説明

カルボキシベタイン

【課題】保湿性に著しく優れた化合物の提供
【解決手段】式(1)で表されることを特徴とするカルボキシベタインを用いる。また、式(1)で表されるカルボキシベタインを製造する方法であって、式(2)で表されるビニル化合物とアミンとを反応させて式(3)で表されるアミノカルボキシ化合物を得る工程(1)、及び式(3)で表されるアミノカルボキシ化合物と4級化剤とを反応させてカルボキシベタインを得る工程(2)とを含むことを特徴とするカルボキシベタインの製造方法を用いる。
【化1】


OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜200の整数、Xは−CO2H、−CO2R’、−CO2M、−CONR2又は−CNで表される基、Rは水素原子又は炭素数1〜22の有機基、R’は炭素数1〜22の有機基、Mは金属原子又はアンモニウム、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子、Nは窒素原子を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカルボキシベタインに関する。さらに詳しくは保湿剤として有用なカルボキシベタインに関する。
【背景技術】
【0002】
両性界面活性剤としてアミドベタインが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開昭62−243698号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のアミドベタインでは、保湿性が不十分なことがあった。すなわち、本発明の目的は、保湿性に著しく優れた化合物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のカルボキシベタインの特徴は、式(1)で表される点を要旨とする。
【化1】

Rは水素原子又は炭素数1〜22の有機基、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜200の整数、R’は炭素数1〜22の有機基、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子、Nは窒素原子を示す。
【0005】
また、本発明のカルボキシベタインの製造方法の特徴は、式(1)で表されるカルボキシベタインを製造する方法であって、式(2)で表されるビニル化合物とアミンとを反応させて式(3)で表されるアミノカルボキシ化合物を得る工程(1)、及び式(3)で表されるアミノカルボキシ化合物と4級化剤とを反応させてカルボキシベタインを得る工程(2)とを含むことを特徴とするカルボキシベタインの製造方法。
【化2】

OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜200の整数、Xは−CO2H、−CO2R’、−CO2M、−CONR2又は−CNで表される基、Rは水素原子又は炭素数1〜22の有機基、R’は炭素数1〜22の有機基、Mは金属原子又はアンモニウム、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子、Nは窒素原子を示す。
【発明の効果】
【0006】
本発明のカルボキシベタインは、極めて優れた保湿性を発揮する。よって、保湿剤等に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
Rのうち、炭素数1〜22の有機基としては、アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル及びアシル等が含まれる。
【0008】
アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル、イソオクタデシル、シクロヘキシル及びエイコシル等が挙げられる。
アルケニルとしては、1−プロペニル、2−プロペニル、3−ブテニル、4−イソヘキセニル、9−デセニル、オレイル、オクタデカンジエニル、シクロヘキセニル及びエイコセニル等が挙げられる。
アリールとしては、フェニル、トルイル、キシレニル、クメニル、メシチル、フェニルフェニル(ビフェニリル)、ビニルフェニル、プロペニルフェニル、オクチルフェニル、ノナニルフェニル、ジオクチルフェニル、ナフチル、ピリジニル及びアントリル等が挙げられる。
アリールアルキルとしては、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルヘキシル、トルイルエチル、オクチルフェニルメチル、ビニルフェニルエチル及びプロペニルフェニルメチル等が挙げられる。
アシルとしては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル、イソブチリル、カプロイル、2−エチルヘキソイル、ラウロイル、ミリステアロイル、パルミトイル、ステアロイル、オレオイル及びイソステアロイル等が挙げられる。
これらの有機基のうち、アルキル、アルケニル、アリールアルキル及びアシルが好ましく、さらに好ましくはアルキル、アリールアルキル及びアシル、特に好ましくはアルキルである。
【0009】
炭素数2〜4のオキシアルキレン基(OA)としては、オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレンが含まれる。これらのうち、オキシエチレン及びオキシプロピレンが好ましく、さらに好ましくはオキシエチレンである。
(OA)nの中に、複数種類のオキシアルキレンが含まれてもよい。複数種類のオキシアルキレンが含まれる場合、結合様式はブロック状、ランダム状及びこれらの組合せのいずれでもよい。またこの場合、オキシエチレンを含むことが好ましい。
【0010】
nは0〜200の整数であり、好ましくは0又は4〜180の整数、さらに好ましくは0又は5〜160の整数、特に好ましくは0又は6〜140の整数、次に好ましくは0又は7〜120の整数、最も好ましくは0又は8〜100の整数である。
炭素数1〜22の有機基(R’)としては、アルキル、アルケニル、アリール及びアリールアルキル等が含まれる。
これらのうち、アルキル、アルケニル及びアリールアルキルが好ましく、さらに好ましくはアルキル及びアリールアルキル、特に好ましくはアルキルである。
【0011】
式(1)で表されるカルボキシベタインは、公知の方法を組み合わせて容易に製造できる。たとえば、式(2)で表されるビニル化合物とアミンとを反応させて式(3)で表されるアミノカルボキシ化合物を得る工程(1)、及び式(3)で表されるアミノカルボキシ化合物と4級化剤とを反応させてカルボキシベタインを得る工程(2)とを含む製造方法が適用できる。
【0012】
式(2)及び(3)において、OA、n、R、R’、O、C、H及びNは、式(1)と同様であり、好ましい範囲も同じである。
Xは、−CO2H、−CO2R’、−CO2M、−CONR2又は−CNで表される基(Mは金属原子又はアンモニウム)を表す。
【0013】
金属原子又はアンモニウム(M)のうち、金属原子としてはカルボン酸金属を形成し得るものでれば制限がないが、塩を形成し得る金属{アルカリ金属(リチウム、カリウム及びナトリウム等)、アルカリ土類金属(マグネシウム及びカルシウム等)及び遷移金属(銅及び亜鉛等)}等が好ましく挙げられる。また、アンモニウムとしては、アンモニウム(NH4)の他、第1〜4級アンモニウムが含まれる。第1級アンモニウムとしては、炭素数1〜4のアンモニウム等が用いられ、メチルアンモニウム、エチルアンモニウム及びイソブチルアンモニウム等が挙げられる。第2級アンモニウムとしては、炭素数2〜8のアンモニウム等が用いられ、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム及びメチルイソブチルアンモニウム等が挙げられる。第3級アンモニウムとしては、炭素数3〜12のアンモニウム等が用いられ、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム及びジメチルイソブチルアンモニウム等が挙げられる。第4級アンモニウムとしては、炭素数4〜16のアンモニウム等が用いられ、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム及びジメチルジイソブチルアンモニウム等が挙げられる。
【0014】
<式(2)で表されるビニル化合物>
式(2)で表されるビニル化合物としては、以下の、(1)カルボン酸(Xが−CO2H)、(2)カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)、(3)カルボン酸塩(Xが−CO2M)、(4)アミド(Xが−CONR’2)及び(5)カルボン酸ニトリル(Xが−CN)等が好ましく例示される。
【0015】
(1)カルボン酸(Xが−CO2H)
α−ヒドロキシメチルアクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−(ヒドロキシエチルオキシエチルオキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸等。
【0016】
(2)カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)
α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸メチル、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸メチル及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸メチル等。
【0017】
(3)カルボン酸塩(Xが−CO2M)
α−ヒドロキシメチルアクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸カリウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキプロピルオキシシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ナトリウム塩、α−ヒドロキシメチルアクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アンモニウム塩及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸テトラメチルアンモニウム塩等。
【0018】
(4)アミド(Xが−CONR2
α−ヒドロキシメチルアクリル酸アミド、α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−ヒドロキシメチルアクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アミド、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド及びN,N−ジメチル−α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸アミド等。
【0019】
(5)カルボン酸ニトリル(Xが−CN)
α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシプロピルオキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル、α−(ヒドロキシプロピルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸ニトリル及びα−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル等。
【0020】
式(2)で表されるビニル化合物は、以下の公知の製造方法を組み合わせて得ることができる。
(1)α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドの製造
アクリル酸エステル、アクリロニトリル又はN,N−ジアルキルアクリルアミドとホルムアルデヒドとを三級アミンの存在下に反応させることにより、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドを得る(たとえば、特開昭61−134353号、USP4654432号、特開平5−70408号)。
【0021】
(2)α−ヒドロキシメチル基へオキシアルキレン基の導入
α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドと、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド等)とを反応させる(公知の反応触媒が使用できる)。
または、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドと、脂肪族アルコールアルキレンオキシド付加体とをアルカリ存在下で反応させる(ウイリアムソン合成)。
脂肪族アルコールとしては、アルカノール(メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール及びn−ヘキサノール等)及びアルケノール(プロペノール、ブテノール及び2,2−ジメチル−3−ブテノール等)等が挙げられる。
【0022】
(3)必要により加水分解により、カルボン酸(Xが−CO2H)、カルボン酸塩(Xが−CO2M)へ誘導
α−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル又はN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドにオキシアルキレン基を導入したオキシアルキレン化合物を、加水分解しカルボン酸、カルボン酸金属塩又はカルボン酸アンモニウム塩とする(たとえば、第4版実験化学講座22、有機合成IV−酸・アミノ酸・ペプチド−、平成4年11月30日、(財)日本化学会編、丸善株式会社発行)。
また、カルボン酸ニトリル(Xが−CN)から、アミド(Xが−CONR2)へ加水分解することもできる(たとえば、上記の実験化学講座22、151〜156頁)。
また、カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)から、アミド(Xが−CONR2)へ変換することもできる(たとえば、上記の実験化学講座22、148〜151頁)。

