説明

カラーフィルタおよび有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ装置

【課題】高い色純度を確保しつつ高透過率化を可能とし、かつ染料および/または顔料の退色を効果的に防止できるカラーフィルタおよび該カラーフィルタを用いたディスプレイ装置の提供。
【解決手段】カラーフィルタは、基材と、前記基材上に形成された、色材として染料および/または顔料を含む着色層と、前記基材の、前記着色層と反対側の面に形成された、紫外線遮断層とを含んでなり、前記紫外線遮断層の透過率50%の波長が405nmよりも短波長側にあり、かつ透過率90%の波長と透過率10%の波長との波長間距離が80nm以内である。また、ディスプレイ装置は、前記カラーフィルタを具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外および可視領域に遮断能を有する紫外線遮断層を含むカラーフィルタ、ならびに紫外および可視領域に遮断能を有する紫外線遮断層を含むカラーフィルタを具備した有機ELディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代型のディスプレイとして、エレクトロルミネッセンス(以下、「EL」ということがある)素子で構成されたELディスプレイが期待されている。EL素子には無機EL素子と有機EL素子とがあり、いずれのEL素子も自己発光性であるために視認性が高く、また完全固体素子であるために耐衝撃性に優れるとともに取り扱いが容易であるという利点がある。このため、グラフィックディスプレイの画素やテレビ画像表示装置の画素、あるいは面光源等としての研究開発及び実用化が進められている。
【0003】
有機EL素子は、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層とトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層、又は、発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層、又は、正孔注入層と発光層と電子注入層、のいずれかの積層形態を2つの電極(発光面側の電極は透明電極になる。)間に介在させてなる構造体である。こうした有機EL素子は、発光層に注入された電子と正孔とが再結合するときに生じる発光を利用するものである。このため、有機EL素子は、発光層の厚さを薄くすることにより、例えば4.5Vという低電圧での駆動が可能で応答も速いといった利点や、輝度が注入電流に比例するために高輝度のEL素子を得ることができるといった利点等を有している。また、発光層とする蛍光性の有機固体の種類を変えることにより、青、緑、黄、赤の可視域すべての色で発光が得られている。有機EL素子は、このような利点、特に低電圧での駆動が可能であるという利点を有していることから、現在、実用化のための研究が進められている。そして、携帯電話の表示部分等、製作上での難易度が比較的低い小型のディスプレイでは、一部実用化がなされている。
【0004】
有機EL素子におけるカラー表示の方式としては、(1)青色、赤色、緑色等の各色の発光材料を成膜する3色塗り分け方式、(2)青色発光する発光層と、青→緑及び青→赤にそれぞれ色変換する色変換層(CCM層)とを組合せて3色を発色させるCCM方式、(3)白色発光する発光層と、青色、赤色、緑色等のカラーフィルタとを組み合わせる方式等が挙げられる。このうち、発光効率の点からは、(1)の3色塗り分け方式が最も有力であり、携帯電話、携帯情報端末(PDA)等に実用化されている。またさらに高精細化の観点からは、蛍光体の塗り分けが不要である、(3)の白色OLED+カラーフィルタの組み合わせが有望である。いずれの方式を選択するかは、ディスプレイが組み込まれる装置の性質によって決定される。
【0005】
これら有機EL素子においては、電極が金属系材料からなること、発光体自身が透明であること等から、周囲が明るい環境での使用を想定した場合、外光反射により表示コントラストが著しく低下するといった問題があった。そのため、A.有機EL素子の外光入射側に円偏光板を貼付する、B.カラーフィルタを適用する、C.無彩色もしくは無彩色に近い色目で着色する(所謂ティント処理を施す)、といった種々の対策が単独で、もしくは組み合わせてとられるのが普通である。
【0006】
ここで、Aの円偏光板を貼付する場合は、原理的に外光反射が完全に(外光の入射角度にもよるが)抑えられるものの、有機EL素子からの発光もその半分以上が円偏光板により吸収され、必ずしも効率が良いとは言えないものであった。一方、Bのカラーフィルタを適用した場合は、円偏光板を用いた場合に比較して外光反射の抑止効果が劣るものの、有機EL素子からの発光色の色目調整が可能となるといった優れた効果を発揮する。有機EL素子の発光自体による色純度向上には限界があることから、カラーフィルタによる色目の調整は、非常に有効と言える。勿論白色ELのカラー化には、カラーフィルタが必須となることは言うまでもない。カラーフィルタによる外光反射の抑制は、表示に不要な波長成分を吸収することにより、達成されている。すなわち、OLEDの発光が無い、もしくはほとんど無い波長領域については、完全に遮光することがコントラスト向上の点から好ましい。
【0007】
ところで、有機EL素子の寿命は、電流値によって決定される発光輝度により変化する。すなわち、電流値を高めることにより高輝度が可能となるが、同時に素子の寿命が縮まることになる。従って、光が発光体から出射された後は、周辺部材による光吸収をなるべく低く抑えることが電流値を抑制し、ひいては長寿命化につながることとなる。特に青色の発光体は組み合わせる緑色および赤色の発光体に比較して寿命が短く、ディプレイとしての寿命を左右している。
