説明

カルビドパ/レボドパ胃内滞留性薬物供給

消化管内で活性薬剤を持続放出するための胃内滞留性製剤は、活性薬剤およびそのうちの少なくとも1つはポリマーである1つ以上の医薬賦形剤を含む内層もしくは区画と、上記内膜の周囲で一緒に外被を形成する2つの膜であって、各膜は胃液中では可溶性ではない腸溶性ポリマーと親水性膨潤性ポリマーとの少なくとも1つの組み合わせ、および少なくとも1つの可塑剤を含む2つの膜とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年4月18日に出願された米国特許仮出願第61/046,261号明細書、および2008年12月4日に出願された米国特許仮出願第61/120,051号明細書に対する優先権を主張するものであり、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、上部消化管内での狭い吸収窓を備え、消化管内において局所的に作用する、または胃内滞留性投与についての他の合理的理由を有する、医薬活性薬剤を制御放出するための生分解性の多層状胃内滞留性製剤に関する。さらに本発明は、このような活性薬剤を即時放出および持続放出するための生分解性の多層状胃内滞留性製剤について記載する。本発明の胃内滞留性製剤は、病理学的状態または欠乏症を、全身的治療または局所的治療するために、哺乳動物へ経口投与することができる。
【背景技術】
【0003】
例えば、アミノ酸および核酸アナログ、ペプチド、ペプチド模倣薬、様々な抗生物質、様々な抗ウイルス薬、およびその他ものなどの、いくつかの薬物の哺乳動物への投与は、消化管への供給(delivery)、ならびに、胃、十二指腸および小腸などの消化管の特定領域にのみ供給されたこれらの薬物の吸収、すなわちこれらの領域の近辺に供給された薬物のみが吸収されることをもたらす。この現象は、「狭い吸収窓(NAW)」と呼ばれることが多い。様々な他の薬物の作用部位は、消化管の特定領域内に位置している。さらに、例えば水不溶性薬物などの様々な他の薬物は、胃内滞留性投与のための製薬学的な理論的根拠を有する。さらに、消化管の各領域を通過する経過時間は、高度の変数値である。
【0004】
多数の薬物のための持続放出技術の進歩にもかかわらず、消化管内での相対的に狭い吸収窓を有する薬物の制御放出は、依然として課題である。薬物が長期間にわたって、その吸収(もしくは作用)部位の近傍内に放出されるように、または一様な方法で消化管の他の部位に到達するように、これらの薬物の胃内滞留時間を延長させる必要がある。薬物の滞留時間を増加させることのできる供給系の例は、例えばいわゆる流体力学的に平衡の取れた供給系、ガス発生物質を含む発泡系などの浮動性低密度剤形である。例えば高密度剤形、および生体接着性製剤または粘膜接着性製剤などの、腸粘膜に接着することによって上部消化管通過を遅延させる、他の供給系もまた試みられてきた(Hwang,SJ.ら、Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems,15(3):243−84(1998);Desai,S.and Bolton,S.,Pharmac.Res.10(9):1321−25(1993);Whitehead,L.ら、European J.Pharm.Sci.,4(1):S182(1996);Iannuccelli,V.ら、Intern.J.Pharmac.174:55−62(1998);Jimenez−Castellanos,NR.ら、Drug Develop.Industr.Pharmacy 19:143(1993);Moes,AJ.Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.10(2):143−195(1993))。
【0005】
制御放出型(CR)製剤は、長期の時間間隔にわたって目的の薬物を供給し、さらに副作用が付随する1日投与量の連続投与という不便さを排除するという利点を提示する。しかし、従来型CR薬物供給系は、吸収窓内もしくは吸収窓を超えるこれらの滞留時間が有益であると見なせる放出時間枠より短いために、消化管内での相当に狭い吸収窓を有する薬物に適合することはほとんどない。そこで当技術分野において、消化管内での相当に狭い吸収窓を有する薬物の持続放出を提供する制御放出型製剤が必要である。同様に、所定の場合には、当分野において「負荷量」として公知の対象である治療域の血中濃度を迅速に確立して、これらを長期間にわたって維持することは有益であると考えられ、かつ、当技術分野において、狭い吸収窓の物質を供給するため、適切な即時放出成分および持続放出成分を含む、組み合わせ製剤が必要である。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,685,962(B2)号明細書は、消化管内で活性薬剤を制御放出するための製薬学的胃内滞留性薬物供給系を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、当技術分野で必要とされる、消化管内での狭い吸収窓を有する薬物の持続放出、もしくは即時放出および持続放出の組み合わせ、または胃内滞留性投与のための他の理論的根拠を提供する製剤を、完全に生分解性でもあり、かつ相当に高い負荷能力を有する、胃内滞留性製剤(GRDF)を提供することによって満たす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的に加えて、本発明は、消化管内で活性薬剤を持続放出するための、生分解性の多層状胃内滞留性製剤を提供する。また別の態様では、本発明は、消化管内での活性薬剤の組み合わせた即時放出および持続放出のための、生分解性の多層状胃内滞留性製剤を提供する。
【0008】
1つの実施形態では、患者の胃および消化管内で活性薬剤を持続放出するための生分解性の多層状胃内滞留性製剤は、活性薬剤と胃液中で即時に可溶性ではない分解性ポリマーとを含む内層を含む。内層は、第1の面および対向する第2の面を含む。少なくとも1つの膜が、内層を被覆している。この膜は、親水性ポリマーと胃媒質(gastric media)中では不溶性であるポリマーとの、少なくとも1つのポリマーの組み合わせを含み、上記膜は胃媒質中では水和性である。この膜は、内層の両面へ直に固定されて両面を被覆し、平面配向において20mmより長い所定の長さを有し、この膜および内層は患者の胃内および模擬胃媒質中で溶解性のカプセル内に配置するために十分に密なアコーディオン折り配向で配置される。この膜および内層は、胃媒質に曝露されてから30分間以内に、アコーディオン折り配向から少なくとも20mmの長さへ展開させられる。この膜は、胃媒質が環境から内層へ通過するのを許容し、活性薬剤が内層から膜を通って環境へ通過するのを許容する。
【0009】
また別の実施形態では、消化管内で活性薬剤を持続放出するための生分解性の多層状胃内滞留性製剤は、活性薬剤と胃液中で即時に可溶性ではない分解性ポリマーとを含む内層を含む。第1の膜および第2の膜が内層を被覆するが、この膜は、親水性ポリマーと胃媒質中では不溶性であるポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組み合わせを含み、上記膜は水和性である。第1の膜および第2の膜は、内層の幅および長さよりも長い、幅および長さを有する。第1の膜および第2の膜は、超音波溶接、または第1の膜および第2の膜の周辺の周囲へ、一緒に直に貼付もしくは付着させられる。第1の膜は内層の第1の面に超音波溶接され、第2の膜は内層の第2の面に超音波溶接される。超音波溶接された内層ならびに第1の膜および第2の膜は、平面配向において20mmより大きい所定の長さを有し、この膜および内層は胃もしくは模擬胃媒質中で溶解性のカプセル内に配置するために十分に密なアコーディオン折り配向で配置される。超音波溶接は、胃液に曝露されたときに原形を保つために、十分な機械的強度および安定性を有する。
【0010】
さらにまた別の実施形態では、活性薬剤および胃液中で即時に可溶性ではない分解性ポリマー、および5.5未満のpHでは実質的に不溶性である生分解性腸溶性ポリマー、ならびに場合により可塑剤を含む内層を含む、消化管内で活性薬剤を持続放出するための生分解性の多層状胃内滞留性製剤が開示される。少なくとも1つの膜が内層を被覆するが、この膜は、親水性ポリマーと、胃媒質中では不溶性であるポリマーとの、少なくとも1つのポリマーの組み合わせ、および少なくとも1つの可塑剤を含む。この膜は、胃液の存在下では膨潤する。内層および膜の各々に含まれる物質のうちの少なくとも1つは、一緒に超音波溶接することができる。この膜は、内層の両面へ直に固定されて両面を被覆し、平面配向にある20mmより長い所定の長さを有する。この膜および内層は、胃内または模擬胃媒質中で溶解性のカプセル内に配置するために十分に密なアコーディオン折り配向で配置される。この膜は、胃媒質が環境から内層へ通過するのを許容し、活性薬剤が内層から膜を通って環境へ通過するのを許容する。この膜および内層は、胃液に曝露されてから30分間以内にアコーディオン折り配向から少なくとも20mmの長さへ展開させられる。
【0011】
さらにまた別の実施形態では、消化管内で活性薬剤を持続放出するための生分解性の多層状胃内滞留性製剤は、活性薬剤および胃液中で即時に可溶性ではない分解性ポリマー、および5.5未満のpHでは実質的に不溶性である生分解性腸溶性ポリマー、ならびに可塑剤を含む内層を含む。第1の膜および第2の膜は内層を被覆するが、これらの膜は、親水性ポリマーと胃媒質中では不溶性であるポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組み合わせ、および少なくとも1つの可塑剤を含む。これらの膜は、胃液の存在下では膨潤する。内層および膜の各々に含まれる物質のうちの少なくとも1つは、一緒に超音波溶接することができる。これらの膜は内層の両面へ直に固定されて両面を被覆し、平面配向において20mmより長い所定の長さを有し、これらの膜および内層は患者の胃内で溶解性のカプセル内に配置するために十分に密なアコーディオン折り配向で配置される。これらの膜および内層は、胃液に曝露されてから30分間以内にアコーディオン折り配向から少なくとも20mmの長さへ展開させられる。第1の膜および第2の膜は、内層の幅および長さより長い幅および長さを有する。第1の膜および第2の膜は、超音波溶接、または第1の膜および第2の膜の周辺の周囲へ一緒に直に貼付もしくは付着される。第1の膜は、内層の第1の面に超音波溶接される。第2の膜は、内層の第2の面に超音波溶接される。この膜は、胃媒質が環境から内層へ通過するのを許容し、活性薬剤が内層から膜を通って環境へ通過するのを許容する。超音波溶接された内層ならびに第1の膜および第2の膜は、平面配向にある20mmより長い所定の長さを有する。これらの膜および内層は、胃内で溶解性のカプセル内に配置するために十分に密なアコーディオン折り配向で配置される。超音波溶接は、胃液に曝露されたときに原形を保つために十分な機械的強度および安定性を有する。
