説明

カラーフィルター

【課題】有機EL表示素子の色純度の向上に適したカラーフィルターを提供する。
【解決手段】第1の有機EL表示素子用カラーフィルターcは、緑色画素領域4Gを備え、緑色画素領域4Gの光透過率が600〜650nmにわたって15%以下である。第2の有機EL表示素子用カラーフィルターcは、青色画素領域4Bを備え、青色画素領域4Bの光透過率が500nm〜550にわたって30%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機EL表示素子に用いるカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
フルカラーの有機EL表示素子を製造する方法として、以下の二種類の方法が知られている。
【0003】
第一の方法は、赤、緑、及び青色の各画素にそれぞれの色を発光する有機EL発光材料を微細なパターンに塗り分けて各色ごとの有機EL発光層を形成する方法である(例えば、特許文献1、2等参照)。この方法には、例えばフォトリソグラフィー法、マスク蒸着法、印刷法、インクジェット法等がある。
【0004】
まず、フォトリソグラフィー法は、処理温度が高温であったり、反応性の高い薬液処理が必要であったりするため、熱的ないし化学的に不安定な有機EL発光材料の加工には適さない。
【0005】
次に、マスク蒸着法は、蒸着用マスクを用いて低分子系の有機EL発光材料を真空蒸着してパターニングすることで各色の有機EL発光層を形成する方法であるが、大型で位置精度に優れた蒸着用マスクが作製できない問題がある。そのため、大画面、高精彩のパターン形成をすることができない。さらに各画素を構成する有機EL発光層の輝度や寿命等の特性が異なるため、使用時間に応じて色バランスが変化し、表示素子としての特性は最も特性の低い有機EL発光材料に制限されてしまう問題がある。
【0006】
これに対して、有機EL発光材料をインク化して印刷やインクジェットで塗り分けて有機EL発光層を形成する印刷法、特にインクジェット法は、高精彩のパターン形成をすることができる点で注目されており、特にインク化が容易な高分子有機EL用途において有効とされる。
【0007】
第二の方法は、白色の有機EL発光層からの白色光をカラーフィルターに入射させて赤、緑及び青の各色の発光を取り出す方法である(例えば、特許文献3、4参照)。この方法ではカラーフィルターにおいて信頼性・耐久性の面で優れた顔料を使用することが可能であることから、色バランスが変化することのない長寿命の有機EL表示素子を製造することが可能となる。また、顔料に代えて、例えば青色の光を吸収し緑色や赤色の光を発光する蛍光物質を含むパターンをカラーフィルターに形成することも可能である。さらに、このようなカラーフィルターを用いる方法では液晶表示素子のカラーフィルター製造技術を転用することができ、大面積、高精彩の有機EL表示素子を製造できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平09−167684号公報
【特許文献2】特開平11−067454号公報
【特許文献3】特開平08−321380号公報
【特許文献4】特開2004−227854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に有機EL発光層からの発光は長波長側に裾を引く傾向がある。この結果、特に、長波長側が他の色の視感度に重なる緑画素と青画素については、各色の有機EL発光層の発光ピークを目的の波長に合致させても、NTSCやEBU等のTV規格を満足する色純度を達成することが困難となる。したがって、第1の方法で作製された有機EL表示素子でも、第2の方法で作製された有機EL表示素子でも、各色の画素毎に適切なカラーフィルターを設けることが必要である。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、有機EL表示素子の色純度の向上に適したカラーフィルター及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するため、本発明の第1のカラーフィルターは、緑色画素領域を備え、緑色画素領域の光透過率が600〜650nmにわたって15%以下である。
【0012】
また、本発明の第2のカラーフィルターは、青色画素領域を備え、青色画素領域の光透過率が500〜550nmにわたって30%以下である。
【0013】
本発明によれば、有機EL表示素子の画素の色純度を高めることができる。
【0014】
ここで、緑色画素領域の光透過率のピークが500〜550nmの範囲内にあり、光透過率のピークにおける光透過率が50%以上であることが好ましい。
【0015】
また、青色画素領域の光透過率のピークが410〜470nmの範囲内にあって、光透過率のピークにおける光透過率が50%以上であることが好ましい。
【0016】
これらによれば、光の利用効率が高くなる。
【0017】
また、高分子有機EL表示素子用であることが好ましい。特に、高分子有機EL表示素子は出射光の波長スペクトルの裾引きが大きいので、本発明の効果が高い。
【0018】
また、画素領域の着色材として、染料、顔料、またはこれらの混合物を含むことが好ましい。
【0019】
また、着色材が、フタロシアニン、キノフタロン、ジオキサジン、ピリミジン、バルビツール酸、ポリメチン、トリアリルメタン、アントラキノン、ピリドンアゾまたはキサンテン骨格を有する着色材であることが好ましい。
【0020】
具体的には、着色材として、下記(1)式、又は(2)式で示される青色染料が挙げられる。
【化1】


[式(1)、式(2)中、環Z〜環Zは、それぞれ独立に置換基を有していてもよい複素環を表す。Xa−はハロゲンアニオン、ClO、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン又は有機金属錯体アニオンを表す。kは、陰イオンの価数であり、1又は2の整数を表す。Y及びYは、それぞれ独立に、ハロゲンアニオン、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。l及びl’は、それぞれ独立に、0以上3以下の整数を表す。Lは、2価の置換されていてもよい炭化水素基を表す。]
【0021】
また、着色材として下記(3)式で示される青色染料も挙げられる。
【化2】



[式(3)中、環Z及び環Z10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。Xは、ハロゲンアニオン、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。lは、0以上3以下の整数を表す。]
【0022】
また、着色材として下記(4)式で示される染料も挙げられる。
【化3】



