説明

カートリッジから飲料を調製する間に泡生成を向上させる方法及び該方法を実行する装置

カートリッジから泡状飲料を得る方法であって、該カートリッジが飲料用の少なくとも1つの調製品を封じ込めた少なくとも1つのチャンバからなっている方法。該方法は、所定量の流体を該カートリッジの中に注入する工程を含み、該工程の第1部分は、実質的に空気からなっており、該空気は、カートリッジが開放し、又は飲料が該カートリッジを通って自由に流出する圧力より低い圧力にまでカートリッジ内で圧縮され、さらに該工程の第2部分は、水、又は多分空気と水の混合物からなっており、該混合物は、カートリッジが開放し、又は飲料がカートリッジを通って自由に流出するまで内部圧力を上昇させることによって飲料を得ることができるように、カートリッジの中に第1部分の後に注入され、こうして、飲料を排出しかつ泡を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポーションパックから泡状飲料を得る方法及び該方法を実行する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
抽出用粉末調製品、溶解性粉末、又はいくつかの他の部分的又は完全に可溶性の塊といった食品材料を封じ込めたポーションパックから飲料を調製する習慣は、公知である。これらの材料は、一般に、給水源、加圧ポンプ、及び水をカートリッジの中に導入する注入部材を含む装置の中に差し込まれるカートリッジのような特殊パック内に封じ込まれている。飲料は、流体圧がカートリッジの内部で十分上昇した後、少なくとも1つの壁を通り抜けて流れることによって得られる。一般に、壁は、本質的に、又はカートリッジの内部で所定の流体圧に達したとき、穿刺又は引裂き部材に接触したとき引裂かれることにより多孔性である。次に得られた飲料は、飲用容器の中に流出する。
【0003】
多くの熱い又は冷たい飲料の場合、泡(又は気泡)の存在によって、風味及び見栄えの両方の理由から非常に人気のある品質となる。泡は、通常、一般に食品材料によって供給される脂肪質の物質と、さらに「泡」として公知の分散システムを形成することができる物理的攪拌方法との存在を必要とするガス分散液体、一般に空気分散液体システムである。
【0004】
特定の刊行物では、空気及び/又は蒸気を供給することによる泡生成が述べられている。しかしながら、空気は、大気圧又は低圧で供給されるか、あるいは残留空気である。これでは、一般に泡の品質及び量が落ちる。
【0005】
たとえば、独国特許出願公開第10247573号には、フィルタとコーヒー貯蔵容器との間に位置し、流れによって引き起こされる減圧により周囲空気を吸引するオリフィスを使ったフィルタコーヒー用泡の増量が記載されている。
【0006】
米国特許第4,581,239号には、ガス又は蒸気にできるだけ接触させかつ攪拌しながら撒かれる熱水が連続的に注入される状態の小袋を使って浸出する方法が記載されている。ガスは、水と浸出される製品との間の接触時間を単に制御するように、ガスポンプの圧力下で、又は大気圧で導入される。
【0007】
欧州特許第0652721号には、空気及び水の混合物を柔軟な小袋の中に注入し、圧力を上昇させ、小袋を破るために、針で小袋を突き刺す方法が記載されている。
【0008】
英国特許出願公開第2363343号には、ベンチュリ型システムから要望に応じて泡を作る方法が記載されている。該方法は、泡を生じさせるミルクなどの高蛋白質含有率を有する液体上に貯蔵槽内の空気を注入する工程からなっている。
【0009】
泡が貯蔵槽から放出されるように、泡が形成された後に注入が続けられる。次に該泡は、飲料を得るために使われる管とは別の管を経由して要求に応じて放出される。
【0010】
米国特許出願公開第2002/0129712号には、クリーム状コーヒーを得る方法が記載されている。この方法においては、装置は、泡の量を増やすことができ、さらに浄化の間じゅう熱水又は水蒸気を注入することによって泡の量が増える。この方法によれば、熱い飲料を得ることができ、さらに華氏150度〜210度の温度で液体を注入することが必要である。
【0011】
国際公開第0158786号は、飲料のジェット圧の低減を引き起こす給気口及び手段を含む飲料流出用通路と、飲料抽出用材料を封じ込める区画を含むカートリッジに関する。区画内で抽出に使われる圧力は、ほぼ0.7〜2バールである。このシステムは、大量の空気を供給して流出出口の特殊配置で泡を作ることができる。しかしながら、このシステムは、カートリッジを通り抜ける飲料の流出によって引き起こされる減圧を使用しており、それゆえ取り入れられる空気の量が限定される。そのうえ、空気は、比較的低圧で供給され、それゆえ形成される気泡は、サイズが大きく、したがって形成される泡は、非常に不安定であり、かつきめの細かさに欠ける。結局、このようなシステムでは、カートリッジは、より複雑になり、かつ製造費用がかさむ。
【0012】
ある刊行物には、また、泡立てを改善する目的以外の目的で、あるいはまったく特別な理由なしでポーションパックへ空気を供給する工程も記載されている。特に、欧州特許出願公開第0250810号には、カートリッジを(約2〜3kg/cmの圧力で)前もって水に湿潤させた状態で、飲料を調製するために焙煎コーヒーを封じ込めた密閉カートリッジを抽出する方法が記載されている。次に、空気を注入してコーヒー層を曝気する。その結果空気が膨れ上がり、前もって湿潤させた水に最大容積を占めさせる。最後に、水を3〜6kg/cmの圧力にまで注入して湿潤を終える。これらの3段階の後、圧力を上昇させカートリッジに穴をあけるために水を再注入し、その結果圧力は、ほぼ6〜16kg/cmになる。これらの段階はすべて、粉末焙煎コーヒーのからみでコーヒーの風味を最適にする目的でコーヒーのよりよい湿潤とよりよい曝気を可能にすることを目指している。
【0013】
欧州特許第051247号、欧州特許第0512142号、及び欧州特許第468080号には、水と空気の混合物をカートリッジの中に注入する方法が記載されている。空気は、また管内にのみ閉じ込められている残留空気である。
【0014】
これらの特許又は特許出願には、食品材料のろ過、溶解、又は抽出によって一般に熱い飲料を得る方法が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、カートリッジから得られた熱い又は冷たい飲料を調製するとき、泡の生成及び品質の制御を改善する必要性がある。
【0016】
