カメラ機能付き機器、プログラムおよび盗撮防止制御方法
【課題】撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できるカメラ機能付き機器、プログラムおよび盗撮防止制御方法を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、被写体を撮影するカメラモジュール16と、表示面11cに配置された、カメラモジュール16による撮影のための撮影ボタン201と、CPU100と、を備える。CPU100は、撮影ボタン201の配置を表示面11cにおいて変化させる。CPU100は、配置を変化させる制御として、撮影ボタン201の位置、大きさ、および形状のうち少なくとも1つを変化させる。
【解決手段】携帯電話機1は、被写体を撮影するカメラモジュール16と、表示面11cに配置された、カメラモジュール16による撮影のための撮影ボタン201と、CPU100と、を備える。CPU100は、撮影ボタン201の配置を表示面11cにおいて変化させる。CPU100は、配置を変化させる制御として、撮影ボタン201の位置、大きさ、および形状のうち少なくとも1つを変化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等のカメラ機能付き機器、および当該カメラ機能付き機器に用いて好適なプログラムと盗撮防止制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等のカメラ機能付き機器では、従来より、盗撮の防止が課題となっている。そこで、盗撮を防止するため、カメラ機能付き機器の傾きに応じて撮影を禁止する機能を備えたカメラ機能付き機器が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−260823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の盗撮防止機能では、盗撮を目的としないような撮影までもが禁止されることが起こり得る。たとえば、被写体となっていることを予め認識している人物をローアングルから撮影できない虞がある。
【0005】
このように盗撮ではない適正な撮影が禁止されると、カメラ機能付き機器を用いた撮影の利便性が低下する。
【0006】
そこで、本発明は、撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できるカメラ機能付き機器、プログラムおよび盗撮防止制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、カメラ機能付き機器に関する。本態様に係るカメラ機能付き機器は、被写体を撮影する撮影部と、所定の配置領域に配置された、前記撮影部による撮影のための操作部と、前記操作部の配置を前記配置領域において変化させる制御部と、を備える。
【0008】
本態様に係るカメラ機能付き機器において、前記制御部は、前記配置を変化させる制御として、前記操作部の位置、大きさ、および形状のうち少なくとも1つを変化させ得る。
【0009】
また、本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記撮影部による撮影方向の鉛直方向における傾きを検出する傾き検出部をさらに備え得る。この場合、前記制御部は、前記傾きに基づいて、前記操作部の前記配置を変化させる。
【0010】
また、本態様に係るカメラ機能付き機器において、前記制御部は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が第1の閾値を越える場合に、前記配置領域上における前記操作部の位置を前記傾き角に対応する位置に変化させ得る。
【0011】
また、本態様に係るカメラ機能付き機器において、前記制御部は、前記傾き角が前記第1の閾値を越えない場合、前記操作部を前記配置領域上の初期位置に位置付け得る。
【0012】
本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記操作部が操作されたときに操作音を出力する出力部をさらに備え得る。この場合、前記出力部は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が第2の閾値を越えた状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音を、前記傾き角が前記第2の閾値を越えない状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音と相違させる。
【0013】
また、本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記撮影部が通常の前記撮影のために使用されると判断される所定の条件を保持する記憶部をさらに備え得る。この場合前記制御部は、前記所定の条件が満たされる場合に、前記所定の条件が満たされない場合に比べて、前記操作部の前記配置の変化を抑制させる。
【0014】
また、本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記撮影部より取得される画像から人物の顔を検出する顔検出部をさらに備え得る。この場合、前記条件は、前記顔検出部により前記顔が検出されることを含む。
【0015】
さらに、本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記撮影部による撮影の際に前記撮影部が向く方向と反対の方向を向く表示面と、前記表示面に対する入力を受け付ける入力部と、をさらに備え得る。この場合、前記制御部は、前記操作部に対応する画像を前記表示面に表示するとともに、当該画像の前記配置を前記表示面において変化させる。
【0016】
本発明の第2の態様は、プログラムに関する。本態様に係るプログラムは、被写体を撮影する撮影部を備えるカメラ機能付き機器のコンピュータに、所定の配置領域に、前記撮影部による撮影のための操作部を設ける機能と、前記操作部の配置を前記配置領域において変化させる機能と、を付与する。
【0017】
本発明の第3の態様は、被写体を撮影する撮影部を備えるカメラ機能付き機器の盗撮防止制御方法に関する。本態様に係る盗撮防止制御方法は、所定の配置領域に、前記撮影部による撮影のための操作部を配置するステップと、前記操作部の配置を、前記配置領域において変化させるステップを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できるカメラ機能付き機器、プログラムおよび盗撮防止制御方法を提供することができる。
【0019】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る、携帯電話機の外観構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る、携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る、図3に示される処理の実行中における、撮影方向、撮影方向の傾き角、および撮影ボタンの配置について説明するための表である。
【図5】変更例1に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図6】変更例1に係る、撮影ボタンの配置の遷移を説明するための表である。
【図7】変更例2に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図8】変更例3に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図9】変更例4および変更例5に係る、撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図10】変更例6に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図11】その他の変更例に係る、表示面に表示される撮影ボタンの位置および大きさが、傾き角に応じて変化する例を示す図である。
【図12】その他の変更例に係る、撮影ボタンの配置の遷移について説明するための表である。
【図13】その他の変更例に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図14】その他の変更例に係る、撮影ボタンがハードキーである場合における撮影ボタンの配置の遷移について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1(a)、(b)は、携帯電話機1の外観構成を示す図である。図1(a)、(b)は、それぞれ、正面図および側面図である。
【0023】
携帯電話機1は、長方形状を有する厚みが小さなキャビネット10を有する。キャビネット10の正面側には、タッチパネルが配されている。タッチパネルは、ディスプレイ11と、ディスプレイ11に重ねられるタッチセンサ12とを備える。
【0024】
ディスプレイ11は、液晶ディスプレイであり、後述の液晶パネル11aと、液晶パネル11aの背面側に配されたパネルバックライト11bと、を備えている(図2参照)。液晶パネル11aは、画像を表示するための表示面11cを有する。パネルバックライト11bは、液晶パネル11aを照明する。
【0025】
なお、ディスプレイ11は、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイ等他の表示装置であってもよい。
【0026】
タッチセンサ12は、表示面11cの上に配される。タッチセンサ12は、表示面11cに対する入力位置を検出する。タッチセンサ12は透明なシート状に形成されており、タッチセンサ12を透して表示面11cを見ることができる。
【0027】
タッチセンサ12は、静電容量式のタッチセンサであり、マトリクス状に配された第1透明電極、第2透明電極およびカバーを備えている。タッチセンサ12は、第1および第2透明電極間の静電容量の変化を検出することによって、ユーザが触れた表示面11c上の位置を入力位置として検出し、この入力位置に応じた位置信号を後述のCPU100へ出力する。なお、表示面11cに触れるとは、実際には、上記カバーを触れることである。
【0028】
ユーザは、自身の指またはペン等の接触部材(以下、単に「指」と言う。)によって表示面11cを触れることにより、タップ、スライド、フリック等の各種の操作を行える。
【0029】
なお、タッチセンサ12は、静電容量式のタッチセンサ12に限らず、超音波式、感圧式、抵抗膜式、光検知式等のタッチセンサ12であってもよい。
【0030】
タッチパネルの下方(Y軸の負方向)には、設定キー13a、ホームキー13b、バックキー13cから構成されているキー操作部13が設けられている。設定キー13aは、主に各種設定を行う設定画面を表示面11cに表示させるためのキーである。ホームキー13bは、主にホーム画面を表示面11cに表示させるためのキーである。バックキー13cは、主に表示面11c上の画面の表示状態を1ステップ前の状態に戻すためのキーである。
【0031】
キャビネット10の正面側には、下部にマイクロホン(以下、「マイク」と言う。)14が配されており、上部にスピーカ15が配されている。ユーザは、スピーカ15からの音声を聞き、マイク14に対して音声を発することにより通話できる。
【0032】
また、キャビネット10の背面側には、周囲にいる人が聞き取れる程度の音量の音声を出力するスピーカ15aが配されている。たとえば、スピーカ15aから、カメラモジュール16(後述)による撮影が行われることを周囲へ通知するためのシャッター音等が出力される。
【0033】
キャビネット10の背面側には、カメラモジュール16が配されている。キャビネット10の背面には、レンズ窓が配されており、撮影方向V(図1(b)の矢印参照)、すなわちレンズ窓が向く方向にある被写体の像が、レンズ窓からカメラモジュール16に取り込まれる。なお、表示面11cは、撮影方向Vと反対の方向を向くよう配されている。
【0034】
カメラモジュール16は、レンズ窓から入射した光の像を撮像するCCD、CMOSセンサ等の撮像素子を有する。カメラモジュール16は、撮像素子から出力された撮像信号をデジタル化し、そのデジタル信号にガンマ補正等の各種補正を施して、後述の映像エンコーダへ出力する。
【0035】
図2は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、上述の構成要素の他、CPU100、メモリ101、画像処理回路102、キー入力回路103、音声エンコーダ104、音声デコーダ105、映像エンコーダ106、通信モジュール107、加速度センサ108、タイマ109を備える。
【0036】
画像処理回路102は、CPU100から入力された制御信号に従って、ディスプレイ11に表示される画像を生成し、画像データを画像処理回路102に備えられているVRAM102aに記憶させる。
【0037】
画像処理回路102は、VRAM102aに記憶された画像データを含む画像信号を、ディスプレイ11へ出力する。また、画像処理回路102は、ディスプレイ11を制御するための制御信号を出力し、ディスプレイ11のパネルバックライト11bを点灯または消灯させる。パネルバックライト11bから放出された光が、画像信号に基づいて液晶パネル11aにより変調されることにより、ディスプレイ11の表示面11cに画像が表示される。
【0038】
キー入力回路103は、キー操作部13を構成する各キー13a〜13cの押下に応じた信号をCPU100へ出力する。
【0039】
音声エンコーダ104は、集音した音声に基づいてマイク14が生成した電気信号をデジタル音声信号に変換し、CPU100へ出力する。
【0040】
音声デコーダ105は、CPU100からの音声信号にデコード処理およびD/A変換を施し、変換したアナログの音声信号をスピーカ15、15aに出力する。
【0041】
映像エンコーダ106は、カメラモジュール16からの信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0042】
