説明

カーボンナノチューブ分散・可溶化剤

【課題】有機溶媒などの媒体中でカーボンナノチューブを、その単独サイズまで孤立溶解させ得るカーボンナノチューブ可溶化剤を提供する。
【解決手段】例えば、下記式(14)、(15)で示されるようなトリアリールアミン構造を繰り返し単位として含有し、末端にアシル基を有する、重量平均分子量が1,000〜4,000,000である高分岐ポリマーからなるカーボンナノチューブ分散・可溶化剤であり、カーボンナノチューブが孤立溶解状態で含まれる組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ分散・可溶化剤に関し、さらに詳述すると、トリアリールアミン構造を繰り返し単位として含み、かつ、末端にアシル基を有する高分岐ポリマーからなるカーボンナノチューブ分散・可溶化剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(以下、CNTと略記する場合もある)は、ナノテクノロジーの有用な素材として、広範な分野での応用の可能性が検討されている。
その用途としては、トランジスタや、顕微鏡用プローブなどのように単独のCNTそのものを使用する方法と、電子放出電極や燃料電池用電極、またはCNTを分散させた導電性複合体などのように、多数のCNTをまとめてバルクとして使用する方法とに大別される。
【0003】
単独のCNTを使用する場合、CNTを溶媒中に加えてこれに超音波を照射した後、電気泳動等で単一に分散しているCNTのみを取り出す方法などが用いられている。
一方、バルクで用いる導電性複合体では、マトリックス材となる重合体などの中にCNTを良好に分散させる必要がある。
しかし、CNTは、一般的に分散し難いものであり、通常の分散手段により得られた複合体ではその分散が不完全な状態となる。このためCNTの表面改質や、表面化学修飾などの種々の手法によってその分散性を高める検討がなされている。
【0004】
CNTの表面を改質する手法としては、例えば、CNTをドデシルスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤を含有する水溶液に添加する方法(特許文献1:特開平6−228824号公報参照)がある。
しかし、この手法では、CNT表面に非導電性の有機物が付着するため、導電性が損なわれてしまう。
また、CNT表面にコイル状構造を有するポリマーを付着させる方法も知られており、具体的には、ポリ−m−フェニレンビニレン−co−ジオクトキシ−p−フェニレンビニレンを含む溶媒中にCNTを加え、沈殿するCNT複合材を分離、精製する方法が提案されている(特許文献2:特開2000−44216号公報)が、このポリマーは共役系が不完全であり、この場合も、CNTの導電性が損なわれてしなう。
【0005】
さらに、単層CNTに官能基を付加するなどにより化学修飾を施し、分散性を向上させる手法も知られている(非特許文献1:Science,vol.282,1998年参照)。
しかし、この手法では、化学修飾によりCNTを構成するπ共役系が破壊され易く、この場合もCNT本来の特性が損なわれてしまう。
以上のように、CNTの表面を改質した場合、CNTの分散性は多少なりとも改善するものの、高導電性等のCNTの有する本来の特性が損なわれてしまうという別の問題が生じる。
【0006】
また、以上で述べた方法では、数mmオーダーのCNTの塊を数μmの塊にサイズダウンさせることはできるものの、CNT単独のサイズ(直径0.8〜100nm)まで溶解(分散)させる、すなわち、孤立溶解させることは不可能である。
この点、特許文献2には、1本のCNT周囲にポリマーが付着している様子が示されているが、この文献の手法は、一旦ある程度まで分散させた後に凝集・沈殿させてCNTを捕集するものであり、CNTを長期に亘って孤立溶解状態で保存できるものではない。
【0007】
一方、特許文献1には、共役系重合体を可溶化剤(分散剤)として用いることで、CNT表面が共役系重合体に覆われる結果、CNTが樹脂中に均一に分散するため、CNT本来の導電性が発揮されることが報告されている。この技術において、分散剤として用いられる共役系重合体は、共役系構造が発達しているため、導電性や、半導体特性を利用する場合に有利であるという特徴がある。
しかし、特許文献1では、共役系重合体として直鎖状重合体のみが開示されるに留まり、高分岐型重合体についての知見は明らかにされていない。
【0008】
また、CNTの分散剤として高分岐ポリマーに着目した技術(非特許文献2:第56回高分子学会年次大会予稿集,vol.56,No.1,p.1463,2007年)も提案されている。高分岐ポリマーとはスターポリマーや、デンドリティック(樹枝状)ポリマーとして分類されるデンドリマー、ハイパーブランチポリマーなどのように、骨格内に分岐を有するポリマーである。
これらの高分岐ポリマーは、従来の高分子が一般的に紐状の形状であるのに対し、積極的に分岐を導入しているため、これを分散剤として用いることで、直鎖状のポリマーと比較して優れたCNTの孤立分散、溶解能を発揮する可能性がある。
しかし、前述の高分岐ポリマーを分散剤として用いた非特許文献2の技術において、CNTの孤立分散状態を長期に亘って保つためには、機械的な処理のほかに熱処理も必要であり、CNTの可溶化能はそれほど高いものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−228824号公報
【特許文献2】特開2000−44216号公報
【特許文献3】特開2003−292801号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Science,vol.282,1998年
【非特許文献2】第56回高分子学会年次大会予稿集,vol.56,No.1,p.1463,2007年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、有機溶媒などの媒体中でカーボンナノチューブを、その単独サイズまで孤立溶解させ得るカーボンナノチューブ可溶化剤・分散剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、トリアリールアミン構造を繰り返し単位として有するとともに、末端にアシル基を有する高分岐ポリマーが、カーボンナノチューブの分散・溶解能に優れること、およびこの高分岐ポリマーをカーボンナノチューブの分散・可溶化剤として用いた場合に、カーボンナノチューブ(の少なくとも一部)を、その単独サイズまで孤立溶解させ得ることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、
1. トリアリールアミン構造を繰り返し単位として含有する高分岐ポリマーであって、その少なくとも1つの末端にアシル基を有し、重量平均分子量が1,000〜4,000,000であることを特徴とする高分岐ポリマー、
2. 1の高分岐ポリマーからなることを特徴とするカーボンナノチューブ分散・可溶化剤、
3. 式(1)で示される繰り返し単位を含有する2のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤、
【化1】

