説明

カメラ用羽根駆動ユニット及び携帯情報端末装置

【課題】携帯電話機等に搭載されたカメラユニットに適用されるシャッタ羽根や絞り羽根を駆動する小型のカメラ用羽根駆動ユニットを提供する。
【解決手段】携帯電話機等のヒンジ部(筒部材)の内側に配置されて筒部材の中心軸線と平行な軸線回りに回転するロータ61,81を含む電磁アクチュエータ60,80、筒部材の内側に配置されてロータと一体的に回転すると共に筒部材に形成された撮影窓31aに臨む位置と撮影窓から退避した全開位置との間を往復動して撮影窓から進入する光量を調整し得る羽根部材70,90により、カメラ用羽根駆動ユニットが構成される。これによれば、携帯電話機等のヒンジ部内に、カメラユニット及びカメラ用羽根駆動ユニットを配置することができ、携帯電話機等の小型化を達成しつつ、鮮明で高画質の画像を撮影することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式の携帯電話機のヒンジ部等に収容できるカメラ用羽根駆動ユニット及びこのカメラ用羽根駆動ユニットを搭載した携帯電話機等の携帯情報端末装置に関し、特に、光量を調整するシャッタ羽根、絞り羽根(絞り開口を有する羽根、あるいはNDフィルタを有する羽根)等の羽根部材を駆動するカメラ用羽根駆動ユニット及び携帯情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話機としては、操作ボタン等が配置された本体、表示部が配置された蓋体、蓋体を本体に対して折り畳み自在に連結する円筒状のヒンジ部を備えた携帯電話機において、ヒンジ部に円形の撮影窓を設けると共にヒンジ部の内部にレンズ光学系(ズームレンズ光学系又は単焦点レンズ光学系)及び撮像素子を配置し、撮影窓から進入した被写体光を、レンズ光学系を通して撮像素子に導き結像させて撮影するカメラユニットを搭載したものが知られている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【0003】
また、他の携帯電話機としては、操作ボタン等が配置された本体、表示部が配置された蓋体、蓋体を本体に対して折り畳み自在に連結する円筒状のヒンジ部を備えた携帯電話機において、蓋体の一部に回転自在な円筒状の回転体を設け、この回転体に円形の撮影窓を設けると共に回転体の内部にレンズ光学系、さらに蓋体の内部に撮像素子を配置し、撮影窓から進入した被写体光を、レンズ光学系を通して撮像素子に導き結像させて撮影するカメラユニットを搭載したものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
一方、携帯電話機に搭載されるカメラユニットにおいても、撮像素子の高画素化が進められており、より鮮明な画像を撮影するには、絞り開口やNDフィルタを有する機械式の絞り羽根を用いて被写体光の光量を調整し、又、シャッタ動作として単に撮像素子の駆動を制御する(電子シャッタ)だけでなく機械式のシャッタ羽根を用いて露光時間を高精度に規定する必要がある。
そこで、従来のシャッタ羽根や絞り羽根等の羽根部材、羽根部材を開閉駆動する駆動力を発生する電磁アクチュエータ、電磁アクチュエータの駆動力を羽根部材に伝達する伝達機構等を、単にヒンジ部に搭載しようとしても、ヒンジ部の容積に限界があるため搭載するのが困難であり、従来の羽根部材、伝達部材、電磁アクチュエータ等をそのまま搭載すると、ヒンジ部の大径化、携帯電話機の大型化を招くことになる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−290523号公報
【特許文献2】特開2002−374434号公報
【特許文献3】特開2003−18276号公報
【特許文献4】特開2003−309748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、構造の簡素化、小型化、低コスト化等を図りつつ、携帯電話機等の携帯情報端末装置に搭載されるカメラユニットに適用されて被写体光の光量を調整し得るシャッタ羽根、絞り羽根(絞り開口を有する絞り羽根、あるいは、NDフィルタが貼付された領域を有する絞り羽根)等の羽根部材を駆動するカメラ用羽根駆動ユニット及びこれを用いた携帯情報端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカメラ用羽根駆動ユニットは、筒部材の内側に配置されて筒部材の中心軸線と平行な軸線回りに回転するロータを含む電磁アクチュエータと、筒部材の内側に配置されてロータと一体的に回転すると共に筒部材に形成された撮影窓に臨む位置と撮影窓から退避した全開位置との間を往復動して撮影窓から進入する光量を調整し得る羽根部材とを含む、ことを特徴としている。
