説明

カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ、その製造方法、及びそれを具備する液晶表示装置並びに有機EL表示装置

【課題】高コントラストなカラーフィルタ、及びこのカラーフィルタを備える液晶表示装置並びにEL表示装置を提供すること。
【解決手段】着色材料として下記化学式(1)に示す黄色染料を含むことを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
【化6】


(化学式(1)において、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表す。ベンゼン環Aは更にハロゲン原子またはアルキル基で置換されていてもよい。Xはビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンまたはトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンを表す)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ、その製造方法、及びそれを具備する液晶表示装置並びに有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、近年、その薄型である事ゆえの省スペース性や軽量性、また省電力性などが評価されている。なかでもテレビ受像機などディスプレイ用途への普及が急速に進んでおり、輝度、コントラストや全方位の視認性などの表示性能をより高めることが望まれるとともに、それに用いるカラーフィルタの更なる高明度化、高コントラスト化、広色再現域化などが望まれている(例えば、特許文献1、2、3)。
【0003】
高色再現化の手段としては、カラーフィルタに赤色、緑色および青色の画素に加えて、第4、第5、第6の画素を追加することが有効である。特許文献4および5などでは、赤色、緑色、青色の画素に加えて、黄色、シアン色、マゼンタ色の画素を追加することで、特許文献6では、シアン色の画素を追加することで、再現域の拡大を提案している。赤色、緑色、青色の画素に加える第4の画素としては、高輝度化の点でも有利な黄色画素を用いることが効果的である。4色の画素で色再現することにより、3色で構成するカラーフィルタよりも色再現域を拡大することができ、また、赤色、緑色および青色に比べ高い彩度を有する黄色を加えることにより、カラーフィルタの高輝度化を図ることができる。
【0004】
しかしながら、黄色着色組成物において、彩度とコントラストはトレードオフの関係にあり、即ち、コントラストの高い顔料は彩度が低く、彩度が高い顔料はコントラストが低く、高いコントラストと高い彩度を両立することは困難であった。
【0005】
コントラストが低い顔料を用いて作製したカラーフィルタは顔料微粒子の影響によって液晶表示装置内で光を拡散させ、表示コントラストの低下を招くことが知られている。その対策として顔料粒子の微粒化が検討なされているが、顔料を用いている限り、この拡散は完全にはなくならない。
【0006】
この問題を解決するために、着色組成物に溶解することで発色する染料を用いることが考えられる。従来から染料を用いたカラーフィルタの検討がなされており、特許文献7等により提案されているが、染料を含有する着色組成物には新たな問題点を含んでいる。即ち、(1)一般的な染料は、一般的なカラーフィルタ用着色組成物に用いられる有機溶剤に対して溶解性が低い。(2)染料はフォトリソ法で一般的に用いられるラジカル重合において、発生したラジカル重合末端を失活させる、いわゆる「ラジカルイーター」として働くため、露光感度を低下させ、塗膜を十分に硬化できない。(3)染料は一般的に顔料と比較して耐熱性、耐光性に劣る。(4)塗膜中の染料が有機溶剤などに浸すと溶出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−194658号公報
【特許文献2】特開2002−214436号公報
【特許文献3】特開2005−316439号公報
【特許文献4】特開平09−251160号公報
【特許文献5】特許第4170899号公報
【特許文献6】特開2001−306023号公報
【特許文献7】特開平6−75275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、有機溶剤に対する染料の溶解性への影響を考慮し、高コントラストなカラーフィルタ用着色組成物、カラーフィルタ、その製造方法、及びこのカラーフィルタを備える液晶表示装置並びにEL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、カラーフィルタ用着色組成物に用いる着色材料として、下記化学式(1)に示す黄色染料を用いることで解決できることを見出した。
【化1】

【0010】
(化学式(1)において、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表す。ベンゼン環Aは更にハロゲン原子またはアルキル基で置換されていてもよい。Xはビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンまたはトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンを表す)。
【0011】
化学式(1)に示す黄色染料は、他の黄色染料と比較して、カラーフィルタ用着色組成物で一般的に用いられるシクロヘキサノンやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの有機溶剤に対する溶解性が高く、耐熱性、耐光性に優れ、且つ十分な着色力を有しているものである。
【0012】
即ち、本発明の第一の様態としては、着色材料として該黄色染料を含むカラーフィルタ用着色組成物である。
【0013】
本発明の第二の様態は、着色材料としてさらに顔料を含むカラーフィルタ用着色組成物を提供する。
【0014】
本発明の第三の様態は、前記顔料として少なくとも、C.I.Pigment Yellow138、139、150、185から選ばれる一種の黄色顔料を含むカラーフィルタ用黄色着色組成物を提供する。
【0015】
本発明の第四の様態は、前記顔料として少なくとも、C.I.Pigment Green7、36、58から選ばれる一種の緑色顔料を含むカラーフィルタ用緑色着色組成物を提供する。
【0016】
本発明の第五の様態は、前記顔料として少なくとも、C.I.Pigment Red 177、242、254から選ばれる一種の赤色顔料を含むカラーフィルタ用緑色着色組成物を提供する。
【0017】
本発明の第六の様態は、上述の着色材料と少なくとも1種の光重合開始剤、及び少なくとも1種の重合性化合物を含むカラーフィルタ用感光性着色組成物を提供する。
【0018】
本発明の第七の様態は、上述の着色組成物を硬化してなる着色画素を持つカラーフィルタを提供する。
【0019】
本発明の第八の様態は、上述の着色組成物を透明基板上に硬化して着色画素を形成するカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0020】
本発明の第九の様態は、上述のカラーフィルタを具備する液晶表示装置を提供する。
【0021】
本発明の第十の様態は、上述のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機EL表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、色再現性、コントラストに優れたカラーフィルタ用着色組成物、この着色組成物を用いたカラーフィルタ、及びこのカラーフィルタを備える液晶表示装置並びにEL表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第2の実施形態に係るカラーフィルタを示す断面図である。
【図2】図1に示すカラーフィルタを備える液晶表示装置の一例を示す断面図である。
【図3】図1に示すカラーフィルタを備えるEL表示装置の一例を示す断面図である。
【図4】着色膜のコントラスト比を測定する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の種々の実施形態について説明する。
【0025】
本発明に係る第一の実施形態は、着色材料として下記化学式(1)に示す黄色染料を使用するカラーフィルタ用着色組成物である。
【化2】

【0026】
(化学式(1)において、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表す。ベンゼン環Aは更にハロゲン原子またはアルキル基で置換されていてもよい。Xはビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンまたはトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンを表す)。
【0027】
一般式(1)において、Xはビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンまたはトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオン表す。