[式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、それぞれ独立して、式(2)〜(12)から選ばれる2価の有機基を表し、Bは、式(13)で示されるアシル基を表す。
【化2】


(式中、R1〜R89は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホン基、炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、R91は、炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または非置換または置換フェニル基を表す。)]
4. 前記Ar1、Ar2、Ar3およびAr4が、それぞれ独立して、前記式(2)〜(6)から選ばれる2価の有機基である3のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤、
5. 前記繰り返し単位が、式(14)で示される3のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤、
【化3】


6. 前記繰り返し単位が、式(15)で示される3のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤、
【化4】


(式中、Rは、アルコキシカルボニル基またはカルボキシル基を表す。)
7. 3〜6のいずれかのカーボンナノチューブ分散・可溶化剤と、カーボンナノチューブとを含む組成物、
8. 前記カーボンナノチューブ分散・可溶化剤が、前記カーボンナノチューブの表面に付着して複合体を形成している7の組成物、
9. さらに有機溶媒を含む7または8の組成物、
10. 前記カーボンナノチューブが、前記有機溶媒に溶解している9の組成物、
11. 前記複合体が、前記有機溶媒に溶解している9の組成物、
12. 前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブから選ばれる少なくとも1種である7〜11のいずれかの組成物、
13. 分散液である7〜12のいずれかの組成物、
14. 2〜6のいずれかのカーボンナノチューブ分散・可溶化剤と、カーボンナノチューブと、有機溶媒とを混合して混合物を調製し、この混合物を超音波処理する組成物の製造方法、
15. 前記カーボンナノチューブ分散・可溶化剤を前記有機溶媒に溶かしてなる溶液中にカーボンナノチューブを添加して前記混合物を調製し、この混合物を超音波処理する14の製造方法
を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤は、トリアリールアミン構造を含有し、その少なくとも1つの末端にアシル基を有する高分岐ポリマーからなるものであるため、カーボンナノチューブの分散・溶解能に優れており、カーボンナノチューブを、その単独サイズまで孤立溶解させ得る。
したがって、本発明の可溶化剤を用いることで、カーボンナノチューブ(の少なくとも一部)が孤立溶解状態で分散したカーボンナノチューブ含有組成物を容易に得ることができる。
この組成物は、カーボンナノチューブの量を容易に調整することが可能であるため、半導体素材、電導体素材等として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】カーボンナノチューブのカイラルベクトルを示す図である。
【図2】実施例1で得られたPTPAP−BPのFT−IRチャートを示す図である。
【図3】実施例2で得られたPTPAP−COOMe−BPのFT−IRチャートを示す図である。
【図4】実施例2で得られたPTPAP−COOMe−BPの1H−NMRチャートを示す図である。
【図5】実施例3で得られたPTPAP−COOH−BPの1H−NMRチャートを示す図である。
【図6】実施例4で得られたPTPAP−BP/SWCNT分散液の紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図7】実施例5で得られたPTPAP−COOMe−BP/SWCNT分散液の紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図8】実施例6で得られたPTPAP−COOH-BP/SWCNT分散液の紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを示す図である。
【図9】比較例1で得られたPTPAP−Br/SWCNT分散液の紫外−可視−近赤外吸収スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係るカーボンナノチューブ分散・可溶化剤は、トリアリールアミン構造を繰り返し単位として含有するとともに、その少なくとも1つの末端にアシル基を有し、重量平均分子量が1,000〜4,000,000である高分岐ポリマーからなるものである。
