説明

カラーフィルタ基板,およびカラーフィルタ基板を利用した有機発光表示装置

【課題】青色光および赤色光の混合光から,発光効率および色座標が向上された赤色光,青色光および緑色光を具現するカラーフィルタ基板,およびカラーフィルタ基板を利用した有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】青色波長の光および赤色波長の光の混合光を受けてフルカラーを具現するカラーフィルタ基板において,カラーフィルタ基板は,青色波長の光を緑色光および赤色光に変換する第1色変換部材と,緑色光を遮断する緑色遮断部材とを含む赤色カラーフィルタと,青色波長の光を緑色光および赤色光に変換する第2色変換部材と,赤色光および赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材とを含む緑色カラーフィルタと,赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材を含む青色カラーフィルタとを含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,カラーフィルタ基板,およびカラーフィルタ基板を利用した平板表示装置に関し,より詳細には,青色および赤色の混合光から,発光効率および色座標が向上されるカラーを具現するカラーフィルタ基板,およびカラーフィルタ基板を利用した有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
平板表示装置,特に,有機発光素子でフルカラーを具現する方法は,大きく分けて3色発光法,カラーフィルタ法,色変換法に分類される。3色発光法は,R,G,B三種類の色相をそれぞれ発光する発光源を利用する方法である。カラーフィルタ法は,主に白色発光源から放出される光をカラーフィルタを通じて,R,G,Bに分ける方法である。色変換法は,青色発光源から放出される光をカラーフィルタの代わりに,色変換材(蛍光体)を使って,R,G,Bに分ける方法である。
【0003】
ところが,3色発光法は,ある一色の寿命が全体寿命を決めるという問題点がある。カラーフィルタ法は,白色発光源から放出される白色光がカラーフィルタに吸収されて,光量が低下するという問題点がある。色変換法は,青色発光源から放出される青色光によって,色変換材が励起されてコントラストが低下するという問題点がある。従って,より寿命が長くて,発光効率および色座標の優れたフルカラーを具現する方法が要求され,研究されている。特に,シャドウマスクのない工程で構成されて,高精細化を果たすことができるカラーフィルタおよび色変換法について,多くの改善がなされている。
【0004】
一例として,特許文献1は,白色光を放出する発光層とフォトリソグラフィを使って形成されたカラーフィルタを適用した有機発光素子を開示している。
【0005】
また,図1は,特許文献2に開示する従来のカラー発光装置の模式図である。このカラー発光装置は,白色光から青色光と緑色光を赤色光に変換させ,赤色光のみを透過させる赤色カラーフィルタ,および白色光から青色光を緑色光に変換させ,緑色光のみを透過させる緑色カラーフィルタを含む。
【0006】
一方,上記従来のカラーフィルタ基板,およびカラーフィルタ基板を利用した有機発光表示装置に関する技術を記載した文献としては,下記特許文献1〜8等がある。
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,515,418号
【特許文献2】大韓民国特許公開第10−2004−00058393号明細書
【特許文献3】大韓民国特許公開第2003−0013700号明細書
【特許文献4】大韓民国特許公開第2003−0057634号明細書
【特許文献5】米国特許公開第2005/0248929A1号明細書
【特許文献6】米国特許公開第2005/0089713A1号明細書
【特許文献7】米国特許公開第6,844,670B2号明細書
【特許文献8】米国特許公開第6,737,800B1号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし,改善された従来技術として,特許文献1に開示されている白色光を放出する発光層とフォトリソグラフィを使って形成されたカラーフィルタは,R,G,Bそれぞれの色純度改善のために発光効率が減少されなければならないという問題点がある。また,図1で示す改善された従来技術のカラー発光装置では,赤色光の発光効率および色純度が良くなくて,3色発光源の色座標変化がひどく,製造工程が複雑な赤色,緑色および青色の3波長を利用するという問題点がある。
【0009】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,赤色光および青色光の混合光を発光源とする場合,赤色光,緑色光,青色光の発光効率および色座標を向上したカラーフィルタ基板,およびカラーフィルタ基板を利用した有機発光表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために,本発明の第1の観点によれば,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を受けて,フルカラーを具現するカラーフィルタ基板において,上記青色波長の光を緑色光および赤色光に変換する第1色変換部材と,上記緑色光を遮断する緑色遮断部材を含む赤色カラーフィルタと,上記青色波長の光を緑色光および赤色光に変換する第2色変換部材と,上記赤色光および上記赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材を含む緑色カラーフィルタと,上記赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材を含む青色カラーフィルタを含んで構成されるカラーフィルタ基板が提供される。
【0011】
本発明によれば,青色光および赤色光の混合光を発光源として,その混合光を各々に対応した色に変換する色変換部材と,不要な色を遮断する色遮断部材とを備えるカラーフィルタが形成されるカラーフィルタ基板,およびカラーフィルタ基板を用いる有機発光表示装置が提供される。従って,色変換部材と各々に対応した色を透過する透過材とで構成される従来技術のカラーフィルタ基板に比べて,赤色光,緑色光,青色光の発光効率および色座標を向上することができる。また,有機発光層を,青色光を放出する青色発光材料および赤色光を放出する赤色発光材料で形成するので,有機発光層を形成しやすくて,駆動電圧および電流密度による有機発光層の色座標の変化がひどくならない。
【0012】
第1色変換部材および第2色変換部材は,3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリンまたは3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリンで形成されてもよい。
【0013】
第1色変換部材および第2色変換部材は,蛍光性のある無機顔料または有機顔料で形成されてもよい。
【0014】
緑色遮断部材の透過率は,600nm〜780nmの間で,50%以上であってよい。
【0015】
緑色カラーフィルタの赤色遮断部材の透過率は,550nm〜750nmの間で30%以下であり,400nm〜530nmの間で,60%以上であってよい。
【0016】
第1色変換部材と緑色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0017】
