説明

カード用コネクタ

【課題】小型化した場合においても、コンタクト端子同士の接触を防止して薄型化を図ること。
【解決手段】第1カードAを装着可能な第1装着部7、第2カードBを装着可能な第2装着部8及び第1装着部7と第2装着部8とを仕切る仕切り壁9を有するハウジング2と、第1カードAの接触部A1と接触可能な第1コンタクト端子14と、第2カードBの接触部B2と接触可能な第2コンタクト端子15とを備え、第1コンタクト端子14及び第2コンタクト端子15を仕切り壁9に対向して配置したカード用コネクタ1において、第1カードA及び第2カードBが同時に装着される場合に第1コンタクト端子14の接点部に設けられた凹部143の範囲内で第2コンタクト端子15を第1コンタクト端子14と接触しない位置に配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード用コネクタに関し、特に、2種類のカードを交差する方向で同時に装着するカード用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2種類のカードを交差する方向で同時に装着するカード用コネクタが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなカード用コネクタにおいては、SDカードが着脱されるSDカード用コネクタ部と、SIMカードが着脱されるSIMカードコネクタ部とを上下一体に樹脂で成型し、SDカード用コンタクト端子及びSIMカード用コンタクト端子の引出し方向を互いに直交する方向に配置している。
【0003】
ところで、近年、このようなカード用コネクタに装着されるSDカード等のメモリカードは小型化されている。一方、このようなメモリカードに対して各種データの記録等を行う電子機器も小型化及び薄型化されている。このため、このような電子機器に搭載され、メモリカードを装着するカード用コネクタにおいても、更なる小型化及び薄型化が要請されている。
【特許文献1】特開2001−307801号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような2種類のカードを交差する方向で同時に装着するカード用コネクタにおいては、その小型化を進めていくと、それぞれのカード用のコンタクト端子が上下に重なる部分が発生し、当該部分においてコンタクト端子同士が接触する恐れがあり、その薄型化には限界があった。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、小型化した場合においても、コンタクト端子同士の接触を防止して薄型化を図ることができるカード用コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のカード用コネクタは、第1カードを装着可能な第1装着部、第2カードを装着可能な第2装着部及び前記第1装着部と前記第2装着部とを仕切る仕切り壁を有するハウジングと、前記第1カードの接触部と接触可能な第1コンタクト端子と、前記第2カードの接触部と接触可能な第2コンタクト端子とを備え、前記第1コンタクト端子及び前記第2コンタクト端子を前記仕切り壁に対向して配置したカード用コネクタであって、前記第1カード及び第2カードが同時に装着される場合に前記第1コンタクト端子の接点部に設けられた凹部の範囲内で前記第2コンタクト端子を前記第1コンタクト端子と接触しない位置に配置したことを特徴とする。
【0007】
上記カード用コネクタによれば、第2コンタクト端子は、第1コンタクト端子の接点部に設けられた凹部の範囲内に配置されていることから、第1コンタクト端子と第2コンタクト端子とが互いに接近した場合においても、凹部を挟んでこれらを対峙させることができるので、第1コンタクト端子と第2コンタクト端子との接触を防止することができる。この結果、本カード用コネクタを小型化して第1コンタクト端子と第2コンタクト端子とが重なる位置に配置される場合においても、コンタクト端子同士の接触を防止して薄型化を図ることが可能となる。
【0008】
上記カード用コネクタにおいては、前記第2装着部に装着された前記第2カードの接触部の設置範囲内で前記第2コンタクト端子を前記第1コンタクト端子と接触しない位置に配置することが好ましい。この場合には、第2カードの接触部の設置範囲内で第2コンタクト端子の位置が調整されることから、第2コンタクト端子における第2カードの接触部との接触を確保しつつ、第1コンタクト端子との接触を防止することが可能となる。
【0009】
また、上記カード用コネクタにおいて、前記第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子は、前記仕切り壁に設けられた開口部において、直接的に対向していることが好ましい。この場合には、仕切り壁を挟んで対向させる場合よりも第1コンタクト端子と第2コンタクト端子とを接近して配置することができるので、より本カード用コネクタを薄型化することが可能となる。
【0010】
