カルシウム受容体−活性化合物の固体複合材料
本発明は、カルシウム受容体−活性化合物の固体複合材料、固体複合材料の調製方法、固体複合材料を含んで成る即時及び制御された−開放性医薬製剤、及びそれによる処理方法を包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、カルシウム受容体−活性化合物の固体複合材料、固体複合材料の調製方法、固体複合材料を含んで成る即時及び制御された−開放性医薬製剤、及びそれによる処理方法を包含する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
シナカルセト(cinacalcet)塩酸塩は、化学名称(R)−N−[1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン−1−アミン塩酸塩を有し、そして次の化学構造を有することが報告されている:
【0003】
【化1】
【0004】
シナカルセト塩酸塩は、血液透析に基づいて慢性腎疾患を有する患者における上皮小体亢進症の処理のために商品名SENSIPAR(商標)として現在市販されているカルシウム受容体−活性化合物である(Physicians ' Desk Reference, 60th ed. (2006), pp. 603-605)。SENSIPAR(商標)の用量は、その塩酸塩の量によってよりもむしろ、錠剤に存在するシナカルセト遊離塩基(R)−N−[1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン−1−アミンの量により表される(前記を参照のこと)。
【0005】
シナカルセトは、水にわずかに溶解でき、そしていくつかの有機溶媒、例えばメタノール及びエタノールに非常に溶解できることが理解されている固体である。例えば、アメリカ特許出願公開番号2005/0147669号(“669号の公開”)として公開されたアメリカ特許出願番号10/937,870号は、シナカルセトが、中性pHで約1μg/ml以下の水における溶解度を有することを報告している(“669号公報、p.1.f2.)。さらに‘669号公報は、シナカルセトの溶解度が、pHが約3〜約5の範囲である場合、約1.6mg/mlに達することを報告している。しかしながら、pH約1である場合、溶解度は約0.1mg/mlに低下する。
【0006】
低水溶性を有する化合物は典型的には、低い溶解速度及びしばしば、低い生物利用能を示す。例えばAnsel, など., Pharmaceutical Dosage Forms and Delivery Methods (6th ed., 1995), pp. 105, 108を参照のこと。
【0007】
‘669号公報は、約50μml以下か又はそれに等しいD50を有する粒子の形でのシナカルセトを含んで成る医薬組成物を供給することにより、シナカルセトの不良な水溶解性と取り組んでいる(‘669号公報、pp.2-3, 426.)。‘669号公報は、それらの医薬組成物が、37℃±0.5℃の温度で、75r.p.m.の回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClにおいて行われる溶解試験の開始から約30分以下で、組成物から開放される、約50〜約125%の標的量のシナカルセトをもたらす溶解プロフィールを有することを開示する(前記、p5.f61.)。
【0008】
しかしながら、シナカルセトの水における溶解性及び従って、生物利用能を高める技法は、所望する粒度分布を達成するためへのシナカルセトの超微粉砕化を必要とする。超微粉砕化は、産業規模での製造の間、健康危険性を有する。従って、適切な溶解プロフィール及び従って、生物利用能を維持しながら、活性成分、例えばシナカルセトの超微粉砕された粉末に関連する健康危険性を低めるための方法についての必要性である。
薬物が最も溶解できるpHを有する胃腸管における位置で薬物、例えばシナカルセトを開放する方法についての必要性がまた存在する。
【0009】
発明の要約:
本発明は、少なくとも1つのキャリヤーと密接に関連して、シナカルセトの固体複合材料を含んで成る組成物に向けられる。本発明の好ましい態様においては、組成物は固体複合材料である。好ましい態様においては、前記シナカルセトの少なくとも約85%は、少なくとも1つのキャリヤーと密接に関連して存在し、前記シナカルセトの少なくとも約85%は、粒状形で存在せず、前記シナカルセトの少なくとも約85%は、結晶形で存在せず、そして/又は前記固体複合材料は、固溶体である。好ましくは、 前記シナカルセトの実質的にすべては、前記固溶体中、溶液で存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好ましい態様においては、キャリヤーは、ポリマー、例えばポビドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、コポビドン、メタクリレートのコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、及びそれらの混合物を含んで成る。好ましくは、前記ポリマーは、ポビドン、又はメタクリル酸のコポリマーである。好ましい態様においては、前記キャリヤーは、糖又は糖誘導体、例えばスクロース、マンニトール、ラクトース、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、スクラロース、及びそれらの混合物を含んで成る。
【0011】
本発明の好ましい態様においては、前記固体複合材料は、約100μm以上の平均粒度、好ましくは約100〜約600μmの平均粒度を有する粒状物である。本発明の好ましい態様においては、複合材料が、約1:0.5〜約1:10、好ましくは約1:2〜約1:6の重量比での薬物:キャリヤーを有する。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、前記組成物は、約10〜約40重量%のシナカルセトを含んで成る医薬製剤である。本発明の好ましい態様においては、前記組成物は、製剤の合計重量に対して、約0.5〜約5重量%の少なくとも1つの潤滑剤又は滑剤、及び/又は約1〜約6重量%の少なくとも1つの被覆材料をさらに含んで成る。
【0013】
本発明の好ましい態様においては、前記組成物は、少なくとも約80%のシナカルセトが、約37℃の温度及び約75r.p.mの回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClにおいて約30分以内に開放される、即時開放性組成物である。
【0014】
本発明の好ましい態様においては、前記組成物は、制御された開放性医薬製剤であり、そしてその製剤が、約37℃の温度及び約75r.p.mの回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClの溶液に約30分間、暴露され、続いて前記溶液を中和するのに十分な量の緩衝液を添加し、そしてその中和された溶液への暴露を続ける場合、約50%以上のシナカルセトが、最初の約30分の暴露以内に製剤から開放され、そして約70%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約90分の暴露以内に製剤から開放される。好ましくは、少なくとも約50%の前記シナカルセトが、最初の約60分の暴露以内に開放され、より好ましくは約80%以上の前記シナカルセトが、最初の約90分の暴露間で製剤から開放され、そして約90%以上の前記シナカルセトが、最初の約90分の暴露間で製剤から開放される。
【0015】
本発明の好ましい態様においては、シナカルセト、少なくとも1つのキャリヤー、及び少なくとも1つの液体溶媒を組合せ、溶液を形成し;そして前記溶媒を除去し、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーの固体複合材料を得ることを含んで成る、固体複合材料の調製方法に向けられる。本発明の好ましい態様においては、前記固体複合材料は固溶体である。本発明の好ましい態様においては、前記キャリヤーは、ポビドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、コポビドン、メタクリレートのコポリマー、及びメタクリル酸のコポリマー、好ましくは少なくとも1つの低級脂肪族アルコール及びC3-8ケトンから成る群から選択される。
【0016】
本発明の好ましい態様においては、前記溶媒は、流動層ドライヤーにおいて、又は噴霧乾燥により、真空下で蒸発される。本発明の好ましい態様においては、前記シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーが、有機又は無機溶媒に溶解され、溶液が形成され;超臨界流体が添加され、前記シナカルセト及びキャリヤーの混合物の沈殿が誘発され;そして前記溶媒及び超臨界流体が蒸発により除去される。本発明の好ましい態様においては、前記溶媒は、超臨界流体、好ましくはすくなくとも1つの二酸化炭素、水、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール及びアセトン、及びより好ましくは二酸化炭素である。本発明の好ましい態様においては、前記超臨界流体は蒸発により除去される。
【0017】
本発明の好ましい態様においては、本発明は、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合し、混合物を形成し;前記混合物を、前記シナカルセト及びキャリヤーの両者が溶融し、融合生成物を形成する温度まで加熱し;そして前記融合性生物を、その融合性生物からのシナカルセトの結晶化を可能にしない態様で冷却することを含んで成る固体複合材料の調製方法に向けられる。本発明の好ましい態様においては、本発明は、前記シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合し、混合物を形成し;前記混合物を加熱し、その粘度を調節し;そして前記加熱された混合物を、ホットメルト押し出しシステムを通して供給することをさらに含んで成る。
【0018】
好ましい態様においては、本発明は、有効量の本発明の好ましい組成物を哺乳類、例えばヒトに投与することを含んで成る処理方法に向けられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、シナカルセト原料のXRDディフラクトグラムを示す。
【図2】図2は、PVP K-30のXRDディフラクトグラムを示す。
【図3】図3は、シナカルセト:PVP K-30の1:2固溶体のXRDディフラクトグラムを示す。
【図4】図4は、EUDRAGIT(商標) L-100-55のXRDディフラクトグラムを示す。
【図5】図5は、シナカルセト:EUDRAGIT(商標) L-100-55の1:2固溶体のXRDディフラクトグラムを示す。
【0020】
【図6】図6は、シナカルセト原料のDSCサーモグラムを示す。
【図7】図7は、PVP K-30のDSCサーモグラムを示す。
【図8】図8は、シナカルセト:PVP K-30の1:2固溶体のDSCサーモグラムを示す。
【図9】図9は、EUDRAGIT(商標) L-100-55のDSCサーモグラムを示す。
【図10】図10は、シナカルセト:EUDRAGIT(商標) L-100-55の1:2固溶体のDSCサーモグラムを示す。
【0021】
【図11】図11は、37℃及び75r.p.m.でUSP装置2において0.05NのHClにおける、シナカルセト及びPVP (P-00709)の固溶体、シナカルセト及びPVPの物理的混合物(1:3)及びSENSIPAR(商標) の溶解プロフィールを示す。
【図12】図12は、37℃及び75r.p.m.でUSP装置2において6 g/L NaH2PO4、pH 6、0.15% SLSにおける、シナカルセト及びPVP (P-00709)の固溶体、シナカルセト及びPVPの物理的混合物(1:3)及びSENSIPAR(商標) の溶解プロフィールを示す。
【図13】図13は、37℃及び75r.p.m.でU.S.P.タイプ2装置において0.05NのHCl 、及び6 g/L NaH2PO4、pH 6、0.15% SLSにおける、シナカルセト及びEUDRAGIT(商標)の1:2固溶体、及びSENSIPAR(商標) の溶解プロフィールを示す。
【図14】図14は、シミュレートされた胃腸環境下でのシナカルセトの固溶体の製剤の溶解プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の特定の記載:
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“シナカルセト”とは、シナカルセト遊離塩基、及び医薬的に許容できるその塩及び溶媒化合物を意味する。好ましくは、“シナカルセト”とは、シナカルセト塩酸塩を意味する。
