説明

カロテノイド抽出法

【課題】植物オレオレジンを生成する方法および植物からカロテノイドを抽出する方法を提供する。
【解決手段】(i)植物を水と混合して10°以下のブリックスを得るステップと、(ii)段階(i)の混合物を粉砕し、液体から固形物を分離して、果肉および漿液の2相を得るステップと、(iii)果肉を抽出してカロテノイド含有植物オレオレジンを得るステップとを含む、10°ブリックスよりも大きいブリックスのカロテノイド含有植物からカロテノイドを抽出する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物オレオレジンを生成する方法および植物からカロテノイドを抽出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品業界における溶媒の使用に対する規制が急速に広がっている。この業界で親油性物質を抽出するために使用されてきた多くの有機溶媒は、その使用を禁止または制限する法的規制に該当する。したがって、エタノールや酢酸エチルなど比較的安全な溶媒の使用が、この業界で急速に増加している。しかし、これらの溶媒は親油性が強くなく、したがって、親油性物質を抽出するのにあまり効率的ではない。この問題は、技術的および工学的な解決策によるいくつかの抽出法で克服されている。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,837,311号は、いくつかの溶解度パラメータに基づいて適当な抽出溶媒が選択された、ブリックスが約5°の新鮮なトマトからトマトオレオレジンを得る方法について開示している。
【0003】
他のカロテノイド抽出法が当技術分野で記載されている。米国特許第5,648,564号は、植物からのキサントフィルの生成について記載している。前記特許は、クコからのゼアキサンチンの抽出について開示している。しかし、この抽出法は、ブリックスがかなり高い、すなわち10°ブリックスよりも大きい画分について実施されており、したがって、抽出段階の前に、プロセスの中間段階として乾燥が必要とされる。
【0004】
ブリックスが10より大きい植物を抽出する場合、抽出前の植物物質を乾燥しないと分離が困難な相が3相生成するため、それに続く抽出溶媒からの果肉の分離が問題となることが現在判明している。第1相は、溶媒で飽和した固形物を含み、第1相と第3相の間の界面にある第2相は、多糖類、溶媒および親油性物質、例えばカロテノイドの一部を含み、第3相は、溶媒および植物の親油性画分を含む。固形物の相からオレオレジンを得ることにより、植物から多糖類および他の水溶性成分を含むオレオレジンが得られるだろう。このオレオレジンの品質は不十分であり、所望の親油性物質、すなわちカロテノイドの含有量が低く、その中に含まれているカロテノイドのさらなる単離に使用するのに適していない。
【0005】
上記を考えると、ブリックスが10°より大きい植物からカロテノイド含有オレオレジンおよびカロテノイドを分離する経済的で効率的な方法が長い間求められてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,837,311号
【特許文献2】米国特許第5,648,564号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Handbook of Solvent Extraction、T.C.Lo、M.H.I.BairdおよびC.Hanson、T.Wiley Publisher(1983)25、30および31頁の「溶解度パラメータ(Solubility Parameters)」の章
【非特許文献2】CRC Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters、第2版(A.F.C.Barton)1982、620頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、ブリックスが10°より大きい植物からカロテノイド含有オレオレジンを分離する経済的で効率的な方法を提供することが本発明の目的である。
【0009】
ブリックスが10°より大きい植物から実質的に純粋な形態のカロテノイドを得る方法を提供することが本発明のさらなる目的である。
【0010】
本発明のさらなる目的は、説明が進むにつれて明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
(i)植物を水と混合して10°以下のブリックスを得るステップと
(ii)段階(i)の混合物を粉砕し、液体から固形物を分離して、果肉および漿液の2相を得るステップと
(iii)果肉を抽出してカロテノイド含有植物オレオレジンを得るステップと
を含む、10°ブリックスよりも大きいブリックスのカロテノイド含有植物からカロテノイドを抽出する方法を提供する。
【0012】