このトリアリールアミン構造を繰り返し単位として含有する高分岐ポリマーは、安定性に優れているとともに、優れたホール輸送性を示すことから有機ELとしての応用も期待される。また、適当なドープ剤、例えば過塩素酸イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン、硫酸イオン等の陰イオンを用いることで導電体に近い値を示すために導電性高分子としての利用も期待できる。
【0017】
本発明において、当該ポリマーの重量平均分子量が1,000未満であると、カーボンナノチューブの可溶化能が著しく低下する、またはその可溶化能が発揮されなくなる虞があり、4,000,000を超えると、カーボンナノチューブの可溶化処理時の取り扱いが困難となる虞がある。重量平均分子量が1,000〜2,000,000の高分岐ポリマーがより好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィによる測定値(ポリスチレン換算)である。
【0018】
トリアリールアミン構造としては、特に限定されるものではないが、本発明においては、下記式(1)で示されるものが好適である。
【0019】
【化5】

【0020】
式(1)において、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、それぞれ独立して、式(2)〜(12)から選ばれる2価の有機基を表し、Bは、式(13)で示されるアシル基を表す。
【0021】
【化6】

【0022】
式(2)〜(12)において、R1〜R89は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホン基、炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。
炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基等が挙げられる。
【0023】
上記式(2)〜(12)で表される2価の有機基の中でも、その骨格中に芳香環だけを有するポリマーの方が、カーボンナノチューブの溶解(分散)能に優れることから、特に式(2)〜(6)で表される2価の有機基が好ましい。
【0024】
式(13)において、R91は、炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または非置換または置換フェニル基を表す。
置換フェニル基としては、例えば、その水素原子の少なくとも1つが、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホン基、炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基で置換されたフェニル基等が挙げられる。
ここで、ハロゲン原子、炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基およびアルコキシ基としては、上記と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、R91としては、フェニル基が好適である。
【0025】
本発明で好適に用いられるポリマーのトリアリールアミン骨格の具体例としては、下記式(14)および(15)で示されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0026】
【化7】

【0027】
式(15)において、Rは、アルコキシカルボニル基またはカルボキシル基を表す。
アルコキシカルボニル基としては、特に限定されるものではないが、炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルコキシカルボニル基が挙げられる。なお、炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基としては上記と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基がより好ましい。
【0028】
本発明の高分岐ポリマーの製造法について一例を挙げて説明する。
例えば、下記スキームに示されるように、繰り返し構造(15′)を有する高分岐ポリマーは、ハロゲン化トリフェニルアミン化合物(16)、アシル基を有するハロゲン化アリール化合物(18)、アルコキシカルボニル基またはカルボキシル基を有するジハロゲン化アリール化合物(17)、およびジボリル化合物(19)をパラジウム系触媒の存在下で反応させて得ることができる。
【0029】
【化8】