第1色変換部材と緑色遮断部材は,互いに混合して一つの層で形成されてよい。
【0018】
第2色変換部材と赤色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0019】
第2色変換部材と赤色遮断部材は,互いに混合して一つの層で形成されてよい。
【0020】
上記課題を解決するために,本発明の第2の観点によれば,基板と,基板の一面に形成される第1電極と,第1電極上に形成され,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を発光する有機発光層と,有機発光層上に形成される第2電極と,基板の上記一面の反対側となる他面に赤色カラーフィルタ,緑色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタを具備するカラーフィルタ基板とを含んで構成され,赤色カラーフィルタは,有機発光層から放出される上記青色波長の光を緑色光および赤色光に変換する第1色変換部材と,上記緑色光を遮断する緑色遮断部材とを含み,緑色カラーフィルタは,有機発光層から放出される上記青色波長の光を緑色光および赤色光に変換する第2色変換部材と,上記赤色光および有機発光層から放出される上記赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材とを含み,青色カラーフィルタは,有機発光層から放出される上記赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材を含む有機発光表示装置が提供される。
【0021】
混合光の色座標は,X=0.20〜0.50で,Y=0.20〜0.43であってよい。
【0022】
有機発光層の上記青色波長の光を放出する青色発光材料は,Firpic,(3,5−diCF3ppy)Irpic,(3−CNppy)Ir,(3,5−diCNppy)Irpic,SDI−BD−785,SDI−BD−735,およびSBD−02で構成される群から選択される一つを含むことができる。
【0023】
有機発光層の上記赤色波長の光を放出する赤色発光材料は,(Btp)Ir(acac),pq3Ir,PqIr(acac),DCM2,およびDCJTBで構成される群から選択される一つを含むことができる。
【0024】
第1色変換部材と緑色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0025】
第1色変換部材を形成する第1層の厚さは,1〜30μmで,緑色遮断部材を形成する第2層の厚さは,0.5〜5μmであってよい。
【0026】
第1色変換部材と緑色遮断部材は,互いに混合して一つの層で形成されてよい。
【0027】
第1色変換部材と緑色遮断部材を混合して形成した上記一つの層の厚さは,1〜30μmであってよい。
【0028】
第2色変換部材と赤色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0029】
第2色変換部材を形成する第1層の厚さは,1〜30μmで,赤色遮断部材を形成する第2層の厚さは,0.5〜5μmであってよい。
【0030】
第2色変換部材と赤色遮断部材は,互いに混合して一つの層で形成されてよい。
【0031】
第2色変換部材と赤色遮断部材を混合して形成した上記一つの層の厚さは,1〜30μmであってよい。
【0032】
上記課題を解決するために,本発明の第3の観点によれば,基板と,基板の一面に形成される第1電極と,第1電極上に形成され,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を発光する有機発光層と,有機発光層上に形成される第2電極と,第2電極上に赤色カラーフィルタ,緑色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタを具備するカラーフィルタ基板とを含んで構成され,赤色カラーフィルタは,有機発光層から放出される上記青色波長の光を緑色光および赤色光に変換する第1色変換部材と,上記緑色光を遮断する緑色遮断部材とを含み,緑色カラーフィルタは,有機発光層から放出される上記青色波長の光を緑色光および赤色光に変換する第2色変換部材と,上記赤色光および有機発光層から放出される上記赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材とを含み,青色カラーフィルタは,有機発光層から放出される上記赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材を含む有機発光表示装置が提供される。
【0033】
混合光の色座標は,X=0.20〜0.50で,Y=0.20〜0.43であってよい。
【0034】
有機発光層の上記青色波長の光を放出する青色発光材料は,Firpic,(3,5−diCF3ppy)Irpic,(3−CNppy)Ir,(3,5−diCNppy)Irpic,SDI−BD−785,SDI−BD−735,およびSBD−02で構成される群から選択される一つを含むことができる。
【0035】
有機発光層の上記赤色波長の光を放出する赤色発光材料は,(Btp)Ir(acac),pq3Ir,PqIr(acac),DCM2,およびDCJTBで構成される群から選択される一つを含むことができる。
【0036】
第1色変換部材と緑色遮断部材は,各々独立した層で形成されてもよい。
【0037】
第1色変換部材を形成する第1層の厚さは,1〜30μmで,緑色遮断部材を形成する第2層の厚さは,0.5〜5μmであってよい。
【0038】
第1色変換部材と緑色遮断部材は,互いに混合して一つの層で形成されてよい。
【0039】
第1色変換部材と緑色遮断部材を混合して形成する上記一つの層の厚さは,1〜30μmであってよい。
【0040】
第2色変換部材と赤色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0041】
第2色変換部材を形成する第1層の厚さは,1〜30μmで,赤色遮断部材を形成する第2層の厚さは,0.5〜5μmであってよい。
【0042】
第2色変換部材と赤色遮断部材は,互いに混合して一つの層で形成されてよい。
【0043】
第2色変換部材と赤色遮断部材を混合して形成する上記一つの層の厚さは,1〜30μmであってよい。
【0044】
上記課題を解決するために,本発明の第4の観点によれば,青色波長の光および赤色波長の光を放出する発光源から放出される上記青色波長の光を,緑色波長の光および赤色波長の光に変換する色変換部材と,上記緑色波長の光を遮断する緑色遮断部材とを含む赤色カラーフィルタが提供される。
【0045】
緑色遮断部材の透過率は,600nm〜780nmの間で50%以上であってよい。
【0046】
色変換部材と緑色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0047】
色変換部材と緑色遮断部材は,互いに混合して一つの層で形成されてよい。
【0048】
上記課題を解決するために,本発明の第5の観点によれば,基板と,基板の一面に形成される第1電極と,第1電極上に形成され,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を発光する有機発光層と,有機発光層上に形成される第2電極と,基板の上記一面の反対側となる他面の赤色画素領域に形成される赤色カラーフィルタとを含んで構成され,赤色カラーフィルタは,有機発光層から放出される上記青色波長の光を緑色波長の光および赤色波長の光に変換する色変換部材と,上記緑色波長の光を遮断する緑色遮断部材を含む有機発光表示装置が提供される。