[式(4)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、−R又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。該炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OH、−OR、−SO、−SOH、−SOM、−CO、−COH、−COM、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRで置換されていてもよい。Rは、−SO、−SOH、−SOM、−CO、−COH、−COM、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRを表す。mは、0〜5の整数を表す。mが2以上の整数である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。Xは、ハロゲン原子を表す。aは、R〜Rのいずれかに−SO又は−COが含まれるときには0を表し、それ以外のときは1を表す。Rは、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は−Qを表す。あるいはR及びRは、一緒になって隣接する窒素原子とともに炭素数1〜10の複素環を形成していてもよい。Qは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数5〜10の芳香族複素環基を表し、該芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基に含まれる水素原子は、−OH、R、−OR、−NO、−CH=CH、−CH=CHR又はハロゲン原子で置換されていてもよい。炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれる水素原子は、水酸基、ハロゲン原子、−Q、−CH=CH又は−CH=CHRで置換されていてもよい。炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。炭素数1〜10の複素環に含まれる水素原子は、R、−OH又は−Qで置換されていてもよい。Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を表す。]
【0023】
本発明に係る有機EL表示素子用カラーフィルターの製造方法は、フタロシアニン、キノフタロン、ジオキサジン、ピリミジン、バルビツール酸、ポリメチン、トリアリルメタン、アントラキノン、ピリドンアゾまたはキサンテン骨格を有する着色材を含むインクをブラックマトリクスの開口にインクジェットで充填することにより上述の有機EL表示素子用カラーフィルターを製造する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、有機EL表示素子の色純度の向上に適したカラーフィルター及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかわるカラーフィルターの平面図の例である
【図2】図1に示すカラーフィルターの断面図である
【図3】図1および図2に示すカラーフィルターを有機EL素子に貼り合わせ作製した有機EL表示素子の断面図である。
【図4】本発明の実施例1〜実施例7に示した緑色カラーフィルターの透過スペクトルである。
【図5】本発明の実施例8〜実施例14に示した青色カラーフィルターの透過スペクトルである。
【図6】比較例1〜比較例3に示した緑色カラーフィルターの透過スペクトルである。
【図7】比較例4〜比較例5に示した青色カラーフィルターの透過スペクトルである。
【図8】緑色または青色の有機EL発光素子の発光スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態に係るカラーフィルターについて説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0027】
(カラーフィルター及び有機EL表示素子の概略構造)
図1は、実施の形態に係るカラーフィルターcの平面図であり、図2は、図1に示したカラーフィルターcのII−II矢印断面図である。また、図3は、図1及び図2に示したカラーフィルターcを有機EL素子eに貼り合わせて作製した有機EL表示素子dの断面図である。
【0028】
図1及び図2に示したカラーフィルターcは、透明基板1、画素に対応した開口を形成するブラックマトリックス3、ブラックマトリクス3の各開口を充填する赤色樹脂領域4R、緑色樹脂領域4G、及び青色樹脂領域4B、及び、透明保護膜5、スペーサ6を主として備える。
【0029】
図3に示した有機EL表示素子dは、図1及び図2のカラーフィルターcと有機EL素子eとを、樹脂層30を介して対向するように貼り合わせたものである。有機EL素子eは、透明基板2上に画素電極9、TFT10、赤色有機EL層82R、緑色有機EL層82G、青色有機EL層82B、透明電極81、透明保護膜8を積層してなる。
【0030】
有機EL素子eと、カラーフィルターcとは、赤色有機EL層82Rと赤色樹脂領域4Rとが対向し、緑色有機EL層82Gと緑色樹脂領域4Gとが対向し、青色有機EL層82Bと青色樹脂領域4Bとが対向するように配置され、各着色樹脂領域4R,4G,4Bは、各色有機EL層82R,82G,82Bからの赤色光、緑色光、青色光を透過させる。
【0031】
(カラーフィルター)
以下、カラーフィルターcについて、詳しく説明する。
【0032】
(透明基板)
透明基板1の材料は、可視光に対して透明であれば特に限定されず、例えば、無アルカリガラス、低アルカリガラス等の無機材料、PET,PES,PC等の透明樹脂材料を用いることができる。
【0033】
(ブラックマトリクス)
ブラックマトリックス3は遮光膜であり、画素間のクロストークを防止する。ブラックマトリクス3は、透明基板1上において格子状にパターニングされており、画素を形成する開口3aを形成している。ブラックマトリックス3は、例えばカーボンブラックや金属酸化物等の遮光性を有する顔料を分散した遮光性樹脂(例えば、黒色レジスト(住友化学株式会社製TK−41)等)、金属酸化物/金属(例えば、酸化クロム/金属クロム積層体)からなることができる。なお、このブラックマトリクス3は、いわゆる遮光性バンクと呼ばれる多層構造のものでもよい。例えば、遮光性バンクは、金属酸化物/金属層上に、遮光性樹脂が積層されてなることができる。
【0034】
(着色樹脂領域)
赤色樹脂領域4R、緑色樹脂領域4G、及び青色樹脂領域4Bは、ブラックマトリクス3の開口3a内を充填するように設けられている。開口3a内の各着色樹脂領域4R,4G,4Bが、有機EL表示素子dの各々の色の画素を形成するとともに、有機EL素子eの各色有機EL層82R,82G,82Bから放射される光から所望の波長域の光を吸収する。なお、着色樹脂領域は、ブラックマトリクス3の上に乗り上げてもよいが、乗り上げた部分は、光の透過には寄与しない。
【0035】
なお、隣接する着色樹脂領域、例えば、赤色樹脂領域4Rと緑色樹脂領域4Gとを、その境界を形成するブラックマトリックス3上において重ね合わせることにより、後述するスペーサ6を形成することも可能である。
【0036】
着色樹脂領域4R,4G,4Bは、透明樹脂中に有機顔料又は無機顔料又は染料等の着色材の少なくとも一種類を配合した樹脂であることが好ましい。特に、透明着色樹脂に感光性を付与したいわゆる透明着色レジストが好ましく、フォトリソグラフィー法やインクジェット法、印刷法により微細なパターンを形成することができ、特に高精彩なフルカラー表示を行う場合にはフォトリソグラフィー法が好適である。
【0037】
ここで、透明着色レジストは、溶剤中に顔料等の着色材が分散され、さらにバインダー樹脂、光重合性モノマー、及び光重合開始剤が溶解又は分散されてなる。なお、その他に任意の添加剤が溶解又は分散されていてもよい。
【0038】
バインダー樹脂は、未露光部がアルカリ溶液により現像されるバインダー樹脂か、又は着色材の分散媒体として作用するバインダー樹脂であればよい。例えば、(メタ)アクリレート化合物を一つのモノマーとし、かつ分子内にカルボキシル基を有する(メタ)アクリル系共重合体を用いることが好ましい。
【0039】
光重合性モノマーとしては、不飽和カルボン酸やそのエステルが好ましく、例えばアクリル酸やそのエステル、メタクリル酸やそのエステル等が挙げられる。アクリル酸、メタクリル酸及びそれらのエステルのそれぞれは、単独で、又は、別の一種以上と組み合わせて使用してもよく、さらにクロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸やそのエステルを任意に加えてもよい。
【0040】
光重合開始剤には、この分野で通常用いられているものであって、例えば、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、s−トリアジン系光重合開始剤等があり、これらをそれぞれ単独で、又は二種類以上を組み合わせてもよい。光重合開始剤は、バインダー樹脂及び光重合性モノマーの合計100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部の範囲で含有される。なお、光重合開始剤に加えて光開始助剤を用いる場合は、光重合開始剤と光開始助剤の合計量が上記範囲(1〜40重量部の範囲)となることが好ましい。
【0041】
溶剤としては、特に制限されないが、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテルおよびエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどの芳香族脂肪族エーテル類、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、乳酸エチル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチルなどのエステル類、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。こうした溶剤のそれぞれは単独で、または別の1種類以上と組み合わせて用いることができ、透明着色レジストにおける溶剤の含有量が質量分率で通常20質量%以上90質量%以下、好ましくは50質量%以上85質量%以下となるようにして使用される。
【0042】
また、着色樹脂領域4R,4G,4Bは、着色レジストでなく、着色インキを固化した物であっても良い。着色インキは、例えば、溶剤、着色材と、溶媒中での安定性を保証するための分散剤、インクの膜を安定に形成するための透明樹脂、モノマーの他、必要に応じて重合開始剤や界面活性剤などその他の添加物から構成される。
【0043】
着色材としては、透明着色レジストや着色インキに通常用いられる有機顔料又は無機顔料、染料を用いることができる。無機顔料としては、例えば金属酸化物や金属錯塩等の金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、胴、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属の酸化物又は複合金属酸化物が挙げられる。有機顔料としては、例えば、カラーインデックス(ColourIndex:C.I.)(TheSociety ofDyersandColourists出版)において、ピグメント(Pigment)や染料に分類されている化合物が挙げられる。
具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の化合物が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
C.I.ピグメントイエロー20,24,31,53,83,86,93,94,109,110,117,125,137,138,139,147,148,150,153,154,166及び173;
C.I.ピグメントオレンジ13,31,36,38,40,42,43,51,55,59,61,64,65,及び71;
C.I.ピグメントレッド9,97,105,122,123,144,149,166,168,176,177,180,192,215,216,224,242,及び254;
C.I.ピグメントバイオレット14,19,23,29,32,33,36,37及び38;
C.I.ソルベントバイオレット2,8,9,11,13,14等;
C.I.ピグメントブルー15(15:3,15:4,15:6等),21,22,28,60及び64;
C.I.ソルベントブルー25,38,64,67,70,129;
C.I.ピグメントグリーン7,10,15,25,36,47及び58;
C.I.ソルベントグリーン3,28,32および33;
C.I.ピグメントブラウン28;
C.I.ピグメントブラック1及び7。
【0044】
有機系の着色材としてはフタロシアニン、キノフタロン、ジオキサジン、ピリミジン、バルビツール酸、ポリメチン、トリアリルメタン、アントラキノン、及びピリドンアゾからなる群から選択される少なくとも1つの骨格を有する着色材が挙げられる。
【0045】
また、本発明で青色のカラーフィルターに好適に使用できる染料の一例として、下記(1)式又は(2)式で示されるシアニン染料(ポリメチン染料)を例示できる。
【化4】


