説明

カートリッジ

【課題】容器内に収容されている内容物に混入すべき添加物を収容したカートリッジであって、繰り返し使用される蓋本体を補助具として利用して添加物を簡便に容器内の内容物に排出することができるカートリッジを提供する。
【解決手段】内容物を収容する第一の部材30と切断手段64を備えた第二の部材32とから構成されたカートリッジ。第一の部材は、下面は開口されている収容体34と収容体の下面に付設されて下面を閉塞する切断可能な閉塞片とを備えている。第二の部材は、上面及び下面は開口されている円筒体54から構成され、円筒体の内側下部に切断手段が配設されている。第二の部材の上面を通して第一の部材が部分的に第二の部材内に挿入され、第一の部材が第二の部材に対して相対的に下降せしめられると、第二の部材の切断手段が第一の部材の閉塞片に作用して閉塞片を切断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に収容されている液体の如き内容物に混入すべき添加物を収容したカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1及び2に開示されている如く、容器内に収容されている内容物(通常は液体)に添加すべき添加物(通常は粉体或いは液体)を蓋に収容し、容器内の内容物を消費する際に蓋を適宜に操作することによって、蓋に収容されている添加物を排出して容器内の内容物に混入することができるように構成することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−292013号公報
【特許文献2】特開2005−088997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、上述したとおりの従来の提案には、次のとおりの解決すべき問題がある。第一に、蓋自体に添加物を収容するための収容部を一体に形成しているため、一旦添加物を排出して容器内の内容物に混入すると、比較的高価な蓋全体が再使用不可能になり、経済的でない。第二に、蓋は容器の口頸部を密封するための通常の蓋としても使用され、従って容器の口頸部に装着し続ける故に、長期間に渡って保存され続けると容器内の内容物が、蓋の収容部を規定している部位を透過して添加物に侵入してしまう傾向がある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、容器内に収容されている内容物に混入すべき添加物を収容したカートリッジであって、繰り返し使用される蓋本体を補助具として利用して添加物を簡便に容器内の内容物に排出することができる、新規且つ改良されたカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を達成するカートリッジとして、内容物を収容する第一の部材と切断手段を備えた第二の部材とから構成されたカートリッジにして、
該第一の部材は、上面壁と該上面壁の周縁から垂下する円筒状側壁とを有し、下面は開口されている収容体と、該収容体の該下面に付設されて該下面を閉塞する切断可能な閉塞片とを備え、該収容体内に添加物を収容した後に該収容体の該下面に該閉塞片が付設され、
該第二の部材は、上面及び下面は開口されている円筒体から構成され、該円筒体の内側下部には切断手段が配設されており、
該第二の部材の該上面を通して該第一の部材が部分的に該第二の部材内に挿入され、該第一の部材の該収容体の該側壁の外周面と該第二の部材の該円筒体の内周面とには相互に協働して、該第二の部材内に部分的に挿入された該第一の部材が該第二の部材から上方に離脱するのを阻止するロック手段が配設されており、
該第一の部材が該第二の部材に対して相対的に下降せしめられると、該第二の部材の該切断手段が該第一の部材の該閉塞片に作用して該閉塞片を切断し、
該ロック手段は、該収容体の該円筒状側壁の外周面下端部に周方向に間隔をおいて配設され半径方向外方に突出する複数個の弧状突起と、該円筒状側壁の該外周面に配設され該弧状突起の両端の夫々から上方に延在する第一の突条及び第二の突条と、該円筒体の該内周面に周方向に間隔をおいて配設された複数個の係止突起とから構成されており、該係止突起の周方向片面は切り立った面であり、周方向他面は緩やかな面であり、該第一の突条の横断面形状は該係止突起の周方向両面に係止する形態であり、該第二の突条の横断面形状は該係止突起の該周方向片面には係止するが該周方向他面は弾性的に乗り越える形態である、