この構成によれば、電磁アクチュエータが駆動されて、そのロータが回転すると、羽根部材がロータと一体的に筒部材の中心軸線と平行な軸線回りに回転して、撮影窓から進入する被写体光の光量を調整する(例えば、完全に遮断する、所定量に絞る)。
このように、ロータに対して羽根部材が直接設けられているため、伝達機構等を採用する場合に比べて、構造の簡素化、部品点数の削減等を達成でき、又、ロータ及び羽根部材が筒部材の中心軸線と平行な軸線回りに回転するため、中心軸線と交差する軸線回りに回転する場合に比べて筒部材を小径化及び小型化することができる。
したがって、例えば携帯情報端末装置の一部をなす筒部材の内部に、レンズ光学系及び撮像素子を含むカメラユニットが配置される構成において、このカメラ用羽根駆動ユニットを(例えば、小径のヒンジ部あるいは専用の円筒部材等の)筒部材の内部に配置することが可能になり、それ故に、カメラユニットが搭載された携帯電話機等の携帯情報端末装置において、小型化を達成しつつ、鮮明で高画質の画像を撮影することができる。
【0008】
上記構成において、羽根部材は、円筒状に形成された筒部材の内周壁面に平行になるように所定曲率にて湾曲して形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、円筒状をなす筒部材の内周壁面に沿うように羽根部材を配置して往復動させることができるため、筒部材の小径化及び小型化を達成しつつ、撮影窓から進入する被写体光の光量を高精度に調整する(光を完全に遮断又は光量を所定レベルに絞る)ことができる。
【0009】
上記構成において、羽根部材は、撮影窓に臨む位置において光を遮断し得るシャッタ羽根と、撮影窓に臨む位置において光を絞る絞り羽根とを含み、電磁アクチュエータは、シャッタ羽根を駆動する第1電磁アクチュエータと、絞り羽根を駆動する第2電磁アクチュエータとを含む、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1電磁アクチュエータのロータが一方向に回転すると、シャッタ羽根が撮影窓に臨む位置に移動して光を遮断し、第1電磁アクチュエータのロータが他方向に回転すると、シャッタ羽根が撮影窓から退避した全開位置に移動して光の通過を許容する。また、第2電磁アクチュエータのロータが一方向に回転すると、絞り羽根が撮影窓に臨む位置に移動して光を所定の光量に絞り、第2電磁アクチュエータのロータが他方向に回転すると、絞り羽根が撮影窓から退避した全開位置に移動して絞りを解除する。
【0010】
上記構成において、第1電磁アクチュエータ及び第2電磁アクチュエータは、筒部材の中心軸線方向において互いに対向するように配置され、シャッタ羽根及び絞り羽根は、筒部材の径方向においてオーバラップし得るように配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、第1電磁アクチュエータと第2電磁アクチュエータとが筒部材の中心軸線方向において対向するように配置されるため、筒部材の内部空間を有効に利用することができ、又、シャッタ羽根と絞り羽根とが筒部材の径方向においてオーバラップし得るように配置されるため、絞り動作とシャッタ動作とをそれぞれ独立して所望のタイミングで確実に行わせることができる。
【0011】
上記構成において、電磁アクチュエータは、複数の角度位置において多段的に停止し得るように回転駆動され、羽根部材は、撮影窓に臨む第1角度位置において光を絞る絞り開口又はNDフィルタが貼付された領域と、撮影窓に臨む第2角度位置において光を遮断する遮断領域と、を少なくとも画定するように形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、一つの電磁アクチュエータ(例えば、ステッピングモータ、その他の多段停止型のモータ)が、第1角度位置まで回転すると、羽根部材の絞り開口又はNDフィルタが撮影窓に臨む位置に位置決めされて光量を所定レベルに絞り、又、第2角度位置まで回転すると、羽根部材の遮断領域が撮影窓に臨む位置に位置決めされて光を遮断する。
