説明

カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、液晶表示装置及び有機EL表示装置

【課題】本発明は、得られる画素の断面形状が適切、つまり、アンダーカットになり難い(画素が順テーパーである)、着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明はまた、色濃度が高い画素、並びに高品質の液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】(A)色材、(B)溶剤及び(C)バインダー樹脂を含むカラーフィルタ用着色樹脂組成物であって、更に、特定の構造で表される化合物を含むことを特徴とする、カラーフィルタ用着色樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用着色樹脂組成物、カラーフィルタ、並びに液晶表示装置及び有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタを製造する方法としては、基板上あるいは予め所望のパターンの遮光層を形成した基板上に、着色樹脂組成物の塗膜を形成して、所定のパターンを有するフォトマスクを介して放射線を照射(以下、「露光」という。)し、現像して未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、各色の画素を得る方法が知られている。
【0003】
近年、技術革新の流れは急速であり、カラーフィルタを有する液晶表示装置(「パネル」)には高色濃度が求められており、そのためカラーフィルタについても近年ますます色材濃度が高まっている傾向にある。
さらに、生産性向上とコストダウンの見地から、露光量を下げてタクトタイムを短縮することが主流となっている。これにつれて、カラーフィルタ上に形成される透明電極の断線、画素のはがれ及び光漏れが起きやすくなり、パネルの表示不良や欠陥の原因となっていた。
【0004】
また、省エネルギー化という時代の流れを汲んで、カラーフィルタとしては更なる高輝度化、高コントラスト化が求められるようになった。これに伴い、染料の開発も行われているが、染料を用いた場合には、所望の線幅で画素を形成しようとしたとき、より画素が剥がれたり、端が欠けたりすることが起きやすい。
これらの問題を解決するために、例えば、特許文献1では、特定の官能基をもつビニル系樹脂を、特許文献2ではカプロラクタム構造を持つ多官能性単量体と特定の光重合開始剤との併用を開示している。また特許文献3では3官能以上の多価不飽和二重結合を有する特定のアクリル系共重合単位を含む着色樹脂組成物を用いることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−230957号公報
【特許文献2】特開2010−217872号公報
【特許文献3】特開2007−114604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法であっても、上記問題点を解決するのは困難であった。上記問題点の主たる原因としては、カラーフィルタを形成する画素の断面形状が適切でなかったり、着色樹脂組成物の現像液に対する溶解性と得られる画素の基板に対する密着性、画像形成性のバランスが取り難いことに由来するものと推測した。
また、画素の断面形状の不適切さは、上記現在の主流である、「色材濃度の向上」又は「色材の顔料から染料への移行」、並びに「タクトタイムの短縮」に起因すると考えられる。
【0007】
つまり、着色樹脂組成物に含まれる色材の濃度が高くなると、色材によって光架橋に必要な紫外線の透過が妨げられたりするため、塗膜内部まで光が届かず、結果として露光不
足になりやすい傾向にある、と推測される。
これに加え、タクトタイムの短縮により、更に露光不足になり、現像工程においてはアンダーカットが生じやすく、断面形状が逆テーパー状である着色パターンとなる。
【0008】
また、染料を用いた場合、染料がほぼ単分子状態で存在する為、光重合開始剤との接触確率が大きいことも、断面形状が逆テーパー状になり易い一因であることを見出した。つまり、着色樹脂組成物に染料を含む場合、光重合開始剤のエネルギーが染料に移動し易く、その為、光重合開始剤のラジカル発生機能が十分機能せず、画素の製版性が不十分になると推測される。
【0009】
以上より、本発明は、得られる画素の断面形状が適切、つまり、アンダーカットになり難い(画素が順テーパーである)、カラーフィルタ用着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
又、本発明は、現像液に対する溶解性が高く、得られる画素の基板に対する密着性が高い着色樹脂組成物を提供することを課題とする。
【0010】
本発明は更に、色濃度が高い画素、並びに高品質の液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、カラーフィルタ用着色樹脂組成物に特定の重合性モノマーを含有することで、上記課題を解決しうることを見出して、本発明に到達した。
即ち、本発明の要旨は、(A)色材、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂を含有する着色樹脂組成物において、更に、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」と称する場合がある)を含むことを特徴とするカラーフィルタ用着色樹脂組成物に存する。
【0012】
【化1】

【0013】
(上記式(1)中、
は、置換基を有していてもよい炭化水素環基、置換基を有していてもよい複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
11及びR12は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルキル基を表す。
【0014】
11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよい。
lは、1〜12の整数を、
mは、1〜3の整数を、
nは、1〜12の整数を表す。
尚、一分子中に、複数含まれる、l及びn、−CR1112−が含まれる場合、各々、同じでもよく、また異なっていてもよい。)
本発明はまた、上記本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて形成された画素
を有するカラーフィルタ、並びに該カラーフィルタを有する液晶表示装置及び有機EL表示装置に存する。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、断面形状が適切、つまり、アンダーカットになりにくい(画素が順テーパーである)。
この為、色濃度が高い画素を形成する場合やタクトタイムを短縮した場合でも、断面形状の起因する表示不良や欠陥などが生じ難い。
又、本発明の着色樹脂組成物は現像液に対する溶解性が高く、得られる画素の基板に対する密着性が高い。
【0016】
これより、本発明の着色樹脂組成物を用いることで、色濃度が高い画素、並びに高品質の液晶表示装置及び有機EL表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のカラーフィルタを有する有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の構成要件及び実施の形態等について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
尚、「(メタ)アクリル」等は「アクリル及びメタクリルのうち少なくとも一つ」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリレート及びメタクリレートのうち少なくとも一つ」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及びメタクリル酸のうち少なくとも一つ」を意味するものとする。
【0019】
又、「全固形分」とは、カラーフィルタ用着色樹脂組成物に含まれる、後記する溶剤成分以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、特に断りの無い限り、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を指す。「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0020】
更に、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。尚、測定方法については後述する。一方、「酸価」とは、特に断りのない限り有効固形分換算の酸価を表し、中和滴定することで算出する。
本発明において、「芳香族環」とは「芳香族炭化水素環」及び「芳香族複素環」の双方を示すものとする。
【0021】
本発明における「色材」とは、「顔料」と「染料」の双方を意味するものとする。
本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物は、(A)色材、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂、化合物(1)を含有し、更に、(D)分散剤、(F)光重合開始成分などを含有することが好ましい。
先ず、化合物(1)について説明する。
[化合物(1)]
本発明の着色樹脂組成物(1)は、化合物(1)を含有する。
【0022】
【化2】

