説明

カートン

【課題】粉末洗剤などの粉体を直詰めするタイプの板紙製カートンであって、粉漏れを起こすことがなく、強度的にも優れたカートンを提供すること。
【解決手段】背面パネル3の裏面側上部に折曲げパネル5の表面側を接着し、上面パネル4の上にカバーパネル6を重ねた状態で、摘み片7aの把持部を残して開封パネル7の裏面側を前面パネル2の表面側上部に接着することで胴部を形成した後、胴部を角筒状に起こし、胴部の一方を閉じて内容物を充填してから、同様に胴部の他方を閉じる。開口部を形成するための切取り線として、位相をずらして表裏から半切りされた2本のハーフカット線α,βを設ける。折曲げパネル5を背面パネル3の裏面側上部に接着した状態で、左右をシールエンドで閉じているので、カートンC内は完全に密封された状態となり、中に充填された粉体が外部に漏れ出ることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板紙製のカートンの技術分野に属し、詳しくは、主に粉末洗剤などの粉体を直詰めして販売するのに好適に用いられるカートンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、粉末洗剤などの粉体を直詰めするカートンとして、所定形状に打ち抜いてなる板紙(ブランク)を組み立てるカートンが用いられており、このような板紙製のカートンは、開封前の密封性が良好であり、使用開始時における開封操作が容易であることはもちろん、開封後にあってはリクローズ性を有し、さらには低コストであることなどが求められている。
【0003】
このような直詰めカートンとして種々のものが知られているが、カートン前面にある摘み片を手前に引きつつ、天面パネルを破断してその一部を蓋として上方に引き上げ、後方をヒンジとしてその蓋の部分を開けた状態で中の粉末洗剤をスプーンなどで取り出し、使用後は、蓋の部分を被せて摘み片を前面パネルにあるスリットに差し込むなどしてリクローズするタイプが多く用いられている。
【0004】
このタイプのカートンは、通常、板紙から所定形状に打ち抜いたブランクをサック貼りし、折畳み状態となったブランクを多数まとめて洗剤メーカーに送り、そこで組立と内容物の横充填を行うことで作製される。洗剤メーカーでは、折り畳まれたブランクをシールエンドカートンの成形充填機に供給する。すると、左右が上下方向となった垂直状態で折込み部に順次送り出され、折畳み状態から角筒状に起こされてから、下側の複数のサイドフラップが折り畳まれて接着されることで下部が閉じられた後、上方から粉体状の洗剤が充填され、次いで上側にある複数のサイドフラップが折り畳まれて接着されることで上部が閉じられ、密封状態のカートンが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−183434号公報
【特許文献2】特開平9−278029号公報
【特許文献3】特開平11−59659号公報
【特許文献4】特開平11−268730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したカートンは、摘み片のある開封パネルを天面パネルの前方に連設して設けてあり、この開封パネルを前面パネルに貼着することで密封している。このとき、開封時における摘み片の引上げ操作を邪魔しないように、摘み片に繋がる左右のジッパー部分を避けて糊を塗布するようにしている。すなわち、開封パネルの全体に渡って糊を一直線に帯状に塗布するのではなく、ジッパーの部分を避けて糊付けしている。したがって、この糊付けしていないところが隙間となり、そこから中の粉体が漏れ出る恐れがある。また、このタイプのカートンでは、開封部分を区画するハーフカットが天面に露出しているので、上からの押圧に対して強度的に弱いという問題もある。
【0007】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、粉末洗剤などの粉体を直詰めするタイプの板紙製カートンであって、粉漏れを起こすことがなく、強度的にも優れたカートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明のカートンは、一枚のブランクを組み立てて形成される直方体形状のカートンであって、底面パネルの前後に前面パネルと背面パネルがそれぞれ連設されており、前面パネルにはその上辺に上面パネルが連設され、上面パネルの先端に折曲げパネルが連設されており、背面パネルにはその上辺にカバーパネルが連設され