説明

カラオケ配信システム

【課題】携帯電話機の通信機能を利用したカラオケ配信システムを提供する。
【解決手段】サーバー機、携帯電話機、MIDI音源等再生機およびスピーカーを有するカラオケ配信システムにおいて、サーバー機は、楽曲データベースを備え、携帯電話機は、携帯電話通信網および電気通信ネットワークを介して前記サーバー機と情報をやり取りするネットワーク通信部と、近距離通信部と、各通信に係る情報を記憶するメモリーを備え、MIDIデータに基づいて音声信号を生成する音声信号生成部と、前記携帯電話機と無線通信手段によって情報を送受信する近距離通信部を備え、ネットワーク通信部は、要求をサーバー機に送信し、該サーバー機は、MIDIデータを返送し、携帯電話機は、当該MIDIデータをメモリーに記憶、MIDI音源等再生機へ送信し、MIDI音源等再生機は、音声信号を生成、スピーカーは、音声信号に基づくカラオケ楽曲を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型情報端末(例えば携帯電話機など)をリモコン装置として利用するカラオケ配信システムに関し、より具体的には、家庭用民生機器を用いて構成したシステムにあっても業務用の場合と比べ遜色のない高品質なカラオケを提供し、且つ、カラオケ利用料については各携帯端末ごとに簡易・確実な課金を行うことができるカラオケ配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラオケにおける楽曲要求は、一般的には、楽曲タイトルや歌手名・アーティスト名などをキーワードに索引可能な分厚いカラオケ本に掲載されたカラオケ楽曲一覧の中から、その楽曲毎に付された識別コードを頼りに、これをカラオケ機に備え付けられたリモコン装置に入力し、たとえばIrDA準拠のリモコン信号などを媒介として、カラオケ装置本体に情報送信することにより行われる。
【0003】
しかしながら、電話帳のように大量の情報を収録した上記カラオケ本から所望のカラオケ楽曲を探し出し、その見出したカラオケ曲に付された識別コードを、次はテン・キーなどの細かな釦操作によって、リモコン装置に入力するといった作業が煩に堪えないものであることは既によく知られる。
【0004】
特に、仲間内など大勢が集まってカラオケを楽しむときは、限られた台数のリモコン装置をその人数で共有せざるを得ず、遅滞なく効率的な楽曲要求を行えないばかりか、リモコン装置の台数を追加するとなればカラオケ事業者側にとってはその分だけ設備コストが新たに生ずることになり、他方カラオケ・ユーザー側にとっても、もとより見知らぬリモコン機の見慣れないインターフェイスに戸惑って、その機能の殆どを上手く使いこなせないのが実際のところである。
【0005】
この点については、自ら好んでよく歌うカラオケ曲の識別コードをユーザー側で予め保持しておき、これを入力ないし送信して楽曲要求する技術も存するが、例えばメーカーの異なるカラオケ機あるいは管理方式の異なるシステムでは、同じカラオケ楽曲でも付された識別コードの異なる場合があって、依然として不具合を残している。
【0006】
また、一般のカラオケ・サービスは、ユーザーが、要求したカラオケ楽曲の曲数毎に又はカラオケ・ルームの使用料との名目でその利用時間に応じたカラオケ利用料を事業者に支払い、そのカラオケ事業者が、当該利用料のうちからカラオケ楽曲のコンテンツ・プロバイダー側へコンテンツ利用についての料金を支払うといった課金方式で実現されることが多い。
【0007】
しかし、ユーザーによるカラオケ利用料金の支払いについては、カラオケ楽曲の使用期間あるいは使用回数・歌唱回数などにも応じた金額を課金することができれば、ユーザー・事業者の双方にとって合理的で好ましいことは勿論である。
【0008】
なお、通信カラオケの実施には、当然のことながらインターネットに接続可能な環境下に構成されることが前提とされる。
【0009】
ところで、近時の携帯電話機(PHSを含む。以下同じ。)は、電話通信網を通じた通常の通話サービスのほか、データ通信機能を備えた携帯型情報端末機器としての側面がよく知られており、ユーザーは、携帯電話機を通信端末として、インターネット・サービスを利用できるようになっている。
【0010】
さらに、これらの携帯電話機(又は携帯情報端末機器)には、電話通信網を通じた情報サービス以外にも、たとえばIrDAやIrSimple等の赤外線通信やBluetooth(登録商標)等の方式による通信(以下纏めて「近距離通信」ともいう。)によって情報の送受信を実行可能な近距離通信機能を併有するものが知られている。
