説明

カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサおよびタッチパネル機能付き表示装置

【課題】タッチパネルセンサ部が静電気により損傷するのを防ぐことができるカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサを提供する。
【解決手段】カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20は、基板11と、基板11の一面11a上に設けられたタッチパネルセンサ部10と、基板11の他面11b上に設けられ、複数色の着色層を有するカラーフィルタ部30と、を備えている。タッチパネルセンサ部10は、第1方向に延びる第1電極パターン15を有し、各第1電極パターン15は、第1方向に沿って並べられ、透明性を有する複数の第1電極単位15aと、隣り合う2つの第1電極単位15aを接続する第1接続部15bと、を含んでいる。各第1接続部15bは、第1方向に延び、その両端が隣り合う2つの第1電極単位15aにそれぞれ接続された少なくとも2つの接続部材35を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルセンサ部とカラーフィルタ部とを備えたカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサに関する。また本発明は、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサと表示基板とを備えたタッチパネル機能付き表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチパネル機能を実現するためのタッチパネルセンサとして、静電容量式のタッチパネルセンサが知られている。容量結合式タッチパネルセンサにおいては、人間の指などの外部導体がタッチパネルセンサに接触(接近)するときに発生する静電容量の変化を利用して、タッチパネルセンサ上における人間の指などの外部導体の位置を検出する。静電容量式タッチパネルセンサには表面型と投影型とがあるが、マルチタッチの認識(多点認識)への対応に適していることから、投影型が注目を浴びている。
【0003】
このようなタッチパネルセンサの形態として、基板と、基板の一面上に設けられたタッチパネルセンサ部と、基板の他面上に設けられたカラーフィルタ部と、を備えたカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが提案されている(特許文献1)。カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサにおいては、1つの基板上にタッチパネルセンサ部およびカラーフィルタ部の両方を設けることにより、タッチパネル機能およびカラーフィルタ機能をより容易かつ低コストで実現することが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−160745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサの製造工程においては、一般に、はじめに基板の一面上にタッチパネルセンサ部が形成され、次に基板の他面上にカラーフィルタ部が形成される。一般に、カラーフィルタ部の形成工程においては、基板の一面側を下方に向けた状態で基板が搬送される。このため、基板の搬送の際、基板の一面上に形成されているタッチパネルセンサ部に静電気が発生することが考えられる。
【0006】
タッチパネルセンサ部に発生した静電気の電荷が所定量を上回ると、放電が生じることになる。この場合、放電による電流は、タッチパネルセンサ部を介して適切な部材へと逃がされる。この時、タッチパネルセンサ部のうち放電電流の経路となる部分の電気抵抗が大きいと、当該部分で大きな熱が発生し、これによって当該部分が損傷してしまうことが考えられる。
【0007】
本発明は、このような課題を効果的に解決し得るカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサおよびタッチパネル機能付き表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサは、基板と、前記基板の一面上に設けられたタッチパネルセンサ部と、前記基板の他面上に設けられ、複数色の着色層を有するカラーフィルタ部と、を備え、前記タッチパネルセンサ部は、第1方向に延びる第1電極パターンを有し、各第1電極パターンは、前記第1方向に沿って並べられ、透明性を有する複数の第1電極単位と、隣り合う2つの第1電極単位を接続する第1接続部と、を含み、各第1接続部は、前記第1方向に延び、その両端が隣り合う2つの第1電極単位にそれぞれ接続された少なくとも2つの接続部材を含むことを特徴とするカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサである。
【0009】
本発明による第1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサにおいて、各接続部材は、隣り合う2つの第1電極単位上に各々配置された2つの接触部分と、2つの接触部分の間において前記第1方向に延びる伝導部分と、を含み、
前記接触部分は、その幅が少なくとも部分的に前記伝導部分の幅より大きくなるよう構成されていてもよい。
【0010】
本発明による第2のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサは、基板と、前記基板の一面上に設けられたタッチパネルセンサ部と、前記基板の他面上に設けられ、複数色の着色層を有するカラーフィルタ部と、を備え、前記タッチパネルセンサ部は、第1方向に延びる第1電極パターンを有し、各第1電極パターンは、前記第1方向に沿って並べられ、透明性を有する複数の第1電極単位と、隣り合う2つの第1電極単位を接続する第1接続部と、を含み、各第1接続部は、隣り合う2つの第1電極単位上に各々配置された2つの接触部分と、2つの接触部分の間において前記第1方向に延びる伝導部分と、を含み、前記接触部分は、その幅が少なくとも部分的に前記伝導部分の幅より大きくなるよう構成されていることを特徴とするカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサである。
【0011】
本発明によるカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサにおいて、前記第1接続部は、金属材料から形成されていてもよい。この場合、好ましくは、前記第1接続部の前記伝導部分の幅は、5〜20μmの範囲内となっている。
【0012】
本発明によるカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサにおいて、前記タッチパネルセンサ部は、各々が各第1電極パターンに電気的に接続され、金属材料からなる複数の第1導電パターンをさらに有し、前記第1接続部は、前記第1導電パターンと同一の金属材料から形成されていてもよい。
【0013】
本発明によるカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサにおいて、前記第1接続部は、透明性を有する導電性材料から形成されていてもよい。この場合、好ましくは、前記第1接続部の前記伝導部分の幅は、20〜200μmの範囲内となっている。
【0014】
本発明によるカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサにおいて、前記第1接続部の各接触部分は、前記基板の法線方向から見て湾曲した輪郭を有していてもよい。
【0015】
本発明によるカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサにおいて、前記タッチパネルセンサ部は、第1方向と直交する第2方向に延びる第2電極パターンをさらに有し、各第2電極パターンは、前記第2方向に沿って並べられ、透明性を有する複数の第2電極単位と、隣り合う2つの第2電極単位を接続するよう設けられ、透明性を有する第2接続部と、を含み、前記第1接続部および前記第2接続部は、前記基板の法線方向から見て重なり合うよう配置されており、前記第1接続部と前記第2接続部との間には絶縁層が介在されていてもよい。
【0016】
本発明によるカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサは、少なくとも部分的に前記基板の外縁に達するとともに前記第1電極パターンに接触しないよう前記基板の前記一面上に設けられ、導電性を有する除電パターンと、前記第1電極パターンおよび前記除電パターンを少なくとも部分的に覆うよう前記基板の前記一面上に設けられた保護層と、をさらに備えていてもよい。
【0017】
本発明によるカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサにおいて、前記除電パターンは、内方に向かって先細になる先細領域を含み、前記除電パターンのうち少なくとも前記先細領域の先端部が前記保護層によって覆われていてもよい。
【0018】
本発明によるタッチパネル機能付き表示装置は、上記記載のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサと、前記カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサの前記カラーフィルタ部側に設けられた表示基板と、を備えたことを特徴とするタッチパネル機能付き表示装置である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサによれば、各第1接続部は、前記第1方向に延び、その両端が隣り合う2つの第1電極単位にそれぞれ接続された少なくとも2つの接続部材を含んでいる。このため、第1接続部によってタッチパネルセンサ部の意匠性が阻害されることを抑制しながら、第1接続部の電気抵抗を低減し、かつ第1接続部と第1電極単位との間の接触抵抗を低減することができる。このため、タッチパネルセンサ部における静電気が放電したとしても、第1接続部において大きな熱が発生し、これによって第1接続部が損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0020】
