説明

カラーフィルタ及び表示装置

【課題】青色領域の輝度が高く、緑色と赤色の領域の輝度が低い光源と好適に組み合わせて用いられ、表示装置とした際にCCFL光源を備えた場合に比べて輝度を同等以上とすることができるカラーフィルタを提供すること。
【解決手段】バインダー、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料及びイエロー顔料を含み、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全質量に対する、高臭素化フタロシアニン顔料の割合が65質量%以上であり、かつ、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料とイエロー顔料の合計質量に対するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が50〜95質量%である、樹脂組成物を用いて形成した緑色画素を備え、波長430〜460nmでの輝度を100とした場合に、波長530〜560nm及び波長590〜640nmでの輝度がそれぞれ、50以下である光源と組み合わせて用いられることを特徴とする、カラーフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置や有機EL表示装置に用いられるカラーフィルタ及び当該カラーフィルタを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置では、バックライトの光源としてCCFL(冷陰極蛍光ランプ)光源を用いていた。
近年、液晶表示装置では、低消費電力や色の再現領域の拡大等の観点から、CCFL(冷陰極蛍光ランプ)光源に代えて、LED(発光ダイオード)光源の採用が行われている(例えば、特許文献1)。
【0003】
CCFL光源では、光の三原色(青色、緑色、赤色)のうち、緑色(例えば、波長530〜560nm)と赤色(例えば、波長590〜640nm)の領域の輝度が高く、特に緑色の領域の輝度が高い。
一方、LED光源では、CCFL光源に比べて青色(例えば、波長430〜460nm)領域の輝度が高いが、緑色と赤色の領域の輝度が低い。
【0004】
そして、CCFL光源をLED光源に代えると、CCFL光源を用いた表示装置において輝度に最も寄与する緑色領域の輝度が、LED光源を用いた表示装置では大きく低下するため、LED光源を用いた表示装置の輝度が低下してしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−128310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、LED光源等の青色領域の輝度が高いが、緑色と赤色の領域の輝度が低い光源と好適に組み合わせて用いられ、表示装置とした際にCCFL光源を備えた場合に比べて輝度を同等以上とすることができるカラーフィルタ及び当該カラーフィルタを備えた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者が鋭意検討した結果、臭素数14以上のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を特定の割合で含む樹脂組成物を用いて形成した緑色画素を備えるカラーフィルタを用いることで、当該カラーフィルタとLED光源等の青色領域の輝度が高いが、緑色と赤色の領域の輝度が低い光源とを組み合わせた表示装置では、CCFL光源を備えた従来の表示装置と同等以上の輝度を得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明に係るカラーフィルタは、バインダー、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料及びイエロー顔料を含み、前記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全質量に対する、臭素数14以上のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が65質量%以上であり、かつ、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料とイエロー顔料の合計質量に対する当該ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が50〜95質量%である、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて形成した緑色画素を備え、波長430〜460nmでの最大輝度を100とした場合に、波長530〜560nm及び波長590〜640nmでの最大輝度がそれぞれ、50以下である光源と組み合わせて用いられることを特徴とする。
【0009】
CCFL光源からLED光源に代えただけでは上述したように緑色領域の輝度が大きく低下してしまう。そのため、上記カラーフィルタ用着色樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」ということがある。)を用いて形成した緑色画素によってこの緑色領域の輝度の低下を改善する。すなわち、上記樹脂組成物を用いて形成した緑色画素を含むカラーフィルタとLED光源等の波長430〜460nmでの最大輝度を100とした場合に、波長530〜560nm及び波長590〜640nmでの最大輝度がそれぞれ、50以下である光源(以下、「特定波長パターン光源」ということがある。)とを組み合わせることで、表示装置とした際の輝度をCCFL光源を備える表示装置と同等以上とすることができる。
【0010】
本発明に係るカラーフィルタの好適な実施態様では、前記光源が、青色発光ダイオードと赤色・緑色蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオード光源であっても良い。
【0011】
