説明

カラーフィルタ用黄色着色組成物及びカラーフィルタ

【課題】
本発明は、分散性、保存安定性に優れ、且つ、現像性に優れ、アルカリ現像溶液中でのフィルター詰まりをも改善した、カラーフィルタ用黄色着色組成物、並びにこれを用いたコントラスト比及び明度が高いカラーフィルタを提供することを目的とする。
【解決手段】
前記課題は、 表面が酸性である黄色顔料(A)と、一般式(1)に示す、エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)を含むエチレン性不飽和単量体(b1)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(b2)の水酸基と、芳香族トリカルボン酸無水物の酸無水物基(b3)とを反応してなる分散剤を含むカラーフィルタ用黄色着色組成物によって解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー液晶表示装置、及びカラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用されるカラーフィルタ用黄色着色組成物、並びに、これを用いて形成されるカラーフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、2枚の偏光板に挟まれた液晶層が、1枚目の偏光板を通過した光の偏光度合いを制御して、2枚目の偏光板を通過する光量をコントロールすることにより表示を行う表示装置である。液晶表示装置は、2枚の偏光板の間にカラーフィルタを設けることによりカラー表示が可能となり、近年、テレビやパソコンモニタ等に用いられるようになったことから、カラーフィルタに対して高コントラスト化、高明度化の要求が高まっている。
【0003】
カラーフィルタは、ガラス等の透明な基板の表面に、遮光パターンであるブラックマトリックスと赤色、緑色および青色の微細な帯(ストライプ)状のフィルタセグメントを平行または交差して配置したもの、あるいは微細なフィルタセグメントを縦横一定の配列で配置したものから構成されている。カラーフィルタを構成するフィルタセグメントまたはブラックマトリックスは、ガラス基板などに感光性材料を塗布し、余剰の溶剤を乾燥除去したあと、画素形成のためのフォトマスクを介しプロキシミティ露光(紫外光源露光)などで活性エネルギー線を照射し、硬化(ネガ型)またはアルカリ溶解度を高め(ポジ型)、現像工程において、アルカリ溶液などで溶解する部分を除去すること、いわゆるフォトリソグラフィー法により形成されるのが一般的である。これを各色について繰り返すことにより、カラーフィルタが作製されるが、最近では、生産性向上のため、更に現像速度の速いカラーフィルタ用着色組成物が求められている。
【0004】
一般的に、カラー液晶表示装置では、カラーフィルタの上に液晶を駆動させるための透明電極が蒸着あるいはスパッタリングにより形成され、さらにその上に液晶を一定方向に配向させるための配向膜が形成されている。これらの透明電極及び配向膜の性能を充分に得るには、その形成を一般に200℃以上、好ましくは230℃以上の高温で行う必要がある。このため、現在、カラーフィルタの製造方法としては、耐光性、耐熱性に優れる顔料を着色剤とする顔料分散法と呼ばれる方法が主流となっている。
【0005】
しかし、一般に顔料を分散したカラーフィルタは、顔料による光の散乱等により、液晶が制御した偏光度合いを乱してしまうという問題がある。すなわち、光を遮断しなければならないとき(OFF状態)に光が漏れたり、光を透過しなければならないとき(ON状態)に透過光が減衰したりするため、ON状態とOFF状態における表示装置上の輝度の比(コントラスト比)が低いという問題がある。
【0006】
カラーフィルタの高輝度化、高コントラスト化を実現させるため、これまでは、フィルタセグメント中に含まれる顔料を微細化処理することが行われていた。しかし、単純に顔料(化学反応により製造された粒子径が10〜100μmのクルードと呼ばれるものを、顔料化処理により一次粒子とこれが凝集した二次粒子の混合物にまでしたものである)を様々な微細化処理方法により微細化しても、一次粒子あるいは二次粒子の微細化が進行した顔料は一般に凝集し易く、微細化が進行し過ぎた場合には巨大な塊状の顔料固形物を形成してしまう。さらに、微細化の進行した顔料は、樹脂等を含有する顔料担体中へ分散させ、再び顔料の二次粒子をなるべく一次粒子にまで近づけて安定化させようとしても、安定な着色組成物を得ることは非常に困難である。
【0007】
また、微細化処理を施した顔料と樹脂等を含有する顔料担体中へ分散させ形成されるカラーフィルタ用着色組成物は、顔料を安定に高濃度で分散することが難しく、製造工程や製品そのものに対して種々の問題を引き起こすことが知られている。
【0008】
そこで、一般的には分散状態を良好に保つために樹脂型分散剤が用いられる。樹脂型分散剤は、顔料に吸着する部位と、分散媒である溶剤と親和性の高い部位との構造を併せ持ち、この2つの機能の部位のバランスで性能が決まる。樹脂型分散剤は、被分散物である顔料の表面状態に合わせて種々のものが使用されており、ブロック型構造や櫛形構造を有する構造制御されたもの等が知られている(特許文献1〜4参照)。
【0009】
一方、近年、高色再現化の手段として、カラーフィルタに赤色、緑色および青色フィルタセグメントに加えて第4のフィルタセグメントを具備させることが検討されており、第4のフィルタセグメントとしては、高輝度化の点でも有利な黄色フィルタセグメントを用いることが効果的である。
【0010】
このように4色のフィルタセグメントで色再現することにより、3色で構成するカラーフィルタより色再現域を拡大することができ、また、赤色、緑色および青色に比べ高い輝度を有する黄色を加える事によりカラーフィルタの高輝度化が図れる。
【0011】
このとき用いられる黄色フィルタセグメントの顔料としては、黄色顔料を用いる事が一般的であるが、黄色顔料の中には、C.I.ピグメントイエロー150やC.I.ピグメントイエロー139のように、表面の酸性度が高いものが多く、従来使用されてきた樹脂型分散剤を用いて分散をおこなっても、分散性、保存安定性に優れた黄色着色組成物を得ることが困難なばかりでなく、フォトリソグラフィー法によるフィルタセグメント形成時の現像工程において、現像性に問題がおこったり、アルカリ溶液で溶解された黄色顔料が、アルカリ溶液中にて凝集体となり、アルカリ溶液中に沈殿するという問題があった。
【0012】
カラーフィルター製造ラインの現像工程にて使用されるアルカリ溶液は、フィルター濾過等で異物を取り除きながら、一定期間、循環使用する事が一般的である。そのため、このようなアルカリ溶液中の凝集体によるフィルターの目詰まりが起こることで、フィルター交換頻度の増加及び、製造ラインの稼動率低下という問題がおこってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2002−534542号公報
【特許文献2】特開平08−143813号公報
【特許文献3】特開平10−338835号公報
【特許文献4】特開2009−185277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、分散性、保存安定性に優れ、且つ、現像性に優れ、アルカリ現像溶液中でのフィルター詰まりをも改善した、カラーフィルタ用黄色着色組成物、並びにこれを用いたコントラスト比及び明度が高いカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物は、特定の構造を有する分散剤(B)と3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)とを含むことにより、表面が酸性である黄色顔料(A)を用いた場合にも、分散性、保存安定性に優れるだけでなく、現像性に優れ、アルカリ現像溶液中でのフィルター詰まりをも改善することができることを見出したものである。
【0016】
すなわち、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物は、表面が酸性である黄色顔料(A)、分散剤(B)、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)、活性エネルギー線硬化性単量体(D)、活性エネルギー線重合開始剤(E)、及び、バインダー樹脂(F)を含有してなるカラーフィルタ用黄色着色組成物であって、
該分散剤(B)が、下記一般式(1)に示すエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)を含むエチレン性不飽和単量体(b−1)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(b−2)の水酸基と、芳香族トリカルボン酸無水物(b−3)の酸無水物基とを反応してなる分散剤であることを特徴とする。
一般式(1):
【0017】
【化1】

