カードエッジコネクタ
【課題】端子と電極との接触圧の変動を抑制でき、且つ、回路基板との電気的な接続信頼性を確保できるカードエッジコネクタを提供する
【解決手段】溝部を有するハウジングに軸部が設けられ、軸部にばね部材が取り付けられる。ばね部材は、軸部周りに回動可能に取り付けられた回動部、該回動部から延びた第1脚部及び第2脚部を有する。第1脚部の固定部は溝部底に対して軸部の中心よりも遠くに位置し、第2脚部の固定部は溝部底に対して軸部の中心よりも近くに位置する。挿入時にばね部材の第1脚部に回路基板が接触すると、第1脚部の固定部が回路基板の軸部側一面上に位置するように回動部が一方向に回転し、第2脚部に回路基板が接触すると、第2脚部の固定部が回路基板の軸部側一面上に位置するように回動部が一方向と反対の方向に回転するとともに、両固定部が回路基板の軸部側一面に接触して付勢力を与えるように、ばね部材が構成されている。
【解決手段】溝部を有するハウジングに軸部が設けられ、軸部にばね部材が取り付けられる。ばね部材は、軸部周りに回動可能に取り付けられた回動部、該回動部から延びた第1脚部及び第2脚部を有する。第1脚部の固定部は溝部底に対して軸部の中心よりも遠くに位置し、第2脚部の固定部は溝部底に対して軸部の中心よりも近くに位置する。挿入時にばね部材の第1脚部に回路基板が接触すると、第1脚部の固定部が回路基板の軸部側一面上に位置するように回動部が一方向に回転し、第2脚部に回路基板が接触すると、第2脚部の固定部が回路基板の軸部側一面上に位置するように回動部が一方向と反対の方向に回転するとともに、両固定部が回路基板の軸部側一面に接触して付勢力を与えるように、ばね部材が構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードエッジコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1,2に示されるように、カードエッジコネクタが知られている。このカードエッジコネクタでは、回路基板そのものがオス端子の役割を果たし、その回路基板の端部をカードエッジコネクタに挿入することにより、回路基板の端部表面に設けられた複数の電極と、ハウジングから露出する端子の接触部とが接触して電気的な導通が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−178834号公報
【特許文献2】特開2009−176625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら従来のカードエッジコネクタでは、カードエッジコネクタを構成する端子の、弾性変形による反力、所謂付勢力により、回路基板の端部を固定する(保持する)構造となっている。
【0005】
ところで、カードエッジコネクタでは、上記したように端子の接触部が回路基板の電極に接触することで電気的な導通が図られるため、端子と電極との接触圧を一定に保持できることが好ましい。しかしながら、ハウジングなどに外力が印加され、ハウジングと回路基板とが相対的に振動すると、上記した接触圧が不安定となる。従来は、回路基板に対する端子のばね力を高く設定することで、接触圧の変動を抑制していた。したがって、カードエッジコネクタに対して回路基板を挿抜する際に、端子と電極との物理的な接触による抵抗(例えば挿入時の挿入抵抗)が大きく、端子表面や電極表面のメッキ層が剥がれるなど端子や電極が損傷したり変形したりする恐れがあった。すなわち、電気的な接続信頼性が劣化する恐れがあった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、端子と電極との接触圧の変動を抑制でき、且つ、回路基板との電気的な接続信頼性を確保できるカードエッジコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に請求項1に記載のカードエッジコネクタは、回路基板の端部が挿入配置される溝部を有するハウジングと、ハウジングに保持され、回路基板の電極とハーネスとを電気的に接続する部材であって、電極と接触すべく溝部の側壁から回路基板が配置される空間に露出された接触部を有し、該接触部が溝部の深さ方向及び回路基板の厚さ方向に対応する溝部の幅方向の両方向に垂直な方向に沿って配列された複数の端子と、ハウジングに設けられた軸部と、軸部に取り付けられたばね部材と、を備えている。
【0008】
軸部は、配列方向において、複数の端子の接触部が間に位置するように複数の接触部の両端側であって、溝部に対し幅方向における同一側にそれぞれ設けられている。
【0009】
ばね部材は、軸部に対し、軸部周りに回動可能に取り付けられた回動部と、該回動部から延びた第1脚部及び第2脚部とを有している。そして、第1脚部及び第2脚部の両方が回路基板における軸部側の一面に接触して回路基板を固定する固定状態で、深さ方向において、第1脚部の固定部と第2脚部の固定部との間に軸部の中心が位置し、回路基板を挿入する際に、回路基板がばね部材の第1脚部に接触すると、第1脚部の固定部が回路基板における軸部側の一面上に位置するように回動部が一方向に回転し、回路基板がばね部材の第2脚部に接触すると、第2脚部の固定部が回路基板における軸部側の一面上に位置するように回動部が一方向と反対に回転するとともに、第1脚部及び第2脚部の両方が回路基板における軸部側の一面に接触して付勢力を与え、回路基板を固定するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
このように、ハウジングに軸部が設けられ、軸部に回路基板を固定するためのばね部材が取り付けられる。ばね部材は、軸部周りに回動可能とされた回動部と、回動部から延びる2本の脚部(第1脚部及び第2脚部)を有しており、回路基板の挿入方向(深さ方向のうち、溝部の開口から底に向かう方向)において、第1脚部の固定部が入口側、第2脚部の固定部が奥側に位置する。
【0011】
本発明では、回路基板の挿入時において、回路基板が第1脚部に接触しても、第1脚部の固定部が回路基板の軸部側一面上に位置すべく回動部が一方向に回転するように、ばね部材が構成される。第1脚部は、回路基板と接触することで受ける挿入方向の力を、回動部を一方向に回転させる力に変換し、これにより回動部が回転する。したがって、第1脚部のみ回路基板に接触した時点では付勢力を付与しない。これにより、回路基板を奥側(溝部の底側)へスムースに挿入することができる。なお、軸部への取り付け状態によって回路基板が第1脚部に接触しない場合には、第1脚部による抵抗が生じないため、回路基板を奥側へスムースに挿入することができる。
【0012】
また、回路基板がばね部材の第2脚部に接触すると、第2脚部の固定部が回路基板の軸部側一面上に位置すべく回動部が一方向と反対に回転するように、ばね部材が構成されている。さらに、この反対方向への回転により、第1脚部及び第2脚部が弾性変形しつつ第1脚部の固定部及び第2脚部の固定部の両方が回路基板の軸部側一面に接触し、これにより回路基板に付勢力を与えるようにばね部材が構成されている。
【0013】
このように、本発明では、2本の脚部が回路基板に接触した状態で、ばね部材の付勢力により回路基板を固定することができる。このばね部材は、複数の接触部の両端側にそれぞれ設けられているため、配列方向において回路基板を安定的に固定することができる。また、第1脚部の固定部及び第2脚部の固定部は、深さ方向において異なる位置で回路基板に接触するので、深さ方向においても回路基板を安定的に固定することができる。したがって、端子と電極との接触圧の変動を抑制することができる。
【0014】
また、ばね部材によって端子と電極との接触圧の変動を抑制することができるため、回路基板に対する端子のばね力を従来よりも小さく設定することができる。そして、これにより、回路基板の挿抜にともなうメッキ層の剥がれなど端子や電極の損傷・変形を抑制することができる。すなわち、端子と電極との接触圧の変動を抑制でき、且つ、回路基板との電気的な接続信頼性を確保することができる。特に本発明では、ハウジングに軸部を設け、該軸部にばね部材を取り付けるという簡素な構成で、上記効果を奏することができる。
【0015】
また、本発明では、回路基板が入口側の第1脚部に接触しても付勢力を生じず、奥側の第2脚部に接触して付勢力を生じるようになっている。したがって、深さ方向において複数個所で回路基板を固定する構成でありながら、回路基板をハウジングの溝部奥側まで容易に挿入することができる。
【0016】
請求項2に記載のように、第1脚部及び第2脚部は、回路基板が挿入されない初期状態での固定部から軸部までの幅方向の距離が、回路基板の固定状態での固定部から軸部までの距離よりも長く、第1脚部は、回動部との連結端から固定部までが連結端に近いほど深さ方向において軸部に近い傾斜を有するとともに、固定部から先端までが先端に近いほど幅方向おいて固定部から離れる傾斜を有する構成が好ましい。
【0017】
このような構成では、第1脚部は回路基板から挿入方向の力を受けると、第1脚部における固定部から連結端までの傾斜部分を介して回動部に上記力が伝達される。この時点で、第2脚部は変位可能な自由端状態にある。したがって、回動部は、第1脚部の固定部が回路基板の軸部側一面上に位置するように一方向に回転する。このように、第1脚部の上記傾斜部分にて、回路基板の挿入方向の力を、回動部を一方向に回転させる力に変換することができる。そして、回動部の回転により、第1脚部の固定部が深さ方向において回路基板の軸部側一面上に位置するように変位する。したがって、第1脚部に回路基板が接触しても、第1脚部により付勢力を付与せずに回路基板を奥側へスムースに挿入することができる。
【0018】
また、第1脚部及び第2脚部はそれぞれ、初期状態での固定部から軸部までの幅方向の距離が、固定状態での固定部から軸部までの距離よりも長くなっている。したがって、第1脚部の固定部及び第2脚部の固定部がともに回路基板の軸部側一面に接触した状態で、回路基板に付勢力を与えることができる。
【0019】
請求項3に記載のように、第2脚部は、回動部との連結端から固定部までが連結端に近いほど深さ方向において軸部に近い傾斜を有するとともに、固定部を曲げ部位として固定部よりも先端側の部位が幅方向において対応する軸部に近い構成としても良い。これによれば、回路基板の挿抜時における回路基板と第2脚部との物理的な接触による抵抗を小さくすることができる。
【0020】
請求項4に記載のように、軸部は、複数の接触部の両端側それぞれにおいて、幅方向で溝が間に位置するように少なくとも一対設けられ、回路基板を挿入する際に、対をなすばね部材における第1脚部及び第2脚部の4つの脚部全てが回路基板に接触すると、4つの脚部により回路基板の両面側から付勢力を与えて回路基板を固定する構成が好ましい。
【0021】
回路基板の両面側にそれぞれ位置するばね部材によって回路基板を固定するので、回路基板の一面側に位置するばね部材と、回路基板の他方の面側に位置し、付勢力を付与しない支持部とで回路基板を固定する構成に比べて、幅方向における回路基板の位置調整代を大きくすることができる。例えば、反りの大きい回路基板にも対応することができる。また、反りなどにより、回路基板に過大な付勢力が付与されるのを抑制することもできる。
【0022】
請求項5に記載のように、幅方向で対をなすばね部材において、回路基板を固定する第1脚部の固定部同士が深さ方向で同じ位置とされ、回路基板を固定する第2脚部の固定部同士が深さ方向で同じ位置とされた構成とすると良い。
【0023】
これによれば、深さ方向(回路基板の挿抜方向)において、固定部同士の位置が異なる構成に比べて、回路基板の変形(付勢力によって回路基板に生じる応力)を抑制することができる。
【0024】
さらに請求項6に記載のように、配列方向において、第1脚部の固定部が互いに異なる位置とされ、第2脚部の固定部が互いに異なる位置とされた構成とすると、幅方向で対をなすばね部材を、互いに干渉せずに動作させることができる。
【0025】
請求項7に記載のように、配列方向において、一方のばね部材は(n+1)個[nは正の整数]の固定部を有し、他方のばね部材はn個の固定部を有し、一方のばね部材の固定部間の領域1つにつき、他方のばね部材の固定部が1つ対向配置された構成とすると良い。
【0026】
これによれば、配列方向において、第1脚部の固定部同士、第2脚部の固定部同士が異なる位置でありながら、回路基板の変形を抑制することができる。
【0027】
また、請求項8に記載のように、一方のばね部材における第1脚部の固定部と第2脚部の固定部とを結んでなる第1仮想直線と、他方のばね部材における第1脚部の固定部と第2脚部の固定部とを結んでなる第2仮想直線とが、幅方向に垂直な平面において交差する構成としても良い。
【0028】
このような構成としても、配列方向において、第1脚部の固定部同士、第2脚部の固定部同士が異なる位置でありながら、回路基板の変形を抑制することができる。
【0029】
請求項9に記載のように、軸部は、深さ方向において、複数の端子の接触部の少なくとも一部と重なるように設けられると良い。これによれば、深さ方向において、第1脚部の固定部と第2脚部の固定部との間に複数の端子の接触部の少なくとも一部が位置することとなるので、端子と電極との接触圧の変動をより確実に抑制することができる。
【0030】
より好ましくは、請求項10に記載のように、深さ方向において、回路基板を固定する第1脚部の固定部と第2脚部の固定部との間に、複数の端子の接触部が位置すると良い。
【0031】
これによれば、配列方向両端に位置するばね部材の4つの脚部により、複数の端子の接触部を取り囲むことができる。したがって、4つの脚部により、回路基板の電極とカードエッジコネクタの端子との接続部をリジッドに拘束し、端子と電極との接触圧の変動をさらに抑制することができる。
【0032】
請求項11に記載のように、回動部が、中心角180度より大きい範囲で軸部周りに延びるばね部材を採用すると良い。これによれば、別途抜け防止部を設けなくとも、ばね部材を軸部に保持しやすくなる。
【0033】
より好ましくは、請求項12に記載のように、回動部が、中心角360度より大きい範囲で軸部周りに延びたばね部材を採用する良い。これによれば、ばね力を稼ぐことができる。また、回動部に対する脚部の連結端位置の自由度を向上することができる。
【0034】
請求項13に記載のように、配列方向に沿って延び、外形輪郭が真円状をなす柱状の軸部を採用すると良い。これによれば、ばね部材の回動部が回動しやすくなる。
【0035】
請求項14に記載のように、ハウジングに、回動部の回動範囲を規制するストッパが設けられた構成とすると良い。これによれば、ストッパにより、回動部の回動範囲を所定範囲に制限することができる。したがって、回路基板を挿入する前や回路基板を抜いた後の初期状態におけるばね部材の過大な位置ズレを抑制し、回路基板挿入時にばね部材により回路基板を確実に固定することができる。
【0036】
請求項15に記載のように、溝部が、配列方向におけるハウジングの両側面にそれぞれ開口し、軸部がハウジングの側面に設けられた構成を採用しても良い。また、請求項16に記載のように、溝部が有底孔であり、該有底孔は、配列方向において、ハウジングにおける複数の端子を保持する部位に対応する中央部分の幅よりも、該中央部分を挟む両端部分の幅のほうが広くされ、両端部分における内壁に軸部が設けられた構成を採用することもできる。
【0037】
請求項17に記載のように、回路基板の両面に電極がそれぞれ設けられ、端子の接触部が、電極に対応して、溝部の相対する側壁からそれぞれ露出された構成を採用することもできる。これによれば、カードエッジコネクタによる電気的な接続経路を効率的に増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施形態に係るカードエッジコネクタの概略構成を示す、深さ方向において回路基板挿入側から見た平面図である。
【図2】図1に示すカードエッジコネクタを、配列方向から見た平面図である。
【図3】軸部及びばね部材の周辺を拡大した図である。
