説明

カメラ

【課題】ユーザがテレビで画像を手軽に観賞することができ、且つ無駄な電力の消費を最小限に抑えることができるカメラを提供する。
【解決手段】本発明に係わるカメラ(1)は、表示装置(2)に対して、記録媒体(4)に記録されている観賞用の画像を送信可能なカメラであって、記録媒体(4)に記録されている観賞用の画像を表示装置(2)に送信する画像通信手段(16)と、被写体を撮像する撮像手段(10)と、撮像手段(10)が撮像可能な監視対象範囲の被写体を、所定タイミング毎に撮像するように撮像手段(10)を制御する撮像制御手段(19)と、撮像手段(10)が撮像した前記監視対象範囲の画像が所定条件を満たせば、表示装置(2)に観賞用の画像を表示させるために、記録媒体(4)に記録されている観賞用の画像を表示装置(2)に送信させるよう画像通信手段(19)を制御する画像出力制御手段(19)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラでは、撮影した画像をプリントして観賞するだけでなく、画像をテレビの画面に表示して観賞することもできる。このように、テレビにより画像を観賞する場合は、カメラ内部に保持している画像をケーブルやネットワークを介してテレビ側に送信することが一般的な手法となっている(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−218331号公報
【特許文献2】特開2006−166406号公報
【特許文献3】特開2006−173983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカメラでは、ユーザがカメラとテレビとをケーブルなどで接続した後、カメラ側を再生モードにして画像を1枚ずつ送信する必要があり、ユーザにとってはカメラからテレビに画像を送信させるための操作が煩わしいものとなっていた。また、カメラからテレビへ画像を送信し続けたままにすることもできるが、ユーザがテレビの前にいなければ、カメラやテレビで無駄な電力が消費されることになる。
【0005】
本発明の課題は、ユーザがテレビで画像を手軽に観賞することができ、且つ無駄な電力の消費を最小限に抑えることができるカメラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、画像表示を行う表示装置(2)に対して、記録媒体に記録されている観賞用の画像を送信可能なカメラ(1)であって、前記記録媒体に記録されている前記観賞用の画像を、前記表示装置に送信する画像通信手段(16)と、被写体を撮像する撮像手段(10)と、前記撮像手段が撮像可能な撮像範囲である監視対象範囲の被写体を、所定タイミング毎に撮像するように前記撮像手段を制御する撮像制御手段(19)と、前記撮像手段が撮像した前記監視対象範囲の画像が所定条件を満たせば、前記表示装置に前記観賞用の画像を表示させるために、前記記録媒体に記録されている前記観賞用の画像を前記表示装置に送信させるよう前記画像通信手段を制御する画像出力制御手段(19)と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のカメラ(1)であって、前記撮像手段(10)が前回撮像した前記監視対象範囲の第1監視画像と、今回撮像した当該監視対象範囲の第2監視画像との輝度差が所定閾値以上であるか否かを判定する輝度判定手段(19)を更に備え、前記画像出力制御手段(19)は、前記輝度判定手段が、前記第1監視画像と前記第2監視画像との輝度差が前記所定閾値以上であると判定すると、前記所定条件を満たしたものとして、前記観賞用の画像を前記表示装置に送信させるよう前記画像通信手段(16)を制御することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のカメラ(1)であって、前記輝度判定手段(19)は、前記撮像手段(10)により撮像された前記監視対象範囲の画像を複数の領域に分割して、各領域の輝度を測定するとともに、前記第1監視画像と前記第2監視画像との輝度差が、前記2つの画像間で対応する少なくとも一つの同一領域において前記所定閾値以上であるか否かを判定することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のカメラ(1)であって、前記撮像制御手段(19)は、前記表示装置(2)において前記観賞用の画像が表示されている間も、前記所定タイミング毎に前記撮像手段(10)により前記監視対象範囲の被写体を撮像し、前記画像出力制御手段(19)は、前記表示装置において前記観賞用の画像が表示されている間に、前記輝度判定手段(19)が前記第1監視画像と前記第2監視画像との輝度差が前記所定閾値以上であると判定した場合には、前記観賞用の画像の前記表示装置への送信を停止するよう前記画像通信手段(16)を制御することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のカメラ(1)であって、前記撮像手段(10)により撮像された前記監視対象範囲の画像を記憶する記憶手段を有し、前記画像出力制御手段(19)は、前記輝度差が所定閾値未満である場合は、今回撮像した監視対象範囲の画像を、前記記憶手段に記憶されている前回撮像した監視対象範囲の画像と入れ替えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のカメラであって、前記記憶手段は、前記記録媒体(4)であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載のカメラであって、前記記憶手段は、前記記録媒体(4)とは独立して設けられていることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項2〜7のいずれか一項に記載のカメラであって、前記撮像手段(10)により撮像された前記監視対象範囲の画像から人物の顔を検出する顔検出手段(19)をさらに備え、前記画像出力制御手段(19)は、前記輝度差が前記所定閾値以上であり、且つ前記顔検出手段が前記第2監視画像から人物の顔を検出した場合にのみ前記所定条件を満たしたものとして、前記観賞用の画像を前記表示装置(2)に送信させるよう前記画像通信手段(16)を制御することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載のカメラ(1)であって、前記撮像手段(10)により撮像された前記監視対象範囲の画像から人物の顔を検出する顔検出手段(19)をさらに備え、前記画像出力制御手段(19)は、前記顔検出手段が前記撮像された前記監視対象範囲の画像から人物の顔を検出した場合に、前記所定条件を満たしたものとして、前記観賞用の画像を前記表示装置(2)に送信させるよう前記画像通信手段(16)を制御することを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のカメラ(1)であって、前記顔検出手段(19)は、前記撮像手段(10)により撮像された前記監視対象範囲の画像から、予め登録された人物の顔を検出する機能を備え、前記画像出力制御手段(19)は、前記顔検出手段が、前記撮像された前記監視対象範囲の画像から、前記予め登録された人物の顔を検出した場合に、前記所定条件を満たしたものとして、前記観賞用の画像を前記表示装置(2)に送信させるよう前記画像通信手段(16)を制御することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項9または10に記載のカメラ(