[一般式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基であり、R2は、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基であり、R3は、水素原子、又はメチル基であり、nは、1〜30の整数である。]
【0018】
また、本発明は、エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)が、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートであることを特徴とする前記カラーフィルタ用黄色着色組成物に関する。
また、本発明は、表面が酸性である黄色顔料(A)が、ピグメントイエロー150であることを特徴とする前記カラーフィルタ用黄色着色組成物に関する。
また、活性エネルギー線重合開始剤(E)が、オキシムエステル系活性エネルギー線重合開始剤である前記カラーフィルタ用黄色着色組成物に関する。
【0019】
さらに、前記カラーフィルタ用黄色着色組成物から形成される黄色フィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタに関する。
【0020】
また、本発明は、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメント、および黄色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタにおいて、該黄色フィルタセグメントが、前記カラーフィルタ用黄色着色組成物により形成されてなるカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、分散性、保存安定性に優れ、且つ、現像速度に優れ、アルカリ現像溶液中でのフィルター詰まりをも改善した、カラーフィルタ用黄色着色組成物、並びにこれを用いたコントラスト比及び明度が高いカラーフィルタを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
まず、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物の各種構成成分について説明する。
《表面が酸性である黄色顔料(A)》
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物は、表面が酸性である黄色顔料を含むことを特徴とする。
【0023】
顔料表面の酸性度は、その顔料の種類の選択および顔料の一次粒子径による影響が大きいが、酸性度が低い顔料においても、酸性誘導体等の酸性物質を用いて表面処理することで、表面のアミン吸着量が高い顔料も使用できる。またさらに、顔料表面を酸性処理済みの市販の顔料を使用してもよい。
【0024】
本発明において表面が酸性である黄色顔料(A)とは、表面が酸性に偏った顔料を示し、アミン吸着量の換算で、50〜700μmol/g、更には100〜600μmol/gであることが好ましい。
本発明の着色組成物は、黄色顔料(A)のアミン吸着量が、150〜400μmol/gの範囲、より好ましくは180〜370μmol/g、最も好ましい範囲は、200〜370μmol/gである場合において、より優れた現像特性、およびアルカリ現像溶液中でのフィルター詰まり改善効果が確認できる。
【0025】
本発明で言うアミン吸着量とは、色材,67[9],547−554(1994)に記載の方法に則り、被吸着アミン物質としてn−ヘキシルアミンを用いて測定した場合のアミンの吸着量と定義する。
【0026】
用いることの出来る黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、及び214等が挙げられる。
【0027】
これらの中でもC.I.ピグメントイエロー 139、及び150は、色特性が良好である点で好ましい。更に高いコントラスト比を得られ易い点でC.I.ピグメントイエロー 150が最も好ましい。
【0028】
また、C.I.ピグメントイエロー 150と、C.I.ピグメントイエロー138、139、または185とを併用する事で、色特性が良好であり、明度、色再現領域において優れるために好ましい。
【0029】
C.I.ピグメントイエロー 150は、コントラスト比に優れる顔料であるが、顔料表面の酸性度が高く、アミン吸着量が100〜400μmol/gと高い値を有するため、現像性、アルカリ現像溶液中でのフィルター詰まり等の問題が起こりやすい。しかし、本発明の特定の樹脂型分散剤(B)を用いることで、このような酸性度の高い顔料の場合にも、優れた効果を発揮することができる。また、顔料の微細化や、表面処理等により、200〜400μmol/gとより酸性度が高い場合にも、アルカリ現像溶液中でのフィルター詰まり等が見られないという優れた効果を有するものである。
【0030】
本発明に使用する顔料は、表面が酸性である黄色顔料(A)だけでなく、色調整や補色目的で他の黄色顔料や染料も併用することができる。
【0031】
表面が酸性である黄色顔料(A)は、全顔料中に占める重量%が最も多い主顔料であることが好ましく、全顔料の合計100重量%中、50重量%以上が好ましく、80重量%を超えるとより好ましい。この含有量を有することで、明度、コントラスト比、色再現領域のすべてにおいて優れた効果が確認できる。
【0032】
〔顔料の微細化〕
本発明の黄色着色組成物に使用する黄色顔料はソルトミリング処理を行い、微細化した物を使用することが好ましい。
【0033】
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等の混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕され、それにより活性面が生じて、結晶成長がおこると考えられている。従って、混練時は顔料の破砕と結晶成長が同時に起こり、混練条件により得られる顔料の一次粒子径が異なる。
【0034】
加熱により結晶成長を促進するには、加熱温度が40〜150℃であることが好ましい。加熱温度が40℃未満の場合は、結晶成長が十分に起こらず、顔料粒子の形状が無定形に近くなるため好ましくない。一方、加熱温度が150℃を越える場合は、結晶成長が進みすぎ、顔料の一次粒子径が大きくなるため、カラーフィルタ用着色組成物の着色料としては好ましくない。また、ソルトミリング処理の混練時間は、ソルトミリング処理顔料の一次粒子の粒度分布とソルトミリング処理に要する費用のバランスの点から2〜24時間であることが好ましい。
【0035】
顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、1次粒子径が非常に微細であり、また分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ、顔料を得ることができる。
【0036】
本発明の黄色着色組成物に使用する黄色顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる一次粒子径は5〜100nmの範囲であることが好ましい。20nmよりも小さくなると有機溶剤中への分散が困難になってしまう。また100nmよりも大きくなってしまうと、十分なコントラスト比を得ることができなくなってしまう。特に好ましい範囲は5〜20nmの範囲である。
【0037】
またソルトミリング処理に用いる水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化バリウム、塩化カリウム、及び硫酸ナトリウム等を用いることができるが、価格の点から塩化ナトリウム(食塩)を用いるのが好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100重量部に対し、50〜2,000重量部用いることが好ましく、300〜1,000重量部用いることが最も好ましい。
【0038】
また水溶性有機溶剤は、顔料及び水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が、蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、及び液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100重量部に対して、5〜1,000重量部用いることが好ましく、50〜500重量部用いることが最も好ましい。
【0039】
ソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100重量部に対して5〜200重量部の範囲であることが好ましい。
【0040】
《分散剤(B)》
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物では、下記一般式(1)に示すエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)を含むエチレン性不飽和単量体(b−1)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(b−2)の水酸基と、芳香族トリカルボン酸無水物(b−3)の酸無水物基とを反応してなる分散剤(B)を含有することを特徴とする。
一般式(1):
【0041】
【化2】

[一般式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基であり、R2は、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基であり、R3は、水素原子、又はメチル基であり、nは、1〜30の整数である。]
【0042】
分散剤(B)の含有量は、表面が酸性の黄色顔料(A)100重量部に対し、5〜100重量部であることが好ましく、更には10〜40重量部であることが好ましい。分散剤(B)が少なすぎると、現像性が悪化することがあり、多いと、顔料濃度が低くなり、所望の着色力が得られにくくなる。
【0043】
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物では、分散剤(B)の主鎖のポリカルボン酸部位が、酸性顔料表面に吸着した3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)に吸着して、側鎖のビニル重合体部位が顔料担体親和基として、作用することにより、顔料の凝集を抑え分散体の安定性に優れており、更には側鎖のビニル重合体部位に一般式(1)に示すようなエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)を共重合せしめることで、現像性にも優れたカラーフィルタ用着色組成物を提供できる。
【0044】
エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)は、全エチレン性不飽和単量体(b1)の全重量を基準(100重量%)中、20重量%〜100重量%が好ましく、より好ましくは35重量%〜80重量%である。20重量%以上で、格段に現像性が向上する。
【0045】
〔エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)〕
エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)は、下記一般式(1)に示される単量体である。
一般式(1):
【0046】
【化3】