【0049】
混合光の色座標は,X=0.20〜0.50で,Y=0.20〜0.43であってよい。
【0050】
色変換部材と緑色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0051】
色変換部材と緑色遮断部材は,互いに混合して一つの混合層で形成されてよい。
【0052】
上記課題を解決するために,本発明の第6の観点によれば,基板と,基板の一面に形成される第1電極と,第1電極上に形成され,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を発光する有機発光層と,有機発光層上に形成される第2電極と,第2電極上の赤色画素領域に形成される赤色カラーフィルタとを含んで構成され,赤色カラーフィルタは,有機発光層から放出される上記青色波長の光を緑色波長の光および赤色波長の光に変換する色変換部材と,上記緑色波長の光を遮断する緑色遮断部材とを含む有機発光表示装置が提供される。
【0053】
混合光の色座標は,X=0.20〜0.50で,Y=0.20〜0.43であってよい。
【0054】
色変換部材と緑色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0055】
色変換部材と緑色遮断部材は,互いに混合して一つの混合層で形成されてよい。
【0056】
上記課題を解決するために,本発明の第7の観点によれば,青色波長の光および赤色波長の光を放出する発光源から放出される上記青色波長の光を,緑色波長の光および赤色波長の光に変換する色変換部材と,色変換部材によって変換された上記赤色波長の光および発光源から放出された上記赤色波長の光のみを遮断する赤色遮断部材とを含む緑色カラーフィルタが提供される。
【0057】
赤色遮断部材の透過率は,550nm〜750nmの間で30%以下であり,400nm〜530nmの間で60%以上であってよい。
【0058】
色変換部材と赤色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0059】
色変換部材と赤色遮断部材は,互いに混合して一つの層で形成されてよい。
【0060】
上記課題を解決するために,本発明の第8の観点によれば,基板と,基板の一面に形成される第1電極と,第1電極上に形成され,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を発光する有機発光層と,有機発光層上に形成される第2電極と,基板の上記一面の反対側となる他面の緑色画素領域に形成される緑色カラーフィルタとを含んで構成され,緑色カラーフィルタは,有機発光層から放出される上記青色波長の光を緑色波長の光および赤色波長の光に変換する色変換部材と,上記赤色波長の光および有機発光層から放出される上記赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材とを含む有機発光表示装置が提供される。
【0061】
混合光の色座標は,X=0.20〜0.50で,Y=0.20〜0.43であってよい。
【0062】
色変換部材と赤色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0063】
色変換部材と赤色遮断部材は,互いに混合して一つの混合層で形成されてよい。
【0064】
上記課題を解決するために,本発明の第9の観点によれば,基板と,基板の一面に形成される第1電極と,第1電極上に形成され,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を発光する有機発光層と,有機発光層上に形成される第2電極と,第2電極上の緑色画素領域に形成される緑色カラーフィルタとを含んで構成され,緑色カラーフィルタは,有機発光層から放出される上記青色波長の光を緑色波長の光および赤色波長の光に変換する色変換部材と,上記赤色波長の光および有機発光層から放出される上記赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材とを含む有機発光表示装置が提供される。
【0065】
色変換部材と赤色遮断部材は,各々独立した層で形成されてよい。
【0066】
色変換部材と赤色遮断部材は,互いに混合して一つの混合層で形成されてよい。
【発明の効果】
【0067】
以上説明したように本発明によれば,青色光および赤色光の混合光をフルカラーで具現する場合,赤色光および緑色光の発光効率および色座標を高めることができる。また,赤色カラーフィルタおよび緑色カラーフィルタに同じ色変換層を具備することで,工程効率を上昇させることができる。さらに,発光層を赤色発光材料および青色発光材料だけで構成するため,駆動電圧および電流密度による色座標の変化がひどくないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0069】
以下では,本発明のカラーフィルタ基板の好ましい実施形態を,図2を参照しながらより詳しく説明する。図2は,本発明の実施形態に係るカラーフィルタ基板の構成図である。これによると,カラーフィルタ基板は,透明基板,赤色カラーフィルタ,緑色カラーフィルタ,および青色カラーフィルタを含んで構成される。本発明の実施形態のカラーフィルタに使われる発光源は,青色波長の光および赤色波長の光を混合した混合光で,色座標がX=0.20〜0.50で,Y=0.20〜0.43となる白色光であることが好ましい。
【0070】
一方,図3は,本発明の実施形態のカラーフィルタに使われる光源の発光スペクトルを示す。このように発光源を青色波長の光および赤色波長の光だけで構成する場合,駆動電圧および電流密度による発光源の色座標変化がひどくならなくて,発光源の製造が容易であるという長所がある。つまり,本発明の実施形態は,赤色発光材料および青色発光材料で発光源を構成するので,従来技術の赤色発光材料,緑色発光材料,青色発光材料で構成する白色発光源に比べて,発光源を構成する発光材料が一つ減るため,駆動電圧および電流密度の変化による色座標変化の影響が従来技術に比べて,少なくなる。よって,駆動電圧および電流密度による発光源の色座標変化がひどくならない。
【0071】
透明基板は,各色相のカラーフィルタが形成される基材であり,硝子や透明ポリマー等の透光性のある材料で構成される。
【0072】
赤色カラーフィルタは,第1色変換部材と緑色遮断部材を含んで構成される。第1色変換層の色変換材は,発光源から放出される青色波長の光を緑色波長の光と微量の赤色波長の光に変換する材料で構成される。図4は,赤色カラーフィルタの第1色変換部材を透過した光の発光スペクトルを示す。図4によると,光の波長は,450nm〜630nmで,450nm〜610nmの緑色領域と610nm〜630nmの赤色領域を含む。
【0073】
この時,第1色変換部材の材料は,蛍光色素とバインダ樹脂,または蛍光色素だけで構成される。例えば,3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(以下,クマリン6),3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(以下,クマリン7),Alq3,または蛍光性のある無機顔料および有機顔料などが使用される。
【0074】
