説明

カーソルの位置決め制御装置

【課題】例えばコンピュータのディスプレイ上に表示されるカーソルをターゲットに対して的確かつ迅速に停止させて位置決め可能となるカーソルの位置決め制御装置を提供する。
【解決手段】
ディスプレイ上のカーソルの移動量に対応する測定値を所定時間ごとに測定するカーソル移動量測定手段と、カーソル移動量測定手段におけるN−1回目の測定値からN回目の測定値(Nは自然数)を減算し、この減算した値が所定の閾値を超えた際に、カーソルが減速中と判断するカーソル減速判断手段と、を有するカーソルの位置決め制御装置1であって、カーソル減速判断手段において、所定の閾値を超えた回数が連続して規定回数生じた場合に人が指令するカーソル移動減速度よりもカーソルの動きを少なくとも更に減速させる指令信号を生じさせるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパーソナルコンピュータのディスプレイ上に表示されるカーソルの位置決め制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から例えばパーソナルコンピュータのディスプレイ上に表示されるカーソルの位置決め制御装置は公知である(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。特許文献1に記載のカーソルの位置決め制御装置は、グラフィカルユーザーインターフェイスにおけるカーソルの移動動作を行うにあたって、特にカーソル動作の開始や停止の際にユーザーの使い勝手を向上させることを目的とした装置である。
【0003】
より詳細には、特許文献1に記載のカーソルの位置決め制御装置、即ちポインティング装置は、変換器の操作等のユーザー操作を入力パラメータに変換する変換器を有している。また、このポインティング装置は、入力パラメータを受信するように接続された伝達関数部を有している。そして、この伝達関数部は、値が連続した入力値に応答して入力パラメータの値の変化の増幅を表わすシンボル移動信号を生じるようになっている。即ち、アイソメトリック・ジョイスティックに対して指を押しつけ始める等、ユーザーが変換器の操作を始めると、入力パラメータは0からある有限値に変化する。この有限値は、それ自体が結果的に従来の伝達関数を使用するカーソルの移動制御方法を採用している。
【0004】
また、特許文献2に記載のカーソルの位置決め制御装置は、アイコンやボタンのメニュー等のアイテム間のカーソル移動を滑らかにすることを目的とした装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−212008号公報(段落(0040)、(0041)、(0078)及び図2)
【特許文献2】特開平7−5989号公報(段落(0021))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のカーソルの位置決め制御装置は、上述したようにカーソルの加速及び減速時に「負の慣性」を働かせるようになっている。即ち、カーソルが大きく減速する時は、過度のブレーキをかけてカーソルを減速させている。また、加速時には、その「負の慣性」がカーソルの急加速動作となる。従って、このようなカーソルの位置決め制御装置を用いた場合、例えば隣接するアイコン間でカーソルを移動させるようなカーソルに細かな動作をさせる際に、カーソルの移動と同時に負の慣性が働き過ぎてカーソルが急加速してしまい、カーソルが停止させるべきターゲットを通り過ぎてしまうような不都合、即ちカーソルの細かい移動動作を行い難い問題があった。
【0007】
また、同文献に記載のカーソルの位置決め制御装置を用いた場合、上述したようなカーソルの細かい移動動作時においてカーソルを目標とするアイコン等のターゲットに停止させる際にも負の慣性が働き過ぎることがあった。その結果、カーソルをターゲットに対してちょうどに停止させることができず、当初のカーソル移動方向に対して逆戻りしてかえってターゲットからカーソルを引き離すような不都合が生じていた。
【0008】
一方、ディスプレイ上の離れたターゲットにカーソルを移動させる操作を行なう際においては、カーソルの始点からターゲット(終点)までの距離が離れているため、操作者はカーソルをなるべく早く移動させようとする。そのため、ターゲット近くにおいてカーソルの移動速度がかなり速くなる。
【0009】
