説明

カメラ

【課題】 カメラにて撮影直後に撮影画像が不良である場合や、シャッター時間が長いような状況下であっても、視覚や聴覚に障害のあるユーザーだけでなく健常者にとっても分かりやすい方法で報知し、手ブレを抑制し、撮り逃しを回避する。
【解決手段】 撮像された画像において、撮影済み画像の合焦や露出の状態を判定する判断手段と、同画像の状態判断結果に応じてカメラ本体を振動させる振動駆動機構を備え、撮影画像が不良であると判断された際に振動によりユーザーへ通知することを特徴とするカメラ装置。もしくは、撮影適正露出時間を検出する露出時間検出部と、カメラ本体を振動させる振動駆動機構と、振動駆動制御手段を有し、撮影対象画像の適正露出量に応じて振動時間を変化させ、振動によりユーザーへシャッター時間の長短を通知することを特徴とするカメラ装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,カメラの撮影画像に関して、撮影完了後に撮影画像の状態に応じて撮影不良の警告や、撮影前にシャッター時間の長短、把持の誘導を振動により報知し、障害者のみならず健常者にも使いやすいカメラの制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カメラによる撮影の際、手ぶれ補正機能やAF機能により多くの場合は良好な画像を撮影できるが、ユーザーは多様な行動をするため、場合によってはこれらの機能をもってしても、結果的に撮影した画像がブレてしまったり、露出が不良となることもある。大きなブレや露出不良であればその場で液晶画面を目視確認して即時に判断したり、さらには拡大表示に切替えてさらに厳密に確認も可能であるが、液晶で一瞥して確認するにはブレが小さかったり、ユーザーにぶれていない自信があったり、電池消耗を考えると、あえて拡大表示をして確認する手間をかけない場合は多い。このような画像はパソコンで確認したり、プリントを行って初めてブレに気が付くが、多くの場合、同じ画像の再撮影は難しい。
【0003】
また視覚障害者には、液晶画面での確認は難しい。
【0004】
また、カメラのAE機能により、被写体の明るさを判断し、良好な撮影に必要なシャッター時間(露光)が決定されるが、現状では視覚障害者にはシャッター時間の見当がつかないため、撮影の心構えをしづらく、特にシャッター時間が長い場合は撮影に失敗しやすくなる。
【0005】
また、聴覚障害者にはカメラの報知音が聞こえづらいため、カメラの状態を把握しづらい。
【0006】
また、ユーザーがカメラをしっかりと握らないことによる手ぶれが生じる可能性が増える。
【0007】
このようにユーザーにとって予想外のことをユーザーに知らせる手段として、振動によりユーザーへ知らせる手段が考えられる。(例えば特許文献1)
【特許文献1】特開2003−262899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本文献1の方法においては、カメラ本体に設けられている各種撮影準備機構の作動状況(例えば、ストロボの充電状況)を判別する判別手段と、カメラ本体内部の所定の位置に設けられカメラ本体に振動を発生させる振動発生機構を備え、前記判別手段により撮影準備が完了していると判別されたとき、前記振動発生機構を作動させてユーザーに通知する。
【0009】
しかしながら、文献1は、電源をONとした際の初期設定やストロボの充電、露光条件の確認などの撮影前準備作動状況を判断し、シャッターの押下が可能になったことをユーザーへ通知する手段であり、撮影後の撮影画像の状況をユーザーへ通知しない。よって、撮影直後に撮影画像のピントがずれていたり、結果的に露光状況が不良であるなどしても、ユーザーが画像を表示させて綿密に確認を行うなどしなければ、その場で撮影しなおすなどの対応が出来ず、ユーザーにとって唯一のはずの画像を撮り逃してしまうなど、利便性が乏しい。また、一旦露出条件がOKとなれば、手ブレが生じやすいような長いシャッター時間であってもユーザーは把握できないため、結果的にはブレが生じる可能性も大きい。また、ユーザーの把持を促せず、手ブレの抑制も出来ない。
【0010】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、撮影直後に撮影画像の状況が不良である場合や、シャッター時間が長いような状況下であっても、視覚や聴覚に障害のあるユーザーだけでなく健常者に対しても分かるような振動により報知することにより、手ブレを抑制し、撮り逃しを回避することを可能としたカメラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のカメラは、
撮像された画像において、合焦状態のレベルを判定するボケ状態判断手段を有し、ボケ状態の判断結果に応じてカメラ本体を振動させる振動駆動機構を備え、撮影画像がボケていると判断された際に振動によりユーザーへ通知することを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明のカメラは、
撮像された画像において、露出状態のレベルを判定する露出状態判断手段を有し、露出状態の判断結果に応じてカメラ本体を振動させる振動駆動機構を備え、撮影画像の露出が不良であると判断された際に振動によりユーザーへ通知することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため、請求項3に記載の発明のカメラは、