緑色遮断部材は,第1色変換部材に接して形成され,600nm〜780nmの間で透過率が50%以上になるように構成される色素で形成される。さらに,緑色遮断部材に用いられる色素は,600nm〜780nmの間で透過率が50%以上で,400nm〜580nmの間で透過率が30%以下になるように構成されてもよい。または,緑色遮断部材は,その色素をバインダ樹脂に溶解,または分散させた材料で形成されてもよい。一方,図5は,緑色遮断部材の透過スペクトルを示すグラフである。
【0075】
一方,赤色カラーフィルタは,第1色変換部材と緑色遮断部材を各々異なる二つの層となるように構成されてもよいし,第1色変換部材と緑色遮断部材を,互いに混合して一つの混合層になるように構成されてもよい。
【0076】
上述した赤色カラーフィルタを通過した混合光は,第1色変換部材によって青色波長の光が緑色光および赤色光に変換され,変換された緑色光は,緑色遮断部材によって除去されて,変換された赤色光のみが元々の光源から放出される赤色波長の光と合わせられて,放出される。従って,赤色カラーフィルタを通過した赤色光は,高い赤色発光効率および色座標を有することができる。
【0077】
緑色カラーフィルタは,第2色変換部材と赤色遮断部材を含んで構成される。第2色変換部材の色変換材料は,発光源から放出される青色波長の光を緑色光および微量の赤色光に変換する材料で構成され,第1色変換部材と同じ材料で構成されることが好ましい。すなわち,色変換部材の蛍光色素として,3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(以下,クマリン6),3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(以下,クマリン7),Alq3,または蛍光性のある無機顔料および有機顔料などが使用される。従って,赤色カラーフィルタおよび緑色カラーフィルタの各々色変換層を同じ材料で形成するので,工程効率を向上することができる。
【0078】
赤色遮断部材は,第2色変換部材に接して形成され,550nm〜750nmの間で透過率が30%以下で,400nm〜530nmの間で透過率が60%以上になるように構成される色素で形成される。または,赤色遮断部材は,その色素をバインダ樹脂に溶解,または分散させる材料で形成される。この時,赤色遮断部材は,赤色のみを遮断する色素のみで構成されるので,赤色遮断部材の製造がより容易になる。一方,図6は,赤色遮断部材の透過スペクトルを示すグラフである。図6の赤色遮断部材は,570nm〜730nmで,透過率が30%以下となり,410nm〜530nmで,透過率が60%以上になるように構成される色素で形成される。
【0079】
一方,緑色カラーフィルタは,第2色変換部材と赤色遮断部材を各々異なる二つの層となるように構成されてもよいし,第2色変換部材と赤色遮断部材を互いに混合して一つの混合層になるように構成されてもよい。
【0080】
上述した緑色カラーフィルタを混合光が通過する場合,第2色変換部材によって青色波長の光が緑色光および赤色光に変換され,変換された赤色光と光源から放出される赤色波長の光は,赤色遮断部材によって除去されて,緑色光のみが放出される。従って,緑色カラーフィルタを通過した緑色光は,高い緑色発光効率および色座標を有することができる。
【0081】
青色カラーフィルタは,発光源から放出される赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材を含むように構成される。青色カラーフィルタに使われる色素は,シアニン系顔料,銅フタロシアニン系顔料,インダントロン系顔料,ジオキサジン系顔料およびこれらの混合物などが使用される。混合光が青色カラーフィルタを通過する場合,赤色遮断部材によって,赤色波長の光が遮られて,青色波長の光のみが放出される。
【0082】
カラーフィルタ基板は,透明基板上にブラックマトリックスをコーティングした後,各色相(赤,青,緑)のカラーフィルタがコーティングされる位置に対応してブラックマトリックスパターンを形成し,パターンに合わせて各色相のカラーフィルタを順次コーティングしてパターニングすることで製作することができる。
【0083】
以下では,カラーフィルタ基板を平板表示装置のひとつである有機発光表示装置に適用して,本発明の実施形態に係るカラーフィルタ基板を利用した平板表示装置について詳しく説明する。ただし,当業者には,このような赤色,青色,緑色カラーフィルタが有機発光表示装置以外にも,液晶表示装置等各種表示装置にも応用されて使用されることは公知である。
【0084】
図7は,本発明の実施形態に係るカラーフィルタ基板を適用する有機発光表示装置の一実施形態を示す断面図である。図7によると,有機発光表示装置は,基板100,第1電極110,有機発光層120,第2電極130,およびカラーフィルタ基板160を含んで構成される。
【0085】
基板100には,透明性,表面平滑性,取り扱い容易性および防水性に優れる硝子,または透明プラスチック基板等が使用される。
【0086】
本発明の実施形態でも,第1電極110および第2電極130は,通常の電極を非制限的に使用するので,詳細な説明を略する。ただし,第1電極110および第2電極130のいずれか一つがアノード電極の場合,インジウムスズ酸化物(ITO;Indium Tin Oxide),インジウム亜鉛酸化物(IZO;Indium Zinc Oxide),酸化スズ(SnO),酸化亜鉛(ZnO)などが材料として使用されるし,カソード電極の場合,リチウム,マグネシウム,アルミニウム,アルミニウム−リチウム,カルシウム,マグネシウム−インジウム,マグネシウム−銀などが使用される。図7では,第1電極110は,基板100の一面に形成され,第1電極110上に有機発光層120が形成される。そして,有機発光層120上に第2電極130が形成される。
【0087】
有機発光層120は,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を発光するように構成されるが,本明細書では,有機発光層120は,発光層を必須的に含み,ホール注入層,ホール輸送層,正孔阻止層,電子注入層,電子輸送層等を選択的に含む。各層に対する部材,機能等に関する事項は,当業者に周知されているので,これに対する詳細な説明は略する。本発明の実施形態では,有機発光層120は,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を発光する発光源となる。
【0088】
混合光を発光するための有機発光層120は,多様に構成される。例えば,青色発光層および赤色発光層を各々別に形成するか,または,有機発光層120を複数で分割して,青色波長帯および赤色波長帯の発光部材で構成することができる。
【0089】
青色発光のための材料として,Firpic,(3,5−diCF3ppy)Irpic,(3−CNppy)Ir,(3,5−diCNppy)Irpic,SDI−BD−785,SDI−BD−735,SBD−02,FIr6,Peryleneなどで構成される群から選択される一つが使用される。赤色発光のための材料では,(Btp)Ir(acac),pq3Ir,PqIr(acac),DCM2,DCJTB,BtIr(acac)などで構成される群から選択される一つの材料が使用される。上記の化合物の構造を,下記の化学式1〜15で示す。そして,本発明の実施形態では,有機発光層120を赤色発光材料および青色発光材料だけで構成するため,駆動電圧および電流密度による色座標の変化がひどくないという効果がある。
【0090】
【化1】

