説明

カルボン酸組成物、及び該カルボン酸組成物を含有する硬化性樹脂組成物

【課題】特に耐候性が要求される自動車部品、家電・OA部品向プラスチックに、紫外線による劣化を防止し、耐候性を向上させるために添加される、光安定剤(HALS)であって、樹脂への定着性がよく、耐熱着色性に優れる新規なHALSの提供。
【解決手段】下記式(1)


(式中、複数存在するR、nはそれぞれ独立して、Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表す。またnは平均値であり1〜3である。)で表されるカルボン酸組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気電子材料用途、光学用途に好適な、プラスチック用添加剤となるカルボン酸組成物、および該カルボン酸組成物を含有する硬化性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック(熱硬化性樹脂を含む)は光の影響よって劣化する。特に大きなエネルギーを持った光はプラスチック(熱硬化性樹脂を含む)を構成するポリマーに作用し、結合を破壊してしまい、劣化(脆化や着色等)を誘引する。
このような環境下から部材を守るために光安定剤(HALS:Himdered Amine Light Stabilizer)が添加され、特に自動車部品、家電・OA部品向けでは耐候性を高めるニーズが大きい。
HALSは、紫外線による劣化を防止し、プラスチックの耐候性を向上させる。HALS自体は紫外線をほとんど吸収しないが、紫外線エネルギーによって生じる有害なフリーラジカルを捕捉することで安定化につながっていると言われている。
【0003】
このようなことからHALSは様々なプラスチック、例えばPPやHDPE、LDPEといったポリオレフィン類、HIPS、GPPS、ABSといったスチレン類、PBTやPET、PC、POM、PAといったエンジニアリングプラスチック類だけでなく、PU、PVC、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などといった様々な樹脂への添加が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】添加剤ドットコム http://www.tenkazai.com/index.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HALSはヒンダートのピペリジン構造を有する以外は様々な構造の化合物が販売されているが、その作用機序より、紫外線の劣化の起きる樹脂表面部分にスムーズに移行することが必要とされるため、反応性基を有さない化合物が一般的であり、そのため、ブリードアウト後、揮発したり、抽出によって系外に排出されてしまうという問題が生じている。このような問題に対し、系内で移動しにくい高分子量タイプのHALSが様々検討されている。しかしながら、揮発は改善されるものの、内部での移動が困難であり、特性が出にくい、という問題が挙げられていた。
また、HALSにより光安定性は付与できるものの、逆に熱着色性が悪くなるという問題がある。しかしながら、十分な光安定性を持たせるためには、ある程度のHALSが必要になることから、耐熱着色性に優れるHALSが求められている。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、樹脂への定着性がよく、耐熱着色性に優れるHALSの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは前記したような実状に鑑み、鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
(1)
下記式(1)
【0007】
【化1】


(式中、複数存在するR、nはそれぞれ独立して、Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表す。またnは平均値であり1〜3である。)で表されるカルボン酸組成物、
(2)
下記式(2)
【0008】
【化2】


と炭素数3〜22の酸無水物との反応により得られるカルボン酸組成物、
(3)
無溶剤、もしくは使用する原料に対し、50重量%以下の有機溶剤中、40〜150℃で反応させることを特徴とする前項(2)に記載のカルボン酸組成物の製造方法、
(4)
前項(1)または(2)に記載のカルボン酸組成物と酸無水物との混合物であることを特徴とするHALS組成物、
(5)
前項(1)または(2)に記載のカルボン酸組成物、および/または前項(4)に記載のHALS組成物を含有するプラスチック、
(6)
前項(1)または(2)に記載のカルボン酸組成物、および/または前項(4)に記載のHALS組成物を含有する硬化性樹脂組成物、
(7)
前項(6)に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカルボン酸組成物(なお、本明細書においては、便宜上、単一のカルボン酸化合物の場合もカルボン酸組成物と表現し、本発明のカルボン酸組成物はこのような態様を含む。)は光安定剤(HALS)としての効果を有し、種々のプラスチック材料への添加が可能であるほか、カルボン酸と反応しうる(もしくは分子間力により結合しうる)樹脂中では系外への排出を制御できる構造であるばかりで無く、耐熱の着色性に優れる構造をしていることから、様々なプラスチック材料、硬化性樹脂組成物に有用である。本発明の硬化性樹脂組成物においては、特に系内のカルボン酸との反応が期待できるエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物において有用であり、塗料、接着剤、成形品、半導体、光半導体の封止材用樹脂、光半導体のダイボンド材用樹脂、ポリイミド樹脂などの原料や改質剤、可塑剤、潤滑油原料、医農薬中間体、塗料用樹脂の原料、トナー用樹脂として有用であるが、とりわけ、本発明のカルボン酸組成物は透明度に優れるので、高輝度の白色LED又は光半導体封止用の硬化性樹脂組成物用の添加剤として極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の多価カルボン酸は、下記式(1)
【化1】


(式中、複数存在するR、nはそれぞれ独立して、Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表す。またnは平均値であり1〜3である。)で表される。
置換基Rは鎖状、あるいは環状のアルキル基、もしくはアリール基が好ましく、耐熱性、耐光性の観点から置換/あるいは非置換のシクロヘキサン環、ベンゼン環、架橋多環式アルキル環(ノルボルネン環やトリシクロデカン環)、ナフタレン環などが特に好ましい。
【0011】
本発明のカルボン酸組成物は下記式(2)
【化2】


で表される化合物と酸無水物との付加反応により製造される(以下、前記式(2)の化合物をジオール(2)と称す。本化合物は4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンのエチレンオキサイド付加により製造することができ、原料の4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンや、エチレンオキサイドがさらに付加した物を含んでも構わない。)。使用できる酸無水物としては、例えば無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物などの化合物が挙げられるが、分子内に一つ以上の環状酸無水物構造を有する酸無水物であれば特に限定されず、2種類以上を混合しても構わない。
好ましい酸無水物としてはシクロヘキサン構造を有するアルキル置換あるいはカルボキシル基による置換、もしくは無置換の酸無水物構造を分子内に1つ以上有する多価カルボン酸無水物であり、具体的には1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物などが挙げられるがこれに限らず、2種類以上を混合しても構わない。
【0012】
酸無水物とジオール(2)の反応としては一般に酸や塩基を触媒とする付加反応であるが、本発明においては特に無触媒での反応が好ましい。
