説明

カルボン酸界面活性剤を含むエアロゾル製剤

本発明は、カルボン酸界面活性剤と共にヒドロフルオロアルカン噴射剤中にベータアゴニストおよび/または抗炎症性ステロイドのような微粒子状医薬を含む医薬製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボン酸界面活性剤化合物の[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸と共に1,1,1,2-テトラフルオロエタン(134a)および/または1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン(227)のようなヒドロフルオロアルカン噴射剤中にベータアゴニストおよび/または抗炎症性ステロイドのような微粒子状医薬を含む新規な医薬製剤と、該製剤の調製方法と、治療におけるその使用と、に関する。本発明はまた、送出用量を増大させるための、製剤の含量均一性の変動を減少させる際の、または増大された微粒子質量(FPM)および/もしくは改善されたFPM安定性を提供する際の、そのような懸濁液製剤における該界面活性剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬を投与するためにエアロゾルを使用することについては、数十年前から知られている。そのようなエアロゾルは、一般的には、医薬と、1種以上のクロロフルオロカーボン噴射剤と、界面活性剤または共溶媒(たとえばエタノール)のいずれかとを含む。歴史的にみると、医薬用として最もよく使用されるエアロゾル噴射剤は、プロペラント12(CCl2F2)と併用されるプロペラント11(CCl3F)および/またはプロペラント114(CF2ClCF2Cl)であった。しかしながら、これらの噴射剤は、現在では、成層圏オゾンの分解を引き起こすと考えられるので、いわゆる「オゾンにやさしい」噴射剤を用いた医薬用エアロゾル製剤を提供する必要性が存在する。
【0003】
従来のクロロフルオロカーボンと比較してきわめて少ないオゾン破壊作用を有すると考えられるクラスの噴射剤は、フルオロカーボンと水素含有クロロフルオロカーボンとを含んでおり、そのような噴射剤系を用いるいくつかの薬用エアロゾル製剤は、たとえば、欧州特許出願公開第0372777号明細書、国際公開第91/04011号パンフレット、国際公開第91/11173号パンフレット、国際公開第91/11495号パンフレット、および国際公開第91/14422号パンフレットに開示されている。これらの出願では、いずれも、医薬を投与するための加圧エアロゾルの調製が関係しており、新しいクラスの噴射剤の使用に伴う問題、とくに、調製された医薬製剤が抱える安定性の問題を克服しようと試みられている。これらの出願では、いずれも、1種以上のアジュバント、たとえば、アルコール、アルカン、ジメチルエーテル、界面活性剤(たとえば、フッ素化および非フッ素化界面活性剤、カルボン酸、ポリエトキシレートなど)を添加すること、さらにはオゾン破壊の可能性を最小限に抑えることを意図して従来のクロロフルオロカーボン噴射剤を少量で添加することが提案されている。
【0004】
国際公開第92/00061号パンフレットには、フルオロカーボン噴射剤と併用される非フッ素化界面活性剤が開示されている。
【0005】
MDIから患者に送達されるエアロゾル医薬の処方用量は、常に、製造業者が定めた仕様を満たし、かつFDAや他の監督機関の要求基準に適合することが不可欠である。すなわち、缶から分配される用量は、毎回、厳密な許容差の範囲内で同一でなければならない。したがって、製剤は、計量バルブの作動時にキャニスターおよび投与用量の全体にわたり実質的に均一であり、かつ保存後でさえも実質的に同一の状態に保たれていることが重要である。このため、デバイスの有効期間にわたり分配される用量の均一性は、きわめて重要である。
【0006】
懸濁液製剤の場合、微粒子の凝集を抑えて懸濁液の分散性に影響を与えるべく、フッ素化界面活性剤を用いて、134aや227のようなフルオロカーボン噴射剤中の微粉化薬剤懸濁液を安定化させ得ることは、当技術分野で十分に確証されている。たとえば、米国特許第4352789号明細書、米国特許第5126123号明細書、米国特許第5376359号明細書、米国特許出願第09/580008号、国際公開第91/11173号パンフレット、国際公開第91/14422号パンフレット、国際公開第92/00062号パンフレット、および国際公開第96/09816号パンフレットを参照されたい。
【0007】
微粒子状薬剤の凝集の問題は、保存後に微粒子質量(FPM)の低下として顕在化する可能性がある。FPMは、肺の治療対象部分に達する可能性のある分配用量の尺度である。このため、FPMの低下は、患者に利用され得る薬剤の治療上有効な量が減少することを意味する。このことは、望ましいことではなく、最終的に危険なこともある。この問題は、分配される予定の用量が少ない場合にとくに重大である。長時間作用性ベータアゴニストのような特定の強力な薬剤の場合がそれにあてはまる。
【0008】
さらに、粒子の空気動力学的質量メジアン直径(MMAD)は、分配される用量の治療効果を最大化するように、制御された所定の範囲内にあることが望ましい。新しい噴射剤の製剤では、多くの場合、MMADを制御することは困難であることが判明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
懸濁液製剤が十分に安定化されていないと、たとえば、キャニスターの壁上に、または計量チャンバー、シールなどをはじめとするバルブ部品のような定量式吸入器の部品上に、高レベルの薬剤沈着が起こる。この沈着が起こると、薬剤損失により患者に利用され得るキャニスター中の全薬剤含量が減少する可能性があるだけでなく、デバイスの機能が悪影響を受けて、バルブの固着、オリフィスの詰まり、薬剤のケーキング(これらの場合、後になって異常が解除されて、患者に与えられる用量が予測不可能な形で増大する可能性がある)を生じる可能性もある。さらに、こうした沈着に対処するために、キャニスターおよび/またはバルブに対して費用のかかる変更を加える必要が生じ得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
特定のポリオキシエチレン界面活性剤を含む界面活性剤の使用については、たとえば、国際公開第95/15151号パンフレット、米国特許第5676931号明細書、および国際公開第92/00061号パンフレットに提案されているが、本発明者らは、このたび、式
【化1】