場合によっては、この方法は、漿液を濃縮して植物の水混和性物質の原液を得る段階をさらに含むことができる。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、植物からカロテノイドを単離する方法が提供されており、上記の方法は、段階(iii)で得られたカロテノイド含有オレオレジンまたは抽出段階の抽出物からカロテノイドを単離する段階をさらに含む。適当な溶媒でオレオレジンを希釈しろ過することによって、カロテンをそのオレオレジンから単離して、固形カロテノイドを得る。カロテンを抽出物から単離する場合は、この抽出物を適当な溶媒で希釈しろ過して、固形カロテンを得る。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、得られた植物オレオレジンにエステルまたはジエステルの形でキサントフィルが含まれる場合、この方法は、脂肪酸を含まない形態のキサントフィルを得るためにオレオレジンを鹸化条件にかける段階をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】プロセスを示すブロック図である。
【図2】ゼアキサンチンを修復するプロセスを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明は、本発明の実施形態を例示するものである。以下の説明は限定するものとみなすべきではなく、当業者はこの方法の多くの自明の変形形態を実施できると理解されたい。
【0017】
説明全体にわたって、特に別途注記しない限り、成分の百分率および比率は重量による。用語カロテノイドとは、カロテンおよびキサントフィルを含む。ブリックスは、可溶性固形物全体の測定単位と定義され、スクロースであるかのように表され、屈折計を用いて測定される。
【0018】
本発明に適したカロテノイド含有植物は、葉、花、果実および植物の他の部分である。説明全体にわたって、植物には、植物に由来する産物、例えばトマトペースト、果実、乾燥果実、ピューレおよび藻類由来のカロテノイド含有バイオマスも含まれる。本発明の特定の態様によれば、植物は、トマトペースト、ニンジン、乾燥ニンジン、クコの実(Lycium barbarum)、トウモロコシおよびドゥナリアラ(Dunaliala)バイオマスからなる群の中から選択される。
【0019】
本方法によって抽出できるカロテノイドには、カロテンおよびキサントフィルがある。非限定的な例には、リコペン、β−およびα−カロテン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、カプサンシン、カンタキサンチン、フィトエンならびにフィトフルエンがある。
【0020】
説明全体にわたって、適当な溶媒と称される抽出溶媒は、2つのパラメータ、δおよびδに基づいて選択される溶媒である。第3のパラメータ、δは、値の範囲が狭く重要ではないが、可能な限り高いことが好ましい。本発明によれば、δは0.0〜5.0、好ましくは0.0〜4.5、またδは0.0〜10の間で変動するはずである。溶媒の混合物を使用する場合、それに帰せられるδパラメータが、成分溶媒のδパラメータの線形結合であるはずである。これは科学的に正確ではない可能性があるが、産業上の目的に対して十分に厳密な基準である。あらゆる可能な興味深い溶媒のδパラメータが、よく知られている。それらのリストは、例えば、Handbook of Solvent Extraction、T.C.Lo、M.H.I.BairdおよびC.Hanson、T.Wiley Publisher(1983)25、30および31頁の「溶解度パラメータ(Solubility Parameters)」の章、ならびにCRC Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters、第2版(A.F.C.Barton)1982、620頁に見つけることができる。
【0021】
驚くべきことに、いくつかの溶解度パラメータに基づいて選択した適当な溶媒、例えば酢酸エチル、イソプロパノール、エタノールおよびアセトンを用いた、植物からのカロテノイドの抽出は、植物のブリックスが10°未満の場合に容易になることが判明した。これらの条件下では、抽出がより効率的であり、プロセス中に溶媒相から果肉相を分離するのが容易である。
【0022】
本発明の実施形態によれば、図1を参照して説明すると、植物のブリックスを10°未満に低下させるために、ブリックスが10°より大きい植物に水を加える(図1、(I))。水混和性成分、例えば多糖類の溶解を容易にするために、約70℃〜100℃の温度、好ましくは約80℃〜95℃の温度で植物を水と混合する。次いで、粉砕を含めた通常の操作によって植物を処理する(図1、(II))。処理した植物を漿液と果肉に分離する(図1、(III))。分離は、通常の方法、例えば、デカンテーション、通常のろ過または遠心分離によって実施することができる。植物の水溶性成分の大部分が、漿液に含まれている。前記成分には、アントシアニン、ポリフェノールおよび多糖類が含まれ得る。水溶性でない植物、すなわち脂質画分は、果肉中に保持される。したがって、カロテノイドは果肉中に存在する。次いで、好ましくは酢酸エチル、イソプロパノール、エタノールおよびアセトンまたはその混合物からなる群の中から選択される適当な溶媒を用いて、果肉を抽出に供する(図1、IV)。オレオレジンおよびカロテノイドを十分な収率で得るためには、果肉をいくつかの抽出ステップで抽出するのが重要である。