【図4】カードエッジコネクタに回路基板が挿入されてなる電子装置の概略構成を示す、配列方向から見た部分断面図である。
【図5】図4のX−X線に沿う断面図である。
【図6】回路基板の電極と端子の接触部との接続領域と、ばね部材の各固定部の位置関係を示す図である。
【図7】回路基板の挿入過程を示す平面図である。
【図8】回路基板の挿入過程を示す平面図である。
【図9】回路基板の挿入過程を示す平面図である。
【図10】回路基板の挿入過程を示す平面図である。
【図11】回路基板の挿入過程を示す平面図である。
【図12】回路基板の挿入過程の変形例を示す平面図である。
【図13】ばね部材の変形例を示す平面図である。
【図14】ばね部材の変形例を示す平面図である。
【図15】ばね部材の変形例を示す平面図である。
【図16】軸部の変形例を示す平面図である。
【図17】第2実施形態に係るカードエッジコネクタにおいて、軸部及びばね部材の周辺を拡大した平面図である。
【図18】ストッパの変形例を示す平面図である。
【図19】(a),(b)ともに、ばね部材及びストッパの変形例を示す平面図である。
【図20】ばね部材及びストッパの変形例を示す平面図である。
【図21】第3実施形態に係るカードエッジコネクタにおいて、(a)ばね部材の展開図、(b)対をなすばね部材における各固定部の位置関係を示す図である。
【図22】変形例を示し、(a)配列方向から見た平面図、(b)深さ方向から見た平面図、(c)対をなすばね部材における各固定部の位置関係を示す図である。
【図23】変形例を示し、(a)深さ方向から見た平面図、(b)対をなすばね部材における各固定部の位置関係を示す図である。
【図24】変形例を示し、(a)ばね部材の展開図、(b)対をなすばね部材における各固定部の位置関係を示す図である。
【図25】カードエッジコネクタのその他変形例を示す平面図である。
【図26】カードエッジコネクタのその他変形例を示し、回路基板が挿入された状態を示す部分断面図である。
【図27】カードエッジコネクタに回路基板が挿入されてなる電子装置の変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、ハウジングの溝部に回路基板が挿入されない状態を初期状態とし、溝部に回路基板が挿入されてばね部材により固定された状態を固定状態とする。
(第1実施形態)
図1に示すように、カードエッジコネクタ10は、要部として、電気絶縁材料からなるハウジング20と、ハウジング20に保持された端子30と、ハウジング20に一体的に設けられた軸部40と、後述する回路基板110を固定(保持)すべく軸部40に取り付けられたばね部材50と、を備えている。
【0040】
ハウジング20は、例えば樹脂を射出成形してなり、回路基板110が挿入配置される溝部21(収納空間)を有する。溝部21は、図1及び図2に示すようにハウジング20の先端面20aに開口しており、回路基板110の厚さに応じた所定幅と回路基板110の挿入深さに応じた所定深さを有する。以下、溝部21の幅方向を単に幅方向、溝部21の深さ方向を単に深さ方向と示す。
【0041】
本実施形態では、ハウジング20が、深さ方向において先端面20aから溝部21を含む所定範囲の部分である基板側部22と、ハーネスが接続される側の部分であるハーネス側部23を有する。基板側部22は略直方体状をなし、直方体の連続する3面に溝部21が開口している。一方、ハーネス側部23は、回路基板110を収容するケース120との間に接続構造を形成すべく、基板側部22よりも外形寸法が大きい構成となっている。また、本実施形態では、図示しないが、このハーネス側部23の外表面にケース120との嵌合部を有する。同じく外表面には、図示しないが、回路基板110及び回路基板110と端子30との接続部を収容するケース120の空間121(図3参照)を防水空間とするための、例えばシリコンゴムからなるシール材が設けられる。
【0042】
なお、ハウジング20としては、複数のハウジング構成部材を組み合わせることで、1つのハウジング20をなす構成を採用することもできる。
【0043】
端子30は、導電性が良好な金属材料を用いて形成されている。例えばりん青銅をニッケルメッキで被覆し、さらに金メッキで被覆してなるものを採用することができる。端子30のうち、回路基板110の端部表面に設けられた図示しない電極(ランド)との接触部31は、図1及び図2に示すように、溝部21の幅方向に垂直な側壁部分からそれぞれ溝部21内に突出している。このように、接触部31は溝部21内に露出しており、溝部21に回路基板110の端部を挿入した際に、回路基板110の電極に接触して電極との電気的な接続が可能となっている。また、各端子30の接触部31は、幅方向及び深さ方向の両方向に垂直な方向に沿って配列されている。以下、複数の接触部31の配列方向を単に配列方向と示す。
【0044】
本実施形態では、端子30として、電力伝送用のパワー端子32と、パワー端子32よりも断面積の小さい、信号伝送用のシグナル端子33を有する。また、端子30のうち、ハーネスとの接続部は、ハウジング20における先端面20aと反対の面に開口する図示しないハーネス収納空間に露出している。したがって、ハウジング20のハーネス収納空間にハーネスが挿入された状態で、端子30を介して、回路基板110とハーネスとが電気的に接続される。また、端子30としても、複数の端子構成部材を連結することで、1つの端子30をなす構成を採用することもできる。
【0045】
軸部40は、ハウジング20にばね部材50を取り付けるためのものであり、ハウジング20に一体的に設けられている。この軸部40は、ハウジング20における該軸部40周辺の表面に対して突起するとともに、ばね部材50を回動可能に設けられている。軸部40の構成材料は特に限定されるものではない。例えばハウジング20の一部として樹脂からなる軸部40、金属部材などをインサートすることで、樹脂からなるハウジング20と一体に設けられた軸部40、接着固定などによってハウジング20と一体に設けられた軸部40、を採用することができる。
【0046】
また、軸部40は、配列方向において、複数の端子30の接触部31が間に位置するように複数の接触部31の両端側であって溝部21に対し幅方向における同一側にそれぞれ設けられている。
【0047】
本実施形態では、ハウジング20の一部として形成された、樹脂からなる軸部40を採用する。軸部40は、図1及び図2に示すように、ハウジング20における基板側部22の両側面20bから配列方向に沿ってそれぞれ突起している。そして、図3に示すように、外形輪郭が真円状となっている。このように軸部40は、配列方向に沿って延びた円柱形状をなしている。そして、複数の接触部31の両端側それぞれにおいて、幅方向で溝部21が間に位置するように一対の軸部40が設けられている。本実施形態では、対をなす一方を軸部40a、他方を軸部40bとする。また、対をなす軸部40a,40bは、図2に示すように、深さ方向において同じ位置に設けられるとともに、各軸部40(40a,40b)は、深さ方向において、複数の端子の接触部31の少なくとも一部と重なるように設けられている。
【0048】
ばね部材50は、例えば金属を曲げ加工してなり、図3に示すように、軸部40に対し、軸部40周りに回動可能に取り付けられた回動部51と、回動部51から延び、弾性変形可能に設けられた第1脚部52及び第2脚部53とを有する。
【0049】
このばね部材50は、図4に示す固定状態で、深さ方向において第1脚部52の固定部52bと第2脚部の固定部53bとの間に軸部40の中心41が位置するように構成されている。すなわち、第1脚部52と第2脚部53とが、回路基板110の互いに異なる部分に付勢力を付与するようになっている。
【0050】
また、回路基板110を溝部21に挿入する際に、回路基板110が第1脚部52に接触すると、第1脚部52の固定部52bが回路基板110における該ばね部材50が取り付けられた軸部40側の一面(以下、単に一面と示す)上に位置するように回動部51が一方向に回転する構成となっている。換言すれば、第1脚部52が回路基板110から挿入方向の力を受けると、固定部52bを含む第1脚部52全体が回路基板110の一面上に位置する方向に回動部51が回転するように、ばね部材50が構成されている。以下、第1脚部52が回路基板110から挿入方向の力を受けた際の回動部51の回転方向を、単に一方向とする。
【0051】
一方、回路基板110が溝部21の奥側に進んでばね部材50の第2脚部53に接触すると、第2脚部53の固定部53bが回路基板110の一面上に位置するように回動部51が一方向と反対に回転する。換言すれば、第2脚部53が回路基板110から挿入方向の力を受けると、固定部53bを含む第2脚部53全体が回路基板110の一面上に位置する方向に回動部51が回転するように、ばね部材50が構成されている。そして、この反対方向への回転により、第1脚部52の固定部52bと第2脚部53の固定部53bの両方が回路基板110の一面に接触して回路基板110に付勢力を与えるように構成されている。以下、第2脚部53が回路基板110から挿入方向の力を受けた際の回動部51の回転方向を、単に反対方向とする。
【0052】
本実施形態では、対をなす軸部40a,40bのうち、軸部40aに取り付けられたばね部材50をばね部材50a、軸部40bに取り付けられたばね部材50をばね部材50bとする。そして、ばね部材50aの第1脚部52及び第2脚部53が回路基板110の一面に接触し、ばね部材50bの第1脚部52及び第2脚部53が回路基板110の一面と反対の面に接触すると、4つの脚部52,53により回路基板110の両面側から付勢力を与えて回路基板を固定するようになっている。
【0053】
また、本実施形態では、第1脚部52接触時には付勢力を付与せず、第1脚部52及び第2脚部53の両方が回路基板110に接触して付勢力を付与するべく、以下に記載の構成を採用している。回動部51は、軸部40の中心41に対し、180度より大きく360度未満の中心角θc(例えば200度程度)をなすように、外形輪郭真円状の軸部40の外周面に沿って取り付けられている。そして、回動部51の一端に第1脚部52が連結され、回動部51の他端に第2脚部53が連結されている。図2及び図3に示すように、回動部51は、初期状態で、軸部40の外周面のうち、主として軸部40の中心41よりも溝部21から遠い部分に配置されている。また、第1脚部52及び第2脚部53は、初期状態で、回動部51から溝部21側に延びている。
【0054】
第1脚部52及び第2脚部53は、図3に示す初期状態での各固定部52b,53bから軸部40までの幅方向の距離が、固定状態での固定部52b,53bから軸部40までの距離よりも長くなっている。すなわち、第1脚部52及び第2脚部53が回路基板110の一面に接触した状態で、第1脚部52及び第2脚部53が弾性変形するようになっている。なお、図3では、固定状態における回路基板110の一面の位置を二点鎖線L1で示している。
【0055】
第1脚部52のうち、回動部51との連結端52aから固定部52bまでの部分は、連結端52aに近いほど深さ方向において軸部40に近い傾斜部52cとなっている。また、固定部52bから先端までの部分は、先端に近いほど幅方向おいて固定部52bから離れる傾斜部52dとなっている。より詳しくは、初期状態において、第1脚部52全体が、深さ方向で軸部40の中心41よりも溝部21の底に対して遠い位置にある。また、第1脚部52の連結端52aは、幅方向で軸部40の中心41よりも溝部21に近い位置にある。さらに、幅方向に沿う仮想線と傾斜部52cとのなす傾斜角が、軸部40の中心41と連結端52aとを結んでなる法線と、上記幅方向に沿う仮想線とのなす角よりも小さい角度となっている。
【0056】
一方、第2脚部53のうち、回動部51との連結端53aから固定部53bまでの部分は、連結端53aに近いほど深さ方向において軸部40に近い傾斜部53cとなっている。また、固定部53bよりも先端側の部分は、固定部53bを曲げ部位とした折返し部53dとなっている。この折返し部53dは、初期状態で、固定部53bよりも軸部40に近い側に折り返されている。より詳しくは、上記初期状態において、第2脚部52全体が、深さ方向で軸部40の中心41よりも先端面20a(溝部21の開口部)に対して遠い位置にある。また、第2脚部53の連結端53aは、幅方向で軸部40の中心41とほぼ同じ位置にある。そして、幅方向に沿う仮想線と傾斜部53cとのなす傾斜角が、軸部40の中心41と連結端53aとを結んでなる法線と、上記幅方向に沿う仮想線とのなす角よりも小さい角度となっている。
【0057】
また、本実施形態では、上記初期状態において、図2,図4,及び図6に示すように、対をなすばね部材50a,50bの第1脚部52の固定部52b同士が深さ方向でほぼ同じ位置とされ、第2脚部53の固定部53b同士が深さ方向でほぼ同じ位置となっている。なお、図6においては、ばね部材50aの固定部52b,53bを実線で示し、ばね部材50bの固定部52b,53bを破線で示している。さらに、図1,図5,及び図6に示すように、対をなすばね部材50a,50bにおいて、第1脚部52の固定部52bが配列方向で互いに異なる位置とされ、第2脚部53の固定部53bが配列方向で互いに異なる位置となっている。そして、図6に示すように、深さ方向において、第1脚部52の固定部52bと第2脚部53の固定部53bとの間に、複数の端子30の接触部31と回路基板110の電極との接続部が位置している。なお、図6では、接触部31と回路基板110の電極との接続部を、該接続部の配置領域111(換言すれば電極の形成領域)として二点鎖線で示している。また、本実施形態では、図2及び図4に示すように、初期状態及び固定状態のいずれにおいても、第1脚部52の固定部52bが、軸部40の中心41とハウジング20の先端面20a(溝部21の開口部)との間に位置し、第2脚部53の固定部53bが、軸部40の中心41と溝部21の底との間に位置する。
【0058】
各軸部40におけるばね部材50よりも突起先端部分には、配列方向においてばね部材50の抜けを防止するための抜け防止部材60が、回動部51の回動を妨げないように設けられている。この抜け防止部材60としては例えばゴムリングを採用することができる。本実施形態では、配列方向から見た平面図(例えば図2)において、便宜上、抜け防止部材60の図示を省略している。
【0059】
このように構成されたカードエッジコネクタ10は、回路基板110及びケース120とともに電子装置100を構成する。本実施形態では、回路基板110の両面に電極が形成されており、これにより、カードエッジコネクタ10による電気的な接続経路を効率的に増やすことができる。また、ケース120は袋状をなし、その空間121に、回路基板110とともにハウジング20を深さ方向において溝部21の底よりも深い位置まで収容する。このケース120は、1つの部材のみからなっても良いし、複数の部材を組み合わせて構成することもできる。
【0060】
次に、カードエッジコネクタ10の溝部21に回路基板110を挿入配置する際の、ばね部材50の動作を、図7〜図11を用いて説明する。
【0061】
本実施形態では、図7に示すように、ハウジング20の溝部21に回路基板110を挿入する際、対をなすばね部材50a,50bにおいて、第1脚部52の傾斜部52dに回路基板110の挿入先端が接するように、初期状態で、上記した構成のばね部材50a,50bが対をなす軸部40a,40bにそれぞれ取り付けられる。
【0062】