【0023】
(上記式(1)中、
は、置換基を有していてもよい炭化水素環基、置換基を有していてもよい複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
11及びR12は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルキル基を表す。
【0024】
11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよい。
lは、1〜12の整数を、
mは、1〜3の整数を、
nは、1〜12の整数を表す。
尚、一分子中に、複数含まれる、l及びn、−CR1112−が含まれる場合、各々、同じでもよく、また異なっていてもよい。)
(Yについて)
は、置換基を有していてもよい炭化水素環基、置換基を有していてもよい複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
【0025】
炭化水素環基としては、例えば、2個の遊離原子価を有する、シクロヘキサン環、シクロペンタン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等の基が挙げられる。
尚、本発明における遊離原子価については、「有機化学・生化学命名法 上」(南江堂、1992年5月20日発行、平山健三、平山和雄訳著、11−12頁)の記載に基づくものである。
【0026】
複素環基(即ち、非芳香族複素環基)としては、単環であっても縮合環であってもよい。複素環基は、ヘテロ原子として窒素原子、硫黄原子及び酸素原子の少なくとも一つを含む非芳香族環の基である。
具体的には、2個の遊離原子価を有する、ピリジニル環、キノリニル環、イソキノリニル環、ベンゾチアゾリニル環、フタルイミドイル環、ピペリジニル環、ピロリジニル環等の基が挙げられる。
【0027】
芳香族環基としては、芳香族炭化水素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基として、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が5〜10であれば特に制限はないが、例えば、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ペリレン環、テトラセン環、ピレン環、ベンズピレン環、クリセン環、トリフェニレン環、アセナフテン環、フルオランテン環、フルオレン環などの基が挙げられる。
【0028】
芳香族複素環基としては、単環であっても縮合環であってもよく、環を形成する炭素数が3〜10であれば特に制限はないが、例えば、2個の遊離原子価を有する、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、オキサジアゾール環、インドール環、カルバゾール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、
フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、シノリン環、キノキサリン環、フェナントリジン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環、アズレン環などの基が挙げられる。
【0029】
上記の中でもRとしては、色材との相溶性が向上する点で、2個の遊離原子価を有する、ベンゼン環及びシクロヘキサン環の基であることが好ましい。
における炭化水素環基、複素環基及び芳香族環基が有していてもよい置換基としては、下記(置換基群W)の項に記載のものが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0030】
(置換基群W)
フッ素原子、塩素原子、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボキシル基、スルホン酸アミド基、炭素数2〜9のスルホンアルキルアミド基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基。
【0031】
(Rについて)
は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
架橋反応が起こり易い点で、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
におけるアルキル基が有していてもよい置換基としては、前記(置換基群W)の項で記載のものが挙げられる。
【0032】
(R11及びR12について)
11及びR12は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルキル基を表す。また、R11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよい。
尚、一分子中に複数の−CR2122−が含まれる場合、R21及びR22は、各々、同じでもよく、また異なっていてもよいが、化合物の合成が容易である点で、複数含まれる−CR2122−は、同じである方が好ましい。
【0033】
(l及びnについて)
lは、1〜12の整数、nは、1〜12の整数を表す。
合成が容易である点で、lは、好ましくは1〜5、更に好ましくは1〜2である。
またnは、合成が容易である点で、好ましくは2〜5、更に好ましくは2である。
尚、一分子中に、l及びnが複数含まれる場合、各々、同じでもよく、また異なっていてもよい。
【0034】
(mについて)
は、1〜3の整数を表す。
中でも、アルカリ現像液への溶解性、及び得られる画素の硬化性が良好である点で、mは1又は2であることが好ましく、特に1であることが好ましい。
(分子量)
化合物(1)の分子量は、通常400以上、好ましくは500以上、また通常2000以下、好ましくは1800以下である。
上記範囲内であると、化合物の製造が容易である点で好ましい。
【0035】
[化合物(1)の具体例]
以下に、化合物(1)の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
【化3】

【0037】
(化合物(1)の合成方法)
化合物(1)は、公知の方法に従って合成することが可能である。
例えば、ペンタエリスリトールに酸無水物をアミン系触媒下で反応をさせる。次いで、酸基含有不飽和結合を含む化合物を、アミン系触媒下で反応をさせる。
前記酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。
【0038】
酸基含有不飽和結合を含む化合物としては、例えば、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、桂皮酸などが挙げられる。
また、アミン系触媒としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(東京化成工業社製)、ジメチルベンジルアミン(和光純薬社製)等が挙げられる。
【0039】
(含有量)
本発明の着色樹脂組成物において、化合物(1)の含有量は、全固形分中、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは8重量%以上、また通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。
上記範囲内であると、本発明の効果が得られ易い点で好ましい。
【0040】
更に、光硬化が適度であり、現像時の密着不良や非画素部の現像液に対する溶解性低下による剥離現象や抜け不良が生じ難いため好ましい。
<効果を奏する理由>
化合物(1)を用いることで、得られる画素の断面形状がアンダーカットになり難い、つまり逆テーパーになり難いとの効果を奏する理由について、下記の通り推測する。
【0041】
前記式(1)で表される化合物は、環状構造(Y:炭化水素環基、複素環基又は芳香族環基)の置換基にカルボキシ基構造を有する。この為、アルカリ可溶性を有すると共に、色材と相溶性がよいことから、色材と共に塗膜全体に、分布をもつことなく存在しやすい。これより化合物(1)だけが現像液に溶け出す傾向も小さい。また環状構造を有することから、現像液に対する適度な耐性をもち、また同一分子中に含まれる不飽和二重結合基と共に強固な塗膜を形成する。
【0042】
更に、化合物(1)の場合、エチレン性二重結合基が、中心炭素原子({}で括られた基が結合する炭素原子)からの距離が長く、自由度が高い。その為、化合物(1)を含む塗膜は、光硬化により、より強固な膜を形成し易い。
以上から、色度濃度が高い着色樹脂組成物であっても、塗膜内部が硬化され、一方でアルカリ現像液の可溶性が高いため、断面形状が適切に形成され、つまりは、逆テーパーになり難いとの本発明の効果を奏する。
【0043】
[(A)色材]
本発明の着色樹脂組成物は、(A)色材を含有する。(A)色材としては、顔料であってもよく、染料であってもよい。
以下、各々について説明する。
(顔料)
本発明において、耐熱性及び耐光性等に優れる点で、(A)色材に顔料を用いることが好ましい。
【0044】
顔料としては、通常、赤色顔料、緑色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料等各種の色の顔料を使用することができる。
各種顔料の化学構造としては、例えばアゾ系、キナクリドン系、ベンツイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料が挙げられる。これらの他に種々の無機顔料等も利用可能である。
【0045】
尚、本発明に使用できる顔料は、以下にその具体例をピグメントナンバーで示すが、これら例示によって限定されるものではない。
先ず赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、242、254等である。
【0046】
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、58等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58等である。
特に、C.I.ピグメントグリーン58を用いた場合に、本発明の効果が得られ易い点で好ましい。
【0047】
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208、並びに特開2005−325350号公報及び特開2007−25687号公報に記載の顔料(以下、「顔料Y」と称する)が挙げられる。
【0048】
これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、154、155、180、185、及び前記2公報記載の顔料Y等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、180、及び前記2公
報記載の顔料Y等である。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
【0049】
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23等であり、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23等である。
【0050】
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはC.I.ピグメントオレンジ38、71等である。
【0051】
又、本発明の顔料分散液を使用し、後述するように着色樹脂組成物を調製してカラーフィルタの樹脂ブラックマトリックスを形成してもよく、その場合には、黒色顔料を使用することができる。尚、黒色顔料は、単独で使用してもよく、赤色、緑色、青色等の顔料を混合して使用してもよい。又、無機顔料であっても有機顔料であってもよい。
又、本発明に使用可能な無機顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等が挙げられる。
【0052】
尚、上記各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、顔料として、赤色顔料と黄色顔料とを併用したり、緑色顔料と黄色顔料とを併用したりすることができる。
又、本発明における顔料は、その平均一次粒径が、通常100nm以下、好ましくは80nm以下、より好ましくは20nm以上70nm以下である。本発明は、高度に微粒化された顔料を含む組成物の場合に特に有効であるため、平均一次粒径20nm以上60nm以下である顔料を含む場合が特に好ましい。
【0053】
使用する顔料の平均一次粒径を上記範囲とすることにより、消偏特性を良好に保ち、高いコントラストや透過率などを実現し、又、分散安定性が良好で、耐熱性や耐光性にも優れた顔料分散液及び着色樹脂組成物を得ることができる。
尚、顔料の一次粒径は次の方法で求めることができる。
先ず、顔料をクロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得る。但し、有機顔料の場合は、個々の顔料粒子の粒径を、同じ面積となる円の直径に換算した面積円相当径として、複数個(通常200〜300個程度)の顔料粒子についてそれぞれ粒径を求める。得られた一次粒径の値を用い、下式の計算式の通り個数平均値を計算し平均粒径を求める。
【0054】
【数1】