1)であって、前記撮像制御手段(19)は、前記表示装置(2)において前記観賞用の画像が表示されている間も、前記所定タイミング毎に前記撮像手段(10)により前記監視対象範囲の被写体を撮像し、前記画像出力制御手段(19)は、前記表示装置において前記観賞用の画像が表示されている間に、前記顔検出手段(19)が前記撮像手段により撮像された前記監視対象範囲の画像から人物の顔を検出しない場合には、前記観賞用の画像の前記表示装置への送信を停止するよう前記画像通信手段(16)を制御することを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項9〜11のいずれか一項に記載のカメラ(1)であって、前記記録媒体は、予め登録された人物毎に用意された観賞用の画像を記録しており、前記画像出力制御手段(19)は、前記顔検出手段(19)が前記撮像された前記監視対象範囲の画像から、前記予め登録された人物の顔を検出した場合は、前記記録媒体に記録されている当該人物に用意された観賞用の画像を前記表示装置(2)に送信させるよう前記画像通信手段(19)を制御することを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載のカメラ(1)であって、前記撮像手段(10)により撮像された前記監視対象範囲の画像を記憶する記憶手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記記録媒体(4)であることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項12に記載のカメラ(1)であって、前記撮像手段(10)により撮像された前記監視対象範囲の画像を記憶する記憶手段をさらに備え、前記記憶手段は、前記記録媒体(4)とは独立して設けられていることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載のカメラ(1)であって、前記表示装置(2)を、前記観賞用の画像を表示不能な状態から表示可能な状態に移行させるための起動信号、または前記表示装置を該表示可能な状態から該表示不能な状態に移行させるための停止信号を、前記表示装置に送信する表示装置制御手段(19)を備え、前記表示装置制御手段は、前記画像出力制御手段(19)が前記記録媒体に記憶されている前記観賞用の画像を前記画像通信手段(16)から前記表示装置に送信する前に、前記表示装置が前記表示不能な状態であれば、前記表示装置に前記起動信号を送信して当該表示装置を前記表示可能な状態に移行させ、一方、前記画像出力制御手段が前記記録媒体に記憶されている前記観賞用の画像を前記画像通信手段から前記表示装置に送信しないようにするときには、前記表示装置に前記停止信号を送信して当該表示装置を前記表示可能な状態から前記表示不能な状態に移行させることを特徴とする。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザがテレビで画像を手軽に観賞することができ、且つ無駄な電力の消費を最小限に抑えることができるカメラを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施形態1に係わるカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】(a)、(b)は監視対象範囲の一例を示す説明図である。
【図3】(a)、(b)は監視対象範囲を撮像した画像の一例を示す説明図である。
【図4】実施形態1のカメラにおいて自動再生機能が設定されたときの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施形態1のカメラにおいて自動再生機能によりテレビに観賞用の画像を送信している間の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施形態2のカメラにおいて自動再生機能が設定されたときの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】実施形態2のカメラにおいて自動再生機能によりテレビに観賞用の画像を送信している間の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】実施形態3のカメラにおいて自動再生機能が設定されたときの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施形態3のカメラにおいて自動再生機能によりテレビに観賞用の画像を送信している間の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明に係わるカメラの実施形態について説明する。なお、以下に示す各実施形態において、カメラの基本的な構成は同じである。このため、実施形態1においてカメラの構成を説明し、他の実施形態では相違点のみを説明する。
(実施形態1)
【0010】
図1は、実施形態1に係わるカメラ1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、カメラ1は、被写体の画像を撮像、記録する構成として、被写体光が入射する撮像部10と、撮像部10から出力された画像信号に各種処理を行う画像データ処理部11と、処理された画像信号を記録する記録部12とを備えている。また、カメラ1は、ユーザが操作を行う操作部13と、液晶モニタ14と、メモリ15と、HDHI通信部16と、電源制御部17と、タイマ18と、カメラ内の各部を制御するカメラCPU19とを備えている。なお、カメラ1には、撮影レンズを備えた不図示のレンズ鏡筒が組み込まれており、いわゆるコンパクトタイプのデジタルカメラとして構成されている。
【0011】
撮像部10は、被写体からの反射光を撮像面で撮像し、画像信号に変換するものであり、CCDやCMOSなどの撮像素子を備える。なお、本実施形態の撮像部10は測光センサとしての機能を有する。
【0012】
画像データ処理部11は、撮像部10から出力された画像信号を増幅し、ホワイトバランス調整、ガンマ補正、輪郭強調、レベル調整などの各種画像処理を行うものである。
【0013】
記録部12は、画像データ処理部11で各種の処理が施された画像信号を、CFカード、SDカードなどの着脱可能な記録媒体4に記録するものである。本実施形態において、後述のテレビ2に表示する観賞用の画像は記録媒体4に記録されており、記録部12の不図示のカードスロットに装着された記録媒体4から読み出される。
【0014】
操作部13は、ユーザがカメラCPU19に対して各種の操作を行うための入力手段であり、不図示のレリーズボタンやセレクタダイアル、電源スイッチなどの操作部材により構成されている。
【0015】
液晶モニタ14は、撮像部10で撮像された静止画像、ライブビュー画像を含む動画のほか、撮影条件に関連した情報や操作に関連した情報画面などを表示するものであり、カメラ1の背面に設けられている。
【0016】
メモリ15は、ユーザ設定などの入力情報、カメラCPU19を制御するためのプログラム、このプログラムの実行に必要な初期値や設定値などに関するデータが記憶される不揮発性メモリである。また、図示していないが、カメラCPU19などが演算処理を実行する際に必要なデータや画像信号などが一時的に記憶される揮発性メモリを備えている。本実施形態では、このメモリ15に、撮像部10により撮像された監視対象画像が記憶される。
【0017】