[一般式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基であり、R2は、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基であり、R3は、水素原子、又はメチル基であり、nは、1〜30の整数である。]
【0047】
一般式(1)中、R1の具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基(ドデシル基)、パルミチル基(ヘキサデシル基)、ステアリル基(オクタデシル基)、イソステアリル基、ウンデセニル基、オレイル基、シクロヘキシル基、ジシクロヘキシル基、ジシクロヘキセニル基、フェニル基、ノニルフェニル基、又はパラクミルフェニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
一般式(1)中、R2の具体例としては、エチレン基、エチレン基とプロピレン基、プロピレン基、エチレン基とテトラメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、又はオクタメチレン基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
一般式(1)中、R3の具体例としては、水素原子、又はメチル基が挙げられる。
【0050】
一般式(1)で示されるエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)としてはR1が、メチルである場合を例にとると、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコール(メタ)アクリレート、又はメトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、市販されているものであってもよいし、適宜合成したものであっても良い。
【0051】
日油社製市販品としては、商品名ブレンマー、
PME−100(n≒2)、200(n≒4)、400(n≒9)、550(n≒12)、若しくは100(n≒23)等のメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート[別名ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート];
50POEP−800B(n≒8、6)等のオクトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート[別名ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルメタクリレート];
PLE−200(n≒4)等のラウロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート[別名ポリエチレングリコールモノラウリルエーテルメタクリレート];
PSE−400(n≒9)、若しくはPSE−1300(n≒30)等のステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート[別名ポリエチレングリコールモノステアリルエーテルメタクリレート];
PAE−50(n≒1)、若しくはPAE−100(n≒2)等のフェノキシポリエチレングリコールモノメタクリレート[別名ポリエチレングリコールモノフェニルエーテルメタクリレート];
43PAPE−600B(n≒6、6)等のフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート[別名ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノフェニルエーテルメタクリレート];
AME−400(n≒9)等のポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート[別名メトキシポリエチレングリコールアクリレート];
ALEシリーズ等のラウロキシポリエチレングリコールモノアクリレート[別名ポリエチレングリコールモノラウリルエーテルアクリレート];
ANE−1300(n≒30)等のノニルフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート[別名ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテルアクリレート];
ANP−300(n≒5)等のノニルフェノキシポリプロピレングリコールモノアクリレート[別名ポリプロピレングリコールモノノニルフェニルエーテルアクリレート];
75ANEP−600等のノニルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアクリレート[別名ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノノニルフェノールエーテルアクリレート];又は、
AAE−50(n=1)、若しくはAAE−300(n≒5.5)等のフェノキシポリエチレングリコールモノアクリレート[別名ポリエチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート];あるいは、
新中村化学工業社製市販品としては、商品名NKエステル、
M−20G(n≒2)、M−90G(n≒9)、若しくはM−230G(n≒23)等のメトキシポリエチレングリコールメタリレート[別名ポリエチレングリコールモノメチルエーテルメタクリレート];
PHE−G等のフェノキシエチレングリコールメタリレート[別名フェノキシエチルメタクリレート];
AMP−10G(n≒1)、若しくはAMP−20GY(n≒2)等のフェノキシ(ポリ)エチレングリコールアクリレート([別名(ポリ)エチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート];又は、
AM−30G(n≒3)、AM−90G(n≒9)、AM−130G(n≒13)、若しくはAM−230G(n≒23)等のメトキシポリエチレングリコールアクリレート[別名ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート];あるいは、
東亞合成化学工業社製市販品としては、商品名アロニックス、
M−101A(n≒2)、若しくはM−102(n≒4)等のフェノールEO変性アクリレート[別名ポリエチレングリコールモノフェニルエーテルアクリレート];
M−110(n≒1)等のパラクミルフェノールEO変性アクリレート[別名(ポリ)エチレングリコールモノパラクミルフェニルエーテルアクリレート];
M−111(n≒1)、若しくはM−113(n≒4)等のノニルフェノールEO変性アクリレート[別名ポリエチレングリコールモノノニルフェニルエーテルアクリレート];
M−117(n≒2.5)等のノニルフェノールPO変性アクリレート[別名ポリプロピレングリコールモノノニルフェニルエーテルアクリレート];又は、
M−120(n=2)等の2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート[別名ジエチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテルアクリレート];あるいは、
共栄社化学社製市販品としては、商品名ライトエステル、
BO(n−ブトキシエチルメタクリレート)、BC(n−ブトキシジエチレングリコールメタクリレート)、MTG(メトキシトリエチレングリコールメタクリレート)、130MA(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、n≒9)、041MA(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、n≒30)、若しくはPO(2−フェノキシエチルメタクリレート)、又は、商品名ライトアクリレート、
BO−A(n−ブトキシエチルアクリレート)、EC−A(エトキシジエチレングリコールアクリレート)、MTG−A(メトキシトリエチレングリコールアクリレート)130A(メトキシポリエチレングリコールアクリレート、n≒9)、DPM−A(メトキシジプロピレングリコールアクリレート)、PO−A(フェノキシエチルアクリレート)、P−200A(フェノキシポリエチレングリコールアクリレート)、NP−4EA(ノニルフェノールEO付加物アクリレート、別名ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、n≒4)、若しくはNP−8EA(ノニルフェノールEO付加物アクリレート、別名ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、n≒8)、あるいは、
大阪有機化学工業社製市販品としては、
2−MTA(2−メトキシエチルアクリレート)、2−ETA(2−エトキシエチルアクリレート)、又は、商品名ビスコート、
MTG(メトキシトリエチレングリコールアクリレート)、#190(エチルカルビトールアクリレート、別名ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート)、若しくは#192(フェノキシエチルアクリレート)、あるいは、
サートマー社製市販品としては、
SR−256[2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、別名ジエチレングリコールモノエチルエーテルアクリレート]、SR−339A[2−フェノキシエチルアクリレート]、又はSR−504[エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、別名ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート]等が挙げられる。
【0052】
これらエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0053】
これらの中でも特に、現像性の観点から、メトキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0054】
〔その他のエチレン性不飽和単量体(b2)〕
その他のエチレン性不飽和単量体(b2)としては、エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)以外のものであり、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、又はイソステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐アルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、又はイソボルニル(メタ)アクリレート等の環状アルキル(メタ)アクリレート類;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、又はテトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフルオロアルキル(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロキシ変性ポリジメチルシロキサン(シリコーンマクロマー)類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、又は3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環を有する(メタ)アクリレート類;
ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、又はノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、又はω−カルボキシポリカプロラクトン(メタ)アクリレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリレート類;
スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸ビニル、又は(メタ)アクリル酸アリル等のビニル類;
(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、又はアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、又はN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類;あるいは、これらの混合物があげられる。
【0055】
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、又はイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類のような、一般式(1)で示されるエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)以外のエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体も用いることができる。
【0056】
〔片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(b−2)〕
本発明に使用する片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物を、目的とするビニル重合体(b−2)の分子量にあわせて、エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)及びその他のエチレン性不飽和単量体と、任意に重合開始剤とを混合して加熱することで得ることができる。
【0057】
〔分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物〕
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物を有する化合物としては、例えば、
1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
【0058】
2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物は、エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)の重量と、その他のエチレン性不飽和単量体(b2)との重量を合計した全単量体重量を基準として、1〜10重量%を用い、塊状重合又は溶液重合を行うのが好ましく、より好ましくは2〜9重量%、更に好ましく3〜8重量%である。1重量%未満であると、ビニル重合体部位(b−2)の分子量が高すぎて、溶剤に対する親和性部位として、その絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合があり、10重量%を超えると、ビニル重合体部(b−2)の分子量が低すぎて、溶剤に対する親和性部位として、その立体反発の効果がなくなる場合がある。
【0059】
反応温度は、40〜150℃、好ましくは50〜110℃である。40℃未満では十分に重合が進行せず、150℃以上では高分子量化が進む等、分子量のコントロールが困難になる場合がある。
【0060】
重合の際、エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)の重量と、その他のエチレン性不飽和単量体(b2)との重量とを合計した全単量体重量を基準として、任意に0.001〜5重量%の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。
【0061】
アゾ系化合物の例としては、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、又は2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
【0062】
有機過酸化物の例としては、
過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、又はジアセチルパーオキシド等があげられる。
【0063】
これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0064】
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、又はジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。重合反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま次の工程の溶剤として使用したり、製品の一部として使用することもできる。
【0065】
次に、片末端に水酸基を有するビニル重合体(b−2)の水酸基と芳香族トリカルボン酸無水物(b−3)の酸無水物基とを反応させる工程について説明する。
【0066】
芳香族トリカルボン酸無水物(b−3)としては、例えば、
ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3−ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物(1,2,4−ベンゼントリカルボン酸無水物)等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6−ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8−ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’−ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’−ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’−ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、及び3,4,4’−ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0067】
