説明

カラー画像形成装置の廃トナー回収ボックス

【課題】複雑な搬送機構を用いることなく各作像エンジンから廃トナーを回収することができ、かかるカラー画像形成装置の小型化、低コスト化を可能とする。
【解決手段】廃トナー回収ボックス50は、中間転写ベルト及び複数の作像エンジンから排出された廃トナーを貯蔵するボックス本体51と、前記中間転写ベルト及び前記各作像エンジンの廃トナー排出部に沿って配置され、排出トナーを回収する複数の廃トナー回収口53と、前記複数の廃トナー回収口に沿って配置され、前記各廃トナー回収口から回収した廃トナーをならすならし部材と、を有し、前記中間転写ベルトの廃トナー排出部と前記ブラックのトナー像を形成する作像エンジンの廃トナー排出部との間にその他の作像エンジンの廃トナー排出部を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機やレーザビームプリンタ等の画像形成装置において使用済みトナーを回収して貯蔵する廃トナー回収ボックスに係り、特に、カラー複写機やカラープリンタ等のように複数の作像エンジンを備えた画像形成装置に使用される廃トナー回収ボックスの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開平09−325662号公報
【特許文献2】特開平11−305623号公報
【特許文献3】特開平11−003015号公報
【特許文献4】特開昭64−007088号公報
【0003】
電子写真複写機やレーザビームプリンタ等の画像形成装置においては、感光体ドラム上に現像したトナー像を記録シートに転写した後、かかる感光体ドラムに付着した残留トナーをクリーナによって除去しており、除去された残留トナーは廃トナーとして画像形成装置内の回収ボックスに集められるようになっている。この回収ボックスは消耗部品であり、廃トナーが満杯になった時点で空の回収ボックスと交換されるのが一般的である。
【0004】
一方、近年では、複数の作像エンジンによって形成された多色のトナー像を中間転写ベルトに一次転写した後、かかる中間転写ベルトから記録シートへ二次転写してカラー画像を得る所謂タンデム型カラー画像形成装置も登場している。このタンデム型のカラー画像形成装置の場合、イエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各作像エンジン毎に感光体ドラム及びそれを清掃するクリーナが存在することから、4つの作像エンジンのクリーナから廃トナーを回収する必要が生じる。また、上記中間転写体ベルトから記録シートへトナー像を二次転写した後は、かかる中間転写ベルトに付着しているトナーも清掃する必要があり、この中間転写ベルトに対してもクリーナが設けられている。従って、タンデム型のカラー画像形成装置の場合、少なくとも5カ所のクリーナから廃トナーを回収する必要が生じる。また、近年では、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を用いた現像器における劣化現像剤の交換作業を省略すべく、新たな二成分現像剤を補給しながら劣化現像剤を棄てていく所謂トリクル現像方式なるものが登場している。従って、この現像方式を採用する場合は、各色の現像器から排出される劣化現像剤をも回収する必要があり、前記の場合と併せ、回収ボックスには計9カ所の回収口が必要となる。
【0005】
前述のように、廃トナーの回収ボックスは消耗品であり、満杯になった時点で交換する必要があることから、各クリーナ毎に回収ボックスを設けていたのでは交換作業に手間が掛かり、また、各クリーナにおける廃トナーの回収量には差があることから回収ボックスの交換時期もまちまちになり、交換作業が非常に煩雑なものとなってしまう。このため、従来のカラー画像形成装置ではある程度の容量を有している回収ボックスを一つ設け、この回収ボックスに対して総てのクリーナが廃トナーを送り込むように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の廃トナー回収ボックスは一つの回収口しか具備しておらず、各クリーナから排出された廃トナーは一つの搬送経路にまとめられた後、上記回収口から回収ボックス内に落とし込まれていた。このように回収ボックスに対して一つの回収口のみを設けた場合には、回収ボックス内に廃トナーが堆積していく状態をコントロールし易いことから、回収ボックス内の容積を余すことなく利用して廃トナーを回収することが比較的容易であり、回収ボトルが満杯になったか否かを光学センサ等によって把握しやすいといった利点がある。その一方、各クリーナから排出される廃トナーを一つの回収口へ導かなければならないので、その搬送機構が複雑なものになり、製造コストが嵩む他、画像形成装置内における各機器の空間レイアウトに影響を及ぼすといった欠点があった。
【0007】
