説明

カードリーダ

【課題】カードの搬送力を高めることが可能でありながら、搬送されるカードの速度変動を従来以上に抑制することが可能なカードリーダを提供すること。
【解決手段】カード2が搬送されるカード搬送路13が内部に形成されるカードリーダは、駆動源から伝達される駆動力で回転する第1駆動ローラ16〜18および第2駆動ローラ19〜21によって構成され第1駆動ローラ16〜18と第2駆動ローラ19〜21との間にカード2を挟んでカード2を搬送する搬送ローラ対6〜8と、第2駆動ローラ20、21を回転可能に支持しカード搬送路13に対する相対移動が可能な支持部材60と、カード搬送路13に向かって支持部材60を付勢する付勢部材62とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送されるカードに所定の処理を行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録された磁気情報の再生やカードへの磁気情報の記録を行う磁気ヘッドと、カード搬送路でカードを搬送するための複数の搬送ローラ対とを備えたカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のカードリーダでは、搬送ローラ対は、駆動用モータからの動力が伝達されて回転する主駆動ローラおよび副駆動ローラによって構成されており、主駆動ローラと副駆動ローラとの間にカードを挟んでカードを搬送する。
【0003】
特許文献1に記載のカードリーダは、搬送ローラ対として、第1搬送ローラ対、第2搬送ローラ対および第3搬送ローラ対の3組の搬送ローラ対を備えており、第1搬送ローラ対、第2搬送ローラ対および第3搬送ローラ対は、カードの搬送方向においてこの順番で配置されている。また、このカードリーダでは、カードの搬送方向における第2搬送ローラ対の中心と磁気ヘッドの中心とが略一致するように、磁気ヘッドが配置されている。
【0004】
さらに、このカードリーダでは、第1搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの芯間距離、および、第3搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの芯間距離が固定となっている。また、第2搬送ローラ対を構成する副駆動ローラは、押圧移動手段によって、第2搬送ローラ対を構成する主駆動ローラに向かって付勢されており、第2搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの芯間距離は可変となっている。なお、特許文献1に記載のカードリーダでは、主駆動ローラおよび副駆動ローラはともに、外周面にゴム層を有するゴムローラである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−50494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、市場では、曲りカード等の様々な変形カードを処理することが可能なカードリーダが求められている。ここで、特許文献1に記載のカードリーダでは、上述のように、搬送ローラ対が、駆動用モータからの動力で回転する主駆動ローラおよび副駆動ローラによって構成されている。また、第1搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの芯間距離、および、第3搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの芯間距離が固定され、かつ、第2搬送ローラ対を構成する副駆動ローラは、押圧移動手段によって、第2搬送ローラ対を構成する主駆動ローラに向かって付勢されている。そのため、このカードリーダでは、搬送ローラ対によるカードの搬送力が大きい。したがって、このカードリーダでは、カードリーダ内で様々な変形カードを搬送してこの変形カードを処理することが可能になる。
【0007】
一方で、第1搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの芯間距離、および、第3搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの芯間距離が固定となっているため、第2搬送ローラ対によって搬送されるカードが、第1搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの間に突入する際、あるいは、第3搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの間に突入する際の突入負荷が大きくなるおそれがあり、この突入時の負荷の影響で、カードの搬送速度が変動するおそれがある。
【0008】
この突入時の負荷の影響によるカードの搬送速度の変動自体は、磁気ヘッドによる磁気情報の記録品質や再生品質に影響を与えるものではない。しかしながら、カードリーダにおいて、カードに対する記録品質や再生品質のさらなる向上が要求されたときに、この突入時の負荷の影響によるカードの搬送速度の変動が支障になるおそれがある。
【0009】
ここで、特許文献1に記載のカードリーダにおいて、第1搬送ローラ対を構成する副駆動ローラのゴム層の硬度や第3搬送ローラ対を構成する副駆動ローラのゴム層の硬度を下げることで、第2搬送ローラ対によって搬送されるカードが、第1搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの間に突入する際、あるいは、第3搬送ローラ対を構成する主駆動ローラと副駆動ローラとの間に突入する際の突入負荷を軽減して、カードの搬送速度の変動を抑制することは可能である。