【0023】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“親密な関係”又は“親密に関係される”とは、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーの混合物に関して使用される場合、シナカルセトが分子レベルで相互作用し、容易に検出できる別々のシナカルセト相が存在しないことを意味する。非親密関係は、例えば電子顕微鏡を用いて、異なった相間を識別することが可能である場合、粉末ブレンド、又は圧縮された粉末ブレンドである。非親密関係のもう1つの例は、別々の相が溶液において同時存在するエマルジョンであり、そして光顕微鏡を用いて可視化され得る。親密な関係についての例は、キャリヤーと溶質との間を物理的手段により分離するか、又はキャリヤー内の溶質の相を観察する手段が存在しない、溶液である。
【0024】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“遊離薬物”とは、キャリヤーと親密関係にないシナカルセトから実質的に成る固体粒子を意味する。
【0025】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“非結晶性”及び“結晶形ではない”とは、結晶性シナカルセトの特徴的なピークを有するX−線粉末回折パターンを生成せず、そして2〜20℃/分の加熱速度を用いて示差走査熱量法での識別できる吸熱量を示さないシナカルセトを含んで成る材料を意味する。
【0026】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“固溶体”とは、成分が分子レベルで散在される、少なくとも2種の成分(例えば、シナカルセト及びキャリヤー)の固体均質混合物を意味する。固溶体においては、溶質をして通常言及される、少ない量で存在する成分の結晶構造に関連する個々の物性は失われる。溶質の存在は、分光的に、又は固溶体の束一性により検出され得る。固溶体においてさえ、シナカルセトのいくらかの部分は、溶液から出るか、又は本発明の範囲内でキャリヤーに不溶性のまま残存することができる。しかしながら、固溶体において、少なくとも約85%のシナカルセトが固溶体中、溶液に存在する。好ましくは、実質的にすべて、及び最も好ましくは、すべてのシナカルセトが、固溶体中、溶液に存在する。
【0027】
本明細書において使用される場合、用語“超臨界流体”とは、それらの熱光学的に臨界点以上の温度及び圧力での物質を言及する。超臨界流体溶液は、超臨界流体が溶媒である溶液である。そのような物質は、ユニーク性質、例えば気体のような固体を通して分散する能力、及び液体のような固体を溶解する能力を有する。さらに、温度及び/又は圧力の少々の変化によりそのような物質の密度を変更することが可能である。有用な超臨界流体は例えば二酸化炭素、水、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール及びアセトンである。好ましくは超臨界流体は、二酸化炭素、水及びエタノールから成る群から選択される。より好ましくは、超臨界流体は二酸化炭素である。
【0028】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、薬物又は薬理学的活性剤の“有効”及び“治療的有効”量は、所望する効果、例えば続発性上皮小体亢進の処理を提供するのに非毒性で且つ十分である薬物又は剤の量を意味する。
【0029】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“処理する”、“処理された”及び“処理”とは、次の現象の少なくとも1つを意味する:症状の重症度及び/又は頻度の低下、症状及び/又はその下にある原因の排除、症状及び/又はそれらの下にある原因の予防、又は損傷の改良又は改善。
【0030】
本発明は、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを含んで成る固体複合材料を包含し、ここで少なくとも約85%のシナカルセトがキャリヤーと親密に関連して存在する。
【0031】
好ましくは、固体複合材料は固溶体である。好ましくは、実質的にすべてのシナカルセトは、固溶体中、溶液で存在する。より好ましくは、すべてのシナカルセトは、固溶体中、溶液で存在する。
【0032】
好ましくは、固体複合材料は、粒状物であり、そして約100μmよりも大きな、より好ましくは100〜600μmの平均粒度を有する。
【0033】
好ましくは、固体複合材料における少なくとも約85%のシナカルセトは、結晶形では存在しない。より好ましくは、固体複合材料におけるシナカルセトは、検出できる結晶性シナカルセトを有さない。
【0034】
キャリヤーは、当業者に知られているいずれかの医薬的に許容できる不活性固体キャリヤー、例えば糖及びポリマーであり得る。
【0035】
好ましくはキャリヤーは、親水性ポリマー、又は水性媒体においてpH依存性溶解性プロフィールを提供するポリマーである。前記親水性ポリマーは、ポビドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、コポビドン、及びアミノアルキルメタクリレートA型NFから成る群から選択され得る。
【0036】
水性媒体においてpH依存性溶解性プロフィールを提供するポリマーは、メタクリル酸のコポリマーから選択され得る。より好ましくは、キャリヤーは、ポビドン、又はメタクリル酸のコポリマーである。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタレート、ポリメチルアクリレート及びヒドロキシプロピルセルロースがキャリヤーとして本発明において使用され得るが、他のキャリヤー、特にポビドン、及びメタクリル酸のコポリマーが本発明においてより好ましい。
【0037】
好ましくは、キャリヤーは、キャリヤーと親密に関連して、及びより好ましくは固溶体において少なくとも85%のシナカルセトを維持するために十分な量で存在する。当業者は、そのようなキャリヤーの量を通常の実験により容易に決定することができる。典型的には、固体複合材料における薬物:キャリヤーの重量の比は、約1:0.5〜約1:10、好ましくは約1:2〜約1:6の範囲内である。
【0038】
本発明はさらに、シナカルセト、少なくとも1つのキャリヤー、及び少なくとも1つの液体溶媒を組合せ、溶液を形成し;そして前記液体溶媒を除去し、固体複合材料を得ることを含んで成る、固体複合材料の調製方法を包含する。
【0039】
シナカルセトは、当業者に知られているいずれかの手段により調製され得る。本発明の固体複合材料における少なくとも約85%のシナカルセトは結晶形で存在しないが、いずれの形(例えば、結晶性又は非晶性)でのシナカルセトも、固体複合材料を調製するために使用され得ることが理解されるであろう。
【0040】
固体複合材料を調製するために適切な液体溶媒は、少なくとも85%のシナカルセト及び実質的にすべてのキャリヤーを溶解できる有機溶媒を包含する。好ましくは、液体溶媒は、少なくとも約85%のシナカルセト及び少なくとも約85%のキャリヤーを溶解できる。より好ましくは、液体溶媒は、実質的にすべてのシナカルセト及びキャリヤーを溶解できる。最も好ましくは、液体溶媒は、すべてのシナカルセト及びキャリヤーを溶解できる。好ましくは、液体溶媒は、シナカルセトが25℃で1mlの溶媒当たり少なくとも約5mgのシナカルセトの溶解性を有する溶媒である。
【0041】
適切な液体溶媒の例は、少なくとも1つの低級脂肪族アルコール及びC3-8ケトンを包含するが、但しそれらだけには限定されない。“低級脂肪族アルコール”とは、本明細書において使用される場合、一般構造R−OH(ここで、Rは線状又は枝分かれC1-6アルキル基である)を有する有機化合物を意味する。好ましい低級脂肪族アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(“IPA”)及びブタノールを包含する。好ましいC3-8ケトンは、アセトン、メチルイソブチルケトン(“MIBK”)及びメチルエチルケトン(“MEK”)を包含する。より好ましい液体溶媒は、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール及びそれらの混合物である。より好ましくは、液体溶媒は、エタノール、又はほとんどは、1又は複数の上記溶媒と組合してのエタノールである。
【0042】
組合せ段階は、順に液体溶媒と、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーとを混合することを包含する。シナカルセト、キャリヤー及び液体溶媒は、当業者に知られているいずれかの適切な混合方法、例えば磁気撹拌機、ミキサー撹拌機、振盪機又は音波処理を用いて、混合され得る。
【0043】
好ましくは、少なくとも約85%シナカルセト及び大部分のキャリヤーが、少なくとも1つの液体溶媒中、溶液に存在する。より好ましくは、少なくとも約85%のシナカルセト及び約85%のキャリヤーが、少なくとも1つの液体溶媒中、溶液に存在する。さらにより好ましくは、実質的にすべてのシナカルセト及びキャリヤーは、少なくとも1つの溶媒中、溶液に存在する。特に好ましい態様においては、すべてのシナカルセト及びキャリヤーは、少なくとも1つの溶媒中、溶液に存在する。
【0044】
液体溶媒の除去段階は、当業者に知られているいずれかの方法により実施され得る。好ましくは、液体溶媒の蒸発により除去される。より好ましくは、液体溶媒は、真空下での蒸発により、流動層乾燥により、又は噴霧乾燥により除去される。“噴霧乾燥”とは、液体混合物を小さな液滴に分解し(噴霧化)、そして混合物から溶媒を急速に除去する工程を広く言及する。典型的な噴霧乾燥装置においては、加熱された乾燥ガスを供給することにより供給され得る、液滴からの溶媒の蒸発のための強い駆動力が存在する。噴霧乾燥工程及び装置は、Perry's Chemical Engineer's Handbook, pp. 20-54 to 20-57 (6th ed. 1984)に記載されている。得られる固形物は、任意には、さらに乾燥され得る。
【0045】
好ましくは、得られる個体複合材料は、固溶体の形で存在し、ここで実質的にすべて、最も好ましくはすべてのシナカルセトは、キャリヤー中、固溶体に存在する。
【0046】
任意には、前記方法はさらに、少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤の添加を包含する。医薬的に許容できる適切な賦形剤は例えば、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムを包含する。
【0047】
医薬的に許容できる賦形剤は、段階a)においてシナカルセト、キャリヤー及び液体溶媒と組合わされ得るか、又は液体溶媒の除去の後、段階b)の得られる固体複合材料に添加され得る。
【0048】
他方では、医薬的に許容できる賦形剤は、段階b)における液体溶媒の除去の間、例えば、シナカルセト、キャリヤー及び溶媒を含む溶液を、賦形剤の流動層上に乾燥しながら、噴霧することにより添加され得る。結果として、固体複合材料が、賦形剤上に形成されるであろう。いくつかの場合、この工程は、患者への投与に基づいて、水性媒体における溶解を助けることができる大きな表面積を有する固体複合材料を供給するので、好都合であることを証明するであろう。
【0049】
本発明はさらに、超臨界流体技法を用いての固体複合材料の調製方法を包含する。前記方法は、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを超臨界流体に溶解し;そして前記超臨界流体を蒸発により除去することを含んで成る。好ましくは、蒸発は、減圧下で、又は溶液の温度を、超臨界流体が気体になる温度に調節することにより達成される。他方では、前記方法は、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを、有機又は無機溶媒に溶解し、溶液を形成し;超臨界流体(抗−溶媒)を添加し、前記シナカルセト及びキャリヤーの混合物の沈殿を誘発し;そして前記溶媒及び超臨界流体を蒸発により除去することをさらに含んで成る。好ましくは、蒸発は、減圧下で、又は溶液の温度を調節することにより達成される。
【0050】
本発明はさらに、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合し、混合物を形成し;前記混合物を、前記シナカルセト及びキャリヤーの両者が溶融し、融合生成物を形成する温度まで加熱し;そして前記融合性生物を、その融合性生物からのシナカルセトの再結晶化を可能にしない態様で冷却することを含んで成る固体複合材料の調製方法を包含する。
【0051】
本発明はさらに、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合わし、混合物を形成し;前記混合物を加熱し、その粘度を調節し;そして前記加熱された混合物を、ホットメルト押し出しシステムを通して供給することを含んで成る、固体複合材料の調製方法を包含する。