通信モジュール107は、通話や通信のための電波を送受信するアンテナを備える。通信モジュール107は、CPU100から入力される通話や通信のための信号を無線信号に変換し、変換された無線信号を、アンテナを介して、基地局や他の通信装置等の通信先へ送信する。また、通信モジュール107は、アンテナを介して受信した無線信号をCPU100が利用できる形式の信号へ変換し、変換された信号をCPU100へ出力する。
【0043】
加速度センサ108は、携帯電話機1に係る加速度を検出する。加速度センサ108は3軸加速度センサであり、図1(a)のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3方向に生じる加速度を検出する。加速度センサ108は、検出した加速度に応じた加速度信号をCPU100へ出力する。
【0044】
携帯電話機1が静止状態にあるときには、携帯電話機1に加わる重力加速度が加速度センサ108により検出される。CPU100は、重力加速度に基づき上述の撮影方向Vを検出する。
【0045】
メモリ101は、ROMおよびRAMを含む。メモリ101には、CPU100に制御機能を付与するための制御プログラムと、各種のアプリケーション・プログラム(以下、「アプリケーション」と言う。)が記憶されている。たとえば、メモリ101には、通話、静止画像の撮影、動画の撮影等、各種のアプリケーションが記憶されている。
【0046】
また、メモリ101は、アプリケーションの実行の際、一時的に利用または生成される各種のデータを記憶するワーキングメモリとしても使用される。
【0047】
また、メモリ101は、撮影した静止画像を記憶する。具体的には、メモリ101は、カメラモジュール16より取得される画像(以下、「撮影画像」と言う。)に基づく静止画像を、メモリ101上に構築されたファイルシステムにおける、所定のフォルダに保存することによって、記憶する。
【0048】
CPU100は、制御プログラムに従って、カメラモジュール16、マイク14、通信モジュール107、ディスプレイ11、スピーカ15、15a等、各構成要素を制御することにより、各種のアプリケーションを実行する。
【0049】
静止画像の撮影の場合、CPU100は、静止画像の撮影のためのアプリケーションを実行する。実行の際、CPU100は、カメラモジュール16より撮影画像を取得し、随時、表示面11cに表示する。ここで、撮影のための操作は、表示面11cに表示される撮影ボタン(後述)を押下(タッチ)する操作である。撮影のための操作がなされた場合、CPU100は、当該操作がなされた時の撮影画像を静止画像として取得し、当該静止画像を上記所定のフォルダに保存する。
【0050】
なお、静止画像の撮影のためのアプリケーションは、撮影した静止画像を、外部の記憶媒体(SDカード等)や、有線または無線の通信網を介して接続される記憶装置等、メモリ101以外の記憶部に記憶できるよう構成されてもよい。
【0051】
さて、本携帯電話機1は、静止画像の撮影の場合、撮影ボタンの配置を変化させる機能を備える。以下、撮影ボタン201の配置の変化に係る処理を含む、静止画像の撮影のための処理について詳述する。
【0052】
図3は、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。ユーザにより、静止画像の撮影のためのアプリケーションを起動するための所定の操作(たとえば、当該アプリケーションに対応するアイコンをタップする操作)がなされると、図3に示される処理が実行される。
【0053】
CPU100は、まず、カメラモジュール16を起動し(S101)、以後、表示面11cに、上述の撮影画像を随時更新して表示する。次に、CPU100は、撮影ボタン201の初期設定および初期表示を行う(S102)。
【0054】
ここで、撮影ボタン201は、表示面11cに画像として表示された、静止画像の撮影のための操作を受け付けるボタンである。撮影ボタン201が表示面11cに表示されることにより、当該撮影ボタン201の配置が通知される。
【0055】
図4は、図3に示される処理の実行中における、撮影方向V、撮影方向Vの水平面に対する傾き角θ、および撮影ボタン201の配置について説明するための表である。
【0056】
なお、図4において、一点鎖線は、水平面の方向を示す。傾き角θは、‐90度から+90度の範囲の値を取り得る。θ=0°は、撮影方向Vが水平方向を向くことを示す。θ=+90°は、撮影方向Vが真上に傾くことを示す。θ=‐90°は、撮影方向Vが真下に傾くことを示す。
【0057】
実際には、表示面11c上において撮影ボタン201の下に撮影画像が表示されるが、図4では、便宜上、撮影画像の図示が省略されている。図6、図11および図12についても同様である。
【0058】
図3のステップS102と図4を参照して、CPU100は、図4の左側の列(θ=0°)に示されているように、撮影ボタン201を、表示面11cの下端の位置に表示するよう初期設定するとともに、当該下端の位置に撮影ボタン201を表示する。表示面11cの下端の位置が、撮影ボタン201の初期位置となる。なお、撮影ボタン201は、表示面11cに表示されている撮影画像の上に重ねて表示される。
【0059】
次に、CPU100は、鉛直方向における撮影方向に基づいて、表示面11cにおいて撮影ボタン201を移動させる。具体的には、CPU100は、加速度センサ108を用いて検出した撮影方向Vに基づき上述の傾き角θを取得し(S103)、撮影ボタン201を、傾き角θに応じた位置へ移動させる(S104)。この際、CPU100は、撮影ボタン201の移動後も、撮影ボタン201に対する操作を受付可能な状態を保つ。
【0060】
ステップS104において、撮影ボタン201の表示位置は、以下のように設定される。θ<0である場合、撮影ボタン201の位置は初期位置に設定される。0≦θ<90°である場合、撮影ボタン201の移動先の位置は、初期位置を基準として傾き角θに略比例した距離だけ初期位置より上側(Y軸正方向)の位置に設定される。たとえば、図4の表における中央の列に示す如く、撮影方向Vが水平面に対して斜め上に傾くことによって傾き角θ=45°が取得された場合、撮影ボタン201の表示位置は、表示面11cの略中央に設定される。θ=90°である場合、撮影ボタン201の表示位置は、表示面11cの上端の位置(図4の右側の列における撮影ボタン201の位置参照)に設定される。
【0061】
ステップS105において、CPU100は、撮影のための操作がなされたか否かを判定する。ユーザが撮影ボタン201を押下した場合(S105:YES)、CPU100は、周囲へ撮影が行われていることを通知するためのシャッター音等の撮影音(操作音)
を、スピーカ15aから再生する(S106)。さらに、CPU100は、撮影ボタン201が押下された時における撮影画像を静止画像として取得し、メモリ101へ記憶させる。
【0062】
なお、静止画像を保存する際(S107)、CPU100は、静止画像の保存の要否を、ユーザへ問い合わせる。撮影画像の保存を許可する操作がなされた場合、CPU100は、上述の如く静止画像を保存する。撮影画像の保存を許可しない操作がなされた場合、CPU100は、保存の対象であった静止画像を破棄する。
【0063】
ステップS107の処理の実行後、または撮影のための操作がなされなない場合(S105:NO)、CPU100は、S108の処理へ進む。ステップS108において、CPU100は、静止画像の撮影のためのアプリケーションを終了するための操作がなされたか否かを判定する。終了のための操作がない場合(S108:NO)、CPU100は、ステップS103の処理へ戻る。終了のための操作がなされない間(S108:YES)、撮影ボタン201を傾き角θに基づいて移動させるための処理(S103、S104)が、繰り返し実行される。
【0064】
終了のための操作がなされた場合(S108:YES)、CPU100は、カメラモジュール16から撮影画像を取り込むための動作を停止し(S109)、当該アプリケーションを終了する。
【0065】
このように、撮影のための操作が待ち受けられている間、CPU100は、撮影ボタン201を、傾き角θに応じた位置に表示する。
【0066】
以上、本実施の形態によれば、CPU100は、撮影のための操作を待ち受けている間、表示面11cに表示させた撮影ボタン201の配置を変化させる。盗撮を試みる者は、表示面11cを継続的に視認することは容易ではない。このため、盗撮を試みる者は撮影ボタン201の位置を特定できにくく、撮影のための操作を行うことが難しい。つまり、本実施の形態によれば、盗撮行為が抑制される。
【0067】
その一方で、ユーザが通常の撮影すなわち盗撮を目的としない撮影を行う場合、撮影ボタン201が撮影方向Vと反対の方向を向く表示面11cに表示され、ユーザはこのように表示された撮影ボタン201を視認できる。このため、ユーザは、撮影ボタン201の表示位置を容易に特定でき、撮影ボタン201の押下により容易に撮影のための操作を行える。つまり、撮影の利便性が保たれる。
【0068】
よって、盗撮を目的としない撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できる。
【0069】
さらに、本実施の形態の構成によれば、撮影方向Vが上に傾くほど撮影ボタン201が初期位置から離れて配置される。たとえば、盗撮を試みる者が女性のスカート内を盗撮しようとする場合、撮影方向Vは上に傾き、撮影ボタン201は、初期位置から離れた位置に表示される。このように、携帯電話機1が盗撮行為の可能性が高い状態になると、撮影ボタン201が通常の位置(初期位置)から離れることになるので、盗撮行為がより抑制される。
【0070】
また、たとえば上述の如くスカート内を盗撮することを試みる者は、撮影方向Vが上方向へ傾く状態の携帯電話機1を低い位置において使用する場合がある。このとき、撮影ボタン201は下方向へ傾く状態にある表示面11c上に表示されるため、盗撮を試みる者は撮影ボタン201を視認できない。よって、撮影ボタン201の押下が困難となり、盗撮行為がより抑制される。
【0071】
また、撮影方向Vの傾きに基づいて、撮影ボタン201が移動する構成とした場合、盗撮を試みる者が盗撮を行おうとする際に撮影方向Vの傾きを一定にしておくことは難しいため、撮影ボタン201が頻繁に移動することになる。よって、撮影を試みる者が撮影ボタン201を押下することが一層難しくなり、撮影抑制効果が高まる。
【0072】
なお、撮影ボタン201の移動のための処理(S104)における撮影ボタン201の移動の態様は、あくまでも一例である。撮影方向Vの傾き角θに基づき表示面11cにおいて縦方向(Y軸方向)へ撮影ボタン201を移動する構成に限らず、横方向(X軸方向)や斜め方向へ撮影ボタン201を移動する構成、曲線に沿って撮影ボタン201を移動する構成等、各種の態様で撮影ボタン201を移動させる構成が採られてもよい。
【0073】
<変更例1>
図5は、変更例1に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【0074】
図5のフローチャートでは、図3に示すフローチャートのステップS103、S104の処理が、ステップS111、S112の処理に置換される。
【0075】
図6は、本変更例に係る、撮影ボタン201の位置の、時間経過に伴う変化を説明するための表である。図6の表における左側、中央、および右側の列は、それぞれ、撮影ボタン201が初期表示された直後(0秒後)、T秒後、および2T秒後における、表示面11c上での撮影ボタン201の表示位置を示す。
【0076】
上記実施の形態と同様、CPU100は、ステップS102において、図6の表における左側の列に示す如く、撮影ボタン201を初期位置に表示する。なお、本変更例では、ステップS102において、CPU100は、計時のためタイマ109をスタートさせる。
【0077】
ステップS111において、CPU100は、計時する時間が、所定周期(T秒。たとえば、数秒〜十数秒程度)を経過したか否かを判定する。時間が所定周期T秒を経過しない場合(S111:NO)、後段のステップS112をスキップして、ステップS105へ進む。たとえば、上述の撮影ボタン201の初期表示直後(T秒が経過する前)においては、ステップS111においてNOと判定される。
【0078】
時間が所定周期T秒以上経過した場合(S111:YES)、CPU100は、ステップS112において、撮影ボタン201を不規則的に移動させるとともに、タイマ109をリセットし、計時を0秒から再開する。これにより、ステップS112の処理は、T秒経過する毎に実行される。
【0079】
なお、撮影ボタン201を不規則的に移動させるとは、具体的には、CPU100は、撮影ボタン201を、ユーザが安易に予測できないような位置へ移動させることである。ユーザが安易に予測できないような位置は、乱数、疑似乱数、撮影ボタン201の移動のルールを定めた座標の配列等に基づいて、CPU100により設定される。
【0080】
なお、上述の如く撮影ボタン201の位置を変化させる際、撮影ボタン201が一度に移動される距離は、撮影ボタン201の位置の特定が困難となるよう、移動幅が大きく設定されてもよいし、また、視認による撮影ボタン201の追跡が容易となるよう、移動幅が小さく設定されてもよい。
【0081】
また、撮影ボタン201が連続的に移動して見えるよう、所定周期Tが小さく(たとえば、数百ミリ秒程度)設定され、且つ、撮影ボタン201が一度に移動される距離が小さく(たとえば、数ピクセル〜数百ピクセル程度)に設定されてもよい。
【0082】
以上、本変更例の構成によれば、CPU100は、撮影のための操作を待ち受けている間、撮影ボタン201が設けられる領域である表示面11cにおいて、撮影ボタン201を不規則的に移動させる。具体的には、CPU100は、撮影ボタン201の位置を、所定周期T秒毎に不規則的に変化させる。上述の如く、盗撮を試みる者は、不規則的に移動する撮影ボタン201の位置を、視認により特定できない。このため、盗撮を試みる者は撮影ボタン201の位置を特定できにくく、撮影のための操作を行うことが難しい。つまり、盗撮行為が抑制される。
【0083】
その一方で、上記実施の形態と同様、ユーザが盗撮を目的としない撮影を行う場合、ユーザは、撮影ボタン201の表示位置を容易に特定でき、撮影ボタン201の押下により容易に撮影のための操作を行える。つまり、撮影の利便性が保たれる。
【0084】
よって、盗撮を目的としない撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できる。