本発明に係るカラーフィルタの好適な実施態様では、前記光源が、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオード光源であっても良い。
【0012】
本発明に係るカラーフィルタの好適な実施形態では、前記緑色画素をC光源で測色した時に、CIEのXYZ表色系において、x座標を、0.0260<x<0.290、y座標を、0.540<y<0.595とすることも可能である。
【0013】
本発明に係る表示装置は、上記カラーフィルタと、波長430〜460nmでの輝度を100とした場合に、波長530〜560nm及び波長590〜640nmでの輝度がそれぞれ、50以下である光源と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るカラーフィルタは、臭素数14以上のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を特定の割合で含む樹脂組成物を用いて形成した緑色画素を備えるため、特定波長パターン光源と組み合わせても、表示装置とした際に十分な輝度が得られ、CCFL光源を備えた表示装置の輝度と同等以上とすることができる。
本発明に係る表示装置は、上記カラーフィルタを用いるため、特定波長パターン光源を備えていても、表示装置とした際の輝度を高められ、CCFL光源を備えた表示装置の輝度と同等以上とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明に係るカラーフィルタの好適な実施態様の一例を示した断面模式図である。
【図2】図2は、本発明に係る表示装置の好適な実施態様の一例を示した断面模式図である。
【図3】図3は、青色LEDとイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体とを組み合わせて白色光を生成する白色LED光源の波長400〜700nmにおけるスペクトルを示したグラフである。
【図4】図4は、青色LEDと赤色・緑色蛍光体とを組み合わせて白色光を生成する白色LED光源の波長400〜700nmにおけるスペクトルを示したグラフである。
【図5】図4は、CCFL光源の波長400〜700nmにおけるスペクトルを示したグラフである。
【図6】図6は、白色光源の波長400〜700nmにおけるスペクトルを比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念であり、硬化後に画素のマトリクスとなる成分を意味する。
本発明において、分子量とは、分子量分布を有する場合には、THF溶剤におけるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値である重量平均分子量を意味し、分子量分布を有しない場合には、化合物そのものの分子量を意味する。
【0017】
(カラーフィルタ)
本発明に係るカラーフィルタは、バインダー、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料及びイエロー顔料を含み、前記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全質量に対する、臭素数14以上のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が65質量%以上であり、かつ、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料とイエロー顔料の合計質量に対する当該ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が50〜95質量%である、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて形成した緑色画素を備え、波長430〜460nmでの最大輝度を100とした場合に、波長530〜560nm及び波長590〜640nmでの最大輝度がそれぞれ、50以下である光源と組み合わせて用いられることを特徴とする。
【0018】
上記樹脂組成物を用いて形成した緑色画素を含むカラーフィルタとLED光源等の特定波長パターン光源とを組み合わせることで、表示装置とした際の輝度を高められ、CCFL光源を備える表示装置の輝度と同等以上とすることができる。
なお、上記輝度は、緑色画素を備えるカラーフィルタにおいて、輝度(Y)は、輝度計((株)トプコン製の商品名SR−UL1)を用いて測定した値である。
【0019】
以下、本発明に係るカラーフィルタに含まれる緑色画素を形成するためのカラーフィルタ用着色樹脂組成物について説明する。
【0020】
(カラーフィルタ用着色樹脂組成物)
カラーフィルタ用着色樹脂組成物は、バインダー、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料及びイエロー顔料を含み、前記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全質量に対する、臭素数14以上のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が65質量%以上であり、かつ、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料とイエロー顔料の合計質量に対する当該ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が50〜95質量%である。
ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全質量に対して、臭素数14以上のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(以下、「高臭素化フタロシアニン顔料」ということがある。)の割合が65質量%であり、かつ、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料とイエロー顔料の合計質量に対する当該ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が50〜95質量%であることによって、同じ色相に合わせた場合に従来の青味がかったポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料を使用した場合よりも黄色顔料の比率が下がり透過率が向上する。さらに、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の単色スペクトルは現行品よりも波長470〜520nmの領域、すなわち緑色領域での透過率が高くなる。そのため、当該樹脂組成物を用いて形成した緑色画素を含むカラーフィルタと、LED光源等の特定波長パターン光源と組み合わせて表示装置とした際の輝度を高められ、CCFL光源を備える表示装置の輝度と同等以上とすることができる。
【0021】
以下、カラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれる、必須成分であるバインダー、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料及びイエロー顔料、必要に応じて含まれていてもよいその他の成分について説明する。
【0022】
(バインダー)
バインダーは、樹脂組成物に成膜性や被塗工面に対する密着性を付与する成分である。
バインダーとしては、従来公知のカラーフィルターの着色画素に用いられているアルカリ可溶性、熱硬化性又は熱可塑性のバインダーを用いることができる。このようなバインダーとしては、例えば、特開2010−002746号公報に記載のバインダーが好ましい。
【0023】
アルカリ可溶性のバインダーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸及びこれらの酸無水物等のモノマーを重合した、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
この他、重合可能なモノマーであるメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明においては、市販のバインダーを用いることもでき、例えば、アロニックスM−5600(東亞合成(株)製の商品名アロニックスM−5600、アロニックスM−6200、アロニックスM−7100及びアロニックスM−9050が好ましい。
アルカリ可溶性のバインダーの分子量は、5000〜50000が好ましい。
【0024】
熱硬化性のバインダーとしては、例えば、特開2010−002746号公報に記載の式(1)で表わされる構成単位及び式(2)で表わされる構成単位から構成される重合体(バインダー性エポキシ樹脂)が好ましい。
熱硬化性バインダーの分子量は、5000〜100000が好ましい。
【0025】
本発明においては、上記アルカリ可溶性のバインダーや熱硬化性のバインダーを1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0026】
樹脂組成物において、後述するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料及びイエロー顔料等の顔料(P)と、顔料以外の固形分(V)との質量比(P/V)は、0.2〜0.8であることが、パターニング性及び電気信頼性の観点から好ましい。
【0027】
(ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料)
本発明におけるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料とは、フタロシアニン分子(構造)1個当たり、塩素原子と臭素原子が、合計で最大16個結合した構造を有する物質である。
本発明におけるポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、下記一般式(1)で表わされる構造を有することが好ましい。
【0028】
【化1】

(一般式(1)中、16個のXは、それぞれ独立に塩素原子、臭素原子又は水素原子である。)
【0029】
本発明の樹脂組成物では、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全質量に対する、高臭素化フタロシアニン顔料の割合が65質量%以上である。当該高臭素化フタロシアニン顔料の割合が65質量%未満では、樹脂組成物から形成した緑色画素と特定波長パターン光源とを組み合わせて表示装置としても、十分な輝度が得られない。
本発明の樹脂組成物では、上記一般式(1)の構造を有するポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全質量に対する、高臭素化フタロシアニン顔料の割合が65質量%以上であることが好ましく、さらに70質量%以上であることが好ましい。
【0030】
上記高臭素化フタロシアニン顔料は、例えば、特開昭50−130816号公報等に開示されている公知の製造方法で製造することができる。例えば、芳香環の水素原子の一部又は全部が臭素の他、塩素等のハロゲン原子で置換されたフタル酸やフタロジニトリルを適宜出発原料として使用して、顔料を合成する方法が挙げられる。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒を用いても良い。
【0031】
高臭素化フタロシアニン顔料を製造する方法は、上記方法の他、例えば、特開2004−070342号公報に記載の以下の方法でも製造することができる。