【0052】
上記固体複合材料が、活性医薬成分を、粒状形で、及び特に超微粉砕された粒子で取り扱うことに包含される健康危険性を低めることは当業者に理解されるであろう。
さらに、下記に記載されるように、活性成分に対しての又は物理的混合物における固体複合材料の増強された溶解性のために、より大きな粒度の固体複合材料粒子が、シナカルセトの溶解プリフィールに対して悪影響を有さないで製剤に使用され得る。
【0053】
生成物の安全性を改良するもう1つの方法は、シナカルセトの粒度の二形式分布を用いることにより、ここで70μm以上の大きな粒度集団はシナカルセトの超微粉砕化のための必要性を回避し、そして従って、危険なダストの生成を低める。約5μmよりも小さな、好ましくは2μm以下、及びさらにより好ましくは、1μmよりも小さな小粒度集団が、高圧ホモジナイザーを用いて調製される。この方法は、流体溶媒における粒子の超微粉砕を包含し、従って活性成分のダスト粒子の生成及び分散を回避する。
【0054】
本発明はさらに、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを含んで成る固体複合材料、及び少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤を含んで成る医薬製剤を包含する。
【0055】
医薬製剤は、固体複合材料におけるシナカルセトの他に、遊離薬物シナカルセトを意味する追加のシナカルセトを含み、従って製剤の溶解特性を操作する能力を提供する。
【0056】
医薬製剤に使用される固体複合材料の量は好ましくは、治療的効果量のシナカルセトを供給する量である。使用される固体複合材料の量は、粒子におけるシナカルセト:キャリヤーに従って異なるであろうことが理解されるであろう。
【0057】
好ましくは、医薬製剤は、次のものを含んで成る:(a)約10〜約40重量%のカルシウム受容体−活性化合物、例えばシナカルセト;(b)固体複合材料のキャリヤー又は“固体溶媒”として作用することができる、約10〜約50重量%の少なくとも1つの結合剤;(c)約15〜約45重量%の少なくとも1つの希釈剤;及び(d)約10〜約40重量%の少なくとも1つの砕解剤(ここで、重量%は、製剤の合計重量に対してである)。
【0058】
製剤はさらに、製剤の合計重量に対して約0.5〜約5重量%の少なくとも1つの潤滑剤又は滑剤、及び約1〜約6重量%の少なくとも1つの被覆材料を含んで成る。1又は複数の不活性成分が1以上の能力で作用することができることは当業者により理解されており;前記同じ材料は希釈剤及び砕解剤の両者として機能することができる。製剤はさらに、界面活性剤を含んで成る。
【0059】
医薬製剤は、例えば単位投与形に加工され得る。特に、医薬製剤は、経口固体投与形、例えばカプセル、錠剤、又はゲル−キャップに配合され得る。
固体複合材料及びそれを含む医薬製剤は好ましくは、哺乳類においてカルシウム受容体−活性化合物シナカルセトの急速な吸収及び開始を可能にする。
【0060】
本発明はさらに、カルシウム受容体−活性化合物、例えばシナカルセトの即時開放性製剤を包含し、ここで少なくとも約80%のカルシウム受容体−活性化合物が、約37℃の温度及び約75r.p.mの回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClにおいて約30分以内に開放される。
【0061】
本発明はさらに、カルシウム受容体−活性化合物、例えばシナカルセトの制御された開放性製剤を包含し、ここで大部分のカルシウム受容体−活性化合物が腸において開放され、ここでpHは、pHが酸性である胃においてよりもむしろ、わずかに酸性〜中性である。
制御された開放性製剤が、シミュレートされた胃環境に約30分間、暴露され、続いてシミュレートされた腸環境に暴露される場合、約50%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約30分の暴露の間、製剤から開放され、そして約70%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約90分の暴露の間、製剤から開放される。
【0062】
好ましくは、少なくとも約50%のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約60分の暴露以内、すなわち環境の変化の30分後、開放される。
好ましくは、約80%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約90分の暴露の間、製剤から開放される。より好ましくは、約90%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約90分の暴露の間、製剤から開放される。
【0063】
シミュレートされた胃環境は、約37℃の温度及び約75r.p.m.の回転速度でのU.S.P.タイプ2装置における800mlの0.05NのHClである。シミュレートされた腸環境は、約37℃の温度及び約75r.p.m.の回転速度でのU.S.P.タイプ2装置における6g/lのNaH2PO4, pH6, 0.15%のラウリル硫酸ナトリウムである。それらの環境は、胃腸経路を通して投与形の通過をシミュレートする。
【0064】
本発明はさらに、医薬製剤を哺乳類に投与することを含んで成る処理方法を包含する。好ましくは、哺乳類はヒトである。好ましくは、医薬製剤は、シナカルセトを含んで成り、そしてSENSIPAR(商標)についての許可された使用である、続発性上皮小体亢進症を処理するために投与される。上記で論じられたように、本明細書に記載される続発性上皮小体亢進症の処理方法は、素因を有する個人における障害の予防及び臨床学的症候性個人における障害の処理を包含する。
【0065】
投与されるカルシウム受容体−活性化合物の量及び使用される用量レジメは、選択される特定の薬物、処理される対象の年齢及び一般的状態、対象の病状の重症度、及び処方する医者の判断に依存するであろう。
【0066】
一定の好ましい態様に関して本発明を記載して来たが、他の態様も、本明細書の考慮から当業者に明らかに成るであろう。本発明は、次の例により、さらに定義される。当業者は、材料及び方法についての多くの修飾が本発明の範囲内に行われることは、当業者に明らかだろう。
【実施例】
【0067】
次の例においては、真空ポンプを備えた回転蒸発器を用いて、溶液から溶媒を除去した。溶液を、回転蒸発の間、水浴を用いて約50℃に加熱した。
次の例においては、溶解プロフィールを、表1に記載される条件下でシミュレートされた胃腸環境においてU.S.P.タイプ2装置(櫂)を用いて、溶解容器において決定した。U.S. Pharmacopeia, pp. 2155-2156(26th ed. 2003)を参照のこと。サンプルは、UV検出器によりオンライン分析された。
【0068】
【表1】
【0069】
例1:ポビドンを有するシナカルセト固溶体:
a)1:2の重量比のシナカルセトHCl:ポビドン:
2gのポビドン(PVP K-30)当たり1gのシナカルセトHClを、乳鉢及び乳棒を用いて一緒に粉砕した。得られる混合物を、丸底フラスコにおいてエタノールに完全に溶解した。次に、エタノールを、真空下での回転蒸発器を用いて溶液から除去し、そして乾燥固体フレークがフラスコ上に形成するまで、50℃に前記溶液を加熱した。次に、乾燥固体を集めた。
【0070】
X−線回折(“XRD”)及び示差走査熱量法(“DSC”)を、乾燥固体に対して実施し、そしてシナカルセト及びポビドンのみについてXRD及びDSCに比較した。乾燥固体についてのXRD及びDSCは、それぞれ図3及び8に示されている。シナカルセトについてのXRD及びDSCは、それぞれ図1及び6に示されている。ポビドンについてのXRD及びDSCは、それぞれ図2及び7に示されている。
【0071】
b)1:3の重量比のシナカルセトHCl:ポビドン:
3gのポビドン(PVP K-30)当たり1gのシナカルセトHClを、乳鉢及び乳棒を用いて一緒に粉砕した。得られる混合物を、丸底フラスコにおいてエタノールに完全に溶解した。次に、エタノールを、真空下での回転蒸発器を用いて溶液から除去し、そして乾燥固体フレークがフラスコ上に形成するまで、50℃に前記溶液を加熱した。
【0072】
乾燥固体のサンプルを集め、そしてその溶解プロフィールを、表1における条件に従って決定した。固体の溶解プロフィールを、市販バージョンのシナカルセトHCl錠剤(SENSIPAR(商標)、30mg)の溶解プロフィール、及びシナカルセトHCl(針形状の結晶の平均長さは約20ミクロンであった)とポビドンとの単純な混合物と比較した。溶解試験の結果は、図11及び12に示される。
【0073】
30分の時点で溶解されたシナカルセトの量は、固溶体形でのシナカルセトが、ラクトース又は澱粉との物理的混合物におけるシナカルセト原料よりも高い溶解性を有することを示す。5分後に溶解されたシナカルセトの百分率は、SENSIPAR(商標)、及び20μmの平均長を有する粒子と澱粉との物理的混合物の両者と比較して、固溶体形でのシナカルセトの高い溶解速度を示す。
【0074】
例2:1:2の重量比でEUDRAGIT(商標) L-100-55を含むシナカルセト固溶体:
1gのシナカルセトを、10mlのエタノールに溶解し、第1の溶液を形成した。2gのEUDRAGIT(商標) L-100-55を、約15mlのエタノールに溶解し、第2溶液を形成した。次に、それらの2種の溶液を組合し、そしてエタノールを、回転蒸発器を用いて、前記組合された溶液から蒸発し、乾燥固体フレークを得た。次に、乾燥固体を集めた。
【0075】
XRD及びDSCを、乾燥固体に対して実施し、そしてシナカルセト及びEUDRAGIT(商標) L-100-55のみについてXRD及びDSCに比較した。乾燥固体についてのXRD及びDSCは、それぞれ図5及び10に示されている。シナカルセトについてのXRD及びDSCは、それぞれ図1及び6に示されている。EUDRAGIT(商標) L-100-55についてのXRD及びDSCは、それぞれ図4及び9に示されている。
【0076】
乾燥固体のサンプルを集め、そしてその溶解プロフィールを、表1における条件に従って決定した。固体の溶解プロフィールを、シミュレートされた胃環境において、市販バージョンのシナカルセトHCl錠剤(SENSIPAR(商標)、30mg)の溶解プロフィールと比較した。溶解試験の結果は、図13に示される。
【0077】
図13に示されるように、0.05NのHClのシミュレートされた胃環境において、シナカルセトは、シナカルセト及びEUDRAGIT(商標) L-100-55の固溶体からよりも、SENSIPAR(商標) 錠剤からよりすばやく開放された。例えば、約95%のシナカルセトが、0.05NのHClへの最初の30分の暴露の間、SENSIPAR(商標) 錠剤から開放されたが、ところが約15%のみのシナカルセトは、同じ条件下で、シナカルセト及びEUDRAGIT(商標) L-100-55の固溶体から開放された。しかしながら、pH6での緩衝液のより中性のシミュレートされた腸環境においては、約95%のシナカルセトが、最初の30分の暴露の間、SENSIPAR(商標) 錠剤、及びシナカルセト及びEUDRAGIT(商標) L-100-55の固溶体の両者から開放された。
【0078】
例3:ポピドンを有するシナカルセト固溶体を含む製剤:
錠剤当たり90mgの標的量のシナカルセトを有する、次の組成のシナカルセト製剤を調製する:
【0079】
【表2】
【0080】
シナカルセトHCl、ポビドン、微晶性セルロース、クロスポビドン及びナトリウムカルボキシメチルセルロースを組合し、そして混合する。次に、前記混合物にステアリン酸マグネシウムを添加し、そしてその混合物を錠剤に圧縮する。例6に記載される方法に従って、錠剤の溶解プロフィールを測定する。
【0081】
例4:ポビドンを有するシナカルセト固溶体を含む製剤:
例1aに従って調製された、ポビドンを有するシナカルセトの固溶体(1:2の重量比)を、50メッシュスクリーン(300ミクロンの開口)の上部上に30メッシュ(約600ミクロンの開口)を備えた篩に通した。
【0082】
50メッシュスクリーンを通ったサンプルは、約100%の粒子が300ミクロン以下のサイズ及び約100μmの平均粒度である粒度分子を有することが評価される。このサンプルを用いて、錠剤当たり90mgの標的量のシナカルセトを有する、次の組成のシナカルセト製剤を調製した:
【0083】
【表3】
【0084】
ポビドンを有するシナカルセトの固溶体を、微晶性セルロース、クロスポビドン及びナトリウムカルボキシメチルセルロースと共に乾燥−混合し、続いてEUDRAGIT(商標) L-100-55の20〜40%エタノール溶液と共に粒状化した。次に、得られる粒状物を、50℃での真空オーブンにおいて乾燥した。次に、その粒状物を、8メッシュの篩(約2.4mm)、続いて18メッシュの篩(約1mm)に通した。次に、ステアリン酸マグネシウムを前記粒状物に添加し、潤滑ブレンドを形成し、そしてその最終潤滑ブレンドを、手動プレスを用いて錠剤に圧縮した。