この改善が必要な理由は、ブラウン運動が小さな規模で促進されるために、分散システムを形成するのに必要なエネルギ供給をより大きくしなければならないので、特に飲料が冷たい又は周囲温度である場合、カートリッジから飲料用泡を生成することが難しいからである。
【0017】
使用可能な空気量は、また一般に、満足の行く量及び満足の行く品質の泡を生成するには不十分である。
【0018】
大量の飲料を作る必要がある場合、及び満足の行く量及び満足の行く品質の泡を生成するためにカートリッジ内に使用可能な空気が十分ない場合、別の問題が関連する。その問題とは、特に特定の熱い又は冷たいミルクベースの特製品の場合、大量の飲料と同時に妥当な大きさのカートリッジサイズの使用との両方を作る必要があることである。さて、飲料の構成物に含まれるいくつかの原料、たとえば、ほとんど又はまったくヘッドスペースが残らない、したがって、泡生成に有効に使用できるガスがほとんどない粉ミルクなどは、カートリッジ内で大きな容積を占める。その結果、泡を得るためには、泡生成に必要なガス量を確保することができるように、カートリッジのサイズを大きくする必要があるが、カートリッジサイズを大きくすることによって、カートリッジサイズを管理する工程、異なるサイズに合うように機械を適応させる工程、包装材料の費用に問題が生じ、さらにその他の問題も発生する。
【0019】
さらに低圧又は大気圧で給気することによって、泡は、大部分の気泡が極端に大きなサイズで、安定性を欠く泡が生成された状態の「石鹸のような」構造を有する。カートリッジ内で使用可能な空間が小さい場合、したがって給気は、泡生成に十分ではない。したがって、泡生成には、機械的攪拌システムを採用することが必要であるが、そのようなシステムによれば、装置及び/又はカートリッジは、はるかにより複雑になり、また泡の品質は、凡庸なままとなる。
【0020】
したがって、本発明の目的の1つは、改良されたレベル及び品質の泡を有する熱い又は冷たい飲料をカートリッジから得ることにある。そうするためには、カートリッジ内の空気濃度を、制御された量の空気をカートリッジ内部に加えることによって高める。飲料調製時に空気濃度を高めることは、カートリッジ内部で攪拌を増大させ、したがって、より良好な安定性のある大量のより繊細でよりクリーム状の泡を得る効果を有する。
【0021】
本発明の別の目的は、カートリッジの内部で材料が占める容積にかかわらず、広範囲の飲料容積内に泡状飲料を得ることができる方法を提案することである。別の目的は、冷たい飲料の調製時、泡の性質を向上させることができる方法を提案することである。
【0022】
最後に、別の目的は、泡を生成するために、複雑な給気口及び混合システムを備えた複雑な注入システム及び/又はカートリッジを使うことなしで、単純化された装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
したがって、本発明は、カートリッジから泡状飲料を得る方法に関するものであって、該カートリッジが飲料用の少なくとも1つの調製品を封じ込めた少なくとも1つのチャンバからなる方法において、
所定量の流体が該カートリッジの中に注入され、該注入は、
−カートリッジ内に空気保留ポケットを形成するように圧縮され、カートリッジが開く圧力、すなわち、飲料が該カートリッジを通り抜けて自由に流出する圧力より低い圧力にまで圧縮された空気から実質上なる面を注入する工程と、さらに
−カートリッジ内で空気と混ざった水を含む面を注入する工程とによって
実行され、注入された水面によって、カートリッジが開くまで、すなわち、飲料がカートリッジを通って自由に流出するまで、内部圧力の上昇が引き起こされ、その結果、飲料を放出しかつ泡を形成することが可能になる特徴がある。
【0024】
したがって、本発明の原理は、主として、カートリッジ内に圧縮されている空気の保留ポケットを作った後に、カートリッジから大量の飲料を流出させ、かつカートリッジ内の十分な攪拌によって泡を生じさせることができることである。次に、流出は、水面によってカートリッジに与えられる圧力を上昇させることによって調節される。
【0025】
給気は、カートリッジへの各注入サイクルの前に、空気で満たされた少なくとも1つの貯蔵部材内に含まれている所定量の空気によって制御されるのが好ましい。次に、所定量の空気は、各注入サイクルの間にカートリッジの中に注入されることによって空になり、それによって、カートリッジ内に圧縮空気の保留が形成される。
【0026】
所定量の流体は、またカートリッジの中に注入される水量も含み、空気がカートリッジの中に導入されるまで、ピストンのように空気量を動かすように作用するのが好ましい。このような構成によって、カートリッジ内の水による空気の圧縮工程が確保される。この工程によって、大量の空気を蓄積し、かつカートリッジを小型のままに維持することが可能になる。空気漏れのリスクもまた、低減され、さらに比較的簡単に構築することができるシステムが保持される。結局、実質的に水のような要素の注入に先行する空気の注入に良好な連係が保証される。なお、空気及び水が同時にカートリッジの中に注入される可能性があるという意味では、空気次に水を注入する面は、部分的に重なるようなことが起こる場合がある。したがって、一定量の空気が、水面の注入の間に水に溶解される場合がある。逆に、一定量の水が、空気注入面とともに、あるいは空気注入が起きる前、たとえば、空気が到達する前に管内にある残留水が装置によって除去される際に注入される場合がある。それにもかかわらず、この原理によって、カプセル内に空気保留ポケットが作られ、該空気が空気保留ポケット内で圧縮され、さらに水がカプセルに供給され、攪拌によって、空気と混ざり、たとえば、調製品が溶解され、さらに泡が生成されて飲料が作られる。
【0027】
有利な態様によれば、空気の所定量は、少なくとも10立方センチメートルである。望ましくは、空気の所定量は、少なくとも15立方センチメートルであり、より好ましくは、少なくとも20立方センチメートル、さらにより好ましくは、少なくとも23立方センチメートルである。保留されている容量は、流体管内に含まれている残留空気量よりはるかに多く、また残留空気は、通常、可能な限り除去される。したがって、そのようになっている容量は、カートリッジ内により大量の圧縮ガスを蓄積することができる。この大量の圧縮ガスの蓄積によって、より大量の泡及び小さいサイズの気泡、それゆえ、より少ない「石鹸のような」外観、したがってより安定性のある泡を得ることができる。
【0028】