このような方法としては、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム等の混合物からなる110〜170℃の溶融物中で、亜鉛フタロシアニンを臭素ガスで臭素化する方法がある。この方法においては、溶融塩中の塩化物と臭化物の比率を調節したり、塩素ガスの導入量や反応時間を変化させることによって、臭素含有量の異なる種々のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンの比率を任意に制御することができる。反応終了後、得られた混合物を塩酸等の酸性水溶液中に投入すると、生成した一部又は全部が臭素化されたポリハロゲン化亜鉛フタロシアニンが沈殿する。その後、濾過、洗浄、乾燥等の後処理を行って、高臭素化フタロシアニン顔料を得る。
【0032】
本発明において、特定の臭素数のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全質量に対する割合は、REFLEX II(ブルカー・ダルトニクス(株)製)を用いて、MALDI(Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization;マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)-TOF MS(Time of Flight Mass Spectrometry;飛行時間型質量分析法)の結果を解析することにより求めることができる。例えば、特定の臭素数のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の質量数に対応するピークを特定し、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全体に対するその特定のピーク強度の割合(比)から、特定の臭素数のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全質量に対する割合を求めることができる。したがって、臭素数14以上のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合を求めるためには、MALDI-TOF MSの測定結果から、臭素数14、15及び16のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の質量数に対応するピークを特定し、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料全体に対する、その3つのピーク強度の和の割合を求めればよい。
【0033】
ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の平均1次粒径は、要求される性能に応じて適宜選択すれば良いが、0.01〜0.10μmであることが好ましい。
なお、本発明における1次粒子の平均粒子径とは、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製の商品名JEM−2010)で視野内の粒子を撮影し、二次元画像上の、凝集体を構成する顔料1次粒子の50個につき、その長い方の径(長径)を各々求め、それを平均した値である。
【0034】
ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料は、上記条件を満たすものであれば、臭素化数、形状及び粒径が、全て同一のものを用いても良いし、異なるものを組み合わせて用いても良い。
【0035】
本発明の樹脂組成物では、上記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と後述するイエロー顔料の合計質量に対する当該ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が50〜95質量%である。当該割合が、50質量%未満の場合及び95質量%を超える場合、カラーフィルタとして最適な緑色画素の色度を得られない。
本発明の樹脂組成物では、上記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料と後述するイエロー顔料の合計質量に対する当該ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が、60〜95質量%であることが好ましく、60〜90質量%であることがさらに好ましい。
【0036】
(イエロー顔料)
イエロー顔料は、上記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(緑色顔料)と組み合わせて調色するために用いる。
このようなイエロー顔料としては、従来公知の黄色顔料から適宜選択して用いれば良いが、カラーインデックス(C.I.)ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー213及びC.I.ピグメントイエロー214からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0037】
(分散剤)
樹脂組成物において、必要に応じて上記顔料を分散させるために従来公知の分散剤を用いることができる。
このような分散剤としては、例えば、特許文献1に記載のカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系又はフッ素系等の界面活性剤を使用することができる。
また、例えば、特開2007−070342号公報に記載の高分子分散剤も好ましく用いられる。
【0038】
分散剤の市販品としては、例えば、共栄社化学(株)製の商品名ポリフローNo.75、同90、同95、DIC(株)製の商品名メガファックF171、同F172、同F173、ビックケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK(登録商標)111、同130、同161、同162、同163、同164、同170、同182、同2000、同2001、エフカ社製の商品名エフカ46、エフカ47、ゼネカ社製の商品名ソルスパース3000、同5000、同9000、同12000、同13240、同13940、同17000、同20000、同24000、同26000、同28000等が挙げられる。なかでも、ビックケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK2000が好ましい。
