説明

カラーフィルタ

【課題】簡易な工程で作製され、TFT基板の電極と短絡しないカラーフィルタを提供する。
【解決手段】カラーフィルタ1は、基板3の上に透明電極層5を有し、透明電極層5の上にブラックマトリクス7を有する。透明電極層5とブラックマトリクス7の上に、青色層9と赤色層11と緑色層13とを所定の位置に有し、青色層9の上にスペーサー15を有する。スペーサー15は、ブラックマトリクス7と青色層9とが積層した箇所に、スペーサー用赤色層12とスペーサー用緑色層14とを積層して形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置などに用いられるカラーフィルタなどに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置で、カラーフィルタと薄膜トランジスタ(TFT)基板との間のセルギャップの保持を目的としたスペーサーとして、これまでは一般的にビーズスペーサーと呼ばれる球状スペーサーが使われてきた。しかし、このビーズスペーサーは位置が定まっておらず、液晶表示装置の表示領域にも存在する為、ビーズスペーサーによる、光の散乱・透過およびビーズスペーサー近傍の配向の乱れにより、液晶表示装置の表示品位が低下するという問題を有している。このため、従来の球状スペーサーの限界が指摘され、定位置への配置・形成が可能な柱状スペーサーが注目を浴びている。
【0003】
そのため、透明電極層形成後、感光性樹脂層を形成し、フォトマスクを用いて露光し、パターニングを行うことで、柱状スペーサーを形成することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、近年の液晶表示装置の価格の下落に伴い、その構成部品であるカラーフィルタにおいてもコストダウンの要求がますます強まっている。そのため、着色層を積層して柱状スペーサーとすることで、独立したスペーサー作製工程を省略して柱状スペーサーを作製することが考えられている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−324716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、着色層を積層して柱状スペーサーを形成する場合、比較例に示すように、着色層形成後に透明電極層を形成すると、柱状スペーサーの上に透明電極層が露出し、カラーフィルタの電極と、TFT基板の電極とが、短絡してしまうという問題点があった。
【0007】
カラーフィルタの電極と、TFT基板の電極とが短絡してしまうと、カラーフィルタとTFT基板との間に充填される液晶分子に電圧が印加されず、液晶表示装置として駆動できない。
【0008】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、簡易な工程で作製され、TFT基板の電極と短絡しないカラーフィルタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、基板と、前記基板上に形成された透明電極層と、前記透明電極層上に形成されたブラックマトリクスと、着色層と、ギャップを一定に保つスペーサーと、を有することを特徴とするカラーフィルタである。
【0010】
第2の発明は、基板と、前記基板上に形成された透明電極層と、前記透明電極層上に形成された開口部を有するブラックマトリクスと、前記透明電極層上の前記開口部を覆うように形成された着色層と、前記ブラックマトリクスの上もしくは前記着色層の上または前記ブラックマトリクスと前記着色層の両方にまたがる箇所に形成されたスペーサーと、を有することを特徴とするカラーフィルタである。
【0011】
また、前記透明電極層の上に、前記ブラックマトリクスと前記着色層に加えて透明層を有し、前記スペーサーは、前記ブラックマトリクスの上、前記着色層の上もしくは前記透明層の上または前記ブラックマトリクス、前記着色層、前記透明層のいずれか2以上にまたがる箇所に形成されることもある。
【0012】
また、前記スペーサーの少なくとも一部が、着色層であることが好ましい。着色層には、後述するスペーサー用着色層を含んでいる。また、前記透明電極層、前記ブラックマトリクス、前記着色層、前記スペーサーを覆う保護層を有することが好ましい。
【0013】
第3の発明は、基板上に、透明電極層を形成する工程(a)と、前記透明電極層上に、ブラックマトリクスを形成する工程(b)と、着色層を形成する工程(c)と、スペーサーを形成する工程(d)と、を具備することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0014】