このように、一つの電磁アクチュエータと一つの羽根部材だけで、絞り動作及びシャッタ動作を行うことができるため、部品点数を削減して、構造の簡素化、低コスト化、小型化、携帯情報端末装置の小型化等を達成することができる。
【0012】
本発明の携帯情報端末装置は、操作ボタンが配置された本体と、表示部が配置された蓋体と、蓋体を本体に対して折り畳み自在に連結するヒンジ部と、ヒンジ部に収容されたレンズ光学系及び撮像素子を含むカメラユニットとを備えた携帯情報端末装置であって、上記ヒンジ部は筒部材を画定し、この筒部材には、上記構成をなすカメラ用羽根駆動ユニットのうちのいずれか一つのカメラ羽根駆動ユニットが配置されている、ことを特徴としている。
この構成によれば、ヒンジ部にカメラユニットを搭載した携帯情報端末装置において、上記構成をなすカメラ用羽根駆動ユニットをヒンジ部に配置することで、ヒンジ部及び携帯情報端末装置の小型化を達成しつつ、鮮明で高画質の画像を撮影することができるカメラ付きの携帯電話機等の携帯情報端末装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
上記構成をなすカメラ用羽根駆動ユニットによれば、構造の簡素化、小型化、低コスト化等を達成しつつ、携帯電話機等の携帯情報端末装置に搭載されるカメラユニットに適用されて被写体光の光量を調整し得るシャッタ羽根、絞り羽根(絞り開口を有する羽根、あるいは、NDフィルタを有する羽根)等の羽根部材を駆動するカメラ用羽根駆動ユニットを得ることができ、又、このようなカメラ用羽根駆動ユニットを搭載することで、小型化を達成しつつ鮮明で高画質の画像を撮影できるカメラ付きの携帯情報端末装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図6は、本発明に係るカメラ用羽根駆動ユニットを搭載した携帯情報端末装置としての携帯電話機を示すものであり、図1は携帯電話機の斜視図、図2は携帯電話機のヒンジ部の内部を示す中心軸線を含む面での断面図、図3はヒンジ部の内部を示す中心軸線方向から視た断面図、図4はカメラ用羽根駆動ユニットに含まれるロータ及びシャッタ羽根(羽根部材)を示す斜視図、図5はカメラ用羽根駆動ユニットに含まれるロータ及び絞り羽根(羽根部材)を示す斜視図、図6(a),(b)はロータ及び羽根部材の構造を示す断面図である。尚、図3においては、説明の便宜上、後述する第1電磁アクチュエータ60と第2電磁アクチュエータ80とを重ねて表示している。
【0015】
携帯電話機Pは、図1に示すように、複数の操作ボタン10aが配置された本体10、種々の情報を表示する表示部(液晶モニター)20aが配置された蓋体20、蓋体20を本体10に対して折り畳み自在に連結するヒンジ部30を備えている。
本体10は、操作ボタン10aを表面に配列して保持すると共に、その内部において、送受信回路及び制御回路、後述するカメラユニットC及びカメラ用羽根駆動ユニットM1,M2の駆動回路、電源等を内蔵している。
蓋体20は、表示部20aを露出するように保持すると共に、その内部において、表示回路、その他の電子回路等を内蔵している。
【0016】
ヒンジ部30は、図1に示すように、中心軸線Sをもつ筒部材としての円筒部材31を含み、蓋体20を本体10に対して折り畳み自在に連結するように形成されている。
そして、ヒンジ部30は、図1及び図2に示すように、その円筒部材31に形成された円形の撮影窓31aを有し、その内部において、撮影窓31aを通る被写体光の光軸L上に配置されたレンズ光学系40及び撮像素子50からなるカメラユニットC、2つのカメラ用羽根駆動ユニットM1,M2を収容している。
ここで、円筒部材31は、中心軸線S回りに回転自在に支持されて、撮影窓31aを所定の角度に方向付けられるようになっている。
【0017】
レンズ光学系40は、撮影窓31aの内側に配置されたレンズG1、光軸方向LにおいてレンズG1の後方に順次配列された、レンズG2、レンズG3、レンズG4を備えており、ヒンジ部30の内部に配置されて固定されている。