撮影適正露出時間を検出する露出時間検出部と、カメラ本体を振動させる振動駆動機構と、検出された露出量の長短に応じて振動駆動時間を制御する駆動制御手段を有し、撮影対象画像の適正露出量に応じて振動時間を変化させ、振動によりユーザーへシャッター時間の長短を通知することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明のカメラは、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のカメラにおいて、音声発生部を有し、振動と共に音声や電子音等の音によりユーザーへ報知をすることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明のカメラは、
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のカメラにおいて、振動の振動周波数を30Hz±20Hzの範囲に制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、撮影直後に撮影画像の状況が不良である場合や、シャッター時間が長いような状況下であっても、視覚や聴覚に障害のあるユーザーだけでなく健常者に対しても分かるような振動により報知することにより、手ブレを抑制し、撮り逃しを回避することを可能としたカメラ装置を提供することができる。また、屋外の晴天下等明るい場所で視覚的に認識しずらい場合や、静粛性が要求される状況下や、また騒音の大きいところであっても、状況の把握が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0018】
以下、図を参照しながらこの発明による装置、方法の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、この発明による装置、方法を静止画像と動画との撮影が可能なデジタルカメラである撮像装置に適用した場合を例にして説明する。
【0019】
図2に本発明の撮像装置の一例としてのデジタルカメラの外観図を示す。図2において28は画像や各種情報を表示する表示部。72は電源オン、電源オフを切り替える電源スイッチ。61はシャッターボタン。60は各種モードを切り替えるモード切替スイッチ。111はデジタルカメラと外部機器を接続するための接続ケーブル。112は接続ケーブル111とデジタルカメラとのコネクタ。70はユーザーからの各種操作を受け付ける操作部。操作部70は各種ボタンやタッチパネル等の操作部材からなる。具体的に例示すると以下の通りとなる。消去ボタン、メニューボタン、SETボタン、十字に配置された4方向キー(上ボタン、下ボタン、右ボタン、左ボタン)、ホイール73など。200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体。201は記録媒体200を格納して通信するための記録媒体スロットである。
【0020】
図1に本発明の撮像装置の一例としてのデジタルカメラの構成例を示すブロック図を示す。103は撮影レンズ、101は絞り機能を備えるシャッター、22は光学像を電気信号に変換するCCDやCMOS素子等で構成される撮像部である。23はアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器であり、撮像部22から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する場合に用いられる。また、音声制御部11から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する場合にも用いられる。バリア102は、デジタルカメラ100の、レンズ103を含む撮像部を覆う事により、撮像部の汚れや破損を防止する。
【0021】
12は、撮像部22、音声制御部11、A/D変換器23、D/A変換器13にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生部であり、メモリ制御部15及びシステム制御部50により制御される。24は画像処理部であり、A/D変換器23からのデータ、又は、メモリ制御部15からのデータに対し所定の画素補間、縮小といったリサイズ処理や色変換処理を行う。画像処理部24ではまた、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてシステム制御部50が露光制御、測距制御を行う。これにより、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理が行われる。画像処理回路24では更に、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0022】
150は振動駆動部であり、最終的な演算結果に基づきシステム制御部50により、振動の制御を行う。
【0023】
A/D変換器23からの出力データは、画像処理部24及びメモリ制御部15を介して、或いは、直接メモリ制御部15を介して、メモリ32に書き込まれる。メモリ32は、マイク10において録音された音声データ、撮影した静止画像や動画像および画像ファイルを構成する場合の、ファイルヘッダを格納するためのメモリである。このメモリ32は、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像および音声を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0024】