有利な可能性のある実施形態においては、注入される水量は、非加熱量であり、冷たい泡状飲料を作ることができる。したがって、泡状飲料に対して通常出される温度より低い温度でこのような泡状飲料を得ることができる。したがって、より清涼で、しかしただ熱い飲料のみに通常確保される泡のレベル及び品質を有する飲料の提案が提供される。
【0029】
泡状飲料とは、カートリッジから得ることができるあらゆる飲料、たとえば、可溶性及び/又は粉末コーヒー、カプチーノ、可溶性茶、インスタントチョコレート、粉ミルク、フルーツジュース、芳香植物、たとえば、バーベナ、カモミール、フェンネルなどをベースにした飲料のような浸出液を意味するものと理解されるべきである。
【0030】
カートリッジとは、たとえば、参照することにより本明細書に組み込まれる国際公開第03/059778号に記載されているもの、及び/又は抽出又は溶解装置の適切な受け入れ手段によって受け入れられるようになっており、かつカートリッジに流体を供給する手段を含む、食品成分を封じ込める少なくとも1つのチャンバを含むあらゆるパックを意味するものと理解されるべきである。
【0031】
開放手段とは、飲料に該開放手段を通過させるように所定圧に耐えることができるあらゆる手段を意味するものと理解されるべきである。たとえば、この手段は、カートリッジ内部の圧力が一定のしきい値を超えたとき破れる弱め線を有する、カートリッジの一部を形成する膜であってもよい。
【0032】
開放手段の別の例は、カートリッジの内部に置かれた壁又は膜のような保持手段、及びある一定の所定の流体しきい値を上回る圧力作用の下で、流体をカートリッジから流出すなわち逃がすように該壁又は膜を突き刺し又は破るために開放を目的として協働する粗さ要素及び/又は穿刺部材からなる組立品であってもよい。
【0033】
たとえば、穿刺部材ないしは突き刺し部材がカートリッジ受け入れユニットの一部分を形成する場合があり、カートリッジの内部圧力が上昇したとき、該カートリッジの壁は、変形し、かつ該穿刺部材に接触したとき穴があけられ、又は破られる。別の例では、穿刺部材ないしは突き刺し部材は、カートリッジの一部分を形成し、かつカートリッジの壁又は膜に作用する。
【0034】
別の可能性は、圧力上昇の影響下で開放され、突き刺され、又は破られる壁又は膜内の閉止通路であってもよい。
【0035】
すべての場合において、圧力上昇によって、カートリッジの壁又は膜の破裂が可能になっており、及び/又は飲料が圧力保持手段を強制的に通過してから流れ出ることが可能になっている。
【0036】
自由流れとは、この又はこれらの壁を突き刺し及び/又は破る必要なしに流出を可能にするために克服されなければならない圧力低下を作り出す1つ以上の圧力保持壁を含むカートリッジを通り抜ける飲料の流出を意味するものと理解されるべきである。たとえば、この圧力保持壁は、多孔質壁、又は液体にこの壁を通り抜けて流出させるようにカートリッジ内部の圧力を上昇させることによって、克服されなければならない著しい圧力低下を作り出すことができる小さい断面の一連のシケイン又は曲がりくねった(複数の)通路を示す壁であってもよい。
【0037】
開放圧力とは、たとえば、カートリッジの壁のようなあらゆる公知の圧力保持手段の少なくとも1つの開放手段を動かすことによって穿刺及び/又は引裂きを可能にする内部圧力値を意味するものと理解されるべきである。
【0038】
したがって、カートリッジ内部である一定の流体圧力に達したとき、引裂き又は穿刺部材に接触したとき引裂かれ又は突き刺されるカートリッジの壁によって、飲料の流出が可能になるように、カートリッジが開くのが好ましい。
【0039】
カートリッジ受け入れユニットとは、圧力が上昇し、次に飲料が流出する手順を踏んでいる間カートリッジを支持する少なくとも1つの手段を意味するものと理解されるべきである。
【0040】
空気と水の混合物とは、空気が分散されている水面を意味するものと理解されるべきである。
【0041】
泡とは、特に飲料がカートリッジの中に流出した後、飲料の多かれ少なかれ液体部分の表面に作られたガス気泡を含む液体の分散システム層を意味するものと理解されるべきである。本発明の一特徴によれば、カートリッジは、カートリッジの中に注入された空気量より小さいヘッドスペースを有する。カートリッジのヘッドスペースは、通常、カートリッジのチャンバ内にある食料調製品によって占められていないデッドボリュームであると考えられている。
【0042】
好ましい実施形態においては、流体が少なくとも1つの圧縮ジェットによってカートリッジ内に注入される。液体ジェット、この場合水又は水空気混合物の衝撃によって、空気は、水面下でカートリッジの中に導入され、泡形成の一因となる。ジェットによって、カートリッジ内で気泡のより速いかつより多数の形成を可能にする混合現象が向上される。流体は、カートリッジ内の中心を外れた位置から注入される少なくとも1つのジェットによって注入され、さらにまた、カートリッジの筐体内部に液体の渦巻き運動を作るようにカートリッジの中心を貫通しない方向に向けられるのが好ましい。このような運動によって、カートリッジ内の食料調製品の溶解は向上し、特に、この調製品がカートリッジ内で大きな容積を満たしているとき、気泡の形成を促進する水空気相互作用もまた増加する。
【0043】
驚いたことに、本発明の方法は、主として注入の間に水に溶解する調製品から得られる飲料の泡立ちの向上に適している。実際、本発明による方法は、たとえば、粉末製品のような不溶解性製品の場合は、同程度に機能しない。この種類の製品の場合は、水及び空気の混合によって微紛が移送され、微分は溶解しないでカートリッジ内の開口部をふさぐ傾向がある。この欠点を改善する1つの方法は、大部分の微紛を除去するように、粉製品をふるいにかけることである。
【0044】
したがって、調製品は、可溶性コーヒー、可溶性茶、インスタントチョコレート、粉ミルク、フルーツジュース、又はこれらの製品の組合せであるのが好ましい。たとえば、粉ミルク単独、又は、たとえば、カプチーノなどの飲料を作る他の粉末と混ぜられた粉ミルクのようなカートリッジ内で非常に大きな容積を占める調製品の場合、カートリッジは、事実上最初から該調製品で満たされる場合があり、すぐにカートリッジ内には泡生成に使用可能な空気は、完全になくなる。したがって、圧力をかけて給気することがカートリッジに空気を供給するためには必要である。水がカートリッジ内に達したとき、水より小さい比重を有する空気がカートリッジ内で上昇しようとする一方、調製品がカートリッジ内の水に徐々に溶解するにつれて、カートリッジ内で使用可能な容積が増える。開放前に圧力下に保たれている空気は、カートリッジ内に作り出された攪拌効果によって水と混ざり、さらにこの混合によって泡が生成される。