本発明で使用される芳香族トリカルボン酸無水物(b−3)は、前記に例示した化合物に限らず、どのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。本発明に使用されるものは、分散性の観点から、トリメリット酸無水物が好ましい。
【0068】
片末端に水酸基を有するビニル系重合体の水酸基のモル数を<H>、芳香族トリカルボン酸無水物のカルボン酸無水物基のモル数を<N>としたとき、反応比率は0.3≦<H>/<N>≦3が好ましく、更に好ましくは0.5≦<H>/<N>≦2の場合である。
【0069】
片末端に水酸基を有するビニル系重合体と芳香族トリカルボン酸無水物との反応には触媒を用いてもかまわない。
【0070】
触媒としては、例えば、3級アミン系化合物が使用でき、
トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、及び1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
【0071】
片末端に水酸基を有するビニル重合体(b−2)の水酸基と芳香族トリカルボン酸無水物(b−3)の酸無水物基との反応は、無溶剤で行ってもよいし、適当な脱水有機溶媒を使用してもよい。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま分散剤の製品の一部として使用することもできる。使用する溶剤は、特に限定はないが、ビニル重合体(b−2)を製造する工程で説明した溶剤を同じ様に用いることができる。
【0072】
片末端に水酸基を有するビニル重合体(b−2)の水酸基と芳香族トリカルボン酸無水物(b−3)の酸無水物基との反応温度は、好ましくは50℃〜180℃、より好ましくは60℃〜160℃の範囲で行う。反応温度が50℃未満では反応速度が遅く、180℃を超えると反応して開環した酸無水物が、再度環状無水物を生成し、反応が終了しにくくなる場合がある。
【0073】
《3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)》
本発明のカラーフィルタ用着色組成物は、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)を含み、そのアミン価は、着色組成物の粘度、及び安定性の観点から、好ましくは270〜350mgKOH/gである。さらに好ましいアミン価の範囲は300〜340mgKOH/gである。
【0074】
本発明のカラーフィルタ用着色組成物では、該ビニル系樹脂(C)のアミノ基は、酸性顔料表面との吸着により、アルカリ現像液中における顔料粒子の凝集や沈降を抑制する事ができる。
【0075】
さらに好ましくは、本発明のビニル系樹脂(C)は、水酸基価が20〜80mgKOH/gであることが好ましい。より好ましい水酸基価の範囲は、30〜60mgKOH/gである。水酸基価が20〜80mgKOH/gであることにより、カラーフィルタとした場合の膜のアルカリ現像液への溶解性、耐熱性、耐溶剤、耐薬品が向上する。
【0076】
本発明のビニル系樹脂(C)の数平均分子量は、500〜30,000が好ましい。500未満であっても、30,000を越えても顔料分散体の粘度、及び粘度安定性が悪くなる場合がある。
【0077】
本発明のビニル系樹脂(C)は、3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(c1)と、好ましい態様では水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c2)と、必要に応じその他のエチレン性不飽和単量体(c3)とを重合せしめて得ることができる。
【0078】
3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(c1)は、エチレン性不飽和単量体の全重量(100重量%)中、50重量%〜100重量%が好ましく、より好ましくは70重量%〜98重量%である。3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(c1)が50重量%以下であると、酸性顔料表面への吸着能が低くなり、分散性や、アルカリ現像液中における顔料粒子の凝集や沈降を抑制する効果が損なわれる。
【0079】
3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(c1)としては、例えば、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、及びN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のN,N−ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリレート類;並びに、
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、及びN,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のN,N−ジアルキルアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類が挙げられる。
【0080】
これらのうちでも、分散性の観点から、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0081】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c2)としては、例えば、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3又は4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
エチル−α−ヒドロキシメチルアクリレート等のアルキル−α−ヒドロキシアルキルアクリレート類;
N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、及びN−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等のN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド類;
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、及び2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;並びに、
2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、及び2−(又は3−又は4−)ヒドロキシブチルアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類等が挙げられる。
【0082】
また、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を2つ有する単量体も挙げられる。
【0083】
その他のエチレン性不飽和単量体(c3)としては、3級アミノ基を有するエチレン性不飽和単量体(c1)と、好ましい態様では水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(c2)以外のものを、任意に使用することができる。
【0084】
その他のエチレン性不飽和単量体(c3)としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ9アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及びアダマンチル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート類;
テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、及び3−メチルオキセタニル(メタ)アクリレート等の複素環式置換基を有する(メタ)アクリレート類;
フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、及びパラクミルフェノキシエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート等の芳香族置換基を有する(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;
(メタ)アクリルアミド(なお、「(メタ)アクリルアミド」と表記した場合には、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを示すものとする。以下同じ。)、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミド類等のアクリル単量体が挙げられる。
【0085】
また、例えば、
スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレン類;
エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、及びイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;並びに、酢酸ビニル、及びプロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等が挙げられる。
【0086】
カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、ε−カプラロラクトン付加アクリル酸、ε−カプラロラクトン付加メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等が挙げられる。
【0087】
これらのエチレン性不飽和単量を、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0088】
重合開始剤としては、例えば、分散剤(B)の重合体を製造する工程で説明したアゾ系化合物及び有機過酸化物を用いることができる。該重合開始剤を使用する場合は、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましい。
【0089】
分散剤(B)の重合体を製造する工程と同様に、無溶剤又は場合によって溶剤を使用することができる。
【0090】
溶剤としては、例えば、
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ヘキサン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が用いられるが、特にこれらに限定されるものではなく、用途、コスト等から任意に選択することができる。重合溶媒は、2種類以上混合して用いてもよい。
【0091】
使用する溶剤量は、エチレン性不飽和単量体の合計100重量部に対して、0〜300重量部が好ましく、更には0〜100重量部が好ましい。使用した溶剤は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま、分散剤の製品の一部として使用することもできる。
【0092】
ビニル系樹脂(C)の含有量は、表面が酸性である黄色顔料(A)100重量部に対して、1〜100重量部であることが好ましく、更には、5〜30重量部であることが好ましい。ビニル系樹脂(C)が少なすぎると、分散性、保存安定性が損なわれることがあり、多すぎると現像性が悪化する傾向となる。
【0093】
《活性エネルギー線硬化性単量体(D)》
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物では、活性エネルギー線硬化性単量体(D)を含有する。活性エネルギー線照射により硬化して透明樹脂を生成する単量体、及びオリゴマーとしては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、及びトリシクロデカニル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びトリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート類;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のた三官能以上の多官能(メタ)アクリレート;
1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、及びフェノールノボラック樹脂等のエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物であるエポキシ(メタ)アクリレート;
ポリエステル、ポリウレタン、イソシアヌレート、メチロール化メラミン等を変性した各種(メタ)アクリル酸エステル類;並びに
(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等の(メタ)アクリレート以外の単量体が挙げられ、これらを単独で又は2種類以上混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0094】
活性エネルギー線硬化性単量体(D)は、表面が酸性である黄色顔料(A)100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
【0095】
感光性着色組成物において、バインダー樹脂(F)の重量〔P〕と活性エネルギー線硬化性単量体(D)の重量〔M〕との比率〔M/P〕は、0.10〜0.60であることが好ましく、0.10〜0.50であることがより好ましい。〔M/P〕が0.10以上であると、感度が良好であり、0.60以下では、パターン形状の直線性が優れており、タック等の問題も生じない。
【0096】
《活性エネルギー線重合開始剤(E)》
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化したり、フォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する場合は、活性エネルギー線重合開始剤等が添加される。活性エネルギー線重合開始剤を使用する際の配合量は、表面が酸性である黄色顔料(A)100重量部に対し、1〜200重量部であることが好ましく、光硬化性及び現像性の観点から1〜100重量部であることがより好ましい。
【0097】
活性エネルギー線重合開始剤としては、
4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、及び2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のアセトフェノン系活性エネルギー線重合開始剤;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、及びベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系活性エネルギー線重合開始剤;
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系活性エネルギー線重合開始剤;
チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、及び2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系活性エネルギー線重合開始剤;
2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、及び2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系活性エネルギー線重合開始剤;
ボレート系活性エネルギー線重合開始剤; カルバゾール系活性エネルギー線重合開始剤; イミダゾール系活性エネルギー線重合開始剤;並びに、オキシムエステル系活性エネルギー線重合開始剤等が用いられる。
【0098】
オキシムエステル系エネルギー線重合開始剤は紫外線を吸収することによってオキシムのN−O結合の解裂がおこり、イミニルラジカルとベンゾイロキシラジカルを生成する。
【0099】
これらのラジカルは更に分解することにより活性の高いラジカルを生成するため、少ない露光量でカラーフィルタを作製することができ、感度が高く、特に高残膜率の塗膜が得られることが出来る。
【0100】
なかでも、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)、1,2−オクタジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]、下記一般式(2)、または一般式(3)で示される、オキシムエステル系の活性エネルギー線重合開始剤が好ましく、中でも、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(o−アセチルオキシム)もしくは、下記一般式(2)または一般式(3)で示される活性エネルギー線重合開始剤は、良好な紫外線吸収性能を有することにより、与えられたエネルギー線によるエネルギーを極めて良好に吸収することができ、さらに、得られたエネルギーがオキシムエステル部位の分解に効率的に使用されることにより、エネルギー線照射による分解が速く、瞬時に多量のラジカルを生成することが可能になっていることから、最も好ましい。
一般式(2)
【0101】
【化4】

