説明

カルボン酸のアミド化方法およびカルボン酸アミドの製造方法

【課題】室温でも反応が進行し、また、アミンのBoc体の副生が少なく収率の点でも満足できるアミド化を行う方法を提供する。
【解決手段】ジ−tert−ブチルジカーボネートの存在下、下記式で表されるイソキノリン化合物(I)または1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)を触媒として、カルボン酸を1級または2級アミンと反応させることを特徴とする、カルボン酸のアミド化方法。


[式中、XおよびXは、同一または異なって、それぞれ水素原子または電子供与性基を示し、Buはtert−ブトキシ基を示す。但し、Xが水素原子のとき、Xは水素原子ではない。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸の新規なアミド化方法およびカルボン酸のアミドの新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カルボン酸のアミド化は、有機合成化学において基本的な重要反応の一つであり、種々の方法が知られている。
最近、カルボン酸を容易にアミド化する方法として、ジ−tert−ブチルジカーボネートの存在下、1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン(BBDI)を触媒としてアミド化を行うことが報告されている(非特許文献1)。
【0003】
【非特許文献1】日本薬学会第125年会、一般学術発表(ポスター)31−0566(2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非特許文献1によるアミド化は、室温では反応の進行が遅いため、加熱を必要とし、また、アミンのBoc体が多く副生する等収率の点でも決して満足できるものではなかった。
【0005】
本発明は上記の点を解決しようとするもので、その目的は、室温でも反応が進行し、また、アミンのBoc体の副生が少なく収率の点でも満足できるアミド化を行う方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題に対して種々検討した結果、イソキノリンおよびBBDIの6位および/または7位に電子供与性基(例えば、アルコキシ基)を導入し、当該触媒を用いてアミド化することにより、室温でも反応が進行し、アミンのBoc体の副生が少なく、収率が向上することを見出し、発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は下記のとおりである。
[1] ジ−tert−ブチルジカーボネートの存在下、下記式で表されるイソキノリン化合物(I)または1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)を触媒として、カルボン酸を1級または2級アミンと反応させることを特徴とする、カルボン酸のアミド化方法。
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、XおよびXは、同一または異なって、それぞれ水素原子または電子供与性基を示し、Buはtert−ブトキシ基を示す。但し、Xが水素原子のとき、Xは水素原子ではない。]
[2] 電子供与性基がC1−6アルコキシ基である、上記[1]に記載のアミド化方法。
[3] 電子供与性基がメトキシ基である、上記[1]に記載のアミド化方法。
[4] Xが電子供与性基である、上記[1]に記載のアミド化方法。
[5] XがC1−6アルコキシ基である、上記[1]に記載のアミド化方法。
[6] Xがメトキシ基である、上記[1]に記載のアミド化方法。
[7] Xがメトキシ基であり、かつXが水素原子である、上記[1]に記載のアミド化方法。
[8] イソキノリン化合物(I)または1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)の触媒下、カルボン酸をジ−tert−ブチルジカーボネートと反応させる工程;および
得られた生成物に1級または2級アミンを添加して反応させる工程
を包含することを特徴とする、上記[1]に記載のアミド化方法。
[9] ジ−tert−ブチルジカーボネートと1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)の合計の使用量が、カルボン酸1モルに対して1.0〜1.5モルである、上記[1]に記載のアミド化方法。
[10] イソキノリン化合物(I)の使用量が、カルボン酸1モルに対して0.01〜0.2モルであり、かつジ−tert−ブチルジカーボネートの使用量が、カルボン酸1モルに対して1.0〜1.5モルである、上記[1]に記載のアミド化方法。
[11] 1級または2級アミンの使用量が、カルボン酸1モルに対して1.0〜1.5モルである、上記[1]に記載のアミド化方法。
[12] 反応が有機溶媒下で行われる、上記[1]に記載のアミド化方法。
[13] 有機溶媒が、ジクロロメタンおよびアセトニトリルから選ばれる、上記[12]に記載のアミド化方法。
[14] カルボン酸が、置換基を有していてもよいアルキルカルボン酸、置換基を有していてもよいアリールカルボン酸、置換基を有していてもよいアラルキルカルボン酸またはN−保護アミノ酸である、上記[1]に記載のアミド化方法。
[15] 1級または2級アミンが、置換基を有していてもよいアラルキルアミンである、上記[1]に記載のアミド化方法。
[16] 下記式で表されるカルボン酸アミド(III)の製造方法であって、
【0010】
【化2】