【0085】
<変更例2>
図7は、変更例2に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【0086】
図7のフローチャートでは、図3のフローチャートにおけるステップS103の処理の前段にステップS121の判定処理が挿入され、さらに、ステップS121の判定処理に続いて実行されるステップS122の処理が追加される。
【0087】
ステップS102またはS108の処理の実行後、CPU100は、ステップS121の判定処理を実行する。当該判定条件は、カメラモジュール16が、盗撮を目的としないような、通常の撮影のために使用されると判断するための条件である。この判定条件は、たとえば静止画像の撮影のためのアプリケーションとともに、予めメモリ101に保持されている。
【0088】
ステップS121では、撮影ボタン201の移動(S104)を中止するか否かを判定する判定処理が実行される。当該判定処理に係る判定条件は、具体的には、随時カメラモジュール16から取得される撮影画像において、人物の顔が検出されるか否かの条件である。
【0089】
以下に、ステップS121の判定処理の内容を、例を用いて説明する。
【0090】
携帯電話機1が人物の顔へ向けられた場合、撮影画像は人物の顔の画像を含む。CPU100は、撮影画像から人物の顔を検出した場合(S121:YES)、撮影ボタン201の位置を初期位置へ戻す(S122)。そして、ステップS105の処理へ進む。なお、撮影ボタン201が初期位置にあった場合には、初期位置に維持される。
【0091】
他方、撮影画像が人物の顔の画像を含まない場合、CPU100は、このような撮影画像から人物の顔を検出しない(S121:NO)。この場合、CPU100は、ステップS103の処理へ進む。たとえば、ユーザが、人物を下方または背後から撮影する場合、または建築物を撮影する場合には、撮影画像は人物の顔の画像を含まないため、ステップS121においてNOと判定される。
【0092】
上述の人物の顔を検出するための処理(S121)は、たとえば、以下のようにして、実行される。
【0093】
CPU100は、撮影画像において、主に肌色からなる部分画像を抽出し、さらに、抽出した部分画像において、目、鼻、口、シワ等の顔の特徴部分を、当該部分画像の色彩、彩度等の分布に基づいて検出する。CPU100は、当該部分画像に、一定の割合で顔の特徴部分が含まれることを検出した場合、当該撮影画像から人物の顔の画像が検出されたと判定する(S121:YES)。CPU100は、撮影画像より一定の割合で顔の特徴部分が検出されなかった場合、撮影画像から人物の顔が検出されないと判定する(S121:NO)。
【0094】
以上、本変更例の構成によれば、CPU100は、所定の判定条件が満たされる場合、すなわち撮影画像において人物の顔が検出される場合、撮影ボタン201の変化を抑制する、すなわち移動を中止する。さらに、CPU100は、撮影ボタン201の位置を初期位置へ戻す。
【0095】
たとえば、撮影画像から人物の顔が検出されるような撮影が行われる場合、当該撮影は、盗撮を目的としない撮影である蓋然性が高い。本変更例の構成によれば、このように盗撮を目的としない通常の撮影が行われている蓋然性が高いと考えられる場面において、撮影ボタン201の移動が中止される。これによって、通常の撮影を行うユーザは、静止した状態で表示面11cに表示されている撮影ボタン201を視認することにより、容易に撮影のための操作を行える。
【0096】
たとえ撮影方向Vが上に傾くような状態で携帯電話機1による撮影が行われたとしても、ユーザが人物の顔を含む被写体を撮影しているときには、撮影ボタン201は表示面11cに静止した状態で表示される。
【0097】
よって、盗撮を目的としない撮影が行われている蓋然性が高い場合における、撮影の利便性が良好に保たれる。
【0098】
さらに、本変更例では、撮影画像において人物の顔が検出される場合には、上述の如く撮影ボタン201が初期位置に表示される(S122)。ユーザは、撮影ボタン201を平常時と同じ位置にあることを視認でき、よって、撮影の利便性が保たれる。
【0099】
<変更例3>
上記変更例2における顔の検出に係る構成は、以下に説明するように、上記変更例1(図5参照)にも適用可能である。
【0100】
図8は、変更例3に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【0101】
図8のフローチャートでは、図5のフローチャートにおけるステップS111の処理の前段に、ステップS121の判定処理が挿入され、さらに、ステップS121の判定処理に続いて実行されるステップS122の処理が追加される。
【0102】
なお、図8に示されたステップS121、S122の処理は、それぞれ、上記変更例2に係る、図7に示されたステップS121、S122の処理に同じである。
【0103】
ステップS102またはS108の処理の後、CPU100は、ステップS121の、顔の検出に係る判定処理を実行する。撮影画像から人物の顔が検出された場合(S121
:YES)、CPU100は、上記変更例2と同様、撮影ボタン201の位置を初期位置へ移動し(S122)、さらにステップS105の処理へ進む。撮影画像から人物の顔が検出されない場合(S121:NO)、CPU100は、ステップS111の処理へ進む。
【0104】
以上、本変更例の構成によれば、撮影画像から人物の顔が検出された場合、撮影ボタン201の配置の変化が抑制される。具体的には、撮影ボタン201の不規則的な移動が中止される。このため、ユーザが人物の顔を含む被写体を撮影する場合、ユーザは、静止した状態で表示面11cに表示される撮影ボタン201を視認することにより、容易に撮影のための操作を行える。
【0105】
よって、盗撮を目的としない撮影が行われている蓋然性が高い場合における、撮影の利便性が良好に保たれる。
【0106】
<変更例4>
変更例4では、撮影方向Vが水平面方向を含む所定範囲に含まれることに基づいて、盗撮を目的としない撮影が行われている蓋然性が高いと判定され、撮影ボタン201の配置の変化を中止する構成が採られる。
【0107】
図9(a)は、変更例4に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。図9(a)のフローチャートでは、図3のフローチャートにおけるステップS104の前段にステップS131の判定処理が挿入され、さらに、ステップS131の判定処理に続いて実行されるステップS132の処理が追加される。なお、図9(a)のフローチャートにおいて、ステップS104、S131およびS132以外の処理は図示を省略する。
【0108】
なお、ステップS132の処理は、変更例2に係る図7のフローチャートに示されたステップS122の処理に同じである。
【0109】
ステップS131において、CPU100は、撮影方向Vが、水平面方向を含む所定の範囲に含まれるか否かを判定する。具体的には、CPU100は、ステップS103において検出された撮影方向Vの傾き角θが、所定閾値θ1(たとえば30°)以下、すなわちθ≦θ1であるか否かを判定する。
【0110】
ここで、閾値θ1は、通常ユーザが通常の使用態様にて撮影を行う際における、想定される傾き角θの上限程度の値に設定される。閾値θ1は、たとえば10°〜60°程度の範囲内の値に設定できる。閾値θ1は、盗撮行為を抑制することを優先して、小さく設定されてよい。また、閾値θ1は、撮影の利便性を優先して、大きく設定されてもよい。
【0111】
傾き角θが閾値θ1以下である場合(θ≦θ1。S131:YES)、CPU100は、撮影ボタン201の位置を初期位置へ戻し(S132)、さらにステップS105の処理へ進む。
【0112】
傾き角θが閾値θ1を超える場合(θ>θ1。S131:YES)、CPU100は、取得した傾き角θに応じて、撮影ボタン201を移動し(S104)、さらにステップS105の処理へ進む。
【0113】
このように、本変更例の構成では、傾き角θが閾値θ1を超えるまで撮影方向Vが上方向に傾かなければ、撮影ボタン201は、初期位置に維持される。
【0114】
以上、本変更例の構成によれば、CPU100は、所定の判定条件が満たされる場合、すなわち、撮影方向Vが水平面から上方向に傾く傾き角θが閾値θ1を越える場合、CPU100は、撮影ボタン201の位置を傾き角θに対応する位置に変化させる。傾き角θが閾値θ1を越えない場合、CPU100は、撮影ボタン201の移動を中止するとともに、撮影ボタン201を初期位置に位置付ける。
【0115】
たとえば、盗撮を試みる者が女性のスカート内を盗撮しようとする場合など、盗撮が懸念されるような、撮影方向Vが上に傾く状態で撮影が行われる場合には、撮影ボタン201は移動する。その一方で、撮影方向Vが上に傾く状態に比較して盗撮の懸念が高くない場合には、撮影ボタン201の移動が中止される。
【0116】
よって、盗撮の可能性が低いい場合における、撮影の利便性が良好に保たれる。
【0117】
<変更例5>
上記変更例4における撮影方向Vに基づいて撮影ボタン201の移動を中止させる構成は、以下に説明するように、上記変更例1(図5参照)にも適用可能である。
【0118】
図9(b)は、変更例5に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。図9(b)のフローチャートでは、図5のフローチャートにおけるステップS111の前段にステップS133の処理とステップS131の判定処理とが挿入され、さらに、ステップS131の判定処理に続いて実行されるステップS132の処理が追加される。なお、図9(b)のフローチャートにおいては、ステップS111、S112、S131〜S133以外の処理は図示を省略する。
【0119】
なお、ステップS131とS132の処理は、それぞれ、変更例4に係る図9(a)のフローチャートに示されたステップS131、S132の処理に同じである。また、ステップS133の処理は、実施の形態に係る図3のフローチャートに示されたステップS103の処理に同じである。
【0120】
ステップS133において、CPU100は、傾き角θを取得し(S133)、ステップS131の判定処理へ進む。
【0121】
上記変更例4と同様に、ステップS131において、CPU100は、撮影方向Vが水平面方向を含む所定の範囲に含まれるか否か、すなわちθ≦θ1であるか否かを判定する。
【0122】
θ≦θ1である場合(S131:YES)、撮影ボタン201の位置を初期位置へ戻し(S132)、さらにステップS105の処理へ進む。
【0123】
θ>θ1である場合(S131:NO)、CPU100は、所定時間(T秒)経過する毎に撮影ボタン201を不規則的に移動させ(S111、S112)、さらにステップS105の処理へ進む。
【0124】
以上、本変更例の構成によれば、上記変更例5と同様、盗撮の懸念が高くない場合における、撮影の利便性が良好に保たれる。
【0125】
<変更例6>
図10は、変更例6に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。図10のフローチャートでは、上記実施の形態に係る図3のフローチャートにおけるステップS106の処理が、ステップS141〜S144の処理に置き換えられる。な
お、図10のフローチャートにおいては、ステップS107、S141〜S144以外の図示は省略する。
【0126】
なお、ステップS141、S143の処理は、それぞれ、図3のフローチャートに示されたステップS103、S106の処理に同じである。
【0127】
ステップS105の処理の後、CPU100は、撮影方向Vの傾き角θを取得し(S141)、ステップS142の処理へ進む。
【0128】
ステップS142において、CPU100は、傾き角θが、所定閾値θ2(たとえばθ2=θ1。または10°〜45°程度)以下、すなわちθ≦θ2であるか否かを判定する。
【0129】
θ≦θ2である場合(S142:YES)、CPU100は、周囲へ撮影が行われていることを通知する通常の撮影音をスピーカ15aから再生し(S143)、ステップS107の処理へ進む。ここで、「通常の撮影音」は、図3のステップS103において再生される撮影音と同様の撮影音を指し、以下に説明する、通常とは異なる撮影音(S144参照)と区別される。
【0130】
θ≦θ2ではない場合(S142:NO)、CPU100は、通常とは異なる撮影音をスピーカ15aから再生し(S144)、ステップS107の処理へ進む。ここで、通常とは異なる撮影音は、現在撮影が行われていることを、周囲へより確実に通知するための、音声である。通常とは異なる撮影音は、たとえば、上記の通常の撮影音において音量を大きくした撮影音、周囲の注意を引くための警告音、アナウンス音声(たとえば「写真を撮りました。」)等である。
【0131】
以上、変更例の構成によれば、CPU100は、傾き角θが閾値θ2を越えた状態で撮影ボタン201が操作されたときの撮影音を、傾き角θが閾値θ2を越えない状態で撮影ボタン201が操作されたときの撮影音と相違させる。上記構成により、携帯電話機1の周囲へ、現在撮影が行われていることをより確実に通知することができる。
【0132】
このような構成が採られることにより、女性のスカート内を盗撮すること等の盗撮行為が懸念されるような、撮影方向Vが上に傾く状態で撮影が行われた場合には、通常とは異なる撮影音が再生される。通常とは異なる撮影音の再生により、周囲の注意を強く引くこととなる。このため、盗撮行為が効果的に抑制される。
【0133】
なお、本変更例の構成は、上記変更例1〜5へも適用可能である。
【0134】
<その他>
以上、本発明の実施の形態および変更例について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0135】
上記実施の形態および変更例1〜6では、撮影ボタン201が移動する構成が採られているが、撮影ボタン201の位置に限らず、撮影ボタン201の大きさ、形状、等、撮影ボタン201に係る各種の配置が変化するよう構成できる。たとえば、上記実施の形態に、撮影ボタン201の大きさを変更するよう撮影ボタン201の配置を変化させる構成を採ることができる。たとえば、図11に示す如く、撮影ボタン201の配置領域である表示面11cにおいて、撮影方向Vが水平面から上に傾く角度(傾き角θ)に応じて、撮影ボタン201が、移動するとともに縮小される構成が採られてもよい。撮影ボタン201