撮像素子50は、CCD等により構成されるものであり、光軸方向Lにおいて、ヒンジ部30の内部でかつレンズ光学系40の後方に配置されて固定されている。
【0018】
カメラ用羽根駆動ユニットM1は、ヒンジ部30(の円筒部材31)の内部に配置されており、第1電磁アクチュエータ60、第1電磁アクチュエータ60に含まれるロータ61に設けられた羽根部材としてのシャッタ羽根70等により形成されている。
第1電磁アクチュエータ60は、図2及び図3に示すように、ロータ61、ロータ61を中心軸線Sと平行な軸線(ここでは中心軸線S上に一致する軸線)回りに回動自在に支持する支持枠62、支持枠62の周りに巻回された励磁用のコイル63、支持枠62の外周に嵌合された円筒状のヨーク64、支持枠62に嵌合して固定された複数の鉄ピン65等を備えている。
ロータ61は、支持枠62に支持される回転軸61a、回転軸61aを中心とする円柱状の着磁部61b、シャッタ羽根70を保持した腕部61cを一体的に備えるように形成されている。
支持枠62は、ヒンジ部30(の円筒部材31)の内壁に固定されるように形成されており、シャッタ羽根70を撮影窓31aから退避した全開位置に位置決めするべく腕部61cを当接させるストッパ62a、シャッタ羽根70を撮影窓31aに臨む位置に位置決めするべく腕部61cを当接させるストッパ62bを備えている。
コイル63は、ロータ61の回転軸61aの両端を外側から覆うように、支持枠62に巻回されている。
【0019】
シャッタ羽根70は、図2及び図4に示すように、略矩形形状をなすと共に所定の曲率に湾曲して形成されている。
ここで、シャッタ羽根70は、図6(a)に示すように、金属板等により形成された後、ロータ61の腕部61cに結合されてもよく、又、図6(b)に示すように、ロータ61の腕部61cを形成する樹脂材料により一体成形されてもよい。
また、シャッタ羽根70は、湾曲して形成されることで、ヒンジ部30(の円筒部材31)の所定曲率をなす内周壁面と平行に配置されて一定の間隔を維持した状態で、図3に示すように、撮影窓31aに臨む位置(光を遮断する位置)と撮影窓31aから退避した全開位置(光の通過を許容する位置)との間を往復動するようになっている。
ここで、シャッタ羽根70は、円筒部材31の内周壁面に平行になるように所定曲率にて湾曲して形成されているため、円筒部材31の内周壁面に沿うようにシャッタ羽根70を配置して往復動させることができ、円筒部材31の小径化及び小型化を達成しつつ、撮影窓31aから進入する被写体光を完全に遮断することができる。
【0020】
カメラ用羽根駆動ユニットM2は、ヒンジ部30(の円筒部材31)の内部に配置されており、第2電磁アクチュエータ80、第2電磁アクチュエータ80に含まれるロータ81に設けられた羽根部材としての絞り羽根90等により形成されている。
第2電磁アクチュエータ80は、図2及び図3に示すように、ロータ81、ロータ81を中心軸線Sと平行な軸線(ここでは中心軸線S上に一致する軸線)回りに回動自在に支持する支持枠82、支持枠82の周りに巻回された励磁用のコイル83、支持枠82の外周に嵌合された円筒状のヨーク84、支持枠82に嵌合して固定された複数の鉄ピン85等を備えている。
ロータ81は、支持枠82に支持される回転軸81a、回転軸81aを中心とする円柱状の着磁部81b、絞り羽根90を保持した腕部81cを一体的に備えるように形成されている。
支持枠82は、ヒンジ部30(の円筒部材31)の内壁に固定されるように形成されており、絞り羽根90を撮影窓31aから退避した全開位置に位置決めするべく腕部81cを当接させるストッパ82a、絞り羽根90を撮影窓31aに臨む位置に位置決めするべく腕部81cを当接させるストッパ82bを備えている。
コイル83は、ロータ81の回転軸81aの両端を外側から覆うように、支持枠82に巻回されている。
【0021】
絞り羽根90は、図2及び図5に示すように、略矩形形状をなすと共に所定の曲率に湾曲して形成され、その略中央において所定径をなす絞り開口90aを画定している。
ここで、絞り羽根90は、図6(a)に示すように、金属板等により形成された後、ロータ81の腕部81cに結合されてもよく、又、図6(b)に示すように、ロータ81の腕部81cを形成する樹脂材料により一体成形されてもよい。
