説明

カメラ用アクチュエータ

【課題】平板状マグネットが使用可能なヨークを有するカメラ用アクチュエータを提供すること。
【解決手段】本発明のカメラ用アクチュエータは、レンズユニットが取り付けられた筒状部を有するホルダと、筒状部の周囲に位置するようにホルダに設けられたコイルと、ホルダの光軸方向の上下両側に設けられた板バネと、内筒部31と内筒部31の外側に所定間隔を置いて位置する外筒部32とを有し、内筒部31と外筒部32との間にコイルを収容するヨーク30と、コイルと対向した状態でヨーク30に設けられたマグネットと、を備える。ヨーク30の外筒部32は光軸に直交する方向の断面が12角形をなし、外筒部32の内面に複数の面を有し、複数の面のうち所定の面を平面状の磁石取付面とし、マグネットは複数の平板状マグネット40から構成され、これらの平板状マグネット40が磁石取付面に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ用アクチュエータに関し、さらに詳しくは、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話などのカメラ付き小型電子機器に用いることができるカメラ用アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどにおいて、オートフォーカスおよびズームを目的として、コイルに流れる電流により発生する磁界とマグネットの磁界との相互作用によって、光軸方向にレンズを変位させることができるカメラ用アクチュエータが使用されている。最近では、カメラ付き携帯電話に搭載されているカメラも、撮像素子の画素数が100万画素以上のメガピクセル化するに伴い、オートフォーカス機能が要求されるようになってきている。
【0003】
従来のカメラ用アクチュエータとしては、特許文献1に開示されているようなものが知られている。従来のカメラ用アクチュエータ100は、図7に示されるように、円筒形状の内筒部131と内筒部131の外側に所定間隔を置いて位置する円筒形状の外筒部132とを有するヨーク130と、ヨーク130の外筒部132の内面133に取り付けられたマグネット140と、レンズ(レンズユニット)105が取り付けられた筒状部を有するキャリア(ホルダ)110と、キャリア110の筒状部の周囲に位置するように設けられたコイル120と、ヨーク130を保持するベース185およびフレーム180と、キャリア110を支持する一対のスプリング(板バネ)160U、160Lとを備える。これら一対のスプリング160U、160Lは、キャリア110を光軸方向において上下から挟んで支持するとともに、コイル120への給電経路として機能する。コイル120に電流を供給することによって、キャリア110が光軸方向に変位する。
【0004】
【特許文献1】特開2004−280031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のカメラ用アクチュエータ100では、円筒形状の外筒部132を有するヨーク130を使用しているため、ヨーク130の外筒部132の内面133は、光軸に直交する方向における断面が円をなす曲面となっている。したがって、このヨーク130の外筒部132の内面133に取り付けられるマグネット140は、1個のマグネットから構成されている場合であれ、複数個に分割されたマグネットから構成されている場合であれ、円弧状の曲面を有しなければならないが、そのような円弧状の曲面を有するマグネット140は、加工が難しいため価格が高くなり、部品コストがアップするという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的は、略平板状のマグネットが使用可能なヨークを有するカメラ用アクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のカメラ用アクチュエータは、レンズユニットが取り付けられた筒状部を有するホルダと、前記ホルダの前記筒状部の周囲に位置するように前記ホルダに設けられたコイルと、前記ホルダの前記筒状部の光軸方向の上下両側に設けられ、該ホルダを前記光軸に直交する方向に位置決めした状態で前記光軸方向に変位可能に支持する一対の板バネと、前記ホルダの前記筒状部を収容する内筒部と該内筒部の外側に所定間隔を置いて位置する外筒部とを有し、該内筒部と該外筒部との間に前記コイルを収容するヨークと、前記コイルと対向した状態で前記ヨークに設けられたマグネットと、を備え、前記コイルに通電することにより、前記レンズユニットが取り付けられた前記ホルダを前記光軸方向に変位させることができるカメラ用アクチュエータであって、前記ヨークの前記外筒部を前記光軸に直交する方向における断面が六角形以上の多角形をなすように構成することにより、前記外筒部の内面に複数の面を形成し、該複数の面のうち所定の面を磁石取付面とし、前記マグネットを複数の平板状マグネットから構成し、該平板状マグネットが前記磁石取付面に設けられていることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