説明

カメラ取付用補助部材

【課題】本発明は、様々な車種のサイドミラーハウジングに対して、カメラユニットを車種に応じて変更することなく、適切にカメラユニットを取り付けることが可能となるカメラ取付用補助部材を提供することを目的とする。
【解決手段】車両(1)のサイドミラーハウジング(2)の下面の形状に合致した形状を有すると共に、カメラユニット(30)の撮像レンズ(31)をサイドミラーハウジングの下面から所定距離突出させて、カメラユニットを固定するカバー部(20)を有することを特徴とするカメラ取付用補助部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される複数のカメラで撮影された画像を合成して俯瞰画像を生成する全周囲モニターシステムに利用するカメラユニット取付用補助部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に複数のカメラを設置し、複数のカメラが撮像した画像を合成して、車両の上方から車両を見下ろした状態の画像をドライバーに提供する全周囲モニターシステムに関する技術が知られている。
【0003】
全周囲モニターシステムのカメラユニットは、通常車両の左右のドアに付設されている後方視認用のサイドミラーユニットに取り付けられているが、サイドミラーユニットのハウジング内には、多くの機器を収納するスペースを確保することが困難であることから、カメラの撮像レンズ部をサイドミラーのハウジングから突出させる構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、車両デザインに与える影響を極力抑えながら、車両近傍の死角をなくした画像の取得を可能とするために、車両の角部に設けられたランプハウスの覆うランプカバーの上部にカメラを組み込んだ構成が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−327048号公報(図5(b))
【特許文献2】特開2000−236462号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
全周囲画像は、複数のカメラにより撮像された画像を合成して、車両の周囲を俯瞰的に、また立体的に映し出すような画像であることから、車両の左右の画像を得るためにサイドミラーハウジングに、カメラを取り付ける必要がある。全周囲画像には、路面の画像の他に、車両のタイヤ全体と路面の接地部分を含んで、車両周囲の高さ方向の画像を得るために、カメラユニットの撮像レンズの光軸方向は、真下ではなく、カメラユニットの真下の地面に対する垂直方向から所定角度(角度ψ)を有するように設定する必要がある。
【0007】
このように、撮像レンズの光軸方向Aが所定の角度ψを有するようにカメラユニットを設置するにあたっては、全周囲画像を生成するのに必要な画像を撮像するためには、カメラユニットの撮像レンズを、サイドミラーハウジングから、所定距離だけ下げる必要がある。
【0008】
しかしながら、サイドミラーハウジングの形状は、車種に対応して様々な種類があり、サイドミラーハウジングの下面の位置(即ち、地面からの高さ)も車両の種類によって様々である。そのため、適切な撮像領域を得るためには、カメラユニットの撮像レンズの光軸方向Aの向きが最適となるように、車種毎にカメラユニットを用意することが考えられるが、そのような場合、車種に応じた専用のカメラユニットを製造するためのコストがかかり、消費者に安価に提供できないばかりか、カメラユニットが故障した際のメンテナンスや、修理サービスを容易に提供できないといった問題があった。
【0009】
そこで、本発明は、様々な車種のサイドミラーハウジングに対して、カメラユニットを車種に応じて変更することなく、適切にカメラユニットを取り付けることが可能となるカメラ取付用補助部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るカメラ取付用補助部材は、車両のサイドミラーハウジングの下面の形状に合致した形状を有すると共に、カメラユニットの撮像レンズをサイドミラーハウジングの下面から所定距離突出させて、カメラユニットを固定するカバー部(20)を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るカメラ取付用補助部材によれば、車種に応じたカメラカバーを用意することによって、消費者に対して安価に全周囲モニターの製品を提供できると供に、カメラユニットが故障した際のメンテナンスや修理サービスを十分に提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】サイドミラーハウジング2にカメラ構造10を取り付けた状態を示す図である。
【図2】カメラ構造10の分解斜視図である。
【図3】カメラ構造10を説明するための図である。
【図4】車両1における配線構造の一例を示す図である。
【図5】全周囲モニターシステムの概略構成図である。