一般に、操作者は視覚でカーソルの移動停止のタイミングを見計らい、これをマウスの手の動きやポインティングスティックの指の動きに反映させてカーソルを停止させようとする。しかしながら、視覚認知と停止動作との間に大脳による思考処理の過程を経るため、この視覚認知と停止動作間にタイムラグが生じてしまう。その結果、視覚によりカーソルを止めようと認識した瞬間に手によるマウスの動きや指によるポインティングスティックの動きを止めても、カーソルがターゲットから行き過ぎてしまう。そのため、再びカーソルを移動方向と反対方向に戻してターゲットに位置合わせする必要が生じていた。
【0010】
特に、通常、卓上のデスクトップ型コンピュータ(デスクトップパソコン)やノート型コンピュータ(ノートパソコン)にマウスを接続して手でカーソルを移動させている者が、例えばポインティングスティックの備わったノートパソコンに買い換えたりすると、指でポインティングスティックを操作しなければならないため、スティック操作に慣れずにこのような不都合が生じてしまう場合が多かった。また、ポインティングスティックの操作に慣れている者であっても、常に振動している電車の乗車中や飛行機の搭乗中にノートパソコンを使用すると、スティックの操作効率が低下してしまうことがあった。
【0011】
なお、特許文献2に記載のカーソルの位置決め制御装置は、アイコンやボタンやメニュー等のアイテム間のカーソル移動に関し、マウス等のポインティングデバイスの操作量を少なくしている。そして、これによって、アイコンやボタンやメニュー等の指示の微妙な操作を容易とし、ディスプレイ上のどこにカーソルが位置していてもポインティングデバイスの操作に対するカーソル移動がなめらかとなるようにしている。しかしながら、同文献の課題において本発明のようなカーソルのターゲットに対する行き過ぎや逆戻りを防止し適切な位置決め制御を行うという点は明記されておらず、両者は発明が解決すべき課題の点で既に異なっていると言える。
【0012】
本発明の目的は、例えばコンピュータ(パソコン)のディスプレイ上に表示されるカーソルをターゲットに対して的確かつ迅速に停止させて位置決め可能とするカーソルの位置決め制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1に記載のカーソルの位置決め制御装置は、
ディスプレイ上のカーソルの移動量に対応する測定値を所定時間ごとに測定するカーソル移動量測定手段と、
前記カーソル移動量測定手段におけるN−1回目の測定値からN回目の測定値(Nは自然数)を減算し、当該減算した値が所定の閾値を超えた際に、カーソルが減速中と判断するカーソル減速判断手段とを有し、
前記カーソル減速判断手段において、所定の閾値を超えた回数が連続して規定回数生じた場合に人が指令するカーソル移動減速度よりもカーソルの動きを少なくとも更に減速させる指令信号を生じさせることを特徴としている。
【0014】
本発明の請求項1に係るカーソルの位置決め制御装置は、上述した構成要件を有することで、特許文献1に記載のカーソルの位置決め制御装置のようにカーソルの加速及び減速時に「負の慣性」を働かせることがない。従って、例えば隣接するアイコン間でカーソルを移動させるようなカーソルに細かな動作をさせる際に、カーソルの移動と同時に負の慣性が働き過ぎてカーソルが急加速しターゲットを通り過ぎてしまうようなことがない。
【0015】
また、同文献に記載のカーソルの位置決め制御装置を用いた場合の更なる不具合、即ちカーソルをターゲットに停止させる際に負の慣性が働き過ぎてカーソルをターゲットに対してちょうどに停止させることができずに逆戻りしてしまうようなことがない。
【0016】
また、ディスプレイ上の離れたターゲットにカーソルを移動させる操作を行なう際において、操作者がカーソルをなるべく早く移動させようとした場合に生じる問題も解決できる。即ち、このような場合、ターゲット近くにおいてカーソルの移動速度がかなり速くなる。その結果、視覚によりカーソルを止めようと認識した瞬間に手によるマウスの動きや指によるポインティングスティックの動きを止めても、視覚認知と停止動作との間に大脳による思考処理の過程を経ることによる両者間のタイムラグに起因する問題、具体的にはカーソルがターゲットから行き過ぎてしまうという問題を防止できる。そのため、再びカーソルを移動方向と反対方向に戻してターゲットに位置合わせする必要が生じるのを未然に防ぐことができる。
【0017】
また、発明の請求項2に係るカーソルの位置決め制御装置は、請求項1に係るカーソルの位置決め制御装置において、
前記カーソル減速判断手段において、所定の閾値を超えた回数が連続して規定回数生じた場合に人が指令するカーソル移動減速度よりも少なくとも更にカーソルの動きを減速させる指令信号を生じさせる代わりに、所定の閾値を超えた回数が連続して規定回数生じた場合に前記カーソルを強制停止することを特徴としている。