【0028】
一般式(1)のRにおけるアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ベンゾピレニル基などの芳香族炭化水素残基;ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基、ピロリル基、インドレニル基、イミダゾリル基、カルバゾリル基、チエニル基、フリル基などの芳香族複素環残基、等が挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
【0029】
一般式(1)のRにおいて、アリール基はさらに置換基を有してもよく、該置換基としては特に制限はないが、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;スルホン酸基;水酸基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等のヒドロキシアルキル基;メトキシエチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、ブトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;2―ヒドロキシエトキシ基等のヒドロキシアルコキシ基;2−メトキシエトキシ基、2−エトキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基;2−スルホエチル基、カルボキシエチル基、シアノエチル基等が挙げられる。
【0030】
一般式(1)のRアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、等のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有して良く、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、カルボキシエチル基、シアノエチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
【0031】
一般式(1)のR〜Rにおけるアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、等のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有して良く、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、カルボキシエチル基、シアノエチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0032】
一般式(1)のベンゼン環Aにおいてさらに置換してもよいハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
【0033】
一般式(1)のベンゼン環Aにおいてさらに置換してもよいアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、等のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有して良く、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、2−スルホエチル基、カルボキシエチル基、シアノエチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
【0034】
黄色染料の含有量は、耐熱性、耐光性、溶出性の観点から固形分中の質量濃度が0.1質量%乃至50質量%であることが好ましい。さらに好ましくは0.5質量%乃至30質量%である。0.1質量%より黄色染料の含有量が少ないと、十分なコントラストが得られない。
【0035】
一方、黄色染料の含有量が50質量%より多いと染料が十分に溶解せず、結晶が析出する恐れがあり、更に着色画素を形成するために着色組成物を基板上に塗布し、有機溶剤を乾燥する際にも染料が析出する恐れがある。
【0036】
本発明にかかる着色材料として、上述の黄色染料のほかに、公知の染料を適宜加えて使用することができる。
【0037】
公知の染料としては、例えば、特開昭64−90403号公報、特開昭64−91102号公報、特開平1−94301号公報、特開平6−11614号公報、特許第2592207号公報、米国特許第4,808,501号明細書、米国特許第5,667,920号明細書、米国特許第5,059,500号明細書、特開平5−333207号公報、特開平6−35183号公報、特開平6−51115号公報、特開平6−194828号公報等に記載の色素が挙げられる。
【0038】
これらの染料としては、酸性染料、油溶性染料、分散染料、反応性染料、直接染料等が挙げられる。例えば、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、ナフトキノン系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、メロシアニン系染料、スチルベン系染料、ジアリールメタン系染料、トリアリールメタン系染料、フルオラン系染料、スピロピラン系染料、フタロシアニン系染料、インジゴ系染料、フルギド系染料、ニッケル錯体系染料、及びアズレン系染料が挙げられる。具体的には、カラーインデックス番号で以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない。C.I.Solvent Yellow 2、3、7、12、13、14、16、18、19、21、25、25:1、27、28、29、30、33、34、36、42、43、44、47、56、62、72、73、77、79、81、82、83、83:1、88、89、90、93、94、96、98、104、107、114、116、117、124、130、131、133、135、141、143、145、146、157、160:1、161、162、163、167、169、172、174、175、176、179、180、181、182、183、184、185、186、187、189、190、191、C.I.Solvent Orange 1、2、3、4、5、7、11、14、20、23、25、31、40:1、41、45、54、56、58、60、62、63、70、75、77、80、81、86、99、102、103、105、106、107、108、109、110、111、112、113、C.I.Solvent Red 1、2、3、4、8、16、17、18、19、23、24、25、26、27、30、33、35、41、43、45、48、49、52、68、69、72、73、83:1、84:1、89、90、90:1、91、92、106、109、110、118、119、122、124、125、127、130、132、135、141、143、145、146、149、150、151、155、160、161、164、164:1、165、166、168、169、172、175、179、180、181、182、195、196、197、198、207、208、210、212、214、215、218、222、223、225、227、229、230、233、234、235、236、238、239、240、241、242、243、244、245、247、248、C.I.Solvent Violet 2、8、9、11、13、14、21、21:1、26、31、36、37、38、45、46、47、48、49、50、51、55、56、57、58、59、60、61、C.I.Solvent Blue 2、3、4、5、7、18、25、26、35、36、37、38、43、44、45、48、51、58、59、59:1、63、64、67、68、69、70、78、79、83、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、124、128、129、132、136、137、138、139、143、C.I.Solvent Green 1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35、C.I.Solvent Brown 1、3、4、5、12、20、22、28、38、41、42、43、44、52、53、59、60、61、62、63、C.I.Solvent Black 3、5、5:2、7、13、22、22:1、26、27、28、29、34、35、43、45、46、48、49、50、C.I.Acid Red 6、11、26、60、88、111、186、215、C.I.Acid Green 25、27、C.I.Acid Blue 22、25、40、78、92、113、129、167、230、C.I.Acid Yellow 17、23、25、36、38、42、44、72、78、C.I.Basic Red 1、2、13、14、22、27、29、39、C.I.BasicGreen3、4、C.I.Basic Blue 3、7、9、17、41、66、C.I.Basic Violet 1、3、18、39、66、C.I.Basic Yellow 