の大きさは変更するが移動はさせない構成が採られてもよい。この場合、上に傾く角度が大きくなるほど、撮影ボタン201の大きさが小さくされることにより、目視なしで撮影ボタン201が押下され難くなる。
【0136】
上記実施の形態および変更例1〜6において説明された、撮影ボタン201の配置を変化させるための処理は、スピーカ15aから撮影音が再生されないよう設定されているときのみ実行されてもよい。この場合、携帯電話機1による撮影が行われていることの周囲への通知は、撮影音が再生されるよう設定されている場合には当該撮影音によりなされ、撮影音が再生されないよう設定されている場合には、撮影ボタン201の配置の変化が抑制される。
【0137】
また、変更例2〜5において、スピーカ15aから撮影音が再生されるよう設定されているとき、所定の判定条件が満たさない場合(S131:NO、S21:NO)には撮影音が再生され、所定の判定条件が満たされる場合には(S131:YES、S21:YES)撮影音が再生されないよう構成できる。
【0138】
上記変更例2〜5において、所定の判定条件(S121、S131)が満たされる場合、撮影ボタン201の配置の変化が抑制されるともに、その配置が初期状態へ戻る。しかしながら、配置が初期状態へ戻されない構成が採られてもよい。たとえば、変更例2、3に係るフローチャート(図7、図8)において、ステップS122を削除した構成が採られてもよい。このような構成が採られる場合において、撮影ボタン201の配置の変化が抑制されたとき(S121:YES)、撮影ボタン201の配置が、変化が抑制された時の状態に保たれる。つまり、撮影ボタン201の位置が、移動が中止された時の位置に保たれる。同様に、変更例4、5に係るフローチャート(図9(a)、9(b))において、ステップS132を削除した構成が採られてもよい。
【0139】
上記実施の形態および変更例1〜6において、撮影ボタン201は、常に表示面11cにおいて画像として表示される構成が採られる。しかしながら、撮影ボタン201は、いわゆるボタンやアイコン等の画像として常時に表示面11cに表示される必要はない。
【0140】
たとえば、上記実施の形態に係る図3のフローチャートにおけるステップS102の処理に替えて、撮影画像が表示される画像表示領域を撮影のための操作を受け付ける領域とするよう構成できる。この構成において、撮影ボタン201は、初期設定において不可視とされ、画像表示領域全体が撮影ボタン201とされる。画像表示領域上には、撮影ボタン201の画像は表示されず撮影画像が表示される。また、この構成におけるステップS104において、傾き角θが所定閾値(たとえば30°)以上である場合に、上記実施の形態で説明されたのと同様の撮影ボタン201の画像が表示される構成が採られる。たとえば、図12の表示に示す如く、θ≦θ1であるときには(左側の列)、表示面11cにおける画像表示領域202に対する操作(タップ)が、撮影のための操作として受け付けられ、θ>θ1であるときには(中央および右側の列)、図4を用いて説明されたときと同様に撮影ボタン201の位置が変化する。
【0141】
また、携帯電話機1の撮影方向Vが略真上を向く状態(傾き角θ≒90°)において、撮影のための撮影ボタン201に対する操作が受け付けないよう、表示面11cにおいて撮影ボタン201を消去する構成が採られてもよい。
【0142】
上記変更例2と変更例4の構成は、互いに組み合わせることが可能である。たとえば、図9(a)に示すステップS131の判定処理に替えて、図13(a)のフローチャートに示す如く、撮影画像から顔が検出されるか、またはθ≦θ1であるか否かを判定する処理(S151)が実行されてもよい。同様に、上記変更例3と変更理恵5の構成は、互い
に組み合わせることが可能である。たとえば、図9(b)に示すステップS131の判定処理に替えて、図13(a)のフローチャートに示す如く、撮影画像から顔が検出されるか、またはθ≦θ1であるか否かを判定する処理(S151)が実行されてもよい。このように、撮影ボタン201の配置の変化を抑制するための判定条件は、AND、OR、NOT等の論理演算子で各種の条件を組み合わせて構成されることができる。判定条件を構成する各条件は、盗撮を目的としない撮影が行われている蓋然性が高い場合を検出する条件、盗撮の可能性が低い場合を検出する条件等、各種の条件が適宜選択されてよい。
【0143】
上記実施の形態および変更例1〜6において、撮影ボタン201が設けられる領域(配置領域)は表示面11cであるが、撮影ボタン201が設けられる領域を、表示面11cと異なる領域とする構成が採られてもよい。たとえば、撮影ボタン201は、図14に示す如く、ハードキーとして構成されてもよい。図14の表示に示す如く、キャビネット10に、ハードキーであるテンキー203をさらに備える折りたたみ式の携帯電話機1において、変更例1の構成が適用されることができる。この場合、テンキー203が配される領域が撮影ボタン201を配置するための領域であり、テンキー203の何れかのキーを撮影ボタン201とするよう設定する構成が採られる。なお、カメラモジュール16は、上記テンキー203が向く方向と反対の方向を向くよう配されている。図14の表における左側(0秒後)、中央(T秒後)、および右側(2T秒後)の列は、それぞれ、撮影ボタン201が、「4」キー、「2」キー、「9」キーへとT秒毎に移動する例を示す。CPU100は、所定時間(T秒)毎にテンキー203の何れかのキーを撮影ボタン201とするよう設定することにより撮影ボタン201を移動させるとともに、撮影ボタン201の配置を通知するテキスト204を表示面11cに表示する。なお、撮影ボタン201に設定されたキーに配されるキーバックライトを点灯(図14参照)させることにより、撮影ボタン201の位置が通知されてもよい。また、テキスト204が表示されず、キーバックライトの点灯により撮影ボタン201の位置が通知される構成が採られてもよい。
【0144】
なお、上記の折りたたみ式の携帯電話機1において、上述の如くテンキーが撮影ボタン201を配置するための領域とする構成に替えて、または当該構成に加えて、当該携帯電話機1の表示面11cに表示された撮影ボタン201(の画像)の配置が変化する構成が採られてもよい。この構成によっても、撮影ボタン201の配置領域を構成する表示面11cが、通常の撮影の際にカメラモジュール16が向く方向と反対の方向を向くよう配置されるため、ユーザは表示面11cに表示される撮影ボタン201を視認することにより撮影のための操作を行える。また、撮影ボタン201の画像の配置が変化することにより盗撮を防止できる。
【0145】
なお、携帯電話機1は、撮影ボタン201の配置領域が撮影方向Vと反対の方向を常に向くよう構成されている必要はない。たとえば、上記の折りたたみ式の携帯電話機1に、本発明を適用できる。この場合、携帯電話機1が折り畳まれた状態にあるときには、撮影ボタン201の配置領域が撮影方向Vと反対の方向を向かない。
【0146】
また、撮影ボタン201が配置される配置領域は、表示面11cやテンキー203上に限らず、たとえばその他のハードキーまたはソフトキーが配される領域を含むよう構成されてもよい。
【0147】
上記実施の形態および変更例2〜5では、所定の判定条件が満たされた場合において、撮影ボタン201の配置の変化(移動)が中止されるが、たとえば撮影ボタン201の移動の距離を小さく設定する、移動の時間間隔を大きく設定する等、変化が中止はされないが抑制される構成が採られてもよい。
【0148】
上記実施の形態および変更例1〜6では、カメラモジュール16は、撮影方向Vと表示
面11cとが互いに反対の方向を向くよう配される。しかしながら、カメラモジュール16は、表示面11cが向く方向と撮影方向Vとが略同一となるような位置に備えられてもよい。たとえば、表示面11cと同一面上に備えられてもよい。この構成が採られた場合も、撮影ボタン201の配置が変化することにより、盗撮を試みる者が撮影ボタン201に対する操作を行うことが難しくなるため、盗撮行為が抑制される。
【0149】
さらに、本発明は、静止画の撮影のためのアプリケーションに限らず、動画の撮影のためのアプリケーションにも適用可能である。たとえば、動画の撮影のためのアプリケーションが実行される際、CPU100が録画を開始するためのボタンを表示面11cへ表示し、当該ボタンを移動させる等、ボタンの配置を変化させる構成が可能である。また、上記実施の形態および変更例1〜6の各構成を、当該ボタンの変化に対しても適用できる。
【0150】
上記実施の形態では、スマートフォン型の携帯電話機に本発明が適用されている。しかしながら、これに限らず、ストレート式、折りたたみ式、スライド式等、他のタイプの携帯電話機に本発明が適用されてもよい。
【0151】
さらに、本発明は、携帯電話機に限られず、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(TabletPC)等のカメラ機能付き機器に適用可能である。
【0152】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0153】
1 携帯電話機 (カメラ機能付き機器)
11c 表示面 (表示面、配置領域)
12 タッチセンサ (入力部)
15a スピーカ (出力部)
16 カメラモジュール (撮影部)
100 CPU (制御部、傾き検出部、顔検出部、出力部)
101 メモリ (記憶部)
201 撮影ボタン (操作部)
108 加速度センサ (傾き検出部)
V 撮影方向
θ 傾き角 (傾き、傾き角)
θ1 閾値 (第1の閾値)
θ2 閾値 (第2の閾値、閾値)
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(Tablet PC)等のカメラ機能付き機器、および当該カメラ機能付き機器に用いて好適なプログラムと盗撮防止制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等のカメラ機能付き機器では、従来より、盗撮の防止が課題となっている。そこで、盗撮を防止するため、カメラ機能付き機器の傾きに応じて撮影を禁止する機能を備えたカメラ機能付き機器が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−260823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の盗撮防止機能では、盗撮を目的としないような撮影までもが禁止されることが起こり得る。たとえば、被写体となっていることを予め認識している人物をローアングルから撮影できない虞がある。
【0005】
このように盗撮ではない適正な撮影が禁止されると、カメラ機能付き機器を用いた撮影の利便性が低下する。
【0006】
そこで、本発明は、撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できるカメラ機能付き機器、プログラムおよび盗撮防止制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、カメラ機能付き機器に関する。本態様に係るカメラ機能付き機器は、被写体を撮影する撮影部と、所定の配置領域に配置された、前記撮影部による撮影のための操作部と、前記操作部の配置を前記配置領域において変化させる制御部と、を備える。
【0008】
本態様に係るカメラ機能付き機器において、前記制御部は、前記配置を変化させる制御として、前記操作部の位置、大きさ、および形状のうち少なくとも1つを変化させ得る。
【0009】
また、本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記撮影部による撮影方向の鉛直方向における傾きを検出する傾き検出部をさらに備え得る。この場合、前記制御部は、前記傾きに基づいて、前記操作部の前記配置を変化させる。
【0010】
また、本態様に係るカメラ機能付き機器において、前記制御部は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が第1の閾値を越える場合に、前記配置領域上における前記操作部の位置を前記傾き角に対応する位置に変化させ得る。
【0011】
また、本態様に係るカメラ機能付き機器において、前記制御部は、前記傾き角が前記第1の閾値を越えない場合、前記操作部を前記配置領域上の初期位置に位置付け得る。
【0012】
本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記操作部が操作されたときに操作音を出力する出力部をさらに備え得る。この場合、前記出力部は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が第2の閾値を越えた状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音を、前記傾き角が前記第2の閾値を越えない状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音と相違させる。
【0013】
また、本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記撮影部が通常の前記撮影のために使用されると判断される所定の条件を保持する記憶部をさらに備え得る。この場合前記制御部は、前記所定の条件が満たされる場合に、前記所定の条件が満たされない場合に比べて、前記操作部の前記配置の変化を抑制させる。
【0014】
また、本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記撮影部より取得される画像から人物の顔を検出する顔検出部をさらに備え得る。この場合、前記条件は、前記顔検出部により前記顔が検出されることを含む。
【0015】
さらに、本態様に係るカメラ機能付き機器は、前記撮影部による撮影の際に前記撮影部が向く方向と反対の方向を向く表示面と、前記表示面に対する入力を受け付ける入力部と、をさらに備え得る。この場合、前記制御部は、前記操作部に対応する画像を前記表示面に表示するとともに、当該画像の前記配置を前記表示面において変化させる。
【0016】
本発明の第2の態様は、プログラムに関する。本態様に係るプログラムは、被写体を撮影する撮影部を備えるカメラ機能付き機器のコンピュータに、所定の配置領域に、前記撮影部による撮影のための操作部を設ける機能と、前記操作部の配置を前記配置領域において変化させる機能と、を付与する。
