説明

カードコネクタおよびコネクタ端子

【課題】横入れにも縦入れにも適用できるコネクタ端子を備えるとともに十分な瞬断耐性を有するカードコネクタおよびコネクタ端子を提供する。
【解決手段】コネクタ端子12を固定したインシュレータ11と、インシュレータ11に組み付けられ、インシュレータ11との間にカード収容部22を形成するカバー13と、インシュレータ11を半田により基板に固定するための固定金具42とを備えたカードコネクタ10およびコネクタ端子12であって、コネクタ端子12は、カード収容部22への情報記録カード70の挿入方向と交差する方向に延在して端子基部17から片持ち支持された一対の板状のアーム片と、前記挿入方向に対して傾斜した誘い面を有し前記アーム片の自由端部に連結して設けられた凸状の接触子18と、を備え、前記アーム片は前記端子基部と前記接触子との間にわたって捻られた形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant(Personal Data Assistance))、ノート型パソコン等に装着することで個人情報を抽出するSIMカード(Subscriber Identity Mobule)等の情報記録カードの装着用に用いられるカードコネクタおよびコネクタ端子に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に用いられるSIMカードは、例えば、ヨーロッパ等の国を超えて単一の携帯電話を使用する機会が多い場合、その国で発行されているSIMカードを入れ換えて使用すれば、異なる国において、その携帯電話を使用することができる。特に、SIMカードは、使用する国で購入する方が低価格な通話料金で通話をすることができる。
【0003】
従来のカードコネクタとして、図18(A),(B)に示すように、ケース101とカバー102との間に形成されたカード収容部103に、このカード収容部103の挿抜方向を長手方向にして複数のコネクタ端子104を組み付け、カード収容部103にSIMカード即ち情報記録カード200を縦入れ即ち短辺をカード収容部103に向けて挿入するようにしたカードコネクタ100が知られている(例えば、特許文献1参照)。なお、以下の説明において、短辺をカード収容部に向けて挿入することを縦入れといい、長辺をカード収容部に向けて挿入することを横入れという。
【0004】
【特許文献1】特開2007−26919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に開示されたカードコネクタ100においては、情報記録カード200を縦入れに代えて横入れする場合、コネクタ端子104の長手方向を、カード収容部103の挿抜方向に変更して配列することになって異なる金型を用意する等コスト面で不利になる。そのため、金型の大幅な変更がなく製造できる横入れ用のカードコネクタが望まれている。
【0006】
また、上記特許文献1に開示されたカードコネクタ100においては、落下させてしまった場合に、通電中のコネクタ端子104が情報記録カード200側のカード側接点から瞬間的に離れて信号や電力等の微小電流が一時的に途切れてしまう、所謂瞬断を起こすおそれがある。そして、瞬断時間が長いと情報記録カード200内に電気的に記録されている情報が消失したり携帯電話内の部品に損傷を与えたりするおそれがある。したがって、瞬断に対する十分な耐性が望まれている。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の縦入れ用カードコネクタと同じ端子配列で金型を大幅に変更させずに横入れ用として製造できるとともに十分な瞬断耐性を有するカードコネクタおよび小型でも十分な瞬断耐性が得られるコネクタ端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) コネクタ端子を固定したインシュレータと、前記インシュレータに組み付けられ、該インシュレータとの間にカード収容部を形成するカバーと、前記インシュレータを半田により基板に固定するための固定金具とを備え、
情報を記憶した情報記録カードの前記カード収容部への装着に伴い、前記コネクタ端子を該情報記録カードに電気的に接続して前記情報記録カードの前記情報を抽出するのに用いられるカードコネクタであって、
前記コネクタ端子は、前記カード収容部への前記情報記録カードの挿入方向と交差する方向に延在して端子基部から片持ち支持された一対の板状のアーム片と、前記挿入方向に対して傾斜した誘い面を有し前記アーム片の自由端部に連結して設けられた凸状の接触子と、を備え、
前記アーム片は前記端子基部と前記接触子との間にわたって捻られた形状であることを特徴とするカードコネクタ。
【0009】