11、23、25、28、41、C.I.Direct Red 4、23、31、75、76、79、80、81、83、84、149、224、C.I.Direct Green 26、28、C.I.Direct Blue 71、78、98、106、108、192、201、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Yellow 26、27、28、33、44、50、86、142、C.I.Direct Orange 26、29、34、37、72、C.I.Sulphur Red5、6、7、C.I.Sulphur Green 2、3、6、C.I.Sulphur Blue 2、3、7、9、13、15、C.I.Sulphur Violet 2、3、4、C.I.Sulphur Yellow 4、C.I.Vat Red 13、21、23、28、29、48、C.I.Vat Green 3、5、8、C.I.Vat Blue 6、14、26、30、C.I.Vat Violet 1、3、9、13、15、16、C.I.Vat Yellow 2、12、20、33、C.I.Vat Orange 2、5、11、15、18、20、C.I.Azoic Coupling Component 2、3、4、5、7、8、9、10、11、13、32、37、41、48、C.I.Reactive Red 8、22、46、120、C.I.Reactive Blue 1、2、7、19、C.I.Reactive Violet 2、4、C.I.Reactive Yellow 1、2、4、14、16、C.I.Reactive Orange 1、4、7、13、16、20、C.I.Disperse Red 4、11、54、55、58、65、73、127、129、141、196、210、229、354、356、C.I.Disperse Blue 3、24、79、82、87、106、125、165、183、C.I.Disperse Violet 1、6、12、26、27、28、C.I.Disperse Yellow 3、4、5、7、23、33、42、60、64、C.I.Disperse Orange 13、29、30。これらの染料は、所望の分光スペクトルを発現させるために、単独で用いる事も、2種類以上組み合わせて用いる事もできる。
【0039】
着色組成物中の固形分中における染料の質量濃度は、好ましくは0.1%乃至50%、より好ましくは0.5%乃至30%、更に好ましくは0.5%乃至20%である。染料の濃度が0.1%未満では、染料濃度が薄いため、カラーフィルタとして十分な色の着色画素を形成するためには、着色画素の膜厚を非常に厚くしなくてはならないため、画素形成が困難であり、生産性も悪化するため実用上難点がある。また、50%を越えると、濃度が高すぎるため、染料が十分に溶解せず、結晶が析出する恐れがあり、さらに着色画素の形成のために着色組成物を基板上に塗布し、有機溶剤を乾燥する際にも、染料が析出する恐れがある。
【0040】
本発明の第二の実施形態は、上記染料の他に、少なくとも一種の顔料を含むカラーフィルタ用着色組成物である。着色組成物中の固形分中における顔料の質量濃度は、好ましくは0.1%ないし50%、より好ましくは0.5%〜40%、更に好ましくは0.5%〜30%である。0.1%未満では、顔料濃度が薄いため、カラーフィルタとして十分な色の着色画素を形成するためには、着色画素の膜厚を非常に厚くしなくてはならないため、画素形成が困難であり、生産性も悪化するため実用上難点があり、50%を越えると、顔料を分散化するための樹脂の量が少なくなるため、不安定になり、顔料の凝集による増粘やコントラスト低下の原因となる。
【0041】
該顔料は、特に限定しないが公知の顔料を特に制限無く使用することができる。
【0042】
黄色顔料としては例えばC.I. Piment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられるが、特に本発明の第三の実施形態においては、C.I. Pigment Yellow 138、139、150、185が着色力、耐熱性、耐光性の観点から好適に用いられる。
【0043】
緑色顔料としては、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができるが、特に本発明の第四の実施形態においては、C.I. Pigment Green 7、36、58が着色力、耐熱性、耐光性の観点から好適に用いられる。
【0044】
赤色顔料として、C.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、272、279等が挙げられる。特に本発明の第五の実施形態においては、C.I.Pigment Red 177、242、254が着色力、耐熱性、耐光性の観点から好適に用いられる。
【0045】
橙色顔料としては例えばC.I. Pigment Orange 36、38、43、51、55、59、61、64、71、73等が挙げられるが、C.I.Pigment Orange 36、38、64が好適に用いられる。青色顔料としては、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等が挙げられるが、特にC.I. Pigment Blue 15:3、C.I. Pigment Blue 15:6を用いることができる。また、紫色顔料として、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が用いられるが、特にC.I. Pigment Violet 23が好適に用いられる。
【0046】
また、無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
【0047】
着色組成物に含まれる顔料は、カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化を実現させるため、微細化処理されていることが好ましく、また一次粒子径が小さいことが好ましい。顔料の一次粒子径は、顔料を透過型電子顕微鏡で撮り、その写真の画像解析を行い算出した。ここで言う一次粒子径は、個数粒度分布の積算曲線において積算量が全体の50%に相当する粒子径(円相当径)を表す。
【0048】
顔料の一次粒子径は、40nm以下であることが好ましく、より好ましくは30nm以下であり、更に好ましくは20nm以下である。また、一次粒子径は5nm以上であることが好ましい。
【0049】
顔料の一次粒子径が上限値より大きい場合には、液晶表示装置の黒表示時の視認性が悪い。また、下限値より小さい場合は、顔料分散が難しくなり、着色組成物としての安定性を保ち、流動性を確保することが困難になる。その結果、カラーフィルタの輝度、色特性が悪化する。
【0050】
顔料の一次粒子径を制御する手段としては、顔料を機械的に粉砕して一次粒子径を制御する方法(磨砕法と呼ぶ)、良溶媒に溶解したものを貧溶媒に投入して所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法(析出法と呼ぶ)、および合成時に所望の一次粒子径の顔料を製造する方法(合成析出法と呼ぶ)等がある。使用する顔料の合成法や化学的性質等により、個々の顔料について適当な方法を選択して行うことができる。
【0051】
以下にそれぞれの方法について説明するが、本発明に用いる着色組成物に含まれる顔料の一次粒子径の制御方法は、上記方法のいずれを用いてもよい。
【0052】
磨砕法は、顔料をボールミル、サンドミルまたはニーダーなどを用いて、食塩等の水溶性の無機塩などの磨砕剤およびそれを溶解しない水溶性有機溶剤とともに機械的に混練(以下、この処理をソルトミリングと呼ぶ)した後、無機塩と有機溶剤を水洗除去し、乾燥することにより所望の一次粒子径の顔料を得る方法である。ただし、ソルトミリング処理により、顔料が結晶成長する場合があるため、処理時に上記有機溶剤に少なくとも一部溶解する固形の樹脂や顔料分散剤を加えて、結晶成長を防ぐ方法が有効である。
【0053】
顔料と無機塩の比率は、無機塩の比率が多くなると顔料の微細化効率は良くなるが、顔料の処理量が少なくなるために生産性が低下する。一般的には、顔料が1質量部に対して無機塩を1〜30質量部、好ましくは2〜20質量部用いるのが良い。また、上記水溶性有機溶剤は、顔料と無機塩とが均一な固まりとなるように加えるもので、顔料と無機塩との配合比にもよるが、通常は顔料1質量部に対して0.5〜30質量部の量で用いられる。
【0054】
上記磨砕法についてさらに具体的には、顔料と水溶性の無機塩の混合物に湿潤剤として少量の水溶性有機溶剤を加え、ニーダー等で強く練り込んだ後、この混合物を水中に投入し、ハイスピードミキサー等で攪拌しスラリー状とする。次に、このスラリーを濾過、水洗して乾燥することにより、所望の一次粒子径の顔料を得ることができる。
【0055】
析出法は、顔料を適当な良溶媒に溶解させたのち、貧溶媒と混ぜ合わせて、所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法で、溶媒の種類や量、析出温度、析出速度などにより一次粒子径の大きさが制御できる。一般に顔料は溶媒に溶けにくいため、使用できる溶媒は限られるが、例として濃硫酸、ポリリン酸、クロロスルホン酸などの強酸性溶媒または液体アンモニア、ナトリウムメチラートのジメチルホルムアミド溶液などの塩基性溶媒などが知られている。