【0011】
ジ−tert−ブチルジカーボネートの存在下、下記式で表されるイソキノリン化合物(I)または1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)を触媒として、R−COOHで表されるカルボン酸(IV)をR−NHで表されるアミン(V)と反応させることを特徴とする、カルボン酸アミドの製造方法。
【0012】
【化3】

【0013】
[式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、またはN−保護アミノ酸からカルボキシル基を除いた残基であり、Rは置換基を有していてもよいアラルキル基であり、XおよびXは、同一または異なって、それぞれ水素原子または電子供与性基を示し、Buはtert−ブトキシ基を示す。但し、Xが水素原子のとき、Xは水素原子ではない。]
【発明の効果】
【0014】
イソキノリンおよびBBDIの6位および/または7位に電子供与性基(例えば、アルコキシ基)を導入した触媒を用いてアミド化を行うと、反応性が高くなるので、室温でも反応が進行し、アミンのBoc体の副生が少なく、収率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
式(I)−(V)中の各記号について説明する。
およびXは、同一または異なって、それぞれ水素原子または電子供与性基を示す。但し、Xが水素原子のとき、Xは水素原子ではない。
またはXで示される電子供与性基は、水素原子に比べて結合原子側に電子を供与しやすい置換基であって、かつアミド化反応に不活性な基であり、例えば、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルカルボニルオキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリール基、アルキル基、アルキルホスフィノ基等が挙げられる。
【0016】
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等のC1−6アルコキシ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基等のC1−6アルキルチオ基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基等のC1−6アルキル−カルボニルオキシ基等が挙げられる。
ジアルキルアミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジn−プロピルアミノ基、ジn−ブチルアミノ基等のジC1−6アルキルアミノ基等が挙げられる。
アルキルカルボニルアミノ基としては、例えば、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n−プロピルカルボニルアミノ基、n−ブチルカルボニルアミノ基等のC1−6アルキル−カルボニルアミノ基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−12アリール基等が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等のC1−6アルキル基等が挙げられる。
アルキルホスフィノ基としては、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジエチルホスフィノ基等のジC1−6アルキルホスフィノ基等が挙げられる。
【0017】
好適な電子供与性基は、アルコキシ基であり、より好適にはC1−6アルコキシ基であり、特に好適にはメトキシ基である。
は、好ましくは電子供与性基であり、より好ましくはアルコキシ基であり、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基である。
は、好ましくは水素原子またはアルコキシ基であり、より好ましくは水素原子またはC1−6アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子またはメトキシ基であり、特に好ましくは水素原子である。
【0018】
式(I)および(II)における特に好適な態様は、Xがメトキシ基であり、かつXが水素原子であるか、あるいはXおよびXが共にメトキシ基であり、最適な態様は、Xがメトキシ基であり、かつXが水素原子である。
【0019】
は、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、またはN−保護アミノ酸からカルボキシル基を除いた残基であり、Rは置換基を有していてもよい置換基を有していてもよいアラルキル基である。
【0020】
で示される「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」としては、直鎖または分枝のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等のC1−10アルキル基が挙げられ、好適には、メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル等のC1−6アルキル基である。当該アルキル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等)、ニトロ基、シアノ基、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロパノイル等)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)等が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、0〜3個が好ましく、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