、カバーパネルの先端に開封パネルが連設されており、前面パネルの上部から上面パネルに跨がって開口部を形成するための切取り線が設けられており、開封パネルには先端から把持できる摘み片が設けられるとともに、その摘み片の根元左右からそれぞれが側辺に向けて広がるように延びるジッパーが設けられており、背面パネルの裏面側上部に折曲げパネルの表面側を接着し、上面パネルの上にカバーパネルを重ねた状態で、摘み片の把持部を残して開封パネルの裏面側を前面パネルの表面側上部に接着することで胴部を形成した後、胴部を角筒状に起こし、サイドフラップ及び側面パネルを折り込んで胴部の一方を閉じて内容物を充填してから、同様に胴部の他方を閉じたことを特徴とする。
【0009】
また、上記構成のカートンにおいて、カバーパネルにそれ自体を横断する罫線を設けるように構成するとよい。
【0010】
また、上記構成のカートンにおいて、前面パネルの上部から上面パネルに跨がって開口部を形成するための切取り線として、位相をずらして表裏から半切りされた2本のハーフカット線を設けるように構成するとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカートンは、前面パネルの上辺に連設する上面パネルに折曲げパネルを延設してあり、この折曲げパネルを背面パネルの裏面側上部に接着した状態で、左右をシールエンドで閉じているので、カートン内は完全に密封された状態となり、中に充填された粉体が外部に漏れ出ることはない。
【0012】
そして、上面パネルを覆うように背面パネル上辺からカバーパネルを設けてあり、そのカバーパネルに連設した開封パネルにおける摘み片の把持部分を残して開封パネルの裏面側を前面パネルの表面側上部に接着するので、上面パネルの上にカバーパネルを配した構造となり、上面からの部分的な押圧力に対して強度が高く、しかも、ブランクは対向する面での貼り合わせとなるため、組立時においてサック貼り状態のブランクを起函する際の抵抗もない。
【0013】
また、上記構成のカートンにおいて、カバーパネルにそれ自体を横断する罫線を設けることにより、開封時やその後の開閉時にカバーパネルに生じるひずみは、カバーパネル自体が罫線で中折れすることで吸収され、開封時やその後の開閉時におけるカバーパネルの突っ張りは解消される。
【0014】
また、上記構成のカートンにおいて、前面パネルの上部から上面パネルに跨がって開口部を形成するための切取り線として、位相をずらして表裏から半切りされた2本のハーフカット線を設けることにより、摘み片による初期開封が容易となり、カートンの開封前における切取り線からの粉体の漏れも防止することができる。また、上面パネルでは、2本のハーフカット線の間隔で開封強度と耐圧性のバランスをとるが、その上面パネルの上にカバーパネルが位置するので、開封が容易な比較的狭い間隔での設計が可能となる。また、カバーパネルが上面パネルに形成する半切れの折れを防止するので、2本のハーフカット線を両サイドに近く設けて開口部を大きくとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るカートンの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のカートンを形成するブランクを裏面側から見た状態で示す展開図である。
【図3】図2のブランクをサック貼りする途中状態を示す説明図である。
【図4】サック貼りした状態を示す平面図である。
【図5】図1のカートンを開封した状態で示す斜視図である。
【図6】図1のカートンを開封した後にリクローズした状態で示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1に示す直方体形状のカートンCは、粉末洗剤などの粉体が直詰めされるもので、図2に示す展開形状をした一枚のブランクBを組み立てて形成される。
【0018】
このブランクBは、板紙を打ち抜いて形成されたもので、図2に示すように、底面パネル1の前後に前面パネル2と背面パネル3がそれぞれ連設されており、前面パネル2にはその上辺に上面パネル4が連設され、上面パネル4の先端に折曲げパネル5が連設されており、背面パネル2にはその上辺にカバーパネル6が連設され、カバーパネル6の先端に開封パネル7が連設されている。また、カバーパネル6にはそれ自体を中央で横断する罫線aが設けられている。
【0019】