一般式(3)
【0102】
【化5】

[一般式(2)および一般式(3)において、X1〜X4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜3のアルキル基を示す。]
【0103】
上記活性エネルギー線重合開始剤は、単独あるいは2種以上混合して用いるが、増感剤として、
α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、及び4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。
【0104】
増感剤を使用する際の配合量は、着色組成物中に含まれる活性エネルギー線重合開始剤(E)100重量部に対し、3〜60重量部であることが好ましく、光硬化性、現像性の観点から5〜50重量部であることがより好ましい。
【0105】
《バインダー樹脂(F)》
上記説明した(A)〜(E)の構成成分とは別に、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物には、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)以外のバインダー樹脂(F)を含む。バインダー樹脂(F)としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及びエネルギー線硬化樹脂が好ましく、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
【0106】
バインダー樹脂は、黄色顔料(A)100重量部に対し、30〜500重量部の量で用いることができる。30重量部未満では、成膜性及び諸耐性が不十分となり、500重量部より多いと顔料濃度が低く、色特性を発現できない。
【0107】
熱可塑性樹脂としては、例えば、
ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂(分散剤(A)、ビニル系樹脂(B)を含まない)、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0108】
また、熱硬化性樹脂としては、例えば、
エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。
【0109】
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物をアルカリ現像型着色レジストの形態で用いる場合は、バインダー樹脂(F)として(メタ)アクリル酸等の酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂(f1)を使用することが好ましい。
【0110】
黄色顔料(A)を好ましく分散させるためには、バインダー樹脂(F)の重量平均分子量(Mw)は10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは30,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
【0111】
また、バインダー樹脂(F)としては、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂(f2)を使用することもできる。該樹脂(f2)の製造法としては、樹脂(f2)の前駆体として、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子を用意し、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂を得る方法や、また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化する方法等がある。
【0112】
バインダー樹脂(F)の中でアルカリ可溶性能とエネルギー線硬化性能とを併せもつものは、樹脂(f1)と樹脂(f2)の両方の性能を有するものとして使用できる。
【0113】
本発明の黄色着色組成物において、分散剤(B)、ビニル系樹脂(C)及びバインダー樹脂(F)との配合比率は、分散剤(B)100重量部に対して、ビニル系樹脂(C)が20〜150重量部、バインダー樹脂(F)が30〜800重量部であることが好ましく、更には、分散剤(B)100重量部に対して、ビニル系樹脂(C)が50〜100重量部、バインダー樹脂(F)が100〜500重量部であることが好ましい。
【0114】
ビニル系樹脂(C)の比率が高すぎると、粘度安定性が悪化し、アルカリ溶液中での現像が遅くなり、比率が低すぎるとアルカリ溶液中での黄色顔料の沈殿が発生し易くなり、コントラストも低下する。
【0115】
また、バインダー樹脂(F)の比率が高すぎると、顔料濃度が低く、色特性を発現できず、比率が低いと、成膜性及び諸耐性が不十分となる。
【0116】
《有機溶剤》
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物には、顔料を充分に組成物中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜5μmとなるように塗布してフィルタセグメントを形成することを容易にするために、有機溶剤を含有させることができる。
【0117】
有機溶剤は、着色組成物100重量%中、65〜95重量%の量で用いることが好ましい。65重量%より少ないと流動性が悪く塗布時にムラを生じやすい。95重量%より多いと塗布後の乾燥に長時間を要する。より好ましくは着色組成物100重量%に、70〜93重量%である。
【0118】
有機溶剤としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,5,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、エチルエトキシプロピオネート、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0119】
《その他添加剤》
本発明の黄色着色組成物には、その他添加剤として、連鎖移動剤、可塑剤、表面調整剤、紫外線防止剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤消泡剤、粘度調整剤、ワックス、界面活性剤、レべリング剤等を加えることができる。
【0120】
また、本発明の黄色着色組成物には、連鎖移動剤として、多官能チオールを含有させることが好ましい。多官能チオールとしては、チオール(SH)基を2個以上有する化合物であればよい。
【0121】
多官能チオールは、上述の活性エネルギー線重合開始剤(E)とともに使用することにより、光照射後のラジカル重合過程において、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、得られる感光性着色組成物は高感度となる。特にSH基がメチレン、エチレン基等の脂肪族基に結合した多官能脂肪族チオールが好ましい。例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
これらの多官能チオールは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0122】
多官能チオールの含有量は、黄色顔料(A)100重量部に対し、0.05〜100重量部であることが好ましく、より好ましくは1.0〜50.0重量部である。
多官能チオールを0.05重量部以上用いることで、より良い現像耐性を得ることができる。チオール(SH)基が1個の単官能チオールを用いた場合には、このような現像耐性の向上は得られない。
【0123】
《黄色着色組成物の製法》
本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物製造方法としては、表面が酸性である黄色顔料(A)、分散剤(B)、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)、活性エネルギー線硬化性単量体(D)、活性エネルギー線重合開始剤(E)、及びバインダー樹脂(F)を、必要に応じて、有機溶剤、その他の分散助剤、及び添加剤等と混合し、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型感光性着色組成物(レジスト材)として調整する。
【0124】
このとき、まず黄色顔料(A)を必要に応じて分散剤(B)、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)と共にバインダー樹脂(F)および有機溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の公知の分散手段を用いて微細に分散し、顔料分散体としてから活性エネルギー線重合開始剤(E)と、活性エネルギー線硬化性単量体(D)と、その他の添加剤等を混合することもできる。
【0125】
顔料分散体は、2種以上の顔料を混合して分散することも可能であり、また各顔料を別々に、バインダー樹脂(F)および有機溶剤中に微細に分散したものを混合して製造することもできるが、それぞれ単独の顔料分散体を作製し、混合することもできる。
【0126】
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0127】
《カラーフィルタ》
本発明のカラーフィルタは、基板上に、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物から形成される黄色フィルタセグメントを具備することを特徴とする。
【0128】
さらに、該黄色フィルタセグメントと、赤色フィルタセグメントと、緑色フィルタセグメントと、青色フィルタセグメントとを備えるカラーフィルタであることが好ましい。
【0129】
次に、カラーフィルタセグメントとして、上記黄色フィルタセグメント用黄色着色組成物とともに使用する赤色、緑色、および青色着色組成物について、使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
【0130】
赤色フィルタセグメントを形成するための赤色感光性着色組成物には、例えばC.I.ピグメントレッド7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、166、168、176、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、221、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、272及び279等の赤色顔料を用いることができる。赤色感光性着色組成物には、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