【0085】
例5:EUDRAGIT(商標) L-100-55を有するシナカルセト固溶体を含む製剤:
例2に従って調製された、EUDRAGIT(商標) L-100-55を有するシナカルセトの固溶体(1:2の重量比)を、50メッシュスクリーンの上部上に30メッシュスクリーンを備えた篩に通した。
a)約400μmの平均粒度を有するシナカルセトHCl:EUDRAGIT(商標) L-100-55:
50メッシュのスクリーンの上部上に集められた固体複合材料(300〜600μmの粒度を有する)を、医薬製剤(約400μmであることが評価された平均粒度)に使用した。
【0086】
b)約100μmの平均粒度を有するシナカルセトHCl:EUDRAGIT(商標) L-100-55:
50メッシュのスクリーンを通された固体複合材料(100%の粒子が300μm以下である粒度分布を有する)を、もう1つの医薬製剤(約100μmであることが評価された平均粒度)に使用した。
個々の固体複合材料(5a及び5b)を用いて、錠剤当たり90mgの標的量のシナカルセトを有する、次の組成のシナカルセトの医薬製剤を調製した:
【0087】
【表4】
【0088】
EUDRAGIT(商標) L-100-55を有するシナカルセトの固溶体を、微晶性セルロース、クロスポビドン及びナトリウムカルボキシメチルセルロースと共に混合し、次に粒状化した。次に、ステアリン酸のマグネシウムを前記粒状物に添加し、潤滑ブレンドを形成し、そして最終潤滑ブレンドを、手動プレスを用いて、錠剤に圧縮した。
【0089】
例6:シナカルセトの錠剤製剤の溶解プロフィール:
例4及び5において調製された製剤の溶解プロフィールを、約37℃の温度及び約75r.p.m.の回転速度でU.S.P.タイプ2装置により測定した。溶解プロフィールを表5に記載し、そして図14に示す。溶解性の百分率を、媒体体積の変化に対して調節した。
【0090】
溶解プロフィールを、胃腸管における生理学的状態を模倣するために企画された複合媒体において測定した。溶解の最初の30分間、媒体は800mlの0.05NのHClであり、次にこれを、120mlの中和緩衝液(pH6に調節された50g/lのNaH2PO4、これに、35ml/lの10NのNaOH及び11.25g/lのSLSを添加した)により中和し、920mlの最終体積にした。
【0091】
【表5】
【0092】
表5に示されるように、0.05NのHClのシミュレートされた胃環境においては、シナカルセトは、シナカルセト及びEUDRAGIT(商標) L-100-55の固溶体からよりもSENSIPAR(商標)錠剤からよりすばやく開放される。91.3%のシナカルセトが0.05NのHClへの最初の30分の暴露の間、SENSIPAR(商標) 錠剤から開放されるが、ところがわずか3.5〜19.8%のシナカルセトが同じ条件下でシナカルセト及びポビドンの固溶体から開放された。しかしながら、pH6でのより中性のシミュレートされた腸環境の緩衝液においては、90〜97.7%のシナカルセトが、SENSIPAR(商標) 錠剤、及びシナカルセト及びポビドンの固溶体の両者から、最初の150分間、開放された。従って、固溶体は、胃環境よりも、より中性の環境下でシナカルセトの制御された開放を可能にする。
【0093】
例7:シナカルセト生成の安定性の改良方法−ミクロン以下の粒子集団の調製:
水中、シナカルセト塩酸塩の懸濁液を、Microfluidics M-11OY Laboratory Microfluidizer Processorに配置し、そしてD50粒度が約1μm以下になるまで、加工する。この集団を、約100μm以上のD50を有する粒子集団と共に混合し、その結果、全体の粒度D50は約70μmよりも大きい。次に、この混合物を製剤に使用し、そして溶解プロフィールを試験する。
【0094】
例8:超臨界液体技法を用いてのシナカルセト固溶体の調製:
PVP K-30を含む、無水エタノール中、シナカルセトの溶液を、内部ノズル通路を通して適切な流れで、超臨界二酸化炭素を含む超臨界装置の粒子形成容器に導入する。超臨界二酸化炭素を、外部ノズル通路を通して適切な流れで導入する。固体のふわふわした物質が形成され、そして圧力を下げ、二酸化炭素及びエタノールを除去する。
【技術分野】
【0001】
発明の分野:
本発明は、カルシウム受容体−活性化合物の固体複合材料、固体複合材料の調製方法、固体複合材料を含んで成る即時及び制御された−開放性医薬製剤、及びそれによる処理方法を包含する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景:
シナカルセト(cinacalcet)塩酸塩は、化学名称(R)−N−[1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン−1−アミン塩酸塩を有し、そして次の化学構造を有することが報告されている:
【0003】
【化1】
【0004】
シナカルセト塩酸塩は、血液透析に基づいて慢性腎疾患を有する患者における上皮小体亢進症の処理のために商品名SENSIPAR(商標)として現在市販されているカルシウム受容体−活性化合物である(Physicians ' Desk Reference, 60th ed. (2006), pp. 603-605)。SENSIPAR(商標)の用量は、その塩酸塩の量によってよりもむしろ、錠剤に存在するシナカルセト遊離塩基(R)−N−[1−(1−ナフチル)エチル]−3−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]プロパン−1−アミンの量により表される(前記を参照のこと)。
【0005】
シナカルセトは、水にわずかに溶解でき、そしていくつかの有機溶媒、例えばメタノール及びエタノールに非常に溶解できることが理解されている固体である。例えば、アメリカ特許出願公開番号2005/0147669号(“669号の公開”)として公開されたアメリカ特許出願番号10/937,870号は、シナカルセトが、中性pHで約1μg/ml以下の水における溶解度を有することを報告している(“669号公報、p.1.f2.)。さらに‘669号公報は、シナカルセトの溶解度が、pHが約3〜約5の範囲である場合、約1.6mg/mlに達することを報告している。しかしながら、pH約1である場合、溶解度は約0.1mg/mlに低下する。
【0006】
低水溶性を有する化合物は典型的には、低い溶解速度及びしばしば、低い生物利用能を示す。例えばAnsel, など., Pharmaceutical Dosage Forms and Delivery Methods (6th ed., 1995), pp. 105, 108を参照のこと。
【0007】
‘669号公報は、約50μml以下か又はそれに等しいD50を有する粒子の形でのシナカルセトを含んで成る医薬組成物を供給することにより、シナカルセトの不良な水溶解性と取り組んでいる(‘669号公報、pp.2-3, 426.)。‘669号公報は、それらの医薬組成物が、37℃±0.5℃の温度で、75r.p.m.の回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClにおいて行われる溶解試験の開始から約30分以下で、組成物から開放される、約50〜約125%の標的量のシナカルセトをもたらす溶解プロフィールを有することを開示する(前記、p5.f61.)。
【0008】
しかしながら、シナカルセトの水における溶解性及び従って、生物利用能を高める技法は、所望する粒度分布を達成するためへのシナカルセトの超微粉砕化を必要とする。超微粉砕化は、産業規模での製造の間、健康危険性を有する。従って、適切な溶解プロフィール及び従って、生物利用能を維持しながら、活性成分、例えばシナカルセトの超微粉砕された粉末に関連する健康危険性を低めるための方法についての必要性である。
薬物が最も溶解できるpHを有する胃腸管における位置で薬物、例えばシナカルセトを開放する方法についての必要性がまた存在する。
【0009】
発明の要約:
本発明は、少なくとも1つのキャリヤーと密接に関連して、シナカルセトの固体複合材料を含んで成る組成物に向けられる。本発明の好ましい態様においては、組成物は固体複合材料である。好ましい態様においては、前記シナカルセトの少なくとも約85%は、少なくとも1つのキャリヤーと密接に関連して存在し、前記シナカルセトの少なくとも約85%は、粒状形で存在せず、前記シナカルセトの少なくとも約85%は、結晶形で存在せず、そして/又は前記固体複合材料は、固溶体である。好ましくは、 前記シナカルセトの実質的にすべては、前記固溶体中、溶液で存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好ましい態様においては、キャリヤーは、ポリマー、例えばポビドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、コポビドン、メタクリレートのコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、及びそれらの混合物を含んで成る。好ましくは、前記ポリマーは、ポビドン、又はメタクリル酸のコポリマーである。好ましい態様においては、前記キャリヤーは、糖又は糖誘導体、例えばスクロース、マンニトール、ラクトース、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、スクラロース、及びそれらの混合物を含んで成る。
【0011】
本発明の好ましい態様においては、前記固体複合材料は、約100μm以上の平均粒度、好ましくは約100〜約600μmの平均粒度を有する粒状物である。本発明の好ましい態様においては、複合材料が、約1:0.5〜約1:10、好ましくは約1:2〜約1:6の重量比での薬物:キャリヤーを有する。
【0012】
本発明の好ましい態様においては、前記組成物は、約10〜約40重量%のシナカルセトを含んで成る医薬製剤である。本発明の好ましい態様においては、前記組成物は、製剤の合計重量に対して、約0.5〜約5重量%の少なくとも1つの潤滑剤又は滑剤、及び/又は約1〜約6重量%の少なくとも1つの被覆材料をさらに含んで成る。
【0013】
本発明の好ましい態様においては、前記組成物は、少なくとも約80%のシナカルセトが、約37℃の温度及び約75r.p.mの回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClにおいて約30分以内に開放される、即時開放性組成物である。
【0014】
本発明の好ましい態様においては、前記組成物は、制御された開放性医薬製剤であり、そしてその製剤が、約37℃の温度及び約75r.p.mの回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClの溶液に約30分間、暴露され、続いて前記溶液を中和するのに十分な量の緩衝液を添加し、そしてその中和された溶液への暴露を続ける場合、約50%以上のシナカルセトが、最初の約30分の暴露以内に製剤から開放され、そして約70%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約90分の暴露以内に製剤から開放される。好ましくは、少なくとも約50%の前記シナカルセトが、最初の約60分の暴露以内に開放され、より好ましくは約80%以上の前記シナカルセトが、最初の約90分の暴露間で製剤から開放され、そして約90%以上の前記シナカルセトが、最初の約90分の暴露間で製剤から開放される。
【0015】
本発明の好ましい態様においては、シナカルセト、少なくとも1つのキャリヤー、及び少なくとも1つの液体溶媒を組合せ、溶液を形成し;そして前記溶媒を除去し、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーの固体複合材料を得ることを含んで成る、固体複合材料の調製方法に向けられる。本発明の好ましい態様においては、前記固体複合材料は固溶体である。本発明の好ましい態様においては、前記キャリヤーは、ポビドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、コポビドン、メタクリレートのコポリマー、及びメタクリル酸のコポリマー、好ましくは少なくとも1つの低級脂肪族アルコール及びC3-8ケトンから成る群から選択される。
【0016】