触媒を用いる場合、使用しうる触媒としては、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、硝酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸等の酸性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン等のアミン化合物、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等の複素環式化合物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルプロピルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルセチルアンモニウムヒドロキシド、トリオクチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨージド、テトラメチルアンモニウムアセテート、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの触媒は1種又は2種以上を混合して用いても良い。これらの中で、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジンが好ましい。
【0013】
触媒の使用量には、特に制限はないが、原料の総重量100重量部に対して、通常0.001〜5重量部必要により使用するのが好ましい。
【0014】
本反応においては無溶剤での反応が好ましいが、有機溶剤を使用しても構わない。有機溶剤の使用量としては、反応基質である酸無水物とジオールの総量1に対し、重量比で0.005〜1であり、好ましくは0.005〜0.7、より好ましくは0.005〜0.5(すなわち50重量%以下)である。重量比で1を超える場合、反応の進行が極度に遅くなることから好ましくない。使用できる有機溶剤の具体的な例としてはヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等のアルカン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、アノン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、蟻酸メチルなどのエステル化合物などが使用できる。
【0015】
反応温度は40〜200℃が好ましく、特に好ましくは40〜150℃である。特に本反応を過剰(等モルを超えた量比)の酸無水物存在下、無溶剤で行う場合は、酸無水物の揮発があるため、100℃以下での反応が好ましく、40〜100℃での反応が特に好ましい。
【0016】
酸無水物とジオール(2)との反応比率は理論的には等モルでの反応が好ましいが、必要に応じて変更可能である。すなわち、後述するが、本発明の硬化性樹脂組成物において使用する酸無水物と、ここで使用する酸無水物が同じである場合は、製造時に過剰の酸無水物中で反応を行い、酸無水物とジオール(2)の反応が終了した時点で酸無水物と本発明のカルボン酸組成物の混合物(HALS組成物)とすることもできる。
具体的な反応比率としてはその官能基当量で比較し、酸無水物を1とした場合、そのモル比で架橋多環ジオール類が0.001〜2、より好ましくは0.01〜1.5、さらに好ましくは0.01〜1.1である。前述のように硬化剤組成物を製造する場合、0.01〜0.7、さらに好ましくは0.01〜0.5の範囲で使用することが好ましい。
【0017】
反応時間は反応温度、触媒量等にもよるが、工業生産という観点から、長時間の反応は多大なエネルギーを消費することになるため好ましくはない。また短すぎる反応時間はその反応が急激であることを意味し、安全性の面から好ましく無い。好ましい範囲としては1〜48時間、好ましくは1〜36時間、さらに好ましくは1〜24時間である。
【0018】
反応終了後、触媒を用いた場合は、それぞれ中和、水洗、吸着などによって触媒の除去を行い、溶剤を留去することで目的とする多価カルボン酸が得られる。また無触媒での反応においては必要に応じて溶剤を留去、さらに無溶剤、無触媒の場合はそのまま取り出すことで製品とすることができる。
【0019】
最も好適な製造方法としては、酸無水物、ジオール(2)を無触媒、無溶剤の条件下、40〜150℃で反応させ、反応終了後、そのまま取り出すという手法である。
このようにして得られる本発明のカルボン酸組成物は前記式(1)の構造を有し、通常、無色〜淡黄色の固形の樹脂状を示す(場合によっては結晶化する)。また、過剰の酸無水物中で反応させた場合、その形状は液状を示す場合が多い。
【0020】
本発明のカルボン酸組成物(もしくはHALS組成物)は有機材料を酸化、熱または光誘導崩壊に対して安定化するのに適している。そのような材料の例は以下のとおりである
【0021】
モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマー:
例えばポリプロピレン(PP)、ポリイソブチレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリイソプレンまたはポリブタジエン、シクロオレフィン、シクロペンテン、ノルボルネンのポリマー、ポリエチレン(非架橋でも架橋されていてもよい)、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、分岐低密度ポリエチレン(BLDPE)などが挙げられるがこれに限らず、2種類以上を混合しても構わない。
前述のモノオレフィンのポリマー、特にポリエチレンおよびポリプロピレンは特に以下の方法により製造されることが好ましい
a)ラジカル重合(通常、高温高圧下)。
b)周期表のIVb、Vb、VIbまたはVIII族の金属1種以上を通常含有する触媒を用いる接触重合。これらの金属は通常1以上の配位子、典型的にはπ(パイ)−またはσ(シグマ)−配位されていてよい酸化物、ハロゲン化物、アルコレート、エステル、エーテル、アミン、アルキル、アルケニルおよび/またはアリールを有する。これらの金属錯体は遊離体であっても、または基体(substrate) 、典型的には活性化塩化マグネシウム、塩化チタン(III)、アルミナまたは酸化ケイ素に固定されていてもよい。これらの触媒は重合化媒体に可溶性であっても、不溶性であってもよい。触媒は重合においてそれ自体で使用され得、またその他の活性化剤、典型的には金属アルキル、金属水素化物、金属アルキルハロゲン化物、金属アルキル酸化物または金属アルキルオキサンが使用され得る(上記金属は周期表のIa、IIaおよび/またはIIIa族の元素である)。活性化剤はその他のエステル、エーテル、アミンまたはシリルエーテル基で慣用方法により変性されてもよい。上記触媒系は通常フィリップス、スタンダード・オイル・インディアナ、チーグラー・ナッタ、TNZ(デュポン)、メタロセンまたは単一部位触媒(single site catalyst, SSC)と命名されている。
【0022】
モノオレフィンとジオレフィン相互または他のビニルモノマーとのコポリマー:
例えばエチレン/プロピレンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)およびこれと低密度ポリエチレン(LDPE)との混合物、プロピレン/ブテン−1コポリマー、プロピレン/イソブチレンコポリマー、エチレン/ブテン−1コポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、エチレン/メチルペンテンコポリマー、エチレン/ヘプテンコポリマー、エチレン/オクテンコポリマー、プロピレン/ブタジエンコポリマー、イソブチレン/イソプレンコポリマー、エチレン/アルキルアクリレートコポリマー、エチレン/アルキルメタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマーおよびそれらの一酸化炭素とのコポリマーまたはエチレン/アクリル酸コポリマーおよびそれらの塩類(アイオノマー)、並びにエチレンとプロピレンとジエン例えばヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはエチリデンノルボルネンとのターポリマー;および上記コポリマー相互の、および前記モノオレフィンおよびジオレフィンのポリマーに列挙したポリマーとの混合物、例えばポリプロピレン/エチレンプロピレンコポリマー、LDPE/エチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)、LDPE/エチレン−アクリル酸コポリマー(EAA)、LLDPE/EVA、LLDPE/EAAおよび交互またはランダムポリアルキレン/一酸化炭素コポリマー、およびそれらとその他のポリマー例えばポリアミドとの混合物。
【0023】
炭化水素樹脂(例えば炭素原子数5ないし9のもの)およびそれらの水素化変性体(例えば粘着付与剤)およびポリアルキレンとデンプンとの混合物。
【0024】
ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)。例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、汎用ポリスチレン(GPPS)。
【0025】
スチレンまたはα−メチルスチレンとジエンまたはアクリル誘導体とのコポリマー:
例えばスチレン/ブタジエン、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/アルキルメタクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルアクリレート、スチレン/ブタジエン/アルキルメタクリレート、スチレン/無水マレイン酸、スチレン/アクリロニトリル/メチルアクリレート;スチレンコポリマーと別のポリマー、例えばポリアクリレート、ジエンポリマーまたはエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーとの高耐衝撃性混合物;およびスチレンのブロックコポリマー例えばスチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレン、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンまたはスチレン/エチレン/プロピレン/スチレン。
【0026】
スチレンまたはα−メチルスチレンのグラフトコポリマー:
例えばポリブタジエンにスチレン、ポリブタジエン−スチレンまたはポリブタジエン−アクリロニトリルコポリマーにスチレン、ポリブタジエンにスチレンおよびアクリロニトリル(またはメタクリロニトリル)、ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリルおよびメチルメタアクリレート、ポリブタジエンにスチレンおよび無水マレイン酸;ポリブタジエンにスチレン、アクリロニトリルおよび無水マレイン酸;ポリブタジエンにスチレンおよびマレイミド;ポリブタジエンにスチレンおよびアルキルアクリレートまたはメタクリレート;エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーにスチレンおよびアクリロニトリル、ポリアルキルアクリレートまたはポリアルキルメタクリレートにスチレンおよびアクリロニトリル、アクリレート/ブタジエンコポリマーにスチレンおよびアクリロニトリル、並びにこれらと前記スチレンまたはα−メチルスチレンとジエンまたはアクリル誘導体とのコポリマーに列挙したコポリマーとの混合物、例えばABS−、MBS−、ASA−またはAES−ポリマーとして知られているコポリマー混合物。
【0027】
ハロゲン含有ポリマー:
例えばポリクロロプレン、塩素化ゴム、塩素化またはスルホ塩素化ポリエチレン、エチレンと塩素化エチレンとのコポリマー、エピクロロヒドリンホモ−およびコポリマー、特にハロゲン含有ビニル化合物のポリマー、例えばポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン並びにこれらのコポリマー、例えば塩化ビニル/塩化ビニリデン、塩化ビニル/酢酸ビニルまたは塩化ビニリデン/酢酸ビニルコポリマー。
【0028】
α,β−不飽和酸およびその誘導体から誘導されるポリマー:
例えばポリアクリレートおよびポリメタアクリレート;ブチルアクリレートで耐衝撃性に変性されたポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミドおよびポリアクリロニトリル。または、これらモノマー相互のまたは他の不飽和モノマーとのコポリマー、例えばアクリロニトリル/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/アルキルアクリレートコポリマー、アクリロニトリル/アルコキシアルキルアクリレートもしくはアクリロニトリル/ハロゲン化ビニルコポリマーまたはアクリロニトリル/アルキルメタアクリレート/ブタジエンターポリマー。
【0029】
不飽和アルコールおよびアミンまたはそれらのアシル誘導体もしくはアセタールから誘導されるポリマー:
例えばポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルステアレート、ポリビニルベンゾエート、ポリビニルマレエート、ポリビニルブチレート、ポリアリルフタレートまたはポリアリルメラミン;前述のオレフィンとのコポリマー。
【0030】
環状エーテルのホモポリマーおよびコポリマー:
例えばポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドまたはこれらとビスグリシジルエーテルとのコポリマー。
【0031】
ポリアセタール:
例えばポリオキシメチレン(POM)およびエチレンオキシドをコモノマーとして含むポリオキシメチレン;熱可塑性ポリウレタン(PU)、アクリレートまたはMBSで変性されたポリアセタール。
【0032】
ポリフェニレンオキシドおよびスルフィド、およびポリフェニレンオキシドとスチレンポリマーまたはポリアミドとの混合物。
【0033】
一方の成分としてヒドロキシ末端基を含むポリエーテル、ポリエステルまたはポリブタジエンと他方の成分として脂肪族または芳香族ポリイソシアネートとから誘導されたポリウレタン並びにその前駆体。
【0034】
ジアミンおよびジカルボン酸および/またはアミノカルボン酸または相当するラクタムから誘導されたポリアミド(PA)およびコポリアミド。例えばポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド6/6、6/10、6/9、6/12、4/6、12/12、ポリアミド11、ポリアミド12、m−キシレン、ジアミンおよびアジピン酸から出発する芳香族ポリアミド;ヘキサメチレンジアミンとイソフタル酸および/またはテレフタル酸とから、変性剤としてエラストマーを添加して、または添加せずに製造されたポリアミド、例えばポリ−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンテレフタルアミドまたはポリ−m−フェニレンイソフタルアミド;上記ポリアミドとポリオレフィン、オレフィンコポリマー、アイオノマーまたは化学結合化もしくはグラフト化エラストマーとの、またはポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレングリコールとのブロックコポリマー;並びにEPDMまたはABSで変性されたポリアミドまたはコポリアミド;および加工の間に縮合したポリアミド(RIMポリアミド系)。
【0035】
ポリ尿素、ポリイミド、ポリアミドイミドおよびポリベンズイミダゾール。
【0036】
ジカルボン酸およびジオールおよび/またはヒドロキシカルボン酸から誘導されたポリエステルまたは相当するラクトン、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ−1, 4−ジメチロール−シクロヘキサンテレフタレートおよびポリヒドロキシベンゾエート並びにヒドロキシ末端ポリエーテルから誘導されたブロックコポリエーテルエステル;およびポリカーボネートまたはMBSで変性されたポリエステル。
【0037】
ポリカーボネート(PC)およびポリエステルカーボネート。
【0038】
ポリスルホン、ポリエーテルスルホンおよびポリエーテルケトン。
【0039】
一方の成分としてアルデヒドおよび他方の成分としてフェノール、尿素およびメラミンから誘導された架橋ポリマー、例えばフェノール/ホルムアルデヒド樹脂、尿素/ ホルムアルデシド樹脂およびメラミン/ホルムアルデヒド樹脂。
【0040】
乾性および不乾性アルキド樹脂。
【0041】
飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステルおよび架橋剤としてのビニル化合物から誘導された不飽和ポリエステル樹脂、および燃焼性の低いそれらのハロゲン含有変性物。
【0042】
置換アクリル酸エステル:
例えばエポキシアクリレート、ウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートから誘導された架橋性アクリル樹脂。
【0043】
メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネートまたはエポキシ樹脂と架橋されたアルキド樹脂、ポリエステル樹脂およびアクリレート樹脂。
【0044】
エポキシ樹脂:
例えばビスグリシジルエーテルまたは脂環式ジエポキシドから誘導されたエポキシ樹脂組成物。フェノール樹脂、アミン化合物(アミノ基含有樹脂)、酸無水物、カルボン酸類などとの硬化性樹脂
【0045】
天然ポリマー:
例えばセルロース、ゴム、ゼラチンおよびこれらの化学的に変性させた重合同族体誘導体、例えば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースおよび酪酸セルロースまたはセルロースエーテル例えばメチルセルロース;並びにロジンおよびそれらの誘導体。
【0046】
前記したポリマーの混合物(ポリブレンド):
例えばPP/EPDM、ポリアミド/EPDMまたはABS、PVC/EVA、PVC/ABS、PVC/MBS、PC/ABS、PBTP/ABS、PC/ASA、PC/PBT、PVC/CPE、PVC/アクリレート、POM/熱可塑性PUR、PC/熱可塑性PUR、POM/アクリレート、POM/MBS、PPO/HIPS、PPO/PA6.6およびコポリマー、PA/HDPE、PA/PP、PA/PPO。
