説明

カードコネクタ及び電子機器

【課題】カードを取出す際に、トレー部も一緒にハウジング部から脱出して瞬断事故が発生することを防止する。
【解決手段】面状の底部51と、底部51から立ち上がる第1の壁部53及び第2の壁部54とによって形成される凹部56を設け、凹部56にカード60を収容可能なトレー部50と、スライド方向に沿ってトレー部50をスライド可能に収納するとともに、カード60の電気的接点と電気的に接続可能な接続端子を有するハウジング部40と、を備え、トレー部50は、ハウジング部40に収納される側の一端部と、スライド方向に沿って一端部とは逆側の他端部とを備え、他端部における凹部56の第1の幅Wは、トレー部50がハウジング部40に収納された際における接続端子に対応する、一端部における凹部の第2の幅Wより広い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIMカードの如きカードを収納するカードコネクタ及び電子機器に関する
ものである。
【背景技術】
【0002】
SIM(Subscriber Identity Module Card)カード、UIM(User Identify module Card)カードなどに代表されるICカードは、GSM(Global System for Mobile Communications)やW−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)などの方式の携帯電話機で使われており、ユーザの電話番号や契約している携帯電話事業者の情報などが記録されている。ICカードを携帯電話機に装着することにより、当該カード内に記録されている電話番号でその携帯電話機を利用することができるようになる。
【0003】
SIMカードを装着した携帯電話機として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。
【0004】
即ち、図12に示すように、携帯電話機100は、スライド式の携帯電話機であって、キャビネット101の長手方向に電池収容凹部102及びカード差込部103が互いに隣接するように設けられている。また、電池収容凹部102とカード差込部103との境界には、規制部材104が設けられている。規制部材104は、電池収容凹部102に電池が収容されているときに、カード差込部103に対するSIMカード110の抜き差し動作を規制する。
【0005】
また、SIMカードと携帯電話機の本体側との電気的な接続を図るカードコネクタとして、例えば特許文献2に記載のものが知られている。
【0006】
即ち、図13に示すように、カードコネクタ200は、本体を構成するハウジング201と、このハウジング201の上部を覆うカバー部材202と、ハウジング201に挿入され、ハウジング201に形成された装着部201Bに装着されるトレー203と、を備えている。
【0007】
図14に示すように、トレー203には、奥側位置に第1カード300A(図15にクロスハッチングで示す)を位置決め状態に載置可能な第1載置部203Aを有し、手前側位置に第2カード300B(図16にクロスハッチングで示す)を位置決め状態に載置可能な第2載置部203Bを有する。
【0008】
第1載置部203Aには、第1カード300Aの位置決めのために、第1載置部203Aの側方に向けて張り出し形成された第1張り出し部203Aを有する。また、第2カード300Bの位置決めのために、第2載置部203Bの側方に向けて張り出し形成された第2張り出し部203Aを有する。このトレー203によれば、第1カード300Aと、この第1カード300Aよりも肉厚かつ幅広の第2カード300Bとのいずれかを選択的に装着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−289063号公報
【特許文献2】特開2008−108695号公報
【0010】
ところで、最近の携帯電話機100の薄型化や軽量化に伴って、カードコネクタの薄型化や軽量化なども進められている。そのため、トレー203についても、図14に示すように、例えば略ロ字形に中央部を刳り貫いて開口部203Cを開口させるなど、といった軽量化を図る措置が講じられている。その結果、トレー203の剛性が不足して撓みやすくなっている。
【0011】