本発明の好ましい態様においては、前記溶媒は、流動層ドライヤーにおいて、又は噴霧乾燥により、真空下で蒸発される。本発明の好ましい態様においては、前記シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーが、有機又は無機溶媒に溶解され、溶液が形成され;超臨界流体が添加され、前記シナカルセト及びキャリヤーの混合物の沈殿が誘発され;そして前記溶媒及び超臨界流体が蒸発により除去される。本発明の好ましい態様においては、前記溶媒は、超臨界流体、好ましくはすくなくとも1つの二酸化炭素、水、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール及びアセトン、及びより好ましくは二酸化炭素である。本発明の好ましい態様においては、前記超臨界流体は蒸発により除去される。
【0017】
本発明の好ましい態様においては、本発明は、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合し、混合物を形成し;前記混合物を、前記シナカルセト及びキャリヤーの両者が溶融し、融合生成物を形成する温度まで加熱し;そして前記融合性生物を、その融合性生物からのシナカルセトの結晶化を可能にしない態様で冷却することを含んで成る固体複合材料の調製方法に向けられる。本発明の好ましい態様においては、本発明は、前記シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合し、混合物を形成し;前記混合物を加熱し、その粘度を調節し;そして前記加熱された混合物を、ホットメルト押し出しシステムを通して供給することをさらに含んで成る。
【0018】
好ましい態様においては、本発明は、有効量の本発明の好ましい組成物を哺乳類、例えばヒトに投与することを含んで成る処理方法に向けられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、シナカルセト原料のXRDディフラクトグラムを示す。
【図2】図2は、PVP K-30のXRDディフラクトグラムを示す。
【図3】図3は、シナカルセト:PVP K-30の1:2固溶体のXRDディフラクトグラムを示す。
【図4】図4は、EUDRAGIT(商標) L-100-55のXRDディフラクトグラムを示す。
【図5】図5は、シナカルセト:EUDRAGIT(商標) L-100-55の1:2固溶体のXRDディフラクトグラムを示す。
【0020】
【図6】図6は、シナカルセト原料のDSCサーモグラムを示す。
【図7】図7は、PVP K-30のDSCサーモグラムを示す。
【図8】図8は、シナカルセト:PVP K-30の1:2固溶体のDSCサーモグラムを示す。
【図9】図9は、EUDRAGIT(商標) L-100-55のDSCサーモグラムを示す。
【図10】図10は、シナカルセト:EUDRAGIT(商標) L-100-55の1:2固溶体のDSCサーモグラムを示す。
【0021】
【図11】図11は、37℃及び75r.p.m.でUSP装置2において0.05NのHClにおける、シナカルセト及びPVP (P-00709)の固溶体、シナカルセト及びPVPの物理的混合物(1:3)及びSENSIPAR(商標) の溶解プロフィールを示す。
【図12】図12は、37℃及び75r.p.m.でUSP装置2において6 g/L NaH2PO4、pH 6、0.15% SLSにおける、シナカルセト及びPVP (P-00709)の固溶体、シナカルセト及びPVPの物理的混合物(1:3)及びSENSIPAR(商標) の溶解プロフィールを示す。
【図13】図13は、37℃及び75r.p.m.でU.S.P.タイプ2装置において0.05NのHCl 、及び6 g/L NaH2PO4、pH 6、0.15% SLSにおける、シナカルセト及びEUDRAGIT(商標)の1:2固溶体、及びSENSIPAR(商標) の溶解プロフィールを示す。
【図14】図14は、シミュレートされた胃腸環境下でのシナカルセトの固溶体の製剤の溶解プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
発明の特定の記載:
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“シナカルセト”とは、シナカルセト遊離塩基、及び医薬的に許容できるその塩及び溶媒化合物を意味する。好ましくは、“シナカルセト”とは、シナカルセト塩酸塩を意味する。
【0023】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“親密な関係”又は“親密に関係される”とは、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーの混合物に関して使用される場合、シナカルセトが分子レベルで相互作用し、容易に検出できる別々のシナカルセト相が存在しないことを意味する。非親密関係は、例えば電子顕微鏡を用いて、異なった相間を識別することが可能である場合、粉末ブレンド、又は圧縮された粉末ブレンドである。非親密関係のもう1つの例は、別々の相が溶液において同時存在するエマルジョンであり、そして光顕微鏡を用いて可視化され得る。親密な関係についての例は、キャリヤーと溶質との間を物理的手段により分離するか、又はキャリヤー内の溶質の相を観察する手段が存在しない、溶液である。
【0024】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“遊離薬物”とは、キャリヤーと親密関係にないシナカルセトから実質的に成る固体粒子を意味する。
【0025】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“非結晶性”及び“結晶形ではない”とは、結晶性シナカルセトの特徴的なピークを有するX−線粉末回折パターンを生成せず、そして2〜20℃/分の加熱速度を用いて示差走査熱量法での識別できる吸熱量を示さないシナカルセトを含んで成る材料を意味する。
【0026】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“固溶体”とは、成分が分子レベルで散在される、少なくとも2種の成分(例えば、シナカルセト及びキャリヤー)の固体均質混合物を意味する。固溶体においては、溶質をして通常言及される、少ない量で存在する成分の結晶構造に関連する個々の物性は失われる。溶質の存在は、分光的に、又は固溶体の束一性により検出され得る。固溶体においてさえ、シナカルセトのいくらかの部分は、溶液から出るか、又は本発明の範囲内でキャリヤーに不溶性のまま残存することができる。しかしながら、固溶体において、少なくとも約85%のシナカルセトが固溶体中、溶液に存在する。好ましくは、実質的にすべて、及び最も好ましくは、すべてのシナカルセトが、固溶体中、溶液に存在する。
【0027】
本明細書において使用される場合、用語“超臨界流体”とは、それらの熱光学的に臨界点以上の温度及び圧力での物質を言及する。超臨界流体溶液は、超臨界流体が溶媒である溶液である。そのような物質は、ユニーク性質、例えば気体のような固体を通して分散する能力、及び液体のような固体を溶解する能力を有する。さらに、温度及び/又は圧力の少々の変化によりそのような物質の密度を変更することが可能である。有用な超臨界流体は例えば二酸化炭素、水、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール及びアセトンである。好ましくは超臨界流体は、二酸化炭素、水及びエタノールから成る群から選択される。より好ましくは、超臨界流体は二酸化炭素である。
【0028】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、薬物又は薬理学的活性剤の“有効”及び“治療的有効”量は、所望する効果、例えば続発性上皮小体亢進の処理を提供するのに非毒性で且つ十分である薬物又は剤の量を意味する。
【0029】
本明細書において使用される場合、特にことわらない限り、“処理する”、“処理された”及び“処理”とは、次の現象の少なくとも1つを意味する:症状の重症度及び/又は頻度の低下、症状及び/又はその下にある原因の排除、症状及び/又はそれらの下にある原因の予防、又は損傷の改良又は改善。
【0030】
本発明は、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを含んで成る固体複合材料を包含し、ここで少なくとも約85%のシナカルセトがキャリヤーと親密に関連して存在する。
【0031】
好ましくは、固体複合材料は固溶体である。好ましくは、実質的にすべてのシナカルセトは、固溶体中、溶液で存在する。より好ましくは、すべてのシナカルセトは、固溶体中、溶液で存在する。
【0032】
好ましくは、固体複合材料は、粒状物であり、そして約100μmよりも大きな、より好ましくは100〜600μmの平均粒度を有する。
【0033】
好ましくは、固体複合材料における少なくとも約85%のシナカルセトは、結晶形では存在しない。より好ましくは、固体複合材料におけるシナカルセトは、検出できる結晶性シナカルセトを有さない。
【0034】
キャリヤーは、当業者に知られているいずれかの医薬的に許容できる不活性固体キャリヤー、例えば糖及びポリマーであり得る。
【0035】
好ましくはキャリヤーは、親水性ポリマー、又は水性媒体においてpH依存性溶解性プロフィールを提供するポリマーである。前記親水性ポリマーは、ポビドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、コポビドン、及びアミノアルキルメタクリレートA型NFから成る群から選択され得る。
【0036】
水性媒体においてpH依存性溶解性プロフィールを提供するポリマーは、メタクリル酸のコポリマーから選択され得る。より好ましくは、キャリヤーは、ポビドン、又はメタクリル酸のコポリマーである。ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタレート、ポリメチルアクリレート及びヒドロキシプロピルセルロースがキャリヤーとして本発明において使用され得るが、他のキャリヤー、特にポビドン、及びメタクリル酸のコポリマーが本発明においてより好ましい。
【0037】
好ましくは、キャリヤーは、キャリヤーと親密に関連して、及びより好ましくは固溶体において少なくとも85%のシナカルセトを維持するために十分な量で存在する。当業者は、そのようなキャリヤーの量を通常の実験により容易に決定することができる。典型的には、固体複合材料における薬物:キャリヤーの重量の比は、約1:0.5〜約1:10、好ましくは約1:2〜約1:6の範囲内である。
【0038】
本発明はさらに、シナカルセト、少なくとも1つのキャリヤー、及び少なくとも1つの液体溶媒を組合せ、溶液を形成し;そして前記液体溶媒を除去し、固体複合材料を得ることを含んで成る、固体複合材料の調製方法を包含する。
【0039】
シナカルセトは、当業者に知られているいずれかの手段により調製され得る。本発明の固体複合材料における少なくとも約85%のシナカルセトは結晶形で存在しないが、いずれの形(例えば、結晶性又は非晶性)でのシナカルセトも、固体複合材料を調製するために使用され得ることが理解されるであろう。
【0040】
固体複合材料を調製するために適切な液体溶媒は、少なくとも85%のシナカルセト及び実質的にすべてのキャリヤーを溶解できる有機溶媒を包含する。好ましくは、液体溶媒は、少なくとも約85%のシナカルセト及び少なくとも約85%のキャリヤーを溶解できる。より好ましくは、液体溶媒は、実質的にすべてのシナカルセト及びキャリヤーを溶解できる。最も好ましくは、液体溶媒は、すべてのシナカルセト及びキャリヤーを溶解できる。好ましくは、液体溶媒は、シナカルセトが25℃で1mlの溶媒当たり少なくとも約5mgのシナカルセトの溶解性を有する溶媒である。
【0041】
適切な液体溶媒の例は、少なくとも1つの低級脂肪族アルコール及びC3-8ケトンを包含するが、但しそれらだけには限定されない。“低級脂肪族アルコール”とは、本明細書において使用される場合、一般構造R−OH(ここで、Rは線状又は枝分かれC1-6アルキル基である)を有する有機化合物を意味する。好ましい低級脂肪族アルコールは、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(“IPA”)及びブタノールを包含する。好ましいC3-8ケトンは、アセトン、メチルイソブチルケトン(“MIBK”)及びメチルエチルケトン(“MEK”)を包含する。より好ましい液体溶媒は、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール及びそれらの混合物である。より好ましくは、液体溶媒は、エタノール、又はほとんどは、1又は複数の上記溶媒と組合してのエタノールである。
【0042】
組合せ段階は、順に液体溶媒と、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーとを混合することを包含する。シナカルセト、キャリヤー及び液体溶媒は、当業者に知られているいずれかの適切な混合方法、例えば磁気撹拌機、ミキサー撹拌機、振盪機又は音波処理を用いて、混合され得る。
【0043】