特に近年では卓上に設置し得るような小型カラーレーザビームプリンタに対するニーズが高まっているが、各作像エンジンから回収ボックスへ廃トナーを搬送する機構が複雑化するとプリンタの小型化に大きな障害となる。また、かかるプリンタのユーザ自身が回収ボックスの交換を行い得るようにするという観点からすれば、各作像エンジンから回収ボックスへの搬送機構は単純なものであることが望ましい。更に、消耗品としての回収ボックスの交換頻度を低下させてユーザの利便性を図るためには、回収ボックス内の廃トナーの収容スペースを余すことなく利用し得ることが必要である。
【0008】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、複数の作像エンジンを備えたカラー画像形成装置において、複雑な搬送機構を用いることなく各作像エンジンから廃トナーを回収することができ、かかるカラー画像形成装置の小型化、低コスト化に資することが可能な廃トナーの回収ボックスを提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、回収スペースを有効に利用して廃トナーを満杯になるまで確実に回収することができ、ユーザの利便性の向上を図ることが可能な廃トナー回収ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、少なくともブラックのトナー像を形成する作像エンジンを含む複数の作像エンジンと、前記複数の作像エンジンを順次通過し複数のトナー像が多重転写されるベルト表面を有する中間転写ベルトと、前記複数の作像エンジン及び前記中間転写ベルトから排出される使用済みトナーを回収して貯蔵する廃トナー回収ボックスとを備え、前記廃トナー回収ボックスは、前記中間転写ベルト及び前記複数の作像エンジンから排出された廃トナーを貯蔵するボックス本体と、前記中間転写ベルト及び前記各作像エンジンの廃トナー排出部に沿って配置され、前記中間転写ベルト及び前記各作像エンジンから排出される排出トナーを回収する複数の廃トナー回収口と、前記複数の廃トナー回収口に沿って配置され、前記各廃トナー回収口から回収した廃トナーをならすならし部材と、を有し、前記中間転写ベルトの廃トナー排出部と前記ブラックのトナー像を形成する作像エンジンの廃トナー排出部との間にその他の作像エンジンの廃トナー排出部を配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複雑な搬送機構を用いることなく各作像エンジンから廃トナーを回収することができ、この回収ボックスを用いたカラー画像形成装置の小型化、低コスト化を実現することが可能となる。
【0012】
また、本発明によれば、ボックス本体の回収スペースを有効に利用して廃トナーを満杯になるまで確実に回収することができ、ユーザの利便性の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面に基づいて本発明の廃トナー回収ボックスを詳細に説明する。図1は本発明が適用されたタンデム型のカラーレーザビームプリンタの構成を示す概略図である。このレーザビームプリンタはイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色毎にトナー像を形成する4基の作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkを備えると共に、各作像エンジンからトナー像が一次転写される中間転写ベルト(IBT)20を備え、かかる中間転写ベルト20に多重転写されたトナー像を記録シートPに二次転写してフルカラー画像を形成するように構成されている。
【0014】
上記中間転写ベルト20は無端状に形成されると共に一対のベルト搬送ローラ21, 22にかけ回されており、矢線方向に回動しながら各色作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkで形成されたトナー像の一次転写を受けるように構成されている。また、中間転写ベルト20を挟んで一方のベルト搬送ローラ21と対向する位置には二次転写ローラ30が配設されており、記録シートPは互いに圧接する転写ローラ30と中間転写ベルト20との間に挿通されて、かかる中間転写ベルト20からトナー像の二次転写を受けるようになっている。すなわち、上記ベルト搬送ローラ21は転写ローラ30のパックアップローラとして機能している。一方、反対側に位置するベルト搬送ローラ22と対向する位置には中間転写ベルト30のベルトクリーナ23が配設され、二次転写後に中間転写ベルト20に残留付着したトナーを該中間転写ベルト20上から除去するように構成されている。また、ベルトクリーナ23によって除去された残留トナーは、廃トナーとしてオーガ23aによりフロント側(図1の紙面手前側)へ搬送され、後述する回収ボックスに落とし込まれるようになっている。
【0015】