回路基板110の先端が傾斜部52dに接した状態から、回路基板110を溝部21の奥側(底側)へさらに挿入すると、第1脚部52は回路基板110から挿入方向の力を受ける。このとき、第2脚部53は変位可能な自由端状態にある。また、第1脚部52の傾斜部52cを介して回動部51に上記力が伝達される。したがって、回動部51は、図8に示すように一方向に回転する。このように、第1脚部52の傾斜部52cにて、回路基板110の挿入方向の力を、回動部51を一方向に回転させる力に変換することができる。そして、回動部51の回転により、第1脚部52の固定部52bが深さ方向において回路基板110の一面上に位置するように変位する。ばね部材50aにおいては、固定部52bが回路基板110における軸部40a側の一面110a上に位置するように変位し、ばね部材50bにおいては、固定部52bが回路基板110における軸部40b側の一面110b上に位置するように変位する。したがって、回路基板110は、傾斜部52dとの接触位置を固定部52bに近づけながら溝部21の底方向へ移動することとなる。また、回路基板110は、対をなすばね部材50a,50bの傾斜部52dに接することで、深さ方向において位置が矯正される。
【0063】
そして、図9に示すように、回路基板110の一面に第1脚部52の固定部52bが乗りあがり、固定部52bが回路基板110の一面上に位置するまで、回路基板110の挿入にともない回動部51が一方向に回転する。このように、第1脚部52に回路基板110が接触しても、第1脚部52により付勢力を付与せずに回路基板110を奥側へスムースに挿入することができる。なお、図9では、回路基板110の一面110aにばね部材50aにおける第1脚部52の固定部52bが乗り上げた状態で、該固定部52bが回路基板110の一面110aと離れた状態を例示している。また、回路基板110の一面110bにばね部材50bにおける第1脚部52の固定部52bが乗り上げた状態で、該固定部52bが回路基板110の一面110bと離れた状態を例示している。
【0064】
図9に示す状態から、回路基板110を溝部21の奥側へさらに挿入すると、回路基板110の先端は第2脚部53の傾斜部53cに接触する。この接触状態から、回路基板110を溝部21の奥側へさらに挿入すると、第2脚部53は回路基板110から挿入方向の力を受ける。このとき、第2脚部53の傾斜部53cを介して回動部51に上記力が伝達されるため、回動部51は、図10に示すように反対方向に回転する。このように、第2脚部53の傾斜部53cにて、回路基板110の挿入方向の力を、回動部51を反対方向に回転させる力に変換することができる。
【0065】
そして、図11に示すように、回路基板110の一面に第2脚部53の固定部53bが乗りあがり、固定部53bが回路基板110の一面上に位置するまで、回路基板110の挿入にともない回動部51が反対方向に回転する。このとき、上記したように、幅方向における固定部52b,53bから軸部40までの距離が、固定状態よりも初期状態で長いため、第1脚部52及び第2脚部53が弾性変形状態となる。したがって、第1脚部52の固定部52b及び第2脚部53の固定部53bの両方が回路基板110の一面に接触すると、図11に示すように、回路基板110に付勢力が与えられ、回路基板110が固定される。本実施形態では、図11に示すように、ばね部材50aから紙面下向きの付勢力が回路基板110に作用し、ばね部材50bから紙面上向きの付勢力が作用することで、回路基板110が固定(保持)される。
【0066】
なお、カードエッジコネクタ10から回路基板110を引き抜く際には、第1脚部52及び第2脚部53のいずれも折返し構造となっているので、物理的な接触による抵抗を低減することができる。また、第2脚部53が回路基板110から外れて自由端となるとともに、第1脚部52の弾性変形エネルギーを開放するように回動部51が一方向に回動する。これにより回路基板110に作用している付勢力がなくなり、回路基板110を容易に引き抜くことができる。
【0067】
次に、本実施形態に示したカードエッジコネクタ10の特徴部分の効果について説明する。
【0068】
本実施形態では、回路基板110の挿入時にばね部材50の第1脚部52に接触しても、第1脚部52は、回路基板110から受ける挿入方向の力を、固定部52bを含む第1脚部52全体が回路基板110の一面上に位置するように回動部51を一方向に回転させる力に変換することができる。したがって、回路基板110が第1脚部52に接触しても、ばね部材50は回路基板110に付勢力を付与しない。このため、回路基板110を溝部21の奥側へスムースに挿入することができる。
【0069】
また、第2脚部53は、第2脚部53が回路基板110から受ける挿入方向の力を、固定部53bを含む第2脚部53全体が回路基板110の一面上に位置するように、回動部51を反対方向に回転させる力に変換することができる。そして、この回転により、第1脚部52及び第2脚部53は、ともに弾性変形状態で回路基板110の一面に接触する。したがって、第1脚部52及び第2脚部53が回路基板110に接触した状態で回路基板110に付勢力を与え、回路基板110を固定することができる。ばね部材50は、複数の端子30の接触部31の両端側にそれぞれ設けられているため、配列方向において回路基板110を安定的に固定することができる。また、各固定部52b,53bは、深さ方向において異なる位置で回路基板110に接触するので、深さ方向においても回路基板110を安定的に固定することができる。したがって、端子30と電極との接触圧の変動を抑制することができる。
【0070】
また、ばね部材50によって端子30と電極との接触圧の変動を抑制することができるため、回路基板110に対する端子30のばね力を従来よりも小さくすることができる。そして、これにより、回路基板110の挿抜にともなうメッキ層の剥がれなど端子30や電極の損傷・変形を抑制することができる。すなわち、端子30と電極との接触圧の変動を抑制でき、且つ、回路基板110との電気的な接続信頼性を確保することができる。
【0071】
特に本実施形態では、ハウジング20に軸部40を設け、該軸部40にばね部材50を取り付けた簡素な構成で、上記効果を奏することができる。また、固定状態で、同じ回動部51に連結された第1脚部52及び第2脚部53の固定部52b,53b間に、端子30の接触部31と回路基板110の電極との接続部、換言すれば、複数の端子30の接触部31、が位置する。したがって、配列方向両端に位置するばね部材50の4つの脚部52,53により、端子30の接触部31と回路基板110の電極との接続部を取り囲み、リジッドに拘束することができる。このため、端子と電極との接触圧の変動をより効果的に抑制することができる。
【0072】
また、回路基板110が溝部21入口側の第1脚部52に接触しても付勢力を生じず、奥側の第2脚部53に接触して付勢力を生じるようになっている。したがって、深さ方向において複数個所で回路基板110を固定する構成でありながら、回路基板110をハウジング20の溝部21奥側まで容易に挿入することができる。
【0073】
また、本実施形態では、ばね部材50の第2脚部53において、回動部51との連結端53aから固定部53bまでの部分が、連結端53aに近いほど深さ方向において軸部40に近い傾斜部53cとなっている。また、固定部53bを曲げ部位として固定部53bよりも先端側の部分が折返し部53dとなっている。したがって、回路基板110の挿抜時における回路基板110と第2脚部53との物理的な接触による抵抗を小さくすることができる。
【0074】
また、本実施形態では、対をなすばね部材50a,50bにより、回路基板110の両面110a,110b側から付勢力を与えて回路基板110を固定する。したがって、回路基板110の一面側にばね部材50が位置し、回路基板110の他方の面側に付勢力を付与しない支持部が位置し、ばね部材50aと支持部(後述する図26及び図27参照)とにより回路基板110を固定する構成に比べて、幅方向における回路基板110の位置調整代を大きくすることができる。例えば、反りの大きい回路基板110にも対応することができる。また、本実施形態では、対をなすばね部材50a,50bの付勢力のバランスのとれた位置に回路基板110が保持されるので、反りなどにより回路基板110に過大な付勢力が付与されるのを抑制することもできる。
【0075】
また、本実施形態では、対をなすばね部材50a,50bにおいて、第1脚部52の固定部52bの深さ方向の位置が固定状態でほぼ同じであり、第2脚部53の固定部53bの深さ方向の位置が固定状態でほぼ同じである。したがって、深さ方向において、固定部52b同士、固定部53b同士の位置が異なる構成に比べて、回路基板110の変形を抑制することができる。一方、配列方向において、第1脚部52の固定部52bが互いに異なる位置とされ、第2脚部53の固定部53bが互いに異なる位置とされているため、対をなすばね部材50a,50bを、互いに干渉せずに動作させることができる。
【0076】
また、本実施形態では、軸部40が、配列方向に沿って延び、外形輪郭が真円状の円柱形状をなしている。このような軸部40を設けることで、ばね部材50の回動部51を回動しやすくすることができる。
【0077】
また、本実施形態では、ばね部材50の回動部51が、中心角180度より大きい範囲で軸部40周りに延びている。したがって、別途抜け防止部を設けなくとも、軸部40周りにおいて回動部51を軸部40に保持することができる。
【0078】
なお、本実施形態では、回路基板110の挿入時に、回路基板110が第1脚部52の傾斜部52dに接触する例を示した。しかしながら、図12に示すように、回路基板110が第1脚部52に接触しない場合でも、第2脚部53に回路基板110が接触し、回動部51が反対方向に回転することで、第1脚部52及び第2脚部53により回路基板110に付勢力を与えて回路基板110を固定することができる。
【0079】
(変形例)
本実施形態では、幅方向において、主として軸部40の中心41よりも溝部21に近い側に第1脚部52及び第2脚部53が位置し、主として軸部40の中心41よりも溝部21から遠い側に回動部51が位置する例を示した。しかしながら、図13に示すように、幅方向において、主として軸部40の中心41よりも溝部21に近い側に、第1脚部52及び第2脚部53とともに回動部51が位置するばね部材50を採用することもできる。なお、図13に示す回動部51は、180度よりも大きい中心角θcを有している。
【0080】
本実施形態では、回動部51の一端に第1脚部52が連結され、他端に第2脚部53が連結される例を示した。しかしながら、例えば図14(a),(b)に示すように、回動部51における端部とは異なる部位に第1脚部52の連結端52aが連結された構成としても良い。同様に、回動部51の端部とは異なる部位に第2脚部53の連結端53aが連結された構成としても良い。これによれば、回動部51の軸部40に沿う長さを長くして軸部40からの抜けを防止するとともに、連結端52a,53aの位置を深さ方向において溝部21からより離れた位置として、回路基板110から挿入方向の力を受けて回動部51を回動しやすくすることができる。
【0081】
本実施形態では、第2脚部53のうち、回動部51との連結端53aから固定部53bまでの部分が、初期状態で連結端53aに近いほど深さ方向において軸部40に近い傾斜部53cとされ、固定部53bよりも先端側の部分が、幅方向において軸部40に近い折返し部53dとされる例を示した。しかしながら、例えば図15に示すように、折返し部53dのないばね部材50を採用しても良い。ただし、折返し部53dを有さないと、特にカードエッジコネクタ10から回路基板110を抜く際の物理的な接触による抵抗が大きくなる。また、連結端53aから固定部53bまでを繋ぐ部分についても、上記傾斜部53cに限定されるものではない。第2脚部53としては、回路基板110が接触して挿入方向の力を受けると、該力を回動部51を反対方向に回転させる力に変換して、固定部53bを含む第2脚部53全体が回路基板110の一面上に位置できるように、連結端53aの位置、回動部51から延びる方向、及び長さが設定されれば良い。また、第1脚部52についても、回路基板110が接触して挿入方向の力を受けると、該力を回動部51を一方向に回転させる力に変換して、固定部52bを含む第1脚部52全体が回路基板110の一面上に位置できるように、連結端52aの位置、回動部51から延びる方向、及び長さが設定されれば良い。
【0082】
本実施形態では、柱状の軸部40として外形輪郭が真円の例を示した。しかしながら、軸部40の外形輪郭は上記例に限定されるものではない。例えば図16に示すように、外径輪郭が鼓状の軸部40を採用することもできる。外周面として弧面の部分を有すると回動部51が回動しやすい。さらには、配列方向に沿って延びる柱状に限定されるものでもない。回動部51が回動できる形状であれば良い。
【0083】
深さ方向における第1脚部52の固定部52b及び第2脚部53の固定部53bの配置としては、固定状態で、固定部52bと固定部53bの間に少なくとも軸部40の中心41が位置すれば良い。これにより、深さ方向において回路基板110を安定的に固定することができる。好ましくは、深さ方向において、複数の端子30の接触部31の少なくとも一部と重なるように、軸部40が設けられると良い。これによれば、深さ方向において、第1脚部52の固定部52bと第2脚部53の固定部53bとの間に、端子30の接触部31と回路基板110の電極との接続部の少なくとも一部が位置することとなり、端子と電極との接触圧の変動を効果的に抑制することができる。さらには、本実施形態に示したように、深さ方向において、第1脚部52の固定部52bと第2脚部53の固定部53bとの間に、複数の端子30の接触部31と回路基板110の電極との接続部が位置すると、端子と電極との接触圧の変動をより効果的に抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態では、図6に示すように、同じ回動部51に連結された2つの脚部52,53の固定部52b,53bが、配列方向においてほぼ同じ位置とされ、対をなすばね部材50a,50bにおいて、一方のばね部材50aの固定部52b,53bと他方のばね部材50bの固定部52b,53bとが配列方向においてずれて設けられる。そして、配列方向における両端部において、一方の端部ではばね部材50aが外側、他方の端部ではばね部材50bが外側に位置する例を示した。しかしながら、配列方向における両端部において、両端部でばね部材50a(又は両端部でばね部材50b)が外側に位置するようにしても良い。
【0085】
(第2実施形態)
本実施形態に係るカードエッジコネクタ10は、ばね部材50における回動部51の回動範囲を規制するストッパをハウジング20が有する点を特徴とする。
【0086】
図17に示すストッパ70は、主として反対方向に回転する回動部51の回動範囲を規制するものである。図17では、ストッパ70が、第1脚部52の傾斜部52cに対し、反対方向側に設けられている。このため、回動部51が反対方向に回転し、第1脚部52の傾斜部52cがストッパ70に接触すると、回動部51がそれ以上回転できなくなる。したがって、回路基板110を挿入する前や回路基板110を抜いた後の初期状態での、ばね部材50の過大な位置ズレを抑制し、回路基板110挿入時にばね部材50により回路基板110を確実に固定することができる。例えば回路基板110を溝部21に挿入する際に、回路基板110の先端を第1脚部52の傾斜部52dに接触させることができる。
【0087】
このようなストッパ70は、軸部40と同様に構成することができる。本実施形態では、軸部40同様、ハウジング20の一部として側面20bから突起してストッパ70が形成されている。なお、図17では、第1脚部52に接触して回動部51の反対方向の回転を規制するようにストッパ70が設けられる例を示した。しかしながら、第2脚部53の傾斜部53cに対し、反対方向側にストッパ70を設けることで、ストッパ70に第2脚部53が接触し、回動部51の反対方向の回転が規制されるようにしても良い。
【0088】
図18に示すストッパ71は、主として一方向に回転する回動部51の回動範囲を規制するものである。図18では、ストッパ71が、第2脚部53の傾斜部53cに対し、一方向側に設けられている。このため、回動部51が一方向に回転し、第2脚部53の傾斜部53cがストッパ71に接触すると、回動部51がそれ以上回転できなくなる。したがって、初期状態でのばね部材50の過大な位置ズレを抑制し、回路基板110挿入時にばね部材50により回路基板110を確実に固定することができる。例えば回路基板110を溝部21に挿入する際に、回路基板110の先端を第2脚部53の傾斜部53cに接触させることができる。
