説明

カード発行機

【課題】
大容量のカードホッパーを備え、カード補充時の操作性が良好で、装置の設置場所の制限を受けないカード発行機を提供する。
【解決手段】
カードホッパーに収納されたカードを繰り出して発行するカード発行機において、複数枚のカードを、カード発行機の前後奥行方向に並べて収納するように配置されたカードホッパー11と、カードホッパーからカードを1枚ずつ繰り出すカード繰り出し機構5と、繰り出されたカードを発行口へ搬送するカード搬送路6と、を有し、かつ、カード繰り出し機構は、カードホッパーから繰り出されるカードの繰り出し方向と、カード搬送路におけるカードの搬送方向とが直交するようにカードを案内する案内機構を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード発行機に係り、特に鉄道やバス等の交通機関において定期券や乗車券として利用される磁気カードやICチップ内蔵カード等のカード発行機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば駅窓口に設置されているこの種のカード発行機を利用して定期券を発行する場合、窓口係員が操作パネルにて顧客から提示された新規定期券発行に必要な情報を入力することにより行われる。カード発行機はカードホッパーから新券カードを繰り出し、磁気ストライプまたはICチップに情報を記録し、カード表面に印字をして発行口から新規カードを発行する。
【0003】
また、カードの劣化等に起因してカードを更新する場合には、窓口係員が旧カードをカード発行機の挿入口に挿入すると、カード発行機は旧カードの磁気ストライプまたはICチップに記録されている情報を一旦メモリに記憶する。旧カードはカード発行機内のカード回収部に回収され、その後、新券カードが繰り出される。新券カードの磁気ストライプまたはICチップに旧カードから読み取った情報を記録し、カード表面に印字をして発行口から新規カードを発行する。
【0004】
カードホッパー内の新券カードが残り少なくなった時、または空になった時には、カード発行機はランプ表示や液晶パネル等に警告を表示して係員に知らせる。係員が新券カードを補充する際には、カード発行機の上面部または後面部または側面部の蓋を開け、新券カードを直接セットする。あるいはカードホッパーがカセット方式であれば、カセットを取り出してカセットに新券カードをセットし、再度カセットをカード発行機にセットする。ただしカセット方式の場合でもカード発行機の蓋の開閉は上面部または後面部または側面部の操作となる。
【0005】
従来の技術に関しては、例えば特開2003−085622号公報(特許文献1)、及び特開2003−346226号公報(特許文献2)に記載されているように、カードホッパーをカード発行口の反対側のカード搬送路始端に設置し、新券カードの繰り出し位置はカード搬送路面と同じ高さとし、水平に繰り出す方式が主流である。特開2003−346226号公報に記載の方式でよれば、カードホッパーからの繰り出しは底面繰り出し方式となり、新券カードは繰り出し位置に対して上方向に積み重ねる。また、特開2003−085622号公報に記載の方式でよれば、カードホッパーからの繰り出しは上面繰り出し方式となり、新券カードは繰り出し位置に対して下方向に積み重ねる。いずれの方式においてもカードホッパーの容量が増えるとカード発行機の高さが高くなるという相関がある。
【0006】
【特許文献1】特開2003−085622号公報
【特許文献2】特開2003−346226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、定期券等はICカードに移行しており、駅の窓口業務での新規カードの発行の機会は多くなって来ている。そこで、窓口業務を滞りなく円滑に遂行するためにも、カード発行機の新券カードホッパーを大容量にすることが求められている。しかしながら、上記の従来技術によるカード発行機において、カードホッパーの容量を増やそうとすると、装置の高さが高くなるため、装置が大型化するという問題がある。
【0008】
また、駅窓口では、カード発行機の他に乗車券発行機等の端末機との併設も想定される。従来のカード発行機のように側面部や後面部からカード補充をしなければならない場合、併設される他の端末機との間にあらかじめ操作エリアを確保しておかなければならず、設置スペースの効率が悪い。または上面部からカードを補充する構造とすると、机の下の装置上部を隠してしまう場所へは設置ができないという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、比較的大きい容量を確保したカードホッパーを実装でき、カード補充時の操作性が良く、装置の設置場所の制限を受けないカード発行機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、カードホッパーに収納されたカードを繰り出して発行するカード発行機において、複数枚のカードを、カード発行機の前後奥行方向に並べて収納するように配置されたカードホッパーと、カードホッパーからカードを1枚ずつ繰り出すカード繰り出し機構と、繰り出されたカードを発行口へ搬送するカード搬送路と、を有し、かつ、カード繰り出し機構は、カードホッパーから繰り出されるカードの繰り出し方向と、カード搬送路におけるカードの搬送方向とが直交するようにカードを案内する案内機構を含むカード発行機である。
