カメラ
【課題】光学特性が異なるフォーカシングスクリーンを装着可能なカメラにおいて、ハードウエア追加無しで、フォーカシングスクリーンの種類(CAVの差異を含む)を判別できるようにすること。
【解決手段】撮影レンズ201a,201bと、上記撮影レンズを通過した光が結像するフォーカシングスクリーン106と、上記フォーカシングスクリーンの明るさを測定することにより測光する測光回路118と、を備える一眼レフレクスカメラ10において、上記測光回路118は、上記フォーカシングスクリーンの複数の所定部分の明るさを測定し、ボディ制御用マイクロコンピュータ104は、上記複数の所定部分の明るさの差異により、上記フォーカシングスクリーンの種類(CAVの差異を含む)を判別する。
【解決手段】撮影レンズ201a,201bと、上記撮影レンズを通過した光が結像するフォーカシングスクリーン106と、上記フォーカシングスクリーンの明るさを測定することにより測光する測光回路118と、を備える一眼レフレクスカメラ10において、上記測光回路118は、上記フォーカシングスクリーンの複数の所定部分の明るさを測定し、ボディ制御用マイクロコンピュータ104は、上記複数の所定部分の明るさの差異により、上記フォーカシングスクリーンの種類(CAVの差異を含む)を判別する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラや銀塩カメラ等のカメラに関し、特に、フォーカシングスクリーンの明るさを測定することにより測光を行うカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの撮影において、被写界の明るさを適切に判断し、適切な露出をすることは、良い画質を得るために重要なことである。
【0003】
一眼レフレクスカメラでは、撮影レンズの透過光を、フォーカシングスクリーンと呼ばれる拡散面を持つ光学部材に結像させる。撮影者はこのフォーカシングスクリーンに結像された像を見ながら、構図の決定、フォーカス確認を行う。
【0004】
多くの一眼レフレクスカメラでは、被写体の明るさの測定方法として、上記フォーカシングスクリーンを透過する光量を、光センサ(以降、測光センサと記載する)で測定する方式が採用されている。
【0005】
この光量測定の誤差要因として影響が大きいのが、フォーカシングスクリーンの光学特性である。
【0006】
拡散面の拡散特性、集光用のフレネルなどにより、測光センサに届く光が変化する。
【0007】
一方、フォーカシングスクリーンには、用途により方眼状の線が書かれたり、手動でピント合わせを容易にするためのプリズムが追加されていたり、様々な種類が存在する。そのようにフォーカシングスクリーンに線が書かれていたり、光学系が追加されたりしていれば、測光センサに届く光にも影響する。
【0008】
また、拡散特性は、拡散面形成条件によって特性が異なる。樹脂を金型に流し込んで形成する際、同一種類のフォーカシングスクリーンであっても、その金型による依存性、流し込み方向により特性が決まる。
【0009】
金型の内部に形成され、成型品とほぼ同じ形状を有し溶融樹脂が流れ込む空間であるキャビティ(以下CAVと称す)は、1個の金型内に通常は複数個形成されるが、複数のCAV間には製造ばらつきが発生するため、フォーカシングスクリーンにおいても上記拡散特性のばらつきが発生する。
【0010】
このように、フォーカシングスクリーンに存在する光学的な差異は、測光センサへの光に影響し、被写体の明るさ測定時に誤差を生じさせる要因となっている。
【0011】
そこで、フォーカシングスクリーンの種類や形成条件から生じる測光誤差に対応するために、以下の対策が提案されている。
【0012】
例えば、特許文献1には、フォーカシングスクリーンの、測光領域とは別の判別領域に、種類に応じた光学パターンを設けて、その判別領域を測光することでパターン取得して、判別するという手法が提案されている。
【0013】
また、特許文献2には、フォーカシングスクリーンの光学特性自体を測光手段により取得し、その取得した特性の結果により補正を決定するという提案もされている。
【0014】
更に、フォーカシングスクリーン周辺部に突起を設け、この有無により2種類のスクリーンを判別するという手法も知られている。
【特許文献1】特開2006−317519号公報
【特許文献2】特開2006−139188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような手法では、フォーカシングスクリーンが、判別領域追加分、大きくなってしまう。カメラの性格やユーザによっては、フォーカシングスクリーン交換を一度もせずにカメラの寿命を迎えることもあり、比較的頻度の少ないフォーカシングスクリーン交換のために、LEDなどの光源、光学系をわざわざ設ける必要があるという問題がある。
【0016】
また、上記特許文献2に開示されているような手法では、実際に必要なフォーカシングスクリーンの特性データを取得するには、絞り対測光出力特性だけでは不完全であり、少なくとも射出瞳位置に関連する情報と、測光出力特性、または、焦点距離と測光出力特性が必要であるので、特性を取得するために、所定条件撮影レンズが複数必要となる。更に、正確に光学特性を取得するためには、被写体にも条件が必要となるという問題がある。
【0017】
また、フォーカシングスクリーン周辺部に突起を設け、この有無により2種類のスクリーンを判別するという手法では、判別するためのメカ機構を必要としたり、多くのスクリーンを判別する場合、判別部分のスペースを多く必要とする。
【0018】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、光学特性が異なるフォーカシングスクリーンを装着可能なカメラにおいて、ハードウエア追加無しで、フォーカシングスクリーンの種類(CAVの差異を含む)を判別することが可能なカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のカメラの一態様は、
撮影レンズと、
上記撮影レンズを通過した光が結像するフォーカシングスクリーンと、
上記フォーカシングスクリーンの明るさを測定することにより測光する測光手段と、
を備えるカメラにおいて、
上記測光手段は、上記フォーカシングスクリーンの複数の所定部分の明るさを測定し、上記複数の所定部分の明るさの差異により、上記フォーカシングスクリーンの種類(CAVの差異を含む)を判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光学特性が異なるフォーカシングスクリーンを装着可能なカメラにおいて、ハードウエア追加無しで、フォーカシングスクリーンの種類(CAVの差異を含む)を判別することが可能となり、その結果、判別されたフォーカシングスクリーンの特性に応じた補正をかけることが可能となるカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明のカメラの第1実施形態としての一眼レフレクスカメラの構成を示すブロック図である。なお、ここではデジタルカメラの例を示す。
【0023】
同図に示すように、この一眼レフレクスカメラ10は、ボディユニット100と、交換可能なレンズユニット200と、通信コネクタ101を介して撮影した画像データを記録する記録メディア300と、ストロボ通信コネクタ102を介して接続される外付けのストロボユニット400と、を有して構成される。
【0024】
レンズユニット200は、上記ボディユニット100と着脱可能である。該レンズユニット200は、撮影レンズ201a及び201bと、絞り202と、レンズ駆動機構203と、絞り駆動機構204と、レンズ制御用マイクロコンピュータ(Lμcom)205と、から構成されている。
【0025】
上記撮影レンズ201a及び201bは、レンズ駆動機構203内のDCモータ(図示せず)によって光軸方向に駆動される。絞り202は、絞り駆動機構204内のステッピングモータ(図示せず)によって駆動される。
【0026】
Lμcom205は、上記レンズ駆動機構203や絞り駆動機構204など、レンズユニット200内の各部を駆動制御する。このLμcom205は、通信コネクタ103を介して後述するボディ制御用マイクロコンピュータ(Bμcom)104と電気的に接続されて、Bμcom104の指令に従い制御される。
【0027】
ボディユニット100は、以下のように構成される。
【0028】
レンズユニット200内の撮影レンズ201a及び1201b、絞り202を介して入射される被写体からの光束は、クイックリターンミラー105により反射されて、フォーカシングスクリーン106に結像される。この像は、ペンタプリズム107を介して、接眼レンズ108に至る。
【0029】
上記クイックリターンミラー105は、ハーフミラーになっており、該クイックリターンミラー105がダウン(図示の位置)した際に、一部の光束が通過する。この透過した光束は、該クイックリターンミラー105に設置されたサブミラー109で反射され、自動測距を行うためのAFセンサユニット110に導かれる。
【0030】
クイックリターンミラー105のミラーアップ時には、このサブミラー109は、折り畳めるようになっている。
【0031】
上記クイックリターンミラー105の後方には、光軸上のフォーカルプレーン式のシャッタユニット111と、光学系を通過した被写体像を光電変換するための撮像素子112を収容した撮像モジュール113が設けられている。
【0032】
クイックリターンミラー105が光路より退避した場合、撮影レンズ201a及び201bを通った光束は、撮像モジュール113の撮像素子112に結像される。
【0033】
上記撮像モジュール113内の撮像素子112に接続された撮像素子インターフェイス回路114と、記憶領域として設けられたSDRAM115と、液晶モニタ116と、上記通信コネクタ101を介して記録メディア300とが、画像処理を行うための画像処理コントローラ117に接続されている。これらは、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
【0034】
上記記録メディア300は、外部記録媒体であり、通信コネクタ101を介してカメラのボディユニット100と通信可能、且つ交換可能に装着される。
【0035】
上記画像処理コントローラ117は、通信コネクタ101と、測光回路118と、ミラー駆動機構119と、AFセンサ駆動回路120と、シャッタ駆動制御回路121と、図示しない不揮発性メモリ等と共に、このボディユニット100内の各部を制御するためのBμcom104に接続されている。また、Bμcom104は、連写時の撮影間隔を計測するタイマを有しているもので、カメラの全体の動作を制御する制御のほか、計数手段、モード設定手段、検出手段、判定手段、演算手段などの機能を有している。
【0036】
上記Bμcom104には、カメラの動作状態を表示出力によって撮影者へ告知するための動作表示用LCD122と、カメラ操作スイッチ123と、電源回路124を介して電池125とが接続されている。
【0037】
なお、上記Bμcom104とレンズユニット200内のLμcom205とは、レンズユニット200の装着時において、通信コネクタ103を介して通信可能に電気的接続がなされる。そして、デジタルカメラとして、Lμcom205がBμcom104に従属的に協働しながら稼動するようになっている。
【0038】
上記測光回路118は、上記ペンタプリズム107からの光束に基づいて測光処理する回路である。この測光回路118内に、詳細は後述するような、被写界を複数に分割して被写界輝度を測定する多分割測光センサを有している。
【0039】
上記ミラー駆動機構119は、クイックリターンミラー105を駆動制御する機構であり、AFセンサ駆動回路120は、上記AFセンサユニット110を駆動制御するための回路である。また、シャッタ駆動制御回路121は、上記シャッタユニット111内の先幕と後幕の動きを制御すると共に、Bμcom104との間でシャッタの開閉動作を制御する信号ストロボユニット(図ではストロボユニット400)と同調する信号の授受を行う。
【0040】
図示しない不揮発性メモリは、そのほかの記憶領域として、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する手段であり、Bμcom104からアクセス可能に設けられている。
【0041】
上記動作表示用LCD122は、カメラの動作状態を表示出力によって撮影者へ告知するためのものである。上記カメラ操作スイッチ123は、例えば撮影動作の実行を指示するレリーズスイッチ、撮影モードを連写モードや通常撮影モードなどに切り替えるモード変更スイッチ及びパワースイッチなど、カメラを操作するために必要な操作ボタン(撮影操作手段)を含むスイッチ群で構成される。
【0042】
電源回路124は、電源としての電池125の電圧を、当該カメラの各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給するために設けられている。
【0043】
ストロボユニット400は、フラッシュ制御用マイクロコンピュータ(Fμcom)401と、閃光発光部402と、発光制御回路403と、電池404とから構成される。そして、このストロボユニット400は、ストロボ通信コネクタ102を介して、ボディユニット100と通信可能に装着可能である。
【0044】
このように構成された一眼レフレクスカメラ10の各部は、次のように稼動する。
【0045】
まず、画像処理コントローラ117により、Bμcom104の指令に従って撮像素子インターフェイス回路114が制御されて、撮像モジュール113から画像データが取り込まれる。この画像データは、一時保管用メモリであるSDRAM115に取り込まれる。このSDRAM115は、画像データを変換する際のワークエリアなどに使用される。また、この画像データは、JPEGデータに変換された後には、記録メディア300に保管されるように設定されている。
【0046】
ミラー駆動機構119は、上述したように、クイックリターンミラー105をアップ位置とダウン位置へ駆動するための機構である。ミラー駆動機構119によってクイックリターンミラー105がダウン位置にある時、撮影レンズ201a及び201bからの光束は、AFセンサユニット110側と、ペンタプリズム107側へと分割されて導かれる。
【0047】
AFセンサユニット110内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路120を介してBμcom104へ送信されて、周知の測距処理が行われる。
【0048】
一方、非露光時には、図2(A)に示すように、クイックリターンミラー105がダウン位置となっており、撮影レンズ201a及び201bから入射した光束は、クイックリターンミラー105からペンタプリズム107に隣接する接眼レンズ108に導かれるので、撮影者はフォーカシングスクリーン106に結像された像を接眼レンズ108から目視できる。また、上記ペンタプリズム107を通過した光束の一部は、測光回路118内の多分割測光センサ(多分割AEセンサ)126へ導かれ、ここで検知された光量に基づいて、測光処理が行われる。この多分割測光センサ126の詳細と、その後の処理については後述する。
【0049】
なお、露光時には、図2(B)に示すように、クイックリターンミラー105がアップ位置となっており、撮影レンズ201a及び201bから入射した光束は、接眼レンズ108及び多分割測光センサ126には導かれず、撮像素子112へと導かれる。
【0050】
シャッタ駆動制御回路121では、Bμcom104からシャッタを駆動制御するための信号を受け取ると、その信号に基づいてシャッタユニット111を制御する。それと共に、Bμcom104から所定のタイミングで、ストロボ通信コネクタ102を介してFμcom401及び発光制御回路403に、ストロボを発光させるための発光信号が出力される。Bμcom104からは、上記発光信号に基づいて、通信により発光モードに応じた発光指令信号が出力される。
【0051】
また、撮影者によって上述したカメラ操作スイッチ123の中のモード変更スイッチが操作されて、撮影モードから画像表示モードへ切り替えられると、記録メディア300に保管された画像データが読み出されて、液晶モニタ116に表示可能である。記録メディア300から読み出された画像データは、画像処理コントローラ117においてビデオ信号に変換され、液晶モニタ116にて出力表示される。
【0052】
ここでストロボユニット400による調光について説明する。
一般的な調光としては、プリ発光調光制御がある。このプリ発光調光制御は、撮影に先立って閃光発光部402を発光するプリ発光が行われ、このプリ発光によって被写体から撮影レンズ201a,201bを透過して前述の測光回路118内の多分割測光センサ126に届く反射光の光量により、本撮影時の閃光発光部402の発光量が演算されて決定されるものである。
【0053】
ここで、多分割測光センサ126を含む測光回路118について、図3を参照して更に詳細に説明する。
多分割測光センサ126は、受光面に配置した複数のフォトダイオード(PD)からなり、測光回路118は、これらフォトダイオードごとの出力を得る回路を更に備え、被写界を分割して測定する。
【0054】