【0010】
しかしながら、副駆動ローラのゴム層の硬度を下げると、搬送ローラ対によるカードの搬送力が低下するおそれがある。この搬送力の低下自体は、従来、処理可能であった変形カードの処理に支障を来すものではないが、より変形量の大きい変形カードの処理が市場で要求された場合、この搬送力の低下の影響で搬送できなくなる変形カードが発生するおそれがある。
【0011】
そこで、本発明の課題は、カードの搬送力を高めることが可能でありながら、搬送されるカードの速度変動を従来以上に抑制することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明は、カードが搬送されるカード搬送路が内部に形成されるカードリーダにおいて、駆動源から伝達される駆動力で回転する第1駆動ローラおよび第2駆動ローラによって構成され、第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間にカードを挟んでカードを搬送する搬送ローラ対を複数、備えるとともに、複数の搬送ローラ対を構成する複数の第2駆動ローラのうちの少なくとも2個以上の第2駆動ローラを回転可能に支持しカード搬送路に対する相対移動が可能な支持部材と、カード搬送路に向かって支持部材を付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明のカードリーダでは、駆動源から伝達される駆動力によって回転する第1駆動ローラおよび第2駆動ローラによって搬送ローラ対が構成されている。また、複数の搬送ローラ対を構成する複数の第2駆動ローラのうちの少なくとも2個以上の第2駆動ローラを回転可能に支持する支持部材が付勢部材の付勢力でカード搬送路に向かって付勢されている。そのため、カードの搬送力を高めることが可能になる。
【0014】
また、本発明では、複数の第2駆動ローラのうちの少なくとも2個以上の第2駆動ローラを回転可能に支持する支持部材が、カード搬送路に対して相対移動が可能となるように構成され、付勢部材によってカード搬送路に向かって付勢されている。そのため、たとえば、ある搬送ローラ対を構成する第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間にカードが挟まれて搬送されているときに、支持部材をカード搬送路に対して相対移動させて、他の搬送ローラ対を構成する第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間に隙間を形成することが可能になる。したがって、ある搬送ローラ対で搬送されているカードが、他の搬送ローラ対を構成する第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間に突入する際の突入負荷を低減することが可能になる。その結果、本発明では、カードの搬送力を高めることが可能でありながら、搬送されるカードの速度変動を従来以上に抑制することが可能になる。
【0015】
本発明において、カードリーダは、複数の搬送ローラ対を構成する複数の第1駆動ローラに駆動力を伝達するための第1伝達機構と、複数の搬送ローラ対を構成する複数の第2駆動ローラに駆動力を伝達するための第2伝達機構と、第1伝達機構または第2伝達機構に連結される駆動源と、第1伝達機構と第2伝達機構とを連結する連結機構と、複数の第1駆動ローラのそれぞれが固定される第1回転軸と、複数の第2駆動ローラのそれぞれが固定される第2回転軸とを備え、連結機構は、複数の搬送ローラ対のうちの1個の搬送ローラ対を構成する第1駆動ローラが固定される第1回転軸とこの1個の搬送ローラ対を構成する第2駆動ローラが固定される第2回転軸とを連結していることが好ましい。この場合には、連結機構は、たとえば、第1回転軸に固定される第1歯車と、第2回転軸に固定され第1歯車と噛み合う第2歯車とを備えている。このように構成すると、第2駆動ローラを回転可能に支持する支持部材がカード搬送路に対して相対移動可能になっていても、1箇所に配置される連結機構を用いて、第1伝達機構と第2伝達機構とを連結することができる。
【0016】
本発明において、たとえば、第1伝達機構は、複数の第1回転軸のそれぞれに固定される第1プーリと、複数の第1プーリに架け渡される第1ベルトとを備え、第2伝達機構は、複数の第2回転軸のそれぞれに固定される第2プーリと、複数の第2プーリに架け渡される第2ベルトとを備えている。この場合には、第1伝達機構や第2伝達機構が歯車列で構成されている場合と比較して、搬送ローラ対で搬送されるカードの搬送速度の変動を抑制することが可能になる。
【0017】
本発明において、支持部材は、連結機構によって連結される第2回転軸を支点にして回動して、カード搬送路に対する相対移動を行うことが好ましい。このように構成すると、連結機構によって連結される第1回転軸と第2回転軸との芯間距離を一定に保つことが可能になる。したがって、たとえば、互いに噛み合う2個の歯車によって、連結機構が構成されている場合には、2個の歯車を確実に噛み合わせて、第1伝達機構と第2伝達機構との間で確実に動力を伝達することが可能になる。
【0018】
本発明において、カードリーダは、たとえば、搬送ローラ対として、少なくとも第1搬送ローラ対、第2搬送ローラ対および第3搬送ローラ対を備えるとともに、第2搬送ローラ対の近傍に配置され、カードへの磁気情報の記録および/またはカードに記録された磁気情報の再生を行う磁気ヘッドを備え、第1搬送ローラ対、第2搬送ローラ対および第3搬送ローラ対は、カードの搬送方向において、カードの挿入側からこの順番で配置され、連結機構は、第1搬送ローラ対を構成する第1駆動ローラが固定される第1回転軸と第1搬送ローラ対を構成する第2駆動ローラが固定される第2回転軸とを連結し、支持部材は、第1搬送ローラ対を構成する第2駆動ローラが固定される第2回転軸を支点にして回動して、カード搬送路に対する相対移動を行う。