【0056】
本法の代表例としては、酸性溶剤に顔料を溶解させた溶液を他の溶媒中に注入し、再析出させて微細粒子を得るアシッドペースティング法がある。工業的にはコストの観点から硫酸溶液を水に注入する方法が一般的である。硫酸濃度は特に限定されないが、95〜100質量%が好ましい。顔料に対する硫酸の使用量は特に限定されないが、少ないと溶液粘度が高くハンドリングが悪くなり、逆に多すぎると顔料の処理効率が低下するため、顔料に対して3〜10質量倍の硫酸を用いることが好ましい。なお、顔料は完全溶解している必要はない。溶解時の温度は0〜50℃が好ましく、これ以下では硫酸が凍結する恐れがあり、かつ溶解度も低くなる。高温すぎると副反応が起こりやすくなる。注入される水の温度は1〜60℃が好ましく、この温度以上で注入を始めると硫酸の溶解熱で沸騰して作業が危険である。これ以下の温度では凍結してしまう。注入にかける時間は顔料1部に対して0.1〜30分が好ましい。時間が長くなるほど一次粒子径は大きくなる傾向がある。
【0057】
顔料の一次粒子径の制御は、アシッドペースティング法などの析出法とソルトミリング法などの磨砕法を組み合わせた手法を選択することにより、顔料の整粒度合を考慮しつつ行うことができ、さらにはこのとき分散体としての流動性も確保できることからより好ましい。
【0058】
ソルトミリング時あるいはアシッドペースティング時には、一次粒子径制御に伴う顔料の凝集を防ぐために、下記に示す色素誘導体や樹脂型顔料分散剤、界面活性剤等の分散助剤を併用することもできる。また、一次粒子径制御を2種類以上の顔料を共存させた形で行うことにより、単独では分散が困難な顔料であっても安定な分散体として仕上げることができる。
【0059】
特殊な析出法としてロイコ法がある。フラバントロン系、ペリノン系、ペリレン系、インダントロン系等の建染染料系顔料は、アルカリ性ハイドロサルファイトで還元すると、キノン基がハイドロキノンのナトリウム塩(ロイコ化合物)になり水溶性になる。この水溶液に適当な酸化剤を加えて酸化することにより、水に不溶性の一次粒子径の小さな顔料を析出させることができる。
【0060】
合成析出法は、顔料を合成すると同時に所望の一次粒子径の顔料を析出させる方法である。しかし、生成した微細顔料を溶媒中から取り出す場合、顔料粒子が凝集して大きな二次粒子になっていないと一般的な分離法である濾過が困難になるため、通常、二次凝集が起きやすい水系で合成されるアゾ系等の顔料に適用されている。
【0061】
さらに、顔料の一次粒子径を制御する手段として、顔料を高速のサンドミル等で長時間分散すること(顔料を乾式粉砕する、いわゆるドライミリング法)により、顔料の一次粒子径を小さくすると同時に分散することも可能である。
【0062】
本実施形態に係るカラーフィルタ用着色組成物に含まれる顔料担体としてのバインダー樹脂は、顔料を分散させるものであり、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体には、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0063】
顔料担体としてのバインダー樹脂は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、30〜700質量部、好ましくは60〜450質量部の量で用いることができる。また、透明樹脂とその前駆体との混合物を顔料担体として用いる場合には、透明樹脂は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、20〜400質量部、好ましくは50〜250質量部の量で用いることができる。また、透明樹脂の前駆体は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、10〜300質量部、好ましくは10〜200質量部の量で用いることができる。
【0064】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン‐マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂などが挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。中でも透明性の観点からアクリル系樹脂が好適に用いられる。
【0065】
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基などの反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン‐無水マレイン酸共重合物やα‐オレフィン‐無水マレイン酸共重合物などの酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0066】
本実施形態に係るカラーフィルタ用着色組成物に用いるバインダー樹脂は、上述の顔料担体としてのバインダー樹脂と同様の樹脂を用いることができる。特に透明性の観点からアクリル系の樹脂が好適に用いられる。バインダー樹脂を生成するモノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β‐カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6‐ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレートなどの各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N‐ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N‐ビニルホルムアミド、アクリロニトリルなどが挙げられる。これらは、単独または2種類以上混合して用いることができる。
【0067】
本実施形態に係るカラーフィルタ用着色組成物には、乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布するために1種または2種類以上の有機溶剤を用いることができる。有機溶剤は、着色組成物を塗布する際の塗布性、乾燥性、膜厚均一性、濡れ性などの観点から粘度、表面張力、沸点、溶解度パラメータなどを考慮して選択される。例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1‐メトキシ‐2‐プロピルアセテート、1‐エトキシ‐2‐プロピルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジメチルエーテル、乳酸エチル、乳酸メチル、エチルベンゼン、キシレン、エチルセロソルブ、メチル‐nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤などが挙げられるが、これらに限らない。有機溶剤は、着色組成物中の固形分の合計100質量部に対して、100〜2000質量部、好ましくは400〜1000質量部の量で用いることができる。
【0068】
本実施形態に係るカラーフィルタ着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために、貯蔵安定剤を含有させることができ、また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤などの密着向上剤を含有させることもできる。貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t‐ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩などが挙げられる。
【0069】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β‐メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニルシラン類、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどの(メタ)アクリルシラン類、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類、N‐β(アミノエチル)γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐β(アミノエチル)γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐β(アミノエチル)γ‐アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐フェニル‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、N‐フェニル‐γ‐アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノシラン類、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ‐メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのチオシラン類などが挙げられる。