【0012】
1つの実施形態では、消化管内で活性薬剤を持続放出するための胃内滞留性製剤であって、i)上記活性薬剤およびそのうちの少なくとも1つはポリマーである1つ以上の医薬賦形剤を含む内層もしくは区画と、ii)内膜の周囲で一緒に外被を形成する2つの膜であって、各々が胃液中で可溶性ではないポリマーと親水性膨潤性ポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組み合わせ、および少なくとも1つの可塑剤を含む2つの膜と、iii)場合により各外膜を被覆する追加の層であって、カプセルの内側に折り畳まれた場合に外膜がそれ自体に付着するのを防止する粉末もしくはフィルムを含む追加の層、とを含む。
【0013】
異なる実施形態では、消化管内で活性薬剤を即時放出および持続放出するための胃内滞留性製剤であって、i)上記活性薬剤およびポリマーを含む内層もしくは区画と、ii)内膜の周囲で一緒に外被を形成する2つの膜であって、各々が胃液中で可溶性ではないポリマーと親水性膨潤性ポリマーとの、少なくとも1つのポリマーの組み合わせ、および少なくとも1つの可塑剤を含む2つの膜と、iii)上記活性薬剤および上記活性薬剤の即時放出(IR)を提供し、1つの外膜または両方の外膜もしくは外膜の一部の外面に付着させられている可溶性ポリマーを含む1つもしくは2つの層とを含む。場合により、カプセルの内側に折り畳まれた場合に外膜もしくはIR膜がそれ自体に付着するのを防止する粉末もしくはフィルムを含む追加の層が、各即時放出膜を被覆することができる。一部の実施形態では、即時放出膜は、カプセルの内側に折り畳まれた場合にそれ自体に付着するのを防止する表面特性を有する。
【0014】
好ましい実施形態では、胃内滞留性製剤は効果的に展開させられ、酸性pHでは24時間までそれらの機械的完全性を維持するが、模擬腸液中では3時間後には完全に生分解する。
【0015】
1つの態様では、内層中のポリマーは、胃液中で即時に可溶性ではない分解性ポリマーである。また別の態様では、ポリマーは、5.5未満のpHでは実質的に不溶性である分解性腸溶性ポリマーである。本発明は、上述したポリマーの混合物もまた意図している。
【0016】
1つの実施形態では、内層中の腸溶性ポリマーは、ポリメタクリレートコポリマーである。異なる実施形態では、腸溶性ポリマーは、酢酸フタル酸セルロース、またはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、または酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。好ましい実施形態では、活性薬剤およびポリマーは、内層中で実質的に一様に分布している。
【0017】
また別の実施形態では、外膜のポリマーの組み合わせは、腸溶性ポリマーとしてのゼラチンおよび酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含む。1つの実施形態では、外膜中の腸溶性ポリマーは、A型ポリメタクリレートコポリマーである。異なる実施形態では、外膜中の腸溶性ポリマーは、C型ポリメタクリレートコポリマーである。また別の実施形態では、外膜中の可塑剤は、プロピレングリコールである。
【0018】
好ましい実施形態では、内層もしくは区画、外膜および任意の追加層もしくは即時放出層は、超音波溶接を適用することによって密封される。
【0019】
追加の実施形態では、内層は、胃液で湿潤するとGRDF(胃内滞留性製剤)全体の少なくとも50%の機械的強度を提供する。好ましい実施形態では、胃内滞留性製剤は、模擬腸液中で1時間以内にその最高強度に達する。さらにまた別の好ましい実施形態では、内層は、胃媒質中で30分間以内にその原長の少なくとも50%に展開する平面−アコーディオン形状を有する。
【0020】
1つの態様では、胃内滞留性製剤は、模擬腸液中で3時間以内に完全に分解性である。追加の態様では、胃内滞留性製剤は、低もしくは中カロリー食下で24時間までの胃内滞留を提供する。さらにまた別の態様では、胃内滞留性製剤は、胃内滞留中に胃内を移動する。
【0021】
胃内滞留性製剤は、経口投与のために設計されており、容易に嚥下される標準サイズのカプセル内に圧縮される、または折り畳まれる。1つ以上の有効成分は、本製剤の組成中に溶解した物質、粉末、顆粒、球、粒子、微粒子、ナノ粒子、多微粒子、錠剤もしくはマイクロカプセルとして胃内滞留性製剤中に組み込まれる。
【0022】
1つの態様では、活性薬剤は、消化管内での狭い吸収窓を有する。活性薬剤は、治療用核酸配列、治療用タンパク質もしくはペプチド、アミノ酸アナログ、ペプチド模倣薬、ヌクレオシドアナログ、抗生物質、治療用イオン、ビタミン、気管支拡張剤、抗痛風薬、降圧薬、利尿薬、抗脂質異常症薬、ACE阻害剤、抗腫瘍薬、ヒスタミン(H2)遮断薬、ビスマス塩もしくは合成プロスタグランジンであってもよい。1つの態様では、活性薬剤は、レボドパおよびレボドパ/カルビドパ混合物である。好ましい抗生物質は、βラクタム系、およびフルオロキノロン系から選択される。
【0023】
また別の態様では、活性薬剤は、例えば局所感染症を治療するための様々な薬物などの消化管内での局所治療のための薬物、様々な消化器疾患および症状を治療するための薬物、または例えば肥満症、糖尿病、高コレステロール症などの代謝性障害を治療するため、限局性癌を治療するため、もしくは癌関連疾患を治療するための薬物である。好ましい態様では、本薬物は、セロトニン作動性化合物および他の腸溶性神経修飾物質、難吸収性物質、難吸収性抗生物質および主要薬理学的部位として肝臓内で作用する化合物を含む。
【0024】
以下の一般的説明および以下の図面の簡単な説明および詳細な説明は例示的および解説であり、本明細書で要求した本発明の詳細な説明を提供することが意図されている。その他の目的、利点、および新規な特徴は、以下の本発明の詳細な説明から当業者には容易に明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】GRDF全体および内層の平面寸法を示すGRDF設計の1つの実施形態を示す。
【図2】断面図で外層の上方にある単一即時放出層の配置を示す(A)。(B)に示したように、即時放出層はGRDFの全面を被覆している。
【図3】実施例11に示したGRDF製剤の物理的寸法を示す図である。
【図4】カプセルキャップを嵌める前のカプセルの内側に折り畳まれたGRDFを示す。折り畳み部およびそれらの折り畳み形状を見ることができる。
【図5】GRDFおよびドッグボーン(犬用の骨)形に切断されたフィルムの機械的特性を示す結果を提供している。1、2および3と表示した写真は、SGF(模擬胃液)中に浸漬した後のGRDFの機械的試験の段階を示す。右上隅の図は、負荷対位置ずれのグラフに表示した結果を示しており、試験の段階は、写真1、2および3各々に示した段階に対応する。
【図6】GRDFの層を一緒に付着させるために使用される超音波溶接機のアンビル(A)およびホーン(B)の設計を示す。
【図7】GRDF上の超音波溶接の図面を示す(A)。内層の外周線は矢印で示されており、GRDFの断面内の溶接の範囲が提供されている(B)。
【図8】溶接されたGRDFを示す。
【図9】組み合わせ即時放出および制御放出型カルビドパ/レボドパGRDFの溶解プロファイルを示す。
【図10】酢酸バッファーおよびSGF中のプラセボGRDFデバイスの展開からの測定値を示す。
【図11】酢酸バッファーおよびSGF中のプラセボGRDFデバイスの展開からの測定値を示す。
【図12】実施例7に記載したように、単回投与GRDF CD/LD 75/300mg胃内滞留性、IR+CR;単回投与シネメット(Sinemet)(登録商標)IR 100/25mg;および単回投与シネメット CR(登録商標)25/100mgについての平均用量調整カルビドパ濃度を示す図である。
【図13】実施例10に記載したように、GRDF CD/LD 75/300mg;GRDF CD/LD 50/200mg;およびシネメット(登録商標)IR CD/LD 50/200mgを用いて治療された被験者における血液サンプル中のレボドパ最小二乗平均濃度対時間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義
本明細書で使用する「胃内滞留性製剤」は、食物に比較して遅延性胃内容排出(または食物の滞留を超える胃内での滞留)を有する剤形を意味する。
【0027】
本明細書で互換的に使用される「模擬胃液(SGF)」および「胃媒質」、そして「模擬腸液(SIF)」および「腸媒質」は、対応して胃内および腸内で発生する媒質、またはインビトロ(試験管内)でのそれらの化学的および/または酵素的環境を模擬するために使用される溶液を意味する。1つのこのような媒質は、実施例2に記載した。
【0028】
本明細書で使用する用語「分解性」は、患者の身体内で、そして関連期間内に化学的および/または物理的に減少する、溶解する、または破壊され得ることが意図されている。
【0029】
本明細書で使用する語句「胃液中で即時に可溶性ではないポリマー」は、ポリマーがその中での滞留中に消化管内で徐々に溶解することを意味する。
【0030】
本明細書で使用する用語「不活性」は、有効成分とは反応しない、または標準状態下ではその特性に影響を及ぼさない、または被験者に投与した場合に任意の生物学的作用を誘発しない内層もしくは区画、外膜、任意の層および/または即時放出層中の成分を意味する。
【0031】
本明細書で使用する語句「長期間」は、数時間〜約24時間、通常は5時間を超えて持続する、および約5〜15時間であることが多い供給期間を意図している。