第4の発明は、基板上に、透明電極層を形成する工程(a)と、前記透明電極層上に、開口部を有するブラックマトリクスを形成する工程(b)と、前記透明電極層上の前記開口部を覆うように、着色層を形成する工程(c)と、前記ブラックマトリクスの上もしくは前記着色層の上、または前記ブラックマトリクスと前記着色層の両方にまたがる箇所にスペーサーを形成する工程(d)と、を具備することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
【0015】
また、前記工程(c)にて、前記着色層のほかに透明層を形成し、前記工程(d)にて、前記ブラックマトリクスの上、前記着色層の上、もしくは前記透明層または前記ブラックマトリクス、前記着色層、前記透明層のいずれか2以上にまたがる箇所にスペーサーを形成することもある。
【0016】
また、前記スペーサーの少なくとも一部が着色層であり、着色層とスペーサーの少なくとも一部を同時に形成することが好ましい。また、前記工程(d)の後に、前記透明電極層、前記ブラックマトリクス、前記着色層、前記スペーサー上に、保護層を形成する工程(e)と、を具備することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、簡易な工程で作製され、TFT基板の電極と短絡しないカラーフィルタを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
第1の実施形態に係るカラーフィルタ1について説明する。
図1は、カラーフィルタ1を示す図である。カラーフィルタ1は、基板3の上に透明電極層5を有し、透明電極層5の上にブラックマトリクス7を有する。ブラックマトリクス7の開口部に露出している透明電極層5の上とブラックマトリクス7との上に、青色層9と赤色層11と緑色層13とを所定の位置に有し、青色層9の上にスペーサー15を有する。スペーサー15は、ブラックマトリクス7と青色層9とが積層した箇所に、スペーサー用赤色層12とスペーサー用緑色層14とを積層して構成する。
【0020】
基板3は、一般にカラーフィルタに用いられる基板を使用することができる。例えば、ホウ珪酸ガラス、アルミノホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、合成石英ガラス、ソーダライムガラス、ホワイトサファイアなどの可撓性のない透明なリジット材、あるいは、透明樹脂フィルム、光学用樹脂フィルムなどの可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。前記フレキシブル材としては、ポリメチルメタクリレート等のアクリル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、シンジオタクティック・ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリシクロヘキセン、ポリノルボルネン系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等からなるものを挙げることができるが、一般的なプラスチックからなるものも使用可能である。特に、無アルカリガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり、寸法安定性および高温加熱処理における特性に優れている。
【0021】
透明電極層5は、酸化スズ、酸化インジウム、ITO(Indium Tin Oxide)と呼ばれるこれらの複合酸化物および酸化亜鉛が使用できる。透明電極層5の厚みは、5〜500nm程度である。
【0022】
ブラックマトリクス7は、複数の開口部を備え、着色層を通過しない光がカラーフィルタを通過しないように形成され、平均透過率が0.1%以下であることが好ましい。ブラックマトリクス7は、カーボン微粒子、金属酸化物等の遮光物質を含有させた感光性樹脂組成物を用いて樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングすることにより形成することができる。この場合ブラックマトリクス7の厚さは、1μm〜5μm程度である。
【0023】
前記遮光物質として、酸化チタンや四酸化鉄等の金属酸化物粉末、金属硫化物粉末、金属粉末、カーボンブラックの他に、赤、青、緑色等の顔料の混合物等を用いることができる。
【0024】
前記感光性樹脂組成物としては、ネガ型感光性樹脂およびポジ型感光性樹脂のいずれも用いることができる。本実施形態では、ネガ型感光性樹脂を用いて説明する。なお、樹脂の着色は不問である。