【0070】
本発明の第六の実施形態は、第一乃至第五の実施形態に記したカラーフィルタ用着色組成物に、更に、少なくとも1種の光重合開始剤、及び少なくとも1種の光重合性化合物を配合したカラーフィルタ用着色感光性組成物である。
【0071】
光重合開始剤としては、4‐フェノキシジクロロアセトフェノン、4‐t‐ブチル‐ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1‐(4‐イソプロピルフェニル)‐2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロパン‐1‐オン、1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルフォリノフェニル)‐ブタン‐1‐オンなどのアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4‐フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4‐ベンゾイル‐4’‐メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’‐テトラ(t‐ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2‐クロルチオキサントン、2‐メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4‐ジイソプロピルチオキサントン、2,4‐ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系化合物、2,4,6‐トリクロロ‐s‐トリアジン、2‐フェニル‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(p‐メトキシフェニル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(p‐トリル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐ピペロニル‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2,4‐ビス(トリクロロメチル)‐6‐スチリル‐s‐トリアジン、2‐(ナフト‐1‐イル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2‐(4‐メトキシ‐ナフト‐1‐イル)‐4,6‐ビス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン、2,4‐トリクロロメチル‐(ピペロニル)‐6‐トリアジン、2,4‐トリクロロメチル(4’‐メトキシスチリル)‐6‐トリアジンなどのトリアジン系化合物、1,2‐オクタンジオン,1‐〔4‐(フェニルチオ)‐,2‐(O‐ベンゾイルオキシム)〕、O‐(アセチル)‐N‐(1‐フェニル‐2‐オキソ‐2‐(4’‐メトキシ‐ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミンなどのオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのホスフィン系化合物、9,10‐フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノンなどのキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物などが用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤は、着色組成物中の色材の合計100質量部に対して、5〜200質量部、好ましくは10〜150質量部の量で用いることができる。
【0072】
上記光重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるか、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4‐ジメチルアミノ安息香酸メチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸エチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2‐ジメチルアミノエチル、4‐ジメチルアミノ安息香酸2‐エチルヘキシル、N,N‐ジメチルパラトルイジン、4,4’‐ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’‐ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤は、着色組成物中の光重合開始剤100質量部に対して、0.1〜60質量部の量で用いることができる。
【0073】
さらに、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4‐ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4‐ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3‐メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4‐ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6‐トリメルカプト‐s‐トリアジン、2‐(N,N‐ジブチルアミノ)‐4,6‐ジメルカプト‐s‐トリアジンなどが挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの含有量は、着色組成物中の色材の合計100質量部に対して、0.05〜100質量部が好ましく、好ましくは0.1〜60質量部の量で用いることができる。
【0074】
光重合性化合物は、光照射により光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合し得る化合物である。光重合性化合物としては、例えば、重合性の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物などが挙げられる。
【0075】
光重合性化合物としては、公知の光重合性化合物を特に制限なく、用いることができる。光重合性化合物としては、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性二重結合を有し、常圧下での沸点が100℃以上である化合物が好ましい。(メタ)アクリル化合物であることがより好ましい。感度と高硬化の観点から、前記光重合性化合物が多官能(メタ)アクリル化合物であることが更に好ましい。
【0076】
光重合性化合物の例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化したものなどが挙げられる。
【0077】
以上の実施形態に係るカラーフィルタ用感光性着色組成物においては、画素形成工程において、未露光部をアルカリ現像により取り除く場合、バインダー樹脂は酸価を持っていることが好ましい。十分な現像性を確保するためには20から250[mgKOH/g]であることが好ましく、より好ましくは50から200である。酸価が20未満では十分な現像性を得ることが難しく、250を超えるとバインダー樹脂がもつ酸が染料に対して影響する場合があり、耐熱性、耐光性が悪化する場合がある。
【0078】
本発明の第七の実施形態は、上述の着色組成物を硬化してなる着色画素を持つことを特徴とするカラーフィルタである。
【0079】
本実施形態に係るカラーフィルタは、必要に応じて赤色画素、緑色画素及び青色画素を含み、更に必要に応じて黄色画素、シアン色画素、マゼンタ色画素、及び透明画素等の他の色の画素を含んでいてもよい。本発明に関わる着色画素以外は、色顔料を含有する、色染料を含有する、もしくは、色顔料及び色染料の両方を含有する、公知の着色組成物を用いて形成して構わない。
【0080】
本実施形態に係るカラーフィルタにおいて、着色画素は、好ましくは0.1μmないし5.0μm、より好ましくは0.5μmないし4.0μm、更に好ましくは1.0μmないし3.0μmの膜厚を有する。すなわち、本発明に係わる着色画素をフォトリソグラフィー法で形成する場合、膜厚が0.1μm未満であると画素の形成が困難になり、また、膜厚が5μmより厚くなると、組成物を塗膜として塗布形成するのが困難となるためである。
【0081】
本実施形態に係るカラーフィルタは、透明基板上に、上述したカラーフィルタ用着色組成物を用いて形成された着色塗膜からなる着色画素を具備するものである。カラーフィルタは、通常は、公知の着色組成物を用いて形成される青色画素、緑色画素及び赤色画素を具備する。さらに必要に応じて黄色画素、シアン色画素、マゼンダ色画素を具備する。
【0082】
即ち、図1に示すように、カラーフィルタは、ガラス等の透明基板1上に、遮光膜であるブラックマトリクス2、及び着色画素3を備えている。着色画素3は、上述した青色着色組成物を用いて形成された青色画素3B、赤色画素3R、及び緑色画素3Gからなる。