[式(1)、式(2)中、環Z〜環Zは、それぞれ独立に置換基を有していてもよい複素環を表す。Xa−はハロゲンアニオン、ClO、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン又は有機金属錯体アニオンを表す。kは、陰イオンの価数であり、1又は2の整数を表す。Y及びYは、それぞれ独立に、ハロゲンアニオン、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。l及びl’は、それぞれ独立に、0以上3以下の整数を表す。Lは、2価の置換されていてもよい炭化水素基を表す。]
【0046】
環Z〜環Zのいずれかで表される複素環は、1つ又は複数のヘテロ原子を含む。上記複素環は、単環であってもよいし、多環であってもよい。上記ヘテロ原子は、周期律表における第15族又は第16族の元素から選ばれる原子であればよく、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、セレン原子やテルル原子が挙げられる。上記複素環としては、例えば、インドール環、ベンゾインドール環、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環やキノリン環が挙げられる。
【0047】
上記複素環の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基などの脂肪族炭化水素基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジルオキシ基などのアラルキルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などのエステル結合を有する基;メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、n−プロピルスルファモイル基、ジ−n−プロピルスルファモイル基、イソプロピルスルファモイル基、ジイソプロピルスルファモイル基、n−ブチルスルファモイル基、ジ−n−ブチルスルファモイル基などのアルキルスルファモイル基;メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基などのアルキルスルホニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;ニトロ基、シアノ基が挙げられる。なお、かかる置換基が水素原子を有する場合、該水素原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、ベンジルオキシ基などのアリールオキシ基;フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メシチル基、o−クメニル基、m−クメニル基、p−クメニル基などの芳香族炭化水素基;カルボキシ基;シアノ基;ニトロ基;などによって置換されていてもよい。
【0048】
a−で表されるハロゲンアニオンとしては、Cl、Br、Iなどが挙げられる。Xa−で表される有機カルボン酸アニオンとしては、例えば、ベンゼンカルボン酸イオン、アルキルカルボン酸イオン、トリハロアルキルカルボン酸イオン、ニコチン酸イオンが挙げられる。上記有機スルホン酸アニオンとしては、例えば、ベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンジスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アルキルスルホン酸イオンが挙げられる。Xa−で表されるホウ素アニオンとしては、例えば、BFが挙げられる。Xa−で表される有機金属錯体アニオンとしては、アゾ系、ビスフェニルジチオール系、チオカテコールキレート系、チオビスフェノレートキレート系、ビスジオール−α−ジケトン系の有機金属錯体イオンが挙げられる。上記有機金属錯体イオンにおいて、中心金属としては、周期律表における第3族〜第11族の遷移元素が挙げられる。上記遷移金属としては、例えば、スカンジウム、イットリウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ヴァナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクネチウム、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、カドミウム、水銀などが挙げられる。
【0049】
又はYで表されるハロゲンアニオン、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンの例は、Xa−で表されるハロゲンアニオン、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン又は有機金属錯体アニオンの例のうちの1価のものと同様である。
【0050】
で表される炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、ビニレン基、トリメチレン基、プロピレン基、プロペニレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基などの2価の脂肪族炭化水素基;シクロペンチレン基、シクロヘキセニレン基、シクロヘキサジエニレン基などの2価の脂環式炭化水素基;o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、ナフチレン基などの2価の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。該炭化水素基は、1又は複数の水素原子が、アミノ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基などにより置換されていてもよい。Lは、環Zおよび環Zの何れの位置に結合してもよい。
【0051】
また、本発明で青色のカラーフィルターに好適に使用できる染料の一例として、下記(3)式で示されるシアニン染料(ポリメチン染料)も例示できる。
【化5】


[式(3)中、環Z及び環Z10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。Xは、ハロゲンアニオン、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。lは、0以上3以下の整数を表す。]
【0052】
環Z又は環Z10で表される置換基を有していてもよい複素環の例は、式(1)、式(2)中の環Z〜環Zのいずれかで表される置換基を有していてもよい複素環の例と同様である。Xで表されるハロゲンアニオン、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンの例は、Xa−で表されるハロゲンアニオン、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンの例のうちの1価のものと同様である。
【0053】
また、本発明で青色のカラーフィルターに好適に使用できる染料の一例として、下記(4)式で示されるキサンテン染料も例示できる。
【化6】