さらに、上記カード用コネクタにおいては、前記第1装着部を覆う第1カバー部材と、前記第2装着部を覆う第2カバー部材とを備え、前記ハウジングは、前記第1カードを挿入する第1カード挿入口と、前記第2カードを挿入する第2カード挿入口とを有し、前記ハウジングの第1側面には前記第1カード挿入口が設けられ、前記ハウジングの第2側面には前記第2カード挿入口及び前記第2コンタクト端子の外部接続部とが設けられ、前記ハウジングの第3側面には前記第1コンタクト端子の外部接続部が設けられ、前記ハウジングの第4側面には前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを電気的に接続する接続部材が設けられていることが好ましい。この場合には、第1カード挿入口及び第2カード挿入口、並びに、第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子の外部接続部が設けられていないハウジングの第4側面に接続部材を設けて第1カバー部材と第2カバー部材とを電気的に接続したことから、本カード用コネクタの薄型化を阻害することなく、外来ノイズに対する耐性を確保することが可能となる。
【0011】
なお、上記カード用コネクタにおいて、前記第1コンタクト端子は、前記第1コンタクト端子と当接して前記第1カードの挿入経路上への一定位置以上の突出を規制する第1規制部と、前記第1コンタクト端子と当接して前記第2装着部側への突出を規制する第2規制部とに挟まれて配置されていることが好ましい。この場合には、予め定められた第1カードと異なるカードが第1装着部に挿入され、第1コンタクト端子が、第1カードが挿入される場合よりも大きく移動する場合においても、第2装着部に突出するのを規制することができるので、第1コンタクト端子と第2コンタクト端子との接触を防止することが可能となる。
【0012】
特に、上記カード用コネクタにおいて、前記仕切り壁には、前記第1規制部に対向する位置に開口部が設けられて前記第1装着部と前記第2装着部とが連通され、前記第2規制部は前記開口部の両側の前記仕切り壁であり、前記第1規制部は前記仕切り壁と一体的に設けられていることが好ましい。この場合には、第1規制部に対向する位置に開口部を設けていることから、仕切り壁の製造時に第1規制部を容易に形成することが可能となる。
【0013】
また、上記カード用コネクタにおいて、前記第1コンタクト端子は、前記開口部の幅よりも広い幅を有することが好ましい。この場合には、開口部の両側に配置される仕切り壁から成る第2規制部により確実に第1コンタクト端子の第2装着部側への突出を確実に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第2コンタクト端子は、第1コンタクト端子の接点部に設けられた凹部の範囲内に配置されていることから、第1コンタクト端子と第2コンタクト端子とが互いに接近した場合においても、凹部を挟んでこれらを対峙させることができるので、第1コンタクト端子と第2コンタクト端子との接触を防止することができる。この結果、本カード用コネクタを小型化して第1コンタクト端子と第2コンタクト端子とが重なる位置に配置される場合においても、コンタクト端子同士の接触を防止して薄型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係るカード用コネクタ(以下、「コネクタ」という)は、2種類のカードを交差する方向で同時に装着するものである。例えば、本実施の形態に係るコネクタは、携帯電話機等に搭載され、マイクロSDカードなどのメモリカード、並びに、SIMカードなどの契約者情報を記録したICカードを装着するものである。なお、本実施の形態に係るコネクタに装着されるカードの種類についてはこれに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
【0016】
図1及び図2は、本実施の形態に係るコネクタ1と、コネクタ1に装着される第1及び第2カードとを示す斜視図である。図1においては、第1及び第2カードが装着される前の状態を示し、図2においては、第1及び第2カードが装着された後の状態を示している。なお、以下においては、適宜、図1に示す紙面上方側を「コネクタ1の前方側」又は単に「前方側」と呼び、同図に示す紙面下方側を「コネクタ1の後方側」又は単に「後方側」と呼ぶものとする。また、図1に示す紙面右方側を「コネクタ1の右方側」又は単に「右方側」と呼び、同図に示す紙面左方側を「コネクタ1の左方側」又は単に「左方側」と呼ぶものとする。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係るコネクタ1は、第1カードA及び第2カードBが装着されるハウジング2と、ハウジング2の上面に取り付けられる第1カバー部材3と、ハウジング2の下面に取り付けられる第2カバー部材4とを備えて構成される。これらの第1カバー部材3及び第2カバー部材4が取り付けられた状態において、コネクタ1には、後方側に開口した第1カード挿入口5が形成される一方、左方側に開口した第2カード挿入口6が形成されている。なお、第1カード挿入口5は、コネクタ1の後面における上方側部分に形成される一方、第2カード挿入口6は、コネクタ1の左方側側面における下方側部分に形成されている。