【0045】
本発明は、また飲料用調整品を封じ込めたチャンバを含むカートリッジから泡状飲料を調製する装置も含む。
【0046】
前記装置は、
少なくとも、飲料を調製する調製サイクルを始動するために、任意の飲料を選択するための選択手段と、
給水装置と、
給気手段と、
流体搬送手段と、
飲料用調製品を封じ込めたカートリッジを受け入れる受け入れユニットと、
密封方式でカートリッジの中に流体を注入する流体注入部材と、
を備え、
カートリッジ内に圧縮空気の保留ポケットを作るように、飲料調製サイクル毎にカートリッジの中に圧力下で注入される所定量の空気を貯蔵するために空気貯蔵部材が設けられていることを特徴とする。
【0047】
空気貯蔵部材は、水搬送手段の後に置かれたチャンバを含むのが好ましい。この方法によれば、空気は、圧力のかかった水流によって装置の中に実質的に搬送される。別の水及び空気回路を設けることは必要なく、またこれによって装置が単純になる。したがって、空気がカートリッジに達する前に、空気は水の中に溶解及び/又は気泡を生成し始めることができ、これによって、泡の量及び品質をより以上に増やすことができる。
【0048】
任意の飲料を選択するための選択部材とは、本発明による方法を実行することができる装置に電源を投入する手段を多分含む、手動又は電子制御を意味するものと理解されるべきである。たとえば、この部材はまた、飲料の量を任意に選択するのにも役立てることができる。この部材は、この種の用途に公知のどんな部材であってもよく、たとえば、プログラマと連動している電子制御パネル及び/又は手動弁であってもよい。
【0049】
給水装置とは、本発明による方法が実行されるとき、装置に給水することができるあらゆる公知の手段を意味するものと理解されるべきである。たとえば、給水本管への連結又は水槽を考えることができる。
【0050】
給気手段とは、空気貯蔵部材に所定量の空気を満たすことができるあらゆる公知の手段を意味するものと理解されるべきである。満たすことによって、貯蔵部材を大気と連通した状態に置くことができ、この場合、開口部が作られ、次に空気が回路内に導入され貯蔵部材を満たす。別のシステムは、必要に応じて空気を貯蔵部材の中に注入するコンプレッサであってもよい。
【0051】
空気貯蔵部材とは、本発明による方法を移植する間に、泡の生成に導くことになる所定量の空気又はあらゆる他のガスを貯蔵することができるチャンバ又は空隙を意味するものと理解されるべきである。たとえば、空気貯蔵部材は、曝気チャンバであってもよい。
【0052】
本発明による方法においては、貯蔵される、したがって、注入される空気量は、カートリッジのヘッドスペース内に貯蔵することができると思われる空気量より多い量である。したがって、最小可能な容量を有するカートリッジを設計し、さらに場合によっては、より大容量の飲料でも出力できるようにすることが可能である。この方法によれば、また、扱われるカートリッジのサイズもより自在にすることができ、かつ包装材料の面でも無駄を排除することができる。したがって、本発明による方法によれば、ヘッドスペース対カートリッジ内の濡れていない調製品による占有容積の比が1:3より小さい、さらに1:5より小さい、又はさらに1:20より小さい、又はゼロであるカートリッジから豊富な量の泡を生成することができる。粉ミルクをベースにした調製品などの場合、ヘッドスペースは、泡生成に不利となることなく、可能な限り小さく又はゼロにさえすることができる。給気もまた、カートリッジ内で既に使用可能な空気に応じて調整することができる。したがって、空気注入部材は、注入される空気量を調整する手段を含む。
【0053】
水搬送手段とは、液体を動かしかつカートリッジの内部に十分な圧力を作り出すことができ、カートリッジを開放し、次に飲料を流出させることができるあらゆる公知の手段を意味するものと理解されるべきである。たとえば、この手段は、遠心ポンプ及び/又は求心ポンプ及び/又は容積式ポンプであってもよい。
【0054】
空気及び水注入部材とは、穿刺による、又はカプセルの注入表面における関連配置によるような、カートリッジに圧力下の密封方式で流体を導入することができる手段を意味するものと理解されるべきである。注入部材の好ましい例は、参照することにより本明細書に組み込まれる、2003年8月25日に出願した同時係属の欧州特許出願第03019163.9号、表題「食品を調製する方法(Method for preparing a food product)」に記載されている。流体注入部材は、カートリッジが穿刺されて、圧力がかかった流体の少なくとも1つのジェットの形で流体が注入されるように構成されるのが好ましい。また、注入部材は、カートリッジ内で中心から外れた加圧ジェットの形で水が注入されるような方法で配置されるのが好ましい。そのような配置は、カートリッジ内の水の攪拌又は「渦巻き」運動を作り出す有利性を有し、この有利性により水と空気の間の相互作用が増し、したがって、気泡の生成が増す。
【0055】
好ましいモードにおいては、装置はまた、保留ポケットの圧縮空気の圧力に耐え、さらに飲料を調製し泡を生成するのに必要な圧力に対応する圧力から開放するように構成された少なくとも1つの開放手段を含む。この構成は、カートリッジが開放される前に空気の貯蔵を作り出すことができるようにカートリッジの開放を制御することが重要であるからである。カートリッジがあまりにも早く開放された場合、空気は、カートリッジからゆっくり出ることになり、したがって、泡生成に使われる能力がなくなることになる。カートリッジの開放は、調製品を溶解し泡生成のために空気と混ぜ合わせるために、十分な水量がカートリッジの中に導入された後、正確に制御され、かつ実行される必要がある。
【0056】
好ましい実施形態においては、開放手段は、一方で、壁又は膜と、他方で、圧力作用の下で、該壁又は膜を突き刺し又は破ることによって開放することを目的として協働する粗さ様さ又は穿刺部材とを含む。このような構成によって、カートリッジ開放圧力の制御に正確さが与えられ、さらに現象の正確な繰り返しが保証される。したがって、第1の可能な好ましい実施形態において、開放手段は、カートリッジに属する。別の好ましい実施形態においては、開放手段の壁又は膜は、カートリッジに属し、さらに粗さ要素又は穿刺部材は、カートリッジ受け入れユニットに属する。
【0057】
流体とは、同じ優先権をともなって、空気及び/又は水単独、又は空気と水の混合物を意味するものと理解されるべきである。