[式(4)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、−R又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。該炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OH、−OR、−SO、−SOH、−SOM、−CO、−COH、−COM、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRで置換されていてもよい。Rは、−SO、−SOH、−SOM、−CO、−COH、−COM、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRを表す。mは、0〜5の整数を表す。mが2以上の整数である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。Xは、ハロゲン原子を表す。aは、R〜Rのいずれかに−SO又は−COが含まれるときには0を表し、それ以外のときは1を表す。Rは、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は−Qを表す。あるいはR及びRは、一緒になって隣接する窒素原子とともに炭素数1〜10の複素環を形成していてもよい。Qは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数5〜10の芳香族複素環基を表し、該芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基に含まれる水素原子は、−OH、R、−OR、−NO、−CH=CH、−CH=CHR又はハロゲン原子で置換されていてもよい。炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれる水素原子は、水酸基、ハロゲン原子、−Q、−CH=CH又は−CH=CHRで置換されていてもよい。炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。炭素数1〜10の複素環に含まれる水素原子は、R、−OH又は−Qで置換されていてもよい。Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を表す。]
【0054】
としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、シクロオクチル、ノニル、デカニル、トリシクロデカニル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、ヘキシロキシプロピル、2−エチルヘキシロキシプロピル、メトキシヘキシル、エトキシプロピル等が挙げられる。
【0055】
炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、フェニル、ナフチル等が挙げられる。該炭素数6〜10の芳香族炭化水素基の置換基として挙げられるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。−SOとしては、メタンスルホニル、エタンスルホニル、ヘキサンスルホニル、デカンスルホニル等が挙げられる。−COとしては、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、ヘプチルオキシカルボニル、シクロヘプチルオキシカルボニル、オクチルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、シクロオクチルオキシカルボニル、ノニルオキシカルボニル、デカニルオキシカルボニル、トリシクロデカニルオキシカルボニル、メトキシプロピルオキシカルボニル、エトキシプロピルオキシカルボニル、ヘキシロキシプロピルオキシカルボニル、2−エチルヘキシロキシプロピルオキシカルボニル、メトキシヘキシルオキシカルボニル、等が挙げられる。
【0056】
−SONHRとしては、スルファモイル、メタンスルファモイル、エタンスルファモイル、プロパンスルファモイル、イソプロパンスルファモイル、ブタンスルファモイル、イソブタンスルファモイル、ペンタンスルファモイル、イソペンタンスルファモイル、ネオペンタンスルファモイル、シクロペンタンスルファモイル、ヘキサンスルファモイル、シクロヘキサンスルファモイル、ヘプタンスルファモイル、シクロヘプタンスルファモイル、オクタンスルファモイル、2−エチルヘキサンスルファモイル、1,5−ジメチルヘキサンスルファモイル、シクロオクタンスルファモイル、ノナンスルファモイル、デカンスルファモイル、トリシクロデカンスルファモイル、メトキシプロパンスルファモイル、エトキシプロパンスルファモイル、プロポキシプロパンスルファモイル、イソプロポキシプロパンスルファモイル、ヘキシロキシプロパンスルファモイル、2−エチルヘキシロキシプロパンスルファモイル、メトキシヘキサンスルファモイル、3−フェニル−1−メチルプロパンスルファモイル等が挙げられる。
【0057】
−SONHR及び−SONRとしては、さらに下記式で表される基が挙げられる。
【化7】


【化8】


【化9】


【化10】

【0058】
上記式中、Xは、ハロゲン原子を表す。Xにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
【化11】


【化12】


【化13】


【化14】

【0059】
上記式中、Xは、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のアルコキシル基を表し、該アルキル基及びアルコキシ基の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、パーフルオロメチル等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等が挙げられる。
【化15】


【化16】


【化17】


【化18】

【0060】
上記式中、Xは、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシル基、ハロゲン原子又はニトロ基を表し、該アルキル基及びアルコキシ基の水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。Xにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、パーフルオロメチル等が挙げられる。ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等が挙げられる。
【化19】


【化20】


【化21】


【化22】


【化23】


上記式中、Xは、上記と同じ意味を表す。
【化24】


【化25】


【化26】


【化27】


上記式中、Xは、上記と同じ意味を表す。
【0061】
−SONRに含まれるR及びRとしては、炭素数6から8の分枝状アルキル基、炭素数5から7の脂環式アルキル基、アリル基、フェニル基、炭素数8から10のアラルキル基、炭素数2から8の水酸基含有アルキルおよびアリール基又は炭素数2から8のアルコキシル基含有アルキルまたはアリール基が好ましく、2−エチルヘキシルであることが特に好ましい。
【0062】
炭素数6〜10の芳香族炭化水素基の置換基としては、エチル、プロピル、フェニル、ジメチルフェニル、−SO又は−SONHRが好ましい。
【0063】
置換基を有する炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ヘキシルフェニル、デカニルフェニル、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、ヒドロキシフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシロキシフェニル、デカニロキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル等が挙げられる。
【0064】
及びRの中の少なくとも1つ、又は、R及びRの中の少なくとも1つが、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることが好ましい。R及びRの中の少なくとも1つ、かつ、R及びRの中の少なくとも1つが、炭素数1〜4のアルキル基又は置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることが好ましい。R及びRの中の少なくとも1つ、かつ、R及びRの中の少なくとも1つが、置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基であることがさらに好ましい。Rは、カルボキシル、エチルオキシカルボニル、スルホキシル、2−エチルヘキシロキシプロパンスルファモイル、1,5−ジメチルヘキサンスルファモイル、3−フェニル−1−メチルプロパンスルファモイル、イソプロポキシプロパンスルファモイル、であることが好ましい。
【0065】
式(4)で表される化合物が、式(4−1)で表される化合物であることが好ましい。
【化28】


[式(4−1)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、−R又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。該炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OH、−OR、−SO、−SOH、−SONa、−CO、−COH、−CONa、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRで置換されていてもよい。R15は、水素原子、−SO、−SOH、−CO、−COH、−SONHR又は−SONRを表す。R16は、−SO、−SOH、−CO、−COH、−SONHR又は−SONRを表す。a’は、R11〜R15のいずれかに−SO又は−COが含まれるときには0を表し、それ以外のときには1を表す。R、R、R、m及びXは、上記と同じ意味を表す。]
【0066】
式(4)で表される化合物が、式(4−2)で表される化合物であることが好ましい。
【化29】


[式(4−2)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、−R26又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。該炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R26、−OH、−OR26、−SO、−SONa、−CO、−CONa、−COH、−CO26、−SOH、−SO26又は−SONHR28で置換されていてもよい。R25は、−SO、−SONa、−CO、−CONa、−COH、−CO26、−SOH又はSONHR28を表す。R26は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OR26又はハロゲン原子で置換されていてもよい。R28は、水素原子、−R26、−CO26又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、−R26又は−OR26で置換されていてもよい。a’’は、R21〜R25のいずれかに−SO又は−COが含まれるときには0を表し、それ以外のときには1を表す。m及びXは、上記と同じ意味を表す。]
【0067】
式(4)で表される化合物としては、例えば式(4a)〜式(4f)で表される化合物が挙げられる。
【化30】


[式(4a)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、−SO、−CO、−COH又は−SONHRを表す。Rは、2−エチルヘキシルを表す。a’’’は、R又はRのいずれかが−SO又は−COのときには0を表し、それ以外のときには1を表す。Xは、上記と同じ意味を表す。]
【化31】