このような事情から、ユーザがトレー203を引き出してSIMカード等のカードを指で取出そうとしたとき、トレー203がカードの両側面を挟み付けているため、カードとトレー203がともに持ち上がり、カードの取り外しが不便となることがある。とりわけ携帯電話機の本体内部とカードとの間の電気的な接続の瞬断を防止するため、カードとトレー203の間に隙間が設けられていることは少なく、両者の間に摩擦力が生じやすいため、上述した弊害が生じやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記したような事態を回避するものであって、カードを取出す際にトレー部もカードに追従して移動することを防止し、カードの取り出しをし易くしたカードコネクタ、及び電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のカードコネクタは、底部と、前記底部に設けられた第1の壁部及び第2の壁部とを備え、前記第1の壁部と前記底部と前記第2の壁部で構成される凹部にカードを収容可能なトレー部と、少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部とを収納可能なハウジング部と、を備え、前記カードを前記凹部に収容した場合に、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納可能な部分の少なくとも一部は、前記カードと当接し、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納されない部分の少なくとも一部は、前記カードと離れているものである。
【0014】
本発明のカードコネクタは、底部と、前記底部に設けられた第1の壁部及び第2の壁部とを備え、前記第1の壁部と前記底部と前記第2の壁部で構成される凹部にカードを収容可能なトレー部と、少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部とを収納可能なハウジング部と、を備え、前記カードを前記凹部に収容した場合に、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納されない部分の少なくとも一部と前記カードとの距離は、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納可能な部分の少なくとも一部と前記カードとの距離よりも長いものである。
【0015】
前記カードはSIMカードであってもよい。
【0016】
第1の壁部及び第2の壁部は、前記トレー部の前記ハウジング部への挿入方向に沿って配置されることが好ましい。
【0017】
前記ハウジング部は、少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部と前記底部の一部とを収納可能であることが好ましい。
【0018】
本発明の電子機器は、ケースと、前記ケースの内部に備えられた基板と、前記基板の上に配置されたカードコネクタと、備える電子機器であって、前記カードコネクタは、底部と、前記底部に設けられた第1の壁部及び第2の壁部とを備え、前記第1の壁部と前記底部と前記第2の壁部で構成される凹部にカードを収容可能なトレー部と、少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部とを収納可能なハウジング部と、を備え、前記カードを前記凹部に収容した場合に、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納可能な部分の少なくとも一部は、前記カードと当接し、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納されない部分の少なくとも一部は、前記カードと離れているものである。
【0019】
本発明の電子機器は、ケースと、前記ケースの内部に備えられた基板と、前記基板の上に配置されたカードコネクタと、備える電子機器であって、前記カードコネクタは、底部と、前記底部に設けられた第1の壁部及び第2の壁部とを備え、前記第1の壁部と前記底部と前記第2の壁部で構成される凹部にカードを収容可能なトレー部と、少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部とを収納可能なハウジング部と、を備え、前記カードを前記凹部に収容した場合に、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納されない部分の少なくとも一部と前記カードとの距離は、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納可能な部分の少なくとも一部と前記カードとの距離よりも長いものである。
【0020】
前記カードはSIMカードであってもよい。
【0021】
第1の壁部及び第2の壁部は、前記トレー部の前記ハウジング部への挿入方向に沿って配置されることが好ましい。
【0022】
前記ハウジング部は、少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部と前記底部の一部とを収納可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、カードをトレー部から剥がして取出す際に、トレー部もカードに追従して移動することを防止し、カードの取り出し操作性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る携帯電話機の要部を示す斜視図