したがって、果肉画分に多段抽出を施す。抽出に続いて、当業者に理解され得る通常の分離技法によって、抽出物、すなわちオレオレジンから抽出溶媒を分離する。抽出溶媒を分離する技法の非限定的な例は蒸発乾固である。得られたオレオレジンにはカロテノイドが含まれる。植物中のカロテノイド次第では、純粋な形態でカロテノイドを得るために、単離段階をさらに行うこともある。カロテノイドがカロテン、例えばリコペン、β−およびα−カロテンである場合は、カロテノイドの単離は、カロテノイドの小さな画分しか溶解していないカロテノイド含有量が約1%の溶液を得るために得られたオレオレジンまたは抽出物を希釈し、固形カロテノイドを得るためにこの溶液をろ過することによって実施することができる。この段階におけるカロテノイドの損失は非常に少なく、プロセスの収率に著しい影響を与えない。植物中のカロテノイドがエステルまたはジエステルの形、例えばジパルミチン酸ゼアキサンチンである場合は、遊離型のカロテノイドを得るために、得られたオレオレジンをさらに鹸化条件にかける。
【0023】
本発明の好ましい実施形態によれば、図2を参照すると、ゼアキサンチンはクコの実から得られる。したがって、ブリックスが約80°の乾燥クコの実を容器に加え、ブリックスを10°未満に低下させるために、その中に水を加える(図2、I)。クコと水の重量比は少なくとも1:8、好ましくは1:10である(これに関して、この比率の分母が増加すると、この比率はより大きいと考えられる)。好ましくは、加えた水の温度は70℃〜100℃、より好ましくは90℃である。次いで、ブリックスが10°より低い、好ましくは5°〜7°ブリックスの水和したクコを、粒径を低下させるために処理、例えば磨砕する(図2、II)。次いで、磨砕した水和クコを、水相から果肉を分離する分離プロセスにかける。適当な分離技法の非限定的な例は、遠心分離およびデカンテーションである(図2、III)。果肉と漿液の2相が得られる。果肉には、水に溶解しない脂質、カロテノイドおよび他の成分が含まれる。デカンテーションによって得られた水相は、漿液とも呼ばれており、多糖類、アントシアニンおよびポリフェノールなどの水溶性成分を含む。前記水溶性成分の一部、例えばアントシアニンおよびポリフェノールには、商品価値があるかもしれない。したがって、前記の貴重な物質を単離するために、漿液の処理をさらに行う。果肉は、多段階抽出プロセスで抽出する。第1の抽出段階で、好ましくは酢酸エチル、イソプロパノール、エタノールおよびアセトンまたはその混合物からなる群の中から選択される適当な抽出溶媒を果肉に加え(図2、IV)、好ましくは約40℃〜65℃の範囲の温度、より好ましくは約60℃で果肉を抽出する。抽出段階における果肉と溶媒の重量比は、1:3〜1:6、好ましくは1:4である。抽出物と果肉を通常の技法、例えばろ過、デカンテーションまたは遠心分離によって分離する(図2、V)。果肉を下流の第2の抽出段階に移す(図2、VII)。果肉と抽出物を上記のように再度分離する(図2、VIII)。次いで、果肉を三度目の抽出にかけ(図2、IX)、抽出物と果肉を分離して(図2、X)、果肉かすを得る。各抽出段階から回収した溶媒画分(抽出物)(図2、VI)を蒸発させて(図2、XI)、10%〜20%ゼアキサンチン脂肪酸ジエステルのオレオレジンを得る。ゼアキサンチンジエステルを加水分解してゼアキサンチンを得るために、オレオレジンを鹸化条件にかける(図2、XII)。鹸化は、KOH水溶液、エタノールおよびヘキサンを含む混合物中で、約70℃〜80℃の温度で約1時間実施する。ゼアキサンチンジエステル含有オレオレジンの加水分解後、ゼアキサンチン結晶沈殿物および混合物をろ過する(図2、XIII)。得られた固形画分には、約70%〜90%ゼアキサンチンが含まれる。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態によれば、溶媒により高濃度の溶媒をさらに含ませるために、第1の抽出段階で得られた溶媒を第1の抽出段階に再利用する。これには経済的な利点があり、このプロセスの効率を向上させる。このプロセスに適した抽出条件および技法は、当業者によって容易に理解され、決定され得る。
【0025】
本発明の他の実施形態によれば、30°ブリックスを有するトマト濃縮物から約5%〜6%リコペンを含むオレオレジンが得られる。ブリックスが10°よりも低い、好ましくは約5°の水和トマト濃縮物を得るために、トマト濃縮物を水で水和させる。トマト濃縮物と水の重量比は少なくとも1:3、好ましくは1:6である。この水和トマト濃縮物を混合し沈降させる。次いで、固相(果肉)から水相(漿液)を分離するために、水和トマト濃縮物を遠心分離する。好ましくは酢酸エチル、イソプロパノール、エタノールおよびアセトンまたはその混合物からなる群の中から選択される適当な溶媒を用いて、ブリックスが10°未満、好ましくは約5°の果肉を、好ましくは約40℃〜65℃の範囲の温度、より好ましくは約60℃で抽出する。この抽出は、いくつかの抽出段階で実施することが好ましい。前記抽出段階は、2回以上であってよい。多段抽出を実施する場合、抽出物を合わせてからその後の濃縮を行う。経済的な抽出法を維持するためには、果肉と溶媒の比率を1:3〜1:6、好ましくは1:4に維持すると有利である。リコペン濃度が約5%〜6%のトマトオレオレジンを得るために、抽出段階で得られた抽出物を濃縮する。当技術分野で知られている方法、例えば溶媒の蒸発によって、抽出物の濃縮を実施することができる。本発明のさらなる実施形態によれば、1%リコペンを含む混合物を得るためにトマトオレオレジンまたは抽出物に溶媒、好ましくは酢酸エチルを加え、次いで、固形リコペンを得るためにこの混合物をろ過することによって、トマトオレオレジンまたは抽出物から実質的に純粋なリコペンを得ることができる。