ことを特徴とするカートリッジが提供される。
【0007】
好ましくは、該円筒体の該内周面には周方向に間隔をおいて配設され且つ該係止突起の下方に位置する弧状係止片が形成されており、該弧状突起が該弧状係止片に当接することによって該第二の部材に対する該第一の部材の相対的下降が阻止される。また、該収容体の該円筒状側壁の該外周面には破断可能な連結部を介して半径方向外方に突出する制限片が付設されており、該制限片が該円筒体の上端に当接することによって該円筒体に対する該収容体の下降が制限されるのが好適である。
【発明の効果】
【0008】
容器の内容物を消費する際に、容器の口頸部に装着され口頸部を密封していた安価な通常の蓋が口頸部から離脱されて、補助具としても蓋本体を容器の口頸部に装着する。そして、容器の口頸部に蓋本体を装着するのに先立って或いは容器の口頸部に蓋本体を装着した後に、蓋本体の主部内に本発明のカートリッジが挿入され、次いでカートリッジの第一の部材が第二の部材に相対的に下降せしめられ、これによって第二の部材の切断手段が第一の部材の閉塞片に作用してこれを切断し、かくして第一の部材内に収容されていた添加物が排出されて容器内の内容物に混入される。カートリッジは添加物を容器の内容物の混入する時までは容器とは別個に保存される故に、長期間に渡って保存しても容器の内容物がカートリッジに収容されている添加物に侵入することはない。カートリッジに収容されている添加物を排出して容器内に収容されている内容物に混入した後において、カートリッジは再使用することができないが、補助具としての蓋本体は他のカートリッジと組み合わせて再使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に従って構成されたカートリッジの好適実施形態における第一の部材と第二の部材を示す斜面図。
【図2】図1に示すカートリッジの第一の部材を倒立状態で示す斜面図。
【図3】図1に示すカートリッジの第二の部材の平面図。
【図4】図1に示すカートリッジの第一の部材と第二の部材とを組み合わせた状態を示す断面図。
【図5】図1に示すカートリッジの第一の部材と第二の部材との相互関係を示す部分拡大平面図。
【図6】補助具として使用される蓋本体の斜面図。
【図7】図6に示す蓋本体に図1に示すカートリッジを組み合わせた状態を示す断面図。
【図8】図7に示す組み合わせを容器の口頸部に部分的に装着した状態を示す断面図。
【図9】図7に示す組み合わせを容器の口頸部に所要とおりに装着して、カートリッジ内に主要されていた添加物を容器内に排出した状態を示す断面図。
【図10】図9に示す状態を一部を拡大して示す部分拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成されたカートリッジの好適実施形態について、更に詳細に説明する。
【0011】
図1乃至図4を参照して説明すると、本発明に従って構成されたカートリッジ28は、第一の部材30と第二の部材32とから構成されている。第一の部材30は、ポリエチレン又はポリプロピレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形することができる収容体34と、アルミニウム箔、合成樹脂膜或いはアルミニウム箔と合成樹脂膜との積層体から形成することができる閉塞片36とから構成されている。収容体34は円形上面壁38及びこの上面壁38の周縁から垂下する円筒状側壁40を有し、下面は開口されている。閉塞片36は円板形状であり、収容体34内に粉体或いは液体でよい添加物(図示していない)を収容した後に、加熱溶着或いは適宜の接着材による接着によって収容体34の側壁40の下端に接合され、収容体34の下面を閉塞する。
【0012】