明のカメラ用アクチュエータでは、前記外筒部の内面の複数の面は、前記磁石取付面と前記平板状マグネットが取り付けられない磁石非取付面とを含み、前記磁石取付面と前記磁石非取付面とが交互に形成されていることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明のカメラ用アクチュエータでは、前記ヨークの前記外筒部は、前記断面が12角形をなし、前記磁石取付面を6個有しており、該6個の磁石取付面にそれぞれ前記平板状マグネットが設けられていることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明のカメラ用アクチュエータでは、前記6個の磁石取付面のうち1個おきの3個の前記磁石取付面にそれぞれ前記平板状マグネットが設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載のカメラ用アクチュエータによれば、ヨークの外筒部を光軸に直交する方向における断面が六角形以上の多角形をなすように構成することにより、外筒部の内面に複数の面を形成し、該複数の面のうち所定の面を磁石取付面とし、マグネットを複数の平板状マグネットから構成し、該平板状マグネットが磁石取付面に設けられている構成となっている。このような構成を有するカメラ用アクチュエータでは、円弧状の曲面を有するマグネットに比べて安価に製造できる平板状マグネットを用いることができ、部品コストを低減させることができる。
【0012】
請求項2記載のカメラ用アクチュエータによれば、外筒部の内面の複数の面は、磁石取付面と平板状マグネットが取り付けられない磁石非取付面とを含み、磁石取付面と磁石非取付面とが交互に形成されている。このため、外筒部の内面のすべての面に平板状マグネットがそれぞれ取り付けられる場合に比べて、平板状マグネットの数を減らすことができる。さらに、これらの平板状マグネットが外筒部の周方向に適切な間隔を置いて配置されるので、コイルに対して適切な磁界を形成することが可能となる。したがって、カメラ用アクチュエータの軽量化および部品コストの低減を実現するとともに、レンズユニットが取り付けられたホルダの安定した変位を実現することが可能となる。
【0013】
請求項3記載のカメラ用アクチュエータによれば、ヨークの外筒部は、光軸に直交する方向における断面が12角形をなし、磁石取付面を6個有しており、6個の磁石取付面にそれぞれ平板状マグネットが設けられている。光軸方向から見た6個の平板状マグネットの配置が円に近いので、これら6個の平板状マグネットがコイルに対して適切な磁界を形成することができる。したがって、レンズユニットが取り付けられたホルダの安定した変位を実現することができる。
【0014】
請求項4記載のカメラ用アクチュエータによれば、6個の磁石取付面のうち1個おきの3個の磁石取付面にそれぞれ平板状マグネットが設けられている。このため、すべての磁石取付面に平板状マグネットがそれぞれ取り付けられる場合に比べて、平板状マグネットの数を減らすことができるとともに、平板状マグネットが外筒部の周方向に適切な間隔を置いて配置されることによって、コイルに対して適切な磁界を形成することができる。したがって、カメラ用アクチュエータの軽量化および部品コストの低減を実現するとともに、レンズユニットが取り付けられたホルダの安定した変位を実現することができる。
【0015】
上述したおよび他の本発明の構成、作用および効果は、図面を参照して行う以下の好適実施形態の説明からより明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ本発明に係るカメラ用アクチュエータの好適実施形態について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明に係るカメラ用アクチュエータの実施形態の外観を示す斜視図である。図2は、図1に示すカメラ用アクチュエータの分解斜視図である。図3は、図1に示すカメラ用アクチュエータの断面図である。
【0018】
なお、本明細書においては、上および下の文言を適宜使用するが、各部材の説明において、図2に示す矢印の向きを上方向とし、この矢印の逆の向きを下方向とする。
【0019】
このカメラ用アクチュエータ1は、概略、図1、図2および図3に示すように、レンズユニット5が取り付けられた筒状部11を有するホルダ10と、ホルダ10の筒状部11の周囲に位置するようにホルダ10に設けられたコイル20と、ホルダ10の筒状部11の光軸方向の上下両側に設けられ、ホルダ10を前記光軸に直交する方向に位置決めした状態で光軸方向に変位可能に支持する一対の上側板バネ60U、下側板バネ60Lと、ホルダ10の筒状部11を収容する内筒部31と内筒部31の外側に所定間隔を置いて位置する外筒部32とを有し、内筒部31と外筒部32との間にコイル20を収容するヨーク30と、コイル20と対向した状態でヨーク30に設けられた複数の平板状マグネット40(図4参照)と、上側板バネ60Uをホルダ10との間で挟持するように、ホルダ10に取り付けられたストッパ70と、コイル20に電流を供給するために下側板バネ60Lに設けられた電極部90(図5参照)と、ストッパ70の上側に配置された上板81を有するカバー80と、前記下側板バネ60Lの下側に配置されたベース本体86を有するベース85と、を備える。なお、図2は、上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lを概略的に示したものであり、上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lの形状および構造の詳細は、図5を参照して後述する。