【0018】
後述するように、ハウジング2における第1カード挿入口5の前方側内部には、第1カードAが装着される第1装着部7が形成され、第2カード挿入口6の右方側内部には、第2カードBが装着される第2装着部8が形成される。第1カードAは、図2に示すように、第1カード挿入口5から第1装着部7に対してコネクタ1の前方側に向けて装着される。一方、第2カードBは、図2に示すように、第2カード挿入口6から第2装着部8に対してコネクタ1の右方側に向けて装着される。このように装着された状態において、コネクタ1の内部では第1カードAと第2カードBとが上下に重なって配置されている。
【0019】
この場合において、第1カードAは、図1に示すように、接触部としての接触パッドA1を下面に配置した状態でコネクタ1に装着され、後述する第1装着部7の下方領域に設けられた第1コンタクト端子14が接触パッドA1に接触するものとなっている。一方、第2カードBは、図1に示すように、接触部としての接触パッドB1を上面に配置した状態でコネクタ1に装着され、後述する第2装着部8の上方領域に設けられた第2コンタクト端子15が接触パッドB1に接触するものとなっている。
【0020】
図3は、本実施の形態に係るコネクタ1の分解斜視図である。図4及び図5は、本実施の形態に係るコネクタ1のハウジング2の斜視図及び上面図である。なお、図3〜図5においては、いずれも第1カードA及び第2カードBが装着されていない状態(初期状態)について示している。
【0021】
第1カバー部材3及び第2カバー部材4は、例えば、金属製の板材料に打ち抜き加工を施すと共に、曲げ加工を施すことにより形成される。図3に示すように、第1カバー部材3は、それぞれ前方側及び後方側の端面から下方側に延出する一対の係合部31、並びに、側方側の端面から下方側に延出する一対の係合部32を備え、これらの係合部31、係合部32で後述するハウジング2の係合片101、111、121及び131を収容することでハウジング2に固定される。一方、第2カバー部材4は、それぞれ前方側及び後方側の端面から上方側に延出する一対の係合部41、並びに、右方側の端面から上方側に延出する一対の係合部42を備え、これらの係合部41、係合部42で後述するハウジング2の係合片102、112及び122を収容することでハウジング2に固定される。これらの第1カバー部材3及び第2カバー部材4は、それぞれ後述する第1装着部7及び第2装着部8を覆うようにハウジング2に固定される。
【0022】
第1カバー部材3の上面における右方側の所定位置には、後述する係合ピン18を下方側に付勢する付勢片33と、後述するスライダ16が所定位置まで移動した場合にその上面に接触して荷重を与える付勢片34とが形成されている。また、第1カバー部材3の上面における左方側の所定位置には、ハウジング2の所定箇所に接触して第1カバー部材3の位置決めを行う位置決め部35が形成されている。なお、これらの付勢片33及び付勢片34、並びに、位置決め部35は、第1カバー部材3の一部を切り起こして形成されている。
【0023】
第1カバー部材3の右方側の端面の所定位置には、下方側に延出する一対の接続部材36が設けられている。これらの接続部材36は、第2カバー部材4の右方側の側面の所定位置に上方側に延出して設けられた接続部材43に対応する位置に配置され、第1カバー部材3と第2カバー部材4とを電気的に接続するものである。第2カバー部材4は、グランド接続されており、この第2カバー部材4に対して第1カバー部材3を電気的に接続することにより、外来ノイズに対する耐性を確保するものとなっている。
【0024】
ハウジング2は、合成樹脂材料などの絶縁材料を成型して形成され、図3に示すように、概して偏平な形状を有している。ハウジング2には、その上面に第1カードAが装着される第1装着部7が形成される一方、その下面に第2カードBが装着される第2装着部8が形成されている(第2装着部8については図3に不図示)。第1装着部7と第2装着部8との間には、これらを仕切る仕切り壁9が配設されている。また、ハウジング2には、その前面を構成する前壁部10と、その後面を構成する後壁部11と、その右方側の側面を構成する側壁部12と、その左方側の側面を構成する側壁部13とが設けられている。なお、後壁部11は第1側面を構成し、左方側の側壁部13は第2側面を構成し、前壁部10は第3側面を構成し、右方側の側壁部12は第4側面を構成する。
【0025】
これらの前壁部10の所定位置には、上述した第1カバー部材3に設けられた係合部31と係合する係合片101と、第2カバー部材4に設けられた係合部41と係合する係合片102とが設けられている(図3に不図示、図5参照)。同様に、後壁部11の所定位置には、第1カバー部材3の係合部31と係合する係合片111と、第2カバー部材4の係合部41と係合する係合片112とが設けられている。また、側壁部12の所定位置には、第1カバー部材3の係合部32と係合する係合片121と、第2カバー部材4の係合部42と係合する係合片122とが設けられている。同様に、側壁部13の所定位置には、第1カバー部材3の係合部32と係合する係合片131が設けられている(図3に不図示、図5参照)。