【0011】
斯かる機能を有する携帯電話機によれば、相互に送受信可能な端末間で上述の近距離通信を行うことができることから、例えば電話番号やメール・アドレス等の個人情報を赤外線等の無線に乗せてお互いに送信・受信するだけで当該情報を自己又は通信相手の端末のメモリー内に記憶し保存できるといった技術が知られるほか、これ以外にも様々な分野での利用可能性が考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで本発明は、従来の通信カラオケ機器が有する上記の問題点に鑑み、携帯電話機の通信機能を利用したカラオケ配信システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決することを目的としてなされた本発明カラオケ配信システムの構成は、少なくともサーバー機、携帯電話機、MIDI音源等再生機およびスピーカーを有するカラオケ配信システムにおいて、サーバー機は、カラオケ楽曲のMIDIデータと該MIDIデータの識別コードとを対応付けて格納した楽曲データベースを備え、携帯電話機は、携帯電話通信網およびインターネット等の電気通信ネットワークを介して前記サーバー機と情報をやり取りするネットワーク通信部と、赤外線等の無線通信手段によって情報を送受信する近距離通信部と、各通信に係る情報を記憶するメモリーを備え、MIDI音源等再生機は、MIDIデータに基づいて音声信号を生成する音声信号生成部と、前記携帯電話機と赤外線等の無線通信手段によって情報を送受信する近距離通信部を備え、ネットワーク通信部は、識別コードを含む要求をサーバー機に送信し、該サーバー機は、前記識別コードに対応付けられたMIDIデータをネットワーク通信部に返送し、携帯電話機は、当該MIDIデータをメモリーに記憶して、このMIDIデータを近距離通信部からMIDI音源等再生機の近距離通信部へ送信し、MIDI音源等再生機は、音声信号生成部において前記MIDIデータに基づく音声信号を生成するとともに当該音声信号をスピーカーに伝送し、スピーカーは、伝送された音声信号に基づくカラオケ楽曲を出力するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明カラオケ配信システムの他の構成は、上記のカラオケ配信システムにおいて、画像を表示可能なモニターをさらに有し、サーバー機は、モニターに表示するカラオケ背景映像の映像データを格納した映像データベースをさらに備え、MIDI音源等再生機は、映像データに基づいて映像信号を生成する映像信号生成部をさらに備え、サーバー機は、前記識別コードに対応付けられたMIDIデータおよび映像データをネットワーク通信部に返送し、携帯電話機は、当該データをメモリーに記憶して、このデータを近距離通信部からMIDI音源等再生機の近距離通信部へ送信し、MIDI音源等再生機は、音声信号生成部において前記MIDIデータに基づく音声信号を生成するとともに当該音声信号をスピーカーに伝送し、映像信号生成部において前記映像データに基づく映像信号を生成するとともに当該映像信号をモニターに伝送し、スピーカーは、伝送された音声信号に基づくカラオケ楽曲を出力し、モニターは、伝送された映像信号に基づくカラオケ背景映像を表示するようにしたものである。
【0015】
本発明のカラオケ配信システムにおいて、サーバー機は、カラオケ楽曲の要求履歴や歌唱採点結果など、各会員(ユーザー)に関する会員データを予め登録した各携帯電話機ごとに管理して格納する会員データベースをさらに備えたものとして構成することも可能である。
【0016】
本発明カラオケ配信システムにおけるサーバー機は、さらに、会員データベースに格納された複数の歌唱採点結果に基づき、コンテストやオーディションを行うようにすることが可能である。
【0017】
本発明カラオケ配信システムにおいて、サーバー機は、カラオケ楽曲のMIDIデータを送信するに際し、会員データベースに登録された各携帯電話機ごとの課金を実行するよう構成することができる。
【0018】
本発明カラオケ配信システムにおいては、カラオケ楽曲やカラオケ背景映像に対してMIDI音源等再生機で実行される各種のエフェクト処理を、携帯電話機で操作することができるようにするのが望ましい。