また、絞り羽根90は、湾曲して形成されることで、ヒンジ部30(の円筒部材31)の所定曲率をなす内周壁面と平行に配置されて一定の間隔を維持した状態で、図3に示すように、撮影窓31aに臨む位置(光を絞る位置)と撮影窓31aから退避した全開位置(光を絞らない位置)との間を往復動するようになっている。
ここで、絞り羽根90は、円筒部材31の内周壁面に平行になるように所定曲率にて湾曲して形成されているため、円筒部材31の内周壁面に沿うように絞り羽根90を配置して往復動させることができ、円筒部材31の小径化及び小型化を達成しつつ、撮影窓31aから進入する被写体光の光量を所定レベルに高精度に絞ることができる。
尚、絞り羽根90として、絞り開口90aを有するものを示したが、これに限定されるものではなく、所定の開口にNDフィルタが貼付されたものを採用してもよい。
【0022】
ここで、第1電磁アクチュエータ60と第2電磁アクチュエータ80とは、図2に示すように、ヒンジ部30(外周壁31)の中心軸線S方向において互いに対向するように配置されている。これにより、ヒンジ部30(外周壁31)の内部空間を有効に利用することができる。
また、シャッタ羽根70と絞り羽根90とは、図2に示すように、ヒンジ部30(の円筒部材31)の径方向においてオーバラップし得るように配置されている。このように、シャッタ羽根70と絞り羽根90とが円筒部材31の内部に配置されると共に径方向においてオーバラップし得るように配置されるため、絞り動作とシャッタ動作とをそれぞれ独立して所望のタイミングで確実に行わせることができる。
【0023】
次に、上記カメラ用羽根駆動ユニットM1,M2及びカメラユニットCを搭載した携帯電話機における撮影動作について説明する。
先ず、休止状態において、シャッタ羽根70及び絞り羽根90は、撮影窓31aに臨む位置に位置付けられて、外部から光が進入するのを遮断した状態にある。
ここで、操作ボタン10aの一つが操作されて撮影モードになると、第1電磁アクチュエータ60及び第2電磁アクチュエータ80がそれぞれ駆動されて、シャッタ羽根70及び絞り羽根90が、撮影窓31aから退避した全開位置に移動させられる。
【0024】
そして、操作ボタン10aの一つが操作されてレリーズ動作が行われると、撮像素子50により被写体光の光量が測定される。
そして、光量を絞る必要がないと判断された場合、撮像素子50による電荷の蓄積が開始され、所定時間経過後に、第1電磁アクチュエータ60が駆動されて、ロータ61が一方向に回転すると共にシャッタ羽根70が撮影窓31aに臨む位置に移動して、被写体光を遮断する。
これにより、撮像素子50による撮影が完了し、画像データの蓄積等が行われた後、第1電磁アクチュエータ60が逆向きに駆動されて、ロータ61が逆方向に回転して、シャッタ羽根70が撮影窓31aから退避した全開位置に移動し、次の撮影に備えて待機状態となる。
【0025】
一方、撮像素子50により被写体光の光量が測定され、光量を絞る必要があると判断された場合、第2電磁アクチュエータ80が駆動されて、ロータ81が一方向に回転すると共に絞り羽根90が撮影窓31aに臨む位置に移動して、被写体光の光量を所定レベルに絞る。続いて、撮像素子50による電荷の蓄積が開始され、所定時間経過後に、第1電磁アクチュエータ60が駆動されて、ロータ61が一方向に回転すると共にシャッタ羽根70が撮影窓31aに臨む位置に移動して、被写体光を遮断する。
これにより、撮像素子50による撮影が完了し、画像データの蓄積等が行われた後、第1電磁アクチュエータ60及び第2電磁アクチュエータ80が逆向きに駆動されて、ロータ61,81が逆方向に回転して、シャッタ羽根70及び絞り羽根90が撮影窓31aから退避した全開位置に移動し、次の撮影に備えて待機状態となる。
【0026】
上記のように、第1電磁アクチュエータ60及び第2電磁アクチュエータ80が駆動されて、そのロータ61,81が回転すると、シャッタ羽根70がロータ61と一体的にかつ絞り羽根90がロータ81と一体的に円筒部材31の中心軸線Sと平行な軸線(ここでは同軸)回りに回転して、撮影窓31aから進入する被写体光の光量を調整する(完全に遮断する、所定量に絞る)ようになっている。