【0019】
この場合には、第2搬送ローラ対を構成する第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間にカードが挟まれているときに、第3搬送ローラ対を構成する第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間に隙間を形成することが可能になる。したがって、第2搬送ローラ対で搬送されているカードが、第3搬送ローラ対を構成する第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間に突入する際の突入負荷を低減することが可能になる。
【0020】
また、この場合には、搬送方向における第2搬送ローラ対と第3搬送ローラ対との間隔は、搬送方向における第1搬送ローラ対と第2搬送ローラ対との間隔よりも短く、磁気ヘッドは、第2搬送ローラ対から第3搬送ローラ対に向かってカードが搬送されるときに、カードへ磁気情報の記録を行うことが好ましい。このように構成すると、カードへの磁気情報の記録時に、第2搬送ローラ対と第3搬送ローラ対との2組の搬送ローラ対によって搬送されるカードの搬送距離を長くすることが可能になる。したがって、第2搬送ローラ対で搬送されているカードが第3搬送ローラ対を構成する第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間に突入する際の突入負荷を低減してカードの搬送速度の変動を抑制しつつ、2組の搬送ローラ対によってカードを精度良く搬送することが可能になる。その結果、磁気情報を精度良くカードへ記録することが可能になる。
【0021】
本発明において、搬送方向における第1搬送ローラ対と第2搬送ローラ対との間隔は、搬送方向におけるカードの磁気情報の記録領域の幅よりも広いことが好ましい。このように構成すると、連結機構によって連結される第1搬送ローラ対の第1回転軸と第2回転軸との芯間距離が一定に保たれている場合であっても、第2搬送ローラ対で搬送されているカードが第1搬送ローラ対を構成する第1駆動ローラと第2駆動ローラとの間に突入する際の突入負荷の影響によって、カードに対する記録品質や再生品質が低下するのを防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明のカードリーダでは、カードの搬送力を高めることが可能でありながら、搬送されるカードの速度変動を従来以上に抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの概略構成を一方の側面から説明するための図である。
【図2】図1に示すカードリーダの概略構成を他方の側面から説明するための図である。
【図3】図1に示す伝達機構および図2に示す上駆動ローラの周辺部の構成を説明するための平面図である。
【図4】図1に示す伝達機構および図2に示す下駆動ローラの周辺部の構成を説明するための平面図である。
【図5】図4に示す支持部の構成を説明するための平面図である。
【図6】図4に示す支持部を説明するための側面図であり、(A)は搬送ローラ対にカードが挟まれていない状態を示す図、(B)は搬送ローラ対にカードが挟まれている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の概略構成を一方の側面から説明するための図である。図2は、図1に示すカードリーダ1の概略構成を他方の側面から説明するための図である。図3は、図1に示す伝達機構24および図2に示す上駆動ローラ16〜18の周辺部の構成を説明するための平面図である。図4は、図1に示す伝達機構25および図2に示す下駆動ローラ19〜21の周辺部の構成を説明するための平面図である。
【0026】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録された情報の再生および/またはカード2への情報の記録を行うための装置である。このカードリーダ1は、図1、図2に示すように、カード2に記録された情報の再生および/またはカード2への情報の記録を行う磁気ヘッド3、4と、カード2の表面に印刷等された文字や記号、図形等を読み取るためのスキャナ5とを備えている。また、カードリーダ1は、カードリーダ1内でカード2を搬送するための3組の搬送ローラ対6〜8と、搬送ローラ対6〜8を駆動するための駆動源となるモータ9と、カードリーダ1に挿入されるカード2が磁気カードであるか否かを判断するためのプリヘッド11、12とを備えている。また、カードリーダ1の内部には、カード2が搬送されるカード搬送路13が形成されている。
【0027】
以下の説明では、図1〜図4に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。また、以下の説明では、X1方向側を「手前」側、X2方向側を「奥」側、Y1方向側を「左」側、Y2方向側を「右」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。本形態では、X方向にカード2が搬送される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向である。
【0028】
搬送ローラ対6〜8は、図2に示すように、モータ9から伝達される駆動力で回転する上駆動ローラ16〜18および下駆動ローラ19〜21によって構成されている。また、カードリーダ1は、上駆動ローラ16〜18にモータ9の駆動力を伝達するための伝達機構24と、下駆動ローラ19〜21にモータ9の駆動力を伝達するための伝達機構25と、伝達機構24と伝達機構25とを連結する連結機構26と、下駆動ローラ19〜21を回転可能に支持するための支持部27とを備えている。