【0008】
上記に鑑み、特に青色での発光を減衰しないようなパネル構成が、有機EL自体の長寿命化にとって重要となる。そのため、青色発光素子と組み合わせる、青色画素におけるカラーフィルタの透過率は、長寿命化の点からまだまだ向上させる必要がある。
【0009】
ここで、カラーフィルタの透過率は、着色層に用いられる色材の性能に大きく左右される。そのため、現在までに種々の色材、特に顔料について幅広い研究がなされてきた(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、青色画素については、現在使用可能な顔料系で最も透過率に優れる顔料を適用しても、十分な透過率が確保できているとは言えないものである。
【0010】
また、有機ELディスプレイ用途においては、構造上、色材の耐光性が要求されるといった問題がある。そこで、耐光性向上のために、ディスプレイ装置の表示面側には、紫外線防止層としての紫外線カットフィルムを積層することが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。例えば、有機ELディスプレイにおいては、表示側に反射防止機能を有する、アンチリフレクションフィルム(ARフィルム)を積層する手法が一般的に採用されている。ARフィルムにはベースとしてのTACフィルムに、紫外線吸収剤が添加されている。通常、TACフィルムに添加される紫外線吸収剤はディスプレイの表示特性に悪影響を与えないよう、可視光領域においては吸収を示さないか、示したとしても極僅かに押さえられている(例えば、特許文献3を参照)。他にも、紫外線吸収能を有する保護フィルムを用いることは提案されているが、保護フィルムの吸収波長は長波長側に位置しており黄色味がかることがある(例えば、特許文献4を参照)。また、色材自体の耐光性を向上させるために、レーキ顔料を用いることも提案されているが、耐光性試験の条件設定・評価が不十分であり、実用可能な耐光性が得られているとは言い難い(例えば、特許文献5を参照)。したがって、依然として、高い色純度を確保しつつ、高透過率化を可能とし、耐光性に優れるカラーフィルタが切望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−85592号公報
【特許文献2】特開2005−222915号公報
【特許文献3】特開2005−43400号公報
【特許文献4】特開2007−234301号公報
【特許文献5】特開2001−81348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、カラーフィルタの耐光性を向上させながら、高い色純度を確保しつつ、高透過率化を可能とするカラーフィルタを提供することにある。また、本発明の目的は、カラーフィルタの透過率を向上させ、青色画素に関して十分な性能を実現できるディスプレイ装置および有機ELディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、紫外線遮断層の透過率50%の波長、および透過率90%の波長と透過率10%の波長との波長間距離を特定の範囲内に調節することにより上記課題を解決できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、
基材と、
前記基材上に形成された、色材として染料および/または顔料を含む着色層と、
前記基材の、前記着色層と反対側の面に形成された、紫外線遮断層と
を含んでなり、
前記紫外線遮断層の透過率50%の波長が、405nmよりも短波長側にあり、かつ透過率90%の波長と透過率10%の波長との波長間距離が80nm以内である、カラーフィルタを提供するものである。
【0015】
また、他の態様によれば、本発明は、
カラーフィルタを具備してなるディスプレイ装置であって、
前記カラーフィルタが、基材と、前記基材上に形成された、色材として染料および/または顔料を含む着色層と、前記基材の、前記着色層と反対側の面に形成された、紫外線遮断層とを含んでなり、
前記紫外線遮断層の透過率50%の波長が、405nmよりも短波長側にあり、かつ透過率90%の波長と透過率10%の波長との波長間距離が80nm以内である、ディスプレイ装置を提供するものである。
【0016】
また、他の態様によれば、本発明は、
青色、赤色、および緑色の3色の発光体を含む発光素子を有し、カラーフィルタを具備してなる有機ELディスプレイであって、
前記カラーフィルタが、基材と、前記基材上に形成された、色材として染料および/または顔料を含む着色層と、前記基材の、前記着色層と反対側の面に形成された、紫外線遮断層とを含んでなり、
前記紫外線遮断層の透過率50%の波長が、405nmよりも短波長側にあり、かつ透過率90%の波長と透過率10%の波長との波長間距離が80nm以内である、有機ELディスプレイを提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカラーフィルタによれば、高い色純度を確保しつつ高透過率化を可能とし、さらに色材の退色を効果的に防止することができる。また、本発明のディスプレイ装置および有機ELディスプレイによれば、カラーフィルタの透過率が高いため、青色発光をより効率的に利用することができ、青色画素に関して十分な性能を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のカラーフィルタを具備するディスプレイ装置の典型的な断面図である。
【図2】実施例および比較例の透過分光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
カラーフィルタ