本発明の第2のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサによれば、各第1接続部は、隣接する2つの第1電極単位上に各々配置された2つの接触部分と、2つの接触部分の間において第1方向に延びる伝導部分と、を含んでいる。このうち接触部分は、その幅が少なくとも部分的に伝導部分の幅より大きくなるよう構成されている。このため、第1接続部によってタッチパネルセンサ部の意匠性が阻害されることを抑制しながら、第1接続部と第1電極単位との間の接触抵抗を低減することができる。このため、タッチパネルセンサ部における静電気が放電したとしても、第1接続部において大きな熱が発生し、これによって第1接続部が損傷してしまうことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態におけるカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサを示す平面図。
【図2】図2は、図1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサにおいて枠IIで囲まれた部分を拡大して示す平面図。
【図3A】図3Aは、図1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサをIIIA−IIIA方向から見た縦断面図。
【図3B】図3Bは、図1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサをIIIB−IIIB方向から見た縦断面図。
【図3C】図3Cは、図1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサをIIIC−IIIC方向から見た縦断面図。
【図4】図4(a)は、本発明の第1の実施の形態における表示装置を示す縦断面図、図4(b)は、図4(a)の表示装置のカラーフィルタ部を矢印IVb−IVbから見た図、図4(c)は、図4(a)の表示装置の表示基板を矢印IVc−IVcから見た図。
【図5A】図5Aは、透明電極材料を用いてワーク基板上に第1電極単位、第2電極単位および第2接続部を形成する工程を示す平面図。
【図5B】図5Bは、図5Aのワーク基板のチップ部を拡大して示す図。
【図5C】図5Cは、図5Bのワーク基板をVC−VC方向から見た縦断面図。
【図6A】図6Aは、ワーク基板上に絶縁層を形成する工程を示す平面図。
【図6B】図6Bは、図6Aのワーク基板をVIB−VIB方向から見た縦断面図。
【図7A】図7Aは、導電性材料を用いてワーク基板上に導電パターン,端子部および第1接続部を形成する工程を示す平面図。
【図7B】図7Bは、図7Aのワーク基板のチップ部を拡大して示す図。
【図7C】図7Cは、図7Bのワーク基板をVIIC−VIIC方向から見た縦断面図。
【図8A】図8Aは、ワーク基板上に保護層を形成する工程を示す平面図。
【図8B】図8Bは、図8Aのワーク基板をVIIIB−VIIIB方向から見た縦断面図。
【図9】図9は、カラーフィルタ部を形成する方法を示す図。
【図10】図10(a)(b)は、ワーク基板が支持台から剥離される様子を示す図。
【図11A】図11Aは、本発明の第1の実施の形態において、タッチパネルセンサ部の層構成の変形例を示す図。
【図11B】図11Bは、本発明の第1の実施の形態において、タッチパネルセンサ部の層構成の変形例を示す図。
【図12】図12は、本発明の第1の実施の形態において、除電パターンの形状の変形例を示す図。
【図13】図13は、本発明の第2の実施の形態におけるタッチパネルセンサ部の第1接続部を拡大して示す平面図。
【図14】図14は、図13のタッチパネルセンサ部をXIV−XIV方向から見た縦断面図。
【図15】図15(a)(b)(c)は、本発明の第2の実施の形態において、第1接続部の形状の変形例を示す図。
【図16】図16は、実施例における電圧測定結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1の実施の形態
以下、図1乃至図10(a)(b)を参照して、本発明の第1の実施の形態について説明する。まず図4(a)(b)(c)により、本実施の形態におけるタッチパネル機能付き表示装置60全体について説明する。なお本実施の形態においては、タッチパネル機能付き表示装置60の例として、タッチパネル機能付き液晶表示装置を示している。しかしながら、これに限定されることはなく、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイなど、タッチパネル機能を備えたその他の表示装置の場合においても、本願発明を適用することにより、タッチパネル機能付き液晶表示装置の場合と同様の効果を得ることができる。
【0023】
表示装置
図4(a)に示すように、タッチパネル機能付きの表示装置60は、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20と、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20に対向するよう設けられたTFT基板(表示基板)50と、を備えている。図4(a)に示すように、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20は、基板11と、基板11の一面11a上に設けられたタッチパネルセンサ部10と、基板11の他面11b上に設けられたカラーフィルタ部30と、を有している。また、TFT基板50は、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20のカラーフィルタ部30と対向するよう設けられている。すなわち、基板11の他面11b側が表示基板(TFT基板)側となっており、基板11の一面11a側が観察者側となっている。
【0024】
図4(a)に示すように、カラーフィルタ部30とTFT基板50との間には液晶40が充填されており、この液晶40は封止材41により封止されている。なお図示はしないが、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20のタッチパネルセンサ部10上には、透光性を有した保護カバーが透明接着剤などを介して設けられていてもよい。保護カバーは、タッチパネルセンサ部10および表示装置60を保護するためのものであり、タッチパネル機能付き表示装置60の入力面(タッチ面、接触面)として機能する。
【0025】
図4(c)は、図4(a)に示す表示装置60のTFT基板50を矢印IVc−IVcの方向から見た場合を示す図である。図4(c)に示すように、TFT基板50は、基板51と、液晶40に印加される電圧を制御する複数の透明電極部52と、透明電極部52に制御電圧を印加する配線部53とを有している。このうち各透明電極部52は、各々が表示装置60の単位画素に対応している。
【0026】
カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ
次に図1乃至図3Cおよび図4(a)(b)を参照して、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20について説明する。上述のように、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20は、基板11と、基板11の一面11a上に設けられたタッチパネルセンサ部10と、基板11の他面11b上に設けられたカラーフィルタ部30と、を有している。
【0027】
基板11は、図1に示すように、4辺から構成される矩形形状を有している。しかしながら、基板11の形状が矩形に限られることはなく、基板11の形状として、多角形や円形などが適宜選択され得る。この基板11の材料は、TFT基板50の発光を外部に取り出すことができ、かつ水分および酸素を効率的に遮断することができる限り特に限定されるものではない。例えば、光透過性、安定性や耐久性等に優れたガラスやポリマー等を使用することができる。
【0028】
カラーフィルタ部
次に図4(a)(b)を参照して、カラーフィルタ部30について説明する。図4(b)は、図4(a)に示す表示装置60のカラーフィルタ部30を矢印IVb−IVbの方向から見た場合を示す図である。図4(b)に示すように、カラーフィルタ部30は、基板11と、基板11の他面11b上に設けられたブラックマトリクス層31と、基板11の他面11b上でブラックマトリクス層31間に設けられた複数色の着色層32と、を有している。
【0029】
カラーフィルタ部30のブラックマトリックス層31は、カラーフィルタ部30の法線方向から見て上述したTFT基板50の配線部53に重なり合うよう配置されている。ブラックマトリックス層31としては、遮光性を有する材料からなる層が用いられる。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングして形成したもの、カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングして形成したもの、および、カーボン微粒子や金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をパターニングして形成したもの等、遮光性を有するものが用いられ得る。ブラックマトリックス層31の厚さは、要求される遮光性などに応じて適宜調整される。