HDMI通信部16は、記録媒体4から読み出された観賞用の画像のほか、HDMI(High Definition Multimedia Interface)規格に対応した起動制御信号や停止制御信号などを送信する部分であり、不図示のHDMI端子を備えている。HDMI通信部16から送信される起動制御信号は、テレビ2を電源オンするための信号のほか、テレビ2の画像入力設定を外部入力に切り換えるための信号などを含むものである。また、停止制御信号は、テレビ2を電源オフとするための信号などを含むものである。
【0018】
電源制御部17は、電力供給を受けて動作する構成要素に対して電力を供給する電源回路である。この電源制御部17には、カメラ1に備えられた不図示の電池室から電力が供給されている。電源制御部17は、カメラ1の不図示の電源スイッチが操作されて電源オンしたとき、または自動再生機能が設定されている場合において、電源オフ(待機状態)のときに、後述するタイマ18からタイムアップ信号を受信したときには、カメラCPU19により電力の供給を開始(電源オン)するように制御される。また、電源制御部17は、カメラ1の不図示の電源スイッチが操作されて電源オフしたとき、または自動再生機能が設定されている場合において、観賞用の画像をテレビ2に送信するための所定条件を満たさない場合(例えば輝度差が所定閾値以上でない場合など)には、カメラCPU19により電力の供給を停止(電源オフ)するように制御される。
【0019】
タイマ18は、自動再生機能が設定されたときに、カメラ1の電源オン/オフに係わらず所定の待機時間を計時する回路である。タイマ18は、計時が待機時間に達するたびにタイムアップ信号を電源制御部17に出力するとともに、計時した待機時間をリセットして、再び待機時間の計時を開始する。ここで、待機時間とは、例えば1分おき、というように一定の時間間隔であってもよいし、1分、3分、2分、1分、4分・・・というようなランダムに設定される不定期な時間間隔であってもよい。この場合に、各間隔は5分以内とするなどの条件を設けてもよい。これらの時間間隔は、ユーザが操作部13のセレクタダイアルなどを操作することにより任意に設定することができる。
【0020】
カメラCPU19は、上記各部を統括的に制御する集積回路であり、撮像部10、画像データ処理部11、記録部12、操作部13、液晶モニタ14、メモリ15、HDMI通信部16、電源制御部17と接続されている。カメラCPU19は、ユーザが操作部13のレリーズボタンを半押しすることによりオートフォーカス(AF)動作の実行信号が送信されると、撮像部10の出力に基づいて、自動的に主要な被写体にピント合わせを行うAF制御と、自動的に露出を合わせるAE(自動露出)制御とを行う。そして、ユーザがレリーズボタンを全押しすることにより撮影開始信号が送信されると、不図示の絞り機構やシャッタなどを所定のタイミングで駆動して、撮像部10において被写体光を撮像させる制御を行っている。なお、後述する自動再生機能が設定されている場合の撮影モードにおいては、レンズの焦点距離は広角側、液晶モニタ14の表示は停止、露出はプログラムAE、フラッシュ撮影禁止などの設定が自動的に行われる。
【0021】
また、カメラCPU19は、自動再生機能が設定されている場合において、タイマ18からタイムアップ信号を取得したタイミングで、撮像部10により監視対象範囲の被写体を撮像させる制御を行っている。ここで、監視対象範囲とは、撮像部10により撮像される被写体の範囲である。カメラ1が後述するテレビ2の上部に設置されるとすると、観賞対象者である人物がテレビ2を観ると考えられる場所、例えばテレビ2の正面にあるソファがある場所などが監視対象範囲となる。図2(a)、(b)は、監視対象範囲の一例を示す説明図である。図2(a)に示す監視対象範囲31にはソファと窓があり、観賞対象者は存在していない。一方、図2(b)に示す監視対象範囲にはソファと窓に加えて、観賞対象者32が存在している状態を示している。
【0022】
また、カメラCPU19は、撮像部10が前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像との輝度差が所定閾値以上であるか否かを判定する制御を行っている。ここで、監視対象範囲の画像と輝度差の判定について説明する。図3(a)、(b)は、監視対象範囲を撮像した画像の一例を示す説明図である。図3(a)に示す監視対象範囲の画像にはソファと窓のみが写っている。一方、図3(b)に示す監視対象範囲の画像にはソファと窓に加えて、観賞対象者42が写っている。カメラCPU19において、撮像された監視対象範囲の輝度差を判定する場合は、図3に示すように、監視対象範囲の画像を複数の領域に分割して、各領域の輝度を測定する。ここでは、図3(a)が前回撮像された監視対象範囲の第1監視画像、図3(b)が今回撮像された監視対象範囲の第2監視画像であるとする。
【0023】
カメラCPU19は、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が、2つの画像間で対応する少なくとも一つの同一領域において所定閾値以上であるか否かを判定している。図3の例で見てみると、図3(b)に斜線で示す8つの領域では、図3(a)の同一位置にある8つの領域に比べて、観賞対象者42が存在している分だけ輝度差が大きくなると考えられる(ここでは、2つの画像間に外光の影響はないものとする)。したがって、上記8つの領域で輝度差が所定閾値以上であれば、今回撮像された監視対象範囲の画像である第2監視画像の中に観賞対象者42が存在している、すなわち監視対象範囲に観賞対象者が現れたと判断することができる。
【0024】
なお、輝度差を判定する領域は、上述したように少なくとも一つの同一領域であればよいが、少なくとも一辺が隣接する複数のつながった領域において判定することにより、さらに判定の精度を高めることができる。なお、一つの画像における全領域の輝度の平均値を算出し、この平均値における輝度差が所定閾値以上であるかを判定するようにしてもよい。また、輝度差は相対的な輝度差であればよい。すなわち、第1監視画像と第2監視画像のうち、いずれか一方の画像の輝度が他方の画像の輝度よりも高いかまたは低くければよい。
【0025】
また、カメラCPU19は、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上であると判定した場合は、記録媒体4に記憶されている観賞用の画像をテレビ2に送信させるようHDMI通信部16を制御している。これにより、記録媒体4から観賞用の画像が読み出され、HDMI通信部16を介してテレビ2に送信される。このとき、テレビ2は、電源オン且つ画像入力設定が外部入力に切り換えられているため、カメラ1から送信された観賞用の画像が自動的に再生(表示)されることになる。
【0026】
また、カメラCPU19は、観賞用の画像をテレビ2に送信している間も、タイマ18からタイムアップ信号を取得するたびに、撮像部10により監視対象範囲の被写体を撮像させる制御を行っている。そして、観賞用の画像をテレビ2に送信している間に、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上となった場合は、観賞用の画像のテレビ2への送信を停止するようHDMI通信部16を制御するようにしている。一方、自動再生の待機時または観賞用の画像を送信している間に、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値未満である場合は、記録媒体4において、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像を、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と入れ替える制御を行っている。