【0047】
純単量体化合物またはその化合物の混合物である天然および合成有機材料:
例えば鉱油、動物および植物脂肪、オイルおよびワックスまたは合成エステル(例えばフタレート、アジペート、ホスフェートまたはトリメリテート)をベースとした上記オイル、脂肪およびワックス、並びにあらゆる重量比で混合された合成エステルと鉱油との混合物で、その材料は典型的には繊維紡績油として、並びにこのような材料の水性エマルジョンとして使用される。
【0048】
天然または合成ゴムの水性エマルジョン:
例えばカルボキシル化スチレン/ブタジエンコポリマーの天然ラテックス。
【0049】
本発明の樹脂組成物は前述の様なプラスチック材料100重量部に対して0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.025〜3重量部、さらに好ましくは0.025〜1重量部で添加される。
【0050】
本発明においてはエポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物への添加が好ましい。本発明のカルボン酸組成物を含有する硬化性樹脂組成物は、塗料、接着剤、成形品、半導体、光半導体の封止材用樹脂、光半導体のダイボンド材用樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂などの原料や改質剤、可塑剤や潤滑油原料、医農薬中間体、塗料用樹脂の原料、トナー用樹脂として有用であるが、その硬化物の透明度が優れるので、高輝度の白色LED他の光半導体封止に用いられるエポキシ樹脂用として極めて有用である。
【0051】
以下、本発明のカルボン酸組成物(HALS組成物)を含有する本発明の硬化性樹脂組成物について記載する。
本発明の硬化性樹脂組成物はエポキシ樹脂を含有することが好ましい。
【0052】
本発明の硬化性樹脂組成物において使用できるエポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂などが挙げられる。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールS、チオジフェノール、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、アルコール類から誘導されるグリシジルエーテル化物、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、シロキサン構造(Si−O)を有するエポキシ樹脂(鎖状、環状、ラダー状、あるいはそれら少なくとも2種以上の混合構造のシロキサン構造にグリシジル基、および/またはエポキシシクロヘキサン構造を有するエポキシ樹脂)等の固形または液状エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0053】
特に本発明の硬化性樹脂組成物を光学用途に用いる場合、脂環式エポキシ樹脂やシロキサン構造(Si−O)を有するエポキシ樹脂、例えばエポキシ基含有シリコーン樹脂、好ましくはシルセスキオキサン構造のエポキシ樹脂との併用が好ましい。特に脂環式エポキシ樹脂の場合、骨格にエポキシシクロヘキサン構造を有する化合物が好ましく、シクロヘキセン構造を有する化合物の酸化反応により得られるエポキシ樹脂が特に好ましい。
これら脂環式エポキシ樹脂としては、シクロヘキセンカルボン酸とアルコール類とのエステル化反応あるいはシクロヘキセンメタノールとカルボン酸類とのエステル化反応(Tetrahedron vol.36 p.2409 (1980)、Tetrahedron Letter p.4475 (1980)等に記載の手法)、あるいはシクロヘキセンアルデヒドのティシェンコ反応(特開2003−170059号公報、特開2004−262871号公報等に記載の手法)、さらにはシクロヘキセンカルボン酸エステルのエステル交換反応(特開2006−052187号公報等に記載の手法)によって製造できる化合物を酸化した物などが挙げられる。
アルコール類としては、アルコール性水酸基を有する化合物であれば特に限定されないがエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのジオール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、2−ヒドロキシメチル−1,4−ブタンジオールなどのトリオール類、ペンタエリスリトールなどのテトラオール類などが挙げられる。またカルボン酸類としてはシュウ酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられるがこれに限らない。
【0054】
さらには、シクロヘキセンアルデヒド誘導体と、アルコール体とのアセタール反応によるアセタール化合物が挙げられる。反応手法としては一般のアセタール化反応を応用すれば製造でき、例えば、反応媒体にトルエン、キシレンなどの溶媒を用いて共沸脱水しながら反応を行う方法(米国特許第2945008号公報)、濃塩酸に多価アルコールを溶解した後アルデヒド類を徐々に添加しながら反応を行う方法(特開昭48−96590号公報)、反応媒体に水を用いる方法(米国特許第3092640号公報)、反応媒体に有機溶媒を用いる方法(特開平7−215979号公報)、固体酸触媒を用いる方法(特開2007−230992号公報)等が開示されている。構造の安定性から環状アセタール構造が好ましい。
これらエポキシ樹脂の具体例としては、ERL−4221、UVR−6105、ERL−4299(全て商品名、いずれもダウ・ケミカル製)、セロキサイド2021P、エポリードGT401、EHPE3150、EHPE3150CE(全て商品名、いずれもダイセル化学工業製)及びジシクロペンタジエンジエポキシドなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない(参考文献:総説エポキシ樹脂 基礎編I p76−85)。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0055】
特にシロキサン構造(Si−O)を有するエポキシ樹脂の場合、シロキサン構造を有する化合物であれば特に限定されず、各種シラン系カップリング剤(グリシジル基および/またはエポキシシクロヘキサン基を有するカップリング剤を必須成分とする)とのゾル−ゲル反応により得られる化合物が挙げられ、シリコーンオイルや多価アルコール類をセグメントとして分子内に取り込んだ構造のものでも構わない。
具体的には例えば、再公表特許WO2005/100445号公報や特願2008−225472号公報、特開2007−326988号公報などに記載の化合物が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0056】
本発明の硬化性樹脂組成物において、使用できる硬化剤としては、例えばアミン系化合物、不飽和環構造を有する酸無水物系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物、カルボン酸系化合物などが挙げられる。使用できる硬化剤の具体例としては、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ブタンテトラカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、シクロヘキサン−1,3,4−トリカルボン酸−3,4−無水物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ビフェノール、2,2’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)とホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシアセトフェノン、o−ヒドロキシアセトフェノン、ジシクロペンタジエン、フルフラール、4,4’−ビス(クロロメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4’−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4’−ビス(メトキシメチル)ベンゼン等との重縮合物及びこれらの変性物、テトラブロモビスフェノールA等のハロゲン化ビスフェノール類、イミダゾール、トリフルオロボラン−アミン錯体、グアニジン誘導体、テルペンとフェノール類の縮合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また場合によっては本発明のカルボン酸組成物(HALS組成物)を硬化剤として使用しても構わない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0057】