この中間転写ベルト20の下側には前述した4基の作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkが並列的に配設されており、各色の画情報に応じて形成したトナー像を中間転写ベルト20に一次転写するようになっている。これら4基の作像エンジンは中間転写ベルト20の回動方向に沿ってイエロー10Y、マゼンタ10M、シアン10C及びブラック10Bkの順に配設されており、最も頻繁に使用されるであろうブラックの作像エンジン10Bkが最も二次転写位置の近傍に配置されている。また、これら作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの下方には、各作像エンジンに具備された感光体ドラム11を画情報に応じて露光するラスタ走査ユニット40が配設されている。このラスタ走査ユニット40は全ての作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkに共用されており、各色の画情報に応じて変調されたレーザ光Bmを発する4基の半導体レーザ(図示せず)と、高速回転してこれら4本のレーザ光Bmを感光体ドラム11の軸方向に沿って走査する1基のポリゴンミラー41とを備えている。そして、ポリゴンミラー41によって走査された各レーザ光Bmはミラー(図示せず)によって反射されながら所定の経路を進んだ後、ラスタ走査ユニット40の上部に設けられた走査窓42を通して各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム11を露光するようになっている。
【0016】
また、各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム11と、この感光体ドラム11を一様な背景部電位にまで帯電させる帯電ローラ12と、上記レーザ光Bmの露光によって感光体ドラム11上に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像器13と、トナー像を中間転写ベルト20に転写した後の感光体ドラム11の表面から残留トナーや紙粉を除去するドラムクリーナ14を備えており、感光体ドラム11上に各色の画情報に応じたトナー像を形成し得るように構成されている。上記現像器13はトナーとキャリアが混合された二成分現像剤を用いるタイプのものであり、経時劣化に伴う現像剤の入れ換えのメインテナンスを省略するため、図示外の補給カートリッジからトナーとキャリアとが混合された現像剤を補給し、劣化した現像剤を自動的に排出する所謂トリクル現像方式が用いられている。各現像器13ではオーガ13aのリヤ側(図1の紙面奥側)から新たな現像剤が補給され、かかるオーガ13aのフロント側へ劣化現像剤が排出されるように構成されている。また、各ドラムクリーナ14によって除去された残留トナーは、廃トナーとして図示外のオーガによりフロント側へ排出されるようになっている。そして、各現像器13から排出された劣化現像剤、ドラムクリーナ14から排出された廃トナーは後述する回収ボックスに直接落とし込まれるように構成されている。
【0017】
各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム11と対向する位置には、中間転写ベルト20を挟むようにして一次転写ローラ15Y、15M、15C、15Bkが配設されており、これら転写ローラ15Y、15M、15C、15Bkに対して所定の転写バイアス電圧を印加することにより、感光体ドラム11と転写ローラ15Y、15M、15C、15Bkとの間に電界が形成され、感光体ドラム11上で電荷を帯びているトナー像がクーロン力で中間転写ベルト20に転写されるようになっている。
【0018】
一方、記録シートPはプリンタ筐体1の下部に収納される給紙カセット2からプリンタの内部、具体的には中間転写ベルト20と二次転写ローラ30とが接する二次転写位置へ供給される。上記給紙カセット2はプリンタ筐体のフロント側からプリンタ筐体1の下部に押し込んでセットするように構成されており、セットされた給紙カセット2の上部には該カセット2内に収容された記録シートPを引き出すためのピックアップローラ24及び給紙ローラ25が並設されている。また、給紙ローラ25と対向する位置には記録シートPの重送を防止するリタードローラ26が配設されている。
【0019】
プリンタの内部における記録シートPの搬送経路27はプリンタ筐体1の左側面に沿って略垂直に設けられており、プリンタ筐体1の底部に位置する給紙カセット2から引き出された記録シートPはこのシート搬送経路27を上昇し、前述の二次転写位置においてトナー像の転写を受けた後、かかる二次転写位置の真上に設けられた定着器3へと送られる。そして、定着器3によってトナー像の定着がなされた記録シートPは排出ローラ28を経て、プリンタ筐体1の上部に設けられた排紙トレイ1aにフェイスダウン状態で排出される。尚、図1中において、符号29は二次転写位置に対する記録シートPの突入タイミングを制御するレジストレーションローラである。