【0019】
本発明カラオケ配信システムにおいて、携帯電話機のメモリーに格納されたMIDIデータおよび映像データについては、外部メモリーに保存することができず、かつ、MIDI音源等再生機への近距離送信後あるいはアプリケーション終了後においては消去されるように構成することが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明カラオケ配信システムによれば、サーバー機と携帯電話機とは携帯電話通信網を介して接続されるのであるから、従来型の通信カラオケのようにネットワークへの固定的な接続環境に依存することなく、移動環境下でも携帯電話による通信が可能なエリアにあれば、たとえばバスや自家用車内にあっても、最新のコンテンツを揃えた通信カラオケを楽しむことができるようになる。
【0021】
また、MIDI音源等再生機においては、音声信号生成部を例えばRoland(登録商標)製音源ボードSC-88等のハードウェア資源を用いて構成することにより、生成する音声信号をきわめて高品位のものとして音声出力することが可能であるとともに、映像信号生成部で生成した映像信号については、たとえば家庭用テレビジョンやカー・ナビゲーション等に備わるディスプレイ装置に出力するだけで、カラオケ楽曲と併せてカラオケ背景映像(歌詞のテロップを含む。以下同じ。)をも楽しむことができるようになる。
【0022】
しかも、本発明カラオケ配信システムにおいては、通信によってやり取りされるのが、主として、音声ファイルそのものではなくカラオケ楽曲に係るMIDIデータ情報であるため、その通信に係る情報自体がコンパクトであり通信に要する時間はほんの僅かであることから、データの送受信に待たされ痺れを切らしたユーザーが興を損なうといった不具合も一切ない。
【0023】
さらに、サーバー機を、楽曲要求に係る履歴やMIDI音源等再生機において算出された歌唱採点結果等のユーザー情報を会員データベースに格納するように構成することも可能なため、ユーザにとってはさらに便宜であるとともに、外部の事業者にとってもこの歌唱採点結果を複数集計して利用することでそれに基づいたカラオケ・コンテストや歌唱オーディション等を開催することが容易に実現できるようになる。
【0024】
また、このサーバー機に備わる会員データベース内の情報に基づき、電話番号等を識別子とする各携帯電話機ごとのアカウントに基づく課金を行えば、簡易・確実な課金を実現することができる。
【0025】
そして、本発明カラオケ配信システムの通信においてやり取りされるMIDIデータや映像データは、外部メモリーに記憶させることができず、かつ、近距離送信後又はアプリケーション終了後においては、必ず消去されるため、カラオケ楽曲のダウンロード回数に応じた確実な課金を実現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明カラオケ配信システムの実施の形態の第一例を模式化して示した図
【図2】サーバー機の構成の一例を示したブロック図
【図3】携帯電話機の構成の一例を示したブロック図
【図4】MIDI音源等再生機の構成の一例を示したブロック図
【図5】本発明カラオケ配信システムの実施の形態の第二例を模式化して示した図
【図6】本発明カラオケ配信システムの実施の形態の第三例を模式化して示した図
【図7】本発明カラオケ配信システムの実施の形態の第四例を模式化して示した図
【図8】MIDI音源等再生機などの構成態様を例示したブロック図
【図9】本発明カラオケ配信システムにおける課金の実施形態を模式的に例示した図
【図10】本発明カラオケ配信システムに係る携帯電話機Pにおける通信の手順を例示したフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明カラオケ配信システムの実施の形態例について、図により説明する。
【0028】
図1は本発明カラオケ配信システムの実施の形態の第一例を模式化して示した図、図2はサーバー機の構成の一例を示したブロック図、図3は携帯電話機の構成の一例を示したブロック図、図4はMIDI音源等再生機の構成の一例を示したブロック図、図5は本発明カラオケ配信システムの実施の形態の第二例を模式化して示した図、図6は本発明カラオケ配信システムの実施の形態の第三例を模式化して示した図、図7は本発明カラオケ配信システムの実施の形態の第四例を模式化して示した図、図8はMIDI音源等再生機などの構成態様を例示したブロック図、図9は本発明カラオケ配信システムにおける課金の実施形態を模式的に例示した図、図10は本発明カラオケ配信システムに係る携帯電話機Pにおける通信の手順を例示したフローチャート図である。