【0027】
また、図1に示すように、カメラ1は、HDMI通信部16において、テレビ2とHDMI規格のケーブル3により接続されている。テレビ2は画像表示を行う表示装置であり、カメラ1のHDMI通信部16との間で画像や信号などを送受信可能なHDMI通信部20を備えている。なお、カメラ1は、テレビ2を観賞する観賞対象者を撮影しやすい位置にあれば、テレビ2の上部に限らず、どの場所に設置されていてもよい。
【0028】
次に、実施形態1のカメラ1において、自動再生機能が設定されたときの処理手順を図4のフローチャートにより説明する。ここでは、自動再生機能が設定されたカメラ1が、電源オフした状態でケーブル3により接続されたテレビ2の上部に設置されているものする。
【0029】
まず、カメラCPU19はタイマ18からタイムアップ信号を取得したかどうかを判定する(S101)。上述のように、タイマ18の計時が待機時間に達すると、タイマ18からタイムアップ信号が電源制御部17とカメラCPU19に出力される。これにより電源制御部17は、カメラ1の各部に電力の供給を開始する。
【0030】
ステップS101の判定でYESであれば、カメラCPU19は、撮影モードに移行し(S102)、撮像部10を制御して監視対象範囲の画像を撮像させる(S103)。そして、今回撮像した監視対象範囲の画像を第2監視画像として記録媒体4に記録する(S104)。次に、カメラCPU19は、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像との輝度差を演算し(S105)、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上であるか否かを判定する(S106)。この判定でYESであれば、カメラCPU19は、記録媒体4に記憶されている観賞用の画像をテレビ2に送信させるようHDMI通信部16を制御する。
【0031】
この制御により、HDMI通信部16からテレビ2に対して前述した起動制御信号が送信される(S107)。ここでは、最初に、テレビ2を電源オンするための(すなわちテレビモニタを表示させるための)信号が送信され、続いて、テレビ2の画像入力設定を外部入力に切り換えるための信号が送信される。続いて、カメラCPU19は、再生モードに移行し(S108)、記録媒体4から読み出した観賞用の画像を、HDMI通信部16を介してテレビ2に送信する(S109)。このように、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上であれば、監視対象範囲に観賞対象者が現れたと判断して、観賞用の画像がテレビ2で再生されることになる。
【0032】
一方、ステップS106の判定でNOであれば、カメラCPU19は、記録媒体4に対して、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像を、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と入れ替える制御を行う(S110)。これにより、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像が、次回は、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像として扱われることになる。このように、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値未満であれば、監視対象範囲に観賞対象者が現れていないと判断して、監視対象範囲の画像の入れ替えのみが行われることになる。この後、カメラCPU19の制御により、電源制御部17は電力の供給を停止して電源オフとして(S111)、本ルーチンの処理を終了する。なお、再生モードに移行して観賞用の画像をテレビ2へ送信した場合は、電源オフすることなしに、本ルーチン処理を終了する。
【0033】
次に、実施形態1のカメラ1において、自動再生機能によりテレビ2に観賞用の画像を送信している間の処理手順を図5のフローチャートにより説明する。
【0034】
まず、カメラCPU19はタイマ18からタイムアップ信号を取得したかどうかを判定する(S201)。この判定でYESであれば、カメラCPU19は、撮影モードに移行し(S202)、撮像部10を制御して監視対象範囲の画像を撮像させる(S203)。そして、今回撮像した監視対象範囲の画像を第2監視画像として記録媒体4に記録する(S204)。なお、自動再生機能によりテレビ2に観賞用の画像を送信している間は、撮影モードに移行した場合でも、画像出力停止となるまでは観賞用の画像の表示が継続して行われる。
【0035】
次に、カメラCPU19は、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像との輝度差を演算し(S205)、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上であるか否かを判定する(S206)。この判定でYESであれば、カメラCPU19は、観賞用の画像のテレビ2への送信を停止するようHDMI通信部16を制御する。
【0036】
この制御により、HDMI通信部16からテレビ2に対して停止制御信号が送信される(S207)。ここでは、テレビ2を電源オフするための信号が送信される。そして、カメラCPU19は、観賞用の画像のテレビ2への送信を停止する(S208)。この後、カメラCPU19の制御により、電源制御部17は電力の供給を停止して電源オフとして(S209)、本ルーチンの処理を終了する。このように、自動再生機能によりテレビ2に観賞用の画像を送信している間に、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上となった場合は、監視対象範囲から観賞対象者が離れたと判断して、観賞用の画像のテレビ2への送信が停止されることになる。
【0037】
一方、ステップS206でNOであれば、カメラCPU19は、記録媒体4に対して、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像を、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と入れ替える制御を行う(S210)。これにより、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像が、次回は、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像として扱われることになる。このように、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値未満であれば、監視対象範囲から観賞対象者が離れていないと判断して、監視対象範囲の画像の入れ替えのみが行われる。このステップS210の後は、電源オフすることなしに、本ルーチンの処理を終了する。
【0038】
上述した実施形態1によれば、以下の効果を奏する。
(1)自動再生の待機時において、観賞対象者が監視対象範囲に現れると、カメラ1に保持している観賞用の画像が自動的にテレビ2に送信されるので、観賞対象者であるユーザはカメラ1からテレビ2へ画像を送信するための操作を行うことなしに、手軽に画像を観賞することができる。また、観賞対象者が監視対象範囲に現れた場合のみテレビ2の電源を自動的にオンして観賞用の画像を表示するので、ユーザがテレビ2を見ることができる範囲にいない場合に、カメラ1やテレビ2の無駄な電力の消費を最小限に抑えることができる。