【0020】
そして、このように構成されたカラーレーザビームプリンタによるフルカラー画像の形成に当たっては、先ず、各色の画情報に応じてラスタ走査ユニット40が各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム11を所定のタイミングで露光し、これによって各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの感光体ドラム11上には画情報に応じたトナー像が形成される。各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkで形成されたトナー像は回動する中間転写ベルト20に対して順次転写され、かかる中間転写ベルト20上には各色トナー像が重なり合った多重トナー像が形成される。一方、記録シートPは所定のタイミングで給紙カセット2から送り出され、中間転写ベルト20上に一次転写されたトナー像が二次転写位置に達するタイミングを見計らって、二次転写ローラ30と中間転写ベルト20との間に挿通される。これにより、中間転写ベルト20上の多重トナー像は記録シートPに二次転写される。そして、二次転写がなされた記録シートPは定着器3によってトナー像の定着がなされ、これによって記録シートP上にフルカラー画像が完成する。
【0021】
このように構成された本実施例のプリンタにおいては、ベルトクリーナ23及び各ドラムクリーナ14から排出される廃トナー、各現像器13から排出される劣化現像剤は、総て同一の回収ボックスに落とし込まれるように構成されている。図2に示すように、かかる回収ボックス50は並列的に配列されたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkのフロント側の僅かに下方に設けられており、各ドラムクリーナ14及び各現像器13からフロント側へ向けて排出された廃トナー又は劣化現像剤が、何ら搬送部材を経ることなく、直接回収ボックス50に落とし込まれるようになっている。また、ベルトクリーナ23はイエローの作像エンジン10Yに隣接していることから、このベルトクリーナ23から排出される廃トナーも上記回収ボックス50に対して直接落とし込まれるようになっている。
【0022】
図3は上記回収ボックス50をフロント側の上方から観察した斜視図、図4はリヤ側の下方から観察した斜視図である。この回収ボックス50は、廃トナーを内部空間に貯蔵するボックス本体51と、このボックス本体51を上部から閉塞する蓋部材52とを備え、外観上は細長い略矩形状に形成されている。その長さはブラックの作像エンジン10Bkのドラムクリーナ14からベルトクリーナ23迄の距離に略匹敵し、この回収ボックス50をプリンタに装着した際に、かかる回収ボックス50が各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bk及びベルトクリーナ23のフロント側に位置し、廃トナーや劣化現像剤を直接回収ボックス50内に排出し得るようになっている。上記蓋部材52の上部には長手方向に沿って5つの回収口53が開設されており、この回収ボックス50をプリンタに装着すると、各作像エンジンのドラムクリーナ14及びベルトクリーナ23からフロント側へ突出した連結パイプ(図示せず)がこれら回収口53に連結され、ドラムクリーナ14及びベルトクリーナ23から排出された廃トナーが回収ボックス50内に落とし込まれるようになっている。5つの回収口は、図3の紙面右側から、ベルトクリーナ、イエロードラムクリーナ、マゼンタドラムクリーナ、シアンドラムクリーナ、ブラックドラムクリーナに夫々対応している。
【0023】
また、図4に示されるように、蓋部材52のリヤ側の側壁には4つの回収口54が開設されている。これらは各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの現像器13から排出される劣化現像剤の回収口であり、やはりこの回収ボックス50をプリンタに装着すると、各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの現像器13からフロント側へ突出した連結パイプ(図示せず)がこれら回収口54に挿入され、トリクル方式の現像器13から排出された劣化現像剤が回収ボックス50内に落とし込まれるようになっている。4つの回収口54は、図4の紙面右側から、ブラック現像器、シアン現像器、マゼンタ現像器、イエロー現像器に対応している。
【0024】