【0020】
本実施形態のカメラ用アクチュエータ1は、例えば、縦約14mm、横約14mm、最小高さ約5mmというような大きさになっている。なお、最小高さは、光軸方向におけるカバー80の上板81とベース85のベース本体86との間の距離である。
【0021】
以下、各構成部材の詳細について説明する。
ホルダ10は、図2に示すように、上端側にレンズユニット5が取り付けられた円筒状の筒状部11とその筒状部11の下端側の外周に一体に設けられたリング状のフランジ部12とを有する。
【0022】
コイル20は、光軸に直交する方向における断面が円形をなす空芯コイルである。コイル20は、図3に示すように、ホルダ10のフランジ部12の上面に、ホルダ10の筒状部11の周囲と間隔を置くようにして設けられている。このコイル20は、図2に示すように、電極部90と接続するための2本のリード線21を有する。
【0023】
ヨーク30は、図4に示すように、ホルダ10の筒状部11を収容する内筒部31と、内筒部31の外側に所定間隔を置いて設けられた外筒部32と、内筒部31および外筒部32のホルダ10のフランジ部12と反対側の端部すなわち、内筒部31の上端および外筒部32の上端を一体に連結する連結部34とを有している。前述したコイル20は、内筒部31と外筒部32との間にある所定間隔のスペースに収容される。
【0024】
本実施形態では、図4に示すように、内筒部31は、光軸に直交する方向における断面が円形をなし、ホルダ10の筒状部11を収容する挿通孔35を有する。外筒部32は、光軸に直交する方向における断面が12角形をなしている。この外筒部32の12角形の断面は、6個の長辺321と、6個の隣り合う長辺321の間にそれぞれ位置する短辺322とから構成されている。
【0025】
ヨーク30は、外筒部32の内面に12個の面を有している。これら12個の面は、外筒部32の長辺321を有する磁石取付面33(図3参照)と、外筒部32の短辺322を有する磁石非取付面とを含み、外筒部32の内面に磁石取付面33と磁石非取付面とが交互に形成されている。
【0026】
本実施形態では、外筒部32の6個の磁石取付面33に6個の平板状マグネット40がそれぞれ取り付けられている。各平板状マグネット40は、例えば、磁石取付面33に当接する面をS極、その磁石取付面33に当接する面と対向する面をN極となるように磁化されている。この平板状マグネット40が磁石取付面33に取り付けられることによって、ヨーク30の内筒部31の外周面がS極となり、この平板状マグネット40から内筒部31に向かう磁界が形成される。
【0027】
光軸方向から見た6個の平板状マグネット40の配置が円に近いので、6個の平板状マグネット40がコイル20に対して適切な磁界を形成することができる。
【0028】
ヨーク30の外筒部32は、図4に示すように、外筒部32の外側に延出するように一体に形成された4個のタブ状部36を有し、これら4個のタブ状部36は、外筒部32の周方向に等間隔に形成されている。
【0029】
ヨーク30にこのようなタブ状部36を設けることによって、下側板バネ60Lの後述する外環部62に当接するヨーク30の面が広くなる。したがって、ヨーク30と下側板バネ60Lとの接着面積を大きくすることができるので、ヨーク30と下側板バネ60Lとの接着強度を高めることができる。
【0030】
図5は、下側板バネ60Lの下方から見た平面図を示している。上側板バネ60Uは、下側板バネ60Lと同一の形状および構造を有する。なお、上側板バネ60Uには、図5に示されている電極部90が設けられていない。
【0031】
上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lは、図5に示すように、内環部61と、内環部61と所定の間隔を置いて設けられた外環部62と、内環部61と外環部62とを連結する複数の連結部63とを有する。上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lは、外環部62が固定された状態で内環部61に光軸方向の力が加わった場合、連結部63が弾性変形するようになっている。本実施形態では、上側板バネ60Uの内環部61は、ホルダ10の筒状部11の上端面とストッパ70との間で挟持された状態でホルダ10の筒状部11の上端面に接着されており、下側板バネ60Lの内環部61は、ホルダ10の筒状部11の下端面に接着されている。一方、上側板バネ60Uの外環部62は、ヨーク30とカバー80との間で挟持された状態でヨーク30に接着されており、下側板バネ60Lの外環部62は、ヨーク30とベース85との間で挟持された状態でヨーク30に接着されている。したがって、ヨーク30、カバー80およびベース85は、上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lを介してホルダ10を光軸に直交する方向に位置決めした状態(すなわち、ホルダ10の光軸に直交する方向への変位を制限した状態)でホルダ10を光軸方向に変位可能に支持している。