【0026】
本発明のさらに他の好ましい実施形態では、ブリックスが約12°のニンジンからβ−カロテンおよびα−カロテンを含むニンジンオレオレジンが得られる。場合によっては、ブリックスが約30°〜40°の乾燥ニンジンからオレオレジンを生成することができる。混合物のブリックスを10°未満、好ましくは約5°〜7°に低下させる、十分量の水を用いてニンジン片を加水分解する。新鮮なニンジンを加水分解する場合は、ニンジンと水の重量比は少なくとも1:1である。乾燥ニンジンを加水分解する場合は、乾燥ニンジンと水の重量比は少なくとも1:3、好ましくは1:6である。70℃〜100℃の範囲の温度、より好ましくは90℃の水を用いて加水分解を実施することが好ましい。水和したニンジンを固相(果肉)および水相(漿液)に分離する。遠心分離によって分離を行うことが好ましい。得られた果肉のブリックスは、10°より低く、好ましくは約5°〜7°である。好ましくは酢酸エチル、イソプロパノール、エタノールおよびアセトンまたはその混合物からなる群の中から選択される適当な溶媒を用いて、ブリックスが10°未満、好ましくは約5°〜7°の果肉を、好ましくは約40℃〜65℃の範囲の温度、より好ましくは約60℃で抽出する。この抽出は、いくつかの抽出段階で実施することが好ましい。前記数は、2以上であってよい。多段抽出を実施する場合、抽出物を合わせてからその後の濃縮を行う。経済的な抽出法を維持するためには、果肉と溶媒の比率を1:2〜1:4、好ましくは1:2.5に維持すると有利である。β−カロテンおよびα−カロテン濃度が約5%〜6%のニンジンオレオレジンを得るために、抽出段階で得られた抽出物を濃縮する。その2種のカロテンの比率は、植物の比率と相関関係がある。当技術分野で知られている方法、例えば溶媒の蒸発によって、抽出物の濃縮を実施することができる。本発明のさらなる実施形態によれば、約1%カロテンを含む混合物を得るためにオレオレジンまたは抽出物に溶媒、好ましくは酢酸エチルを加え、次いで、固形カロテンを得るためにこの混合物をろ過することによって、植物から前記カロテンを単離して、60〜80%純粋なα−およびβ−カロテンを得ることができる。
【0027】
本発明で実施する抽出段階は、利用可能な技術および所望の産物に応じて、当業者によって理解され得る様々な条件下で実施することができる。したがって、抽出段階のパラメータ、すなわち抽出段階の回数、温度、使用する溶媒の量、溶媒の再利用および補給流、ならびに蒸発に基づいた残余ならびに水−溶媒分離損失を改変し、特定の要求を満たすように調節することができる。
【0028】
当技術分野で知られている技法、例えば連続式およびバッチ式抽出法によって、本発明の抽出段階を実施することができる。
【0029】
本発明は、ブリックスが10°より大きい植物からのカロテノイドおよび植物オレオレジンの分離を容易にする、食品業界で使用されている規格に基づいて安全であると考えられている溶媒を用いて実施する、効率的で経済的な方法を提供するという点で有利である。
【実施例1】
【0030】
30÷Bxのトマトペースト由来のリコペン含有トマトオレオレジン
トマトペースト100gを水600gと混合した。混合物を3000Rpmで3分間遠心分離した。5÷Bxおよび水分82%未満の沈降物を、酢酸エチル250gを用いて60÷Cの温度で3回抽出した。抽出物を合わせ、減圧下で見かけ乾燥するまで蒸発乾固させて、有機溶媒を含まない均質なオレオレジンを形成した。オレオレジン中のリコペン濃度は5〜6%であった。
【実施例2】
【0031】
比較例
以下の実施例は、ブリックスを調整せずにトマトペーストからリコペン含有トマトオレオレジンを得る方法の結果を示す。トマトペースト100gを、酢酸エチル250gを用いて60÷Cの温度で3回抽出した。抽出物を合わせ、減圧下で明らかな乾燥状態まで蒸発させて、有機溶媒を含まないオレオレジンを形成した。生成物オレオレジンは、カラメル粒子を含み、非均質であった。抽出による収率は50%未満であった。オレオレジン中のリコペン濃度は1.5〜2%であった。
【実施例3】
【0032】
クコ(Lycium barbarum)由来のゼアキサンチン含有オレオレジン
液果100gを加水分解し、熱水(80〜100÷C)1000gを加えて磨砕した。ペーストを3000Rpmで3分間遠心分離した。5〜7÷Bxおよび水分82%未満の沈降物を、酢酸エチル400gを用いて60÷Cの温度で3回抽出した。抽出物を合わせ、ろ過し、減圧下で見かけ乾燥するまで蒸発乾固させて、鹸化するための、有機溶媒を含まない均質なジパルミチン酸ゼアキサンチンを含むオレオレジンを形成した。オレオレジン中のジパルミチン酸ゼアキサンチン濃度は13〜15%であった。