好適な「置換基を有していてもよいアルキル基」は、C1−10アルキル基であり、より好適にはC1−6アルキル基であり、特に好適にはエチルである。
【0021】
で示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」としては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−12アリール基が挙げられ、好適にはC6−10アリール基である。当該アリール基は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等)、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等)、ニトロ基、シアノ基、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロパノイル等)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)等が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、0〜5個が好ましく、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
好適な「置換基を有していてもよいアリール基」は、C6−12アリール基であり、より好適にはC6−10アリール基であり、特に好適にはフェニルである。
【0022】
またはRで示される「置換基を有していてもよいアラルキル基」の「アラルキル基」におけるアルキル部としては、例えば、Rで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」の「アルキル基」と同様の基が挙げられ、またそのアリール部としては、例えば、Rで示される「置換基を有していてもよいアリール基」の「アリール基」と同様の基が挙げられる。具体的には、ベンジル、1−または2−フェニルエチル、1−、2−または3−フェニルプロピル、1−または2−ナフチルメチル、1−または2−(1−ナフチル)エチル、1−または2−(2−ナフチル)エチル等のC7−13アラルキル基が挙げられ、好適にはC7−10アラルキル基である。当該アラルキル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよい。当該置換基としては、上記「置換基を有していてもよいアリール基」の置換基と同様の基が挙げられる。当該置換基の数は特に限定はなく、0〜5個が好ましく、当該置換基は同一でも異なっていてもよい。
好適な「置換基を有していてもよいアラルキル基」は、C7−13アラルキル基であり、より好適にはC7−10アラルキル基であり、特に好適にはベンジルおよびフェネチルである。
【0023】
で示される「N−保護アミノ酸からカルボキシル基を除いた残基」の「アミノ酸」としては、例えば、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、メチオニン、システイン、シスチン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、リジン、アルギニン等のα−アミノ酸;β−アラニン、β−アミノ酪酸等のβ−アミノ酸;γ−アミノ酪酸等のγ−アミノ酸等が挙げられる。中でも、α−アミノ酸が好ましく、アラニン(Ala)およびフェニルアラニン(Phe)が特に好ましい。
なお、上記「アミノ酸」は、アミノ基およびカルボキシル基に加えてさらに官能基(例えば、水酸基、側鎖カルボキシル基、側鎖アミノ基等)を有する場合には、その官能基がアミド化反応時に反応しないように、予め保護基を導入されていることが好ましい。
【0024】
「N−保護アミノ酸からカルボキシル基を除いた残基」の「アミノ保護基」としては、例えば、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル(Boc))、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロパノイル)、ベンゾイル、アリルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、C7−10アラルキルオキシ−カルボニル(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz))、トリチル等が挙げられる。中でも、Boc、CbzおよびFmocが好ましく、特にCbzが好ましい。
【0025】
は、好ましくは、C1−10アルキル基、C6−12アリール基、C7−13アラルキル基またはN−保護α−アミノ酸からカルボキシル基を除いた残基であり、より好ましくは、C1−6アルキル基、C6−10アリール基、C7−10アラルキル基またはN−保護α−アミノ酸からカルボキシル基を除いた残基であり、特に好ましくは、エチル、フェニル、フェネチル、−CH(CH)NH−PG(N−保護アラニンからカルボキシル基を除いた残基)または−CH(CHPh)NH−PG(N−保護フェニルアラニンからカルボキシル基を除いた残基)である。なお、PGは上記したアミノ保護基を示し、Boc、CbzおよびFmocが好ましく、特にCbzが好ましい。
は、好ましくはC7−13アラルキル基であり、より好ましくはC7−10アラルキル基であり、特に好ましくはベンジルである。
【0026】
本発明のアミド化方法は、ジ−tert−ブチルジカーボネートの存在下、上記式で表されるイソキノリン化合物(I)または1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)を触媒として、カルボン酸を1級または2級アミンと反応させることより行われる。