【0089】
なお、図18では、第2脚部53に接触して回動部51の一方向の回転を規制するようにストッパ71が設けられる例を示した。しかしながら、第1脚部52の傾斜部52cに対し、一方向側にストッパ71を設けることで、ストッパ71に第1脚部52が接触し、回動部51の反対方向の回転が規制されるようにしても良い。また、このストッパ71についても、ストッパ70同様設けることができる。
【0090】
図19(a)に示す例では、上記した2つのストッパ70,71を有している。このように2つのストッパ70,71を有すると、一方向及び反対方向の両方向の回転について、回動部51の回転範囲を規制することができる。すなわち、回動部51の回動可能範囲をより狭い範囲に規制することができる。したがって、例えば図19(a)に示すように、中心角が180度以下の回動部51を有するばね部材50を採用しても、軸部40周りにおいて軸部40からばね部材50が抜け落ちるのを防ぐことができる。
【0091】
また、図19(b)に示すように、ストッパ70,71両方の機能を有する兼用のストッパ72を採用することができる。このストッパ72は、軸部40の外周面と略平行に、所定範囲にわたって軸部40周りに設けられている。すなわち、軸部40とストッパ72の間に回動部51が配置されている。このストッパ72によっても、中心角が180度以下の回動部51を有するばね部材50が軸部40から抜け落ちるのを防ぐことができる。なお、図19(a)に示すストッパ70,71と、図19(b)に示すストッパ72をいずれも有する構成を採用することもできる。
【0092】
図20に示す例では、第1実施形態の図13に示したばね部材50に、図19(b)に示すストッパ72を組み合わせている。これによれば、ストッパ72により回動部51の回動範囲を規制することができる。また、中心角が180度以下の回動部51を有するばね部材50を採用し、且つ、軸部40に対して回動部51が鉛直下方に位置しても、ばね部材50が軸部40から抜け落ちるのを防ぐことができる。
【0093】
(第3実施形態)
本実施形態に係るカードエッジコネクタ10は、対をなすばね部材50a,50bにおいて、各固定部52b,53bの配置に特徴がある。
【0094】
第1実施形態では、図6に示すように、同じ回動部51に連結された2つの脚部52,52の固定部52b,53bが、配列方向においてほぼ同じ位置とされ、対をなすばね部材50a,50bにおいて、一方のばね部材50aの固定部52b,53bと他方のばね部材50bの固定部52b,53bとが配列方向においてずれて設けられる例を示した。
【0095】
これに対し、図21(a)に展開図を示すばね部材50は、展開状態でクランク形状となっている。そして、固定状態で、図21(b)に示すように、ばね部材50aの固定部52b,53b(ともに実線で図示)を結んでなる第1仮想直線と、ばね部材50bの固定部52b,53b(ともに破線で図示)を結んでなる第2仮想直線とが、幅方向に垂直な平面(深さ方向及び配列方向に沿う平面)において交差する。
【0096】
このようなばね部材50(50a,50b)を採用すると、配列方向において、固定部52b同士を異なる位置、固定部53b同士を異なる位置としながらも、回路基板110の変形を抑制することができる。
【0097】
なお、第1仮想直線と第2仮想直線とが交差するようなばね部材50としては、例えば図22(a)〜(c)に示すコイル状のばね部材50a,50bを採用しても良い。コイル状のばね部材50とは、回動部51が中心角360度より大きい範囲で軸部40周りに延びたものである。このようなばね部材50を採用すると、中心角が360度未満のばね部材50に比べてばね力を稼ぐことができる。また、回動部51に対する脚部52,53の連結端52a,53a位置の自由度を向上することができる。
【0098】
また、配列方向において、ばね部材50aが(n+1)個[nは正の整数]の固定部を有し、ばね部材50bがn個の固定部を有する。そして、ばね部材50aの固定部間の領域1つにつき、ばね部材50bの固定部が1つ対向配置される構成としても、回路基板110の変形を抑制できる。例えば図23(a),(b)に示す例では、ばね部材50aは、深さ方向において互いにほぼ同じ位置であり、配列方向においてずれて設けられた2本の第1脚部52を有している。同様に、深さ方向において互いにほぼ同じ位置であり、配列方向においてずれて設けられた2本の第2脚部53を有している。したがって、ばね部材50aは2個の固定部52bと2個の固定部53bを有している。一方、ばね部材50bは、ばね部材50aの2つの固定部52b間の領域に、固定部52bが対向配置され、ばね部材50aの2つの固定部53b間の領域に、固定部53bが対向配置されるように構成されている。
【0099】
なお、図23(a),(b)においては、ばね部材50aが(n+1)個の固定部52bと(n+1)個の固定部53bを有し、ばね部材50bがn個の固定部52bとn個の固定部53bを有する例を示した。しかしながら、例えば図24(a)に示すように、ばね部材50aが2個の固定部52bと1個の固定部53bを有し、ばね部材50bが1個の固定部52bと2個の固定部53bを有する。そして、図24(b)に示すように、ばね部材50aの2つの固定部52b間の領域に、ばね部材50bの固定部52bが対向配置され、ばね部材50bの2つの固定部53b間の領域に、ばね部材50aの固定部53bが対向配置される構成としても良い。
【0100】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0101】
本実施形態では、溝部21がハウジング20における基板側部22の側面20bに開口する例を示した。しかしながら、例えば図25に示すように、回路基板110が挿入配置される溝部(収納空間)が、側面20bに開口せず先端面20aのみに開口する有底孔24であり、該有底孔24の壁面に軸部40が設けられた構成を採用することもできる。すなわち、有底孔24内に少なからずばね部材50が配置される構成を採用することもできる。図25に示す有底孔24は、ハウジング20における複数の端子30を保持する中央部分で回路基板110の厚さに応じた幅とされ、配列方向において中央部分を挟む両端部分で中央部分よりも幅が広くなっている。そして、両端部分における壁面から、軸部40(40a,40b)が配列方向に沿って突起している。図25では、ハウジング20の中央部分側の壁面に軸部40が設けられている。そして、各軸部40(40a,40b)にばね部材50(50a,50b)が取り付けられている。この構成では、回路基板110の端部を、ハウジング20の有底孔24の空間内に収容することができる。なお、図25では、軸部40をハウジング20の中央部分側の壁面に設ける例を示したが、該壁面と対向する壁面に設けることもできる。また、ハウジング20を、例えば図25に破線で示す位置での分割構造とすると、有底孔24の内壁に軸部40を有し、有底孔24内にばね部材50が収容された構成を形成しやすくなる。
【0102】
本実施形態では、複数の端子30の接触部31の両端側において、一対のばね部材50a,50bがそれぞれ設けられる例を示した。しかしながら、両端それぞれにおいて複数対のばね部材50a,50bが設けられる構成としても良い。その際、配列方向において複数対のばね部材50a,50bが配置されても良いし、深さ方向において複数対のばね部材50a,50bが配置されても良い。
【0103】
ばね部材50(軸部40)は、配列方向において複数の端子30の接触部31(接触部31と回路基板110の電極との接続部)が間に位置するように、複数の接触部31の両端側であって少なくとも溝部21に対し幅方向における同一側にそれぞれ設けられれば良い。したがって、例えば図26に示すように、回路基板110の一面側のみに軸部40及びばね部材50を設け、回路基板の他方の面側を、ハウジング20に一体的に設けた支持部25にて支持する構成を採用することもできる。この構成では、支持部25に回路基板110が接触すると、深さ方向において回路基板110の位置が決定される。このような支持部25は、図25に示す有底孔24にも適用することができる。
【0104】
また、図27に示す例では、回路基板110の一面側のみに軸部40及びばね部材50を設け、回路基板の他方の面側を、ケース120に一体的に設けた支持部122にて支持する構成となっている。なお、図27に示す構成は、ハウジング20に溝部21が設けられ、ハウジング20の外に、軸部40及びばね部材50が設けられる構成において採用することができる。
【符号の説明】
【0105】
10・・・カードエッジコネクタ
20・・・ハウジング
21・・・溝
30・・・端子
31・・・接触部
40・・・軸部
41・・・中心
50・・・ばね部材
50a,50b・・・(対をなす)ばね部材
51・・・回動部
52・・・第1脚部
53・・・第2脚部
52b,53b・・・固定部
110・・・回路基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードエッジコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1,2に示されるように、カードエッジコネクタが知られている。このカードエッジコネクタでは、回路基板そのものがオス端子の役割を果たし、その回路基板の端部をカードエッジコネクタに挿入することにより、回路基板の端部表面に設けられた複数の電極と、ハウジングから露出する端子の接触部とが接触して電気的な導通が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−178834号公報
【特許文献2】特開2009−176625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これら従来のカードエッジコネクタでは、カードエッジコネクタを構成する端子の、弾性変形による反力、所謂付勢力により、回路基板の端部を固定する(保持する)構造となっている。
【0005】
ところで、カードエッジコネクタでは、上記したように端子の接触部が回路基板の電極に接触することで電気的な導通が図られるため、端子と電極との接触圧を一定に保持できることが好ましい。しかしながら、ハウジングなどに外力が印加され、ハウジングと回路基板とが相対的に振動すると、上記した接触圧が不安定となる。従来は、回路基板に対する端子のばね力を高く設定することで、接触圧の変動を抑制していた。したがって、カードエッジコネクタに対して回路基板を挿抜する際に、端子と電極との物理的な接触による抵抗(例えば挿入時の挿入抵抗)が大きく、端子表面や電極表面のメッキ層が剥がれるなど端子や電極が損傷したり変形したりする恐れがあった。すなわち、電気的な接続信頼性が劣化する恐れがあった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、端子と電極との接触圧の変動を抑制でき、且つ、回路基板との電気的な接続信頼性を確保できるカードエッジコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する為に請求項1に記載のカードエッジコネクタは、回路基板の端部が挿入配置される溝部を有するハウジングと、ハウジングに保持され、回路基板の電極とハーネスとを電気的に接続する部材であって、電極と接触すべく溝部の側壁から回路基板が配置される空間に露出された接触部を有し、該接触部が溝部の深さ方向及び回路基板の厚さ方向に対応する溝部の幅方向の両方向に垂直な方向に沿って配列された複数の端子と、ハウジングに設けられた軸部と、軸部に取り付けられたばね部材と、を備えている。
【0008】
軸部は、配列方向において、複数の端子の接触部が間に位置するように複数の接触部の両端側であって、溝部に対し幅方向における同一側にそれぞれ設けられている。
【0009】
ばね部材は、軸部に対し、軸部周りに回動可能に取り付けられた回動部と、該回動部から延びた第1脚部及び第2脚部とを有している。そして、第1脚部及び第2脚部の両方が回路基板における軸部側の一面に接触して回路基板を固定する固定状態で、深さ方向において、第1脚部の固定部と第2脚部の固定部との間に軸部の中心が位置し、回路基板を挿入する際に、回路基板がばね部材の第1脚部に接触すると、第1脚部の固定部が回路基板における軸部側の一面上に位置するように回動部が一方向に回転し、回路基板がばね部材の第2脚部に接触すると、第2脚部の固定部が回路基板における軸部側の一面上に位置するように回動部が一方向と反対に回転するとともに、第1脚部及び第2脚部の両方が回路基板における軸部側の一面に接触して付勢力を与え、回路基板を固定するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
このように、ハウジングに軸部が設けられ、軸部に回路基板を固定するためのばね部材が取り付けられる。ばね部材は、軸部周りに回動可能とされた回動部と、回動部から延びる2本の脚部(第1脚部及び第2脚部)を有しており、回路基板の挿入方向(深さ方向のうち、溝部の開口から底に向かう方向)において、第1脚部の固定部が入口側、第2脚部の固定部が奥側に位置する。
【0011】
本発明では、回路基板の挿入時において、回路基板が第1脚部に接触しても、第1脚部の固定部が回路基板の軸部側一面上に位置すべく回動部が一方向に回転するように、ばね部材が構成される。第1脚部は、回路基板と接触することで受ける挿入方向の力を、回動部を一方向に回転させる力に変換し、これにより回動部が回転する。したがって、第1脚部のみ回路基板に接触した時点では付勢力を付与しない。これにより、回路基板を奥側(溝部の底側)へスムースに挿入することができる。なお、軸部への取り付け状態によって回路基板が第1脚部に接触しない場合には、第1脚部による抵抗が生じないため、回路基板を奥側へスムースに挿入することができる。
【0012】
また、回路基板がばね部材の第2脚部に接触すると、第2脚部の固定部が回路基板の軸部側一面上に位置すべく回動部が一方向と反対に回転するように、ばね部材が構成されている。さらに、この反対方向への回転により、第1脚部及び第2脚部が弾性変形しつつ第1脚部の固定部及び第2脚部の固定部の両方が回路基板の軸部側一面に接触し、これにより回路基板に付勢力を与えるようにばね部材が構成されている。
【0013】
このように、本発明では、2本の脚部が回路基板に接触した状態で、ばね部材の付勢力により回路基板を固定することができる。このばね部材は、複数の接触部の両端側にそれぞれ設けられているため、配列方向において回路基板を安定的に固定することができる。また、第1脚部の固定部及び第2脚部の固定部は、深さ方向において異なる位置で回路基板に接触するので、深さ方向においても回路基板を安定的に固定することができる。したがって、端子と電極との接触圧の変動を抑制することができる。
【0014】
また、ばね部材によって端子と電極との接触圧の変動を抑制することができるため、回路基板に対する端子のばね力を従来よりも小さく設定することができる。そして、これにより、回路基板の挿抜にともなうメッキ層の剥がれなど端子や電極の損傷・変形を抑制することができる。すなわち、端子と電極との接触圧の変動を抑制でき、且つ、回路基板との電気的な接続信頼性を確保することができる。特に本発明では、ハウジングに軸部を設け、該軸部にばね部材を取り付けるという簡素な構成で、上記効果を奏することができる。
【0015】
また、本発明では、回路基板が入口側の第1脚部に接触しても付勢力を生じず、奥側の第2脚部に接触して付勢力を生じるようになっている。したがって、深さ方向において複数個所で回路基板を固定する構成でありながら、回路基板をハウジングの溝部奥側まで容易に挿入することができる。
【0016】