【0011】
を有する[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸が、一般的なクラスの界面活性剤と比較して、1,1,1,2-テトラフルオロエタンおよび/または1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン中でとくに良好な界面活性剤特性を有し、式(I)および/または式(II)で示される微粒子状医薬(それらの構造は、以下に与えられている)を肺に投与するための医薬用エアロゾル製剤で利用する場合にとくに有用であり、それにより、上記の問題の1つ以上が軽減されるかまたは解決されることを見いだした。
【0012】
したがって、本発明は、
i) 式(I)
【化2】

【0013】
で示される化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的機能性誘導体
〔式中、
Raは、C1〜6アルキルまたはC1〜6ハロアルキルを表し;
Rbは、-C(=O)-アリールまたは-C(=O)-ヘテロアリールを表し;
Rcは、水素、メチル(α配置もしくはβ配置のいずれかをとり得る)、またはメチレンを表し;
RdおよびReは、同一であるかまたは異なり、それぞれ、水素またはハロゲンを表し;そして
【化3】

【0014】
は、単結合または二重結合を表す〕
ならびに/あるいは式(II)
【化4】

【0015】
で示される化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的機能性誘導体
〔式中、
mは、2〜8の整数であり;
nは、3〜11の整数であり;
ただし、m+nは、5〜19であり;
R1は、-XSO2NR6R7
{ここで、
Xは、-(CH2)p-またはC2〜6アルケニレンであり;
R6およびR7は、独立して、水素、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C(O)NR8R9、フェニル、およびフェニル(C1〜4アルキル)-から選択されるか、
またはR6およびR7は、それらが結合されている窒素と一緒になって、5、6、もしくは7員の窒素含有環を形成し、
かつR6およびR7は、それぞれ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ置換型C1〜6アルコキシ、-CO2R8、-SO2NR8R9、-CONR8R9、-NR8C(O)R9、または5、6、もしくは7員のヘテロ環式環から選択される1もしくは2個の基で場合により置換され;
R8およびR9は、独立して、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、およびフェニル(C1〜4アルキル)-から選択され;そして
pは、0〜6の整数である}
であり;
R2およびR3は、独立して、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、フェニル、およびC1〜6ハロアルキルから選択され;そして
R4およびR5は、独立して、水素およびC1〜4アルキルから選択され、ただし、R4およびR5の全炭素原子数は、4以下である〕
から選択される治療有効量の微粒子状医薬と;
(ii) 1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3-ヘテロフルオロ-n-プロパンおよびそれらの混合物を含む群から選択される噴射剤と;
(iii) 界面活性剤の[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸と;
を含む医薬用エアロゾル製剤を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
式(I)で示される化合物は、国際公開第02/12265号パンフレットおよび国際公開第02/12266号パンフレットに記載されている手順に従って調製可能である。式(II)で示される化合物は、国際公開第02/066422号パンフレットに記載されている手順に従って調製可能である。式(I)および(II)で示される化合物の塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体の好適な例としては、上述の特許出願に記載されているものが挙げられる。
【0017】
有利には、本発明に係る界面活性剤化合物は、良好な界面活性剤特性を有し、たとえば、特定の過フッ素化界面活性剤化合物で観測される毒性作用を回避しつつ、懸濁液製剤の長さ加重平均直径を減少させ、134aおよび/もしくは227中に先の医薬を含む製剤のFPMを安定化させ、かつ/または該製剤の良好な含量均一性性能を付与する。通常、134aおよび227中で最良の界面活性剤は、多数の過フッ素化炭素原子を有する過フッ素化化合物であるが、残念ながら生体内蓄積する傾向を有する。このため、良好な界面活性剤特性と最小の毒性作用との間に、特有の相反性が存在する。本発明は、薬剤沈着の減少、保存寿命の延長などにより、エアロゾル製剤の安定性を改良するうえで有利である。