【0029】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2の表面には、磁気情報が記録される磁気ストライプ(図示省略)がカード2の搬送方向を長手方向とする細い帯状に形成されている。なお、カード2の表面には、ICチップが固定されても良い。また、カード2には、通信用のアンテナが内蔵されても良いし、カード2の表面に、感熱方式によって印字が行われる印字部が形成されても良い。さらに、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0030】
上述のように、搬送ローラ対6〜8は、上駆動ローラ16〜18と下駆動ローラ19〜21とによって構成されている。具体的には、搬送ローラ対6は、上駆動ローラ16と下駆動ローラ19とによって構成され、搬送ローラ対7は、上駆動ローラ17と下駆動ローラ20とによって構成され、搬送ローラ対8は、上駆動ローラ18と下駆動ローラ21とによって構成されている。本形態の上駆動ローラ16〜18は、第1駆動ローラであり、下駆動ローラ19〜21は、第2駆動ローラである。
【0031】
上駆動ローラ16〜18は、カード搬送路13の上側に配置されている。また、下駆動ローラ19〜21は、カード搬送路13の下側に配置されている。上駆動ローラ16〜18と下駆動ローラ19〜21とは、互いに当接可能となるように、上下方向で対向しており、搬送ローラ対6〜8は、上駆動ローラ16〜18と下駆動ローラ19〜21との間にカード2を挟んでカード2を搬送する。
【0032】
搬送ローラ対6〜8は、手前側から奥側に向かってこの順番で配置されている。すなわち、カード2の搬送方向において、搬送ローラ対6〜8は、カード2の挿入側からこの順番で配置されている。本形態では、搬送ローラ対6は第1搬送ローラ対であり、搬送ローラ対7は第2搬送ローラ対であり、搬送ローラ対8は第3搬送ローラ対である。
【0033】
カード2の搬送方向における搬送ローラ対6と搬送ローラ対7との間隔は、カード2の長手方向の幅(搬送方向の長さ)よりもわずかに短くなっている。また、カード2の搬送方向における搬送ローラ対6と搬送ローラ対7との間隔は、カード2に形成される磁気ストライプの磁気情報の記録領域のX方向の幅(すなわち、カード2の搬送方向における磁気ストライプの記録領域の長さ)よりも広くなっている。また、カード2の搬送方向における搬送ローラ対7と搬送ローラ対8との間隔は、搬送ローラ対6と搬送ローラ対7との間隔よりも短くなっている。
【0034】
上駆動ローラ16〜18および下駆動ローラ19〜21は、外周面にゴム層を有するゴムローラである。本形態では、上駆動ローラ17、18のゴム層の硬度と、下駆動ローラ20、21のゴム層の硬度と、上駆動ローラ16または下駆動ローラ19の一方のゴム層の硬度とが略等しくなっている。また、上駆動ローラ16または下駆動ローラ19の他方のゴム層の硬度は、上駆動ローラ17、18等のゴム層の硬度より低くなっている。
【0035】
上駆動ローラ16〜18は、図3に示すように、左右方向におけるカード搬送路13の略中心位置に配置されている。また、上駆動ローラ16〜18は、上回転軸29〜31に固定されている。具体的には、上駆動ローラ16、18は、上回転軸29、31の軸方向の略中心位置に固定され、上駆動ローラ17は、上回転軸30の右端に固定されている。上回転軸29、31の左右両端側のそれぞれは、カードリーダ1の本体フレームの一部を構成する左側板32および右側板33に回転可能に支持されている。また、上回転軸30の左端側は、左側板32に回転可能に支持されている。本形態の上回転軸29〜31は、第1回転軸である。
【0036】
下駆動ローラ19〜21は、図4に示すように、左右方向におけるカード搬送路13の略中心位置に配置されている。また、下駆動ローラ19〜21は、下回転軸34〜36に固定されている。具体的には、下駆動ローラ19〜21は、下回転軸34〜36の右端に固定されている。下回転軸34は、支持部27を構成する後述の固定部材61に回転可能に支持されている。また、下回転軸35、36は、支持部27を構成する後述の支持部材60に回転可能に支持されている。本形態の下回転軸34〜36は、第2回転軸である。
【0037】
伝達機構24は、図1、図3に示すように、上回転軸29〜31の左端側に固定される従動プーリ39〜41と、上回転軸30の左端側に従動プーリ40と平行に固定される従動大プーリ42と、従動プーリ39〜41に掛け渡されるベルト43と、ベルト43の張力を調整するための複数のテンションプーリ44とを備えている。本形態の従動プーリ39〜41は第1プーリであり、ベルト43は第1ベルトである。また、本形態の伝達機構24は、第1伝達機構である。
【0038】
モータ9の出力軸には、駆動プーリ45が固定されている。また、駆動プーリ45と従動大プーリ42との間には、ベルト46が掛け渡されている。すなわち、本形態では、モータ9は、伝達機構24に連結されている。なお、モータ9は、カード搬送路13の下方に配置されている。
【0039】
伝達機構25は、図1、図4に示すように、下回転軸34〜36の左端側に固定される従動プーリ47〜49と、従動プーリ47〜49に掛け渡されるベルト50と、ベルト50の張力を調整するための複数のテンションプーリ51とを備えている。本形態の従動プーリ47〜49は第2プーリであり、ベルト50は第2ベルトである。また、本形態の伝達機構25は、第2伝達機構である。
【0040】