本発明の硬化性樹脂組成物においてエポキシ樹脂と硬化剤との比率は、全エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜1.5当量(カルボン酸を1官能、酸無水物を1官能と考える)が好ましく、特に好ましくは0.7〜1.2当量である。エポキシ基1当量に対して、0.5当量に満たない場合、あるいは1.5当量を超える場合、いずれも硬化が不完全となり良好な硬化物性が得られない恐れがある。
【0058】
本発明の硬化性樹脂組成物においては、硬化剤とともに硬化促進剤を併用しても差し支えない。使用できる硬化促進剤の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−ウンデシルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−エチル,4−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及びそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラブチルアンモニウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリオクチルメチルアンモニウムブロマイド等のアンモニウム塩、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類やホスホニウム化合物、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト、オクチル酸スズ等の金属化合物等、及びこれら硬化促進剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。これら硬化促進剤のどれを用いるかは、例えば透明性、硬化速度、作業条件といった得られる透明樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択される。硬化促進剤は、エポキシ樹脂100重量部に対し通常0.001〜15重量部の範囲で使用される。
【0059】
本発明の硬化性樹脂組成物には、リン含有化合物を難燃性付与成分として含有させることもできる。リン含有化合物としては反応型のものでも添加型のものでもよい。リン含有化合物の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジル−2,6−ジキシリレニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4'−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)等のリン酸エステル類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10(2,5−ジヒドロキシフェニル)−10H−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のホスファン類;エポキシ樹脂と前記ホスファン類の活性水素とを反応させて得られるリン含有エポキシ化合物、赤リン等が挙げられるが、リン酸エステル類、ホスファン類またはリン含有エポキシ化合物が好ましく、1,3−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、1,4−フェニレンビス(ジキシリレニルホスフェート)、4,4'−ビフェニル(ジキシリレニルホスフェート)またはリン含有エポキシ化合物が特に好ましい。リン含有化合物の含有量はリン含有化合物/全エポキシ樹脂=0.1〜0.6(重量比)が好ましい。0.1以下では難燃性が不十分であり、0.6以上では硬化物の吸湿性、誘電特性に悪影響を及ぼす懸念がある。
【0060】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤を添加しても構わない。使用できる酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。酸化防止剤の使用量は、本発明の硬化性樹脂組成物中の樹脂成分100重量部に対して、通常0.008〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0061】
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。フェノール系酸化防止剤の具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルスルホン酸エチル)カルシウム等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類が例示される。
【0062】
イオウ系酸化防止剤の具体例として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネート等が例示される。
【0063】
リン系酸化防止剤の具体例として、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類などが例示される。
【0064】
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用しても構わない。特に本発明においてはリン系の酸化防止剤が好ましい。
【0065】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明のカルボン酸組成物と組み合わせて他の光安定剤を併用しても構わない。
併用できる光安定剤としては以下のアミン化合物が挙げられる。
例えば、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−ウンデカンオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)カーボネート、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−〔2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル−メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル,1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N′,N″,N″′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリルオキシカルボニル)エチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン−21−オン、β−アラニン,N,−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N−アセチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)ピロリジン−2,5−ジオン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−21−オキサ−3,20−ジアザジシクロ−〔5,1,11,2〕−ヘネイコサン−20−プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4−メトキシフェニル)−メチレン〕−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3−ベンゼンジカルボキシアミド,N,N′−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)等のヒンダートアミン系、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられるが、特に好ましくは、ピペリジン骨格を有するヒンダートアミン系化合物である。
【0066】
前記光安定材であるアミン化合物として、次に示す市販品を使用することができる。
市販されているアミン系化合物としては特に限定されず、例えば、チバスペシャリティケミカルズ製として、THINUVIN765、THINUVIN770DF、THINUVIN144、THINUVIN123、THINUVIN622LD、THINUVIN152、CHIMASSORB944、アデカ製として、LA−52、LA−57、LA−62、LA−63P、LA−77Y、LA−81、LA−82、LA−87などが挙げられる。
【0067】