【0030】
複数色の着色層32は、TFT基板50および液晶40を通った光の色を調整するものであり、少なくとも、赤色着色層、青色着色層および緑色着色層を含んでいる。
このうち赤色着色層に用いられる着色剤としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いられてもよく、若しくは、2種以上が混合されて用いられてもよい。
青色着色層に用いられる着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いられてもよく、若しくは、2種以上が混合されて用いられてもよい。
緑色着色層に用いられる着色剤としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等が挙げられる。これらの顔料または染料は、単独で用いられてもよく、若しくは、2種以上が混合されて用いられてもよい。
複数色の着色層32が上記の赤色着色層、青色着色層および緑色着色層に限られることは無く、その他の色の着色層、例えば黄色着色層が含まれていてもよい。
【0031】
なお、ブラックマトリクス層31および着色層32と液晶40の間に保護膜(図示せず)が設けられていてもよい。保護膜の材料としては、珪素、アルミニウム、亜鉛またはスズの酸化物または酸窒化物からなる透明材料、あるいはアクリル樹脂等の有機絶縁膜を挙げることができる。また、ブラックマトリクス層31及び着色層32の表面に、画素表示用の共通透明電極(図示せず)が設けられていてもよい。さらに、ブラックマトリクス層31上に、カラーフィルタ部30とTFT基板50との間の空隙を保持するためのスペーサ(図示せず)が設けられていてもよい。
【0032】
タッチパネルセンサ部
次に図1乃至図3Cを参照して、タッチパネルセンサ部10について説明する。図1は、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20をタッチパネルセンサ部10側から見た場合を示す平面図である。図2は、図1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサにおいて枠IIで囲まれた部分を拡大して示す平面図である。図3A乃至図3Cはそれぞれ、図1のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20をIIIA−IIIA方向乃至IIIC−IIIC方向から見た縦断面図である。
【0033】
タッチパネルセンサ部10は、基板11の一面11a上に所定パターンで設けられた複数の電極パターン13,15と、基板11の一面11a上に設けられた複数の端子部17と、基板11の一面11a上に設けられた複数の導電パターン14,16と、を有している。このうち複数の端子部17は、各々が各電極パターン13,15に一対一で対応するよう設けられている。また複数の導電パターン14,16は、各々が各電極パターン13,15と各端子部17との間を電気的に接続するよう設けられている。また基板11の一面11a上には、各電極パターン13,15及び各導電パターン14,16を覆う保護層22がさらに設けられている。なお図1においては、説明の便宜上、保護層22が一点鎖線により表されるとともに、保護層22に覆われている構成要素が図示されている。
【0034】
タッチパネルセンサ部10において、複数の電極パターン13,15が設けられている領域は、タッチパネルセンサ部10が表示装置60に組み込まれているときに画像が表示される表示領域となっている。一方、複数の導電パターン14,16および端子部17が設けられている領域は、画像が表示されない非表示領域となっている。
【0035】
(電極パターン)
はじめに電極パターン13,15について詳細に説明する。図1に示すように、複数の電極パターン13,15は、第1方向(図1に示すy方向)に延びる複数の第1電極パターン15と、第1方向に直交する第2方向(図1に示すx方向)に延びる複数の第2電極パターン13とからなっている。このうち各第1電極パターン15は、第1方向に沿って並べられ、略正方形の形状を有する複数の第1電極単位15aと、隣り合う2つの第1電極単位15aを接続する第1接続部15bと、を含んでいる。また各第2電極パターン13は、基板11の法線方向から見て第1電極単位15と重なり合わないよう第2方向に沿って並べられ、略正方形の形状を有する複数の第2電極単位13aと、隣り合う第2電極単位13aを接続する第2接続部13bと、を含んでいる。
【0036】
第1電極単位15aおよび第2電極単位13aの寸法は、タッチパネルセンサ部10によって検知される指又はペン等に対する必要解像度により決定され、例えば5mm×5mmとなっている。なお、第1電極単位15aおよび第2電極単位13aの形状が正方形に限られることはなく、多角形や円形など様々な形状が適宜選択され得る。
【0037】
第1接続部15bおよび第2接続部13bは、各第1電極単位15a間および各第2電極単位13a間を低抵抗で接続するよう構成されている。なお後述するように、第2接続部13bは、第2電極単位13aと同時に一体的に形成されるようになっており、このため、第2接続部13bと第2電極単位13aとの間には一般に、第2接続部13bと第2電極単位13aとの間で電流が流れる際に障壁となり得るような界面が存在しない。一方、第1接続部15bは、第1電極単位15aを形成する工程とは別の工程で形成されるようになっており、このため、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間には、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間で電流が流れる際に障壁となり得る界面が存在している。
【0038】
本実施の形態においては、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間に、電流が流れる際に障壁となり得る界面が存在する場合であっても、隣り合う2つの第1電極単位15aの間で第1接続部15bを介して低抵抗で電流を流すことができるよう、第1接続部15bが構成されている。具体的には、図2に示すように、第1接続部15bは、第1方向に延び、その両端が隣り合う2つの第1電極単位15aにそれぞれ接続された2つの接続部材35を含んでいる。このように複数の接続部材35を用いて第1接続部15bを構成することにより、1つの接続部材によって第1接続部15bが構成される場合に比べて、第1接続部15b自体の電気抵抗を低減することができる。また、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の接触面積を増加させることができ、これによって、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の界面における接触抵抗を低減することができる。
【0039】
次に図3A乃至図3Cを参照して、タッチパネルセンサ部10の層構成について説明する。図3Aおよび図3Bに示すように、第2接続部13bは、第1電極単位15aおよび第2電極単位13aと同一平面上に形成されている。一方、第1接続部15bは、第1電極単位15aおよび第2電極単位13aよりも上方に配置されている。そして図3Bに示すように、第1電極単位15aは部分的に第1接続部15bによって上方から覆われている。すなわち、第1接続部15bは部分的に第1電極単位15aの観察者側の面に接している。これによって、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間が電気的に接続されている。
【0040】
また、第1接続部15bおよび第2接続部13bは、基板11の法線方向から見て互いに重なり合うよう配置されている。さらに、第1接続部15bと第2接続部13bが接触し、これによって第1接続部15bと第2接続部13bとの間が導通するのを防ぐため、第1接続部15bと第2接続部13bとの間には絶縁層18が介在されている。なお説明の都合上、図1においては絶縁層18の表示を省略している。
【0041】
第1電極単位15a,第2電極単位13aおよび第2接続部13bはそれぞれ、導電性を有し、かつ透明な透明電極材料から構成されている。透明電極材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、カリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛や、酸化亜鉛−酸化錫系、酸化インジウム−酸化錫系、酸化亜鉛−酸化インジウム−酸化マグネシウム系などの金属酸化物が用いられる。これらの金属酸化物が2種以上複合されてもよい。
【0042】
一方、第1接続部15bは、導電パターン14,16および端子部17の材料と同一の材料を用いて形成される。第1接続部15bの材料については後に詳細に説明する。
【0043】
(導電パターンおよび端子部)
次に導電パターン14,16および端子部17について説明する。図1に示すように、複数の導電パターン14,16は、第1電極パターン15と端子部17との間を電気的に接続する第1導電パターン16と、第2電極パターン13と端子部17との間を電気的に接続する第2導電パターン14と、からなっている。
【0044】
上述のように、第1導電パターン16,第2導電パターン14および端子部17は、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20の非表示領域に設けられている。このため、第1導電パターン16,第2導電パターン14および端子部17を構成する導電性材料は、透明性を有していてもよく、若しくは透明性を有していなくてもよい。すなわち、第1導電パターン16,第2導電パターン14および端子部17の導電性材料として、上述の透明電極材料と同様にITOなどの透明な材料が用いられてもよく、若しくは、上述の透明電極材料より高い電気伝導率を有する金属材料が用いられてもよい。第1導電パターン16,第2導電パターン14および端子部17の導電性材料として用いられる金属材料の例としては、アルミニウム、モリブデン、パラジウム、銀、クロム、銅等の金属及びそれらを主成分とする合金、あるいはそれら合金を含む積層体が挙げられる。