(式中、X1〜X6は、それぞれ独立してハロゲン原子を示し、Y1およびY2は、それぞれ独立してボリル基を示す。RおよびR91は、上記と同じ意味を表す。)
【0030】
この方法では、まず、ハロゲン化トリフェニルアミン化合物(16)、アルコキシカルボニル基またはカルボキシル基を有するジハロゲン化アリール化合物(17)およびジボリル化合物(19)を適当な有機溶媒に溶解させ、次いで、その溶液中に、パラジウム系触媒を添加して縮重合反応させた後、アシル基を有するハロゲン化アリール化合物(18)を加えて反応させ、目的とする高分岐ポリマー(15′)が得られる。
【0031】
この場合、各原料の仕込み量としては、目的とする高分岐型ポリマーが得られる限りにおいて任意であるが、ハロゲン化トリフェニルアミン化合物(16)1当量に対し、ジハロゲン化アリール化合物(17)0.01〜10当量、ジボリル化合物(19)1〜20当量、ハロゲン化アリール化合物(18)0.3〜1当量程度が好ましい。
また、パラジウム系触媒の使用量は、ハロゲン化トリフェニルアミン化合物(16)1当量に対して0.001〜20当量(金属成分)程度が好ましく、0.01〜0.1当量がより好ましい。
有機溶媒としては、この種の反応において通常用いられる種々の溶媒を用いることができ、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン(THF)等を用いることができる。
反応温度は、用いる溶媒の融点〜溶媒の沸点まで種々の温度で実施できるが、特に、0〜100℃程度が望ましい。反応終了後、生成物は再沈法等によって容易に精製できる。
【0032】
ハロゲン化トリフェニルアミン化合物(16)において、ハロゲン原子(X1およびX2)としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、特に臭素原子が好ましい。
また、ジボリル化合物(19)において、ボリル基(Y1およびY2)としては、ジヒドロキシボリル基、ジメトキシボリル基、ジエトキシボリル基、メトキシエトキシボリル基、2,1,3−ジオキサボリル基、2,1,3−ジオキサボリル基等が挙げられる。
【0033】
上記パラジウム系触媒としては、従来公知の金属パラジウムを含むパラジウム化合物やパラジウム錯体から適宜選択して用いることができる。その具体例としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキス(トリメチルホスフィン)パラジウム、トリス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリエチルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルアルシン)パラジウム、カルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(η2−エチレン)ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、(η2−無水マレイン酸)[1,2−(ビスジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ビス(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、(クロロメチル)(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、ジエチルビス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム、ジエチルビス(トリメチルホスフィノ)パラジウム、ジエチルビス(トリ−i−プロピルホスフィノ)パラジウム、ジメチル[1,2−(ビスジメチルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジメチル[1,3−ビスジメチルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジメチル[1,2−(ビスジメチルアミノ)エタン]パラジウム、ジメチルビス(4−エチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン)パラジウム、ビス(トブチルイソシアニド)ジメチルパラジウムビス(1,1,3,3−テトラメチルブチルイソシアニト)ジメチルパラジウムジフェニルビス(メチルジフェニルホスフィニト)パラジウム、ジベンジルビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、ジエチニルビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ジネオペンチル(2,2’−ビピリジル)パラジウム、ブロモ(メチル)ビス(トリエチルホスフィン)パラジウム、ベンゾイル(クロロ)ビス(トリメチルホスフィン)パラジウム、シクロペンタジエニルフェニル)(トリエチルホスフィン)パラジウム、η−アリルペンタメチルシクロペンタジエニル)パラジウム、π−アリル(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムテトラフルオロほう酸塩、ビス(π−アリル)パラジウム、ビスケセチルアセトナト)パラジウム、ジクロロエチレンジアミンパラジウム、塩化パラジウム、パラジウム炭素等が挙げられる。
【0034】
また、上記反応では、パラジウム系触媒に対して0.1〜10当量の塩化リチウムや臭化銅等の添加剤を加えてもよい。
さらに、上記反応では、カップリング反応において通常用いられる種々の塩基を用いることができる。この塩基の具体例としては、炭酸カリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエトキシド、酢酸ナトリウム、トリエチルアミン、炭酸リチウム、水酸化リチウム、酸化リチウム、酢酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸三リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、フッ化セシウム、酸化アルミニウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−N−メチルピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルモルホリン等が挙げられる。
塩基の添加量は、ハロゲン化トリフェニルアミン化合物(16)1当量に対して1〜100当量が好ましく、1〜20当量がより好ましい。なお、これらの塩基は水溶液にして用いてもよい。
【0035】
なお、以上の反応において、ジハロゲン化アリール化合物(17)を用いないで反応を行ってもよく、この場合には、下記式(14′)で示される繰り返し単位を有する高分岐ポリマーが得られる。
また、ジボリル化合物(19)の芳香環部位、ジハロゲン化アリール化合物(17)の芳香環部位を適宜変更することで、スペーサ骨格が異なる種々の高分岐ポリマーを得ることができる。
【0036】
【化9】

