説明

カラオケパーティに集う人々の顔を識別する歌唱時に個別にズームアップ撮影して記録するシステム

【課題】リクエスト曲の演奏開始前後の所定期間にて、そのリクエストを予約した人をクローズアップして撮影・記録することにより、カラオケパーティに集った人たちの楽しい話題ネタや良き記念とすることができる個人別の撮影記録を残すことができる。
【解決手段】カラオケ演奏装置が設置された空間に集う人々を撮影可能に設置されたカメラと、カメラの向きとズームを制御し、カラオケ演奏装置が設置された空間に集う人々の中から特定の人を個別にズームアップして撮影可能なカメラ制御手段を備え、カメラで撮影された複数の人の顔画像データと、リクエスト曲付随の個人IDに該当の顔特徴データとに基づいて、カメラで撮影された複数の人の中から特定された個人IDの人を識別してその位置を特定し、あるリクエスト曲を演奏開始する直前から所定期間にわたり、そのリクエスト曲付随の個人IDに該当する人を個別ズームアップ撮影し、その映像データを当該個人IDに対応付けして記憶手段に格納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラオケパーティに集う人々の顔を識別する歌唱時に個別にズームアップ撮影して記録するシステムに関し、とくに、リクエスト曲の演奏開始前後の所定期間に、そのリクエストを予約した人の顔をクローズアップして撮影・記録するようにしたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケは通常、複数人のグループがパーティ形式で利用する場合が多い。カラオケシステムは、そのカラオケパーティに集う人々からの演奏リクエストを受け付けて待ち行列に登録し、順次演奏処理する。ここで、リクエスト曲が演奏される際に、そのリクエストを予約した人を個別に撮影して記録すれば、その記録がカラオケパーティに集った人たちの楽しい話題ネタや良き記念となるであろう。カラオケ利用者の顔を個別に撮影可能なシステムとしては、以下のようなシステムが提供されている。
【0003】
特許文献1(特開平10−240274号公報):
この文献に記載のカラオケ装置では、リモコンで選曲入力している利用者を自動的に追尾してその顔を撮影する自動追尾カメラを設け、予約入力の赤外線信号をトリガとして追尾・撮影する。予約リストの表示において、撮影された利用者の顔をそのとき予約されたカラオケ曲の曲名と一緒に表示する。また、カラオケ曲の演奏がスタートするときもその曲の曲名と併せて撮影された顔を表示する。
【0004】
特許文献2(特開平11−24681号公報):
この文献には、リクエストした人の映像を撮影して表示するカラオケ演奏装置が記載されている。このカラオケ装置は、カラオケ楽曲を予約した人が誰であるかを楽しく知らせる機能を付加したものである。
【0005】
カラオケ演奏装置本体は、リモコン予約装置から送られてくるリクエスト信号に含まれる楽曲IDを予約リストに登録し、予約リストにしたがってカラオケ楽曲の演奏を進める。リモコン予約装置はビデオカメラを備え、撮影した映像を一時記憶する。利用者の映像を撮影し、その映像データを前記リクエスト信号に付帯させる。
【0006】
カラオケ演奏装置本体は、リモコン予約装置から送られてくるリクエスト信号に含まれる楽曲IDと映像データとを対応づけて予約リストに登録し、楽曲の演奏中もしくは演奏の前後において、予約リストに各楽曲の楽曲IDに対応づけられている映像データを再生し、ディスプレイに表示する。これにより、カラオケ楽曲を予約した人が誰であるかを楽しく知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−240274号公報
【特許文献2】特開平11−24681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来技術では、リクエスト曲が演奏される際に、そのリクエストを予約した人を、その人の顔画像または映像を表示することにより、予約した人が誰であるかを楽しく知らせることができる。
【0009】
カラオケ利用空間は、そこに集う人々の楽しい交流の場であり、そこではリクエスト曲をカラオケ演奏に合わせて歌唱に集中する人と、その歌唱を聴く人がいる一方、自分が予約したリクエスト曲が演奏開始されるまでの間、飲食や会話を楽しんだり、あるいは目次本などに目を通したりなど、それぞれが自由な時間を楽しく過ごす。このような場合、リクエスト曲が演奏開始される際に、そのリクエストを予約した人の映像がディスプレイに表示されても、それがそのときに話題タネになるとは限らない。
【0010】
この発明は以上のような背景を鑑みたものであって、その目的は、リクエスト曲の演奏開始前後の所定期間にて、そのリクエストを予約した人をクローズアップして撮影・記録することにより、カラオケパーティに集った人たちの楽しい話題ネタや良き記念とすることができる個人別の撮影記録を残すことができるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るシステムは、つぎの事項(1)〜(9)により特定されるものである。
(1)カメラと、カメラ制御手段と、カラオケ演奏装置と、コンピュータを備えたシステムであること
(2)カメラは、カラオケ演奏装置が設置された空間に集う人々を撮影可能であること
(3)カメラ制御手段は、カメラの向きとズームを制御し、カラオケ演奏装置が設置された空間に集う人々の中から特定の人を個別にズームアップして撮影可能であること
(4)カラオケ演奏装置は、待ち行列に登録されたリクエスト曲を順番に演奏すること