即ち、受光面に配置された各PDは、受光量に応じた電流を発生する特性を持つ。この電流を、各PDに接続された電流電圧変換回路(例えば対数圧縮アンプ127)に入力して、電流量に応じた電圧値に変換する。各電流電圧変換回路の出力端はSWに接続されており、これらのSWの一つをONさせて、変換された電圧を電圧増幅回路128で増幅した後、Bμcom104が備えるA/D変換回路129に入力する。Bμcom104は、上記不図示の不揮発性メモリに記憶された制御パラメータを用いて、上記測定された電圧値をPD受光量に変換する。SWを切り替えることで、光量測定するPDを切り替え、分割された被写界輝度をそれぞれ測定することができる。
【0055】
図4は、このような一眼レフレクスカメラ10の基本シーケンスからコールされるレリーズ検知シーケンスのフローチャートを示す図である。
【0056】
即ち、非露光時は、撮影レンズ201a及び201bから、入射する光を、クイックリターンミラー105で反射させて、接眼レンズ108まで光を導く。このとき、測光回路118の多分割測光センサ126にも一部の光が入射する。撮影者は、非露光時の状態で、接眼レンズ108から被写体を見て構図を決め、カメラ操作スイッチ123の中の撮影動作の実行を指示するレリーズスイッチをONする。基本シーケンスにおいて上記レリーズスイッチのONを検知すると、図4のレリーズ検知シーケンスがコールされる。
【0057】
このレリーズ検知処理においては、Bμcom104はまず、AFセンサ駆動回路120によりAFセンサユニット110を駆動して、AFセンサユニット110内のAFセンサからの出力をAFセンサ駆動回路120を介して受信し、周知の測距処理を行う(ステップS101)と共に、測光回路118によって上述の光量測定を行い(ステップS102)、その測定結果に基づいて露光量を演算する(ステップS103)。
【0058】
その露光量演算の結果、閃光発光部402をストロボ発光させるフラッシュ撮影する必要があれば(ステップS104)、ストロボユニット400に上述したようなプリ発光動作を行わせ(ステップS105)、測光回路118による光量測定結果に基づいて、本撮影時の閃光発光部402の発光量を演算する(ステップS106)。
【0059】
そして、ミラー駆動機構119によりクイックリターンミラー105をアップ位置に駆動する(ステップS107)。その後、シャッタ駆動制御回路121によりシャッタユニット111のシャッタの開閉を制御して、画像処理コントローラ117により撮像素子インターフェイス回路114を介して撮像素子112に撮像を行わせる露光動作を実施する(ステップS108)。そして、ミラー駆動機構119によりクイックリターンミラー105を元のダウン位置に戻す(ステップS109)。
【0060】
その後、シャッタ駆動制御回路121によりシャッタユニット111のシャッタを、撮影可能な状態に戻しておく(ステップS110)。そして、画像処理コントローラ117により、SDRAM115に一時記憶した画像データをJPEG等の所定のデータ形式に変換して、記録メディア300記録して(ステップS111)、基本ルーチンに戻る。
【0061】
なお、上記ペンタプリズム107とクイックリターンミラー105の間に配置されるフォーカシングスクリーン106としては、光学特性が異なるものを任意に撮影者が交換可能となっている。
【0062】
図5(A)に示すように、撮影レンズ201で撮影される被写界500が、クイックリターンミラー105で反射され、このフォーカシングスクリーン106で結像する。フォーカシングスクリーン106は拡散面を持つ板状のもので、結像した像を目でみることにより、撮影者は構図を決める。なお、撮影レンズ201は、上記撮影レンズ201a,201bを合わせて一つのレンズとして描いたものである。
【0063】
図5(B)は、フォーカシングスクリーン106の実物例を示す図であり、中央部に円が描かれている模様を有している。この他にも、方眼状の線が描かれていたり、線が無かったり、プリズムが中央部に構成されているものなどがある。
【0064】
このようにフォーカシングスクリーン106の光学特性に、それぞれ違いが存在すると、被写界500の光が多分割測光センサ126に届く経路の間にフォーカシングスクリーン106が配置されているため、フォーカシングスクリーン106の結像状態を表している図5(C)に示すように、多分割測光センサ126に到達する光量も変化してしまう。
【0065】
そこで、本実施形態における一眼レフレクスカメラ10では、以下のようにしてフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判断している。
【0066】
即ち、図6に示すように、フォーカシングスクリーン106の一部に、半透明のフィルム106Aを配置する。このフィルム106Aは、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)ごとに、配置する位置を変更する。
【0067】
図6では、「CAV1」と「CAV2」という名称のフォーカシングスクリーン106を判別する例として、CAV1なるフォーカシングスクリーン106には左上に、CAV2なるフォーカシングスクリーン106には右上に、半透明フィルム106Aを配置している。
【0068】
この半透明フィルム106Aの透過率は、構図確認時に撮影者の目でフォーカシングスクリーン106を見たときに、違和感がなく、多分割測光センサ126で検知できる値に設定する。透過率は約5〜30%程度に設定するのが適正と考えられる。
本実施形態では、10%の設定とする。
【0069】
このようなフォーカシングスクリーン106を装着された一眼レフレクスカメラ10において、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別する際には、白壁など、被写界500全体が均一輝度(本実施形態の場合、最低限、フィルム106Aを配置したエリア近傍が均一輝度でも良い)となるような被写体に、撮影レンズ201を向ける。このような状態で多分割測光センサ126により被写界500の光を測定すると、半透明フィルム106Aを配置したエリアを測光する測光値は、他のエリアの測光値と比べ10%程度暗い。
【0070】
図7(A)は縦横7×7で等分割された多分割測光センサ126の測光エリアの配置を示す図で、「1」〜「49」の数字は、測光エリアの番号を表している。また、図7(B)は、被写界500と測光エリアを重ねて示す図である。
【0071】
図7(A)に示すような多分割測光センサ126により図7(B)に示すように一般的な被写体を7×7等分割エリアに分けて測光する構成において、均一輝度の被写体を撮影すると、CAV1なるフォーカシングスクリーン106では、測光エリア「1」〜測光エリア「3」が上記半透明フィルム106Aの設置範囲に入っているため暗く、CAV2なるフォーカシングスクリーン106では測光エリア「5」〜測光エリア「7」が暗い出力が観測される。
【0072】
即ち、測光エリア「1」〜測光エリア「7」に関して、(1,2,3,5,6,7)=(暗,暗,暗,明,明,明)という出力が多分割測光センサ126から取得されれば、当該一眼レフレクスカメラ10に装着されているフォーカシングスクリーン106は、CAV1なるフォーカシングスクリーン106であると判明する。
【0073】
図8を参照して、このフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別するCAV判定動作シーケンスを説明する。
即ち、図9(A)に示すように、一眼レフレクスカメラ10を白壁501に向けて配置した後、撮影者によって上述したカメラ操作スイッチ123の中のモード変更スイッチが操作されて、撮影モードからCAV判定モードへ切り替えられると、一眼レフレクスカメラ10の基本シーケンスから図8のCAV判定動作シーケンスがコールされる。
【0074】
このCAV判定動作シーケンスにおいてはまず、被写体にピントを合わせる動作を行う(ステップS121)。ここでは、被写体がぼやけていても、フォーカシングスクリーン106のうち多分割測光センサ126で測光される部分が、均一光になるようにすれば良いので、ピント合わせ動作を、被写体が無限にあるときと同様に撮影レンズ201を無限にピントが合うレンズ位置にマニュアルフォーカス等で駆動させる。
【0075】
なお、白壁501は、図9(B)に示すような全面白壁501Aに限定するものではなく、例えば図9(C)に示すように、フィルム106Aを配置したエリアの近傍に対応する判定エリア502のみが白均一な白壁501Bであっても良い。このような白壁501Bの場合は、被写体にピントを合わせるように撮影レンズ201を駆動させたほうが良い。
【0076】
次に、測光動作を行うことで、測光エリア49個の明るさが得られる(ステップS122)。
【0077】
そして、測光エリア「1」〜測光エリア「7」が輝度差が所定の範囲外であるか否かを判別することで、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定できるデータが取得できたかどうかを確認する(ステップS123)。測光エリア「1」〜測光エリア「7」すべて輝度差が無い場合や、フォーカシングスクリーン106に配置された半透明フィルム106Aが生じさせる輝度ムラのレベルを超えた、例えば2段(光量4倍)以上の大きい輝度差が生じた場合、輝度差が所定の範囲外であると判別する。この場合には、被写界500が適切ではないという告知を、動作表示用LCD122で行う(ステップS124)。
【0078】
これに対して、輝度差が所定範囲内であると判別した場合には、更に、測光エリア「1」〜測光エリア「3」の平均値と、測光エリア「5」〜測光エリア「7」の平均値とを求め、どちらが暗いかを調べる(ステップS125)。測光エリア「5」〜測光エリア「7」の平均値の方が明るければ、測光エリア「1」〜測光エリア「3」には半透明フィルム106Aが配置されていると判断し、装着されているのはCAV1なるフォーカシングスクリーン106であると判定する(ステップS126)。また、測光エリア「1」〜測光エリア「3」の平均値の方が明るい場合は、測光エリア「5」〜測光エリア「7」には半透明フィルム106Aが配置されていると判断し、装着されているのはCAV2なるフォーカシングスクリーン106であると判定する(ステップS127)。
【0079】
なおここで、被写体が不適切でないか確認するために、同じ透過率の半透明フィルム106Aが配置される測光エリア「1」と測光エリア「2」と測光エリア「3」の間の輝度差、もしくは、測光エリア「5」と測光エリア「6」と測光エリア「7」の間の輝度差を求め、輝度差が大きい場合は上記ステップS124で行ったような被写体不適切告知を実施するようにしても良い。
【0080】
このようにして、装着されているフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定ができるで、その判定されたフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)に最適な測光補正値を演算する(ステップS128)。その演算方法は、撮影レンズ201の開放絞り値や射出瞳位置、焦点距離を変数とした、計算式によるものでも良いし、テーブルを参照する方法でも良い。具体的な補正方法は本題ではないので詳細は割愛するが、例えば開放絞り値による補正が図10のようにグラフで示される場合、この曲線を数式で計算するとき、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)ごとに数式が必要になる。従来ではCAV1なるフォーカシングスクリーン106とCAV2なるフォーカシングスクリーン106の平均値を補正値として使っていたが、本実施形態によるフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判別により、より最適な輝度補正値を求めることが可能となる。なお、実際の測光センサ出力に該演算した測光補正値を加算したものが、測光エリア輝度として使用される。
【0081】
そして、演算した測光補正値を、例えば図示しない不揮発性メモリに記憶する(ステップS129)。このようにフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定結果もしくは演算した測光補正値を不揮発性に記憶しておくことで、再度フォーカシングスクリーン106が交換されるまで、再度CAV判定動作シーケンスを実行することなく、最適な輝度補正値を得ることができる。
【0082】
以上のようにして、測光精度を向上できる。
【0083】
なお、本実施形態では、多分割測光センサ126の例を記載していたが、多分割測光センサ126の代わりに、より情報の多い撮像素子を用いて、同様の判定をすることも容易に可能である。フォーカシングスクリーン106に結像された像を、撮像素子で秒30駒程度の速度で取得し、これを動作表示用LCD122に表示することで、撮影者は接眼レンズ108を覗かずに構図を確認できるというカメラも存在するが、このような撮像素子においてもフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別することで、フォーカシングスクリーン106に応じた画像の補正を行うことができるので、表示品質を上げることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、画面上部だけではなく、下、左、右にフィルム106Aを設置も可能な構成であり、半透明フィルム106Aを複数配置し、半透明フィルム106A配置の組合せにより、多くの種類(CAVの差異を含む)を判別することが可能である。
【0085】
以上のように、本第1実施形態によれば、フォーカシングスクリーン106の被写体測光領域の一部に半透明フィルム106Aを配置することで、撮影レンズ201からフォーカシングスクリーン106を経由して多分割測光センサ126に至る光路で、判別用の輝度差による信号を生じさせるようにし、白壁501などの単色の被写体明るさが概略均一の被写体を測光したときに、判定部分に相当する多分割測光センサ126の出力から、一眼レフレクスカメラ10に装着されているフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定するようにしているので、一眼レフレクスカメラ10にハードウエアを追加すること無く、製造過程の微妙な違いによって特性が大きく変わるフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判断することができる。従って、被写体を測光する際の補正値が、フォーカシングスクリーン106に応じたものにすることができ、結果、正確に被写体の明るさを測定することが可能となるので、より安定して、美しい撮影画像を手にいれることができる。
【0086】
なお、上記輝度差は、目視では判断が困難であるが、多分割測光センサ126では確実に判断できる程度の輝度差である。
【0087】
[第2実施形態]
フォーカシングスクリーン106の生成工程において、型(CAV)に樹脂を流し込む方向により、フォーカシングスクリーン106の拡散面の拡散性が、場所によりムラが生じる。
【0088】
拡散が大きければ、開放絞り値F5.6などの比較的暗いレンズにおいて、多分割測光センサ126へ光が届きにくくなる。
【0089】
一方、開放絞り値F2のような明るいレンズでは、多分割測光センサ126への光路が広く、拡散の大小による差異は小さい。
【0090】
本実施形態では、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判別のための信号として、拡散面の拡散ムラを利用した判別手段について記載する。
【0091】
図5(A)に示したようなフォーカシングスクリーン106と多分割測光センサ126の位置関係を、クイックリターンミラー105による屈折を除いたストレート光学系で表すと、図11に示すように表される。
【0092】
即ち、フォーカシングスクリーン106のスクリーン面の垂線方向には、撮影者が覗いて被写体の構図を確認するための接眼レンズ108を配置している。多分割測光センサ126は、フォーカシングスクリーン106のスクリーン面の垂線に対し「やぶにらみ角」と称される角度方向に配置される。そのため、撮影レンズ201の光軸方向に配置された接眼レンズ108への光と比べ、多分割測光センサ126に届く光はフォーカシングスクリーン106の拡散光成分が大きい。
【0093】
図12(A)及び(B)は、光束と拡散光についての説明図である。
開放絞り値がF2.0と明るいレンズの場合、光束が広く、図12(A)に示すように、フォーカシングスクリーン106に広い角度から光が入射する。そのため、フォーカシングスクリーン106のスクリーン面に対し垂直方向の光の他に、多分割測光センサ126に届く斜め方向の光も強い出力となる。
【0094】
一方、開放絞り値がF5.6と暗いレンズの場合は、光束が狭く、図12(B)に示すように、フォーカシングスクリーン106に入射する光の角度が狭くなり、その結果、多分割測光センサ126に届く光は、フォーカシングスクリーン106の拡散面による拡散光成分が多くなる。そのため、フォーカシングスクリーン106の拡散特性が弱い場合、多分割測光センサ126への光が少なくなるという特性を持つ。
【0095】
従来では、全面が適切な拡散特性となるようフォーカシングスクリーン106を製造してきたが、本実施形態では、そのような開放絞り値によりフォーカシングスクリーン106の拡散特性の影響が変わることを利用して、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判別のための信号に用いるところが特徴である。
【0096】