【0083】
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、本発明に係わるカラーフィルタを液晶表示装置に組み込む場合、ガラス板や樹脂板の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0084】
本発明の第八の実施形態は、上述の着色組成物を透明基板上に硬化して着色画素を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0085】
各色着色画素の形成は、例えば、印刷法、インクジェット法、フォトリソグラフィー法等により行うことができる。
【0086】
印刷法による各色着色画素の形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0087】
インクジェット法を用いたカラーフィルタの製造方法として、ガラス基板上にブラックマトリクスを形成し、インクジェット印刷装置を用いてブラックマトリクスの開口部にインクを付与して着色部を形成する方法が提案されている。更に、この方法において、インクが所定の開口部に正確に充填され、隣接する着色部間でインクが混じり合う混色が発生しないように、ブラックマトリクスを構成する材料にフッ素化合物やケイ素化合物等の撥水材を含ませてもよい。
【0088】
インクジェットに用いる装置としては、インク吐出方法の相違によりピエゾ変換方式と熱変換方式がある。また、インクジェット装置におけるインクの粒子化周波数は、5〜100kHz程度である。また、インクジェット装置におけるノズル径は5〜80μm程度が望ましい。また、インクジェット装置はヘッドを複数個配置し、1ヘッドにノズルを60〜500個程度組み込んだものを用いることが出来る。
【0089】
インクジェット法により着色部パターンを形成した後は、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレートなどを使用して、加熱処理し、着色層パターンを形成する。インクジェット法によれば、複数色のインキを同時に塗布することが出来ることから、簡易なプロセスで安価にカラーフィルタを製造することが可能である。
【0090】
フォトリソグラフィー法により各色着色画素を形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレートなどを使用してもよい。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するパターン露光用フォトマスクを介して膜に紫外線露光を行う。
【0091】
その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。
【0092】
なお、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて現像後に加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0093】
着色組成物の現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法などを適用することができる。
【0094】
なお、紫外線露光時の膜の感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂などを塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0095】
本実施形態に係るカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができる。なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色着色画素を透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。
【0096】
転写法は、剥離性の転写ベースシートあるいは転写胴の表面に、あらかじめ着色画素を形成しておき、この着色画素を所望の透明基板に転写させる方法である。
【0097】
透明基板あるいは反射基板上に各色着色画素を形成する前に、あらかじめブラックマトリックスを形成しておくと、表示パネルのコントラストを一層高めることができる。ブラックマトリックスとしては、クロムやクロム/酸化クロムの多層膜、窒化チタニウムなどの無機膜や、遮光剤を分散した樹脂膜を用いることもできる。
【0098】
また、本実施形態に係わるカラーフィルタを液晶表示装置に組み込む場合、前記の透明基板あるいは反射基板上に薄膜トランジスタ(TFT)をあらかじめ形成しておき、その後に着色画素を形成することもできる。TFT基板上に着色画素を形成することにより、液晶表示パネルの開口率を高め、輝度を向上させることができる。
【0099】
本実施形態に係るカラーフィルタ上には、必要に応じてオーバーコート膜や柱状スペーサー、透明導電膜、液晶配向膜などを形成して構わない。
【0100】
本実施形態に係るカラーフィルタは、液晶表示装置、有機EL素子、有機EL表示装置に好適に用いることが出来る。
【0101】
本発明の第九の実施形態に係る液晶表示装置は、上述したカラーフィルタを具備していることを特徴とする。
【0102】
図2は、本実施形態に係る液晶表示装置の概略を示す断面図である。図1において、液晶表示装置4は、離間対向して配置された一対の透明基板5および6を備え、それらの間には、液晶(LC)が封入されている。
【0103】
第1の透明基板5の内面には、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ7が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層8が形成されている。透明電極層8の上には、配向層9が設けられている。また、透明基板5の外面には、位相差フィルムを構成に含む偏光板10が形成されている。
【0104】
他方、第2の透明基板6の内面には、カラーフィルタ11が形成されている。カラーフィルタ11を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層12が形成され、透明電極層12を覆って配向層13が設けられている。また、透明基板6の外面には、偏光板14が形成されている。なお、偏光板10の下方には、三波長ランプ15を備えたバックライトユニット16が設けられている。
【0105】
本発明の第十の実施形態に係る有機EL表示装置は、上述したカラーフィルタを備えるものである。
【0106】
有機EL表示装置の構造として、図3に示すような3つの型がある。
【0107】
第1の型は、図3(a)に示すように、透明基板21上に形成したTFTアレイ22に電気的に接続された金属電極23と、対向する封止基板24に形成した透明電極25とで発光層(有機EL層)26を挟持し、両電極間に電圧を掛けた際に発光層から発せられた光を封止基板側から取り出すトップエミッション型である。
【0108】
第2の型は、図3(b)、(c)に示すように、金属電極23と透明電極25の位置を入れ替え、TFTアレイ22側から光を取り出すボトムエミッション型である。
【0109】
また、光を取り出す方式として、以下の3つの方式が提案されている。すなわち、第1の方式は、発光層26から発せられる光を白色光としそのまま白色光を取り出す方式であり、第2の方式は、発光層26にて青色光を発光させ、この青色光をそのまま取り出すとともに、その青色発光光の一部を発光層26上に設けたG(緑)変換層、及び、R(赤)変換層(図示せず)に入射させ、G色の光と、R色の光をも取り出す方式であり、第3の方式は、R(赤)の発光を行う発光層、G(緑)の発光を行う発光層、B(青)の発光を行う発光層を各々形成し、3色の発光光を取り出す方式である。
【0110】
有機EL表示装置の表示画面をカラー化するにあたり、白色光を取り出す第1の方式では、取り出した光をR,G,Bの着色光透過層を有するカラーフィルタに通すことで所望する波長域の光(色光)を得ることが可能になる。
【0111】
また、上記変換層を用いる第2の方式、及び3色の発光層を形成する第3の方式では、各色の発光を制御することで表示画面をカラー化は一応は可能となる。しかし、かかる方式で得られる光の分光特性は、色表示のために所望される色光の分光特性とは異なるものとなっている。そのため、かかる方式で取り出された色光においてもカラーフィルタに通し、所望する分光特性となった色光とする必要がある。
【実施例】
【0112】
以下に、本発明の実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例における「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」をそれぞれ表す。また、顔料の記号はカラーインデックスナンバーを示し、例えば、「PY150」は「C.I.PigmentYellow150」を表す。
【0113】
[染料の製造]
[製造例1]