【0045】
なお図1においては、端子部17の幅が第1導電パターン16および第2導電パターン14の幅よりも大きくなっている例を示したが、これに限られることはない。端子部17が設けられる目的は、導電パターン14,16を介して伝達される電極パターン13,15からの信号を適切に外部に送るための部分を提供することである。本実施の形態において、端子部17は、導電パターン14,16に電気的に接続されており、かつ保護層22によって覆われていない部分として定義される。
【0046】
(第1接続部)
次に第1接続部15bについて詳述する。上述のように、第1接続部15bは、導電パターン14,16および端子部17と同一の導電性材料から形成されている。このため後述するように、第1接続部15bを、導電パターン14,16および端子部17と同時に形成することが可能となっている。これによって、第1接続部15bと導電パターン14,16および端子部17とが別々の工程で形成される場合に比べて、より少ない工数でタッチパネルセンサ部10を製造することができる。
【0047】
第1接続部15bを構成する導電性材料として金属材料が用いられる場合、好ましくは、第1接続部15bの各接続部材35の幅w(図2参照)は、5〜20μmの範囲内となっている。このように各接続部材35の幅を設定することにより、各接続部材35の電気抵抗を十分に低くしながら、第1接続部15bによって液晶表示装置60の表示が妨げられるのを防ぐことができる。なお第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の接触抵抗を考慮すると、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の接触面積を大きくすることが好ましい。従って、第1接続部15bによって液晶表示装置60の表示が妨げられるのを防ぐことよりも第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の接触抵抗を低減することの方が重視される場合、接続部材35のうち隣り合う2つの第1電極単位15a上に位置する部分の幅が5〜20μmよりも大きくなっていてもよい。すなわち、接続部材35のうち隣り合う2つの第1電極単位15aの間において第1方向(y方向)に延びる部分(図2において矢印Rで示される部分)の幅のみが5〜20μmの範囲内となり、一方、第1電極単位15aの上に位置する部分の幅は、矢印Rで示される部分の幅より大きくなっていてもよい。このような接続部材35の形態については、後述の第2の実施の形態においてより詳細に説明する。
【0048】
また第1接続部15bを構成する導電性材料として金属材料が用いられる場合、好ましくは、図3A乃至図3Cに示すように、第1接続部15bは、基板11の法線方向から見てカラーフィルタ部30のブラックマトリクス層31に重なり合うよう設けられている。このことにより、第1接続部15bが透明性を有さない金属材料から形成される場合であっても、第1接続部15bによって液晶表示装置60の表示が妨げられるのを防ぐことができる。この場合、第2方向(x方向)におけるブラックマトリクス層31の幅は、基材11の厚さ、第2方向(x方向)における第1接続部15bの幅、液晶表示装置60の視野角などに応じて適宜設定されるが、例えば5〜100μmの範囲内となっている。
【0049】
(保護層)
次に保護層22について説明する。保護層22は、各電極パターン13,15及び各導電パターン14,16を外部から保護するための層である。例えば後述するように、基板11の他面11b上にカラーフィルタ部30を設ける際、既に基板11の一面11a上に設けられているタッチパネルセンサ部10の各電極パターン13,15及び各導電パターン14,16が損傷するのを防ぐための層である。また保護層22は、外部の水分を遮蔽するという役割も担っている。このような保護層22を構成する材料としては、絶縁性を有する材料が用いられ、例えば光硬化性アクリル樹脂が用いられる。
【0050】
次に、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20の更なる構成要素について説明する。図1乃至図3Cに示すように、基板11の一面11a上には、導電性を有する複数の除電パターン23がさらに設けられている。以下、除電パターン23について詳細に説明する。
【0051】
除電パターン
各除電パターン23は、図1に示すように、少なくとも部分的に基板11の外縁に達するともに、電極パターン13,15、端子部17および導電パターン14,16のいずれにも接触しないよう設けられている。また、各除電パターン23は、内方に向かって先細になる先細領域24を含んでおり、この先細領域24の先端部24aは、保護層22により覆われている。ここで「内方に向かって先細になる」とは、タッチパネルセンサ部10の非表示領域から表示領域に向かうにつれて、先細領域24の幅が狭くなることを意味している。
【0052】
この除電パターン23は、静電気により電極パターン13,15および導電パターン14,16が損傷するのを防ぐことを意図して設けられるものである。例えば、このような除電パターン23を設けることにより、保護層22への帯電量を低減させることができると考えられる。また、この除電パターン23をカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20の外部に設けられた適切な導電体(図示せず)に接続することにより、保護層22に帯電している電気を、除電パターン23を介して適切に逃がすことができると考えられる。さらに、仮に保護層22の静電気が放電した場合であっても、放電の際の静電気の経路が電極パターン13,15および導電パターン14,16ではなく除電パターン23になることにより、電極パターン13,15および導電パターン14,16を保護することができると考えられる。
【0053】
また上述のように、内方に向かって先細になる先細領域24を用いて除電パターン23を構成することにより、先細領域24をいわゆる避雷針として機能させることができる。従って、保護層22の電荷が先細領域24の先端部24aに集まりやすくなっている。このため、保護層22の電荷をより確実に除電パターン23に逃がすことができる。これによって、保護層22の帯電量が大きくなるのをより確実に抑制することができる。
【0054】
好ましくは、先細領域24の先端部24aの角度θ(図1参照)は、0度よりも大きく、かつ90度以下となるよう設定されている。すなわち、先端部24aの角度θは鋭角または直角となっている。これによって、先細領域24の避雷針としての機能をより高めることができる。
【0055】
次に、除電パターン23の具体的な層構成について説明する。除電パターン23は、除電パターン23のうち少なくとも保護層22に接する部分が導電性を有する限りにおいて、様々な態様により構成され得る。例えば図3Aおよび図3Cに示すように、除電パターン23は、透明電極材料層27および導電性材料層29を含んでいる。また除電パターン23の先細領域24の先端部24aは、透明電極材料層27および導電性材料層29に加えてさらに先端部用絶縁層28を含んでいる。これによって、先細領域24のうち先端部24aをその他の部分に対して上方へ突出させることができる。このことにより、基板11の一面11aと平行な方向だけでなく一面11aと直交する方向においても、先細領域24をいわゆる避雷針として機能させることができる。このため、保護層22の電荷をより確実に除電パターン23に逃がすことができる。これによって、保護層22の帯電量が大きくなるのをより確実に抑制することができる。
【0056】
次に、除電パターン23の各層27,28,29を構成する材料について説明する。透明電極材料層27は、後述するように、上述の第1電極単位15a,第2電極単位13aおよび第2接続部13bを形成する材料と同一の材料から、第1電極単位15a,第2電極単位13aおよび第2接続部13bと同時に形成される。また先端部用絶縁層28は、上述の絶縁層18を形成する材料と同一の材料から、絶縁層18と同時に形成される。また導電性材料層29は、上述の第1接続部15bを形成する材料と同一の材料から、第1接続部15bと同時に形成される。これによって、より少ない工数で除電パターン23を形成することが可能となる。
【0057】
次に、除電パターン23の形状についてさらに詳細に説明する。上述のように、除電パターン23は、少なくとも部分的に基板11の外縁まで延びている。具体的には、除電パターン23の先細領域24が、基板11の外縁から保護層22まで延びている。このため除電パターン23を、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20の外部に設けられた適切な導電体に容易に接続させることができる。例えば後述するように、カラーフィルタ部30の形成工程において、各除電パターン23を外枠除電パターン74(後述)に接続させることができる。
【0058】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。ここでは、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20および表示装置60の製造方法について説明する。
【0059】
カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサの製造方法
ここでは、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサが割り付けられた多面付けワーク基板を製造する方法について説明する。
【0060】