請求項2に記載のように、第1脚部及び第2脚部は、回路基板が挿入されない初期状態での固定部から軸部までの幅方向の距離が、回路基板の固定状態での固定部から軸部までの距離よりも長く、第1脚部は、回動部との連結端から固定部までが連結端に近いほど深さ方向において軸部に近い傾斜を有するとともに、固定部から先端までが先端に近いほど幅方向おいて固定部から離れる傾斜を有する構成が好ましい。
【0017】
このような構成では、第1脚部は回路基板から挿入方向の力を受けると、第1脚部における固定部から連結端までの傾斜部分を介して回動部に上記力が伝達される。この時点で、第2脚部は変位可能な自由端状態にある。したがって、回動部は、第1脚部の固定部が回路基板の軸部側一面上に位置するように一方向に回転する。このように、第1脚部の上記傾斜部分にて、回路基板の挿入方向の力を、回動部を一方向に回転させる力に変換することができる。そして、回動部の回転により、第1脚部の固定部が深さ方向において回路基板の軸部側一面上に位置するように変位する。したがって、第1脚部に回路基板が接触しても、第1脚部により付勢力を付与せずに回路基板を奥側へスムースに挿入することができる。
【0018】
また、第1脚部及び第2脚部はそれぞれ、初期状態での固定部から軸部までの幅方向の距離が、固定状態での固定部から軸部までの距離よりも長くなっている。したがって、第1脚部の固定部及び第2脚部の固定部がともに回路基板の軸部側一面に接触した状態で、回路基板に付勢力を与えることができる。
【0019】
請求項3に記載のように、第2脚部は、回動部との連結端から固定部までが連結端に近いほど深さ方向において軸部に近い傾斜を有するとともに、固定部を曲げ部位として固定部よりも先端側の部位が幅方向において対応する軸部に近い構成としても良い。これによれば、回路基板の挿抜時における回路基板と第2脚部との物理的な接触による抵抗を小さくすることができる。
【0020】
請求項4に記載のように、軸部は、複数の接触部の両端側それぞれにおいて、幅方向で溝が間に位置するように少なくとも一対設けられ、回路基板を挿入する際に、対をなすばね部材における第1脚部及び第2脚部の4つの脚部全てが回路基板に接触すると、4つの脚部により回路基板の両面側から付勢力を与えて回路基板を固定する構成が好ましい。
【0021】
回路基板の両面側にそれぞれ位置するばね部材によって回路基板を固定するので、回路基板の一面側に位置するばね部材と、回路基板の他方の面側に位置し、付勢力を付与しない支持部とで回路基板を固定する構成に比べて、幅方向における回路基板の位置調整代を大きくすることができる。例えば、反りの大きい回路基板にも対応することができる。また、反りなどにより、回路基板に過大な付勢力が付与されるのを抑制することもできる。
【0022】
請求項5に記載のように、幅方向で対をなすばね部材において、回路基板を固定する第1脚部の固定部同士が深さ方向で同じ位置とされ、回路基板を固定する第2脚部の固定部同士が深さ方向で同じ位置とされた構成とすると良い。
【0023】
これによれば、深さ方向(回路基板の挿抜方向)において、固定部同士の位置が異なる構成に比べて、回路基板の変形(付勢力によって回路基板に生じる応力)を抑制することができる。
【0024】
さらに請求項6に記載のように、配列方向において、第1脚部の固定部が互いに異なる位置とされ、第2脚部の固定部が互いに異なる位置とされた構成とすると、幅方向で対をなすばね部材を、互いに干渉せずに動作させることができる。
【0025】
請求項7に記載のように、配列方向において、一方のばね部材は(n+1)個[nは正の整数]の固定部を有し、他方のばね部材はn個の固定部を有し、一方のばね部材の固定部間の領域1つにつき、他方のばね部材の固定部が1つ対向配置された構成とすると良い。
【0026】
これによれば、配列方向において、第1脚部の固定部同士、第2脚部の固定部同士が異なる位置でありながら、回路基板の変形を抑制することができる。
【0027】
また、請求項8に記載のように、一方のばね部材における第1脚部の固定部と第2脚部の固定部とを結んでなる第1仮想直線と、他方のばね部材における第1脚部の固定部と第2脚部の固定部とを結んでなる第2仮想直線とが、幅方向に垂直な平面において交差する構成としても良い。
【0028】
このような構成としても、配列方向において、第1脚部の固定部同士、第2脚部の固定部同士が異なる位置でありながら、回路基板の変形を抑制することができる。
【0029】
請求項9に記載のように、軸部は、深さ方向において、複数の端子の接触部の少なくとも一部と重なるように設けられると良い。これによれば、深さ方向において、第1脚部の固定部と第2脚部の固定部との間に複数の端子の接触部の少なくとも一部が位置することとなるので、端子と電極との接触圧の変動をより確実に抑制することができる。
【0030】
より好ましくは、請求項10に記載のように、深さ方向において、回路基板を固定する第1脚部の固定部と第2脚部の固定部との間に、複数の端子の接触部が位置すると良い。
【0031】
これによれば、配列方向両端に位置するばね部材の4つの脚部により、複数の端子の接触部を取り囲むことができる。したがって、4つの脚部により、回路基板の電極とカードエッジコネクタの端子との接続部をリジッドに拘束し、端子と電極との接触圧の変動をさらに抑制することができる。
【0032】
請求項11に記載のように、回動部が、中心角180度より大きい範囲で軸部周りに延びるばね部材を採用すると良い。これによれば、別途抜け防止部を設けなくとも、ばね部材を軸部に保持しやすくなる。
【0033】
より好ましくは、請求項12に記載のように、回動部が、中心角360度より大きい範囲で軸部周りに延びたばね部材を採用する良い。これによれば、ばね力を稼ぐことができる。また、回動部に対する脚部の連結端位置の自由度を向上することができる。
【0034】
請求項13に記載のように、配列方向に沿って延び、外形輪郭が真円状をなす柱状の軸部を採用すると良い。これによれば、ばね部材の回動部が回動しやすくなる。
【0035】
請求項14に記載のように、ハウジングに、回動部の回動範囲を規制するストッパが設けられた構成とすると良い。これによれば、ストッパにより、回動部の回動範囲を所定範囲に制限することができる。したがって、回路基板を挿入する前や回路基板を抜いた後の初期状態におけるばね部材の過大な位置ズレを抑制し、回路基板挿入時にばね部材により回路基板を確実に固定することができる。
【0036】
請求項15に記載のように、溝部が、配列方向におけるハウジングの両側面にそれぞれ開口し、軸部がハウジングの側面に設けられた構成を採用しても良い。また、請求項16に記載のように、溝部が有底孔であり、該有底孔は、配列方向において、ハウジングにおける複数の端子を保持する部位に対応する中央部分の幅よりも、該中央部分を挟む両端部分の幅のほうが広くされ、両端部分における内壁に軸部が設けられた構成を採用することもできる。
【0037】
請求項17に記載のように、回路基板の両面に電極がそれぞれ設けられ、端子の接触部が、電極に対応して、溝部の相対する側壁からそれぞれ露出された構成を採用することもできる。これによれば、カードエッジコネクタによる電気的な接続経路を効率的に増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】第1実施形態に係るカードエッジコネクタの概略構成を示す、深さ方向において回路基板挿入側から見た平面図である。
【図2】図1に示すカードエッジコネクタを、配列方向から見た平面図である。
【図3】軸部及びばね部材の周辺を拡大した図である。
【図4】カードエッジコネクタに回路基板が挿入されてなる電子装置の概略構成を示す、配列方向から見た部分断面図である。
【図5】図4のX−X線に沿う断面図である。
【図6】回路基板の電極と端子の接触部との接続領域と、ばね部材の各固定部の位置関係を示す図である。
【図7】回路基板の挿入過程を示す平面図である。
【図8】回路基板の挿入過程を示す平面図である。
【図9】回路基板の挿入過程を示す平面図である。
【図10】回路基板の挿入過程を示す平面図である。
【図11】回路基板の挿入過程を示す平面図である。
【図12】回路基板の挿入過程の変形例を示す平面図である。
【図13】ばね部材の変形例を示す平面図である。
【図14】ばね部材の変形例を示す平面図である。
【図15】ばね部材の変形例を示す平面図である。
【図16】軸部の変形例を示す平面図である。
【図17】第2実施形態に係るカードエッジコネクタにおいて、軸部及びばね部材の周辺を拡大した平面図である。
【図18】ストッパの変形例を示す平面図である。
【図19】(a),(b)ともに、ばね部材及びストッパの変形例を示す平面図である。
【図20】ばね部材及びストッパの変形例を示す平面図である。
【図21】第3実施形態に係るカードエッジコネクタにおいて、(a)ばね部材の展開図、(b)対をなすばね部材における各固定部の位置関係を示す図である。
【図22】変形例を示し、(a)配列方向から見た平面図、(b)深さ方向から見た平面図、(c)対をなすばね部材における各固定部の位置関係を示す図である。
【図23】変形例を示し、(a)深さ方向から見た平面図、(b)対をなすばね部材における各固定部の位置関係を示す図である。
【図24】変形例を示し、(a)ばね部材の展開図、(b)対をなすばね部材における各固定部の位置関係を示す図である。
【図25】カードエッジコネクタのその他変形例を示す平面図である。
【図26】カードエッジコネクタのその他変形例を示し、回路基板が挿入された状態を示す部分断面図である。
【図27】カードエッジコネクタに回路基板が挿入されてなる電子装置の変形例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。また、ハウジングの溝部に回路基板が挿入されない状態を初期状態とし、溝部に回路基板が挿入されてばね部材により固定された状態を固定状態とする。
(第1実施形態)
図1に示すように、カードエッジコネクタ10は、要部として、電気絶縁材料からなるハウジング20と、ハウジング20に保持された端子30と、ハウジング20に一体的に設けられた軸部40と、後述する回路基板110を固定(保持)すべく軸部40に取り付けられたばね部材50と、を備えている。
【0040】
ハウジング20は、例えば樹脂を射出成形してなり、回路基板110が挿入配置される溝部21(収納空間)を有する。溝部21は、図1及び図2に示すようにハウジング20の先端面20aに開口しており、回路基板110の厚さに応じた所定幅と回路基板110の挿入深さに応じた所定深さを有する。以下、溝部21の幅方向を単に幅方向、溝部21の深さ方向を単に深さ方向と示す。
【0041】
本実施形態では、ハウジング20が、深さ方向において先端面20aから溝部21を含む所定範囲の部分である基板側部22と、ハーネスが接続される側の部分であるハーネス側部23を有する。基板側部22は略直方体状をなし、直方体の連続する3面に溝部21が開口している。一方、ハーネス側部23は、回路基板110を収容するケース120との間に接続構造を形成すべく、基板側部22よりも外形寸法が大きい構成となっている。また、本実施形態では、図示しないが、このハーネス側部23の外表面にケース120との嵌合部を有する。同じく外表面には、図示しないが、回路基板110及び回路基板110と端子30との接続部を収容するケース120の空間121(図3参照)を防水空間とするための、例えばシリコンゴムからなるシール材が設けられる。
【0042】
なお、ハウジング20としては、複数のハウジング構成部材を組み合わせることで、1つのハウジング20をなす構成を採用することもできる。
【0043】
端子30は、導電性が良好な金属材料を用いて形成されている。例えばりん青銅をニッケルメッキで被覆し、さらに金メッキで被覆してなるものを採用することができる。端子30のうち、回路基板110の端部表面に設けられた図示しない電極(ランド)との接触部31は、図1及び図2に示すように、溝部21の幅方向に垂直な側壁部分からそれぞれ溝部21内に突出している。このように、接触部31は溝部21内に露出しており、溝部21に回路基板110の端部を挿入した際に、回路基板110の電極に接触して電極との電気的な接続が可能となっている。また、各端子30の接触部31は、幅方向及び深さ方向の両方向に垂直な方向に沿って配列されている。以下、複数の接触部31の配列方向を単に配列方向と示す。
【0044】
本実施形態では、端子30として、電力伝送用のパワー端子32と、パワー端子32よりも断面積の小さい、信号伝送用のシグナル端子33を有する。また、端子30のうち、ハーネスとの接続部は、ハウジング20における先端面20aと反対の面に開口する図示しないハーネス収納空間に露出している。したがって、ハウジング20のハーネス収納空間にハーネスが挿入された状態で、端子30を介して、回路基板110とハーネスとが電気的に接続される。また、端子30としても、複数の端子構成部材を連結することで、1つの端子30をなす構成を採用することもできる。
【0045】
軸部40は、ハウジング20にばね部材50を取り付けるためのものであり、ハウジング20に一体的に設けられている。この軸部40は、ハウジング20における該軸部40周辺の表面に対して突起するとともに、ばね部材50を回動可能に設けられている。軸部40の構成材料は特に限定されるものではない。例えばハウジング20の一部として樹脂からなる軸部40、金属部材などをインサートすることで、樹脂からなるハウジング20と一体に設けられた軸部40、接着固定などによってハウジング20と一体に設けられた軸部40、を採用することができる。
【0046】
また、軸部40は、配列方向において、複数の端子30の接触部31が間に位置するように複数の接触部31の両端側であって溝部21に対し幅方向における同一側にそれぞれ設けられている。
【0047】
本実施形態では、ハウジング20の一部として形成された、樹脂からなる軸部40を採用する。軸部40は、図1及び図2に示すように、ハウジング20における基板側部22の両側面20bから配列方向に沿ってそれぞれ突起している。そして、図3に示すように、外形輪郭が真円状となっている。このように軸部40は、配列方向に沿って延びた円柱形状をなしている。そして、複数の接触部31の両端側それぞれにおいて、幅方向で溝部21が間に位置するように一対の軸部40が設けられている。本実施形態では、対をなす一方を軸部40a、他方を軸部40bとする。また、対をなす軸部40a,40bは、図2に示すように、深さ方向において同じ位置に設けられるとともに、各軸部40(40a,40b)は、深さ方向において、複数の端子の接触部31の少なくとも一部と重なるように設けられている。
【0048】
ばね部材50は、例えば金属を曲げ加工してなり、図3に示すように、軸部40に対し、軸部40周りに回動可能に取り付けられた回動部51と、回動部51から延び、弾性変形可能に設けられた第1脚部52及び第2脚部53とを有する。
【0049】
このばね部材50は、図4に示す固定状態で、深さ方向において第1脚部52の固定部52bと第2脚部の固定部53bとの間に軸部40の中心41が位置するように構成されている。すなわち、第1脚部52と第2脚部53とが、回路基板110の互いに異なる部分に付勢力を付与するようになっている。
【0050】
また、回路基板110を溝部21に挿入する際に、回路基板110が第1脚部52に接触すると、第1脚部52の固定部52bが回路基板110における該ばね部材50が取り付けられた軸部40側の一面(以下、単に一面と示す)上に位置するように回動部51が一方向に回転する構成となっている。換言すれば、第1脚部52が回路基板110から挿入方向の力を受けると、固定部52bを含む第1脚部52全体が回路基板110の一面上に位置する方向に回動部51が回転するように、ばね部材50が構成されている。以下、第1脚部52が回路基板110から挿入方向の力を受けた際の回動部51の回転方向を、単に一方向とする。
【0051】