【図2】(A)は図1の携帯電話機におけるカードコネクタを備えた回路基板を示す斜視図、(B)はそのカードコネクタを示す斜視図
【図3】図2のカードコネクタの分解斜視図
【図4】図2に示すカードコネクタにおけるハウジング部を示す斜視図
【図5】図2に示すカードコネクタにおけるトレー部を示す斜視図
【図6】図2に示すカードコネクタのトレー部の他端部におけるSIMカードとの間の隙間を示す拡大平面図
【図7】図2に示すカードコネクタの裏面を示す斜視図
【図8】(A)、(B)はそれぞれ図1の携帯電話機におけるカードコネクタの変形例を示す要部拡大図
【図9】(A)、(B)はそれぞれ図1のカードコネクタにおけるトレー部をハウジング部に装着した状態及びカードを取り出すためにハウジング部からトレー部を引出した状態を示す斜視図
【図10】本発明の第2の実施形態に係る携帯電話機におけるカードコネクタの要部拡大図
【図11】その変形例を示す要部拡大図
【図12】従来の携帯電話機におけるカードコネクタの設置部分を示す斜視図
【図13】従来のカードコネクタにおけるハウジング部からトレー部を引出した状態を示す平面図
【図14】(A)、(B)はそれぞれそのトレー部の平面図及び側面図
【図15】(A)、(B)はそれぞれそのトレー部に第1カードを搭載した状態を示す平面図及び側面図
【図16】(A)、(B)はそれぞれそのトレー部に第1カード及び第2カードを搭載した状態を示す平面図及び側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1乃至図3は、本発明の電子機器の一つである第1の実施形態に係る携帯電話機10の要部を示すものであり、携帯電話機10は、ケース11の内部に設けられた電池室12に隣接した位置に、サブ基板22及びカードコネクタ30を含む回路基板20(図2参照)を備えている。
【0027】
さらにケース11の内部には、何れも図示しないが、表側ケースに接する筐体(上ケース)と、筐体上に配置された電池(又は電池パック)およびメイン基板と、バッテリーカバーに接する下ケース112とが設けられている。また、電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたSIMカード60が、カードコネクタ30に挿入されている。
【0028】
ケース11には、電池室12に対向する部分において、電池とSIMカード60とを取り出すために、開口した取り出し口111が設けられている。取り出し口111が設けられている領域以外の内側面には、上述した下ケース112が設けられている。
【0029】
回路基板20は、図2(A)に示すように、サブ基板22と、サブ基板22上に実装配置されたカードコネクタ30とを含む。カードコネクタ30は、SIMカード60を収納し、SIMカード60と携帯電話機10との電気的な接続を図るものであって、同図(B)に示すように、ハウジング部40と、トレー部50とを備えている。サブ基板22上でのカードコネクタ30の実装方法については、具体的には、カードコネクタ30がサブ基板22上に配置され、ハウジング部40が半田や異方性導電樹脂等を用いてサブ基板22に固定される。これによりカードコネクタ30は、サブ基板22に固定される。
【0030】
ハウジング部40は、所定の絶縁材料によって成形され、図4に示すように、一端(図面では奥側)と他端(図面では引出される手前側)とが開口した略箱状を有している。ハウジング部40の内部には、トレー部50が他端から一端に向かった方向、或いは一端から他端に向かった方向(図2(B)において矢印Aで示し、以下、この方向を「スライド方向」と呼ぶ。)にスライド可能な状態で収納されている。
【0031】
ハウジング部40には、図4に示すように、底面側の所定位置に、SIMカード60に設けられた電極(図示せず)と電気的に接続する接続端子41が設けられている。また、ハウジング部40の一面(図4では上面)には、接続端子41の設置位置に対応する部位に、丸孔42が穿設されている。
【0032】
このような構成のハウジング部40では、図3に示すように、SIMカード60が搭載されたトレー部50が、ハウジング部40内部の所定位置まで挿入されてセットされ、SIMカード60とトレー部50とがハウジング部40内に収容される。これにより、SIMカード60と接続端子41とが電気的に導通され、使用者が携帯電話機10を使用可能となる。
【0033】
トレー部50は、図5に示すように、所定の絶縁材料によって略板状に形成されており、SIMカード60に対向する面状の底部51と、底部51とは反対の裏面部52と、底部51から立ち上がる第1の壁部53及び第2の壁部54と、底部51と第1の壁部53及び第2の壁部54とによって形成され、SIMカード60が搭載される断面凹状(図5にC−C線で表す)の凹部56と、を有する。