【0037】
本発明に係るカーボンナノチューブ含有組成物は、以上で説明したカーボンナノチューブ分散・可溶化剤と、カーボンナノチューブとを含むものである。
カーボンナノチューブ(CNT)は、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等によって作製されるが、本発明に使用されるCNTはいずれの方法によって得られたものであってもよい。また、CNTには1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT(以下、SWCNTと記載)と、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT(以下、DWCNTと記載)と、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNT(以下、MWCNTと記載)とがあるが、本発明においては、SWCNT、DWCNT、MWCNTをそれぞれ単体で、または複数を組み合わせて使用できる。
【0038】
上記の方法でSWCNT、DWCNTやMWCNTを作製する際には、同時にフラーレンやグラファイト、非晶性炭素が副生産物として生成され、またニッケル、鉄、コバルト、イットリウム等の触媒金属も残存するので、これらの不純物の除去、精製を必要とする場合がある。不純物の除去には、硝酸、硫酸等による酸処理とともに超音波処理が有効である。しかし、硝酸、硫酸等による酸処理ではCNTを構成するπ共役系が破壊され、CNT本来の特性が損なわれてしまう可能性があるため、精製せずに使用することが望ましい。
【0039】
CNTはグラフェン・シートの巻き方(螺旋度、カイラリティー)により電気特性が金属的なものから半導体的なものまで変化する。
CNTのカイラリティーは図1に示されるカイラルベクトル(R=na1+ma2、ただしm、nは整数)により規定され、n=mおよびn−m=3p(ただしpは整数)の場合には金属的性質、それ以外の場合(n≠m、n−m≠3p)には半導体性質をそれぞれ示すことが知られている。このため、特にSWCNTを使用する場合は、ある種のカイラリティーを選択的に可溶化(分散)した組成物とすることが重要である。
本発明のトリアリールアミン系高分岐ポリマーを、CNTの可溶化剤(分散剤)として使用することで、ある特定のカイラリティーを有するCNTを、選択的に溶解させた組成物が得られる可能性がある。
【0040】
本発明の組成物は、さらに上記分散・可溶化剤(高分岐ポリマー)の溶解能を有する有機溶媒を含んでいてもよい。
このような有機溶媒としては、THF、ジエチルエーテル等のエーテル系化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン(NMP)等のアミド系化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール等のアルコール類;ノルマルヘプタン、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類等が挙げられ、中でもTHF、クロロホルム、NMP、シクロヘキサンが好ましい。なお、上記有機溶媒は、1種単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
特に、CNTの孤立溶解の割合を向上させ得るという点から、THF、NMPが好ましく、さらに組成物の製膜性をも向上し得るNMP単独溶媒またはこれを含む溶媒が好適である。
【0041】
本発明の組成物の調製法は任意であり、分散・可溶化剤(ポリマー)が液状の場合には、当該分散・可溶化剤とCNTとを適宜混合し、分散・可溶化剤が固体の場合には、これを溶融させた後、CNTと混合して調製することができる。
また、有機溶媒を用いる場合には、分散・可溶化剤、CNTおよび有機溶媒を任意の順序で混合して組成物を調製すればよい。
この際、分散・可溶化剤、CNTおよび有機溶媒からなる混合物を可溶化処理することが好ましく、この処理により、CNTの孤立溶解の割合をより向上させることができる。可溶化処理としては、ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等を用いた湿式処理や、バス型やプローブ型のソニケータを用いる超音波処理が挙げられるが、処理効率を考慮すると、超音波処理が好適である。
可溶化処理の時間は任意であるが、5分間から10時間程度が好ましく、30分間から5時間程度がより好ましい。
なお、上記可溶化処理の前に、適宜加熱処理をしてもよい。
【0042】
本発明の組成物における、可溶化剤とCNTとの混合比率は、質量比で1,000:1〜1:100程度とすることができる。
また、有機溶媒を使用した組成物中における可溶化剤の濃度は、CNTを有機溶媒に可溶化させ得る濃度であれば特に限定されるものではないが、本発明においては、組成物中に0.001〜20質量%程度とすることが好ましく、0.005〜10質量%程度とすることがより好ましい。