【0026】
図4及び図5に示すように、仕切り壁9の前方側端部近傍には、第1カードA用の複数の第1コンタクト端子14がコネクタ1の左右方向に並べて設けられている。これらの第1コンタクト端子14は、仕切り壁9に対向して配置されている。また、これらの第1コンタクト端子14の外部接続部141は、コネクタ1の前壁部10から前方に導出されている。例えば、これらの第1コンタクト端子14は、成型されたハウジング2に対して上方側から取り付けられる。
【0027】
仕切り壁9の所定位置には、コネクタ1の前後方向に並べて複数の開口部91、92が形成されている。これらの開口部91、92に対応する位置に第2カードB用の複数の第2コンタクト端子15が設けられている。これらの第2コンタクト端子15は、仕切り壁9に対向して配置されている。また、これらの第2コンタクト端子15の外部接続部151は、コネクタ1の左方側の側壁部13から左方側に導出されている。例えば、これらの第2コンタクト端子15は、ハウジング2に対してインサート成形される。
【0028】
これらの第2コンタクト端子15のうち、最も前方側に配置される第2コンタクト端子15は、図5に示すように、開口部91、92において、第1コンタクト端子14と直接的に対向するものとなっている。なお、これらの第1コンタクト端子14及び第2コンタクト端子15の構成、並びに、第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15との位置関係については後述する。
【0029】
ハウジング2の内部における右方側の側壁部12の近傍には、第1カードAの挿入及び排出動作に伴ってコネクタ1の前後方向にスライド移動可能なスライドダ16と、このスライダ16を第1カードAの排出方向側に付勢する付勢ばね17と、スライダ16の上面に形成されたカム溝161と係合し、付勢ばね17の付勢力に抗してスライダ16を所定の位置に保持する係合ピン18とが配設されている。
【0030】
スライダ16は、例えば、絶縁性の樹脂材料を成型して形成され、その後方側部分の上面にカム溝161が形成されると共に、コネクタ1に挿入される第1カードAの側面に形成された凹部A2(図1参照)と係合する突出部162aを有する板ばね162が埋め込まれている。カム溝161は、図5に示すように、概してハート形状を有するハート型カム161aと、このハート型カム161aの左方側に配置される第1ガイド溝161b、右方側に配置される第2ガイド溝161c、並びに、第1及び第2ガイド溝161b、161cに連結され、係合ピン18の一端を係止する係止部を有する凹み溝161dで構成される。なお、カム溝161には、係合ピン18を一定方向に案内すべく、その内底面に所定の段差部が形成されている。
【0031】
係合ピン18は、前方側の一端がこのように構成されたカム溝161に係合する一方、後方側の一端がハウジング2の後壁部11に形成された保持穴113に回動自在に保持されている。係合ピン18の前方側の一端は、コネクタ1に対する第1カードAの挿入動作に伴って第1ガイド溝161b、凹み溝161d及び第2ガイド溝161cに沿って案内され、コネクタ1に装着された状態においては、凹み溝161dの係止部に係止されるものとなっている。なお、係合ピン18には、上述した第1カバー部材3の付勢片33による付勢力が加わっており、その付勢力によりカム溝161側に押し付けられた状態とされている。
【0032】
ハウジング2の内部における左方側の側壁部13の近傍には、第1カードAの装着状態を検知する検知スイッチ19が配設されている。検知スイッチ19は、第1カードAと接触して回動するレバー191と、このレバー191に保持される可動接点ばね192と、側壁部13の前方側端部近傍に設けられ、可動接点ばね192が離接する固定接点193a、193bとから構成される。レバー191は、その後方側端部においてハウジング2に回動可能に保持されており、その一部を第1カードAの挿入経路上に突出させている。
【0033】
コネクタ1に挿入された第1カードAが接触すると、レバー191は、後方側端部を回動支点として左方側に回動し、可動接点ばね192の前方側に延出する腕部を固定接点193aに接触させる。一方、第1カードAが引き抜かれると、レバー191は、後方側端部を回動支点として右方側に回動し、可動接点ばね192の前方側に延出する腕部を固定接点193aから離間させる。検知スイッチ19においては、このような可動接点ばね192と固定接点193aとの接離状態に応じて第1カードAの装着状態を検知するものとなっている。
【0034】