【0058】
この出願内に記載の圧力値は、特に断りのない限り、絶対圧力である。
【0059】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明による方法を実行することが可能な好ましいバージョンの装置を表わしている次ぎの説明で明らかとなるであろう。
【0060】
本明細書は、本発明の限定されない例であり、さらに本明細書は、添付の図を参照して記述されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0061】
図1は、水貯蔵槽2と、本明細書では曝気装置4である空気貯蔵部材に向かって流体を推進させることができる、このバージョンではピストンポンプである水搬送手段3とを含む本発明による方法を実現するための装置1の静止状態の概略図を示す。該空気貯蔵部材の容量は、決められており、本発明において、該容量は、少なくとも10立方センチメートルであり、望ましくは、少なくとも15立方センチメートル、さらに望ましくは、20立方センチメートル、及びなお一層望ましくは、23立方センチメートルである。貯蔵部材は、カートリッジ内で有効なヘッドスペース、望ましい泡の量、調製の性質などといったパラメータに注入空気量を適応させるように可変容量チャンバを含むことができる。たとえば、調整可能システムは、手動又は電気的に制御することができるチャンバの可動調節壁であってもよい。
【0062】
図示のバージョンにおいては、空気貯蔵部材は、各サイクル後常時開放され、残った水を回路から除去することができ、それによって所定量の空気を回復させることができるように、空にする手段5を備えている。この空にする手段は、あらゆる公知の手段、たとえば、電動弁又はフラップ弁であってもよい。この空にする手段は、また、水の停滞を防ぐことができ、したがって、微生物の繁殖を防ぐこともできる。装置1は、また、部材4を大気へ通気する工程からなる空気源6も備えている。本明細書の通気工程は、手動弁7によって制御される。この弁は、静止位置にあり、したがって、給気口装置は、開放状態のままであり、貯蔵部材4を空気で満たすことができる。消費者が彼又は彼女の選択した熱いか冷たいかの飲料を調製したいと望んだとき、彼又は彼女は、単に手動弁7を操作する必要があるに過ぎない。この弁の動きによって、通気手段6が閉止され、かつ曝気装置4の電動弁5が閉止される。手動弁の動きによって、装置の回路を閉止した後、装置によってカートリッジを加圧することが可能になる。
【0063】
図1は、また、熱い飲料を得ることができる加熱部材8の存在も示す。本発明による方法は、熱い飲料及び冷たい飲料の両方に十分な泡を得ることができるので、この部材の存在は、泡立て方法を適切にするために必須ではない。対照的に、該方法の性能がそのように必要とされる場合、装置1がいくつかの加熱システムを備えることが考えられる。加熱部材は、あらゆる公知の手段、たとえば、抵抗部材又はヒートカートリッジといったサーモブロック又は瞬間加熱システムであってもよい。欧州特許出願公開第1 253 844号及び国際公開第2004/006742号には、この装置に使うことができる加熱手段の事例が記載されている。
【0064】
弁7は、いくつかの位置に移動することができ、各位置は、単一流体回路を定義している。したがって、本バージョンにおいては、回路の1つが開放される位置に弁が移動される方向によって、飲料の選択が得られる。
【0065】
図4に示された1つの位置においては、流体は、サーモブロック8を通過し、したがって、得られる飲料は、熱い。図2及び3に示された別の位置においては、流体は、サーモブロックへの経路をたどらず、したがって、得られる飲料は、冷たい。
【0066】
背圧弁9は、注入部材10の直前、望ましくは弁7と注入部材10との間に位置している。背圧弁によって、圧力上昇につれて泡が形成され始めるように、いくらかの空気が水中に溶解される。何が起こるかといえば、この弁は、最小圧に達するまでは、閉止されたままになっている。流体が流れると、この弁に対する圧力が上昇し、管内の第1流体である空気が最初に圧縮され、次に第2流体である水と部分的に混合し、部分的に空気を動かすピストンの働きをする。弁9の定格圧力に達したとき、該弁9が開放され、空気と、水が溶け込んだ空気混合物とが通過される。次に、その混合物は、カートリッジ受け入れユニット(不図示)に自動的に連結されているカートリッジ(不図示)の中に注入部材10を使って密封状態で注入される。
【0067】
装置1が任意の飲料を選択する電子制御手段を備えている場合、装置1は、消費者が冷たい飲料を望むなら、加熱部材を迂回することができるシステムを装備することができる。たとえば、このシステムは、選択された飲料の種類に対応する出口を開放する、加熱部材の上流に位置する三方切換弁であってもよい。たとえば、消費者が冷たい飲料を選択した場合、弁によって提案された出口は、流体をサーモブロックの方へ行かないように強制する。
【0068】
図2は、空気圧縮段階において、冷たい飲料を調製するとき泡を最適化する装置を示す。この場合、手動弁7は、流体に対して提案され得る唯一の経路が加熱回路8の付近を通過しない及び/又はたどらないような方法で消費者によって操作される。この手動弁7を操作することによって、ポンプ3及び曝気装置を空にする手段5の電源スイッチが投入され、次に曝気装置を空にする手段が閉止位置に移動される。その瞬間、曝気装置6と、空にする手段5とが閉止されるので、曝気装置は、管もともに空気で充満され、次に装置1は、カートリッジを加圧する回路になる。次に貯蔵槽2内に含まれている水が管の中に曝気装置4まで注入される。次に水は、ピストンの働きをし、曝気装置の上流の管から空気を動かし、次に水は、該曝気装置の下流に位置する管から空気を最終的に動かすために、曝気装置自体から空気を動かす。これらの段階全体を通して、動かされる空気は、該空気に提案される唯一の経路に沿って管中を流れ、したがって、加熱手段8の方へ行くことなく、背圧弁9の方へ通じている経路を通過する。該背圧弁は、閉止位置にあり、それによって、圧縮空気は、該背圧弁を開放させることができ、かつ流体を通過させることができる圧力しきい値に到達するまで、該背圧弁の入口に蓄積することになる。
【0069】
