説明

カートリッジタンク

【課題】 カートリッジタンクの給油時に手を汚さずに給油口蓋の着脱操作を行えるようにする。
【解決手段】 カートリッジタンク1の給油口1aに着脱自在に取り付けた給油口蓋2は、給油口1a側の端部に外径を広げる鍔部2aを形成し、鍔部2aの外周縁部には給油口蓋2の外周面を囲む筒状の操作部7を取り付け、操作部7の高さを給油口蓋2より低くすることで、給油口蓋2を油受け5に装着時に操作部7の端部が油面より高所に位置し、操作部7に燃料が付着することがない。また、操作部7の内周面から形成した多数の仕切片7aが給油口蓋2の外側面に当接して、給油口蓋2と操作部7との間に多数の空間8を形成したから、給油口蓋2の開閉弁6付近に付着した燃料が給油口蓋2の外側面に流れても、燃料は空間8に流入して操作部7の外側面に燃料は届かず、操作部7に燃料が付着しないから、操作部7を握って操作をすることで手を汚すことがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は液体燃料燃焼装置に燃料を供給するカートリッジタンクの給油口に装着する給油口蓋の構造に関する。
【0002】
カートリッジタンク式の石油燃焼器は、枠体内に配置した油タンクの上面にカートリッジタンクを装着する有底筒状の油受けを取り付け、一方、カートリッジタンクに設けた給油口に開閉弁を内装した給油口蓋を取り付け、カートリッジタンクを転倒して給油口蓋を油受けに装着すると、油受けの底部に設けた突起によって給油口蓋の開閉弁が押し開かれてカートリッジタンクの燃料が油タンクに供給され、給油口蓋の下端と油受け内の油面の高さが一致すると灯油の流出が停止する。そして、燃焼により燃料が使用されて油タンク内の油面が低下すると開閉弁からカートリッジタンク内に空気が入り、カートリッジタンク内の燃料が流出して油タンク内を定油面に保持している。
【0003】
燃焼器の使用によって燃料が消費されてカートリッジタンクが空になったときは、枠体からカートリッジタンクを取り出してポリタンク等の燃料の保管場所へ持ち運び、カートリッジタンクの給油口に装着してある給油口蓋を取り外して燃料を給油し、満量となったカートリッジタンクに給油口蓋を装着して再び枠体内に転倒装着することで、油タンクへの燃料が供給される(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−160156号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、開閉弁を備えた給油口蓋の先端は油タンク内の油面付近に位置しているため、給油口蓋の先端の開閉弁の弁座とその周囲には燃料が付着しており、給油を行うときにカートリッジタンクを枠体から取り出して給油口蓋側を上向きにすると、給油口蓋に付着した燃料が給油口蓋の側面を伝って給油口蓋の外側面にも付着するため、給油を行う際に給油口蓋を着脱するときに手に燃料が付着してしまい不快な思いをする。
【0005】
また、ポリタンク等は玄関や屋外などの石油燃焼器を使用している部屋に比べて気温の低い場所に保管されていることが多く、このような気温が低い場所で燃料を補給したカートリッジタンクを室内に持ち込むと、カートリッジタンクの内圧が高くなるため、カートリッジタンクを油タンクに装着して開閉弁が押し開かれた時に燃料が勢いよく噴出して油受け内に飛散することがある。そして、油受け内で燃料が飛散すると給油口蓋の外側面にも多量の燃料が付着し、給油口蓋の周囲のカートリッジタンクの上まで汚してしまうことがある。
【0006】