[式(4b)中、Rb’は、水素原子、−COH又は−SONHRを表す。Rは、2−エチルヘキシルを表す。]
【0068】
式(4b)で表される化合物は、式(4b’)で表される化合物の互変異性体である。
【化32】


[式(4b’)中、Rb’は、上記と同じ意味を表す。]
【化33】


[式(4c)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、−SO、−SONa、−SOH、−SONHR、−CO、−CONa又は−COHを表す。Rは、2−エチルヘキシルを表す。但し、R、R及びRのいずれかは−SO又は−COである。]
【0069】
式(4c)で表される化合物は、式(4c’)で表される化合物の互変異性体である。
【化34】


[式(4c’)中、Rd’、Re’及びRf’は、それぞれ独立に、−SONa、−SOH、−SONHR、−CONa又は−COHを表す。Rは、2−エチルヘキシルを表す。但し、Rd’、Re’及びRf’のいずれかは−SOH又は−COHである。]
【化35】


[式(4d)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、−SO、−SOH、−SONHR、−CO又は−COHを表す。Rは、2−エチルヘキシルを表す。但し、R、R及びRのいずれかは−SO又は−COである。]
【0070】
式(4d)で表される化合物は、式(4d’)で表される化合物の互変異性体である。
【化36】


[式(4d’)中、Rg’、Rh’及びRi’は、それぞれ独立に、水素原子、−SOH、−SONHR又は−COHを表す。Rは、2−エチルヘキシルを表す。但し、Rd’、Re’及びRf’のいずれかは−SOH又は−COHである。]
【0071】
式(4)で表される化合物は、例えば、−SOHを有する色素または色素中間体を定法によりクロル化して、得られた−SOClを有する色素または色素中間体をR−NHで表されるアミンと反応させることにより製造することができる。また、特開平3−78702号公報3頁の右上欄〜左下欄に記載の方法により製造された色素を、上記同様、クロル化後、アミンと反応させることにより製造することができる。
【0072】
これらの着色材は、それぞれ単独で、又は二種類以上組み合わせてもよく、これにより発色を整えることができる。また、着色樹脂中の全固形分量を基準に、着色材を着色樹脂中に10〜50重量%含むことが好ましい。
【0073】
特に、本実施形態では、青色有機EL層82Bから出射する光を波長選択する青色樹脂領域4Bは、500〜550nmの範囲にわたって光の透過率が30%以下となる吸収スペクトルを有する。これにより、青色樹脂領域4Bは、緑色に近い範囲の光を十分に吸収する。青色樹脂領域4Bが、500〜550nmの範囲において、透過率が30%超える部分がある場合、青色有機EL層82B、とりわけ青色高分子有機EL層からの発光に混入している緑色の光を十分に除去できないため、十分な色純度を発現することが困難となる。なお、青色樹脂領域4Bは、青色光について高い透過率を有することが好ましく、特に透過率のピークが410〜470nmにあり、ピークにおける透過率が50%以上であることが好ましい。
【0074】
また同様に緑色有機EL層82Gから出射する光を波長選択する緑色樹脂領域4Gは、600〜650nmの範囲にわたって透過率が15%以下となる吸収スペクトルを有する。これにより、オレンジ色に近い範囲の光を十分に吸収する。緑色樹脂領域4Gが、600〜650nmの範囲において、透過率が15%超える部分がある場合、緑色有機EL層82G、とりわけ緑色高分子有機EL層からの発光に混入しているオレンジ系の光を十分に除去できないため、十分な色純度を発現することが困難となる。なお、緑色樹脂領域4Bは、緑色光について高い透過率を有することが好ましく、透過率のピークが500〜550nmにあって、透過率のピークにおける透過率が50%以上であることが好ましい。
【0075】
すなわち、本実施形態に係るカラーフィルターcの緑色樹脂領域4G及び青色樹脂領域4Bは、対応する有機EL素子eの緑色有機EL層82G及び青色有機EL層82Bの各発光スペクトルの長波長側の裾をそれぞれ十分に吸収できる光吸収スペクトルを有する。
これにより、各有機EL層82R,82G,82Bから発生する光から不要な波長範囲の光を十分に除去することができ、色純度を高めることができる。これにより、画素の色をNTSC規格の3原色に近づけることができる。
【0076】
さらに有機EL表示素子dにおける環境光の反射防止の観点から、緑色樹脂領域4G、及び、青色樹脂領域4Bに関してそれぞれ上記した波長範囲以外の波長領域、すなわち、緑色樹脂領域4Gについて480nm以下、および620nm以上の波長領域、青色樹脂領域4Bについては520nm以上の波長領域は好ましくは10%以下の透過率を有することが好ましい。透過率が10%を超える場合は、カラーフィルターの反射率が1%以上となるため好ましくない。
【0077】
なお、赤色樹脂領域4Rについては、赤よりも長波長側の光は問題とならないので、赤色以外の光を吸収できる公知のものであればよい。また、赤色樹脂領域Rについては、液晶用の赤色着色材を用い公知の方法で製造することができる。
【0078】
各色樹脂領域4R,4G,4Bの吸収スペクトルは顔料や染料の配合や樹脂に対する濃度を変更することで容易に調整できる。また、着色樹脂領域4R,4G,4Bの厚みは特に限定されないが、例えば、0.5〜5μmとすることができる。
【0079】
(透明保護膜)
透明保護膜5は、ブラックマトリックス3及び着色樹脂領域4R,4G,4Bを被覆する膜である。透明保護膜5としては、有機の透明樹脂や無機の透明材料からなる薄膜を用いることが可能で、これによりブラックマトリックス3、又は着色樹脂領域4R,4G,4B等から発生する水分や反応生成物等が浮遊して、有機EL素子eの有機EL層82に混入する可能性を低減できる。なお、透明保護膜5がなくても本発明の実施は可能である。
【0080】
透明保護膜5は、ケイ素、アルミニウム等の酸化物、窒化物、酸窒化物、ダイヤモンドライクカーボン(DLC膜)などの透明無機材料の膜、および又はポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂等の透明樹脂膜を単独又は積層してなる。厚みは例えば、1〜10μm程度である。例えば、HC−501:住友化学株式会社製を使用できる。
【0081】
(スペーサ)
スペーサ6は、図1〜図3に示すように、ブラックマトリックス3上に形成されている。これにより、図3に示すように、有機EL層82R,G,Bからの発光がスペーサ6によって遮られることなく着色樹脂領域4R,4G,4Bを通って外部に出力される。スペーサ6の高さは例えば、3〜20μmとすることができる。
【0082】
スペーサ6は、感光性樹脂等を利用したフォトリソグラフィー法により容易に形成できる。感光性樹脂としては、微細加工が可能であり、形成された構造が下地に対して充分な密着力及び耐圧強度を有するものであればよく、好ましくは、弾性変形領域が大きい樹脂組成物である。例えば、不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸無水物、エポキシ基含有不飽和化合物、並びにこれ以外のオレフィン系不飽和化合物の共重合体、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物、感放射線重合開始剤、並びに着色剤を含有する組成物が挙げられる。
【0083】
なお、図1に示すように、ブラックマトリックス3上における各着色樹脂領域4R,4G,4Bの境界に遮光壁61を設けてもよい。これにより、高視野角から表示素子を観察しても隣接する着色樹脂領域4R,4G,4Bを透過した光が混入しない。なお、カラーフィルターcを有機EL素子eに貼り合わせる際に、遮光壁61をブラックマトリクス3上に配置すると、各色有機EL層82R,82G,82Bの発光部と対向しないため、押圧により有機EL層82を損傷しにくい。遮光壁1は、スペーサ6と同様の材料から製造できる。
【0084】
(有機EL素子)
続いて、有機EL素子eについて簡単に説明する。
透明基板2は、透明基板1と同様である。
着色有機EL層82R,82G,82Bは、公知の有機EL材料を用いることができる。特に、高分子EL材料を用いたものが好ましい。具体的には、LUMATION系の高分子発光材料(サメイション株式会社製)が挙げられる。
画素電極9は、例えば、金属等の薄膜である。
TFT10は、公知のものを利用できる。
透明保護膜8は、透明保護膜5と同様のものを利用できる。
【0085】
さらに、有機EL素子eとカラーフィルターcとの間に充填される樹脂層30は透明材料であれば特に限定されず、例えば、紫外線硬化型のアクリル樹脂等の光硬化性樹脂等が挙げられる。
【0086】
(製造方法)
次に、カラーフィルターc及び有機EL表示素子dの製造方法について説明する。下記工程(1)〜(6)を順次実施することで、カラーフィルターc及び有機EL表示素子dを製造することができる。
【0087】
工程(1)ブラックマトリックス形成工程
まず、透明基板1上に遮光膜(例えば、遮光性樹脂膜又は金属遮光膜)を形成し、スピンコーター、ロールコータ、ダイコータ等を用いてレジストを塗布する。次に、ブラックマトリックス3の形状に対応する開口部を有するフォトマスクを介して紫外線等の光をレジストが塗布された透明基板1に照射し、現像することでレジストパターンを形成する。