さらに本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じてバインダー樹脂を配合することも出来る。バインダー樹脂としてはブチラール系樹脂、アセタール系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ−ナイロン系樹脂、NBR−フェノール系樹脂、エポキシ−NBR系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、シリコーン系樹脂などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。バインダー樹脂の配合量は、硬化物の難燃性、耐熱性を損なわない範囲であることが好ましく、樹脂成分100重量部に対して通常0.05〜50重量部、好ましくは0.05〜20重量部が必要に応じて用いられる。
【0068】
本発明の硬化性樹脂組成物には、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。無機充填剤としては、結晶シリカ、溶融シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ジルコニア、フォステライト、ステアタイト、スピネル、チタニア、タルク等の粉体またはこれらを球形化したビーズ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。これら無機充填剤の含有量は、本発明の硬化性樹脂組成物中において0〜95重量%を占める量が用いられる。更に本発明の硬化性樹脂組成物には、シランカップリング剤、ステアリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の離型剤、界面活性剤、染料、顔料、紫外線吸収剤等の種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂を添加することができる。
【0069】
本発明の硬化性樹脂組成物を光半導体封止剤に使用する場合、必要に応じて、蛍光体を添加することができる。蛍光体は、例えば、青色LED素子から発せられた青色光の一部を吸収し、波長変換された黄色光を発することにより、白色光を形成する作用を有するものである。蛍光体を、硬化性樹脂組成物に予め分散させておいてから、光半導体を封止する。蛍光体としては特に制限がなく、従来公知の蛍光体を使用することができ、例えば、希土類元素のアルミン酸塩、チオ没食子酸塩、オルトケイ酸塩等が例示される。より具体的には、YAG蛍光体、TAG蛍光体、オルトシリケート蛍光体、チオガレート蛍光体、硫化物蛍光体等の蛍光体が挙げられ、YAlO:Ce、YAl12:Ce、YAl:Ce、YS:Eu、Sr(PO)3Cl:Eu、(SrEu)O・Alなどが例示される。係る蛍光体の粒径としては、この分野で公知の粒径のものが使用されるが、平均粒径としては、1〜250μm、特に2〜50μmが好ましい。これらの蛍光体を使用する場合、その添加量は、その樹脂成分100重量部に対して、1〜80重量部、好ましくは5〜60重量部である。
【0070】
本発明の硬化性樹脂組成物は、各成分を均一に混合することにより得られる。本発明の硬化性樹脂組成物は従来知られている方法と同様の方法で容易にその硬化物とすることができる。例えばエポキシ樹脂と硬化剤並びに必要により硬化促進剤、リン含有化合物、バインダー樹脂、無機充填材及び配合剤とを必要に応じて押出機、ニーダ、ロール等を用いて均一になるまで充分に混合して硬化性樹脂組成物を得、その硬化性樹脂組成物を液状である場合はポッティングやキャスティング、基材に含浸、金型に硬化性樹脂組成物を流し込み注型し、加熱により硬化、また固形の場合、溶融後注型、あるいはトランスファー成型機などを用いて成型し、さらに加熱により硬化するという手法が挙げられる。硬化温度、時間としては80〜200℃で2〜10時間である。硬化方法としては高温で一気に固めることもできるが、ステップワイズに昇温し硬化反応を進めることが好ましい。具体的には80〜150℃の間で初期硬化を行い、100℃〜200℃の間で後硬化を行う。硬化の段階としては2〜8段階に分けて昇温するのが好ましく、より好ましくは2〜4段階である。
【0071】
また本発明の硬化性樹脂組成物をトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の溶剤に溶解させ、硬化性樹脂組成物ワニスとし、ガラス繊維、カ−ボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維、紙などの基材に含浸させて加熱乾燥して得たプリプレグを熱プレス成形することにより、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化物とすることができる。この際の溶剤は、本発明の硬化性樹脂組成物と該溶剤の混合物中で通常10〜70重量%、好ましくは15〜70重量%を占める量を用いる。また液状組成物のままRTM方式でカーボン繊維を含有するエポキシ樹脂硬化物を得ることもできる。
【0072】
また本発明の硬化性樹脂組成物をフィルム型組成物の改質剤としても使用できる。具体的にはBステージにおけるフレキ性等を向上させる場合に用いることができる。このようなフィルム型の樹脂組成物は、本発明の硬化性樹脂組成物を前記硬化性樹脂組成物ワニスとして剥離フィルム上に塗布し、加熱下で溶剤を除去した後、Bステージ化を行うことによりシート状の接着剤として得られる。このシート状接着剤は多層基板などにおける層間絶縁層として使用することが出来る。
【0073】
次に本発明のエポキシ樹脂組成物を光半導体の封止材又はダイボンド材として用いる場合について詳細に説明する。
【0074】
本発明のエポキシ樹脂組成物が高輝度白色LED等の光半導体の封止材、またはダイボンド材として用いる場合には、本発明の多価カルボン酸を含有する硬化剤(硬化剤組成物)と、エポキシ樹脂の他、硬化促進剤、カップリング材、酸化防止剤、光安定剤等の添加物を充分に混合することによりエポキシ樹脂組成物を調製し、封止材として、またはダイボンド材と封止材の両方に使用される。混合方法としては、ニーダー、三本ロール、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、ビーズミル等を用いて常温または加温して混合する。
【0075】
高輝度白色LED等の光半導体素子は、一般的にサファイア、スピネル、SiC、Si、ZnO等の基板上に積層させたGaAs、GaP、GaAlAs,GaAsP、AlGa、InP、GaN、InN、AlN、InGaN等の半導体チップを、接着剤(ダイボンド材)を用いてリードフレームや放熱板、パッケージに接着させてなる。電流を流すために金ワイヤー等のワイヤーが接続されているタイプもある。その半導体チップを、熱や湿気から守り、かつレンズ機能の役割を果たすためにエポキシ樹脂等の封止材で封止している。本発明のエポキシ樹脂組成物はこの封止材やダイボンド材として用いる事ができる。工程上からは本発明の硬化性樹脂組成物をダイボンド材と封止材の両方に使用するのが好都合である。
【0076】
半導体チップを、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて、基板に接着する方法としては、本発明のエポキシ樹脂組成物をディスペンサー、ポッティング、スクリーン印刷により塗布した後、半導体チップをのせて加熱硬化を行い、半導体チップを接着させることができる。加熱は、熱風循環式、赤外線、高周波等の方法が使用できる。
加熱条件は例えば80〜230℃で1分〜24時間程度が好ましい。加熱硬化の際に発生する内部応力を低減する目的で、例えば80〜120℃、30分〜5時間予備硬化させた後に、120〜180℃、30分〜10時間の条件で後硬化させることができる。
【0077】
封止材の成形方式としては上記のように半導体チップが固定された基板を挿入した型枠内に封止材を注入した後に加熱硬化を行い成形する注入方式、金型上に封止材をあらかじめ注入し、そこに基板上に固定された半導体チップを浸漬させて加熱硬化をした後に金型から離形する圧縮成形方式等が用いられている。
注入方法としては、ディスペンサー、トランスファー成形、射出成形等が挙げられる。
加熱は、熱風循環式、赤外線、高周波等の方法が使用できる。加熱条件は例えば80〜230℃で1分〜24時間程度が好ましい。加熱硬化の際に発生する内部応力を低減する目的で、例えば80〜120℃、30分〜5時間予備硬化させた後に、120〜180℃、30分〜10時間の条件で後硬化させることができる。
【0078】
更に、本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途に用いることができ、具体的には、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止材の他、封止材、基板用のシアネート樹脂組成物や、レジスト用硬化剤としてアクリル酸エステル系樹脂等、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
【0079】