上記のように給油口蓋に燃料が付着していると、手の汚れを気にしながら給油口蓋を締め付けることとなり、給油口蓋をねじ込む力が不足して給油口蓋の取り付けが緩くなってしまったり、給油口蓋が斜めになったまま無理やりねじ込んでしまうことがあり、給油口蓋の締め付けが不十分のままカートリッジタンクを装着するために転倒するとカートリッジタンクの燃料が漏れ出して燃焼器にかかり、火災などの重大事故につながる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は上記の課題を解決するもので、燃料を収納するカートリッジタンク1の給油口1aに給油口蓋2を着脱機構3によって着脱自在に取り付け、カートリッジタンク1は転倒して給油口蓋2を油タンク4の油受け5に装着し、油受け5の突起5aが給油口蓋2に内装した開閉弁6を押し開いてカートリッジタンク1の燃料を油タンク4に供給するカートリッジタンクにおいて、前記給油口蓋2はカートリッジタンク1の給油口1a側の端部に外径を広げる鍔部2aを形成し、該鍔部2aの外周縁部には給油口蓋2の外周面を囲むように配置した筒状の操作部7を取り付け、該操作部7はその高さ寸法を給油口蓋2の高さ寸法より低く設定し、給油口蓋2を油受け5内に装着したときに操作部7の端部が油面より高所に位置していると共に、前記操作部7の内周面から中心に向けて多数の仕切片7aを形成し、該仕切片7aは給油口蓋2の外周面に当接して給油口蓋2と操作部7との間隙内に多数の空間8を形成し、前記給油口蓋2の開閉弁6の弁座6a付近に付着した燃料は空間8内に向かい操作部7に付着しないことを特徴とする。
【0008】
また、給油口蓋2は開閉弁6の弁座6a付近の直径を着脱機構3部分の直径よりも細くする段部2bを設け、前記操作部7は給油口蓋2の鍔部2aと段部2bの間の給油口蓋2の外側面を囲むように配置したものであり、操作部7は操作しやすい高さ寸法を確保しながら油面と接触する給油口蓋2の先端から離れた位置に設けることができる共に、給油口蓋2の先端の油面との接触面積を少なくでき、操作部7への燃料の付着を防止できる。
【0009】
また、油受け5は底面側の内径寸法を給油口蓋2の操作部7の内径寸法よりも細くする段部5bを形成し、油受け5に装着した給油口蓋2の操作部7が油受け5の段部5bの上方に位置することで、油受け5内で燃料が飛び散ったときに、給油口蓋2の外側面に付着した燃料は空間8内に向かうから、操作部7の外側面に燃料が付着することはない。
【0010】
また、給油口蓋2の空間8の下方に位置する油受け5の段部5bに複数個の燃料排出孔5cを設け、給油口2の外側面や空間8に付着した燃料が油受け5の段部5bの上に落下したときは、燃料排出孔5cから油タンク4へ排出するから、油受け5の段部5bに燃料が溜まることはないものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明では、給油口蓋2のカートリッジタンク1側の端部を外側に広げた鍔部2aを設け、この鍔部2aの外周縁部に給油口蓋2の外周面を囲む筒状の操作部7を取付けたものであり、この操作部7の高さ寸法を給油口蓋2の高さ寸法より低く設けたから、給油口蓋2を油受け5に装着したときに操作部7の端部が油面より高所に位置しており、操作部7には燃料が付着しないものである。そして、操作部7の内側面から中心に向かって多数の仕切片7aを設け、この仕切片7aが給油口蓋2の外側面に当接することで給油口蓋2と操作部7との間に多数の空間8を形成したから、カートリッジタンク1へ給油を行う際に給油口蓋2の先端の開閉弁6付近に付着した燃料が広がって給油口蓋2の外側面を伝っても、この燃料は給油口蓋2と操作部7の間の空間8内に流入して操作部7の外側面に付着することがないから、給油口蓋2の着脱時は操作部7を握って操作することで手が燃料で汚れることはなくなった。
【0012】
また、操作部7の内側面に形成した仕切片7aが給油口蓋2の外側面に当接することで操作部7の強度を確保しており、操作部7を握ったときに操作部7の変形を防ぐことができるから、給油口蓋2の着脱時に操作部7を強く握って確実に操作することができるようになった。
【0013】
また、空間8内に流入した燃料は仕切片7aの表面と給油口蓋2の外側面と操作部7の内側面に付着し、表面張力によって張り付いた状態となって空間8内に保持されるので、空間8内から容易に燃料が流出することがなく、操作部7の外側面を燃料で汚すことはない。
【0014】