このように、本実施例の回収ボックス50は並列的に配列された作像エンジン10Y、10M、10C、10Bk及びベルトクリーナ23の一側でこれらに架け渡されるようにして設けられているので、各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkのドラムクリーナ14やベルトクリーナ23から排出される廃トナー、ひいては各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの現像器13から排出される劣化現像剤までも、かかる回収ボックス50に対して直接落とし込むことができ、廃トナーや劣化現像剤を回収ボックス50に搬送するための複雑な構成を必要とせず、プリンタそのものの小型化、製造コストの低減に資することができるようになっている。
【0025】
一方、図5は上記蓋部材52を取り除いた回収ボックス50を上方から観察した様子を示す斜視図である。蓋部材52の回収口53,54から回収ボックス50内に落とし込まれた廃トナーはボックス本体51の内部空間に貯留される。このため、廃トナーの収容上限はボックス本体51の上部開口までであり、ボックス本体51に廃トナーが一杯に収容された時点で回収ボックス51は交換する必要が生じる。ボックス本体51の上部には長手方向に沿って搬送部材であるオーガ55が設けられている。このオーガ55はボックス本体51の左右側壁を跨ぐようにして設けられており、ボックス本体51に落とし込まれた廃トナーや劣化現像剤が回収口53,54の直下で山となり、その頂上が回収ボックス50の収容上限を超えた場合に、かかるオーガ55が収容上限を超えた部分を崩して搬送するように構成されている。尚、図5に示されたボックス本体51は、紙面の手前側がベルトクリーナ23の回収口53に対応し、紙面の奥側がブラックのドラムクリーナ14の回収口53に対応している。
【0026】
図6は上記オーガ55を示すものである。このオーガ55は合成樹脂の射出成形によって製作され、回転軸56の周囲に廃トナーや劣化現像剤を搬送するための螺旋羽根57,58が形成されている。但し、射出成形を容易なものとするため、上記螺旋羽根57,58は傾斜方向が異なる2枚の半円状の板を交互に連ねた擬似的なものになっている。螺旋羽根57,58は巻き方向が異なり、回転軸56を所定の方向へ回転させた際に、廃トナーが両軸端から中央に向けて搬送されるようになっている。そして、これらの螺旋羽根57,58はシアンCのドラムクリーナ14に対応した回収口53の直下から僅かにマゼンタM側に寄った位置で途切れている。つまり、かかるオーガ55を回転させると、ボックス本体51内で山になった廃トナーや劣化現像剤が上記位置に向けて崩されていくことになる。また、上記螺旋羽根57,58の途中には所定の間隔をおいて軸方向と平行な板状羽根59が回転軸56に立設されると共に、螺旋羽根57,58が途切れた位置にも同様の板状羽根59が立設されており、オーガ55の回転に伴ってこれらの板状羽根59が廃トナーを軸方向と直交する方向へも送り出すように構成されている。ボックス本体1の収容スペースを最後まで有効に使い切れるよう、上記オーガ55は各回収口53,54の直下に設けられているが、ボックス本体51のフロント側からリヤ側へかけての奥行きはオーガ55の幅よりも格段に大きいことから、かかるオーガ55が廃トナーを軸方向にのみ搬送しているのでは、廃トナーがオーガ55の下でのみ山となり、ボックス本体51の奥行きを有効に利用することができなくなってしまう。しかし、この実施例のように軸方向と平行な板状羽根59をオーガ55に立設すれば、ボックス本体51の前後方向において無駄なスペースが発生することがなく、廃トナーをボックス本体51の収容上限一杯まで回収することが可能となる。
【0027】
更に、図7は蓋部材52の一部を切断して回収ボックス50内を露呈させた状態を示す斜視図である。この図に示されるように、回収ボックス50内にはオーガ55の回転軸56の高さに合致して樹脂フィルム60が設けられており、かかる樹脂フィルム60の長手方向に沿った一辺がオーガ55の螺旋羽根57,58及び板状羽根59と干渉するようになっている。オーガ55と干渉する樹脂フィルム60の先端は短冊状に切り分けられており、個々の短冊が螺旋羽根57,58や板状羽根59との干渉によって自由に上下動するように構成されている。また、この樹脂フィルム60は蓋部材52に固定されている。回収ボックス50内の廃トナーはオーガ55の下方に堆積しているので、かかる樹脂フィルム60が存在しないと、オーガ55の板状羽根59は廃トナーを下方から掬い上げて上方へまき散らしてしまい、かかかる廃トナーを効果的に送り出すことができない。しかし、前述した構成の樹脂フィルム60をオーガ55の回転軸56の高さに略合致して設けた場合には、短冊状に切り分けられた樹脂フィルム60の先端が板状羽根59によって掬い上げられた廃トナーを払い落とすので、かかる廃トナーは上方へまき散らされることなく、樹脂フィルム60の下面に沿ってボックス本体51の奥行方向へ送り出される。これにより、一層有効にボックス本体51の回収スペースを活用することができるものである。
【0028】