好ましくは、少なくとも約85%シナカルセト及び大部分のキャリヤーが、少なくとも1つの液体溶媒中、溶液に存在する。より好ましくは、少なくとも約85%のシナカルセト及び約85%のキャリヤーが、少なくとも1つの液体溶媒中、溶液に存在する。さらにより好ましくは、実質的にすべてのシナカルセト及びキャリヤーは、少なくとも1つの溶媒中、溶液に存在する。特に好ましい態様においては、すべてのシナカルセト及びキャリヤーは、少なくとも1つの溶媒中、溶液に存在する。
【0044】
液体溶媒の除去段階は、当業者に知られているいずれかの方法により実施され得る。好ましくは、液体溶媒の蒸発により除去される。より好ましくは、液体溶媒は、真空下での蒸発により、流動層乾燥により、又は噴霧乾燥により除去される。“噴霧乾燥”とは、液体混合物を小さな液滴に分解し(噴霧化)、そして混合物から溶媒を急速に除去する工程を広く言及する。典型的な噴霧乾燥装置においては、加熱された乾燥ガスを供給することにより供給され得る、液滴からの溶媒の蒸発のための強い駆動力が存在する。噴霧乾燥工程及び装置は、Perry's Chemical Engineer's Handbook, pp. 20-54 to 20-57 (6th ed. 1984)に記載されている。得られる固形物は、任意には、さらに乾燥され得る。
【0045】
好ましくは、得られる個体複合材料は、固溶体の形で存在し、ここで実質的にすべて、最も好ましくはすべてのシナカルセトは、キャリヤー中、固溶体に存在する。
【0046】
任意には、前記方法はさらに、少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤の添加を包含する。医薬的に許容できる適切な賦形剤は例えば、界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムを包含する。
【0047】
医薬的に許容できる賦形剤は、段階a)においてシナカルセト、キャリヤー及び液体溶媒と組合わされ得るか、又は液体溶媒の除去の後、段階b)の得られる固体複合材料に添加され得る。
【0048】
他方では、医薬的に許容できる賦形剤は、段階b)における液体溶媒の除去の間、例えば、シナカルセト、キャリヤー及び溶媒を含む溶液を、賦形剤の流動層上に乾燥しながら、噴霧することにより添加され得る。結果として、固体複合材料が、賦形剤上に形成されるであろう。いくつかの場合、この工程は、患者への投与に基づいて、水性媒体における溶解を助けることができる大きな表面積を有する固体複合材料を供給するので、好都合であることを証明するであろう。
【0049】
本発明はさらに、超臨界流体技法を用いての固体複合材料の調製方法を包含する。前記方法は、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを超臨界流体に溶解し;そして前記超臨界流体を蒸発により除去することを含んで成る。好ましくは、蒸発は、減圧下で、又は溶液の温度を、超臨界流体が気体になる温度に調節することにより達成される。他方では、前記方法は、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを、有機又は無機溶媒に溶解し、溶液を形成し;超臨界流体(抗−溶媒)を添加し、前記シナカルセト及びキャリヤーの混合物の沈殿を誘発し;そして前記溶媒及び超臨界流体を蒸発により除去することをさらに含んで成る。好ましくは、蒸発は、減圧下で、又は溶液の温度を調節することにより達成される。
【0050】
本発明はさらに、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合し、混合物を形成し;前記混合物を、前記シナカルセト及びキャリヤーの両者が溶融し、融合生成物を形成する温度まで加熱し;そして前記融合性生物を、その融合性生物からのシナカルセトの再結晶化を可能にしない態様で冷却することを含んで成る固体複合材料の調製方法を包含する。
【0051】
本発明はさらに、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合わし、混合物を形成し;前記混合物を加熱し、その粘度を調節し;そして前記加熱された混合物を、ホットメルト押し出しシステムを通して供給することを含んで成る、固体複合材料の調製方法を包含する。
【0052】
上記固体複合材料が、活性医薬成分を、粒状形で、及び特に超微粉砕された粒子で取り扱うことに包含される健康危険性を低めることは当業者に理解されるであろう。
さらに、下記に記載されるように、活性成分に対しての又は物理的混合物における固体複合材料の増強された溶解性のために、より大きな粒度の固体複合材料粒子が、シナカルセトの溶解プリフィールに対して悪影響を有さないで製剤に使用され得る。
【0053】
生成物の安全性を改良するもう1つの方法は、シナカルセトの粒度の二形式分布を用いることにより、ここで70μm以上の大きな粒度集団はシナカルセトの超微粉砕化のための必要性を回避し、そして従って、危険なダストの生成を低める。約5μmよりも小さな、好ましくは2μm以下、及びさらにより好ましくは、1μmよりも小さな小粒度集団が、高圧ホモジナイザーを用いて調製される。この方法は、流体溶媒における粒子の超微粉砕を包含し、従って活性成分のダスト粒子の生成及び分散を回避する。
【0054】
本発明はさらに、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを含んで成る固体複合材料、及び少なくとも1つの医薬的に許容できる賦形剤を含んで成る医薬製剤を包含する。
【0055】
医薬製剤は、固体複合材料におけるシナカルセトの他に、遊離薬物シナカルセトを意味する追加のシナカルセトを含み、従って製剤の溶解特性を操作する能力を提供する。
【0056】
医薬製剤に使用される固体複合材料の量は好ましくは、治療的効果量のシナカルセトを供給する量である。使用される固体複合材料の量は、粒子におけるシナカルセト:キャリヤーに従って異なるであろうことが理解されるであろう。
【0057】
好ましくは、医薬製剤は、次のものを含んで成る:(a)約10〜約40重量%のカルシウム受容体−活性化合物、例えばシナカルセト;(b)固体複合材料のキャリヤー又は“固体溶媒”として作用することができる、約10〜約50重量%の少なくとも1つの結合剤;(c)約15〜約45重量%の少なくとも1つの希釈剤;及び(d)約10〜約40重量%の少なくとも1つの砕解剤(ここで、重量%は、製剤の合計重量に対してである)。
【0058】
製剤はさらに、製剤の合計重量に対して約0.5〜約5重量%の少なくとも1つの潤滑剤又は滑剤、及び約1〜約6重量%の少なくとも1つの被覆材料を含んで成る。1又は複数の不活性成分が1以上の能力で作用することができることは当業者により理解されており;前記同じ材料は希釈剤及び砕解剤の両者として機能することができる。製剤はさらに、界面活性剤を含んで成る。
【0059】
医薬製剤は、例えば単位投与形に加工され得る。特に、医薬製剤は、経口固体投与形、例えばカプセル、錠剤、又はゲル−キャップに配合され得る。
固体複合材料及びそれを含む医薬製剤は好ましくは、哺乳類においてカルシウム受容体−活性化合物シナカルセトの急速な吸収及び開始を可能にする。
【0060】
本発明はさらに、カルシウム受容体−活性化合物、例えばシナカルセトの即時開放性製剤を包含し、ここで少なくとも約80%のカルシウム受容体−活性化合物が、約37℃の温度及び約75r.p.mの回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClにおいて約30分以内に開放される。
【0061】
本発明はさらに、カルシウム受容体−活性化合物、例えばシナカルセトの制御された開放性製剤を包含し、ここで大部分のカルシウム受容体−活性化合物が腸において開放され、ここでpHは、pHが酸性である胃においてよりもむしろ、わずかに酸性〜中性である。
制御された開放性製剤が、シミュレートされた胃環境に約30分間、暴露され、続いてシミュレートされた腸環境に暴露される場合、約50%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約30分の暴露の間、製剤から開放され、そして約70%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約90分の暴露の間、製剤から開放される。
【0062】
好ましくは、少なくとも約50%のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約60分の暴露以内、すなわち環境の変化の30分後、開放される。
好ましくは、約80%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約90分の暴露の間、製剤から開放される。より好ましくは、約90%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約90分の暴露の間、製剤から開放される。
【0063】
シミュレートされた胃環境は、約37℃の温度及び約75r.p.m.の回転速度でのU.S.P.タイプ2装置における800mlの0.05NのHClである。シミュレートされた腸環境は、約37℃の温度及び約75r.p.m.の回転速度でのU.S.P.タイプ2装置における6g/lのNaH2PO4, pH6, 0.15%のラウリル硫酸ナトリウムである。それらの環境は、胃腸経路を通して投与形の通過をシミュレートする。
【0064】
本発明はさらに、医薬製剤を哺乳類に投与することを含んで成る処理方法を包含する。好ましくは、哺乳類はヒトである。好ましくは、医薬製剤は、シナカルセトを含んで成り、そしてSENSIPAR(商標)についての許可された使用である、続発性上皮小体亢進症を処理するために投与される。上記で論じられたように、本明細書に記載される続発性上皮小体亢進症の処理方法は、素因を有する個人における障害の予防及び臨床学的症候性個人における障害の処理を包含する。
【0065】
投与されるカルシウム受容体−活性化合物の量及び使用される用量レジメは、選択される特定の薬物、処理される対象の年齢及び一般的状態、対象の病状の重症度、及び処方する医者の判断に依存するであろう。
【0066】
一定の好ましい態様に関して本発明を記載して来たが、他の態様も、本明細書の考慮から当業者に明らかに成るであろう。本発明は、次の例により、さらに定義される。当業者は、材料及び方法についての多くの修飾が本発明の範囲内に行われることは、当業者に明らかだろう。
【実施例】
【0067】
次の例においては、真空ポンプを備えた回転蒸発器を用いて、溶液から溶媒を除去した。溶液を、回転蒸発の間、水浴を用いて約50℃に加熱した。
次の例においては、溶解プロフィールを、表1に記載される条件下でシミュレートされた胃腸環境においてU.S.P.タイプ2装置(櫂)を用いて、溶解容器において決定した。U.S. Pharmacopeia, pp. 2155-2156(26th ed. 2003)を参照のこと。サンプルは、UV検出器によりオンライン分析された。
【0068】
【表1】
【0069】
例1:ポビドンを有するシナカルセト固溶体:
a)1:2の重量比のシナカルセトHCl:ポビドン:
2gのポビドン(PVP K-30)当たり1gのシナカルセトHClを、乳鉢及び乳棒を用いて一緒に粉砕した。得られる混合物を、丸底フラスコにおいてエタノールに完全に溶解した。次に、エタノールを、真空下での回転蒸発器を用いて溶液から除去し、そして乾燥固体フレークがフラスコ上に形成するまで、50℃に前記溶液を加熱した。次に、乾燥固体を集めた。
【0070】
X−線回折(“XRD”)及び示差走査熱量法(“DSC”)を、乾燥固体に対して実施し、そしてシナカルセト及びポビドンのみについてXRD及びDSCに比較した。乾燥固体についてのXRD及びDSCは、それぞれ図3及び8に示されている。シナカルセトについてのXRD及びDSCは、それぞれ図1及び6に示されている。ポビドンについてのXRD及びDSCは、それぞれ図2及び7に示されている。
【0071】
b)1:3の重量比のシナカルセトHCl:ポビドン:
3gのポビドン(PVP K-30)当たり1gのシナカルセトHClを、乳鉢及び乳棒を用いて一緒に粉砕した。得られる混合物を、丸底フラスコにおいてエタノールに完全に溶解した。次に、エタノールを、真空下での回転蒸発器を用いて溶液から除去し、そして乾燥固体フレークがフラスコ上に形成するまで、50℃に前記溶液を加熱した。
【0072】
乾燥固体のサンプルを集め、そしてその溶解プロフィールを、表1における条件に従って決定した。固体の溶解プロフィールを、市販バージョンのシナカルセトHCl錠剤(SENSIPAR(商標)、30mg)の溶解プロフィール、及びシナカルセトHCl(針形状の結晶の平均長さは約20ミクロンであった)とポビドンとの単純な混合物と比較した。溶解試験の結果は、図11及び12に示される。
【0073】