このように、ロータ61,81に対して羽根部材(シャッタ羽根70、絞り羽根90)が直接設けられているため、伝達機構等を採用する場合に比べて、構造の簡素化、部品点数の削減等を達成でき、又、ロータ61,81及び羽根部材(シャッタ羽根70、絞り羽根90)が円筒部材31の中心軸線Sと平行な軸線回りに回転するため、中心軸線Sと交差する軸線回りに回転する場合に比べて円筒部材31を小径化及び小型化することができる。
【0027】
したがって、携帯電話機Pの一部をなすヒンジ部30(の円筒部材31)の内部に、レンズ光学系40及び撮像素子50を含むカメラユニットCが配置される構成において、このカメラ用羽根駆動ユニットM1,M2を円筒部材31の内部に配置することが可能になり、それ故に、カメラユニットCが搭載された携帯電話機において、小型化を達成しつつ、鮮明で高画質の画像を撮影することができる。
【0028】
図7は、本発明に係るカメラ用羽根駆動ユニットの他の実施形態を示すものであり、カメラ用羽根駆動ユニットM2をカメラ用羽根駆動ユニットM2´に変更した以外は、前述の実施形態と同一であるため、同一の構成については説明を省略する。
この実施形態におけるカメラ用羽根駆動ユニットM2´は、ロータ81´が3箇所の回転角度位置において停止するように形成された第2電磁アクチュエータ80´と、口径の異なる2つの絞り開口90a,90bを画定するように形成された絞り羽根90´を備えている。
尚、絞り羽根90´として、2つの絞り開口90a,90bを有するものを示したが、これに限定されるものではなく、一方の開口にNDフィルタが貼付されたもの、あるいは、2つの開口に濃度の異なるNDフィルタが貼付されたものを採用してもよい。
【0029】
この実施形態においては、ロータ81´が一方の回転端角度位置に停止しているとき、絞り羽根90´は撮影窓31aから退避した全開位置に位置付けられ、ロータ81´が中間角度位置に停止しているとき、絞り羽根90´は絞り開口90aが撮影窓31aに臨む位置に位置付けられ、ロータ81´が他方の回転端角度位置に停止しているとき、絞り羽根90´は絞り開口90bが撮影窓31aに臨む位置に位置付けられる。
すなわち、この実施形態においては、カメラ用羽根駆動ユニットM2´により、被写体光の光量を三段階のレベルに調整することができるようになっている。
【0030】
この実施形態においても、ロータ81´に対して羽根部材(絞り羽根90´)が直接設けられているため、伝達機構等を採用する場合に比べて、構造の簡素化、部品点数の削減等を達成でき、又、ロータ81´及び羽根部材(絞り羽根90´)が円筒部材31の中心軸線Sと平行な軸線回りに回転するため、中心軸線Sと交差する軸線回りに回転する場合に比べて円筒部材31を小径化及び小型化することができる。
【0031】
図8及び図9は、本発明に係るカメラ用羽根駆動ユニットのさらに他の実施形態を示すものであり、カメラ用羽根駆動ユニットM1,M2をカメラ用羽根駆動ユニットM´に変更した以外は、前述の実施形態と同一であるため、同一の構成については説明を省略する。
この実施形態におけるカメラ用羽根駆動ユニットM´は、ロータ101が複数の角度位置において多段的に停止し得るように回転駆動される電磁アクチュエータ100と、口径の異なる2つの絞り開口110a,110b,撮影窓31aを遮断し得る遮断領域110cを画定するように形成された羽根部材110を備えている。
ここで、電磁アクチュエータ100としては、例えば、ステッピングモータ、その他の多段(複数の角度位置)停止型のモータが採用される。
【0032】
この実施形態においては、ロータ101が一方の回転端角度位置に停止しているとき、羽根部材110は撮影窓31aから退避した全開位置に位置付けられ、ロータ101が第1角度位置としての第1中間角度位置に停止しているとき、羽根部材110は絞り開口110aが撮影窓31aに臨む位置に位置付けられ、ロータ101が第1角度位置としての第2中間角度位置に停止しているとき、羽根部材110は絞り開口110bが撮影窓31aに臨む位置に位置付けられ、ロータ101が第2角度位置としての他方の回転端角度位置に停止しているとき、羽根部材110は遮断領域110cが撮影窓31aに臨む位置に位置付けられる。
【0033】