さらに、この組成物中におけるCNTの濃度は、少なくともCNTの一部が孤立溶解(可溶化)する限りにおいて任意であるが、本発明においては、組成物中に0.0001〜10質量%程度とすることが好ましく、0.001〜5質量%程度とすることがより好ましい。
以上のようにして調製された本発明の組成物中では、可溶化剤がCNTの表面に付着して複合体を形成しているものと推測される。
【0043】
本発明の組成物は、上述した各種有機溶媒に可溶な汎用合成樹脂と混合して複合化させることもできる。
汎用合成樹脂の具体例としては、ポリエチレン(PE),ポリプロピレン(PP),エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA),エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS),耐衝撃性ポリスチレン(HIPS),アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)等のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
汎用合成エンプラの具体例としては、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0044】
本発明のCNT含有組成物は、PET、ガラス、ITO等の適当な基板上にキャスト法、スピンコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法などの適宜な方法により塗布して製膜することが可能である。
得られた薄膜は、カーボンナノチューブの金属的性質を活かした帯電防止膜、透明電極等の導電性材料、あるいは半導体的性質を活かした光電変換素子、電解発光素子などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0045】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0046】
[実施例1]トリフェニルアミン系高分岐ポリマーの合成
還流塔を取り付けた1L四つ口フラスコに、トリス(4−ブロモフェニル)アミン[東京化成工業(株)製](6.53g、13.3mmol)および1,4−ベンゼンジボロン酸[Aldrich製](2.26g、13.6mmol)を入れ、トルエン(350mL)およびエタノール(300mL)に溶解させた。
系内を窒素置換した後、得られた溶液に、イオン交換水(33mL)に溶解させた炭酸カリウム[関東化学(株)製](2.75g、19.7mmol)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[東京化成工業(株)製](165.9mg、0.01mmol)を仕込み、75℃で撹拌を行いつつ、トルエン(30mL)に溶解させた4−ブロモベンゾフェノン[Aldrich製](3.52g、13.4mmol)を滴下し、6時間撹拌後、室温まで放冷した。
反応液をろ過し、ろ液にイオン交換水を加えて分液して得られた下層を減圧濃縮し、残渣に、少量の12N塩酸を加えたメタノール(250mL)を加えて再沈殿させた。得られた黄色固体を40℃で6時間乾燥し、目的化合物(166.5mg)を得た。
【0047】
目的化合物のFT−IR(サーモフィッシャー社製、NICOLET6700)スペクトルを図2に示す。図2に示されるように、1,650cm-1付近にカルボニル基の伸縮振動が観測されるため、アシル骨格が導入されていることがわかる。得られた化合物は、上記式(13)で表される構造単位を有する化合物である(以下、PTPAP−BP)。
【0048】
[実施例2]トリフェニルアミン系高分岐ポリマーの合成
還流塔を取り付けた1L四つ口フラスコに、トリス(4−ブロモフェニル)アミン[東京化成工業(株)製](9.80g、20.4mmol)、3,5−ジブロモ安息香酸メチル[東京化成工業(株)製](5.67g、20.4mmol)および1,4−ベンゼンジボロン酸[Aldrich製](11.46g、69.1mmol)を入れ、トルエン(350mL)およびエタノール(300mL)に溶解させた。
系内を窒素置換した後、得られた溶液に、炭酸カリウム[関東化学(株)製](3.49g、25.2mmol)を加え、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)[東京化成工業(株)製](471mg、0.41mmol)を仕込み、75℃で4時間反応させた。その後、トルエン(50mL)に溶解させた4−ブロモベンゾフェノン[Aldrich製](2.67g、10.2mmol)を滴下し、4時間後、室温まで放冷した。