さらに、遮光膜に対して腐食性を有する液体に浸漬し、レジストで保護されていない遮光膜を腐食除去し、その後レジストを剥離除去することで、ブラックマトリックス3を透明基板1上に形成する。
【0088】
工程(2)着色樹脂領域形成工程
次に、ブラックマトリックス3が形成された透明基板1上に、スピンコーター、ダイコータ等を用いて、例えば、青色の透明着色レジストを塗布し、70℃〜120℃でプリベークする。さらに、青色樹脂領域4Bに対応するパターンを有するフォトマスクを介して紫外線等の光を照射し、アルカリ溶液に浸漬することで光が照射されていない領域の青色樹脂領域4Bを溶解除去し、純水で充分洗浄した後にオーブン、ホットプレート等を用いて160〜250℃に加熱し、残存した青色樹脂領域4Bを硬化・焼付けする。
【0089】
この工程をさらに2回、すなわち赤色に対しては赤色樹脂領域4Rを、緑色に対しては緑色樹脂領域4Gを、同様にパターニングすることで赤、緑及び青色の着色樹脂領域4R,4G,4Bのストライプ状の配列を周期的に形成する。
【0090】
このとき、隣接する着色樹脂領域4Gと4B、4Bと4R、及び4Rと4Gの境界において、感光性樹脂材料を重ねてスペーサ6を形成してもよい。なお、着色樹脂領域形成工程には、フォトリソグラフィー法のほか、電着法又は印刷法を用いてもよい。
【0091】
透明着色レジストを用いるかわりに、インクジェット法や印刷法により着色樹脂領域4R,4G,4Bを形成してもよい。印刷法ではブラックマトリックス3を、遮光性感光樹脂を用いて形成したのち、着色樹脂領域に対応するインキパターンを重ね印刷することで形成できる。とりわけ反転印刷法ではブラックマトリックスと着色樹脂領域を同時に形成できる特徴がある。いっぽうインクジェット法では遮光性感光樹脂を用いて遮光性のバンク構造で周囲を覆われたブラックマトリクスを形成したのち、色材で着色したインクを開口部に充填したのち、インクを乾燥し熱処理等で硬化させカラーフィルターcを得ることができる。インクジェット法では、フォトリソグラフィー法に比べて、加熱ストレスが少ないので、熱に弱い着色材を好適に使用することができる。
【0092】
そして、いずれの方法でも、着色樹脂領域に含まれる着色材の成分及びその樹脂に対する濃度を適宜調節することにより、上述の透過率を満たす吸収スペクトルの着色樹脂領域を形成できる。
【0093】
工程(3)透明保護膜形成工程
その後、着色樹脂領域が形成された透明基板にブラックマトリックス3及び着色樹脂領域4R,4G,4Bを被覆するように透明保護膜5を形成してもよい。透明保護膜5は、光または熱硬化性の透明樹脂膜をスピンコーターまたはスピンレスコーターを用いて塗布したのち、光およびまたは熱で硬化させる方法が可能である。透明保護膜5が金属の酸化物、窒化物、酸窒化物やDLC膜等の無機材料である場合、例えばスパッタ法、プラズマCVD法又は蒸着法で形成することができる。
【0094】
工程(4)スペーサ形成工程
さらに、透明保護膜5を形成された透明基板1に、スピンコーター等を用いて、例えばアクリル系の光硬化・熱硬化型樹脂を塗布し、プリベークし、スペーサ6の形状に対応するパターンを有するフォトマスクを用いて露光し、アルカリ水溶液で現像することで非露光部を除去し、ベークする。これによりスペーサ6を形成する。また、スペーサはブラックマトリックスや透明着色レジストパターンを積層することで形成しても良い。
【0095】
工程(5)貼り合わせ工程
予め作製した有機EL素子e上にスピンコーター等を用いて光硬化性樹脂、例えば紫外線硬化樹脂を塗布する。さらに、光硬化性樹脂が塗布された有機EL素子eに対向するように、前述のカラーフィルターcを貼り合わせ装置によって位置合わせ(アライメント)して貼り合わせる。
【0096】
工程(6)接着工程
最後に、有機EL素子eとカラーフィルターcの間隙に充填された光硬化性樹脂に対して光を照射して硬化させる。これにより、カラーフィルターcと有機EL素子eとを接着し、固定することができ、有機EL表示素子dが完成する。
【0097】
(作用)
続いて、本実施形態に係るカラーフィルターcの作用について説明する。有機EL素子eの有機EL層82G,82Bから発光した光は、カラーフィルターcに入射する。カラーフィルターに入射した光は、ブラックマトリクス3により遮蔽されて着色樹脂領域4G,4Bを透過し、緑色光、青色光は波長選択される。従って、各着色樹脂領域は特定波長の光を出射する画素を構成する。
【0098】
そして、本実施形態にかかるカラーフィルターでは、緑色樹脂領域4Gの透過率及び青色樹脂領域4Bの透過率が上述のように設定されている。したがって、有機EL素子eの緑色有機EL層82Gから発生する光スペクトルの光波長側の裾引き部分や、青色有機EL層82Bから発生する光スペクトルの光波長側の裾引き部分の光を、緑色画素、青色画素においてそれぞれ抑制することができる。したがって、各画素から出射する光の色純度を高めることができる。
【0099】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、様々な態様が可能である。例えば、上記実施形態では、緑色樹脂領域4G及び青色樹脂領域4Bの両方が裾引き部分を吸収すべく上述の透過率条件をそれぞれ満たしているが、いずれか一方の着色樹脂領域が上述の透過率条件を満たしていれば、一方の色純度は少なくとも向上する。
【0100】
また、上記実施形態では、有機EL素子eが、赤色有機EL層82R,緑色有機EL層82G,青色有機EL層82Bを有していて赤色光、緑色光、青色光を発光するが、これに代えて白色光を発光する白色有機EL層を有するものでもよい。白色有機EL層は、複数の有機EL材料を含むことにより白色光を放出するものであるが、各有機EL材料からの発光においてピーク波長よりも長波長側で裾引きすることについては同様である。したがって、本発明のカラーフィルターは、白色有機EL層を有する有機EL素子に対しても同様の色純度向上効果がある。
【0101】
また、上記実施形態では、赤色画素領域を赤色に着色された樹脂で構成して赤色樹脂領域4Rとし、緑色画素領域を緑色に着色された樹脂で構成して緑色樹脂領域4Gとし、青色画素領域を青色に着色された樹脂で構成して青色樹脂領域4Bとしており、こうすることで不要な外光の反射を抑制することができるが、必要な波長吸収特性を満たす限り、各画素領域を構成する樹脂の色は上記に限定されるものではない。
【実施例】
【0102】
(有機EL素子の作製)
バンク枠を形成したTFT基板を作製したのち、インクジェット印刷機を用いてバッファ膜(PEDT:ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(スタルクヴィテック社製、商品名:BaytronPCH8000)を0.1μm相当の膜厚で形成した。同様にインクジェット印刷機を用いて赤画素に赤色蛍光体インク(LUMATION RP−221(サメイション株式会社製))、緑画素に緑色蛍光体インク(LUMATION GP−1200(サメイション株式会社製))、青画素に青色蛍光体インク(LUMATION BP−105(サメイション株式会社製))を充填したのち、溶媒を除去し蛍光体層を形成した。真空中で十分溶媒を除いた後、インクジェット印刷機を用いて電荷注入層(IL40)を充填し、溶媒を乾燥除去し、カソードとして高純度Al−Mg膜を蒸着形成したのちCVDで窒化珪素膜を形成して有機EL素子eを得た。
【0103】
(着色樹脂原料液の調製)
感光性着色レジストの調製
【0104】
(実施例1〜6、9〜11、15〜18、比較例5)
表1に示す色材15重量部、分散剤(顔料に対し40重量%)、及び溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/3−エトキシプロピオン酸エチル=70/30(重量比))36重量部を混合し、色材分散液を調製した。この色材分散液に、バインダー樹脂(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=70/30(モル比)の共重合体:酸価は113、ポリスチレン換算重量平均分子量は30,000)28重量部、多官能アクリレートモノマー(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)8重量部、重合開始剤(イルガキュアー907:チバ・ジャパン株式会社製)2重量部、界面活性剤(F477:ディーアイケー社製)2重量部、及び溶剤(同上)180重量部を添加し、十分に混合したのち、3μmのフィルターでろ過して感光性着色レジストを得た。
【0105】
(実施例7、8、12、比較例1〜4)
表1に示す市販の液晶ディスプレー用カラーフィルター向け色材(感光性着色レジスト)を使用した。
【0106】
着色インクの調製
【0107】
(実施例13〜14)
表1に示す色材15重量部、分散剤(顔料に対し40重量%)、及び溶剤(ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート)36重量部を混合し、色材分散液を調製した。この色材分散液に、バインダー樹脂(同上)3重量部、多官能アクリレートモノマー(同上)1重量部、及び重合開始剤(同上)1重量部を添加し、十分に混合したのち、3μmのフィルターでろ過し、さらに多官能アクリレートモノマー(トリメチロールプロパントリアクリレート)30重量部を加え粘度を15mPa・sに調整することで、着色インクを得た。
【表1】