(2) 前記コネクタ端子の前記アーム片は、前記端子基部から前記接触子に向けて幅狭に形成されていることを特徴とする前記(1)記載のカードコネクタ。
【0010】
(3) 端子基部から片持ち支持された一対の板状のアーム片と、相手側接触子の移動方向に対して傾斜した誘い面を有し前記アーム片の自由端部に連結して設けられた凸状の接触子と、を備え、前記アーム片は前記端子基部と前記接触子との間にわたって捻られた形状であることを特徴とするコネクタ端子。
【0011】
(4) 前記アーム片は、前記端子基部から前記接触子に向けて幅狭に形成されていることを特徴とする前記(3)記載のコネクタ端子。
【0012】
上記(1)の構成のカードコネクタによれば、コネクタ端子は、前記カード収容部への前記情報記録カードの挿入方向と交差する方向に延在して端子基部から片持ち支持された一対の板状のアーム片と、前記挿入方向に対して傾斜した誘い面を有し前記アーム片の自由端部に連結して設けられた凸状の接触子と、を備えているので、カード収容部へ横入れした情報記録カードに接触子を確実に接触させることができる。これにより、従来の縦入れ用カードコネクタの端子配列の金型を横入れ用に転用して、金型におけるカード挿入口の位置を変えるだけで、横入れ用カードコネクタを容易に製造できる。したがって、従来の金型のコネクタ端子の配列を変更する必要がなくなってコスト面で有利に製造することができる。
【0013】
また、片持ち支持構造によってコネクタ端子の全長を短くすることができるとともに、カード収容部に情報記録カードを挿入した際に、コネクタ端子は、接触子の接触側に有する傾斜した誘い面を介して情報記録カードに確実に接触することができる。
【0014】
また、アーム片を捻れ構造にすることにより剛性を高めることができ、接触子に情報記録カードを接触させた際の弾性反発力を高くして固有振動数を好ましい高い値に設定することができる。したがって、所定の接触圧力による十分な瞬断耐性を有するコネクタ端子を得られる。また、単純に平面板形状のアーム片を有するものと比べて、肉厚を薄くしても高い剛性を得られるので、材料の使用量を低減して軽量化を図ることができる。
【0015】
上記(2)の構成のカードコネクタによれば、接触子側が端子基部よりも動き易いので、接触子側に与えられた応力を接触子側で吸収でき、応力が基端部に集中することがない。したがって、コネクタ端子の損傷が防止され耐久性が向上する。
【0016】
上記(3)の構成のコネクタ端子によれば、その長手方向を被接続体の進行方向に交差して配置した場合においても、被接続体に接触子を接触させることができる。これにより、従来の縦入れ用カードコネクタの金型の端子配列を変更せずに、横入れ用カードコネクタの金型に改造することができるので、コスト面で有利に製造することができる。
【0017】
また、片持ち支持構造によってコネクタ端子全長を短くすることができるとともに、接触子に有する傾斜した誘い面を介して情報記録カードに確実に接触することができる。
【0018】
また、アーム片は捻れ構造にすることにより剛性を高めることができ、接触子に被接続体を接触させた際の弾性反発力を高くして固有振動数を好ましい高い値に設定することができる。したがって、所定の接触圧力による十分な瞬断耐性を得ることができる。また、単純に平面板形状のアーム片を有するものと比べて、肉厚を薄くすることができるために材料の使用量を低減して軽量化を図ることができる。
【0019】
また、上記(4)の構成のコネクタ端子によれば、接触子側が端子基部よりも動き易いので、先端部に与えられた応力を接触子側で吸収でき、応力が基端部に集中することがない。したがって、コネクタ端子の損傷が防止され、耐久性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、カバー従来の縦入れ用カードコネクタと同じ端子配列で横入れ用カードコネクタを製造することができ、金型の改造が少なくてすみ、横入れ用に対応したカードコネクタを容易に製造できる。また、コネクタ端子の剛性が高くなるので、十分な瞬断耐性を備えるカードコネクタおよびコネクタ端子を提供できる。更に、コネクタ端子は小型でも高い弾性力を発揮することができるので、コネクタ端子を低背化でき、カードコネクタを薄形化することができる。この結果、カードコネクタが装着される携帯電話等の機器も薄形化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る好適な実施形態について図を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1〜図17は本発明に係るカードコネクタおよびコネクタ端子の一実施形態を示すもので、図1は本発明に係るカードコネクタの一実施形態の斜め上方から視た斜視図、図2は図1のカードコネクタに用いられるインシュレータの平面図、図3は図2のインシュレータの正面図、図4は図2のインシュレータの右側面図、図5は図2のインシュレータの底面図、図6は図1のコネクタ端子周りの斜め上方から視た斜視図、図7は図6のコネクタ端子の図6よりも下方から視た斜視図、図8は図6のコネクタ端子の平面図、図9は図6のコネクタ端子の正面図、図10(A)は図6のコネクタ端子のアームの基端部の断面図、図10(B)は図6のコネクタ端子のアームの先端部の断面図、図11は図1のカードコネクタへの情報記録カードの横入れ時の断面図である。