(2)所定タイミング毎に撮像された2つの画像の輝度差は、カメラ1の測光機能により取得することができるため、専用のソフトウェアなどを用いることなしに、監視対象範囲における観賞対象者の有無を判定することができる。
(3)監視対象範囲の画像を複数の領域に分割し、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が、2つの画像間で対応する少なくとも一つの同一領域において所定閾値以上であるか否かを判定するようにしているため、監視対象範囲内に生じる部分的な変化にも対応することができる。
(4)観賞用の画像を送信している間に、観賞対象者が監視対象範囲から離れた場合には、観賞用の画像の送信が自動的に停止されるので、観賞対象者が監視対象範囲から離れた後のカメラ1やテレビ2の無駄な電力の消費を最小限に抑えることができる。
(5)自動再生の待機時または観賞用の画像を送信している間において、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値未満であれば、今回撮像した監視対象範囲の画像を前回撮像した監視対象範囲の画像と入れ替えのみを行うようにしている。これによれば、外光などの影響により監視対象範囲の明るさがゆっくりと変化している場合には、入れ替えられた前回撮像された画像と今回撮像した画像との間での輝度差が少なくなる。このため、外光の影響により監視対象領域に観賞対象者が現れた、あるいは監視対象範囲から観賞対象者が離れたと誤判定することがない。したがって、朝夕のように外光が徐々に変化するような環境下においても、監視対象範囲における観賞対象者の有無を正しく判定することができる。
(6)テレビ2の電源オン、オフをカメラ1側から制御するようにしたので、観賞対象者は、監視対象範囲に入ったときや、監視対象範囲から離れた場合に、テレビ2の電源オン、オフの操作をする必要がない。
(実施形態2)
【0039】
次に、実施形態2について説明する。本実施形態のカメラCPU19は、撮像部10により撮像された監視対象範囲の画像から人物の顔を検出する顔検出機能を備え、当該顔検出機能により第2監視画像から人物の顔を検出し、且つ第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上である場合に、観賞用の画像をテレビ2に送信させる制御を行うようにしている。
【0040】
また、本実施形態のカメラCPU19は、テレビ2に観賞用の画像を送信している間も、タイマ18からタイムアップ信号を取得するたびに、撮像部10により監視対象範囲の被写体を撮像させる制御を行っている。そして、テレビ2に観賞用の画像を送信している間において、第2監視画像から人物の顔が検出されず、且つ第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上である場合にのみ、観賞用の画像のテレビ2への送信を停止する制御を行うようにしている。
【0041】
一方、テレビ2に観賞用の画像を送信している間において、第2監視画像から人物の顔が検出された場合、或いは、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値未満である場合は、記録媒体4において、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像を、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と入れ替える制御を行うようにしている。
【0042】
次に、実施形態2のカメラ1において、自動再生機能が設定されたときの処理手順を図6のフローチャートにより説明する。なお、実施形態1で説明した部分については適宜に説明を省略する。
【0043】
まず、カメラCPU19はタイマ18からタイムアップ信号を取得したかどうかを判定する(S301)。このステップS101の判定でYESであれば、カメラCPU19は、撮影モードに移行し(S302)、撮像部10を制御して監視対象範囲の画像を撮像させる(S303)。そして、今回撮像した監視対象範囲の画像を第2監視画像として記録媒体4に記録する(S304)。
【0044】
次に、カメラCPU19は、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像に対して顔検出処理を施し(S305)、第2監視画像から人物の顔を検出したかどうかを判定する(S306)。この判定でYESであれば、カメラCPU19は、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像との輝度差を演算し(S307)、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上であるか否かを判定する(S308)。この判定でYESであれば、カメラCPU19は、記録媒体4に記憶されている観賞用の画像をテレビ2に送信させるようHDMI通信部16を制御する。
【0045】
この制御により、HDMI通信部16からテレビ2に対して起動制御信号が送信される(S309)。続いて、カメラCPU19は、再生モードに移行し(S310)、記録媒体4から読み出した観賞用の画像を、HDMI通信部16を介してテレビ2に送信する(S311)。このように、第2監視画像から人物の顔が検出され、且つ第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上であるときは、監視対象範囲に観賞対象者が現れたと判断して、観賞用の画像がテレビ2で再生されることになる。
【0046】
一方、ステップS306またはステップS308の判定でNOであれば、カメラCPU19は、記録媒体4に対して、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像を、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と入れ替える制御を行う(S312)。このように、観賞対象者の顔を検出しない場合、あるいは観賞対象者の顔を検出した場合でも、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値未満である場合には、監視対象範囲の画像の入れ替えのみが行われる。この後、カメラCPU19の制御により、電源制御部17は電力の供給を停止して電源オフとして(S313)、本ルーチンの処理を終了する。なお、再生モードに移行して観賞用の画像をテレビ2へ送信した場合は、電源オフすることなしに、本ルーチン処理を終了する。
【0047】
次に、実施形態2のカメラ1において、自動再生機能によりテレビ2に観賞用の画像を送信している間の処理手順を図7のフローチャートにより説明する。
【0048】
まず、カメラCPU19はタイマ18からタイムアップ信号を取得したかどうかを判定する(S401)。この判定でYESであれば、カメラCPU19は、撮影モードに移行し(S402)、撮像部10を制御して監視対象範囲の画像を撮像させる(S403)。そして、今回撮像した監視対象範囲の画像を第2監視画像として記録媒体4に記録する(S404)。なお、自動再生機能によりテレビ2に観賞用の画像を送信している間は、撮影モードに移行した場合でも、画像出力停止となるまでは観賞用の画像の表示が継続して行われる。
【0049】