下記式(2)のアゾ染料3部、酸化マグネシウム1部、水20部を仕込み、常温で、1時間攪拌した。これに硫酸ジメチル0.5部を加え、50℃で3時間反応させた。反応液に水50部、濃硫酸1部を加え、60℃で1時間攪拌した。引き続いて、DMF10部にトリストリフルオロメタンスルホニウムメチドのセシウム塩3部を溶解させた溶液を滴下し、3時間攪拌した。析出した結晶をろ取、水洗、乾燥し、下記式(3)の黄色染料(DY−1)2部を得た。
【化3】

【0114】
【化4】

【0115】
[アクリル樹脂溶液の製造]
[製造例2]
以下に、実施例及び比較例で用いたアクリル樹脂溶液の調製について説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量である。
【0116】
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸(MAA)20.0部、メチルメタクリレート(MMA)10.0部、ベンジルメタクリレート(BzMA)55.0部、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)15.0部、および2,2’‐アゾビスイソブチロニトリル4.0部の混合物を1時間かけて滴下し、重合反応を行った。
【0117】
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をPGMAc50部に溶解させた溶液を加え、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂の溶液を得た。アクリル樹脂の質量平均分子量は、約40000であった。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにPGMAcを添加して、アクリル樹脂溶液(P)を調製した。
【0118】
[顔料]
赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)、およびC.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
黄色顔料:C.I.Pigment Yellow 150 (バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」;Y−1)、およびC.I.Pignment Yellow139 (BASF社製[PALIOTOL Yellow D1819];Y−2)
緑色用顔料:C.I.Pigment Green 58(大日本インキ化学工業(株)「Phthalocyanine Green A110」;G−1)
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15:6(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)
[製造例3]
ジケトピロロピロール系赤色顔料PR254(チバスペシャリティケミカルズ社製「イルガフォアレッドB‐CF」)100部、色素誘導体(D−1)10部、粉砕した食塩1000部、およびジエチレングリコール120部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、60℃で10時間混練した。この混合物を温水2000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化顔料(R−1)を得た。得られた顔料の平均粒子径は25nmであった。
【0119】
[製造例4]
アントラキノン系赤色顔料PR177(チバスペシャリティケミカルズ社製「クロモフタルレッドA2B」)100部、色素誘導体(D-2)8部、粉砕した食塩700部、およびジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水4000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、微細化顔料(R-2)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は30nmであった。
【0120】
[製造例5]
青色顔料(C.I.PigmentBlue15:6、東洋インキ製造(株)製「LIONOLBLUEES」)200部、塩化ナトリウム1600部、およびジエチレングリコール(東京化成社製)100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、70℃で12時間混練した。次に、この混合物を約5リットルの温水に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間撹拌してスラリー状とした後、濾過し、水洗して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除き、80℃で24時間乾燥し、198部のソルトミリング処理顔料(青色顔料B−1)を得た。
【0121】
[顔料分散体の調製]
下記表1に示す組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.1mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで2時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体を作製した。なお、色素誘導体D−1からD−4の構造を下記表2に記載する。
【表1】

【0122】
分散剤: アクリル系分散剤 (ビックケミー社製 「BYK−2001」)
有機溶剤: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)
【表2】

【0123】
[着色組成物]
[実施例1]
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して着色組成物RR−1を得た。
【0124】
染料(DY−1) 1.8質量部
顔料分散体(PR−2) 22.3質量部
バインダー樹脂(P) 27.0質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 3.4質量部
(東亞合成株式会社製 「アロニックス M402」)
光重合開始剤 0.8質量部
(チバガイギー社製「イルガキュア−OXE02」)
有機溶剤(PGMAc) 44.8質量部
[実施例2乃至6、比較例1乃至6]
染料、顔料分散体に下記表3に記載の染料、顔料分散体を用いた以外は、実施例1と同様にして着色組成物を得た。なお、下記表3では、実施例1に係る着色組成物も併せて示した。
【表3】

【0125】
実施例1は本発明に係る染料と赤色顔料であるPR177(PR−2)を、実施例2は本発明に係る染料と赤色顔料であるPR254(PR−1)とPR177(PR−2)を使用した赤色着色組成物の例である。実施例3は本発明に係る染料と緑色顔料であるPG58(PG−1)を、実施例4は本発明に係る染料とPG58(PG−1)、及び黄色顔料であるPY150(PY―1)を使用した緑色着色組成物の例である。実施例5は本発明に係る染料と黄色顔料であるPY150(PY−1)とPY139(PY−2)を、実施例6は本発明に係る染料とPY150(PY−1)を使用した黄色着色組成物の例である。
【0126】
比較例1は赤色顔料PR177(PR−2)と黄色顔料のPY139(PY−2)を、比較例2は赤色顔料のPR254(PR−1)とPR177(PR−2)を使用した、本発明に係る染料を含まない赤色着色組成物の例であり、比較例3は緑色顔料のPG58(PG−1)と黄色顔料のPY139(PY−2)を、比較例4はPG58(PG−1)と黄色顔料のPY150(PY−1)を使用した、本発明に係る染料を含まない緑色着色組成物の例であり、比較例5は黄色顔料のPY150(PY−1)を、比較例6は黄色顔料のPY139(PY−2)とPY150(PY−1)を使用した、本発明に係る染料を含まない黄色着色組成物の例である。
【0127】
[製造例6]
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して青色着色組成物RB−1を得た。
【0128】
顔料分散体(PB−1) 26.0質量部
バインダー樹脂(P) 11.5質量部
トリメチロールプロパントリアクリレート 4.5質量部
(東亞合成株式会社製 「アロニックス M402」)
光重合開始剤 2.3質量部
(チバガイギー社製「イルガキュア−907」)
有機溶剤(PGMAc) 55.7質量部
[色度]
実施例1乃至実施例6、比較例1乃至比較例6、及び製造例6の着色組成物を、硬化後の膜厚が1.8μmとなるように、スピンコート法によりガラス基板に塗布し、乾燥した後、超高圧水銀ランプを用いて紫外線で露光した。その後、この基板を200℃で20分間熱処理して着色膜を得た。
【0129】
この着色膜について、顕微分光光度計(オリンパス(株)製「OSPーSP100」)を用いて、分光透過率を測定し、F10光源での色度(Y,x,y)を計算した。
【0130】
[コントラスト比の測定]
着色膜のコントラスト比を以下に示す方法で測定した。即ち、図4(a)に示すように、試料34の前後に、偏光板32,33を、その偏光軸を互いに平行にして配置した。一方の偏光板33の側からバックライト36を照射して、他方の偏光板32を透過した光37の輝度Lp(平行透過光の輝度)を色彩輝度計BM−5A(トプコン(株)製)31を使用して、2°の視野の条件で測定した(CIE1931表色系)。