【0032】
ポリマーに関する用語「膨潤可能」および「膨潤性」は、ポリマーが使用環境内に存在する液体と接触した場合に流体を吸収して膨張できることを意味している。
【0033】
用語「活性薬剤」および「薬物」は、本明細書では互換的に使用され、医薬品有効成分(API)、治療作用もしくは予防作用を提供する化合物、合成物もしくは混合物を意味する。
【0034】
本明細書で言及する「患者」は、本発明の胃内滞留性製剤を摂取する必要があるヒトもしくは非ヒト哺乳動物である。
【0035】
「治療する工程」もしくは「治療」は、本明細書では、所望の薬理学的および生理学的作用を入手することを意味する。この作用は、疾患、症状もしくは病理学的状態を予防もしくは部分的に予防することに関して予防的であってもよい、および/または疾患、状態、症状、または病理学的状態の原因となる有害作用の部分的もしくは完全な治癒に関して治療的であってもよい。したがって、「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の治療を含み、(a)病理学的状態を発生する素因を有する可能性があるがまだそれを有するとは診断されていない個人において病理学的状態が発生することを予防する工程であって、すなわち、上記状態を発生する素因を有する可能性があるが上記状態をまだ経験していない、もしくは症状を提示していない被験者において病理学的状態の臨床症状が発生しないように誘発する工程と、(b)阻害する工程であって、すなわち上記病理学的状態もしくはその臨床症状の発生を停止もしくは減少させる工程と、または(c)上記病理学的状態と関連する症状を緩和する工程とを含む。
【0036】
本実施形態では、胃内滞留性薬物供給系は、内層および外層を含む。外層は、内層よりわずかに大きな、そしてそれらの周囲で一緒に密封もしくは溶接されて内層を完全に被覆する2つのフィルムから形成される。外層を一緒に結合する溶接と一緒に、内層の外側部分もまた外層にさらに溶接される。
【0037】
または、本実施形態では、胃内滞留性薬物供給系は内層および外層を含むが、外層は内層とサイズが同等であり、それらの周囲および上記内層の外側部分と一緒に密封もしくは溶接される2つの膜から形成される。場合により、胃内滞留性薬物供給系は、内膜/外膜組立体よりサイズが大きいか、もしくは同等のいずれかであり、かつ上記膜がそれ自体に付着するのを防止するために上記組立体を被覆する追加の層を含む。上記層は、1つ以上の膜を用いて形成、超音波溶接、または上記組立体上に付着もしくは貼付することができ、場合によりAPIを含むことができる。超音波溶接または付着させられた内層および外層は、アコーディオン配置で折り畳まれてカプセル内に配置される。一部の実施形態では、カプセルは、ゼラチンまたはヒプロメロースから作製される。これらの層は、これらが充填されるカプセル内の間隙量を最大化するように、本質的に長円多角形で成形される。ゼラチンもしくはヒプロメロースカプセルが胃媒質中で溶解すると、内層および外層はアコーディオン折り配向からより平面配向へ膨張する。
【0038】
本発明の胃内滞留性製剤は、適切な活性薬剤の吸収およびバイオアベイラビリティを顕著に改善し、特に、胃の蠕動運動および機械的収縮性に抵抗する能力に起因して、消化管内での狭い吸収窓を有する薬物の吸収およびバイオアベイラビリティを改善し、結果として、その吸収部位へ制御された方法で、消化管の非吸収性領域内への早期の通過を伴わずに上記薬物を放出する。本発明者らは、胃内滞留性製剤は、適正に機能するためには高カロリー食および高脂肪食を必要とする当分野における他の製剤とは異なり、低もしくは中カロリー食下で24時間までの狭い吸収窓を有する活性薬剤の胃内滞留を提供することを見いだした。さらに、哺乳動物へのこれらの製剤の投与は、狭い吸収窓を有する活性薬剤の薬物動態的および薬力学的特性を改善することができる。胃内滞留性製剤は、完全に分解性であるので、これらは薬物放出後に排出されることのない非分解性残留物を生成せずに、適正用量の薬物を投与するための手段を提供する。
【0039】
胃内滞留性製剤は、安定性で完全に分解性であり、全成分が完全に生分解性である場合に平面−アコーディオン形状を有する内層の組み合わせによる、消化管内の様々な薬物の効率的な供給を提供する。膨潤性外膜層と平面−アコーディオン形状を有する実質的に非膨潤性の内層との組み合わせは、本製剤が胃に到達すると内層が展開プロセスを受けることを誘発するので、そこで胃内滞留時間を延長させ、実質的もしくは完全放出まで本剤形が排出されることを防止する。
【0040】
持続放出型胃内滞留性製剤
本発明の第1実施形態によると、消化管内で活性薬剤を持続放出するための安定性で分解性の多層状胃内滞留性製剤が提供される。胃内滞留性製剤は、i)活性薬剤、1つ以上のポリマーおよび例えば可塑剤および/または可溶化剤および/または充填剤などの1つ以上の修飾剤を含む内層もしくは区画と、ii)各々が親水性ポリマーと胃媒質中では不溶性であるポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組み合わせ、および少なくとも1つの可塑剤を含む2つの外膜と、iii)場合により各外膜を被覆する追加の層であって、外膜がそれ自体に付着するのを防止する粉末もしくはフィルムを含む追加の層、とを含む。
【0041】
本発明のまた別の実施形態によると、活性薬剤を持続放出するための分解性の多層状胃内滞留性製剤は、上記活性薬剤の組み合わせ即時放出および持続放出型の分解性、多層状胃内滞留性製剤を形成するために、外膜を被覆し、上記活性薬剤およびポリマー、並びに場合により上記活性薬剤の即時放出を提供する、当分野において公知の他の賦形剤を含む1つ以上の即時放出層と結合することができる。場合により、各外膜を被覆し、外膜がそれ自体に付着するのを防止する粉末もしくはフィルムを含む追加の層が含まれる。以下では、即時放出型製剤および制御放出型製剤に関する追加の開示を提供する。
【0042】
内層
胃内滞留性製剤中の内層もしくは区画は、上記内層全体に実質的に一様に分布した活性薬剤およびポリマーを含む。ポリマーは、胃液中で即時に可溶性ではない分解性親水性ポリマー、5.5未満のpHでは実質的に不溶性である分解性の腸溶性ポリマー、疎水性ポリマーまたはこれらの混合物であってもよい。ポリマーは、例えば可塑剤、保湿剤、充填剤などの医薬上許容される添加物をさらに含むことができる。
【0043】
本発明に適合する胃液中で即時に可溶性ではない分解性親水性ポリマーの例は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシドおよびメチルセルロースである。好ましくは、腸溶性ポリマーは、ポリメタクリレートコポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸コハク酸ヒプロメロースまたはフタル酸ヒプロメロースである。これらのポリマーは、例えばレボドパおよび/またはカルビドパなどの活性薬剤と組み合わせられる。活性薬剤およびポリマーについての典型的範囲は、以下の表に提供した。
【0044】
【表1】

【0045】
好ましくは、内層は、平面−アコーディオン形状を有する。この特徴は、内層もしくは区画中に上述したポリマーが存在することと一緒になって、内層に実質的機械的強度を与える。好ましくは、内層は、約0.5〜15Kgf/mmのヤング率を有する機械的強度を有する。好ましくは、この範囲は約3.0〜約10.0Kgf/mmまたは約3.0〜約6.0Kgf/mmであってもよい。応力は、胃内滞留性製剤が模擬腸液中で1時間以内に最大強度に達するように、模擬腸液中で1時間後に約0.03〜約0.6Kgf/mmの範囲であってもよい。または、応力の範囲は、約0.05〜約0.4Kgf/mmまたは約0.1〜約0.4Kgf/mmであってもよい。
【0046】
内層の成分は、供給される有効成分の特性に基づいて変化させることができる。例えば、一部の成分は、他のポリマーより所定のポリマー中でより可溶性であってもよく、内層の組成変更を必要とすることがある。一部の場合には、有効成分は、外層と内層との間の効果的溶接を許容しない内層の調製を必要とすることがある。このような状況では、内層は2つ以上の部分から構成されてもよいが、このとき各部分は明確な機能を有する。1つの場合には、中央領域(溶接なし)は有効成分を保持するための別個のフィルムとして調製し、中心部分内およびこの中心部分を支持する追加の部分を含むインナーフィルムの上方に配置することができる。この追加の部分は、次に外層へ溶接することができる。また別の場合には、胃媒質中で必要な機械的強度を発生するようには内層を調製することはできないが、場合により薬物を含んでいない少なくとも1つの追加の層を、その上に調製された薬物リザーバフィルムを置いて溶接することができる、または上記バックボーンの一面もしくは両面上に付着もしくは貼付することができる足場として使用でき、上記組立体を本供給系の外膜および他の成分に溶接することができる。
【0047】
外膜
胃内滞留性製剤中の各外膜は、親水性ポリマーと、胃媒質中では不溶性であるポリマーとの、少なくとも1つのポリマーの組み合わせ、および少なくとも1つの可塑剤を含む。
【0048】
本発明に適切な成分の例には、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、デンプン、およびゼインが含まれる。好ましくは、親水性ポリマーは、ゼラチンである。各外膜中のゼラチンの量は、全外膜組成物の約20〜約45%、および好ましくは全外膜組成物の約25〜約35%である。
【0049】
外膜中で使用できる腸溶性ポリマーの例には、フタル酸ヒプロメロース、酢酸コハク酸ヒプロメロースおよびポリメタクリレートコポリマーが含まれる。好ましくは、腸溶性ポリマーは、A型ポリメタクリレートコポリマーまたはC型ポリメタクリレートコポリマーである。
【0050】
本発明に適切な可塑剤には、様々なポリエチレングリコール、グリセリン、トリエチルシトレートが含まれる。好ましくは、可塑剤は、プロピレングリコールである。
【0051】
外膜は、胃液の存在下では膨潤し、模擬腸液中では2時間以内に完全に分解性である。膨潤性膜層と平面−アコーディオン形状を有する非膨潤性内層との組み合わせは、本製剤が胃に到達すると内層が展開プロセスを受けることを誘発するので、そこで胃内滞留時間を延長させ、薬物含有剤形が完全放出するまで排出されることを防止する。1つの実施形態では、内層は、膜の膨潤速度より遅い膨潤速度を有する。