【0039】
分散剤を用いる場合、その量は適宜調節すれば良いが、例えば、上記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料とイエロー顔料の合計100質量部に対して、20〜100質量部とすることが好ましい。
【0040】
(重合開始剤)
樹脂組成物のバインダーとして、アルカリ可溶性又は熱硬化性のバインダーを用いる場合、硬化反応を促進等させる観点から、重合開始剤を用いることが好ましい。
重合開始剤は、バインダーが有する硬化性基の種類等に応じて適宜選択して用いれば良い。例えば、特許文献1や特開2007−070342号公報に記載の光重合開始剤、熱重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン等が好ましい。
【0041】
光重合開始剤の市販品としては、例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名イルガキュア184、同369、同651、同819、同907、メルク社製の商品名ダロキュアシリーズ等を挙げることができる。
【0042】
重合開始剤を用いる場合、その量は適宜調節すれば良いが、例えば、樹脂組成物の全固形分の合計質量に対して、1〜20質量%とすることが好ましい。
【0043】
(硬化剤)
熱硬化性バインダーには、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、従来公知の熱硬化性バインダーと組み合わせて用いられるものを用いることができる。
硬化剤としては、例えば、特開2010−002746号公報に記載の硬化剤が好ましい。
硬化剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
硬化剤を用いる場合の配合量は、バインダー性エポキシ樹脂等のエポキシ基を有する成分100質量部当たり、通常は1〜100質量部の範囲であり、好ましくは5〜50質量部である。
【0044】
(溶剤)
樹脂組成物の粘度、顔料分散性、分散の経時安定性を調整するために、必要に応じて溶剤を用いることができる。
溶剤としては、例えば、特許文献1に記載のイソプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチレングリコールジメチルエーテル(別名ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(別名1−メトキシプロパン−2−オール)等のグリコールエーテル類並びに酢酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(別名酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(別名酢酸2−エトキシ−1−メチルエチル)、3−メトキシブチルアセテート(別名酢酸3−メトキシブチル)及びブチルカルビトールアセテート(別名酢酸2−(2−ブトキシエトキシ)エチル)等の酢酸エステル類等があげられる。
中でも、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート及び3−メトキシブチルアセテートが好ましい。
【0045】
溶剤を用いる場合、その量は適宜調節すれば良いが、例えば、樹脂組成物の合計質量に対して、10〜90質量%とすることが好ましい。
【0046】
(緑色画素の形成方法)
緑色画素の形成方法は特に限定されず、上記樹脂組成物を用いて、例えば、特許文献1に記載の従来公知のフォトリソグラフィー法等の画素の形成方法で形成すれば良い。
例えば、樹脂組成物が光硬化性のバインダーを含む場合、塗布対象面(領域)に樹脂組成物をインクジェット法やスピンコーティング法により塗布した後、フォトマスクを介して紫外線による露光(パターン露光)を行った後、未露光部分を溶剤や、水酸化カリウム水溶液等のアルカリ水溶液等で洗浄(現像)することにより形成することができる。樹脂組成物を塗布後、露光前に加熱処理(プリベーク)を行っても良い。また、現像後に加熱処理を行っても良い。
【0047】
本発明に係るカラーフィルタは、上述したように特定波長パターン光源と組み合わせて表示装置とした際に、CCFL光源を備えた表示装置と同等以上の輝度を得ることができる。このような特定波長パターン光源としては、青色LEDと赤色・緑色蛍光体(以下、「RG蛍光体」ということがある。)とを組み合わせて白色光を生成する白色LED光源(以下、「白色LED(B−YAG)」ということがある。)及び青色LEDとイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体(以下、「YAG蛍光体」ということがある。)とを組み合わせて白色光を生成する白色LED光源(以下、「白色LED(B−RG)」ということがある。)が好ましく挙げられる。
青色LED、赤色LED及び緑色LEDを組み合わせて白色光を生成する場合に比べて、上記青色LEDと、RG蛍光体又はYAG蛍光体とを組み合わせて白色光を生成する場合の方が、LED光源を安価及び小型化することができる。
【0048】
特に、特定波長パターン光源が、白色LED(B−RG)の場合、上記樹脂組成物から形成した緑色画素を各光源で測色した時に、CIEのXYZ表色系において、x座標が、0.300〜0.320の色相において、従来の緑色画素を備えるカラーフィルタとCCFL光源を組み合わせた表示装置や従来の緑色画素を備えるカラーフィルタと白色LED(B−YAG)を組み合わせた表示装置よりも輝度を大きく向上することができる。
一例として、上記樹脂組成物から形成した緑色画素を白色LED(B−RG)を用いて観察すると、CIEのXYZ表色系において、x座標が、0.300〜0.320の色相において、輝度(Y)を60〜65とすることができる。