【0018】
本発明の請求項2に係る請求項1に係るカーソルの位置決め制御装置は、ターゲットに対してカーソルが強制停止することで、請求項1に係るカーソルの位置決め制御装置の有する作用効果をより確実に発揮するようにできる。
【0019】
即ち、操作者がカーソルを停止させようと考えた瞬間の直前に本装置がその考えを予測してカーソルを停止させるので、操作者がカーソル停止を頭で考えるのと同時に実際にカーソルを停止させることができる。その結果、カーソル操作に慣れない者にとって非常に使い勝手の良いカーソルの位置決め制御装置を実現することができる。
【0020】
また、発明の請求項3に係るカーソルの位置決め制御装置は、請求項1又は請求項2に係るカーソルの位置決め制御装置において、
前記カーソルを移動させて位置決めする操作手段がポインティングスティックであることを特徴としている。
【0021】
本発明の請求項3に係るカーソルの位置決め装置によると、卓上のデスクトップ型コンピュータやノート型コンピュータにマウスを接続して手でカーソルを移動させている者が、例えばポインティングスティック付のノートパソコンに買い換えて指でポインティングスティックを操作しなければならない必要が生じた場合に、スティック操作に慣れずにカーソルのターゲットの位置決めがうまくできないという従来の不具合を解決できる。
【0022】
また、ポインティングスティックの操作に慣れている者であっても、常に振動している電車の乗車中や飛行機の搭乗中にノートパソコンを使用する際スティックの操作効率を低下させずに済む。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、例えばコンピュータ(パソコン)のディスプレイ上に表示されるカーソルをターゲットに対して的確かつ迅速に停止させて位置決め可能とするカーソルの位置決め制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係るカーソルの位置決め制御装置を示すブロック図である。
【図2】図1に示したカーソルの位置決め制御装置が実施する制御手順を示すフローチャートである。
【図3】図1に示したカーソルの位置決め制御装置の他の適用例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るカーソルの位置決め制御装置について図面に基づいて説明する。
【0026】
本発明の一実施形態に係るカーソルの位置決め制御装置1は、図1に示すようにパーソナルコンピュータ(パソコン)20に接続されたポインティングデバイス10のマイコン11にファームウェアとして備わっている。そして、このカーソルの位置決め制御装置1は、パソコン使用者のポインティングスティック(ここでは詳細には図示せず)を介してパソコン20のディスプレイ21に表示されるカーソルの位置決め制御を行うようになっている。
【0027】
ポインティングデバイス10は、マイコン11と、ポインティングスティックを備え、同期用のクロック信号線で接続されると共に、PS/2通信を介してポインティングスティックの操作データをパソコン20に送るようになっている。
【0028】
カーソルの位置決め制御装置1は、カーソル移動量測定手段と、カーソル減速判断手段とを有している。カーソル移動量測定手段は、ディスプレイ上のカーソルの移動量を所定時間(例えば15ミリ秒)ごとに測定するようになっている。また、カーソル減速判断手段は、カーソル移動量測定手段におけるN−1回目の測定値からN回目の測定値(Nは自然数)を減算し、この減算した値が所定の閾値を超えることが所定の回数連続して起きた際に、カーソルの移動を強制停止するようになっている。
【0029】
本実施形態では、ポインティングスティックは、図1で示される概略回路構成を有し、スティックの操作に応じて変形可能な可撓性を有するスティック支持板上(図示せず)に4つのひずみゲージ(15−1,15−2,16−1,16−2)が備わっている。この4つのひずみゲージ15,16はスティックの操作方向に対応して変形可能なスティック支持板上にそれぞれXY直交座標軸に関して+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向に配置されている。そして、各ひずみゲージは並列接続されると共に、一端がそれぞれ固定抵抗17を介して5V電源に接続され、他端がそれぞれポインティングデバイス10のマイコン11に直接接続されている。これによって、各ひずみゲージ15,16の抵抗値をマイコン内で測定してスティック操作に応じたカーソルの移動量を制御するようになっている。