本発明によるカラーフィルタは、基材と、前記基材上に形成された、色材として染料および/または顔料を含む着色層と、前記基材の、前記着色層と反対側の面に形成された、紫外線遮断層とを含んでなり、前記紫外線遮断層の透過率50%の波長が、405nmよりも短波長側にあり、かつ透過率90%の波長と透過率10%の波長との波長間距離(以下、単に「波長間距離」ということがある)が80nm以内である、ものである。好ましい態様によれば、前記紫外線遮断層の透過率50%の波長は、好ましくは370nm以上であり、より好ましくは380nm以上であり、波長間距離は、好ましくは0nm超過60nm以下であり、より好ましくは0nm超過50nm以下である。紫外線遮断層の透過率50%の波長が、405nm以下であり、かつ波長間距離が80nm以内であれば、紫外線を遮断することによるカラーフィルタの耐光性向上と、紫外線遮断層に起因するカラーフィルタの色純度低下とを防ぐことができる。本発明の好ましい態様によれば、基材は光出射側にあるため、光透過性の高い透明基材が用いられる。例えば、ガラス、石英、または各種の樹脂等の光透過性の高い材料からなる透明基材が挙げられる。
【0020】
本発明においては、カラーフィルタに紫外線遮断層を付与し、前記紫外線遮断層として、透過率50%の波長が405nmよりも短波長側にあり、かつ、波長間距離を80nm以内にすることにより、分光カーブ傾斜が急峻であるため、可視領域の透過率低下を抑制できると同時に、紫外線を十分にカットすることが可能となる。さらに、着色層にレーキ顔料および/または染料を用いることにより、従来の顔料系のカラーフィルタと比較し、その透過率を高くすることが出来る。従来は耐光性が不十分との理由で使用できない材料であったが、上記紫外線遮断層と併用することで、実用に耐えうる耐光性が得られる
【0021】
本発明の好ましい態様によれば、着色層は、好ましくは各色の着色層を含むものであり、例えば、青色着色層、赤色着色層、および緑色着色層を含むものである。本発明の好ましい態様によれば、青色着色層は、色材として、染料を含むことが好ましく、メチン系染料、アントラキノン系染料、アゾ系染料、含金属アゾ系染料、トリアリールメタン系染料、およびフタロシアニン系染料からなる群から選択される少なくとも1種の染料を含むことがより好ましい。このような染料によれば、カラーフィルタの青色画素に関して高い色純度を確保しつつ高い透過率を実現することができる。本発明においては、市販の染料を用いることもでき、例えば、Basonyl Blue636(BASF社製のトリアリールメタン系染料)およびBasacid Blue750(BASF社製のフタロシアニン系染料)を用いることが好ましい。好ましい態様では、染料の含有量は、色材含有フォトレジストの全量に対して5〜40質量%である。
【0022】
本発明の好ましい態様によれば、青色着色層は、色材として、顔料を含むことが好ましく、レーキ顔料を含むことがより好ましい。例えば、青色を呈する顔料として、C.I.ピグメントブルー25(ジアニシジンブルー等)の如きジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー15(フタロシアニンブルー等)の如きフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントブルー60(インダントロンブルー等)の如きアントラキノン系顔料、およびC.I.ピグメントブルー18(アルカリブルーV−5:1)の如きアルカリブルー顔料、更にレーキ顔料として、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー11、C.I.ピグメントブルー12、C.I.ピグメントブルー14、およびC.I.ピグメントブルー24等が挙げられる。このような顔料によれば、カラーフィルタの青色画素に関して高い色純度を確保しつつ高い透過率および耐光性を実現することができる。
【0023】
本発明の好ましい態様によれば、青色着色層は、色材として、コンプレックスアシッドでレーキ化した顔料を含むことがさらに好ましい。コンプレックスアシッドとしては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステン・モリブデン酸等を挙げることができる。上記の顔料の中で、コンプレックスアシッドを沈澱剤とし、分子中に対イオンとして存在する、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10、C.I.ピグメントブルー11、C.I.ピグメントブルー12、C.I.ピグメントブルー14等が耐光性の点で好ましく、燐タングステン・モリブデン酸でレーキしたC.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー2、C.I.ピグメントブルー3、C.I.ピグメントブルー9、C.I.ピグメントブルー10が特に好ましい。このようなコンプレックスアシッドでレーキした顔料を用いることで、耐光性をより向上させることができる。好ましい態様では、顔料の含有量は、顔料フォトレジストの全量に対して5〜40質量%である。
【0024】