【0018】
理論により拘束されることを望むものではないが、界面活性剤の性質が、たとえば、pKaに関して、本発明に係る製剤中で用いられる医薬の性質にとくに良好に適合することから、良好な安定化効果が提供されるものと考えられる。
【0019】
第1の態様において、本発明は、微粒子状医薬が3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミドまたは3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミド含む医薬用エアロゾル製剤を提供する。
【0020】
第2の態様において、本発明は、微粒子状医薬が、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルまたは6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルを含む医薬用エアロゾル製剤を提供する。
【0021】
第3の態様において、本発明は、微粒子状医薬が3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミドと6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル)または6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルとを(組み合わせて)含む医薬用エアロゾル製剤を提供する。
【0022】
第4の態様において、本発明は、微粒子状医薬が3-(3-{[7-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘプチル]オキシ}プロピル)ベンゼンスルホンアミドと6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルまたは6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-17α-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルとを(組み合わせて)含む医薬用エアロゾル製剤を提供する。
【0023】
以上の本発明の上記実施形態に記載されている特定の化合物は、その塩、溶媒和物、および生理学的機能性誘導体の形態をとり得る。用いられた医薬が3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミドであるかまたはそれを含む場合、好ましくは、シンナメートとして用いられる。
【0024】
他の態様において、本発明はまた、[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸と、134aおよび/または227のような噴射剤と、
N-(3,5-ジクロロピリジン-4-イル)-2-[1-(4-フルオロベンジル)-5-ヒドロキシインドール-3-イル]-2-オキソアセトアミド、
国際公開第03/024439号パンフレットに開示されているような式(I)で示される化合物(とくに4-{(1R)-2-[(6-{2-[(2,6-ジクロロベンジル)オキシ]エトキシ}ヘキシル)アミノ]-1-ヒドロキシエチル}-2-(ヒドロキシメチル)フェノール)、
国際公開第01/42193号パンフレットに開示されているような式(II)で示される化合物(とくにN-[2-ヒドロキシ-5-[(1R)-1-ヒドロキシ-2-[[2-4-[[(2R)-2-ヒドロキシ-2-フェニルエチル]アミノ]フェニル]エチル]アミノ]エチル]フェニル]ホルムアミド)、
国際公開第03/042160号パンフレットに開示されているような式(I)で示される化合物(とくにN-{2-[4-(3-フェニル-4-メトキシフェニル)アミノフェニル]エチル}-2-ヒドロキシ-2-(8-ヒドロキシ-2(1H)-キノリノン-5-イル)エチルアミン)、および
国際公開第03/042164号パンフレットに開示されているような式(I)で示される化合物、ならびにそれらの組合せ、
を含む群から選択される微粒子状薬剤と、を含む製剤にまで拡張される。
【0025】
界面活性剤の[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸は、国際公開第03/013610号パンフレットに記載されているような方法により調製可能である。
【0026】
本発明に係る製剤の調製に該界面活性剤化合物を使用すると、医薬の量に対して低い濃度で効果的に懸濁液が安定化されるようになる。用いられる界面活性剤の量は、医薬を基準にして、望ましくは0.05%〜20%w/w、特に0.5%〜10%w/wの範囲内である。
【0027】
微粒子状(たとえば微粉化)医薬の粒子サイズは、エアロゾル製剤を投与したときに医薬の実質的にすべてが肺または鼻腔の中に吸入され得るようなものでなければならないので、100ミクロン未満、望ましくは20ミクロン未満であろう。また、好ましくは1〜10ミクロン、たとえば1〜5ミクロンの範囲内のMMADを有するであろう。