また、カルボン酸ニトリル(Xが−CN)から、カルボン酸エステル(Xが−CO2R’)へ変換することができる(たとえば、上記の実験化学講座22、53頁)。
【0023】
<アミン>
アミンとしては、アンモニア(NH3)の他、第1〜2級アミンが含まれる。第1級アミンとしては、炭素数1〜22のアミン等が用いられ、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクタデセニルアミン、エイコシルアミン、ベンジルアミン及びアニリン等が挙げられる。第2級アミンとしては、炭素数2〜44のアミン等が用いられ、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、メチルイソブチルアミン、メチルオクタデセニルアミン、ジエイコシルアミン、ジベンジルアミン及びN−メチルアニリン等が挙げられる。
【0024】
式(2)で表されるビニル化合物とアミンとの反応{工程(1)}には、マイケル付加反応に用いられる反応触媒等を使用できる。
反応触媒としては、金属水酸化物(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)、金属酸化物(酸化カルシウム及び酸化亜鉛等)、金属炭酸塩(炭酸ナトリウム及び炭酸カリウム等)、金属アルコラート(ナトリウムメチラート及びカリウムエチラート等)及び三級アミン{トリエチルアミン及び1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)等}等が含まれる。
【0025】
工程(1)には、反応溶媒を用いることができる。
反応溶媒としては、水、アルコール(メタノール、エタノール及びイソプロパノール等)、脂肪族炭化水素(ヘキサン、シクロヘキサン及びシクロペンタン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン及びキシレン等)及びこれらの混合溶媒等が含まれる。
【0026】
工程(1)には、公知の重合防止剤を添加することができる。
また、工程(1)における反応温度(℃)は、20〜180が好ましく、さらに好ましくは30〜170、特に好ましくは40〜160、最も好ましくは50〜150である。
工程(1)には、式(2)で表されるビニル化合物とアミンとの反応と同時に、又はこの反応の後に、加水分解工程を含めることができる。
【0027】
<4級化剤>
4級化剤としては、ハロゲン化合物、アルキル硫酸及びアルキルカーボネート等が含まれる。
ハロゲン化合物としては、炭素数1〜22のハライド等が使用でき、塩化メチル、臭化メチル、塩化エチル、ヨウ化イソプロピル、塩化2−エチルヘキシル、臭化オクタデセニル、塩化エイコシル及び塩化ベンジル等が挙げられる。
アルキル硫酸としては、炭素数2〜6のアルキル硫酸等が使用でき、ジメチル硫酸及びジエチル硫酸等が挙げられる。
アルキルカーボネートとしては、炭素数2〜6のアルキルカーボネート等が使用でき、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等が挙げられる。
【0028】
式(3)で表されるアミノカルボキシ化合物と4級化剤との反応{工程(2)}には、反応溶媒を用いることができる。
反応溶媒としては、水、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素の他、極性溶媒(ジメチルホルミアミド及びジメチルスルホキシド等)及びこれらの混合溶媒等が含まれる。
工程(2)における反応温度(℃)は、20〜180が好ましく、さらに好ましくは25〜150、特に好ましくは30〜120、最も好ましくは40〜90である。
工程(2)には、式(3)で表されるアミノカルボキシ化合物と4級化剤との反応と同時に、又はこの反応の後に、加水分解工程を含めることができる。
【実施例】
【0029】
実施例において、部及び%は、特記しない限り、重量部及び重量%を意味する。
<実施例1>
アクリル酸メチルエステル86部(1モル部)、37%ホルムアルデヒド水溶液(メタノール含有量7%)122部(1.5モル部)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)7部(63ミリモル部)、メトキシハイドロキノン0.03部及びアセトニトリル100部を均一混合した後、80〜82℃で1時間反応させた。この反応液を40℃に冷却し、濃塩酸でpH5.0に調整した後、トルエン200部で抽出した。ついで、抽出物からトルエンを留去して、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルエステル(MHMA)の粗生成体を得た。
MHMAの粗生成体30部を水150部に溶解した後、石油エーテル60部を用いて不純物を3回抽出除去した。ついで、MHMA水溶液に食塩を飽和になるまで溶解させた後、トルエン抽出し、MHMAを精製した(純度98.5%)。
MHMA116部(1モル部)、10%ジメチルアミン水溶液450部(1モル部)及び48%水酸化ナトリウム水溶液366.8部を70℃10時間反応させて、3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシメチルプロピオン酸ナトリウム(SAMP)水溶液を得た。ついで、20℃で塩化メチル101部(2モル部)を滴下し、徐々に昇温し60℃で2時間反応させた後、イオン交換クロマトグラフィ(イオン交換樹脂:バイオラッド社製AG501X8)により精製し、溶媒留去して、本発明のカルボキシベタイン1{3−トリメチルアンモニオ−2−ヒドロキシメチルプロピオネート}を得た。
【0030】
<実施例2>
実施例1と同様にして得たα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルエステル(MHMA)116部(1モル部)と水酸化カリウム2部とを混合し、100℃に調整した後、100℃でエチレンオキシド440部(10モル部)を滴下して反応させることにより、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MHPEMA)を得た。