【0091】
【化2】

【0092】
【化3】

【0093】
【化4】

【0094】
【化5】

【0095】
【化6】

【0096】
【化7】

・・・・・・(化学式7)
【0097】
【化8】

【0098】
【化9】

【0099】
【化10】

【0100】
【化11】

【0101】
【化12】

【0102】
【化13】

【0103】
【化14】

【0104】
【化15】

【0105】
発光強度の調節は,材料を適当な割合で混合し,有機発光層の厚さ,有機発光層のホストおよびドーパントの割合を調節して効率的に調節することができる。この時,混合光の色座標は,X=0.20〜0.50で,Y=0.20〜0.43であることが好ましい。
【0106】
本実施形態でカラーフィルタ基板160は,透明基板165と,赤色カラーフィルタ162,緑色カラーフィルタ163,および青色カラーフィルタ164を含み,有機発光層120が形成される基板100の他面に具備される。ここで,基板100の他面とは,第1電極110が形成される基板100の一面に対して,反対側の面となる。
【0107】
赤色カラーフィルタ162は,第1色変換部材162aと緑色遮断部材162bを含んで構成される。第1色変換部材162aの色変換材料は,有機発光層120から放出される青色波長の光を,緑色波長の光と微量の赤色波長の光に変換する部材で構成される。変換された光の波長は,450nm〜630nmで,上述したように450nm〜610nmの緑色領域と610〜630nmの低い範囲の赤色領域を含む。
【0108】
この時,第1色変換部材162aの材料は,蛍光色素とバインダ樹脂(色変換樹脂組成物)で構成されてもよいし,または,蛍光色素のみで構成される。蛍光色素は,例えば,3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(以下,クマリン6),3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(以下,クマリン7),Alq3,または蛍光性のある無機顔料および有機顔料などが使用される。
【0109】
第1色変換部材162aは,色変換樹脂組成物を基板100の他面上に所望の厚さになるように成膜することで形成される。この時,用いられる成膜方法は,スピンコーティング法,印刷法,塗布法などが使用され,または,転写法も可能である。第1色変換部材162aの成膜厚さは,1〜30μmにすることが好ましい。1μm以下の場合,色変換が円滑でなく,30μm以上の場合,リソグラフィが困難となる。
【0110】
緑色遮断部材162bは,第1色変換部材162aに接して形成され,600nm〜780nmの間で,透過率が50%以上になるように構成される赤色素で形成されてもよい。または,その赤色素をバインダ樹脂に溶解もしくは,分散させる材料で形成されてもよい。さらに,緑色遮断部材162bに用いられる色素は,600nm〜780nmの間で透過率が50%以上で,400nm〜580nmの間で透過率が30%以下になるように構成されてもよい。
【0111】
緑色遮断部材162bは,第1色変換部材162a上に所望の厚さになるように成膜することで形成される。この時,用いられる成膜方法は,スピンコーティング法,ロールコーティング法,バーコーティング法,キャスティング法,および転写法などが使用される。成膜後のパターニングは,リソグラフィおよびスクリーン印刷法等が使用される。
【0112】
この時,緑色遮断部材162bは,0.5〜5μmの厚さで形成される。0.5μm以下では,透過率調節が難しく,5μm以上では,リソグラフィが困難となる。好ましくは,1〜2μmである。ここで,第1色変換部材162aおよび緑色遮断部材162bは,各々独立した層で形成され,第1色変換部材162aは,第1層となり,緑色遮断部材162bは,第2層となる。また,第1色変換部材162aおよび緑色遮断部材162bは,各々を混合した一つの層で形成されてもよい。
【0113】
赤色カラーフィルタ162を通過した混合光(青色波長の光および赤色波長の光)は,第1色変換部材162aによって,青色波長の光が緑色光および赤色光に変換され,変換された緑色光は,緑色遮断部材162bによって除去され,変換された赤色光のみが,元々の光源(有機発光層120)から放出される赤色波長の光と合わせられる。従って,赤色カラーフィルタ162を通過した赤色光は,高い赤色発光効率および色座標を有する。
【0114】
緑色カラーフィルタ163は,第2色変換部材163aと赤色遮断部材163bを含んで構成される。第2色変換部材163aの色変換材料は,有機発光層120から放出される青色波長の光を,緑色光および微量の赤色光に変換する材料で構成され,第1色変換部材162aと同じ材料で構成されることが好ましい。すなわち,第2色変換部材163aの色変換材料には,第1色変換部材162aに用いられる蛍光色素と同じで,3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(以下,クマリン6),3−(2’−ベンズイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(以下,クマリン7),Alq3,または蛍光性のある無機顔料および有機顔料などが使用される。従って,赤色カラーフィルタおよび緑色カラーフィルタの色変換層を同じ材料で形成するので,工程効率を向上することができる。
【0115】
第2色変換部材163aの成膜方法は,上述の第1色変換部材162aの成膜方法と同じである。第2色変換部材163aの成膜厚さは,1〜30μmにすることが好ましい。1μm以下の場合,色変換が円滑でなく,30μm以上の場合,リソグラフィが困難となる。
【0116】
赤色遮断部材163bは,第2色変換部材163aに接して形成され,550nm〜750nmの間で透過率が30%以下で,400nm〜530nmの間で透過率が60%以上になるように構成される色素で形成されてもよい。または,その色素をバインダ樹脂に溶解もしくは,分散させる材料で形成される。この時,赤色遮断部材163bは,赤色のみを遮断する色素のみで構成されるので,赤色遮断部材163bの製造がより容易になる。
【0117】
赤色遮断部材163bは,第2色変換部材163a上に所望の厚さになるように成膜することで形成される。この時,用いられる成膜方法は,スピンコーティング法,ロールコーティング法,バーコーティング法,キャスティング法,および転写法などが使用される。成膜後のパターニングは,リソグラフィおよびスクリーン印刷法等が使用される。