【0023】
また、図12は本発明の一実施例に係るコネクタ端子の変形例の斜め上方から視た斜視図、図13は図12のコネクタ端子の図11よりも下方から視た斜視図、図14は図12のコネクタ端子の平面図、図15は図12のコネクタ端子の正面図、図16は図12のカードコネクタへの情報記録カードの縦入れ時の断面図、図17は図12のカードコネクタへの情報記録カードの図16とは反対方向からの縦入れ時の断面図である。
【0024】
図1に示すように、本発明の一実施形態であるカードコネクタ10は、インシュレータ11と、インシュレータ11に一体成形された6個のコネクタ端子12と、インシュレータ11に組み付けられるカバー13と、インシュレータ11を半田により基板に固定するための固定金具42とを備え、情報記録カード70を挿抜自在に保持する。
【0025】
ここで、情報記録カード70は、世界中の国で利用されている統一規格のSIMカード(Subscriber Identity Mobule)であり、一対の長辺71と、一対の短辺72と、を有する長方形の板状体である。情報記録カード70は、コネクタ端子12の配列に対応する複数のカード側接点(不図示)を有する。
【0026】
情報記録カード70は、内蔵されている記録装置(RAM)に、電話番号、ユーザーID、料金等の通話契約情報や、個人メールアドレス等が保存されているとともに、情報の演算処理等を行うことができ、カード側接点から、それらの情報を抽出することができる。
【0027】
インシュレータ11は、非導電性の例えば硬質の樹脂材料を用いて縦断面視コ字形に成形されている。インシュレータ11は平板状をなすインシュレータ本体14を有し、インシュレータ本体14の両側部に一対のガイド板15を有する。
【0028】
インシュレータ本体14は、図1中に矢印で示す情報記録カード70の挿入方向に3個ずつ2列の6個の端子窓16を有する。
【0029】
コネクタ端子12は、基端部17をインシュレータ本体14に固定されており、先端部に接触子18を有し、基端部17と接触子18とはアーム19により連結されている。
【0030】
カバー13は、導電性を有する例えばステンレス等の鋼材料を用いて略コ字形にプレス成形されており、外乱防止用のシールドとして機能する。カバー13は、平板状をなすカバー本体20を有し、カバー本体20の両側部に一対のガイド板挿入部21を有する。
【0031】
カバー13は、ガイド板挿入部21をインシュレータ11のガイド板15にそれぞれ挿入させることでインシュレータ11に組み付けられる。そして、カバー13のカバー本体20とインシュレータ11のインシュレータ本体14との間にカード収容部22が形成されている。カード収容部22に挿入された情報記録カード70はカバー本体20とインシュレータ本体14とによって挿抜自在に装填される。
【0032】
図2に示すように、インシュレータ11は両ガイド板15にインシュレータ11を半田により基板に固定するための固定金具42が装着されている。固定金具42はカバー嵌着用の可撓片23を有する。可撓片23は、ガイド板15にカバー13のガイド板挿入部21を挿入した際にカバー13を抜け止めして固定するとともに、カバー13との電気的接続片として機能する。固定金具42はカバー13と電気的に接触し、半田により基板に固定されることにより、基板へアースを落とす機能を有する。
【0033】
図3に示すように、コネクタ端子12は、接触子18をインシュレータ本体14の端子窓16から上方に向けて突出して装着されている。
【0034】
図4、図5に示すように、コネクタ端子12の基端部17は、インシュレータ本体14の裏面で折り返されてインシュレータ本体14に固定されている。基端部17は、このカードコネクタ10が搭載される携帯電話等の機器内の不図示の制御回路に電気的に接続される。
【0035】
次に、図6、図7、図8、図9、図10を参照してコネクタ端子12の詳細構造について説明する。
【0036】
図6に示すように、コネクタ端子12は、その基端部17をインシュレータ11に固定した片持ち支持構造である長方形の板形状に形成されている。コネクタ端子12は接触子18の端部に舌片24を有する。舌片24は断面L字形状に突出形成されており、インシュレータ11の端子窓16の下面に係止することで、接触子18の突出寸法(図11参照)L1を例えば0.3mmの所定の値に設定して所定の接触圧が得られるようになっている。