【0131】
赤色感光性着色組成物において赤色顔料と併用可能な黄色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213又は214を用いることができる。
【0132】
また、これらの黄色顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて、黄色フィルタセグメントを形成するための黄色感光性着色組成物に用いることができる。
【0133】
赤色感光性着色組成物において赤色顔料と併用可能なオレンジ色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ 36、38、43、51、55、59、61、71、73又は80を用いることができる。
【0134】
また、これらのオレンジ色顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて、オレンジ色フィルタセグメントを形成するためのオレンジ色感光性着色組成物に用いることができる。
【0135】
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色感光性着色組成物には、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37又は58等の緑色顔料を用いることができる。緑色感光性着色組成物には、この緑色顔料に加え、上記黄色顔料を併用することができる。
【0136】
青色フィルタセグメントを形成するための青色感光性着色組成物には、例えば、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64又は80等の青色顔料を用いることができる。青色感光性着色組成物には、この青色顔料に加え、C.I.ピグメントバイオレット 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42又は50等の紫色顔料を併用することができる。
【0137】
赤色、緑色、および青色着色組成物における、バインダー樹脂、有機溶剤、活性エネルギー線重合開始剤、活性エネルギー線硬化性単量体、および任意成分は、黄色着色組成物に含有できる各成分を使用できる。
【0138】
次いで、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、基板上に、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物、または、カラーフィルタ用赤色、緑色、青色着色組成物を用いて着色塗膜を形成する工程と、前記着色塗膜のフィルタセグメントとなる部分に、活性エネルギー線を照射して硬化させる工程と、前記着色塗膜の未硬化部分を除去してフィルタセグメントを形成する工程を有するものである。
【0139】
また、本発明の方法で製造されるカラーフィルタは、基板上に、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物から形成される黄色フィルタセグメントおよび赤色、緑色、青色フィルタセグメントを備えるものである。また各色フィルタセグメントの仕切りとしてブラックマトリックスを有していても良い。
【0140】
〔着色塗膜形成工程〕
着色塗膜形成工程では、スピンコート法やダイコート法によって、本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物または、カラーフィルタ用赤色、緑色、青色着色組成物を塗布し、必要に応じて余分な溶剤を除去することにより、基板上に着色塗膜を形成する。
【0141】
カラーフィルタの基板としては、可視光に対して透過率の高いソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0142】
〔露光・硬化工程〕
露光・硬化工程では、基板上に形成された着色塗膜に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射し、前記着色塗膜のフィルタセグメントとなる部分を硬化させる。活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、400〜500nmの可視光および各種レーザを使用することができる。電子線の線源には熱電子放射銃、電界放射銃等が使用でき、紫外線および400〜500nmの可視光の線源(光源)には、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯等を使用することができる。レーザは、半導体レーザ、YAG(固体)レーザ、気体レーザ(アルゴンレーザ、ヘリウムネオンレーザ、炭酸ガスレーザ、エキシマレーザ)等を使用することができる。
【0143】
〔アルカリ現像工程〕
未硬化部分の除去として行うアルカリ現像工程では、前記着色塗膜の未硬化部分を除去してフィルタセグメントを形成する。未硬化部分の除去に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
【0144】
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
【0145】
カラーフィルタ製造工程における現像液の使用方法としては、使用した現像液を1回使用しただけで廃棄する新液法と、現像液を繰り返し使用する循環法がある。
【0146】
新液法では、液汚染のない現像液を用いるため、工程管理が容易であり、品質不良の発生しにくい方法と言えるが、膨大なランニングコストを必要とする欠点がある。
【0147】
一方、循環法は、使用済み現像液をフィルタでろ過再生するため、着色塗膜成分を除去でき、繰り返し使用によりランニングコストを節約できるが、現像液に不溶の顔料凝集物や沈降物が多いと、フィルタ詰まりによる現像液流量・圧力の低下等の工程不具合が生じてしまう。着色塗膜成分の凝集物が多い場合は、フィルタの詰まりが早く、交換頻度が高くなるため、着色塗膜成分の凝集物が少ない方が好ましい。
【実施例】
【0148】
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
また、顔料のアミン吸着量、および塗膜のコントラスト比の測定方法は以下の通りである。
【0149】
<顔料のアミン吸着量>
密閉できるガラス容器に顔料を1g測り採り、0.02mol/lのn−ヘキシルアミン(吸着物質)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を30ml加えた。容器に栓をして超音波洗浄機に1時間かけ、顔料表面に吸着させた後、遠心分離機にかけて顔料を沈降させ上澄みを得た。上澄みを15ml採取し、0.02mol/lの過塩素酸ジオキサン溶液にて残存したn−ヘキシルアミンを電位差滴定装置により逆滴定した。ブランクを測定し定量した値を、顔料のアミン吸着量とした。
【0150】
<塗膜のコントラスト比(CR)>
液晶ディスプレー用バックライトユニットから出た光は、偏光板を通過して偏光され、ガラス基板上に塗布された着色組成物の乾燥塗膜を通過し、偏光板に到達する。偏光板と偏光板の偏光面が平行であれば、光は偏光板を透過するが、偏光面が直行している場合には光は偏光板により遮断される。しかし、偏光板によって偏光された光が着色組成物の乾燥塗膜を通過するときに、顔料粒子による散乱等が起こり、偏光面の一部にずれを生じると、偏光板が平行のときは偏光板を透過する光量が減り、偏光板が直行のときは偏光板を一部光が透過する。この透過光を偏光板上の輝度として測定し、偏光板が平行のときの輝度と、直行のときの輝度との比(コントラスト比(CR))を算出した。
(コントラスト比(CR))=(平行のときの輝度)/(直行のときの輝度)
なお、輝度計は株式会社トプコン社製「色彩輝度計BM−5A」、偏光板はサンリツ社製「NPF−G1220DUN」を用いた。なお、測定に際しては、不要光を遮断するために、測定部分に1cm角の孔を開けた黒色のマスクを当てた。
【0151】
実施例に先立ち、微細化顔料、分散剤、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)、バインダー樹脂(F)、および顔料分散体の製造方法について説明する。
【0152】
<微細化顔料の製造方法>
[微細化顔料PY150−1]
アゾ系黄色顔料1(C.I.ピグメントイエロー150(PY150)、ランクセス社製「E4GN」)500部、塩化ナトリウム2500部、及びジエチレングリコール250部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、100℃で6時間混練した。次に、この混練物を5リットルの温水に投入し、70℃に加熱しながら1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の微細化処理顔料PY150−1を得た。この微細化顔料のアミン吸着量は、220μmol/gであった。
【0153】
[微細化顔料製造例PY150−2]
アゾ系黄色顔料1をアゾ系黄色顔料2(C.I.ピグメントイエロー150(PY150)、東洋インキ製造社製「リオノールイエロー FG−1310」)に変えた以外はアゾ系黄色顔料1の調製と同様にして、微細化処理顔料PY150−2を得た。この微細化顔料のアミン吸着量は、360μmol/gであった。
【0154】
[微細化顔料PY139−1]
イソインドリノン系黄色顔料3(C.I.ピグメントイエロー139(PY139)、BASF社製「PALIOTOL YELLOW D1819」)100部、粉砕した食塩800部、及びジエチレングリコール180部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で4時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約80℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩及び溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、96部の微細化顔料PY139−1を得た。この微細化顔料のアミン吸着量は、186μmol/gであった。
【0155】
[微細化顔料製造例PY138−1]
キノフタロン系黄色顔料C.I.ピグメントイエロー138(PY138)(BASF社製 「パリオトールイエロー K0960−HD」)に変えた以外はイソインドリノン系黄色顔料の調製と同様にして、微細化処理顔料PY138−1を得た。この微細化顔料のアミン吸着量は、34μmol/gであった。
【0156】
<分散剤の製造方法>