【0027】
当該反応は、次の反応機構により行われると推定される。ジ−tert−ブチルジカーボネートがイソキノリン化合物(I)と反応して、1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)に変換される。次いで、当該化合物(II)がカルボン酸と反応して、カルボン酸のtert−ブチル炭酸エステルを形成する。この時、当該化合物(II)はイソキノリン化合物(I)に変換される。そして、このカルボン酸のtert−ブチル炭酸エステルは1級または2級アミンと反応する。変換されたイソキノリン化合物(I)は、再びジ−tert−ブチルジカーボネートと反応して、上記の反応が繰り返される。
【0028】
イソキノリン化合物(I)と1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)は互いに可逆的に変換されるので、反応開始時には、イソキノリン化合物(I)と1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)のいずれかが系内に触媒量存在すればよく、上記のように、イソキノリン化合物(I)とジ−tert−ブチルジカーボネートから、反応系内で1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)を調製しても、あるいは、反応開始時に、予め調製した1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)添加してもよい。
【0029】
1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)の調製は、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン等の炭化水素溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;またはこれらの混合溶媒下、イソキノリン化合物(I)1モルに対して、ジ−tert−ブチルジカーボネートを1.0〜1.2モル反応させることにより調製できる。
【0030】
本発明のアミド化方法は、従来公知の任意のカルボン酸のアミド化に適用でき、アミド化に供するカルボン酸および1級または2級アミンは特に限定されない。
【0031】
カルボン酸としては、例えば、飽和または不飽和の、脂肪族鎖状または脂環式カルボン酸(例えば、アルキルカルボン酸、アルケニルカルボン酸、シクロアルキルカルボン酸、シクロアルケニルカルボン酸等)、アリールカルボン酸、アラルキルカルボン酸、アミノ酸等が挙げられる。これらのカルボン酸は、置換基を有していてもよく、Rで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」や「置換基を有していてもよいアリール基」の置換基と同様のものが挙げられる。
【0032】
アルキルカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸等のC1−10アルキル−カルボン酸(好ましくはC1−6アルキル−カルボン酸)が挙げられる。
アルケニルカルボン酸としては、例えば、3−ブテンカルボン酸等のC2−10アルケニル−カルボン酸(好ましくはC2−6アルケニル−カルボン酸)が挙げられる。
シクロアルキルカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンカルボン酸等のC3−10シクロアルキル−カルボン酸(好ましくはC3−6シクロアルキル−カルボン酸)が挙げられる。
シクロアルケニルカルボン酸としては、例えば、1−シクロヘキセンカルボン酸等のC3−10シクロアルケニル−カルボン酸(好ましくはC3−6シクロアルケニル−カルボン酸)が挙げられる。
アリールカルボン酸としては、例えば、安息香酸等のC6−12アリール−カルボン酸(好ましくはC6−10アリール−カルボン酸)が挙げられる。
アラルキルカルボン酸としては、例えば、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸等のC7−13アラルキル−カルボン酸(好ましくはC7−10アラルキル−カルボン酸)が挙げられる。
【0033】
アミノ酸としては、Rで示される「N−保護アミノ酸からカルボキシル基を除いた残基」の「アミノ酸」と同様のものが挙げられる。アミノ酸はアミノ基が保護されていることが好ましく、また、アミノ基およびカルボキシル基に加えてさらに官能基(例えば、水酸基、側鎖カルボキシル基、側鎖アミノ基等)を有する場合にはその官能基がアミド化反応時に反応しないように、予め保護基を導入することが好ましい。
【0034】
アミノ基の保護基としては、「N−保護アミノ酸からカルボキシル基を除いた残基」の「アミノ保護基」と同様の基が挙げられる。
水酸基の保護基としては、例えば、C7−10アラルキル基、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロパノイル)、ベンゾイル基、フェノキシカルボニル基、C7−10アラルキルオキシ−カルボニル基(例えば、Cbz)、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル)等が挙げられる。
カルボキシル基の保護基としては、例えば、C1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、tert−ブチル)、アリル基、ベンジル基、フェニル基、トリチル基等が挙げられる。
【0035】
