実施形態3のカメラモジュールも、実施形態1のカメラモジュールと同様に組立てられ、その後、エアーブローなどの処理が行われて、カメラモジュールに付着している異物が除去される。
【0110】
このようにエアーブローが行われると、カメラモジュール100bの採光用開口部122からホルダ部材の底面側ホルダに形成した通気孔125に至る経路が、エアーパスPaとなり、空気が勢いよく流れる。これにより、カメラモジュールの組立て工程で混入している異物は、上記の空気流に乗って、通気孔125の近傍の溝部120f内に配置されている、粘着剤120eが塗布された異物捕捉部120gに運ばれ、ここで、気流の流速が落ちることから、異物は効果的に捕捉されることとなる。
【0111】
また、この通気孔125の内側開口は、所定の粗さより小さい網目を有するメッシュ部材130で覆われているので、一定の大きさ以上の異物がこの通気孔125からホルダ部材102bに侵入するのを回避できる。
【0112】
このように本実施形態3では、基板101上の撮像チップ101aを覆うよう基板101に取り付けられ、集光レンズ107を収容するホルダ部材102bを有するカメラモジュール100bにおいて、ホルダ部材102の採光用開口部122からホルダ部材の内部に流入した気流を排出する通気孔125をホルダ部材102bの底面側ホルダ110bに形成し、しかも、エアーブロー時に天面側ホルダの採光用開口から空気流が通気孔に流れるエアーパスの一部の断面積が増大するよう、通気孔直前の、底面側ホルダ110bの上面に溝部120bを形成したので、エアーブロー時には、この溝部120fを形成した部分で気流の流速が低減し、この気流に乗って運ばれてきた異物が該溝部内に落下して粘着剤120eに捕捉されやすくなる。
【0113】
また、底面側ホルダ110bに形成した通気孔125の内側開口をメッシュ部材130で覆い、このメッシュ部材130の目開きはIRカットフィルタ上での画質に影響を与える異物サイズ以下のサイズとしているので、この通気孔からの画質の劣化を招くような異物が侵入するのを防止することができる。
【0114】
なお、上記実施形態3では、粘着剤は、底面側ホルダの上面に形成した溝部の底面に塗布しているが、粘着剤は、該溝部の内側面に形成してもよい。また、このように底面側ホルダ上面の溝部の内側面に粘着剤を形成した場合は、エアーブロー時に発生する気流が、光軸を中心として回転するように、例えば、天面側ホルダの磁石の表面にフィンを設けることで、気流の回転により発生する遠心力により、異物を溝部内の側面に塗布した粘着剤により捕捉することができ、より効果的な異物の捕捉が可能となる。
【0115】
また、上記実施形態1〜3では、カメラモジュールとして、集光レンズをキャリアにより光軸方向に移動可能の保持する、オートフォーカス機能を有するものについて説明したが、カメラモジュールは、集光レンズを撮像チップに対して所定の距離に固定して配置した固定焦点のものであってもよい。
【0116】
さらに、上記実施形態1〜3では、特に説明しなかったが、上記実施形態1〜3の固体撮像装置の少なくともいずれかを撮像部に用いた、例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、画像入力カメラ、スキャナ、ファクシミリ、カメラ付き携帯電話装置などの、画像入力デバイスを有した電子情報機器について以下簡単に説明する。
(実施形態4)
図8は、本発明の実施形態4として、実施形態1〜3のいずれかの固体撮像装置を撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0117】
図8に示す本発明の実施形態4による電子情報機器90は、本発明の上記実施形態1〜3の固体撮像装置の少なくともいずれかを、被写体の撮影を行う撮像部91として備えたものであり、このような撮像部による撮影により得られた高品位な画像データを記録用に所定の信号処理した後にデータ記録する記録メディアなどのメモリ部92と、この画像データを表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示する液晶表示装置などの表示部93と、この画像データを通信用に所定の信号処理をした後に通信処理する送受信装置などの通信部94と、この画像データを印刷(印字)して出力(プリントアウト)する画像出力部95とのうちの少なくともいずれかを有している。
【0118】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、カメラモジュール及び電子情報機器の分野において、エアーブローの実施により、カメラモジュールの製造時に侵入した異物をより確実に粘着剤と接触させて捕捉することができ、異物が粘着剤と接触する確率を上げるための複数回の加振工程による工数増大を招くことなく、画質劣化につながる撮像領域への異物の到達を防止することができるカメラモジュール、及びこのようなカメラモジュールを搭載した電子情報機器を提供できるものである。
【符号の説明】
【0120】
90 電子情報機器
91 撮像部
92 メモリ部
93 表示手段
94 通信手段
95 画像出力手段
100 カメラモジュール100
101 基板
101a 撮像チップ
101b IRカットフィルタ
102、102a、102b ホルダ部材
103 磁石
104 コイル
105 キャリア(可動部)
106 バレル
107 集光レンズ
110、110a、110b 底面側ホルダ(下部ホルダ)
115a、115b 接着剤
116 開口部
111、121 弾性部材
112a、112b フランジ部
120 天面側ホルダ(上部ホルダ)
120a、120c、120e 接着剤
120b、120d、120g 異物捕捉部
120f 溝部
121a 下端部
125、125a 通気孔
130 メッシュ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板上に設けられた撮像チップと、該撮像チップ上に入射光を集光させる集光レンズとを有するカメラモジュールであって、
該基板に該撮像チップを覆うよう取り付けられ、該集光レンズを収容するホルダ部材を備え、