【0025】
ネガ型感光性樹脂としては特に限定されるものではなく、一般的に使用されるネガ型感光性樹脂を用いることができる。例えば、架橋型樹脂をベースとした化学増幅型感光性樹脂、具体的にはポリビニルフェノールに架橋剤を加え、さらに酸発生剤を加えた化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。また、アクリル系ネガ型感光性樹脂として、紫外線照射によりラジカル成分を発生する光重合開始剤と、分子内にアクリル基を有し、発生したラジカルにより重合反応を起こして硬化する成分と、その後の現像により未露光部が溶解可能となる官能基(例えば、アルカリ溶液による現像の場合は酸性基をもつ成分)とを含有するものを用いることができる。上記のアクリル基を有する成分のうち、比較的低分子量の多官能アクリル分子としては、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(DPPA)、テトラメチルペンタトリアクリレート(TMPTA)等が挙げられる。また、高分子量の多官能アクリル分子としては、スチレン−アクリル酸−ベンジルメタクリレート共重合体の一部のカルボン酸基部分にエポキシ基を介してアクリル基を導入したポリマーや、メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0026】
また、ポジ型感光性樹脂としては特に限定されるものではなく、一般的に使用されるものを用いることができる。具体的には、ノボラック樹脂をベース樹脂とした化学増幅型感光性樹脂等が挙げられる。
【0027】
また、ブラックマトリクス7は、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等によりクロム等の金属薄膜を形成し、この金属薄膜をパターニングすることにより形成することもできる。この場合、ブラックマトリクス7の厚みは、20〜500nm程度である。
【0028】
青色層9および後述するパターン用青色層10は、青色顔料などの顔料を含んだ感光性樹脂組成物で形成されている。前記感光性樹脂組成物としては、ブラックマトリクス7に用いた感光性樹脂組成物と同様の感光性樹脂組成物のうち、樹脂として無色透明なものを使用することができる。青色層9の厚みは、0.5〜3μm程度である。
【0029】
赤色層11およびスペーサー用赤色層12は、赤色顔料などの顔料を含んだ感光性樹脂組成物で形成され、緑色層13およびスペーサー用緑色層14は、緑色顔料などの顔料を含んだ感光性樹脂組成物で形成されている。前記感光性樹脂組成物としては、青色層9に用いた感光性樹脂組成物と同様の感光性樹脂組成物を使用することができる。
【0030】
スペーサー15は、青色層9、赤色層11、緑色層13が形成する平面より突出した突起であり、カラーフィルタ1と対向するTFT基板との間隔を保持し、液晶分子が注入されるギャップを形成する。スペーサー15は、青色層9の上に形成されたスペーサー用赤色層12とスペーサー用緑色層14とから構成されている。スペーサー15の高さは、1〜5μm程度である。
【0031】
また、スペーサー15を設けるのは青色層9の上でなくともよいし、着色層形成の順番も、青色層9、赤色層11、緑色層13の順番でなくともよい。例えば、青色層9、緑色層13、赤色層11の順番でもよいし、緑色層13、青色層9、赤色層11の順番でもよい。
【0032】
また、スペーサー15をスペーサー用赤色層12またはスペーサー用緑色層14のみで形成してもよく、スペーサー15の形成にブラックマトリクス7や後述する透明層16を含んでもよい。スペーサー15は、他の2色のスペーサー用着色層のうちの片方、または両方の積層にて構成されればよい。
【0033】
また、図1に示すように、スペーサー15は、ブラックマトリクス7と青色層9が積層した箇所に設けることが好ましいが、図3に示すカラーフィルタ101のように、スペーサー15をブラックマトリクス7と積層しない青色層9の上に設けてもよい。
【0034】
また、図4に示すカラーフィルタ103のように、スペーサー15をブラックマトリクス7の上に形成してもよく、スペーサー15の形成にスペーサー用青色層10を加えても良い。また、図5に示すカラーフィルタ105のように、スペーサー15を青色層9とブラックマトリクス7にまたがる箇所に形成しても良い。なお、カラーフィルタ105において、スペーサー15を赤色層11とブラックマトリクス7にまたがる箇所に形成しても良いし、緑色層13とブラックマトリクス7にまたがる箇所に形成しても良い。
【0035】
