説明

カメラ装置

【課題】車載用後付カメラとして好適で、可及的に小型化が可能なカメラ装置を提供すること。
【解決手段】カメラ本体11を、カメラハウジング11aの左右の球面部分がアーム12の湾曲凹面12aに摺動可能に密接させ、撮像レンズ15が両アーム12間から露出するように両アーム12で挟持することによりブラケット13に取り付ける。ブラケット13に取り付けられたカメラ本体11は略球形のカメラハウジング11aと一対のアーム12から成るソケットがボールジョイントとして機能するので、撮像レンズ15の光軸(x軸)をブラケットに対して上下(z軸)方向及び左右(y軸)方向に角度調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラ装置に関し、より詳しくは車両に後付で設置するに好適なカメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラ装置の一形式として、特開2010−254078号公報には、カメラ本体、ホルダー、ボールジョイント及びブラケットを備えた車載用後付カメラ装置の構成が開示されている。
このカメラ装置では、カメラ本体の上面にホルダーが固定され、ホルダーの内部にボールジョイントが収納され、ボールジョイントにブラケットが取付けられている。
【0003】
このカメラ装置では、ブラケットを車両に固定してカメラ本体が設置される。ブラケットはホルダーに収納されたボールジョイントに連結され、カメラ本体はホルダーに固定されているので、ボールジョイントによって互いに直交するX,Y,Zの3方向へカメラ本体の設置角度を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−254078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来のカメラ装置では、カメラ本体の角度調整手段として、ホルダーに収納したボールジョイントを用い、ボールジョイントを介してカメラ本体とブラケットを連結している。そのため、カメラ装置の大型化が避けられない。大型のカメラ装置を車両に設置した場合、カメラ装置によって運転者や同乗者の視界が遮られるだけなく、車室の美観も損なわれる。
本発明はかかる問題点に鑑み、可及的に小型化が可能なカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明に係るカメラ装置は、カメラハウジングを略球形に形成したカメラ本体と、車両に固定可能なブラケット及び該ブラケットに設けられ、前記カメラハウジングの球面部分が嵌合可能なソケットを備え、
前記カメラ本体の撮像レンズをソケットから露出するとともに、撮影レンズの光軸の方向をブラケットに対して上下方向及び左右方向へ調整可能となるように、前記カメラハウジングの球面部分を前記ソケットに嵌合したことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカメラ装置において、前記ソケットを少なくとも一対のアーム片で構成し、各アーム片に湾曲凹面を形成し、カメラハウジングが両アームで挟持されて湾曲凹面に摺動可能に密接し、前記撮像レンズが両アームの間から露出するように両アーム間に嵌合したことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のカメラ装置において、前記ソケットを、先端面と基端面を開口に形成し、内周面に湾曲凹面を形成し、かつ周面に縦方向のスリットを複数本形成した樽形に形成し、
前記ブラケットに前記ソケットの基端面開口に連通する開口を形成し、
カメラハウジングを前記湾曲凹面に摺動可能に密接し、前記撮像レンズがソケットの先端面開口又は基端面開口から露出するようにソケットに嵌合したことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のカメラ装置において、前記カメラハウジングにおける前記撮像レンズの反対側の部位にナット部材を固定したことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のカメラ装置において、前記ブラケットの底面に接着剤層を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、カメラハウジングを略球形に形成し、カメラハウジングの球面部分をソケットに嵌合したので、カメラハウジングとソケットがボールジョイントとして機能する。そのため、カメラ本体とブラケットの間にボールジョイントを介在させることなく、カメラ本体の撮像レンズの光軸の角度を任意に調整できるので、カメラ装置を可及的に小型化できる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、一対のアームと、両アームによって挟持される略球形のカメラハウジングがボールジョイントとして機能するので、両アームの間から露出する撮像レンズの光軸の角度を任意に調整できる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、樽形のソケットと、ソケットに嵌合する略球形のカメラハウジングがボールジョイントとして機能するので、ソケットの先端面開口又は基端面開口から露出する撮像レンズの光軸の角度を任意に調整できる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、カメラハウジングにナット部材を固定したので、ナット部材にスパナやレンチ等の工具を連結することにより、ソケットに嵌合しているカメラ本体を工具を使って回動できる。従って、カメラハウジングを略球形に形成したにも拘らず撮像レンズの光軸の角度調整作業が容易に実施できる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、ブラケットの底面に接着剤層を形成したので、ブラケットを車両のフロントウィンドガラスやリヤウィンドガラスに接着することによりカメラ本体を設置でき、装置の使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施例に係るカメラ装置を示す斜視図である。