【0037】
アーム19は、その中央部に肉抜き部25が形成され、肉抜き部25の両側に一対のアーム片26を有する。アーム片26は幅寸法が基端部から先端部に向けて幅狭になっている。
【0038】
図7に示すように、アーム19は、先端側が図7中の上方即ち情報記録カード70への接触側に向けて張り出すように片持ち支持構造になっている。これにより、コネクタ端子12は情報記録カード70へ向けて弾性反発力を蓄積する。
【0039】
図8に示すように、アーム19は、接触子18と同一の幅寸法を有する幅広に形成されているために、情報記録カード70の挿入時の荷重に伴う接触子18の姿勢変動等の変形を少なくすることができる。
【0040】
アーム片26は、その基端部27に対してその先端部の接触子接続部28の幅寸法を小さく形成されているために、情報記録カード70の挿入に伴い接触子18に与えられた応力を接触子側で吸収することができ、応力を基端部27に集中させないようにできる。
【0041】
接触子18は、アーム片26の接触子接続部28側に延出した側部湾曲傾斜面29,30と、コネクタ端子12の長手方向の前方に延出した前部湾曲傾斜面31と、コネクタ端子12の長手方向の後方に延出した後部湾曲傾斜面32と、を有する。各湾曲傾斜面29,30,31,32は、情報記録カード挿入方向に対して傾斜し情報記録カード70への接触側に向けて凸となる略半球形状を形成するように一体に連設されている。アーム片26に連続した湾曲傾斜面29,30は、情報記録カード挿入時にカード側接点を円滑に接触子18の頂点へ誘導する誘い面として機能する。
【0042】
接触子18は、側部湾曲傾斜面29,30を介して一対のアーム片26の先端部の接触子接続部28にそれぞれ接続しているために、アームの中央部に接触子を単純に接続したものと比べて剛性を高くすることができる。
【0043】
図9、図10(A),(B)に示すように、アーム片26は、プレス加工により、その幅方向にわずかに湾曲して形成されており、基端部27と接触子接続部28との間に捻れ部33を有する。そのため、アーム片26は、基端部27をコネクタ端子12の基端部17と同一の平面に形成され、接触子接続部28を接触子18と連続する傾斜面に形成され、接触子接続部28を基端部27に対して傾斜して形成されている。このとき、一対のアーム片26の接触子接続部28の形成する角度C1を例えば90度〜120度に設定しているために、情報記録カード70に対する30度〜45度の誘い角C2をコネクタ端子12に設定することができる。
【0044】
アーム19は長手方向にわたる捻れ部33を有する一対のアーム片26によって形成されるために接触子18に情報記録カード70を接触させた際の弾性反発力を高くすることができる。また、単純に平面板形状のアームを有するものと比べて、コネクタ端子12全体の肉厚を薄くかつ長さを短くしても同じ弾性反発力を得られる。
【0045】
図11に示すように、コネクタ端子12は、図11中に示す矢印方向(図8に示すX1方向即ち図1に示した矢印方向)即ちコネクタ端子12の長手方向に交差する一方向に、横入れにより挿入される(進行する)情報記録カード70に、接触子18の一方の側部湾曲傾斜面29を介して電気的な接続を行える。
【0046】
また、コネクタ端子12は、X1方向とは反対の図8に示すX2方向即ちコネクタ端子12の長手方向に交差する他方向に、横入れにより挿入される情報記録カード70に、接触子18の他方の側部湾曲傾斜面30を介して電気的な接続を行える。
【0047】
このように、コネクタ端子12は、横入れ用カードコネクタにおいて、コネクタ端子12の長手方向と交差する方向に情報記録カード70を挿入しても、接触子18の側部湾曲傾斜面30を介して電気的な接続を確実に行える。
【0048】
さらに、接触子18は、縦入れ用カードコネクタに装着された場合には、図8に示すY1方向即ちコネクタ端子12の長手方向に平行な一方向に、縦入れにより挿入される情報記録カード70にも、接触子18の前部湾曲傾斜面31を介して電気的な接続を行える。
【0049】
即ちコネクタ端子12は、その長手方向および長手方向に交差する方向のいずれの方向に情報記録カード70を挿入した場合にも、接触子18がカード側接点に確実に接触することができる。
【0050】
次に、図12、図13、図14、図15、図16、図17を参照して、本発明の一実施形態に係るコネクタ端子の変形例について説明する。この変形例は、縦入れタイプのカードコネクタに装着されると好ましいものである。
【0051】
図12、図13に示すように、本変形例のコネクタ端子41は、基端部17をインシュレータ11に固定した片持ち支持構造であって、アーム19の接触子18側を短辺にした等脚台形の板形状に形成されている。
