説明

カラートナー分離方法、カラートナー分離装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置

【課題】本来の作像エンジン構成そのものを利用し、混色トナーの分離と再利用を実現する。
【解決手段】混色トナーをパス1で現像器Kに供給し、負電荷に帯電させ、一様に正帯電された感光体上に薄層形成する。パス2で、近赤外光を照射し、ブラックトナー粒子の存在領域以外の感光体表面を除電する。転写工程では、転写ベルト側に感光体の初期帯電電位よりも若干低めのバイアス電位を印加し、ブラックトナー以外の残混色トナーを転写ベルトに転移させ、ブラックトナーは感光体に残留させる。残留したブラックトナーは、パス3を介してクリーナKで回収し、パス1を経由して現像器Kに搬送し、次回の作像に備える。残混色トナーは、中間転写ベルトを介してパス4の様に、一つ上流側の感光体CのクリーナCに回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ、これらの複合機などの電子写真プロセスを用いた画像形成装置に用いるカラートナー分離方法、カラートナー分離装置や、これを用いたプロセスカートリッジ関する。
【背景技術】
【0002】
図1〜3に示すような形態の4連タンデム方式に関して説明する。図1は、4連タンデム方式の画像形成装置の一例としての複合機を示す全体構成図、図2はその作像部を示す拡大図、図3は要部を示す概略図である。この画像形成装置は、図示のように、画像形成装置本体100の上方にあるトナー容器収容部31には、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した4つのトナー容器が着脱自在(交換自在)に設置してある。そしてトナー容器収容部31の下方には中間転写ユニット10が配設してあり、中間転写ユニット10の中間転写ベルト8に対向するように、各色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)に対応した作像部6Y、6M、6C、6Kが並設してある。
【0003】
図2も参照して説明すると、イエローに対応した作像部6Yは、感光体ドラム1Yと、感光体ドラム1Yの周囲に配設した帯電部4Y、現像装置5Y(現像部)、クリーニング部2Y、除電部(不図示である。)等で構成してある。そして、感光体ドラム1Y上で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程)を実施し、感光体ドラム1Y上にイエロー画像を形成する。なお、他の3つの作像部6M、6C、6Kも、使用するトナーの色が異なる以外は、イエローに対応した作像部6Yとほぼ同様の構成を有し、それぞれのトナー色に対応した画像を形成する。そこで、以下の説明では、他の3つの作像部6M、6C、6Kの説明を特に必要がなければ適宜省略して、イエローに対応した作像部6Yについて説明する。
【0004】
感光体ドラム1Yは、図示していない駆動モータによって図2中の時計方向に回転駆動する。そして、帯電部4Yの位置で、感光体ドラム1Yの表面を一様に帯電させる(帯電工程)。その後、感光体ドラム1Yの表面は、露光装置7から射出したレーザ光Lの照射位置での露光走査によってイエローに対応した静電潜像を形成する(露光工程)。
【0005】
その後、感光体ドラム1Yの表面の静電潜像を、現像装置5Yとの対向位置で現像し、イエローのトナー像を形成する(現像工程)。さらにその後、中間転写ベルト8及び第1転写バイアスローラ9Yとの対向位置で感光体ドラム1Y上のトナー像を中間転写ベルト8上に転写する(1次転写工程)。
【0006】
このとき、感光体ドラム1Y上には、僅かながら未転写トナーが残存するが、その後にクリーニング部2Yとの対向位置で感光体ドラム1Y上に残存した未転写トナーをクリーニングブレード2aによって機械的に回収する(クリーニング工程)。そして最後に、図示していない除電部との対向位置で感光体ドラム1Y上の残留電位を除去し、感光体ドラム1Y上で実行する一連の作像プロセスを終了する。
【0007】
上述した作像プロセスは、他の作像部6M、6C、6Kでも、イエロー作像部6Yと同様に行い、各感光体ドラム上に形成した各色のトナー像を、中間転写ベルト8上に重ねて転写し、中間転写ベルト8上にカラー画像を形成する。
【0008】
中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8、4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9K、2次転写バックアップローラ、クリーニングバックアップローラ、テンションローラ、中間転写クリーニング部10等で構成してある。これらはユニット化していわゆるプロセスカートリッジユニットとして画像形成装置本体100に対して着脱可能とするものであっても良い。なお中間転写ベルト8は、3つのローラによって張架、支持するとともに、そのうちの1つのローラの回転駆動によって図2中の矢印方向に移動させる。