【図6】サイドミラーハウジング2に取り付けるカメラ構造10に含まれるカメラユニット30の光軸方向Aの角度ψの決定方法を説明するための図である。
【図7】他のカメラ構造130を説明するための図である。
【図8】更に他のカメラ構造140を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面を参照して、本発明に係るカメラユニットの取り付け方法及びカメラユニットについて説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、サイドミラーハウジング2にカメラ構造10を取り付けた状態を示す図であり、図2は、カメラ構造10の分解斜視図である。
【0015】
カメラ構造10は、カメラカバー20、カメラユニット30、及びブラケット40を含んでいる。ここで、カメラカバー20及びブラケット40は、カメラユニット取付用補助部材として機能する。サイドミラーハウジング2の下方には開口部が設けられており、ブラケット40のネジ受け42、43及び44が、ネジによってネジ留めされることにより、カメラユニット30がサイドミラーハウジング2の下部に取り付けられる。
【0016】
すなわち、ブラケット40は、カメラユニット30及びカメラカバー20と固定されているので、ブラケット40がサイドミラーハウジング2を介してネジ留めされることによって、カメラ構造10がサイドミラーハウジング2の下部に固定される。
【0017】
また、開口部を介して、カメラユニット30が撮像した画像情報を送信したり、カメラ撮影を制御する制御信号をカメラユニット30へ送信したりするための信号ケーブル70が、サイドミラーハウジング2内を通過して、車体1に配置されているECU80と接続される。
【0018】
カメラユニット30は、撮像レンズ31を有しており、車両1の真後ろから見た場合には(図1(a)参照)、撮像レンズ31の光軸方向Aは、カメラユニットの真下(地面に対して垂直方向)に対して、角度ψ(図1の例では45°)をもって位置決めがなされている。また、車両1の真横から見た場合には(図1(b)参照)、撮像レンズ31の光軸方向Aは、車両の前後方向に対しては、角度を有していない。なお、車両の前後方向に対する光軸方向の角度は、サイドミラーハウジング2の形状に寄るところもあり、前後方向に大きな角度を有していなければ良い。
【0019】
図3は、カメラ構造10を説明するための図である。
【0020】
図3(a)はカメラ構造10の表面図であり、図3(b)はカメラ構造10の側面図である。
【0021】
カメラユニット30内には、撮像レンズ31を介して撮像を行うための撮像部38が配置されている。撮像レンズ31の光軸方向Aは、カメラユニットの真下(地面に対して垂直方向)に対して、角度ψ(図1の例では45°)をもって位置決めがなされている。撮像部38は、CMOSセンサー等によって構成されている。カメラユニット30では、撮像レンズ31を広角レンズ等とすることによって、撮像可能な視野角(ω)を190°となるように構成している。しかしながら、上記の視野角は一例であって、広角に撮影するものであれば、これに限定されるものではない。
【0022】
カメラユニット30内には、また、近赤外光を照射するための3個のLED32が配置されている。3個のLED32は、それぞれθ4(図3の例では、65°)及びθ5(図3の例では、65°)の角度を有して離れた方向Bに向いて配置され(図3(a)参照)、カメラユニットの真下(地面に対して垂直方向)に対して、角度φ(図1の例では23°)をもって位置決めがなされている(図3(b)参照)。
【0023】
LED32から照射された近赤外光が、サイドミラーハウジング2の下部の路面、タイヤ、車両1の一部等を照射するので、夜間においても、撮像部38が、サイドミラーハウジング2の周囲の映像を鮮明に撮像できる。なお、カメラユニット30において、3個のLED32の光源の前部(照射方向)は、LED32からの照射光が透過できるような照射光の波長に対して透明な樹脂によって覆われている。
【0024】
カメラユニット30は、夜間でも鮮明が画像を撮像できるようにするために、LED32を近接して設けるようにしている。撮像レンズ31の光軸方向AとLED32の光軸の方向は同方向でそれぞれ異なる角度を有するように設置されているが、仮に、撮像レンズ31の光軸方向AとLED32が向いている方向Bが平行である場合、若しくは互いが向かい合う方向を向いている場合には、撮影画像にLEDの光源が映り込んでしまい、鮮明な画像が撮像できないという問題がある。そこで、カメラユニット30では、撮像レンズ31の光軸方向Aをカメラユニットの真下(地面に対して垂直方向)に対して角度ψ(図1の例では45°)とし、3個のLED32の向いている方向Bは、それぞれカメラユニットの真下(地面に対して垂直方向)に対して角度φ(図1の例では23°)として、異なった方向を向くように構成している(図3(b)参照)。また、LED32は、カメラユニット30の表面より、奥側に配置することによって、光源の映り込みの問題を解決している。