すなわち、この実施形態においては、一つの電磁アクチュエータ100が、第1角度位置としての第1中間角度位置又は第1角度位置としての第2中間角度位置まで回転すると、羽根部材110の絞り開口110a又は110bが撮影窓31aに臨む位置に位置決めされて光量を所定レベルに絞り、又、第2角度位置まで回転すると、羽根部材110の遮断領域110cが撮影窓31aに臨む位置に位置決めされて光を遮断するようになっている。
このように、一つの電磁アクチュエータ100と一つの羽根部材110だけで、被写体光の光量を二段階のレベルに絞ることができる絞り動作及び被写体光を完全に遮断するシャッタ動作を行うことができるため、部品点数を削減して、構造の簡素化、低コスト化、小型化、携帯電話機の小型化等を達成することができる。
尚、羽根部材110として、2つの絞り開口110a,110bを有するものを示したが、これに限定されるものではなく、一方の開口にNDフィルタが貼付されたもの、あるいは、2つの開口に濃度の異なるNDフィルタが貼付されたものを採用してもよい。
【0034】
この実施形態においても、ロータ101に対して羽根部材110が直接設けられているため、伝達機構等を採用する場合に比べて、構造の簡素化、部品点数の削減等を達成でき、又、ロータ101及び羽根部材110が円筒部材31の中心軸線Sと平行な軸線回りに回転するため、中心軸線Sと交差する軸線回りに回転する場合に比べて円筒部材31を小径化及び小型化することができる。
【0035】
上記実施形態においては、カメラ用羽根駆動ユニットM1,M2,M2´,M´を、ヒンジ部30の円筒部材31(筒部材)内に配置した場合を示したが、これに限定されるものではなく、携帯情報端末装置の一部をなす筒部材であれば、カメラユニットを収容するために専用に設けられた筒部材の内部に配置してもよい。
上記実施形態においては、携帯情報端末装置として、携帯電話機を示したが、これに限定されるものではなく、携帯型音楽プレーヤ、携帯型テレビ、その他の携帯型電子機器等において、本発明のカメラ用羽根駆動ユニットを採用することができる。
上記実施形態においては、筒部材に収容されるカメラユニットとして、直線をなす光軸L上においてレンズ光学系40及び撮像素子50が配列されたカメラユニットCを示したが、これに限定されるものではなく、プリズム等の屈曲要素を含んだレンズ光学系あるいは変倍光学系を含むカメラユニットを搭載する構成において、本発明のカメラ用羽根駆動ユニットを採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
以上述べたように、本発明のカメラ用羽根駆動ユニットは、構造の簡素化、小型化、低コスト化等を達成しつつ、カメラユニットと一緒に筒部材に収容することができるため、携帯電話機等の筒部材をなすヒンジ部等に搭載することができるのは勿論のこと、筒部材を一部に含むものであれば、携帯型音楽プレーヤ、携帯型テレビ、携帯型パーソナルコンピュータ等のその他の携帯情報端末装置や車載型端末装置においても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るカメラ用羽根駆動ユニットを搭載した携帯電話機を示す斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機のヒンジ部の内部を示す断面図である。
【図3】図1に示す携帯電話機のヒンジ部の内部を示す断面図である。
【図4】カメラ用羽根駆動ユニットに含まれるロータ及び羽根部材(シャッタ羽根)を示す斜視図である。
【図5】カメラ用羽根駆動ユニットに含まれるロータ及び羽根部材(絞り羽根)を示す斜視図である。
【図6】カメラ用羽根駆動ユニットに含まれるロータ及び羽根部材の構造を示す断面図であり、(a)は羽根部材を金属板で形成してロータに結合したもの示す断面図、(b)は羽根部材とロータを樹脂材料により一体成形したものを示す断面図である。
【図7】本発明に係るカメラ用羽根駆動ユニットの他の実施形態を示すものであり、ロータ及び羽根部材(絞り羽根)を示す斜視図である。
【図8】本発明に係るカメラ用羽根駆動ユニットのさらに他の実施形態を示すものであり、携帯電話機のヒンジ部の内部を示す断面図である。