収容体34の側壁40の外周面下端には周方向に間隔をおいて半径方向外方に突出する複数個、図示の場合は4個、の弧状突起42が形成されている。更に側壁40の外周面には、弧状突起42の片端から上方に軸線方向中間部まで延びる第一の突条44と弧状突起42の他端から上方に軸線方向中間部まで延びる第二の突条46とが形成されている。図6を参照することによって明確に理解される如く、第一の突条44の突出量は比較的大きく、そしてまた第一の突条44の両側面は側壁40の外周面に対して略90度の角度をなす切り立った面である。一方、第二の突条46の突出量は比較的小さく、そしてまた第二の突条46の先端部は横断面において弧状をなしている。後の説明から明らかになるとおり、弧状突起42並びに第一の突条44及び第二の突条46は、カートリッジ28の第二の部材32に配設されている係止突起(後に更に言及する)と協働してロック手段を構成する。収容体34の側壁40には、薄肉片から構成された破断可能な連結部48を介して半径方向外方に突出する制限片50も配設されている。連結部48は細長い帯状であり、制限片50は矩形状である。側壁40には、更に、外周面上端部に略180度の角度間隔をおいて半径方向外方に延出する一対の限定片52も配設されている。限定片52の上面は半径方向外方に向かって下方に傾斜して延び、下面は実質上水平に延在する。
【0013】
図1及び図3を参照して説明を続けると、カートリッジ28の第二の部材32は上面及び下面が開口されている円筒体54から構成されている。円筒体54の外周面には、周方向に等間隔をおいて半径方向に突出する4個の被支持突条55が形成されている。円筒体54の内周面下端部には半径方向内方に延出する円環状底壁56が形成されている。図10を参照することによって明確に理解されるとおり、底壁56の下面には下方に突出する環状シール片57が形成されている。円筒体54は底壁56を越えて下方に突出している。底壁56は周方向に等間隔をおいて複数個、図示の場合は4個、の領域において半径方向内方に延出せしめられており、かかる延出部の各々には上方に突出する弧状片58が形成されている。底壁56の上面には、弧状片58よりも半径方向外側において上方に突出する密封リング60も形成されている。図10を参照することによって明確に理解される如く、弧状片58の突出高さはリング60の突出高さよりも大きく、図示の実施形態においては弧状片58の突出高さはリング60の突出高さの略2倍に設定されている。底壁56には、更に、隣接する弧状片58間の領域において、半径方向中心から底壁56の内周縁まで放射状に延びる4個の放射片62が付設されている。そして、4個の放射片62の半径方向内側部上面には切断手段64が配設されている。図示の実施形態における切断手段64は、等角度間隔(図示の場合は90度の角度間隔)をおいて配設された複数個(図示の場合は4個)の切断片65から構成されている。4個の切断片65は全体として十字状の横断面形状を有し、切断片65の各々は半径方向中心に位置する鋭い頂点から半径方向外方に向かって下方に傾斜して延びる4個の鋭い切断縁66を有する。切断縁66の各々は夫々放射片62の各々に沿って延在する。切断手段64の半径方向外側縁68は放射片62の上面まで実質上鉛直に垂下せしめられている。
【0014】
円筒体54の内周面には、周方向に等間隔をおいて半径方向内側に突出する複数個、図示の場合は4個、の係止突起70が配設されている。図5に明確に図示する如く、係止突起70の片端面(図5において時計方向前端面)72は円筒体54の内周面に対して略90度の角度をなす切り立った面であり、係止突起70の他端面(図5において時計方向後端面)74は緩やかな弧状面である。後の説明から明らかになるとおり、係止突起70は第一の部材30の収容体34に形成されている弧状突起42並びに第一の突条44及び第二の突条46と協働してロック手段を構成する。円筒体54の内周面には、更に、係止突起70よりも下方において周方向に間隔をおいて半径方向に突出する複数個、図示の場合は4個、の弧状係止片76も配設されている。図5に明確に図示する如く、弧状係止片76の各々は係止突起70の各々に対して図5において時計方向前方に幾分変位せしめられている。
【0015】
図6には、上述したカートリッジ28と組み合わせて使用される蓋本体2が図示されている。ポリプロピレン又はポリエチレンの如き適宜の合成樹脂から射出成形することができる蓋本体2は、円筒状の主部4とこの主部4に接続された外蓋6とから構成されている。図6と共に図7を参照して説明すると、主部4の上面及び下面は開口されている。主部4の外周面上端部には環状係止溝8が形成されている。主部4の外周面には、上記係止溝8よりも若干下方の部位から下端まで延在する突起10が周方向に間隔をおいて多数形成されている。図1に明確に示す如く、特定の角度部位においては突起10の上端部が省略されており、主部4の外周面の上端部における特定角度部位には突起が存在しない円滑面12が形成されている。図7に明確に示すとおり、主部4の内周面下端部には雌螺条14が形成されている。主部4の内周面における軸線方向中間部には半径方向内方に突出した環状支持突条16が形成されている。