【0009】
4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、それぞれ、中間転写ベルト8を感光体ドラム1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んで1次転写ニップを形成している。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kには、トナーの極性とは逆の転写バイアスを印加する。中間転写ベルト8は、図中の矢印方向に走行して、各1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kの1次転写ニップを順次通過し、感光体ドラム1Y、1M、1C、1K上の各色のトナー像が、中間転写ベルト8上に重ねて1次転写される。
【0010】
その後、2次転写バックアップローラ12が、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している位置で、中間転写ベルト8上に形成したカラートナー像を、この2次転写ニップの位置に搬送されてきた転写紙等の被転写材P上に転写する。
【0011】
このとき、中間転写ベルト8には、被転写材Pに転写されなかった未転写トナーが残存するので、中間転写クリーニングの位置で中間転写ベルト8上の未転写トナーを回収し、中間転写ベルト8上で実行する一連の転写プロセスを終了する。
【0012】
なお、2次転写ニップの位置へ搬送する被転写材Pは、装置本体100の下方に配設した給紙部26から、給紙ローラ27やレジストローラ対28等を経由して搬送する。給紙部26には、転写紙等の被転写材Pを複数枚重ねて収納し、給紙ローラ27を図1中の反時計方向に回転駆動して最上位の被転写材Pをレジストローラ対28のローラ間に向けて給送する。
【0013】
レジストローラ対28まで搬送された被転写材Pは、回転駆動を停止したレジストローラ対28のローラニップの位置で一旦停止し、中間転写ベルト8上のカラー画像にタイミングを合わせて、レジストローラ対28を回転駆動して被転写材Pを2次転写ニップに向けて搬送する。
【0014】
2次転写ニップの位置でカラー画像を転写された被転写材Pは、定着部20へと搬送し、定着ローラ及び圧力ローラによる熱と圧力とにより、表面に転写されたカラー画像を被転写材P上に定着させる。その後、被転写材Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て、装置外へと排出し、スタック部30上に順次スタックする。これで、画像形成装置における、一連の画像形成プロセスが完了する。なお図中32が原稿画像の読取部を示す。
【0015】
図2により、作像部における現像装置の構成、動作について説明する(図2では図1との関連で符号Yを付した部分の他はYをつけずに示してあるが、以下の説明では各符号にYを付して説明する。他の色の現像装置でも同様である。現像装置5Yは、感光体ドラム1Yに対向する現像ローラ51Y、現像ローラ51Yに対向するドクターブレード52Y、現像剤収容部53Y、54Y内に配設した2つの搬送スクリュ55Y、現像剤中のトナー濃度を検知する濃度検知センサ56Y等で構成してある。現像ローラ51Yは、内部に固設したマグネットや、マグネットの周囲を回転するスリーブ等で構成してある。現像剤収容部53Y、54Y内には、キャリアとトナーとからなる2成分現像剤Gが収容してある。現像剤収容部54Yは、その上方に形成した開口を介してトナー搬送パイプに連通している。
【0016】
この現像装置5Yの動作を説明する。現像ローラ51Yのスリーブは、図2の矢印方向に回転している。そして、マグネットにより形成した磁界によって現像ローラ51Y上に担持した現像剤Gは、スリーブの回転にともない現像ローラ51Y上を移動する。現像装置5Y内の現像剤Gは、現像剤中のトナーの割合(トナー濃度)が所定の範囲内になるように調整する。すなわち、現像装置5Y内のトナー消費に応じて、トナー容器に収容してあるトナーを、トナー補給部を介して現像剤収容部54Y内に補給する。
【0017】