なお、本形態の従動プーリ39〜41、従動大プーリ42および駆動プーリ45は、歯付きプーリ(タイミングプーリ)であり、ベルト43、46は、歯付きベルト(タイミングベルト)ある。また、従動プーリ47〜49は、外周面に歯が形成されていない平プーリであり、ベルト50は、平ベルトである。
【0041】
連結機構26は、図3、図4に示すように、上回転軸29の左端側に固定される2個の上歯車54と、下回転軸34の左端側に固定され、上歯車54に噛み合う2個の下歯車55とを備えている。すなわち、本形態の連結機構26は、第1搬送ローラ対である搬送ローラ対6を構成する上駆動ローラ16が固定される上回転軸29と、搬送ローラ対6を構成する下駆動ローラ19が固定される下回転軸34とを連結している。本形態では、上歯車54は第1歯車であり、下歯車55は第2歯車である。なお、下回転軸34の左端には、手動で下回転軸34を回転させるためのつまみ56が固定されている。
【0042】
磁気ヘッド3、4は、搬送ローラ対7の近傍に配置されている。具体的には、カード2の搬送方向では、搬送ローラ対7の中心と磁気ヘッド3、4の中心とが略一致するように磁気ヘッド3、4が配置され、左右方向では、搬送ローラ対7の右側に磁気ヘッド3、4が配置されている。本形態では、磁気ヘッド3がカード搬送路13の上側に配置され、磁気ヘッド4がカード搬送路13の下側に配置されている。また、磁気ヘッド3、4は、それぞれのギャップが上下方向で対向するように配置されている。
【0043】
スキャナ5は、カード2の搬送方向において、搬送ローラ対7と搬送ローラ対8との間に配置されている。また、スキャナ5は、カード搬送路13の上側に配置されている。プリヘッド11、12は、カード2の挿入口に配置されている。本形態では、プリヘッド11がカード2の挿入口の上側に配置され、プリヘッド12がカード2の挿入口の下側に配置されている。
【0044】
支持部27は、図4に示すように、カードリーダ1の左端側に配置されている。また、支持部27は、カード搬送路13の下側に配置されている。この支持部27の構成については後述する。
【0045】
以上のように構成されたカードリーダ1では、手前側から奥側に向かってカード2が搬送されるときに、磁気ヘッド3、4によるカード2への磁気情報の記録と、カード2に記録された磁気情報の再生とが行われる。また、カードリーダ1では、奥側から手前側に向かってカード2が搬送されるときに、磁気ヘッド3、4による磁気情報の再生が行われる。
【0046】
(支持部の構成)
図5は、図4に示す支持部27の構成を説明するための平面図である。図6は、図4に示す支持部27を説明するための側面図であり、(A)は搬送ローラ対7にカード2が挟まれていない状態を示す図、(B)は搬送ローラ対7にカード2が挟まれている状態を示す図である。
【0047】
支持部27は、図5、図6に示すように、下駆動ローラ20、21を回転可能に支持する支持部材60と、カードリーダ1の本体フレームに固定される固定部材61と、支持部材60をカード搬送路13に向かって付勢する付勢部材としての圧縮コイルバネ62とを備えている。
【0048】
支持部材60は、Z方向とX方向とから形成されるZX平面に略平行で左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置される2枚の側板63、64と、2枚の側板63、64を繋ぐ複数の連結軸65とを備えている。固定部材61は、ZX平面に略平行な2枚の側板66、67を有するとともに、上面が開口する略角溝状に形成されており、側板66、67の間に、支持部材60が配置されている。
【0049】
下回転軸34の左右両端側のそれぞれは、側板66、67に回転可能に支持されている。すなわち、本形態では、上回転軸29は、カードリーダ1の本体フレームの一部を構成する左側板32および右側板33に回転可能に支持され、下回転軸34は、カードリーダ1の本体フレームに固定される固定部材61の側板66、67に回転可能に支持されており、上駆動ローラ16と下駆動ローラ19との芯間距離は固定されている。また、本形態では、上駆動ローラ16と下駆動ローラ19との芯間距離は、上駆動ローラ16の下端と下駆動ローラ19の上端とが当接する距離、あるいは、上駆動ローラ16の下端と下駆動ローラ19の上端との間にわずかな隙間が形成される距離に設定されている。なお、下回転軸34は、左側板32に回転可能に支持されても良い。
【0050】
一方、下回転軸35、36の左右両端側のそれぞれは、側板63、64に回転可能に支持されている。また、支持部材60の手前端側には、下回転軸34が挿通されており、支持部材60は、下回転軸34を支点にして回動可能となっている。すなわち、本形態では、上駆動ローラ17と下駆動ローラ20との芯間距離、および、上駆動ローラ18と下駆動ローラ21との芯間距離は、支持部材60の回動量に応じて変わるようになっている。
【0051】
なお、側板64には、図5に示すように、テンションプーリ51を回転可能に支持する固定軸68も固定されている。また、左側板32には、下回転軸34〜36が挿通される挿通孔が形成されている。下回転軸35、36が挿通される挿通孔は、支持部材60が回動しても、下回転軸35、36と左側板32が接触することがないように形成されている。
【0052】
圧縮コイルバネ62は、図6に示すように、下回転軸35の下方に配置されており、支持部材60を上側に向かって付勢している。すなわち、圧縮コイルバネ62は、下回転軸34を中心にして、図6の時計方向に支持部材60を付勢している。すなわち、圧縮コイルバネ62は、下駆動ローラ20、21を上駆動ローラ17、18に向かって付勢している。
【0053】
そのため、図6(A)に示すように、カード搬送路13でカード2が搬送されていないときには、圧縮コイルバネ62の付勢力で、上駆動ローラ17と下駆動ローラ20とが当接し、上駆動ローラ18と下駆動ローラ21とが当接している。