【0016】
蓋本体2の外蓋6は円形天面壁18とこの天面壁18の周縁から垂下する円筒状側壁20とを有する。かかる外蓋6は、主部4における上記円滑面12に対して直径方向反対側において、ヒンジ機構22を介して主部4の上端に開閉自在に接続されている。ヒンジ機構22は当業者には周知の形態のものでよく、外蓋6は図6に図示する開位置と図7に図示する閉位置との間を旋回開閉動せしめられる。外蓋6が図6に図示する開位置にせしめられると主部4の開口されている上面が開放され、外蓋6が図7に図示する閉位置にせしめられると主部4の開口されている上面が外蓋6によって覆われる。ヒンジ機構22に対して直径方向反対側(従って主部4の円滑面12に対応した位置)において、側壁20の外周面下端部には円弧状突片24が形成されている。図6と共に図7を参照することによって明確に理解される如く、側壁20の内周面下端部には3個の係止突条26が周方向に等間隔をおいて配設されている。外蓋6が図7に図示する閉位置にせしめられると、係止突条26が主部4の係止溝8に係合し、これによって外蓋6が閉位置に解除自在に維持される。図示の実施形態においては外蓋6はヒンジ機構22を介して主部4に接続されているが、所望ならば主部4とは別個に外蓋を形成し、この外蓋を主部4の上端部に着脱自在に装着することによって主部4の開口された上面を覆うようになすこともできる。
【0017】
次に、上述したカートリッジ28の使用様式について説明する。カートリッジ28の第一の部材30における収容体34を倒立状態、即ち開口されている下面を上方に向けた状態にせしめて、収容体34に粉体或いは液体でよい添加物(図示していない)を収容する。次いで、収容体34の側壁40の下端に閉塞片36を接合して収容体34の下面を閉塞する。しかる後に、第一の部材30と第二の部材32とを組み合わせてカーリッジ28を構成する。詳述すると、図4に図示する如く、第二の部材32を構成する円筒体54の開口された上面を通して、第一の部材30即ち下面に閉塞片36が接合された収容体34の下部を円筒体54内に挿入する。この際には、収容体34の下端に形成されている4個の弧状突起42を円筒体54の内周面に形成されている4個の係止突起70の間に位置せしめ、かくして係止突起70の間を通過せして弧状突起42を係止突起70よりも下方に位置せしめる。円筒体54内への収容体34の挿入は、収容体34に配設されている制限片50が円筒体54の上端に当接することによって制限され、収容体34の弧状突起42は円筒体54の内周面に形成されている係止突起70よりは下方に位置するが弧状係止片76よりは上方に位置する。次いで、円筒体54に対して収容体34を上方から見て時計方向或いは反時計方向に回転せしめる。図5を参照することによって明確に理解される如く、収容体34に配設されている第一の突条44は、その両側面が切り立った面であるので円筒体54に配設されている係止突起70の両端面に当接して係止されるが、収容体34に配設されている第二の突条46の突出量は比較的小さく且つ先端面は横断面において弧状である故に、係止突起70の切り立った片端面72には当接して係止されるが、係止突起70の緩やかな他端面74には係止することなく、弾性的に他端面74を越えて係止突起70に乗り上がり係止突起70を乗り越えることができる。かような次第であるので、図5を参照することによって理解される如く、円筒体54に対する収容体34の回転は、収容体34に配設されている弧状突起42が円筒体54に配設されている係止突起70の下方に位置する状態で停止せしめられる。かかる状態において、円筒体54に対して収容体34が上方に変位せんとすると、弧状突起42が係止突起70に当接し、かくして収容体34の上方への変位が防止され、円筒体54に対して収容体34が上方に離脱することが阻止される。収容体34の制限片50が円筒体54の上端に当接した時点において、収容体34の弧状突起42は円筒体54の弧状係止片76よりも幾分上方に位置する故に、図4に図示するごとく円筒体54に対して収容体34が幾分傾斜し、弧状突起42の1個が弧状係止片76の1個に当接せしめられる。第一の部材30と第二の部材32から構成されたカートリッジ28は図4に図示する状態に組み合わされて、例えば合成樹脂フィルムから構成された袋(図示していない)内に密封包装されて販売される。
【0018】