【0017】
本発明の第3の態様は、被写体を撮影する撮影部を備えるカメラ機能付き機器の盗撮防止制御方法に関する。本態様に係る盗撮防止制御方法は、所定の配置領域に、前記撮影部による撮影のための操作部を配置するステップと、前記操作部の配置を、前記配置領域において変化させるステップを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できるカメラ機能付き機器、プログラムおよび盗撮防止制御方法を提供することができる。
【0019】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態に係る、携帯電話機の外観構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係る、携帯電話機の全体構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る、図3に示される処理の実行中における、撮影方向、撮影方向の傾き角、および撮影ボタンの配置について説明するための表である。
【図5】変更例1に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図6】変更例1に係る、撮影ボタンの配置の遷移を説明するための表である。
【図7】変更例2に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図8】変更例3に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図9】変更例4および変更例5に係る、撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図10】変更例6に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図11】その他の変更例に係る、表示面に表示される撮影ボタンの位置および大きさが、傾き角に応じて変化する例を示す図である。
【図12】その他の変更例に係る、撮影ボタンの配置の遷移について説明するための表である。
【図13】その他の変更例に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【図14】その他の変更例に係る、撮影ボタンがハードキーである場合における撮影ボタンの配置の遷移について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
図1(a)、(b)は、携帯電話機1の外観構成を示す図である。図1(a)、(b)は、それぞれ、正面図および側面図である。
【0023】
携帯電話機1は、長方形状を有する厚みが小さなキャビネット10を有する。キャビネット10の正面側には、タッチパネルが配されている。タッチパネルは、ディスプレイ11と、ディスプレイ11に重ねられるタッチセンサ12とを備える。
【0024】
ディスプレイ11は、液晶ディスプレイであり、後述の液晶パネル11aと、液晶パネル11aの背面側に配されたパネルバックライト11bと、を備えている(図2参照)。液晶パネル11aは、画像を表示するための表示面11cを有する。パネルバックライト11bは、液晶パネル11aを照明する。
【0025】
なお、ディスプレイ11は、液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイ等他の表示装置であってもよい。
【0026】
タッチセンサ12は、表示面11cの上に配される。タッチセンサ12は、表示面11cに対する入力位置を検出する。タッチセンサ12は透明なシート状に形成されており、タッチセンサ12を透して表示面11cを見ることができる。
【0027】
タッチセンサ12は、静電容量式のタッチセンサであり、マトリクス状に配された第1透明電極、第2透明電極およびカバーを備えている。タッチセンサ12は、第1および第2透明電極間の静電容量の変化を検出することによって、ユーザが触れた表示面11c上の位置を入力位置として検出し、この入力位置に応じた位置信号を後述のCPU100へ出力する。なお、表示面11cに触れるとは、実際には、上記カバーを触れることである。
【0028】
ユーザは、自身の指またはペン等の接触部材(以下、単に「指」と言う。)によって表示面11cを触れることにより、タップ、スライド、フリック等の各種の操作を行える。
【0029】
なお、タッチセンサ12は、静電容量式のタッチセンサ12に限らず、超音波式、感圧式、抵抗膜式、光検知式等のタッチセンサ12であってもよい。
【0030】
タッチパネルの下方(Y軸の負方向)には、設定キー13a、ホームキー13b、バックキー13cから構成されているキー操作部13が設けられている。設定キー13aは、主に各種設定を行う設定画面を表示面11cに表示させるためのキーである。ホームキー13bは、主にホーム画面を表示面11cに表示させるためのキーである。バックキー13cは、主に表示面11c上の画面の表示状態を1ステップ前の状態に戻すためのキーである。
【0031】
キャビネット10の正面側には、下部にマイクロホン(以下、「マイク」と言う。)14が配されており、上部にスピーカ15が配されている。ユーザは、スピーカ15からの音声を聞き、マイク14に対して音声を発することにより通話できる。
【0032】
また、キャビネット10の背面側には、周囲にいる人が聞き取れる程度の音量の音声を出力するスピーカ15aが配されている。たとえば、スピーカ15aから、カメラモジュール16(後述)による撮影が行われることを周囲へ通知するためのシャッター音等が出力される。
【0033】
キャビネット10の背面側には、カメラモジュール16が配されている。キャビネット10の背面には、レンズ窓が配されており、撮影方向V(図1(b)の矢印参照)、すなわちレンズ窓が向く方向にある被写体の像が、レンズ窓からカメラモジュール16に取り込まれる。なお、表示面11cは、撮影方向Vと反対の方向を向くよう配されている。
【0034】
カメラモジュール16は、レンズ窓から入射した光の像を撮像するCCD、CMOSセンサ等の撮像素子を有する。カメラモジュール16は、撮像素子から出力された撮像信号をデジタル化し、そのデジタル信号にガンマ補正等の各種補正を施して、後述の映像エンコーダへ出力する。
【0035】
図2は、携帯電話機1の全体構成を示すブロック図である。携帯電話機1は、上述の構成要素の他、CPU100、メモリ101、画像処理回路102、キー入力回路103、音声エンコーダ104、音声デコーダ105、映像エンコーダ106、通信モジュール107、加速度センサ108、タイマ109を備える。
【0036】
画像処理回路102は、CPU100から入力された制御信号に従って、ディスプレイ11に表示される画像を生成し、画像データを画像処理回路102に備えられているVRAM102aに記憶させる。
【0037】
画像処理回路102は、VRAM102aに記憶された画像データを含む画像信号を、ディスプレイ11へ出力する。また、画像処理回路102は、ディスプレイ11を制御するための制御信号を出力し、ディスプレイ11のパネルバックライト11bを点灯または消灯させる。パネルバックライト11bから放出された光が、画像信号に基づいて液晶パネル11aにより変調されることにより、ディスプレイ11の表示面11cに画像が表示される。
【0038】
キー入力回路103は、キー操作部13を構成する各キー13a〜13cの押下に応じた信号をCPU100へ出力する。
【0039】
音声エンコーダ104は、集音した音声に基づいてマイク14が生成した電気信号をデジタル音声信号に変換し、CPU100へ出力する。
【0040】
音声デコーダ105は、CPU100からの音声信号にデコード処理およびD/A変換を施し、変換したアナログの音声信号をスピーカ15、15aに出力する。
【0041】
映像エンコーダ106は、カメラモジュール16からの信号にエンコード処理を施してCPU100へ出力する。
【0042】
通信モジュール107は、通話や通信のための電波を送受信するアンテナを備える。通信モジュール107は、CPU100から入力される通話や通信のための信号を無線信号に変換し、変換された無線信号を、アンテナを介して、基地局や他の通信装置等の通信先へ送信する。また、通信モジュール107は、アンテナを介して受信した無線信号をCPU100が利用できる形式の信号へ変換し、変換された信号をCPU100へ出力する。
【0043】
加速度センサ108は、携帯電話機1に係る加速度を検出する。加速度センサ108は3軸加速度センサであり、図1(a)のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3方向に生じる加速度を検出する。加速度センサ108は、検出した加速度に応じた加速度信号をCPU100へ出力する。
【0044】
携帯電話機1が静止状態にあるときには、携帯電話機1に加わる重力加速度が加速度センサ108により検出される。CPU100は、重力加速度に基づき上述の撮影方向Vを検出する。
【0045】
メモリ101は、ROMおよびRAMを含む。メモリ101には、CPU100に制御機能を付与するための制御プログラムと、各種のアプリケーション・プログラム(以下、「アプリケーション」と言う。)が記憶されている。たとえば、メモリ101には、通話、静止画像の撮影、動画の撮影等、各種のアプリケーションが記憶されている。
【0046】
また、メモリ101は、アプリケーションの実行の際、一時的に利用または生成される各種のデータを記憶するワーキングメモリとしても使用される。
【0047】
また、メモリ101は、撮影した静止画像を記憶する。具体的には、メモリ101は、カメラモジュール16より取得される画像(以下、「撮影画像」と言う。)に基づく静止画像を、メモリ101上に構築されたファイルシステムにおける、所定のフォルダに保存することによって、記憶する。
【0048】
CPU100は、制御プログラムに従って、カメラモジュール16、マイク14、通信モジュール107、ディスプレイ11、スピーカ15、15a等、各構成要素を制御することにより、各種のアプリケーションを実行する。
【0049】
静止画像の撮影の場合、CPU100は、静止画像の撮影のためのアプリケーションを実行する。実行の際、CPU100は、カメラモジュール16より撮影画像を取得し、随時、表示面11cに表示する。ここで、撮影のための操作は、表示面11cに表示される撮影ボタン(後述)を押下(タッチ)する操作である。撮影のための操作がなされた場合、CPU100は、当該操作がなされた時の撮影画像を静止画像として取得し、当該静止画像を上記所定のフォルダに保存する。
【0050】
なお、静止画像の撮影のためのアプリケーションは、撮影した静止画像を、外部の記憶媒体(SDカード等)や、有線または無線の通信網を介して接続される記憶装置等、メモリ101以外の記憶部に記憶できるよう構成されてもよい。
【0051】
さて、本携帯電話機1は、静止画像の撮影の場合、撮影ボタンの配置を変化させる機能を備える。以下、撮影ボタン201の配置の変化に係る処理を含む、静止画像の撮影のための処理について詳述する。
【0052】
図3は、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。ユーザにより、静止画像の撮影のためのアプリケーションを起動するための所定の操作(たとえば、当該アプリケーションに対応するアイコンをタップする操作)がなされると、図3に示される処理が実行される。
【0053】
CPU100は、まず、カメラモジュール16を起動し(S101)、以後、表示面11cに、上述の撮影画像を随時更新して表示する。次に、CPU100は、撮影ボタン201の初期設定および初期表示を行う(S102)。
【0054】
ここで、撮影ボタン201は、表示面11cに画像として表示された、静止画像の撮影のための操作を受け付けるボタンである。撮影ボタン201が表示面11cに表示されることにより、当該撮影ボタン201の配置が通知される。
【0055】
図4は、図3に示される処理の実行中における、撮影方向V、撮影方向Vの水平面に対する傾き角θ、および撮影ボタン201の配置について説明するための表である。
【0056】
なお、図4において、一点鎖線は、水平面の方向を示す。傾き角θは、‐90度から+90度の範囲の値を取り得る。θ=0°は、撮影方向Vが水平方向を向くことを示す。θ=+90°は、撮影方向Vが真上に傾くことを示す。θ=‐90°は、撮影方向Vが真下に傾くことを示す。
【0057】
実際には、表示面11c上において撮影ボタン201の下に撮影画像が表示されるが、図4では、便宜上、撮影画像の図示が省略されている。図6、図11および図12についても同様である。
【0058】
図3のステップS102と図4を参照して、CPU100は、図4の左側の列(θ=0°)に示されているように、撮影ボタン201を、表示面11cの下端の位置に表示するよう初期設定するとともに、当該下端の位置に撮影ボタン201を表示する。表示面11cの下端の位置が、撮影ボタン201の初期位置となる。なお、撮影ボタン201は、表示面11cに表示されている撮影画像の上に重ねて表示される。
【0059】
次に、CPU100は、鉛直方向における撮影方向に基づいて、表示面11cにおいて撮影ボタン201を移動させる。具体的には、CPU100は、加速度センサ108を用いて検出した撮影方向Vに基づき上述の傾き角θを取得し(S103)、撮影ボタン201を、傾き角θに応じた位置へ移動させる(S104)。この際、CPU100は、撮影ボタン201の移動後も、撮影ボタン201に対する操作を受付可能な状態を保つ。
【0060】
ステップS104において、撮影ボタン201の表示位置は、以下のように設定される。θ<0である場合、撮影ボタン201の位置は初期位置に設定される。0≦θ<90°である場合、撮影ボタン201の移動先の位置は、初期位置を基準として傾き角θに略比例した距離だけ初期位置より上側(Y軸正方向)の位置に設定される。たとえば、図4の表における中央の列に示す如く、撮影方向Vが水平面に対して斜め上に傾くことによって傾き角θ=45°が取得された場合、撮影ボタン201の表示位置は、表示面11cの略中央に設定される。θ=90°である場合、撮影ボタン201の表示位置は、表示面11cの上端の位置(図4の右側の列における撮影ボタン201の位置参照)に設定される。