一方、回路基板110が溝部21の奥側に進んでばね部材50の第2脚部53に接触すると、第2脚部53の固定部53bが回路基板110の一面上に位置するように回動部51が一方向と反対に回転する。換言すれば、第2脚部53が回路基板110から挿入方向の力を受けると、固定部53bを含む第2脚部53全体が回路基板110の一面上に位置する方向に回動部51が回転するように、ばね部材50が構成されている。そして、この反対方向への回転により、第1脚部52の固定部52bと第2脚部53の固定部53bの両方が回路基板110の一面に接触して回路基板110に付勢力を与えるように構成されている。以下、第2脚部53が回路基板110から挿入方向の力を受けた際の回動部51の回転方向を、単に反対方向とする。
【0052】
本実施形態では、対をなす軸部40a,40bのうち、軸部40aに取り付けられたばね部材50をばね部材50a、軸部40bに取り付けられたばね部材50をばね部材50bとする。そして、ばね部材50aの第1脚部52及び第2脚部53が回路基板110の一面に接触し、ばね部材50bの第1脚部52及び第2脚部53が回路基板110の一面と反対の面に接触すると、4つの脚部52,53により回路基板110の両面側から付勢力を与えて回路基板を固定するようになっている。
【0053】
また、本実施形態では、第1脚部52接触時には付勢力を付与せず、第1脚部52及び第2脚部53の両方が回路基板110に接触して付勢力を付与するべく、以下に記載の構成を採用している。回動部51は、軸部40の中心41に対し、180度より大きく360度未満の中心角θc(例えば200度程度)をなすように、外形輪郭真円状の軸部40の外周面に沿って取り付けられている。そして、回動部51の一端に第1脚部52が連結され、回動部51の他端に第2脚部53が連結されている。図2及び図3に示すように、回動部51は、初期状態で、軸部40の外周面のうち、主として軸部40の中心41よりも溝部21から遠い部分に配置されている。また、第1脚部52及び第2脚部53は、初期状態で、回動部51から溝部21側に延びている。
【0054】
第1脚部52及び第2脚部53は、図3に示す初期状態での各固定部52b,53bから軸部40までの幅方向の距離が、固定状態での固定部52b,53bから軸部40までの距離よりも長くなっている。すなわち、第1脚部52及び第2脚部53が回路基板110の一面に接触した状態で、第1脚部52及び第2脚部53が弾性変形するようになっている。なお、図3では、固定状態における回路基板110の一面の位置を二点鎖線L1で示している。
【0055】
第1脚部52のうち、回動部51との連結端52aから固定部52bまでの部分は、連結端52aに近いほど深さ方向において軸部40に近い傾斜部52cとなっている。また、固定部52bから先端までの部分は、先端に近いほど幅方向おいて固定部52bから離れる傾斜部52dとなっている。より詳しくは、初期状態において、第1脚部52全体が、深さ方向で軸部40の中心41よりも溝部21の底に対して遠い位置にある。また、第1脚部52の連結端52aは、幅方向で軸部40の中心41よりも溝部21に近い位置にある。さらに、幅方向に沿う仮想線と傾斜部52cとのなす傾斜角が、軸部40の中心41と連結端52aとを結んでなる法線と、上記幅方向に沿う仮想線とのなす角よりも小さい角度となっている。
【0056】
一方、第2脚部53のうち、回動部51との連結端53aから固定部53bまでの部分は、連結端53aに近いほど深さ方向において軸部40に近い傾斜部53cとなっている。また、固定部53bよりも先端側の部分は、固定部53bを曲げ部位とした折返し部53dとなっている。この折返し部53dは、初期状態で、固定部53bよりも軸部40に近い側に折り返されている。より詳しくは、上記初期状態において、第2脚部52全体が、深さ方向で軸部40の中心41よりも先端面20a(溝部21の開口部)に対して遠い位置にある。また、第2脚部53の連結端53aは、幅方向で軸部40の中心41とほぼ同じ位置にある。そして、幅方向に沿う仮想線と傾斜部53cとのなす傾斜角が、軸部40の中心41と連結端53aとを結んでなる法線と、上記幅方向に沿う仮想線とのなす角よりも小さい角度となっている。
【0057】
また、本実施形態では、上記初期状態において、図2,図4,及び図6に示すように、対をなすばね部材50a,50bの第1脚部52の固定部52b同士が深さ方向でほぼ同じ位置とされ、第2脚部53の固定部53b同士が深さ方向でほぼ同じ位置となっている。なお、図6においては、ばね部材50aの固定部52b,53bを実線で示し、ばね部材50bの固定部52b,53bを破線で示している。さらに、図1,図5,及び図6に示すように、対をなすばね部材50a,50bにおいて、第1脚部52の固定部52bが配列方向で互いに異なる位置とされ、第2脚部53の固定部53bが配列方向で互いに異なる位置となっている。そして、図6に示すように、深さ方向において、第1脚部52の固定部52bと第2脚部53の固定部53bとの間に、複数の端子30の接触部31と回路基板110の電極との接続部が位置している。なお、図6では、接触部31と回路基板110の電極との接続部を、該接続部の配置領域111(換言すれば電極の形成領域)として二点鎖線で示している。また、本実施形態では、図2及び図4に示すように、初期状態及び固定状態のいずれにおいても、第1脚部52の固定部52bが、軸部40の中心41とハウジング20の先端面20a(溝部21の開口部)との間に位置し、第2脚部53の固定部53bが、軸部40の中心41と溝部21の底との間に位置する。
【0058】
各軸部40におけるばね部材50よりも突起先端部分には、配列方向においてばね部材50の抜けを防止するための抜け防止部材60が、回動部51の回動を妨げないように設けられている。この抜け防止部材60としては例えばゴムリングを採用することができる。本実施形態では、配列方向から見た平面図(例えば図2)において、便宜上、抜け防止部材60の図示を省略している。
【0059】
このように構成されたカードエッジコネクタ10は、回路基板110及びケース120とともに電子装置100を構成する。本実施形態では、回路基板110の両面に電極が形成されており、これにより、カードエッジコネクタ10による電気的な接続経路を効率的に増やすことができる。また、ケース120は袋状をなし、その空間121に、回路基板110とともにハウジング20を深さ方向において溝部21の底よりも深い位置まで収容する。このケース120は、1つの部材のみからなっても良いし、複数の部材を組み合わせて構成することもできる。
【0060】
次に、カードエッジコネクタ10の溝部21に回路基板110を挿入配置する際の、ばね部材50の動作を、図7〜図11を用いて説明する。
【0061】
本実施形態では、図7に示すように、ハウジング20の溝部21に回路基板110を挿入する際、対をなすばね部材50a,50bにおいて、第1脚部52の傾斜部52dに回路基板110の挿入先端が接するように、初期状態で、上記した構成のばね部材50a,50bが対をなす軸部40a,40bにそれぞれ取り付けられる。
【0062】
回路基板110の先端が傾斜部52dに接した状態から、回路基板110を溝部21の奥側(底側)へさらに挿入すると、第1脚部52は回路基板110から挿入方向の力を受ける。このとき、第2脚部53は変位可能な自由端状態にある。また、第1脚部52の傾斜部52cを介して回動部51に上記力が伝達される。したがって、回動部51は、図8に示すように一方向に回転する。このように、第1脚部52の傾斜部52cにて、回路基板110の挿入方向の力を、回動部51を一方向に回転させる力に変換することができる。そして、回動部51の回転により、第1脚部52の固定部52bが深さ方向において回路基板110の一面上に位置するように変位する。ばね部材50aにおいては、固定部52bが回路基板110における軸部40a側の一面110a上に位置するように変位し、ばね部材50bにおいては、固定部52bが回路基板110における軸部40b側の一面110b上に位置するように変位する。したがって、回路基板110は、傾斜部52dとの接触位置を固定部52bに近づけながら溝部21の底方向へ移動することとなる。また、回路基板110は、対をなすばね部材50a,50bの傾斜部52dに接することで、深さ方向において位置が矯正される。
【0063】
そして、図9に示すように、回路基板110の一面に第1脚部52の固定部52bが乗りあがり、固定部52bが回路基板110の一面上に位置するまで、回路基板110の挿入にともない回動部51が一方向に回転する。このように、第1脚部52に回路基板110が接触しても、第1脚部52により付勢力を付与せずに回路基板110を奥側へスムースに挿入することができる。なお、図9では、回路基板110の一面110aにばね部材50aにおける第1脚部52の固定部52bが乗り上げた状態で、該固定部52bが回路基板110の一面110aと離れた状態を例示している。また、回路基板110の一面110bにばね部材50bにおける第1脚部52の固定部52bが乗り上げた状態で、該固定部52bが回路基板110の一面110bと離れた状態を例示している。
【0064】
図9に示す状態から、回路基板110を溝部21の奥側へさらに挿入すると、回路基板110の先端は第2脚部53の傾斜部53cに接触する。この接触状態から、回路基板110を溝部21の奥側へさらに挿入すると、第2脚部53は回路基板110から挿入方向の力を受ける。このとき、第2脚部53の傾斜部53cを介して回動部51に上記力が伝達されるため、回動部51は、図10に示すように反対方向に回転する。このように、第2脚部53の傾斜部53cにて、回路基板110の挿入方向の力を、回動部51を反対方向に回転させる力に変換することができる。
【0065】
そして、図11に示すように、回路基板110の一面に第2脚部53の固定部53bが乗りあがり、固定部53bが回路基板110の一面上に位置するまで、回路基板110の挿入にともない回動部51が反対方向に回転する。このとき、上記したように、幅方向における固定部52b,53bから軸部40までの距離が、固定状態よりも初期状態で長いため、第1脚部52及び第2脚部53が弾性変形状態となる。したがって、第1脚部52の固定部52b及び第2脚部53の固定部53bの両方が回路基板110の一面に接触すると、図11に示すように、回路基板110に付勢力が与えられ、回路基板110が固定される。本実施形態では、図11に示すように、ばね部材50aから紙面下向きの付勢力が回路基板110に作用し、ばね部材50bから紙面上向きの付勢力が作用することで、回路基板110が固定(保持)される。
【0066】
なお、カードエッジコネクタ10から回路基板110を引き抜く際には、第1脚部52及び第2脚部53のいずれも折返し構造となっているので、物理的な接触による抵抗を低減することができる。また、第2脚部53が回路基板110から外れて自由端となるとともに、第1脚部52の弾性変形エネルギーを開放するように回動部51が一方向に回動する。これにより回路基板110に作用している付勢力がなくなり、回路基板110を容易に引き抜くことができる。
【0067】
次に、本実施形態に示したカードエッジコネクタ10の特徴部分の効果について説明する。
【0068】
本実施形態では、回路基板110の挿入時にばね部材50の第1脚部52に接触しても、第1脚部52は、回路基板110から受ける挿入方向の力を、固定部52bを含む第1脚部52全体が回路基板110の一面上に位置するように回動部51を一方向に回転させる力に変換することができる。したがって、回路基板110が第1脚部52に接触しても、ばね部材50は回路基板110に付勢力を付与しない。このため、回路基板110を溝部21の奥側へスムースに挿入することができる。
【0069】
また、第2脚部53は、第2脚部53が回路基板110から受ける挿入方向の力を、固定部53bを含む第2脚部53全体が回路基板110の一面上に位置するように、回動部51を反対方向に回転させる力に変換することができる。そして、この回転により、第1脚部52及び第2脚部53は、ともに弾性変形状態で回路基板110の一面に接触する。したがって、第1脚部52及び第2脚部53が回路基板110に接触した状態で回路基板110に付勢力を与え、回路基板110を固定することができる。ばね部材50は、複数の端子30の接触部31の両端側にそれぞれ設けられているため、配列方向において回路基板110を安定的に固定することができる。また、各固定部52b,53bは、深さ方向において異なる位置で回路基板110に接触するので、深さ方向においても回路基板110を安定的に固定することができる。したがって、端子30と電極との接触圧の変動を抑制することができる。
【0070】
また、ばね部材50によって端子30と電極との接触圧の変動を抑制することができるため、回路基板110に対する端子30のばね力を従来よりも小さくすることができる。そして、これにより、回路基板110の挿抜にともなうメッキ層の剥がれなど端子30や電極の損傷・変形を抑制することができる。すなわち、端子30と電極との接触圧の変動を抑制でき、且つ、回路基板110との電気的な接続信頼性を確保することができる。
【0071】
特に本実施形態では、ハウジング20に軸部40を設け、該軸部40にばね部材50を取り付けた簡素な構成で、上記効果を奏することができる。また、固定状態で、同じ回動部51に連結された第1脚部52及び第2脚部53の固定部52b,53b間に、端子30の接触部31と回路基板110の電極との接続部、換言すれば、複数の端子30の接触部31、が位置する。したがって、配列方向両端に位置するばね部材50の4つの脚部52,53により、端子30の接触部31と回路基板110の電極との接続部を取り囲み、リジッドに拘束することができる。このため、端子と電極との接触圧の変動をより効果的に抑制することができる。
【0072】
また、回路基板110が溝部21入口側の第1脚部52に接触しても付勢力を生じず、奥側の第2脚部53に接触して付勢力を生じるようになっている。したがって、深さ方向において複数個所で回路基板110を固定する構成でありながら、回路基板110をハウジング20の溝部21奥側まで容易に挿入することができる。
【0073】
また、本実施形態では、ばね部材50の第2脚部53において、回動部51との連結端53aから固定部53bまでの部分が、連結端53aに近いほど深さ方向において軸部40に近い傾斜部53cとなっている。また、固定部53bを曲げ部位として固定部53bよりも先端側の部分が折返し部53dとなっている。したがって、回路基板110の挿抜時における回路基板110と第2脚部53との物理的な接触による抵抗を小さくすることができる。
【0074】
また、本実施形態では、対をなすばね部材50a,50bにより、回路基板110の両面110a,110b側から付勢力を与えて回路基板110を固定する。したがって、回路基板110の一面側にばね部材50が位置し、回路基板110の他方の面側に付勢力を付与しない支持部が位置し、ばね部材50aと支持部(後述する図26及び図27参照)とにより回路基板110を固定する構成に比べて、幅方向における回路基板110の位置調整代を大きくすることができる。例えば、反りの大きい回路基板110にも対応することができる。また、本実施形態では、対をなすばね部材50a,50bの付勢力のバランスのとれた位置に回路基板110が保持されるので、反りなどにより回路基板110に過大な付勢力が付与されるのを抑制することもできる。
【0075】
また、本実施形態では、対をなすばね部材50a,50bにおいて、第1脚部52の固定部52bの深さ方向の位置が固定状態でほぼ同じであり、第2脚部53の固定部53bの深さ方向の位置が固定状態でほぼ同じである。したがって、深さ方向において、固定部52b同士、固定部53b同士の位置が異なる構成に比べて、回路基板110の変形を抑制することができる。一方、配列方向において、第1脚部52の固定部52bが互いに異なる位置とされ、第2脚部53の固定部53bが互いに異なる位置とされているため、対をなすばね部材50a,50bを、互いに干渉せずに動作させることができる。
【0076】
また、本実施形態では、軸部40が、配列方向に沿って延び、外形輪郭が真円状の円柱形状をなしている。このような軸部40を設けることで、ばね部材50の回動部51を回動しやすくすることができる。