【0029】
図1において、Sはサーバー機、Pは携帯電話機、AはMIDI音源等再生機を、またスピーカーSPを備える家庭用テレビTや音響機器Cや自動車B(以下纏めて「スピーカーSP」ともいう。)を表しており、本発明カラオケ配信システムは少なくともこれらの構成を具備してなる。
【0030】
サーバー機Sは、その記録領域に楽曲データベースDB1を備えており、該データベースDB1は、少なくともカラオケ楽曲kmに係るMIDIデータd1と、当該MIDIデータd1に対応付けられた識別コードicとを格納したものとして構成される。
【0031】
また携帯電話機Pは、ネットワーク通信部PNと近距離通信部PRとメモリーPMとを備えてなるものである。
【0032】
上記のネットワーク通信部PNは、図示しない基地局・交換機等を含んで構成される携帯電話通信網PLおよびインターネット等の電気通信ネットワークNを通じて、前記サーバー機Sとの間で、要求d0に係るさまざまな情報をやり取りする。
【0033】
近距離通信部PRは、赤外線等の無線通信手段によってMIDI音源等再生機A(具体的にはこれに備わる近距離通信部AR)との間で情報を互いに送信し、かつ受信することができる。
【0034】
またMIDI音源等再生機Aは、図5に示すように、音声信号生成部VGと近距離通信部ARとを備えてなり、この音声信号生成部VGは、適宜のサンプリング・タイムにより前記MIDIデータd1をシーケンス処理し、これに基づいて前記音源ボードASから生じる音声信号VSを生成してゆく。
【0035】
スピーカーSPは、MIDI音源等再生機Aにおいて生成され、そこから伝送されてきた音声信号VSに従いカラオケ曲kmを音声出力する。
【0036】
本発明カラオケ配信システムにおける各構成要素の接続については、図1に例示するとおり、サーバー機Sと携帯電話機Pが一部無線部を有する携帯電話通信網PL及び電気通信ネットワークNを通じて相互に接続され、携帯電話機PとMIDI音源等再生機Aが赤外線等の無線手段により接続され、またMIDI音源等再生機AとスピーカーSPが適宜のAVケーブル(音響ケーブル)によってそれぞれ接続されている。
【実施例】
【0037】
はじめに、ユーザーは、本発明に係るカラオケ配信システムを利用してカラオケを楽しみたいとき、自己の携帯電話を、本発明における携帯電話機Pとして、すなわち本発明に係るサーバー機Sに対するクライアントとして機能させるために、クライアント・ソフトウェア(以下「アプリケーションap」という。)をネットワーク通信部PNなどから自己の携帯電話にダウンロードし、これをインストールしておく。
【0038】
続いて、ユーザーは、自己の携帯電話機Pにおいて、上記のアプリケーションapを起動し、これに表示される任意のコマンド・ラインへ所望のカラオケ楽曲kmに付された識別コードicを入力し、当該識別コードicを含む要求d0を、ネットワーク通信部PNから、携帯電話通信網PLおよびインターネットNを介して、サーバー機Sに宛て送信する(なお、カラオケ楽曲kmの識別コードicがわからない場合には、楽曲名をそのまま入力・送信して、これをもとにカラオケ楽曲kmの識別コードicを検索できるよう設けられた曲目データベースDB4により携帯電話機Pに返信された検索結果の中から、ユーザー所望の楽曲kmに対応する識別コードicを選択することで、前記サーバー機Sと通信できるように構成することも任意である)。
【0039】
要求d0を受け付けたサーバー機Sは、楽曲データベースDB1にあって当該要求d0に含まれる識別コードicに対応するカラオケ楽曲kmのMIDIデータd1を含む情報d2を、この要求d0を送信した携帯電話機Pに宛てて返信する。
【0040】
情報d2を受信した携帯電話機Pは、メモリーPM上にMIDIデータd1を一旦は記憶する。
【0041】
次にユーザーは、携帯電話機Pの近距離通信部PRから、このMIDIデータd1を赤外線に乗せて、MIDI音源等再生機Aに向け送信する。
【0042】
ここで、メモリーPM上のMIDIデータd1に関しては、近距離送信の完了を以て再び呼出すことができないものとして構成しておくのが、後述の確実な課金の実現との関係上も望ましい。