カートリッジ28を購入した消費者が収容体34内に収容されている添加物を消費する際の典型的消費様式は、次のとおりである。最初に、カートリッジ28の第一の部材30における収容体34の側壁40に付設されている破断可能な連結部48を破断して制限片50を除去する。かくすると、図7に図示する如く、第二の部材32に対する第一の部材30の若干の傾斜が解消されて、収容体34の4個の弧状突起42が円筒体54の4個の弧状係止片76に当接せしめられる。しかる後に、蓋本体2の外蓋6を図6に図示する開位置にせしめ、図7に図示する如く、主部4の開口されている上面を通して主部4内にカートリッジ28を挿入する。主部4内へのカートリッジ28の挿入は、円筒体54の外周面に形成されている被支持突条55が主部4の内周面に形成されている支持突条16に当接することによって、そしてまた収容体34の側壁40の外周面上端部に形成されている一対の限定片52が主部4の上端縁に当接することによって、制限される。次いで、蓋本体2の外蓋6を図7に図示する閉位置にせしめる。その一方で、例えば天然水の如き液体である内容物を収容している適宜の容器、例えばポリエチレンテレフタレート製の容器の口頸部78(図8)に装着されている容器蓋(図8にそのタンパーエビデント裾部80のみを図示している)を、そのタンパーエビデント裾部80のみを残留せしめて、口頸部78から離脱せしめる。周知の形態でよい容器の口頸部78の外周面には雄螺条82とこの雄螺条82の下方に位置する係止あご部84とが形成されている。容器蓋は、天面壁とこの天面壁の周縁から垂下するスカート壁とを有し、スカート壁には周方向破断ラインが形成されていて、スカート壁は周方向破断ラインよりも上方の主部ト周方向破断ラインよりも下方のタンパーエビデント裾部80とに区画されており、スカート壁の主部内周面には口頸部78の雄螺条に螺合せしめられる雌螺条が形成され、タンパーエビデント裾部80の内周面には口頸部78の係止あご部84に係止される係止手段が形成されており、口頸部78を開封する際には周方向破断ラインが破断される形態のものでよい。
【0019】
次いで、図8に図示する如く、カートリッジ28を収容した蓋本体2を口頸部78に被嵌し、図8において上方から見て時計方向に蓋本体2を回転せしめて、蓋本体2の主部4の内周面下端部に形成されている雌螺条14を口頸部78の雄螺条82に螺合せしめる。雌螺条14と雄螺条82との螺合の進行に従って、口頸部78に対して蓋本体2が下降せしめられると、カートリッジ28の第二の部材32を構成する円筒体54の下面に配設されているシール片57が口頸部78内に進入すると共に、円筒体54の底壁56の下端が口頸部78の頂面に当接せしめられ、かくして口頸部78に対してカートリッジ28が更に下降することが阻止される(図10も参照されたい)。口頸部78に対する蓋本体2の下降が進行し、蓋本体2が図8に図示する位置まで下降せしめられると、蓋本体2の外蓋6における天面壁18の内面がカートリッジ28の第一の部材30における収容体34の上面壁38に当接せしめられる。
【0020】
蓋本体2の回転を続けて口頸部78に対する蓋本体2の下降を続けると、カートリッジ28の第二の部材32は口頸部78に対して更に下降することが阻止されるが、カートリッジ28の第一の部材30は、外蓋2の天面壁18が収容体34の上面壁38を下方に強制することによって蓋本体2の下降に付随して強制的に下方に移動せしめられる。従って、円筒体54に対して収容体34が強制的に下降せしめられ、収容体34の弧状突起42は円筒体54の弧状係止片76を弾性的に乗り越える。図9と共に図10を参照することによって明確に理解される如く、円筒体54に対して収容体34が下降せしめられると、円筒体54の切断手段64が、収容体34の側壁40の下端に接合されている閉塞片36に作用して、閉塞片36の中央部を十字状に破断する。円筒体54に対して収容体34が図9及び図10に図示する位置まで下降せしめられると、収容体34の下端に配設されている弧状突起42が円筒体54の底壁56の上面に当接せしめられ、収容体34の側壁40の下端部内周面は上方に変位せしめられた閉塞片36を介して円筒体54のリング60の外周面に密接せしめられ、これによって収容体34の下端外周縁部が密封される。切断手段64によって切断された閉塞片36は、図10に図示する如く、リング60及び弧状片58に案内されて上方に変位され、かくして収容体34内から容器の口頸部78内に通じる排出路が生成され、収容体34内に収容されていた添加物が容器内に収容されている内容物に混入される。