はじめに、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が割り付けられるワーク基板70を準備する。ワーク基板70は、一面70aと他面70bとを有している。またワーク基板70の一面70aおよび他面70bは、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が形成される複数のチップ部71と、各チップ部71を囲む外枠部72と、に区画される。後述する図5A乃至図8Bにおいて、点線で囲まれた部分がチップ部71となっている。
【0061】
後述するように、多面付けワーク基板の製造方法において、はじめに、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71にタッチパネルセンサ部10が形成され、次に、ワーク基板70の他面70b上の各チップ部71にカラーフィルタ部30が形成される。そして、必要に応じて各チップ部71を切り出すことにより、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が得られる。この場合、切り出されたワーク基板70が、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20の基板11となる。また、ワーク基板70の一面70aは基板11の一面11aに対応しており、ワーク基板70の他面70bは基板11の他面11bに対応している。
なお多面付けワーク基板70から各チップ部71を切り出す前に、多面付けワーク基板70とTFT基板50とが貼り合わされ、液晶セルの組み立てが行われてもよい。この場合、多面付けワーク基板70とTFT基板50とが貼り合わされた組立体から、個別の液晶セルが切り出される。
【0062】
(タッチパネルセンサ部の製造方法)
以下、図5A乃至図8Bを参照して、ワーク基板70の一面70a上にタッチパネルセンサ部10を形成する方法について説明する。
【0063】
[第1電極単位,第2電極単位および第2接続部の形成工程]
はじめに、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71に第1電極単位15a,第2電極単位13aおよび第2接続部13bを形成する工程について、図5A乃至図5Cを参照して説明する。図5Aは、ワーク基板70の一面70aを示す平面図であり、図5Bは、図5Aに示すワーク基板70のチップ部71を拡大して示す図であり、図5Cは、図5Bのワーク基板70をVC−VC方向から見た縦断面図である。
【0064】
はじめに、ワーク基板70の一面70a上にITOなどの透明電極材料を設ける。透明電極材料を設けるための方法が特に限定されることはなく、例えばスパッタリングなどの方法が適宜用いられる。
【0065】
次に図5A乃至図5Cに示すように、ワーク基板70の一面70a上に設けられた透明電極材料をパターンニングして、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71に第1電極単位15a,第2電極単位13aおよび第2接続部13bを形成する。同時に、図5A乃至図5Cに示すように、チップ部71のうち後に除電パターン23が設けられる部分、および外枠部72に、透明電極材料からなる透明電極材料層27が形成される。
【0066】
透明電極材料をパターンニングする方法は特には限定されず、様々な公知のパターンニング方法を用いることができる。例えばフォトリソグラフィー法を用いることができる。
【0067】
[絶縁層の形成工程]
次に絶縁層18を形成する工程について、図6Aおよび図6Bを参照して説明する。図6Aは、ワーク基板70のチップ部71を拡大して示す図であり、図6Bは、図6Aのワーク基板70をVIB−VIB方向から見た縦断面図である。
【0068】
はじめに、絶縁層18を形成するための材料、例えばアクリル樹脂をワーク基板70の一面70a上に設け、次に設けられた材料をパターニングする。これによって、図6Aおよび図6Bに示すように、第2接続部13b上に絶縁層18が形成される。同時に、図6Aおよび図6Bに示すように、チップ部71のうち後に除電パターン23の先細領域24の先端部24aとなる部分に、絶縁層18の材料と同一の材料からなる先端部用絶縁層28が形成される。
【0069】
[導電パターン、端子部および第1接続部の形成工程]
次に、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71に第2導電パターン14,第1導電パターン16,端子部17および第1接続部15bを形成する工程について、図7A乃至図7Cを参照して説明する。図7Aは、ワーク基板70の一面70aを示す平面図であり、図7Bは、図7Aに示すワーク基板70のチップ部71を拡大して示す図であり、図7Cは、図7Bのワーク基板70をVIIC−VIIC方向から見た縦断面図である。
【0070】
はじめに、ワーク基板70の一面70a上に導電性材料、例えばアルミニウムなどの金属材料を設ける。導電性材料を設けるための方法が特に限定されることはなく、例えばスパッタリングなどの方法が適宜用いられる。
【0071】
次に図7A乃至図7Cに示すように、ワーク基板70の一面70a上に設けられた導電性材料をパターンニングして、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71に第2導電パターン14,第1導電パターン16,端子部17および第1接続部15bを形成する。同時に、図7A乃至図7Cに示すように、チップ部71のうち後に除電パターン23が設けられる部分、および外枠部72に、導電性材料からなる導電性材料層29が形成される。
これによって、図7Bおよび図7Cに示すように、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71に、透明電極材料層27および導電性材料層29を含む除電パターン23が形成される。この除電パターン23は、図7Bに示すように、チップ部71の外縁に達するとともに、チップ部71の内方に向かうにつれて先細になる先細領域24を含んでいる。また先細領域24の先端部24aは、図7Cに示すように、透明電極材料層27および導電性材料層29に加えてさらに先端部用絶縁層28を含んでいる。このため、先細領域24のうち先端部24aがその他の部分に対して上方へ突出している。
また図7A乃至図7Cに示すように、ワーク基板70の一面70a上の外枠部72に、透明電極材料層27および導電性材料層29を含む外枠除電パターン74が形成される。この外枠除電パターン74は、好ましくは、可能な限り大きな面積を有するようなパターンとして形成される。また外枠除電パターン74は、図7Bおよび図7Cに示すように、各チップ部71の除電パターン23に接続されている。各除電パターン23および外枠除電パターン74は、後述するように、ワーク基板70の一面70a側での帯電量を低減する除電部73として機能する。
【0072】
[保護層の形成工程]
次に保護層22を形成する工程について、図8Aおよび図8Bを参照して説明する。図8Aは、ワーク基板70のチップ部71を拡大して示す図であり、図8Bは、図8Aのワーク基板70をVIIIB−VIIIB方向から見た縦断面図である。
【0073】
はじめに、保護層22を形成するための材料、例えばアクリル樹脂をワーク基板70の一面70a上に設け、次に設けられた材料をパターニングする。これによって、図8Aおよび図8Bに示すように、各電極パターン13,15および各導電パターン14,16を覆う保護層22が形成される。この際、パターニングは、保護層22が除電パターン23のうち少なくとも先細領域24の先端部24aを覆うよう実施される。このようにして、ワーク基板70の一面70a上の各チップ部71にタッチパネルセンサ部10が形成される。
【0074】
ところで図8Aおよび図8Bに示すように、本実施の形態において、保護層22は各チップ部71内にのみ設けられる。すなわち、保護層22は、外枠部72には設けられない。そして外枠部72には、導電性を有する外枠除電パターン74が形成されている。このため、ワーク基板70の一面70a全域にわたって保護層が設けられている場合に比べて、ワーク基板70の一面70a上における保護層22の面積が小さくなっている。このことにより、後述するカラーフィルタ部30の形成工程において、保護層22の帯電量を小さくすることができる。
【0075】
なお保護層22をパターニングする具体的な方法が特に限られることはなく、様々なパターニング方法が適宜用いられる。例えば、上述のように保護層22を構成する材料として光硬化性アクリル樹脂が用いられる場合、パターニング方法としてフォトリソグラフィー法が用いられる。
【0076】
(カラーフィルタ部の製造方法)
次に、図9を参照して、ワーク基板70の他面70b上にカラーフィルタ部30を形成する方法について説明する。図9は、カラーフィルタ部30を形成する際に実施される工程で用いられる装置を示す図である。この装置は、塗布手段81と、乾燥手段82と、プリベーク手段83と、露光・現像手段84と、水切り手段85とを備えている。
【0077】
図9に示すように、はじめにワーク基板70は、複数のタッチパネルセンサ部10が形成された一面70aが下方に向くよう上下反転される。次に図9に示すように、塗布手段81において、ブラックマトリクス層31を構成する材料を含む塗工液がワーク基板70の他面70b上のチップ部71に塗布される。この際、図9に示すように、ワーク基板70は、タッチパネルセンサ部10が形成された一面70aが下方に向けられた状態で、支持台86により吸着支持される。
【0078】
次に図9に示すように、乾燥手段82において、塗工液に含まれる溶剤が減圧乾燥により除去される。なお、ワーク基板70を塗布手段81から乾燥手段82まで搬送する手段として、例えば図9に示すように、回転する搬送ローラー87が用いられる。この場合、ワーク基板70の一面70a上に形成されたタッチパネルセンサ部10が搬送ローラー87に接触しながら、ワーク基板70が搬送ローラー87により搬送される。