本発明の好ましい態様によれば、赤色着色層または緑色着色層は、色材として顔料および/または染料を含むことが好ましい。例えば、赤色を呈する顔料として、C.I.ピグメントレッド3(トルイジンレッド等)の如きモノアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド38(ピラゾロンレッドB等)の如きジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1(レーキレッドC等)やC.I.ピグメントレッド57:1(ブリリアントカーミン6B)の如きアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド144(縮合アゾレッドBR等)の如き縮合アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド174(フロキシンBレーキ等)の如き酸性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド81(ローダミン6G’レーキ等)の如き塩基性染料レーキ顔料、C.I.ピグメントレッド177(ジアントラキノニルレッド等)の如きアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド88(チオインジゴボルドー等)の如きチオインジゴ顔料、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド等)の如きペリノン顔料、C.I.ピグメントレッド149(ペリレンスカーレット等)の如きペリレン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(無置換キナクリドン)、C.I.ピグメントレッド122(キナクリドンマゼンタ等)の如きキナクリドン顔料、C.I.ピグメントレッド180(イソインドリノンレッド2BLT等)の如きイソインドリノン顔料、およびC.I.ピグメントレッド83(マダーレーキ等)の如きアリザリンレーキ顔料等が挙げられる。また、緑色を呈する顔料として、C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)、C.I.ピグメントグリーン36(フタロシアニングリーン)の如きフタロシアニン顔料、およびC.I.ピグメントグリーン8(ニトロソグリーン)等の如きアゾ金属錯体顔料等が挙げられる。さらに、染料として、酸性染料、直接染料、分散染料、油溶性染料、含金属油溶性染料、および昇華性色素等の有機染料を挙げることができる。具体的には、例えば、アゾ系、アントラキノン系、ベンゾジフラン系、および縮合メチン系等が挙げられる。このような赤色または緑色着色層においては、染料を含むことでカラーフィルタのより高い透過性が得られ、顔料を含むことでより高い耐光性および耐熱性が得られる。
【0025】
本発明の好ましい態様によれば、紫外線遮断層が、紫外線防止フィルムから形成されてなることが好ましい。本発明においては、市販の紫外線防止フィルムを用いることもでき、例えば、TACフィルムとしては、コニカミノルタ社製のKC4UX2M、および富士フィルム社製のフジタックなどが挙げられる。UVカットフィルムとしては、富士フィルム社製のUVガード、リンテック社製のルミクール1501などが挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、チバ・ジャパン社Tinuvinシリーズなどを使用できる。このような紫外線防止フィルムによれば、表示面からの紫外線の入射を遮断することができるので、カラーフィルタに含まれる色材(顔料および/または染料)の退色をより効果的に防止することができる。なお、紫外線遮断層がフィルム型である場合には、基材と紫外線遮断層の間に、接着層をさらに含むことが好ましい。接着層は、紫外線硬化型のアクリル樹脂系接着剤、二液架橋型のアクリル樹脂系接着剤、および熱硬化型のエポキシ樹脂系接着剤等の接着層形成材料を用いて形成することができる。
【0026】
本発明の好ましい態様によれば、赤色、緑色、および青色を含む微細にパターニングされた画素からなり、青色画素が上記のカラーフィルタによって構成される、ディスプレイ装置用カラーフィルタが好ましい。
【0027】
カラーフィルタの製造方法
本発明によるカラーフィルタの製造方法は特に限定されないが、以下に示される好ましい態様に従い行うことができる。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、まず、基材上に色材(染料および/または顔料)含有フォトレジストを塗布し、減圧乾燥後、プリベークして、溶剤を除去する。色材含有フォトレジストの塗布には、従来公知の方法を用いることでき、例えばスピンコート法、印刷法、インクジェット法、バーコート法、スプレー法、ダイコート法、ビードコート法、およびスリット&スピンコート法等が挙げられる。いずれの手法であっても、均一な塗膜を得るため、塗布液が一定の粘度になるように、溶剤によって希釈/粘度調整してもよい。続いて、紫外線を露光して、色材含有フォトレジストを硬化させる。パターニングを行う際は、フォトマスクを介してパターン露光し、引き続いて0.05〜0.5%KOH水溶液を用いたスプレー現像を行う。さらに、焼成することで着色層を基材上に形成させることができる。なお、プリベークは70〜120℃、1〜10分間の条件で行うことが好ましく、紫外線の露光は254〜360nmの発光ピークを有する紫外線により30〜3000mJ/cmの露光量で行うことが好ましい。また、上記の色材含有フォトレジストは、染料および/または顔料と、モノマーと、ポリマーと、溶剤と、所望により界面活性剤、光重合開始剤、顔料誘導体、および分散剤等の少なくとも1種とを含むことができる。
【0028】