【0021】
収容体34内に収容されていた添加物の実質上全てが排出されて容器内に収容されている内容物に混入された後においては、蓋本体2を図9において上方から見て反時計方向に回転せしめて雄螺条82と雌螺条14の螺合を漸次解除し、蓋本体2及びこれに収容されているカートリッジ28を容器の口頸部78から離脱せしめる。蓋本体2の外蓋6を開位置にせしめて蓋本体2から取り出されたカートリッジ28は再使用されることなく破棄されるが、蓋本体2は更に他の新しいカートリッジ28と組み合わせて再使用することができる。一方、容器内に収容されている、添加物が混入されている内容物については、必要ならばタンパーエビデント裾部80のみを残留せしめて口頸部78から離脱した容器蓋を再び口頸部78に装着して口頸部78を仮密封した後に容器を適宜に振って添加物を内容物に充分に混合し、次いで容器蓋を口頸部78から再び離脱した後に、消費する。
【符号の説明】
【0022】
28:カートリッジ
30:第一の部材
32:第二の部材
34:収容体
36:閉塞片
42:弧状突起(ロック手段)
44:第一の突条(ロック手段)
46:第二の突条(ロック手段)
48:破断可能な連結部
50:制限片
52:限定片
54:円筒体
56:円環状底壁
58:弧状片
60:密封リング
64:切断手段
66:切断縁
70:係止突起(ロック手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する第一の部材と切断手段を備えた第二の部材とから構成されたカートリッジにして、
該第一の部材は、上面壁と該上面壁の周縁から垂下する円筒状側壁とを有し、下面は開口されている収容体と、該収容体の該下面に付設されて該下面を閉塞する切断可能な閉塞片とを備え、該収容体内に添加物を収容した後に該収容体の該下面に該閉塞片が付設され、
該第二の部材は、上面及び下面は開口されている円筒体から構成され、該円筒体の内側下部には切断手段が配設されており、
該第二の部材の該上面を通して該第一の部材が部分的に該第二の部材内に挿入され、該第一の部材の該収容体の該側壁の外周面と該第二の部材の該円筒体の内周面とには相互に協働して、該第二の部材内に部分的に挿入された該第一の部材が該第二の部材から上方に離脱するのを阻止するロック手段が配設されており、
該第一の部材が該第二の部材に対して相対的に下降せしめられると、該第二の部材の該切断手段が該第一の部材の該閉塞片に作用して該閉塞片を切断し、
該ロック手段は、該収容体の該円筒状側壁の外周面下端部に周方向に間隔をおいて配設され半径方向外方に突出する複数個の弧状突起と、該円筒状側壁の該外周面に配設され該弧状突起の両端の夫々から上方に延在する第一の突条及び第二の突条と、該円筒体の該内周面に周方向に間隔をおいて配設された複数個の係止突起とから構成されており、該係止突起の周方向片面は切り立った面であり、周方向他面は緩やかな面であり、該第一の突条の横断面形状は該係止突起の周方向両面に係止する形態であり、該第二の突条の横断面形状は該係止突起の該周方向片面には係止するが該周方向他面は弾性的に乗り越える形態である、
ことを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
該円筒体の該内周面には周方向に間隔をおいて配設され且つ該係止突起の下方に位置する弧状係止片が形成されており、該弧状突起が該弧状係止片に当接することによって該第二の部材に対する該第一の部材の相対的下降が阻止される、請求項1記載のカートリッジ。
【請求項3】
該収容体の該円筒状側壁の該外周面には破断可能な連結部を介して半径方向外方に突出する制限片が付設されており、該制限片が該円筒体の上端に当接することによって該円筒体に対する該収容体の下降が制限される、請求項1又は2記載のカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−166816(P2012−166816A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28890(P2011−28890)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000228442)日本クラウンコルク株式会社 (382)
【Fターム(参考)】