【0052】
外膜は、胃媒質が環境から内層へ通過するのを許容し、活性薬剤が内層から膜を通って環境へ通過するのを許容する。
【0053】
一部の場合には、このような輸送の動態は、許容不能に低い場合がある。このため一部の実施形態では、外膜には、膜を通る物質移動プロセスを促進するために1つ以上の開口部を穿孔することができる。好ましい実施形態では、開口部は、調製された薬物層の近辺の領域全体に一様に分布している。
【0054】
1つの好ましい実施形態では、外層は、任意の有効成分を含有していない。他の実施形態では、外層は、1つ以上の有効成分を含む。
【0055】
任意の追加の層
本発明の胃内滞留性製剤は、各外膜を被覆し、粉末もしくはフィルムを含む任意の追加の層をさらに含むことができる。一部の場合には、外層がカプセル内で一緒にくっつき、カプセルが溶解しても適正には展開しないことを見いだすことができる。このような状況では、この任意の層は、外膜がそれ自体に接着することを防止し、GRDFの適正な開放を許容する。好ましい実施形態では、任意の層は、少なくとも1つの粉末、および場合により少なくとも1つのポリマーを含む。他の実施形態では、好ましいポリマーは、可溶性セルロース誘導体、すなわちメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース;様々な等級のポビドン;ポリビニルアルコールおよびその誘導体、すなわちKollicoat IR;可溶性ゴム類その他から選択できるが、これらに限定されない高速可溶性フィルム形成剤である。これらのフィルムは、界面活性剤、可塑剤および保湿剤をさらに含むことができる。
【0056】
即時放出相
本発明は、消化管内で活性薬剤を組み合わせ即時放出および制御放出するための胃内滞留性製剤をさらに意図している。これらの製剤は、上述した内層もしくは区画および少なくとも2つの外膜、ならびに追加して上記外膜を被覆し、上記活性薬剤および上記活性薬剤の即時放出を提供する可溶性ポリマーを含む1つ以上の即時放出層を含む。即時放出において使用できる可溶性ポリマーの例は、可溶性セルロース誘導体、すなわちメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロース;様々な等級のポビドン;ポリビニルアルコールおよびその誘導体、すなわちKollicoat IR;可溶性ゴム類その他から選択できる。これらのフィルムは、例えばPEG、様々な等級のポリソルベートおよびラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、可塑剤および保湿剤をさらに含むことができる。
【0057】
これらのポリマーの相対量は、有効成分上の溶解度に基づいて調整できる。
【0058】
内層および外層は一般には一緒に溶接されるが、即時放出層は、一般にはGRDFデバイスの残りとのそのような強度の結合を必要としないであろう。むしろ即時放出型製剤は、対象の薬物を供給するために迅速に溶解するであろう。即時放出層は、適合する溶媒、超音波溶接、またはその他の手段を使用してGRDFの外側に付着させることができる。
【0059】
追加の即時放出層を加える能力は、GRDFの開発において特に有用である。本発明の即時放出および制御放出の性質を組み合わせることによって、対象の薬物についての薬物放出プロファイルを変化させることができる。結果として、患者は、薬物の治療濃度を急速に確立する、および24時間までの長時間にわたってこの濃度を維持する目的で薬物の即時ボーラスならびに活性薬剤の長期間供給を受けることができる。
【0060】
さらに注目に値するのは、本GRDFで複数の薬物を供給する能力である。本実施形態は、単一医薬活性薬剤の供給には限定されない。むしろ、複数の薬物を調製して同時に供給することができる。即時および制御放出層を組み合わせることによって、複数の薬物は特異的プロファイルで同時に供給することができる。例えば、以下の実施例ではレボドパ/カルビドパのための組み合わせ放出製剤を提供する。
【0061】
内層もしくは区画、外膜、任意の層および/または即時放出層の全成分は、医薬上許容可能で、かつ不活性である。
【0062】
コーティング
薬物の即時放出を供給する追加の方法として、上記薬物を含むカプセルにコーティングを適用することができる。胃内に進入すると、コーティングは上記薬物の放出を即時に可能にし、上記薬物の放出プロファイルを強化するであろう。コーティングをカプセルに適用するための方法は、当業者には周知である。
【0063】
超音波溶接
内層もしくは区画、外膜、任意の層および/または即時放出層は、多くの手段によって相互へ付着させることができる。好ましくは、これらは超音波溶接を適用することによって密封される。これらの目的に適合するデバイスの1つの例は、Rinco Ultrasonics社製のDynamic 745超音波溶接機であるが、他のデバイスもまた使用できる。この溶接は、外層を一緒に溶接し、さらに内層の周辺を外層へ溶接することによって、内層を外層内へ効果的に密封する。溶接は、全外被を密封せずに層を相互に効率的に付着させることもできるが、これは製剤が適合性であれば、同一物質溶接の必要はないことを意味する。
【0064】
溶接のためには、当業者の必要に基づいて様々なパターンおよび時間を使用できる。層の周辺は一緒に溶接することができるが、本実施形態は、制御放出のために医薬活性薬剤を保持する内層の大部分への加熱もしくは作用を最小限に抑えるために、GRDFデバイスの中心部分を溶接しない。一部の状況では、GRDFの組成に基づいてより多くの内層を溶接することが必要になることがある。
【0065】
GRDFの能力
胃内滞留性製剤は、経口投与のために設計されており、容易に嚥下される標準サイズのカプセル内に圧縮、または折り畳まれる。1つ以上の有効成分は、粉末、顆粒、球、粒子、微粒子、ナノ粒子、多微粒子、固体溶液、錠剤もしくはマイクロカプセルとしてアコーディオンピル(accordion pill)内に組み込まれる。胃内滞留性製剤とともに供給できる活性薬剤には、末梢神経、アドレナリン受容体、コリン作動性受容体、骨格筋、心血管系、平滑筋、血液循環系、シノプシス部位、神経効果器接合部位、内分泌およびホルモン系、免疫系、生殖器系、骨格系、消化系、ヒスタミン系および中枢神経系に作用する活性薬剤が含まれる。特に好ましいのは、十二指腸潰瘍、胃潰瘍、ゾリンジャー・エリソン(Zollinger−Ellison)症候群、胃食道逆流性疾患、びらん性食道炎、胃炎、胃癌および痙性を含むがこれらに限定されない消化器疾患の治療に使用される活性薬剤である。例えば癌、感染症、および代謝性障害などの、胃内滞留性デバイス供給を通して対応できる他の適応もまた当業者に周知の他の状態に加えて想定されている。
【0066】
適切な活性薬剤には、例えば、タンパク質、酵素、酵素阻害剤、ホルモン剤、ポリヌクレオチド、核タンパク質、多糖類、糖タンパク質、リポタンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ステロイド剤、睡眠薬および鎮静剤、精神賦活剤、トランキライザー、鎮痙剤、抗うつ薬、筋弛緩剤、抗パーキンソン(antiparkinson)剤、鎮痛剤、免疫抑制剤、抗炎症薬、抗ヒスタミン剤、局所麻酔薬、筋収縮剤、抗菌剤、抗マラリア薬、抗ウイルス薬、抗生物質、気管支拡張剤、抗痛風薬、抗肥満薬、抗糖尿病薬、高コレステロール症治療薬、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経作用薬、降圧薬、利尿薬、脂質調節薬、ACE阻害剤、ビスマス塩、合成プロスタグランジン、抗アンドロゲン剤、駆虫薬、抗腫瘍薬、抗新生物薬、血糖降下薬、低血糖薬、栄養剤および栄養補給剤、成長補給剤、脂肪、眼科薬、抗腸炎薬、電解液、ならびに診断薬が含まれる。
【0067】
好ましくは、活性薬剤は、消化管内での狭い吸収窓を有する。抗ウイルス薬、抗真菌薬、ならびにスルホンアミド系、キノロン系、ペニシリン系、セファロスポリン系、アミノグリコシド系、およびテトラサイクリン系を含む抗生物質は、消化管内での狭い吸収窓を有する活性薬剤の代表的なクラスである。薬物の特定の例には、シメチジン、ラニチジン(rantitidine)、ファモチジン、ニザチジン、ゾレンチン、メトロニダゾール、チミダゾール、アモキシリン、クラリスロマイシン、ミノサイクリン、テトラサイクリン、ならびにレボドパおよびカルビドパを含むソマトスタチンアナログが含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
さらに、局所的に作用する活性薬剤は、例えば局所感染症を治療するための薬物、または様々な消化器疾患および症状を治療するための薬物、または例えば代謝性障害を治療するため、限局性癌を治療するため、もしくは癌関連疾患を治療するための薬物である。より詳細には、この態様において重要な薬剤は、例えば炎症性腸疾患中に発生する炎症性の腸において投与しなければならない、例えばメトロニダゾール、バンコマイシン、ブデソニドなどの、これらの有効性が炎症した組織からの異常に高速の内容物排出によって損傷される薬剤である。これらの物質は、例えばバンコマイシンなどの全身性で難吸収性であってもよい、または例えばブデソニドのためなどの標的供給系内に組み入れることができる。
【0069】
本発明によって調製できる他の薬物には、パーキンソン病を治療するための薬物が含まれる。高齢者の最も一般的な神経変性性疾患の1つであるパーキンソン病(PD)は、静止時振戦、運動の遅さ、筋固縮、および歩行不安定性を特徴とする緩徐進行性臨床的症候群である。PDには、さらにまた嚥下困難、嗅覚消失、発話困難、抑うつおよび認知症が付随することがある。PDの病因は、黒質緻密部におけるドーパミン作動性ニューロンの変性および結果としての大脳基底核内の神経伝達物質であるドーパミンの枯渇を含む。ドーパミンは血液脳関門を横断することができないので、レボドパ(LD)(CNS中では酵素L−アミノドーパデカルボキシラーゼによってドーパミンへ酵素的に脱カルボキシル化される)は、脳の減少したドーパミン貯蔵を補充するために治療的に使用される。LDは、パーキンソン病を治療するための最も効果的な治療薬であると考えられている。脱カルボキシル化反応は、さらにまたレボドパが脳に到達する前でさえ、末梢である速度で発生することもできる。このためレボドパは、一般には、例えばカルビドパなどの効果的L−アミノドーパカルボキシラーゼ阻害剤と共投与される。末梢におけるレボドパの脱カルボキシル化の阻害は、末梢ドーパミン形成を低下させ、ドーパミンに帰せられる副作用(すなわち、起立性低血圧、悪心および嘔吐)を減少させるが、同時にCNSへのレボドパのバイオアベイラビリティを増加させる。カルビドパ/レボドパは、即時放出型(例えば、シネメット(登録商標)、Merck&Co.社)または制御放出型(例えば、シネメット−CR(登録商標)、Merck&Co.社)錠剤両方としての複合製剤として市販で入手できる。