【図2】同カメラ装置を示す正面図である。
【図3】同カメラ装置を示す側面図である。
【図4】同カメラ装置の車両への設置方法を示す説明図である。
【図5】同カメラ装置の車両への設置方法を示す他の説明図である。
【図6】本発明の第2実施例に係るカメラ装置を示す斜視図である。
【図7】同カメラ装置の設置に用いるベースブラケットを示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施例に係るカメラ装置を示す斜視図である。
【図9】同カメラ装置を示す背面図である。
【図10】同カメラ装置を示す側面図である。
【図11】同カメラ装置の窓ガラスへの取付方法を示す説明図である。
【図12】同カメラ装置の壁面への取付方法を示す説明図である。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明を図面に基づき説明するに、図1〜図4には本発明の第1実施例に係るカメラ装置10が示されている。当該カメラ装置10はカメラ本体11と左右一対のアーム12から成るソケット及びブラケット13を備えている。
【0018】
カメラ本体11は略球状のカメラハウジング11aを備えている。このカメラハウジング11aは球体の一部をカットして平坦な前端面11bを形成し、前端面11bの反対側をカットして平坦な後端面11cを形成した略球形を有し、前端面11bに撮像レンズ15が開口している。また、後端面11cにはナット部材16が固定されるとともに、ナット部材16を通ってコード17がカメラハウジング11aから引き出されている。このコード17を介してカメラ本体11と、カメラ本体11で撮像したビデオ映像を表示するディスプレイ装置や録画装置が接続される。
【0019】
ソケットを構成する各アーム12は所定の間隔を空けて互いに対向するようにブラケット13に立てて固定されている。各アーム12の内面にはカメラハウジング11aの球面部分に密着するように所要の極率半径を有する湾曲凹面12aが形成されている。各アーム12の基端部12bには貫通穴が形成され、両貫通穴に一本のボルト18が挿通され、ボルト18によって両アーム12の基端部12bが連結されている。このボルト18の一端にはナット19がネジ着けられ、ナット19がブラケット13の表面に当接している。一方、ボルト18の他端には十字溝18aが形成されている。また、ブラケット13の底面には両面接着テープ20が貼着されている。
【0020】
カメラ本体11は、カメラハウジング11aの左右の球面部分がアーム12の湾曲凹面12aに摺動可能に密接し、撮像レンズ15が両アーム12間から露出するように両アーム12で挟持することによりブラケット13に取り付けられている。ブラケット13に取り付けられたカメラ本体11は略球形のカメラハウジング11aと一対のアーム12から成るソケットがボールジョイントとして機能するので、撮像レンズ15の光軸(x軸)をブラケットに対して上下(z軸)方向及び左右(y軸)方向に角度調整できる。
【0021】
カメラ本体11を両アーム12間に嵌合して取り付けるには、予めボルト18を緩めておく。そして、両アーム12間にカメラ本体11を嵌合した後、十字溝18aに工具を差し込んでボルト18を回すと、ナット19はブラケット13に当接して回転しないので、ボルト18が前進し、両アーム12がカメラハウジング11aに圧接する。ボルト18の締め付け具合を調整して圧接力を調整することにより、両アーム12間に嵌合しているカメラ本体11を回動して撮像レンズ15の光軸の方向を調整するとき、アーム12からカメラ本体11に適度な摩擦力を作用させることができる。そのため、カメラ本体11の回動操作を終了すれば光軸の角度が摩擦力で固定される。また、カメラ本体11をアーム12の中で回動させるには、カメラハウジング11aの後端面に固定したナット部材16に工具を連結して操作する。
【0022】
第1実施例に係るカメラ装置10の構造は以上の通りであって、図4及び図5にこのカメラ装置10の車両30への設置例を示す。図4に示す設置例1では、車両30の前方視界を撮像するため、車両30のフロントウィンドのガラス31の内面上部にブラケット13を両面接着テープ20で接着固定している。図4に示す設置例2では、車両30の後方視界を撮像するため、車両のリヤウィンドのガラス32の内面上部にブラケット13を接着固定している。図5に示す設置例3では、設置例1と同様に車両30の前方視界を撮像するため、ブラケット13を車両30のバックミラー33の裏面に接着固定している。なお、第1実施例に係るカメラ装置10について、車両30の室内に設置した場合について説明したが、設置場所は車両室内に限定されるものではなく、ルーフパネル34の外面のように車両室外に設置したり、防犯カメラとして建物の壁面や窓ガラスに取り付けることもできる。
【実施例2】
【0023】
本発明の第2実施例に係るカメラ装置40を図に示す。当該カメラ装置40のブラケット41には長方形で幅広の第1係合穴41a、第1係合穴41aに連通する長方形で幅狭の第2係合穴41b及び貫通穴41cが形成されている。
なお、第2実施例に係るカメラ装置40の他の構成は第1実施例に係るカメラ装置10と同じであるので、他の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0024】
第2実施例に係るカメラ装置40は図7に示すベースブラケット50を使って車両に設置される。このベースブラケット50はベースプレート51と、ベースプレート51に立設したフックプレート52を備え、ベースプレート51の裏面に両面接着テープ53が貼着されている。フックプレート52には第1フック片54と第2フック片55及び押圧片56が一体成形されている。ブラケット41の幅広の係合穴41aに第1フック片54を係合し、ブラケット41を第1係合穴41aに沿って摺動させると、第2係合穴41bが第フック2片55に係合し、押圧片56がブラケット41に圧接するので、ベースブラケット50とブラケット41が着脱可能に連結される。