30分の時点で溶解されたシナカルセトの量は、固溶体形でのシナカルセトが、ラクトース又は澱粉との物理的混合物におけるシナカルセト原料よりも高い溶解性を有することを示す。5分後に溶解されたシナカルセトの百分率は、SENSIPAR(商標)、及び20μmの平均長を有する粒子と澱粉との物理的混合物の両者と比較して、固溶体形でのシナカルセトの高い溶解速度を示す。
【0074】
例2:1:2の重量比でEUDRAGIT(商標) L-100-55を含むシナカルセト固溶体:
1gのシナカルセトを、10mlのエタノールに溶解し、第1の溶液を形成した。2gのEUDRAGIT(商標) L-100-55を、約15mlのエタノールに溶解し、第2溶液を形成した。次に、それらの2種の溶液を組合し、そしてエタノールを、回転蒸発器を用いて、前記組合された溶液から蒸発し、乾燥固体フレークを得た。次に、乾燥固体を集めた。
【0075】
XRD及びDSCを、乾燥固体に対して実施し、そしてシナカルセト及びEUDRAGIT(商標) L-100-55のみについてXRD及びDSCに比較した。乾燥固体についてのXRD及びDSCは、それぞれ図5及び10に示されている。シナカルセトについてのXRD及びDSCは、それぞれ図1及び6に示されている。EUDRAGIT(商標) L-100-55についてのXRD及びDSCは、それぞれ図4及び9に示されている。
【0076】
乾燥固体のサンプルを集め、そしてその溶解プロフィールを、表1における条件に従って決定した。固体の溶解プロフィールを、シミュレートされた胃環境において、市販バージョンのシナカルセトHCl錠剤(SENSIPAR(商標)、30mg)の溶解プロフィールと比較した。溶解試験の結果は、図13に示される。
【0077】
図13に示されるように、0.05NのHClのシミュレートされた胃環境において、シナカルセトは、シナカルセト及びEUDRAGIT(商標) L-100-55の固溶体からよりも、SENSIPAR(商標) 錠剤からよりすばやく開放された。例えば、約95%のシナカルセトが、0.05NのHClへの最初の30分の暴露の間、SENSIPAR(商標) 錠剤から開放されたが、ところが約15%のみのシナカルセトは、同じ条件下で、シナカルセト及びEUDRAGIT(商標) L-100-55の固溶体から開放された。しかしながら、pH6での緩衝液のより中性のシミュレートされた腸環境においては、約95%のシナカルセトが、最初の30分の暴露の間、SENSIPAR(商標) 錠剤、及びシナカルセト及びEUDRAGIT(商標) L-100-55の固溶体の両者から開放された。
【0078】
例3:ポピドンを有するシナカルセト固溶体を含む製剤:
錠剤当たり90mgの標的量のシナカルセトを有する、次の組成のシナカルセト製剤を調製する:
【0079】
【表2】
【0080】
シナカルセトHCl、ポビドン、微晶性セルロース、クロスポビドン及びナトリウムカルボキシメチルセルロースを組合し、そして混合する。次に、前記混合物にステアリン酸マグネシウムを添加し、そしてその混合物を錠剤に圧縮する。例6に記載される方法に従って、錠剤の溶解プロフィールを測定する。
【0081】
例4:ポビドンを有するシナカルセト固溶体を含む製剤:
例1aに従って調製された、ポビドンを有するシナカルセトの固溶体(1:2の重量比)を、50メッシュスクリーン(300ミクロンの開口)の上部上に30メッシュ(約600ミクロンの開口)を備えた篩に通した。
【0082】
50メッシュスクリーンを通ったサンプルは、約100%の粒子が300ミクロン以下のサイズ及び約100μmの平均粒度である粒度分子を有することが評価される。このサンプルを用いて、錠剤当たり90mgの標的量のシナカルセトを有する、次の組成のシナカルセト製剤を調製した:
【0083】
【表3】
【0084】
ポビドンを有するシナカルセトの固溶体を、微晶性セルロース、クロスポビドン及びナトリウムカルボキシメチルセルロースと共に乾燥−混合し、続いてEUDRAGIT(商標) L-100-55の20〜40%エタノール溶液と共に粒状化した。次に、得られる粒状物を、50℃での真空オーブンにおいて乾燥した。次に、その粒状物を、8メッシュの篩(約2.4mm)、続いて18メッシュの篩(約1mm)に通した。次に、ステアリン酸マグネシウムを前記粒状物に添加し、潤滑ブレンドを形成し、そしてその最終潤滑ブレンドを、手動プレスを用いて錠剤に圧縮した。
【0085】
例5:EUDRAGIT(商標) L-100-55を有するシナカルセト固溶体を含む製剤:
例2に従って調製された、EUDRAGIT(商標) L-100-55を有するシナカルセトの固溶体(1:2の重量比)を、50メッシュスクリーンの上部上に30メッシュスクリーンを備えた篩に通した。
a)約400μmの平均粒度を有するシナカルセトHCl:EUDRAGIT(商標) L-100-55:
50メッシュのスクリーンの上部上に集められた固体複合材料(300〜600μmの粒度を有する)を、医薬製剤(約400μmであることが評価された平均粒度)に使用した。
【0086】
b)約100μmの平均粒度を有するシナカルセトHCl:EUDRAGIT(商標) L-100-55:
50メッシュのスクリーンを通された固体複合材料(100%の粒子が300μm以下である粒度分布を有する)を、もう1つの医薬製剤(約100μmであることが評価された平均粒度)に使用した。
個々の固体複合材料(5a及び5b)を用いて、錠剤当たり90mgの標的量のシナカルセトを有する、次の組成のシナカルセトの医薬製剤を調製した:
【0087】
【表4】
【0088】
EUDRAGIT(商標) L-100-55を有するシナカルセトの固溶体を、微晶性セルロース、クロスポビドン及びナトリウムカルボキシメチルセルロースと共に混合し、次に粒状化した。次に、ステアリン酸のマグネシウムを前記粒状物に添加し、潤滑ブレンドを形成し、そして最終潤滑ブレンドを、手動プレスを用いて、錠剤に圧縮した。
【0089】
例6:シナカルセトの錠剤製剤の溶解プロフィール:
例4及び5において調製された製剤の溶解プロフィールを、約37℃の温度及び約75r.p.m.の回転速度でU.S.P.タイプ2装置により測定した。溶解プロフィールを表5に記載し、そして図14に示す。溶解性の百分率を、媒体体積の変化に対して調節した。
【0090】
溶解プロフィールを、胃腸管における生理学的状態を模倣するために企画された複合媒体において測定した。溶解の最初の30分間、媒体は800mlの0.05NのHClであり、次にこれを、120mlの中和緩衝液(pH6に調節された50g/lのNaH2PO4、これに、35ml/lの10NのNaOH及び11.25g/lのSLSを添加した)により中和し、920mlの最終体積にした。
【0091】
【表5】
【0092】
表5に示されるように、0.05NのHClのシミュレートされた胃環境においては、シナカルセトは、シナカルセト及びEUDRAGIT(商標) L-100-55の固溶体からよりもSENSIPAR(商標)錠剤からよりすばやく開放される。91.3%のシナカルセトが0.05NのHClへの最初の30分の暴露の間、SENSIPAR(商標) 錠剤から開放されるが、ところがわずか3.5〜19.8%のシナカルセトが同じ条件下でシナカルセト及びポビドンの固溶体から開放された。しかしながら、pH6でのより中性のシミュレートされた腸環境の緩衝液においては、90〜97.7%のシナカルセトが、SENSIPAR(商標) 錠剤、及びシナカルセト及びポビドンの固溶体の両者から、最初の150分間、開放された。従って、固溶体は、胃環境よりも、より中性の環境下でシナカルセトの制御された開放を可能にする。
【0093】
例7:シナカルセト生成の安定性の改良方法−ミクロン以下の粒子集団の調製:
水中、シナカルセト塩酸塩の懸濁液を、Microfluidics M-11OY Laboratory Microfluidizer Processorに配置し、そしてD50粒度が約1μm以下になるまで、加工する。この集団を、約100μm以上のD50を有する粒子集団と共に混合し、その結果、全体の粒度D50は約70μmよりも大きい。次に、この混合物を製剤に使用し、そして溶解プロフィールを試験する。
【0094】
例8:超臨界液体技法を用いてのシナカルセト固溶体の調製:
PVP K-30を含む、無水エタノール中、シナカルセトの溶液を、内部ノズル通路を通して適切な流れで、超臨界二酸化炭素を含む超臨界装置の粒子形成容器に導入する。超臨界二酸化炭素を、外部ノズル通路を通して適切な流れで導入する。固体のふわふわした物質が形成され、そして圧力を下げ、二酸化炭素及びエタノールを除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのキャリヤーと密接に関連して、シナカルセト(cinacalcet)の固体複合材料を含んで成る組成物。
【請求項2】
前記組成物が固体複合材料である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記シナカルセトの少なくとも約85%が、少なくとも1つのキャリヤーと密接に関連して存在する請求項1及び2記載の組成物。
【請求項4】
前記シナカルセトの少なくとも約85%が、粒状形で存在しない請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記シナカルセトの少なくとも約85%が、結晶形で存在しない請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記固体複合材料が、固溶体である請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記シナカルセトの実質的にすべてが、前記固溶体中、溶液で存在する請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記キャリヤーがポリマーを含んで成る請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマーが、ポビドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、コポビドン、メタクリレートのコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが、ポビドン、又はメタクリル酸のコポリマーである請求項8記載の組成物。
【請求項11】
前記キャリヤーが、糖又は糖誘導体である請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
前記糖又は糖誘導体が、スクロース、マンニトール、ラクトース、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、スクラロース、及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記固体複合材料が、約100μm以上の平均粒度を有する粒状物である請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
前記平均粒度が約100〜約600μmである請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
複合材料が、約1:0.5〜約1:10の重量比での薬物:キャリヤーを有する請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
複合材料が、約1:2〜約1:6の重量比での薬物:キャリヤーを有する請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、約10〜約40重量%のシナカルセトを含んで成る医薬製剤である請求項1〜16のいずれか1項記載の組成物。
【請求項18】
製剤の合計重量に対して、約0.5〜約5重量%の少なくとも1つの潤滑剤又は滑剤、及び/又は約1〜約6重量%の少なくとも1つの被覆材料をさらに含んで成る請求項17記載の組成物。
【請求項19】
有効量の請求項17又は18のいずれか1項記載の医薬製剤を哺乳類に投与することを含んで成る処理方法。
【請求項20】
前記組成物が、少なくとも約80%のシナカルセトが、約37℃の温度及び約75r.p.mの回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClにおいて約30分以内に開放される、即時開放性組成物である請求項17及び18記載の組成物。
【請求項21】
有効量の請求項20記載の医薬製剤を哺乳類に投与することを含んで成る処理方法。
【請求項22】
前記組成物が、制御された開放性医薬製剤であり、そしてその製剤が、約37℃の温度及び約75r.p.mの回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClの溶液に約30分間、暴露され、続いて前記溶液を中和するのに十分な量の緩衝液を添加し、そしてその中和された溶液への暴露を続ける場合、約50%以上のシナカルセトが、最初の約30分の暴露以内に製剤から開放され、そして約70%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約90分の暴露以内に製剤から開放される請求項17及び18記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも約50%の前記シナカルセトが、最初の約60分の暴露以内に開放される請求項22記載の組成物。