次いで、この(MHPEMA)556部(1モル部)、10%ジメチルアミン水溶液450部(1モル部)及び塩化メチル101部(2モル部)を用いて、実施例1と同様にして、本発明のカルボキシベタイン2{3−トリメチルアンモニオ−2−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)プロピオネート}を得た。
【0031】
<実施例3>
アクリル酸メチルエステル86部(1モル部)をアクリル酸ニトリル50部(1モル部)に変更した以外実施例1と同様にして、α−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル(HMAN)を得た。
α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルエステル(MHMA)116部(1モル部)をα−ヒドロキシメチルアクリル酸ニトリル(HMAN)83部(1モル部)に、エチレンオキシド440部(10モル部)をエチレンオキシド1100部(25モル部)に変更した以外、実施例2と同様にして、α−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸ニトリル(HPEMAN)を得た。
次いで、この(HPEMAN)1183部(1モル部)、10%ジエチルアミン水溶液730部(1モル部)及び塩化エチル129部(2モル部)を用いて、実施例1と同様にして、本発明のカルボキシベタイン3{3−トリエチルアンモニオ−2−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)プロピオネート}を得た。
【0032】
<実施例4>
実施例1で得た(MHMA)116部(1モル部)及びTHF200部を混合し、5℃に調整した後、5℃で三臭化リン135部(0.5モル部)を滴下して反応させることにより、α−臭化メチルアクリル酸メチルエステル(MBMA)を得た。
ブタノールのエチレンオキシド8モル付加物426部(1モル部)及び水酸化カリウム112部(2モル部)を混合し、100℃に調整した後、上記で得た(MBMA)を滴下して反応させて、反応生成物を得た。その後、反応生成物を塩酸で中和し、析出した塩化カリウムを濾別することにより、α−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MBPEMA)を得た。
次いで、このα−ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)アクリル酸メチル(MBPEMA)524部(1モル部)を用いて、実施例1と同様にして、本発明のカルボキシベタイン4{3−トリメチルアンモニオ−2−(ブトキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)プロピオネート}を得た。
【0033】
<実施例5>
塩化メチル101部(2モル部)を臭化オクタデセニル662部(2モル部)に変更した以外、実施例1と同様にして、本発明のカルボキシベタイン5{3−オクタデセニルジメチルアンモニオ−2−ヒドロキシメチルプロピオネート}を得た。
【0034】
<実施例6>
ブタノールのエチレンオキシド8モル付加物426部(1モル部)をイソデシルアルコールのエチレンオキシド13モル付加物842部(1モル部)に変更した以外、実施例4と同様にして、本発明のカルボキシベタイン6{3−トリメチルアンモニオ−2−(オクタデシルオキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)プロピオネート}を得た。
【0035】
<実施例7>
エチレンオキシド440部(10モル部)を滴下する代わりに、エチレンオキシド660部(15モル部)を滴下してから、次いでプロピレンオキシド1450部(25モル部)を滴下(ブロック付加)した以外、実施例2と同様にして、本発明のカルボキシベタイン7{3−トリメチルアンモニオ−2−(ヒドロキシプロピル(ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレン)オキシメチル)プロピオネート}を得た。
【0036】
<実施例8>
エチレンオキシド440部(10モル部)をエチレンオキシド4400部(100モル部)(数回に分けて反応させた)に変更した以外、実施例2と同様にして、本発明のカルボキシベタイン8{3−トリメチルアンモニオ−2−(ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル)プロピオネート}を得た。
【0037】
<比較例1>
N−ドデシル−N,N−ジメチルアンモニオアセテートを比較用のカルボキシベタインHとした。
【0038】
実施例1〜8及び比較例1のカルボキシベタインについて、初期保湿性及び保湿持続性の評価を行い、その結果を表1に示した。
<初期保湿性>
各カルボキシベタインを脱イオン水に溶解して、それぞれ4%カルボキシベタイン水溶液を調整し、恒温恒湿室(25℃、50%RH)内でコンディショニングしたヒト前腕屈側部に、1cm2当たり10μlの4%カルボキシベタイン水溶液を塗布した後、20分間放置した。
次いで、SKICON−200(IBS社製)により表皮コンダクタンス(k2)を測定し、塗布直前の表皮コンダクタンス(k1)との比(k2/k1)を求めた。
同様に、他のパネラー8人について、この比を求め、9人のパネラーの算術平均値を初期保湿性とした。
【0039】
<保湿持続性>
初期保湿性を求めたパネラーのヒト前腕屈側部を20リットルの水道水(25℃)中に5分間浸した後、恒温恒湿室(25℃、50%RH)内に20分間放置した。
次いで、SKICON−200(IBS社製)により表皮コンダクタンス(k3)を測定し、塗布直前の表皮コンダクタンス(k1)との比(k3/k1)を求めた。
同様に、他のパネラー8人について、この比を求め、9人のパネラーの算術平均値を保湿持続性とした。
【0040】
【表1】