その後、現像剤収容部54Y内に補給したトナーは、2つの搬送スクリュ55Yによって、現像剤Gとともに混合、撹拌しながら、2つの現像剤収容部53Y、54Yを循環する(図2の紙面垂直方向の移動となる)。現像剤G中のトナーは、キャリアとの摩擦帯電によりキャリアに吸着して、現像ローラ51Y上に形成される磁力によりキャリアとともに現像ローラ51Y上に担持される。現像ローラ51Y上に担持された現像剤Gを図2中の矢印方向に搬送し、ドクターブレード52Yの位置で現像剤量を適量化した後、感光体ドラム1Yとの対向位置(現像領域)まで搬送する。そして、現像領域に形成した電界によって、感光体ドラム1Y上に形成した潜像にトナーが吸着する。その後、現像ローラ51Y上に残った現像剤Gはスリーブの回転にともない現像剤収容部53Yの上方に達し、この位置で現像ローラ51Yから離脱する。クリーナYでは基本的にはイエロー画像の転写残としてのイエロートナーしか回収されないが、クリーナMでは転写残としてのマゼンタトナーと逆転写したイエロートナーが、クリーナCでは転写残としてのシアントナーと逆転写したイエロートナーとマゼンタトナーが、クリーナKでは転写残としてのブラックトナーと逆転写したイエロートナーとマゼンタトナーとシアントナーが回収される。
【0018】
よって、クリーナYでの回収トナーは、現像器Yに直接戻す事が可能であるが、その他のクリーナで回収されるトナーは混色しているために、各現像器に直接戻した場合には、長期的には色味が大きく変化してしまう。よって、中転クリーナから回収されるトナーも含め、これらトナーは廃トナーとして廃棄せざるを得なかった。
【0019】
さらに図示しないが、一つの感光体に対して順次カラートナーを現像する形態の作像方式においても、理想的な転写が行われなかった結果生じる回収トナーは混色しているために再利用が非常に困難であった。
【0020】
これまでに、フルカラー作像装置において混色したトナーを全て分離し再利用する機構の提案が無かったのと同時に、新たな機構を構築したとしても、それをマシン内に設置する事によるマシンサイズ並びにイニシャルコストの増大や、マシン信頼性の低下などは極力避けなくてはならなかった。
【0021】
【特許文献1】特開平08-240961号公報
【特許文献2】特開平06-059467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、本来の作像エンジン構成そのものを利用することで、混色トナーの分離と再利用を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明のカラートナー分離方法のうち請求項1に係るものは、転写工程通過後の感光体上に付着しているトナーの全てもしくは一部を、現像装置に供給するカラー電子写真プロセスにおいて用いるカラートナー分離方法であって、前記現像装置での現像工程におけるトナー帯電極性とは逆極性にて一様に帯電した前記感光体上に、前記現像装置によって一層のトナー層を形成し、該トナー層に対して、前記現像装置が担持するプロセスカラートナーのみが強い吸収を有する波長の光を照射し、その直後の転写工程において主に前記プロセスカラートナー以外の残混色トナーのみを前記感光体から静電転写して除去することを特徴とする。
【0024】
請求項2に係るものは、請求項1記載のカラートナー分離方法において、一以上の感光体が存する場合に、ある感光体から静電転写して除去した混色トナーを、該感光体の一つ上流の転写工程に位置する感光体に供給することを特徴とする。
【0025】
請求項3に係るものは、請求項2記載のカラートナー分離方法において、前記ある感光体から静電転写工程により排除された残混色トナーを一つ上流の前記感光体への搬送を、転写ベルトを介して行うことを特徴とする。
【0026】
請求項4に係るものは、請求項1ないし3のいずれかに記載のカラートナー分離方法において、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像を形成する4つの感光体をタンデム配置した場合に、前記ブラック色のトナーの転写工程を、イエロー、マゼンタ、シアンとともに多重となる転写工程の最下流工程とすることを特徴とする。
【0027】
請求項5に係るものは、請求項1ないし3のいずれかに記載のカラートナー分離方法において、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像を形成する4つの感光体をタンデム配置した場合に、前記イエロー色のトナーの転写工程を、マゼンタ、シアン、ブラックとともに多重となる転写工程の最下流工程とすることを特徴とする。
【0028】
請求項6に係るカラートナー分離装置は、現像工程におけるトナー帯電極性とは逆極性にて感光体を一様帯電する手段と、転写工程通過後の感光体上に付着しているトナーの全てもしくは一部を、同感光体の顕像化を行う現像装置に供給する手段と、該現像装置によって積層しない状態にて薄層のトナー層を形成するための手段と、該トナー層に対して、該現像装置が担うプロセスカラートナーのみが強い吸収を有する波長の光を照射する手段と、直後の転写工程において該現像装置が担うプロセスカラートナー以外の残混色トナーのみを感光体から静電転写して除去する手段とを有することを特徴とする。