【0055】
こうして得られた顔料は、単独で使用してもよいが、本発明の効果を損なわない範囲で1種又は2種以上の顔料を混合して用いることができる。
(染料)
本発明において、得られる画素の輝度等に優れる点で、(A)色材として染料を用いることが好ましい。染料は、本発明の効果を損わない限り特に制限はないが、例えば、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料、シアニン系染料、トリアリールメタン系染料等が好ましく挙げられる。
【0056】
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11,C.I.アシッドオレンジ7,C.I.アシッドレッド37,C.I.アシッドレッド180,C.I.アシッドブルー29,C.I.ダイレクトレッド28,C.I.ダイレクトレッド83,C.I.ダイレクトイエロー12,C.I.ダイレクトオレンジ26,C.I.ダイレクトグリーン28,C.I.ダイレクトグリーン59,C.I.リアクティブイエロー2,C.I.リアクティブレッド17,C.I.リアクティブレッド120,C.I.リアクティブブラック5,C.I.ディスパースオレンジ5,C.I.ディスパースレッド58,C.I.ディスパースブルー165,C.I.ベーシックブルー41,C.I.ベーシックレッド18,C.I.モルダントレッド7,C.I.モルダントイエロー5,C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
【0057】
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4,C.I.アシッドブルー40,C.I.アシッドグリーン25,C.I.リアクティブブルー19,C.I.リアクティブブルー49,C.I.ディスパースレッド60,C.I.ディスパースブルー56,C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3,C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33,C.I.アシッドイエロー3,C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1,C.I.アシッドオレンジ3,C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
【0058】
また、トリアリールメタン系染料としては、例えば、国際公開第2009/107734号、国際公開第2011/162217号などに記載のものが挙げられる。
更に、シアニン系染料としては、例えば、特開2008−242324号、特開2009−235392号などの各公報に記載のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
本発明における(A)色材の含有量は、固形分全量に対し、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下であり、又、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。
【0059】
(A)色材の含有量を上記範囲とすることにより、色濃度に対する膜厚が大きくなり過ぎず、液晶セル化の際のギャップ制御等に悪影響を及ぼすことなく、且つ十分な画像形成性が得られるうえ、顔料の分散状態も維持され、凝集や沈降が生じにくく、結果として、増粘や輝度・コントラストの低下などといった問題を解消することができる。
【0060】
[(B)溶剤]
本発明の着色樹脂組成物は、(B)溶剤を含有する。
本発明における(B)溶剤としては、着色樹脂組成物を構成する各成分を溶解又は分散し、粘度が適当になるものであれば特に制限はないが、好ましくは沸点が100〜200℃、より好ましくは120〜170℃の沸点である溶剤である。
このような溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
【0061】
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール−モノt−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
【0062】
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
【0063】
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトンのようなケトン類;
エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンのような1価又は多価アルコール類;
n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類;
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
【0064】
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類;
アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプ
ロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類;
3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
【0065】
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類;
メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類;
アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類:
上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
【0066】
これらの溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記溶剤中、顔料の溶剤に対する分散性が良好である点から、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。更に、着色樹脂組成物中の各種構成成分の溶解性の点からプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが特に好ましい。
また、塗布性、表面張力などのバランスがよく、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、溶剤としてグリコールモノアルキルエーテル類を混合して使用することがより好ましい。
【0067】
(B)溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は、保存安定性が良好である点で、5〜50重量%が好ましく、5〜30重量%がより好ましい。
また、スリットコート方式に用いる場合、沸点150℃以上の溶剤を併用することも好ましい。この場合、前記沸点150℃以上の溶剤の含有量は、(B)溶剤全体に対して、1〜50重量%が好ましく、2〜40重量%がより好ましく、3〜30重量%が特に好ましい。
【0068】
上記範囲内であると、乾燥速度が適当であるため、スリットノズル先端で色材成分等が析出・固化しにくく、またカラーフィルタ製造工程での減圧乾燥のプロセスのタクト不良・プリベークのピン跡などが生じ難いため好ましい。
前記沸点150℃以上の溶剤は、グリコールアルキルエーテルアセテート類やグリコールアルキルエーテル類、鎖状又は環状エステル類などが挙げられる。
【0069】
また、インクジェット法に用いる場合、高沸点溶剤を用いることが好ましい。これは、ノズルから発せられるインクは、ノズルから発せられるインクは数〜数十pLと非常に微小であり、ノズル口周辺あるいは画素バンク内に着弾する前に、溶剤が蒸発してインクが濃縮・乾固するのを防ぐためである。
高沸点溶剤として、具体的には、(B)溶剤の沸点が、好ましくは180℃以上、更に好ましくは200℃以上、特に好ましくは220℃以上である。
【0070】
前記180℃以上の溶剤の含有量は、(B)溶剤全体に対して、好ましくは50重量%以上である。上記範囲内であると、インク液滴から、溶剤が蒸発することを防止する効果が十分であるため好ましい。
本発明の着色樹脂組成物において、(B)溶剤の含有量は、本発明の効果を損わない限り特に制限はないが、通常75重量%以上、好ましくは80重量%以上、更に好ましくは82重量%以上、また、通常99重量%以下である。
上記範囲内であると、着色樹脂組成物が、塗布に適した粘性を有し、良好に塗膜を形成することが可能である点で好ましい。
【0071】
[(C)バインダー樹脂]
(C)バインダー樹脂は、硬化手段により好ましい樹脂は異なる。
本発明の着色樹脂組成物が光重合性樹脂組成物である場合、(C)バインダー樹脂としては、例えば特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号などの各公報等に記載される高分子化合物を使用することができるが、中でも好ましくは下記(C−1)〜(C−5)の樹脂などが挙げられる。
【0072】
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、又は該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる、アルカリ可溶性樹脂(以下、「樹脂(C−1)」と称す場合がある。)
(C−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂(C−2)(以下、「樹脂(C−2)」と称す場合がある。)
(C−3):前記樹脂(C−2)のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「樹脂(C−3)」と称す場合がある。)
(C−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下、「樹脂(C−4)」と称す場合がある。)
(C−5):カルボキシル基を有するエポキシアクリレート樹脂(以下「樹脂(C−5)と称す場合がある。)
このうち特に好ましくは樹脂(C−1)が挙げられ、以下該樹脂について説明する。
【0073】
尚、樹脂(C−2)〜(C−5)は、アルカリ性の現像液によって溶解され、目的とする現像処理が遂行される程度に溶解性を有するものであれば何でもよく、各々、特開2009−025813号公報に同項目として記載のものと同様である。好ましい態様も同様である。
(C−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂
樹脂(C−1)の特に好ましい樹脂の一つとして、エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂が挙げられる。
【0074】
そのエポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0075】
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、本発明の効果を損わない限り特に制限はなく、例えば、ビニル芳香族類、ジエン類、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸アミド類、ビニル化合物類、不飽和ジカルボン酸ジエステル類、モノマレイミド類などが挙げられるが、特に下記式(7
)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0076】
下記式(7)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
【0077】
【化4】

【0078】
上記式(7)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は下記式(8)で表される構造を示す。
【0079】
【化5】

【0080】
上記式(8)中、R91〜R98は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。尚、R96とR98とが、互いに連結して環を形成していてもよい。
96とR98が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和のいずれでもよく、更に炭素数は5〜6であることが好ましい。
中でも、式(8)で表される構造中、特に下記構造式(8a)、(8b)、又は(8c)で表されるものが好ましい。
【0081】
【化6】