以下、図7(A)に示した測光エリア「1」〜測光エリア「7」を判定エリアとして用いて、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別する手法を説明する。
なお、図11の構成では、それら判定エリア126Aである測光エリア「1」〜測光エリア「7」は、図13(A)に示すように、多分割測光センサ126の上部一列に配置しているものとする。この一列は、やぶにらみ角が大きくなり、結果、拡散光の増減が一番影響するので、フォーカシングスクリーン106の判別手段の信号を配置するには都合が良い。
【0097】
開放絞り値がF2.0のレンズでは、多分割測光センサ126の配光状態は一緒であるが、開放絞り値がF5.6のレンズの場合、図13(B)乃至(D)に示すように、フォーカシングスクリーン106の成型のバラツキによって、配光分布にバラツキが発生する。
【0098】
拡散特性が弱い部分は、前述の説明通りに開放絞りが暗いときに、より暗くなる特性となる。
【0099】
CAV1なるフォーカシングスクリーン106では、図13(B)に示すように、多分割測光センサ126の上部真ん中の測光エリアが測定する一部の拡散特性が弱めに形成されている。CAV2なるフォーカシングスクリーン106では、図13(C)に示すように、多分割測光センサ126の右上の測光エリアが測定する部分の拡散特性が弱く形成されている。そして、CAV3なるフォーカシングスクリーン106では、図13(D)に示すように、多分割測光センサ126の右上及び左上の測光エリアが測定する部分の拡散特性が弱く形成されている。
【0100】
一眼レフレクスカメラ10に組み込まれたフォーカシングスクリーン106が何れであるのかを判別するために、上記第1実施形態と同様、図9(A)に示すように当該一眼レフレクスカメラ10を配置する。
【0101】
この状態で、各測光エリアの輝度から、下記式(1)乃至式(3)により、左輝度、中央輝度、及び右輝度を求める。
左輝度=(測光エリア「1」輝度+測光エリア「2」輝度)/2 − 測光エリア「25」輝度 ・・・(1)
中央輝度=(測光エリア「3」輝度+測光エリア「4」輝度+測光エリア「5」輝度)/3 − 測光エリア「25」輝度 ・・・(2)
右輝度=(測光エリア「6」輝度+測光エリア「7」輝度)/2 − 測光エリア「25」輝度 ・・・(3)
なお、測光エリア「25」は画面中央のエリアである。このような相対的な比較を行うことで、被写体の明るさの制約を受けないようにする。
【0102】
図14は、本実施形態におけるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図であり、該CAV判定動作シーケンス中で、この演算を実施し、その演算結果を用いてフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別する。
【0103】
即ち、図9(A)に示すように、一眼レフレクスカメラ10を白壁501に向けて配置した後、撮影者によって上述したカメラ操作スイッチ123の中のモード変更スイッチが操作されて、撮影モードからCAV判定モードへ切り替えられると、一眼レフレクスカメラ10の基本シーケンスから図14のCAV判定動作シーケンスがコールされる。
【0104】
なお、この図14のCAV判定動作シーケンスは、当該一眼レフレクスカメラ10がレンズユニット200交換式で、装着された撮影レンズ201がF2.8で明るい場合、よりフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定が正しくできるようにチェックする機能を設けた例である。実際のフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定動作は、ステップS135から行われる。
【0105】
通常、レンズユニット交換式の一眼レフレクスカメラ10は、撮影するときを除き、レンズユニット200の絞り202は開放状態である。測光は、このレンズ絞り開放状態で行われる。
【0106】
そこで、まず、Bμcom104は、Lμcom205と通信することで、レンズユニット200の開放絞りがF2.8より明るいか否かを判別し(ステップS131)、明るい場合には、そのまま開放状態で測光回路118により測光動作を行う(ステップS132)。ここで、開放絞りでは無い場合には、Lμcom205に指示して、絞り駆動機構204により絞り202を開放にするもしくはF2.8よりも明るい絞りに設定した上で、測光動作を行う。
【0107】
そして、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定する判定エリア126Aである測光エリア「1」〜測光エリア「7」で、それぞれの測光値の違い(輝度差)が大きいかどうかチェックする(ステップS133)。もし、輝度差が大きい場合、例えば7つのエリアで2段分の輝度差が生じていた場合は、被写体が不適切であるという警告を動作表示用LCD122により告知して(ステップS134)、該CAV判定動作シーケンスを終了する。
【0108】
上記ステップS131において、F2.8よりも開放絞りが暗いと判定した場合には、もともと配光ムラが生じるので、上記ステップS132及びステップS133による測光値のチェックせずにステップS135へ進む。また、上記ステップS133で測光値の輝度差が小さいと判断されて場合もステップS135に進む。
【0109】
ステップS135においては、Lμcom205に指示して、絞り駆動機構204により絞り202をF5.6に制御する。このようにすることで、前述の図12(B)を参照して説明した通り、フォーカシングスクリーン106の拡散性強弱が現れ易くなる。
【0110】
そして、このまま測光回路118により測光動作を行って、判定エリア126Aの測光値を取得し、上記式(1)乃至式(3)により、左輝度、中央輝度、及び右輝度を算出する(ステップS136)。
【0111】
本実施形態で使用するフォーカシングスクリーン106は、図13(B)乃至(D)のCAV1、CAV2、CAV3であるので、CAV1は中央輝度が他のものより暗くなる。
【0112】
そこで、まず、上記式(2)により求めた中央輝度が、所定の判定値1よりも大きいかどうかで、装着されているフォーカシングスクリーン106がCAV1であるかどうかを判定する(ステップS137)。ここで、中央輝度が判定値1以下である場合は、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV1であると判定する(ステップS138)。
【0113】
中央輝度の方が判定値1よりも大きい場合は、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV2かCAV3のどちらかであるので、更に、上記式(1)で求めた左輝度と上記(3)式で求めた右輝度の差分をとり、その輝度差が所定の判定値2よりも大きいか小さいかで、何れであるのかの判定を行う(ステップS139)。これは、F5.6では、CAV2なるフォーカシングスクリーン106は図13(C)に示すように左が明るく、右が暗いという拡散特性を持ち、CAV3なるフォーカシングスクリーン106は図13(D)に示すように左右両方暗いという拡散特性を持たせている。そのため、上記演算した左輝度から右輝度を引いたときの差分が大きいほうがCAV2、小さい方がCAV3であることが判別できることを利用している。即ち、左輝度−右輝度が判定値2より大きい場合は、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV2であると判定し(ステップS140)、左輝度−右輝度が判定値2以下である場合は、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV3であると判定する(ステップS141)。
【0114】
このようにして、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別できたので、後は上述した第1実施形態と同様に、その判定されたフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)に最適な測光補正値を演算して(ステップS128)、その演算した測光補正値を、例えば図示しない不揮発性メモリに記憶する(ステップS129)ことで、より正確な光量測定が実施できる。
【0115】
以上のように、本第2実施形態によれば、フォーカシングスクリーン106の被写体測光領域の一部に存在する拡散面の拡散ムラによって、撮影レンズ201からフォーカシングスクリーン106を経由して多分割測光センサ126に至る光路で、判別用の輝度差による信号を生じさせ、白壁501などの単色の被写体明るさが概略均一の被写体を測光したときに、判定部分に相当する多分割測光センサ126の出力から、一眼レフレクスカメラ10に装着されているフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定するようにしているので、一眼レフレクスカメラ10にハードウエアを追加すること無く、製造過程の微妙な違いによって特性が大きく変わるフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判断することができる。従って、被写体を測光する際の補正値が、フォーカシングスクリーン106に応じたものにすることができ、結果、正確に被写体の明るさを測定することが可能となるので、より安定して、美しい撮影画像を手にいれることができる。
【0116】
[第3実施形態]
本第3実施形態は、蓄光材をフォーカシングスクリーン106周辺部に付着させ、クイックリターンミラー105のミラー制御により光を遮光し、その間、蓄光効果により発光している光を、多分割測光センサ126で測光することで、蓄光材付着位置を検出し、この検出された位置によりフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定するようにしたものである。
【0117】
即ち、図15に示すように、フォーカシングスクリーン106の周辺縁に、蓄光材106Bを塗布する。判別したいフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)ごとに、蓄光材106Bの配置位置(配置数を含む)を異ならせる。
【0118】
ここで、蓄光材106Bは、光を与えると、その後暗くしても所定時間光続ける材料である。従って、この蓄光材106Bに光を与え、その後フォーカシングスクリーン106全体を暗黒に近い状態にして、蓄光材106Bが光っている部分を多分割測光センサ126で検出することにより、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判別を行う。
【0119】
フォーカシングスクリーン106に光を与えたり、遮光して一時的に暗黒状態にする構成としては、例えば、図16に示すようなものが考えられる。即ち、撮影者が覗いて構図を確認する接眼レンズ108に、アイピースカバー130という、遮光部材を装着する。アイピースカバー130は、リモコン撮影など撮影者が接眼レンズ108(ファインダ窓)を覗いていないときに、接眼レンズ108から入射する光が多分割測光センサ126へ到達するのを防ぐ為に、接眼レンズ108を覆う外装131に装着できる部材であり、多くのレンズ交換式カメラで備えられている部品である。他のアイピースカバー130の構成としては、接眼レンズ108の前又は後ろに配置されたシャッタ部材として形成され、該シャッタ部材を閉状態とすることで遮光できるようにしているものも知られている。
【0120】
このアイピースカバー130により、接眼レンズ108側から入射する光は遮光される。
【0121】
次に、撮影レンズ201側からの光を、クイックリターンミラー105により、遮光したり光を導いたりを数十msオーダで制御する。クイックリターンミラー105を、フォーカシングスクリーン106側に移動させるミラーアップを行うことで、フォーカシングスクリーン106は、図16において太線で書かれた外装131による遮光を含めて完全に遮光される。逆にクイックリターンミラー105を下ろし、撮影レンズ201の光をフォーカシングスクリーン106に導けば、フォーカシングスクリーン106に配置された蓄光材106Bに光が蓄えられる。
【0122】
従って、クイックリターンミラー105を下ろし、撮影レンズ201からの光をフォーカシングスクリーン106に導いて、フォーカシングスクリーン106の縁にその種類(CAVの差異を含む)ごとに異なる位置に配置された蓄光材106Bに光を当て、その後、ミラーアップを行うことで、蓄光材106Bからの光以外の光が遮光されて、多分割測光センサ126では蓄光材106Bからの光のみ検出されるようにすることができる。
【0123】
ミラーアップ時、図7(A)に示すような多分割測光センサ126の測光エリアのうち、明るい箇所が測光エリア「2」のみであればCAV1なるフォーカシングスクリーン106であり、測光エリア「4」及び測光エリア「5」のみであればCAV2なるフォーカシングスクリーン106であり、その他であれば、別のフォーカシングスクリーン106であるということが判定できる。この方法では、測光エリア「1」〜測光エリア「7」だけではなく、左端一列の測光エリア「8」,「15」,「22」,「29」,「36」や、右端一列の測光エリア「14」,「21」,「28」,「35」,「49」、一番下の列の測光エリア「43」〜測光エリア「49」の辺も使うことができるので、蓄光材106Bの塗布の場所と数の組合せは無数にでき、多くのフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判別手段とすることができる。
【0124】
図17は、本実施形態におけるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。即ち、アイピースカバー130によって接眼レンズ108側から入射する光が遮光された状態で、撮影者によって上述したカメラ操作スイッチ123の中のモード変更スイッチが操作されて、撮影モードからCAV判定モードへ切り替えられると、一眼レフレクスカメラ10の基本シーケンスから図17のCAV判定動作シーケンスがコールされる。
【0125】
このCAV判定動作シーケンスにおいては、Bμcom104は、まず、ミラー駆動機構119によりクイックリターンミラー105をミラーダウンさせ(ステップS151)、そのまま測光回路118により測光動作を行って、撮影レンズ201から入る光の量を測定する(ステップS152)。このとき、接眼レンズ108側は遮光されているので、多分割測光センサ126には、接眼レンズ108側から光は入射しない。
【0126】
そして、その結果、撮影レンズ201からの光の量が、所定量よりも明るいか否かを判別し(ステップS153)、明るい場合には、その測光値に応じた時間、ミラーダウン状態を維持して、フォーカシングスクリーン106に配置された蓄光材106Bに光を与える(ステップS154)。その後、ミラー駆動機構119によりクイックリターンミラー105をミラーアップ、即ちクイックリターンミラー105を上に移動し、フォーカシングスクリーン106を遮光状態にする(ステップS155)。そして、測光回路118により測光動作をすることで、蓄光材106Bの光を多分割測光センサ126で検出し(ステップS156)、明るい場所を検出することができる(ステップS157)。
【0127】
これに対して、上記ステップS153で暗いと判断された場合は、Fμcom401と通信して閃光発光部402をストロボ発光させ(ステップS158)、被写体に反射した光を撮影レンズ201を通してフォーカシングスクリーン106に与えることで、蓄光材106BにステップS156で検出するには不足していた光を補う。そして、ストロボ発光が完了するまで光を与え続けるように、ウエイトを設ける(ステップS159)。その後、測光回路118により測光動作をすることで、蓄光材106Bの光を多分割測光センサ126で検出し(ステップS156)、明るい場所を検出することができる(ステップS157)。なお、この場合も、クイックリターンミラー105をミラーアップして、フォーカシングスクリーン106を遮光状態にして測光動作を行うことが好ましい。
【0128】
そして、上記ステップS157で明るい測光エリアが検出できたか否かを判断し(ステップS160)、明るい点が無い場合は、判定不能であるという警告を動作表示用LCD122により告知して(ステップS161)、該CAV判定動作シーケンスを終了する。
【0129】
これに対して、明るい測光エリアが検出できた場合は、CAV1の明るくなる点と一致しているか否か、即ち測光エリア「2」のみが明るい測光エリアとして検出しているか否かを判別する(ステップS162)。そして、測光エリア「2」のみが明るい測光エリアとして検出していれば、装着されているフォーカシングスクリーン106がCAV1であると判定する(ステップS163)。
【0130】
また、測光エリア「2」が暗い、もしくは測光エリア「2」とは別の測光エリアも明るい場合には、CAV1の明るくなる点と一致していないので、更に、CAV2の明るくなる点と一致するかどうか、即ち測光エリア「4」及び「5」のみ明るいか否かを判別する(ステップS164)。そして、測光エリア「4」及び「5」のみが明るい測光エリアとして検出している場合は、装着されているフォーカシングスクリーン106がCAV2であると判定する(ステップS165)。
【0131】
それ以外の場合は、上記ステップS161に進んで、判定不可告知を動作表示用LCD122によって行う。