ここで、ハウジング2に設けられる第1コンタクト端子14及び第2コンタクト端子15の構成、並びに、第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15との位置関係について説明する。図6及び図7は、本実施の形態に係るコネクタ1のハウジング2に設けられる第1コンタクト端子14及び第2コンタクト端子15の構成を示す斜視図及び上面図である。図8及び図9は、本実施の形態に係るコネクタ1のハウジング2に設けられる第1コンタクト端子14及び第2コンタクト端子15の構成を示す側面図である。なお、図8においては、図7に示す右方側からの側面図を示し、図9においては、図7に示す下方側からの側面図を示している。また、図6〜図9においては、第2コンタクト端子15と同様にハウジング2にインサート成形される固定接点193a、193bについても示している。
【0035】
図6及び図7に示すように、第1コンタクト端子14は、コネクタ1の後方側であって僅かに上方側に延出して設けられている。そして、その先端部近傍には、第1カードAの接触パッドA1に接触する接点部142が設けられている。接点部142は、第1コンタクト端子14を上方側に湾曲させることで構成され、図8に示すように、その下面には凹部143が設けられている。また、第1コンタクト端子14の先端部には、幅広部144が設けられている。
【0036】
一方、第2コンタクト端子15は、図6及び図7に示すように、コネクタ1の右方側であって僅かに下方側に延出して設けられている。そして、その先端部近傍には、第2カードBの接触パッドB1に接触する接点部152が設けられている。接点部152は、第2コンタクト端子15を下方側に湾曲させることで構成され、図9に示すように、その上面には凹部153が設けられている。
【0037】
本実施の形態に係るコネクタ1においては、図6及び図7に示すように、最も前方側に配置される第2コンタクト端子15と第1コンタクト端子14とがその先端部近傍において上下に重なるように配置している。この場合において、本実施の形態に係るコネクタ1においては、第1コンタクト端子14の凹部143の範囲内の位置に第2コンタクト端子15を配置し、第1カードA及び第2カードBが同時に装着された時にこれらが接触しないようにしている。
【0038】
図10及び図11は、第1カードA及び第2カードBが装着された場合の第1コンタクト端子14及び第2コンタクト端子15の構成を示す斜視図及び上面図である。図12及び図13は、第1カードA及び第2カードBが装着された場合の第1コンタクト端子14及び第2コンタクト端子15の構成を示す側面図である。図10及び図11は、それぞれ図6及び図7に対応し、図12及び図13は、図8及び図9に対応するものである。
【0039】
コネクタ1に第1カードAが装着されると、第1カードAの接触パッドA1との接触により接点部142が押し下げられ、第1コンタクト端子14は、図10及び図11に示すように、その先端部が下方側に移動することとなる。一方、コネクタ1に第2カードBが装着されると、第2カードBの接触パッドB1との接触により接点部152が押し上げられ、第2コンタクト端子15は、図10及び図11に示すように、その先端部が上方側に移動することとなる。
【0040】
この場合において、第2コンタクト端子15の先端部は、図12及び図13に示すように、第1コンタクト14の凹部143の範囲内に配置されている。このため、第1コンタクト端子14が下方側に移動すると共に、第2コンタクト端子15が上方側に移動して両者が互いに接近した場合においても、凹部143を挟んでこれらを対峙させることができるので、第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15とが接触することはない。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態に係るコネクタ1においては、第1カードA及び第2カードBが同時に装着される場合に第1コンタクト端子14の接点部142に設けられた凹部143の範囲内で第2コンタクト端子15を第1コンタクト端子14と接触しない位置に配置している。これにより、第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15とが互いに接近した場合においても、凹部143を挟んでこれらを対峙させることができるので、第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15との接触を防止することができる。この結果、本コネクタ1を小型化して第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15とが重なる位置に配置される場合においても、コンタクト端子同士の接触を防止して薄型化を図ることが可能となる。
【0042】
特に、本実施の形態に係るコネクタ1においては、第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15とを、仕切り壁9に設けた開口部91、92において直接的に対向させている。これにより、仕切り壁9を挟んで対向させる場合よりも第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15とを接近して配置することができるので、より本コネクタ1を薄型化することが可能となる。
【0043】