また、図6に示すカラーフィルタ107のように、着色層に重ねて隣接して透明層16を設けてもよい。透明層16は、着色層を構成する感光性樹脂であって、顔料を含まず、無色透明なものを用いることができる。カラーフィルタ107では青色層9に隣接して、透明層16が形成されているが、赤色層11に隣接して透明層16を設けてもよいし、緑色層13に隣接して透明層16を設けてもよい。さらに、透明層16をひとつだけではなく、複数の着色層に隣接させ、複数個所に設けてもよい。また、青色層9、赤色層11、緑色層13やブラックマトリクス7の上だけでなく、カラーフィルタ107に示すように、透明層16の上にスペーサー15を形成してもよい。さらに、透明層16と青色層9にまたがる箇所、透明層16と赤色層11にまたがる箇所、透明層16と緑色層13にまたがる箇所、透明層16とブラックマトリクス7にまたがる箇所にスペーサー15を形成しても良い。透明層16と着色層が重なる箇所は、反射照明による表示に用いられ、透明層16と着色層が重ならない箇所は、透過照明による表示に用いられる。
【0036】
なお、カラーフィルター1は、青色層9、赤色層11、緑色層13の三色の着色層のみを有するが、黄色やシアンなどの他色の着色層を設けてもよい。その際に、他色の層をスペーサー15の形成に加えてもよいし、加えなくてもよい。
【0037】
第1の実施形態に係るカラーフィルタ1の製造方法を説明する。図2は、カラーフィルタ1の製造工程を示す図である。
【0038】
まず、図2(a)に示すように、基板3の上に、透明電極層5を形成する。透明電極層5は、蒸着法やスパッタリング法、CVD法により形成される。
【0039】
次に、図2(b)に示すように、透明電極層5の上にブラックマトリクス7を形成する。ブラックマトリクス7の形成は、遮光物質を含む感光性樹脂を塗布し、パターニングすることにより行うことができる。感光性樹脂の塗布方法としては、例えばスピンコート法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、ダイコート法等を挙げられる。
【0040】
次に、所定のフォトマスクを用いて紫外線を照射し、ブラックマトリクス7となる箇所を硬化し、紫外線が照射されなかった部分の未硬化の感光性樹脂を溶剤で溶解除去することによって、ブラックマトリクス7を形成する。
【0041】
また、ブラックマトリクス7の形成は、スパッタリング法、真空蒸着法等によりクロム等の金属薄膜を形成し、パターニングすることにより行うこともできる。パターニング方法は特に限定されるものではないが、リソグラフィー法を用いることができる。
【0042】
次に、図2(c)に示すように、透明電極層5とブラックマトリクス7の上に青色層9を形成する。青色層9の形成は、顔料を含む感光性樹脂を塗布し、パターニングすることにより行われる。青色層9の塗布方法とパターニング方法は、ブラックマトリクス7を形成する際に用いられる方法を用いることができる。
【0043】
次に、図2(d)に示すように、ブラックマトリクス7の開口部の透明電極層5とブラックマトリクス7の上に赤色層11を形成し、青色層9の上にスペーサー用赤色層12を形成する。赤色層11およびスペーサー用赤色層12の形成は、青色層9の形成と同様に、顔料を含む感光性樹脂を塗布し、パターニングすることにより行われる。赤色層11とスペーサー用赤色層12は、同時に形成される。
【0044】
次に、図2(e)に示すように、ブラックマトリクス7の開口部の透明電極層5とブラックマトリクス7の上に緑色層13を形成し、スペーサー用赤色層12の上にスペーサー用緑色層14を形成する。緑色層13およびスペーサー用緑色層14の形成は、青色層9の形成と同様に、顔料を含む感光性樹脂を塗布し、パターニングすることにより行われる。緑色層13とスペーサー用緑色層14は、同時に形成される。よって、赤色層11と緑色層13の形成と同時に、スペーサー15が形成される。
【0045】
カラーフィルタ1を液晶表示装置に用いる場合、カラーフィルタ1の着色層側にTFT基板が設けられる。TFT基板は、TFTと電極を有し、スペーサー15に接する。TFT基板とカラーフィルタに挟まれて形成されたギャップに液晶分子が注入され、TFTのスイッチングにより液晶分子への電圧の印加のON/OFFが行われ、液晶表示装置が駆動する。
【0046】
第1の実施形態によれば、青色層9、赤色層11、緑色層13を形成する際に、スペーサー15が形成されるため、スペーサーを形成する工程を独立して設ける必要がなく、カラーフィルタ1の作製工程が削減される。
【0047】
また、第1の実施形態によれば、カラーフィルタ1とTFT基板とが、絶縁体のスペーサー15を介して接するため、カラーフィルタ1とTFT基板とは短絡しない。