【0079】
その後、図9に示すように、プリベーク手段83において、例えばホットプレートを用いることにより、他面70b上に形成されたブラックマトリクス層31用の材料が加熱される。これによって、他面70b上に形成されたブラックマトリクス層31用の材料の乾燥が進む。次に、露光・現像手段84において、他面70b上に形成されたブラックマトリクス層31用の材料がパターニングされる。これによって、他面70b上に、上述の図4(b)に示すような所定のパターンを有するブラックマトリクス層31が形成される。その後、水切り手段85において、ブラックマトリクス層31上に残っている液がエアーナイフにより除去される。
【0080】
次に、ブラックマトリクス層31の間に着色層32を形成する。このようにして、ワーク基板70の他面70b上の各チップ部71にカラーフィルタ部30が形成される。これによって、ワーク基板70の各チップ71にカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が形成される。なお、着色層32を形成する際に実施される工程は、用いられる材料が異なるという点を除いて、上述のブラックマトリクス層31を形成する際に実施される工程と略同一である。従って、着色層32を形成する工程の詳細な説明は省略される。
【0081】
(剥離の際の作用効果)
ところで、塗布手段81などにおいては、図10(a)に示すように、複数の吸着穴88を有する支持台86によってワーク基板70が支持される。ここで図10(b)は、ワーク基板70を支持台86から剥離させようとしている状態を示す図である。この場合、剥離の際の剥離帯電に起因して、タッチパネルセンサ部10の保護層22が帯電することが考えられる。ここで本実施の形態によれば、上述のように、ワーク基板70の一面70a上には、保護層22に接続された除電パターン23と、除電パターン23に接続された外枠除電パターン74とが設けられている。このため、保護層22に蓄えられている静電気を、除電パターン23および外枠除電パターン74に引き受けさせることができる。これによって、保護層22における帯電量を低減させることができ、このことにより、静電気の放電が生じるのを防ぐことができる。これによって、ワーク基板70を支持台86から剥離させる際、静電気の放電によってタッチパネルセンサ部10が損傷するのを防ぐことができる。
【0082】
また本実施の形態によれば、上述のように、除電パターン23は、内方に向かって先細になる先細領域24を含み、先細領域24の先端部24aは、保護層22により覆われている。このため、先細領域24をいわゆる避雷針として機能させることができる。従って、保護層22の電荷が先細領域24の先端部24aに集まりやすくなっている。このことにより、保護層22における帯電量をより確実に低減させることができる。
【0083】
さらに本実施の形態によれば、除電パターン23の先細領域24のうち先端部24aが、その他の部分に対して上方へ突出している。これによって、先細領域24の避雷針としての機能がさらに高められている。従って、保護層22の電荷が先細領域24の先端部24aにより集まりやすくなっており、このことにより、保護層22における帯電量をより確実に低減させることができる。
【0084】
また本実施の形態によれば、第1接続部15bが複数の接続部材35を含んでいる。このため、1つの接続部材によって第1接続部15bが構成される場合に比べて、第1接続部15b自体の電気抵抗を低減することができる。また、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の接触面積を増加させることができ、これによって、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の接触抵抗を低減することができる。このため、ワーク基板70と支持台86との間で仮に放電が生じ、これによってタッチパネルセンサ部10に放電電流が流れるとしても、第1接続部15bにおいて大きな熱が発生することを防止することができ、これによって、放電電流により第1接続部15bが損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0085】
ところで、本実施の形態とは異なり、第1接続部15bが1つの接続部材のみによって構成される場合であっても、この接続部材の幅を大きくすることにより、例えば本実施の形態による接続部材35の幅の2倍とすることにより、第1接続部15bの電気抵抗を低減することが可能である。以下、このような接続部材を2倍幅接続部材(図示せず)と称する。しかしながら、この場合、2倍幅接続部材が形成された領域全域にわたって、TFT基板50からの光が第1接続部15bにより遮光されることになる。
一方、本実施の形態によれば、第1接続部15bを複数の接続部材35によって構成することにより、各接続部材35を間隔を空けて配置することが可能となる。このため、TFT基板50からの光は、隣り合う2つの接続部材35の間の領域を透過することができる。また一般に、観察者には、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20の法線方向からだけでなくその他の様々な方向からの光が到達する。このため、2つの接続部材35の面積と上述の2倍幅接続部材の面積とが同一の場合であっても、2つの接続部材35の方が、液晶表示装置60の表示を妨げる度合いが小さくなっている。このため、本実施の形態によれば、1つの2倍幅接続部材が用いられる場合と同様の電気抵抗の低減を実現しながら、液晶表示装置60の表示が妨げられることを抑制することができる。
【0086】
(搬送の際の作用効果)
また回転する搬送ローラー87によってワーク基板70を搬送する場合、搬送ローラー87に起因して保護層22が帯電することが考えられる。例えば、搬送ローラー87が空転する際に搬送ローラー87が帯電し、この電気が保護層22に伝導されることが考えられる。この場合も、上述の剥離帯電の場合と同様に、保護層22に蓄えられている静電気を、除電パターン23および外枠除電パターン74に引き受けさせることができる。これによって、保護層22における帯電量を低減させることができ、このことにより、静電気の放電が生じるのを防ぐことができる。また、仮に放電が生じ、これによってタッチパネルセンサ部10に放電電流が流れるとしても、複数の接続部材35を用いて第1接続部15bを構成することにより、第1接続部15bが損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0087】
(液切りの際の作用効果)
また水切り手段85においてエアーナイフを用いてワーク基板70上の液を除去する際、エアーナイフによる大気との摩擦帯電によって保護層22が帯電することが考えられる。この場合も、上述の剥離帯電の場合と同様に、保護層22に蓄えられている静電気を、除電パターン23および外枠除電パターン74に引き受けさせることができる。これによって、保護層22における帯電量を低減させることができ、このことにより、静電気の放電が生じるのを防ぐことができる。また、仮に放電が生じ、これによってタッチパネルセンサ部10に放電電流が流れるとしても、複数の接続部材35を用いて第1接続部15bを構成することにより、第1接続部15bが損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0088】
表示装置の製造方法
次に、複数のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が割り付けられた多面付けワーク基板70から、カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20を1つ1つ取り出す。この際の具体的な方法が特に限られることはなく、例えば切断によりカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20が取り出される。ここで、好ましくは、保護層22は、ワーク基板70の一面70a上において、チップ部71内にのみ設けられている。このため、ワーク基板70の切断の際、保護層22が切断されることはない。すなわち、切断の際に保護層22に過大な力が印加されることはない。これによって、切断の際に保護層22がワーク基板70の一面70a上から剥離されるのを防ぐことができる。
【0089】
取り出されたカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ20は、図4(a)(b)(c)に示すように、液晶40およびTFT基板50と組み合わされる。また、必要に応じて、タッチパネルセンサ部10上に保護カバー(図示せず)が透明接着剤などを介して設けられる。このようにして、タッチパネル機能付き表示装置60が製造される。
【0090】
本実施の形態によれば、上述のように、各第1接続部15bは、第1方向に延び、その両端が隣り合う2つの第1電極単位15aにそれぞれ接続された少なくとも2つの接続部材35を含んでいる。このため、第1接続部15bによってタッチパネルセンサ部10の意匠性が阻害されることを抑制しながら、第1接続部15bの電気抵抗を低減し、かつ第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の接触抵抗を低減することができる。このため、タッチパネルセンサ部10における静電気が放電したとしても、第1接続部15bにおいて大きな熱が発生し、これによって第1接続部15bが損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0091】
なお本実施の形態において、第1接続部15bが2つの接続部材35から構成される例を示した。しかしながら、第1接続部15bに含まれる接続部材35の数が2に限られることはなく、第1接続部15bが形成される領域の面積や、所望の電気抵抗の値などに応じて、接続部材35の数が適宜設定されてもよい。例えば、第1接続部15bは、3つまたは4つ以上の接続部材35を含んでいてもよい。