(5)待ち行列に登録されたリクエスト曲には、リクエストした人を特定する個人IDが対応付けされること
(6)コンピュータは、個人IDと顔特徴データを対応付けした顔データベースにアクセス可能であること
(7)コンピュータは、カメラで撮影された複数の人の顔画像データと、リクエスト曲付随の個人IDに該当の顔特徴データとに基づいて、カメラで撮影された複数の人をリクエスト曲付随の個人IDにより区別し、カメラで撮影された複数の人の中から特定された個人IDの人を識別してその位置を特定可能であること
(8)コンピュータは、カメラで撮影された複数の人の中から特定された個人IDの人を識別してその位置を特定し、その位置にいる人を個別ズームアップ撮影するようにカメラ制御手段を制御可能であること
(9)コンピュータは、あるリクエスト曲を演奏開始する直前から所定期間にわたり、そのリクエスト曲付随の個人IDに該当する人を個別ズームアップ撮影し、その映像データを当該個人IDに対応付けして記憶手段に格納すること
【発明の効果】
【0012】
リクエスト曲の演奏開始前後の所定期間にて、そのリクエストを予約した人をクローズアップして撮影・記録することにより、カラオケパーティに集った人たちの楽しい話題ネタや良き記念とすることができる個人別の撮影記録を残すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態をなすシステムの設置状態を示す平面図である。
【図2】本発明システムの要部におけるデータ流れに着目したブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態の主要部をなすカラオケ装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
===本発明の一実施形態をなすシステム===
図1は本発明の一実施形態をなすシステムの設置状態を示す。
同図に示すシステムは、カメラ31と、カメラ制御手段と、カラオケ装置100とによって構成される。カラオケ装置100はカラオケ演奏装置とコンピュータを包含する。
【0015】
カメラ31はCCDやCMOSなどの撮像素子を用いて構成されている。このカメラ31は電動ズーム機能を備え、電動雲台33に搭載され、カラオケ装置100が設置されたカラオケ利用空間(カラオケ室)30に集う人々4a〜4eを任意にズームアップして撮影可能なように設置されている。
【0016】
カメラ制御手段は、この実施形態では、カラオケ装置100のコンピュータを用いて構成されている。このカメラ制御手段は、カメラ31の向きとズームを制御し、カラオケ装置100が設置された空間に集う人々4a〜4eの中から特定の人(たとえば4c)を個別にズームアップして撮影させることができる。
【0017】
カメラ制御手段はカメラ31本体に組み込んで構成することも可能である。この場合、カラオケ装置100のコンピュータは、カメラ31に対して方向とズームの指令を送るだけでよい。
【0018】
===カラオケ装置===
図2において、カラオケ装置100は、待ち行列に登録されたリクエスト曲を順番に演奏する。待ち行列に登録されたリクエスト曲には、リクエストした人を特定する個人IDが対応付けされている。
【0019】
このカラオケ装置100は、個人IDと顔特徴データを対応付けした顔データベース210にアクセス可能である。顔データベース210は、とくに限定はしないが、インターネットまたはインターネットVPNなどの通信網を介して通信接続されるサーバー200に設置されている。
【0020】
顔データベース210には、カラオケ利用者の個人IDに対応付けられた顔特徴データが集積されている。顔特徴データについては、たとえば、(1)電子情報通信学会論文誌 D−II Vol.J84-D-II No3. pp.500-508 2001年3月、(2)精密工学会 画像応用技術専門委員会研究報告 vol.19, No.3, pp.1-10, 2004、(3)特開2009−110460号公報などに記載されている。
【0021】
カラオケ装置100は、顔データベース210をアクセスして、待ち行列に登録されたリクエスト曲に付随する個人IDを検索データとして送信することにより、その個人IDに対応する顔特徴データを受信・取得することができる。これにより、カラオケ装置100では、待ち行列のリクエスト曲と個人IDに顔特徴データを対応付けることができる。個人IDはリクエスト曲が予約される際に、その予約操作を行う予約者に入力させて取得すればよい。
【0022】
===カラオケ装置のコンピュータ===
図1および図2において、カラオケ装置100のコンピュータは、カメラ31で撮影された複数の人4a〜4eの顔画像データと、リクエスト曲付随の個人IDに該当の顔特徴データとに基づいて、カメラ31で撮影された複数の人4a〜4eをリクエスト曲付随の個人IDにより区別し、カメラ31で撮影された複数の人4a〜4eの中から特定された個人IDの人(たとえば4c)を識別してその位置を特定可能である。
【0023】
このコンピュータには、カメラ31で撮影された複数の人4a〜4eの中から特定された個人IDの人4cを識別してその位置を特定し、その位置にいる人4cを個別ズームアップ撮影するようにカメラ制御手段を制御可能なソフトウェア機能が搭載されている。人の識別は、カメラ31で撮影された顔画像データとリクエスト曲付随の個人IDに対応付けられた顔特徴データとに基づいて行われるが、この識別に際しては、たとえば上記文献(1)〜(3)記載されているような顔特認識技術を用いる。
【0024】