【0025】
図3(c)はカメラ構造10の裏面図であり、図3(d)は図3(c)からブラケット40を取り除いた状態を示す図である。
【0026】
カメラカバー20の裏面には、ネジ受け21、22及び23が設けられている。カメラユニット30の撮像レンズ31が配置されている面側とは反対の面側には、位置決め用の面状突起35及び36が設けられている。ブラケット40は、カメラカバー20と接続するためのネジ穴41、45及び46と、サイドミラーハウジング2の内側からネジ留めするためのネジ受け42、43及び44と、カメラユニット30と接続された信号ケーブル70を通すための開口部48を有している。
【0027】
ブラケット40のネジ穴41、45及び46と、カメラカバー20のネジ受け21、25及び26が、ネジでネジ留めされることによって、ブラケット40とカメラカバー20とが接続される。その際に、カメラユニット30の面状突起35及び36は、カメラカバー20のネジ受け22及び23の周囲と、ブラケット40のネジ穴45及び46の周囲との間に挟み込まれるようにして位置決めされる。これによって、カメラユニット30は、カメラカバー20とブラケット40との間に固定される。
【0028】
図4は、車両1における配線構造の一例を示す図である。
【0029】
図1〜図3を用いて説明したカメラ構造10は、車両1の左側のサイドミラーハウジング2に取り付けられているが、図4に示す様に、同様のカメラ構造11が、車両1の右側のサイドミラーハウジング4に取り付けられている。また、車両1の後方を撮像するバックカメラ12が車両1の後方に配置されており、車両1の前方を撮像するフロントカメラ13が車両1の前方に配置されている。
【0030】
カメラ構造10に含まれるカメラユニット30と接続された信号ケーブル70、車両1の右側のサイドミラーハウジング本体4に取り付けられたカメラ構造11からの信号ケーブル、バックカメラ12からの信号ケーブル、及びフロントカメラ13からの信号ケーブルは、ECU80と接続されている。
【0031】
図5は、全周囲モニターシステム100の概略構成図である。
【0032】
全周囲モニターシステム100は、左側サイドミラーハウジング2に取り付けられているカメラ構造10、右側のサイドミラーハウジング本体4に取り付けられたカメラ構造11、バックカメラ12、及びフロントカメラ13と、それらが撮像した画像を合成して全周囲画像データを生成するECU(電子制御ユニット)80、生成した全周囲画像データを受信しディスプレイ91に表示する車載表示装置(ナビゲーション装置)90、及びカメラ切換スイッチ92等から構成されている。
【0033】
例えば、図4に示すように、ECU80は、車両1の助手席シート5の下部に配置され、フロントパネル上に配置されたディプレイ91を有する車載表示装置90、カメラ構造(左側サイドカメラ)10、カメラ構造(右側サイドカメラ)11、バックカメラ12、及びフロントカメラ13と、ケーブル等によって接続されている。
【0034】
カメラ切換スイッチ92を操作することによって、合成された車両1の周囲を俯瞰的に、また立体的に映し出す全周囲画像及び各カメラの画像のそれぞれの内、所望の画像を選択してディスプレイ91上に表示させることができる。また、車載表示装置90が表示しているモード(例えば、ナビモード)をカメラ画像モードに切換えることもできる。カメラ切換スイッチ92は、専用のスイッチとして車両1のフロントパネル上に配置するようにしても良いし、車載表示装置90に付属している他のスイッチやボタンを兼用するようにしても良い。
【0035】
図6は、サイドミラーハウジング2に取り付けるカメラ構造10に含まれるカメラユニット30の光軸方向Aの角度ψ(°)の決定方法を説明するための図である。
【0036】
各カメラからの画像を合成して全周囲画像を生成する場合に、サイドミラーハウジング2に取り付けるカメラユニット30が撮像する画像範囲に必要となる条件として以下のものが考えられる。
条件1 駐車時に車両の動きや、車両のタイヤ周辺を確認して運転を支援したいことから、路面並びに車両のタイヤ全体と路面の接地面の状態を撮像できること。
条件2 車両の周囲の高さ方向(地面に対して垂直方向)の画像を得る場合には、車両の周囲に存在する人や周囲に停まっている車両が全体的に撮像できる範囲であること。周囲の人物や車両が全体的に撮像されることによって、ドライバーは周辺の人物や、車両に乗っている人の顔の向きを確認することができ、ドライバーは注意しながら車両を操作できる。仮に、人物の顔の向きが判別できないと、その人物がどのように行動するかを予測しえないので、接触する危険性をはらんでおり、例えば、人物の脚だけを撮像するだけでは安全運転支援には充分ではない。
【0037】