上記のモノマーとしては、例えば、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチル化トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、および、上記のアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、3−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、フェノール−エチレンオキサイド変性アクリレート、フェノール−プロピレンオキサイド変性アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ビスフェノールA−エチレンオキサイド変性ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサド変性トリアクリレート、イソシアヌール酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等のアクリレートモノマー、および、これらのアクリレート基をメタクリレート基に置換したもの、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたポリエステルアクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにアクリレート基を結合させたエポキシアクリレートオリゴマー、ポリウレタン構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたウレタンメタクリレートオリゴマー、ポリエステル構造を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたポリエステルメタクリレートオリゴマー、エポキシ基を有するオリゴマーにメタクリレート基を結合させたエポキシメタクリレートオリゴマー、アクリレート基を有するポリウレタンアクリレート、アクリレート基を有するポリエステルアクリレート、アクリレート基を有するエポキシアクリレート樹脂、メタクリレート基を有するポリウレタンメタクリレート、メタクリレート基を有するポリエステルメタクリレート、ならびにメタクリレート基を有するエポキシメタクリレート樹脂等が挙げられる。本発明においては、市販のモノマーを用いることもでき、例えば、SR399(サートマー(株)製)が好ましい。好ましい態様では、モノマーの含有量は、色材含有フォトレジストの全量に対して2.0〜10.0質量%である。
【0029】
上記のポリマーとしては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートの1種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体(例えば、東亜合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、ならびにこれらの酸無水物等が挙げられる。好ましい態様では、ポリマーの含有量は色材含有フォトレジストの全量に対して2.0〜5.0質量%であり、ポリマーとしては、ベンジルメタクリレート、スチレン、アクリル酸、および2−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる共重合体に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを加えたものが用いられる。なお、好ましくは、該共重合体の各成分のモル比は、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=10〜20:30〜40:25〜35:10〜20であり、該共重合体100モルに対して2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートは10〜20モル加えられる。
【0030】
上記の溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、およびテトラリン等の炭化水素類、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、およびジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、および2,4−ペンタンジオン等のケトン類、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、およびγ−ブチロラクトン等のエステル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、およびジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、およびオルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒、t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、およびブチルセルソルブ等のアルコール類、ならびにフェノールおよびパラクロロフェノール等のフェノール類からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。好ましい態様では、溶剤の含有量は、色材含有フォトレジストの全量に対して50〜90質量%である。また、単一種の溶媒を使用しただけでは、フォトレジスト組成物の溶解性が不充分である場合、あるいはフォトレジストを塗布する際における塗布の相手方となる素材(基材を構成する素材)が侵されるおそれがある場合等には、2種以上の溶媒を混合使用することによりこれらの不利益を回避することができる。
【0031】
上記の界面活性剤としては、例えば、フッソ系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、およびアニオン系界面活性剤等が挙げられる。好ましい態様では、界面活性剤の含有量は、色材含有フォトレジストの全量に対して0.03〜3.0質量%である。
【0032】