【0132】
このようにして、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定を行うことができる。
【0133】
また、本実施形態では、多分割測光センサ126を用いるものとして説明してきたが、構図確認用の撮像素子を、多分割測光センサ126と光学的に同様の位置に配置して、同様のことを行うのは容易である。
【0134】
以上のように、本第3実施形態によれば、フォーカシングスクリーン106の周縁部に蓄光材106Bを塗布し、遮光時に蓄光材106Bからの光により蓄光材106Bの位置に相当する多分割測光センサ126(もしくは構図確認用の撮像素子)の出力から、一眼レフレクスカメラ10に装着されているフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定するようにしているので、一眼レフレクスカメラ10にハードウエアを追加すること無く、製造過程の微妙な違いによって特性が大きく変わるフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判断することができる。従って、被写体を測光する際の補正値が、フォーカシングスクリーン106に応じたものにすることができ、結果、正確に被写体の明るさを測定することが可能となるので、より安定して、美しい撮影画像を手にいれることができる。
【0135】
[第4実施形態]
次に、高画素多分割測光センサ126もしくは構図確認用の撮像素子により、フォーカシングスクリーン106を認識する例について説明する。
【0136】
フォーカシングスクリーン106には、図18に示すように、構図の水平、垂直の目安となる方眼状の線がケガキされている方眼スクリーン106Cがあり、ユーザはフォーカシングスクリーン106を交換することで、撮影目的にあったスクリーンを選択することができる。この他にも、用途によって、様々な線が書かれたフォーカシングスクリーン106が存在する。
【0137】
このように、測光する領域に存在する「フォーカシングスクリーン106に書かれた線」を検出することで、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別することが可能であり、以下、それを本実施形態として説明する。
【0138】
上記第1及び第2実施形態と同様に、一眼レフレクスカメラ10を白壁501に向けさせる。線がケガキされている部分が、ケガキされていない部分に比べ、暗い出力を出すように、測光回路118を構成する。多分割測光センサ126(もしくは構図確認用の撮像素子)は、方眼スクリーン106Cの装着時は、方眼状に明暗が検出されるのに十分な程度多くの分割数を持つ高画素の多分割測光センサ126とする。300分割程度あれば十分である。
【0139】
本実施形態では、図19に示すように、17×17分割の多分割測光センサ126を例に説明する。同図では、それぞれの測光エリアについて暗い部分が検出された画素にハッチングを付し、線ではない部分を白で表している。
【0140】
線の検出には、ハフ変換を用いる。図19のように17×17の多分割測光センサ126それぞれの測光エリアを、X,Y座標系で考える。一番左上の測光エリアは座標(17,17)である。
【0141】
ハッチングを付した測光エリアの座標すべてを、下記式(4)に当てはめる。本実施形態では、93個の座標が得られるので、93個の下記式(4)が得られる。
r=xcosθ+ysinθ ・・・(4)
この式(4)について、図20を参照して説明する。
点Aを通る直線は、rとθを変数とした式(4)ですべて表記される。
【0142】
これを点B、点Cについても、rとθの式に変換する。
【0143】
このように求められた式を、図21に示すようなrとθの座標系で表示すると、正弦曲線で描かれ、同図に破線で示すように、点A、点B、点C共通のrとθが求まる。このようにして共通のrとθが求まると、XY座標系で点A、点B、点Cを通過する、直線c=aX+bYが一本、求まる。
【0144】
複数の線がある場合、求める直線を構成する点の他にも交点が存在するが、直線を構成する点が多いほど、交点に集まる数も増加するので、図21のようにrとθ座標系を分割し、分割領域ごとに直線通過本数をカウントして、数が所定以上のものを線と判断するようにして直線を求める。
【0145】
多分割測光センサ126の画素が上がれば、直線を構成するrθ分割領域を通る線も増加し、直線判断の精度が上がる。
【0146】
このように直線の本数、位置、角度を検出することで、ケガキの線からフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を求めることができる。
【0147】
図18に示すように、標準スクリーン106Dや、直線の線が無いスクリーンにおいても、フォーカシングスクリーン106の一部に、認識用の線106Eを記載することで、この線106Eの位置、角度によりフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)の判別を行うことができる。
【0148】
例えば、直線106Eが水平に対して角度がどのくらいか、という判定をすることで判断する。水平0〜30度ならCAV1、31〜60度傾いていればCAV2、これ以外であれば、多くのスクリーンの平均的なスクリーン相当品と判断する。
【0149】
本実施形態のような判別手法だけでも良いが、これまでの実施形態でフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定し、本実施形態のフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)の判別手法を組み合わせることで、非常に多くの種類(CAVの差異を含む)を的確に判別できるようになる。
【0150】
図22は、本実施形態におけるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。図9(A)に示すように、一眼レフレクスカメラ10を白壁501に向けて配置した後、撮影者によって上述したカメラ操作スイッチ123の中のモード変更スイッチが操作されて、撮影モードからCAV判定モードへ切り替えられると、一眼レフレクスカメラ10の基本シーケンスから図22のCAV判定動作シーケンスがコールされる。
【0151】
このCAV判定動作シーケンスにおいては、Bμcom104は、まず、AFセンサ駆動回路120によりAFセンサユニット110を駆動して測距動作を実施し(ステップS171)、更に測光回路118により測光動作を行って(ステップS172)、多分割測光センサ126の測光値から上述したような直線検出を行う(ステップS173)。
【0152】
そして、その直線検出の結果、縦横各3本、計9本の線が検出されたか否かを判別する(ステップS174)。なおここで、XY座標系で直線の傾きの角度が−10〜10度であれば横線、80〜90度であれば縦線と判定する。そのような縦横各3本の線が検出されたと判別した場合には、装着されたフォーカシングスクリーン106は方眼スクリーン106Cであると判定する(ステップS175)。
【0153】
一方、上記直線検出の結果、縦横各3本の線が検出されていないと判断した場合には、フォーカシングスクリーン106の右下に線106Eが検出できたか否かを判別する(ステップS176)。ここで、そのような線106Eが検出できたと判別した場合には、更に、その線106Eの傾きが水平0〜30度であるか否かを判別する(ステップS177)。そして、その水平0〜30度の範囲の傾きであると判別された場合には、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV1であると判定する(ステップS178)。
【0154】
また、水平0〜30度の範囲の傾きではないと判別した場合には、上記検出した線106Eの傾きが31〜60度の範囲内であるか否かを判別する(ステップS179)。ここで、そのような水平31〜60度の範囲の傾きであると判別された場合には、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV2であると判定する(ステップS180)。
【0155】
そして、そのような水平31〜60度の範囲の傾きでもないと判別された場合には、スクリーン判断できないということで、すべての種類(CAVの差異を含む)におけるフォーカシングスクリーン106の平均的な特性をもつデフォルトスクリーンが装着されていると判定する(ステップS181)。
【0156】
また、上記ステップS176において、フォーカシングスクリーン106の右下に線106Eが検出できなかったと判別した場合も、このステップS181に進んで、装着されているフォーカシングスクリーン106はデフォルトスクリーンであると判定する。
【0157】
このようにして判定されたフォーカシングスクリーン106に応じた、補正値を求めることができるようになる。
【0158】
以上のように、本第4実施形態によれば、フォーカシングスクリーン106の測光する領域に存在する「フォーカシングスクリーン106に書かれた線」を多分割測光センサ126(もしくは構図確認用の撮像素子)にて検出することで、一眼レフレクスカメラ10に装着されているフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定するようにしているので、一眼レフレクスカメラ10にハードウエアを追加すること無く、製造過程の微妙な違いによって特性が大きく変わるフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判断することができる。従って、被写体を測光する際の補正値が、フォーカシングスクリーン106に応じたものにすることができ、結果、正確に被写体の明るさを測定することが可能となるので、より安定して、美しい撮影画像を手にいれることができる。
【0159】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0160】
例えば、上記実施形態のCAV判定動作ルーチンとして2種類乃至は3種類のCAVを判別する場合を例に説明したが、同様にして更に多種類の判別が可能なことは言うまでもない。
【0161】
また、上記実施形態はデジタルカメラを例に説明したが、銀塩カメラにも同様に適用可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図1は、本発明のカメラの第1実施形態としての一眼レフレクスカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】図2(A)は、非露光時のクイックリターンミラーの状態を示す図であり、図2(B)は、露光時のクイックリターンミラーの状態を示す図である。
【図3】図3は、多分割測光センサを含む測光回路の回路構成を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態における一眼レフレクスカメラの基本シーケンスからコールされるレリーズ検知シーケンスのフローチャートを示す図である。
【図5】図5(A)は、フォーカシングスクリーンと多分割測光センサとの位置関係を示す図であり、図5(B)は、一般的なフォーカシングスクリーンの実物例を示す図であり、図5(C)は、フォーカシングスクリーンの結像状態を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態に用いられるフォーカシングスクリーンを示す図である。
【図7】図7(A)は、縦横7×7で等分割された多分割測光センサの測光エリア配置を示す図であり、図7(B)は、被写界と測光エリアを重ねて示す図である。
【図8】図8は、第1実施形態における一眼レフレクスカメラの基本シーケンスからコールされるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。
【図9】図9(A)は、一眼レフレクスカメラと壁の配置例を示す図であり、図9(B)は、全面白壁を示す図であり、図9(C)は、判定エリアのみが白均一な白壁を示す図である。
【図10】図10は、開放絞り値に応じた各フォーカシングスクリーンの輝度補正値のグラフを示す図である。
【図11】図11は、フォーカシングスクリーンと多分割測光センサとの位置関係を、クイックリターンミラーによる屈折を除いたストレート光学系で表す図である。
【図12】図12(A)は、開放絞り値がF2.0のレンズからの光束のフォーカシングスクリーンによる拡散を示す図であり、図12(B)は、開放絞り値がF5.6のレンズからの光束のフォーカシングスクリーンによる拡散を示す図である。
【図13】図13(A)は、本発明のカメラの第2実施形態における一眼レフレクスカメラの多分割測光センサによる判定エリアを説明するための図であり、図13(B)は、開放絞り値がF5.6のレンズの場合におけるCAV1なるフォーカシングスクリーン配光分布を示す図であり、図13(C)は、開放絞り値がF5.6のレンズの場合におけるCAV2なるフォーカシングスクリーン配光分布を示す図であり、図13(D)は、開放絞り値がF5.6のレンズの場合におけるCAV3なるフォーカシングスクリーン配光分布を示す図である。
【図14】図14は、第2実施形態における一眼レフレクスカメラの基本シーケンスからコールされるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。
【図15】図15は、本発明のカメラの第3実施形態に用いられるフォーカシングスクリーンを示す図である。
【図16】図16は、第3実施形態における遮光を説明するための図である。
【図17】図17は、第3実施形態における一眼レフレクスカメラの基本シーケンスからコールされるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。
【図18】図18は、本発明のカメラの第4実施形態に用いられるフォーカシングスクリーンを示す図である。
【図19】図19は、多分割測光センサの測光エリアをXY座標系に当てはめた場合の方眼スクリーンの検出結果を示す図である。
【図20】図20は、点Aを通る直線の式を説明するための図である。
【図21】図21は、点A,B,Cのそれぞれを通る直線の式をrとθの座標系で表した図である。
【図22】図22は、第4実施形態における一眼レフレクスカメラの基本シーケンスからコールされるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0163】
10…一眼レフレクスカメラ、 100…ボディユニット、 101…通信コネクタ、 102…ストロボ通信コネクタ、 103…通信コネクタ、 104…ボディ制御用マイクロコンピュータ(Bμcom)、 105…クイックリターンミラー、 106…フォーカシングスクリーン、 106A…フィルム、 106B…蓄光材、 106C…方眼スクリーン、 106D…標準スクリーン、 106E…線、 107…ペンタプリズム、 108…接眼レンズ、 109…サブミラー、 110…AFセンサユニット、 111…シャッタユニット、 112…撮像素子、 113…撮像モジュール、 114…撮像素子インターフェイス回路、 115…SDRAM、 116…液晶モニタ、 117…画像処理コントローラ、 118…測光回路、 119…ミラー駆動機構、 120…AFセンサ駆動回路、 121…シャッタ駆動制御回路、 122…動作表示用LCD、 123…カメラ操作スイッチ、 124…電源回路、 125…電池、 126…多分割測光センサ、 126A…判定エリア、 127…対数圧縮アンプ、 128…電圧増幅回路、 129…A/D変換回路、 130…アイピースカバー、 131…外装、 200…レンズユニット、 201,201a,201b…撮影レンズ、 202…絞り、 203…レンズ駆動機構、 204…絞り駆動機構、 205…レンズ制御用マイクロコンピュータ(Lμcom)、 300…記録メディア、 400…ストロボユニット、 401…フラッシュ制御用マイクロコンピュータ(Fμcom)、 402…閃光発光部、 403…発光制御回路、 404…電池、 500…被写界、 501,501A,501B…白壁、 502…判定エリア。
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラや銀塩カメラ等のカメラに関し、特に、フォーカシングスクリーンの明るさを測定することにより測光を行うカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの撮影において、被写界の明るさを適切に判断し、適切な露出をすることは、良い画質を得るために重要なことである。
【0003】
一眼レフレクスカメラでは、撮影レンズの透過光を、フォーカシングスクリーンと呼ばれる拡散面を持つ光学部材に結像させる。撮影者はこのフォーカシングスクリーンに結像された像を見ながら、構図の決定、フォーカス確認を行う。
【0004】
多くの一眼レフレクスカメラでは、被写体の明るさの測定方法として、上記フォーカシングスクリーンを透過する光量を、光センサ(以降、測光センサと記載する)で測定する方式が採用されている。
【0005】
この光量測定の誤差要因として影響が大きいのが、フォーカシングスクリーンの光学特性である。
【0006】
拡散面の拡散特性、集光用のフレネルなどにより、測光センサに届く光が変化する。
【0007】