【0034】
凹部56は、図6において、他端部側(つまり、引き出される方の端部寄り)での幅(以下、「第1の幅W」とよぶ)と、この他端部と反対側の端部であるトレー部50がハウジング部40に収納された際に接続端子に対応する一端部側(ハウジング部40に収納される部分、或いは後述する開口部55を臨む部分)での幅(以下、「第2の幅W」とよぶ)とについて、以下のような関係にある。
【0035】
即ち、凹部56における他端部側での第1の幅W(この部分はトレー部50のハウジング部40に収納されない)の方が、凹部56の一端部側での第2の幅Wよりも寸法的に広くなるように構成されている。
【0036】
つまり、本発明では、次式、
>W ・・・(1)
の関係が成立している。
【0037】
また、トレー部50は、トレー部50自身をハウジング部40に対して所定の挿入位置で止め、それ以上挿入されないようにするため、トレー部50の第1の壁部53及び第2の壁部54の他端部において肉厚に形成された一対のストッパー部Sを備える(図3、図5参照)。さらに、各ストッパー部Sには、図5に示すように、他端部側(或いは他端部寄り)において、トレー部50のスライド方向に沿い所定長さLにわたって、それぞれ、同じ第1の厚みtを有する薄肉部を設けている。
【0038】
具体的には、図5及び図6に示すように、第1の壁部53及び第2の壁部54の他端部において、この他端部から挿入方向に沿って長さLにわたり内壁面を一定厚み(近似的に、後述する隙間dに略等しい厚み)だけ薄くした、底部側段部S,Sが形成されている。なお、各ストッパー部Sにおいて、他端部から挿入方向に沿って長さLを越える部分は、換言すればストッパー部Sの他端部とは反対側の端部である、一端部寄りの部分は、図5に示すように、第1の厚みtより大きな厚みである第2の厚みtを有する。
【0039】
また、図3に示すように、各ストッパー部Sにはハウジング部40と向かい合う一端面S、Sを有する一方、ハウジング部40にはストッパー部Sと向かい合う一端面44、45を有する。ストッパー部Sとハウジング部40は、それらの一端面どうしが当接するように配置されている。この配置により、ストッパー部Sは、ハウジング部40に対するトレー部50の所定距離を越えた進入動作を防止する。
【0040】
なお、トレー部50の裏面部52には、図7に示すように、左右それぞれのストッパー部Sにおける挿入方向の両端部のうち、奥部寄りの端部、つまり一端寄りの端部に対応する裏面の所定部位に、この部位を幅方向に横切るようにして、裏面側段差部57が形成されている。この裏面側段差部57は、トレー部50がハウジング部40内に挿入されるときに、ストッパー部Sと同様に、所定のストローク以上トレー部50が挿入されるのを防止する。
【0041】
このため、トレー部50の裏面部52は、裏面側段差部57を境界にして一端部側(つまり、凹部側)の厚みが先端部側(引き出される側)の厚みよりも薄く形成されている。このような構成により、トレー部50がハウジング部40内に所定の長さだけ挿入されると、裏面側段差部57がこれに向かい合うハウジング40側の裏面の先端部(引き出される側)の端面43に突き当たり、それ以上の挿入動作が阻止される。
【0042】
また、トレー部50は、SIMカード60側の電極とハウジング部40の接続端子41との電気的接続を確保させるため、スライド方向の一端部(基端部)がU字型に切り欠かれた開口部55を有する。すなわち、開口部55は、底部51から裏面部52までの間を貫通している。これによって、SIMカード60が所定位置にセットされたときに、SIMカード60の電極がハウジング部40の接続端子41に接触・導通可能になる。
【0043】
図2、5に示すように、トレー部50には、スライド方向の他端部(引き出される側の端部)において、第1凸部Pが設けられている。この第1凸部Pは、底部51から裏面部52に向かう方向に沿って突出している。また、第1凸部Pは、図2(A)に示すようにサブ基板側の側部Pがサブ基板22の端面(先端面)221と対向する状態で配置している。更に、第1凸部Pは、図示外の電池とも対向している。即ち、携帯端末装置10の厚さ方向において、第1凸部Pと電池は重なる関係に配置されている。
【0044】
ところで、携帯電話機10を誤って落下させたような場合において、電池がずれてトレー部50に接触し、トレー部50を押し上げようとする力が働き、さらにSIMカード60及びカードコネクタ30に衝撃が伝わる。本構造下においては、電池から伝わる力を、第1凸部P、端面(先端面)221を通じて対向するサブ基板22に分散させることができ、SIMカード60及びカードコネクタ30に伝わる衝撃を軽減させることができる。
【0045】
また、トレー部50は、他端部において、裏面部52から底部51に向かう向きに沿って突出する第2凸部Pを備えている。つまり、第2凸部Pは第1凸部Pとは反対の方向に沿って突出する。