図3は、空気水混合物をカートリッジの中に注入する段階において、冷たい飲料を調製するとき泡を最適化する装置1を示す。装置1の構成要素は、すべて図2の構成要素と同じ位置にある。本明細書の上文に記載のとおり、水がピストンの働きをし、空気を回路から動かし、さらに特に曝気装置4から動かす。次に空気は、背圧弁9にまで進み、さらに該背圧弁の入口において圧縮される。ポンプ3が水を回路内に送り続け、水が回路に提案された唯一の経路に沿って流れ、次に回路内、したがって、背圧弁の入口における圧力が上昇する。この背圧弁の利点は、正確に、背圧弁が空気の圧縮を引き起こし、さらに該空気の一部を連続的な水面内に溶解させることである。
【0070】
圧力が特定のしきい値に達すると、背圧弁が開放し、したがって、空気が、さらに水溶解空気混合物が該背圧弁を通過することができる。この背圧弁の開放圧は、少なくとも1.015バール、望ましくは、少なくとも2バール、より好ましくは、少なくとも3バール、さらにより望ましくは、約4〜5バールである。
【0071】
該背圧弁を通過した後、空気次に水溶解空気混合物は、順に、及び/又は同時に、及び/又はある程度同時に、及び/又はある程度継続的に、注入部材10によってカートリッジ(不図示)の中へ導入され、この導入は、密封方式で行われる。
【0072】
図4は、空気圧縮段階において、熱い飲料を調製するとき、泡を最適化する装置1を示す。この場合、手動弁7は、流体に対して提案される唯一の経路が加熱回路8の付近を通過及び/又はその中を通過するような方法で消費者によって操作される。この手動弁7の操作によって、ポンプ3の電源スイッチ、及び曝気装置5を空にする手段の電源スイッチが入り、次に閉止位置に切り換わる。その瞬間、通気装置6及び空にする手段5が閉止されるので、曝気装置及び管は、空気で満たされ、そのため、装置1は、回路を加圧する回路になる。
【0073】
次に貯蔵槽2内に含まれている水が管内に注入され曝気装置4にまで送り込まれる。水はピストンの働きをし、空気が曝気装置の上流の管から動かされ、次に空気が曝気装置自体から動かされ、最終的に空気が該曝気装置の下流に位置する管から動かされる。この段階全体を通して、動かされる空気は、管に提案された唯一の経路に沿って管内を流れ、したがって、サーモブロック8の方へ通じる経路に沿って通過する。次にその動かされる空気は、加熱され、次に背圧弁9まで続く。該背圧弁は、閉止位置にあり、該空気を該背圧弁の入口において蓄積しかつ圧縮することができる。
【0074】
図5は、空気水混合物注入段階において、熱い飲料を調製するとき、泡を最適化する装置1を示す。装置の構成要素は、図4の構成要素と同じ位置にある。前述のとおり、水がピストンの働きをし、空気が回路から、特に曝気装置4から動かされる。次に該空気が背圧弁9までサーモブロックを通過し、該背圧弁の入口において圧縮される。ポンプ3が水を回路の中に送り続ける。水は、回路に提案された唯一の経路の中を流れる。したがって、水は、サーモブロックを通過し、サーモブロック内において、水は、任意の温度に加熱され、さらに背圧弁まで進み、次に一部の空気の溶解、回路内の圧力、従って、背圧弁の入口における圧力を増加させる。
【0075】
圧力が特定のしきい値に達したとき、背圧弁が開放し、したがって、空気次に水溶解空気混合物は、該背圧弁を通過することができる。この背圧弁の開放圧は、少なくとも1.015バール、望ましくは少なくとも2バール、より望ましくは少なくとも3バール、さらにより望ましくは約4〜5バールである。
【0076】
該背圧弁を通過した後、空気次に水溶解空気混合物は、継続的に、及び/又は同時に、及び/又はある程度同時に、及び/又はある程度継続的に注入部材10によってカートリッジ(不図示)の中に導入され、この導入は、密封方式で行われる。なお、注入サイクルの開始時、空気がカートリッジに到達する前に、一定量の残留水がカートリッジの中に注入される場合がある。この量は、管内、特に弁7と背圧弁9との間に残った水から作り出されている。このような水量は、カートリッジ内の空気ポケットの形成にはまったく影響がなく、いずれにしても、本発明による泡形成原理には影響を及ぼすことはない。
【0077】
図6及び7は、カートリッジ受け入れユニット、カートリッジ、及び流体注入部材を含む本発明による装置の一部分の例の概略断面図を示し、装置のこの一部分を参照番号11で表わす。
【0078】
カートリッジ12は、カートリッジ受け入れユニット13によって本発明による方法を実行することができる位置に保たれている。カートリッジには、より優れた安定性のためにカートリッジ支持ユニットの形状が一般に採用されている。一般にカップの形状をしたこのカートリッジ12は、食品材料(不図示)を含む。この場合、カートリッジ12は、底を定義する底壁15及び側壁14で構成されている。この例においては、底15の直径は、カップの開口部の直径より小さい。表示のために、側壁14及び底15は、一般に、単層又は多層のEVOH、PVDC、PP、PE、PAからなる組から選択された樹脂製である。カートリッジは、また、たとえば、ホットメルトを使ってリム17上に密封されたフィルムによって形成された上部壁16によっても閉じられている。該フィルム16は、一般に、装置11の穿刺注入手段によって穴をあけることができる材料製であり、この手段については、本明細書で極めて詳細に後述する。
【0079】
したがって、側壁14、底15、及びフィルム16は、食品材料が封じ込まれるチャンバを形成する。もちろん、カプセルは、また、開放カプセル又は一部開放カプセルであってもよい。なお、図示されている例においては、カプセル12は、カプセルの下部でカートリッジの内側リム19上に密封され、かつカプセルの下部でチャンバを閉じている薄いフィルム18を含む。この薄いフィルム18は、ディスク20の上部表面に均等に間隔を空けて起伏状になっている複数の部材を含み、さらに複数の溝を形成しているディスク20の上に配置されている。薄いフィルム18は、カートリッジ12内部の圧力上昇の影響下で、起伏状部材に接触したとき引裂かれるようになっている。なお、流体の注入時、あまりにも早く開放が起こらないように、特に空気がカートリッジ内で空気自体によって圧縮されているときに開放が起こらないように、開放手段が設計されていることが重要である。その理由は、空気がカートリッジ内で圧縮されている時点で薄膜が破れた場合、空気が泡を形成することなく逃げることになるからである。なお、飲料を得ることができるように、この開放手段の下に流出オリフィス21がある。この流出オリフィス21は、この場合、カプセル12に独特のものであり、この流出オリフィス21は、製品を装置11に直接接触することなく直接的にマグ内に送ることができ、したがって、飲料の相互汚染の皆無、より良好な衛生、洗浄の削減、及び調製装置の実際設計の多大な簡素化を確実にすることになるという利点を有する。カートリッジ12についてのさらなる詳細な説明としては、参照することにより本明細書に組み込まれる、出願会社の名前で2003年1月13日に出願した表題「開放手段を備えた密閉カプセル(Closed capsule with opening means)」の国際公開第03/059778 A2号が参考になるであろう。