【0082】
尚、前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(8)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、着色樹脂組成物に優れた耐熱性及び強度を向上しうる点で、スチレン、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、が挙げられる。
【0083】
上記モノマー群から選択された少なくとも1種に由来する繰返し単位の含有量が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
【0084】
上記範囲内であると、後述の重合性成分及びアルカリ可溶性成分の付加量が十分であり、また、耐熱性や強度が十分であるため好ましい。
上記の様に合成された、エポキシ基含有共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、更に多塩基酸無水物(アルカリ可溶性成分)とを反応させる。
ここで、エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
【0085】
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0086】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。前記範囲内であると、着色樹脂組成物の経時安定性に優れるため好ましい。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
【0087】
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、無水コハク酸及びテトラヒドロ無水フタル酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0088】
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダー樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。
【0089】
上記範囲内であると、現像時の残膜率及び溶解性が十分であるため好ましい。
尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。このような樹脂の構造に関しては、例えば特開平8−297366号公報や特開2001−89533号公報に記載されている。
【0090】
前述のバインダー樹脂(C−1)の、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。分子量が3000未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、100000を超えると現像液に対する溶解性が不足する傾向がある。また、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
【0091】
なお、バインダー樹脂(C−1)の酸価は、通常10〜200mg−KOH/g、好ましくは15〜150mg−KOH/g、更に好ましくは25〜100mg−KOH/gである。
上記範囲内であると、現像液に対する溶解性が良好で、また膜荒れなどが生じ難いため好ましい。
また、(C)バインダー樹脂の含有量は、全固形分中、通常0.1〜80重量%、好ま
しくは1〜60重量%である。
上記範囲内であると、基板への密着性が良好であり、また露光部への現像液の浸透性が適度で、画素の表面平滑性や感度が良好である点で好ましい。
【0092】
[(D)分散剤]
本発明の着色樹脂組成物は、(A)色材に顔料を含有する場合、更に(D)分散剤を含有することが好ましい。本発明における分散剤は、顔料が分散し、安定を保つことができれば特に種類を問わない。
例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系や両性等の分散剤を使用することができるが、ポリマー分散剤が好ましい。具体的には、ブロック共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、高分子共重合体のアルキルアンモニウム塩又はリン酸エステル塩、カチオン性櫛型グラフトポリマー等を挙げることができる。これら分散剤の中で、ブロック共重合体、ポリウレタン、カチオン性櫛型グラフトポリマーが好ましい。特にブロック共重合体が好ましく、この中でも親溶剤性を有するAブロック及び窒素原子を含む官能基を有するBブロックからなるブロック共重合体が好ましい。
【0093】
具体的には、窒素原子含有官能基を有するBブロックとして、側鎖に4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有する単位構造が挙げられ、一方、親溶媒性のAブロックとして、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さない単位構造が挙げられる。
係るアクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、4級アンモニウム塩基、及び/又はアミノ基を有する単位構造を有し、顔料吸着機能を持つ部位である。
【0094】
又、係るBブロックとして、4級アンモニウム塩基を有する場合、当該4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。又、このような4級アンモニウム塩基としては、特に下記式(VI)で表される部分構造を含有するものが好ましい。
【0095】
【化7】

【0096】
上記式(VI)中、R34は、水素原子又はメチル基を表す。Xは、2価の連結基を表す。又、R31、R32、R33は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜15の芳香族炭化水素基、置換されていてもよい炭素数7〜20のアラルキル基等が好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ベンジル基等が好ましい。
【0097】
又、上記式(VI)において、2価の連結基Xとしては、例えば、炭素数1〜10の
アルキレン基、アリーレン基、−CONH−R35−、−COO−R36−(但し、R35及びR36は、それぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R37−O−R38−:R37及びR38は、各々独立にアルキレン基を表す。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R36−である。
尚、対アニオンのMとしては、Cl、Br、I、ClO、BF、CHCOO、PF等が挙げられる。
【0098】
又、上記特定の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基含有部分構造は、当該Bブロック中において、ランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。更に、当該4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造が、Bブロック中に含まれていてもよく、又、当該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。4級アンモニウム塩基を含まない部分構造のBブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、4級アンモニウム塩基非含有部分構造はBブロック中に含まれないことが最も好ましい。
【0099】
尚、上述するアクリル系ブロック共重合体のBブロック中において、3級アミノ基を若干有していてもよい。これは、3級アミノ基の4級化反応が完全に完了していない場合に残るものであり、そのアミン価は、通常10mg−KOH/g以下程度である。
一方、係るアクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックとして、1〜3級アミノ基を含む場合、当該1〜3級アミノ基を有する単量体の含有割合は、当該共重合体を構成する単量体組成において、20モル%以上であることが好適であり、より好ましくは50モル%以上である。
【0100】
又、上記1〜3級アミノ基としては、好ましくは−NR4142(但し、R41及びR42は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。)で表され、又、これを含む部分構造(繰返し単位)として好ましいものは、例えば下記式で表されるような構造が挙げられる。
【0101】
【化8】

【0102】
(但し、R41及びR42は、上記のR41及びR42と同義であり、R43は炭素数1以上のアルキレン基、R44は水素原子又はメチル基を示す。)
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基、エチレン基が好ましく、R44は水素原子もしくはメチル基であるのが好ましい。このような部分構造としては下記式で表されるジメチルアミノエチルアクリレートやジメチルアミノエチルメ
タアクリレート由来の構造等が、特に好適に用いられる。
【0103】
【化9】

【0104】
(上記式中、R44は前述と同義である。)
更に、上記アミノ基を含有する部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。又、アミノ基を含有しない部分構造が、Bブロック中に一部含まれていてもよく、そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。係るアミノ基を含まない部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であるが、係るアミノ基非含有部分構造はBブロック中に含まれないことが最も好ましい。
【0105】
又、係る(e−2)分散剤のブロック共重合体を構成する親溶媒性のAブロックは、上述したアミノ基等の窒素原子含有官能基を有さず、上述したBブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。Aブロックは、顔料吸着基となる窒素原子含有官能基を有さない親溶媒性の部位であり、溶媒に親和性があるため、分散剤に吸着した顔料を溶媒中に安定化させる働きがある。
【0106】
親溶媒性のAブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール;(メタ)アクリル酸クロライド等の(メタ)アクリル酸塩系モノマー;酢酸ビニル系モノマー;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル等のグリシジルエーテル系モノマー等のコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
【0107】
中でも、Aブロックとしては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを共重合成分として含むものが好ましい。又、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートを共重合成分として含む(即ち、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート由来の部分構造を含む)ものも好ましい。更に、本発明のカラーフィルタ画素形成用組成物に用いられる分散剤が(メタ)アクリル系共重合体である場合、下記式(VIII)で表
される部分構造を有するAブロックが特に好ましい。
【0108】
【化10】