【0048】
次に、第2の実施形態について説明する。
図7は、第2の実施形態にかかる、カラーフィルタ109を示す図である。
【0049】
カラーフィルタ109は、カラーフィルタ1の構成に加えて、透明電極層5、ブラックマトリクス7、青色層9、赤色層11、緑色層13、スペーサー15の上に保護層17を有する。
【0050】
保護層17は、光透過性の感光性樹脂組成物または、光透過性の無機物質からなる。保護層17の膜厚は、感光性樹脂組成物を用いた場合は5〜5000nmが好ましく、無機物質を用いた場合は、5〜500nmが好ましい。保護層17の抵抗率は1015〜1019Ω・cmの範囲が好ましい。保護層17の屈折率は1.4〜2.2が好ましい。
【0051】
前記感光性樹脂組成物としては、青色層9を形成する際に用いられるのと同様の樹脂組成物を用いることができる。
【0052】
前記無機物質としては窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ニオブなどを用いることができる。特に、二酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、五酸化タンタルまたは五酸化ニオブを用いることが好ましい。
【0053】
保護層17は、透明電極層5、ブラックマトリクス7、青色層9、赤色層11、緑色層13、スペーサー15の上に、感光性樹脂組成物を塗布するか、無機物質を蒸着やスパッタリング、CVDにより薄膜形成して形成される。
【0054】
保護層17は、ブラックマトリクス7、青色層9、赤色層11、緑色層13、スペーサー15から不純物が液晶層へ溶出することを防止できる。
【0055】
また、保護層17により、カラーフィルタ109の製造工程および液晶表示装置製造工程での洗浄プロセス、加熱プロセス、リワークなどの影響によるカラーフィルタ109の劣化を抑えることが可能となる。
【0056】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態による効果に加えて、カラーフィルタ109を液晶表示装置に用いた場合、着色層から液晶層への汚染が防止でき、液晶表示の不良を低減することができる。
【0057】
また、第2の実施形態によれば、カラーフィルタ109の製造工程および液晶表示装置製造工程での洗浄プロセス、加熱プロセス、リワークなどの影響によるカラーフィルタ109の劣化を抑えることが可能となる。
【0058】
なお、カラーフィルタ101、103、105、107に、保護層17を設けてもよい。
【0059】
次に、比較例について説明する。
図8は、比較例にかかる、カラーフィルタ121を示す図である。
【0060】
カラーフィルタ121は、基板3の上に、ブラックマトリクス7を有する。基板3とブラックマトリクス7の上に、青色層9と赤色層11と緑色層13とを所定の位置に有し、青色層9の上にスペーサー15を有する。スペーサー15は、ブラックマトリクス7と青色層9とが積層した箇所に、スペーサー用赤色層12とスペーサー用緑色層14とを積層して構成する。さらに、基板3、ブラックマトリクス7、青色層9、赤色層11、緑色層13、スペーサー15の上に透明電極層5を有する。
【0061】
透明電極層5は、青色層9、赤色層11、緑色層13、スペーサー15を形成した後、蒸着法やスパッタリング法、CVD法により形成される。
【0062】
カラーフィルタ121を用いて、液晶表示装置を組み立てた際、カラーフィルタ121の透明電極層5とTFT基板側の電極間で短絡が生じ、画素欠陥、線欠陥となり、表示品質上の問題を生じた。
【0063】
以上、添付図面を参照しながら、本発明にかかるカラーフィルタの好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しえることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0064】
特に、スペーサー15を、着色層の積層により形成せずに、新たに設けた別工程によりスペーサー15を形成することは、当然、本発明の技術的範囲に属する。スペーサー15の形成は、ブラックマトリクス7を形成する際に用いられる方法を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】第1の実施形態に係るカラーフィルタ1を示す図。
【図2】第1の実施形態に係るカラーフィルタ1の製造工程を示す図。
【図3】第1の実施形態の他の実施例に係るカラーフィルタ101を示す図。
【図4】第1の実施形態の他の実施例に係るカラーフィルタ103を示す図。