【0061】
ステップS105において、CPU100は、撮影のための操作がなされたか否かを判定する。ユーザが撮影ボタン201を押下した場合(S105:YES)、CPU100は、周囲へ撮影が行われていることを通知するためのシャッター音等の撮影音(操作音)
を、スピーカ15aから再生する(S106)。さらに、CPU100は、撮影ボタン201が押下された時における撮影画像を静止画像として取得し、メモリ101へ記憶させる。
【0062】
なお、静止画像を保存する際(S107)、CPU100は、静止画像の保存の要否を、ユーザへ問い合わせる。撮影画像の保存を許可する操作がなされた場合、CPU100は、上述の如く静止画像を保存する。撮影画像の保存を許可しない操作がなされた場合、CPU100は、保存の対象であった静止画像を破棄する。
【0063】
ステップS107の処理の実行後、または撮影のための操作がなされなない場合(S105:NO)、CPU100は、S108の処理へ進む。ステップS108において、CPU100は、静止画像の撮影のためのアプリケーションを終了するための操作がなされたか否かを判定する。終了のための操作がない場合(S108:NO)、CPU100は、ステップS103の処理へ戻る。終了のための操作がなされない間(S108:YES)、撮影ボタン201を傾き角θに基づいて移動させるための処理(S103、S104)が、繰り返し実行される。
【0064】
終了のための操作がなされた場合(S108:YES)、CPU100は、カメラモジュール16から撮影画像を取り込むための動作を停止し(S109)、当該アプリケーションを終了する。
【0065】
このように、撮影のための操作が待ち受けられている間、CPU100は、撮影ボタン201を、傾き角θに応じた位置に表示する。
【0066】
以上、本実施の形態によれば、CPU100は、撮影のための操作を待ち受けている間、表示面11cに表示させた撮影ボタン201の配置を変化させる。盗撮を試みる者は、表示面11cを継続的に視認することは容易ではない。このため、盗撮を試みる者は撮影ボタン201の位置を特定できにくく、撮影のための操作を行うことが難しい。つまり、本実施の形態によれば、盗撮行為が抑制される。
【0067】
その一方で、ユーザが通常の撮影すなわち盗撮を目的としない撮影を行う場合、撮影ボタン201が撮影方向Vと反対の方向を向く表示面11cに表示され、ユーザはこのように表示された撮影ボタン201を視認できる。このため、ユーザは、撮影ボタン201の表示位置を容易に特定でき、撮影ボタン201の押下により容易に撮影のための操作を行える。つまり、撮影の利便性が保たれる。
【0068】
よって、盗撮を目的としない撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できる。
【0069】
さらに、本実施の形態の構成によれば、撮影方向Vが上に傾くほど撮影ボタン201が初期位置から離れて配置される。たとえば、盗撮を試みる者が女性のスカート内を盗撮しようとする場合、撮影方向Vは上に傾き、撮影ボタン201は、初期位置から離れた位置に表示される。このように、携帯電話機1が盗撮行為の可能性が高い状態になると、撮影ボタン201が通常の位置(初期位置)から離れることになるので、盗撮行為がより抑制される。
【0070】
また、たとえば上述の如くスカート内を盗撮することを試みる者は、撮影方向Vが上方向へ傾く状態の携帯電話機1を低い位置において使用する場合がある。このとき、撮影ボタン201は下方向へ傾く状態にある表示面11c上に表示されるため、盗撮を試みる者は撮影ボタン201を視認できない。よって、撮影ボタン201の押下が困難となり、盗撮行為がより抑制される。
【0071】
また、撮影方向Vの傾きに基づいて、撮影ボタン201が移動する構成とした場合、盗撮を試みる者が盗撮を行おうとする際に撮影方向Vの傾きを一定にしておくことは難しいため、撮影ボタン201が頻繁に移動することになる。よって、撮影を試みる者が撮影ボタン201を押下することが一層難しくなり、撮影抑制効果が高まる。
【0072】
なお、撮影ボタン201の移動のための処理(S104)における撮影ボタン201の移動の態様は、あくまでも一例である。撮影方向Vの傾き角θに基づき表示面11cにおいて縦方向(Y軸方向)へ撮影ボタン201を移動する構成に限らず、横方向(X軸方向)や斜め方向へ撮影ボタン201を移動する構成、曲線に沿って撮影ボタン201を移動する構成等、各種の態様で撮影ボタン201を移動させる構成が採られてもよい。
【0073】
<変更例1>
図5は、変更例1に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【0074】
図5のフローチャートでは、図3に示すフローチャートのステップS103、S104の処理が、ステップS111、S112の処理に置換される。
【0075】
図6は、本変更例に係る、撮影ボタン201の位置の、時間経過に伴う変化を説明するための表である。図6の表における左側、中央、および右側の列は、それぞれ、撮影ボタン201が初期表示された直後(0秒後)、T秒後、および2T秒後における、表示面11c上での撮影ボタン201の表示位置を示す。
【0076】
上記実施の形態と同様、CPU100は、ステップS102において、図6の表における左側の列に示す如く、撮影ボタン201を初期位置に表示する。なお、本変更例では、ステップS102において、CPU100は、計時のためタイマ109をスタートさせる。
【0077】
ステップS111において、CPU100は、計時する時間が、所定周期(T秒。たとえば、数秒〜十数秒程度)を経過したか否かを判定する。時間が所定周期T秒を経過しない場合(S111:NO)、後段のステップS112をスキップして、ステップS105へ進む。たとえば、上述の撮影ボタン201の初期表示直後(T秒が経過する前)においては、ステップS111においてNOと判定される。
【0078】
時間が所定周期T秒以上経過した場合(S111:YES)、CPU100は、ステップS112において、撮影ボタン201を不規則的に移動させるとともに、タイマ109をリセットし、計時を0秒から再開する。これにより、ステップS112の処理は、T秒経過する毎に実行される。
【0079】
なお、撮影ボタン201を不規則的に移動させるとは、具体的には、CPU100は、撮影ボタン201を、ユーザが安易に予測できないような位置へ移動させることである。ユーザが安易に予測できないような位置は、乱数、疑似乱数、撮影ボタン201の移動のルールを定めた座標の配列等に基づいて、CPU100により設定される。
【0080】
なお、上述の如く撮影ボタン201の位置を変化させる際、撮影ボタン201が一度に移動される距離は、撮影ボタン201の位置の特定が困難となるよう、移動幅が大きく設定されてもよいし、また、視認による撮影ボタン201の追跡が容易となるよう、移動幅が小さく設定されてもよい。
【0081】
また、撮影ボタン201が連続的に移動して見えるよう、所定周期Tが小さく(たとえば、数百ミリ秒程度)設定され、且つ、撮影ボタン201が一度に移動される距離が小さく(たとえば、数ピクセル〜数百ピクセル程度)に設定されてもよい。
【0082】
以上、本変更例の構成によれば、CPU100は、撮影のための操作を待ち受けている間、撮影ボタン201が設けられる領域である表示面11cにおいて、撮影ボタン201を不規則的に移動させる。具体的には、CPU100は、撮影ボタン201の位置を、所定周期T秒毎に不規則的に変化させる。上述の如く、盗撮を試みる者は、不規則的に移動する撮影ボタン201の位置を、視認により特定できない。このため、盗撮を試みる者は撮影ボタン201の位置を特定できにくく、撮影のための操作を行うことが難しい。つまり、盗撮行為が抑制される。
【0083】
その一方で、上記実施の形態と同様、ユーザが盗撮を目的としない撮影を行う場合、ユーザは、撮影ボタン201の表示位置を容易に特定でき、撮影ボタン201の押下により容易に撮影のための操作を行える。つまり、撮影の利便性が保たれる。
【0084】
よって、盗撮を目的としない撮影の利便性を保ちつつ、盗撮行為を抑制できる。
【0085】
<変更例2>
図7は、変更例2に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【0086】
図7のフローチャートでは、図3のフローチャートにおけるステップS103の処理の前段にステップS121の判定処理が挿入され、さらに、ステップS121の判定処理に続いて実行されるステップS122の処理が追加される。
【0087】
ステップS102またはS108の処理の実行後、CPU100は、ステップS121の判定処理を実行する。当該判定条件は、カメラモジュール16が、盗撮を目的としないような、通常の撮影のために使用されると判断するための条件である。この判定条件は、たとえば静止画像の撮影のためのアプリケーションとともに、予めメモリ101に保持されている。
【0088】
ステップS121では、撮影ボタン201の移動(S104)を中止するか否かを判定する判定処理が実行される。当該判定処理に係る判定条件は、具体的には、随時カメラモジュール16から取得される撮影画像において、人物の顔が検出されるか否かの条件である。
【0089】
以下に、ステップS121の判定処理の内容を、例を用いて説明する。
【0090】
携帯電話機1が人物の顔へ向けられた場合、撮影画像は人物の顔の画像を含む。CPU100は、撮影画像から人物の顔を検出した場合(S121:YES)、撮影ボタン201の位置を初期位置へ戻す(S122)。そして、ステップS105の処理へ進む。なお、撮影ボタン201が初期位置にあった場合には、初期位置に維持される。
【0091】
他方、撮影画像が人物の顔の画像を含まない場合、CPU100は、このような撮影画像から人物の顔を検出しない(S121:NO)。この場合、CPU100は、ステップS103の処理へ進む。たとえば、ユーザが、人物を下方または背後から撮影する場合、または建築物を撮影する場合には、撮影画像は人物の顔の画像を含まないため、ステップS121においてNOと判定される。
【0092】
上述の人物の顔を検出するための処理(S121)は、たとえば、以下のようにして、実行される。
【0093】
CPU100は、撮影画像において、主に肌色からなる部分画像を抽出し、さらに、抽出した部分画像において、目、鼻、口、シワ等の顔の特徴部分を、当該部分画像の色彩、彩度等の分布に基づいて検出する。CPU100は、当該部分画像に、一定の割合で顔の特徴部分が含まれることを検出した場合、当該撮影画像から人物の顔の画像が検出されたと判定する(S121:YES)。CPU100は、撮影画像より一定の割合で顔の特徴部分が検出されなかった場合、撮影画像から人物の顔が検出されないと判定する(S121:NO)。
【0094】
以上、本変更例の構成によれば、CPU100は、所定の判定条件が満たされる場合、すなわち撮影画像において人物の顔が検出される場合、撮影ボタン201の変化を抑制する、すなわち移動を中止する。さらに、CPU100は、撮影ボタン201の位置を初期位置へ戻す。
【0095】
たとえば、撮影画像から人物の顔が検出されるような撮影が行われる場合、当該撮影は、盗撮を目的としない撮影である蓋然性が高い。本変更例の構成によれば、このように盗撮を目的としない通常の撮影が行われている蓋然性が高いと考えられる場面において、撮影ボタン201の移動が中止される。これによって、通常の撮影を行うユーザは、静止した状態で表示面11cに表示されている撮影ボタン201を視認することにより、容易に撮影のための操作を行える。
【0096】
たとえ撮影方向Vが上に傾くような状態で携帯電話機1による撮影が行われたとしても、ユーザが人物の顔を含む被写体を撮影しているときには、撮影ボタン201は表示面11cに静止した状態で表示される。
【0097】
よって、盗撮を目的としない撮影が行われている蓋然性が高い場合における、撮影の利便性が良好に保たれる。
【0098】
さらに、本変更例では、撮影画像において人物の顔が検出される場合には、上述の如く撮影ボタン201が初期位置に表示される(S122)。ユーザは、撮影ボタン201を平常時と同じ位置にあることを視認でき、よって、撮影の利便性が保たれる。
【0099】
<変更例3>
上記変更例2における顔の検出に係る構成は、以下に説明するように、上記変更例1(図5参照)にも適用可能である。
【0100】
図8は、変更例3に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。
【0101】
図8のフローチャートでは、図5のフローチャートにおけるステップS111の処理の前段に、ステップS121の判定処理が挿入され、さらに、ステップS121の判定処理に続いて実行されるステップS122の処理が追加される。
【0102】
なお、図8に示されたステップS121、S122の処理は、それぞれ、上記変更例2に係る、図7に示されたステップS121、S122の処理に同じである。
【0103】
ステップS102またはS108の処理の後、CPU100は、ステップS121の、顔の検出に係る判定処理を実行する。撮影画像から人物の顔が検出された場合(S121
:YES)、CPU100は、上記変更例2と同様、撮影ボタン201の位置を初期位置へ移動し(S122)、さらにステップS105の処理へ進む。撮影画像から人物の顔が検出されない場合(S121:NO)、CPU100は、ステップS111の処理へ進む。
【0104】
以上、本変更例の構成によれば、撮影画像から人物の顔が検出された場合、撮影ボタン201の配置の変化が抑制される。具体的には、撮影ボタン201の不規則的な移動が中止される。このため、ユーザが人物の顔を含む被写体を撮影する場合、ユーザは、静止した状態で表示面11cに表示される撮影ボタン201を視認することにより、容易に撮影のための操作を行える。
【0105】
よって、盗撮を目的としない撮影が行われている蓋然性が高い場合における、撮影の利便性が良好に保たれる。
【0106】
<変更例4>
変更例4では、撮影方向Vが水平面方向を含む所定範囲に含まれることに基づいて、盗撮を目的としない撮影が行われている蓋然性が高いと判定され、撮影ボタン201の配置の変化を中止する構成が採られる。
【0107】