【0109】
(上記式(VIII)中、nは1〜5の整数を示すが、1分子中に上記ユニット、即ち式(VIII)が複数ある場合、nは同一でも異なっていてもよい。又、R81は水素原子又はメチル基を示し、R82は炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基を示す。又、R82として、エチル基であることが特に好ましい。)
上記式(VIII)で表される部分構造は、当該(メタ)アクリル系共重合体を構成する単量体換算で1分子中に3〜20モル%含まれていることが好ましく、3〜10モル%含まれていることが最も好ましい。
【0110】
詳細の作用機構は不明であるが、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート由来の部分構造、特に上記式にて表される部分構造を有することにより、水素結合性を高めることが可能であり、分散溶媒との親和性が向上し、分散系の安定性が増すものと考えられる。
前記式(VIII)で表わされる部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。勿論、当該Aブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。2種以上のモノマー由来の部分構造がAブロック中に存在する場合、各部分構造は該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
【0111】
本発明の顔料分散液に使用できる(D)分散剤は、上述するようなAブロックとBブロックとからなるABブロック又はABAブロック共重合型高分子化合物である。中でもABブロック共重合体が好ましい。このようなブロック共重合体は、例えばリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。具体的には、例えば特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
【0112】
尚、上記(D)分散剤1gのアミン価は、有効固形分換算で通常1〜300mg−KOH/g程度であるが、その好ましい範囲は、Bブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合とそうでない場合とで異なる。
即ち、(D)分散剤のABブロック共重合体及びABAブロック共重合体の、Bブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、当該共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の
量は、0.1〜10mmolであることが好ましい。この範囲外では、良好な耐熱性と分散性を兼備することができない場合がある。このようなブロック共重合体中には、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があり、そのアミン価は、通常、共重合体1gあたり1〜100mg−KOH/g程度、好ましくは1〜50mg−KOH/g、より好ましくは1〜30mg−KOH/gである。
【0113】
又、Bブロックに4級アンモニウム塩基を含まない場合、当該共重合体のアミン価は、通常、1gあたり50〜300mg−KOH/g程度、好ましくは50〜200mg−KOH/g、より好ましくは80mg−KOH/g以上150mg−KOH/g以下、更に好ましくは90〜150mg−KOH/gであり、最も好ましくは100〜140mg−KOH/gである。
【0114】
窒素原子含有官能基が少なすぎると、分散剤分子の顔料表面への吸着力が不十分となり、十分な分散安定性を得ることが困難となる場合がある。一方、アミン価が高すぎると、相対的にAブロックの分子量が小さくなり、分散安定性が不十分となる場合がある。
又、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mg−KOH/g以下であり、好ましくは50mg−KOH/g以下、より好ましくは40mg−KOH/g以下、最も好ましくは30mg−KOH/g以下である。又、その分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で通常1000以上、100,000以下の範囲である。
又、本発明において、上述のものと同様の構造を有する市販の(メタ)アクリル系ブロック共重合体も使用することができる。
【0115】
[分散助剤]
本発明の着色樹脂組成物には、分散助剤を含有していてもよい。ここでいう分散助剤は、顔料誘導体であってもよく、顔料誘導体としては、例えば特開2001−220520号公報、特開2001−271004号公報、特開2002−179976号公報、特開2007−113000号公報、及び特開2007−186681号公報等に記載の各種化合物等を使用することができる。
【0116】
尚、本発明の着色樹脂組成物における分散助剤の含有量は、顔料の総固形分量に対して通常0.1重量%以上、又、通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。添加量を上記の範囲に制御することにより、分散助剤としての効果が発揮され、又、分散性及び分散安定性がより良好である点で好ましい。
更にその他の分散助剤を含有する場合も、分散助剤の添加量の合計が上記範囲内となるようにする。
【0117】
[分散樹脂]
本発明の着色樹脂組成物には、特に(A)色材として顔料を含有する場合、前述の(C)バインダー樹脂もしくはその他のバインダー樹脂から選ばれた樹脂の一部又は全部を下記の分散樹脂として含有していてもよい。
【0118】
具体的には、後述する[着色樹脂組成物の調製方法]の顔料を分散するに際し、前述の(D)分散剤等の成分とともに、(C)バインダー樹脂を含有させることにより、該(C)バインダー樹脂が、(D)分散剤との相乗効果で顔料の分散安定性に寄与する。結果として(D)分散剤の添加量を減らせる可能性があるため好ましい。又、現像性が向上し、基板の非画素部に未溶解物が残存せず、画素の基板への密着性が向上する、といった効果も奏するため好ましい。
【0119】
このように、分散処理工程に使用される(C)バインダー樹脂を、分散樹脂と称することがある。分散樹脂は、顔料分散液中の顔料全量に対して0〜200重量%程度使用することが好ましく、10〜100重量%程度使用することがより好ましい。
分散樹脂の酸価は0.5mg−KOH/g以上が好ましく、1mg−KOH/g以上がより好ましく、5mg−KOH/g以上が最も好ましく、また300mg−KOH/g以下が好ましく、200mg−KOH/g以下がより好ましく、150mg−KOH/g以下が最も好ましい。酸価を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、合成上等においても、取り扱いやすくなる。
【0120】
又、分散樹脂のGPCにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、1000以上が好ましく、1500以上がより好ましく、2000以上が最も好ましく、また200000以下が好ましく、50000以下がより好ましく、30000以下が最も好ましい。分子量を上記の範囲に制御することにより、アルカリ現像性が良好となり、又、分散安定性が低下するのを防ぐこともできる。
【0121】
[(E)重合性モノマー]
本発明の着色樹脂組成物は、前述の化合物(1)以外にも(E)重合性モノマーを含有していてもよい。
(E)重合性モノマーとしては、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と言う場合がある。)が好ましい。
【0122】
該エチレン性化合物は、本発明の着色樹脂組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述の光重合開始成分の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。尚、本発明における(E)重合性モノマーは、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも包含する。
(E)重合性モノマーにおけるエチレン性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;モノヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル;ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物;等が挙げられる。
【0123】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。また、これら(メタ)アクリル酸エステルの(メタ)アクリル酸部分を、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、或いは、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0124】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、レゾルシンジ(メタ)アクリレート、ピロガロールトリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であってもよい。代表例としては、(メタ)アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物;(メタ)アクリル酸、テレフタル酸、及びペンタエリスリトールの縮合物;(メタ)アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール、及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0125】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ〔1,1,1−トリ(メタ)アクリロイルオキシメチル〕プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0126】
その他、本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が挙げられる。
これらの中では脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルが好ましく、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールの(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0127】
また、エチレン性化合物は酸価を有するモノマーであってもよい。酸価を有するモノマーとしては、例えば、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能単量体が好ましく、特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。
【0128】
これらの単量体は1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を得ることは難しいことから、2種以上の混合物を使用してもよい。
また、必要に応じて(E)重合性モノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1〜120mg−KOH/gであり、特に好ましくは5〜90mg−KOH/gである。
【0129】
上記範囲内であると、現像溶解特性が低下しにくく、また製造や取り扱いが容易である。更に、光重合性能が落ち難く、画素の表面平滑性等の硬化性が良好であるため好ましい。
本発明において、より好ましい酸基を有する多官能モノマーは、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートのコハク酸エステルを主成分とする混合物である。この多官能モノマーと他の多官能モノマーを組み合わせて使用することもできる。
【0130】
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(E)重合性モノマーの含有量は、全固形分中、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上であり、また、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。
上記範囲内であると、光硬化が適度であり、現像時の密着不良が置き難く、また現像後
の断面が逆テーパー形状になり難く、更に溶解性低下による剥離現象・抜け不良が置き難いため好ましい。
【0131】
[(F)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分]
本発明の着色樹脂組成物は、塗膜を硬化させる目的で、(F)光重合開始成分及び/又は熱重合開始成分を含むことが好ましい。ただし、硬化の方法はこれらの開始剤によるもの以外でもよい。
特に、本発明の着色樹脂組成物は、化合物(1)を含有する為、光を直接吸収し、又は光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始成分を含有することが好ましい。
尚、本発明における光重合開始成分とは、光重合開始剤(以下、任意に(F1)成分と称する)に重合加速剤(以下、任意に(F2)成分と称する)、増感色素(以下、任意に(F3)成分と称する)などの付加剤が併用されている混合物を意味する。
【0132】
(光重合開始成分)
本発明の着色樹脂組成物は、光重合開始成分を含有することが好ましい。光重合開始成分は、通常、(F1)光重合開始剤、及び必要に応じて添加される(F2)重合加速剤、(F3)増感色素等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
【0133】
光重合開始成分を構成する(F1)光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン誘導体類;特開平10−300922号、特開平11−174224号、特開2000−56118号各公報等に記載されるヘキサアリールビイミダゾール誘導体類;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体類、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体類;特開2000−80068号公報等に記載のオキシムエステル系誘導体類(以下、「オキシムエステル系開始剤」と称する)等が挙げられる。
【0134】
具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の光重合開始剤等が挙げられる。
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、オキシムエステル系開始剤、ビイミダゾール誘導体類、アセトフェノン誘導体類、及びチオキサントン誘導体類がより好ましく、オキシムエステル系開始剤が特に好ましい。
【0135】
また、オキシムエステル系開始剤としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕,1−(o−アセチルオキシム)、及び下記式(XI)で表される化合物等が挙げられる。
【0136】
【化11】

【0137】
(式(XI)中、R101は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25
のアルケニル基、炭素数3〜20のヘテロアリール基又は炭素数4〜25のヘテロアリールアルキル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。あるいは、R101はX又はZと結合し、環を形成していてもよい。
102は、炭素数2〜20のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数4〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、炭素数3〜20のヘテロアリーロイル基又は炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を示し、これらはいずれも置換基を有していてもよい。
【0138】
Xは、置換基を有していてもよい、2個以上の環が縮合してなる、2価の芳香族炭化水素基及び/又は芳香族複素基を示す。
Zは、置換基を有していてもよい芳香族基を示す。)
なお、前記式(XI)で表される化合物の中でも、Xが置換基を有していてもよいカルバゾール環である化合物が好ましく、具体的には下記式(XII)で表される化合物などが挙げられ、中でも下記式(XIII)で表される化合物が特に好ましい。
【0139】
【化12】

【0140】
(式中、R101、R102及びZは、前記式(XI)におけると同義である。R103
〜R109は各々独立に水素原子又は任意の置換基を示す。)
【0141】
【化13】