【0028】
最終的なエアロゾル製剤は、製剤の全重量を基準にして、望ましくは0.005〜10%w/w、好ましくは0.005〜5%w/w、特に0.01〜1.0%w/wの医薬を含有する。
【0029】
好ましくは、単一の噴射剤、たとえば、1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタンが用いられる。
【0030】
本発明に係る製剤は、成層圏オゾンの分解を引き起こす可能性のある成分を含まないことが望ましい。とくに、製剤は、CCl3F、CCl2F2、およびCF3CCl3のようなクロロフルオロカーボンを実質的に含まないことが望ましい。
【0031】
所望により、噴射剤は、飽和炭化水素(たとえば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン、およびイソペンタン)またはジアルキルエーテル(たとえば、ジメチルエーテル)のような揮発性アジュバントを追加的に含有し得る。一般的には、噴射剤の50%w/wまで、たとえば1〜30%w/wまで、揮発性炭化水素で構成され得る。しかしながら、揮発性アジュバントを実質的に含まない製剤が好ましい。ある特定の場合には、適正量の水を含むことが望ましいこともあり、これは、噴射剤の誘電特性を改変するのに有利となり得る。
【0032】
所望により本発明に係る製剤に組み込まれ得る極性アジュバントとしては、たとえば、エタノール、イソプロパノール、およびプロピレングリコール、ならびにそれらの混合物のようなC2〜6脂肪族のアルコールおよびポリオールが挙げられる。好ましくは、エタノールが用いられるであろう。一般的には、ごく少量(たとえば0.05〜3.0%w/w)の極性アジュバントが必要とされ、5%w/wを超える量で使用すると、不都合なことに、医薬を溶解する傾向を生じる可能性がある。製剤は、好ましくは1%w/w未満、たとえば約0.1%w/wの極性アジュバントを含有する。最も好ましくは、本発明に係る製剤は、極性アジュバントを実質的に含まない。極性は、たとえば、欧州特許出願公開第0327777号明細書に記載されている方法により、決定可能である。
【0033】
界面活性剤に加えて、本発明に係る製剤は、場合により、医薬用エアロゾル製剤の技術分野で慣用される1種以上のさらなる成分を含有し得る。そのような任意成分としては、味マスキング剤、糖質、緩衝剤、抗酸化剤、水、および化学安定化剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本発明のとくに好ましい実施形態は、1種以上の式(I)および/もしくは式(II)で示される微粒子状医薬または本明細書に開示されている他の医薬あるいはそれらの組合せと、1種以上の該噴射剤と、[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸と、から本質的に構成される医薬用エアロゾル製剤を提供する。
【0035】
本発明はまた、該要素を含むものでもそれらから本質的に構成されるものでもなく、それら「から構成される」、すでに記載したような製剤にまで拡張される。
【0036】
本発明のさらなる実施形態は、先に記載したようなエアロゾル製剤のうちの1つが入っている、液体として噴射剤を保持するのに必要な圧力に耐えることのできる密閉容器、たとえば、定量式吸入器である。
【0037】
「定量式吸入器」またはMDIという用語は、缶と、缶をカバーする固定キャップと、キャップ中に位置する製剤計量バルブと、を含むユニットを意味する。MDIシステムは、好適なチャネリングデバイスを含む。好適なチャネリングデバイスは、たとえば、バルブアクチュエーターと、計量バルブを介して医薬を充填キャニスターから患者の鼻または口まで送達する際に通過させ得る円筒状または円錐状の通路、たとえば、マウスピースアクチュエーターと、を含む。
【0038】
MDIキャニスターは、一般的には、使用される噴射剤の蒸気圧に耐えることのできる容器、たとえば、プラスチックボトルもしくはプラスチックコーテッドガラスボトルまたは好ましくは金属缶(たとえば、場合により陽極処理、ラッカーコーティング処理、および/またはプラスチックコーティング処理が施されていてもよいアルミニウムまたはその合金の缶)を含む(たとえば、参照により本明細書に組み入れられるものとする国際公開第96/32099号パンフレットでは、内表面の一部分または全部が、場合により1種以上の非フルオロカーボンポリマーと組み合わせて、1種以上のフルオロカーボンポリマーでコーティングされている)。この容器は、計量バルブにより密閉される。超音波溶接、ネジ固定、または圧着により、キャップを缶に固定し得る。本明細書中に教示されているMDIは、当該技術分野の方法により作製可能である(たとえば、上記のByronおよび国際公開第96/32099号パンフレットを参照されたい)。好ましくは、キャニスターにキャップアセンブリーを取り付ける。この場合、製剤計量バルブは、キャップ中に位置し、該キャップは、所定の位置に圧着される。
【0039】