【0032】
ストッパ70は、リング状のステンレス製の金属板から形成されている。ストッパ70の外周の直径は、後述するカバー80の中央孔81aの直径より大きくなっている。そのため、例えば、落下等の衝撃などによりホルダ10に大きな力が加わっても、ストッパ70が中央孔81aの縁部に当接することによって、ホルダ10の光軸方向の変位を制限する。ホルダ10の光軸方向の変位を制限することより、ホルダ10を支持している上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lの塑性変形、部材間の接着面のはく離、コイル20のリード線21の破断などを防ぐことができる。
【0033】
下側板バネ60Lの下面には、コイル20に電流を供給するための電極部90が設けられている。電極部90は、図5に示すように、一対の電極片91および電極片92から構成され、これらの電極片91および電極片92は、互いに分離独立した状態で下側板バネ60Lの下面に設けられている。
【0034】
これらの電極片91および電極片92は、FPC(Flexible Printed Circuit)から形成されている。本実施形態では、電極片91がプラス側の電極であり、電極片92がマイナス側の電極である。FPCは、屈曲性を有しているので、電極片91および電極片92をカメラ用アクチュエータ1内の狭いスペースに収納することができる。
【0035】
電極片91は、下側板バネ60Lの外環部62の下面(図5中では左下の位置)に取り付けられた取付部91aと、外環部62の外側に向かって取付部91aから延出する延出部91bと、取付部91aに設けられ、前述したコイル20の2本のリード線21(図2参照)の一方がはんだ付けによって接続される接続部91cと、延出部91bの先端と接続部91cとの間に設けられた導電体91dとを備えている。
【0036】
取付部91aは、略円弧状に形成され、下側板バネ60Lの外環部62に沿って下側板バネ60Lの外環部62の下面に取り付けられている。取付部91aが略円弧状に形成されているので、下側板バネ60Lの外環部62の下面と当接する取付部91aの面が十分に広くなる。したがって、取付部91aと外環部62との十分な接着強度を得ることができる。
【0037】
取付部91aは、下側板バネ60Lと絶縁された状態で下側板バネ60Lの外環部62の下面に両面テープを介して取り付けられている。下側板バネ60Lの外環部62と絶縁された取付部91aは、取付部91aから下側板バネ60Lの外環部62へ漏電することなく、コイル20に電流を安定して供給することができる。
【0038】
延出部91bは、取付部91aの端部から下側板バネ60Lの外環部62の外側に向かって(図5中では下方向に)延出している。本実施形態のカメラ用アクチュエータ1が組み立てられた際に、延出部91bは、カメラ用アクチュエータ1の外部に設けられている基板(図示せず)と接続するために、ベース85の外に延出し、後述する保持部88に保持される(図3参照)。
接続部91cは、取付部91aの延出部91b側の端部近傍に設けられている。
【0039】
電極片92は、下側板バネ60Lの外環部62の下面(図5中では右下の位置)に取り付けられた取付部92aと、外環部62の外側に向かって取付部92aから延出する延出部92bと、取付部92aに設けられ、前述したコイル20の2本のリード線21(図2参照)の他方がはんだ付けによって接続される接続部92cと、延出部92bの先端と接続部92cとの間に設けられた導電体92dとを備えている。
【0040】
取付部92aは、略円弧状に形成され、下側板バネ60Lの外環部62に沿って下側板バネ60Lの外環部62の下面に取り付けられている。取付部92aが略円弧状に形成されているので、下側板バネ60Lの外環部62の下面と当接する取付部92aの面が十分に広くなる。したがって、取付部92aと外環部62との十分な接着強度を得ることができる。
【0041】
取付部92aは、下側板バネ60Lと絶縁された状態で下側板バネ60Lの外環部62の下面に両面テープを介して取り付けられている。下側板バネ60Lの外環部62と絶縁された取付部92aは、取付部92aから下側板バネ60Lの外環部62へ漏電することなく、コイル20に電流を安定して供給することができる。
【0042】