【0142】
(式中、R101aは、炭素数1〜3のアルキル基、又は下記式(XIIIa)で表される基を示す。
【0143】
【化14】

【0144】
(式中、R103及びR104は各々独立に、水素原子、フェニル基又はN−アセチル−N−アセトキシアミノ基を示す。
*は、結合部位を表す。)
102aは、炭素数2〜4のアルカノイル基を示し、Xaは、窒素原子が1〜4のア
ルキル基で置換されていてもよい3,6−カルバゾリル基を示す。Zaは、アルキル基で
置換されていてもよいフェニル基又はモルホリノ基で置換されていてもよいナフチル基を示す。)
その他に、ベンゾインアルキルエーテル類、アントラキノン誘導体類;2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン等のアセトフェノン誘導体類、2−エチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類、安息香酸エステル誘導体類、アクリジン誘導体類、フェナジン誘導体類、アンスロン誘導体類等も挙げられる。
【0145】
これら光重合開始剤の中では、α−アミノアルキルフェノン誘導体類、チオキサントン誘導体類、オキシムエステル系開始剤がより好ましく、オキシムエステル系開始剤が特に好ましい。
必要に応じて用いられる(F2)重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
【0146】
これらの(F1)光重合開始剤及び(F2)重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、必要に応じて感応感度を高める目的で、(F3)増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えば特開平4−221958号、特開平4−219756号各公報等に記載のキサンテン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の複素環を有するクマリン系色素;特開平3−239703号、特開平5−289335号各公報等に記載の3−ケトクマリン系色素;特開平6−19240号公報等に記載のピロメテン系色素;特開昭47−2528号、特開昭54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、特開昭52−112681号、特開昭58−15503号、特開昭60−88005号、特開昭59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号各公報等に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等が挙げられる。
【0147】
(F3)増感色素もまた1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色樹脂組成物において、これらの(F)光重合開始成分の含有量は、全固形分中、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲である。
上記範囲内であると、露光光線に対する感度が良好で、また未露光部分の現像駅に対す
る溶解性も良好で、現像不良などを誘起し難い点で好ましい。
【0148】
(熱重合開始成分)
本発明の着色樹脂組成物に含有されていてもよい熱重合開始成分(熱重合開始剤)の具体例としては、アゾ系化合物、有機過酸化物及び過酸化水素等が挙げられる。これらのうち、アゾ系化合物が好適に用いられる。より具体的には、例えば国際公開第2009/107734号パンフレット等に記載の熱重合開始剤を用いることができる。
これらの熱重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0149】
[その他の成分]
本発明の着色樹脂組成物は、前記各成分の外に、界面活性剤、有機カルボン酸及び/又は有機カルボン酸無水物、熱硬化性化合物、可塑剤、熱重合防止剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等を更に含有していてもよい。これら、その他の成分としては、例えば特開2007−113000号公報記載の各種化合物を使用することができる。
尚、界面活性剤については、下記の通りである。
【0150】
[界面活性剤]
本発明の着色樹脂組成物は、更に界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性界面活性剤等、各種のものを用いることができるが、電圧保持率や有機溶剤に対する相溶性等の諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。
【0151】
界面活性剤としては、例えば特開2009-25813号公報記載のものを使用できる

これら界面活性剤の含有量は、本発明の着色樹脂組成物の全固形分中において、好ましくは0.001重量%以上、より好ましくは0.005重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上である。又、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下の範囲で用いられる。
【0152】
[着色樹脂組成物の調製方法]
本発明において、着色樹脂組成物は、適宜の方法により調製することができるが、例えば、前記(A)色材、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂、化合物(1)及びその他の添加剤と共に混合することで調製できる。
(A)色材に顔料を含む場合、より好ましい調製方法としては、顔料を溶剤中、(D)分散剤及び必要に応じて添加する分散助剤の存在下で、場合により(C)バインダー樹脂の一部と共に、例えば、ペイントシェイカー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて、粉砕しつつ混合・分散して顔料分散液を調製する。該顔料分散液に、化合物(1)、(C)バインダー樹脂、必要に応じて(E)重合性モノマー及び(F)光重合開始成分などの添加剤や染料を添加し、混合することにより調製する方法を挙げることができる。
【0153】
[着色樹脂組成物の応用]
本発明の着色樹脂組成物は、通常、すべての構成成分が溶剤中に溶解又は分散された状態である。この着色樹脂組成物が基板上へ供給され、カラーフィルタや液晶表示装置、有機EL表示装置などの構成部材が形成される。つまり、カラーフィルタ用として用いる。
以下、本発明の着色樹脂組成物の応用例として、カラーフィルタとしての応用、及びそれらを用いた液晶表示装置(パネル)及び有機EL表示装置について、説明する。
【0154】
<カラーフィルタ>
本発明のカラーフィルタは、本発明の着色樹脂組成物から形成された画素を有するものである。
以下に、本発明のカラーフィルタを形成する方法について説明する。
カラーフィルタの画素は、様々な方法で形成することができる。ここでは光重合性の着色樹脂組成物を使用してフォトリソグラフィ法にて形成する場合を例に説明するが、製造方法はこれに限定されるものではない。
【0155】
まず、基板の表面上に、必要に応じて、画素を形成する部分を区画するようにブラックマトリックスを形成し、この基板上に、本発明の着色樹脂組成物を塗布したのち、プレベークを行って溶剤を蒸発させ、塗膜を形成する。次いで、この塗膜にフォトマスクを介して露光したのち、アルカリ現像液を用いて現像して、塗膜の未露光部を溶解除去し、その後ポストベークすることにより、赤色、緑色、青色の各画素パターンを形成して、カラーフィルタを作製することができる。
【0156】
画素を形成する際に使用される基板としては、透明で適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂 ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、熱硬化性樹脂、各種ガラスなどが挙げられる。
また、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤やウレタン系樹脂などに
よる薄膜形成処理、コロナ放電処理やオゾン処理などの表面処理等、適宜前処理を施してもよい。
【0157】
着色樹脂組成物を基板に塗布する際には、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、スリット・アンド・スピン法、ダイコート法、ロールコート法、スプレーコート法等が挙げられる。中でも、スリット・アンド・スピン法、及びダイコート法が好ましい。
塗布膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常、0.2〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、特に好ましくは0.8〜5.0μmである。
【0158】
上記範囲内であると、パターン現像や液晶セル化工程でのギャップ調整が容易であり、また所望の色発現がし易い点で好ましい。
画素を形成する際に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用することができるが、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましい。
【0159】
画像露光に使用される、波長190〜450nmの放射線を用いるための光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
【0160】
放射線の露光量は、10〜10,000J/mが好ましい。
また、前記アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム、燐酸水素ナトリウム、燐酸水素カリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸二水素カリウム、水酸化アンモニウム等の無機アルカリ性化合物;モノ−・ジ−・又はトリ−エタノールアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−メチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ−エチルアミン、モノ−・又はジ−イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−・又はトリ
−イソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等の有機アルカリ性化合物等の水溶液が好ましい。
【0161】
前記アルカリ現像液には、例えばイソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。なお、アルカリ現像後は、通常、水洗する。
現像処理法としては、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。現像条件は、室温(23℃)で5〜300秒が好ましい。
【0162】
現像処理の条件には特に制限はないが、現像温度は通常10℃以上、中でも15℃以上、更には20℃以上、また、通常50℃以下、中でも45℃以下、更には40℃以下の範囲が好ましい。
現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法等の何れかの方法によることができる。
【0163】
このようにして作製されたカラーフィルタを液晶表示装置に使用する場合には、このままの状態で画像上にITO等の透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置等の部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミド等のトップコート層を設けることもできる。また、一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)等の用途においては、透明電極を形成しないこともある。また、垂直配向型駆動方式(MVAモード)では、リブを形成することもある。また、ビーズ散布型スペーサに代わり、フォトリソによる柱構造(フォトスペーサー)を形成することもある。
【0164】
<液晶表示装置>
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のカラーフィルタを用いたものである。本発明の液晶表示装置の型式や構造については特に制限はなく、本発明のカラーフィルタを用いて常法に従って組み立てることができる。
例えば、「液晶デバイスハンドブック」(日刊工業新聞社、1989年9月29日発行、日本学術振興会第142委員会著)に記載の方法で、本発明の液晶表示装置を形成することができる。
【0165】
<有機EL表示装置>
本発明のカラーフィルタを含む有機EL表示装置を作成する場合、例えば図1に示すように、透明支持基板10上に、本発明の着色樹脂組成物により画素20が形成された青色カラーフィルタ上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって多色の有機EL素子を作製する。
【0166】
有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルタ上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100は、パッシブ駆動方式の有機EL表示装置にもアクティブ駆動方式の有機EL表示装置にも適用可能である。
【実施例】
【0167】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、下記実施例において「部」は「重量部」を表わす。
[1]樹脂の合成
<合成例1:樹脂Aの合成>
反応槽として冷却管を付けたセパラブルフラスコを準備し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400重量部を仕込み、窒素置換したあと、攪拌しながらオイルバスで加熱して反応槽の温度を90℃まで昇温した。
【0168】
一方、モノマー槽中にジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート30重量部、メタクリル酸60重量部、メタクリル酸シクロヘキシル110重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40重量部を仕込み、連鎖移動剤槽にn−ドデシルメルカプタン5.2重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27重量部を仕込み、反応槽の温度が90℃に安定してからモノマー槽および連鎖移動剤槽から滴下を開始し、重合を開始させた。温度を90℃に保ちながら滴下をそれぞれ135分かけて行い、滴下が終了して60分後に昇温を開始して反応槽を110℃にした。
【0169】
3時間、110℃を維持した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル39.6重量部、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部を仕込み、そのまま110℃で9時間反応させた。こうして得られた樹脂AのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは8000、酸価は101mg−KOH/gであった。
【0170】
<合成例2:樹脂Bの合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114.0gを500mlの4つ口フラスコに入れ、窒素バブリングを行いながら85℃まで昇温した。これにベンジルメタクリレート114.4g(0.65mol)、メタクリル酸25.9g(0.35mol)、2,2‘−アゾビス(イソブチロニトリル)4.9263g(0.03mol)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート96.45gに溶解し、4時間かけて滴下した。滴下後反応液を85℃に保ったままさらに2時間攪拌し、その後窒素バブリングを止めて100℃に昇温し1時間攪拌した。これにテトラエチルアンモニウムクロライドを0.6628g(4×10−3mol)を加え、80℃で攪拌、溶解させ、さらに3,4−エポキシシクロヘキシル−1−メチルアクリレート15.93g(0.088mol)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23.90gを混合した溶液を1時間かけて滴下した。反応溶液を80℃に保ったまま30時間攪拌し、重量平均分子量20000、酸価90mg−KOH/gの樹脂Bを得た。
【0171】
<合成例3:樹脂Cの合成>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート183.1重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温した。ここにスチレン10重量部、グリシジルメタクリレート85.2重量部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレートFA−513M(日立化成社製)66重量部を滴下し、および2.2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル8.47重量部を3時間かけて滴下し、更に90℃で2時間攪拌し続けた。次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸43.2重量部にトリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、100℃で12時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)56.2重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、100℃3.5時間反応させた。こうして得られた樹脂CのGPCにより測定した重量平均分子量Mwは約8400、酸価は80mg−KOH/gであった。
【0172】
<合成例4:樹脂Dの合成>
合成例1におけるメタクリル酸60重量部をアクリル酸90重量部、メタクリル酸シクロヘキシル110重量部を80重量部、メタクリル酸グリシジル39.6重量部を63.4重量部に変更し、同様に合成し、重量平均分子量Mw8000、酸価は101mg−KOH/gの樹脂Dを得た。
[2]染料の合成
<合成例5:染料Aの合成>
【0173】
【化15】