【実施例4】
【0033】
乾燥ニンジン由来のβ−カロテンおよびα−カロテン含有オレオレジン
乾燥ニンジン粒子100gを加水分解し、熱水(80〜100÷C)700gを加えて磨砕した。ペーストを3000Rpmで3分間遠心分離した。5〜7÷ブリックスおよび含水量82%未満の沈降物を、酢酸エチル300gを用いて60÷Cの温度で3回抽出した。抽出物を合わせ、ろ過し、減圧下で見かけ乾燥するまで蒸発乾固させて、有機溶媒を含まない均質なオレオレジンを形成した。オレオレジン中のβ−カロテンおよびα−カロテン濃度は5〜6%であった。
【0034】
本発明の実施形態を説明として記載したが、本発明を、その精神から逸脱することなく、あるいは特許請求の範囲を超えることなく、多くの変更形態、変形形態および適応形態によって実施できることは明らかであろう。
【0035】
本発明の教示から逸脱することなく、いくつかの変更、修正および置換が当業者に予期および予想されていることが理解されよう。したがって、以下の特許請求の範囲を、広く、かつ本発明の範囲および精神に合うように解釈することが妥当である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)植物を水と混合して10°以下のブリックスを得るステップと
(ii)段階(i)の混合物を粉砕し、液体から固形物を分離して、果肉および漿液の2相を得るステップと
(iii)果肉を抽出してカロテノイド含有植物オレオレジンを得るステップと
を含む、10°ブリックスよりも大きいブリックスのカロテノイド含有植物からカロテノイドを抽出する方法。
【請求項2】
前記カロテノイドが、カロテンまたはキサントフィルである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カロテノイドが、リコペン、β−およびα−カロテン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、カプサンシン、カンタキサンチン、フィトエンならびにフィトフルエンからなる群の中から選択される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記植物が、トマトペースト、ニンジンおよび乾燥ニンジンからなる群の中から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
オレオレジンまたは抽出溶媒からカロテノイドを単離する段階をさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
リコペン、α−カロテンおよびβ−カロテンを得るための請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記植物が、クコの実(Lycium barbarum)、トウモロコシおよびドゥナリアラ(Dunaliala)バイオマスからなる群の中から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項8】
カロテノイドキサントフィルを単離する段階をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記キサントフィルが、オレオレジン中で得られたキサントフィルエステルの鹸化によって得られる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
段階(i)が、水中で約70°〜100℃で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記抽出段階が、δが0.0〜5.0かつδが0.0〜10の溶媒またはその混合物中で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
使用する前記溶媒が、酢酸エチル、イソプロパノール、エタノールおよびアセトンまたはその混合物からなる群の中から選択される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記抽出が、いくつかの段階で実施される請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記漿液を濃縮して植物の水混和性物質の原液を得るさらなる段階を含む請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−13457(P2010−13457A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197650(P2009−197650)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【分割の表示】特願2003−524375(P2003−524375)の分割
【原出願日】平成14年9月4日(2002.9.4)
【出願人】(500350427)ライコード・ナチユラル・プロダクツ・インダストリーズ・リミテツド (5)
【Fターム(参考)】