【0052】
図14、図15に示すように、アーム19は、その中央部に肉抜き部25が形成されている。肉抜き部25の両側の一対のアーム片26は、その基端部27に対してその先端部の接触子接続部28の幅寸法が小さく形成されており、接触子接続部28が接触子18と同一の面を形成するように連設されている。これにより、図8に示したコネクタ端子12と比べて接触子18を小型化できるために軽量化を図ることができる。
【0053】
図16に示すように、コネクタ端子41は、図16中に示す矢印方向(図14に示すY2方向)即ちコネクタ端子12の長手方向に平行な一方向に、縦入れにより挿入される(進行する)情報記録カード70に、アーム片26の接触子接続部28を介して電気的な接続を行える。
【0054】
また、図17に示すように、コネクタ端子41は、Y2方向とは反対の図17中に示す矢印方向(図14に示すY1方向)即ちコネクタ端子12の長手方向に平行な他方向に、縦入れにより挿入される情報記録カード70に、前部湾曲傾斜面31を介して電気的な接続を行える。
【0055】
即ちコネクタ端子41は、その長手方向に沿って挿入される情報記録カード70に接触子18が確実に接触することができる。
【0056】
以上説明したように、本実施形態のカードコネクタ10によれば、コネクタ端子12は、その長手方向をカード収容部22への情報記録カード70の挿入方向に交差させてインシュレータ11に固定し、コネクタ端子12の接触子18は、挿入方向に対して傾斜した誘い面としての湾曲傾斜面29,30を有するので、従来の縦入れ用のカードコネクタの金型の端子配列をそのまま利用して、金型をわずかに改造するだけで、横入れ用のカードコネクタ10を製造することができる。
【0057】
また、上記カードコネクタ10によれば、片持ち支持構造によってコネクタ端子12、41の全長を短くすることができるとともに、カード収容部22に情報記録カード70を挿入した際に、コネクタ端子12,41は、先端部の接触子18の接触側に有する湾曲傾斜面29,30を介して情報記録カード70に確実に接触することができる。
【0058】
また、上記カードコネクタ10によれば、アーム19は捻れ部33を有する構成により剛性が高まり、接触子18に情報記録カード70を接触させた際の弾性反発力を高くして固有振動数を好ましい高い値に設定することができるので、所定の接触圧力による十分な瞬断耐性を有するコネクタ端子12,41を得られる。また、単純に平面板形状のアームを有するものと比べて、肉厚を薄くかつ長さを短くしても同じ弾性反発力を得られる。したがって、材料の使用量を低減して軽量化を図ることができる。
【0059】
また、上記カードコネクタ10によれば、アーム片26の接触子18側の接触子接続部28を基端部17よりも幅狭に形成しているために、接触子側が端子基部よりも動き易いので、接触子18側に与えられた応力を接触子18側で吸収でき、応力が基端部17に集中することがない。したがって、コネクタ端子12,41の損傷が防止され耐久性が向上する。
【0060】
また、本実施形態のコネクタ端子12によれば、横入れ用のカードコネクタに長手方向を情報記録カード70の進行方向に交差して配置した場合に、情報記録カード70に接触子18を確実に接触させることができる。
【0061】
また、上記コネクタ端子12,41によれば、片持ち支持構造によって全長を短くすることができるとともに、先端部の接触子18の接触側に有する湾曲傾斜面29,30,31,32を介して情報記録カード70に確実に接触することができる。
【0062】
また、上記コネクタ端子12,41によれば、アーム19は捻れ部33を有する構成により剛性が高まり、接触子18に情報記録カード70を接触させた際の弾性反発力を高くして固有振動数を好ましい高い値に設定することができるので、所定の接触圧力による十分な瞬断耐性を得ることができる。また、単純に平面板形状のアームを有するものと比べて、肉厚を薄くかつ長さを短くしても同じ弾性反発力を得られる。したがって、材料の使用量を低減して軽量化を図ることができる。
【0063】
また、上記コネクタ端子12,41によれば、アーム19の接触子18側の接触子接続部28を基端部27よりも幅狭に形成しているために、接触子側が基端部17よりも動き易いので、接触子18側に与えられた応力を接触子18側で吸収でき、応力が基端部17に集中することがない。したがって、コネクタ端子12,41の損傷が防止され耐久性が向上する。
【0064】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0065】
例えば、コネクタ端子は、その長手方向を情報記録カードの挿入(進行)方向に交差して固定する場合およびその長手方向を情報記録カードの挿入(進行)方向に固定する場合に代えて、挿入(進行)方向に対して例えば45度等の好ましい角度だけ傾斜して固定しても良い。もちろんその場合にも接触子を情報記録カードに確実に接触させることができる。