【0174】
反応1:化合物3(5.61g)、化合物4(2.65g)、トルエン(15ml)の混合物にオキシ塩化リン(1.8ml)を加え、115℃で2時間攪拌した。室温に戻した後、飽和食塩水(30ml)を加え、クロロホルムで2回抽出した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル300g、クロロホルム/メタノール1/0−10/1/7/
1)で精製し、得られた個体をヘキサンで洗浄して化合物5(9.23g)を得た。
反応2:化合物5(11.40g)、化合物7(4.88g)、メタノール(146ml)の混合物を50℃で1時間攪拌し、水に加え固体を濾取した。固体をメタノール/水:2/1(220ml)で洗浄し、再度メタノール/水/:2/1(72ml)で洗浄して、染料Aを得た。
[3]光重合開始剤(化合物IV)の合成
【0175】
【化16】

【0176】
窒素雰囲気下、50ml三つ口フラスコに化合物I(0.98g、5mmol)と塩化メチレン(17mL)を加えた。これを3℃に冷却した後、o−トルオイルクロライド(0.77g、5mmol)を滴下した。この中に1時間かけて塩化アルミニウム(0.67g、5mmol)をゆっくり添加した。添加終了後、更に3℃で2時間攪拌し、塩化メ
チレン(8mL)を添加した。次に無水グルタル酸(0.68g、6mmol)を30分かけて添加した後、30分かけて塩化アルミニウム(1.90g、14mmol)を添加した。
【0177】
添加終了後、更に3℃で2時間攪拌し、反応溶液を氷水(400mL)に少しずつ投入した。水層に塩化ナトリウム(80g)を加え、塩化メチレン(50mL)で5回抽出作業を行った。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ過した後、エバポレーターにより溶媒を留去し、化合物II(2.13g、粗収率100%)を得た。これを精製せずに次の反応に用いた。
【0178】
【化17】

【0179】
窒素雰囲気下、50ml三つ口フラスコに化合物II(2.13g、5mmol)、メタノール(22mL)および濃硫酸(5mg)を入れ、3時間加熱還流を行った。冷却後、溶媒を濃縮し、水 (10mL)および酢酸エチル( 30mL)を加えた。
有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ過した後、エバポレーターにより溶媒を留去し、化合物III(1.72g、粗収率78%)を得た。これを精
製せずに、次の反応に用いた。
【0180】
【化18】

【0181】
窒素雰囲気下、50mL三つ口フラスコに化合物III(1.00g、2.26mmol)と塩化メチレン(10mL)をいれ、10℃に冷却した。これに1N塩化水素のジエチルエーテル溶液(4.68mL)を添加した。次に亜硝酸アミル(0.36g、3.04mmol)を加え、10℃で4時間反応した。水(10mL)を加えた後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で順に洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。無水硫酸マグネシウムをろ過した後、エバポレーターにより溶媒を留去し、淡黄色固体(0.88g)を得た。これをトルエン(3.5mL)で再結精製を行い、化合物IV(0.45g、収率42%)を得た。
【0182】
[4]顔料分散液の調製
[4−1]緑色顔料分散液(1)の調製
顔料としてC.I.ピグメントグリーン58(DIC社製;以下、「G58」と略す)を18.00重量部、分散剤として「BYK−LPN6919」(メタクリル酸系ABブッロク共重合体、アミン価121mg−KOH/g、酸価1mg−KOH/g以下)(ビ
ックケミー社製)を固形分換算で4.50重量部、合成例1で合成した樹脂Aを固形分換算で6.00重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114.00重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液(1)を調製した。
【0183】
[4−2]黄色顔料分散液(1)の調製
顔料として「E4GN−GT」(ランクセス社製)を18.00重量部、分散剤として「BYK−LPN6919」(ビックケミー社製)を固形分換算で4.50重量部、合成例1で合成した樹脂Aを固形分換算で6.00重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート114.00重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて黄色顔料分散液(1)を調製した。
【0184】
[4−3]青色顔料分散液(1)の調製
顔料としてC.I.ピグメントブルー15:6(以下、「B15:6」と略す)を8.50重量部、C.I.ピグメントバイオレット23を1.50重量部、分散剤としてDisperbyk2000(ビックケミー社製)を固形分換算で5.00重量部、更に合成例2で合成した樹脂Bを固形分換算で5.00重量部、溶剤としてプロピレングリコールモ
ノメチルエーテルアセテートを80.86重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ22
5重量部をステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて青色顔料分散液(1)を調製した。
【0185】
[4−4]青色顔料分散液(2)の調製
顔料としてB15:6を10重量部、分散剤としてDisperbyk2000(ビックケミー社製)を固形分換算で5.00重量部、更に合成例2で合成した樹脂Bを固形分換算で3.33重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを73.2重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充
填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて青色顔料分散液(2)を調製した。
【0186】
[3−5]赤色顔料分散液(1)の調製
顔料としてC.I.ピグメントレッド254を12.00重量部、C.I.ピグメントレッド177を3.00重量部、分散剤としてDisperbyk2000(ビックケミー社製)を固形分換算で6.00重量部、更に合成例2で合成した樹脂Bを固形分換算で5.00重量部、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを10
4.00重量部、径0.5mmのジルコニアビーズ225重量部をステンレス容器に充填
し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて青色顔料分散液を調製した。
【0187】
[5]色材が顔料のみである着色樹脂組成物の調製
[4−1]〜[4−3]、[4−5]で調製した分散液、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」と称する)と3−エトキシプロピオン酸エチル(以下、「EEP」と称する)、バインダー樹脂として合成例3で合成した樹脂C、重合性モノマー、光重合開始成分、及び界面活性剤としてDIC社製F−475(フッ素系界面活性剤)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:1質量%)を、表1に示す割合で混合し、実施例、比較例の着色樹脂組成物を調製した。なお、表1中の数値は含有量(重量部)である。
【0188】
【表1】