【0054】
一方、カード搬送路13でカード2が搬送されて、上駆動ローラ17と下駆動ローラ20との間にカード2が挟まれると、図6(B)に示すように、圧縮コイルバネ62の付勢力に抗して、支持部材60は、下回転軸34を支点にして図6の反時計方向に回動する。すなわち、支持部材60は、下回転軸34を支点にして回動して、上駆動ローラ18と下駆動ローラ21とが離れる方向へカード搬送路13に対して相対移動を行う。支持部材60が下回転軸34を支点にして回動すると、図6(B)に示すように、上駆動ローラ18と下駆動ローラ21との間には、カード2の厚さ以上の隙間が形成される。
【0055】
なお、図6(B)では、説明の便宜上、上駆動ローラ18と下駆動ローラ21との間に大きな隙間が形成されているが、上駆動ローラ18と下駆動ローラ21との間に実際に形成される隙間は、図6(B)に図示するほど大きくはない。
【0056】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、カード2を搬送するための搬送ローラ対6〜8は、モータ9から伝達される駆動力で回転する上駆動ローラ16〜18および下駆動ローラ19〜21によって構成されている。また、上駆動ローラ16と下駆動ローラ19との芯間距離は固定され、かつ、下駆動ローラ20、21は圧縮コイルバネ62の付勢力で上駆動ローラ17、18に向かって付勢されている。そのため、本形態では、カード2の搬送力を高めることができる。
【0057】
また、本形態では、下駆動ローラ20、21を回転可能に支持する支持部材60は、下回転軸34を支点にする回動が可能となるように構成され、圧縮コイルバネ62によって、図6の時計方向に付勢されている。そのため、上述のように、上駆動ローラ17と下駆動ローラ20との間にカード2が挟まれると、上駆動ローラ18と下駆動ローラ21との間には、カード2の厚さ以上の隙間が形成される。したがって、搬送ローラ対7によってカードリーダ1の奥側へ向かって搬送されているカード2が、上駆動ローラ18と下駆動ローラ21との間に突入する際の突入負荷を低減することができる。
【0058】
その結果、本形態では、カード2の搬送力を高めることが可能でありながら、搬送されるカード2の速度変動を従来以上に抑制することが可能になる。すなわち、本形態のカードリーダ1では、様々な変形カードの搬送が可能になるとともに、カード2への磁気情報の記録品質やカード2に記録された磁気情報の再生品質を向上させることが可能になる。
【0059】
本形態では、上回転軸29に固定される上歯車54と、下回転軸34に固定される下歯車55とによって、伝達機構24と伝達機構25とが連結されている。そのため、下駆動ローラ20、21を支持する支持部材60が下回転軸34を支点にする回動が可能となるように構成されていても、1箇所に配置される上歯車54と下歯車55とを用いて、伝達機構24と伝達機構25とを連結することができる。
【0060】
本形態では、従動プーリ39〜41やベルト43等によってモータ9の動力が伝達されて、上駆動ローラ16〜18が回転する。また、従動プーリ47〜49やベルト50等によってモータ9の動力が伝達されて、下駆動ローラ19〜21が回転する。そのため、歯車列によってモータ9の動力が伝達されて、上駆動ローラ16〜18や下駆動ローラ19〜21が回転する場合と比較して、搬送ローラ対6〜8で搬送されるカード2の搬送速度の変動を抑制することが可能になる。
【0061】
本形態では、支持部材60は、下回転軸34を支点にして回動するように構成されている。そのため、支持部材60が回動する場合であっても、連結機構26を構成する上歯車54が固定される上回転軸29と下歯車55が固定される下回転軸34との芯間距離を一定に保つことができる。したがって、支持部材60が回動する場合であっても、上歯車54と下歯車55とを確実に噛み合わせて、伝達機構24と伝達機構25との間で確実に動力を伝達することができる。
【0062】
本形態では、支持部材60が下回転軸34を支点にして回動するように構成されている。また、下回転軸34は、ZX平面に略平行な側板66、67に回転可能に支持され、下回転軸35、36は、ZX平面に略平行な側板63、64に回転可能に支持されている。そのため、支持部材60が回動する場合であっても、下回転軸34〜36に固定された従動プーリ47〜49に架け渡されるベルト50の三次元的なねじれを防止することが可能になる。
【0063】
本形態では、カード2の搬送方向における搬送ローラ対6と搬送ローラ対7との間隔は、カード2の長手方向の幅よりもわずかに短くなっている。また、本形態では、カード2の搬送方向における搬送ローラ対7と搬送ローラ対8との間隔は、搬送ローラ対6と搬送ローラ対7との間隔よりも短くなっている。さらに、本形態では、手前側から奥側に向かってカード2が搬送されるときに、磁気ヘッド3、4によるカード2への磁気情報の記録が行われる。そのため、カード2への磁気情報の記録時に、搬送ローラ対7と搬送ローラ対8との2組の搬送ローラ対7、8によって搬送されるカード2の搬送距離を長くすることができる。したがって、本形態では、搬送ローラ対7で搬送されているカード2が上駆動ローラ18と下駆動ローラ21との間に突入する際の突入負荷を低減してカード2の搬送速度の変動を抑制しつつ、2組の搬送ローラ対7、8によってカード2を精度良く搬送することが可能になる。その結果、磁気情報を精度良くカード2へ記録することが可能になる。
【0064】