【0080】
装置11は、カートリッジ受け入れユニット13の上方に配置された全体的に円筒形状の流体注入部材10を含む。注入部材及びカートリッジ受け入れユニットは、カートリッジ受け入れユニット13内の定位置にカートリッジ12を置くことができる開放位置(図6)と、装置11を作動させることができる閉止位置(図7)との間で他方に対して一方を垂直に動かすことができる。
【0081】
とりわけ、注入部材は、流体入口くぼみ24と、注入オリフィス26を示す穿刺かつ注入部材25との間に通っている流体供給導管23を含む。該穿刺かつ注入部材25は、注入部材10とカートリッジ受け入れユニット13とが相対移動され、装置11が閉止位置の状態にされる間に、フィルム16を貫通し、カートリッジ12の内側に注入オリフィス26を引き入れることができるように設計されている。
【0082】
くぼみ24は、装置1の流体供給連結器に連結されるようになっている。該流体は、加圧状態で到達し、そのため注入部材10は、注入オリフィス26によって定義される少なくとも1つの注入ポイントからジェット状で流体を注入することができる組立品を形成する。ジェットの数は、有効な攪拌を作り出すのに十分な高さの水速を保つために制限される。ジェットの数は、3つ以下が望ましい。単一ジェットが望ましい。ジェットの数が多すぎる場合、速度が分割され、したがって、遅くなりすぎて有効な攪拌、及びしたがって正確な泡の量をもたらすことができなくなる。さらに各ジェット(すなわち、ただ1つのジェット)は、カートリッジ内で流体が渦巻き運動を形成するようにカートリッジ内の中心から外れていることが望ましい。注入部材22は、閉止位置(図7)において、シール27がカートリッジのリム17を押し付けるような方法で配置されたシール27をさらに含む。
【0083】
図8は、空気貯蔵部材を空にする段階において、飲料を調製するとき泡を最適化する装置1を示す。そのとき、手動弁7は、停止位置に置かれており、それによって、空気供給手段6は、回路に通気することができる。弁がこの停止位置にあるとき、空気貯蔵部材4を空にする手段5は、動作停止されることになる。次に該空気貯蔵部材は、空になり、回路内に減圧が作り出される。減圧によって、真空が作り出され、該真空は、通気部材6によって通される空気によって補償される。この工程によって、一方では、曝気装置4を空気で満たすことができ、それによって、装置1は、別の泡状飲料を調製する準備が整い、また他方では、曝気装置から曝気装置の水を無くすことができる。
【0084】
この工程なしでは、該曝気装置は、空気供給源、したがって混合の役割を果たすことができないことになるであろう。その上、該曝気装置を空にする工程によって、所定量の空気を回復させ、さらにあらゆる水の停滞、したがって、たとえばイースト又はバクテリアといった微生物のあらゆる増殖を防ぐことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】停止段階において、飲料を調製するとき泡を最適化する装置の図を示す。
【図2】空気圧縮段階において、冷たい飲料を調製するとき泡を最適化する装置の図を示す。
【図3】空気水混合物注入段階において、冷たい飲料を調製するとき泡を最適化する装置の図を示す。
【図4】空気圧縮段階において、熱い飲料を調製するとき泡を最適化する装置の図を示す。
【図5】空気水混合物注入段階において、熱い飲料を調製するとき泡を最適化する装置の図を示す。
【図6】カートリッジ受け入れユニット、カートリッジ、及び流体注入部材を含む本発明による装置の一部分の一例の概略断面図であり、装置のこの部分は開放位置で示されている。
【図7】図6に示された装置の一部分の概略図であり、装置の一部分は閉止位置で示されている。
【図8】空気貯蔵部材を空にする段階において、飲料を調製するとき泡を最適化する装置の図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジから泡状飲料を得る方法であって、前記カートリッジが飲料用の少なくとも1つの調製品を封じ込めた少なくとも1つのチャンバを含む方法において、
所定量の流体が前記カートリッジ(12)に注入され、前記注入が、
−前記カートリッジ内に空気の保留ポケットを形成するように圧縮され、前記飲料が前記カートリッジを通り抜けて自由に流れ、又は前記カートリッジが開放する前記圧力より低い圧力にまで圧縮されている空気で実質的に構成されている面を注入する工程によって、次いで、
−前記カートリッジ内の前記空気と混ざっている水を含む面を注入する工程によってなされ、注入された前記水面によって、
行われ、前記カートリッジが開放し、又は前記飲料が前記カートリッジを通り抜けて自由に流れるまで前記内部圧力の増加が引き起こされ、かくして前記飲料を排出しかつ泡を生成することができることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記所定量の流体は、前記カートリッジ(12)の中へ注入される各サイクルより前に空気で満たされている少なくとも1つの貯蔵部材(4)内に含まれている所定量の空気を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定量の流体は、カートリッジ(12)の中に注入される水量を含み、前記流体が前記カートリッジ(12)の中に注入されるまで前記空気量を動かすためにピストンのように作用することを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