本実施の形態に係るコネクタ1においては、このように最も前方側に配置される第2コンタクト端子15の位置を、第1コンタクト端子14の凹部143に対応する位置に調整するが、この際、第2コンタクト端子15と第2カードBの接触パッドB1との接触を確保する必要がある。このため、本実施の形態に係るコネクタ1においては、第2カードBにおける該当する接触パッドB1(コネクタ1に対する装着時に最も前方側に配置される接触パッドB1)の範囲内で2コンタクト端子15の位置を調整している。
【0044】
図14は、本実施の形態に係るコネクタ1のハウジング2に設けられる第2コンタクト端子15と、第2カードBの接触パッドB1との関係について説明する上面図である。図14に示すように、本実施の形態に係るコネクタ1においては、最も前方側に配置される第2コンタクト端子15の位置を、第2カードBの該当する接触パッドB1の中央よりも僅かに後方側の位置に接触するように調整している。これにより、第2コンタクト端子15における第2カードBの接触パッドB1との接触を確保しつつ、第1コンタクト端子14との接触を防止することが可能となる。
【0045】
また、本実施の形態に係るコネクタ1においては、最も前方側に配置される第2コンタクト端子15のみでなく、前方側から2番目の第2コンタクト端子15の位置も、該当する第2カードBの接触パッドB1の中央よりも僅かに後方側の位置に接触するように調整している。これは、第1コンタクト端子14の先端部とこの第2コンタクト端子15との接触を確実に防止するためである。なお、後方側に配置される2つの第2コンタクト端子15については、第1コンタクト端子14と接触する恐れがないため、既知のコンタクト端子と同様に、該当する第2カードBの接触パッドB1の中央に接触するようにしている。
【0046】
ところで、本実施の形態に係るコネクタ1においては、予め定められた第1カードAが装着された場合に第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15との接触を防止するものである。しかしながら、この第1カードAと異なるカードが誤って挿入されるような場合にも、第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15との接触を防止する必要がある。このため、本実施の形態に係るコネクタ1においては、異なるカードが挿入された場合に第1コンタクト端子14が仕切り壁9を越えて第2装着部8側に突出しないように規制する。
【0047】
また、本実施の形態に係るコネクタ1においては、第1コンタクト端子14をコネクタ1の前方側端部近傍で固定し、その後方側の先端部を自由端としている。このため、後方側の先端部の移動を制限しない場合には、第1カードAの挿入経路上に第1コンタクト端子14が突出し、第1カードAの挿入に伴って先端部が座屈する恐れがある。このため、本実施の形態に係るコネクタ1においては、第1コンタクト端子14が第1カードAの挿入経路上に一定位置を越えて突出しないように規制する。なお、第1カードAの挿入経路上の一定位置は、例えば、第1コンタクト端子14の先端部が第1装着部7に対するカードの挿入に伴って座屈するのを回避できる位置が考えられる。
【0048】
以下、第1コンタクト端子14の第2装着部8側への突出、並びに、第1コンタクト端子14の第1カードAの挿入経路上への一定位置以上の突出を規制する構成について図15〜図17を用いて説明する。図15は、本実施の形態に係るコネクタ1のハウジング2を前方側(第1コンタクト端子14側)から示した斜視図である。図16及び図17は、図15に示す第1コンタクト端子14の先端部近傍の拡大図である。なお、図16においては、第1コンタクト端子14を省略している。
【0049】
図15に示すように、仕切り壁9には、第1コンタクト端子14の先端部近傍に、第1コンタクト端子14の先端部が第1カードAの挿入経路上に突出するのを規制する第1規制部93と、第1コンタクト端子14の先端部が第2装着部8側へ突出するのを規制する第2規制部94とが設けられている。第1規制部93は、第1コンタクト端子14の一定位置以上の上方側への移動を規制するものであり、第2規制部94は、第1コンタクト端子14の一定位置以上の下方側への移動を規制するものである。
【0050】
図16に示すように、第1規制部93は、仕切り壁9の上面部近傍において一体的に設けられ、前方側に突出する突出片として構成されている。図17に示すように、第1規制部93は、第1カードAが装着されていない状態において、第1コンタクト端子14の先端部に設けられた幅広部144の上面に当接し、第1コンタクト端子14の第1カードAの挿入経路上への一定位置以上の突出を規制するものである。
【0051】