また、給油口蓋2に段部2bを設けて給油口蓋2の弁座6a付近の直径を着脱機構3部分の直径より細くすることで給油口蓋2は油面との接触面積が少なくなり、給油口蓋2の先端に付着する燃料の量を少なくできるから、カートリッジタンク1の給油口蓋2側を上向きにした時に給油口蓋2の先端から広がって外側面に向かう燃料の量も少なくなり、空間8内に流入する燃料の量を最小限にすることができた。
【0015】
更に、給油口蓋2に段部2bを設けたことで、操作部7は給油口蓋2の着脱時に握りやすい高さ寸法を確保しながら、油タンク4の油面に接触する給油口蓋2の先端から離れた位置に設けることができるから、機器の操作や燃焼の継続によって油面の変動があっても操作部7への燃料の付着を確実に防ぐことができる。
【0016】
また、カートリッジタンク1の給油口蓋2を装着する油受け5は、底面側の内径寸法を操作部7の内径寸法よりも細くする段部5bを設け、この油受け5に給油口蓋2を装着したときに操作部7が油受け5の段部5bの上方に位置するように構成することにより、カートリッジ1から勢いよく燃料が噴き出して油受け5内で燃料が飛散したときは給油口蓋2の外側面や段部2bに多量の燃料が付着し、一部の燃料が段部5bの上方まで届くことがあるが、この燃料は空間8内に向かい操作部7の外側面までは届かないようにすることができたから、操作部7が油受け5内に位置していても操作部7の外側面に燃料が付着することはない。
【0017】
また、給油口蓋2の段部2bや空間8内に付着した燃料は油受け5の段部5bの上に落下するが、この発明では給油口蓋2の空間8の下方に位置する油受け5の段部5bに複数個の燃料排出孔5cを設けたから、段部5bの上に落下した燃料を燃料排出孔5cから油タンク4内へ戻すことができ、燃料が油受け5の段部5bの上に溜まることはなく、操作部7に燃料が付着することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図に示す実施例によってこの発明を説明すると、1は石油燃焼器へ装着して燃料を供給するカートリッジタンク、1aはカートリッジタンク1に設けた燃料の補給と流出を行う給油口、2は給油口1aに着脱自在に設けた給油口蓋、3は給油口蓋2と給油口1aとの間にねじで形成した着脱機構、6は給油口蓋2に内装した開閉弁、6aは開閉弁6の弁座であり、該開閉弁6は弁座6aを閉ざす弁軸6bと、弁軸6bの端を弁座6aに押付ける弁バネ6cを有している。
【0019】
4はカートリッジタンクから供給された燃料を貯える油タンク、4aは油タンクの上面板に設けた開口、5は開口4aに嵌合装着した有底筒状の油受け、5aは油受け5の底面に形成した突起、5dは油受け5の底面の突起5aの周囲に設けた燃料流出口である。
【0020】
カートリッジタンク1を給油口蓋2を下向きにして枠体内の油受け5に装着すると、突起5aが開閉弁6を押し開いて空気がカートリッジタンク1内に流入し、代わってカートリッジタンク1内の燃料が流出して油受け5の燃料流出口5dから油タンク4に燃料が供給され、油タンク4内の油面が開閉弁6の先端に届くとカートリッジタンク1内に空気が流入できなくなり、燃料の流出が止まる。そして、燃焼によって燃料が使用されて油タンク4内の油面が低下すると開閉弁6からカートリッジタンク1内に空気が流入して代わりに燃料が流出することで、油タンク4内を定油面に保持するものである。
【0021】
そして、石油燃焼器の使用によってカートリッジタンク1が空になると、カートリッジタンク1を枠体から取り出して、ポリタンクなどが保管してある場所まで運び、給油口蓋2を取り外してサイフォンポンプなどで給油を行うものであるが、給油口蓋2は先端が油タンク4内の油面と接触して燃料が付着しており、給油口蓋2を上向きにしたときに開閉弁6の先端付近に付着した燃料が給油口蓋2の側面まで広がり、着脱時に手が燃料に触れて汚れるため、給油作業は非常に嫌われる作業である。
【0022】
また、給油口蓋2に燃料が付着していると、給油口蓋2を取り付けるときに手の汚れを気にして強い力で締め付けることができなかったり、燃料で手が滑ったりして、給油口蓋2の締め付けが不足することがあり、給油口蓋2の取り付けが不完全な状態でカートリッジタンク1を転倒装着すると、給油口蓋2が給油口1aから外れて燃料が流出してしまい、燃焼器にかかると重大事故につながる恐れがあった。