16は、適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸張する圧縮・伸張部であり、シャッター101をトリガにしてメモリ32に格納された撮影画像を読み込んで圧縮処理を行い、処理を終えたデータをメモリ32に書き込む。また、記録部19などからメモリ32に読み込まれた圧縮画像を読み込んで伸張処理を行い、処理を終えたデータをメモリ32に書き込む。圧縮・伸張部16によりメモリ32に書き込まれた画像データは、システム制御部50のファイル部においてファイル化され、インターフェース18を介して記録媒体200に記録される。
【0025】
また、メモリ32は画像表示用のメモリを兼ねており、13はD/A変換器、28はLCD等からなる画像表示部であり、メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器13を介して画像表示部28により表示される。
【0026】
10はマイクでマイクから出力された音声信号は、アンプ等で構成される音声制御部11を介してA/D変換部23においてデジタル信号に変換された後、メモリ制御部15によってメモリ32に格納される。一方、記録媒体200に記録されている音声データは、メモリ32に読み込まれた後、D/A変換部13を介し音声制御部11において制御された信号がスピーカー38において発音される。
【0027】
不揮発性メモリ56は電気的に消去・記録可能なメモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。システム制御部50の動作用の定数、プログラム等を記憶する。
【0028】
50は、デジタルカメラ100全体を制御するシステム制御部である。52は、システム制御部50の動作用の定数、変数、不揮発性メモリ56から読み出したプログラム等を展開するシステムメモリである。
【0029】
第1シャッタースイッチSW1(62)、第2シャッタースイッチSW2(64)、操作部70はシステム制御部50に各種の動作指示を入力するための操作手段である。
【0030】
60はモード切替スイッチであり、システム制御部50の動作モードを静止画記録モード、動画記録モード、再生モード等のいずれかに切り替えることができる。
【0031】
第1シャッタースイッチSW1(62)は、デジタルカメラ100に設けられたシャッターボタン61の操作途中(半押し)でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作開始を指示する。
【0032】
第2シャッタースイッチSW2(64)は、シャッターボタン61の操作完了(全押し)でONとなり、撮像部22からの信号読み出しから記録媒体200に画像データを書き込むまでの一連の撮像処理の動作開始を指示する。
【0033】
操作部70の各操作部材は、表示部28に表示される種々の機能アイコンを選択操作することなどにより、場面ごとに適宜機能が割り当てられ、各種機能ボタンとして作用する。機能ボタンとしては例えば終了ボタン、戻るボタン、画像送りボタン、ジャンプボタン、絞込みボタン、属性変更ボタン等がある。例えばメニューボタンが押されると各種設定が可能なメニュー画面が画像表示部28に表示される。利用者は、画像表示部28に表示されたメニュー画面と、4方向キーやSETボタンとを用いて直感的に各種設定を行うことができる。
【0034】
電源スイッチ72は、電源オン、電源オフを切り替える。
【0035】
39は電源制御部で、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成され、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行う。また、検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体200を含む各部へ供給する。
【0036】
30はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる電源部である。33及び34はコネクタであり、電源部30と電源制御部39とを接続する。
【0037】
40はRTC(Real Time Clock)であり、電源制御部39とは別に内部に電源部を保持し、電源部30が落ちた状態であっても、時計動作状態を続けている。システム制御部50は起動時にRTC40より取得した日時を用いてタイマー制御する。
【0038】
18はメモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインターフェースであり、35は該記録媒体200とインタフェース18との接続のためのコネクタである。98は、コネクタ35に記録媒体200が装着されているか否かを検知する記録媒体着脱検知部である。
【0039】
200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部19、デジタルカメラ100とのインターフェース37、及び、記録媒体200とデジタルカメラ100とを接続するためのコネクタ36を備えている。