また、上記樹脂組成物から形成した緑色画素を白色LED(B−YAG)を用いて観察すると、CIEのXYZ表色系において、x座標が、0.300〜0.320の色相において、輝度(Y)を57〜60とすることができる。
【0049】
RG蛍光体としては、青色光を吸収して赤色蛍光と緑色蛍光を発光する蛍光体であれば良く、例えば、特許文献1又は特開2003−141905号公報に記載の従来公知のRG蛍光体を用いることができる。
YAG蛍光体としては、青色光を吸収して黄色蛍光と緑色蛍光を発光する蛍光体であれば良く、例えば、特許文献1又は特開2008−218486号公報に記載の従来公知のYAG蛍光体を用いることができる。
【0050】
本発明に係るカラーフィルタの他の好適な実施形態では、前記緑色画素をC光源で測色した時に、CIEのXYZ表色系において、x座標を、0.260<x<0.290、y座標を、0.540<y<0.595とすることも可能である。
これにより、カラーフィルターの色純度を損なうことなく輝度を高くできるという利点がある。
【0051】
本発明に係るカラーフィルタは、上記樹脂組成物を用いて形成した緑色画素と特定波長パターン光源を備える。本発明に係るカラーフィルタの好適な実施態様では、これらの他、必要に応じて青色画素、赤色画素、遮光部(ブラックマトリクス層)、保護膜(オーバーコート層)、透明電極、スペーサー等の通常のカラーフィルタに用いられているその他の構成を有していても良い。
【0052】
図1は、本発明に係るカラーフィルタの好適な実施態様の一例を示した断面模式図である。
カラーフィルタ1は、透明基板10の一面側に所定のパターンで形成された遮光部20と、透明基板10の遮光部20で画定された領域に所定のパターンで形成された着色画素30(赤色画素30R、緑色画素30G、青色画素30B)と、着色画素30を覆うように形成された保護膜40を備えている。
【0053】
(青色画素及び赤色画素)
本発明に係るカラーフィルタの好適な実施態様では、上記樹脂組成物を用いて形成した緑色画素30Gの他、青色画素30B及び赤色画素30Rについても、それぞれ、上記樹脂組成物と同様の方法で調製した青色着色組成物及び赤色着色組成物により形成することができる。
青色着色組成物及び赤色着色組成物については、従来公知の青色画素形成用の着色組成物や、赤色画素形成用の着色組成物を用いることができる。
青色着色組成物及び赤色着色組成物については、例えば、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料(緑色顔料)以外の青色顔料や赤色顔料と、上記バインダー、分散剤、重合開始剤及び溶剤を適宜混合して、調製することができる。
青色着色組成物に用いる青色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー1、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60及びC.I.ピグメントブルー62等が挙げられる。
また、青色着色組成物には上記青色顔料に加えて、さらに紫色顔料を混合しても良い。
赤色着色組成物に用いる赤色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254及びC.I.ピグメントレッド264、等が挙げられる。
また、赤色着色組成物には上記赤色顔料に加えて、さらに黄色顔料を混合しても良い。
【0054】
(透明基板)
透明基板10は、従来公知のカラーフィルタに用いられているものであれば特に限定されない。
例えば、特開2007−122042号公報に記載の石英ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明な基板、透明樹脂フィルム等の可撓性を有する透明な基板を用いることができる。
透明基板10は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与等の目的で表面処理を施したものであっても良い。
【0055】
(遮光部)
遮光部20は、カラーフィルタを用いた場合の表示画像のコントラストを向上させる働きを有する。遮光部20は、通常、着色画素30R、30G、30Bの間及び着色画素30の形成領域の外側を取り囲むように設けられる。
遮光部20は、従来公知のカラーフィルタに用いられている遮光部やブラックマトリクスであれば特に限定されない。
例えば、特開2007−122042号公報に記載のバインダー中にカーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させた樹脂層とすることができる。
遮光部の厚さは、適宜調節すれば良く、通常、0.5〜3.0μmであれば良い。
【0056】
(保護膜)
保護膜40は、カラーフィルタの表面を平坦化する働きを有する。さらに、カラーフィルタ1が、液晶表示装置に用いられる場合は、着色画素30に含まれる成分が液晶層に溶出するのを防止する働きも有する。
保護膜40は、従来公知の保護膜やオーバーコート層として用いられているものであれば特に限定されない。
例えば、特開2007−122042号公報に記載のようにネガ型の光硬化性樹脂を遮光部20と着色画素30を覆うように塗布し、硬化させて形成すれば良い。
保護膜40の厚さは、適宜調節すれば良く、通常、0.1〜5.0μmであれば良い。
【0057】
この他、スペーサー、透明電極等も、例えば、特開2007−122042号公報に記載のものなど、従来公知のものを用いることができる。
【0058】
(表示装置)
本発明に係る表示装置は、上記カラーフィルタと、波長430〜460nmでの輝度を100とした場合に、波長530〜560nm及び波長590〜640nmでの輝度がそれぞれ、50以下である光源と、を含むことを特徴とする。
本発明に係る表示装置は、上記カラーフィルタを用いるため、特定波長パターン光源を備えていても、表示装置とした際の輝度をCCFL光源を備えた表示装置の輝度と同等以上とすることができる。