該ホルダ部材は、該ホルダ部材の開口部から該ホルダ部材の内部に流入した気流を排出する少なくとも1つの通気孔を有する、カメラモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラモジュールにおいて、
前記ホルダ部材は、前記気流の流れる経路の一部に、該気流に含まれる異物を捕捉する異物捕捉部を配置したものである、カメラモジュール。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラモジュールにおいて、
前記通気孔は、該カメラモジュールをエアブローした際に、前記ホルダ部材の開口部から流入した空気流の排出経路を、該空気流に含まれる前記異物が前記異物捕捉部に導かれるよう形成する、カメラモジュール。
【請求項4】
請求項1に記載のカメラモジュールにおいて、
前記ホルダ部材は、該ホルダ部材の外部から該ホルダ部材内への一定サイズ以上の異物の侵入が阻止されるよう前記通気孔の開口に取り付けたメッシュ部材を有する、カメラモジュール。
【請求項5】
請求項1に記載のカメラモジュールにおいて、
前記ホルダ部材は、その外形形状を直方体形状とし、前記集光レンズの光軸と平行な壁面に前記通気孔の開口を形成したものである、カメラモジュール。
【請求項6】
請求項5に記載のカメラモジュールにおいて、
前記ホルダ部材は、前記通気孔の開口を、該直方体形状のホルダ部材の角部に配置したものである、カメラモジュール。
【請求項7】
請求項1に記載のカメラモジュールにおいて、
前記ホルダ部材は、
前記基板上に設けられた前記撮像チップを覆うよう、該基板上に取り付けられた下部ホルダと、
該下部ホルダ上に前記集光レンズを収容するよう取り付けられた上部ホルダとを有し、
該下部ホルダは、その上面壁の、該撮像チップに対向する部分に形成された下部開口部を有し、該下部開口部には、これを覆うよう赤外線カットフィルタが取り付けられている、カメラモジュール。
【請求項8】
請求項7に記載のカメラモジュールにおいて、
前記下部ホルダは、前記ホルダ部材の外部から侵入した異物、あるいは該ホルダ部材の内部で発生した異物が、前記基板上の前記撮像チップに到達しないよう、前記赤外線カットフィルタにより、前記下部開口部を封止したものである、カメラモジュール。
【請求項9】
請求項7記載のカメラモジュールにおいて、
前記下部ホルダは、その上面壁の前記下部開口部の周囲に粘着剤を塗布して前記異物捕捉部を形成したものである、カメラモジュール。
【請求項10】
請求項9に記載のカメラモジュールにおいて、
前記通気孔の、前記ホルダ部材の内側に位置する内側開口は、前記異物捕捉部に隣接して配置されている、カメラモジュール。
【請求項11】
請求項7に記載のカメラモジュールにおいて、
前記下部ホルダは、前記通気孔の内側開口を、該下部ホルダの上面壁に形成された下部開口部の周囲に配置し、該通気孔の前記ホルダ部材の外側に位置する外部開口を、該下部ホルダの側壁面に配置したものである、カメラモジュール。
【請求項12】
請求項11に記載のカメラモジュールにおいて、
前記下部ホルダは、前記ホルダ部材の外部から該ホルダ部材内への一定サイズ以上の異物の侵入が阻止されるよう、前記通気孔の内側開口に取り付けたメッシュ部材を有する、カメラモジュール。
【請求項13】
請求項7に記載のカメラモジュールにおいて、
前記通気孔は、これが形成する気流の経路の一部で気流の流速が低下するよう、該通気孔の一部の断面積を他の部分に比べて増大させたものであり、前記異物捕捉部は、該通気孔の断面積を増大させた部分に隣接させて配置されている、カメラモジュール。
【請求項14】
請求項7に記載のカメラモジュールにおいて、
前記ホルダ部材は、該カメラモジュールをエアブローした際に、該ホルダ部材の内部で、該集光レンズの光軸の周りに回転する方向の気流が発生して、該気流の回転する遠心力により、該気流に含まれる異物が、該ホルダ部材の側壁内面に配置した異物捕捉部に捕捉されるようにしたものである、カメラモジュール。
【請求項15】
請求項1に記載のカメラモジュールにおいて、
前記ホルダ部材は、前記集光レンズを保持するレンズ保持部を、該ホルダ部材に対して接触しないよう、該集光レンズの光軸方向に移動可能に支持する弾性支持部材を有する、カメラモジュール。
【請求項16】
請求項15に記載のカメラモジュールにおいて、
前記ホルダ部材は、
前記基板上に設けれらた前記撮像チップを覆うよう、該基板上に取り付けられた下部ホルダと、
該下部ホルダ上に前記集光レンズを収容するよう取り付けられた上部ホルダとを有し、
前記レンズ保持部は、その上端部が上側の弾性支持部材を介して該上部ホルダの上面壁に支持され、その下端部が下側の弾性支持部材を介して該下部ホルダの上面壁に支持されている、カメラモジュール。
【請求項17】
請求項16に記載のカメラモジュールにおいて、
前記下部ホルダは、その上面壁の、該撮像チップに対向する部分に形成された下部開口部を有し、該下部開口部には、これを覆うよう赤外線カットフィルタが取り付けられていおり、
前記弾性支持部材により支持されているレンズ保持部は、該カメラモジュールのエアーブロー時の風圧より、該赤外線カットフィルタを覆うよう該下部ホルダ側に移動する、カメラモジュール。
【請求項18】
請求項1に記載のカメラモジュールにおいて、
前記通気孔は、前記集光レンズの光軸と平行な方向の寸法が0.2mm〜1mmの範囲に設定されている、カメラモジュール。
【請求項19】
請求項4または12に記載のカメラモジュールにおいて、
前記メッシュ部材の網目のサイズは、5μm〜20μmの粒子が通過する程度の大きさに設定されている、カメラモジュール。
【請求項20】
被写体の撮像を行う撮像部を備えた電子情報機器であって、
該撮像部は、請求項1に記載のカメラモジュールである電子情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−155414(P2011−155414A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14791(P2010−14791)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】