【0040】
通信部110は、RS232CやUSB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、無線通信、等の各種通信処理を行う。
【0041】
コネクタ(無線通信の場合はアンテナ)112は、通信部110を介してデジタルカメラ100を他の機器と接続する。
【実施例1】
【0042】
(全体フロー)
図4に本実施形態のデジタルカメラ100の全体的な動作を説明するフローチャートを示す。
【0043】
電源スイッチ72が操作され電源がオンに切り替わると、S301でシステム制御部50はフラグや制御変数等を初期化する。続いて記録媒体200に記録されているファイルに関する管理処理を開始する(S313)。次にS303でシステム制御部50は、モード切替スイッチ60の設定位置を判断し、静止画記録モードに設定されていたならばS304へ進む。このS304における静止画記録モード処理の詳細は図3を用いて後述する。S303で、モード切替スイッチ60が動画記録モードに設定されていたならばS310へ進む。またS311で再生モードの場合、再生モード処理S312に進む。その他のモードに設定されていたならばS305へ進み、システム制御部50は選択されたモードに応じた処理を実行し、処理を終えたならばS306に進む。
【0044】
S306でシステム制御部50は電源スイッチ72の設定位置を判断し、電源スイッチ72が電源オンに設定されていれば、S303に戻る。S306において電源スイッチ72が電源オフに設定されていたならば、S307へ進んで所定の終了処理を行う。終了処理には、以下のような処理が含まれる。表示部28の表示を終了状態に変更し、レンズバリア102を閉じて撮像部を保護する。フラグや制御変数等を含むパラメータや設定値、設定モードを不揮発性メモリ56に記録する。電源供給が不要な部分への電源を遮断する。終了処理が完了するとS308に進み処理を終了する。
【0045】
(撮影モード)
図3は前述したS304における静止画記録モード処理のフローチャートである。
【0046】
システム制御部50は、静止画記録モードを開始すると、以下のいずれかの方法により撮影モードを確定する(S113)。不揮発性メモリ56より前回の静止画記録モード終了時における撮影モードを取得し、システムメモリ52に格納する。あるいは、ユーザーにより操作部70が操作されて撮影モードの設定入力があれば、入力された撮影モードをシステムメモリ52に格納する。
【0047】
撮影モードが確定すると続いて撮像部22からの画像データを表示するスルー表示を行う(S115)。続いて電源制御手段39により電池等により構成される電源30の残容量や記録媒体200の有無や残容量が画像処理装置100の動作に問題があるか否かを判断し(S116)、問題があるならば表示部28を用いて画像や音声により所定の警告表示を行った後に(S114)、静止画記録モードの先頭に戻る。
【0048】
電源30や記録媒体の状態に問題が無いならば、S117で必要に応じて分類情報の自動付与入/切設定を行う。
【0049】
続いてスルー表示される画像信号中に人の顔が存在するか否かを検知する顔検出を行う(S118)。S118において人の顔を検出した場合、顔情報として画像信号中において検出した位置座標、サイズ(幅、高さ)、検出個数、信頼性係数等をシステムメモリ52に記憶する。検出しなかった場合はシステムメモリ52内の位置座標、サイズ(幅、高さ)、検出個数、信頼性係数等の領域に0を設定する。
【0050】
続いてシャッタースイッチSW1が押されていないならば(S119)、分類情報自動付与入/切設定S117、顔検出処理S118を繰り返す。
【0051】
シャッタースイッチSW1が押されたならば(S119)、S122に進む。
【0052】
システム制御部50は、測距処理を行って撮影レンズ103の焦点を被写体に合わせ、測光処理を行って絞り値及びシャッター時間を決定する(S122)。測光処理に於いて、必要であればフラッシュの設定も行う。この時S118において顔を検出していれば、検出した顔の範囲で測距を行うことも可能である。
【0053】
測距・測光処理S122を終えたならば、S125に進む。
【0054】
シャッタースイッチSW2が押されずに(S125)、さらにシャッタースイッチSW1も解除されたならば(S126)、S117に戻る。
【0055】
シャッタースイッチSW2が押されたならば(S125)、画像表示部28の表示状態を固定色表示状態に設定して(S128)、S129に進む。
【0056】
S129でシステム制御部50は以下のような撮影処理を実行する。撮像素子22、A/D変換器23、画像処理回路24、メモリ制御回路15を介して、或いはA/D変換器から直接メモリ制御回路15を介して、メモリ32に撮影した画像データを書き込む露光処理。メモリ制御回路15そして必要に応じて画像処理回路24を用いて、メモリ32に書き込まれた画像データを読み出して各種処理を行う現像処理からなる撮影処理を実行する(S129)。
【0057】
システム制御部50は、画像表示部28に対し撮影画像データのクイックレビュー表示を行う(S133)。
【0058】
クイックレビュー表示後、システム制御部50は撮影処理で得られた画像データを画像ファイルとして記録媒体200に対し書き込みを行う記録処理を実行する(S120)。
【0059】