一方、フォーカシングスクリーンには、用途により方眼状の線が書かれたり、手動でピント合わせを容易にするためのプリズムが追加されていたり、様々な種類が存在する。そのようにフォーカシングスクリーンに線が書かれていたり、光学系が追加されたりしていれば、測光センサに届く光にも影響する。
【0008】
また、拡散特性は、拡散面形成条件によって特性が異なる。樹脂を金型に流し込んで形成する際、同一種類のフォーカシングスクリーンであっても、その金型による依存性、流し込み方向により特性が決まる。
【0009】
金型の内部に形成され、成型品とほぼ同じ形状を有し溶融樹脂が流れ込む空間であるキャビティ(以下CAVと称す)は、1個の金型内に通常は複数個形成されるが、複数のCAV間には製造ばらつきが発生するため、フォーカシングスクリーンにおいても上記拡散特性のばらつきが発生する。
【0010】
このように、フォーカシングスクリーンに存在する光学的な差異は、測光センサへの光に影響し、被写体の明るさ測定時に誤差を生じさせる要因となっている。
【0011】
そこで、フォーカシングスクリーンの種類や形成条件から生じる測光誤差に対応するために、以下の対策が提案されている。
【0012】
例えば、特許文献1には、フォーカシングスクリーンの、測光領域とは別の判別領域に、種類に応じた光学パターンを設けて、その判別領域を測光することでパターン取得して、判別するという手法が提案されている。
【0013】
また、特許文献2には、フォーカシングスクリーンの光学特性自体を測光手段により取得し、その取得した特性の結果により補正を決定するという提案もされている。
【0014】
更に、フォーカシングスクリーン周辺部に突起を設け、この有無により2種類のスクリーンを判別するという手法も知られている。
【特許文献1】特開2006−317519号公報
【特許文献2】特開2006−139188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上記特許文献1に開示されているような手法では、フォーカシングスクリーンが、判別領域追加分、大きくなってしまう。カメラの性格やユーザによっては、フォーカシングスクリーン交換を一度もせずにカメラの寿命を迎えることもあり、比較的頻度の少ないフォーカシングスクリーン交換のために、LEDなどの光源、光学系をわざわざ設ける必要があるという問題がある。
【0016】
また、上記特許文献2に開示されているような手法では、実際に必要なフォーカシングスクリーンの特性データを取得するには、絞り対測光出力特性だけでは不完全であり、少なくとも射出瞳位置に関連する情報と、測光出力特性、または、焦点距離と測光出力特性が必要であるので、特性を取得するために、所定条件撮影レンズが複数必要となる。更に、正確に光学特性を取得するためには、被写体にも条件が必要となるという問題がある。
【0017】
また、フォーカシングスクリーン周辺部に突起を設け、この有無により2種類のスクリーンを判別するという手法では、判別するためのメカ機構を必要としたり、多くのスクリーンを判別する場合、判別部分のスペースを多く必要とする。
【0018】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、光学特性が異なるフォーカシングスクリーンを装着可能なカメラにおいて、ハードウエア追加無しで、フォーカシングスクリーンの種類(CAVの差異を含む)を判別することが可能なカメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明のカメラの一態様は、
撮影レンズと、
上記撮影レンズを通過した光が結像するフォーカシングスクリーンと、
上記フォーカシングスクリーンの明るさを測定することにより測光する測光手段と、
を備えるカメラにおいて、
上記測光手段は、上記フォーカシングスクリーンの複数の所定部分の明るさを測定し、上記複数の所定部分の明るさの差異により、上記フォーカシングスクリーンの種類(CAVの差異を含む)を判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、光学特性が異なるフォーカシングスクリーンを装着可能なカメラにおいて、ハードウエア追加無しで、フォーカシングスクリーンの種類(CAVの差異を含む)を判別することが可能となり、その結果、判別されたフォーカシングスクリーンの特性に応じた補正をかけることが可能となるカメラを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明のカメラの第1実施形態としての一眼レフレクスカメラの構成を示すブロック図である。なお、ここではデジタルカメラの例を示す。
【0023】
同図に示すように、この一眼レフレクスカメラ10は、ボディユニット100と、交換可能なレンズユニット200と、通信コネクタ101を介して撮影した画像データを記録する記録メディア300と、ストロボ通信コネクタ102を介して接続される外付けのストロボユニット400と、を有して構成される。
【0024】
レンズユニット200は、上記ボディユニット100と着脱可能である。該レンズユニット200は、撮影レンズ201a及び201bと、絞り202と、レンズ駆動機構203と、絞り駆動機構204と、レンズ制御用マイクロコンピュータ(Lμcom)205と、から構成されている。
【0025】
上記撮影レンズ201a及び201bは、レンズ駆動機構203内のDCモータ(図示せず)によって光軸方向に駆動される。絞り202は、絞り駆動機構204内のステッピングモータ(図示せず)によって駆動される。
【0026】
Lμcom205は、上記レンズ駆動機構203や絞り駆動機構204など、レンズユニット200内の各部を駆動制御する。このLμcom205は、通信コネクタ103を介して後述するボディ制御用マイクロコンピュータ(Bμcom)104と電気的に接続されて、Bμcom104の指令に従い制御される。
【0027】
ボディユニット100は、以下のように構成される。
【0028】
レンズユニット200内の撮影レンズ201a及び1201b、絞り202を介して入射される被写体からの光束は、クイックリターンミラー105により反射されて、フォーカシングスクリーン106に結像される。この像は、ペンタプリズム107を介して、接眼レンズ108に至る。
【0029】
上記クイックリターンミラー105は、ハーフミラーになっており、該クイックリターンミラー105がダウン(図示の位置)した際に、一部の光束が通過する。この透過した光束は、該クイックリターンミラー105に設置されたサブミラー109で反射され、自動測距を行うためのAFセンサユニット110に導かれる。
【0030】
クイックリターンミラー105のミラーアップ時には、このサブミラー109は、折り畳めるようになっている。
【0031】
上記クイックリターンミラー105の後方には、光軸上のフォーカルプレーン式のシャッタユニット111と、光学系を通過した被写体像を光電変換するための撮像素子112を収容した撮像モジュール113が設けられている。
【0032】
クイックリターンミラー105が光路より退避した場合、撮影レンズ201a及び201bを通った光束は、撮像モジュール113の撮像素子112に結像される。
【0033】
上記撮像モジュール113内の撮像素子112に接続された撮像素子インターフェイス回路114と、記憶領域として設けられたSDRAM115と、液晶モニタ116と、上記通信コネクタ101を介して記録メディア300とが、画像処理を行うための画像処理コントローラ117に接続されている。これらは、電子撮像機能と共に電子記録表示機能を提供できるように構成されている。
【0034】
上記記録メディア300は、外部記録媒体であり、通信コネクタ101を介してカメラのボディユニット100と通信可能、且つ交換可能に装着される。
【0035】
上記画像処理コントローラ117は、通信コネクタ101と、測光回路118と、ミラー駆動機構119と、AFセンサ駆動回路120と、シャッタ駆動制御回路121と、図示しない不揮発性メモリ等と共に、このボディユニット100内の各部を制御するためのBμcom104に接続されている。また、Bμcom104は、連写時の撮影間隔を計測するタイマを有しているもので、カメラの全体の動作を制御する制御のほか、計数手段、モード設定手段、検出手段、判定手段、演算手段などの機能を有している。
【0036】
上記Bμcom104には、カメラの動作状態を表示出力によって撮影者へ告知するための動作表示用LCD122と、カメラ操作スイッチ123と、電源回路124を介して電池125とが接続されている。
【0037】
なお、上記Bμcom104とレンズユニット200内のLμcom205とは、レンズユニット200の装着時において、通信コネクタ103を介して通信可能に電気的接続がなされる。そして、デジタルカメラとして、Lμcom205がBμcom104に従属的に協働しながら稼動するようになっている。
【0038】
上記測光回路118は、上記ペンタプリズム107からの光束に基づいて測光処理する回路である。この測光回路118内に、詳細は後述するような、被写界を複数に分割して被写界輝度を測定する多分割測光センサを有している。
【0039】
上記ミラー駆動機構119は、クイックリターンミラー105を駆動制御する機構であり、AFセンサ駆動回路120は、上記AFセンサユニット110を駆動制御するための回路である。また、シャッタ駆動制御回路121は、上記シャッタユニット111内の先幕と後幕の動きを制御すると共に、Bμcom104との間でシャッタの開閉動作を制御する信号ストロボユニット(図ではストロボユニット400)と同調する信号の授受を行う。
【0040】
図示しない不揮発性メモリは、そのほかの記憶領域として、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する手段であり、Bμcom104からアクセス可能に設けられている。
【0041】
上記動作表示用LCD122は、カメラの動作状態を表示出力によって撮影者へ告知するためのものである。上記カメラ操作スイッチ123は、例えば撮影動作の実行を指示するレリーズスイッチ、撮影モードを連写モードや通常撮影モードなどに切り替えるモード変更スイッチ及びパワースイッチなど、カメラを操作するために必要な操作ボタン(撮影操作手段)を含むスイッチ群で構成される。
【0042】
電源回路124は、電源としての電池125の電圧を、当該カメラの各回路ユニットが必要とする電圧に変換して供給するために設けられている。
【0043】
ストロボユニット400は、フラッシュ制御用マイクロコンピュータ(Fμcom)401と、閃光発光部402と、発光制御回路403と、電池404とから構成される。そして、このストロボユニット400は、ストロボ通信コネクタ102を介して、ボディユニット100と通信可能に装着可能である。
【0044】
このように構成された一眼レフレクスカメラ10の各部は、次のように稼動する。
【0045】
まず、画像処理コントローラ117により、Bμcom104の指令に従って撮像素子インターフェイス回路114が制御されて、撮像モジュール113から画像データが取り込まれる。この画像データは、一時保管用メモリであるSDRAM115に取り込まれる。このSDRAM115は、画像データを変換する際のワークエリアなどに使用される。また、この画像データは、JPEGデータに変換された後には、記録メディア300に保管されるように設定されている。
【0046】
ミラー駆動機構119は、上述したように、クイックリターンミラー105をアップ位置とダウン位置へ駆動するための機構である。ミラー駆動機構119によってクイックリターンミラー105がダウン位置にある時、撮影レンズ201a及び201bからの光束は、AFセンサユニット110側と、ペンタプリズム107側へと分割されて導かれる。
【0047】
AFセンサユニット110内のAFセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路120を介してBμcom104へ送信されて、周知の測距処理が行われる。
【0048】
一方、非露光時には、図2(A)に示すように、クイックリターンミラー105がダウン位置となっており、撮影レンズ201a及び201bから入射した光束は、クイックリターンミラー105からペンタプリズム107に隣接する接眼レンズ108に導かれるので、撮影者はフォーカシングスクリーン106に結像された像を接眼レンズ108から目視できる。また、上記ペンタプリズム107を通過した光束の一部は、測光回路118内の多分割測光センサ(多分割AEセンサ)126へ導かれ、ここで検知された光量に基づいて、測光処理が行われる。この多分割測光センサ126の詳細と、その後の処理については後述する。
【0049】
なお、露光時には、図2(B)に示すように、クイックリターンミラー105がアップ位置となっており、撮影レンズ201a及び201bから入射した光束は、接眼レンズ108及び多分割測光センサ126には導かれず、撮像素子112へと導かれる。
【0050】
シャッタ駆動制御回路121では、Bμcom104からシャッタを駆動制御するための信号を受け取ると、その信号に基づいてシャッタユニット111を制御する。それと共に、Bμcom104から所定のタイミングで、ストロボ通信コネクタ102を介してFμcom401及び発光制御回路403に、ストロボを発光させるための発光信号が出力される。Bμcom104からは、上記発光信号に基づいて、通信により発光モードに応じた発光指令信号が出力される。
【0051】
また、撮影者によって上述したカメラ操作スイッチ123の中のモード変更スイッチが操作されて、撮影モードから画像表示モードへ切り替えられると、記録メディア300に保管された画像データが読み出されて、液晶モニタ116に表示可能である。記録メディア300から読み出された画像データは、画像処理コントローラ117においてビデオ信号に変換され、液晶モニタ116にて出力表示される。
【0052】
ここでストロボユニット400による調光について説明する。
一般的な調光としては、プリ発光調光制御がある。このプリ発光調光制御は、撮影に先立って閃光発光部402を発光するプリ発光が行われ、このプリ発光によって被写体から撮影レンズ201a,201bを透過して前述の測光回路118内の多分割測光センサ126に届く反射光の光量により、本撮影時の閃光発光部402の発光量が演算されて決定されるものである。
【0053】
ここで、多分割測光センサ126を含む測光回路118について、図3を参照して更に詳細に説明する。
多分割測光センサ126は、受光面に配置した複数のフォトダイオード(PD)からなり、測光回路118は、これらフォトダイオードごとの出力を得る回路を更に備え、被写界を分割して測定する。
【0054】
即ち、受光面に配置された各PDは、受光量に応じた電流を発生する特性を持つ。この電流を、各PDに接続された電流電圧変換回路(例えば対数圧縮アンプ127)に入力して、電流量に応じた電圧値に変換する。各電流電圧変換回路の出力端はSWに接続されており、これらのSWの一つをONさせて、変換された電圧を電圧増幅回路128で増幅した後、Bμcom104が備えるA/D変換回路129に入力する。Bμcom104は、上記不図示の不揮発性メモリに記憶された制御パラメータを用いて、上記測定された電圧値をPD受光量に変換する。SWを切り替えることで、光量測定するPDを切り替え、分割された被写界輝度をそれぞれ測定することができる。
【0055】
図4は、このような一眼レフレクスカメラ10の基本シーケンスからコールされるレリーズ検知シーケンスのフローチャートを示す図である。
【0056】
即ち、非露光時は、撮影レンズ201a及び201bから、入射する光を、クイックリターンミラー105で反射させて、接眼レンズ108まで光を導く。このとき、測光回路118の多分割測光センサ126にも一部の光が入射する。撮影者は、非露光時の状態で、接眼レンズ108から被写体を見て構図を決め、カメラ操作スイッチ123の中の撮影動作の実行を指示するレリーズスイッチをONする。基本シーケンスにおいて上記レリーズスイッチのONを検知すると、図4のレリーズ検知シーケンスがコールされる。
【0057】
このレリーズ検知処理においては、Bμcom104はまず、AFセンサ駆動回路120によりAFセンサユニット110を駆動して、AFセンサユニット110内のAFセンサからの出力をAFセンサ駆動回路120を介して受信し、周知の測距処理を行う(ステップS101)と共に、測光回路118によって上述の光量測定を行い(ステップS102)、その測定結果に基づいて露光量を演算する(ステップS103)。
【0058】
その露光量演算の結果、閃光発光部402をストロボ発光させるフラッシュ撮影する必要があれば(ステップS104)、ストロボユニット400に上述したようなプリ発光動作を行わせ(ステップS105)、測光回路118による光量測定結果に基づいて、本撮影時の閃光発光部402の発光量を演算する(ステップS106)。
【0059】
そして、ミラー駆動機構119によりクイックリターンミラー105をアップ位置に駆動する(ステップS107)。その後、シャッタ駆動制御回路121によりシャッタユニット111のシャッタの開閉を制御して、画像処理コントローラ117により撮像素子インターフェイス回路114を介して撮像素子112に撮像を行わせる露光動作を実施する(ステップS108)。そして、ミラー駆動機構119によりクイックリターンミラー105を元のダウン位置に戻す(ステップS109)。
【0060】