【0189】
尚、表1中の数値は、いずれも添加する各成分の重量部を表す。
又、表1中の各化合物は、各々以下の通りである。
【0190】
【化19】

【0191】
・TO2349(東亜合成社製):多塩基酸変性アクリルオリゴマー(酸価68)
・M―510(東亜合成社製) :多塩基酸変性アクリルオリゴマー
・M−520(東亞合成社製) :多塩基酸変性アクリルオリゴマー
・IRGACURE907(BASF社製):2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フ
ェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン
・IRGACURE OXE02(BASF社製):エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾールー3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)
・BI:2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール
・EAB−F(保土谷化学工業社製)4,4’ビスジエチルアミノベンゾフェノン
・2MBT:2−メルカプトベンゾチアゾール
・ F−475(DIC社製)
上記と同様に表2に示す割合で混合し、実施例、比較例の着色樹脂組成物を調製した。なお、表2中の数値は固形分の含有量(重量部)である。
【0192】
【表2】

【0193】
【化20】

【0194】
【化21】

【0195】
[6]染料を含む着色樹脂組成物の調製
[4−4]で調製した青色顔料分散液(2)、溶剤としてPGMEA、バインダー樹脂として合成例4で合成した樹脂D、重合性モノマー、光重合開始成分、及びフッ素系界面活性剤RS−72−K(DIC社製)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分:1質量%)を、表3に示す割合で混合し、実施例の着色樹脂組成物を調製した。なお、表3中の数値は含有量(重量部)である。
【0196】
【表3】

【0197】
[7]パターン(画素)の製造
[7−1]実施例1〜4、参考例1〜6、比較例1〜4
クロムが蒸着されたガラス基板に、着色樹脂組成物をそれぞれスピンコート塗布し、80℃のホットプレートにて3分間プリベークを行った。塗布回転数はポストベーク後、実施例1〜4、参考例13及び6、並びに比較例1及び2は色座標y=0.599に、参考例4及び比較例3は色座標y=0.085に、参考例5及び比較例4は色座標y=0.303となるように調整した。
【0198】
次に、高圧水銀灯により幅50μm、長さ3mmの直線状マスクパターンを通してサンプルを50mj/cm2で露光した後、0.04重量%水酸化カリウム水溶液を使用し、
現像液温度23℃で0.25MPa圧でスプレー現像した。現像した時間は、あらかじめ測定した着色樹脂組成物の溶解時間の2倍とした。
尚、溶解時間の測定については後述する。基板は現像後、十分な水でリンスした後、クリーンエアで乾燥した。その後、230℃のオーブンにて30分間ポストベークを行った。乾燥膜厚は表2のようになった。
【0199】
[7−2]実施例5〜8、参考例7
ガラス基板AN100(旭硝子社製)上に、着色樹脂組成物をそれぞれスピンコート塗布し、1分間の真空乾燥を行った。塗布回転数はポストベーク後、膜厚3.2μmとなるよう
に調整した。
次に、高圧水銀灯により幅50μm、長さ3mmの直線状マスクパターンを通してサンプルを40mj/cm2で露光した後、炭酸水溶液を使用し、現像液温度26℃で0.15MPa圧でスプレー現像した。現像した時間は、あらかじめ測定した着色樹脂組成物の溶解時間の+10秒とした。
基板は現像後、十分な水でリンスした後、クリーンエアで乾燥した。その後、測定を行った。
【0200】
[8]溶解時間の測定
パターン(画素)の製造と同様に、洗浄したガラス基板AN100(旭硝子社製)上に着色樹脂組成物を塗布・乾燥、露光した後、現像したときに、未露光部の着色樹脂組成物が現像液へ完全に溶解し、基板が露出した時間を、その着色樹脂組成物の溶解時間とした。
【0201】
[9]密着性の測定
上記のようにして得られた直線パターンのうち、残った線パターンのうち最も細い線幅を密着性の値とした。
[10]テーパー形状の測定
上記のようにして得られた50μm幅直線パターンの断面形状をSEM(日立製S−4500)で観察した。
【0202】
[11]直線性の測定
上記のようにして得られた50μm幅直線パターンの形状を50倍で顕微鏡観察し、カケが全くないものを◎、ほとんどなく直線性が良好なものを○、突起や凹凸が数箇所見られるものを△、多々観察されるものを×とした。
結果を表4に示す。
【0203】
【表4】

【0204】
【表5】

【0205】
【表6】

【0206】
表5に示すが如く、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて形成された画素は、断面形状が適切、つまり、順テーパーである。
この為、色濃度が高い画素を形成する場合やタクトタイムを短縮した場合でも、断面形状の起因する表示不良や欠陥などが生じ難い。
また表6に示すが如く、本発明のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いた場合、密着性が優れ、同様に表示不良や欠陥などが生じ難い。
つまりは、本発明の着色樹脂組成物を用いることで、色濃度が高い画素、並びに高品質の液晶表示装置及び有機EL表示装置を形成しうる。
【符号の説明】
【0207】
100 有機EL素子
20 画素
30 有機保護層
40 無機酸化膜
500 有機発光体
51 正孔注入層
54 電子注入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)色材、(B)溶剤、(C)バインダー樹脂を含有する着色樹脂組成物において、更に、下記式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする、カラーフィルタ用着色樹脂組成物。
【化1】

(上記式(1)中、
は、置換基を有していてもよい炭化水素環基、置換基を有していてもよい複素環基又は置換基を有していてもよい芳香族環基を表す。
は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を表す。
11及びR12は、各々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜4アルキル基を表す。
11及びR12は、互いに結合して環を形成していてもよい。
lは、1〜12の整数を、
mは、1〜3の整数を、
nは、1〜12の整数を表す。
尚、一分子中に、複数含まれる、l及びn、−CR1112−が含まれる場合、各々、同じでもよく、また異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記式(1)で表される化合物の含有量が、全固形分中、1重量%以上、70重量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
【請求項3】
更に、(F)光重合開始成分を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
【請求項4】
前記(F)光重合開始成分として、(F1)光重合開始剤を含有し、
該(F1)光重合開始剤が、オキシムエステル系開始剤であることを特徴とする、請求項3に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のカラーフィルタ用着色樹脂組成物を用いて形成された画素を有することを特徴とする、カラーフィルタ。
【請求項6】
請求項5に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、液晶表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載のカラーフィルタを有することを特徴とする、有機EL表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−215850(P2012−215850A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−59290(P2012−59290)
【出願日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】