【0059】
表示装置としては、上記構成を有するものであれば良く、特に限定されないが、液晶表示装置、有機EL表示装置であることが好ましい。
【0060】
図2は、本発明に係る表示装置の好適な実施態様の一例を示した断面模式図である。
液晶表示装置50は、特定波長パターン光源60、駆動側基板70、液晶層80及びカラーフィルタ1を備える。
【0061】
(駆動側基板)
本発明に用いられる駆動側基板70としては、白色LED光源液晶表示装置の駆動方式等に応じて、一般的に液晶表示装置に用いられている駆動側基板として公知の構成を有するものとすることができる。
本発明における白色LED光源液晶表示装置の駆動方式としては、一般的に液晶表示装置に用いられている駆動方式を採用することができる。このような駆動方式としては、例えば、TN方式、IPS方式、OCB方式、MVA方式及びPVA方式等を挙げることができる。
【0062】
(液晶層)
本発明に用いられる液晶層80としては、一般的な液晶表示装置に用いられるものと同様とすることができる。
【0063】
特定波長パターン光源60は、その表示装置によって、導光板、拡散板、プリズムシート等のその他の光学部材を含んでいても良い。
【0064】
本発明に係る表示装置の製造方法としては、上記各構成が精度良く積層されたものとする方法であれば良く、表示装置の種類に応じて、一般的な液晶表示装置や有機EL表示装置の製造方法を用いることができる。
【0065】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様の作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0066】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。
【0067】
合成例で用いている化合物の略称はそれぞれ、括弧内に示す通りである。
メタクリル酸メチル(MMA)
アクリル酸(AA)
メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)
ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)
メタクリル酸グリシジル(GMA)
【0068】
(合成例1)
重合槽中にMMAを63質量部、AAを12質量部、HEMAを6質量部及びDMDGを88質量部仕込み、攪拌し溶解させた後、AIBNを7質量部加え、均一に溶解させた。その後、窒素気流下、85℃で2時間攪拌し、さらに100℃で1時間反応させた。得られた溶液に、さらにGMAを7質量部、トリエチルアミンを0.4質量部及びハイドロキノンを0.2質量部加え、100℃で5時間攪拌し、共重合樹脂溶液(固形分50%)を得た。
【0069】
下記の材料を室温で混合、攪拌して硬化性樹脂組成物とした。
上記共重合樹脂溶液(固形分50%):16質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(サートマー社製の商品名SR399):24質量部
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製の商品名エピコート180S70):4質量部
2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製の商品名イルガキュア907):4質量部
DMDG:52質量部
【0070】
(カラーフィルタ用着色樹脂組成物の調製)
下記の材料を室温で混合、攪拌してカラーフィルタ用着色樹脂組成物を調製した。
上記硬化性樹脂組成物(バインダー):5質量部
C.I.ピグメントグリーン58(ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、DIC(株)製の商品名A310、臭素数14以上のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が73質量%、平均1次粒径0.05μm):7質量部
C.I.ピグメントイエロー150(イエロー顔料、Lanxess社製の商品名Byplast Yellow 5GN01):3質量部
高分子分散剤(ビックケミー・ジャパン(株)製の商品名DISPERBYK2000):3質量部
酢酸3−メトキシブチル(溶剤):82質量部
【0071】
(実施例1)
(カラーフィルタの作製)
ガラス基板(100mm四方、厚さ0.7mm、旭硝子(株)製の商品名AN100)上に、上記調製したカラーフィルタ用着色樹脂組成物をスピンコーティング法により、塗布厚み2.5μmで塗布し、その後、70℃のオーブン中で3分間乾燥した。
次いで、カラーフィルタ用着色樹脂組成物の塗布膜に2.0kWの超高圧水銀ランプを用いて着色層の形成領域に相当する領域のみに紫外線を10秒間照射した。
次いで、0.05質量%水酸化カリウム水溶液(液温23℃)中に1分間浸漬してアルカリ現像した。
その後、ガラス基板を180℃の雰囲気下に30分間放置することにより、加熱処理を施して緑色画素を備えるカラーフィルタを作製した。
【0072】
(実施例2)
実施例1において、カラーフィルタ用着色樹脂組成物のC.I.ピグメントグリーン58の含有量を6質量部とし、イエロー顔料をC.I.ピグメントイエロー150に代えて、C.I.ピグメントイエロー138(BASF社製の商品名Paliotol Yellow L0960 HD)4質量部とした以外は実施例1と同様にして緑色画素を備えるカラーフィルタを作製した。
【0073】
(比較例1)
実施例1において、カラーフィルタ用着色樹脂組成物のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料をC.I.ピグメントグリーン58(DIC(株)製の商品名A310)に代えて、DIC(株)製の商品名A110(ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料、臭素数14以上のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が62質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして緑色画素を備えるカラーフィルタを作製した。