【0131】
次に、図4(b)に示すように、偏光板32,33の偏光軸を互いに直交させて、一方の偏光板33の側からバックライト36を照射して、他方の偏光板32を透過した光38の輝度Lc(直交透過光の輝度)を色彩輝度計31で測定した。上記方法にて測定して得られた測定値を用いて、コントラスト比Lp/Lcを算出した。なお、輝度計は株式会社トプコン(株)製「色彩輝度計BM−5A」、偏光板は日東電工(株)製「偏光フィルムNFF−SEG1224DU」を用いた。偏光板32と偏光板33の間に塗膜基板を入れない場合のコントラストは14000であった。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に2cm角の孔を開けた黒色のマスクを当てた。
【0132】
以上の方法を用いて、上述の実施例1乃至実施例6、比較例1乃至比較例6及び製造例6の着色膜のコントラスト比を測定した。実施例1乃至実施例6、比較例1乃至比較例6及び製造例6の着色塗膜の色度及びコントラスト比を下記表4に示す。
【表4】

【0133】
上記表4から明らかなように、本発明に係る黄色染料を含有する実施例1及び実施例2の赤色組成物は、黄色染料を含まない比較例1及び比較例2の赤色着色組成物と比較して高いコントラストが得られた。また、本発明に係る黄色染料を含有する実施例3及び実施例4の緑色着色組成物は、該黄色染料を含まない比較例3及び比較例4の緑色着色組成物と比較して高いコントラストが得られた。更に、本発明に係る黄色染料を含有する実施例5及び実施例6の黄色着色組成物は、10000以上の高いコントラストが得られた。比較例6の黄色着色組成物は、一般的にコントラストが低いPY139顔料を含むためコントラスト比が低く、比較例5の黄色着色組成物は、高いコントラストを得られるが、着色力の弱いPY150顔料のみを使用しているため、色が薄い黄色である(色度のxが小さい)。
【0134】
[カラーフィルタの作製]
[実施例7]
まず、赤色着色組成物としてRR−2をスピンコート法により、予めブラックマトリックスが形成されてあるガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間プリベークした。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を露光した。その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオン交換水で洗浄し、風乾した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間ポストベークを行い、基板上にストライプ状の赤色フィルタセグメントを形成した。
【0135】
次に、緑色着色組成物としてRG−2を使用し、同様に緑色フィルタセグメントを形成した後、青色着色組成物としてRB−1を使用し、青色フィルタセグメントを形成し、カラーフィルタを得た。
【0136】
得られたカラーフィルタのコントラスト比を上述の方法で測定した。コントラスト比は10500であった。
【0137】
[実施例8及び9、比較例7乃至9]
着色組成物として、下記表5に示すものを使用したことを除いて、実施例7と同様に実施例8並びに実施例9及び比較例7乃至比較例9のカラーフィルタを得た。これらのカラーフィルタのコントラスト比を同様に測定し、得られた値を下記表5に示す。なお、実施例7についても下記表5に合せて記載した。
【0138】
実施例8、実施例9、比較例8及び比較例9は黄色画素を含むカラーフィルタであるが、黄色着色組成物を用いることを除いて、他の色の着色画素と同様に形成した。
【表5】

【0139】
[液晶パネルの作製]
[実施例10]
カラーフィルタとしてCF−1を使用し、該カラーフィルタの上に透明ITO電極層を形成し、更にその上にポリイミド配向層を形成した。このガラス基板の他方の表面に偏光板を形成した。他方、別の(第2の)ガラス基板の一方の表面にTFTアレイおよび画素電極を形成し、他方の表面に偏光板を形成した。
【0140】
こうして準備された2つのガラス基板を電極層同士が対面するよう対向させ、スペーサビーズを用いて両基板の間隔を一定に保ちながら位置合わせし、液晶組成物注入用開口部を残すように周囲を封止剤で封止した。開口部から液晶組成物を注入し、開口部を封止した。このようにして作製した液晶表示装置をバックライトユニットと組み合わせて液晶パネルを得た。なおバックライトユニットの色温度は6000Kのものを用いた。
【0141】
同様に下記表6に示すカラーフィルタ、及び下記表6に示す色温度のバックライトユニットを用いて、実施例11並びに実施例12、及び比較例10乃至比較例12の液晶表示装置を得た。
【0142】
[液晶パネルの特性評価]
[色再現領域とコントラスト比の評価]
作製した液晶表示装置のNTSC比(アメリカNational Television System Committee(NTSC)により定められた標準方式の3原色、赤(0.67, 0.33)、緑(0.21, 0.71)、青(0.14, 0.08)により囲まれる面積に対する比率)で定められたRGB3色の三角形の面積を100として、基準値の面積に対する三角形或いは四角形の面積の比率を測定した。また、全白表示の時の輝度Lwと全黒表示の時の輝度Lbを測定し、Lw/Lbを液晶パネルのコントラスト比として計算した。以上の結果を下記表6に示す。
【表6】

【0143】
上記表6から明らかなように、実施例10乃至実施例12の液晶パネルはコントラスト比が3000以上であり、優れた視認特性を有していたが、比較例10乃至比較例12の液晶パネルはコントラスト比が低く、視認特性が悪かった。
【符号の説明】
【0144】
1,5,6,21…透明基板、2…ブラックマトリクス、3…着色画素、3B…青色画素、3R…赤色画素、3G…緑色画素、4…液晶表示装置、7,22…TFTアレイ、8,12…透明電極層、9,13…配向層、10,14…偏光板、11…カラーフィルタ、15…三波長ランプ、16…バックライトユニット、23…金属電極、24…封止基板、26…発光層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色材料として下記化学式(1)に示す黄色染料を含むことを特徴とするカラーフィルタ用着色組成物。
【化5】

(化学式(1)において、Rは水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表す。ベンゼン環Aは更にハロゲン原子またはアルキル基で置換されていてもよい。Xはビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンまたはトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンを表す)。
【請求項2】
着色材料としてさらに少なくとも1種の顔料を含むことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用着色組成物。
【請求項3】
前記顔料として少なくとも、C.I.PigmentYellow 138、139、150、185から選ばれる1種の黄色顔料を含むことを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタ用黄色着色組成物。
【請求項4】
前記顔料として少なくとも、C.I.PigmentGreen7、36、58から選ばれる少なくとも1種の緑色顔料を含むことを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタ用緑色着色組成物。
【請求項5】
前記顔料として少なくとも、C.I.PigmentRed177、242、254から選ばれる少なくとも1種の赤色顔料を含むことを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタ用赤色着色組成物。
【請求項6】
少なくとも1種の光重合開始剤、及び少なくとも1種の重合性化合物を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のカラーフィルタ用着色感光性組成物。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の着色組成物を硬化してなる着色画素を備えることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の着色組成物を透明基板上に塗布し、硬化して着色画素を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
請求項7に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−145540(P2011−145540A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−7130(P2010−7130)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】