次に、カメラCPU19は、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像との輝度差を演算し(S405)、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値以上であるか否かを判定する(S406)。この判定でYESであれば、カメラCPU19は、第2監視画像に対して顔検出処理を施し(S407)、第2監視画像から人物の顔を検出したかどうかを判定する(S408)。この判定でNOであれば、カメラCPU19は、観賞用の画像のテレビ2への送信を停止するようHDMI通信部16を制御する。
【0050】
この制御により、HDMI通信部16からテレビ2に対して停止制御信号が送信される(S409)。そして、カメラCPU19は、観賞用の画像のテレビ2への送信を停止する(S410)。この後、カメラCPU19の制御により、電源制御部17は電力の供給を停止して電源オフとして(S411)、本ルーチンの処理を終了する。
【0051】
一方、ステップS406でNO、またはステップS408でYESであれば、カメラCPU19は、記録媒体4に対して、今回撮像した監視対象範囲の第2監視画像を、前回撮像した監視対象範囲の第1監視画像と入れ替える制御を行う(S412)。このように、第1監視画像と第2監視画像との輝度差が所定閾値未満である場合、または輝度差が所定閾値以上であっても顔を検出した場合には、監視対象範囲の画像の入れ替えのみが行われる。このステップS412の後は、電源オフすることなしに、本ルーチンの処理を終了する。
【0052】
上述した実施形態2では、以下の効果を奏する。
(1)自動再生の待機時においては、監視対象範囲内で人物の顔が検出されても、監視対象範囲の輝度差が閾値以上でない場合には観賞対象者が現れたと判断しないので、例えば、撮像時に顔の誤検出が生じた場合において、観賞用の画像がテレビ2に送信されることがない。したがって、本実施形態では、顔の誤検出などの影響を受けることなく、監視対象範囲における観賞対象者の有無を、より正しく判定することができる。
(2)自動再生の待機時または観賞用の画像を送信している間に、観賞対象者の顔を検出しない場合は、輝度差の演算を行うことなく監視対象範囲の画像の入れ替えを行うので、監視対象範囲の観賞対象者の有無を判定する処理に要する時間を必要最小限とすることができる。
(3)観賞用の画像を送信している間において、監視対象範囲の輝度差が閾値未満の場合は、顔検出を行うことなく観賞用の画像の送信を停止するため、監視対象範囲の観賞対象者の有無を判定する処理に要する時間を必要最小限とすることができる。
【0053】
上記効果に加えて、実施形態2は、実施形態1に記載した(1)、(4)、(6)の効果を奏する。
(実施形態3)
【0054】
次に、実施形態3について説明する。本実施形態のカメラCPU19は、撮像部10により撮像された監視対象範囲の画像から予め登録された人物の顔を検出する顔検出機能を備え、当該顔検出機能により監視対象範囲の画像から予め登録された人物の顔を検出した場合は、当該人物に用意された観賞用の画像をテレビ2に送信させる制御を行うようにしている。本実施形態では、予め登録された人物毎に用意された観賞用の画像(以下、適宜に観賞用の画像Aという)が記録媒体4に記録されている。また、記録媒体4には、監視対象範囲に登録されていない観賞対象者が現れた場合、或いは登録されていても当該人物に用意された観賞用の画像が記録媒体にない場合に表示させるための一般的な観賞用の画像(以下、適宜に観賞用の画像Bという)も記録されている。
【0055】
また、本実施形態のカメラCPU19は、テレビ2に観賞用の画像を送信している間も、タイマ18からタイムアップ信号を取得するたびに、撮像部10により監視対象範囲の被写体を撮像させる制御を行っている。そして、テレビ2に観賞用の画像を送信している間に、撮像した第2監視画像から人物の顔が検出されない場合は、観賞用の画像のテレビ2への送信を停止する制御を行うようにしている。一方、テレビ2に観賞用の画像を送信している間に、撮像した第2監視画像から人物の顔を検出した場合は、観賞用の画像のテレビ2への送信を継続する制御を行うようにしている。なお、本実施形態では、カメラCPU19の制御により上記顔検出の処理が行われた後は、顔検出の有無にかかわらず監視対象範囲の画像を記録媒体4から消去するようにしている。
【0056】
次に、実施形態3のカメラ1において、自動再生機能が設定されたときの処理手順を図8のフローチャートにより説明する。なお、実施形態1、2で説明した部分については適宜に説明を省略する。
【0057】
まず、カメラCPU19はタイマ18からタイムアップ信号を取得したかどうかを判定する(S501)。このステップS101の判定でYESであれば、カメラCPU19は、撮影モードに移行し(S502)、撮像部10を制御して監視対象範囲の画像を撮像させる(S503)。そして、今回撮像した監視対象範囲の画像を記録媒体4に記録する(S504)。
【0058】
次に、カメラCPU19は、今回撮像した監視対象範囲の画像に対して顔検出処理を施し(S505)、人物の顔を検出したかどうかを判定する(S506)。この判定でYESであれば、カメラCPU19は、検出された人物の顔が予め登録された人物の顔であるか否かを判定する(S507)。この判定でYESであれば、カメラCPU19は、記録媒体4に、当該人物に用意された観賞用の画像があるか否かを判定する(S508)。そして、この判定でYESであれば、記録媒体4に記憶されている観賞用の画像の中から、当該人物に用意された観賞用の画像Aを選択し、テレビ2に送信させるようHDMI通信部16を制御する(S509)。
【0059】
この制御により、HDMI通信部16からテレビ2に対して起動制御信号が送信される(S510)。続いて、カメラCPU19は、再生モードに移行し(S511)、記録媒体4から選択した観賞用の画像Aを読み出し、HDMI通信部16を介してテレビ2に送信する(S512)。このように、第2監視画像から予め登録された人物の顔が検出されたときは、当該人物に用意された観賞用の画像Aがテレビ2で表示されることになる。
【0060】
一方、ステップS507またはステップS508の判定でNOであれば、カメラCPU19は、記録媒体4に記録されている観賞用の画像の中から、観賞用の画像Bを選択し、テレビ2に送信させるようHDMI通信部16を制御する(S513)。この後、ステップS510へ移行し、上述のように、HDMI通信部16からテレビ2に対して起動制御信号が送信されることになる。
【0061】
また、ステップS506の判定でNOであれば、すなわち第2監視画像から人物の顔を検出しない場合、カメラCPU19は、電源制御部17を制御して電力の供給を停止させて電源オフとし(S514)、本ルーチン処理を終了する。
【0062】
次に、実施形態3のカメラ1において、自動再生機能によりテレビ2に観賞用の画像を送信している間の処理手順を図9のフローチャートにより説明する。
【0063】
まず、カメラCPU19はタイマ18からタイムアップ信号を取得したかどうかを判定する(S601)。この判定でYESであれば、カメラCPU19は、撮影モードに移行し(S602)、撮像部10を制御して監視対象範囲の画像を撮像させる(S603)。そして、今回撮像した監視対象範囲の画像を記録媒体に記録する(S604)。なお、自動再生機能によりテレビ2に観賞用の画像を送信している間は、撮影モードに移行した場合でも、画像出力停止となるまでは観賞用の画像の表示が継続して行われる。
【0064】