延出部92bは、取付部92aの端部から下側板バネ60Lの外環部62の外側に向かって(図5中では下方向に)延出している。すなわち、延出部91bおよび延出部92bは、同じ方向に延出している。本実施形態のカメラ用アクチュエータ1が組み立てられた際に、延出部92bは、カメラ用アクチュエータ1の外部に設けられている基板(図示せず)と接続するために、ベース85の外に延出し、後述する保持部88に保持される(図3参照)。
接続部92cは、取付部92aの延出部92bと反対側の端部近傍に設けられている。
【0043】
カバー80は、ステンレス製の金属板を加工して一体に形成されたものであり、図2に示すように、略矩形状の上板81と、上板81の中央部に設けられている中央孔81aと、上板81の外側4辺から下方に向かって連設されている4個の側板82とを有する。
【0044】
ベース85は、図2に示すように、全体が略矩形であり、その中央に設けられている中央孔86aを備えているベース本体86と、ベース本体86の4個の角部から上方に向かって立設されている柱部87a〜dと、ベース本体86の柱部87aと柱部87dとの間の外側1辺から下方に向かって連設されている2個の保持部88を備えている。
【0045】
ベース85をカバー80に取り付ける際に、カバー80の側板82およびベース85の柱部87a〜dによって、カバー80とベース85とが連結され、これらのカバー80とベース85は、カメラ用アクチュエータ1の外側ケースを構成する。カバー80およびベース85は、前述したヨーク30を光軸方向の上下両側から保持している。
【0046】
以下、上記カメラ用アクチュエータ1の動作について説明する。
図3において、磁界の向きが平板状マグネット40からヨーク30の内筒部31方向とする。ホルダ10が初期位置にある状態で、上方からコイル20を見たときに反時計回りに電流が流れると、コイル20すなわちホルダ10には光軸方向上向きの電磁力が生じる。この電磁力と、ホルダ10の変位に応じて生じる上側板バネ60Uおよび下側板バネ60Lの弾性力とがつりあうまでホルダ10が光軸方向に変位する。電磁力の大きさは、コイル20への電流の供給量に依存する。したがって、電流の供給量を調節することによって、ホルダ10すなわちレンズユニット5を光軸方向の任意の位置に変位させることができる。このカメラ用アクチュエータ1では、コイル20への電流の供給量から得られるレンズユニット5の位置情報と、カメラ用アクチュエータ1の下方に位置する撮像素子(図示せず)で検出される画像情報とを得ることができる。この位置情報および画像情報を所定のオートフォーカスアルゴリズムを備える演算部で高速演算することによって、レンズユニット5のオートフォーカス位置を特定する。その結果に基づいて、コイル20への電流の供給量を調節することによって、カメラ用アクチュエータ1は、オートフォーカスを実現することができる。
【0047】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態では、ヨーク30の外筒部32を光軸に直交する方向における断面が12角形をなすように構成することにより、外筒部32の内面に12個の面を形成し、これら12個の面のうち6個の面を磁石取付面33とし、マグネットを6個の平板状マグネット40から構成し、これらの平板状マグネット40が磁石取付面33に設けられている構成となっている。このような構成を有するカメラ用アクチュエータ1では、円弧状の曲面を有するマグネットに比べて安価に製造できる平板状マグネット40を用いることができ、部品コストを低減させることができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、外筒部32の内面の12個の面は、磁石取付面33と平板状マグネット40が取り付けられない磁石非取付面(外筒部32の短辺322を有する面)とを含み、磁石取付面33と磁石非取付面とが交互に形成されている。このため、外筒部32の内面のすべての面に平板状マグネット40がそれぞれ取り付けられる場合に比べて、平板状マグネット40の数を減らすことができる。これらの平板状マグネット40が外筒部32の周方向に適切な間隔を置いて配置されるので、コイル20に対して適切な磁界を形成することが可能となる。したがって、カメラ用アクチュエータ1の軽量化および部品コストの低減を実現するとともに、レンズユニット5が取り付けられたホルダ10の安定した変位を実現することが可能となる。
【0049】
さらに、本実施形態では、ヨーク30の外筒部32は、断面が12角形をなし、磁石取付面33を6個有しており、これら6個の磁石取付面33にそれぞれ平板状マグネット40が設けられている。光軸方向から見た6個の平板状マグネット40の配置が円に近いので、これら6個の平板状マグネット40がコイル20に対して適切な磁界を形成することができる。したがって、レンズユニット5が取り付けられたホルダ10の安定した変位を実現することができる。
【0050】
本実施形態では、ヨーク30の外筒部32の光軸に直交する方向における断面が12角形をなしている場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、例えば、ヨーク30の外筒部32の光軸に直交する方向における断面が6角形、8角形、10角形、14角形、16角形または18角形などの多角形であってもよい。この場合、コイル20に対して適切な磁界を形成することができる範囲で、磁石取付面に取り付ける平板状マグネットの数も適宜変更することができる。