その後、シャッタ駆動制御回路121によりシャッタユニット111のシャッタを、撮影可能な状態に戻しておく(ステップS110)。そして、画像処理コントローラ117により、SDRAM115に一時記憶した画像データをJPEG等の所定のデータ形式に変換して、記録メディア300記録して(ステップS111)、基本ルーチンに戻る。
【0061】
なお、上記ペンタプリズム107とクイックリターンミラー105の間に配置されるフォーカシングスクリーン106としては、光学特性が異なるものを任意に撮影者が交換可能となっている。
【0062】
図5(A)に示すように、撮影レンズ201で撮影される被写界500が、クイックリターンミラー105で反射され、このフォーカシングスクリーン106で結像する。フォーカシングスクリーン106は拡散面を持つ板状のもので、結像した像を目でみることにより、撮影者は構図を決める。なお、撮影レンズ201は、上記撮影レンズ201a,201bを合わせて一つのレンズとして描いたものである。
【0063】
図5(B)は、フォーカシングスクリーン106の実物例を示す図であり、中央部に円が描かれている模様を有している。この他にも、方眼状の線が描かれていたり、線が無かったり、プリズムが中央部に構成されているものなどがある。
【0064】
このようにフォーカシングスクリーン106の光学特性に、それぞれ違いが存在すると、被写界500の光が多分割測光センサ126に届く経路の間にフォーカシングスクリーン106が配置されているため、フォーカシングスクリーン106の結像状態を表している図5(C)に示すように、多分割測光センサ126に到達する光量も変化してしまう。
【0065】
そこで、本実施形態における一眼レフレクスカメラ10では、以下のようにしてフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判断している。
【0066】
即ち、図6に示すように、フォーカシングスクリーン106の一部に、半透明のフィルム106Aを配置する。このフィルム106Aは、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)ごとに、配置する位置を変更する。
【0067】
図6では、「CAV1」と「CAV2」という名称のフォーカシングスクリーン106を判別する例として、CAV1なるフォーカシングスクリーン106には左上に、CAV2なるフォーカシングスクリーン106には右上に、半透明フィルム106Aを配置している。
【0068】
この半透明フィルム106Aの透過率は、構図確認時に撮影者の目でフォーカシングスクリーン106を見たときに、違和感がなく、多分割測光センサ126で検知できる値に設定する。透過率は約5〜30%程度に設定するのが適正と考えられる。
本実施形態では、10%の設定とする。
【0069】
このようなフォーカシングスクリーン106を装着された一眼レフレクスカメラ10において、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別する際には、白壁など、被写界500全体が均一輝度(本実施形態の場合、最低限、フィルム106Aを配置したエリア近傍が均一輝度でも良い)となるような被写体に、撮影レンズ201を向ける。このような状態で多分割測光センサ126により被写界500の光を測定すると、半透明フィルム106Aを配置したエリアを測光する測光値は、他のエリアの測光値と比べ10%程度暗い。
【0070】
図7(A)は縦横7×7で等分割された多分割測光センサ126の測光エリアの配置を示す図で、「1」〜「49」の数字は、測光エリアの番号を表している。また、図7(B)は、被写界500と測光エリアを重ねて示す図である。
【0071】
図7(A)に示すような多分割測光センサ126により図7(B)に示すように一般的な被写体を7×7等分割エリアに分けて測光する構成において、均一輝度の被写体を撮影すると、CAV1なるフォーカシングスクリーン106では、測光エリア「1」〜測光エリア「3」が上記半透明フィルム106Aの設置範囲に入っているため暗く、CAV2なるフォーカシングスクリーン106では測光エリア「5」〜測光エリア「7」が暗い出力が観測される。
【0072】
即ち、測光エリア「1」〜測光エリア「7」に関して、(1,2,3,5,6,7)=(暗,暗,暗,明,明,明)という出力が多分割測光センサ126から取得されれば、当該一眼レフレクスカメラ10に装着されているフォーカシングスクリーン106は、CAV1なるフォーカシングスクリーン106であると判明する。
【0073】
図8を参照して、このフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別するCAV判定動作シーケンスを説明する。
即ち、図9(A)に示すように、一眼レフレクスカメラ10を白壁501に向けて配置した後、撮影者によって上述したカメラ操作スイッチ123の中のモード変更スイッチが操作されて、撮影モードからCAV判定モードへ切り替えられると、一眼レフレクスカメラ10の基本シーケンスから図8のCAV判定動作シーケンスがコールされる。
【0074】
このCAV判定動作シーケンスにおいてはまず、被写体にピントを合わせる動作を行う(ステップS121)。ここでは、被写体がぼやけていても、フォーカシングスクリーン106のうち多分割測光センサ126で測光される部分が、均一光になるようにすれば良いので、ピント合わせ動作を、被写体が無限にあるときと同様に撮影レンズ201を無限にピントが合うレンズ位置にマニュアルフォーカス等で駆動させる。
【0075】
なお、白壁501は、図9(B)に示すような全面白壁501Aに限定するものではなく、例えば図9(C)に示すように、フィルム106Aを配置したエリアの近傍に対応する判定エリア502のみが白均一な白壁501Bであっても良い。このような白壁501Bの場合は、被写体にピントを合わせるように撮影レンズ201を駆動させたほうが良い。
【0076】
次に、測光動作を行うことで、測光エリア49個の明るさが得られる(ステップS122)。
【0077】
そして、測光エリア「1」〜測光エリア「7」が輝度差が所定の範囲外であるか否かを判別することで、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定できるデータが取得できたかどうかを確認する(ステップS123)。測光エリア「1」〜測光エリア「7」すべて輝度差が無い場合や、フォーカシングスクリーン106に配置された半透明フィルム106Aが生じさせる輝度ムラのレベルを超えた、例えば2段(光量4倍)以上の大きい輝度差が生じた場合、輝度差が所定の範囲外であると判別する。この場合には、被写界500が適切ではないという告知を、動作表示用LCD122で行う(ステップS124)。
【0078】
これに対して、輝度差が所定範囲内であると判別した場合には、更に、測光エリア「1」〜測光エリア「3」の平均値と、測光エリア「5」〜測光エリア「7」の平均値とを求め、どちらが暗いかを調べる(ステップS125)。測光エリア「5」〜測光エリア「7」の平均値の方が明るければ、測光エリア「1」〜測光エリア「3」には半透明フィルム106Aが配置されていると判断し、装着されているのはCAV1なるフォーカシングスクリーン106であると判定する(ステップS126)。また、測光エリア「1」〜測光エリア「3」の平均値の方が明るい場合は、測光エリア「5」〜測光エリア「7」には半透明フィルム106Aが配置されていると判断し、装着されているのはCAV2なるフォーカシングスクリーン106であると判定する(ステップS127)。
【0079】
なおここで、被写体が不適切でないか確認するために、同じ透過率の半透明フィルム106Aが配置される測光エリア「1」と測光エリア「2」と測光エリア「3」の間の輝度差、もしくは、測光エリア「5」と測光エリア「6」と測光エリア「7」の間の輝度差を求め、輝度差が大きい場合は上記ステップS124で行ったような被写体不適切告知を実施するようにしても良い。
【0080】
このようにして、装着されているフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定ができるで、その判定されたフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)に最適な測光補正値を演算する(ステップS128)。その演算方法は、撮影レンズ201の開放絞り値や射出瞳位置、焦点距離を変数とした、計算式によるものでも良いし、テーブルを参照する方法でも良い。具体的な補正方法は本題ではないので詳細は割愛するが、例えば開放絞り値による補正が図10のようにグラフで示される場合、この曲線を数式で計算するとき、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)ごとに数式が必要になる。従来ではCAV1なるフォーカシングスクリーン106とCAV2なるフォーカシングスクリーン106の平均値を補正値として使っていたが、本実施形態によるフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判別により、より最適な輝度補正値を求めることが可能となる。なお、実際の測光センサ出力に該演算した測光補正値を加算したものが、測光エリア輝度として使用される。
【0081】
そして、演算した測光補正値を、例えば図示しない不揮発性メモリに記憶する(ステップS129)。このようにフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定結果もしくは演算した測光補正値を不揮発性に記憶しておくことで、再度フォーカシングスクリーン106が交換されるまで、再度CAV判定動作シーケンスを実行することなく、最適な輝度補正値を得ることができる。
【0082】
以上のようにして、測光精度を向上できる。
【0083】
なお、本実施形態では、多分割測光センサ126の例を記載していたが、多分割測光センサ126の代わりに、より情報の多い撮像素子を用いて、同様の判定をすることも容易に可能である。フォーカシングスクリーン106に結像された像を、撮像素子で秒30駒程度の速度で取得し、これを動作表示用LCD122に表示することで、撮影者は接眼レンズ108を覗かずに構図を確認できるというカメラも存在するが、このような撮像素子においてもフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別することで、フォーカシングスクリーン106に応じた画像の補正を行うことができるので、表示品質を上げることができる。
【0084】
なお、本実施形態では、画面上部だけではなく、下、左、右にフィルム106Aを設置も可能な構成であり、半透明フィルム106Aを複数配置し、半透明フィルム106A配置の組合せにより、多くの種類(CAVの差異を含む)を判別することが可能である。
【0085】
以上のように、本第1実施形態によれば、フォーカシングスクリーン106の被写体測光領域の一部に半透明フィルム106Aを配置することで、撮影レンズ201からフォーカシングスクリーン106を経由して多分割測光センサ126に至る光路で、判別用の輝度差による信号を生じさせるようにし、白壁501などの単色の被写体明るさが概略均一の被写体を測光したときに、判定部分に相当する多分割測光センサ126の出力から、一眼レフレクスカメラ10に装着されているフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定するようにしているので、一眼レフレクスカメラ10にハードウエアを追加すること無く、製造過程の微妙な違いによって特性が大きく変わるフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判断することができる。従って、被写体を測光する際の補正値が、フォーカシングスクリーン106に応じたものにすることができ、結果、正確に被写体の明るさを測定することが可能となるので、より安定して、美しい撮影画像を手にいれることができる。
【0086】
なお、上記輝度差は、目視では判断が困難であるが、多分割測光センサ126では確実に判断できる程度の輝度差である。
【0087】
[第2実施形態]
フォーカシングスクリーン106の生成工程において、型(CAV)に樹脂を流し込む方向により、フォーカシングスクリーン106の拡散面の拡散性が、場所によりムラが生じる。
【0088】
拡散が大きければ、開放絞り値F5.6などの比較的暗いレンズにおいて、多分割測光センサ126へ光が届きにくくなる。
【0089】
一方、開放絞り値F2のような明るいレンズでは、多分割測光センサ126への光路が広く、拡散の大小による差異は小さい。
【0090】
本実施形態では、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判別のための信号として、拡散面の拡散ムラを利用した判別手段について記載する。
【0091】
図5(A)に示したようなフォーカシングスクリーン106と多分割測光センサ126の位置関係を、クイックリターンミラー105による屈折を除いたストレート光学系で表すと、図11に示すように表される。
【0092】
即ち、フォーカシングスクリーン106のスクリーン面の垂線方向には、撮影者が覗いて被写体の構図を確認するための接眼レンズ108を配置している。多分割測光センサ126は、フォーカシングスクリーン106のスクリーン面の垂線に対し「やぶにらみ角」と称される角度方向に配置される。そのため、撮影レンズ201の光軸方向に配置された接眼レンズ108への光と比べ、多分割測光センサ126に届く光はフォーカシングスクリーン106の拡散光成分が大きい。
【0093】
図12(A)及び(B)は、光束と拡散光についての説明図である。
開放絞り値がF2.0と明るいレンズの場合、光束が広く、図12(A)に示すように、フォーカシングスクリーン106に広い角度から光が入射する。そのため、フォーカシングスクリーン106のスクリーン面に対し垂直方向の光の他に、多分割測光センサ126に届く斜め方向の光も強い出力となる。
【0094】
一方、開放絞り値がF5.6と暗いレンズの場合は、光束が狭く、図12(B)に示すように、フォーカシングスクリーン106に入射する光の角度が狭くなり、その結果、多分割測光センサ126に届く光は、フォーカシングスクリーン106の拡散面による拡散光成分が多くなる。そのため、フォーカシングスクリーン106の拡散特性が弱い場合、多分割測光センサ126への光が少なくなるという特性を持つ。
【0095】
従来では、全面が適切な拡散特性となるようフォーカシングスクリーン106を製造してきたが、本実施形態では、そのような開放絞り値によりフォーカシングスクリーン106の拡散特性の影響が変わることを利用して、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判別のための信号に用いるところが特徴である。
【0096】
以下、図7(A)に示した測光エリア「1」〜測光エリア「7」を判定エリアとして用いて、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別する手法を説明する。
なお、図11の構成では、それら判定エリア126Aである測光エリア「1」〜測光エリア「7」は、図13(A)に示すように、多分割測光センサ126の上部一列に配置しているものとする。この一列は、やぶにらみ角が大きくなり、結果、拡散光の増減が一番影響するので、フォーカシングスクリーン106の判別手段の信号を配置するには都合が良い。
【0097】
開放絞り値がF2.0のレンズでは、多分割測光センサ126の配光状態は一緒であるが、開放絞り値がF5.6のレンズの場合、図13(B)乃至(D)に示すように、フォーカシングスクリーン106の成型のバラツキによって、配光分布にバラツキが発生する。
【0098】
拡散特性が弱い部分は、前述の説明通りに開放絞りが暗いときに、より暗くなる特性となる。
【0099】
CAV1なるフォーカシングスクリーン106では、図13(B)に示すように、多分割測光センサ126の上部真ん中の測光エリアが測定する一部の拡散特性が弱めに形成されている。CAV2なるフォーカシングスクリーン106では、図13(C)に示すように、多分割測光センサ126の右上の測光エリアが測定する部分の拡散特性が弱く形成されている。そして、CAV3なるフォーカシングスクリーン106では、図13(D)に示すように、多分割測光センサ126の右上及び左上の測光エリアが測定する部分の拡散特性が弱く形成されている。
【0100】
一眼レフレクスカメラ10に組み込まれたフォーカシングスクリーン106が何れであるのかを判別するために、上記第1実施形態と同様、図9(A)に示すように当該一眼レフレクスカメラ10を配置する。
【0101】
この状態で、各測光エリアの輝度から、下記式(1)乃至式(3)により、左輝度、中央輝度、及び右輝度を求める。
左輝度=(測光エリア「1」輝度+測光エリア「2」輝度)/2 − 測光エリア「25」輝度 ・・・(1)
中央輝度=(測光エリア「3」輝度+測光エリア「4」輝度+測光エリア「5」輝度)/3 − 測光エリア「25」輝度 ・・・(2)
右輝度=(測光エリア「6」輝度+測光エリア「7」輝度)/2 − 測光エリア「25」輝度 ・・・(3)
なお、測光エリア「25」は画面中央のエリアである。このような相対的な比較を行うことで、被写体の明るさの制約を受けないようにする。
【0102】
図14は、本実施形態におけるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図であり、該CAV判定動作シーケンス中で、この演算を実施し、その演算結果を用いてフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別する。