次に、カメラCPU19は、今回撮像した監視対象範囲の画像に対して顔検出処理を施し(S605)、人物の顔を検出したかどうかを判定する(S606)。この判定でYESであれば、電源オフすることなしに、本ルーチンの処理を終了する。また、ステップS606の判定でNOであれば、カメラCPU19は、観賞用の画像のテレビ2への送信を停止するようHDMI通信部16を制御する。
【0065】
この制御により、HDMI通信部16からテレビ2に対して停止制御信号が送信される(S607)。そして、カメラCPU19は、観賞用の画像のテレビ2への送信を停止する(S608)。この後、カメラCPU19の制御により、電源制御部17は電力の供給を停止して電源オフとし(S609)、本ルーチンの処理を終了する。
【0066】
上述した実施形態3では、以下の効果を奏する。
(1)自動再生の待機時には、監視対象範囲内で人物の顔が検出された場合にのみ監視対象範囲に観賞対象者が現れたと判定するようにしたので、例えば、室内の照明が点灯または消灯しただけの場合は観賞用の画像が送信されることはない。したがって、本実施形態によれば、照明により明るさが大きく変化した場合などの影響を受けることなく、監視対象範囲における観賞対象者の有無を、より正しく判定することができる。
(2)監視対象範囲において観賞対象者の有無を判定する際に、輝度差の判定を行わないため、撮像した監視対象範囲の画像に対して顔検出処理を実施した後は、当該画像を記録媒体から消去することができる。このため、記録媒体の記憶容量を有効に利用することができる。
(3)予め登録された人物の顔を検出した場合にのみ、テレビ2に観賞用の画像を送信するため、カメラ1のユーザは特定の観賞対象者にのみ観賞用の画像を観賞させることができる。
(4)予め登録された人物の顔を検出した場合は、当該人物に用意された観賞用の画像をテレビ2に送信するようにしたので、例えば、車が好きな人であれば、記録媒体4に観賞用の画像として車の画像を記録しておくことにより、観賞対象者の好みに合った画像を観賞させることができる。
(5)予め登録されていない観賞対象者が現れた場合や、登録されていても当該人物に用意された観賞用の画像が記録媒体にない場合には、一般的な観賞用の画像がテレビ2に送信されるので、不特定多数の観賞対象者に対しても観賞用の画像を観賞させることができる。
上記効果に加えて、実施形態3は、実施形態1に記載した(1)、(4)、(6)の効果を奏する。
(変形形態)
【0067】
以上説明した実施形態1〜3に限定されることなく、本発明は以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態1、2では、監視対象範囲の画像をカメラ1のメモリ15に記録しているが、この例に限らず、記録媒体4に記録するようにしてもよい。また、実施形態1〜3において、観賞用の画像は記録媒体4に記録しているが、この例に限らず、カメラ1のメモリ15に記録してもよいし、あるいはテレビ2に設けられた不図示のメモリまたはテレビ2に着脱可能な不図示の記録媒体に記録するようにしてもよい。
(2)実施形態3において、予め登録されていない観賞対象者が現れた場合や、登録されていても当該人物に用意された観賞用の画像が記録媒体にない場合には、観賞用の画像をテレビ2に送信しないようにしてもよい。
(3)実施形態3において、登録されている人物の顔を複数同時に検出した場合は、予め設定した優先順位に従って観賞用の画像を送信するようにしてもよいし、予め設定した特定の人物に用意された観賞用の画像のみを送信するようにしてよい。或いは、その都度、ランダムに人物を選択し、選択された当該人物に用意された観賞用の画像のみを送信するようにしてもよい。
(4)実施形態1〜3において、タイムアップ信号を取得したタイミングで、例えば10回連続して観賞対象者が現れたと判断したときに観賞用の画像をテレビ2に送信するようにしてもよい。これによれば、観賞対象者が監視対象範囲を通りすぎただけ、或いはすぐに離れた場合には観賞用の画像がテレビ2に送信されることがないため、無駄な電力の消費を抑えることができる。また、画像の再生開始時と終了時とで異なる待機時間を設定するようにしてもよい。例えば、画像を送信している間はタイムアップまでの待機時間を長くすることにより、観賞対象者が監視対象範囲から離れた場合でも観賞用の画像の表示がすぐに終わらないようにして、観賞対象者に不自然さを与えないようにすることができる。
(5)実施形態1〜3において、カメラ1を不図示のクレードルにセットしたり、ACアダプタに接続したりすることにより上記のような自動再生機能が働くようにしてもよい。この場合は、待機時間中にクレードルやACアダプタからカメラ1への充電を行うようにしてもよい。また、起動時には内部に装填された電池ではなく、クレードルやACアダプタから供給された電力で撮像などの動作を行うようにしてもよい。このような構成とすることにより、電池の消耗を抑えることができる。
(6)実施形態1〜3において、カメラ1とテレビ2との間は、画像を送信することができ且つカメラ1とテレビ2の両方の入出力インターフェースに対応したケーブルであれば、HDMI規格のケーブルに限らず、どのような規格のケーブルであってもよい。例えば、画像のみを送信可能なケーブルを用いた場合は、予めテレビ2の電源をオンしておき、且つ画像入力設定を外部入力とすることにより、カメラ1側から起動制御信号を送信することなしに観賞用の画像を送信させることができる。これによれば、特別なケーブルを用意することなしに自動再生機能を働かせることができる。また、カメラ1からテレビ2に観賞用の画像を送信する際に、カメラ1からテレビ2の不図示のリモコンに制御信号を送信し、このリモコンから発せられた信号よりテレビ2の電源をオンするようにしてもよい。更に、カメラ1とテレビ2との接続は有線に限らず、無線LANなどで接続されていてもよい。このように無線により接続した場合は、カメラ1の設置場所に自由度をもたせることができる。
(7)実施形態1〜3において、監視対象範囲に観賞対象者が現れたかどうかの判定を行うタイミングは時間に限らず、監視対象範囲の変化を検出することができれば、どのようなものでもよい。例えば、内蔵マイクを備えたカメラであれば、カメラの周辺で所定レベル以上の音を検出したときに、監視対象範囲に観賞対象者が現れたと判定するようにしてもよい。
(8)実施形態1〜3において、観賞用の画像は静止画だけでなく、音声を含むものでもよい。また観賞用の画像は動画であってもよく、静止画、動画および音声のすべてを含むものであってもよい。また、カメラは複数台のテレビに接続されていてもよいし、複数のカメラが1台のテレビに接続されていてもよい。
(9)本発明に係わるカメラは、実施形態で説明したコンパクトタイプのデジタルカメラに限らず、レンズ交換式の一眼レフタイプのデジタルカメラやビデオカメラにも適用することができる。
【0068】
また、上記実施形態及び変形形態は適宜に組み合わせて用いることができるが、各実施形態の構成は図示と説明により明らかであるため、詳細な説明を省略する。さらに、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0069】
1:カメラ、2:テレビ、3:ケーブル、4:記録媒体、10:撮像部、11:画像データ処理部、12:記録部、13:操作部、14:液晶モニタ、15:メモリ、16、20:HDMI通信部、17:電源制御部、18:タイマ、19:カメラCPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示を行う表示装置に対して、記録媒体に記録されている観賞用の画像を送信可能なカメラであって、