【0108】
ここで、実施例1〜7及び比較例1〜3が緑色樹脂領域形成用の着色樹脂原料液であり、実施例8〜18及び比較例4〜5が青色樹脂領域形成用の着色樹脂原料液である。なお、表1において、PGはピグメントグリーン、PVはピグメントバイオレット、PBはピグメントブルー、PYはピグメントイエロー、フタロシアニン染料(※1)は下記(5)式の化合物、シアニン染料(※2)は下記(6)式の化合物、シアニン染料(※3)は下記(7)式の化合物、キサンテン染料(※4)は下記(8)式の化合物、YG800、YB800、B111はいずれも東友ファインケム株式会社の液晶ディスプレー用カラーフィルター向け色材(感光性着色レジスト)の商品名を示す。
【化37】


【化38】


【化39】


【化40】

【0109】
(カラーフィルターの製造)
(緑色フィルター:実施例1〜7、比較例1〜3),(青色フィルター:実施例8〜12、15〜18、比較例4〜5)
上述のようにして得られた感光性着色レジストを、洗浄した無アルカリガラス(コーニング社製E2K 厚さ0.63mm)にスピンコーターで塗布した。全面露光後に220℃×20分ポストベークし、さらに実施例5〜7、10では上記の塗布、全面露光及びポストベークを2〜5回繰り返すことで、表2又は表3に示す厚みの着色樹脂領域を有する擬似カラーフィルターを作製した。
【0110】
(青色フィルター:実施例13〜14)
透明基板として洗浄した無アルカリガラス(コーニング社製E2K 厚さ0.63mm)に上述の着色インクを、インクジェット印刷機を用いて塗布し、プリベーク(90℃、1分間)を行った後、ポストベーク(220℃、20分間)し、表3に示す厚みの青色樹脂領域を有する擬似カラーフィルターを作製した。
【0111】
(有機EL表示素子の製造)
有機EL素子上に、光硬化性樹脂(スミフラッシュXR−98、住友化学社製)をスピンコーターにより塗布し、減圧して光硬化性樹脂を脱泡処理し、各カラーフィルターを、有機EL素子に積層して1気圧のガス圧で加圧して押圧し、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、さらに80℃×2時間の熱処理を行うことで光硬化性樹脂を硬化して有機EL表示素子を得た。
【0112】
(評価及び結果)
各カラーフィルターについて、有機EL素子と貼り合わせる前に、各カラーフィルターの400−700nmの範囲における透過率を測定すると共に、透明基板である無アルカリガラスのみの透過率を予め測定しておくことにより、各カラーフィルターにおける着色樹脂領域の透過率曲線を得た。さらに、この透過率曲線から、緑色フィルター(実施例1〜7、比較例1〜3)については600nmにおける透過率(600〜650nmにおける最大透過率)を、青色フィルター(実施例8〜18、比較例4〜5)については500nmにおける透過率(500〜550nmにおける最大透過率)を求めると共に、透過率がピークとなる波長と、そのピークの透過率とを求め、結果を表2又は表3に示した。
【0113】
さらに、カラーフィルターと有機EL素子とを貼り合わせた有機EL表示素子について、緑色フィルター(実施例1〜7、比較例1〜3)に対しては緑色有機EL層を点灯させ、青色フィルター(実施例8〜18、比較例4〜5)に対して青色有機EL層を点灯させ、それぞれ発光スペクトルと発光の色度(x、y)を測定し、この色度を表2又は表3に示した。また、カラーフィルターを設けない状態で、有機EL素子の緑色有機EL層及び青色有機EL層から出射される光の400−700nmの発光スペクトルを測定し、この有機EL素子の発光スペクトルに対する上記有機EL表示素子の発光スペクトルの強度比(面積比)を、光利用効率として表2又は表3に示した。
【表2】