これにより、コンピュータは、あるリクエスト曲を演奏開始する直前から所定期間にわたり、そのリクエスト曲付随の個人IDに該当する人(たとえば4c)を個別にズームアップ撮影し、その映像データを当該個人IDに対応付けして記憶手段に格納する。
【0025】
===カラオケ装置の具体的なハードウェア構成例===
本発明システムで使用されるカラオケ装置のハードウェア主体の概略構成例を図3に示す。
このカラオケ装置100は、周知のパソコン相当のコンピュータ応用機器であって、その中核をなす中央処理装置11は、CPU・RAM・ROMを含むコンピュータ本体を形成する。
【0026】
この中央処理装置11の制御管理下に、大容量の外部記憶としてのハードディスク装置12、CD−ROMやDVD−ROMなどの光ディスク再生装置13、専用回線や公衆通信回線などを介してカラオケホスト装置やデータベースサーバーなどと通信する通信制御装置14、利用者からの入力と利用者に向けての応答をやりとりする利用者インターフェイス装置15などが設置されている。また、MIDI形式の音楽演奏データに基づいて伴奏音楽の音響信号を生成する音楽生成装置16、伴奏音楽やマイクロホン171からの音響信号等を増幅してスピーカ172から発音させる音響装置17、LCDやPDPなどを用いたディスプレイ(表示装置)182、このディスプレイ182に表示すべき映像データを処理する映像処理装置18、USBポートなどのI/O(入出力)ポート19などが設置されている。
【0027】
ハードディスク装置12には、多数のカラオケ楽曲について、MIDIデータを主体とした伴奏音楽データと、歌詞字幕の生成起源となる歌詞文字データなどを含むカラオケデータが蓄積されている。また、所定形式の長時間分の動画データと、動画データの処理シーケンス(処理すべき動画データの格納場所と処理順番など)を規定した台本データや、演奏可能なカラオケ楽曲について、曲名やアーティスト名、発表年、歌詞の歌い出し部分などの目次情報も格納されている。
【0028】
利用者インターフェイス装置15は、カラオケ装置100本体の操作パネル151やカラオケリモコン装置152を含む。そのカラオケリモコン装置152との間で操作情報をやりとりするため、双方向通信が可能な短距離無線通信手段(IrDAトランシーバ・赤外線LED・赤外線受光素子)を備えている。リクエスト曲の予約操作や個人IDの取込等は、この利用者インターフェイス装置15を介して行う。
【0029】
I/Oポート19には、カメラ31と電動雲台33が外部装置として接続されている。中央処理装置11は、このI/Oポート19を介して、カメラ31のズーム制御と電動雲台33の方向制御を行う。
【0030】
===実施形態システムの効果===
上述したシステムでは、リクエスト曲の演奏開始前後の所定期間にて、そのリクエストを予約した人をクローズアップして撮影・記録することにより、カラオケパーティに集った人たち(4a〜4e)の楽しい話題ネタや良き記念とすることができる個人別の撮影記録を残すことができる。
【符号の説明】
【0031】
100 カラオケ装置(カラオケ演奏装置とコンピュータを包含)
11 中央処理装置
12 ハードディスク装置
13 光ディスク再生装置
14 通信制御装置
15 利用者インターフェイス装置
151 操作パネル
152 カラオケリモコン装置
16 音楽生成装置
171 マイクロホン
172 スピーカ
17 音響装置
18 映像処理装置
182 ディスプレイ(表示装置)
19 I/O(入出力)ポート
210 顔データベース
200 サーバー
30 カラオケ空間(カラオケ室)
31 カメラ
33 電動雲台
4a〜4e カラオケ空間に集う人々

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラと、カメラ制御手段と、カラオケ演奏装置と、コンピュータを備えたシステムであって、
カメラは、カラオケ演奏装置が設置された空間に集う人々を撮影可能であり、
カメラ制御手段は、カメラの向きとズームを制御し、カラオケ演奏装置が設置された空間に集う人々の中から特定の人を個別にズームアップして撮影可能であり、
カラオケ演奏装置は、待ち行列に登録されたリクエスト曲を順番に演奏し、
待ち行列に登録されたリクエスト曲には、リクエストした人を特定する個人IDが対応付けされ、
コンピュータは、個人IDと顔特徴データを対応付けした顔データベースにアクセス可能であり、
コンピュータは、カメラで撮影された複数の人の顔画像データと、リクエスト曲付随の個人IDに該当の顔特徴データとに基づいて、カメラで撮影された複数の人をリクエスト曲付随の個人IDにより区別し、カメラで撮影された複数の人の中から特定された個人IDの人を識別してその位置を特定可能であり、
コンピュータは、カメラで撮影された複数の人の中から特定された個人IDの人を識別してその位置を特定し、その位置にいる人を個別ズームアップ撮影するようにカメラ制御手段を制御可能であり、
コンピュータは、あるリクエスト曲を演奏開始する直前から所定期間にわたり、そのリクエスト曲付随の個人IDに該当する人を個別ズームアップ撮影し、その映像データを当該個人IDに対応付けして記憶手段に格納する
システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−75805(P2011−75805A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226821(P2009−226821)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】