好ましい例では、上記カード繰り出し機構における案内機構は、カードホッパーから繰り出されたカードの方向を90°転換する転換機構を含み、この転換機構により方向を変更されたカードはカード搬送路を搬送される。
また、好ましい例では、カードホッパーを前後奥行方向に移動する機構を有し、カードの補充時にカードホッパーを前面に移動させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カード発行機の前後奥行方向にカードを並べて収納するカードホッパーが実現でき、またカード搬送路に対して垂直に繰り出されるカードの方向を転換させることができる。このため、カードの補充容量を増すことができ、装置内部の実装効率が良くなる。またカードホッパーを装置前面に引き出すことができるので、カード補充時の操作性が向上し、設置場所の制限を受けないカード発行機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は一実施例によるカード発行機の側面図を示し、図2は外観斜視図である。
カード発行機1は、主制御部2、入力/表示部3、カードホッパー4、カード繰り出し部5、カード搬送路6、情報読取り/書込み部7、印字部8、カード回収部9、カード発行口10から構成される。主制御部2はカード発行機全体の制御を行う。入力/表示部3は、例えばタッチパネル式の液晶表示器で構成されており、操作者がカード発行に必要な情報を入力操作したり、操作案内やエラー等の表示を行う。
カードホッパー4は、多数枚の情報記録前の新券カード11を保管しており、押圧板12によりカードを奥行方向へ押し付けている。カード繰り出し部5は、カードホッパー4から新券カード11を1枚ずつ繰り出し、カード搬送路6に送る。
【0013】
カード搬送路6はローラ13とガイド14から構成され、カードを前後に搬送する。情報読取り/書込み部7では新券カード11に必要な情報を書き込み、更にカード更新の際に旧カード15の情報を読み取る。印字部8は新券カード11にあらかじめ決められたフォーマットの文字を印字する。カード発行口10は、所要の情報が記録され印字された新券カード11を外部へ発行する。なお、カードを更新する場合には、このカード発行口10は旧カード15の挿入口となる。カード回収部9はカード更新の際に旧カード15を回収する。
【0014】
図3に示すように、カードホッパー4は、2本の平行なレール26に案内される引き出し機構となっている。前面にある取っ手25を手前方向に引くことにより、引き出され、新券カードの補充等が可能となる。
【0015】
次に、図4を参照してカード繰り出し部5の詳細を説明する。
カードホッパー4にセットされている新券カード11を摩擦係数の高いゴムローラ16で1枚ずつ繰り出した後、ローラ17で挟みながら新券カード11を搬送する。ローラ17は円弧状の搬送路に沿って配置されているため、新券カード11は湾曲しながら、カード搬送路6まで搬送される。
【0016】
なお、カードホッパー4とカード繰り出し部5の配置関係は、図4に示す構成に限定されず、例えば図5に示すように、カード繰り出し部5の配置関係が図4とは逆の構成にしてもよい。即ち、カード繰り出し部5は上側に配置され、その先にカード搬送路6が接続している構造である。この場合、配置新券カード11の繰り出し方向は、図5に示すように下側から上側へ繰り出される。
【0017】
次に、図6に他の実施例によるカード繰り出し部の動作を説明する。
まず、(A)に示すように、カードホッパー4にセットされている新券カード11を摩擦係数の高いゴムローラ16を回転させて、矢印a方向へ1枚ずつ繰り出す。そしてローラ18を矢印x方向へ回転させながら新券カード11を挟持し、所定の位置まで新券カード11を送りローラ18の回転を停止する。
【0018】
次に、(B)のように、モータ19により回転軸20を矢印y方向へ回転させることにより、新券カード11は90度回転して、カード搬送路6に平行にセットされる。そしてローラ18を上述の回転方向とは逆のx'方向に回転させ、新券カード11をカード搬送路6へと搬送する。
【0019】
次に、図7を参照して更に他の実施例によるカード繰り出し部5の構成及び動作について説明する。