【0041】
本発明のカルボキシベタインは、比較例のカルボキシベタインに対して、初期保湿性に優れているばかりでなく、保湿持続性に著しく優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のカルボキシベタインは、保湿剤として好適である。特に化粧料に配合される保湿剤に適している。その他、両性界面活性剤、抗菌剤及び化学品原料等の各種用途に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されることを特徴とするカルボキシベタイン。
【化1】

Rは水素原子又は炭素数1〜22の有機基、OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜200の整数、R’は炭素数1〜22の有機基、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子、Nは窒素原子を示す。
【請求項2】
請求項1に記載のカルボキシベタインを含有してなる保湿剤。
【請求項3】
請求項1に記載のカルボキシベタインを含有してなる化粧料。
【請求項4】
式(1)で表されるカルボキシベタインを製造する方法であって、式(2)で表されるビニル化合物とアミンとを反応させて式(3)で表されるアミノカルボキシ化合物を得る工程(1)、及び式(3)で表されるアミノカルボキシ化合物と4級化剤とを反応させてカルボキシベタインを得る工程(2)とを含むことを特徴とするカルボキシベタインの製造方法。
【化2】

OAは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、nは0〜200の整数、Xは−CO2H、−CO2R’、−CO2M、−CONR2又は−CNで表される基、Rは水素原子又は炭素数1〜22の有機基、R’は炭素数1〜22の有機基、Mは金属原子又はアンモニウム、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子、Nは窒素原子を示す。

【公開番号】特開2006−143635(P2006−143635A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−334377(P2004−334377)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】