【0118】
この時,赤色遮断部材163bは,0.5〜5μmの厚さで形成される。0.5μm以下では,透過率調節が難しく,5μm以上では,リソグラフィが困難となる。好ましくは,1〜2μmである。ここで,第2色変換部材163aおよび赤色遮断部材163bは,各々独立した層で形成され,第2色変換部材163aは,第1層となり,赤色遮断部材163bは,第2層となる。また,第2色変換部材163aおよび赤色遮断部材163bは,各々を混合した一つの層で形成されてもよい。
【0119】
緑色カラーフィルタ163を有機発光層120から放出される混合光(青色波長の光および赤色波長の光)が通過する場合,第2色変換部材163aによって,青色波長の光が緑色光および赤色光に変換され,変換された赤色光と有機発光層120から放出された赤色波長の光は,赤色遮断部材163bによって除去されて,緑色光のみが放出される。従って,緑色カラーフィルタ163を通過した緑色光は,高い緑色発光効率および色座標を有する。
【0120】
青色カラーフィルタ164は,有機発光層120から放出される赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材を含むように構成される。青色カラーフィルタ164に使われる色素は,シアニン系顔料,銅フタロシアニン系顔料,インダントロン系顔料,ジオキサジン系顔料およびこれらの混合物などが使用される。有機発光層120から放出される混合光(青色波長の光および赤色波長の光)が,青色カラーフィルタ164を通過する場合,赤色遮断部材によって赤色波長の光が遮られて,青色波長の光のみが放出される。
【0121】
一方,説明の便宜上,本実施形態では,有機発光表示装置を構成する追加の構成要素,例えば,バッファー層150,ブラックマトリックス161などの機能は,公知されている。これら構成要素は,多様に変形して実施することができるので,これに対する詳細な説明は略するが,当業者にとって,これらは周知である。ここで,基板100の一面にバッファー層150が形成される場合,第1電極110は,バッファー層150上に形成されることになる。
【0122】
赤色カラーフィルタ162および緑色カラーフィルタ163の各々は,対応する色変換材料と色遮断材料を混合した一つの層(混合層)で形成されるということは,前述したとおりである。この時,混合層の成膜厚さは,1〜30μmにすることが好ましい。1μm以下の場合,色変換が円滑でなく,30μm以上の場合,リソグラフィが困難となる。
【0123】
図8は,本発明の実施形態に係るカラーフィルタを適用する有機発光表示装置の他の実施形態を示す断面図である。これによると,有機発光表示装置は,基板200,第1電極210,有機発光層220,第2電極230,カラーフィルタ基板260を含んで構成される。図8では,第1電極210は,基板200の一面に形成され,第1電極210上に有機発光層220が形成される。そして,有機発光層220上に第2電極230が形成される。
【0124】
本実施形態でカラーフィルタ基板260は,基板200側に形成されず,第2電極230側,つまり,第2電極230上に形成される。この時,カラーフィルタ基板260を有機発光層220が形成される基板200の上面に接合させることで,有機発光表示装置を製造することができる。この時,カラーフィルタ基板260には,平坦化層など結合が容易な追加の層が形成されることは,当業者とって,周知である。また,第2電極230上にバッファー層250が形成される場合,カラーフィルタ基板260は,バッファー層250上に形成されることになる。
【0125】
本発明の実施形態は,本発明の実施形態に係るカラーフィルタ基板を背面発光または前面発光いずれにも適用することができる。また,両面発光構造にも適用される。
【0126】
以下では,図7を参照しながら,色変換部材と色遮断部材を各々独立した層で構成する本発明の実施形態に係るカラーフィルタの一実施形態の製造方法を説明して,本発明の実施可能性を高め,この製造方法によって製造された本発明の実施形態のカラーフィルタ基板を,通常のカラーフィルタ基板に対比して,その効果を説明する。
【0127】
まず,透明基板165上にブラックマトリックス161をコーティングした後,各色相(赤色,青色,緑色)のカラーフィルタがコーティングされる位置に対応して,ブラックマトリックス161パターンを形成する。25mgのクマリン6と2.5gのPVB(poly vinyl butyral)との混合物を,7.5gのエチルセルソルブ(ethyl cellu solve)に溶解して第1色変換部材162aの材料を形成する。ブラックマトリックス161パターンに合わせて,赤色領域(赤色画素領域)には,この第1色変換部材162aの材料を10μm以内にコーティングした後,80℃で30分間乾燥して第1色変換部材162aを形成する。乾燥された第1色変換部材162a上部に緑色遮断部材162bをコーティングした後,80℃で2分間乾燥してパターニングすることで赤色カラーフィルタ162を形成する。
【0128】
緑色領域(緑色画素領域)にも赤色カラーフィルタ162で用いられた同じ工程により,第2色変換部材163aを形成した後,赤色遮断部材163bをコーティングし,パターニングして緑色カラーフィルタ163を形成する。青色領域には,別途の色変換部材なしに赤色遮断部材のみを形成して青色カラーフィルタ164を完成する。
【0129】
一方,図9は,発光源(有機発光層120)より放出される混合光(青色波長の光および赤色波長の光)が,本発明の実施形態の赤色カラーフィルタを透過した時の発光スペクトルを示すグラフである。図10は,図9と同じ光源から放出される光が,通常の赤色カラーフィルタを透過した時の発光スペクトルを示すグラフである。
【0130】
図10を図9に比べる場合,本発明の実施形態の赤色カラーフィルタは,通常の赤色カラーフィルタより,青色波長の光をほとんど透過させず,高い強度の赤色波長の光を有することが分かる。
【0131】
一方,表1は,色座標が0.34,0.38であり,発光効率18cd/Aの青色波長の光および赤色波長の光の混合光源を使った場合,混合光源から放出される光が,本発明の実施形態の赤色カラーフィルタと,通常の赤色カラーフィルタ(比較例)を透過した時の色座標および発光効率の結果を示す。
【0132】
【表1】