【0046】
また、本実施形態では、第1凸部Pと第2凸部Pの端面を同一面(段差のない滑らかな面)に構成している。即ち、第1凸部Pと第2凸部Pは、トレー部50の先端において同一面を備える。典型的には、この同一面は平面であるが平面に限らず段差のない滑らかな面であれば、どのような面であっても良い。これにより、第1凸部Pと第2凸部Pとの間に指の爪等を引っかけることが困難となる。従って、電池をセットしたままでトレー部50を無理に持ち上げて引き出し、SIMカード60を取り出すことが難しくなる。
【0047】
なお、本実施形態では、トレー部50が、図5に示すように、両ストッパー部Sにおいて、SIMカード60が搭載される凹部56に臨む内壁面側の厚みを、トレー部50の挿入方向に沿って他端部から一定長Lにわたり均等に一定量dだけ薄くした薄肉部を有するが、例えば図8に示すような構成であってもよい。
【0048】
即ち、図8(A)に示すように、ストッパー部Sの薄肉部において、凹部56と凸部50P、50Pが形成された構成であってもよい。なお、凸部の数は、1個でも2個以上でもよい。また、2個以上の場合、凸部の突出量は同じであっても異なっていてもよい。
【0049】
さらに、同図(B)に示すように、ストッパー部Sが、薄肉部においてスライド方向に沿ってテーパー形状に形成された斜面SLを有する構成であってもよい。
【0050】
また、本実施形態では、左右両側の第1の壁部53及び第2の壁部54に薄肉部を形成してあるが、本発明のトレー部では、少なくとも何れか一方側のストッパー部に、例えばこの図8に示す第2の壁部54側のみに薄肉部を形成してあってもよい。
【0051】
SIMカード60は、図3に示すように、トレー部50の底面51に対向する第1の主面61と、第1の主面61に対向する第2の主面62と、第1の主面及び第2の主面を接続する第1の側面63及び第2の側面64とを備える。第1の側面63はトレー部50の第1の壁面53に対向するものであり、第2の側面64はトレー部50の第2の壁面54に対向するものである。
【0052】
なお、図3において、SIMカード60の第1の主面61には、電気的接点が設けられている。一方、トレー部50の底部51には、ここに搭載されるSIMカード60の電気的接点の設置部分と対応する部位に、貫通部を構成する開口部55が設けられている。また、ハウジング部40には、貫通部を構成する開口部55を通して電気的接点と電気的に接続可能な接続端子が備えられている。従って、トレー部50にSIMカード60を搭載してこのカード60ごとトレー部50をハウジング部40に所定長さまで挿入・収容すると、SIMカード60の電気的接点とハウジング部40の接続端子とが電気的に導通する。
【0053】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0054】
トレー部50に収容されているSIMカード60を取り出そうとするには、まず、図9(A)に示すようにハウジング部40にトレー部50が収納された状態から、同図(B)に示すようにトレー部50をハウジング部40からできるだけ大きく引き出す。
【0055】
すると、引き出されたトレー部50とSIMカード60とについては、他端部側において、SIMカード60の第1、第2の側面63,64とトレー部50の第1、第2の壁部53,54との間に隙間を有する。このため、SIMカード60とトレー部50の第1、第2の壁部53,54との間は密着していない。そこで、SIMカード60とともにトレー部50を一緒に持ち上げることなく、SIMカード60だけを容易に取出すことができる。
【0056】
このように、本実施形態によれば、図6に示すように、トレー部50にSIMカード60を搭載すれば、SIMカード60の一端部側の第1の側面63はトレー部50の第1の壁部53に当接し、SIMカード60の他端部側の第1の側面63と第1の壁部53との間に隙間dが形成される。同じく、SIMカード60の一端部側の第2の側面64はトレー部50の第2の壁部54に当接し、SIMカード60の他端部側の第2の側面64とトレー部50の第2の壁部54との間に隙間dが形成される。
【0057】
つまり、上記のような関係においては、図6に示すように、トレー部50の他端部側での凹部56の第1の幅Wは、トレー部50の一端部側での凹部56の第2の幅Wより広いと言うことができる。従って、このような構成のトレー部50により、SIMカード60のみをトレー部50から容易に分離して取出すことができる。
【0058】