図9(a)は、変更例4に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。図9(a)のフローチャートでは、図3のフローチャートにおけるステップS104の前段にステップS131の判定処理が挿入され、さらに、ステップS131の判定処理に続いて実行されるステップS132の処理が追加される。なお、図9(a)のフローチャートにおいて、ステップS104、S131およびS132以外の処理は図示を省略する。
【0108】
なお、ステップS132の処理は、変更例2に係る図7のフローチャートに示されたステップS122の処理に同じである。
【0109】
ステップS131において、CPU100は、撮影方向Vが、水平面方向を含む所定の範囲に含まれるか否かを判定する。具体的には、CPU100は、ステップS103において検出された撮影方向Vの傾き角θが、所定閾値θ1(たとえば30°)以下、すなわちθ≦θ1であるか否かを判定する。
【0110】
ここで、閾値θ1は、通常ユーザが通常の使用態様にて撮影を行う際における、想定される傾き角θの上限程度の値に設定される。閾値θ1は、たとえば10°〜60°程度の範囲内の値に設定できる。閾値θ1は、盗撮行為を抑制することを優先して、小さく設定されてよい。また、閾値θ1は、撮影の利便性を優先して、大きく設定されてもよい。
【0111】
傾き角θが閾値θ1以下である場合(θ≦θ1。S131:YES)、CPU100は、撮影ボタン201の位置を初期位置へ戻し(S132)、さらにステップS105の処理へ進む。
【0112】
傾き角θが閾値θ1を超える場合(θ>θ1。S131:YES)、CPU100は、取得した傾き角θに応じて、撮影ボタン201を移動し(S104)、さらにステップS105の処理へ進む。
【0113】
このように、本変更例の構成では、傾き角θが閾値θ1を超えるまで撮影方向Vが上方向に傾かなければ、撮影ボタン201は、初期位置に維持される。
【0114】
以上、本変更例の構成によれば、CPU100は、所定の判定条件が満たされる場合、すなわち、撮影方向Vが水平面から上方向に傾く傾き角θが閾値θ1を越える場合、CPU100は、撮影ボタン201の位置を傾き角θに対応する位置に変化させる。傾き角θが閾値θ1を越えない場合、CPU100は、撮影ボタン201の移動を中止するとともに、撮影ボタン201を初期位置に位置付ける。
【0115】
たとえば、盗撮を試みる者が女性のスカート内を盗撮しようとする場合など、盗撮が懸念されるような、撮影方向Vが上に傾く状態で撮影が行われる場合には、撮影ボタン201は移動する。その一方で、撮影方向Vが上に傾く状態に比較して盗撮の懸念が高くない場合には、撮影ボタン201の移動が中止される。
【0116】
よって、盗撮の可能性が低いい場合における、撮影の利便性が良好に保たれる。
【0117】
<変更例5>
上記変更例4における撮影方向Vに基づいて撮影ボタン201の移動を中止させる構成は、以下に説明するように、上記変更例1(図5参照)にも適用可能である。
【0118】
図9(b)は、変更例5に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。図9(b)のフローチャートでは、図5のフローチャートにおけるステップS111の前段にステップS133の処理とステップS131の判定処理とが挿入され、さらに、ステップS131の判定処理に続いて実行されるステップS132の処理が追加される。なお、図9(b)のフローチャートにおいては、ステップS111、S112、S131〜S133以外の処理は図示を省略する。
【0119】
なお、ステップS131とS132の処理は、それぞれ、変更例4に係る図9(a)のフローチャートに示されたステップS131、S132の処理に同じである。また、ステップS133の処理は、実施の形態に係る図3のフローチャートに示されたステップS103の処理に同じである。
【0120】
ステップS133において、CPU100は、傾き角θを取得し(S133)、ステップS131の判定処理へ進む。
【0121】
上記変更例4と同様に、ステップS131において、CPU100は、撮影方向Vが水平面方向を含む所定の範囲に含まれるか否か、すなわちθ≦θ1であるか否かを判定する。
【0122】
θ≦θ1である場合(S131:YES)、撮影ボタン201の位置を初期位置へ戻し(S132)、さらにステップS105の処理へ進む。
【0123】
θ>θ1である場合(S131:NO)、CPU100は、所定時間(T秒)経過する毎に撮影ボタン201を不規則的に移動させ(S111、S112)、さらにステップS105の処理へ進む。
【0124】
以上、本変更例の構成によれば、上記変更例5と同様、盗撮の懸念が高くない場合における、撮影の利便性が良好に保たれる。
【0125】
<変更例6>
図10は、変更例6に係る、静止画像の撮影のための処理手順を示すフローチャートである。図10のフローチャートでは、上記実施の形態に係る図3のフローチャートにおけるステップS106の処理が、ステップS141〜S144の処理に置き換えられる。な
お、図10のフローチャートにおいては、ステップS107、S141〜S144以外の図示は省略する。
【0126】
なお、ステップS141、S143の処理は、それぞれ、図3のフローチャートに示されたステップS103、S106の処理に同じである。
【0127】
ステップS105の処理の後、CPU100は、撮影方向Vの傾き角θを取得し(S141)、ステップS142の処理へ進む。
【0128】
ステップS142において、CPU100は、傾き角θが、所定閾値θ2(たとえばθ2=θ1。または10°〜45°程度)以下、すなわちθ≦θ2であるか否かを判定する。
【0129】
θ≦θ2である場合(S142:YES)、CPU100は、周囲へ撮影が行われていることを通知する通常の撮影音をスピーカ15aから再生し(S143)、ステップS107の処理へ進む。ここで、「通常の撮影音」は、図3のステップS103において再生される撮影音と同様の撮影音を指し、以下に説明する、通常とは異なる撮影音(S144参照)と区別される。
【0130】
θ≦θ2ではない場合(S142:NO)、CPU100は、通常とは異なる撮影音をスピーカ15aから再生し(S144)、ステップS107の処理へ進む。ここで、通常とは異なる撮影音は、現在撮影が行われていることを、周囲へより確実に通知するための、音声である。通常とは異なる撮影音は、たとえば、上記の通常の撮影音において音量を大きくした撮影音、周囲の注意を引くための警告音、アナウンス音声(たとえば「写真を撮りました。」)等である。
【0131】
以上、変更例の構成によれば、CPU100は、傾き角θが閾値θ2を越えた状態で撮影ボタン201が操作されたときの撮影音を、傾き角θが閾値θ2を越えない状態で撮影ボタン201が操作されたときの撮影音と相違させる。上記構成により、携帯電話機1の周囲へ、現在撮影が行われていることをより確実に通知することができる。
【0132】
このような構成が採られることにより、女性のスカート内を盗撮すること等の盗撮行為が懸念されるような、撮影方向Vが上に傾く状態で撮影が行われた場合には、通常とは異なる撮影音が再生される。通常とは異なる撮影音の再生により、周囲の注意を強く引くこととなる。このため、盗撮行為が効果的に抑制される。
【0133】
なお、本変更例の構成は、上記変更例1〜5へも適用可能である。
【0134】
<その他>
以上、本発明の実施の形態および変更例について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0135】
上記実施の形態および変更例1〜6では、撮影ボタン201が移動する構成が採られているが、撮影ボタン201の位置に限らず、撮影ボタン201の大きさ、形状、等、撮影ボタン201に係る各種の配置が変化するよう構成できる。たとえば、上記実施の形態に、撮影ボタン201の大きさを変更するよう撮影ボタン201の配置を変化させる構成を採ることができる。たとえば、図11に示す如く、撮影ボタン201の配置領域である表示面11cにおいて、撮影方向Vが水平面から上に傾く角度(傾き角θ)に応じて、撮影ボタン201が、移動するとともに縮小される構成が採られてもよい。撮影ボタン201
の大きさは変更するが移動はさせない構成が採られてもよい。この場合、上に傾く角度が大きくなるほど、撮影ボタン201の大きさが小さくされることにより、目視なしで撮影ボタン201が押下され難くなる。
【0136】
上記実施の形態および変更例1〜6において説明された、撮影ボタン201の配置を変化させるための処理は、スピーカ15aから撮影音が再生されないよう設定されているときのみ実行されてもよい。この場合、携帯電話機1による撮影が行われていることの周囲への通知は、撮影音が再生されるよう設定されている場合には当該撮影音によりなされ、撮影音が再生されないよう設定されている場合には、撮影ボタン201の配置の変化が抑制される。
【0137】
また、変更例2〜5において、スピーカ15aから撮影音が再生されるよう設定されているとき、所定の判定条件が満たさない場合(S131:NO、S21:NO)には撮影音が再生され、所定の判定条件が満たされる場合には(S131:YES、S21:YES)撮影音が再生されないよう構成できる。
【0138】
上記変更例2〜5において、所定の判定条件(S121、S131)が満たされる場合、撮影ボタン201の配置の変化が抑制されるともに、その配置が初期状態へ戻る。しかしながら、配置が初期状態へ戻されない構成が採られてもよい。たとえば、変更例2、3に係るフローチャート(図7、図8)において、ステップS122を削除した構成が採られてもよい。このような構成が採られる場合において、撮影ボタン201の配置の変化が抑制されたとき(S121:YES)、撮影ボタン201の配置が、変化が抑制された時の状態に保たれる。つまり、撮影ボタン201の位置が、移動が中止された時の位置に保たれる。同様に、変更例4、5に係るフローチャート(図9(a)、9(b))において、ステップS132を削除した構成が採られてもよい。
【0139】
上記実施の形態および変更例1〜6において、撮影ボタン201は、常に表示面11cにおいて画像として表示される構成が採られる。しかしながら、撮影ボタン201は、いわゆるボタンやアイコン等の画像として常時に表示面11cに表示される必要はない。
【0140】
たとえば、上記実施の形態に係る図3のフローチャートにおけるステップS102の処理に替えて、撮影画像が表示される画像表示領域を撮影のための操作を受け付ける領域とするよう構成できる。この構成において、撮影ボタン201は、初期設定において不可視とされ、画像表示領域全体が撮影ボタン201とされる。画像表示領域上には、撮影ボタン201の画像は表示されず撮影画像が表示される。また、この構成におけるステップS104において、傾き角θが所定閾値(たとえば30°)以上である場合に、上記実施の形態で説明されたのと同様の撮影ボタン201の画像が表示される構成が採られる。たとえば、図12の表示に示す如く、θ≦θ1であるときには(左側の列)、表示面11cにおける画像表示領域202に対する操作(タップ)が、撮影のための操作として受け付けられ、θ>θ1であるときには(中央および右側の列)、図4を用いて説明されたときと同様に撮影ボタン201の位置が変化する。
【0141】
また、携帯電話機1の撮影方向Vが略真上を向く状態(傾き角θ≒90°)において、撮影のための撮影ボタン201に対する操作が受け付けないよう、表示面11cにおいて撮影ボタン201を消去する構成が採られてもよい。
【0142】
上記変更例2と変更例4の構成は、互いに組み合わせることが可能である。たとえば、図9(a)に示すステップS131の判定処理に替えて、図13(a)のフローチャートに示す如く、撮影画像から顔が検出されるか、またはθ≦θ1であるか否かを判定する処理(S151)が実行されてもよい。同様に、上記変更例3と変更理恵5の構成は、互い
に組み合わせることが可能である。たとえば、図9(b)に示すステップS131の判定処理に替えて、図13(a)のフローチャートに示す如く、撮影画像から顔が検出されるか、またはθ≦θ1であるか否かを判定する処理(S151)が実行されてもよい。このように、撮影ボタン201の配置の変化を抑制するための判定条件は、AND、OR、NOT等の論理演算子で各種の条件を組み合わせて構成されることができる。判定条件を構成する各条件は、盗撮を目的としない撮影が行われている蓋然性が高い場合を検出する条件、盗撮の可能性が低い場合を検出する条件等、各種の条件が適宜選択されてよい。
【0143】
上記実施の形態および変更例1〜6において、撮影ボタン201が設けられる領域(配置領域)は表示面11cであるが、撮影ボタン201が設けられる領域を、表示面11cと異なる領域とする構成が採られてもよい。たとえば、撮影ボタン201は、図14に示す如く、ハードキーとして構成されてもよい。図14の表示に示す如く、キャビネット10に、ハードキーであるテンキー203をさらに備える折りたたみ式の携帯電話機1において、変更例1の構成が適用されることができる。この場合、テンキー203が配される領域が撮影ボタン201を配置するための領域であり、テンキー203の何れかのキーを撮影ボタン201とするよう設定する構成が採られる。なお、カメラモジュール16は、上記テンキー203が向く方向と反対の方向を向くよう配されている。図14の表における左側(0秒後)、中央(T秒後)、および右側(2T秒後)の列は、それぞれ、撮影ボタン201が、「4」キー、「2」キー、「9」キーへとT秒毎に移動する例を示す。CPU100は、所定時間(T秒)毎にテンキー203の何れかのキーを撮影ボタン201とするよう設定することにより撮影ボタン201を移動させるとともに、撮影ボタン201の配置を通知するテキスト204を表示面11cに表示する。なお、撮影ボタン201に設定されたキーに配されるキーバックライトを点灯(図14参照)させることにより、撮影ボタン201の位置が通知されてもよい。また、テキスト204が表示されず、キーバックライトの点灯により撮影ボタン201の位置が通知される構成が採られてもよい。
【0144】