有利には、本発明に係る製剤は、たとえばコーティングによる、キャニスターおよび/または部品の追加の加工の必要性を回避し得るものであり、こうすれば、とくに大量製造する場合、最終的にコストが削減されることになる。
【0040】
計量バルブは、作動させるごとに計量された量の製剤が送達されるように設計されており、バルブを通って噴射剤が漏れないようにガスケットが組み込まれている。ガスケットは、たとえば低密度ポリエチレン、クロロブチル、黒色および白色のブタジエン-アクリロニトリルゴム、ブチルゴム、ならびにネオプレンなどのような任意の好適なエラストマー性材料から構成し得る。好適なバルブは、エアロゾル業界でよく知られた製造業者、たとえば、Valois, France(たとえば、DF10、DF30、DF60)、Bespak plc, UK(たとえば、BK300、BK357)、および3M-Neotechnic Ltd, UK(たとえば、SpraymiserTM)から、市販品として入手可能である。
【0041】
本発明に係る製剤は、たとえば、音波処理または高剪断混合機を用いて、適切な容器中で、式(I)および/もしくは(II)で示される化合物または必要に応じて他の医薬ならびに選択された界面活性剤化合物を、選択された噴射剤中に分散させることにより、調製可能である。この方法は、望ましくは、制御された湿度条件下で行われる。
【0042】
あるいは、キャップおよびバルブを所定の位置に固定する前に、界面活性剤化合物を空のキャニスター中に前添加しても良い。
【0043】
本発明のさらなる態様は、MDI中に該製剤を充填する方法を包含する。
【0044】
医薬用エアロゾル製造技術分野の当業者に周知である従来の大量製造方法および機械類は、充填キャニスターを商業生産するための大量バッチの作製に利用可能である。したがって、たとえば、大量製造の一方法では、計量バルブをアルミニウム缶に圧着させて空のキャニスターを形成する。微粒子状医薬を仕込槽に添加し、界面活性剤を含有する液化噴射剤と共に液化噴射剤を仕込槽を介して製造槽中に加圧充填する。充填機への再循環前に薬剤懸濁液を混合し、次に、計量バルブを介して薬剤懸濁液のアリコートをキャニスター中に充填する。
【0045】
代替法では、製剤が蒸発しないように十分に冷却された条件下で液化製剤のアリコートを開放キャニスターに添加し、次に、キャニスター上に計量バルブを圧着させる。
【0046】
典型的には、医薬品用として作製されるバッチでは、それぞれの充填キャニスターを重量検査にかけ、バッチ番号でコード付けし、トレーに詰めて保存し、その後、放出試験を行う。
【0047】
便宜上、使用前に、それぞれの充填キャニスターを適切なチャネリングデバイス中に取り付けることにより、患者の肺または鼻腔中に医薬を投与するための定量式吸入器システムを形成する。
【0048】
本発明に係るエアロゾル製剤の化学的および物理的安定性ならびに医薬品としての受容性は、当業者に周知の技術により決定可能である。したがって、たとえば、成分の化学的安定性は、たとえば、製剤の長期保存後に、HPLCアッセイにより決定可能である。
【0049】
物理的安定性データは、他の従来の分析技術により、たとえば、漏れ試験により、バルブ送達アッセイ(1回の作動あたりの平均ショット重量)により、用量再現性アッセイ(1回の作動あたりの活性成分量)により、およびスプレー分布分析により、取得可能である。
【0050】
本発明に係るエアロゾル製剤の懸濁安定性は、従来技術により、たとえば、画像解析を用いてフロキュレーションサイズ分布を測定することにより、および/またはカスケードインパクションもしくは「ツインインピンジャー」分析法を用いて粒子サイズ分布を測定することにより、測定可能である。本明細書中で用いられる「ツインインピンジャー」アッセイに関する言及は、British Pharmacopaeia 1988, pages A204-207, Appendix XVII Cに定義されているように「装置Aを用いて加圧吸入時の送出用量の沈着量を決定すること」を意味する。そのような技術により、エアロゾル製剤の「吸入可能分率」を計算することが可能である。「吸入可能分率」を計算するために用いられる一方法は、先に記載したツインインピンジャー法を用いて、1回の作動あたり下側のインピンジメントチャンバーで捕集される活性成分の量である「微粒子質量」を、1回の作動あたり送達される活性成分の全量に対するパーセントで表す方法である。
【0051】
定量式吸入器は、1回の作動または「1パフ」あたり一定ユニット用量の医薬が送達されるように、たとえば、1パフあたり1〜5000マイクログラムの範囲内の医薬が送達されるように設計される。
【0052】
さらなる態様または代替的態様において、本発明はまた、呼吸器障害を治療または予防する方法を提供する。該方法は、その必要のある患者に本発明に係る医薬用エアロゾル製剤を投与することを含む。
【0053】
他の態様によれば、本発明は、呼吸器障害を治療するために吸入による投与に供される医薬を製造するための、本発明に係る医薬用エアロゾル製剤の使用を提供する。
【0054】