【0133】
これによれば,本発明の実施形態の赤色カラーフィルタを透過した光の色座標は,0.67,0.32で,比較例の赤色カラーフィルタを透過した光の色座標0.65,0.31に比べると,向上された赤色発光を具現することができることが分かる。また,発光効率も5.5cd/Aであり,5.2cd/Aである比較例の赤色カラーフィルタを適用した場合に比べて,向上されたことが分かる。
【0134】
一方,図11は,青色波長の光および赤色波長の光の混合光源から放出される光が,通常の緑色カラーフィルタを透過した時の発光スペクトルを示すグラフである。図12は,図11と同じ光源から放出される光が,本発明の実施形態の緑色カラーフィルタを透過した時の発光スペクトルを示すグラフである。
【0135】
図12を図11に比べる場合,本発明の実施形態の緑色カラーフィルタは,通常の緑色カラーフィルタを適用した場合より,幅広い緑色波長範囲で高い強度を有することが分かる。
【0136】
一方,表2は,色座標が0.32,0.41の青色波長の光および赤色波長の光の混合光源を使った場合,混合光源から放出される光が,本発明の実施形態の緑色カラーフィルタと,通常の緑色カラーフィルタ(比較例)を透過した時の色座標および発光効率の結果を示す。
【0137】
【表2】

【0138】
上記表2によると,本発明の実施形態の緑色カラーフィルタの色座標は,0.22,0.67であり,比較例の緑色カラーフィルタの色座標0.27,0.56に比べると,向上された緑色発光を具現することができることが分かる。また,発光効率も6.5cd/Aで,比較例の緑色カラーフィルタを適用した場合に比べて,向上されたことが分かる。
【0139】
一方,表3は,青色波長の光および赤色波長の光を含む混合光(光源)の色座標および発光効率と,実施形態と異にした場合の赤色カラーフィルタ,緑色カラーフィルタおよび青色カラーフィルタを透過した光の発光効率および色座標との結果を示す。
【0140】
【表3】