[分散剤(B−1)溶液]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート20部、ブチルアクリレート40部、2−メトキシエチルアクリレート140部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート87.7部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール4.4部を添加した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、トリメリット酸無水物12部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート56.5部、及び、触媒として、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で2時間、80℃で5時間反応させ、90%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認した。樹脂溶液2gをサンプリングし、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が25重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加し、固形分当たりの酸価44mgKOH/g、数平均分子量5200である芳香族カルボキシル基を有する分散剤(B−1)溶液を得た。
【0157】
[分散剤(B−2)溶液]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート20部、ブチルアクリレート40部、NKエステルAM−90G(新中村化学製)140部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート87.7部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール4.4部を添加した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、トリメリット酸無水物12部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート56.5部、及び、触媒として、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で2時間、80℃で5時間反応させ、90%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認した。樹脂溶液2gをサンプリングし、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が25重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加し、固形分当たりの酸価44mgKOH/g、数平均分子量5200である芳香族カルボキシル基を有する分散剤(B−2)溶液を得た。
ここで、NKエステルAM−90Gは、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(エチレンオキシドは平均9モル)である。
【0158】
[分散剤(BC―1)溶液]
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、メチルメタクリレート160部、ブチルアクリレート40部、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート87.7部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール4.4部を添加した後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.2部を20回に分けて30分ごとに加え、80℃のまま12時間反応し、固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、トリメリット酸無水物12部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート56.5部、及び、触媒として、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で2時間、80℃で5時間反応させ、90%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを滴定で確認した。樹脂溶液2gをサンプリングし、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が25重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加し、固形分当たりの酸価44mgKOH/g、数平均分子量5200である芳香族カルボキシル基を有する分散剤(BC―1)溶液を得た。
【0159】
[分散剤(BYK−1、2、3)溶液]
市販のビックケミー・ジャパン製分散剤 Disperbyk161、162、170について、それぞれ分散剤溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、不揮発分が25重量%になるように、分散剤に使用されている溶剤を用いて調整し、分散剤(BYK−1、2、3)溶液を得た。
【0160】
[3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)の製造方法]
<ビニル系樹脂(C−1)溶液>
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート180部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続し、3級アミノ基を有するビニル系樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が25重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して、固形分当たりのアミン価が315mgKOH/g、数平均分子量3000の3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C−1)溶液を得た。
【0161】
<ビニル系樹脂(C−2)溶液>
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート154部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部、メチルメタクリレート26部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続し、3級アミノ基を有するビニル系樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が25重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して、固形分当たりのアミン価が270mgKOH/g、数平均分子量3000の3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C−2)溶液を得た。
【0162】
<ビニル系樹脂(C−3)溶液>
ガス導入管、コンデンサー、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート133部を仕込み、窒素置換しながら100℃に昇温した。滴下槽にN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート195部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート61部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を6部仕込み、均一になるまで攪拌した後、反応槽へ2時間かけて滴下し、その後同温度で3時間反応を継続し、3級アミノ基を有するビニル系樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が25重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加して、固形分当たりのアミン価が350mgKOH/g、数平均分子量3000の3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C−3)溶液を得た。
【0163】
[バインダー樹脂(F)の製造方法]
<アクリル樹脂(F−1)溶液>
反応容器にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度でメタクリル酸12.3部、メタクリル酸ベンジル49.2部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM−110」)24.2部、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレート14.3部の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂の溶液を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約30000であった。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が25重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してアクリル樹脂(F−1)溶液を調製した。
【0164】
[顔料分散体の製造方法]
(黄色顔料分散体Y−1)
微細化黄色顔料(PY150−1)10.0部、アクリル樹脂(F−1)溶液24.0部、有機溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)50.0部、分散剤(B−1)溶液8.0部、及び3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C−1)溶液8.0部の混合物を均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し黄色顔料分散体(Y−1)を作製した。
【0165】
(黄色顔料分散体Y−2〜18)
以下、表1に示す材料を記載の重量配合量(部)にて、黄色顔料分散体(Y−1)と同様に攪拌・分散を行い、黄色顔料分散体(Y−2〜20)を得た。
【0166】
【表1】