【0030】
以下、本発明の一実施形態に係るカーソルの位置決め制御装置が実施する制御手順を図2のフローチャートに基づいて説明する。最初に、カーソルをマウスやポインティングスティックを介して移動させると、カーソルの移動量計算ルーチンが開始される(ステップS11)。この際、例えば15ミリ秒ごとにカーソルの移動量を連続して測定し続ける。この移動量は、例えばポインティングスティックによってカーソルを移動させる場合、ポインティングスティックを支持するスティック支持板の上の直交座標上に備わった4つのひずみゲージ15,16の抵抗値をそれぞれサンプリングすることによって測定する。
【0031】
続いて、移動量が減っているか(減速しているか)否かを判断する(ステップS12)。これは、具体的には、カーソル移動量測定手段におけるN−1回目の測定値からN回目の測定値(Nは自然数)を減算し、この減算した値が所定の閾値を超えた際に、カーソルが減速中と判断するようになっている。
【0032】
続いて、減った移動量の大きさが閾値以上か否かを判断する(ステップS13)。そして、ステップS13において、減った移動量の大きさが閾値以上と判断した場合、マイコン11に備わったメモリ(図1では図示せず)にこの時点のサンプリング測定値が大きな減速であると記録する。一方、ステップS13において減った移動量の大きさが閾値以上でないと判断した場合、マイコン11のメモリにこの時点のサンプリング測定値が大きな減速でないと記録する。このように移動量計算ごとに連続するサンプリングを行い、カーソルが大きな減速をしているか否かをメモリに記録する(ステップS14)。
【0033】
続いて、ステップS14で記録された大きな減速が数回連続して生じているか否かを判断する(ステップS15)ここで、大きな減速が例えば2回から10回程度のうち、予め定めた規定回数連続して生じていると判断した場合は、カーソルを強制停止する(ステップS16)。一方、大きな減速が数回連続して生じていないと判断した場合は、カーソルを強制停止することなくカーソルの移動を継続する(ステップS17)。
【0034】
なお、上述したフローチャートを式で表すと以下の通りになる。ここで、
:N回目の移動量
Thres:移動量の閾値(正の数)
:N回目の移動量について条件判断(成立=1、不成立=0)
とする。
【0035】
そして、条件1として、TN1:V<VN-1か否かを判断する。即ち、条件1においては、N回目の移動量がN−1回目の移動量より少ない(減速している)ことを検出する。これは、上述したフローチャートのステップS12に相当する。
【0036】
次いで、条件2として、TN2:VThres<|V−VN-1|か否かを判断する。即ち、条件2においては、N回目と直前のN−1回目の差分が、移動量の閾値以上であることを検出する。これは、上述したフローチャートのステップS13に相当する。
【0037】
次いで、条件3として、T=:TN1∧TN2か否かを判断する。即ち、条件3においては、上記条件1と条件2の2つの条件を満たしていることを検出する。
【0038】
なお、実際に出力される移動量は下記の式に基づく。
【0039】
【数1】

次いで、過去n回までの移動量に対する条件判断を総合し、全て成立する場合か否かを判断する。これは、上述したフローチャートのステップS15に相当する。そして、この条件が全て成立する場合、カーソルを強制停止させる。これは、上述したフローチャートのステップS16に相当する。
【0040】
なお、上述のスター結線を備えたポインティングデバイスに関し、図2に示すフローチャートにおいてステップS16に示すように、カーソルを強制停止させる代わりに操作者が指令するカーソル移動減速度よりも更にカーソル移動量を減速させる指令信号を生じさせ、PS/2通信を介してパソコンのディスプレイ上のカーソルの移動量を強制的に減速させるようにしても良い。
【0041】
しかしながら、操作者がカーソルを停止させようと考えた瞬間の直前にその考えを予測してカーソルを停止させる観点、即ち操作者がカーソル停止を頭で考えるのと同時に実際にカーソルを停止させるという観点ではステップS16に示すようにカーソルを強制停止させる方が有利と言える。
【0042】
また、上述の実施形態に係るカーソルの位置決め制御装置は、図3に示すようなブリッジ結線を備えたポインティングデバイス10’にも適用可能である。この場合においても、上述したようにポインティングデバイス内のマイコン11’のファームウェアにおいて、カーソル移動量測定手段とカーソル減速判断手段を有したカーソル位置決め装置1’を構成させる。そして、上述した図2に示すフローチャートの処理ルーチンに従ってカーソルの位置決め制御を行なえば上述の実施形態と同等の作用を発揮できる。