呼吸器障害の好適な例としては、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、および鼻炎が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、呼吸器障害は、喘息またはCOPD、特に喘息である。
【0055】
医薬の投与は、軽度、中度、重度の急性もしくは慢性の症状の治療または予防的処置に適応され得る。正確な投与用量は、患者の年齢および健康状態、使用される特定の微粒子状医薬、ならびに投与の頻度に依存し、最終的には担当医の自由裁量にゆだねられることは理解されよう。医薬を組み合わせて利用する場合、組み合わされる各成分の用量は、一般的には、各成分が単独で用いられるときに利用される用量であろう。典型的には、投与は、1回あたりたとえば1、2、3、または4パフで、1日あたり1回以上、たとえば1〜8回行われ得る。
【0056】
他の医薬に対する適切な投与計画は、当業者であれば、公知であるかまたは容易に入手可能であろう。
【0057】
本発明はまた、1種以上の式(I)および/もしくは式(II)で示される微粒子状医薬または本明細書中に開示されている他の医薬あるいはそれらの組合せと、1種以上の該噴射剤とを含む医薬用エアロゾル製剤のFPMを増大させおよび/またはFPM安定性を改良するための、界面活性剤[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸の使用を提供する。
【0058】
本発明はまた、たとえば、1種以上の式(I)および/もしくは式(II)で示される微粒子状医薬または本明細書中に開示されている他の医薬あるいはそれらの組合せと、1種以上の該噴射剤と、を含む医薬用エアロゾル製剤の相対標準偏差(RSD)を減少させることにより、含量均一性の変動を減少させるための、界面活性剤[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸の使用を提供する。
【0059】
以下の実施例を用いて本発明を説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0060】
実施例1
PTFEとポリエーテルスルホンとのポリマーブレンドでコーティングされた標準的な8mLのMDI缶に、0.6mgの[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸を前添加し、バルブを所定の位置に圧着し、そして約12gのP134a中の約6mgの3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド(薬剤1)の懸濁液をバルブを介して充填した。対応する界面活性剤フリーの対照(対照1)も調製した。
【0061】
実施例2
PTFEとポリエーテルスルホンとのポリマーブレンドでコーティングされた標準的な8mLのMDI缶に、0.6mgの[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸を前添加し、バルブを所定の位置に圧着し、そして約12gのP134a中の約6mgの6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル(薬剤2)の懸濁液をバルブを介して充填した。対応する界面活性剤フリーの対照(対照2)も調製した。
【0062】
実施例3
PTFEとポリエーテルスルホンとのポリマーブレンドでコーティングされた標準的な8mLのMDI缶に、0.7mgの[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸を前添加し、バルブを所定の位置に圧着し、そして約12gのP134a中の約3mgの3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミド(薬剤1)および約4mgの6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステル(薬剤2)の懸濁液をバルブを介して充填した。対応する界面活性剤フリーの対照(対照3)も調製した。
【0063】
実験データ
長さ加重平均相当直径
噴射剤P134a中の薬剤懸濁液の長さ加重平均相当直径
画像解析(Galai CIS-100イメージアナライザー)により懸濁液の長さ加重平均相当直径を測定した。それは、分析対象物に対する相当面積を有する円の直径を表す(分布を考慮して粒子直径により加重する)。
【0064】
表1は、先に記載したように調製されたサンプル製剤をGalai CIS-100粒子サイズアナライザーで画像解析することにより決定された平均粒子サイズデータを示している。この測定では、粒子サイズは、対象物と等しい面積を有する円の相当直径として表される。平均値は、4つの測定の平均である。懸濁液を加圧セルに移して、顕微鏡の対物レンズを介して剪断下のサンプルをビデオ撮影することにより、粒子サイズ測定を行った。
【0065】
相当直径は、対象物と等しい面積を有する円の直径として定義される。
【数1】