本形態では、カード2の搬送方向における搬送ローラ対6と搬送ローラ対7との間隔は、カード2に形成される磁気ストライプの磁気情報の記録領域のX方向の幅よりも広くなっている。そのため、上駆動ローラ16と下駆動ローラ19との芯間距離が一定に保たれている場合であっても、搬送ローラ対7で搬送されているカード2が上駆動ローラ16と下駆動ローラ19との間に突入する際の突入負荷の影響によって、カード2に記録された磁気情報の再生品質が低下するのを防止することができる。
【0065】
なお、本形態では、上駆動ローラ16または下駆動ローラ19の他方のゴム層の硬度は、上駆動ローラ16または下駆動ローラ19の一方のゴム層の硬度より低くなっている。そのため、上駆動ローラ16と下駆動ローラ19との芯間距離が一定に保たれている場合であっても、搬送ローラ対7で搬送されているカード2が上駆動ローラ16と下駆動ローラ19との間に突入する際には、硬度の低いゴム層が形成される上駆動ローラ16または下駆動ローラ19の表面が変形して、上駆動ローラ16と下駆動ローラ19との間にカード2が挟まれる。したがって、搬送ローラ対7で搬送されているカード2が上駆動ローラ16と下駆動ローラ19との間に突入する際の突入負荷を軽減して、カード2の搬送速度の変動を抑制することが可能である。
【0066】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0067】
上述した形態では、支持部材60は、下回転軸34を支点にして回動するように構成されている。この他にもたとえば、支持部材60は、下回転軸36を支点にして回動するように構成されても良い。また、支持部材60は、カード2の搬送方向と平行な方向を軸方向として配置される支点軸を支点にして回動するように構成されても良い。さらに、支持部材60は、上下方向に平行移動するように構成されても良い。すなわち、搬送ローラ対7によってカード2が搬送されているときに、上駆動ローラ16と下駆動ローラ19との間および/または上駆動ローラ18と下駆動ローラ21との間に隙間が形成されるように、支持部材60がカード搬送路13に対して相対移動可能に構成されていれば良い。
【0068】
上述した形態では、上駆動ローラ17、18は、左側板32および右側板33に回転可能に支持されている。また、下駆動ローラ20、21は、支持部材60に回転可能に支持され、支持部材60は、下回転軸34を支点として回動可能となっている。この他にもたとえば、下駆動ローラ20、21が左側板32および右側板33に回転可能に支持され、上駆動ローラ17、18が支持部材に回転可能に支持されるとともに、この支持部材が上回転軸29を支点として回動可能となっていても良い。この場合には、上駆動ローラ17、18を支持する支持部材は、圧縮コイルバネ等の付勢部材によって、上回転軸29を中心にして、図6の反時計方向に付勢される。
【0069】
なお、この場合には、下駆動ローラ19〜21が第1駆動ローラとなり、上駆動ローラ16〜18が第2駆動ローラとなる。また、下回転軸34〜36が第1回転軸となり、上回転軸29〜31が第2回転軸となる。さらに、伝達機構25が第1伝達機構となり、伝達機構24が第2伝達機構となるとともに、下歯車55が第1歯車となり、上歯車54が第2歯車となる。
【0070】
上述した形態では、支持部材60は、圧縮コイルバネ62によって、図6の時計方向に付勢されている。この他にもたとえば、支持部材60は、引張りコイルバネ、ネジリコイルバネまたは板バネ等の他のバネ部材によって、図6の時計方向に付勢されても良いし、支持部材60は、ゴム等の弾性部材によって、図6の時計方向に付勢されても良い。
【0071】
上述した形態では、カード2の搬送方向における搬送ローラ対7と搬送ローラ対8との間隔は、搬送ローラ対6と搬送ローラ対7との間隔よりも短くなっている。この他にもたとえば、カード2の搬送方向における搬送ローラ対7と搬送ローラ対8との間隔は、搬送ローラ対6と搬送ローラ対7との間隔よりも長くなっていても良いし、カード2の搬送方向における搬送ローラ対7と搬送ローラ対8との間隔は、搬送ローラ対6と搬送ローラ対7との間隔と同じであっても良い。
【0072】
なお、カード2の搬送方向における搬送ローラ対7と搬送ローラ対8との間隔が、搬送ローラ対6と搬送ローラ対7との間隔よりも長くなっている場合には、支持部材60が、下回転軸36を支点にして回動するように構成され、カードリーダ1では、奥側から手前側に向かってカード2が搬送されるときに、磁気ヘッド3、4によるカード2への磁気情報の記録が行われることが好ましい。
【0073】
上述した形態では、カードリーダ1は、カード2に記録された情報の再生および/またはカード2への情報の記録を行う情報記録再生手段として、磁気ヘッド3、4およびスキャナ5を備えているが、カードリーダ1は磁気ヘッド3、4を備えていなくても良い。この場合であっても、搬送ローラ対7によってカードリーダ1の奥側へ向かって搬送されているカード2が、上駆動ローラ18と下駆動ローラ21との間に突入する際の突入負荷を低減することができるため、スキャナ5による画像の読み取り精度を向上させることが可能になる。また、カードリーダ1は、情報記録再生手段として、磁気ヘッド3、4やスキャナ5に加えて、あるいは、磁気ヘッド3、4やスキャナ5に代えて、感熱方式で印字が行われるカード2の印字部に文字やバーコード等を印字するサーマルヘッドを備えていても良い。
【0074】
上述した形態では、連結機構26は、上歯車54と下歯車55とによって構成されているが、連結機構26は、上回転軸29に固定されるプーリと、下回転軸34に固定されるプーリと、これらのプーリに架け渡されるベルトとによって構成されても良い。また、伝達機構24および伝達機構25が歯車列によって構成されても良い。
【0075】