一方、この回収ボックス50には、廃トナー及び劣化現像剤によってボックス本体51が満杯になったことを知らせるための検知部が設けられている。図4に示されるように、ボックス本体51の底部には透明な箱状のトナー収容部61が突設されており、ボツクス本体51内の所定のレベルにまで廃トナーが堆積すると、かかるトナー収容部61に廃トナーが入り込むように構成されている。このトナー収容部61は回収ボックス50をプリンタに対して装着した際に、プリタ側に設けられた光透過型センサ62の発光部と受光部との間に入り込むようになっている。また、ボックス本体51内には上記トナー収容部61に対応して底部からパイプ65が立設されており、ボックス本体51内に堆積した廃トナーが上記パイプ65の高さを超えない限り、廃トナーが上記トナー収容部61に入り込まないようになっている。従って、堆積した廃トナーがパイプ65の高さを超えると、かかるバイプ65を伝わって廃トナーが上記トナー収容部61に入り込み、光透過型センサ62の発光部と受光部との間が廃トナーによって遮られ、上記センサ62の信号が変化することになる。これにより、廃トナーがボックス本体51内の所定のレベルにまで堆積したか否かを把握することができるようになっている。
【0029】
また、かかるパイプ65はシアンCのドラムクリーナ14の回収口53とマゼンタMのドラムクリーナ14の回収口53との略中間付近に立設されており、前述したオーガ55の螺旋羽根57,58の切れ目よりも僅かにマゼンタM側に寄っている。ボックス本体51内で山になった廃トナーは螺旋羽根57,58の切れ目に向かって崩されていき、かかるボックス本体51の満杯直前では、螺旋羽根57,58の切れ目の箇所にのみ僅かに空間が残されている状態となる。このため、オーガ55における螺旋羽根57,58の切れ目よりも僅かに変位して上記パイプ65を立設しておけば、回収ボックス50が廃トナーで完全に満杯になる少し前の段階で上記センサの信号が変化することになり、ユーザは回収ボックス50の交換に備えて次の回収ボックス50を発注する等の準備を行う時間的余裕を持つことができる。
【0030】
図8乃至図10は回収ボックス50内に廃トナー及び劣化現像剤が堆積していく様子を時経過を追って示したものである。ベルトクリーナ23はトナー像の二次転写後に中間転写ベルト20に残留している4色分の残留トナーを清掃しているので、各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkのドラムクリーナ14に比べて排出する廃トナーの量が格段に多く、また、各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkの中ではブラックの作像エンジン10Bkの使用頻度が最も高いので、ベルトクリーナ23に次いでブラックBkのドラムクリーナ(以下「Bkクリーナ」という)14の排出量が多くなっている。本実施例のプリンタでは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順番に作像エンジンを配列すると共に、イエローの作像エンジン10Yに隣接してベルトクリーナ23を設けているので、これらベルトクリーナ23及び各作像エンジン10Y、10M、10C、10Bkから回収ボックス50に対して直接廃トナーを落とし込むように構成した場合、最も排出量の多いベルトクリーナ23に接続される回収口53(IBT)が回収ボックス50の一方の端部に位置し、また、二番目に排出量の多いBkクリーナ14が回収ボックス50の他方の端部に位置することになる。
【0031】
このため、回収ボックス50内では長手方向の両端に対して落し込まれる廃トナーの量が多くなり、回収ボックス50の使用開始当初では、図8に示すように、ボックス本体51の両端に対して多くの廃トナーが堆積していくことになる。そして、更に多くの廃トナーが堆積すると、ボックス本体51の両端で廃トナーが収容上限を超えるようになり、図9に示すように、収容上限を超えた分の廃トナーがオーガ55でボックス本体51の中央に向けて崩され、両端から中央に向けて徐々に廃トナーの堆積レベルが低くなった状態となる。但し、前述しように、ベルトクリーナの排出量はBkクリーナの排出量よりも格段に多いので、ボックス本体内ではベルトクリーナ側に堆積する廃トナーの量がBkクリーナ側の量よりも多くなる。
【0032】
前述したように、回収ボックス50内の廃トナーはオーガ55の螺旋羽根57,58の切れ目に向けて崩されていくので、最終的には、図10に示すように、ボックス本体51内では螺旋羽根57,58の切れ目の下側にだけ空間が残り、オーガ55による廃トナーの搬送によってこの空間が消失すると、ボックス本体51は廃トナーで満杯になったことになる。また、図9に示す状態から図10に示す状態に移行する間に、ボックス本体51内における廃トナーの堆積レベルは該ボックス本体51内に立設されたパイプ65の高さを超え、廃トナーがパイプ65内に入り込むことになる。これにより、前述の如く光透過型センサ62の出力信号が変化し、ボックス本体51があと少しで満杯になることを把握することが可能となる。