【0066】
平均相当直径は、数、長さ、または体積により加重し得る。たとえば、x、y、およびzの相当直径を有する3個の粒子の場合、次のようになる:
【数2】

【0067】
これらのデータは、本発明に係る製剤中の界面活性剤が、懸濁液安定化特性を有することにより、薬剤粒子の凝集を抑制することを示している。このことは、界面活性剤を製剤中に組み込んだときに平均粒子サイズ(長さ加重平均相当直径)が顕著に減少することからわかる。
【表1】

【0068】
FPM
表2は、Anderson Cascade Impactorスタックを用いて得られたFPM(ステージ3〜5の合計)に関するデータを示している。デバイスの使用開始時にデータを取得した。各サンプルに対応するが界面活性剤は省略されている対照を調製した。そのようなスタックを用いるエアロゾル製剤の分析は、当業者には周知である。データは、μg単位の絶対FPMとして、およびバルブから送出された全用量を基準にしたパーセンテージで絶対FPMを表したFPMパーセント(括弧内)として示されている。このデータは、開始時点およびその時点から12週間にわたり40℃かつ相対湿度75%で保存した後について、与えられている。
【0069】
表2は、界面活性剤を含有するサンプルがほとんどの場合にFPM分率の絶対値の増大を呈することを示している。このことは、肺内の治療標的に到達し得る用量の割合がより大きいことを示しており、望ましいことである。さらに、実施例2のFPMが界面活性剤の存在により安定化されることもわかる。
【表2】

【0070】
含量均一性
使用継続用量試験(dose through use testing)により、製剤(その調製については、以上に記載されている)の含量均一性を評価した。「使用開始」(BoU)時および「使用終了」(EoU)時(40℃かつ相対湿度75%で12週間保存した後)に、10缶/吸入器で試験を行った。各吸入器に充填した後(4ショット分を廃棄した)、1回目および2回目の作動分(BoU)を捕集した。次に、自動化法を用いて各吸入器の116回の作動分を廃棄し、119回目および120回目の作動分(EoU)を捕集した。
【0071】
製剤の公称用量を基準にしたパーセンテージで10個の吸入器の平均用量として結果を表3に示す。使用終了時のデータは、10個の吸入器の平均用量の変動として示されている。
【0072】
データは、本発明に係る製剤では目標用量に対するパーセンテージが増大することを示している。さらに、相対標準偏差パーセントの減少からわかるように、界面活性剤を含有する本発明に係る製剤の分配用量の変動(使用終了時)は、低減される。
【表3】

【0073】
本明細書および添付の特許請求の範囲の全体を通して、文脈上他の解釈が必要とされないかぎり、「comprise(含む)」という単語または「comprises」や「comprising」のような変化形は、明示された整数もしくは工程または一群の整数を包含することを示唆するものと理解されるであろうが、他の整数もしくは工程または一群の整数、もしくは工程をなんら除外するものではない。
【0074】
本明細書に引用されているすべての刊行物、たとえば、限定されるものではないが、特許および特許出願は、あたかも個々の刊行物が具体的かつ個別的に表記されて完全に明記されたがごとく参照により本明細書に組み入れられているように、参照により本明細書に組み入れられるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i) 式(I)
【化1】

で示される化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的機能性誘導体
〔式中、
Raは、C1〜6アルキルまたはC1〜6ハロアルキルを表し;
Rbは、-C(=O)-アリールまたは-C(=O)-ヘテロアリールを表し;
Rcは、水素、メチル(α配置もしくはβ配置のいずれかをとり得る)、またはメチレンを表し;
RdおよびReは、同一であるかまたは異なり、それぞれ、水素またはハロゲンを表し;そして
【化2】