接着剤としては、土木用、建築用、自動車用、一般事務用、医療用の接着剤の他、電子材料用の接着剤が挙げられる。これらのうち電子材料用の接着剤としては、ビルドアップ基板等の多層基板の層間接着剤、ダイボンディング剤、アンダーフィル等の半導体用接着剤、BGA補強用アンダーフィル、異方性導電性フィルム(ACF)、異方性導電性ペースト(ACP)等の実装用接着剤等が挙げられる。
【0080】
封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSIなど用のポッティング、ディッピング、トランスファーモールド封止、IC、LSI類のCOB、COF、TABなど用のといったポッティング封止、フリップチップなどの用のアンダーフィル、QFP、BGA、CSPなどのICパッケージ類実装時の封止(補強用アンダーフィルを含む)などを挙げることができる。
【0081】
本発明の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる本発明の硬化物は光学部品材料をはじめ各種用途に使用できる。光学用材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザーなどの光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。より具体的には、ランプタイプ、SMDタイプ等のLED用封止材の他、以下のようなものが挙げられる。液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏光板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルムなどの液晶用フィルムといった液晶表示装置周辺材料である。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止材、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、LED表示装置に使用されるLEDのモールド材、LEDの封止材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またプラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、また有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤、またフィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤である。光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止材、接着剤などである。
【0082】
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部である。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーである。またプロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルム、封止材、接着剤などである。光センシング機器のレンズ用材料、封止材、接着剤、フィルムなどである。光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子の封止材、接着剤などである。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルール、封止材、接着剤などである。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路、LEDの封止材、CCDの封止材、接着剤などである。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤などである。光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイドなど、工業用途のセンサー類、表示・標識類など、また通信インフラ用および家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーである。半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料である。自動車・輸送機分野では、自動車用のランプリフレクタ、ベアリングリテーナー、ギア部分、耐蝕コート、スイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、各種内外装品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク、自動車用防錆鋼板、インテリアパネル、内装材、保護・結束用ワイヤーネス、燃料ホース、自動車ランプ、ガラス代替品である。また、鉄道車輌用の複層ガラスである。また、航空機の構造材の靭性付与剤、エンジン周辺部材、保護・結束用ワイヤーネス、耐蝕コートである。建築分野では、内装・加工用材料、電気カバー、シート、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料である。農業用では、ハウス被覆用フィルムである。次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止材、接着剤などである。
【実施例】
【0083】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、以下において部は特に断わりのない限り重量部である。尚、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また実施例において、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)の測定は以下の通りである。
カラムは、Shodex SYSTEM−21カラム(KF−803L、KF−802.5(×2本)、KF−802)、連結溶離液はテトラヒドロフラン、流速は1ml/min.カラム温度は40℃、また検出はRI(Reflective index)で行い、検量線はShodex製標準ポリスチレンを使用した。
【0084】
合成例1
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置、ディーンスターク管を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(岩谷瓦斯製 DMCD−p)140部、シクロヘキセン−4−メタノール314部、テトラブトキシチタン0.07部を加え、120℃1時間、150℃1時間、170℃1時間、190℃12時間、反応により生成するメタノールを抜きながら反応を行った。ガスクロマトグラフィー(GC)にて反応の進行を確認したところ1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルのピークが1面積%以下であることを確認して、ついで、50℃まで冷却した。
冷却終了後、347部のトルエンを加え均一にした後、反応溶液を10重量%水酸化ナトリウム水溶液80部で3回洗浄し、さらに水100部/回で廃水が中性になるまで水洗を繰り返し、ロータリーエバポレータで加熱減圧下、トルエンと未反応の3−シクロヘキセン−1−メタノールを留去することにより常温で液状のジオレフィン化合物が240部得られた。
【0085】
合成例2
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら水15部、12−タングストリン酸0.95部、燐酸水素2ナトリウム0.78、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムアセテート2.7部(ライオンアクゾ製 50重量%ヘキサン溶液、アカード2HTアセテート)、トルエン180部、合成例1で得られたジオレフィン化合物を118部加え、さらに再度攪拌することでエマルジョン状態の液とした。この溶液を50℃に昇温し、激しく攪拌しながら、35重量%過酸化水素水70部を1時間で加え、そのまま50℃で13時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて反応の進行を確認したところ、原料ピークは1面積%以下であった。
ついで1重量%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、20重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液25部を加え30分攪拌を行い、静置した。2層に分離した有機層を取り出し、ここに活性炭(味の素ファインテクノ製 CP1)20部、ベントナイト(ホージュン製 ベンゲルSH)20部を加え、室温で1時間攪拌後、ろ過した。得られたろ液を水100部で3回水洗を行い、得られた有機層より、トルエンを留去することで、常温で液状のエポキシ樹脂(EP−1)119部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は217g/eq.であった。