上記の光重合開始剤としては、ラジカル重合性開始剤を用いることができる。ラジカル重合性開始剤は、紫外線等のエネルギーによりフリーラジカルを発生するものであり、例えば、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。本発明においては、市販の光重合開始剤を用いることもでき、例えば、イルガキュア184、イルガキュア369、イルガキュア651、イルガキュア907(いずれも、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)、ダロキュアー(メルク社製)、アデカ1717(旭電化工業株式会社製)等のケトン系化合物、および2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’ビイミダゾール(黒金化成株式会社製)等のビイミダゾール系化合物が好ましい。好ましい態様では、光重合開始剤の含有量は、色材含有フォトレジストの全量に対して1.0〜5.0質量%である。
【0033】
上記の顔料誘導体としては、例えば、顔料骨格にスルホン酸基、スルホン酸アミド基、カルボン酸基、アミド基、およびイミド基等を持つものが挙げられる。なお、顔料誘導体とは、顔料の分散性を高める効果を有するものである。本発明においては、市販の顔料誘導体を用いることもでき、例えば、ソルスパース12000(ゼネカ(株)製)、ソルスパース5000(アビシア社製)、およびソルスパース22000(アビシア社製 )が好ましい。好ましい態様では、顔料誘導体の含有量は、色材含有フォトレジストの全量に対して0.05〜10質量%である。
【0034】
上記の分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、およびポリマー系等の分散剤が挙げられる。本発明においては、市販の分散剤を用いることもでき、例えば、ソルスパース24000(ゼネカ(株)製)、ソルスパース20000(ゼネカ(株)製)、およびDisperbyk−160(ビックケミー・ジャパン(株)製)が好ましい。好ましい態様では、分散剤の含有量は、色材含有フォトレジストの全量に対して0.1〜50質量%である。これらの分散剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0035】
ディスプレイ装置
本発明によるディスプレイ装置は、基材と、前記基材上に形成された、色材として染料および/または顔料を含む着色層と、前記基材の、前記着色層と反対側の面に形成された、紫外線遮断層とを含んでなり、前記紫外線遮断層の透過率50%の波長が、405nmよりも短波長側にあり、かつ透過率90%の波長と透過率10%の波長との波長間距離が80nm以内であるカラーフィルタを具備するものである。好ましい態様によれば、ディスプレイ装置は、有機ELディスプレイである。有機ELディスプレイは、青色、赤色、および緑色の3色の発光体を含む発光素子を有するものが好ましい。本発明の好ましい態様によれば、有機ELディスプレイは、カラーフィルタと有機EL発光体とを接着剤により接着させたものである。接着剤としては、上記の接着層形成材料を用いることができ、例えば、主剤(SKダイン2094、綜研化学社製)と硬化剤(E−AX、綜研化学社製)の二液混合型であるアクリル系接着剤を用いることができる。このような有機ELディスプレイによれば、OLED光源の青色発光ピーク波長でのカラーフィルタの透過率が高いため、青色発光をより効率的に利用することができ、青色画素に関して十分な性能を実現することができる。
【0036】
ここで、本発明のカラーフィルタを具備するディスプレイ装置の典型的な断面図を図1に示す。図1に示される有機ELディスプレイは、基材(1)上に青色着色層(2)、緑色着色層(3)、および赤色着色層(4)、ならびに各色間にブラックストライプ層(5)が所定のパターンで形成され、基材上の前記着色層と反対側の面に紫外線遮断層(12)が形成されてなるカラーフィルタ(6)と、青色発光体(7)、緑色発光体(8)、および赤色発光体(9)の3色の発光体を含む発光素子(10)とが、接着層(11)を介して積層されてなるものである。
【0037】
有機EL発光体の製造方法
有機EL発光体の製造方法は特に限定されないが、以下に示される好ましい態様に従い行うことができる。すなわち、基板上に、反射型陽極と、正孔注入層と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層とをこの順番にパターニングして青色発光層を製膜する。これを後2回繰り返し、緑色発光層および赤色発光層を製膜する。さらに、青色発光層、緑色発光層、および赤色発光層の上に半透明な陰極と、保護層とをこの順番にベタ製膜して積層し、有機EL発光体を製造することができる。
【0038】
上記の基板としては、スイッチング素子としてのTFTを有する無アルカリガラス基板を用いることができ、無アルカリガラス基板の厚さは、好ましくは0.5〜1.1mmである。上記の反射型陽極としては、ITO/Ag/ITOの積層構造からなる反射型陽極を用いることができ、好ましくは積層構造の各層の厚さがそれぞれ10〜150nmであり、好ましくは反射型電極の厚さは50〜300nmである。上記の正孔注入層としては、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン)(α−NPD)とMoOの共蒸着薄膜(MoOの体積濃度:20%)からなる正孔注入層を用いることができ、好ましくは正孔注入層の厚さは10〜400nmである。上記の正孔輸送層としては、α−NPDからなる正孔輸送層を用いることができ、好ましくは正孔輸送層の厚さは5〜200nmである。上記の発光層としては、ホスト材料として9,10−ジ−2−ナフチルアントラセン(DNA)、ゲスト材料として1−tert−ブチル―ペリレン(TBP)を用いてなる発光層を用いることができ、好ましくは、発光層の厚さは20〜60nmであり、さらにホスト材料とゲスト材料との配合割合が10:1〜100:1になるように調整することが好ましい。上記の電子輸送層としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq3)からなる電子輸送層を用いることができ、好ましくは電子輸送層の厚さは5〜200nmである。上記の電子注入層としては、LiFからなる電子注入層を用いることができ、好ましくは電子注入層の厚さは0.1〜1nmである。上記の半透明な陰極としては、MgAgからなる半透明な陰極を用いることができ、好ましくは半透明な陰極の厚さは1〜100nmである。上記の保護層としては、SiONからなる保護層を用いることができ、好ましくは保護層の厚さは50〜400nmである。