は、単結合または二重結合を表す〕
ならびに/あるいは式(II)
【化3】

で示される化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的機能性誘導体
〔式中、
mは、2〜8の整数であり;
nは、3〜11の整数であり;
ただし、m+nは、5〜19であり;
R1は、-XSO2NR6R7
{ここで、
Xは、-(CH2)p-またはC2〜6アルケニレンであり;
R6およびR7は、独立して、水素、C1〜6アルキル、C3〜7シクロアルキル、C(O)NR8R9、フェニル、およびフェニル(C1〜4アルキル)-から選択されるか、
またはR6およびR7は、それらが結合されている窒素と一緒になって、5、6、もしくは7員の窒素含有環を形成し、
かつR6およびR7は、それぞれ、ハロ、C1〜6アルキル、C1〜6ハロアルキル、C1〜6アルコキシ、ヒドロキシ置換型C1〜6アルコキシ、-CO2R8、-SO2NR8R9、-CONR8R9、-NR8C(O)R9、または5、6、もしくは7員のヘテロ環式環から選択される1もしくは2個の基で場合により置換され;
R8およびR9は、独立して、水素、C1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル、フェニル、およびフェニル(C1〜4アルキル)-から選択され;そして
pは、0〜6の整数である}
であり;
R2およびR3は、独立して、水素、C1〜6アルキル、C1〜6アルコキシ、ハロ、フェニル、およびC1〜6ハロアルキルから選択され;そして
R4およびR5は、独立して、水素およびC1〜4アルキルから選択され、ただし、R4およびR5の全炭素原子数は、4以下である〕
から選択される治療有効量の微粒子状医薬と;
(ii) 1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3-ヘテロフルオロ-n-プロパンおよびそれらの混合物を含む群から選択される噴射剤と;
(iii) 界面活性剤の[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸と;
を含む医薬用エアロゾル製剤。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)で示される化合物および/または式(II)で示される化合物と、1,1,1,2-テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3-ヘテロフルオロ-n-プロパンおよびそれらの混合物を含む群から選択される噴射剤と、界面活性剤の[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸と、から本質的に構成される医薬用エアロゾル製剤。
【請求項3】
前記微粒子状医薬が3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミドである、請求項1または請求項2に記載の医薬用エアロゾル製剤。
【請求項4】
前記微粒子状医薬が6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルである、請求項1または請求項2に記載の医薬用エアロゾル製剤。
【請求項5】
前記微粒子状医薬が、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオ酸S-フルオロメチルエステルと組み合わされた3-(4-{[6-({(2R)-2-ヒドロキシ-2-[4-ヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)フェニル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)ベンゼンスルホンアミドである、請求項1または請求項2に記載の医薬用エアロゾル製剤。
【請求項6】
前記界面活性剤が、前記医薬を基準にして0.5〜10%w/wの範囲内で存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬用エアロゾル製剤。
【請求項7】
前記噴射剤が1,1,1,2-テトラフルオロエタンである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬用エアロゾル製剤。
【請求項8】
適切な容器内において、選択された噴射剤中に、請求項1に記載の式(I)および/または(II)で示される化合物と、選択された界面活性剤化合物と、を分散させることを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬用エアロゾル製剤の調製方法。
【請求項9】
呼吸器障害を治療するために吸入による投与に供される医薬を製造するための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬用エアロゾル製剤の使用。
【請求項10】
前記呼吸器障害が喘息またはCOPDである、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
呼吸器障害を治療または予防する方法であって、その必要のある患者に請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬用エアロゾル製剤を投与することを含む、上記方法。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬用エアロゾル製剤が中に入っている定量式吸入器。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬用エアロゾル製剤における、該製剤のFPMの増大および/またはFPM安定性の改良を行うための、界面活性剤の[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸の使用。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬用エアロゾル製剤における、該製剤の含量均一性の変動を減少させるための、界面活性剤の[(7,7,8,8,8-ペンタフルオロオクチル)オキシ]酢酸の使用。

【公表番号】特表2007−508283(P2007−508283A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530593(P2006−530593)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004241
【国際公開番号】WO2005/065650
【国際公開日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】