【0033】
このように、本実施例のプリンタでは、廃トナーの排出量が多いベルトクリーナ及びBkクリーナが両端に位置するように、4色の作像エンジン及びベルトクリーナを配置し、これら作像エンジン及びベルトクリーナの一側に配置された細長い回収ボックスに対して廃トナーを直接落とし込むように構成すると共に、回収ボックス内ではボックス本体の長手方向の利用端から中央に向けて堆積した廃トナーを崩していくように構成しているので、かかる回収ボックス内の収容スペースに対して隙間なく廃トナーを堆積させることが可能であり、回収ボックスを有効に活用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明を適用したカラーレーザビームプリンタの構成を示す概略図である。
【図2】分図(a)は図1に示したプリンタにおける廃トナー回収ボックスの配設位置を示す概略図、分図(b)は分図(a)のX−X線断面図である。
【図3】本発明を適用した廃トナー回収ボックスをフロント側の上方から観察した斜視図である。
【図4】本発明を適用した廃トナー回収ボックスをリヤ側の下方から観察した斜視図である。
【図5】廃トナー回収ボックスから蓋部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図6】廃トナー回収ボックス内に装着されるオーガを示す正面図である。
【図7】蓋部材の一部を切り欠いた廃トナー回収ボックスの斜視図である。
【図8】ボックス本体内に廃トナーが堆積し始めた状態を示す概略図である。
【図9】ボックス本体内における廃トナーの堆積レベルがオーガに達した状態を示す概略図である。
【図10】ボックス本体内が廃トナーで満杯になる直前の状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0035】
10Y…イエロー作像エンジン、10M…マゼンタ作像エンジン、10C…シアン作像エンジン、10Bk…ブラック作像エンジン、14…ドラムクリーナ、23…ベルトクリーナ、50…廃トナー回収ボックス、51…ボックス本体、52…蓋部材、55…オーガ(搬送部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともブラックのトナー像を形成する作像エンジンを含む複数の作像エンジンと、
前記複数の作像エンジンを順次通過し複数のトナー像が多重転写されるベルト表面を有する中間転写ベルトと、
前記複数の作像エンジン及び前記中間転写ベルトから排出される使用済みトナーを回収して貯蔵する廃トナー回収ボックスと
を備え、
前記廃トナー回収ボックスは、
前記中間転写ベルト及び前記複数の作像エンジンから排出された廃トナーを貯蔵するボックス本体と、
前記中間転写ベルト及び前記各作像エンジンの廃トナー排出部に沿って配置され、前記中間転写ベルト及び前記各作像エンジンから排出される排出トナーを回収する複数の廃トナー回収口と、
前記複数の廃トナー回収口に沿って配置され、前記各廃トナー回収口から回収した廃トナーをならすならし部材と、
を有し、
前記中間転写ベルトの廃トナー排出部と前記ブラックのトナー像を形成する作像エンジンの廃トナー排出部との間にその他の作像エンジンの廃トナー排出部を配置した
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記ならし部材は、前記中間転写ベルトに対応する廃トナー回収口から回収した廃トナーと前記ブラックのトナー像を形成する作像エンジンに対応する廃トナー回収口から回収した廃トナーとを前記ボックス本体の中央部に向けて搬送する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記複数の廃トナー回収口の間に配置され、前記廃トナー回収ボックスに収容された廃トナー量に応じて満杯を検知する検知部を備え、
前記ならし部材は、前記中間転写ベルトに対応する廃トナー回収口から回収した廃トナーと前記ブラックのトナー像を形成する作像エンジンに対応する廃トナー回収口から回収した廃トナーとを前記検知部に向けて搬送する
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−310410(P2007−310410A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176507(P2007−176507)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【分割の表示】特願2000−345692(P2000−345692)の分割
【原出願日】平成12年11月13日(2000.11.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】