なお、上記の折りたたみ式の携帯電話機1において、上述の如くテンキーが撮影ボタン201を配置するための領域とする構成に替えて、または当該構成に加えて、当該携帯電話機1の表示面11cに表示された撮影ボタン201(の画像)の配置が変化する構成が採られてもよい。この構成によっても、撮影ボタン201の配置領域を構成する表示面11cが、通常の撮影の際にカメラモジュール16が向く方向と反対の方向を向くよう配置されるため、ユーザは表示面11cに表示される撮影ボタン201を視認することにより撮影のための操作を行える。また、撮影ボタン201の画像の配置が変化することにより盗撮を防止できる。
【0145】
なお、携帯電話機1は、撮影ボタン201の配置領域が撮影方向Vと反対の方向を常に向くよう構成されている必要はない。たとえば、上記の折りたたみ式の携帯電話機1に、本発明を適用できる。この場合、携帯電話機1が折り畳まれた状態にあるときには、撮影ボタン201の配置領域が撮影方向Vと反対の方向を向かない。
【0146】
また、撮影ボタン201が配置される配置領域は、表示面11cやテンキー203上に限らず、たとえばその他のハードキーまたはソフトキーが配される領域を含むよう構成されてもよい。
【0147】
上記実施の形態および変更例2〜5では、所定の判定条件が満たされた場合において、撮影ボタン201の配置の変化(移動)が中止されるが、たとえば撮影ボタン201の移動の距離を小さく設定する、移動の時間間隔を大きく設定する等、変化が中止はされないが抑制される構成が採られてもよい。
【0148】
上記実施の形態および変更例1〜6では、カメラモジュール16は、撮影方向Vと表示
面11cとが互いに反対の方向を向くよう配される。しかしながら、カメラモジュール16は、表示面11cが向く方向と撮影方向Vとが略同一となるような位置に備えられてもよい。たとえば、表示面11cと同一面上に備えられてもよい。この構成が採られた場合も、撮影ボタン201の配置が変化することにより、盗撮を試みる者が撮影ボタン201に対する操作を行うことが難しくなるため、盗撮行為が抑制される。
【0149】
さらに、本発明は、静止画の撮影のためのアプリケーションに限らず、動画の撮影のためのアプリケーションにも適用可能である。たとえば、動画の撮影のためのアプリケーションが実行される際、CPU100が録画を開始するためのボタンを表示面11cへ表示し、当該ボタンを移動させる等、ボタンの配置を変化させる構成が可能である。また、上記実施の形態および変更例1〜6の各構成を、当該ボタンの変化に対しても適用できる。
【0150】
上記実施の形態では、スマートフォン型の携帯電話機に本発明が適用されている。しかしながら、これに限らず、ストレート式、折りたたみ式、スライド式等、他のタイプの携帯電話機に本発明が適用されてもよい。
【0151】
さらに、本発明は、携帯電話機に限られず、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレットPC(TabletPC)等のカメラ機能付き機器に適用可能である。
【0152】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0153】
1 携帯電話機 (カメラ機能付き機器)
11c 表示面 (表示面、配置領域)
12 タッチセンサ (入力部)
15a スピーカ (出力部)
16 カメラモジュール (撮影部)
100 CPU (制御部、傾き検出部、顔検出部、出力部)
101 メモリ (記憶部)
201 撮影ボタン (操作部)
108 加速度センサ (傾き検出部)
V 撮影方向
θ 傾き角 (傾き、傾き角)
θ1 閾値 (第1の閾値)
θ2 閾値 (第2の閾値、閾値)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影する撮影部と、
所定の配置領域に配置された、前記撮影部による撮影のための操作部と、
前記操作部の配置を前記配置領域において変化させる制御部と、を備える
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラ機能付き機器において、
前記制御部は、前記配置を変化させる制御として、前記操作部の位置、大きさ、および形状のうち少なくとも1つを変化させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部による撮影方向の鉛直方向における傾きを検出する傾き検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記傾きに基づいて、前記操作部の前記配置を変化させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラ機能付き機器において、
前記制御部は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が第1の閾値を越える場合に、前記配置領域上における前記操作部の位置を前記傾き角に対応する位置に変化させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラ機能付き機器において、
前記制御部は、前記傾き角が前記第1の閾値を越えない場合、前記操作部を前記配置領域上の初期位置に位置付ける、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項6】
請求項3ないし5の何れか一項に記載のカメラ機能付き機器において、
前記操作部が操作されたときに操作音を出力する出力部をさらに備え、
前記出力部は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が第2の閾値を越えた状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音を、前記傾き角が前記第2の閾値を越えない状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音と相違させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項7】
請求項1または2に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部による撮影方向の鉛直方向における傾きを検出する傾き検出部と、
前記操作部が操作されたときに操作音を出力する出力部と、をさらに備え、
前記出力部は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が所定の閾値を越えた状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音を、前記傾き角が前記閾値を越えない状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音と相違させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部が通常の前記撮影のために使用されると判断される所定の条件を保持する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記所定の条件が満たされる場合に、前記所定の条件が満たされない場合に比べて、前記操作部の前記配置の変化を抑制させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項9】
請求項8に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部より取得される画像から人物の顔を検出する顔検出部をさらに備え、
前記条件は、前記顔検出部により前記顔が検出されることを含む、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部による撮影の際に前記撮影部が向く方向と反対の方向を向く表示面と、
前記表示面に対する入力を受け付ける入力部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部に対応する画像を前記表示面に表示するとともに、当該画像の前記配置を前記表示面において変化させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項11】
被写体を撮影する撮影部を備えるカメラ機能付き機器のコンピュータに、
所定の配置領域に、前記撮影部による撮影のための操作部を設ける機能と、
前記操作部の配置を前記配置領域において変化させる機能と、を付与する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
被写体を撮影する撮影部を備えるカメラ機能付き機器の盗撮防止制御方法において、
所定の配置領域に、前記撮影部による撮影のための操作部を配置するステップと、
前記操作部の配置を、前記配置領域において変化させるステップを含む、
ことを特徴とする盗撮防止制御方法。
【請求項1】
被写体を撮影する撮影部と、
所定の配置領域に配置された、前記撮影部による撮影のための操作部と、
前記操作部の配置を前記配置領域において変化させる制御部と、を備える
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラ機能付き機器において、
前記制御部は、前記配置を変化させる制御として、前記操作部の位置、大きさ、および形状のうち少なくとも1つを変化させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部による撮影方向の鉛直方向における傾きを検出する傾き検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記傾きに基づいて、前記操作部の前記配置を変化させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラ機能付き機器において、
前記制御部は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が第1の閾値を越える場合に、前記配置領域上における前記操作部の位置を前記傾き角に対応する位置に変化させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項5】
請求項4に記載のカメラ機能付き機器において、
前記制御部は、前記傾き角が前記第1の閾値を越えない場合、前記操作部を前記配置領域上の初期位置に位置付ける、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項6】
請求項3ないし5の何れか一項に記載のカメラ機能付き機器において、
前記操作部が操作されたときに操作音を出力する出力部をさらに備え、
前記出力部は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が第2の閾値を越えた状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音を、前記傾き角が前記第2の閾値を越えない状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音と相違させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項7】
請求項1または2に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部による撮影方向の鉛直方向における傾きを検出する傾き検出部と、
前記操作部が操作されたときに操作音を出力する出力部と、をさらに備え、
前記出力部は、前記撮影方向が水平面から上方向に傾く傾き角が所定の閾値を越えた状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音を、前記傾き角が前記閾値を越えない状態で前記操作部が操作されたときの前記操作音と相違させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部が通常の前記撮影のために使用されると判断される所定の条件を保持する記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記所定の条件が満たされる場合に、前記所定の条件が満たされない場合に比べて、前記操作部の前記配置の変化を抑制させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項9】
請求項8に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部より取得される画像から人物の顔を検出する顔検出部をさらに備え、
前記条件は、前記顔検出部により前記顔が検出されることを含む、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載のカメラ機能付き機器において、
前記撮影部による撮影の際に前記撮影部が向く方向と反対の方向を向く表示面と、
前記表示面に対する入力を受け付ける入力部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部に対応する画像を前記表示面に表示するとともに、当該画像の前記配置を前記表示面において変化させる、
ことを特徴とするカメラ機能付き機器。
【請求項11】
被写体を撮影する撮影部を備えるカメラ機能付き機器のコンピュータに、
所定の配置領域に、前記撮影部による撮影のための操作部を設ける機能と、
前記操作部の配置を前記配置領域において変化させる機能と、を付与する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
被写体を撮影する撮影部を備えるカメラ機能付き機器の盗撮防止制御方法において、
所定の配置領域に、前記撮影部による撮影のための操作部を配置するステップと、
前記操作部の配置を、前記配置領域において変化させるステップを含む、
ことを特徴とする盗撮防止制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−110717(P2013−110717A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256597(P2011−256597)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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