【0070】
LDの血漿半減期は、カルビドパ(CD)を投与しない場合は、約50分間である。CDおよびLDが一緒に投与された場合は、LDの半減期は、約1.5時間に増大する。定常状態では、シネメット(登録商標)錠からのLDのバイオアベイラビリティは、カルビドパおよびLDの併用投与に比較するとおよそ99%である。
【0071】
LDはパーキンソン病(PD)のために最も有効な治療薬であるが、長期使用に関しては問題がある。早期PD患者は、LDを用いると各LD投与への持続性反応を伴って良好に緩解する。しかし時が経つにつれて、各投与後の応答期間は減少し、次の投与が治療濃度に到達するまで投薬が機能しない「ウェアリング・オフ(wearing off)」が生じる。疾患が進行するにつれて、患者は、LDが機能しない長期のオフ(OFF)期間に苦しむ。さらに、日常生活に支障を来たすLD治療の副作用は、通常はピーク用量作用としての運動障害の発生である。ウェアリング・オフおよび運動障害というこれらの現象はどちらも、線条体ドーパミン受容体の拍動性刺激およびドーパミンのピーク濃度とトラフ濃度との大きな差によって誘発されると考えられている。このため、投与頻度を増加させる、または制御放出型製剤を用いた治療のいずれかによって、拍動性ではなくむしろ持続性の、ドーパミン作動性刺激を提供することが有益である。現在利用可能な制御放出型LD治療薬であるシネメット CR(登録商標)は、減少したバイオアベイラビリティおよび有効性を示してきたが、これはLDが主として上方の腸内で吸収され、吸収領域を通過した緩徐放出型製剤が有効ではないであろうからである。
【0072】
本発明のGRDF製剤は、吸収領域もしくはその上方、腸の上方で、最小のピーク/トラフ変動を伴って維持されるLDの制御放出を維持し、そこで有効性および安全性プロファイルに関して最も有益な治療を提供する。
【0073】
本発明の胃内滞留性剤形は、長期間にわたって高い薬物バイオアベイラビリティを維持しながら、便宜的にも長期間にわたって持続放出プロファイルまたは組み合わせの即時放出および持続放出プロファイルで活性薬剤を放出することができる。
【0074】
以下では、本発明を例示することだけを目的として本発明の範囲を限定すると見なすべきではない実施例によって本発明の詳細な説明を述べる。これらの実施例の変形および同等物は、当業者には、本発明の開示、図面および添付の特許請求の範囲を参照すれば明白であろう。
【0075】
低および中カロリー食下での胃内滞留
胃内滞留性製剤は、活性薬剤が低もしくは中カロリー食下で24時間まで胃内に維持されるように、長期間にわたってそれらの物理的完全性を維持する。低および中カロリー食の使用は、それが患者の通常の食習慣に従っており、GRDFを投与する各場合に過度の食事を必要としないので、有益である。GRDFは長期間にわたって胃内に維持することができるが、GRDF成分の全部は分解性であり、それらが腸に達すると完全に分解される。
【0076】
以下では実施例によって、本発明を詳細に提示する。これらの実施例は、典型に過ぎず、本発明を本明細書に記載した特定の実施形態に限定することは意図されていない。
【実施例1】
【0077】
GRDFの超音波溶接
GRDFの層を溶接するために、Rinco Ultrasonics社製のDynamic 745超音波溶接機を以下のパラメータとともに使用した:
【0078】
【表2】

【0079】
図6および7は、GRDF層を一緒に付着させるために使用される超音波溶接機のアンビルおよびホーンの設計を示している。さらに、溶接された領域の範囲の断面図が提供されている。図8は、内層の周囲で外被を形成するために外層が相互に超音波溶接されているGRDFの一部分の拡大写真を示している。内層の外周部分と外層との間の溶接もまた見ることができる。
【実施例2】
【0080】
GRDFの展開
以下のデータは、本発明のGRDFが短期間内で展開すること、そして有効成分の展開および放出前に胃を通って迅速に通過することはないであろうことを示している。以下の実験は、カプセル内に最初に装填し、次にUSP(米国薬局方)装置2(50rpm)内でSGF(pH1.2)または酢酸バッファー(USP)(pH4.1)のいずれかの中に配置したプラセボGRDFを用いて実施した。GRDFは、15分後に目視により検査した。さらに、その最長寸法に沿ったアコーディオン積層板の長さは、30、60および120分間後に媒質中で測定した。完全に平板なデバイスは、45mmの長さを有する。
結果については、図10および11を参照されたい。これらのデバイスは30分間で展開する。15分後の目視検査は、ピルが溶解し、デバイスが30分後に見られるサイズとほぼ同一サイズに開放されていたことを示した。
【実施例3】
【0081】
GRDFの機械的特性
GRDFおよびそれらのフィルムの機械的特性を試験した。結果については、図5を参照されたい。無傷GRDF、ならびにドッグボーン形に切断された標本を、それらの機械的特性を決定するために試験した。歪み、負荷、応力、およびヤング率についての数値を提供した。
【実施例4】
【0082】
GRDFの分解性
以下の結果は、GRDFが消化管に類似する環境内に通過した場合の、本発明のGRDFの完全生分解性を証明している。4つのGRDFデバイスを模擬腸液(USP SIF)内に配置し、3時間にわたり1時間毎に監視した。これらのデバイスは、最初はピル内に装填せずに、SIF内へ直に配置した。3時間後、デバイスは溶解した。
【実施例5】
【0083】
カルビドパ−レボドパGRDF製剤
GRDFは、内層、外層、および即時放出層のための以下の成分を使用して製造した。
【0084】
【表3】

【実施例6】
【0085】
カルビドパ−レボドパGRDFの放出プロファイル
GRDFが有効成分の即時放出および制御放出の両方を提供する能力を例示するために、上記(実施例5)カルビドパ/レボドパのための放出プロファイルを決定した。カルビドパおよびレボドパは、各々75および300mgの総量で存在する。詳細には、即時放出層中にはカルビドパが30mgおよび制御放出型として患者に提供される内層中には45mgが存在する。レボドパについては、100mgが即時放出層中に、200mgが内層中に存在する。
【0086】
実験は、USP装置2(50rpm)内の酢酸バッファー(USP)(pH4.1)中で実施した。図9に示したように、両方の薬物についての即時放出は1時間以内に発生し、持続放出は8時間にわたって見られた。
【0087】
これらの実験は、本GRDFを使用して単一または複数の薬物を同時に、効果的に供給する能力を例示している。同時に供給される場合は、これらの薬物は、1つの系で所望のプロファイルおよび放出特性を提供するために即時放出および制御放出層中に濃縮させることができる。
【実施例7】
【0088】
健常被験者における即時放出型シネメット(登録商標)および制御放出型シネメット CR(登録商標)薬物動態プロファイルと比較したカルビドパ/レボドパGRDFの薬物動態プロファイル
試験
2つの単一GRDFレボドパ/カルビドパ(LD/CD)投与製剤の薬物動態を評価するために健常被験者において三元交差試験を実施した。軽食を摂取した後の健常男性被験者に投与したレボドパ300mgおよびカルビドパ75mgを含有するGRDF LD/CD(実施例5に記載の製剤)の単回投与を、レボドパ100mgおよびカルビドパ25mgを含有するシネメット(登録商標)ならびにレボドパ200mgおよびカルビドパ50mgを含有するシネメット CR(登録商標)と比較した。
【0089】
レボドパの薬物動態
レボドパの血漿半減期は、カルビドパを投与しない場合は、約50分間である。カルビドパおよびレボドパが一緒に投与された場合は、レボドパの半減期は、約1.5時間に増大する。定常状態では、シネメット(登録商標)錠からのカルビドパのバイオアベイラビリティは、カルビドパおよびレボドパの併用投与に比較するとおよそ99%である。
【0090】
カルビドパは、末梢レボドパの脱カルボキシル化を阻害する。カルビドパは、脳血液関門を横断せず、中枢神経系内でのレボドパの代謝に影響を及ぼさない。
【0091】
カルビドパは所与の反応を生成するために必要とされるレボドパの量を約75%減少させ、レボドパと一緒に投与されると、レボドパの血漿濃度および血漿半減期の両方を増加させ、血漿中および尿中ドーパミンおよびホモバニリン酸を減少させる。
【0092】
臨床薬理学的試験では、カルビドパおよびレボドパの同時投与は2つの薬物を別個の時点に投与した場合よりもドーパミンの排泄に比例してレボドパのより大きな尿排泄を生成した。
【0093】
パーキンソン病のためにレボドパ療法により治療された患者は、エンド・オブ・ドーズ((end−of−dose failure:薬が切れてくるときの症状の悪化)、ピーク・ドーズ・ジスキネジア(peak dose dyskinesia:血中濃度のピーク時に起こる運動障害)、およびアキネシア(akinesia:運動不能症)を特徴とする運動変動を発生する可能性がある。運動変動の進行形(オン・オフ現象)は、可動性から不動性への予測不能な変動を特徴とする。運動変動の原因は完全には理解されていないが、一部の患者においては、それらはレボドパの定常血漿濃度を生成する治療レジメンによって弱めることができる。
【0094】
レボドパ/カルビドパ(シネメット CR(登録商標))の本製剤は、4〜6時間の期間にわたる成分の制御放出を提供する。しかし、この組み合わせの持続放出型製剤は生体内利用率が即時放出型製剤(99%)より低く(70〜75%)、同一濃度の症状緩和を達成するために増加した1日量を必要とする可能性がある。LD/CDの典型的な開始用量は、レボドパの1日300〜400mgの総量に対して1日3もしくは4回レボドパ100mgおよびカルビドパ25mgである。