そこで、図6に示すように、カメラユニット30の撮像レンズ31の路面からの高さをH1(mm)、車両1のタイヤ6の高さをH2(mm)、車両の周囲に存在する人物Cの頭頂部までの高さをH3(mm)、車両1と人Bとの距離をS(mm)、車両1とカメラユニット30の撮像レンズ31との距離をW(mm)とする。また、カメラユニット30の撮像レンズ31の視野角をω(°)、カメラユニット30の撮像レンズ31の真下から車両のタイヤ6の上部までの角度をθ1(°)、カメラユニット30の撮像レンズ31の真横から人物Cの頭頂部までの角度をθ2(°)とする。なお、カメラユニット30の視野角ωの中心が光軸方向Aであるものとする。
【0038】
上記の条件1より、θ1=arctan(W/(H1−H2))となる。
この時、カメラユニット30は視野角ωを有しているので、カメラユニット30の光軸方向Aの角度ψが、以下の式(2)を満足するように設定すれば、撮像部38は、タイヤ6の上部までの画像を撮像することが出来ることとなる。
ψ≦ω/2−θ1 (2)
【0039】
また、上記の条件2より、θ2=arctan((H3−H1)/(S−W))となる。
この時、カメラユニット30は視野角ωを有しているので、カメラユニット30の光軸方向Aの角度ψが、以下の式(3)を満足するように設定すれば、撮像部38は、カメラユニット30の真横にいる人物Cの頭頂部までの画像を撮像することが出来ることとなる。
ψ≧90°−(ω/2−θ2) (3)
【0040】
したがって、上記の式(2)及び(3)を満たすように、角度ψを設定すればよい。
即ち、以下の式(1)を満足するように、カメラユニット30の撮像レンズ31の光軸方向Aの角度ψを決定して、位置決めすれば、上記の条件1及び2を両方満足するような画像を撮像することが可能となる。
ω/2−θ1≦ ψ ≦90°−(ω/2−θ2) (1)
【0041】
例えば、H1=1200mm、H2=700mm、H3=2000mm、W=150mm、S=2000mm、ω=190°とすると、θ1は約17°、θ2は約25°であるので、角度ψは、20°以上、78°以下であれば良いということとなる。なお、ここでは、人物Cの身長を最大に見積もって2m(H3=2000mm)とし、車両1の周囲2m(S=2000mm)の範囲内に存在する人物Cは要注意であるとして、上記の数値を設定した。ここで、距離Sは、1000〜2000mmの範囲を設定し、運転中にドライバーが注意すべき範囲を示している。カメラユニット30の撮像レンズ31の光軸方向Aの角度ψが上記の範囲に入るように取り付けを行えば、前述した条件1及び2を満足するような画像を得ることが可能となる。
【0042】
なお、上記の例では、車両周辺の撮像されるべき対象物を人物として説明したが、対象物は人物に限らず、建造物や車両であっても良く、車両周辺の対象物が全体的に撮像されることが好ましい。
【0043】
なお、カメラユニット30の撮像レンズ31が、真下を向くように位置決めすると、水滴等がサイドミラーハウジング2及びカメラカバー20から伝わって、カメラユニット30の最下部に溜まり、撮像する画像が不鮮明になるといった悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、カメラユニット30の撮像レンズ31は、カメラユニット30の最下点ではない箇所に配置することが好ましい。また、同様の理由により、カメラユニット30のLED32の位置も、カメラユニット30の最下点ではない箇所に配置することが好ましい。
【0044】
上述したように、光軸方向Aの角度ψは所定の角度を有するように設定されることから、カメラユニット30の撮像レンズ31の光軸方向Aは、カメラユニット30の最下点より車両1の外側に向くように位置決めされ、カメラユニット30のLED32は、撮像レンズ31の光軸方向Aよりも小さい角度で外側を向くように位置決めされる(図1参照)。なお、図1〜図3の例では、撮像レンズ31の光軸方向Aは、地面に対して垂直方向から45°の角度で外側を向くようにし、LED32の光軸方向Bは、地面に対して垂直方向から23°の角度で外側を向くように構成している(図3(b)参照)。また、図1では、点Qを、カメラユニット30の最下点としている。
【0045】
図7は、他のカメラ構造130を説明するための図である。図7(a)は他のカメラ構造130の上面図であり、図7(b)はカメラ構造130の側面図であり、図7(c)は図3(b)と同様のカメラ構造10の側面図である。
【0046】
全周囲画像は、複数のカメラにより撮像された画像を合成して、車両の周囲を俯瞰的に、また立体的に映し出すような画像であることから、車両の左右の画像を得るためにサイドミラーハウジング2及び4に、カメラ構造10及び11を取り付けている。全周囲画像には、路面の画像の他に、車両のタイヤ全体と路面の接地部分を含んだ側方の画像を得るために、カメラユニット30の撮像レンズ31の光軸方向Aは、真下ではなく、前述した式(1)を満足するような角度ψを有するように設定される。なお、図1〜3の例では、角度ψ=45°である。
【0047】