【0029】
請求項7に係るプロセスカートリッジは、少なくとも感光体及び/又は現像装置と一体にしてなることを特徴とする。
【0030】
同請求項8に係る画像形成装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載のカラートナー分離方法を用いることを特徴とする。
【0031】
請求項9に係る画像形成装置は、請求項6に記載のカラートナー分離装置を用いることを特徴とする。
【0032】
請求項10に係る画像形成装置は、請求項7に記載のプロセスカートリッジを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、これまで廃棄されてきた混色トナーを安価な方法により分離回収し再利用する事で、トナーの有効使用率を高め、ランニングコストの低減と廃棄物の低減を達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。
【0035】
まず図2及び図3に基づき、混色トナーから特定色を抽出する原理について説明する。
【0036】
図4は使用するカラートナーの分光吸収率の例であり、イエロー、マゼンタ、及びシアンのトナーは、一般にそれぞれ青、緑、及び赤の波長域に強い吸収を有し、ブラックのトナーは可視光域全域並びに近赤外の領域に渡り強い吸収を有していることを示す。
【0037】
図3はこれら4色の混合トナーからブラックトナーを抽出する本発明の工程概念である。まず、図示されない放電機構等を有する帯電手段により、図5(a)の様に感光体の表面を一様に帯電する。ここでは正電荷によって帯電した例を示すが、負電荷によって帯電しても構わない。ここに、図5(b)の様に、感光体の帯電極性とは逆極性の電荷、すなわち負電荷(感光体を負電荷で帯電した場合は正電荷)で帯電した混色トナー粒子を薄層形成する。このとき、混色トナー粒子の配列はランダムでも疎でも良いが、トナー粒子が積層してしまわない様に(すなわち、全ての混色トナー粒子が感光体に接触している様に)する必要がある。次に、図5(c)の様に、混色トナー層越しに、4色のトナー粒子のうちブラックトナー粒子のみが吸収を有する波長の光、すなわちここでは近赤外線の光を一様に照射する。すると、照射光は、ブラック以外のカラートナー粒子が付着している領域並びに混色トナー粒子が付着していない領域の感光体に到達し、結果として図5(d)のように、ブラックトナー粒子が付着している領域以外の領域の感光体表面電荷が消滅する。負電荷を有したブラックトナー粒子は正電荷が残留した感光体表面と強い力で束縛されるために、感光体への付着力が他のカラートナー粒子よりも大きい。そしてさらに、除電された感光体領域の表面電位よりも絶対値の高いバイアス電位が印加された転写体が近接させると、ブラック以外のカラートナー粒子が転写体に引かれる静電気力は、ブラックトナー粒子のそれよりも十分に大きい。これら結果として、感光体上にはブラックトナー粒子のみが残留し、それ以外のカラートナーは転写体に転移させる事ができる。
【0038】
この様にして、4色の混色トナーから、ブラックトナーのみを抽出する事ができる。図示しないが、ブラックトナーが除去された残りの混色トナーに対して、赤、緑、もしくは青の光を照射するトナー抽出工程を経ることで、それぞれ、シアン、マゼンタ、もしくはイエローのトナー粒子を感光体上に抽出する事ができ、さらに残った二色の混色トナーに対しても同様の工程を経る事で、4色全てのトナー粒子を個別の感光体上に抽出することが可能である。
【実施例1】
【0039】
以下に、図6に基づいて本発明の実施例を説明する。
この図6のフルカラーエンジンの構成は基本的には図3に示したものと同じであるが、混色トナーを分離する機能を付与するために、ブラック画像用感光体(感光体K)、シアン画像用感光体(感光体C)、及びマゼンタ画像用感光体(感光体M)の現像工程と転写工程との間に、それぞれ近赤外、赤、及び緑の光を照射することのできる光照射手段が設けられている。これら光照射手段は、静電潜像を露光するためのものではなく感光体を一様に照射する機能だけを持てば良いため、非常に小型シンプル且つ安価に構成することができる。ここでは、各発光波長のLED光源を利用した。ちなみに、これら光照射手段は通常のトナー画像作像時には使用せず、トナー画像部とは異なる領域(プリント動作中でないマシンスタンバイ時や連続プリント時の画像と画像との間など)にて混色トナーを分離するモードになった場合に作動する。
【0040】