注入される前記水量は、冷たい泡状飲料を作ることができる非加熱量であることを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記所定量の空気は、少なくとも10立方センチメートルであることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記所定量の空気は、少なくとも15立方センチメートル、より好ましくは、少なくとも20立方センチメートル、及びさらにより好ましくは、少なくとも23立方センチメートルであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記カートリッジ(12)は、前記カートリッジの中に注入された前記空気量より小さいヘッドスペースを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記カートリッジの内部である一定の流体圧に達したとき、引裂き又は穿刺部材に接触した時点で引裂かれ又は穴があけられる前記カートリッジの壁を通って前記飲料が流れ出ることができるように、前記カートリッジが開放することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記流体が前記カートリッジの中に少なくとも1つの加圧ジェットによって注入されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記流体が、前記流体内に攪拌運動を作り出すように前記カートリッジ内の中心から外れた位置から注入される少なくとも1つのジェットによって注入されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カートリッジ内に封じ込められている前記調製品は、注入の間に前記水内に溶解する調製品であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記調製品は、可溶性コーヒー、可溶性茶、インスタントチョコレート、粉ミルク、フルーツジュース、浸出液、又はこれらの製品の組合せであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
飲料用調製品を封じ込めたチャンバを含むカートリッジから泡状飲料を調製する装置であって、
前記飲料を調製する調製サイクルを始動させるように前記任意の飲料を選択するための選択手段(7)と、
給水装置(2)と、
給気手段(6)と、
流体搬送手段(3)と、
飲料用の前記調製品を封じ込めたカートリッジ(12)を受け入れるための受け入れユニット(13)と、
前記カートリッジ(12)の中に流体を注入するための、さらに密閉方式で前記カートリッジの中に前記流体を注入するように構成された流体注入部材(10)と
を備える、前記装置において、
空気貯蔵部材(4)が、前記カートリッジ内に圧縮空気の保留ポケットを作るように各飲料調製サイクルにおいて前記カートリッジ(12)の中に圧力下で注入される所定量の空気を貯蔵することができるように設けられていることを特徴とする装置。
【請求項14】
前記空気貯蔵部材は、前記水搬送手段の後に配置されたチャンバを備えることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記空気貯蔵部材(4)は、少なくとも10立方センチメートルの容量を有するチャンバを備えることを特徴とする、請求項13又は14に記載の装置。
【請求項16】
前記空気貯蔵部材(4)は、曝気チャンバと、前記チャンバを満たすための少なくとも1つの給気口と、給水口及び前記注入部材(10)に向けた排水口とを備えることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記水を停滞させないようにし、かつ前記空気貯蔵部材を空気で満たすことができるように、前記空気貯蔵部材(4)を空にするための少なくとも1つの空にする手段(5)を備えることを特徴とする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記水を加熱し、かつ熱い飲料を得ることができるようにするために少なくとも1つの加熱手段(8)を備えることを特徴とする、請求項13〜17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
消費者が熱い飲料か冷たい飲料かのどちらかを選択できるように前記加熱部材を迂回できる弁手段を備えることを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
圧縮空気の前記保留ポケットの前記圧力に耐え、さらに前記カートリッジへの前記給水に対応するより高い圧力から開放するように構成された少なくとも1つの開放手段を備えることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項21】
前記開放手段は、一方において、壁又は膜を備え、他方において、前記圧力の前記作用の下で、前記壁又は膜を突き刺し又は引裂くことによって開放の前記目的のために協働する粗さ要素又は穿刺部材を備えることを特徴とする、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記開放手段は、前記カートリッジに属することを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記開放手段の前記壁又は膜は、前記カートリッジに属し、さらに前記粗さ要素又は穿刺部材は、前記カートリッジ受け入れユニット(13)に属することを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記水が前記カートリッジ(12)に注入されるより前に、前記空気の一部を前記水に溶解させることができる少なくとも1つの背圧弁(9)を備えることを特徴とする、請求項13〜23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記注入部材は、前記カートリッジを突き刺し、さらに少なくとも1つの加圧ジェットの形で前記水を注入するように構成されていることを特徴とする、請求項13〜24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
前記注入部材は、前記水を前記カートリッジの中に中心から外れた位置から注入するような方法で位置付けられていることを特徴とする、請求項24に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−503285(P2008−503285A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517127(P2007−517127)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006196
【国際公開番号】WO2006/002741
【国際公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】