記録処理S120が終了した際に、シャッタースイッチSW2が放されるまで画像表示部28におけるクイックレビュー表示を継続して撮影画像データの確認を入念に行うことを可能とすることが出来る。
【0060】
記録処理S120が終了した際にシャッタースイッチSW2が放された状態であったか、シャッタースイッチSW2を押し続けてクイックレビュー表示を継続して撮影画像の確認を行った後にシャッタースイッチSW2を放した状態であったならば(S135)、S137に進む。S137では所定のミニマムレビュー時間が経過した後にS139に進む。
【0061】
システム制御部50は、画像表示部28の表示状態をスルー表示状態に設定して(S139)、S141に進む。
【0062】
この場合、画像表示部28でのクイックレビュー表示によって撮影画像データを確認した後に、次の撮影のために撮像部22からの画像データを逐次表示するスルー表示状態にすることが出来る。
【0063】
シャッタースイッチSW1が押された状態であったならば(S141)、システム制御部50は、S125に戻って次の撮影に備える。
【0064】
シャッタースイッチSW1が放された状態であったならば(S141)、システム制御部50は、一連の撮影動作を終えて撮影待機状態に戻る。
【0065】
(撮影処理)
図5はS129における撮影処理のフローチャートである。
【0066】
システム制御部50は、システムメモリ52に記憶される測光データに従い、絞り機能を有するシャッター101を絞り値に応じて開放して撮像素子22を露光する(S401、S402)。
【0067】
システム制御部50は、測光データに従って撮像部22の露光終了を待ち(S405)、シャッター101を閉じて(S406)、撮像部22から電荷信号を読み出し、A/D変換器23、画像処理回路24、メモリ制御回路15を介して、或いはA/D変換器23から直接メモリ制御回路15を介して、メモリ32に撮影画像データを書き込む(S407)。
【0068】
システム制御部50は、メモリ制御回路15そして必要に応じて画像処理回路24を用いて、メモリ32に書き込まれた画像データを読み出して圧縮伸張部16を用いた圧縮処理等の画像処理(S408)を順次行った後、メモリ32に処理を終えた画像データを書き込む。
【0069】
システム制御部50は、メモリ32から画像データを読み出し、メモリ制御回路15を介して表示画像データの転送を行う(S409)。
【0070】
次にシステム制御部50は、メモリ制御回路15を介したメモリ32からの画像データを画像処理部24を介して処理し、画像のボケ状態を検出する(S410)。後述するようなボケ状態の検出方法により、検出された画像がぼやけていると判断された場合は、システム制御部50により振動駆動部150を駆動する。検出された画像がぼやけていないと判断された場合には、振動駆動部150は駆動されない。
【0071】
一連の処理を終えたならば、撮影処理ルーチンS129を終了する。
【0072】
(ボケ状態の検出)
図6はS410おけるボケ状態の検出手段の例を示したものである。ボケ状態の判断の際、まず水平と垂直走査方向の映像信号のコントラスト比を検出し、コントラスト比がある程度以上高いエリアと低いエリアに切り分ける(S451)。ピントが合っていない場合にはコントラスト比が低くなり周波数成分も低くなる。なお、閾値となるコントラスト比は標準値としてあらかじめ設定されていればよい。このボケ領域のサイズが所定面積以上であればボケと判断し、所定面積未満であればボケではないと判断する(S452、S453)。
【0073】
合焦状態の検出は、この例のほかにも、フィルタリング処理により輪郭画像を抽出して、輝度の変化具合で判断する完全なデジタル画像処理によっても可能である。また、誤動作を防止するために、ピントが合っていないボケ領域の面積だけではなく、主被写体の周囲または縁部で連続しているかどうかを判断材料に加えてもよい。
【0074】
(振動)
主被写体が合焦状態でボケ領域が一定以上の領域を占めるようなマクロ撮影時や、手動で絞りを開いて被写界深度を浅くしたポートレイト画像を撮りたい場合でも、電子回路が自動的にボケ画像であると判断した場合には、振動駆動部150がデジタルカメラ100を振動させるため、撮影者がいちいち確認をしなくても、再撮影が必要であることが撮影者の把持手へ振動して伝わる。
【0075】
また本発明においては、ユーザーへのより強い喚起が可能となるよう、振動駆動部150による振動は、音声や電子音等の聴覚的な報知と共にユーザーへ報知されるのであっても良い。例えば、撮影した画像がぶれていると判断した場合には、注意を喚起する報知音(例えば、JIS等で規定されているような、0.5秒ONと0.2秒OFFを5回繰り返す電子音)や、「撮影した画像はブレています」等の音声と共に振動する。このように振動が生じると共に複数の手段による報知により、障害者にとってもより判断しやすい構成が実現できる。
【0076】
また振動の周波数は、人間が最もすべり感を感じる30Hz付近の30Hz±20Hzとすることにより、撮影者がデジタルカメラ100をより確実に把持するよう促すことが可能になる。
【実施例2】
【0077】
図7は本実施例のS129における撮影処理のフローチャートである。
【0078】