尚、図6に示すように、一端部側での、SIMカード60の第1の側面63とトレー部50の第1の壁部53との間には隙間Δが設けられ、同様に、一端部側での、SIMカード60の第2の側面64とトレー部50の第2の壁部54との間には隙間Δが設けられている。SIMカード60と携帯電話機10本体内部との電気的な接続の瞬断を防止するため、SIMカード60とトレー部50との間の接続は強固なほうが望ましい。したがって、この隙間Δはごくわずかな小さいものであり、先述した隙間dより小さい。すなわち、他端部側での、SIMカード60の第1の側面63とトレー部50の第1の壁部53との間の隙間dは、一端部側での、SIMカード60の第1の側面63とトレー部50の第1の壁部53との間の隙間Δより大きい。同様に、他端部側での、SIMカード60の第2の側面64とトレー部50の第2の壁部54との間の隙間dは、一端部側での、SIMカード60の第2の側面64とトレー部50の第2の壁部54との間の隙間Δより大きい。
【0059】
しかしながら、上記隙間Δを設けることは必須ではない、したがって、一端部側の第1の側面63が第1の壁部53に当接し、他端部側の第1の側面63と第1の壁部53との間に隙間dが設けられ、一端部側の第2の側面64が第2の壁部54に当接し、他端部側の第2の側面64と第2の壁部54との間に隙間dが設けられるよう構成されてもよい。
【0060】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る第2の実施形態について、図10を用いて説明する。なお、本実施形態において、第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して重複説明を避ける。第1の実施形態のSIMカード60の形状については、一端部側から他端部側に至るまで同一幅Wの寸法の略矩形状のものを用いたが、本発明は特にこれに限定されるものではない。
【0061】
本実施形態のカードコネクタが第1の実施形態のカードコネクタ30と異なる点は、トレー部70の第1、第2の壁部53,54の他端部側に設けたストッパー部Sに薄肉部を設ける替わりに、SIMカード80の、ストッパー部Sと対向する他端部側に、凹状の段部81を設けることで、トレー部70とSIMカード80との間に隙間dを形成している点である。なお、同図中、符号71は凹部を示す。
【0062】
従って、本実施形態によれば、トレー部70の他端部とSIMカード80との間に隙間を形成することができる。このため、トレー部70をハウジング部から引き出してきた時に、第1の実施形態と同様に、SIMカード60とともにトレー部50を一緒に持ち上げることなく、SIMカード60だけを容易に取出すことができる。
【0063】
なお、本実施形態の構成以外に、例えば第1の実施形態での変形例である図8(A)の関係を、トレー部とSIMカードで互いに入れ替えた構成としてもよい。即ち、図11に示すように、トレー部70の他端部側でのストッパー部Sに対向するSIMカード90において、トレー部70の凹部71の外側に向かって凸部90P、90Pが形成されているものであってもよい。なお、ここでも、凸部の数は1個でも2個以上でもよい。また、2個以上の場合、凹部71の外側へ向かう突出量は同じであっても異なっていてもよい。
【0064】
なお、本発明は上記の実施形態において示されたものに限定されるものではなく、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の構成によれば、トレー部が引き出される側の端部である他端部でのトレー部とカードとの間には隙間が形成されている。この他端部でトレー部とカードとは当接していないので、トレー部を一緒に持ち上げることなくカードだけを容易に取出すことができ、カードを取り出す操作の操作性が向上する。
【符号の説明】
【0066】
10 携帯電話機(電子機器)
11 ケース
12 電池室
20 回路基板
22 サブ基板(基板)
30 カードコネクタ
40 ハウジング部
41 接続端子
42 丸孔
50、70 トレー部
50P、50P 凸部
51 底部
52 裏面部
53 第1の壁部
54 第2の壁部
55 開口部(貫通部)
56、71 凹部
57 裏面側段差部
60、80、90 SIM(UIM)カード
90P、90P 凸部
111 (カード)取り出し口
d 隙間
Δ 隙間
第1の厚み
第2の厚み
L (ストッパー部における)薄肉部の形成長さ
S ストッパー部
、S 底部側段部
、S ハウジング部と向かい合う面
SL 斜面
第1の幅(他端部側での幅)
第2の幅(一端部側での幅)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、前記底部に設けられた第1の壁部及び第2の壁部とを備え、前記第1の壁部と前記底部と前記第2の壁部で構成される凹部にカードを収容可能なトレー部と、
少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部とを収納可能なハウジング部と、を備え、
前記カードを前記凹部に収容した場合に、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納可能な部分の少なくとも一部は、前記カードと当接し、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納されない部分の少なくとも一部は、前記カードと離れている、