【0023】
この発明は上記の課題を解決するもので、2aは給油口蓋2のカートリッジタンク1の端部に形成した外径を広げる鍔部、7はこの鍔部2aの外周縁部に取り付けた筒状の操作部であり、操作部7は給油口蓋2の外径より大きくして給油口蓋2の外周面を囲むように配置しており、この操作部7を持って回転操作をすることで給油口蓋2の着脱を行うことができる。7bは操作部7の外周面の全周に形成した凹凸面であり、操作部7を握ったときに凹凸面に指を掛けることで指の滑りを防いでおり、回転操作を行いやすくしている。
【0024】
また、操作部7はその高さ寸法が給油口蓋2の高さ寸法より低くなるように設けており、給油口蓋2を油受け5内に装着したときに操作部7の端部が給油口蓋2の開閉弁6付近の油面より高所に位置して、操作部7には燃料が付着しないようになっている。
【0025】
7aは筒状の操作部7の内周面から中心に向かって伸ばした多数の仕切片であり、仕切片7aの先端は操作部7の内方に位置する給油口蓋2の外側面に当接し、給油口蓋2の外側面と操作部7の内側面との間隙が仕切片7aによって仕切られている。8は隣り合う2枚の仕切片7aと給油口蓋2の外側面と、操作部7の内周面とで構成される空間であり、この空間8が給油口蓋2と操作部7の間隙に多数形成されている。
【0026】
この構成では、カートリッジタンク1に給油するために給油口蓋2を上向きにしたときに、給油口蓋2の先端の弁座6a付近に付着した燃料が広がって給油口蓋2の外側面に流れるが、この燃料は給油口蓋2の外側に配置した操作部7の外周面に届くことなく空間8内に向かうものであり、空間8は操作部7の下端と給油口蓋2の鍔部2aとが接続して閉ざされた底部を構成しているから、空間8内に流入した燃料を空間8内に受け止めることができ、空間8の外側に位置する操作部7の外周面には燃料が付着することがないから、給油口蓋2の着脱時は操作部7を握って操作することで、手が燃料で汚れることがなくなった。
【0027】
給油口蓋2の外側面を流れる燃料は空間8内に向かうときに仕切片7aの端部に付着するが、仕切片7aはその高さ寸法を操作部7の高さ寸法より短くして、仕切片7aの端部を操作部7の端部より低く位置させてあるから、仕切片7aの端部に付着した燃料が操作部7を乗り越えることなく確実に空間8内へ流入させることができ、操作部7の外側面に燃料が付着することはない。
【0028】
また、給油口蓋2の着脱時には給油口蓋2を確実に締め付けるため操作部7を強く握って操作するから、筒状の操作部7は潰れて変形してしまう恐れがあるが、この発明では給油口蓋2の外側面に当接する仕切片7aによって操作部7を支持することで操作部7の変形を防ぐことができるから、操作部7を強く握っても操作部7が潰れることはなく、強い力で操作することができ、給油口蓋2を確実に給油口1aに取り付けることができるものとなった。
【0029】
また、筒状の操作部7の強度を仕切片7aによって確保することで、操作部7は板厚の薄い形状で構成できるから、操作部7の外径寸法が大きくなりすぎず、握りやすい大きさの操作部7を構成することができる。
【0030】
また、空間8内に流入した燃料は仕切片7aの表面と操作部7の内周面と給油口蓋2の外側面に付着し、付着した燃料は表面張力によって張り付いた状態となって空間8内に保持されるから、空間8内に流入した燃料は容易に流出することがなく、給油口蓋2の着脱時に空間8内の燃料が流出して落下したり手に付着したりすることがないものとなった。
【0031】
ところで、油タンク4内の油面の変動がない状態のときは給油口蓋2の開閉弁6の先端部分だけが油面に触れているが、燃焼器の使用によって燃料が消費され、油面が低下してカートリッジタンク1から燃料が流出するときには、開閉弁6付近の油面が波立つものであり、また、芯上下式の石油燃焼器の場合には、芯下げ消火時に油中に没した芯の容積分の油面上昇が起こる。このような油面の変動に対して、給油口蓋2に付着する燃料をできるだけ少なくすると共に、操作部7への燃料の付着を防ぐ必要がある。