【実施例】
【0039】
以下に、実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定解釈されるものではない。
【0040】
以下の実施例および比較例においては、PETフィルム(有機EL素子の代用)とカラーフィルタとを積層一体化して、擬似パネル(有機ELディスプレイの代用)を製造した。続いて、製造した擬似パネルに対して耐光性試験を行った。
【0041】
実施例1
擬似パネルの製造
まず、以下の組成物を用いて青色パターン用顔料フォトレジストを調製した。
【0042】
青色パターン用顔料フォトレジスト
・青色顔料(BASF社製のレーキ顔料、ピグメントブルー1): 6.0質量部
・顔料誘導体(ゼネカ(株)製、ソルスパース12000): 0.6質量部
・分散剤(ゼネカ(株)製、ソルスパース24000): 2.4質量部
・モノマー(サートマー(株)製、SR399): 4.0質量部
・ポリマー: 5.0質量部
・光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア907): 1.4質量部
・光重合開始剤(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール): 0.6質量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート): 80.0質量部
なお、上記ポリマーは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モルに対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
【0043】
上記で調製した顔料フォトレジストを、基材であるガラス基板(コーニング社製、1737材)上にスピンコート法で塗布し、減圧乾燥後、80℃、5分間の条件でプリベークして溶剤を除去した。引き続き365nmの発光ピークを有する紫外線を、300mJ/cmの露光量でベタ露光して塗膜を硬化させた。さらに180℃のクリーンオーブン中で30分間焼成することにより、ガラス基板上に1.8μmの厚さで着色層を形成させて、カラーフィルタを得た。
【0044】
なお、顔料フォトレジストは、フォトマスクを介してパターン露光し、引き続いて0.1%KOH水溶液を用いたスプレー現像により、10μmオーダーでのパターニングが可能であった。これにより、カラーフィルタ用途として十分な解像性が確認できた。
【0045】
次に接着剤として、主剤(SKダイン2094、綜研化学社製)と硬化剤(E−AX、綜研化学社製)の二液混合型であるアクリル系接着剤を用意し、主剤100質量%に対し、硬化剤0.27質量%を添加し、更に30質量%の割合で希釈溶媒としてのメチルエチルケトンを加えた。調製した接着性組成物を、バーコーターを用いて、100μm厚のPETフィルム(型番:ルミラーU34、東レ社製)に塗布し、減圧乾燥により200Paまで減圧して溶剤成分を除去した。次にこのPETフィルムをカラーフィルタの着色層側に積層して接着し、実施例1の擬似パネルとした。
【0046】
紫外線防止フィルムとしてTACフィルム(富士フィルム社製 商品名:TF80UL)を1枚、0.7mm厚ガラスの着色層と反対側のガラス面に積層し、以下の評価に供した。なお、TACフィルムは耐光性試験時にのみ積層し、分光測定時には剥がして測定を行った。
【0047】
実施例2
紫外線防止フィルムとして、TACフィルムを2枚積層して使用した以外は、実施例1と同様にして耐光性試験に供した。
【0048】
実施例3
紫外線防止フィルムとして、TACフィルムを4枚積層して使用した以外は、実施例1と同様にして耐光性試験に供した。
【0049】
実施例4
青色パターン用顔料フォトレジストの代わりに、以下のように調整した染料フォトレジストを使用した以外は、実施例1と同様にして耐光性試験に供した。
青色パターン用染料フォトレジスト
・青色染料(BASF社製のトリアリールメタン系染料、Basonyl Blue636): 6.0質量部
・モノマー(サートマー(株)製、SR399): 4.0質量部
・ポリマー: 5.0質量部
・光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア907): 1.4質量部
・光重合開始剤(2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール): 0.6質量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート): 80.0質量部
なお、上記ポリマーは、ベンジルメタクリレート:スチレン:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=15.6:37.0:30.5:16.9(モル比)の共重合体100モルに対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを16.9モル付加したものであり、重量平均分子量は42500である。
【0050】
実施例5
紫外線防止フィルムとして、TACフィルムを2枚積層して使用した以外は、実施例4と同様にして耐光性試験に供した。