好適なカルボン酸は、置換基を有していてもよいアルキルカルボン酸、置換基を有していてもよいアリールカルボン酸、置換基を有していてもよいアラルキルカルボン酸およびN−保護アミノ酸であり、より好適には、C1−10アルキル−カルボン酸、C6−12アリール−カルボン酸、C7−13アラルキル−カルボン酸およびN−保護α−アミノ酸であり、さらに好適には、C1−6アルキル−カルボン酸、C6−10アリール−カルボン酸、C7−10アラルキル−カルボン酸およびN−保護α−アミノ酸であり、特に好適には、プロピオン酸、安息香酸、3−フェニルプロピオン酸、N−保護アラニン(好ましくはN−Cbzアラニン)およびN−保護フェニルアラニン(好ましくはN−Cbzフェニルアラニン)である。
【0036】
アミド化の原料である1級または2級アミンとしては、例えば、飽和若しくは不飽和の、脂肪族鎖状または脂環式アミン(例えば、アルキルアミン、ジアルキルアミン、N−アルキル−N−アルコキシアミン、アルケニルアミン、シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン等)、アリールアミン、アラルキルアミン、環状アミン、アミノ酸エステル等が挙げられる。これらのアミンは、置換基を有していてもよく、Rで示される「置換基を有していてもよいアルキル基」や「置換基を有していてもよいアリール基」の置換基と同様のものが挙げられる。
【0037】
アルキルアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン等のC1−10アルキルアミン(好ましくはC1−6アルキルアミン)が挙げられる。
ジアルキルアミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン等のジC1−10アルキルアミン(好ましくはジC1−6アルキルアミン)が挙げられる。
N−アルキル−N−アルコキシアミンとしては、例えば、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン等のN−C1−10アルキル−N−C1−10アルコキシアミン(好ましくはN−C1−6アルキル−N−C1−6アルコキシアミン)が挙げられる。
アルケニルアミンとしては、例えば、アリルアミン等のC2−10アルケニルアミン(好ましくはC2−6アルケニルアミン)が挙げられる。
シクロアルキルアミンとしては、例えば、シクロヘキシルアミン等のC3−10シクロアルキルアミン(好ましくはC3−6シクロアルキルアミン)が挙げられる。
シクロアルケニルアミンとしては、例えば、1−シクロヘキセンアミン等のC3−10シクロアルケニルアミン(好ましくはC3−6シクロアルケニルアミン)が挙げられる。
アリールアミンとしては、例えば、アニリン等のC6−12アリールアミン(好ましくはC6−10アリールアミン)が挙げられる。
アラルキルアミンとしては、例えば、ベンジルアミン、フェネチルアミン等のC7−13アラルキルアミン(好ましくはC7−10アラルキルアミン)が挙げられる。
環状アミンとしては、例えば、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジン等のC4−10環状アミン(好ましくはC4−6環状アミン)が挙げられる。
アミノ酸エステルとしては、例えば、メチオニンメチルエステル、フェニルアラニンメチルエステル、バリンメチルエステル、チロシンメチルエステル等の上記「N−保護アミノ酸からカルボキシル基を除いた残基」の「アミノ酸」で例示したアミノ酸のC1−10アルキルエステルが挙げられる。
これら1級または2級アミンは、塩酸等の酸と塩を形成していてもよい。
【0038】
好適なアミンは、置換基を有していてもよいアラルキル基であり、より好適にはC7−13アラルキルアミンであり、さらに好適にはC7−10アラルキルアミンであり、特に好適にはベンジルアミンである。
【0039】
好適なイソキノリン化合物(I)は、6−メトキシイソキノリン(Xがメトキシ基であり、かつXが水素原子:実施例では6−MeOイソキノリンと略称する)および6,7−ジメトキシイソキノリン(XおよびXが共にメトキシ基)であり、より好適には6−メトキシイソキノリンである。
また、好適な1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)は、1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−6−メトキシ−1,2−ジヒドロイソキノリン(Xがメトキシ基であり、かつXが水素原子:実施例では6−MeO−BBDIと略称する)および1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−6,7−ジメトキシ−1,2−ジヒドロイソキノリン(XおよびXが共にメトキシ基)であり、より好適には1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−6−メトキシ−1,2−ジヒドロイソキノリンである。
【0040】
1級または2級アミンの使用量は、収率と経済性の点から、カルボン酸1モルに対して、通常1.0モル以上であり、好ましくは1.0〜1.5モル、より好ましくは1.1〜1.3モルである。
【0041】
触媒として1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)を使用する場合、ジ−tert−ブチルジカーボネートと1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)の合計の使用量は、反応性の点から、カルボン酸1モルに対して、通常1.0モル以上であり、好ましくは1.0〜1.5モル、より好ましくは1.0〜1.2モルである。このとき、1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)の使用量は、アミド化を円滑に進行できる点から、カルボン酸1モルに対して、好ましくは0.01〜0.5モル、より好ましくは0.05〜0.3モルである。