【0086】
合成例3
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら水15部、12−タングストリン酸1.9部、燐酸水素2ナトリウム1.6、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムアセテート5.4部(ライオンアクゾ製 50重量%ヘキサン溶液、アカード2HTアセテート)、トルエン160部、3−シクロヘキセンカルボン酸 3−シクロヘキセンメチルエステルを110部加え、さらに再度攪拌することでエマルジョン状態の液とした。この溶液を50℃に昇温し、激しく攪拌しながら、35重量%過酸化水素水70部を1時間で加え、そのまま50℃で20時間攪拌した。ガスクロマトグラフィーにて反応の進行を確認したところ、原料ピークは1面積%以下であった。
ついで1重量%水酸化ナトリウム水溶液で中和した後、20重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液25部を加え30分攪拌を行い、静置した。2層に分離した有機層を取り出し、ここに活性炭(味の素ファインテクノ製 CP1)40部、ベントナイト(ホージュン製 ベンゲルSH)40部を加え、室温で1時間攪拌後、ろ過した。得られたろ液を水100部で3回水洗を行い、得られた有機層より、トルエンを留去することで、常温で液状のエポキシ樹脂(EP−2)110部を得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は130g/eq.であった。
【0087】
合成例4
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながらジシクロペンタジエンジメタノール10部、ヘキサヒドロフタル酸無水物とメチルヘキサヒドロフタル酸無水物との混合物(新日本理化(株)製、リカシッドMH−700 以下、酸無水物H−1と称す)50部を加え、40℃で1時間60℃で1時間加熱撹拌を行うことで(GPCによりジシクロペンタジエンジメタノールのピークは1面積%以下であることを確認した。)、ポリカルボン酸と酸無水物との混合物である硬化剤組成物が60部得られた。
得られた樹脂は無色の液状樹脂であり、GPCによる純度は多価カルボン酸の構造を51面積%、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物とヘキサヒドロフタル酸無水物の総量が49面積%であった。また、官能基当量は201g/eq.であった。
さらに、得られた硬化剤組成物に対し、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物(三菱瓦斯化学製 H−TMAn 以下 H−2と称す。)を12部添加し、均一な硬化剤組成物(B−1)とした。
【0088】
合成例5
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、ジオール(2)を主成分とするヒンダートアミン化合物(ガスクロマトグラフィーによる純度91面積%、また4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンを5面積%含む。トリメチルシリル化処理により検出しているため、正確な純度ではない。以下、D−1と称する。)10部、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物とヘキサヒドロフタル酸無水物の混合物(新日本理化(株)製、リカシッドMH700 以下、酸無水物H1と称す)100部を加え、50℃で1時間、70℃で1時間加熱撹拌を行った(GPCによりジオール(2)のピークは1面積%以下であることを確認した。)。これにより本発明の多価カルボン酸(A−1)を含有するHALS組成物(F−1)が120部得られた。得られた樹脂は淡黄色の液状樹脂であった。官能基当量は185g/eq.(酸無水物、カルボン酸をそれぞれ1官能と考える)であった。
【0089】
合成例6
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、窒素パージを施しながら、ジオール(D−1)12部、酸無水物(H−1)73部、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸−1,2−無水物(三菱瓦斯化学製 H−TMAn)15部を加え、50℃で1時間、70℃で1時間加熱撹拌を行った(GPCによりジオール(2)のピークは1面積%以下であることを確認した。)。これにより本発明の多価カルボン酸(A−2)を含有するHALS組成物(F−2)が100部得られた。得られた樹脂は淡黄色の液状樹脂であった。官能基当量は171g/eq.であった。
【0090】
実施例1、2比較例1、2、3、4、
合成例5、6で得られた本発明の多価カルボン酸を含有するHALS組成物(F−1、F−2)、比較例として、チバジャパン製HALS:tinuvin765、tinuvin770、アデカ製HALS:LA−87、LA−62をそれぞれエポキシ樹脂、硬化剤の総量に対し、2000ppm添加し、硬化性樹脂組成物を作成した。
硬化性樹脂組成物に使用した他の化合物は以下の通りである。またその配合比は以下に示すとおりである。
・エポキシ樹脂:
合成例2で製造されたエポキシ樹脂(EP−1) 3.3部
合成例3で製造されたエポキシ樹脂(EP−2) 4.9部
・硬化剤:
合成例4で製造された硬化剤組成物(B−1) 8.3部
・硬化触媒:
キングインダストリー社製 XC9206 0.03部
【0091】
(LED点灯試験)
実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物をシリンジに充填し精密吐出装置を用いて、中心発光波465nmのチップを搭載した外径5mm角表面実装型LEDパッケージ(内径4.4mm、外壁高さ1.25mm)に注型した。その注型物を加熱炉に投入して、120℃、1時間さらに150℃、3時間の硬化処理をしてLEDパッケージを作成した。得られたLEDについてリフロー前後での照度を簡易的に受光素子を使用し測定を行った。(遮光下、作成したLEDを規定電流の30mA電流で発光させ、受光素子(Photodiode visible light BS500B シャープ製)にて受光、そこに流れる電流値で照度の尺度とした。)。測定はLED封止直後、およびリフロー試験後の照度について測定し、その差異を確認した。結果については、表1に示した。
リフロー試験
高温観察装置(SMT scope SK−5000 山陽精工株式会社)を使用。
25℃より2℃/秒昇温で150℃まで昇温、その後2分保持し、さらに2℃/秒で260℃まで昇温し、10秒の温度保持を行った。
【0092】
【表1】

【0093】
以上の結果から、本発明のカルボン酸組成物を含有する硬化物は、初期の照度に優れるだけでなく、リフロー後の照度およびその照度保持率に優れる樹脂であり、耐熱性に優れる硬化物を与える事がわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(式中、複数存在するR、nはそれぞれ独立して、Rは炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表す。またnは平均値であり1〜3である。)で表されるカルボン酸組成物。
【請求項2】
下記式(2)
【化2】

と炭素数3〜22の酸無水物との反応により得られるカルボン酸組成物。
【請求項3】
無溶剤、もしくは使用する原料に対し、50重量%以下の有機溶剤中、40〜150℃で反応させることを特徴とする請求項2に記載のカルボン酸組成物の製造方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のカルボン酸組成物と酸無水物との混合物であることを特徴とするHALS組成物。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のカルボン酸組成物、および/または請求項4に記載のHALS組成物を含有するプラスチック。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載のカルボン酸組成物、および/または請求項4に記載のHALS組成物を含有する硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。

【公開番号】特開2011−148709(P2011−148709A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8822(P2010−8822)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【Fターム(参考)】