【0077】
また、本実施形態では、ばね部材50の回動部51が、中心角180度より大きい範囲で軸部40周りに延びている。したがって、別途抜け防止部を設けなくとも、軸部40周りにおいて回動部51を軸部40に保持することができる。
【0078】
なお、本実施形態では、回路基板110の挿入時に、回路基板110が第1脚部52の傾斜部52dに接触する例を示した。しかしながら、図12に示すように、回路基板110が第1脚部52に接触しない場合でも、第2脚部53に回路基板110が接触し、回動部51が反対方向に回転することで、第1脚部52及び第2脚部53により回路基板110に付勢力を与えて回路基板110を固定することができる。
【0079】
(変形例)
本実施形態では、幅方向において、主として軸部40の中心41よりも溝部21に近い側に第1脚部52及び第2脚部53が位置し、主として軸部40の中心41よりも溝部21から遠い側に回動部51が位置する例を示した。しかしながら、図13に示すように、幅方向において、主として軸部40の中心41よりも溝部21に近い側に、第1脚部52及び第2脚部53とともに回動部51が位置するばね部材50を採用することもできる。なお、図13に示す回動部51は、180度よりも大きい中心角θcを有している。
【0080】
本実施形態では、回動部51の一端に第1脚部52が連結され、他端に第2脚部53が連結される例を示した。しかしながら、例えば図14(a),(b)に示すように、回動部51における端部とは異なる部位に第1脚部52の連結端52aが連結された構成としても良い。同様に、回動部51の端部とは異なる部位に第2脚部53の連結端53aが連結された構成としても良い。これによれば、回動部51の軸部40に沿う長さを長くして軸部40からの抜けを防止するとともに、連結端52a,53aの位置を深さ方向において溝部21からより離れた位置として、回路基板110から挿入方向の力を受けて回動部51を回動しやすくすることができる。
【0081】
本実施形態では、第2脚部53のうち、回動部51との連結端53aから固定部53bまでの部分が、初期状態で連結端53aに近いほど深さ方向において軸部40に近い傾斜部53cとされ、固定部53bよりも先端側の部分が、幅方向において軸部40に近い折返し部53dとされる例を示した。しかしながら、例えば図15に示すように、折返し部53dのないばね部材50を採用しても良い。ただし、折返し部53dを有さないと、特にカードエッジコネクタ10から回路基板110を抜く際の物理的な接触による抵抗が大きくなる。また、連結端53aから固定部53bまでを繋ぐ部分についても、上記傾斜部53cに限定されるものではない。第2脚部53としては、回路基板110が接触して挿入方向の力を受けると、該力を回動部51を反対方向に回転させる力に変換して、固定部53bを含む第2脚部53全体が回路基板110の一面上に位置できるように、連結端53aの位置、回動部51から延びる方向、及び長さが設定されれば良い。また、第1脚部52についても、回路基板110が接触して挿入方向の力を受けると、該力を回動部51を一方向に回転させる力に変換して、固定部52bを含む第1脚部52全体が回路基板110の一面上に位置できるように、連結端52aの位置、回動部51から延びる方向、及び長さが設定されれば良い。
【0082】
本実施形態では、柱状の軸部40として外形輪郭が真円の例を示した。しかしながら、軸部40の外形輪郭は上記例に限定されるものではない。例えば図16に示すように、外径輪郭が鼓状の軸部40を採用することもできる。外周面として弧面の部分を有すると回動部51が回動しやすい。さらには、配列方向に沿って延びる柱状に限定されるものでもない。回動部51が回動できる形状であれば良い。
【0083】
深さ方向における第1脚部52の固定部52b及び第2脚部53の固定部53bの配置としては、固定状態で、固定部52bと固定部53bの間に少なくとも軸部40の中心41が位置すれば良い。これにより、深さ方向において回路基板110を安定的に固定することができる。好ましくは、深さ方向において、複数の端子30の接触部31の少なくとも一部と重なるように、軸部40が設けられると良い。これによれば、深さ方向において、第1脚部52の固定部52bと第2脚部53の固定部53bとの間に、端子30の接触部31と回路基板110の電極との接続部の少なくとも一部が位置することとなり、端子と電極との接触圧の変動を効果的に抑制することができる。さらには、本実施形態に示したように、深さ方向において、第1脚部52の固定部52bと第2脚部53の固定部53bとの間に、複数の端子30の接触部31と回路基板110の電極との接続部が位置すると、端子と電極との接触圧の変動をより効果的に抑制することができる。
【0084】
また、本実施形態では、図6に示すように、同じ回動部51に連結された2つの脚部52,53の固定部52b,53bが、配列方向においてほぼ同じ位置とされ、対をなすばね部材50a,50bにおいて、一方のばね部材50aの固定部52b,53bと他方のばね部材50bの固定部52b,53bとが配列方向においてずれて設けられる。そして、配列方向における両端部において、一方の端部ではばね部材50aが外側、他方の端部ではばね部材50bが外側に位置する例を示した。しかしながら、配列方向における両端部において、両端部でばね部材50a(又は両端部でばね部材50b)が外側に位置するようにしても良い。
【0085】
(第2実施形態)
本実施形態に係るカードエッジコネクタ10は、ばね部材50における回動部51の回動範囲を規制するストッパをハウジング20が有する点を特徴とする。
【0086】
図17に示すストッパ70は、主として反対方向に回転する回動部51の回動範囲を規制するものである。図17では、ストッパ70が、第1脚部52の傾斜部52cに対し、反対方向側に設けられている。このため、回動部51が反対方向に回転し、第1脚部52の傾斜部52cがストッパ70に接触すると、回動部51がそれ以上回転できなくなる。したがって、回路基板110を挿入する前や回路基板110を抜いた後の初期状態での、ばね部材50の過大な位置ズレを抑制し、回路基板110挿入時にばね部材50により回路基板110を確実に固定することができる。例えば回路基板110を溝部21に挿入する際に、回路基板110の先端を第1脚部52の傾斜部52dに接触させることができる。
【0087】
このようなストッパ70は、軸部40と同様に構成することができる。本実施形態では、軸部40同様、ハウジング20の一部として側面20bから突起してストッパ70が形成されている。なお、図17では、第1脚部52に接触して回動部51の反対方向の回転を規制するようにストッパ70が設けられる例を示した。しかしながら、第2脚部53の傾斜部53cに対し、反対方向側にストッパ70を設けることで、ストッパ70に第2脚部53が接触し、回動部51の反対方向の回転が規制されるようにしても良い。
【0088】
図18に示すストッパ71は、主として一方向に回転する回動部51の回動範囲を規制するものである。図18では、ストッパ71が、第2脚部53の傾斜部53cに対し、一方向側に設けられている。このため、回動部51が一方向に回転し、第2脚部53の傾斜部53cがストッパ71に接触すると、回動部51がそれ以上回転できなくなる。したがって、初期状態でのばね部材50の過大な位置ズレを抑制し、回路基板110挿入時にばね部材50により回路基板110を確実に固定することができる。例えば回路基板110を溝部21に挿入する際に、回路基板110の先端を第2脚部53の傾斜部53cに接触させることができる。
【0089】
なお、図18では、第2脚部53に接触して回動部51の一方向の回転を規制するようにストッパ71が設けられる例を示した。しかしながら、第1脚部52の傾斜部52cに対し、一方向側にストッパ71を設けることで、ストッパ71に第1脚部52が接触し、回動部51の反対方向の回転が規制されるようにしても良い。また、このストッパ71についても、ストッパ70同様設けることができる。
【0090】
図19(a)に示す例では、上記した2つのストッパ70,71を有している。このように2つのストッパ70,71を有すると、一方向及び反対方向の両方向の回転について、回動部51の回転範囲を規制することができる。すなわち、回動部51の回動可能範囲をより狭い範囲に規制することができる。したがって、例えば図19(a)に示すように、中心角が180度以下の回動部51を有するばね部材50を採用しても、軸部40周りにおいて軸部40からばね部材50が抜け落ちるのを防ぐことができる。
【0091】
また、図19(b)に示すように、ストッパ70,71両方の機能を有する兼用のストッパ72を採用することができる。このストッパ72は、軸部40の外周面と略平行に、所定範囲にわたって軸部40周りに設けられている。すなわち、軸部40とストッパ72の間に回動部51が配置されている。このストッパ72によっても、中心角が180度以下の回動部51を有するばね部材50が軸部40から抜け落ちるのを防ぐことができる。なお、図19(a)に示すストッパ70,71と、図19(b)に示すストッパ72をいずれも有する構成を採用することもできる。
【0092】
図20に示す例では、第1実施形態の図13に示したばね部材50に、図19(b)に示すストッパ72を組み合わせている。これによれば、ストッパ72により回動部51の回動範囲を規制することができる。また、中心角が180度以下の回動部51を有するばね部材50を採用し、且つ、軸部40に対して回動部51が鉛直下方に位置しても、ばね部材50が軸部40から抜け落ちるのを防ぐことができる。
【0093】
(第3実施形態)
本実施形態に係るカードエッジコネクタ10は、対をなすばね部材50a,50bにおいて、各固定部52b,53bの配置に特徴がある。
【0094】
第1実施形態では、図6に示すように、同じ回動部51に連結された2つの脚部52,52の固定部52b,53bが、配列方向においてほぼ同じ位置とされ、対をなすばね部材50a,50bにおいて、一方のばね部材50aの固定部52b,53bと他方のばね部材50bの固定部52b,53bとが配列方向においてずれて設けられる例を示した。
【0095】
これに対し、図21(a)に展開図を示すばね部材50は、展開状態でクランク形状となっている。そして、固定状態で、図21(b)に示すように、ばね部材50aの固定部52b,53b(ともに実線で図示)を結んでなる第1仮想直線と、ばね部材50bの固定部52b,53b(ともに破線で図示)を結んでなる第2仮想直線とが、幅方向に垂直な平面(深さ方向及び配列方向に沿う平面)において交差する。
【0096】
このようなばね部材50(50a,50b)を採用すると、配列方向において、固定部52b同士を異なる位置、固定部53b同士を異なる位置としながらも、回路基板110の変形を抑制することができる。
【0097】
なお、第1仮想直線と第2仮想直線とが交差するようなばね部材50としては、例えば図22(a)〜(c)に示すコイル状のばね部材50a,50bを採用しても良い。コイル状のばね部材50とは、回動部51が中心角360度より大きい範囲で軸部40周りに延びたものである。このようなばね部材50を採用すると、中心角が360度未満のばね部材50に比べてばね力を稼ぐことができる。また、回動部51に対する脚部52,53の連結端52a,53a位置の自由度を向上することができる。
【0098】
また、配列方向において、ばね部材50aが(n+1)個[nは正の整数]の固定部を有し、ばね部材50bがn個の固定部を有する。そして、ばね部材50aの固定部間の領域1つにつき、ばね部材50bの固定部が1つ対向配置される構成としても、回路基板110の変形を抑制できる。例えば図23(a),(b)に示す例では、ばね部材50aは、深さ方向において互いにほぼ同じ位置であり、配列方向においてずれて設けられた2本の第1脚部52を有している。同様に、深さ方向において互いにほぼ同じ位置であり、配列方向においてずれて設けられた2本の第2脚部53を有している。したがって、ばね部材50aは2個の固定部52bと2個の固定部53bを有している。一方、ばね部材50bは、ばね部材50aの2つの固定部52b間の領域に、固定部52bが対向配置され、ばね部材50aの2つの固定部53b間の領域に、固定部53bが対向配置されるように構成されている。
【0099】
なお、図23(a),(b)においては、ばね部材50aが(n+1)個の固定部52bと(n+1)個の固定部53bを有し、ばね部材50bがn個の固定部52bとn個の固定部53bを有する例を示した。しかしながら、例えば図24(a)に示すように、ばね部材50aが2個の固定部52bと1個の固定部53bを有し、ばね部材50bが1個の固定部52bと2個の固定部53bを有する。そして、図24(b)に示すように、ばね部材50aの2つの固定部52b間の領域に、ばね部材50bの固定部52bが対向配置され、ばね部材50bの2つの固定部53b間の領域に、ばね部材50aの固定部53bが対向配置される構成としても良い。
【0100】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0101】
本実施形態では、溝部21がハウジング20における基板側部22の側面20bに開口する例を示した。しかしながら、例えば図25に示すように、回路基板110が挿入配置される溝部(収納空間)が、側面20bに開口せず先端面20aのみに開口する有底孔24であり、該有底孔24の壁面に軸部40が設けられた構成を採用することもできる。すなわち、有底孔24内に少なからずばね部材50が配置される構成を採用することもできる。図25に示す有底孔24は、ハウジング20における複数の端子30を保持する中央部分で回路基板110の厚さに応じた幅とされ、配列方向において中央部分を挟む両端部分で中央部分よりも幅が広くなっている。そして、両端部分における壁面から、軸部40(40a,40b)が配列方向に沿って突起している。図25では、ハウジング20の中央部分側の壁面に軸部40が設けられている。そして、各軸部40(40a,40b)にばね部材50(50a,50b)が取り付けられている。この構成では、回路基板110の端部を、ハウジング20の有底孔24の空間内に収容することができる。なお、図25では、軸部40をハウジング20の中央部分側の壁面に設ける例を示したが、該壁面と対向する壁面に設けることもできる。また、ハウジング20を、例えば図25に破線で示す位置での分割構造とすると、有底孔24の内壁に軸部40を有し、有底孔24内にばね部材50が収容された構成を形成しやすくなる。
【0102】
本実施形態では、複数の端子30の接触部31の両端側において、一対のばね部材50a,50bがそれぞれ設けられる例を示した。しかしながら、両端それぞれにおいて複数対のばね部材50a,50bが設けられる構成としても良い。その際、配列方向において複数対のばね部材50a,50bが配置されても良いし、深さ方向において複数対のばね部材50a,50bが配置されても良い。
【0103】
ばね部材50(軸部40)は、配列方向において複数の端子30の接触部31(接触部31と回路基板110の電極との接続部)が間に位置するように、複数の接触部31の両端側であって少なくとも溝部21に対し幅方向における同一側にそれぞれ設けられれば良い。したがって、例えば図26に示すように、回路基板110の一面側のみに軸部40及びばね部材50を設け、回路基板の他方の面側を、ハウジング20に一体的に設けた支持部25にて支持する構成を採用することもできる。この構成では、支持部25に回路基板110が接触すると、深さ方向において回路基板110の位置が決定される。このような支持部25は、図25に示す有底孔24にも適用することができる。
【0104】
また、図27に示す例では、回路基板110の一面側のみに軸部40及びばね部材50を設け、回路基板の他方の面側を、ケース120に一体的に設けた支持部122にて支持する構成となっている。なお、図27に示す構成は、ハウジング20に溝部21が設けられ、ハウジング20の外に、軸部40及びばね部材50が設けられる構成において採用することができる。
【符号の説明】