【0043】
このようなブリッジ結線を備えたポインティングデバイスにおいても、図2に示すフローチャートにおいてステップS16に示すように、カーソルを強制停止させる代わりに上述した実施形態と同様に操作者が指令するカーソル移動減速度よりも更にカーソル移動量を減速させる指令信号を生じさせ、PS/2通信を介してパソコンのディスプレイ上のカーソルの移動量を強制的に減速させるようにしても良い。
【0044】
以上説明した本発明に係るカーソルの位置決め制御装置は、本実施形態のようにポインティングスティックに適用を限定されるものではなく、直交座標系において+X方向、−X方向、+Y方向、−Y方向へのカーソルの移動量をそれぞれ個別のセンサで検出して画面上のカーソル移動を制御するのに使用する物であれば、いかなる物にも適用可能である。
【0045】
具体的には、例えばボールを内部に備えて上述の直交座標の各4方向の変位量を変位量検知センサでそれぞれ測定する機械式のマウスにも適用可能であり、更にはコンピューターゲーム機に使用するスティックコントローラ等にも適用可能である。
【0046】
以上説明したように、本発明に係るカーソルの位置決め制御装置を用いることで、例えば隣接するアイコン間でカーソルを移動させるようなカーソルに細かな動作をさせる際に、カーソルの移動と同時に負の慣性が働き過ぎてカーソルが急加速してターゲットを通り過ぎてしまうようなことがない。
【0047】
また、カーソルをターゲットに停止させる際に負の慣性が働き過ぎてカーソルをターゲットに対してちょうどに停止させることができずに逆戻りしてしまうようなことがない。
【0048】
特に、ポインティングスティックを用いてカーソルの位置決め操作を行なう場合、ディスプレイ上の離れたターゲットにカーソルを移動させる操作を行なう際において、視覚によりカーソルを止めようと認識した瞬間に手によるマウスの動きや指によるポインティングスティックの動きを止めても、視覚認知と停止動作との間に大脳による思考処理の過程を経る際に生じる両者間のタイムラグを事前に予測してこれをカーソルの位置決め制御に反映させることができるので、カーソルがターゲットから行き過ぎてしまうのを防止できる。
【0049】
これによって、ポインティングスティックの操作に慣れない者にとっても、スティックの操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
1,1’ カーソルの位置決め制御装置
10,10’ ポインティングデバイス
11,11’ マイコン
15,16(15−1,15−2,16−1,16−2) ひずみゲージ
17 固定抵抗
20 パーソナルコンピュータ(パソコン)
21 ディスプレイ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ上のカーソルの移動量に対応する測定値を所定時間ごとに測定するカーソル移動量測定手段と、
前記カーソル移動量測定手段におけるN−1回目の測定値からN回目の測定値(Nは自然数)を減算し、当該減算した値が所定の閾値を超えた際に、カーソルが減速中と判断するカーソル減速判断手段とを有し、
前記カーソル減速判断手段において、所定の閾値を超えた回数が連続して規定回数生じた場合に人が指令するカーソル移動減速度よりもカーソルの動きを少なくとも更に減速させる指令信号を生じさせることを特徴とするカーソルの位置決め制御装置。
【請求項2】
前記カーソル減速判断手段において、所定の閾値を超えた回数が連続して規定回数生じた場合に人が指令するカーソル移動減速度よりも少なくとも更にカーソルの動きを減速させる指令信号を生じさせる代わりに、所定の閾値を超えた回数が連続して規定回数生じた場合に前記カーソルを強制停止することを特徴とする、請求項1に記載のカーソルの位置決め制御装置。
【請求項3】
前記カーソルを移動させて位置決めする操作手段がポインティングスティックであることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のカーソルの位置決め制御装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−141855(P2011−141855A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3508(P2010−3508)
【出願日】平成22年1月11日(2010.1.11)
【出願人】(000114215)ミネベア株式会社 (846)
【Fターム(参考)】