【0051】
実施例6
紫外線防止フィルムとして、TACフィルムを4枚積層して使用した以外は、実施例4と同様にして耐光性試験に供した。
【0052】
実施例7
青色顔料として、ピグメントブルー1の替わりにピグメントブルー11(BASF社製)を使用した以外は、実施例2と同様にして耐光性試験に供した。
【0053】
実施例8
青色顔料として、ピグメントブルー1の替わりにピグメントブルー14(BASF社製)を使用した以外は、実施例2と同様にして耐光性試験に供した。
【0054】
比較例1
紫外線防止フィルムとして、SONY製の有機ELテレビ(型番:XEL−1)から回収した紫外線遮断層(以下、「UV−1」ということがある)を使用した以外は、実施例1と同様にして耐光性試験に供した。
【0055】
比較例2
紫外線防止フィルムとして、TACフィルムを8枚積層して使用した以外は、実施例1と同様にして耐光性試験に供した。
【0056】
比較例3
紫外線防止フィルムとして、SONY製の有機ELテレビ(型番:XEL−1)から回収した紫外線遮断層(UV−1)を使用した以外は、実施例4と同様にして耐光性試験に供した。
比較例4
紫外線防止フィルムとして、TACフィルムを8枚積層して使用した以外は、実施例4と同様にして耐光性試験に供した。
【0057】
分光特性評価
まず、上記の実施例および比較例で用いた紫外線遮断層(紫外線防止フィルム)の透過分光スペクトルを測定した。紫外線遮断層の測定は、リファレンスを0.7mm厚のガラス(コーニング社製、1737)とし、自記分光光度計(型番:UV−3100PC、島津製作所(株)製)を用いて行った。透過分光スペクトルの測定結果を図2に示す
【0058】
耐光性試験
次に上記の実施例および比較例で製造した擬似パネルの耐光性試験を行った。耐光性試験として、キセノンアークランプを用いたキセノンフェードメーター(東洋精機社製、商品名:サンテストXLS+)により、有機ELパネルの紫外線防止フィルム側から310Wの出力で100時間連続照射して色度の評価を行った。試験光の照射は、実際の使用を想定して、ガラス面より行った。色差は、ΔE*ab色差色で評価した。色差は、まず紫外線防止フィルムの積層前に顕微分光測色機(オリンパス社製 型名:OSP−SP200)を用いて分光測定を行い、次に耐光性試験完了後に紫外線防止フィルムを剥がして再度分光測定を行うことにより、耐光性試験前後の色度から求めた値である。色差は、数値が小さいほど耐光性が高いことを示す。なお、色差評価の光源には標準の光Cを用いた。分光測定時のリファレンスには、実施例と同様の手順で、着色層の形成されていない0.7mm厚のガラス基板(コーニング社製、1737)と100μm厚のPETフィルム(型番:ルミラーU34、東レ社製)とを、主剤(SKダイン2094、綜研化学社製)と硬化剤(E−AX、綜研化学社製)の二液混合型であるアクリル系接着剤で貼り合わせたものを使用した。
【0059】
色差評価の結果は表1に示されるとおりであり、実施例1〜8の本発明の組成を満たすカラーフィルタを用いた擬似パネルでは、試験前後での色差の値が小さく、耐光性に優れることがわかる。比較例1および3では、波長間距離が大きいため、試験前後での色差の値が大きく耐光性に劣り、比較例2および4では、透過率50%波長が405nmよりも長波長側にあるため、紫外線遮断層が黄色味がかる問題があった。
【表1】

【符号の説明】
【0060】
1 基材
2 青色着色層
3 緑色着色層
4 赤色着色層
5 ブラックストライプ層
6 カラーフィルタ
7 青色発光体
8 緑色発光体
9 赤色発光体
10 発光素子
11 接着層
12 紫外線遮断層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に形成された、色材として染料および/または顔料を含む着色層と、
前記基材の、前記着色層と反対側の面に形成された、紫外線遮断層と
を含んでなり、
前記紫外線遮断層の透過率50%の波長が405nmよりも短波長側にあり、かつ透過率90%の波長と透過率10%の波長との波長間距離が80nm以内である、カラーフィルタ。
【請求項2】
前記紫外線遮断層の透過率50%の波長が370nm以上である、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
カラーフィルタを具備してなるディスプレイ装置であって、
前記カラーフィルタが、基材と、前記基材上に形成された、色材として染料および/または顔料を含む着色層と、前記基材の、前記着色層と反対側の面に形成された、紫外線遮断層とを含んでなり、
前記紫外線遮断層の透過率50%の波長が、405nmよりも短波長側にあり、かつ透過率90%の波長と透過率10%の波長との波長間距離が80nm以内である、ディスプレイ装置。
【請求項4】
青色、赤色、および緑色の3色の発光体を含む発光素子を有し、カラーフィルタを具備してなる有機ELディスプレイであって、
前記カラーフィルタが、基材と、前記基材上に形成された、色材として染料および/または顔料を含む着色層と、前記基材の、前記着色層と反対側の面に形成された、紫外線遮断層とを含んでなり、
前記紫外線遮断層の透過率50%の波長が、405nmよりも短波長側にあり、かつ透過率90%の波長と透過率10%の波長との波長間距離が80nm以内である、有機ELディスプレイ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−237566(P2010−237566A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87171(P2009−87171)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】