【0105】
10・・・カードエッジコネクタ
20・・・ハウジング
21・・・溝
30・・・端子
31・・・接触部
40・・・軸部
41・・・中心
50・・・ばね部材
50a,50b・・・(対をなす)ばね部材
51・・・回動部
52・・・第1脚部
53・・・第2脚部
52b,53b・・・固定部
110・・・回路基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の端部が挿入されることにより、前記回路基板の端部における両面のうち少なくとも一方の面上に設けられた複数の電極と、外部に引き出されるハーネスとの電気的接続を行なうカードエッジコネクタであって、
前記回路基板の端部が挿入配置される溝部を有するハウジングと、
前記ハウジングに保持され、前記電極と前記ハーネスとを電気的に接続する部材であって、前記電極と接触すべく前記溝部の側壁から露出された接触部を有し、該接触部が前記溝部の深さ方向及び前記回路基板の厚さ方向に対応する前記溝部の幅方向の両方向に垂直な方向に沿って配列された複数の端子と、
前記ハウジングに設けられた軸部と、
前記軸部に取り付けられ、前記回路基板を固定するばね部材と、を備え、
前記軸部は、前記配列方向において、前記複数の端子の接触部が間に位置するように前記複数の接触部の両端側であって、前記溝部に対し前記幅方向における同一側にそれぞれ設けられ、
前記ばね部材は、
前記軸部に対し、前記軸部周りに回動可能に取り付けられた回動部と、該回動部から延びた第1脚部及び第2脚部とを有しており、
前記第1脚部及び前記第2脚部の両方が前記回路基板における軸部側の一面に接触して前記回路基板を固定する固定状態で、前記深さ方向において、前記第1脚部の固定部と前記第2脚部の固定部との間に前記軸部の中心が位置し、
前記回路基板を挿入する際に、前記回路基板が前記ばね部材の第1脚部に接触すると、前記第1脚部の固定部が前記回路基板における軸部側の一面上に位置するように前記回動部が一方向に回転し、前記回路基板が前記ばね部材の第2脚部に接触すると、前記第2脚部の固定部が前記回路基板における軸部側の一面上に位置するように前記回動部が前記一方向と反対に回転するとともに、前記第1脚部の固定部及び前記第2脚部の固定部の両方が前記回路基板における軸部側の一面に接触して付勢力を与え、前記回路基板を固定することを特徴とするカードエッジコネクタ。
【請求項2】
前記ばね部材の第1脚部及び第2脚部は、前記回路基板が挿入されない初期状態での前記固定部から前記軸部までの前記幅方向の距離が、前記回路基板の固定状態での前記固定部から前記軸部までの距離よりも長く、
前記第1脚部は、前記回動部との連結端から前記固定部までが前記連結端に近いほど前記深さ方向において前記軸部に近い傾斜を有するとともに、前記固定部から先端までが先端に近いほど前記幅方向おいて前記固定部から離れる傾斜を有することを特徴とする請求項1に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項3】
前記第2脚部は、前記回動部との連結端から前記固定部までが前記連結端に近いほど前記深さ方向において前記軸部に近い傾斜を有するとともに、前記固定部を曲げ部位として前記固定部よりも先端側の部位が前記幅方向において対応する前記軸部に近いことを特徴とする請求項2に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項4】
前記軸部は、前記複数の接触部の両端側それぞれにおいて、前記幅方向で前記溝が間に位置するように少なくとも一対設けられ、
前記回路基板を挿入する際に、対をなす前記ばね部材における第1脚部及び第2脚部の4つの脚部全てが前記回路基板に接触すると、前記4つの脚部により前記回路基板の両面側から付勢力を与えて前記回路基板を固定することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項5】
前記幅方向で対をなす前記ばね部材において、
前記回路基板を固定する前記第1脚部の固定部同士が、前記深さ方向で同じ位置とされ、
前記回路基板を固定する前記第2脚部の固定部同士が、前記深さ方向で同じ位置とされることを特徴とする請求項4に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項6】
前記配列方向において、前記第1脚部の固定部が互いに異なる位置とされ、前記第2脚部の固定部が互いに異なる位置とされることを特徴とする請求項5に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項7】
前記配列方向において、一方の前記ばね部材は(n+1)個[nは正の整数]の前記固定部を有し、他方の前記ばね部材はn個の前記固定部を有し、
前記一方のばね部材の固定部間の領域1つにつき、前記他方のばね部材の固定部が1つ対向配置されることを特徴とする請求項6に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項8】
一方の前記ばね部材における前記第1脚部の固定部と前記第2脚部の固定部とを結んでなる第1仮想直線と、他方の前記ばね部材における前記第1脚部の固定部と前記第2脚部の固定部とを結んでなる第2仮想直線とが、前記幅方向に垂直な平面において交差することを特徴とする請求項6に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項9】
前記軸部は、前記深さ方向において、前記複数の端子の接触部の少なくとも一部と重なるように設けられることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項10】
前記深さ方向において、前記回路基板を固定する前記第1脚部の固定部と前記第2脚部の固定部との間に、前記複数の端子の接触部が位置することを特徴とする請求項9に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項11】
前記ばね部材の回動部は、中心角180度より大きい範囲で前記軸部周りに延びていることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項12】
前記ばね部材の前記回動部は、中心角360度より大きい範囲で前記軸部周りに延びていることを特徴とする請求項11に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項13】
前記軸部は、前記配列方向に沿って延び、外形輪郭が真円状をなす柱状とされることを特徴とする請求項1〜12いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項14】
前記ハウジングには、前記回動部の回動範囲を規制するストッパが設けられることを特徴とする請求項1〜13いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項15】
前記溝部は、前記配列方向における前記ハウジングの両側面にそれぞれ開口し、
前記軸部は、前記ハウジングの側面に設けられることを特徴とする請求項1〜14いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項16】
前記溝部は、有底孔であり、
該有底孔は、前記配列方向において、前記ハウジングにおける前記複数の端子を保持する部位に対応する中央部分の幅よりも、該中央部分を挟む両端部分の幅のほうが広くされ、前記両端部分における内壁に前記軸部が設けられることを特徴とする請求項1〜14いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項17】
前記電極は、前記回路基板の両面にそれぞれ設けられており、
前記端子の接触部は、前記電極に対応して、前記溝部の相対する側壁から露出していることを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項1】
回路基板の端部が挿入されることにより、前記回路基板の端部における両面のうち少なくとも一方の面上に設けられた複数の電極と、外部に引き出されるハーネスとの電気的接続を行なうカードエッジコネクタであって、
前記回路基板の端部が挿入配置される溝部を有するハウジングと、
前記ハウジングに保持され、前記電極と前記ハーネスとを電気的に接続する部材であって、前記電極と接触すべく前記溝部の側壁から露出された接触部を有し、該接触部が前記溝部の深さ方向及び前記回路基板の厚さ方向に対応する前記溝部の幅方向の両方向に垂直な方向に沿って配列された複数の端子と、
前記ハウジングに設けられた軸部と、
前記軸部に取り付けられ、前記回路基板を固定するばね部材と、を備え、
前記軸部は、前記配列方向において、前記複数の端子の接触部が間に位置するように前記複数の接触部の両端側であって、前記溝部に対し前記幅方向における同一側にそれぞれ設けられ、
前記ばね部材は、
前記軸部に対し、前記軸部周りに回動可能に取り付けられた回動部と、該回動部から延びた第1脚部及び第2脚部とを有しており、
前記第1脚部及び前記第2脚部の両方が前記回路基板における軸部側の一面に接触して前記回路基板を固定する固定状態で、前記深さ方向において、前記第1脚部の固定部と前記第2脚部の固定部との間に前記軸部の中心が位置し、
前記回路基板を挿入する際に、前記回路基板が前記ばね部材の第1脚部に接触すると、前記第1脚部の固定部が前記回路基板における軸部側の一面上に位置するように前記回動部が一方向に回転し、前記回路基板が前記ばね部材の第2脚部に接触すると、前記第2脚部の固定部が前記回路基板における軸部側の一面上に位置するように前記回動部が前記一方向と反対に回転するとともに、前記第1脚部の固定部及び前記第2脚部の固定部の両方が前記回路基板における軸部側の一面に接触して付勢力を与え、前記回路基板を固定することを特徴とするカードエッジコネクタ。
【請求項2】
前記ばね部材の第1脚部及び第2脚部は、前記回路基板が挿入されない初期状態での前記固定部から前記軸部までの前記幅方向の距離が、前記回路基板の固定状態での前記固定部から前記軸部までの距離よりも長く、
前記第1脚部は、前記回動部との連結端から前記固定部までが前記連結端に近いほど前記深さ方向において前記軸部に近い傾斜を有するとともに、前記固定部から先端までが先端に近いほど前記幅方向おいて前記固定部から離れる傾斜を有することを特徴とする請求項1に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項3】
前記第2脚部は、前記回動部との連結端から前記固定部までが前記連結端に近いほど前記深さ方向において前記軸部に近い傾斜を有するとともに、前記固定部を曲げ部位として前記固定部よりも先端側の部位が前記幅方向において対応する前記軸部に近いことを特徴とする請求項2に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項4】
前記軸部は、前記複数の接触部の両端側それぞれにおいて、前記幅方向で前記溝が間に位置するように少なくとも一対設けられ、
前記回路基板を挿入する際に、対をなす前記ばね部材における第1脚部及び第2脚部の4つの脚部全てが前記回路基板に接触すると、前記4つの脚部により前記回路基板の両面側から付勢力を与えて前記回路基板を固定することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項5】
前記幅方向で対をなす前記ばね部材において、
前記回路基板を固定する前記第1脚部の固定部同士が、前記深さ方向で同じ位置とされ、
前記回路基板を固定する前記第2脚部の固定部同士が、前記深さ方向で同じ位置とされることを特徴とする請求項4に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項6】
前記配列方向において、前記第1脚部の固定部が互いに異なる位置とされ、前記第2脚部の固定部が互いに異なる位置とされることを特徴とする請求項5に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項7】
前記配列方向において、一方の前記ばね部材は(n+1)個[nは正の整数]の前記固定部を有し、他方の前記ばね部材はn個の前記固定部を有し、
前記一方のばね部材の固定部間の領域1つにつき、前記他方のばね部材の固定部が1つ対向配置されることを特徴とする請求項6に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項8】
一方の前記ばね部材における前記第1脚部の固定部と前記第2脚部の固定部とを結んでなる第1仮想直線と、他方の前記ばね部材における前記第1脚部の固定部と前記第2脚部の固定部とを結んでなる第2仮想直線とが、前記幅方向に垂直な平面において交差することを特徴とする請求項6に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項9】
前記軸部は、前記深さ方向において、前記複数の端子の接触部の少なくとも一部と重なるように設けられることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項10】
前記深さ方向において、前記回路基板を固定する前記第1脚部の固定部と前記第2脚部の固定部との間に、前記複数の端子の接触部が位置することを特徴とする請求項9に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項11】
前記ばね部材の回動部は、中心角180度より大きい範囲で前記軸部周りに延びていることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項12】
前記ばね部材の前記回動部は、中心角360度より大きい範囲で前記軸部周りに延びていることを特徴とする請求項11に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項13】
前記軸部は、前記配列方向に沿って延び、外形輪郭が真円状をなす柱状とされることを特徴とする請求項1〜12いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項14】
前記ハウジングには、前記回動部の回動範囲を規制するストッパが設けられることを特徴とする請求項1〜13いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項15】
前記溝部は、前記配列方向における前記ハウジングの両側面にそれぞれ開口し、
前記軸部は、前記ハウジングの側面に設けられることを特徴とする請求項1〜14いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項16】
前記溝部は、有底孔であり、
該有底孔は、前記配列方向において、前記ハウジングにおける前記複数の端子を保持する部位に対応する中央部分の幅よりも、該中央部分を挟む両端部分の幅のほうが広くされ、前記両端部分における内壁に前記軸部が設けられることを特徴とする請求項1〜14いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【請求項17】
前記電極は、前記回路基板の両面にそれぞれ設けられており、
前記端子の接触部は、前記電極に対応して、前記溝部の相対する側壁から露出していることを特徴とする請求項1〜16いずれか1項に記載のカードエッジコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2012−49078(P2012−49078A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192294(P2010−192294)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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