【0095】
本試験のためには、レボドパ総1日量600mgに対して、GRDF CD/LD 75/300mgが計画された。
【0096】
胃内滞留は高脂肪高カロリー食(食物滞留)を摂取することによって達成できるので、真の胃内滞留を低カロリー朝食が投与された健常被験者において評価した。
製剤
A.参照製剤
製剤 シネメット(登録商標)
投与された用量 25/100(1錠)
有効成分 カルビドパ/レボドパ、即時放出型
剤形 錠剤
強度 100mg/25mg
製造業者 MERCK&CO.社
B.参照製剤
製剤 シネメット CR(登録商標)
投与された用量 50/200(1錠)
有効成分 カルビドパ/レボドパ、制御放出型
剤形 錠剤
強度 25/100mg
製造業者 MERCK&CO.社
C.参照製剤
製剤 GRDF CD/LD
投与された用量 75/300mg
有効成分 カルビドパ/レボドパ、制御放出型
剤形 カプセル剤
強度 75/300mg
【0097】
治療
単一施設オープンラベル単回投与三元交差薬物動態試験を、年齢が18〜55歳の健常男性被験者24例において実施した。成人健常被験者は、試験日の間に少なくとも1週間のウォッシュアウト期間を伴う、3日間の試験日に参加した。
【0098】
全経口製剤は、軽い朝食後に240mLの水とともにそのまま嚥下された。全試験日を通して全被験者に標準食を与えた。
【0099】
静脈血サンプルは、投与前に、およびその後に薬物の薬物動態挙動に適合する頻回な間隔で採血した。レボドパ血漿濃度を分析した。
【0100】
本試験の結果は、以下の表および図12に示した。
【0101】
【表4】

【0102】
これらの結果は、GRDF LD/Cが、参照製剤と比較して胃内での滞留時間を延長させ、有効成分を5時間にわたって制御放出したことを示している。GRDF LD/CDは、これらの吸収窓の上方の部位で有効成分の持続放出を提供し、血漿濃度におけるわずかな変動を伴ってバイオベイラビリティを改善し、そこでレボドパおよびカルビドパの定常血漿濃度を提供した。
【0103】
パーキンソン病のためにレボドパ療法により治療された患者は、エンド・オブ・ドーズ、ピーク・ドーズ・ジスキネジア、およびアキネシアを特徴とする運動変動を発生する可能性があることは公知である。これらの症状は、レボドパの定常血漿濃度を生成する治療レジメンによって軽減することができる。短時間で上昇するが、それでも定常濃度のレボドパおよびカルボドパを提供することによって、GRDF LD/CDは、レボドパおよびカルボドパの定常血漿濃度を提供するLD/CDの即時放出および制御放出メカニズムの組み合わせに対する必要を満たすので、結果として1日当たりのより少ない投与回数ならびにより良好な患者の応答およびコンプライアンスを生じさせる。
【実施例8】
【0104】
健常被験者およびパーキンソン患者における胃内滞留にGRDF製剤が及ぼす作用
GRDF製剤が胃内滞留に及ぼす作用を決定するために、MRIを使用して様々なプラセボGRDFを用いて臨床試験を実施した。これらの試験のためのGRDFの薬物リザーバ層は有効成分を含有していない。その代りに、薬物リザーバは、磁気共鳴イメージング(MRI)で可視化できる酸化鉄食用着色剤(sicovit black e172)を含有する。
【0105】
これらのMRI試験の結果は、GRDF製剤が健常ボランティアにおいては胃内に7〜13時間滞留するがパーキンソン患者では7〜24時間にわたり滞留することを証明した。
【実施例9】
【0106】
カルビドパ−レボドパGRDF製剤
3種の追加のGRDF製剤を製造した。
【0107】
【表5】

【0108】
【表6】

【0109】
【表7】

【実施例10】
【0110】
健常被験者における即時放出型シネメット(登録商標)および制御放出型シネメット CR(登録商標)の薬物動態プロファイルと比較したカルビドパ/レボドパGRDFの即時放出および制御放出プロファイル
試験の目的
本試験の目的は、様々な範囲の放出プロファイルを備える3種の制御放出型GRDF CD/LD製剤(実施例9)の単回用量の経口投与後のレボドパおよびカルビドパの薬物動態プロファイルを2錠の25/100mg IR錠として投与された参照製剤シネメット(登録商標)50/200mgの単回投与の薬物動態プロファイルと比較することによって、GRDF CD/LD最高プロファイルを評価することであった。また別の目的は、試験期間中の有害事象について被験者を監視すること、そして試験製剤の安全性を参照製剤と比較することであった。
【0111】
試験デザイン
本試験は、単一施設無作為化単回投与オープンラベル四元4治療比較交差試験として設計した。本試験は、各期間がカルビドパ前処置日およびその間に試験製剤もしくは参照薬物のいずれか1つの単回用量が軽−中カロリー朝食後に投与される試験薬投与日を含む、4つの同一投与期間を含んでいた。投与の後には、薬物動態血液サンプリングおよび次の24時間にわたり有害事象監視を実施した。レボドパ200もしくは300mgのいずれかおよびカルビドパ50もしくは75mgのいずれかを備えるGRDF CD/LDの単回用量は軽食の摂取後に年齢18〜55歳(包含的)の健常男性被験者に投与した。GRDF CD/LDは、レボドパ1日当たり400〜600mgの総1日量のための1日2回投与スケジュールのために計画した。GRDF CD/LDは、レボドパの迅速だが定常濃度を提供するために即時放出および制御放出機序の組み合わせとして2つの有効成分を放出するように調製した。本試験では、タンパク質がレボドパ吸収と競合するので、低タンパク質含量を備える低−中カロリー朝食後に胃内滞留性制御放出型GRDF CD/LDの薬物動態について試験した。
製剤
試験製剤 GRDF CD/LD
投与された用量 75/300mg、または50/200mg
有効成分 カルビドパ/レボドパ、IR+CR
剤形 カプセル剤
75/300mgの用量を2種の製剤(aおよびb)において試験し、50/200mgの用量を1種の製剤において試験した。
参照製剤 シネメット(登録商標)錠(カルビドパ/レボドパ25/100mg)
投与された用量 50mgのカルビドパおよび200mgのレボドパ(2錠の25/100mg)
有効成分 カルビドパ/レボドパ、即時放出型
剤形 錠剤
製造業者 MERCK&CO.社
カルビドパ前処置 Lodosyn(登録商標)
投与された用量 1日前に50mg(2錠)を3回
有効成分 カルビドパ
剤形 錠剤
製造業者 MERCK&CO.社
被験者は、固有の治療順序へ無作為に割り当てた。
【0112】
試験方法
本試験薬は、室温で240mLの水とともにそのまま嚥下された。各被験者は、治療間には少なくとも7日間のウォッシュアウト期間に曝露された。
【0113】
カルビドパおよびレボドパ血漿濃度を各試験期間について測定するために、患者1例に付き17例の連続血液サンプルを採血した。レボドパの薬物動態データを評価した。
【0114】
レボドパの結果
ボランティア21例についてのレボドパ試験の結果は、図13および以下の表に示した。
【0115】
【表8】

【0116】
【表9】

【0117】
【表10】

【0118】
これらの結果は、レボドパの胃内滞留性制御放出型供給が真の制御放出挙動を産生することを示している。両方の胃内滞留性製剤は、予測通りに、低用量GRDF、および即時放出型製剤に対してわずかに劣っている、匹敵するバイオベイラビリティを証明した。
平均滞留時間は、即時放出型製剤と比較して、胃内滞留性制御放出型製剤中では2倍以上増加する。用量に相関するCmaxの比例の欠如は明白であり、真の制御放出挙動と一致している。
【実施例11】
【0119】
カルビドパ−レボドパGRDF製剤
2つの追加のGRDF製剤は、内層、外層、および即時放出層のための以下の成分を使用して製造した。
【0120】
【表11】

【0121】
【表12】

【実施例12】
【0122】
カルビドパ−レボドパGRDFの放出プロファイル
GRDFが有効成分の即時放出および制御放出の両方を提供する能力を例示するために、上記のカルビドパ/レボドパGRDFのための放出プロファイルを決定した。カルビドパおよびレボドパは、各々50および250または50および375mgの総量で存在する(実施例11)。詳細には、即時放出層中にはカルビドパが25mgおよび制御放出型として患者に提供される内層中には25mgが存在する。レボドパについては、70もしくは100mgが即時放出層中に、内層中には180もしくは275mgが存在する。
【0123】
実験は、USP装置2(50rpm)内の酢酸バッファー(USP)(pH4.1)中で実施した。両方の薬物についての即時放出は1時間以内に発生し、持続放出は、250mgのレボドパ製剤については12時間にわたり、375mgのレボドパ製剤については16時間にわたり見いだされた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の胃および消化管内で活性薬剤を持続放出するための分解性多層錠胃内滞留性製剤であって、
活性薬剤および胃液中で即時に可溶性ではない分解性ポリマーを含む内層であって、第1の面および対向する第2の面を含む内層と、
前記内層を被覆する少なくとも1つの膜であって、親水性ポリマーと胃媒質中では不溶性であるポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組み合わせを含み、前記内層より速い速度で水和性である膜
とを含み、
前記膜は前記内層の両面へ直に固定されて両面を被覆し、平面配向において20mmより長い所定の長さを有し、前記膜および内層は前記胃内で溶解性のカプセル内に配置するために十分に密なアコーディオン折り配向で配置されており、
前記膜および内層は、胃媒質に曝露されてから30分間以内に前記初期アコーディオン折り配向から少なくとも20mmの長さに展開するのに十分な機械力を発生し、
前記膜は、胃媒質の環境から前記内層への通過、および前記活性薬剤の前記内層から膜を通った環境への通過を許容する、胃内滞留性製剤。
【請求項2】