【0042】
触媒としてイソキノリン化合物(I)を使用する場合、イソキノリン化合物(I)の使用量は、アミド化を円滑に進行できる点から、カルボン酸1モルに対して、好ましくは0.01〜0.5モル、より好ましくは0.05〜0.3モルである。このとき、ジ−tert−ブチルジカーボネートの使用量は、反応性の点から、カルボン酸1モルに対して、通常1.0モル以上であり、好ましくは1.0〜1.5モル、より好ましくは1.0〜1.2モルである。
【0043】
原料の1級または2級アミンがジ−tert−ブチルジカーボネートと反応するのを抑制するために、本発明のアミド化反応は、まず、イソキノリン化合物(I)または1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)の触媒下、カルボン酸をジ−tert−ブチルジカーボネートと反応させ(工程1)、次いで、得られた生成物に1級または2級アミンを加えて反応させる(工程2)ことにより行うことが好ましい。なお、これらの工程はワンポットで行うのがよい。
【0044】
本発明のアミド化反応は、無溶媒で、あるいは有機溶媒下で行われるが、反応が進行しやすい点から、溶媒下で行われることが好ましい。溶媒は、原料であるカルボン酸およびアミン、並びに触媒であるイソキノリン化合物(I)または1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)の溶解性を考慮して適宜選択される。例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングルコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホンアミド等の非プロトン性極性溶媒等が使用できる。中でも、反応性、経済性および反応混合物の後処理の容易さから、アセトニトリルおよびジクロロメタンが好ましく、特にアセトニトリルが好ましい。
【0045】
本発明のアミド化反応は、0℃から使用する溶媒の常圧における沸点の温度範囲で実施できるが、通常10〜100℃であり、好ましくは室温(15〜25℃)である。上記のように2工程で行う場合には、工程1では、通常10〜100℃であり、好ましくは室温(15〜25℃)であり、工程2では、通常10〜100℃であり、好ましくは室温(15〜25℃)である。
【0046】
また、反応時間は、原料のカルボン酸およびアミン、反応温度等により異なるが、通常10分〜24時間、好ましくは1時間〜20時間で終了する。上記のように2工程で行う場合には、工程1では、通常10分〜24時間であり、好ましくは30分〜10時間であり、工程2では、通常30分〜24時間であり、好ましくは3時間〜20時間である。
【0047】
反応の終了は、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等で確認でき、原料のカルボン酸およびアミンの減少または消滅、および目的とするカルボン酸アミドの生成量によって決定できる。
【0048】
本発明のアミド化反応は、有機塩基の存在下に行ってもよい。有機塩基としては、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミンが挙げられる。有機塩基の使用量は、カルボン酸1モルに対して、好ましくは0.01モルから0.1モルである。また、1級または2級アミンとして、酸との塩を用いる場合は、かかる酸1モルに対して1〜1.1モルである。
【0049】
反応終了後、目的とするカルボン酸アミドは通常の手段により単離されるが、例えば、反応混合物を塩酸等の酸でクエンチして、残存する触媒量の1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)をイソキノリン化合物(I)に変換した後、分液操作により除去するのがよい。再結晶、蒸留、クロマトグラフィー等の通常の手段により精製してもよい。
【実施例】
【0050】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0051】
実施例1
30mlのフラスコに、ジクロロメタン3ml、3−フェニルプロピオン酸150mg(1mmol)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(BocO)240mg(1.1mmol)、1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−6−メトキシ−1,2−ジヒドロイソキノリン33mg(6−MeO−BBDI,0.1mmol)を仕込んで室温で3時間攪拌した。ベンジルアミン108mg(1.0mmol)を加え、室温で20時間攪拌した。反応物を濃縮後、酢酸エチル40mlを加え、5%塩酸10mlで2回洗浄し、有機層を濃縮して、目的とするN−ベンジル−3−フェニルプロピオンアミド176mg(収率:74%)を得た。反応は以下の式により表される。
【0052】
実施例2〜7
表1に示す溶媒、6−MeO−BBDIおよびBocOの使用量、反応時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、目的とするN−ベンジル−3−フェニルプロピオンアミドを得た。その収率を表1に示す。
【0053】
比較例1〜4
6−MeO−BBDIのかわりにBBDIを使用し、表1に示す反応時間および温度(室温下または還流下)に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、目的とするN−ベンジル−3−フェニルプロピオンアミドを得た。その収率を表1に示す。
【0054】
【化4】