【0032】
2bは給油口蓋2の開閉弁6付近の直径を着脱機構3部分の直径よりも細くする段部であり、給油口蓋2を給油口1aに装着したときは段部2bの水平部分が給油口1aの端部と密着しており、操作部7は給油口蓋2の鍔部2aと段部2bとの間の着脱機構3部分の外側面を囲むように配置している。
【0033】
この構成では、カートリッジタンク1を油受け5内に装着したときに油面と接触する開閉弁6の先端部分が段部2bによって細くなっているから、給油口蓋2の油面との接触面積が少なくなって給油口蓋2に付着する燃料を少なくすることができる。そして、カートリッジタンク1の給油を行なうために給油口蓋2を上向きにしたときは、開閉弁6付近に付着した燃料は先端の小径部分の外側面と段部2bを伝ってくる間に拡散して、着脱機構3を備えた大径部分の外側面に届く燃料も少なくなる。
【0034】
一方、操作部7は油タンク4内の油面から離れた位置に設けることができたから、油タンク4内の油面の変動があっても、操作部7が油面に触れることはなく、操作部7への燃料の付着を防止することができるものとなった。また、操作部7は給油口蓋2の着脱機構3部分と同じ高さ寸法を確保できるから、操作部7が握りやすく確実に操作することができるものとなった。
【0035】
ところで、燃料の補給用のポリタンクなどは一般的に家の玄関や屋外に保管されることが多いが、玄関や屋外は石油燃焼器を使用している室内に比べて気温が低く燃料も低温の状態となっているため、燃料を補給したカートリッジタンク1を気温の高い室内に持ってきたときにカートリッジタンク1の内部が暖められて燃料が膨張し、カートリッジタンク1の内圧が高くなる。この状態で油受け5にカートリッジタンク1を装着すると、油受け5の突起5aによって開閉弁6が押し開かれたときにカートリッジタンク1内の燃料が勢いよく噴き出し、油受け5内で燃料が飛散することがあり、操作部7が油受け5内に位置していると、操作部7にも燃料が付着する心配があるから、油受け5内で燃料が飛散したときの操作部7への燃料の付着を防ぐための対策が必要である。
【0036】
この対策として、5bは油受け5の底面側の直径を上部の開口部の直径よりも細くする段部であり、この段部5bによって細くなった底面部の内径寸法は給油口蓋2に取り付けた操作部7の内径寸法より細くなるように設定しており、カートリッジタンク1を油受け5に装着したときに操作部7が油受け5の段部5bの上方に位置するようにしている。
図1に示す実施例は給油口蓋2に段部2bを設けたものであり、この実施例では給油口蓋2の段部2bと操作部7が油受け5の段部5bより上方に位置し、段部2bによって細くなった給油口蓋2の先端部分だけが油受け5の段部5bより下方に位置している。
【0037】
この構成では、カートリッジタンク1の燃料が勢いよく噴き出したときに、油受け5内に飛び散った燃料のほとんどは給油口蓋2の段部2bや油受け5の内壁にあたって勢いを弱め、給油口蓋2の段部2bにあたった燃料の一部は給油口蓋2と油受け5の隙間を抜けて上方に向かうが、隙間を抜けた燃料は給油口蓋2と操作部7の間の空間8内に向かうので、操作部7の外周面まで届かないようにすることができた。
このため、油受け5内で燃料が飛び散ったときでも、燃料は給油口蓋2の表面に付着するだけであり、操作部7が油受け5内に位置する構成でも、操作部7への燃料の付着を確実に防ぐことができるものとなった。
【0038】
また、上記のようにカートリッジタンク1から勢いよく燃料が噴き出して給油口蓋2の表面や空間8内に多量の燃料が付着すると、給油口蓋2や空間8に付着した燃料が落下して油受け5の段部5bの上に溜まってしまうことがあり、油受け5の段部5bの上に燃料が残っていると操作部7の端部に燃料が付着する恐れがある。
【0039】
この対策として、5cは油受け5の段部5bに設けた複数個の燃料排出孔であり、燃料排出孔5cによって油受け5と油タンク4とを連通している。このため、給油口蓋2の外側面や空間8から油受け5の段部5bの上に落下した燃料を燃料排出孔5cから油タンク4に排出することができ、油受け5の段部5bの上に燃料が溜まらないようにすることができ、操作部7に燃料が付着する恐れがなくなった。