前記膜および内層は、胃液に曝露されてから15分間以内に、少なくとも20mmの長さに展開する、請求項1に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項3】
前記内層は、模擬胃液中に入れてから1時間後に、約0.5〜15Kgf/mmの範囲内のヤング率、および約0.03〜約0.6Kgf/mmの範囲の応力で表される機械的強度を有する、請求項1に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項4】
前記膜は、2つの別個の膜を含み、各膜は前記膜の外周辺に沿って一緒に直に結合されており、全内層は完全に前記膜間に位置しており、前記膜は前記内層の少なくとも1つの表面の一部分に沿って前記内層に固定される、請求項1に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項5】
前記膜は、超音波溶接を用いて一緒に結合される、請求項4に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項6】
前記膜は、前記内層の外周辺に隣接する領域に沿った超音波溶接によって、前記内層と一緒に結合される、請求項5に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項7】
前記内層の表面の中央部分は、本質的に超音波溶接部がない、請求項6に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項8】
前記内層および膜は、追加の接着部材を含まない、請求項4に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項9】
前記消化管内で活性薬剤を持続放出するための前記多層状胃内滞留性製剤は、
活性薬剤および胃液中で即時に可溶性ではない分解性ポリマー組成物を含む内層であって、第1の面および対向する第2の面を含む内層と、
前記内層を被覆する第1の膜および第2の膜であって、親水性ポリマーと胃媒質中では不溶性であるポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組み合わせを含み、前記内層より水和性である、第1の膜および第2の膜とを含み、
前記第1の膜および第2の膜は、前記内層の幅および長さより長い、幅および長さを有し、
前記第1の膜および第2の膜は前記第1および第2の膜の周辺で超音波溶接、または直に貼付もしくは付着され、前記第1の膜は前記内層の第1の面に付着され、前記第2の膜は前記内層の前記第2の面に付着され、
前記内層ならびに第1の膜および第2の膜は、平面配向において20mmより長い所定の長さを有し、前記膜および内層は胃内で溶解性のカプセル内に配置するために十分なアコーディオン折り配向で配置され、
前記超音波溶接は、胃媒質に曝露されたときに原形を保つのに十分な機械的強度を有する、
請求項1に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項10】
前記内層ならびに第1および第2外層は、超音波溶接部を実質的に含まない中央領域を含む、請求項11に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項11】
前記膜と内層との間の前記超音波溶接は、前記内層を通って完全に貫通しない、請求項12に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項12】
前記膜と内層との間の前記超音波溶接部のパターンは、連続的ではない、請求項11に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項13】
前記膜の周辺上の前記超音波溶接部は、前記内層を取り囲むが捕捉はしないスカート領域を形成する、請求項12に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項14】
前記内層ならびに第1および第2外層は、超音波溶接部を実質的に含まない中央領域を含む、請求項13に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項15】
前記超音波溶接された内層および膜は、模擬胃液中に入れてから1時間後に、約0.05〜0.4Kgf/mmの範囲のヤング率で表される機械的強度を有する、請求項11に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項16】
前記膜および内層は、胃液に曝露されてから15分間以内に、少なくとも20mmの長さに展開する、請求項15に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項17】
平面配向にある前記膜の長さは、少なくとも30mmである、請求項16に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項18】
消化管内で活性薬剤を持続放出するための生分解性多層錠胃内滞留性製剤であって、
活性薬剤、分解性親水性ポリマー、5.5未満のpHでは実質的に不溶性である分解性腸溶性ポリマー、可塑剤、及び内層を被覆する少なくとも1つの膜を含む内層であって、前記膜は、親水性ポリマーと胃媒質中では不溶性であるポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組み合わせ、および少なくとも1つの可塑剤を含み、かつ前記膜は胃媒質中で膨潤し、
前記内層および膜の各々の物質のうちの少なくとも1つは、一緒に超音波溶接することができ、
前記膜は内層の両面へ直に固定されて両面を被覆し、平面配向において20mmより長い所定の長さを有し、前記膜および内層は胃内で溶解性のカプセル内に配置するために十分なアコーディオン折り配向で配置され、前記膜は、胃液の胃から前記内層への通過、および前記活性薬剤の前記内層から前記膜を通った前記胃への通過を許容し、
前記膜および内層は、胃液に曝露されてから30分間以内に、アコーディオン折り配向から少なくとも20mmの長さに展開するための十分な機械力を発生する、
胃内滞留性製剤。
【請求項19】
前記内層中の前記腸溶性ポリマーは、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒプロメロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニルおよびメチルメタクリレート−メタクリル酸コポリマーからなる群から選択される、請求項18に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項20】
前記外膜中の前記ポリマーの組み合わせは、ゼラチンを含む、請求項18に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項21】
前記膜中の前記腸溶性ポリマーは、1種類以上のUSPポリメタクリレートからなる群から選択される、請求項18に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項22】
前記膜は、可塑剤としてのプロピレングリコールを含む、請求項18に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項23】
前記膜中のゼラチンの量は、全外膜組成物の約20%〜約45%の量である、請求項22に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項24】
前記内層は、模擬胃液中に入れてから1時間後に、約0.5〜15Kgf/mmの範囲のヤング率、および約0.03〜約0.6Kgf/mmの範囲の応力で表される機械的強度を有する、請求項18に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項25】
前記外膜は、前記アコーディオン折り膜および内層が胃媒質中で展開することを引き起こすように前記内膜より速い速度で膨潤する、請求項18に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項26】
前記内膜より速い速度で膨潤することによって、前記アコーディオン折り膜および内層が胃媒質中で展開することを引き起こす前記外膜は、結果として展開を生じさせる力を発揮するように、前記内膜へ密接に貼付または付着される、請求項25に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項27】
前記胃内滞留性製剤は、模擬腸液中で3時間以内に完全分解可能である、請求項1に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項28】
前記胃内滞留性製剤は、ヒトにおいて低もしくは中カロリー食下で、24時間までの活性薬剤の胃内滞留を提供する、請求項1に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項29】
前記活性薬剤は、局所感染症、肥満症およびGI病変を治療するための薬物などの、消化管の局所治療用の薬物である、請求項1に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項30】
少なくとも1つの追加の層は、前記胃内滞留性製剤の1の面もしくは2つの面上の外膜に貼付されており、前記膜は水溶性ポリマー、可塑剤、胃内での前記薬物の即時放出が意図される可溶化剤、錠剤崩壊剤および潤滑剤からなる群から選択される1つ以上の添加物と一緒に、1つの薬物もしくは薬物の組み合わせを含む、請求項1に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項31】
前記活性薬剤は、レボドパおよびカルビドパからなる群から選択される薬物を含む、請求項29に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項32】
前記製剤は、250mgのレボドパおよび50mgのカルビドパを含む、請求項31に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項33】