仕切り壁9には、図16に示すように、第1規制部93と対向する位置に開口部95が形成されている。第1装着部7と第2装着部8とは、この開口部95を介して連通されている。第2規制部94は、この開口部95の側方側の仕切り壁9で構成される。第1コンタクト端子14の先端部に設けられた幅広部144は、図17に示すように、開口部95よりも広く設定されている。第2規制部94は、予定されている第1カードAと異なるカードが挿入された場合においても、幅広部144の下面(より具体的には、側方側の下面の一部)と当接し、第1コンタクト端子14の第2装着部8側への突出を規制するものである。なお、開口部95は、第1規制部93としての突出片をハウジング2の成形時に用いられるものである。このように第1規制部93に対向する位置に開口部95を設けることにより、仕切り壁9の製造時に第1規制部93を容易に形成できるようにしている。
【0052】
このように本実施の形態に係るコネクタ1においては、第1コンタクト端子14を、第1規制部93と、第2規制部94とに挟まれる位置に配置したことから、予め定められた第1カードAと異なるカードが第1装着部7に挿入され、第1コンタクト端子14が、第1カードAが挿入される場合よりも大きく下方側に移動する場合においても、第2装着部8に突出するのを規制することができるので、第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15との接触を防止することが可能となる。
【0053】
特に、この場合において、開口部95の両側に配置される仕切り壁9で第2規制部94を構成し、この開口部95よりも広い幅を有する第1コンタクト端子14の広幅部144を当接させている。これにより、確実に第1コンタクト端子14の第2装着部8側への突出を確実に防止することが可能となる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0055】
例えば、上記実施の形態においては、第1装着部7に第1カードAと異なるカードが挿入された場合に第1コンタクト端子14が第2装着部8に突出するのを規制する構成を備える場合について説明しているが、この構成に加えて第2コンタクト端子15が第1装着部7の突出するのを規制する構成を備えるようにしても良い。この場合には、第2カードBと異なるカードが第2装着部8に挿入された場合においても、第2コンタクト端子15の第1装着部7側への突出を規制することができるので、第1コンタクト端子14と第2コンタクト端子15とを接触を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施の形態に係るコネクタと、コネクタに装着される第1及び第2カードとを示す斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係るコネクタと、コネクタに装着される第1及び第2カードとを示す斜視図である。
【図3】上記実施の形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【図4】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングの斜視図である。
【図5】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングの上面図である。
【図6】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングに設けられる第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子の構成を示す斜視図である。
【図7】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングに設けられる第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子の構成を示す上面図である。
【図8】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングに設けられる第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子の構成を示す側面図である。
【図9】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングに設けられる第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子の構成を示す側面図である。
【図10】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングに設けられる第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子の構成を示す斜視図である。
【図11】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングに設けられる第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子の構成を示す上面図である。
【図12】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングに設けられる第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子の構成を示す側面図である。