前記記録媒体に記録されている前記観賞用の画像を、前記表示装置に送信する画像通信手段と、
被写体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段が撮像可能な撮像範囲である監視対象範囲の被写体を、所定タイミング毎に撮像するように前記撮像手段を制御する撮像制御手段と、
前記撮像手段が撮像した前記監視対象範囲の画像が所定条件を満たせば、前記表示装置に前記観賞用の画像を表示させるために、前記記録媒体に記録されている前記観賞用の画像を前記表示装置に送信させるよう前記画像通信手段を制御する画像出力制御手段と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラであって、
前記撮像手段が前回撮像した前記監視対象範囲の第1監視画像と、今回撮像した当該監視対象範囲の第2監視画像との輝度差が所定閾値以上であるか否かを判定する輝度判定手段を更に備え、
前記画像出力制御手段は、
前記輝度判定手段が、前記第1監視画像と前記第2監視画像との輝度差が前記所定閾値以上であると判定すると、前記所定条件を満たしたものとして、前記観賞用の画像を前記表示装置に送信させるよう前記画像通信手段を制御すること、
を特徴とするカメラ。
【請求項3】
請求項2に記載のカメラであって、
前記輝度判定手段は、
前記撮像手段により撮像された前記監視対象範囲の画像を複数の領域に分割して、各領域の輝度を測定するとともに、前記第1監視画像と前記第2監視画像との輝度差が、前記2つの画像間で対応する少なくとも一つの同一領域において前記所定閾値以上であるか否かを判定すること、
を特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項2または3に記載のカメラであって、
前記撮像制御手段は、
前記表示装置において前記観賞用の画像が表示されている間も、前記所定タイミング毎に前記撮像手段により前記監視対象範囲の被写体を撮像し、
前記画像出力制御手段は、
前記表示装置において前記観賞用の画像が表示されている間に、前記輝度判定手段が前記第1監視画像と前記第2監視画像との輝度差が前記所定閾値以上であると判定した場合には、前記観賞用の画像の前記表示装置への送信を停止するよう前記画像通信手段を制御すること、
を特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のカメラであって、
前記撮像手段により撮像された前記監視対象範囲の画像を記憶する記憶手段を有し、
前記画像出力制御手段は、
前記輝度差が所定閾値未満である場合は、今回撮像した監視対象範囲の画像を、前記記憶手段に記憶されている前回撮像した監視対象範囲の画像と入れ替えること、
を特徴とするカメラ。
【請求項6】
請求項5に記載のカメラであって、
前記記憶手段は、前記記録媒体であることを特徴とするカメラ。
【請求項7】
請求項5に記載のカメラであって、
前記記憶手段は、前記記録媒体とは独立して設けられていることを特徴とするカメラ。
【請求項8】
請求項2〜7のいずれか一項に記載のカメラであって、
前記撮像手段により撮像された前記監視対象範囲の画像から人物の顔を検出する顔検出手段をさらに備え、
前記画像出力制御手段は、
前記輝度差が前記所定閾値以上であり、且つ前記顔検出手段が前記第2監視画像から人物の顔を検出した場合にのみ前記所定条件を満たしたものとして、前記観賞用の画像を前記表示装置に送信させるよう前記画像通信手段を制御すること、
を特徴とするカメラ。
【請求項9】
請求項1に記載のカメラであって、
前記撮像手段により撮像された前記監視対象範囲の画像から人物の顔を検出する顔検出手段をさらに備え、
前記画像出力制御手段は、
前記顔検出手段が前記撮像された前記監視対象範囲の画像から人物の顔を検出した場合に、前記所定条件を満たしたものとして、前記観賞用の画像を前記表示装置に送信させるよう前記画像通信手段を制御すること、
を特徴とするカメラ。
【請求項10】
請求項9に記載のカメラであって、
前記顔検出手段は、
前記撮像手段により撮像された前記監視対象範囲の画像から、予め登録された人物の顔を検出する機能を備え、
前記画像出力制御手段は、
前記顔検出手段が、前記撮像された前記監視対象範囲の画像から、前記予め登録された人物の顔を検出した場合に、前記所定条件を満たしたものとして、前記観賞用の画像を前記表示装置に送信させるよう前記画像通信手段を制御すること、
を特徴とするカメラ。
【請求項11】
請求項9または10に記載のカメラであって、
前記撮像制御手段は、
前記表示装置において前記観賞用の画像が表示されている間も、前記所定タイミング毎に前記撮像手段により前記監視対象範囲の被写体を撮像し、
前記画像出力制御手段は、
前記表示装置において前記観賞用の画像が表示されている間に、前記顔検出手段が前記撮像手段により撮像された前記監視対象範囲の画像から人物の顔を検出しない場合には、前記観賞用の画像の前記表示装置への送信を停止するよう前記画像通信手段を制御すること、
を特徴とするカメラ。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか一項に記載のカメラであって、
前記記録媒体は、予め登録された人物毎に用意された観賞用の画像を記録しており、
前記画像出力制御手段は、
前記顔検出手段が前記撮像された前記監視対象範囲の画像から、前記予め登録された人物の顔を検出した場合は、前記記録媒体に記録されている当該人物に用意された観賞用の画像を前記表示装置に送信させるよう前記画像通信手段を制御すること、
を特徴とするカメラ。
【請求項13】
請求項12に記載のカメラであって、
前記撮像手段により撮像された前記監視対象範囲の画像を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記記録媒体であることを特徴とするカメラ。
【請求項14】
請求項12に記載のカメラであって、
前記撮像手段により撮像された前記監視対象範囲の画像を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記記録媒体とは独立して設けられていることを特徴とするカメラ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載のカメラであって、
前記表示装置を、前記観賞用の画像を表示不能な状態から表示可能な状態に移行させるための起動信号、または前記表示装置を該表示可能な状態から該表示不能な状態に移行させるための停止信号を、前記表示装置に送信する表示装置制御手段を備え、
前記表示装置制御手段は、
前記画像出力制御手段が前記記録媒体に記憶されている前記観賞用の画像を前記画像通信手段から前記表示装置に送信する前に、前記表示装置が前記表示不能な状態であれば、前記表示装置に前記起動信号を送信して当該表示装置を前記表示可能な状態に移行させ、一方、前記画像出力制御手段が前記記録媒体に記憶されている前記観賞用の画像を前記画像通信手段から前記表示装置に送信しないようにするときには、前記表示装置に前記停止信号を送信して当該表示装置を前記表示可能な状態から前記表示不能な状態に移行させること、
を特徴とするカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−252189(P2010−252189A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101297(P2009−101297)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】