【0092】
また本実施の形態において、第1接続部15bを構成する導電性材料として金属材料が用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1接続部15bを構成する導電性材料として、ITOなどの透明性を有する導電性材料が用いられてもよい。これによって、TFT基板50からの光が第1接続部15bにより遮光されることを確実に防ぐことができる。なお、第1接続部15bを構成する導電性材料としてITOなどの透明性を有する導電性材料が用いられる場合、好ましくは、第1接続部15bの各接続部材35の伝導部分37の幅wは20〜200μmの範囲内となっている。このように各接続部材35の伝導部分37の幅を設定することにより、各接続部材35の電気抵抗を十分に低くすることができる。
【0093】
除電パターンの層構成の変形例
また本実施の形態によるタッチパネルセンサ部10の形成工程において、はじめに第1電極単位15a,第2電極単位13aおよび第2接続部13bが形成され、次に第2接続部13b上に絶縁層18が形成され、その後に第1接続部15bが形成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、はじめに第1接続部15bを形成し、次に第1接続部15b上に絶縁層18を形成し、その後に第1電極単位15a,第2電極単位13aおよび第2接続部13bを形成してもよい。
【0094】
具体的には、はじめに、ワーク基板70の一面70a上に導電性材料を設ける。次に、設けられた導電性材料をパターニングすることにより第1接続部15bを形成する。その後、第1接続部15b上に絶縁層18を形成する。次に、ワーク基板70の一面70a上に透明電極材料を設ける。その後、設けられた透明電極材料をパターニングすることにより、第1電極単位15a,第2電極単位13aおよび第2接続部13bを形成する。これによってタッチパネルセンサ部10が形成される。図11Aおよび図11Bは、このようにして形成されたタッチパネルセンサ部10を示す縦断面図であり、上述の図3Aおよび図3Bに相当する図である。
【0095】
図11Aおよび図11Bに示すように、本変形例においては、基板11の一面11a上に2つの接続部材35からなる第1接続部15bが配置されており、また図11Bに示すように、第1接続部15bは部分的に第1電極単位15aによって上方から覆われている。すなわち、第1接続部15bは部分的に第1電極単位15aのTFT基板50側の面に接している。これによって、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間が電気的に接続されている。
【0096】
除電パターンの変形例
また本実施の形態において、除電パターン23が、内方に向かって先細になる先細領域24によって構成されている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図12に示すように、除電パターン23は、基板11の外縁に達するとともに部分的に基板11の外縁に沿って延びるよう構成されていてもよい。この場合、好ましくは、除電パターン23と第2導電パターン14との間の容量結合によって第2導電パターン14を通る信号が乱されることのないよう、除電パターン23と第2導電パターン14との間の間隔が適切に設定される。
【0097】
第2の実施の形態
次に図13および図14を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。ここで図13は、本実施の形態におけるタッチパネルセンサ部の第1接続部を拡大して示す平面図であり、図14は、図13のタッチパネルセンサ部をXIV−XIV方向から見た縦断面図である。
【0098】
図13および図14に示す第2の実施の形態は、第1接続部15bの形態が異なるのみであり、他の構成は、図1乃至図12に示す第1の実施の形態またはその変形例と略同一である。図13および図14に示す第2の実施の形態において、図1乃至図12に示す第1の実施の形態またはその変形例と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0099】
なお本実施の形態においては、タッチパネルセンサ部10の形成工程において、はじめに第1接続部15bが形成され、次に第1接続部15b上に絶縁層18が形成され、その後に第1電極単位15a,第2電極単位13aおよび第2接続部13bが形成される場合について説明する。すなわち図11Aおよび図11Bに示す上述の第1の実施の形態の変形例の場合と同様に、第1接続部15bが部分的に第1電極単位15aによって上方から覆われている場合について説明する。
【0100】
第1接続部
図13に示すように、第1接続部15bは1つの接続部材35を含んでいる。この接続部材35は、図13に示すように、隣り合う2つの第1電極単位15a上に各々配置された2つの接触部分36と、2つの接触部分36の間において第1方向(y方向)に延びる伝導部分37と、を含んでいる。このうち接触部分36は、その幅が少なくとも部分的に伝導部分37の幅より大きくなるよう構成されている。例えば図13に示すように、各接触部分36は、伝導部分37の幅wよりも大きな直径を有する円形の部分となっている。この場合、各接触部分36は、伝導部分37との境界において伝導部分37の幅と同一の幅wを有している。また接触部分36の幅は、接触部分36を構成する円形の中心に至るまで、伝導部分37から離れるにつれて単調に増加している。
【0101】
第1接続部15bを構成する導電性材料として金属材料が用いられる場合、好ましくは、第1接続部15bの各接続部材35の伝導部分37の幅wは5〜20μmの範囲内となっている。このように各接続部材35の伝導部分37の幅を設定することにより、各接続部材35の電気抵抗を十分に低くしながら、第1接続部15bによって液晶表示装置60の表示が妨げられるのを防ぐことができる。
【0102】
なお上述のように、本実施の形態においては、第1接続部15bが部分的に第1電極単位15aによって上方から覆われているが、図13においては、説明の便宜上、第1電極単位15aの下方に位置する第1接続部15bも図示されている。
【0103】
次に図14を参照して、接触部分36の幅を少なくとも部分的に伝導部分37の幅より大きくすることにより得られる作用について説明する。図14は、図13のタッチパネルセンサ部をXIV−XIV方向から見た縦断面図であり、隣り合う第1電極単位15aの間において第1接続部15bを介して放電電流が右方向へ流れる様子を示す図である。
【0104】
一般に電流は、最も電気抵抗が低くなる経路を流れると考えられる。このため本実施の形態においては、図14に示すように、左側の第1電極単位15aから最短距離で右側の第1電極単位15aに到達するとともに、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の界面での接触抵抗を可能な限り低くするよう、放電電流が第1接続部15bの表面近傍を流れることが考えられる。
【0105】
ところで、第1接続部15bは、第1電極単位15aを形成する工程とは別の工程で形成されている。また一般に第1接続部15bは金属材料から構成されており、一方、第1電極単位15aは透明電極材料から構成されている。すなわち、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の界面は、異種物質間の界面になっている。従って、第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の界面における接触抵抗は、第1接続部15b自体の電気抵抗および第1電極単位15a自体の電気抵抗よりも大きくなっていると考えられる。このため、放電電流がタッチパネルセンサ部10に流れることにより発生する熱は、主に第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の界面近傍で発生することが考えられる。
【0106】
ここで本実施の形態によれば、上述のように、第1接続部15bを構成する接続部材35の接触部分36は、その幅が少なくとも部分的に接続部材35の伝導部分37の幅より大きくなるよう構成されている。このため、接続部材35の伝導部分37によってタッチパネルセンサ部の意匠性が阻害されることを抑制しながら、接続部材35の接触部分36と第1電極単位15aとの間の接触抵抗を低減することができる。このため、静電気の放電が発生したとしても、第1接続部15bにおいて大きな熱が発生し、これによって第1接続部15bが損傷してしまうことを防ぐことができる。
【0107】
なお本実施の形態において、接続部材35の接触部分36が、伝導部分37の幅wよりも大きな直径を有する円形の部分からなる例を示した。しかしながら、接触部分36の形状が円形に限られることはなく、様々な形状が採用され得る。例えば、接触部分36の形状が、半円形、三角形または矩形となっていてもよい。
【0108】
なお基板11の法線方向から見た場合の各接触部分36の輪郭に鋭角な端部が含まれる場合、そのような鋭角な端部がいわゆる避雷針となり、この結果、鋭角な端部に保護層22の電荷が集まってしまうことが考えられる。このように接触部分36に保護層22の電荷が集まってしまうことを防ぐため、好ましくは、各接触部分36は、基板11の法線方向から見た場合に湾曲した輪郭を有するよう構成されている。例えば図15(a)(b)(c)にそれぞれ示すように、接触部分36は、半円形、三角形または矩形の端部の角を湾曲させることにより得られる形状を有していてもよい。これによって、接触部分36が避雷針となってしまうことを防ぎながら、接触部分36と第1電極単位15aとの間の接触抵抗を低減することができる。
【0109】