【図9】図8に示すカメラ用羽根駆動ユニットに含まれるロータ及び羽根部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
P 携帯電話機(携帯情報端末装置)
10 本体
10a 操作ボタン
20 蓋体
20a 表示部
30 ヒンジ部
31 円筒部材(筒部材)
S 中心軸線
31a 撮影窓
40 レンズ光学系
G1,G2,G3,G4 レンズ
50 撮像素子
C カメラユニット
M1 カメラ用羽根駆動ユニット
60 第1電磁アクチュエータ
61 ロータ
61a 回転軸
61b 着磁部
61c 腕部
62 支持枠
62a,62b ストッパ
63 励磁用のコイル
64 ヨーク
65 鉄ピン
70 シャッタ羽根(羽根部材)
M2,M2´ カメラ用羽根駆動ユニット
80,80´ 第2電磁アクチュエータ
81,81´ ロータ
81a 回転軸
81b 着磁部
81c 腕部
82 支持枠
82a,82b ストッパ
83 励磁用のコイル
84 ヨーク
85 鉄ピン
90,90´ 絞り羽根(羽根部材)
90a,90b 絞り開口
M´ カメラ用羽根駆動ユニット
100 電磁アクチュエータ
101 ロータ
110 羽根部材
110a,110b 絞り開口
110c 遮断領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒部材の内側に配置されて、前記筒部材の中心軸線と平行な軸線回りに回転するロータを含む電磁アクチュエータと、
前記筒部材の内側に配置されて、前記ロータと一体的に回転すると共に前記筒部材に形成された撮影窓に臨む位置と前記撮影窓から退避した全開位置との間を往復動して前記撮影窓から進入する光量を調整し得る羽根部材と、
を含む、ことを特徴とするカメラ用羽根駆動ユニット。
【請求項2】
前記羽根部材は、円筒状に形成された前記筒部材の内周壁面に平行になるように所定曲率にて湾曲して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のカメラ用羽根駆動ユニット。
【請求項3】
前記羽根部材は、前記撮影窓に臨む位置において光を遮断し得るシャッタ羽根と、前記撮影窓に臨む位置において光を絞る絞り羽根と、を含み、
前記電磁アクチュエータは、前記シャッタ羽根を駆動する第1電磁アクチュエータと、前記絞り羽根を駆動する第2電磁アクチュエータと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のカメラ用羽根駆動ユニット。
【請求項4】
前記第1電磁アクチュエータ及び第2電磁アクチュエータは、前記筒部材の中心軸線方向において互いに対向するように配置され、
前記シャッタ羽根及び絞り羽根は、前記筒部材の径方向においてオーバラップし得るように配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のカメラ用羽根駆動ユニット。
【請求項5】
前記電磁アクチュエータは、複数の角度位置において多段的に停止し得るように回転駆動され、
前記羽根部材は、前記撮影窓に臨む第1角度位置において光を絞る絞り開口又はNDフィルタが貼付された領域と、前記撮影窓に臨む第2角度位置において光を遮断する遮断領域と、を少なくとも画定するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカメラ用羽根駆動ユニット。
【請求項6】
操作ボタンが配置された本体と、表示部が配置された蓋体と、前記蓋体を前記本体に対して折り畳み自在に連結するヒンジ部と、前記ヒンジ部に収容されたレンズ光学系及び撮像素子を含むカメラユニットと、を備えた携帯情報端末装置であって、
前記ヒンジ部は、筒部材を画定し、
前記筒部材には、請求項1ないし5いずれか一つに記載のカメラ用羽根駆動ユニットが配置されている、
ことを特徴とする携帯情報端末装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−32673(P2010−32673A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193095(P2008−193095)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】