【0074】
白色LED(B−YAG)について、(株)トプコン製の商品名SR−UL1を用いて波長400〜700nmにおけるスペクトルを測定したところ、波長455nmでの輝度を100とした場合に、波長550nm及び波長590nmでの輝度がそれぞれ、17及び14であった。そして、白色LED(B−RG)では、同様に波長400〜700nmにおけるスペクトルを測定したところ、波長445nmでの輝度を100とした場合に、波長540nm及び波長600nmでの輝度がそれぞれ、33及び22であった。
上記白色LED(B−YAG)、白色LED(B−RG)、CCFL光源における波長400〜700nmにおけるそれぞれのスペクトルのグラフ及びその3つのスペクトルを比較したグラフをそれぞれ、図3〜6に示す。
【0075】
(白色光源における輝度の測定)
上記実施例1〜2及び比較例1の各カラーフィルタについて、下記表1に示す白色光源と組み合わせて、輝度計((株)トプコン製の商品名SR−UL1)を用いて、x=0.300、y=0.612の色相における輝度(Y)を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
【0076】
【表1】

【0077】
(C光源における色相の測定)
上記実施例1〜2及び比較例1の各カラーフィルタの緑色画素をC光源で測色した時のCIEのXYZ表色系における、x座標及びy座標を測定した。その結果を表1に合わせて示す。
【0078】
(結果のまとめ)
比較例1のカラーフィルタを用いてCCFL光源で輝度を測定した場合、輝度(Y)は360.0であった。同じ比較例1のカラーフィルタを用いて、このCCFL光源を白色LED(B−YAG)に代えると、輝度(Y)は343.1に低下した。また、このCCFL光源を白色LED(B−RG)に代えると、輝度(Y)は355.6に低下した。
これに対して、実施例1のカラーフィルタを用いた場合、白色LED(B−YAG)で輝度を測定すると、輝度(Y)は361.2と、比較例1のカラーフィルタとCCFL光源の組み合わせた場合よりも輝度が高くなった。
実施例2のカラーフィルタを用いた場合も、白色LED(B−YAG)で輝度を測定すると、輝度(Y)は367.3と、比較例1のカラーフィルタとCCFL光源の組み合わせた場合よりも輝度が高くなった。
さらに、実施例2のカラーフィルタを用いて、白色LED(B−RG)で輝度を測定すると、輝度(Y)は404.4と、比較例1のカラーフィルタとCCFL光源の組み合わせた場合よりも輝度が大きく向上した。
【符号の説明】
【0079】
1 カラーフィルタ
10 透明基板
20 遮光部
30 着色画素
30R 赤色画素
30G 緑色画素
30B 青色画素
40 保護膜
50 液晶表示装置
60 特定波長パターン光源
70 駆動側基板
80 液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー、ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料及びイエロー顔料を含み、
前記ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の全質量に対する、臭素数14以上のポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が65質量%以上であり、かつ、
ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料とイエロー顔料の合計質量に対する当該ポリハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料の割合が50〜95質量%である、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて形成した緑色画素を備え、
波長430〜460nmでの輝度を100とした場合に、波長530〜560nm及び波長590〜640nmでの輝度がそれぞれ、50以下である光源と組み合わせて用いられることを特徴とする、カラーフィルタ。
【請求項2】
前記光源が、青色発光ダイオードと赤色・緑色蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオード光源であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記光源が、青色発光ダイオードとイットリウム・アルミニウム・ガーネット蛍光体とを組み合わせた白色発光ダイオード光源であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記緑色画素をC光源で測色した時に、CIEのXYZ表色系において、x座標が、0.0260<x<0.290、y座標が、0.540<y<0.595であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記請求項1乃至4のいずれか一項に記載のカラーフィルタと、波長430〜460nmでの輝度を100とした場合に、波長530〜560nm及び波長590〜640nmでの輝度がそれぞれ、50以下である光源と、を含むことを特徴とする、表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−53183(P2012−53183A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−194369(P2010−194369)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】