【0066】
また、インシュレータとカバーとの間に複数のカード収容部を形成して、それらカード収容部に複数枚の情報記録カードを挿抜自在に収容することもできる。
【0067】
また、コネクタ端子は図示した6個に限定されず、情報記録カードの容量即ち保存項目の量に応じて増減するカード側接点の数に対応して適宜選択設定することができることは言うまでもない。
【0068】
加えて、コネクタ端子は図示したカードコネクタに装備されるのに代えて、一般的な相手側コネクタ等に接続される各種コネクタにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るカードコネクタの一実施形態の斜め上方から視た斜視図である。
【図2】図1のカードコネクタに用いられるインシュレータの平面図である。
【図3】図2のインシュレータの正面図である。
【図4】図2のインシュレータの右側面図である。
【図5】図2のインシュレータの底面図である。
【図6】図1のコネクタ端子周りの斜め上方から視た斜視図である。
【図7】図6のコネクタ端子の図6よりも下方から視た斜視図である。
【図8】図6のコネクタ端子の平面図である。
【図9】図6のコネクタ端子の正面図である。
【図10】(A)は図6のコネクタ端子のアームの基端部の端面図、(B)は図6のコネクタ端子のアームの先端部の端面図である。
【図11】図1のカードコネクタへの情報記録カードの横入れ時の断面図である。
【図12】本発明の一実施例に係るカードコネクタに適用されるコネクタ端子の変形例の斜め上方から視た斜視図である。
【図13】図12のコネクタ端子の図11よりも下方から視た斜視図である。
【図14】図12のコネクタ端子の平面図である。
【図15】図12のコネクタ端子の正面図である。
【図16】図12のカードコネクタへの情報記録カードの縦入れ時の断面図である。
【図17】図12のカードコネクタへの情報記録カードの図16とは反対方向からの縦入れ時の断面図である。
【図18】(A),(B)は従来のカードコネクタのそれぞれ概観図である。
【符号の説明】
【0070】
10 カードコネクタ
11 インシュレータ
12 コネクタ端子
13 カバー
18 接触子
19 アーム
22 カード収容部
26 アーム片
29 側部湾曲傾斜面
30 側部湾曲傾斜面
31 前部湾曲傾斜面
32 後部湾曲傾斜面
33 捻れ部
41 コネクタ端子
42 固定金具
70 情報記録カード(被接続体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ端子を固定したインシュレータと、前記インシュレータに組み付けられ、該インシュレータとの間にカード収容部を形成するカバーと、前記インシュレータを半田により基板に固定するための固定金具とを備え、
情報を記憶した情報記録カードの前記カード収容部への装着に伴い、前記コネクタ端子を該情報記録カードに電気的に接続して前記情報記録カードの前記情報を抽出するのに用いられるカードコネクタであって、
前記コネクタ端子は、前記カード収容部への前記情報記録カードの挿入方向と交差する方向に延在して端子基部から片持ち支持された一対の板状のアーム片と、前記挿入方向に対して傾斜した誘い面を有し前記アーム片の自由端部に連結して設けられた凸状の接触子と、を備え、
前記アーム片は前記端子基部と前記接触子との間にわたって捻られた形状であることを特徴とするカードコネクタ。
【請求項2】
前記コネクタ端子の前記アーム片は、前記端子基部から前記接触子に向けて幅狭に形成されていることを特徴とする請求項1記載のカードコネクタ。
【請求項3】
端子基部から片持ち支持された一対の板状のアーム片と、相手側接触子の移動方向に対して傾斜した誘い面を有し前記アーム片の自由端部に連結して設けられた凸状の接触子と、を備え、前記アーム片は前記端子基部と前記接触子との間にわたって捻られた形状であることを特徴とするコネクタ端子。
【請求項4】
前記アーム片は、前記端子基部から前記接触子に向けて幅狭に形成されていることを特徴とする請求項3記載のコネクタ端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−295496(P2009−295496A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149530(P2008−149530)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(500371259)矢崎シスコムプラス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】