【0055】
【表1】

【0056】
実施例1と比較例2(溶媒はジクロロメタン)は、反応時間がほぼ同じであるが、触媒を6−MeO−BBDIとすることにより、BBDIの場合よりも、目的とするカルボン酸アミドの収率が高く、副生するN−Boc体が少ないことがわかる。
また、実施例6と比較例4(溶媒はジクロロメタン)は、目的とするカルボン酸アミドの収率がほぼ同じであるが、触媒を6−MeO−BBDIとすることにより、BBDIの場合よりも、還流しなくとも室温下でも十分に反応が進行することがわかる。
なお、実施例6と実施例7から、ジクロロメタンよりもアセトニトリルを溶媒とする方が目的とするカルボン酸アミドの収率が高く、副生するN−Boc体が少ないことがわかる。
【0057】
実施例8
30mlのフラスコに、アセトニトリル2ml、安息香酸73mg(0.6mmol)、BocO168mg(0.77mmol)、6−MeO−BBDI39mg(0.12mmol)を仕込んで室温で7時間攪拌した。ベンジルアミン73mg(0.68mmol)を加え、室温で20時間攪拌した。反応物を濃縮後、酢酸エチル40mlを加え、5%塩酸10mlで2回洗浄し、有機層を濃縮して、目的とするN−ベンジルベンズアミド105mg(収率:83%)を得た。反応は以下の式により表される。
【0058】
【化5】

【0059】
実施例9
30mlのフラスコに、アセトニトリル3ml、プロピオン酸74mg(1mmol)、BocO236mg(1.08mmol)、6−MeO−BBDI66mg(0.2mmol)を仕込んで室温で7時間攪拌した。ベンジルアミン122mg(1.14mmol)を加え、室温で20時間攪拌した。反応物を濃縮後、酢酸エチル40mlを加え、5%塩酸10mlで2回洗浄し、有機層を濃縮して、目的とするN−ベンジルプロピオンアミド130mg(収率:80%)を得た。反応は以下の式により表される。
【0060】
【化6】

【0061】
実施例10〜11
カルボン酸としてN−Cbz−フェニルアラニン、溶媒としてアセトニトリルを使用し、表2に示すBocOおよびベンジルアミンの使用量、反応時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、目的とするN−Cbz−フェニルアラニンベンジルアミドを得た。その収率を表2に示す。反応は以下の式により表される。
【0062】
【化7】

【0063】
【表2】

【0064】
実施例12
カルボン酸としてN−Cbz−アラニン、溶媒としてアセトニトリルを使用し、表3に示すBocOおよびベンジルアミンの使用量、反応時間に変更したこと以外は、実施例1と同様の方法により、目的とするN−Cbz−アラニンベンジルアミドを得た。その収率を表3に示す。反応は以下の式により表される。
【0065】
【化8】

【0066】
【表3】

【0067】
実施例13
30mlのフラスコに、アセトニトリル2ml、3−フェニルプロピオン酸189mg(1.26mmol)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(BocO)294mg(1.35mmol)、6−メトキシイソキノリン20mg(0.126mmol)を仕込んで室温で3時間攪拌した。ベンジルアミン152mg(1.42mmol)を加え、室温で5時間攪拌した。反応物を濃縮後、酢酸エチル40mlを加え、5%塩酸10mlで2回洗浄し、有機層を濃縮して、目的とするN−ベンジル−3−フェニルプロピオンアミド242mg(収率:<80%)を得た。反応は以下の式により表される。
【0068】
【化9】