【表3】

【0114】
さらに、図4に、実施例1〜7のカラーフィルターの透過率曲線を、図5に、実施例8〜14のカラーフィルターの透過率曲線を、図6に、比較例1〜3のカラーフィルターの透過率曲線を、図7に、比較例4〜5のカラーフィルターの透過率曲線を、図9に有機EL素子の青色有機EL層から出射する光及び緑色有機EL層から出射する光の波長スペクトルを示す。
【0115】
(結果)
600−650nmにわたって透過率が15%以下である緑色樹脂領域を有する実施例1〜7のカラーフィルターは、600−650nmにわたって透過率が15%以下でない領域を有する比較例1〜3のカラーフィルターに比して、NTSC色度座標の緑色光の色度である(0.21、0.71)に近づいており色純度が向上した。
【0116】
また、500−550nmにわたって透過率が30%以下である青色樹脂領域を有する実施例8〜18のカラーフィルターは、500−550nmにわたって透過率が30%以下でない領域を有する比較例4〜5のカラーフィルターに比して、NTSC色度座標の青色光の色度である(0.14、0.08)に近づいており色純度が向上した。
【0117】
したがって、本発明のカラーフィルターを使用することによって、RGB3色の光により再現される色域を大幅に拡大できる。
【符号の説明】
【0118】
1…透明基板、3…ブラックマトリクス、4R…赤色画素領域、4G…緑色画素領域、4B…青色画素領域、c…カラーフィルター、e…有機EL素子、d…有機EL表示素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緑色画素領域を備え、前記緑色画素領域の光透過率が600〜650nmにわたって15%以下である有機EL表示素子用カラーフィルター。
【請求項2】
前記緑色画素領域の光透過率のピークが500〜550nmの範囲内にあり、前記光透過率のピークにおける光透過率が50%以上である請求項1に記載の有機EL表示素子用カラーフィルター。
【請求項3】
青色画素領域を備え、前記青色画素領域の光透過率が500〜550nmにわたって30%以下である有機EL表示素子用カラーフィルター。
【請求項4】
前記青色画素領域の光透過率のピークが410〜470nmの範囲内にあって、光透過率のピークにおける光透過率が50%以上である請求項3に記載の有機EL表示素子用カラーフィルター。
【請求項5】
高分子有機EL表示素子用である請求項1ないし4のいずれかに記載の有機EL表示素子用カラーフィルター。
【請求項6】
前記画素領域の着色材として、染料、顔料、またはこれらの混合物を含む請求項1〜5のいずれか記載の有機EL表示素子用カラーフィルター。
【請求項7】
前記着色材が、フタロシアニン、キノフタロン、ジオキサジン、ピリミジン、バルビツール酸、ポリメチン、トリアリルメタン、アントラキノン、及びピリドンアゾからなる群から選択される少なくとも1つの骨格を有する着色材である請求項6に記載の有機EL表示素子用カラーフィルター。
【請求項8】
下記(1)式、又は(2)式で示される青色染料を含有した請求項3又は4に記載の有機EL表示素子用カラーフィルター。
【化1】


[式(1)、式(2)中、環Z〜環Zは、それぞれ独立に置換基を有していてもよい複素環を表す。Xa−はハロゲンアニオン、ClO、OH、有機カルボン酸アニオン、有機スルホン酸アニオン、ホウ素アニオン又は有機金属錯体アニオンを表す。kは、陰イオンの価数であり、1又は2の整数を表す。Y及びYは、それぞれ独立に、ハロゲンアニオン、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。l及びl’は、それぞれ独立に、0以上3以下の整数を表す。Lは、2価の置換されていてもよい炭化水素基を表す。]
【請求項9】
下記(3)式で示される青色染料を含有した請求項3又は4に記載の有機EL表示素子用カラーフィルター。
【化2】


[式(3)中、環Z及び環Z10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい複素環を表す。Xは、ハロゲンアニオン、ClO、OH、1価の有機カルボン酸アニオン、1価の有機スルホン酸アニオン、1価のホウ素アニオン又は1価の有機金属錯体アニオンを表す。lは、0以上3以下の整数を表す。]
【請求項10】
下記式(4)で示される染料を含有した請求項3又は4に記載の有機EL表示素子用カラーフィルター。
【化3】


[式(4)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、−R又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。該炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、−R、−OH、−OR、−SO、−SOH、−SOM、−CO、−COH、−COM、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRで置換されていてもよい。Rは、−SO、−SOH、−SOM、−CO、−COH、−COM、−CO、−SO、−SONHR又は−SONRを表す。mは、0〜5の整数を表す。mが2以上の整数である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。Xは、ハロゲン原子を表す。aは、R〜Rのいずれかに−SO又は−COが含まれるときには0を表し、それ以外のときは1を表す。Rは、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基又は−Qを表す。あるいはR及びRは、一緒になって隣接する窒素原子とともに炭素数1〜10の複素環を形成していてもよい。Qは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基又は炭素数5〜10の芳香族複素環基を表し、該芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基に含まれる水素原子は、−OH、R、−OR、−NO、−CH=CH、−CH=CHR又はハロゲン原子で置換されていてもよい。炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれる水素原子は、水酸基、ハロゲン原子、−Q、−CH=CH又は−CH=CHRで置換されていてもよい。炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又は−NR−で置換されていてもよい。炭素数1〜10の複素環に含まれる水素原子は、R、−OH又は−Qで置換されていてもよい。Mは、ナトリウム原子又はカリウム原子を表す。]
【請求項11】
フタロシアニン、キノフタロン、ジオキサジン、ピリミジン、バルビツール酸、ポリメチン、トリアリルメタン、アントラキノン、ピリドンアゾ、及びキサンテンからなる群から選択されるいずれかの骨格を有する顔料または染料を含むインクをブラックマトリクスの開口にインクジェットで充填することを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載の有機EL表示素子用カラーフィルターの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−265641(P2009−265641A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79352(P2009−79352)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】