上述した形態では、カードリーダ1は、3組の搬送ローラ対6〜8を備えているが、カードリーダ1が備える搬送ローラ対の数は、2組であっても良いし、4組以上であっても良い。カードリーダ1が備える搬送ローラ対の数が4組以上である場合には、少なくとも2組の搬送ローラ対を構成する下駆動ローラが支持部材60に回転可能に支持される。
【符号の説明】
【0076】
1 カードリーダ
2 カード
3、4 磁気ヘッド
6 搬送ローラ対(第1搬送ローラ対)
7 搬送ローラ対(第2搬送ローラ対)
8 搬送ローラ対(第3搬送ローラ対)
9 モータ(駆動源)
13 カード搬送路
16〜18 上駆動ローラ(第1駆動ローラ)
19〜21 下駆動ローラ(第2駆動ローラ)
24 伝達機構(第1伝達機構)
25 伝達機構(第2伝達機構)
26 連結機構
29〜31 上回転軸(第1回転軸)
34〜36 下回転軸(第2回転軸)
39〜41 従動プーリ(第1プーリ)
43 ベルト(第1ベルト)
47〜49 従動プーリ(第2プーリ)
50 ベルト(第2ベルト)
54 上歯車(第1歯車)
55 下歯車(第2歯車)
60 支持部材
62 圧縮コイルバネ(付勢部材)
X 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが搬送されるカード搬送路が内部に形成されるカードリーダにおいて、
駆動源から伝達される駆動力で回転する第1駆動ローラおよび第2駆動ローラによって構成され、前記第1駆動ローラと前記第2駆動ローラとの間に前記カードを挟んで前記カードを搬送する搬送ローラ対を複数、備えるとともに、
複数の前記搬送ローラ対を構成する複数の前記第2駆動ローラのうちの少なくとも2個以上の前記第2駆動ローラを回転可能に支持し前記カード搬送路に対する相対移動が可能な支持部材と、前記カード搬送路に向かって前記支持部材を付勢する付勢部材とを備えることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
複数の前記搬送ローラ対を構成する複数の前記第1駆動ローラに駆動力を伝達するための第1伝達機構と、複数の前記搬送ローラ対を構成する複数の前記第2駆動ローラに駆動力を伝達するための第2伝達機構と、前記第1伝達機構または前記第2伝達機構に連結される前記駆動源と、前記第1伝達機構と前記第2伝達機構とを連結する連結機構と、複数の前記第1駆動ローラのそれぞれが固定される第1回転軸と、複数の前記第2駆動ローラのそれぞれが固定される第2回転軸とを備え、
前記連結機構は、複数の前記搬送ローラ対のうちの1個の前記搬送ローラ対を構成する前記第1駆動ローラが固定される前記第1回転軸とこの1個の前記搬送ローラ対を構成する前記第2駆動ローラが固定される前記第2回転軸とを連結していることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記連結機構は、前記第1回転軸に固定される第1歯車と、前記第2回転軸に固定され前記第1歯車と噛み合う第2歯車とを備えることを特徴とする請求項2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記第1伝達機構は、複数の前記第1回転軸のそれぞれに固定される第1プーリと、複数の前記第1プーリに架け渡される第1ベルトとを備え、
前記第2伝達機構は、複数の前記第2回転軸のそれぞれに固定される第2プーリと、複数の前記第2プーリに架け渡される第2ベルトとを備えることを特徴とする請求項2または3記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記支持部材は、前記連結機構によって連結される前記第2回転軸を支点にして回動して、前記カード搬送路に対する相対移動を行うことを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記搬送ローラ対として、少なくとも第1搬送ローラ対、第2搬送ローラ対および第3搬送ローラ対を備えるとともに、
前記第2搬送ローラ対の近傍に配置され、前記カードへの磁気情報の記録および/または前記カードに記録された磁気情報の再生を行う磁気ヘッドを備え、
前記第1搬送ローラ対、前記第2搬送ローラ対および前記第3搬送ローラ対は、前記カードの搬送方向において、前記カードの挿入側からこの順番で配置され、
前記連結機構は、前記第1搬送ローラ対を構成する前記第1駆動ローラが固定される前記第1回転軸と前記第1搬送ローラ対を構成する前記第2駆動ローラが固定される前記第2回転軸とを連結し、
前記支持部材は、前記第1搬送ローラ対を構成する前記第2駆動ローラに固定される前記第2回転軸を支点にして回動して、前記カード搬送路に対する相対移動を行うことを特徴とする請求項5記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記搬送方向における前記第2搬送ローラ対と前記第3搬送ローラ対との間隔は、前記搬送方向における前記第1搬送ローラ対と前記第2搬送ローラ対との間隔よりも短く、
前記磁気ヘッドは、前記第2搬送ローラ対から前記第3搬送ローラ対に向かって前記カードが搬送されるときに、前記カードへ磁気情報の記録を行うことを特徴とする請求項6記載のカードリーダ。
【請求項8】
前記搬送方向における前記第1搬送ローラ対と前記第2搬送ローラ対との間隔は、前記搬送方向における前記カードの磁気情報の記録領域の幅よりも広いことを特徴とする請求項7記載のカードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−202326(P2010−202326A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49117(P2009−49117)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】