本実施例では、露光(S501−S506)を経て撮影された画像データを撮影データとして書き込み(S507)、画像処理(S508)を行い、画像データの転送を行ったのちに(S509)、撮影済み画像の露出状態を検出する(S510)。後述するような露出状態の検出方法により、検出された画像の露出が不適切と判断された場合は、システム制御部50により振動駆動部150を駆動する。検出された画像の露出が適切と判断された場合には、振動駆動部150は駆動されない。
【0079】
一連の処理を終えたならば、撮影処理ルーチンS129を終了する。
【0080】
(露出状態の検出)
図8はS510おける露出状態の検出手段の例を示したものである。露出状態の判断の際、まず水平と垂直走査方向の映像信号のヒストグラムを検出し、ヒストグラムの値がある範囲より高いエリアと、同範囲よりも低いエリアに切り分ける(S551)。閾値となるヒストグラム範囲は標準値としてあらかじめ設定されていればよい。この所定の範囲を外れるヒストグラムの領域のサイズが所定面積以上であれば露出不良と判断し、所定面積未満であれば露出は良好と判断する(S552、S553)。
【0081】
露出が不良であると判断された場合は、振動駆動部150がデジタルカメラ100を振動させる。
【実施例3】
【0082】
図9は前述したS304における静止画記録モード処理のフローチャートの例である。
【0083】
システム制御部50は、測距処理を行って撮影レンズ103の焦点を被写体に合わせ、測光処理を行って絞り値及びシャッター時間を決定する(S122)。さらにシステム制御部50により、決定されたシャーター時間の長短に応じて、振動駆動部150がデジタルカメラ100を振動させる時間の長さを、シャッター時間が長ければ振動も長く、シャッター時間が短ければ振動も短い時間振動するよう制御する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】デジタルカメラの構成ブロック図
【図2】デジタルカメラの外観図
【図3】実施例1、2のデジタルカメラ100の静止画記録モードにおける一連の処理を示すフローチャート
【図4】デジタルカメラ100の全体的な動作のフローチャート
【図5】実施例1のデジタルカメラの撮影動作のフローチャート
【図6】実施例1のデジタルカメラの合焦判断のフローチャート
【図7】実施例2のデジタルカメラの撮影動作のフローチャート
【図8】実施例2のデジタルカメラの露出判断のフローチャート
【図9】実施例3のデジタルカメラ100の静止画記録モードにおける一連の処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0085】
10 マイク
11 音声制御部
12 タイミング発生部
13 D/A変換器
15 メモリ制御部
16 圧縮/伸張部
18 デジタルカメラ側記録媒体I/F
19 記録部
22 撮像部
23 A/D変換器
24 画像処理部
28 表示部
30 電源部
32 メモリ
33 電源コネクタ
34 電源コネクタ
35 デジタルカメラ・記録媒体コネクタ
36 デジタルカメラ・記録媒体コネクタ
37 記録媒体側記録媒体I/F
38 スピーカー
39 電源制御部
40 RTC
50 システム制御部
52 システムメモリ
56 不揮発性メモリ
60 モード切替スイッチ
61 シャッターボタン
62 シャッタースイッチ
64 シャッタースイッチ
70 操作部
72 電源スイッチ
73 ホイール
98 記録媒体着脱検知部
100 デジタルカメラ
101 シャッター
102 バリア
103 レンズ
110 通信部
111 接続ケーブル
112 コネクタ(アンテナ)
150 振動駆動部
200 記録媒体
201 記録媒体スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像された画像について、合焦状態のレベルを判定するボケ状態判断手段を有し、ボケ状態の判断結果に応じてカメラ本体を振動させる振動駆動機構を備え、撮影画像がボケていると判断された際に振動によりユーザーへ通知することを特徴とするカメラ。
【請求項2】
撮像された画像について、露出状態のレベルを判定する露出状態判断手段を有し、露出状態の判断結果に応じてカメラ本体を振動させる振動駆動機構を備え、撮影画像の露出が不良であると判断された際に振動によりユーザーへ通知することを特徴とするカメラ。
【請求項3】
撮影適正露出時間を検出する露出時間検出部と、カメラ本体を振動させる振動駆動機構と、検出された露出量の長短に応じて振動駆動時間を制御する駆動制御手段を有し、撮影対象画像の適正露出量に応じて振動時間を変化させ、振動によりユーザーへシャッター時間の長短を通知することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
音声発生部を有し、振動と共に音声や電子音によりユーザーへ報知をすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のカメラ。
【請求項5】
振動の振動周波数を30Hz±20Hzの範囲に制御することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−54820(P2010−54820A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−219962(P2008−219962)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】