【0141】
また,図13は,表3の色座標を示すグラフであり,色再現範囲74%のフルカラーが具現されることが分かる。つまり,図13では,CIE色座標領域に対する本発明の実施形態の各々カラーフィルタの色再現性(図13の略三角形)を示し,本発明の実施形態のカラーフィルタの各々が,高い色再現性を備えることが分かる。上記表3の結果より,本発明の実施形態のカラーフィルタ基板は,高い発光効率と優れた色座標を有する赤色光,緑色光および青色光を放出できる。
【0142】
本発明は,実施形態を基準に主に説明されたが,発明の要旨と範囲を脱しないで多くの他の可能な修正と変形が可能であることを当業者は認識できる。例えば,赤色カラーフィルタのみを本実施形態に適用したフィルタとして採用し,緑色カラーフィルタは一般的な公知のフィルタで構成するか,その反対に構成することも可能である。また,有機発光層を成す材料の変更,色変換層や色遮断層の部材および厚さの変更等は,当業者とって,容易に変更可能である。
【0143】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】従来技術のカラーフィルタ基板の模式図である。
【図2】本発明のカラーフィルタ基板の一実施形態を図示する模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係るカラーフィルタ基板に使われる発光源の発光スペクトルを示すグラフである。
【図4】図2の実施形態の赤色カラーフィルタの第1色変換部材を光が透過した時の発光スペクトルを示すグラフである。
【図5】図2の実施形態の赤色カラーフィルタの緑色遮断部材の透過度を示すグラフである。
【図6】図2の実施形態の緑色カラーフィルタの赤色遮断部材の透過度を示すグラフである。
【図7】本発明の実施形態に係るカラーフィルタ基板を適用した有機発光表示装置の一実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態に係るカラーフィルタ基板を適用した有機発光表示装置の他の実施形態を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る赤色カラーフィルタを形成した有機発光表示装置において,光源を青色波長の光および赤色波長の光の混合光とする場合の発光スペクトルを示すグラフである。
【図10】従来の赤色カラーフィルタを形成した有機発光表示装置において,光源を青色波長の光および赤色波長の光の混合光とする場合の発光スペクトルを示すグラフである。
【図11】従来の緑色カラーフィルタを形成した有機発光表示装置において,光源を青色波長の光および赤色波長の光の混合光とする場合の発光スペクトルを示すグラフである。
【図12】本発明の実施形態に係る緑色カラーフィルタを形成した有機発光表示装置において,光源を青色波長の光および赤色波長の光の混合光とする場合の発光スペクトルを示すグラフである。
【図13】本発明の実施形態に係る有機発光表示装置において,改善された色座標を示すグラフである。
【符号の説明】
【0145】
110,210 第1電極
120,220 有機発光層
130,230 第2電極
160,260 カラーフィルタ基板
162,262 赤色カラーフィルタ
163,263 緑色カラーフィルタ
162a,262a 第1色変換部材
162b,262b 緑色遮断部材
163a,263a 第2色変換部材
163b,263b 赤色遮断部材
164,264 青色カラーフィルタ
165,265 透明基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と;
前記基板の一面に形成される第1電極と;
前記第1電極上に形成され,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を発光する有機発光層と;
前記有機発光層上に形成される第2電極と;
前記基板の前記一面の反対側となる他面の緑色画素領域に形成される緑色カラーフィルタと;
を含んで構成され,
前記混合光の色座標は,X=0.20〜0.50で,Y=0.20〜0.43であり、
前記緑色カラーフィルタは,
前記有機発光層から放出される前記青色波長の光を緑色波長の光および赤色波長の光に変換する色変換部材と,前記赤色波長の光および前記有機発光層から放出される前記赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材とを含むことを特徴とする,有機発光表示装置。
【請求項2】
前記赤色遮断部材の透過率は,550nm〜750nmの間の波長の光に対して30%以下であり,400nm〜530nmの間の波長の光に対して60%以上であることを特徴とする,請求項1に記載の緑色カラーフィルタ。
【請求項3】
前記色変換部材と前記赤色遮断部材は,各々独立した層で形成されることを特徴とする,請求項1または2に記載の緑色カラーフィルタ。
【請求項4】
前記色変換部材と前記赤色遮断部材は,互いに混合して一つの層で形成されることを特徴とする,請求項1または2に記載の緑色カラーフィルタ。
【請求項5】
基板と;
前記基板の一面に形成される第1電極と;
前記第1電極上に形成され,青色波長の光および赤色波長の光の混合光を発光する有機発光層と;
前記有機発光層上に形成される第2電極と;
前記第2電極上の緑色画素領域に形成される緑色カラーフィルタと;
を含んで構成され,
前記混合光の色座標は,X=0.20〜0.50で,Y=0.20〜0.43であり、
前記緑色カラーフィルタは,
前記有機発光層から放出される前記青色波長の光を緑色波長の光および赤色波長の光に変換する色変換部材と,前記赤色波長の光および前記有機発光層から放出される前記赤色波長の光を遮断する赤色遮断部材とを含むことを特徴とする,有機発光表示装置。
【請求項6】
前記色変換部材と前記赤色遮断部材は,各々独立した層で形成されることを特徴とする,請求項5に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記色変換部材と前記赤色遮断部材は,互いに混合して一つの混合層で形成されることを特徴とする,請求項5に記載の有機発光表示装置




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2012−119331(P2012−119331A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23925(P2012−23925)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【分割の表示】特願2010−235462(P2010−235462)の分割
【原出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】