底面パネル1にはその左右辺にそれぞれ折込み片8,9が連設され、上面パネル4にもその左右辺にそれぞれ折込み片10,11が連設されている。また、前面パネル2の左右辺にはそれぞれ側面外側パネル12,13が連設され、背面パネル3の左右辺にはそれぞれ側面内側パネル14,15が連設されている。また、上面パネル4の先端に連設された折曲げパネル5にはその左右辺における上面パネル4寄りのところにそれぞれ折込みフラップ16,17が連設されている。
【0020】
前面パネル2と上面パネル4には、前面パネル2の上部から上面パネル4に跨がって開口部を形成するための切取り線Lが設けられている。ここでは、図示のように、上面パネル4の左右辺からそれぞれ少し内側に寄った位置にある直線部分とそれらに繋がる前面パネル2の山状部分とにより広い開口部を形成するようにしている。そして、この例では切取り線Lを、位相をずらして表裏からそれぞれ半切りされた2本のハーフカット線α,βにより形成しており、外側が表面からのハーフカット線αで内側が裏面からのハーフカット線βになっている。
【0021】
開封パネル7には、先端から把持できる摘み片7aが設けられるとともに、その摘み片7aの根元左右からそれぞれが側辺に向けて広がるように延びるジッパーZが設けられている。また、摘み片7aはその左右辺をミシン目線により開封パネル7内に区画されており、引っ張ることでミシン目線のところで破断可能とされている。また、摘み片7aの根元と中央にはそれぞれ横断状態の罫線b,cが設けられている。
【0022】
図2のブランクBは、汎用のサック貼りマシンにかけられてサック貼りされる。そして、サック貼り状態で折り畳まれたブランクBは複数枚まとめて洗剤メーカーに送られ、そこで成形充填機に供給され、組み立てられつつ内容物である粉末洗剤が直に充填されることで図1に示すカートンCに組み立てられる。
【0023】
サック貼り工程では、まず、折曲げパネル5を上面パネル4に対して内向きに折り曲げた状態で、前面パネル2を底面パネル1に対して内向きに折り曲げ、折曲げパネル5を背面パネル3の上部に接着して図3に示す状態とする。このとき、背面パネル3における図示の接着部G3 に糊を塗布してもよいし、折曲げパネル5の方に糊を塗布するようにしてもよい。
【0024】
次いで、図3に示すように、前面パネル2の上部における4箇所の接着部G2 に糊を塗布するか、或いは開封パネル7における4箇所の接着部G7 に糊を塗布した後、カバーパネル6を背面パネル3に対して内向きに折り曲げることで、カバーパネル6を上面パネル4に重ね合わせるとともに、開封パネル7を前面パネル2の上部に接着して図4に示す折畳み状態とする。これにより、摘み片7aの把持部を残して開封パネル7の裏面側を前面パネル2の表面側上部に接着した状態となる。このとき、前面パネル2に対する開封パネル7の貼り合わせは、接着部が、図示のように、開封パネル7におけるジッパーZや摘み片7a左右のミシン目線のところにかからないようにすることで、開封時の邪魔にならないようにしてある。なお、摘み片7aが開封前に剥がれるのを防ぐため、摘み片7aの上半も糊付けするようにしているが、摘み片7aはその両サイドをミシン目線にしていることもあるので、ここは糊付けしなくても構わない。
【0025】
成形充填工程では、まず、サック貼り状態で折り畳まれたブランクBの胴部を角筒状に起こす。次いで、底面パネル1と上面パネル4に連設する折込み片8,10をそれぞれ内側に折り曲げ、その上から背面パネル3に連設する側面内側パネル14と前面パネル2に連設する側面外側パネル12とを順次折り曲げて接着することで胴部の一方を閉じる。このとき、折曲げパネル5に連設する折込みフラップ16は側面内側パネル14とともに折り曲げられる。
【0026】
角筒状に起こした胴部の一方を閉じた後、残りの閉じていない方を上方に向けてそこから内容物である粉体を充填する。次いで、底面パネル1と上面パネル4に連設する折込み片9,11をそれぞれ内側に折り曲げ、その上から背面パネル3に連設する内側側面パネル15と前面パネル2に連設する外側閉鎖パネル11を順次折り曲げて接着することで胴部の他方を閉じる。このとき、折曲げパネル5に連設する折込みフラップ17は側面内側パネル15とともに折り曲げられる。
【0027】
このように、サック貼りしたブランクBの胴部を角筒状に起こしてその一方の開口を閉じ、他方の開口から内容物を充填して閉じることにより、図1に示すカートンCが形成される。なお、左右を閉鎖する順序は逆でもよいことは言うまでもない。
【0028】