反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮して得られた残渣に、少量の12N塩酸を加えたメタノール(700mL)を加えて再沈殿させた。得られた黄色固体にTHFを加えて不溶物をろ過により除去した。ろ液を濃縮し、残渣にメタノールを加えて再沈殿させた。得られた黄色固体を40℃で4時間乾燥し、目的化合物(2.76g)を得た。
【0049】
目的化合物のFT−IRスペクトルを図3に、1H−NMRを図4に示す。図3に示されるように、1,650cm-1付近にカルボニル基の伸縮振動が観測されるため、アシル骨格が導入されていることがわかる。図4に示されるように、3.9ppm付近のメチル基が観測されるため、メトキシカルボニル基が導入されていることがわかる。
得られた化合物は式(14)で表される構造単位を有する化合物(R=COOMe)である(以下、PTPAP−COOMe−BP)。
PTPAP−COOMe−BPのゲル浸透クロマトグラフィ(以下、GPC)によるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは6,000、多分散度Mw/Mnは2.1であった。
[GPC測定条件]
装置:東ソー(株)製 HLC−8200 GPC
カラム:Shodex KF−804L+KF−805L
カラム温度:40℃
溶媒:THF
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
【0050】
[実施例3]PTPAP−COOMe−BPのメトキシカルボニル基のカルボキシル基への変換
還流塔を取り付けた200mL四つ口フラスコに、実施例2で得られたPTPAP−COOMe−BP(1.75g)を入れ、THF(50mL)に溶解させた。系内を窒素置換した後、得られた溶液に、イオン交換水(20g)に溶解させた水酸化リチウム一水和物[関東化学(株)製](4.0g、94.6mmol)水溶液を仕込み、70℃で2時間反応させた。室温まで放冷後、少量の12N塩酸を加えたメタノール(700mL)を加えて再沈殿させた。得られた黄色固体をTHFに分散させた後、ヘキサン(500mL)を加えて再沈殿させた。得られた固体を60℃で6時間乾燥し、目的化合物(1.27g)を得た(以下、PTPAP−COOH−BP)。
【0051】
得られた目的物の1H−NMRを図5に示す。図5に示されるように、図4では確認された3.9ppm付近のシグナル強度が減少しており、メチル基が水素原子に変換されていることがわかる。
PTPAP−COOH−BPのゲル浸透クロマトグラフィによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは9,000、多分散度Mw/Mnは1.4であった。
[GPC測定条件]
装置:SHIMADZU製 LC−10AD
カラム:Shodex K−804L
カラム温度:40℃
溶媒:NMP
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
【0052】
[実施例4]SWCNT分散液の調製
実施例1で得られたPTPAP−BP 1mgを、NMP5mLに溶解させてNMP溶液を調製し、ここにSWCNT(Unydim,Inc.製品名 Unydim(登録商標) Carbon Nanotubes)0.5mgを添加した。バス型超音波照射装置(東京硝子器械(株)製、Fine FU−6H型)を用いて室温で1時間超音波処理し、さらに10,000Gで1時間(室温)遠心分離(小型高速冷却遠心機、(株)トミー精工製 SRX−201)し、上澄み液として黒色透明なSWCNT含有溶液を得た。
【0053】
[実施例5]SWCNT分散液の調製
実施例2で得られたPTPAP−COOMe−BPを用いた以外は、実施例4と同様にし、黒色透明なSWCNT含有溶液を得た。
【0054】
[実施例6]SWCNT分散液の調製
実施例3で得られたPTPAP−COOH−BPを用いた以外は、実施例4と同様にし、黒色透明なSWCNT含有溶液を得た。
【0055】
上記実施例4〜6で得られた各SWCNT含有溶液の紫外可視近赤外吸収スペクトルを測定したところ(測定装置:SHIMADZU UV−3600)、半導体性S11バンド(1,400〜1,000nm)、S22バンド(1,000〜600nm)、および金属性バンド(600〜450nm)の吸収が明確に観察され、SWCNTが孤立溶解していることが確認された(図6〜8参照)。
【0056】
[比較例1]
トリアリールアミン系高分岐ポリマーとして、下記式(20)に示される繰り返し単位を有するポリマーのブロモ体を、特開2002−30136号公報に記載されたトリス(4−ブロモフェニル)アミンと1,4−フェニルジボロン酸とをパラジウム(0)錯体の存在下で脱ハロゲン化重縮合させる方法により合成した化合物(以下、PTPAP−Br)、重量平均分子量Mwは3,900、多分散度Mw/Mnは1.3であった。
【0057】
【化10】