【0103】
即ち、図9(A)に示すように、一眼レフレクスカメラ10を白壁501に向けて配置した後、撮影者によって上述したカメラ操作スイッチ123の中のモード変更スイッチが操作されて、撮影モードからCAV判定モードへ切り替えられると、一眼レフレクスカメラ10の基本シーケンスから図14のCAV判定動作シーケンスがコールされる。
【0104】
なお、この図14のCAV判定動作シーケンスは、当該一眼レフレクスカメラ10がレンズユニット200交換式で、装着された撮影レンズ201がF2.8で明るい場合、よりフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定が正しくできるようにチェックする機能を設けた例である。実際のフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定動作は、ステップS135から行われる。
【0105】
通常、レンズユニット交換式の一眼レフレクスカメラ10は、撮影するときを除き、レンズユニット200の絞り202は開放状態である。測光は、このレンズ絞り開放状態で行われる。
【0106】
そこで、まず、Bμcom104は、Lμcom205と通信することで、レンズユニット200の開放絞りがF2.8より明るいか否かを判別し(ステップS131)、明るい場合には、そのまま開放状態で測光回路118により測光動作を行う(ステップS132)。ここで、開放絞りでは無い場合には、Lμcom205に指示して、絞り駆動機構204により絞り202を開放にするもしくはF2.8よりも明るい絞りに設定した上で、測光動作を行う。
【0107】
そして、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定する判定エリア126Aである測光エリア「1」〜測光エリア「7」で、それぞれの測光値の違い(輝度差)が大きいかどうかチェックする(ステップS133)。もし、輝度差が大きい場合、例えば7つのエリアで2段分の輝度差が生じていた場合は、被写体が不適切であるという警告を動作表示用LCD122により告知して(ステップS134)、該CAV判定動作シーケンスを終了する。
【0108】
上記ステップS131において、F2.8よりも開放絞りが暗いと判定した場合には、もともと配光ムラが生じるので、上記ステップS132及びステップS133による測光値のチェックせずにステップS135へ進む。また、上記ステップS133で測光値の輝度差が小さいと判断されて場合もステップS135に進む。
【0109】
ステップS135においては、Lμcom205に指示して、絞り駆動機構204により絞り202をF5.6に制御する。このようにすることで、前述の図12(B)を参照して説明した通り、フォーカシングスクリーン106の拡散性強弱が現れ易くなる。
【0110】
そして、このまま測光回路118により測光動作を行って、判定エリア126Aの測光値を取得し、上記式(1)乃至式(3)により、左輝度、中央輝度、及び右輝度を算出する(ステップS136)。
【0111】
本実施形態で使用するフォーカシングスクリーン106は、図13(B)乃至(D)のCAV1、CAV2、CAV3であるので、CAV1は中央輝度が他のものより暗くなる。
【0112】
そこで、まず、上記式(2)により求めた中央輝度が、所定の判定値1よりも大きいかどうかで、装着されているフォーカシングスクリーン106がCAV1であるかどうかを判定する(ステップS137)。ここで、中央輝度が判定値1以下である場合は、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV1であると判定する(ステップS138)。
【0113】
中央輝度の方が判定値1よりも大きい場合は、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV2かCAV3のどちらかであるので、更に、上記式(1)で求めた左輝度と上記(3)式で求めた右輝度の差分をとり、その輝度差が所定の判定値2よりも大きいか小さいかで、何れであるのかの判定を行う(ステップS139)。これは、F5.6では、CAV2なるフォーカシングスクリーン106は図13(C)に示すように左が明るく、右が暗いという拡散特性を持ち、CAV3なるフォーカシングスクリーン106は図13(D)に示すように左右両方暗いという拡散特性を持たせている。そのため、上記演算した左輝度から右輝度を引いたときの差分が大きいほうがCAV2、小さい方がCAV3であることが判別できることを利用している。即ち、左輝度−右輝度が判定値2より大きい場合は、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV2であると判定し(ステップS140)、左輝度−右輝度が判定値2以下である場合は、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV3であると判定する(ステップS141)。
【0114】
このようにして、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別できたので、後は上述した第1実施形態と同様に、その判定されたフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)に最適な測光補正値を演算して(ステップS128)、その演算した測光補正値を、例えば図示しない不揮発性メモリに記憶する(ステップS129)ことで、より正確な光量測定が実施できる。
【0115】
以上のように、本第2実施形態によれば、フォーカシングスクリーン106の被写体測光領域の一部に存在する拡散面の拡散ムラによって、撮影レンズ201からフォーカシングスクリーン106を経由して多分割測光センサ126に至る光路で、判別用の輝度差による信号を生じさせ、白壁501などの単色の被写体明るさが概略均一の被写体を測光したときに、判定部分に相当する多分割測光センサ126の出力から、一眼レフレクスカメラ10に装着されているフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定するようにしているので、一眼レフレクスカメラ10にハードウエアを追加すること無く、製造過程の微妙な違いによって特性が大きく変わるフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判断することができる。従って、被写体を測光する際の補正値が、フォーカシングスクリーン106に応じたものにすることができ、結果、正確に被写体の明るさを測定することが可能となるので、より安定して、美しい撮影画像を手にいれることができる。
【0116】
[第3実施形態]
本第3実施形態は、蓄光材をフォーカシングスクリーン106周辺部に付着させ、クイックリターンミラー105のミラー制御により光を遮光し、その間、蓄光効果により発光している光を、多分割測光センサ126で測光することで、蓄光材付着位置を検出し、この検出された位置によりフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定するようにしたものである。
【0117】
即ち、図15に示すように、フォーカシングスクリーン106の周辺縁に、蓄光材106Bを塗布する。判別したいフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)ごとに、蓄光材106Bの配置位置(配置数を含む)を異ならせる。
【0118】
ここで、蓄光材106Bは、光を与えると、その後暗くしても所定時間光続ける材料である。従って、この蓄光材106Bに光を与え、その後フォーカシングスクリーン106全体を暗黒に近い状態にして、蓄光材106Bが光っている部分を多分割測光センサ126で検出することにより、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判別を行う。
【0119】
フォーカシングスクリーン106に光を与えたり、遮光して一時的に暗黒状態にする構成としては、例えば、図16に示すようなものが考えられる。即ち、撮影者が覗いて構図を確認する接眼レンズ108に、アイピースカバー130という、遮光部材を装着する。アイピースカバー130は、リモコン撮影など撮影者が接眼レンズ108(ファインダ窓)を覗いていないときに、接眼レンズ108から入射する光が多分割測光センサ126へ到達するのを防ぐ為に、接眼レンズ108を覆う外装131に装着できる部材であり、多くのレンズ交換式カメラで備えられている部品である。他のアイピースカバー130の構成としては、接眼レンズ108の前又は後ろに配置されたシャッタ部材として形成され、該シャッタ部材を閉状態とすることで遮光できるようにしているものも知られている。
【0120】
このアイピースカバー130により、接眼レンズ108側から入射する光は遮光される。
【0121】
次に、撮影レンズ201側からの光を、クイックリターンミラー105により、遮光したり光を導いたりを数十msオーダで制御する。クイックリターンミラー105を、フォーカシングスクリーン106側に移動させるミラーアップを行うことで、フォーカシングスクリーン106は、図16において太線で書かれた外装131による遮光を含めて完全に遮光される。逆にクイックリターンミラー105を下ろし、撮影レンズ201の光をフォーカシングスクリーン106に導けば、フォーカシングスクリーン106に配置された蓄光材106Bに光が蓄えられる。
【0122】
従って、クイックリターンミラー105を下ろし、撮影レンズ201からの光をフォーカシングスクリーン106に導いて、フォーカシングスクリーン106の縁にその種類(CAVの差異を含む)ごとに異なる位置に配置された蓄光材106Bに光を当て、その後、ミラーアップを行うことで、蓄光材106Bからの光以外の光が遮光されて、多分割測光センサ126では蓄光材106Bからの光のみ検出されるようにすることができる。
【0123】
ミラーアップ時、図7(A)に示すような多分割測光センサ126の測光エリアのうち、明るい箇所が測光エリア「2」のみであればCAV1なるフォーカシングスクリーン106であり、測光エリア「4」及び測光エリア「5」のみであればCAV2なるフォーカシングスクリーン106であり、その他であれば、別のフォーカシングスクリーン106であるということが判定できる。この方法では、測光エリア「1」〜測光エリア「7」だけではなく、左端一列の測光エリア「8」,「15」,「22」,「29」,「36」や、右端一列の測光エリア「14」,「21」,「28」,「35」,「49」、一番下の列の測光エリア「43」〜測光エリア「49」の辺も使うことができるので、蓄光材106Bの塗布の場所と数の組合せは無数にでき、多くのフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判別手段とすることができる。
【0124】
図17は、本実施形態におけるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。即ち、アイピースカバー130によって接眼レンズ108側から入射する光が遮光された状態で、撮影者によって上述したカメラ操作スイッチ123の中のモード変更スイッチが操作されて、撮影モードからCAV判定モードへ切り替えられると、一眼レフレクスカメラ10の基本シーケンスから図17のCAV判定動作シーケンスがコールされる。
【0125】
このCAV判定動作シーケンスにおいては、Bμcom104は、まず、ミラー駆動機構119によりクイックリターンミラー105をミラーダウンさせ(ステップS151)、そのまま測光回路118により測光動作を行って、撮影レンズ201から入る光の量を測定する(ステップS152)。このとき、接眼レンズ108側は遮光されているので、多分割測光センサ126には、接眼レンズ108側から光は入射しない。
【0126】
そして、その結果、撮影レンズ201からの光の量が、所定量よりも明るいか否かを判別し(ステップS153)、明るい場合には、その測光値に応じた時間、ミラーダウン状態を維持して、フォーカシングスクリーン106に配置された蓄光材106Bに光を与える(ステップS154)。その後、ミラー駆動機構119によりクイックリターンミラー105をミラーアップ、即ちクイックリターンミラー105を上に移動し、フォーカシングスクリーン106を遮光状態にする(ステップS155)。そして、測光回路118により測光動作をすることで、蓄光材106Bの光を多分割測光センサ126で検出し(ステップS156)、明るい場所を検出することができる(ステップS157)。
【0127】
これに対して、上記ステップS153で暗いと判断された場合は、Fμcom401と通信して閃光発光部402をストロボ発光させ(ステップS158)、被写体に反射した光を撮影レンズ201を通してフォーカシングスクリーン106に与えることで、蓄光材106BにステップS156で検出するには不足していた光を補う。そして、ストロボ発光が完了するまで光を与え続けるように、ウエイトを設ける(ステップS159)。その後、測光回路118により測光動作をすることで、蓄光材106Bの光を多分割測光センサ126で検出し(ステップS156)、明るい場所を検出することができる(ステップS157)。なお、この場合も、クイックリターンミラー105をミラーアップして、フォーカシングスクリーン106を遮光状態にして測光動作を行うことが好ましい。
【0128】
そして、上記ステップS157で明るい測光エリアが検出できたか否かを判断し(ステップS160)、明るい点が無い場合は、判定不能であるという警告を動作表示用LCD122により告知して(ステップS161)、該CAV判定動作シーケンスを終了する。
【0129】
これに対して、明るい測光エリアが検出できた場合は、CAV1の明るくなる点と一致しているか否か、即ち測光エリア「2」のみが明るい測光エリアとして検出しているか否かを判別する(ステップS162)。そして、測光エリア「2」のみが明るい測光エリアとして検出していれば、装着されているフォーカシングスクリーン106がCAV1であると判定する(ステップS163)。
【0130】
また、測光エリア「2」が暗い、もしくは測光エリア「2」とは別の測光エリアも明るい場合には、CAV1の明るくなる点と一致していないので、更に、CAV2の明るくなる点と一致するかどうか、即ち測光エリア「4」及び「5」のみ明るいか否かを判別する(ステップS164)。そして、測光エリア「4」及び「5」のみが明るい測光エリアとして検出している場合は、装着されているフォーカシングスクリーン106がCAV2であると判定する(ステップS165)。
【0131】
それ以外の場合は、上記ステップS161に進んで、判定不可告知を動作表示用LCD122によって行う。
【0132】
このようにして、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)判定を行うことができる。
【0133】
また、本実施形態では、多分割測光センサ126を用いるものとして説明してきたが、構図確認用の撮像素子を、多分割測光センサ126と光学的に同様の位置に配置して、同様のことを行うのは容易である。
【0134】
以上のように、本第3実施形態によれば、フォーカシングスクリーン106の周縁部に蓄光材106Bを塗布し、遮光時に蓄光材106Bからの光により蓄光材106Bの位置に相当する多分割測光センサ126(もしくは構図確認用の撮像素子)の出力から、一眼レフレクスカメラ10に装着されているフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定するようにしているので、一眼レフレクスカメラ10にハードウエアを追加すること無く、製造過程の微妙な違いによって特性が大きく変わるフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判断することができる。従って、被写体を測光する際の補正値が、フォーカシングスクリーン106に応じたものにすることができ、結果、正確に被写体の明るさを測定することが可能となるので、より安定して、美しい撮影画像を手にいれることができる。
【0135】
[第4実施形態]
次に、高画素多分割測光センサ126もしくは構図確認用の撮像素子により、フォーカシングスクリーン106を認識する例について説明する。
【0136】
フォーカシングスクリーン106には、図18に示すように、構図の水平、垂直の目安となる方眼状の線がケガキされている方眼スクリーン106Cがあり、ユーザはフォーカシングスクリーン106を交換することで、撮影目的にあったスクリーンを選択することができる。この他にも、用途によって、様々な線が書かれたフォーカシングスクリーン106が存在する。
【0137】
このように、測光する領域に存在する「フォーカシングスクリーン106に書かれた線」を検出することで、フォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判別することが可能であり、以下、それを本実施形態として説明する。
【0138】
上記第1及び第2実施形態と同様に、一眼レフレクスカメラ10を白壁501に向けさせる。線がケガキされている部分が、ケガキされていない部分に比べ、暗い出力を出すように、測光回路118を構成する。多分割測光センサ126(もしくは構図確認用の撮像素子)は、方眼スクリーン106Cの装着時は、方眼状に明暗が検出されるのに十分な程度多くの分割数を持つ高画素の多分割測光センサ126とする。300分割程度あれば十分である。