【0025】
第2実施例に係るカメラ装置40の設置例を図5に示す。車両30のリヤボード35にベースブラケット50のベースプレート51を接着テープ53で固定し、ベースブラケット50にブラケット41を連結してカメラ装置40を設置し、車両の後方視界を撮像する。
なお、ベースブラケットを用いずに、ブラケット41の貫通穴41cにビスを通して直接ブラケット41をリヤボード35に固定することもできる。
【実施例3】
【0026】
本発明の第3実施例に係るカメラ装置60を図8〜図10に示す。当該カメラ装置60はカメラ本体61とソケット62及びこれと一体に成形されたブラケット63を備えている。
【0027】
カメラ本体61のカメラハウジング61aは第1,2実施例と同様に球体の一部をカットして平坦な前端面61aを形成し、前端面61aの反対側をカットして平坦な後端面61bを形成した略球形を有し、前端面61aに撮像レンズ65が開口している。また、後端面61bにはナット部材66が固定され、ナット部材66を通ってコード67がカメラハウジング61から引き出されている。
【0028】
ソケット62は、先端面62aと基端面62bを開口に形成し、内周面に湾曲凹面62cを形成した樽形を有し、周面に縦方向のスリット62dが4本形成されている。また、周面の一箇所にネジ穴62eが形成されている。4本のスリット62dは、ソケット62の中心線に対して点対称に配置されている。
【0029】
ブラケット63は先端面と基端面63aの両端面を開口にした中空構造の円錐台形を有し、先端面開口にソケット62の基端面開口62bが接続され、ブラケット63の基端面開口63aの周縁にリング状のフランジ部63bが形成されている。フランジ部63bには3箇所に貫通穴63cが形成されている。また、フランジ部63bにはフランジ部63bの内外を連通する1本のコード溝63dが形成されている。
【0030】
カメラ本体61はカメラハウジング61aがソケット62の湾曲凹面62cに摺動可能に密接し、撮像レンズ65がソケット62の基端面開口62bとブラケット63の基端面開口63aを通して露出するようにソケット62に嵌合することにより、ブラケット63に取付けられている。カメラ本体61は、樽形のソケット62に嵌合する略球形のカメラハウジング61aがボールジョイントとして機能するので、ソケット62の基端面開口62bから露出する撮像レンズ65の光軸の角度を上下及び左右方向に任意に調整できる。
【0031】
第3実施例に係るカメラ装置60の設置例を図11に示す。家屋の窓ガラス71に取り付ける場合、フランジ部63bの底面に両面接着テープ72を貼着しておいて、この接着テープ72でブラケット63を窓ガラス71に固定する。カメラハウジング61aをソケット62内で回動して撮像レンズ65の光軸の方向を調整した後、ソケット62のネジ穴62eにビス73を通してカメラハウジング61aをソケット62に固定する。
【0032】
第3実施例に係るカメラ装置60を家屋の壁面74に設置する場合、図12に示すように、カメラ本体60の撮像レンズ65がソケット62の先端面開口62aから露出するように、カメラ本体60をソケット62に嵌合する。そして、ブラケット63の貫通穴63cにビス75を通してブラケット63を壁面74に固定し、コード67はブラケット63のコード溝63dを通してブラケット63の外部へ引き出す。
【符号の説明】
【0033】
10,40,60…カメラ装置
11…カメラ本体
11a…カメラハウジング
12…アーム
12a…湾曲凹面
13…ブラケット
15…撮像レンズ
16…ナット部材
41…ブラケット
61…カメラ本体
62…ソケット
62c…湾曲凹面
63…ブラケット
65…撮像レンズ
66…ナット部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラハウジングを略球形に形成したカメラ本体と、車両に固定可能なブラケット及び該ブラケットに設けられ、前記カメラハウジングの球面部分が嵌合可能なソケットを備え、
前記カメラ本体の撮像レンズをソケットから露出するとともに、撮影レンズの光軸の方向をブラケットに対して上下方向及び左右方向へ調整可能となるように、前記カメラハウジングの球面部分を前記ソケットに嵌合したことを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
前記ソケットを少なくとも一対のアーム片で構成し、各アーム片に湾曲凹面を形成し、カメラハウジングが両アームで挟持されて湾曲凹面に摺動可能に密接し、前記撮像レンズが両アームの間から露出するように両アーム間に嵌合したことを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項3】
前記ソケットを、先端面と基端面を開口に形成し、内周面に湾曲凹面を形成し、かつ周面に縦方向のスリットを複数本形成した樽形に形成し、
前記ブラケットに前記ソケットの基端面開口に連通する開口を形成し、
カメラハウジングを前記湾曲凹面に摺動可能に密接し、前記撮像レンズがソケットの先端面開口又は基端面開口から露出するようにソケットに嵌合したことを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項4】
前記カメラハウジングにおける前記撮像レンズの反対側の部位にナット部材を固定したことを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置。
【請求項5】
前記ブラケットの底面に接着剤層を形成したことを特徴とする請求項1に記載のカメラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−226030(P2012−226030A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91762(P2011−91762)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(593079944)株式会社ビートソニック (37)
【Fターム(参考)】