4つの感光体(感光体K〜感光体Y)は全て同一であり、ここでは例えば特許文献2に記載されたような単層型正帯電感光体を使用すればよい。上述した原理説明からも分かるように、感光体はトナー粒子1個分のサイズにて高い潜像解像度を有している必要があるため、露光による電荷生成が感光体表面近傍で行われる単層型の感光体を使用することが好適である。単層型ではなく、電荷生成層が感光体表面近傍にあり、電荷輸送層が感光体の深層にあるような感光体でも好適である。(一般的に使用されている感光体は、電荷生成層が深層にあり、電荷輸送層が表層にあるため、トナー粒子の遮光による静電潜像コントラストは概して得難いが適用する事は可能である。)
【0041】
通常の作像モードである程度のプリント動作が行われると、クリーナYにはイエロートナーが、クリーナMにはマゼンタトナーとイエロートナーの混色トナーが、クリーナCにはシアントナーとマゼンタトナーとイエロートナーの混色トナーが、クリーナKには4色全部の混色トナーが回収される。
【0042】
トナー分離モードにおいては、まず二次転写ローラと中間転写クリーナが離間される。そしてクリーナKの混色トナーが図示されないパス1のトナー搬送路を経由して適量ずつ現像器Kに供給する。現像器内で適当に負電荷で帯電された混色トナーは、現像工程を介して一様に正帯電された感光体上に薄層形成する。この時、感光体や現像ローラの回転速度、並びに感光体の帯電電位と現像ローラへの印加電位などの関係を適宜設定する事により、感光体上に形成される混色トナー層は一層以下とする。パス2の過程で、近赤外光が一様に照射され、図3に基づいた原理によりブラックトナー粒子の存在領域以外の感光体表面が除電される。引き続く転写工程においては、転写ベルト側に感光体の初期帯電電位よりも若干低めのバイアス電位を印加する事により、ブラックトナー以外の混色トナー(以下、残混色トナー)は転写ベルトに転移し、ブラックトナーは感光体に残留する。
【0043】
残留したブラックトナーは、パス3を介してクリーナKで回収され、改めてパス1を経由して現像器Kに搬送され、次回の作像モードに備える。残混色トナーは、中間転写ベルトを介してパス4の様に、一つ上流側の感光体CのクリーナCに回収される。パス4においては、残混色トナーが感光体Y及び感光体Mに転移しないよう、また感光体Cには転移するよう、それぞれの感光体電位及び転写部バイアスを設定しておく。以下、クリーナCにおける混色トナーの分離(ここでのマゼンタトナーとイエロートナーからなる残混色トナーはクリーナMへ)、クリーナMにおける混色トナーの分離を順次実施する事で各感光体クリーナにおける混色トナーは分離された状態で各色の現像器に戻される。
【0044】
また、中間転写ベルトクリーナにおける4色の混色トナーは、予めクリーナKに搬送しておく事で上記工程を経ることで各色の現像器に戻される。但し、中間転写ベルトクリーナにおける混色トナーにおいては、紙粉等のトナー成分以外の不純物が混入しているために、ここでは記載しないが別途不純物除去手段などが必要となる場合もある。
【0045】
本発明によれば、作像エンジン構成そのものを最大限に利用しつつ、混色したトナーから特定色のみを抽出する事が可能となる。また、複数の感光体のうちのある感光体の静電転写工程で排除された残混色トナーを、混色成分が同一である一つ上流側の感光体の混色トナーに混合できるため、この上流側感光体においてさらに特定プロセスカラートナーのみを抽出することができる。また、このプロセスを全ての感光体に対して順次適用することで、全ての混色トナーを各色に分離することができる。
【0046】
また本発明によれば、残混色トナーを搬送するための新たな機構が不必要となるため、シンプルなメカ構成によるカラートナー分離が実現する。そして、ブラックトナー(光吸収波長域が非常にブロード)を含む混色トナーがブラックのステーションにしか混入しないために、その他カラーのステーションにおいてそれぞれのプロセスカラーの分離が可能となる。例えば、イエロー→マゼンタ→ブラック→シアンの転写順にしてしまうと、最終段のシアンステーションにおいて、シアントナーの補色光であるレッド光を混色トナー層に照射したとしても、シアントナーだけでなく逆転写混入しているブラックトナーでも光吸収されてしまうため、シアントナーのみの分離が不可能である。ブラックの転写順をさらに上流側にした場合も同様である。また、カラー現像器にブラックトナーが混入しないため、色味の変動を最低限に抑制できる。
【0047】
しかも本発明によれば、他色の混色による色味変化の大きいイエローに対して、原理的に他色トナーは混入しない。また、作像エンジン構成そのものを最大限に利用しつつ、混色したトナーから特定色のみを抽出する装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】4連タンデム方式の画像形成装置の一例としての複合機を示す全体構成図