70mgのレボドパおよび25mgのカルビドパは即時放出型成分として調製されるが、前記カルビドパおよびレボドパの残りは、8〜10時間の制御方法で放出される、請求項32に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項34】
前記製剤は、375mgのレボドパおよび50mgのカルビドパを含む、請求項31に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項35】
100mgのレボドパおよび25mgのカルビドパは、即時放出型成分として調製され、前記カルビドパおよびレボドパの残りは、8〜10時間の制御方法で放出される、請求項34に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項36】
前記内区画は、前記製剤の機械的強度を増加させるためのバックボーンとして意図とされた1つの層を含み、この層の前記内区画は、追加の層、または前記1つ以上の有効成分および不活性成分を含む層の1の面もしくは2つの面上に付着されて、前記薬物の制御放出を意図し、前記層は、請求項1〜35に記載の外膜の2つの層によって被覆され、かつそれらの間に含まれている、請求項1に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項37】
消化管内で活性薬剤を持続放出するための生分解性多層錠胃内滞留性製剤であって、
活性薬剤、胃液中では即時に可溶性ではない分解性親水性ポリマー、5.5未満のpHでは実質的に不溶性である分解性腸溶性ポリマー、および可塑剤と含む内層であって、第1の面および対向する第2の面を含む内層と、
前記内層を被覆する第1の膜および第2の膜であって、水和膨潤性ポリマーと腸溶性ポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組み合わせ、および少なくとも1つの可塑剤を含む膜であって、胃液の存在下では膨潤する膜と、
前記内層および膜の各々の物質のうちの少なくとも1つは、一緒に超音波溶接することができ、
前記膜は前記内層の両面へ直に固定されて両面を被覆し、平面配向において20mmより長い所定の長さを有し、前記膜および内層は、胃内で溶解性のカプセル内に配置するために十分なアコーディオン折り配向で配置されており、
前記膜および内層は、胃液に曝露されてから30分間以内に、アコーディオン折り配向から少なくとも20mmの長さに展開するための十分な機械力を発生し、
前記第1の膜および第2の膜は、前記内層の幅および長さより長い、幅および長さを有し、
前記第1の膜および第2の膜は、前記第1の膜および第2の膜の周辺の周囲に一緒に直に超音波溶接されており、前記第1の膜は前記内層の第1の面に超音波溶接され、前記第2の膜は前記内層の第2の面に超音波溶接され、前記膜は、胃液が胃から前記内層への通過、及び胃液および前記活性薬剤が前記内層から前記膜を通った胃への通過を許容し、
前記内層ならびに第1の膜および第2の膜は、平面配向において20mmより長い、所定の長さを有し、前記膜および内層は、胃内で溶解性のカプセル内に配置するのに十分なアコーディオン折り配向で配置され、
前記超音波溶接は、胃媒質に曝露されたときに原形を保つための十分な機械的強度を有する、生分解性多層錠胃内滞留性製剤。
【請求項38】
消化管内で活性薬剤を持続放出するための胃内滞留性製剤であって、
i)前記活性薬剤およびそのうちの少なくとも1つはポリマーである、1つ以上の医薬賦形剤とを含む内層もしくは区画と、
ii)前記内膜の周囲で一緒に外被を形成する2つの膜であって、各膜は親水性ポリマーと胃媒質中では不溶性であるポリマーとの少なくとも1つのポリマーの組み合わせ、および少なくとも1つの可塑剤を含む2つの膜と、
iii)場合により各外膜を被覆する追加の層であって、前記カプセルの内側に折り畳まれた場合に前記外膜がそれ自体に付着するのを防止する粉末もしくはフィルムを含む追加の層とを含む、胃内滞留性製剤。
【請求項39】
前記活性薬剤および前記活性薬剤の即時放出を提供し、1つの外膜または2つの外膜もしくは前記外膜の一部の外面に付着させられている可溶性ポリマーを含む、1つもしくは2つの層をさらに含む、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項40】
前記内層および膜は、アコーディオン折り配向から効果的に展開し、酸性pHにおいては24時間後までは安定性であり、模擬腸液中では3時間後に完全生分解性である、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項41】
前記内層中の前記ポリマーは、胃液中では即時に可溶性ではない分解性親水性ポリマー、および5.5未満のpHでは実質的に不溶性である分解性腸溶性ポリマーからなる群から選択される、請求項39に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項42】
前記内層中の前記腸溶性ポリマーは、ポリメタクリレートコポリマーである、請求項41に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項43】
前記腸溶性ポリマーは、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒプロメロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニルまたは酢酸トリメリト酸セルロースのうちの少なくとも1つである、請求項41に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項44】
前記活性薬剤および前記ポリマーは、前記内層中に一様に分布している、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項45】
前記外膜中の前記ポリマーの組み合わせは、ゼラチンおよび酢酸コハク酸セルロースを含む、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項46】
前記膜中の前記腸溶性ポリマーは、A型USPポリメタクリレートコポリマーである、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項47】
前記膜中の前記腸溶性ポリマーは、C型USPポリメタクリレートコポリマーである、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項48】
前記外膜中の前記可塑剤は、プロピレングリコールである、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項49】
前記内層または区画、前記膜、および前記任意の追加層または前記即時放出層は、超音波溶接を適用することによって結合される、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項50】
前記内層は、胃媒質で湿潤すると、前記溶接された内層および膜の少なくとも50%の機械的強度を提供する、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項51】
前記GRDFは、模擬胃液中において2時間未満で最終的最大強度に到達する、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項52】
前記内層は、模擬胃液中において30分間以内で原長の少なくとも50%に展開する平面−アコーディオン形状を有する、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項53】
前記内層および膜は、模擬腸液中で3時間以内に完全分解可能である、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項54】
前記GRDFは、低もしくは中カロリー食下で24時間までの胃内滞留を提供する内層を含む、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項55】
経口投与のために設計されており、容易に嚥下される標準サイズのカプセル内に圧縮、または折り畳まれる、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項56】
前記1つ以上の有効成分は、固体溶液、粉末、顆粒、球、粒子、微粒子、ナノ微粒子、多微粒子、またはマイクロカプセルのうちの1つ以上として前記内層中に組み込まれる、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項57】
前記活性薬剤は前記消化管内での狭い吸収窓を有し、前記活性薬剤は、治療用核酸配列、治療用タンパク質もしくはペプチド、ペプチド模倣薬、ヌクレオシドアナログ、アミノ酸アナログ、抗生物質、治療用イオン、ビタミン、気管支拡張剤、抗痛風薬、降圧薬、利尿薬、抗脂質異常症薬、ACE阻害剤、CNS活性薬剤、抗腫瘍薬、ヒスタミン(H2)遮断薬、ビスマス塩または合成プロスタグランジンのうちの1つ以上である、請求項38に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項58】
前記活性薬剤は、レボドパである、請求項57に記載の胃内滞留性製剤。
【請求項59】
前記活性薬剤は、前記消化管の局所治療のため、または局所感染症、消化器疾患および症状、代謝障害、限局性癌または癌関連疾患を治療するための薬物である、請求項57に記載の胃内滞留性製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−518148(P2011−518148A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504573(P2011−504573)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005691
【国際公開番号】WO2009/144558
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(508218785)インテック ファーマ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】