【請求項24】
約80%以上の前記シナカルセトが、最初の約90分の暴露間で製剤から開放される請求項22記載の組成物。
【請求項25】
約90%以上の前記シナカルセトが、最初の約90分の暴露間で製剤から開放される請求項22記載の組成物。
【請求項26】
有効量の請求項22〜25のいずれか1項記載の医薬製剤を哺乳類に投与することを含んで成る処理方法。
【請求項27】
シナカルセト、少なくとも1つのキャリヤー、及び少なくとも1つの液体溶媒を組合せ、溶液を形成し;そして
前記溶媒を除去し、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーの固体複合材料を得ることを含んで成る、固体複合材料の調製方法。
【請求項28】
前記固体複合材料が固溶体である請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記キャリヤーが、ポビドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、コポビドン、メタクリレートのコポリマー、及びメタクリル酸のコポリマーから成る群から選択される請求項27及び28記載の方法。
【請求項30】
前記溶媒が、少なくとも1つの低級脂肪族アルコール及びC3-8ケトンから選択される請求項27〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
蒸発により溶媒を除去することをさらに含んで成る請求項27〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記溶媒が、流動層ドライヤーにおいて、又は噴霧乾燥により、真空下で蒸発される請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを、有機又は無機溶媒に溶解し、溶液を形成し;
超臨界流体を添加し、前記シナカルセト及びキャリヤーの混合物の沈殿を誘発し;そして
前記溶媒及び超臨界流体を蒸発により除去することをさらに含んで成る請求項27〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記溶媒が超臨界流体である請求項27記載の方法。
【請求項35】
前記超臨界流体が、二酸化炭素、水、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール及びアセトンから成る群から選択される請求項33及び34記載の方法。
【請求項36】
前記超臨界流体が二酸化炭素である請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記超臨界流体を、圧力を下げることにより除去することをさらに含んで成る請求項33及び34記載の方法。
【請求項38】
シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合し、混合物を形成し;
前記混合物を、前記シナカルセト及びキャリヤーの両者が溶融し、融合生成物を形成する温度まで加熱し;そして
前記融合生成物を、その融合生成物からのシナカルセトの結晶化を可能にしない態様で冷却することを含んで成る固体複合材料の調製方法。
【請求項39】
前記シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合わし、混合物を形成し;
前記混合物を加熱し、その粘度を調節し;そして
前記加熱された混合物を、ホットメルト押し出しシステムを通して供給することをさらに含んで成る請求項38記載の方法。
【請求項1】
少なくとも1つのキャリヤーと密接に関連して、シナカルセト(cinacalcet)の固体複合材料を含んで成る組成物。
【請求項2】
前記組成物が固体複合材料である請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記シナカルセトの少なくとも約85%が、少なくとも1つのキャリヤーと密接に関連して存在する請求項1及び2記載の組成物。
【請求項4】
前記シナカルセトの少なくとも約85%が、粒状形で存在しない請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記シナカルセトの少なくとも約85%が、結晶形で存在しない請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記固体複合材料が、固溶体である請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記シナカルセトの実質的にすべてが、前記固溶体中、溶液で存在する請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記キャリヤーがポリマーを含んで成る請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリマーが、ポビドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、コポビドン、メタクリレートのコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記ポリマーが、ポビドン、又はメタクリル酸のコポリマーである請求項8記載の組成物。
【請求項11】
前記キャリヤーが、糖又は糖誘導体である請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
前記糖又は糖誘導体が、スクロース、マンニトール、ラクトース、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、スクラロース、及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記固体複合材料が、約100μm以上の平均粒度を有する粒状物である請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
前記平均粒度が約100〜約600μmである請求項1〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項15】
複合材料が、約1:0.5〜約1:10の重量比での薬物:キャリヤーを有する請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
複合材料が、約1:2〜約1:6の重量比での薬物:キャリヤーを有する請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、約10〜約40重量%のシナカルセトを含んで成る医薬製剤である請求項1〜16のいずれか1項記載の組成物。
【請求項18】
製剤の合計重量に対して、約0.5〜約5重量%の少なくとも1つの潤滑剤又は滑剤、及び/又は約1〜約6重量%の少なくとも1つの被覆材料をさらに含んで成る請求項17記載の組成物。
【請求項19】
有効量の請求項17又は18のいずれか1項記載の医薬製剤を哺乳類に投与することを含んで成る処理方法。
【請求項20】
前記組成物が、少なくとも約80%のシナカルセトが、約37℃の温度及び約75r.p.mの回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClにおいて約30分以内に開放される、即時開放性組成物である請求項17及び18記載の組成物。
【請求項21】
有効量の請求項20記載の医薬製剤を哺乳類に投与することを含んで成る処理方法。
【請求項22】
前記組成物が、制御された開放性医薬製剤であり、そしてその製剤が、約37℃の温度及び約75r.p.mの回転速度で、U.S.P.タイプ2装置における0.05NのHClの溶液に約30分間、暴露され、続いて前記溶液を中和するのに十分な量の緩衝液を添加し、そしてその中和された溶液への暴露を続ける場合、約50%以上のシナカルセトが、最初の約30分の暴露以内に製剤から開放され、そして約70%以上のカルシウム受容体−活性化合物が、最初の約90分の暴露以内に製剤から開放される請求項17及び18記載の組成物。
【請求項23】
少なくとも約50%の前記シナカルセトが、最初の約60分の暴露以内に開放される請求項22記載の組成物。
【請求項24】
約80%以上の前記シナカルセトが、最初の約90分の暴露間で製剤から開放される請求項22記載の組成物。
【請求項25】
約90%以上の前記シナカルセトが、最初の約90分の暴露間で製剤から開放される請求項22記載の組成物。
【請求項26】
有効量の請求項22〜25のいずれか1項記載の医薬製剤を哺乳類に投与することを含んで成る処理方法。
【請求項27】
シナカルセト、少なくとも1つのキャリヤー、及び少なくとも1つの液体溶媒を組合せ、溶液を形成し;そして
前記溶媒を除去し、シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーの固体複合材料を得ることを含んで成る、固体複合材料の調製方法。
【請求項28】
前記固体複合材料が固溶体である請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記キャリヤーが、ポビドン、ポロキサマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、コポビドン、メタクリレートのコポリマー、及びメタクリル酸のコポリマーから成る群から選択される請求項27及び28記載の方法。
【請求項30】
前記溶媒が、少なくとも1つの低級脂肪族アルコール及びC3-8ケトンから選択される請求項27〜29のいずれか1項記載の方法。
【請求項31】
蒸発により溶媒を除去することをさらに含んで成る請求項27〜30のいずれか1項記載の方法。
【請求項32】
前記溶媒が、流動層ドライヤーにおいて、又は噴霧乾燥により、真空下で蒸発される請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを、有機又は無機溶媒に溶解し、溶液を形成し;
超臨界流体を添加し、前記シナカルセト及びキャリヤーの混合物の沈殿を誘発し;そして
前記溶媒及び超臨界流体を蒸発により除去することをさらに含んで成る請求項27〜32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記溶媒が超臨界流体である請求項27記載の方法。
【請求項35】
前記超臨界流体が、二酸化炭素、水、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、メタノール、エタノール及びアセトンから成る群から選択される請求項33及び34記載の方法。
【請求項36】
前記超臨界流体が二酸化炭素である請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記超臨界流体を、圧力を下げることにより除去することをさらに含んで成る請求項33及び34記載の方法。
【請求項38】
シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合し、混合物を形成し;
前記混合物を、前記シナカルセト及びキャリヤーの両者が溶融し、融合生成物を形成する温度まで加熱し;そして
前記融合生成物を、その融合生成物からのシナカルセトの結晶化を可能にしない態様で冷却することを含んで成る固体複合材料の調製方法。
【請求項39】
前記シナカルセト及び少なくとも1つのキャリヤーを組合わし、混合物を形成し;
前記混合物を加熱し、その粘度を調節し;そして
前記加熱された混合物を、ホットメルト押し出しシステムを通して供給することをさらに含んで成る請求項38記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2010−501642(P2010−501642A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526733(P2009−526733)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/019151
【国際公開番号】WO2008/027522
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/019151
【国際公開番号】WO2008/027522
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】
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