また本実施の形態において、第1接続部15bを構成する導電性材料として金属材料が用いられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1接続部15bを構成する導電性材料として、ITOなどの透明性を有する導電性材料が用いられてもよい。これによって、TFT基板50からの光が第1接続部15bにより遮光されることを確実に防ぐことができる。なお、第1接続部15bを構成する導電性材料としてITOなどの透明性を有する導電性材料が用いられる場合、好ましくは、第1接続部15bの各接続部材35の伝導部分37の幅wは20〜200μmの範囲内となっている。このように各接続部材35の伝導部分37の幅を設定することにより、各接続部材35の電気抵抗を十分に低くすることができる。
【0110】
また本実施の形態において、第1接続部15bが1つの接続部材35から構成される例を示した。しかしながら、第1接続部15bに含まれる接続部材35の数が1に限られることはなく、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、第1接続部15bが複数の接続部材35を含んでいてもよい。
【0111】
また本実施の形態において、第1接続部15bが部分的に第1電極単位15aによって上方から覆われている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、本実施の形態においても、図3A乃至図3Cに示す第1の実施の形態の場合と同様に、第1電極単位15aが部分的に第1接続部15bによって上方から覆われていてもよい。すなわち、タッチパネルセンサ部10の形成工程において、はじめに第1電極単位15a,第2電極単位13aおよび第2接続部13bが形成され、次に第2接続部13b上に絶縁層18が形成され、その後に第1接続部15bが形成されてもよい。
【実施例】
【0112】
次に、上述した実施の形態の具体的実施例を、比較例とともに説明する。
【0113】
(実施例1)
基板11上に、上述の第1の実施の形態の場合と同様に、2つの接続部材35から構成される第1接続部15bを有するタッチパネルセンサ部10を形成した。次に、隣り合う2つの第1電極単位15aの一方から他方へ向けて第1接続部15bを介して電流を流した。流れる電流を0〜約0.04Aまで変化させ、その際、一方の第1電極単位15aのほぼ中心部と他方の第1電極単位15aのほぼ中心部との間での電圧を測定した。
【0114】
(実施例2)
基板11上に、上述の第2の実施の形態の場合と同様に、接触部分36と伝導部分37とを含む1つの接続部材35から構成される第1接続部15bを有するタッチパネルセンサ部10を形成した。次に、実施例1の場合と同様にして、隣り合う2つの第1電極単位15aの間での電圧を測定した。
【0115】
(比較例1)
第1接続部15bが1つの接続部材35から構成される点を除いて、実施例1の場合と同様にして、隣り合う2つの第1電極単位15aの間での電圧を測定した。
【0116】
実施例1、実施例2および比較例1における電圧測定結果をそれぞれ図16に示す。図16に示すように、実施例1および実施例2によれば、第1接続部15b自体の電気抵抗および第1接続部15bと第1電極単位15aとの間の接触抵抗が低減されるよう第1接続部15bを構成することにより、隣り合う2つの第1電極単位15aの間での電気抵抗を低減することができた。
【符号の説明】
【0117】
10 タッチパネルセンサ部
11 基板
11a 基板の一面
11b 基板の他面
13 第2電極パターン
13a 第2電極単位
13b 第2接続部
14 第2導電パターン
15 第1電極パターン
15a 第1電極単位
15b 第1接続部
16 第1導電パターン
17 端子部
18 絶縁層
20 カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ
22 保護層
23 除電パターン
24 先細領域
24a 先端部
27 透明電極材料層
28 先端部用絶縁層
29 導電性材料層
30 カラーフィルタ部
31 ブラックマトリクス層
32 着色層
35 接続部材
36 接続部材
37 接触部分
38 伝導部分
40 液晶
41 封止材
50 TFT基板
51 基板
52 透明電極部
53 配線部
60 表示装置
70 ワーク基板
70a ワーク基板の一面
70b ワーク基板の他面
71 チップ部
72 外枠部
73 除電部
74 外枠除電パターン
81 塗布手段
82 乾燥手段
83 プリベーク手段
84 露光・現像手段
85 水切り手段
86 支持台
87 搬送ローラー
88 吸着穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の一面上に設けられたタッチパネルセンサ部と、
前記基板の他面上に設けられ、複数色の着色層を有するカラーフィルタ部と、を備え、
前記タッチパネルセンサ部は、第1方向に延びる第1電極パターンを有し、
各第1電極パターンは、前記第1方向に沿って並べられ、透明性を有する複数の第1電極単位と、隣り合う2つの第1電極単位を接続する第1接続部と、を含み、
各第1接続部は、前記第1方向に延び、その両端が隣り合う2つの第1電極単位にそれぞれ接続された少なくとも2つの接続部材を含む
ことを特徴とするカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ。
【請求項2】
各接続部材は、隣り合う2つの第1電極単位上に各々配置された2つの接触部分と、2つの接触部分の間において前記第1方向に延びる伝導部分と、を含み、
前記接触部分は、その幅が少なくとも部分的に前記伝導部分の幅より大きくなるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ。
【請求項3】
基板と、
前記基板の一面上に設けられたタッチパネルセンサ部と、
前記基板の他面上に設けられ、複数色の着色層を有するカラーフィルタ部と、を備え、
前記タッチパネルセンサ部は、第1方向に延びる第1電極パターンを有し、
各第1電極パターンは、前記第1方向に沿って並べられ、透明性を有する複数の第1電極単位と、隣り合う2つの第1電極単位を接続する第1接続部と、を含み、
各第1接続部は、隣り合う2つの第1電極単位上に各々配置された2つの接触部分と、2つの接触部分の間において前記第1方向に延びる伝導部分と、を含み、
前記接触部分は、その幅が少なくとも部分的に前記伝導部分の幅より大きくなるよう構成されていることを特徴とするカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ。
【請求項4】
前記第1接続部は、金属材料から形成されており、
前記第1接続部の前記伝導部分の幅は、5〜20μmの範囲内となっていることを特徴とする請求項2または3に記載のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ。
【請求項5】
前記タッチパネルセンサ部は、各々が各第1電極パターンに電気的に接続され、金属材料からなる複数の第1導電パターンをさらに有し、
前記第1接続部は、前記第1導電パターンと同一の金属材料から形成されていることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ。
【請求項6】
前記第1接続部は、透明性を有する導電性材料から形成されており、
前記第1接続部の前記伝導部分の幅は、20〜200μmの範囲内となっていることを特徴とする請求項2または3に記載のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ。
【請求項7】
前記第1接続部の各接触部分は、前記基板の法線方向から見て湾曲した輪郭を有していることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ。
【請求項8】
前記タッチパネルセンサ部は、第1方向と直交する第2方向に延びる第2電極パターンをさらに有し、
各第2電極パターンは、前記第2方向に沿って並べられ、透明性を有する複数の第2電極単位と、隣り合う2つの第2電極単位を接続するよう設けられ、透明性を有する第2接続部と、を含み、
前記第1接続部および前記第2接続部は、前記基板の法線方向から見て重なり合うよう配置されており、
前記第1接続部と前記第2接続部との間には絶縁層が介在されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ。
【請求項9】
少なくとも部分的に前記基板の外縁に達するとともに前記第1電極パターンに接触しないよう前記基板の前記一面上に設けられ、導電性を有する除電パターンと、
前記第1電極パターンおよび前記除電パターンを少なくとも部分的に覆うよう前記基板の前記一面上に設けられた保護層と、をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ。
【請求項10】
前記除電パターンは、内方に向かって先細になる先細領域を含み、
前記除電パターンのうち少なくとも前記先細領域の先端部が前記保護層によって覆われていることを特徴とする請求項9に記載のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサ。
【請求項11】
請求項1または3に記載のカラーフィルタ一体型タッチパネルセンサと、
前記カラーフィルタ一体型タッチパネルセンサの前記カラーフィルタ部側に設けられた表示基板と、を備えたことを特徴とするタッチパネル機能付き表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−37484(P2013−37484A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172109(P2011−172109)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】