図2のブランクBを組み立てて作成された図1のカートンCは、上面パネル4に連設した折曲げパネル5が背面パネル3の上部に接着され、左右がシールエンドで閉じられているので、カートン内は完全に密封された状態になっており、中の粉体が漏れ出ることはない。しかも、このカートンCでは、折曲げパネル5の左右辺における上面パネル4寄りのところに連設してある折込みフラップが、背面パネル3と折曲げパネル5との貼り合わせ部分に対する粉体の侵入を防止している。
【0029】
図1のカートンCを開封するには、開封パネル7の摘み片7aを把持して引き上げることでジッパーZを破断し、その把持状態のまま摘み片7aを引き上げる。すると、摘み片7aに繋がる開封パネル7のジッパーZより内側の部分が切取り線Lの内側で前面パネル2に接着しているので、切取り線Lで囲まれた前面パネル2の部分が開封パネル7のジッパーZより内側の部分とともに引き上げられることになり、これによって前面パネル2における切取り線Lが上方に向けて破断され、引き続いて摘み片を引き上げると、上面パネル4も切取り線Lのところで破断され、図5に示すように、前面パネル2の上部から上面パネルに跨がって開口部が形成される。そして、カートンCを開封した後、中の粉末洗剤をスプーンなどで取り出し、使用後は、蓋の部分を被せて摘み片7aを前面パネル2の裏側に差し込むことで、図6に示すようにリクローズする。
【0030】
このとき、上面パネル4の外側にカバーパネル6が重なった状態で開封が行われ、また開封後も同じ状態でカートンCの開閉が行われることになるが、カバーパネル7にそれ自体を横断する罫線aが設けてあるため、摘み片7aを引き上げてカバーパネル7を持ち上げると、カバーパネル7自体が罫線aで中折れして上方に僅かに膨らんでカバーパネル7に生じるひずみが吸収されるので、開封時やその後の開閉時においてカバーパネル7が突っ張って開けにくいということはない。
【0031】
以上、本発明を実施するための形態について詳細に説明してきたが、本発明によるカートンは、上記の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【符号の説明】
【0032】
B ブランク
C カートン
1 底面パネル
2 前面パネル
3 背面パネル
4 上面パネル
5 折曲げパネル
6 カバーパネル
7 開封パネル
7a 摘み片
8,9,10,11 折込み片
12,13 側面外側パネル
14,15 側面内側パネル
16,17 折込みフラップ
G2 ,G3 ,G7 接着部
L 切取り線
Z ジッパー
a,b,c 罫線
α,β ハーフカット線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚のブランクを組み立てて形成される直方体形状のカートンであって、底面パネルの前後に前面パネルと背面パネルがそれぞれ連設されており、前面パネルにはその上辺に上面パネルが連設され、上面パネルの先端に折曲げパネルが連設されており、背面パネルにはその上辺にカバーパネルが連設され、カバーパネルの先端に開封パネルが連設されており、前面パネルの上部から上面パネルに跨がって開口部を形成するための切取り線が設けられており、開封パネルには先端から把持できる摘み片が設けられるとともに、その摘み片の根元左右からそれぞれが側辺に向けて広がるように延びるジッパーが設けられており、背面パネルの裏面側上部に折曲げパネルの表面側を糊付けし、上面パネルの上にカバーパネルを重ねた状態で、摘み片の把持部を残して開封パネルの裏面側を前面パネルの表面側上部に糊付けすることで胴部を形成した後、胴部を角筒状に起こし、サイドフラップ及び側面パネルを折り込んで胴部の一方を閉じて内容物を充填してから、同様に胴部の他方を閉じたことを特徴とするカートン。
【請求項2】
カバーパネルにそれ自体を横断する罫線を設けたことを特徴とする請求項1に記載のカートン。
【請求項3】
前面パネルの上部から上面パネルに跨がって開口部を形成するための切取り線として、位相をずらして表裏から半切りされた2本のハーフカット線を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のカートン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−195192(P2011−195192A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67235(P2010−67235)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】