【図13】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングに設けられる第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子の構成を示す側面図である。
【図14】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングに設けられる第2コンタクト端子と、第2カードの接触パッドとの関係について説明する上面図である。
【図15】上記実施の形態に係るコネクタのハウジングを前方側から示した斜視図である。
【図16】図15に示す第1コンタクト端子の先端部近傍の拡大図である。
【図17】図15に示す第1コンタクト端子の先端部近傍の拡大図である。
【符号の説明】
【0057】
A 第1カード
A1 接触パッド
B 第2カード
B1 接触パッド
1 カード用コネクタ(コネクタ)
2 ハウジング
3 第1カバー部材
31 係合部
32 係合部
33 付勢片
34 付勢片
36 接続部材
4 第2カバー部材
43 接続部材
5 第1カード挿入口
6 第2カード挿入口
7 第1装着部
8 第2装着部
9 仕切り壁
91、92 開口部
93 第1規制部
94 第2規制部
95 開口部
10 前壁部
11 後壁部
12、13 側壁部
14 第1コンタクト端子
141 外部接続部
142 接点部
143 凹部
15 第2コンタクト端子
151 外部接続部
152 接点部
153 凹部
16 スライダ
161 カム溝
161a ハート形カム
161b 第1ガイド溝
161c 第2ガイド溝
161d 凹み溝
17 付勢ばね
18 係合ピン
19 検知スイッチ
191 レバー
192 可動接点
193a、193b 固定接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1カードを装着可能な第1装着部、第2カードを装着可能な第2装着部及び前記第1装着部と前記第2装着部とを仕切る仕切り壁を有するハウジングと、前記第1カードの接触部と接触可能な第1コンタクト端子と、前記第2カードの接触部と接触可能な第2コンタクト端子とを備え、前記第1コンタクト端子及び前記第2コンタクト端子を前記仕切り壁に対向して配置したカード用コネクタであって、
前記第1カード及び第2カードが同時に装着される場合に前記第1コンタクト端子の接点部に設けられた凹部の範囲内で前記第2コンタクト端子を前記第1コンタクト端子と接触しない位置に配置したことを特徴とするカード用コネクタ。
【請求項2】
前記第2装着部に装着された前記第2カードの接触部の設置範囲内で前記第2コンタクト端子を前記第1コンタクト端子と接触しない位置に配置したことを特徴とする請求項1記載のカード用コネクタ。
【請求項3】
前記第1コンタクト端子及び第2コンタクト端子は、前記仕切り壁に設けられた開口部において、直接的に対向していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカード用コネクタ。
【請求項4】
前記第1装着部を覆う第1カバー部材と、前記第2装着部を覆う第2カバー部材とを備え、前記ハウジングは、前記第1カードを挿入する第1カード挿入口と、前記第2カードを挿入する第2カード挿入口とを有し、
前記ハウジングの第1側面には前記第1カード挿入口が設けられ、前記ハウジングの第2側面には前記第2カード挿入口及び前記第2コンタクト端子の外部接続部とが設けられ、前記ハウジングの第3側面には前記第1コンタクト端子の外部接続部が設けられ、前記ハウジングの第4側面には前記第1カバー部材と前記第2カバー部材とを電気的に接続する接続部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項5】
前記第1コンタクト端子は、前記第1コンタクト端子と当接して前記第1カードの挿入経路上への一定位置以上の突出を規制する第1規制部と、前記第1コンタクト端子と当接して前記第2装着部側への突出を規制する第2規制部とに挟まれて配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のカード用コネクタ。
【請求項6】
前記仕切り壁には、前記第1規制部に対向する位置に開口部が設けられて前記第1装着部と前記第2装着部とが連通され、前記第2規制部は前記開口部の両側の前記仕切り壁であり、前記第1規制部は前記仕切り壁と一体的に設けられていることを特徴とする請求項5記載のカード用コネクタ。
【請求項7】
前記第1コンタクト端子は、前記開口部の幅よりも広い幅を有することを特徴とする請求項6記載のカード用コネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−272197(P2009−272197A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122973(P2008−122973)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】