【0051】
さらに、本実施形態の変形例として、図6に示すように、6個の磁石取付面33のうち1個おきの3個の磁石取付面33にそれぞれ平板状マグネット40が設けられてもよい。この変形例によれば、6個の磁石取付面33に平板状マグネット40がそれぞれ取り付けられる場合に比べて、平板状マグネット40の数を3個に減らすことができるとともに、平板状マグネット40が外筒部32の周方向に適切な間隔を置いて配置されることによって、コイル20に対して適切な磁界を形成することができる。したがって、カメラ用アクチュエータ1の軽量化および部品コストの低減を実現するとともに、レンズユニット5が取り付けられたホルダ10の安定した変位を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係るカメラ用アクチュエータの実施形態の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すカメラ用アクチュエータの分解斜視図である。
【図3】図1に示すカメラ用アクチュエータの断面図である。
【図4】図1に示すカメラ用アクチュエータのヨークおよびマグネットを示す底面図である。
【図5】図1に示すカメラ用アクチュエータの下側板バネおよび電極部を示す底面図である。
【図6】本発明に係るカメラ用アクチュエータの変形例におけるヨークおよびマグネットを示す底面図である。
【図7】従来のカメラ用アクチュエータの断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 カメラ用アクチュエータ
5 レンズユニット
10 ホルダ
11 筒状部
12 フランジ部
20 コイル
21 リード線
30 ヨーク
31 内筒部
32 外筒部
321 長辺
322 短辺
33 磁石取付面
34 連結部
35 挿通孔
36 タブ状部
40 平板状マグネット
60U 上側板バネ
60L 下側板バネ
61 内環部
62 外環部
63 連結部
70 ストッパ
80 カバー
81 上板
81a 中央孔
82 側板
85 ベース
86 ベース本体
86a 中央孔
87a〜d 柱部
88 保持部
90 電極部
91、92 電極片
91a、92a 取付部
91b、92b 延出部
91c、92c 接続部
91d、92d 導電体
100 カメラ用アクチュエータ
110 キャリア
120 コイル
130 ヨーク
131 内筒部
132 外筒部
133 内面
140 マグネット
160U スプリング
180 フレーム
185 ベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズユニットが取り付けられた筒状部を有するホルダと、
前記ホルダの前記筒状部の周囲に位置するように前記ホルダに設けられたコイルと、
前記ホルダの前記筒状部の光軸方向の上下両側に設けられ、該ホルダを前記光軸に直交する方向に位置決めした状態で前記光軸方向に変位可能に支持する一対の板バネと、
前記ホルダの前記筒状部を収容する内筒部と該内筒部の外側に所定間隔を置いて位置する外筒部とを有し、該内筒部と該外筒部との間に前記コイルを収容するヨークと、
前記コイルと対向した状態で前記ヨークに設けられたマグネットと、を備え、
前記コイルに通電することにより、前記レンズユニットが取り付けられた前記ホルダを前記光軸方向に変位させることができるカメラ用アクチュエータであって、
前記ヨークの前記外筒部を前記光軸に直交する方向における断面が六角形以上の多角形をなすように構成することにより、前記外筒部の内面に複数の面を形成し、該複数の面のうち所定の面を磁石取付面とし、
前記マグネットを複数の平板状マグネットから構成し、該平板状マグネットが前記磁石取付面に設けられていることを特徴とするカメラ用アクチュエータ。
【請求項2】
前記外筒部の内面の複数の面は、前記磁石取付面と前記平板状マグネットが取り付けられない磁石非取付面とを含み、前記磁石取付面と前記磁石非取付面とが交互に形成されている請求項1記載のカメラ用アクチュエータ。
【請求項3】
前記ヨークの前記外筒部は、前記断面が12角形をなし、前記磁石取付面を6個有しており、該6個の磁石取付面にそれぞれ前記平板状マグネットが設けられている請求項2記載のカメラ用アクチュエータ。
【請求項4】
前記6個の磁石取付面のうち1個おきの3個の前記磁石取付面にそれぞれ前記平板状マグネットが設けられている請求項3記載のカメラ用アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−65430(P2007−65430A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252848(P2005−252848)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】