カードコネクタ。
【請求項2】
底部と、前記底部に設けられた第1の壁部及び第2の壁部とを備え、前記第1の壁部と前記底部と前記第2の壁部で構成される凹部にカードを収容可能なトレー部と、
少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部とを収納可能なハウジング部と、を備え、
前記カードを前記凹部に収容した場合に、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納されない部分の少なくとも一部と前記カードとの距離は、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納可能な部分の少なくとも一部と前記カードとの距離よりも長い、
カードコネクタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカードコネクタであって、
前記カードはSIMカードである、
カードコネクタ。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のカードコネクタであって、
第1の壁部及び第2の壁部は、前記トレー部の前記ハウジング部への挿入方向に沿って配置される、
カードコネクタ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のカードコネクタであって、
前記ハウジング部は、少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部と前記底部の一部とを収納可能である、
カードコネクタ。
【請求項6】
ケースと、前記ケースの内部に備えられた基板と、前記基板の上に配置されたカードコネクタと、備える電子機器であって、
前記カードコネクタは、
底部と、前記底部に設けられた第1の壁部及び第2の壁部とを備え、前記第1の壁部と前記底部と前記第2の壁部で構成される凹部にカードを収容可能なトレー部と、
少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部とを収納可能なハウジング部と、を備え、
前記カードを前記凹部に収容した場合に、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納可能な部分の少なくとも一部は、前記カードと当接し、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納されない部分の少なくとも一部は、前記カードと離れている、
電子機器。
【請求項7】
ケースと、前記ケースの内部に備えられた基板と、前記基板の上に配置されたカードコネクタと、備える電子機器であって、
前記カードコネクタは、
底部と、前記底部に設けられた第1の壁部及び第2の壁部とを備え、前記第1の壁部と前記底部と前記第2の壁部で構成される凹部にカードを収容可能なトレー部と、
少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部とを収納可能なハウジング部と、を備え、
前記カードを前記凹部に収容した場合に、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納されない部分の少なくとも一部と前記カードとの距離は、前記第1の壁部の前記ハウジング部に収納可能な部分の少なくとも一部と前記カードとの距離よりも長い、
電子機器。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の電子機器であって、
前記カードはSIMカードである、
電子機器。
【請求項9】
請求項6又は請求項7に記載の電子機器であって、
第1の壁部及び第2の壁部は、前記トレー部の前記ハウジング部への挿入方向に沿って配置される、
電子機器。
【請求項10】
請求項6又は請求項7に記載の電子機器であって、
前記ハウジング部は、少なくとも前記第1の壁部の一部と前記第2の壁部の一部と前記底部の一部とを収納可能である、
電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−142102(P2011−142102A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60530(P2011−60530)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【分割の表示】特願2009−217526(P2009−217526)の分割
【原出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】