【0043】
近距離通信部ARにてMIDIデータd1を受信したMIDI音源等再生機Aは、これを当該機Aに備わるメモリーAMに一旦記憶するとともに、音声信号生成部VGにおいて当該MIDIデータd1に基づき、適宜のサンプリング・タイムのもとでシーケンス処理を行って、当該機Aに搭載された音源ボードASから生ずる音声信号VSによりMIDIデータd1を順次オーディオ化してゆく。
【0044】
ここで生成された音声信号VSは、MIDI音源等再生機Aと電気的に接続されたスピーカーSPに伝送され、当該スピーカーSPが、カラオケ楽曲kmを音声出力し、ユーザー所望のカラオケ楽曲kmとして配信され、実際の場に提供されることとなる。
【0045】
また、本発明カラオケ配信システムは、画像を表示可能なモニターDをさらに具備して構成することが可能である(この場合、たとえば前記家庭用テレビT、音響機器C、又は自動車Bのナビゲーション・システム等に備わるディスプレイ装置をモニターDに適用できることは勿論である)。
【0046】
ここにサーバー機Sは、モニターDに表示する歌詞情報(テロップ)を含めたカラオケ背景映像用kpの映像データd3を格納した映像データベースDB2を備えており、ユーザーによる携帯電話機Pからの要求d0に応じて、前記MIDIデータd1とともにこの映像データd3についても返送するように構成することができる。
【0047】
映像データd3を受信した携帯電話機Pは、メモリーPM上にこれを一旦は記憶し、近距離通信部PRからMIDI音源等再生機Aの近距離通信部ARへ向けて当該映像データd3を含む情報を送信する。
【0048】
映像データd3を受信したMIDI音源等再生機Aは、これをメモリーAM上に一旦記憶するとともに、映像信号生成部PGに向けて該データd3を送り出し、当該映像信号生成部PGにおいて適宜のサンプリング・タイムによりこの映像データd3を前記モニターDで表示可能な映像信号PSとして演算処理した上、当該映像信号PSをモニターDへと伝送してゆく。
【0049】
尤も、ここでは映像データd3に関し、インターネット通信や赤外線通信に要する送受信の時間がMIDIデータd1のそれに比べると著しく長いものであることに鑑みれば、これを減じるため予めカード型の外部メモリーEM等に映像データd3を格納しておいて、適時にMIDI音源等再生機Aへ取り込みこれを処理してモニターD上に画像表示させるよう本発明カラオケ配信システムを構成することは任意である。
【0050】
これによって、ユーザーは、カラオケ楽曲kmに係る音声信号VSのみならず、カラオケ背景映像kpについても音声信号VSとの同期をとりながらモニターDに表示することができ、マルチ・メディアとしてカラオケを楽しむことが可能となる。
【0051】
また、本発明カラオケ配信システムにおいては、ユーザーがこれを利用するに先立ち、サーバー機Sに備わる会員データベースDB3に対して、たとえば電話番号を識別子とし、また入会時には一定のポイントptを購入することを条件として、各携帯電話機Pを会員登録させるよう構成することも可能である。
【0052】
斯かる構成によれば、会員データベースDB3において、カラオケ曲kmの要求d0に係る履歴を、各携帯電話機Pごとに区画された記憶領域に保存して管理することができるので、ユーザーは、この履歴の中からダウンロードしたいMIDIデータd1を選択するだけで同データd1を得ることも可能となり、わざわざ前述のように識別コードicを手入力する必要さえなく、また自らが好んで歌う楽曲kmの傾向についても容易に掌握できるようになる。
【0053】
さらにサーバー機Sは、MIDI音源等再生機Aに具備した歌唱採点機能により算出された採点結果についても、各会員ごとに、会員データベースDB3に格納しておくことができるため、該サーバー機Sに集計された複数の採点結果に基づき、歌唱コンテストやオーディションなどを簡単に実現することができるようになる。
【0054】
そして、本発明カラオケ配信システムでは、ダウンロードしたMIDIデータd1や映像データd3が、赤外線送信後は、外部メモリーEMに限らず携帯電話機PのメモリーPM内にも保存できないようプログラムされているため、ユーザーは、たとえ一度ダウンロードしたことのあるカラオケ曲kmであっても、これと同じカラオケ曲kmを歌うためにはその都度必ずダウンロードすることになり、この結果、ダウンロード回数に応じた合理的かつ確実な課金を実現することができる。