このように、撮像レンズ31の光軸方向Aが所定の角度ψを有するようにカメラユニット30を設置する必要があるため、全周囲画像を生成するのに必要な画像を撮像するためには、カメラユニット30の撮像レンズ31を、サイドミラーハウジング2から、所定距離だけ下げる必要がある。図1〜3のカメラ構造10では、カメラカバー20、ブラケット40が接続し合うことによって、カメラユニット30の撮像レンズ31は、距離R1(例えば、R1=25mm)だけ、サイドミラーハウジング2の下面から突出している(図1参照)。仮に、カメラユニット30がサイドミラーハウジング2よりも下がっていないとした場合には、サイドミラーハウジング2が撮像範囲に含まれ、サイドミラーハウジングの一部が撮像範囲に映り込んでしまうため、合成画像を生成するのに最適な画像が得られなくなってしまう。
【0048】
しかしながら、サイドミラーハウジングの形状は、車種に対応して様々な種類があり、サイドミラーハウジングの下面の位置(即ち、地面からの高さ)も車両の種類によって様々であるので、適切な撮像領域を得るためには、カメラユニット30の撮像レンズ31の光軸方向Aの向きが最適となるように、車種毎にカメラユニットを用意しなければならない。そのような場合、車種に応じた専用のカメラユニットを製造するためのコストがかかり、消費者に安価に提供できないばかりか、カメラユニットが故障した際のメンテナンスや、修理サービスを容易に提供できないといった問題がある。
【0049】
そこで、図7(a)及び(b)に示すカメラ構造130では、カメラユニット30は変更せずに、カメラカバー131のみを変更して、カメラユニット30の撮像レンズ31の突出量を車種に応じてR2(例えば、R2=40mm)に変更したものである。なお、図7(c)は、図3(b)に示すカメラ構造10の側面図であり、突出量R1の場合を示している。このように、カメラカバーを複数種類予め作成しておくことによって、様々な車種のサイドミラーハウジングに対して、カメラユニットを車種に応じて変更することなく、適切にカメラユニットを取り付けることが可能となる。
【0050】
また、カメラカバーとサイドミラーハウジング2との接合面がほぼフラットな場合、カメラカバー20とサイドミラーハウジング2との接合面に対するカメラユニット30の取り付け角度と、カメラカバー131とサイドミラーハウジング2との接合面に対するカメラユニット30の取り付け角度とは、同じになるように設定されている。即ち、カメラカバー20の突出量R1とカメラカバー131の突出量R2が異なっていたとしても、カメラユニット30の撮像レンズ31の光軸方向Aの角度ψは一定になるように位置決めされる。
【0051】
図8は、更に他のカメラ構造140を説明するための図である。
【0052】
図8は、サイドミラーハウジング2´の下面がより立体的な形状をしている場合を示している。図8に示すように、サイドミラーハウジング2との接続部分がより立体的で、サイドミラーハウジング2´の下面が立体的な形状と合致するカメラカバー141を用いてカメラユニット30を取り付けることができる。このように、サイドミラーハウジングの下面の形状に合致したカメラカバーを利用することによって、様々な形状のサイドミラーハウジングに適切にカメラユニットを取り付けることが可能となった。
【0053】
また、上記の様に、カメラカバーとサイドミラーハウジング2との接合面が立体的な形状となる場合でも、カメラユニット30の撮像レンズ31の光軸方向Aの角度ψが一定になるように、カメラカバー141に対してカメラユニット30が位置決めされるように調整されている。
【0054】
このように、車種に応じたカメラカバーを用意することによって、消費者に対して安価に全周囲モニターの製品を提供できると供に、カメラユニットが故障した際のメンテナンスや修理サービスを十分に提供することが可能となった。
【符号の説明】
【0055】
1 車両
2 サイドミラーハウジング
10、130、140 カメラ構造
20、131、141 カメラカバー
30 カメラユニット
31 撮像レンズ
32 LED光源
40 ブラケット
70 信号ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のサイドミラーハウジングの下面の形状に合致した形状を有すると共に、カメラユニットの撮像レンズを前記サイドミラーハウジングの下面から所定距離突出させて、前記カメラユニットを固定するカバー部と、
を有することを特徴とするカメラ取付用補助部材。
【請求項2】
前記カバー部は、前記カメラユニットの最下点よりも車両に対して外側に、前記撮像レンズが位置決めする、請求項1に記載のカメラ取付用補助部材。
【請求項3】
前記カメラユニットは、LED光源を有し、前記LED光源は、前記カメラユニットの表面より、前記カメラユニットの内部に設けられている、請求項1又は2に記載のカメラ取付用補助部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−225125(P2011−225125A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97418(P2010−97418)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】