【0167】
表1中の略称は以下の通りである。
色素誘導体U−1
【0168】
【化6】

・有機溶剤 :プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
[実施例1]
(カラーフィルタ用黄色着色組成物(YR−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、アルカリ現像型カラーフィルタ用黄色着色組成物(YR−1)を得た。
・黄色顔料分散体(Y−1) 40.0部
・アクリル樹脂(F−1)溶液(不揮発分25重量%) 15.0部
・活性エネルギー線硬化性単量体(東亜合成社製「M402」) 2.0部
・活性エネルギー線重合開始剤 0.2部
(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製IRGACURE OXE 02)
・多官能チオール(F) 0.2部
(昭和電工社製「TPMB」;トリメチロールプロパントリ(3−メルカプトブチレート)
・有機溶剤 42.6部
(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
【0169】
[実施例2〜22、比較例1〜6]
(カラーフィルタ用黄色着色組成物(YR−2〜28))
以下、表2〜4に示す材料を記載の重量配合量(部)にて、カラーフィルタ用黄色着色組成物(YR−1)と同様にして、カラーフィルタ用黄色着色組成物(YR−2〜28)を得た。
【0170】
【表2】

【0171】
【表3】

【0172】
【表4】

【0173】
表2〜4中の略称は、以下の通りである。
・活性エネルギー線硬化性単量体(D)
M402:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM−402」)
・活性エネルギー線重合開始剤(E)
OXE01:チバ・ジャパン製ラジカル系光重合開始剤「IRGACURE OXE01」 1,2−オクタジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(o−ベンゾイルオキシム)]OXE02:チバ・ジャパン製ラジカル系光重合開始剤「IRGACURE OXE02」 エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−o−アセチルオキシム )
Irg379:チバ・ジャパン製ラジカル系光重合開始剤「IRGACURE379」 2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン
・増感剤
EAB−F:保土谷化学工業社製「EAB−F」 4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
・多官能チオール(F)
TPMB:昭和電工社製 「TPMB」;トリメチロールプロパントリ(3−メルカプトブチレート
・有機溶剤
有機溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0174】
[黄色着色組成物の評価]
<粘度安定性>
感光性着色組成物を調製した翌日の初期粘度と、40℃で1週間、経時促進させた経時粘度をE型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃において回転数20rpmという条件で測定した。この初期粘度から経時粘度への増粘率を下記の式で算出した。
[増粘率]=[経時粘度]/[初期粘度]×100(%)
【0175】
<明度およびコントラスト比>
得られたカラーフィルタ用黄色着色組成物について、スピンコーターを用いて、10cm×10cmのガラス基板に、C光源におけるCIE表色系のおける色度xが、0.44となるように塗布基板を作製、塗布後80℃で30分、熱風オーブンで乾燥した塗膜基板を用いて、明度およびコントラスト比を測定した。
明度は顕微分光光度計(オリンパス光学社製「OSP−SP100」)を用いて測定した。
【0176】
<露光感度評価>
パターン巾25μm(透明部分の実幅が25μm)の露光マスクを用いて露光、現像、残渣除去を行って、寸法測定機能付きの光学顕微鏡による監察により、得られた画像の線幅が25μmとなる露光量(mJ/cm2)を測定した。すなわち、露光量の少ないカラーフィルタ用黄色着色組成物は、低露光量で画像形成が可能であれば高感度であることを示す。
【0177】
<現像液沈殿の評価>
得られたカラーフィルタ用黄色着色組成物について、スピンコーターを用いて、10cm×10cmのガラス基板に、CIE表色系のおける色度xが0.44となるように塗布基板を作製、塗布後80℃で30分、熱風オーブンで乾燥し、乾燥した塗膜をカッターにて削り取った。削り取った塗膜1.0gを、ガラス瓶にとり、0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなる現像液20gを加えて、シェイカーにて30分混合した。混合液を静置し、1日後および5日後の黄色沈殿物の有無を確認した。
◎:5日静置しても、黄色沈殿物なし
○:1日静置では黄色沈殿物ないが、5日静置では黄色沈殿物あり。
×:1日静置でも、黄色沈殿物有り。
【0178】
<現像性の評価>
得られたカラーフィルタ用黄色着色組成物を、100mm×100mm、0.7mm厚のガラス基板上に乾燥後の膜厚が2μmになる回転数にてスピンコーターを用いて塗布した基板を、70℃で20分乾燥後、23℃の0.2重量%の炭酸ナトリウム水溶液からなるアルカリ現像液にて現像し、現像性を3段階で評価した。
◎ : 40秒より早くに完全に除去できるもの
〇 : 40〜60秒以内に完全に除去できるもの
× : 60秒を超えても完全に除去できないもの
以上の結果を、表5に示す。
【0179】
【表5】

【0180】
表面が酸性の黄色顔料(A)と、特定の分散剤(B)と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)とを含むカラーフィルタ用黄色着色組成物である本発明のカラーフィルタ用黄色着色組成物は、いずれの特性においても良好な評価結果を得た。
【0181】
また、顔料分散体が顔料誘導体を含まない実施例16のカラーフィルタ用黄色着色組成物(YR−16)は、顔料誘導体を含む実施例19カラーフィルタ用黄色着色組成物(YR−19)に比べて、明度がより高い数値を示した。本発明におけるカラーフィルタ用黄色着色組成物は、特定の分散剤(B)と、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)とを含むため、顔料誘導体を用いなくても、流動性、安定性に優れている。
【0182】
また、表面が酸性の黄色顔料(A)として、PY150と、PY138またはPY139とを含む顔料分散体を併用した実施例10,11では、色度再現領域が広がり、より良好な明度が得られた。
【0183】
比較例1は、分散剤が、エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)を含まないため、現像速度が遅く、現像時間が60秒を超えても完全に除去できなかった。
【0184】
比較例2は、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)を含有しない顔料分散体を使用したため、顔料分散不良となり、コントラスト比が低く、現像液沈殿が発生した。
【0185】
比較例3では、分散剤(B)を含有しないため、粘度安定性が悪く、経時品はゲル化し、粘度測定が不能となり、コントラスト比も低い結果となった。
【0186】
比較例4〜6では、特定の分散剤(B)および3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)を含まないため、現像液沈殿が発生した。
【0187】
(カラーフィルタの製造)
黄色顔料分散体における顔料を、赤色顔料分散体ではC.I.Pigment Red 254/C.I.Pigment Red 177=6部/4部に、緑色顔料分散体ではC.I.Pigment Green 58/C.I.Pigment Yellow 150=7.3部/2.7部に、青色顔料分散体ではC.I.Pigment Blue 15:6/C.I.Pigment Violet 23=9部/1部に置き換えた以外は黄色顔料分散体2と同様にそれぞれの顔料分散体を調製し、さらに、黄色着色組成物における黄色顔料分散体を置き換えた以外は、黄色着色組成物1と同様に赤色着色組成物、緑色着色組成物、及び青色着色組成物を調製し、カラーフィルタ用赤色着色組成物、カラーフィルタ用緑色着色組成物、及びカラーフィルタ用青色着色組成物を得た。
【0188】
100mm×100mmのガラス基板上にダイコータで赤色着色組成物を約2μmの厚さに塗工し、70℃のオーブン内に20分間溶剤を除去乾燥させた。次いで、露光装置を用いて紫外線によりストライプパターン露光を行った。露光量は100mJ/cm2とした。更に、炭酸ナトリウム水溶液からなる現像液によりスプレー現像して未露光部分を取り除いた後、イオン交換水で洗浄し、この基板を230℃で30分加熱して線幅約50μmの赤色フィルタセグメントを形成した。次いで、同様の所作により、赤色フィルタセグメントの隣に緑色着色組成物を用いて緑色フィルタセグメントを、青色着色組成物を用いて青色フィルタセグメントを、次いで実施例3のカラーフィルタ用黄色着色組成物を用いて黄色フィルタセグメントを形成し、同一ガラス基板上に4色のフィルタセグメントを具備するカラーフィルタを得た。
【0189】
本発明のカラーフィルタは、コントラスト比が高く、明度が高く、かつ色再現領域が広いため、該カラーフィルタを用いた液晶表示装置は、メリハリのある鮮やかな色を表現し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が酸性である黄色顔料(A)、分散剤(B)、3級アミノ基を有するビニル系樹脂(C)、活性エネルギー線硬化性単量体(D)、活性エネルギー線重合開始剤(E)、及び、バインダー樹脂(F)を含有してなるカラーフィルタ用黄色着色組成物であって、
該分散剤(B)が、下記一般式(1)に示すエーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)を含むエチレン性不飽和単量体(b−1)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(b−2)の水酸基と、芳香族トリカルボン酸無水物(b−3)の酸無水物基とを反応してなる分散剤であることを特徴とするカラーフィルタ用黄色着色組成物。
一般式(1):
【化1】

[一般式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状若しくは環状アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルケニル基、又は、置換基を有していてもよいフェニル基であり、R2は、炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐状アルキレン基であり、R3は、水素原子、又はメチル基であり、nは、1〜30の整数である。]
【請求項2】
エーテル基を有するエチレン性不飽和単量体(b1)が、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ用黄色着色組成物。
【請求項3】
表面が酸性である黄色顔料(A)が、ピグメントイエロー150であることを特徴とする請求項1又は2記載のカラーフィルタ用黄色着色組成物。
【請求項4】
活性エネルギー線重合開始剤(E)が、オキシムエステル系エネルギー線重合開始剤である請求項1〜3いずれか1項に記載のカラーフィルタ用黄色着色組成物。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載のカラーフィルタ用黄色着色組成物から形成される黄色フィルタセグメントを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項6】
赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、青色フィルタセグメント、および黄色フィルタセグメントを備えるカラーフィルタにおいて、該黄色フィルタセグメントが、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラーフィルタ用黄色着色組成物により形成されてなるカラーフィルタ。

【公開番号】特開2012−203054(P2012−203054A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65127(P2011−65127)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000222118)東洋インキSCホールディングス株式会社 (2,229)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】