まず、(A)に示すように、カードホッパー4にセットされている新券カード11を、摩擦係数の高いゴムローラ16を回転させて矢印a方向へ1枚ずつ繰り出した後、新券カード11の先端をガイド21の切り欠いた部分211に載せる。
【0020】
次に、(B)のように、ソレノイド22を吸引することでリンク機構23を動作させ、垂直に立った新券カード11を矢印y方向へ押して90度倒す。これにより新券カード11はカード搬送路6に平行にセットされ、ベルト24を回転させると、矢印b方向へ搬送され、カード搬送路6へ送られる。
【0021】
この実施例では、新券カード11がローラ17の挟持を離れた時、ガイド21に載るまでは重力による落下となる。ガイド21の切り欠いた部分は傾斜となっており主カード搬送路側へ倒れやすい方向となっており、リンク機構23で押す前に新券カード11が倒れている場合もあり、重力のみに頼ることに比べて搬送時間が短縮される可能性がある。
【0022】
本実施例によれば、主カード搬送路に対して垂直に繰り出されるカードの方向を転換させることができるため、装置の前後奥行方向に新券カードを積み重ねるカードホッパーが実現できる。従来の同一奥行サイズのカード発行機と比較して、補充容量を増すことができ、装置内部の実装効率も向上する。またカードホッパーを装置前面に引き出すことも可能になったため、カード発行機の設置場所について制限がなく、他の端末との併設についても省スペース化が図れ、カード補充時の操作性も向上した。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】一実施例によるカード発行機の構成を示す側面図。
【図2】一実施例によるカード発行機の外観斜視図。
【図3】一実施例によるカード発行機におけるカードホッパーの引き出し状態を示す斜視図。
【図4】一実施例によるカード繰り出し部5の構成を示す図。
【図5】他の実施例によるカード繰り出し部5の構成及び動作を示す図。
【図6】他の実施例によるカード繰り出し部5の構成及び動作を示す図。
【図7】他の実施例によるカード繰り出し部5の構成及び動作を示す図。
【符号の説明】
【0024】
1 カード発行機、 2 主制御部、 3 入力/表示部、
4 カードホッパー、 5 カード繰り出し部、 6 カード搬送路、
7 情報読取り/書き込み部、8 印字部、 9 カード回収部、
10 カード発行口、 11 新券カード、 12 押圧板、
13 ローラ、 14 ガイド、 15 旧カード、
16 ゴムローラ、 17 ローラ、 18 ローラ、
19 モータ、 20 回転軸、 21 ガイド、
22 ソレノイド、 23 リンク機構、 24 ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードホッパーに収納されたカードを繰り出して発行するカード発行機において、複数枚のカードを、該カード発行機の前後奥行方向に並べて収納するように配置されたカードホッパーと、
該カードホッパーからカードを1枚ずつ繰り出すカード繰り出し機構と、
繰り出されたカードを発行口へ搬送するカード搬送路と、を有し、かつ、
該カード繰り出し機構は、該カードホッパーから繰り出されるカードの繰り出し方向と、該カード搬送路におけるカードの搬送方向とが直交するようにカードを案内する案内機構を含むことを特徴とするカード発行機。
【請求項2】
該案内機構は、該カードホッパーから繰り出されたカードの方向を90°転換する転換機構を含み、該転換機構により方向を変更されたカードは該カード搬送路を搬送されることを特徴とする請求項1記載のカード発行機。
【請求項3】
前記カードホッパーを該前後奥行方向に移動する機構を有し、カードの補充時に該カードホッパーを前面に移動させることを特徴とする請求項1又は2記載のカード発行機。
【請求項4】
カードホッパーに収納されたカードを繰り出して搬送路上を搬送して発行するカード発行機において、
該カード発行機の前後奥行方向に、複数枚のカードを立てて並べて収納するカードホッパーと、
該カードホッパーに収納されたカードの最奥部にあるカードから1枚ずつ繰り出し、かつ繰り出されたカードを水平方向に案内する案内機構を有するカード繰り出し機構と、
繰り出された該カードを水平状態で搬送して発行口へ送るカード搬送路と、
該カードホッパーを前面方向に移動するレールを備えた引出し機構と、
を有することを特徴とするカード発行機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−163767(P2006−163767A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−353753(P2004−353753)
【出願日】平成16年12月7日(2004.12.7)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】