【0069】
なお、各式および表1−3中、「Bn」はベンジルを示す。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、イソキノリンおよびBBDIの6位および/または7位に電子供与性基(例えば、アルコキシ基)を導入した触媒を用いてアミド化を行うので、反応性が高くなり、室温でも反応が進行し、アミンのBoc体の副生が少なく、収率が向上する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジ−tert−ブチルジカーボネートの存在下、下記式で表されるイソキノリン化合物(I)または1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)を触媒として、カルボン酸を1級または2級アミンと反応させることを特徴とする、カルボン酸のアミド化方法。
【化1】


[式中、XおよびXは、同一または異なって、それぞれ水素原子または電子供与性基を示し、Buはtert−ブトキシ基を示す。但し、Xが水素原子のとき、Xは水素原子ではない。]
【請求項2】
電子供与性基がC1−6アルコキシ基である、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項3】
電子供与性基がメトキシ基である、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項4】
が電子供与性基である、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項5】
がC1−6アルコキシ基である、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項6】
がメトキシ基である、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項7】
がメトキシ基であり、かつXが水素原子である、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項8】
イソキノリン化合物(I)または1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)の触媒下、カルボン酸をジ−tert−ブチルジカーボネートと反応させる工程;および
得られた生成物に1級または2級アミンを添加して反応させる工程
を包含することを特徴とする、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項9】
ジ−tert−ブチルジカーボネートと1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)の合計の使用量が、カルボン酸1モルに対して1.0〜1.5モルである、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項10】
イソキノリン化合物(I)の使用量が、カルボン酸1モルに対して0.01〜0.2モルであり、かつジ−tert−ブチルジカーボネートの使用量が、カルボン酸1モルに対して1.0〜1.5モルである、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項11】
1級または2級アミンの使用量が、カルボン酸1モルに対して1.0〜1.5モルである、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項12】
反応が有機溶媒下で行われる、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項13】
有機溶媒が、ジクロロメタンおよびアセトニトリルから選ばれる、請求項12に記載のアミド化方法。
【請求項14】
カルボン酸が、置換基を有していてもよいアルキルカルボン酸、置換基を有していてもよいアリールカルボン酸、置換基を有していてもよいアラルキルカルボン酸またはN−保護アミノ酸である、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項15】
1級または2級アミンが、置換基を有していてもよいアラルキルアミンである、請求項1に記載のアミド化方法。
【請求項16】
下記式で表されるカルボン酸アミド(III)の製造方法であって、
【化2】


ジ−tert−ブチルジカーボネートの存在下、下記式で表されるイソキノリン化合物(I)または1−tert−ブトキシ−2−tert−ブトキシカルボニル−1,2−ジヒドロイソキノリン化合物(II)を触媒として、R−COOHで表されるカルボン酸(IV)をR−NHで表されるアミン(V)と反応させることを特徴とする、カルボン酸アミドの製造方法。
【化3】


[式中、Rは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、またはN−保護アミノ酸からカルボキシル基を除いた残基であり、Rは置換基を有していてもよいアラルキル基であり、XおよびXは、同一または異なって、それぞれ水素原子または電子供与性基を示し、Buはtert−ブトキシ基を示す。但し、Xが水素原子のとき、Xは水素原子ではない。]

【公開番号】特開2009−29747(P2009−29747A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195788(P2007−195788)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年2月1日 社団法人 日本薬学会により公開された、日本薬学会第127年会のホームページ(URL:http://nenkai.pharm.or.jp/127/pc/ipdfview.asp?i=337)において「イソキノリン型縮合剤によるカルボン酸類の触媒的アミド化反応の開発」の要旨を発表、平成19年3月30日社団法人日本薬学会主催の「日本薬学会第127年会」において「イソキノリン型縮合剤によるカルボン酸類の触媒的アミド化反応の開発」を文書をもって発表
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】