【0058】
得られたPTPAP−BRを用いた以外は、実施例4と同様にしてSWCNT分散液を調製したが、SWCNTの分散能は低かった(図9参照)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリアリールアミン構造を繰り返し単位として含有する高分岐ポリマーであって、
その少なくとも1つの末端にアシル基を有し、重量平均分子量が1,000〜4,000,000であることを特徴とする高分岐ポリマー。
【請求項2】
請求項1記載の高分岐ポリマーからなることを特徴とするカーボンナノチューブ分散・可溶化剤。
【請求項3】
式(1)で示される繰り返し単位を含有する請求項2記載のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤。
【化1】

[式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4は、それぞれ独立して、式(2)〜(12)から選ばれる2価の有機基を表し、Bは、式(13)で示されるアシル基を表す。
【化2】

(式中、R1〜R89は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホン基、炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルコキシ基を表し、R91は、炭素数1〜5の分岐構造を有していてもよいアルキル基、または非置換または置換フェニル基を表す。)]
【請求項4】
前記Ar1、Ar2、Ar3およびAr4が、それぞれ独立して、前記式(2)〜(6)から選ばれる2価の有機基である請求項3記載のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤。
【請求項5】
前記繰り返し単位が、式(14)で示される請求項3記載のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤。
【化3】

【請求項6】
前記繰り返し単位が、式(15)で示される請求項3記載のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤。
【化4】

(式中、Rは、アルコキシカルボニル基またはカルボキシル基を表す。)
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤と、カーボンナノチューブとを含む組成物。
【請求項8】
前記カーボンナノチューブ分散・可溶化剤が、前記カーボンナノチューブの表面に付着して複合体を形成している請求項7記載の組成物。
【請求項9】
さらに有機溶媒を含む請求項7または8記載の組成物。
【請求項10】
前記カーボンナノチューブが、前記有機溶媒に溶解している請求項9記載の組成物。
【請求項11】
前記複合体が、前記有機溶媒に溶解している請求項9記載の組成物。
【請求項12】
前記カーボンナノチューブが、単層カーボンナノチューブ、2層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブから選ばれる少なくとも1種である請求項7〜11のいずれか1項記載の組成物。
【請求項13】
分散液である請求項7〜12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
請求項2〜6のいずれか1項記載のカーボンナノチューブ分散・可溶化剤と、カーボンナノチューブと、有機溶媒とを混合して混合物を調製し、この混合物を超音波処理する組成物の製造方法。
【請求項15】
前記カーボンナノチューブ分散・可溶化剤を前記有機溶媒に溶かしてなる溶液中にカーボンナノチューブを添加して前記混合物を調製し、この混合物を超音波処理する請求項14記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−163570(P2010−163570A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8460(P2009−8460)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】