尚、油受け5の段部5bの上に落下した燃料は段部5bと上部側の内壁とのコーナー部に溜まりやすいから、実施例のように燃料排出孔5cをコーナー部付近に寄せて配置すると効率よく排出できる。
【0040】
また、この発明は操作部7によって給油口蓋2の外径が少し大きくなるだけであるから、操作部7を取り付けるための給油口蓋2と、油受け5の形状の変更だけで対応でき、カートリッジタンク1や給油口1aの形状は変更する必要はなく、既存のカートリッジタンク1が利用可能であり、大幅な設計変更をすることなく実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】この発明の実施例を示すカートリッジタンクの使用状態を示す要部断面図である。
【図2】この発明の実施例を示す給油口蓋の平面図である。
【図3】この発明の実施例を示す給油口蓋の一部切り欠き断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 カートリッジタンク
1a 給油口
2 給油口蓋
2a 鍔部
2b 段部
3 着脱機構
4 油タンク
5 油受け
5a 突起
5b 段部
5c 燃料排出孔
6 開閉弁
6a 弁座
7 操作部
7a 仕切片
8 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を収納するカートリッジタンク(1)の給油口(1a)に給油口蓋(2)を着脱機構(3)によって着脱自在に取り付け、
カートリッジタンク(1)は転倒して給油口蓋(2)を油タンク(4)の油受け(5)に装着し、油受け(5)の突起(5a)が給油口蓋(2)に内装した開閉弁(6)を押し開いてカートリッジタンク(1)の燃料を油タンク(4)に供給するカートリッジタンクにおいて、
前記給油口蓋(2)はカートリッジタンク(1)の給油口(1a)側の端部に外径を広げる鍔部(2a)を形成し、該鍔部(2a)の外周縁部には給油口蓋(2)の外周面を囲むように配置した筒状の操作部(7)を取り付け、
該操作部(7)はその高さ寸法を給油口蓋(2)の高さ寸法より低く設定し、給油口蓋(2)を油受け(5)内に装着したときに操作部(7)の端部が油面より高所に位置していると共に、
前記操作部(7)の内周面から中心に向けて多数の仕切片(7a)を形成し、該仕切片(7a)は給油口蓋(2)の外周面に当接して給油口蓋(2)と操作部(7)との間隙内に多数の空間(8)を形成し、
前記給油口蓋(2)の開閉弁(6)の弁座(6a)付近に付着した燃料は空間(8)内に向かい操作部(7)に付着しないことを特徴とするカートリッジタンク。
【請求項2】
前記給油口蓋(2)は開閉弁(6)の弁座(6a)付近の直径を着脱機構(3)部分の直径よりも細くする段部(2b)を設け、
前記操作部(7)は給油口蓋(2)の鍔部(2a)と段部(2b)の間の給油口蓋(2)の外側面を囲むように配置したことを特徴とする請求項1記載のカートリッジタンク。
【請求項3】
前記油受け(5)は底面側の内径寸法を給油口蓋(2)の操作部(7)の内径寸法よりも細くする段部(5b)を形成し、
油受け(5)に装着した給油口蓋(2)の操作部(7)が油受け(5)の段部(5b)の上方に位置することを特徴とする請求項1または2に記載したカートリッジタンク。
【請求項4】
前記給油口蓋(2)の空間(8)の下方に位置する油受け(5)の段部(5b)に複数個の燃料排出孔(5c)を設けたことを特徴とする請求項3記載のカートリッジタンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−24889(P2009−24889A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−185751(P2007−185751)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000003229)株式会社トヨトミ (124)
【Fターム(参考)】