【0139】
本実施形態では、図19に示すように、17×17分割の多分割測光センサ126を例に説明する。同図では、それぞれの測光エリアについて暗い部分が検出された画素にハッチングを付し、線ではない部分を白で表している。
【0140】
線の検出には、ハフ変換を用いる。図19のように17×17の多分割測光センサ126それぞれの測光エリアを、X,Y座標系で考える。一番左上の測光エリアは座標(17,17)である。
【0141】
ハッチングを付した測光エリアの座標すべてを、下記式(4)に当てはめる。本実施形態では、93個の座標が得られるので、93個の下記式(4)が得られる。
r=xcosθ+ysinθ ・・・(4)
この式(4)について、図20を参照して説明する。
点Aを通る直線は、rとθを変数とした式(4)ですべて表記される。
【0142】
これを点B、点Cについても、rとθの式に変換する。
【0143】
このように求められた式を、図21に示すようなrとθの座標系で表示すると、正弦曲線で描かれ、同図に破線で示すように、点A、点B、点C共通のrとθが求まる。このようにして共通のrとθが求まると、XY座標系で点A、点B、点Cを通過する、直線c=aX+bYが一本、求まる。
【0144】
複数の線がある場合、求める直線を構成する点の他にも交点が存在するが、直線を構成する点が多いほど、交点に集まる数も増加するので、図21のようにrとθ座標系を分割し、分割領域ごとに直線通過本数をカウントして、数が所定以上のものを線と判断するようにして直線を求める。
【0145】
多分割測光センサ126の画素が上がれば、直線を構成するrθ分割領域を通る線も増加し、直線判断の精度が上がる。
【0146】
このように直線の本数、位置、角度を検出することで、ケガキの線からフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を求めることができる。
【0147】
図18に示すように、標準スクリーン106Dや、直線の線が無いスクリーンにおいても、フォーカシングスクリーン106の一部に、認識用の線106Eを記載することで、この線106Eの位置、角度によりフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)の判別を行うことができる。
【0148】
例えば、直線106Eが水平に対して角度がどのくらいか、という判定をすることで判断する。水平0〜30度ならCAV1、31〜60度傾いていればCAV2、これ以外であれば、多くのスクリーンの平均的なスクリーン相当品と判断する。
【0149】
本実施形態のような判別手法だけでも良いが、これまでの実施形態でフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定し、本実施形態のフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)の判別手法を組み合わせることで、非常に多くの種類(CAVの差異を含む)を的確に判別できるようになる。
【0150】
図22は、本実施形態におけるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。図9(A)に示すように、一眼レフレクスカメラ10を白壁501に向けて配置した後、撮影者によって上述したカメラ操作スイッチ123の中のモード変更スイッチが操作されて、撮影モードからCAV判定モードへ切り替えられると、一眼レフレクスカメラ10の基本シーケンスから図22のCAV判定動作シーケンスがコールされる。
【0151】
このCAV判定動作シーケンスにおいては、Bμcom104は、まず、AFセンサ駆動回路120によりAFセンサユニット110を駆動して測距動作を実施し(ステップS171)、更に測光回路118により測光動作を行って(ステップS172)、多分割測光センサ126の測光値から上述したような直線検出を行う(ステップS173)。
【0152】
そして、その直線検出の結果、縦横各3本、計9本の線が検出されたか否かを判別する(ステップS174)。なおここで、XY座標系で直線の傾きの角度が−10〜10度であれば横線、80〜90度であれば縦線と判定する。そのような縦横各3本の線が検出されたと判別した場合には、装着されたフォーカシングスクリーン106は方眼スクリーン106Cであると判定する(ステップS175)。
【0153】
一方、上記直線検出の結果、縦横各3本の線が検出されていないと判断した場合には、フォーカシングスクリーン106の右下に線106Eが検出できたか否かを判別する(ステップS176)。ここで、そのような線106Eが検出できたと判別した場合には、更に、その線106Eの傾きが水平0〜30度であるか否かを判別する(ステップS177)。そして、その水平0〜30度の範囲の傾きであると判別された場合には、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV1であると判定する(ステップS178)。
【0154】
また、水平0〜30度の範囲の傾きではないと判別した場合には、上記検出した線106Eの傾きが31〜60度の範囲内であるか否かを判別する(ステップS179)。ここで、そのような水平31〜60度の範囲の傾きであると判別された場合には、装着されているフォーカシングスクリーン106はCAV2であると判定する(ステップS180)。
【0155】
そして、そのような水平31〜60度の範囲の傾きでもないと判別された場合には、スクリーン判断できないということで、すべての種類(CAVの差異を含む)におけるフォーカシングスクリーン106の平均的な特性をもつデフォルトスクリーンが装着されていると判定する(ステップS181)。
【0156】
また、上記ステップS176において、フォーカシングスクリーン106の右下に線106Eが検出できなかったと判別した場合も、このステップS181に進んで、装着されているフォーカシングスクリーン106はデフォルトスクリーンであると判定する。
【0157】
このようにして判定されたフォーカシングスクリーン106に応じた、補正値を求めることができるようになる。
【0158】
以上のように、本第4実施形態によれば、フォーカシングスクリーン106の測光する領域に存在する「フォーカシングスクリーン106に書かれた線」を多分割測光センサ126(もしくは構図確認用の撮像素子)にて検出することで、一眼レフレクスカメラ10に装着されているフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判定するようにしているので、一眼レフレクスカメラ10にハードウエアを追加すること無く、製造過程の微妙な違いによって特性が大きく変わるフォーカシングスクリーン106の種類(CAVの差異を含む)を判断することができる。従って、被写体を測光する際の補正値が、フォーカシングスクリーン106に応じたものにすることができ、結果、正確に被写体の明るさを測定することが可能となるので、より安定して、美しい撮影画像を手にいれることができる。
【0159】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0160】
例えば、上記実施形態のCAV判定動作ルーチンとして2種類乃至は3種類のCAVを判別する場合を例に説明したが、同様にして更に多種類の判別が可能なことは言うまでもない。
【0161】
また、上記実施形態はデジタルカメラを例に説明したが、銀塩カメラにも同様に適用可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図1は、本発明のカメラの第1実施形態としての一眼レフレクスカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】図2(A)は、非露光時のクイックリターンミラーの状態を示す図であり、図2(B)は、露光時のクイックリターンミラーの状態を示す図である。
【図3】図3は、多分割測光センサを含む測光回路の回路構成を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態における一眼レフレクスカメラの基本シーケンスからコールされるレリーズ検知シーケンスのフローチャートを示す図である。
【図5】図5(A)は、フォーカシングスクリーンと多分割測光センサとの位置関係を示す図であり、図5(B)は、一般的なフォーカシングスクリーンの実物例を示す図であり、図5(C)は、フォーカシングスクリーンの結像状態を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態に用いられるフォーカシングスクリーンを示す図である。
【図7】図7(A)は、縦横7×7で等分割された多分割測光センサの測光エリア配置を示す図であり、図7(B)は、被写界と測光エリアを重ねて示す図である。
【図8】図8は、第1実施形態における一眼レフレクスカメラの基本シーケンスからコールされるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。
【図9】図9(A)は、一眼レフレクスカメラと壁の配置例を示す図であり、図9(B)は、全面白壁を示す図であり、図9(C)は、判定エリアのみが白均一な白壁を示す図である。
【図10】図10は、開放絞り値に応じた各フォーカシングスクリーンの輝度補正値のグラフを示す図である。
【図11】図11は、フォーカシングスクリーンと多分割測光センサとの位置関係を、クイックリターンミラーによる屈折を除いたストレート光学系で表す図である。
【図12】図12(A)は、開放絞り値がF2.0のレンズからの光束のフォーカシングスクリーンによる拡散を示す図であり、図12(B)は、開放絞り値がF5.6のレンズからの光束のフォーカシングスクリーンによる拡散を示す図である。
【図13】図13(A)は、本発明のカメラの第2実施形態における一眼レフレクスカメラの多分割測光センサによる判定エリアを説明するための図であり、図13(B)は、開放絞り値がF5.6のレンズの場合におけるCAV1なるフォーカシングスクリーン配光分布を示す図であり、図13(C)は、開放絞り値がF5.6のレンズの場合におけるCAV2なるフォーカシングスクリーン配光分布を示す図であり、図13(D)は、開放絞り値がF5.6のレンズの場合におけるCAV3なるフォーカシングスクリーン配光分布を示す図である。
【図14】図14は、第2実施形態における一眼レフレクスカメラの基本シーケンスからコールされるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。
【図15】図15は、本発明のカメラの第3実施形態に用いられるフォーカシングスクリーンを示す図である。
【図16】図16は、第3実施形態における遮光を説明するための図である。
【図17】図17は、第3実施形態における一眼レフレクスカメラの基本シーケンスからコールされるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。
【図18】図18は、本発明のカメラの第4実施形態に用いられるフォーカシングスクリーンを示す図である。
【図19】図19は、多分割測光センサの測光エリアをXY座標系に当てはめた場合の方眼スクリーンの検出結果を示す図である。
【図20】図20は、点Aを通る直線の式を説明するための図である。
【図21】図21は、点A,B,Cのそれぞれを通る直線の式をrとθの座標系で表した図である。
【図22】図22は、第4実施形態における一眼レフレクスカメラの基本シーケンスからコールされるCAV判定動作シーケンスのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0163】
10…一眼レフレクスカメラ、 100…ボディユニット、 101…通信コネクタ、 102…ストロボ通信コネクタ、 103…通信コネクタ、 104…ボディ制御用マイクロコンピュータ(Bμcom)、 105…クイックリターンミラー、 106…フォーカシングスクリーン、 106A…フィルム、 106B…蓄光材、 106C…方眼スクリーン、 106D…標準スクリーン、 106E…線、 107…ペンタプリズム、 108…接眼レンズ、 109…サブミラー、 110…AFセンサユニット、 111…シャッタユニット、 112…撮像素子、 113…撮像モジュール、 114…撮像素子インターフェイス回路、 115…SDRAM、 116…液晶モニタ、 117…画像処理コントローラ、 118…測光回路、 119…ミラー駆動機構、 120…AFセンサ駆動回路、 121…シャッタ駆動制御回路、 122…動作表示用LCD、 123…カメラ操作スイッチ、 124…電源回路、 125…電池、 126…多分割測光センサ、 126A…判定エリア、 127…対数圧縮アンプ、 128…電圧増幅回路、 129…A/D変換回路、 130…アイピースカバー、 131…外装、 200…レンズユニット、 201,201a,201b…撮影レンズ、 202…絞り、 203…レンズ駆動機構、 204…絞り駆動機構、 205…レンズ制御用マイクロコンピュータ(Lμcom)、 300…記録メディア、 400…ストロボユニット、 401…フラッシュ制御用マイクロコンピュータ(Fμcom)、 402…閃光発光部、 403…発光制御回路、 404…電池、 500…被写界、 501,501A,501B…白壁、 502…判定エリア。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズと、
上記撮影レンズを通過した光が結像するフォーカシングスクリーンと、
上記フォーカシングスクリーンの明るさを測定することにより測光する測光手段と、
を備えるカメラにおいて、
上記測光手段は、上記フォーカシングスクリーンの複数の所定部分の明るさを測定し、上記複数の所定部分の明るさの差異により、上記フォーカシングスクリーンの種類を判別することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
上記フォーカシングスクリーンの上記複数の所定部分は、撮影画面の中央部と周辺部とを含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
上記フォーカシングスクリーンの上記複数の所定部分の一部に半透明部材を設けることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
上記フォーカシングスクリーンの上記複数の所定部分の一部に蓄光材を設けることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項5】
判別された上記フォーカシングスクリーンの種類に応じて、演算またはテーブルにより上記測光手段の出力を補正するための補正値を演算する補正値演算手段を更に具備することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のカメラ。
【請求項6】
上記補正値演算手段は、上記撮影レンズの射出瞳位置または焦点距離の少なくとも何れか一つの情報と、上記撮影レンズの絞り値とに基づいて上記補正値を演算することを特徴とする請求項5に記載のカメラ。
【請求項1】
撮影レンズと、
上記撮影レンズを通過した光が結像するフォーカシングスクリーンと、
上記フォーカシングスクリーンの明るさを測定することにより測光する測光手段と、
を備えるカメラにおいて、
上記測光手段は、上記フォーカシングスクリーンの複数の所定部分の明るさを測定し、上記複数の所定部分の明るさの差異により、上記フォーカシングスクリーンの種類を判別することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
上記フォーカシングスクリーンの上記複数の所定部分は、撮影画面の中央部と周辺部とを含むことを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
上記フォーカシングスクリーンの上記複数の所定部分の一部に半透明部材を設けることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項4】
上記フォーカシングスクリーンの上記複数の所定部分の一部に蓄光材を設けることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
【請求項5】
判別された上記フォーカシングスクリーンの種類に応じて、演算またはテーブルにより上記測光手段の出力を補正するための補正値を演算する補正値演算手段を更に具備することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のカメラ。
【請求項6】
上記補正値演算手段は、上記撮影レンズの射出瞳位置または焦点距離の少なくとも何れか一つの情報と、上記撮影レンズの絞り値とに基づいて上記補正値を演算することを特徴とする請求項5に記載のカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2009−157282(P2009−157282A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338341(P2007−338341)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】
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