【図5】第1の実施形態の他の実施例に係るカラーフィルタ105を示す図。
【図6】第1の実施形態の他の実施例に係るカラーフィルタ107を示す図。
【図7】第2の実施形態に係るカラーフィルタ109を示す図。
【図8】比較例に係るカラーフィルタ121を示す図。
【符号の説明】
【0066】
1………カラーフィルタ
3………基板
5………透明電極層
7………ブラックマトリクス
9………青色層
10………スペーサー用青色層
11………赤色層
12………スペーサー用赤色層
13………緑色層
14………スペーサー用緑色層
15………スペーサー
16………透明層
17………保護層
101、103、105、107、109、121………カラーフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された、透明電極層と、
前記透明電極層上に形成された、ブラックマトリクスと、着色層と、ギャップを一定に保つスペーサーと、
を有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項2】
基板と、
前記基板上に形成された透明電極層と、
前記透明電極層上に形成された、開口部を有するブラックマトリクスと、
前記透明電極層上の前記開口部を覆うように形成された、着色層と、
前記ブラックマトリクスの上もしくは前記着色層の上、または前記ブラックマトリクスと前記着色層の両方にまたがる箇所に形成された、スペーサーと、
を有することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項3】
前記透明電極層の上に、前記ブラックマトリクスと前記着色層に加えて、透明層を有し、
前記スペーサーは、前記ブラックマトリクスの上、前記着色層の上もしくは前記透明層の上、または前記ブラックマトリクス、前記着色層、前記透明層のいずれか2以上にまたがる箇所に形成されることを特徴とする請求項2記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
前記スペーサーの少なくとも一部が、着色層であることを特徴とする請求項1ないし3記載のカラーフィルタ。
【請求項5】
前記透明電極層、前記ブラックマトリクス、前記着色層、前記スペーサーを覆う保護層を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4記載のカラーフィルタ。
【請求項6】
基板上に、透明電極層を形成する工程(a)と、
前記透明電極層上に、ブラックマトリクスを形成する工程(b)と、
着色層を形成する工程(c)と、
スペーサーを形成する工程(d)と、
を具備することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項7】
基板上に、透明電極層を形成する工程(a)と、
前記透明電極層上に、開口部を有するブラックマトリクスを形成する工程(b)と、
前記透明電極層上の前記開口部を覆うように、着色層を形成する工程(c)と、
前記ブラックマトリクスの上もしくは前記着色層の上、または前記ブラックマトリクスと前記着色層の両方にまたがる箇所にスペーサーを形成する工程(d)と、
を具備することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【請求項8】
前記工程(c)にて、前記着色層に加えて透明層を形成し、
前記工程(d)にて、前記ブラックマトリクスの上、前記着色層の上もしくは前記透明層の上または前記ブラックマトリクス、前記着色層、前記透明層のいずれか2以上にまたがる箇所にスペーサーを形成することを特徴とする請求項7記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項9】
前記スペーサーの少なくとも一部が、着色層であり、
着色層とスペーサーの少なくとも一部を同時に形成することを特徴とする請求項6ないし8記載のカラーフィルタの製造方法。
【請求項10】
前記工程(d)の後に、
前記透明電極層、前記ブラックマトリクス、前記着色層、前記スペーサー上に、保護層を形成する工程(e)
を具備することを特徴とする請求項6ないし請求項9記載のカラーフィルタの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−181089(P2009−181089A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22415(P2008−22415)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】