【0055】
会員データベースDB3には携帯電話機Pごとに区画された記憶領域を設けているので、携帯電話機Pごとの課金情報を管理することが可能であり、前記ポイントptの支払いによって、あるいはクレジット、電子マネー、ウェブマネー(登録商標)又はスクラッチ決済などあらゆる決済手段によりカラオケ利用料を簡便に支払うことができ、更にこれに関しては、携帯電話機Pのキャリア事業者が携帯電話の通話料とともにカラオケ利用料の回収を代行するようシステム化することも可能である。
【0056】
また、MIDI音源等再生機Aでは、受信したMIDIデータd1や生成した音声信号VSに対するキーやピッチの変更、あるいは接続されるマイクMのエコーやディレイの調整、さらには映像信号生成部PGにおいて生成した映像信号PSに対する例えば動画合成などに関する各種のエフェクト処理を携帯電話機Pの側で操作するものとして構成すれば、ユーザーは、始めから自己の好みに応じて設定・調整されたカラオケ楽曲kmを得ることができるようになる。
【0057】
なお、本発明カラオケ配信システムでやり取りされる各データは、前記MIDIデータd1に加えて、予め録音された例えばコーラス・パートや楽器演奏パートに関する生の音声ファイル等を含んでよいことは当然である。
【0058】
また、本発明カラオケ配信システムにおいては、携帯電話機Pを専ら要求d0の送信手段としてのみ利用し、MIDIデータd1や映像データd3等の情報の送受信については、インターネットN等の電気通信ネットワーク又はこれとLAN(無線ないし有線)の組合せ等を通じて結ばれたサーバー機S及びMIDI音源等再生機Aとの間でやり取りさせるように構成することができる。
【0059】
さらに、本発明カラオケ配信システムにおいては、携帯電話機Pに替え、ネットワークに接続可能な家庭用ゲーム機を用いて、インターネットN等を通じてこれにダウンロードしたMIDIデータd1等の情報をMIDI音源等再生機Aへ送るように構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は以上のとおりであって、本発明を構成するサーバー機と携帯電話機とは携帯電話通信網を介して接続されるものであるから、従来型の通信カラオケのようにインターネットへの固定的な接続環境に依存せずに、携帯電話通信網に接続可能であれば、たとえばバスや自家用車内など移動中でも、最新のコンテンツを揃えた通信カラオケを楽しむことができるようになり、また、MIDI音源等再生機においては、音声信号生成部を音源ボードなどのハードウェア資源を用いて構成することにより、生成する音声信号をきわめて高品位のものとして音声出力することもできるとともに、映像信号生成部で生成した映像信号については、たとえば家庭用テレビ又はカー・ナビに備わるディスプレイ装置等に出力するだけでカラオケ背景映像をも併せて楽しむことができるようになり、しかも、通信においてやり取りされるのがカラオケ楽曲に係る主としてMIDIデータ情報等であるため、その通信に係る情報自体がコンパクトであり、送受信に要する時間がほんの僅かであって通信に待たされ痺れを切らす等のストレスは一切なく、さらに、サーバー機が歌唱履歴やMIDI音源等再生機によって算出された歌唱採点結果等の情報を会員データベース内に格納するため、ユーザーにとってはさらに便宜であり、かつ、この歌唱採点結果を複数集計し、これに基づくコンテストやオーディションを開催することも容易に実現できるようになり、かつ、このサーバー機に備わる会員データベース内の情報に基づいて各携帯電話機あるいはそのユーザー毎のアカウントに基づく課金を行えば、簡易に課金を実現することができるとともに、通信に係るMIDIデータや映像データは、外部メモリーに記憶することはできず、かつ、近距離送信後ないしアプリケーション終了後において消去されるため、カラオケ利用(ダウンロード回数)に応じた確実な課金を実現することができるといった効果を有するから、カラオケ配信システムに適用してきわめて有用である。
【符号の説明】
【0061】
S サーバー機
P 携帯電話機
A MIDI音源等再生機
M マイク
T 家庭用テレビ
B 自動車
C 音響機器
SP スピーカー
D モニター
VG 音声信号生成部
PG 映像信号生成部
AS 音源ボード
AR 近距離通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともサーバー機、携帯電話機、MIDI音源等再生機およびスピーカーを有するカラオケ配信システムにおいて、