【図2】作像部を示す拡大図
【図3】フルカラーエンジンの要部を示す概略図
【図4】カラートナーの分光吸収率の例を示す図
【図5】現像時の感光体表面電荷の変化例を示す図
【図6】本発明の実施形態のフルカラーエンジンの要部を示す図3相当の概略図
【符号の説明】
【0049】
1:感光体ドラム
2:クリーニング部
2a:クリーニングブレード
4:帯電部
5:現像装置
6:作像部
7:露光装置
8:中間転写ベルト
9:第1転写バイアスローラ
10:中間転写ユニット
26:給紙部
27:給紙ローラ
28:レジストローラ対
29:排紙ローラ対
30:スタック部
31:トナー容器収容部
32:読取部
51:現像ローラ
52:ドクターブレード
53、54:現像剤収容部
55:搬送スクリュ
56:濃度検知センサ
100:画像形成装置本体
L:レーザ光
P:被転写材
G:2成分現像剤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写工程通過後の感光体上に付着しているトナーの全てもしくは一部を、現像装置に供給するカラー電子写真プロセスにおいて用いるカラートナー分離方法であって、
前記現像装置での現像工程におけるトナー帯電極性とは逆極性にて一様に帯電した前記感光体上に、前記現像装置によって一層のトナー層を形成し、
該トナー層に対して、前記現像装置が担持するプロセスカラートナーのみが強い吸収を有する波長の光を照射し、その直後の転写工程において主に前記プロセスカラートナー以外の残混色トナーのみを前記感光体から静電転写して除去することを特徴とするカラートナー分離方法。
【請求項2】
請求項1記載のカラートナー分離方法において、一以上の感光体が存する場合に、ある感光体から静電転写して除去した混色トナーを、該感光体の一つ上流の転写工程に位置する感光体に供給することを特徴とするカラートナー分離方法。
【請求項3】
請求項2記載のカラートナー分離方法において、前記ある感光体から静電転写工程により排除された残混色トナーを一つ上流の前記感光体への搬送を、転写ベルトを介して行うことを特徴とするカラートナー分離方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のカラートナー分離方法において、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像を形成する4つの感光体をタンデム配置した場合に、前記ブラック色のトナーの転写工程を、イエロー、マゼンタ、シアンとともに多重となる転写工程の最下流工程とすることを特徴とするカラートナー分離方法。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれかに記載のカラートナー分離方法において、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックのトナー像を形成する4つの感光体をタンデム配置した場合に、前記イエロー色のトナーの転写工程を、マゼンタ、シアン、ブラックとともに多重となる転写工程の最下流工程とすることを特徴とするカラートナー分離方法。
【請求項6】
現像工程におけるトナー帯電極性とは逆極性にて感光体を一様帯電する手段と、
転写工程通過後の感光体上に付着しているトナーの全てもしくは一部を、同感光体の顕像化を行う現像装置に供給する手段と、
該現像装置によって積層しない状態にて薄層のトナー層を形成するための手段と、
該トナー層に対して、該現像装置が担うプロセスカラートナーのみが強い吸収を有する波長の光を照射する手段と、
直後の転写工程において該現像装置が担うプロセスカラートナー以外の残混色トナーのみを感光体から静電転写して除去する手段とを有することを特徴とするカラートナー分離装置。
【請求項7】
少なくとも感光体及び/又は現像装置と一体にしてなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかに記載のカラートナー分離方法を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項6に記載のカラートナー分離装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項7に記載のプロセスカートリッジを用いることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−223027(P2009−223027A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67901(P2008−67901)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】