サーバー機は、カラオケ楽曲のMIDIデータと該MIDIデータの識別コードとを対応付けて格納した楽曲データベースを備え、
携帯電話機は、携帯電話通信網およびインターネット等の電気通信ネットワークを介して前記サーバー機と情報をやり取りするネットワーク通信部と、赤外線等の無線通信手段によって情報を送受信する近距離通信部と、各通信に係る情報を記憶するメモリーを備え、
MIDI音源等再生機は、MIDIデータに基づいて音声信号を生成する音声信号生成部と、前記携帯電話機と赤外線等の無線通信手段によって情報を送受信する近距離通信部を備え、
ネットワーク通信部は、識別コードを含む要求をサーバー機に送信し、
該サーバー機は、前記識別コードに対応付けられたMIDIデータをネットワーク通信部に返送し、
携帯電話機は、当該MIDIデータをメモリーに記憶して、このMIDIデータを近距離通信部からMIDI音源等再生機の近距離通信部へ送信し、
MIDI音源等再生機は、音声信号生成部において前記MIDIデータに基づく音声信号を生成するとともに当該音声信号をスピーカーに伝送し、
スピーカーは、伝送された音声信号に基づくカラオケ楽曲を出力するようにしたことを特徴とするカラオケ配信システム。
【請求項2】
請求項1のカラオケ配信システムにおいて、
画像を表示可能なモニターをさらに有し、
サーバー機は、モニターに表示するカラオケ背景映像の映像データを格納した映像データベースをさらに備え、
MIDI音源等再生機は、映像データに基づいて映像信号を生成する映像信号生成部をさらに備え、
サーバー機は、前記識別コードに対応付けられたMIDIデータおよび映像データをネットワーク通信部に返送し、
携帯電話機は、当該データをメモリーに記憶して、このデータを近距離通信部からMIDI音源等再生機の近距離通信部へ送信し、
MIDI音源等再生機は、音声信号生成部において前記MIDIデータに基づく音声信号を生成するとともに当該音声信号をスピーカーに伝送し、映像信号生成部において前記映像データに基づく映像信号を生成するとともに当該映像信号をモニターに伝送し、
スピーカーは、伝送された音声信号に基づくカラオケ楽曲を出力し、
モニターは、伝送された映像信号に基づくカラオケ背景映像を表示するようにしたカラオケ配信システム。
【請求項3】
サーバー機は、カラオケ楽曲の要求履歴や歌唱採点結果等に関する会員データを、予め当該サーバー機に登録された各携帯電話機ごとに管理して格納する会員データベースをさらに備えた請求項1または2のカラオケ配信システム。
【請求項4】
サーバー機は、会員データベースに格納された複数の歌唱採点結果に基づき、コンテストやオーディションを行うようにした請求項3のカラオケ配信システム。
【請求項5】
サーバー機は、MIDIデータを送信するに際して、会員データベースに登録された各携帯電話機ごとの課金を実行するようにした請求項1ないし4のいずれかのカラオケ配信システム。
【請求項6】
カラオケ楽曲やカラオケ背景映像に対し、MIDI音源等再生機において実行される各種のエフェクト処理を、携帯電話機で操作することができるようにした請求項1ないし5のいずれかのカラオケ配信システム。
【請求項7】
携帯電話機のメモリーに格納されたMIDIデータおよび映像データについては、外部メモリーに保存することができず、かつ、MIDI音源等再生機への送信後は消去されるようにした請求項1ないし6のいずれかのカラオケ配信システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかのカラオケ配信システムにおける前記サーバー機としてコンピューターを機能させるためのプログラム。
【請求項9】
請求項1ないし7のいずれかのカラオケ配信システムにおける前記携帯電話機として携帯電話機を機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−186081(P2010−186081A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30482(P2009−30482)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(301027292)株式会社BMB (32)
【Fターム(参考)】